(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】レジストパターンの製造方法、及びレジストパターン、並びに透明積層部材製造用ポジ型感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/023 20060101AFI20230725BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230725BHJP
C08G 8/32 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G03F7/023 511
G03F7/20 521
C08G8/32
(21)【出願番号】P 2022550432
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 JP2021031290
(87)【国際公開番号】W WO2022059448
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2020156080
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】今田 知之
(72)【発明者】
【氏名】長田 裕仁
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/239784(WO,A1)
【文献】特開2007-304592(JP,A)
【文献】特開2002-169277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/023
G03F 7/20
C08G 8/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に塗膜を形成する塗膜形成工程、
前記塗膜を露光する露光工程、及び
前記露光工程後の前記塗膜を炭酸水素ナトリウム水溶液を含
み、pHが8.0以上から12.0以下までの範囲である弱アルカリ性現像液で現像する現像工程、を有するレジストパターンの製造方法であって、
前記塗膜が、下記一般式(1)で示される芳香族化合物(a)を含有するフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物と、を必須の反応原料とし、前記フェノール性水酸基含有化合物に由来する構成単位の80モル%以上が芳香族化合物(a)に由来する構成単位(a)であるノボラック型フェノール樹脂(A)、及び感光剤(B)を含有する、レジストパターンの製造方法。
【化1】
[前記一般式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子を表す。m、n及びpは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。R
1が複数ある場合、複数のR
1は互いに同じでも異なってもよい。R
2が複数ある場合、複数のR
2は互いに同じでも異なってもよい。R
3は、水素原子、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位を表す。R
4は、水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
4が複数ある場合、複数のR
4は互いに同じでも異なってもよい。]
【請求項2】
前記弱アルカリ性現像液が、23℃のH
2O中におけるpKaが6.0~12.0の範囲である酸の無機塩の0.1~10質量%水溶液である請求項1に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項3】
前記ノボラック型フェノール樹脂(A)のR
1及びR
2がメチル基であり、m及びnが2であり、pが0である請求項
1又は2に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項4】
前記ノボラック型フェノール樹脂(A)の前記アルデヒド化合物に由来する構成単位の80モル%以上が脂肪族アルデヒドに由来する構成単位(b)である、請求項1~
3のいずれか1項に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項5】
前記ノボラック型フェノール樹脂(A)を製造する際の反応溶媒がカルボン酸化合物である、請求項1~
4のいずれか1項に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項6】
前記弱アルカリ性現像液が、炭酸ナトリウム水溶液と炭酸水素ナトリウム水溶液の混合液であって、前記炭酸ナトリウム水溶液と前記炭酸水素ナトリウム水溶液の質量比が(炭酸ナトリウム水溶液)/(炭酸水素ナトリウム水溶液)=80/20~20/80の範囲である請求項1~
5のいずれか1項に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項7】
前記基材が、透明導電膜である、請求項1~
6のいずれか1項に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項8】
前記透明導電膜が、酸化亜鉛を含有する、請求項
7に記載のレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの製造方法、及びレジストパターン、並びに透明積層部材製造用ポジ型感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の半導体の製造、LCD等の表示装置の製造、印刷原版の製造等に用いられる樹脂組成物として、アルカリ可溶性樹脂及び1,2-ナフトキノンジアジド化合物等の感光剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物が知られている。フォトレジストの分野では、用途や機能に応じて細分化された多種多様なレジストパターンの形成方法が次々に開発されており、それに伴い、レジスト用樹脂材料に対する要求性能も高度化かつ多様化している。
【0003】
ポジ型感光性樹脂組成物を基材に塗布等して形成された塗膜の現像に用いられる現像液として水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液が広く使用されているが、当該水酸化テトラメチルアンモニウムは毒性が高く環境負荷が大きい。そのため、炭酸ナトリウム水溶液や炭酸水素ナトリウム水溶液といった環境負荷の小さい弱アルカリ性現像液で現像可能な塗膜が得られるポジ型感光性樹脂組成物が検討されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、液晶等の表示素子をはじめタッチパネル検出素子等として、透明基板上に透明導電膜からなる電極パターンを有する透明積層部材が用いられている。一般に、透明基板としてガラス基板、透明導電膜としてITO(Indium Tin Oxide)薄膜等が用いられている。
【0005】
透明基板上に電極パターンを作製する方法として、透明基板上に形成された透明導電膜の上にポジ型感光性樹脂組成物からなる塗膜を形成し、その上方向からマスクを介して露光し、アルカリ現像液にて現像することによって露光部分の塗膜を除去し、露出した透明導電膜をエッチングし、残存した塗膜を除去する方法が知られている。
