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  • 特許-光受信装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】光受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/61 20130101AFI20230725BHJP
   H04J 14/06 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H04B10/61
H04J14/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019184057
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021061508
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】石村 昇太
(72)【発明者】
【氏名】種村 拓夫
(72)【発明者】
【氏名】福井 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】田之村 亮汰
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-511058(JP,A)
【文献】特開2011-188044(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027895(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/61
H04J 14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光と第1偏波の第1局所光とを干渉させた第1干渉光を出力する第1干渉手段と、
前記信号光と前記第1局所光の位相をπ/2だけシフトさせた光とを干渉させた第2干渉光を出力する第2干渉手段と、
前記信号光と前記第1偏波とは直交する第2偏波の第2局所光とを干渉させた第3干渉光を出力する第3干渉手段と、
前記信号光と前記第2局所光の位相をπ/2だけシフトさせた光とを干渉させた第4干渉光を出力する第4干渉手段と、
前記第1干渉光を光電変換して第1電気信号を出力する第1光電変換手段と、
前記第2干渉光を光電変換して第2電気信号を出力する第2光電変換手段と、
前記第3干渉光を光電変換して第3電気信号を出力する第3光電変換手段と、
前記第4干渉光を光電変換して第4電気信号を出力する第4光電変換手段と、
前記信号光を光電変換して第5電気信号を出力する第5光電変換手段と、
前記信号光の復調のために、前記第1電気信号、前記第2電気信号、前記第3電気信号及び前記第4電気信号それぞれから前記第5電気信号を減ずる処理を行う処理手段と、
を備えていることを特徴とする光受信装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記信号光の復調のために、前記第1電気信号及び前記第2電気信号それぞれから前記第1局所光を光電変換した際に得られる電気信号を減じ、前記第3電気信号及び前記第4電気信号それぞれから前記第2局所光を光電変換した際に得られる電気信号を減ずる処理を行うことを特徴とする請求項に記載の光受信装置。
【請求項3】
前記第1局所光及び前記第2局所光は、同じ光源から生成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光受信装置。
【請求項4】
第1の90度ハイブリッドと、
第2の90度ハイブリッドと、
を有し、
前記第1干渉手段及び前記第2干渉手段は前記第1の90度ハイブリッドに含まれ、
前記第3干渉手段及び前記第4干渉手段は前記第2の90度ハイブリッドに含まれることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光受信装置。
【請求項5】
前記信号光は、互いに直交する偏波の2つの信号光を偏波多重した信号光であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コヒーレント光検波を行う光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信容量の増大に対応するためにコヒーレント光検波技術及び偏波多重技術が利用されている。通常、偏波多重された光信号(以下、偏波多重光)のコヒーレント光検波には、4つのバランス型光検出器、つまり、8つのフォトダイオード(以下、PD)が使用される。非特許文献1は、偏波多重光のコヒーレント光検波に使用するPDを4つに削減するための構成を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Seb J.Savory,"Digital filters for coherent optical receivers", Opt.Express 16,804-817,2008年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バランス型光検出器は、2つのPDにより信号光間のビートによる雑音を相殺して出力するが、非特許文献1の構成では、バランス型光検出器に代えて1つのPDを使用するため、信号光間のビートによる雑音が出力される。非特許文献1では、局所光の振幅(強度)を信号光の振幅よりも強くすることで、ビートによる雑音が相対的に無視できる様になるとしているが、局所光の振幅にも上限があり、かつ、信号光についても前置増幅によりその振幅を強くする場合があるため、信号光間のビートによる雑音が無視できなくなる場合が生じ得る。
【0005】
本発明は、信号光間のビートによる雑音を抑えることができる光受信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、光受信装置は、信号光と第1偏波の第1局所光とを干渉させた第1干渉光を出力する第1干渉手段と、前記信号光と前記第1局所光の位相をπ/2だけシフトさせた光とを干渉させた第2干渉光を出力する第2干渉手段と、前記信号光と前記第1偏波とは直交する第2偏波の第2局所光とを干渉させた第3干渉光を出力する第3干渉手段と、前記信号光と前記第2局所光の位相をπ/2だけシフトさせた光とを干渉させた第4干渉光を出力する第4干渉手段と、前記第1干渉光を光電変換して第1電気信号を出力する第1光電変換手段と、前記第2干渉光を光電変換して第2電気信号を出力する第2光電変換手段と、前記第3干渉光を光電変換して第3電気信号を出力する第3光電変換手段と、前記第4干渉光を光電変換して第4電気信号を出力する第4光電変換手段と、前記信号光を光電変換して第5電気信号を出力する第5光電変換手段と、前記信号光の復調のために、前記第1電気信号、前記第2電気信号、前記第3電気信号及び前記第4電気信号それぞれから前記第5電気信号を減ずる処理を行う処理手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、信号光間のビートによる雑音を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による光受信装置の構成図。
図2】一実施形態による光受信装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態による光受信装置の構成図である。光受信装置は、光伝送路を介して図示しない光送信装置から偏波多重光である信号光Sを受信する。信号光Sは、光送信装置において、第1偏波の信号光と、第1偏波とは直交する第2偏波の信号光とを偏波多重した光信号である。分岐部12は、受信する信号光Sを等振幅に3分岐し、各信号光Sを、90度ハイブリッド13、PD17及び90度ハイブリッド14それぞれに出力する。
【0011】
光源10は、連続光である局所光Lを生成して偏波ビームスプリッタ(PBS)11に出力する。PBS11は、局所光Lの偏波分離を行い、X偏波の局所光Lxを90度ハイブリッド13に出力し、X偏波と直交するY偏波の局所光Lyを90度ハイブリッド14に出力する。局所光Lx及び局所光Lyの振幅差を小さくするため、例えば、光源10が生成する連続光の偏波面は、X偏波及びY偏波それぞれに対して45度となる様に調整され得る。なお、X偏波及びY偏波と、送信側における第1偏波及び第2偏波の方向は独立している。
【0012】
90度ハイブリッド13は、局所光Lxと信号光Sとの干渉光A1をPD15に出力し、局所光Lxの位相をπ/2だけシフトさせた光と信号光Sとの干渉光A2をPD16に出力する。局所光Lxの電界をELxとし、信号光SのX偏波成分の電界をESxとし、信号光SのY偏波成分の電界をESyとすると、干渉光A1のジョーンズベクトルは(ESx