【0006】
インジウムの枯渇により、電極に使用される透明導電膜のITOを、ZnO又はZnOに添加物として金属を含有させたもの(以下、「ZnO系膜」という)に代用することが検討されている。しかし、ZnO系膜は強アルカリによって損傷を受けるため、現像に強アルカリ現像液を用いると実用可能な電極パターンを作製できないことが知られている。このため、ZnO系膜が損傷を受けにくい、炭酸ナトリウム水溶液や炭酸水素ナトリウム水溶液といった弱アルカリ性現像液で現像可能な塗膜を形成することができるポジ型感光性樹脂組成物の開発も検討されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-114853号公報
【文献】特開2008-112134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、半導体等の高集積化によってパターンが細線化する傾向にあることから、ポジ型感光性樹脂組成物からなる塗膜にはより優れた感度が求められているが、特許文献1に記載のポジ型感光性樹脂組成物からなる塗膜はパターンの微細化に対応した感度が得られないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載のポジ型感光性樹脂組成物に含有される樹脂は感光剤との親和性に乏しいことから、特許文献2に記載のポジ型感光性樹脂組成物からなる塗膜は微細なパターンの描画には適していないという問題がある。
【0010】
また、特許文献1及び特許文献2に記載のポジ型感光性樹脂組成物からなる塗膜は、弱アルカリ現像液による現像において十分な溶解速度が得られないという問題がある。
【0011】
さらに、半導体等の製造工程において様々な熱処理が施されることから、レジストパターンには高い耐熱性が求められているが、特許文献1に記載のポジ型感光性樹脂組成物では十分な耐熱性を有するレジストパターンを得ることができないという問題がある。
【0012】
以上のように、弱アルカリ性現像液に対する優れた溶解性を有しながら、微細なパターンの描画に適し、高耐熱性を有するレジストパターンを得ることができるポジ型感光性樹脂組成物、及び、弱アルカリ性現像液が使用可能なレジストパターンの製造方法の開発が求められている。
【0013】
本発明は、弱アルカリ性現像液が使用でき、高耐熱性を有する微細なレジストパターンを得ることができるレジストパターンの製造方法を提供することを課題とする。
【0014】
また、本発明は、弱アルカリ性現像液に対する優れた溶解性を有しながら、高耐熱性を有する微細なレジストパターンを得ることができる透明積層部材製造用ポジ型感光性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った。その結果、レジストパターンの製造に特定のノボラック型フェノール樹脂を用いることにより、弱アルカリ性現像液での現像が可能となり、さらに、微細なレジストパターンの描画が可能であること、また、当該ポジ型感光性樹脂組成物を用いてなるレジストパターンは高耐熱性を有することを見出した。
【0016】
さらに、本発明者らは、当該特定のノボラック型フェノール樹脂により、従来検討されている弱アルカリ現像液よりもさらにアルカリ強度が低い、希薄弱アルカリ性現像液での現像が可能な塗膜を得ることができることを見出し、ZnO系膜の損傷をさらに抑制できる知見を得た。
【0017】
すなわち、本発明は、
基材に塗膜を形成する塗膜形成工程、
前記塗膜を露光する露光工程、及び
前記露光工程後の前記塗膜を希薄弱アルカリ性現像液で現像する現像工程、を有するレジストパターンの製造方法であって、
前記塗膜が、下記一般式(1)で示される芳香族化合物(a)を含有するフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物と、を必須の反応原料とし、前記フェノール性水酸基含有化合物に由来する構成単位の80モル%以上が芳香族化合物(a)に由来する構成単位(a)であるノボラック型フェノール樹脂(A)、及び感光剤(B)を含有する、レジストパターンの製造方法である。
【0018】
【化1】
[前記一般式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子を表す。m、n及びpは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。R
1が複数ある場合、複数のR
1は互いに同じでも異なってもよい。R
2が複数ある場合、複数のR
2は互いに同じでも異なってもよい。R
3は、水素原子、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位を表す。R
4は、水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
4が複数ある場合、複数のR
4は互いに同じでも異なってもよい。]
【0019】
また、本発明は、前記レジストパターンの製造方法にて製造されるレジストパターンである。
【0020】
また、本発明は、
下記一般式(1)で示される芳香族化合物(a)を含有するフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物と、を必須の反応原料とし、前記フェノール性水酸基含有化合物に由来する構成単位の80モル%以上が芳香族化合物(a)に由来する構成単位(a)であるノボラック型フェノール樹脂(A)、感光剤(B)、及び溶剤(C)を含有する、透明積層部材製造用ポジ型感光性樹脂組成物である。
【0021】
【化2】
[前記一般式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子を表す。m、n及びpは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。R
1が複数ある場合、複数のR
1は互いに同じでも異なってもよい。R
2が複数ある場合、複数のR
2は互いに同じでも異なってもよい。R
3は、水素原子、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位を表す。R
4は、水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
4が複数ある場合、複数のR
4は互いに同じでも異なってもよい。]
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、現像に希薄弱アルカリ性現像液を使用し、高耐熱性を有する微細なレジストパターンを得ることができるレジストパターンの製造方法を提供することができる。
【0023】
また、本発明は、希薄弱アルカリ性現像液に対する優れた溶解性を有する塗膜、及び高耐熱性を有する微細なレジストパターンを得ることができる透明積層部材製造用ポジ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】合成例1において得られた芳香族化合物(a)のGPCチャート
【
図2】合成例1において得られた芳香族化合物(a)の
13C-NMRチャート
【
図3】合成例2において得られたノボラック型フェノール樹脂(A-1)のGPCチャート
【
図4】合成例3において得られたノボラック型フェノール樹脂(A-2)のGPCチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係るレジストパターンの製造方法は、
基材に塗膜を形成する塗膜形成工程、
前記塗膜を露光する露光工程、及び
前記露光工程後の前記塗膜を希薄弱アルカリ性現像液で現像する現像工程、を有するレジストパターンの製造方法であって、
前記塗膜が、下記一般式(1)で示される芳香族化合物(a)を含有するフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物と、を必須の反応原料とし、前記フェノール性水酸基含有化合物に由来する構成単位の80モル%以上が芳香族化合物(a)に由来する構成単位(a)であるノボラック型フェノール樹脂(A)、及び感光剤(B)を含有する。
【0026】
【化3】
[前記一般式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子を表す。m、n及びpは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。R
1が複数ある場合、複数のR
1は互いに同じでも異なってもよい。R
2が複数ある場合、複数のR
2は互いに同じでも異なってもよい。R
3は、水素原子、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位を表す。R
4は、水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
4が複数ある場合、複数のR
4は互いに同じでも異なってもよい。]
【0027】
本実施形態のレジストパターンの製造方法によれば、現像に希薄弱アルカリ性現像液が使用でき、高耐熱性を有する微細なレジストパターンを得ることができる。本実施形態のレジストパターンの製造方法がこのような効果を奏する理由は定かではないが以下のように考えられる。
【0028】
前記ノボラック型フェノール樹脂(A)は、トリアリールメタン構造を有し、芳香環を高密度で含むため、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)を含有するレジストパターンは非常に高い耐熱性を有する。また、前記一般式(1)のトリアリールメタン構造においては、2つのヒドロキシ基と、カルボキシ基とが互いに異なる芳香環に置換しており、強い水素結合が形成されない。これにより前記ノボラック型フェノール樹脂(A)は良好なプロトン解離性が保持され、感光剤との親和性に優れるため、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)を含有するレジストパターンは、フォトリソグラフィーにおける露光部と未露光部とのコントラストが高く、微細なパターンの描画に適する。また、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)が良好なプロトン解離性を保持することにより、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)を含有する塗膜は、露光部において、希薄弱アルカリ性現像液に対する優れた溶解性を示す。以上のことから、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)を含有するポジ型感光性樹脂組成物を用いる本実施形態のレジストパターンの製造方法によれば、現像に希薄弱アルカリ性現像液が使用でき、高耐熱性を有する微細なレジストパターンを得ることができると考えられる。
【0029】
前記塗膜形成工程は、基材に塗膜を形成する工程である。前記塗膜は、前記一般式(1)で示される芳香族化合物(a)を含有するフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物と、を必須の反応原料とし、前記フェノール性水酸基含有化合物に由来する構成単位の80モル%以上が芳香族化合物(a)に由来する構成単位(a)であるノボラック型フェノール樹脂(A)、及び感光剤(B)を含有する。
【0030】
前記ノボラック型フェノール樹脂(A)は、希薄弱アルカリ性現像液に対する優れた溶解性を有しながら、微細なパターンの描画に適し、高耐熱性を有するレジストパターンを得る観点から、前記一般式(1)で示される芳香族化合物(a)と、アルデヒド化合物と、を必須の反応原料とし、ノボラック構造を構成するフェノール性水酸基含有化合物の80モル%以上が前記芳香族化合物(a)であることを特徴とする。
【0031】
前記一般式(1)において、R1、R2、R3、R4及びR5の炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の、炭素原子数1~9のアルキル基及び炭素原子数3~9のシクロアルキル基等が挙げられる。
【0032】
前記一般式(1)において、R1、R2及びR4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0033】
前記一般式(1)において、R1及びR2のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0034】
前記一般式(1)において、R1及びR2のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0035】
前記一般式(1)において、R1、R2及びR4のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0036】
前記一般式(1)において、R3の「炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位」としては、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基、ヒドロキシ基で置換されたアルキルアルコキシ基等が挙げられる。
【0037】
前記一般式(1)において、m及びnは、それぞれ好ましくは2又は3の整数である。m及びnがそれぞれ2である場合、2つのR1及び2つのR2が、それぞれ独立に、炭素原子数1~3のアルキル基であると好ましい。この時、2つのR1及び2つのR2は、それぞれフェノール性水酸基の2,5-位に結合していることが好ましい。
【0038】
前記一般式(1)において、R3は、水素原子であることが好ましい。
【0039】
前記一般式(1)において、pは、好ましくは0、1又は2の整数である。
【0040】
前記芳香族化合物(a)は、同一構造のものを単独で用いてもよいし、異なる分子構造を有する複数の化合物を用いてもよい。
【0041】
前記ノボラック型フェノール樹脂(A)は、例えば、下記工程1~3を有するノボラック型フェノール樹脂(A)の製造方法により製造することができる。
(工程1)
フェノール化合物(a1)とカルボキシ基を有する芳香族アルデヒド又は芳香族ケトン(a2)とを酸触媒存在下で、必要に応じて溶媒を用いて、60~140℃の範囲で加熱し、重縮合することにより、前記芳香族化合物(a)を得る。
(工程2)
前記工程1で得られた前記芳香族化合物(a)を反応溶液中から単離する。
(工程3)
前記工程2で単離した前記芳香族化合物(a)と前記アルデヒド化合物とを必須の反応原料とし、これらを酸触媒存在下で、必要に応じて溶媒を用いて、60~140℃の範囲で加熱し、重縮合することにより、ノボラック型フェノール樹脂(A)を得る。
【0042】
前記フェノール化合物(a1)は、フェノールの他、フェノールの芳香環上に炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子等の置換基を、一つないし複数有する化合物が挙げられる。これらの置換基の具体例としては、前記一般式(1)中のR1、R2として例示したもの等が挙げられる。中でも、希薄弱アルカリ性現像液に対する溶解性に一層優れるノボラック型フェノール樹脂(A)となることから、炭素原子数1~3のアルキル基を2つ又は3つ有するアルキルフェノールであることが好ましい。前記アルキルフェノールの具体例としては、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のモノアルキルフェノール;2,5-キシレノール、3,5-キシレノール、3,4-キシレノール、2,4-キシレノール、2,6-キシレノール等のジアルキルフェノール;2,3,5-トリメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール等が挙げられる。これらのなかでも、ジアルキルフェノールが好ましく、2,5-キシレノール、2,6-キシレノールがより好ましい。前記フェノール化合物(a1)は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記カルボキシ基を有する芳香族アルデヒド又は芳香族ケトン(a2)のうち、芳香族アルデヒドの具体例としては、ベンゼン、フェノール、レゾルシン等のベンゼン環上にホルミル基を有する化合物、ホルミル基の他にさらにアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等を有する化合物が挙げられる。その具体例としては、4-ホルミル安息香酸、2-ホルミル安息香酸、3-ホルミル安息香酸等が挙げられる。これらの中でも4-ホルミル安息香酸が好ましい。これらは1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記カルボキシ基を有する芳香族アルデヒド又は芳香族ケトン(a2)のうち、芳香族ケトンの具体例としては、例えば、2-アセチル安息香酸、3-アセチル安息香酸、4-アセチル安息香酸、及び2-アセチル安息香酸メチル、2-アセチル安息香酸エチル、2-アセチル安息香酸プロピル、2-アセチル安息香酸イソプロピル、2-アセチル安息香酸ブチル、2-アセチル安息香酸イソブチル、2-アセチル安息香酸ターシャリーブチル、2-アセチル安息香酸シクロヘキシル、2-アセチル安息香酸ターシャリーオクチル等が挙げられる。これらの中でも2-アセチル安息香酸及び4-アセチル安息香酸が好ましい。これらは1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記カルボキシ基を有する芳香族アルデヒド又は芳香族ケトン(a2)の中でも、特に、前記フェノール化合物(a1)との反応性に優れること、また、希薄弱アルカリ性現像液に対する溶解性に一層優れるノボラック型フェノール樹脂(A)となることから、芳香族アルデヒドを用いることが好ましく、4-ホルミル安息香酸が特に好ましい。
【0046】
前記アルデヒド化合物としては、脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド等を用いることができるが、希薄弱アルカリ性現像液に対する溶解性に一層優れるノボラック型フェノール樹脂(A)となることから、脂肪族アルデヒド類が好ましい。
【0047】
前記脂肪族アルデヒド類の具体例としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、1,3,5-トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、テトラオキシメチレン、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、グリオキザール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン等が挙げられる。これらの中でもホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒドから選択される1以上が好ましく、ホルムアルデヒドがより好ましい。前記脂肪族アルデヒド類は、1種類を単独で用いることも2種以上を併用することもできる。前記脂肪族アルデヒド類として、ホルムアルデヒドとホルムアルデヒド以外の脂肪族アルデヒドを使用する場合、前記ホルムアルデヒド以外の脂肪族アルデヒドの使用量は、ホルムアルデヒド1モルに対して、0.05~1モルの範囲とすることが好ましい。
【0048】
前記ノボラック型フェノール樹脂(A)は、芳香族化合物(a)と、前記アルデヒド化合物とを必須の反応原料とするが、これら以外の成分を反応原料に含んでいてもよい。具体的には、前記芳香族化合物(a)以外のその他のフェノール化合物等が挙げられる。
【0049】
本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)のノボラック構造を構成するフェノール性水酸基含有化合物の80モル%以上が、前記芳香族化合物(a)であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。また、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)の前記アルデヒド化合物に由来する構成単位の80モル%以上が前記脂肪族アルデヒド類に由来する構成単位(b)であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0050】
前記工程1及び工程3で用いることができる酸触媒としては、例えば、酢酸、シュウ酸、硫酸、塩酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの酸触媒の中でも、活性に優れる点から、前記工程1では硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましく、前記工程3では硫酸、シュウ酸、酢酸亜鉛が好ましい。なお、前記酸触媒は、反応前に
加えても、反応途中で加えても構わない。
【0051】
前記工程1及び前記工程3において必要に応じて用いることができる溶媒としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等のカルボン酸化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル化合物;1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル化合物;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの溶媒の中でも、得られる化合物の溶解性に優れる点から、酢酸が好ましい。
【0052】
前記工程1における前記フェノール化合物(a1)と前記カルボキシ基を有する芳香族アルデヒド又は芳香族ケトン(a2)との仕込み比率[(a1)/(a2)]は、未反応のフェノール化合物(a1)の除去性や、得られる芳香族化合物(a)の収率及び純度に優れることから、モル比で1/0.8~1/0.2の範囲が好ましく、1/0.6~1/0.4の範囲がより好ましい。
【0053】
前記工程2における芳香族化合物(a)の反応溶液中からの単離方法としては、例えば、反応溶液を反応生成物が不溶又は難溶である貧溶媒(S1)に投入して得られた沈殿物を濾別した後、反応生成物を溶解し貧溶媒(S1)にも混和する溶媒(S2)に溶解し、再度貧溶媒(S1)に投入して生じた沈殿物を濾別する方法が挙げられる。この際に用いる前記貧溶媒(S1)としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のモノアルコール;n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロヒキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの貧溶媒(S1)の中でも、効率よく酸触媒の除去も同時に行えることから、水、メタノールが好ましい。
【0054】
前記溶媒(S2)としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のポリオール;2-エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル;1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン等が挙げられる。また、前記貧溶媒(S1)として水を用いた場合には、前記(S2)としては、アセトンが好ましい。なお、前記貧溶媒(S1)及び溶媒(S2)は、それぞれ1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
【0055】
前記工程1及び前記工程3において溶媒として、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を用いた場合、80℃以上で加熱すれば、反応により生成した前記芳香族化合物(a)は溶媒中に溶解するので、そのまま冷却することで、前記芳香族化合物(a)の結晶が析出するため、これを濾別することで前記芳香族化合物(a)を単離することができる。この場合は、前記貧溶媒(S
1)及び溶媒(S2)を使用しなくてもよい。
【0056】
前記工程2の単離方法により、前記芳香族化合物(a)を得ることができる。
【0057】
前記芳香族化合物(a)の純度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャート図から算出される純度で90%以上であることが好ましく、94%以上であることがより好ましく、98%以上であることが特に好ましい。前記芳香族化合物(a)の純度はGPCのチャート図の面積比から求めることができ、後述する測定条件で測定したものである。
【0058】
前記工程3における前記芳香族化合物(a)と前記アルデヒド化合物との仕込み比率[前記芳香族化合物(a)/前記アルデヒド化合物]は、過剰な高分子量化(ゲル化)を抑制でき、レジスト用フェノール樹脂として適正な分子量のものが得られることから、モル比で1/1.2~1/0.5の範囲が好ましく、1/0.9~1/0.6の範囲がより好ましい。また、前記芳香族化合物(a)以外のその他のフェノール化合物等を用いる場合には、[(ノボラック型フェノール樹脂(A)を構成するフェノール性水酸基含有化合物のモル数の合計)/(ノボラック型フェノール樹脂(A)を構成するアルデヒド化合物のモル数の合計)]が1/1.2~1/0.5の範囲であることが好ましく、1/0.9~1/0.6の範囲であることがより好ましい。
【0059】
前記ノボラック型フェノール樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、2,000~20,000の範囲が好ましく、2,000~10,000の範囲がより好ましい。本明細書において、前記(A)ノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)を用いて、実施例記載の測定条件で測定したものである。
【0060】
前記塗膜中の前記ノボラック型フェノール樹脂(A)の含有量は、良好な感度が得られ、所望のパターンが得られることから、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは50質量%以上から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下までの範囲である。
【0061】
前記感光剤(B)は、例えば、キノンジアジド基を有する化合物である。前記キノンジアジド基を有する化合物の具体例としては、芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物とキノンジアジド基を有するスルホン酸化合物とのエステル化合物又はアミド化物が挙げられる。尚、前記エステル化合物は部分エステル化合物も含む意味であり、前記アミド化物は部分アミド化物を含む意味である。
【0062】
前記キノンジアジド基を有するスルホン酸化合物の具体例としては、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホン酸、ナフトキノン-1,2-ジアジド-4-スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸等が挙げられる。前記キノンジアジド基を有するスルホン酸化合物の具体例は、ハロゲンがさらに置換したハロゲン化物も使用できる。
【0063】
前記芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物としては、例えば、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシ-2’-メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン化合物;ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2’,4’-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(2’,3’,4’-トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-{1-[4-〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、3,3’-ジメチル-{1-[4-〔2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等のビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン化合物;トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3、5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン等のトリス(ヒドロキシフェニル)メタン化合物又はそのメチル置換体;ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン等の、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン化合物又はそのメチル置換体等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
前記塗膜中の前記感光剤(B)の含有量は、良好な感度が得られ、所望のパターンが得られることから、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下までの範囲である。
【0065】
前記塗膜は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)の他、これ以外のその他のフェノール性水酸基含有化合物を含有していてもよい。その場合、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)とその他のフェノール性水酸基含有化合物の合計に対する前記ノボラック型フェノール樹脂(A)の割合が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
【0066】
前記その他のフェノール性水酸基含有化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール、トリフェニルメタン等のフェノール性水酸基含有化合物や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック等のフェノール樹脂等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
【0067】
前記基材は、フォトリソグラフィーを行う対象物である。当該基材としてはシリコン基板、炭化シリコン基板、窒化ガリウム基板等が例示できるが、本実施形態のレジストパターンの製造方法は希薄弱アルカリ性現像液を使用することから前記基材が酸化亜鉛を含有する透明導電膜の場合でも高耐熱性を有する微細なレジストパターンを得ることができる。
【0068】
前記基材に塗膜を形成する方法としては、フォトリソグラフィーの分野で用いられる方法を限定なく用いることができるが、例えば、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)、感光剤(B)、及び溶剤(C)を含有する、透明積層部材製造用ポジ型感光性樹脂組成物(以下、単に「ポジ型感光性樹脂組成物」とも称する)を前記基材に塗布し、60~150℃の温度条件でプリベークする方法が挙げられる。
【0069】
前記ポジ型感光性樹脂組成物を前記基材に塗布する方法としては、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でもよい。
【0070】
前記ポジ型感光性樹脂組成物における前記ノボラック型フェノール樹脂(A)の含有量は、樹脂固形分中(前記ポジ型感光性樹脂組成物の前記溶剤(C)を除いた成分中)、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは50質量%以上から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下までの範囲である。
【0071】
また、前記ポジ型感光性樹脂組成物における前記感光剤(B)の含有量は、樹脂固形分中(前記ポジ型感光性樹脂組成物の前記溶剤(C)を除いた成分中)、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下までの範囲である。
【0072】
前記溶剤(C)としては、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテートなどのエステル類、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶剤は1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
【0073】
前記ポジ型感光性樹脂組成物における前記溶剤(C)の含有量は、当該ポジ型感光性樹脂組成物の流動性が十分に高まり、スピンコート法等の塗布法により均一な塗膜を得られることから、当該ポジ型感光性樹脂組成物中の固形分濃度が5質量%以上であることが好ましく、65質量%以下であることが好ましい。
【0074】
前記ポジ型感光性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)の他、これ以外のその他のフェノール性水酸基含有化合物を含有していてもよい。その場合、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)とその他のフェノール性水酸基含有化合物の合計に対する前記ノボラック型フェノール樹脂(A)の割合が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
【0075】
前記その他のフェノール性水酸基含有化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール、トリフェニルメタン等のフェノール性水酸基含有化合物や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック等のフェノール樹脂等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
【0076】
前記ポジ型感光性樹脂組成物は、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)、前記感光剤(B)、及び前記溶剤(C)の他、本発明の効果を阻害しない範囲で各種添加剤を含有していても構わない。各種添加剤としては、充填材、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)と反応し得る硬化剤、硬化促進剤、顔料、レベリング剤等の界面活性剤、密着性向上剤、溶解促進剤などが挙げられる。
【0077】
前記硬化剤は、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性ポリイミド、熱硬化性ポリアミドイミド等が挙げられる。前記硬化促進剤は、用いる硬化剤に応じ、硬化反応を促進し得る公知慣用のものを用いることができる。これら硬化剤や硬化促進剤を使用する場合は、後述する方法にてレジストパターンを形成した後、加熱等することにより、より高耐熱なレジスト膜となる。
【0078】
前記ポジ型感光性樹脂組成物は、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)、前記感光剤(B)、及び前記溶剤(C)と、さらに必要に応じて加えた各種添加剤とを通常の方法で、撹拌混合して均一な液とすることで調製できる。
【0079】
また、前記ポジ型感光性樹脂組成物に充填材、顔料等の固形のものを配合する際には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散、混合させることが好ましい。また、粗粒や不純物を除去するため、メッシュフィルター、メンブレンフィルター等を用いて該組成物をろ過することもできる。
【0080】
前記露光工程はパターンが描写されたマスクを介して前記塗膜を露光する工程である。前記塗膜を露光する光源としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線等が挙げられる。これらの光源の中でも紫外光が好ましく、高圧水銀灯のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)が好適である。
【0081】
前記現像工程は、露光工程後の前記塗膜を希薄弱アルカリ性現像液で現像する工程である。前記現像工程において、露光工程後の前記塗膜を希薄弱アルカリ性現像液で現像することによってレジストパターンが形成される。前記塗膜に含有される前記ノボラック型フェノール樹脂(A)は、アルカリ溶解性に優れる特徴を有することから、希薄弱アルカリ現像液を用いた場合であっても、十分に現像が可能となる。同時に、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)は感光剤との相溶性に優れることから、未露光部における耐アルカリ溶解性が非常に高く、結果、フォトリソグラフィにおける露光部と未露光部とのコントラストが高く、微細なパターンの描画が可能となる。また、前記現像工程において希薄弱アルカリ性現像液を用いることにより、ZnO系膜の損傷を抑制しながらレジストパターンを現像することができる。
【0082】
本明細書において、前記希薄弱アルカリ性現像液は、前記希薄弱アルカリ性現像液が、23℃のH2O中におけるpKaが6.0~12.0の範囲である酸の無機塩の0.1~10質量%水溶液を意味する。前記無機酸としては炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムが挙げられる。前記現像工程において使用する前記希薄弱アルカリ性現像液のpHは8.0以上から12.0以下までの範囲が好ましい。
【0083】
前記希薄弱アルカリ性現像液として、炭酸ナトリウム水溶液と炭酸水素ナトリウム水溶液との混合液を用いる場合、両者の配合比は特に限定されず、任意の割合で用いることができる。中でも、特に高いコントラストが得られることから、両者の質量比[(炭酸ナトリウム水溶液)/(炭酸水素ナトリウム水溶液)が80/20~20/80の範囲であることが好ましく、80/20~60/40の範囲であることがより好ましい。
【実施例】
【0084】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
<GPCの測定条件>
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」(8.0mmФ×300mm)
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC-8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
標準試料:下記単分散ポリスチレン
【0086】
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
【0087】
<1H-NMRの測定条件>
装置:日本電子株式会社製 JNM-ECA500
測定モード:SGNNE(NOE消去の1H完全デカップリング法)
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
パルス角度:45°パルス
試料濃度:30質量%
積算回数:10000回
【0088】
本実施例において、13C-NMRは以下の条件にて測定した。
【0089】
<13C-NMRの測定条件>
装置:日本電子株式会社製 JNM-ECA500
測定モード:逆ゲート付きデカップリング
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
パルス角度:30°パルス
試料濃度 :30質量%
積算回数 :4000回
ケミカルシフトの基準:ジメチルスルホキシドのピーク:39.5ppm
【0090】
〔合成例1:芳香族化合物(a)の合成〕
冷却管を設置した2000ml 4口フラスコに2,5-キシレノール293.2g(2.4mol)、4-ホルミル安息香酸150g(1mol)を仕込み、酢酸500mlに溶解させた。氷浴中で冷却しながら硫酸5mlを添加した後、マントルヒーターで100℃、2時間加熱、攪拌し反応させた。反応後、得られた溶液を水で再沈殿操作を行い粗生成物を得た。粗生成物をアセトンに再溶解し、さらに水で再沈殿操作を行った後、得られた生成物を濾別、真空乾燥を行い淡桃色結晶の芳香族化合物(a)292gを得た。GPC純度は95.3%で、
1H-NMRより目的化合物であることを確認した。得られた芳香族化合物(a)のGPCチャートを
図1に、
13C-NMRチャートを
図2に示す。
【0091】
〔合成例2:ノボラック型フェノール樹脂(A-1)の合成〕
冷却管を設置した1000ml4口フラスコに前記合成例1で合成した芳香族化合物(a)188g、92%パラホルムアルデヒド16gを仕込み、酢酸500mlに溶解させた。氷浴中で冷却しながら硫酸10mlを添加した後、オイルバスで80℃に昇温した後、4時間加熱、攪拌を継続し反応させた。反応後、得られた溶液を水で再沈殿操作を行い粗生成物を得た。粗生成物をアセトンに再溶解し、さらに水で再沈殿操作を行った後、得られた生成物を濾別、真空乾燥を行い橙色粉末のノボラック型フェノール樹脂(A-1)182gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-1)のGPCは数平均分子量(Mn)=3946、重量平均分子量(Mw)=8504、多分散度(Mw/Mn)=2.16であった。GPCチャートを
図3に示す。
【0092】
〔合成例3:ノボラック型フェノール樹脂(A-2)の合成〕
92%パラホルムアルデヒドを12.8gに変更した以外は前記合成例2と同様にして、ノボラック型フェノール樹脂(A-2)粉末178gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-2)のGPCは数平均分子量(Mn)=2872、重量平均分子量(Mw)=4920、多分散度(Mw/Mn)=1.73であった。GPCチャートを
図4に示す。
【0093】
〔比較合成例1:ノボラック型フェノール樹脂(A’)の合成〕
攪拌機、還流冷却管及び温度計を取り付けた反応器に、o-クレゾール108g、グリオキシル酸水溶液(グリオキシル酸含有率40%)100g、ジエチレングリコールジメチルエーテル140部、p-トルエンスルホン酸2.2gを仕込み、攪拌下、100℃で反応させた。次いで、o-クレゾール108g、ジエチレングリコールジメチルエーテル120gを添加し、90℃で攪拌しながらホルマリン水溶液(ホルムアルデヒド含有率37%)102.2gを滴下し、還流条件で6時間、その後150℃に昇温して反応させた。反応終了後、得られた溶液を水洗して、p-トルエンスルホン酸を除去した後、減圧下で水を留去し、ノボラック型フェノール樹脂(A’)粉末を216g得た。
【0094】
<ノボラック型フェノール樹脂の耐熱性評価>
前記ノボラック型フェノール樹脂(A-1)、(A-2)及び(A’)それぞれの粉末20gを、γ―ブチロラクトン80gに溶解させ、0.1μmのPTFE製ディスクフィルタで精密ろ過し、それぞれのノボラック型フェノール樹脂溶液を得た。これらをそれぞれ直径5インチのシリコンウェハー上にスピンコーターで塗布し、110℃で60秒乾燥させ、厚さ約1μmの薄膜を得た。この薄膜をかき取り、ガラス転移点温度(以下、「Tg」と略記する。)を測定した。なお、Tgの測定は、示差熱走査熱量計(株式会社ティー・エイ・インスツルメント製「示差熱走査熱量計(DSC)Q100」)を用いて、窒素雰囲気下、温度範囲-100~200℃、昇温速度10℃/分の条件で行った。評価結果を表1に示す。
【0095】
【0096】
<ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ溶解性評価>
先で得た前記ノボラック型フェノール樹脂(A-1)、(A-2)及び(A’)それぞれのγ―ブチロラクトン溶液を、それぞれ直径5インチシリコンウエハー上にスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させ、厚さ約1μmの薄膜を形成させた。得られた塗膜付きのウエハーを各種の弱アルカリ現像液に60秒浸漬させた後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。現像液浸漬前後の膜厚を測定し、その差分を60で除した値をADR(Å/s)として評価した。評価結果を表2に示す。なお、表2中の各ADRが示す内容は以下のとおりである。値が高いほどアルカリ溶解性が高い。
・ADR1(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液(pH12)を用いたときの値
・ADR2(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液と1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液とを質量比75/25で混合した現像液(pH11)を用いたときの値
・ADR3(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液と1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液とを質量比50/50で混合した現像液(pH10)を用いたときの値
・ADR4(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液と1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液とを質量比25/75で混合した現像液(pH9)を用いたときの値
・ADR5(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液からなる現像液(pH8)を用いたときの値
【0097】
【0098】
<ポジ型感光性樹脂組成物の調製>
ノボラック型フェノール樹脂(A-1)の粉末20gと、感光剤(東洋合成工業株式会社製「P-200」、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1モルと1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロリド2モルとの縮合物)5gとをγ―ブチロラクトン75gに溶解させてポジ型感光性樹脂組成物(1)を得た。以下、ノボラック型フェノール樹脂と感光剤の種類を下記表3に示す通りに変更し、同様の方法でポジ型感光性樹脂組成物(2)~(5)得た。
【0099】
【表3】
*表中「P-200」は、東洋合成工業株式会社製「P-200」を指す(4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1モルと1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロリド2モルとの縮合物)
*表中「TPPA(4)-200」は、東洋合成工業株式会社製「TPPA(4)-200」を指す。
*表中「MS-280」は、東洋合成工業株式会社製「MS-280」を指す
【0100】
<ポジ型感光性樹脂組成物の評価>
先で得たポジ型感光性樹脂組成物(1)~(5)を、それぞれ直径5インチシリコンウエハー上にスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させ、厚さ約1μmの薄膜を形成させた。得られた塗膜付きのウエハーを各種の弱アルカリ現像液に60秒浸漬させた後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。現像液浸漬前後の膜厚を測定し、その差分を60で除した値をADR(Å/s)として評価した。評価結果を表4に示す。値が低いほど未露光部の耐アルカリ溶解性に優れると言える。
・ADR6(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液(pH12)を用いたときの値
・ADR7(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液と1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液とを質量比75/25で混合した現像液(pH11)を用いたときの値
・ADR8(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液と1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液とを質量比50/50で混合した現像液(pH10)を用いたときの値
・ADR9(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液と1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液とを質量比25/75で混合した現像液(pH9)を用いたときの値
・ADR10(Å/s):弱アルカリ現像液として、1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液からなる現像液(pH8)を用いたときの値
【0101】
また、微細パターン形成性の評価に資する参考値として、「ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ溶解性評価」にて測定した、各ノボラック型フェノール樹脂からなる塗膜のADR値(ADR1~5)と、ポジ型感光性樹脂組成物を用いた塗膜のADR値との比(ADR1/ADR6、ADR2/ADR7、ADR3/ADR8、ADR4/ADR9、ADR5/ADR10)をコントラストとして評価した。評価結果を表4に示す。コントラストが高いほど微細パターン形成性に優れるポジ型感光性樹脂組成物であると言える。
【0102】
【0103】
表1及び表2に記載の結果から明らかなように、ノボラック型フェノール樹脂(A-1)、又は(A-2)からなる塗膜は耐熱性及びアルカリ溶解性に優れる。一方、ノボラック型フェノール樹脂(A’)からなる塗膜は耐熱性及びアルカリ溶解性に劣る。
【0104】
表4に記載の結果から明らかなように、ノボラック型フェノール樹脂(A-1)、又は(A-2)を用いたポジ型感光性樹脂組成物(1)~(4)からなる塗膜は、未露光部の耐アルカリ溶解性に優れ、また、ノボラック型フェノール樹脂(A-1)、(A-2)がアルカリ溶解性に優れることから、コントラストも高い。一方、ノボラック型フェノール樹脂(A’)を用いたポジ型感光性樹脂組成物(5)からなる塗膜は、未露光部の耐アルカリ溶解性が比較的低く、また、ノボラック型フェノール樹脂(A’)のアルカリ溶解性も低いことから、コントラストも低い。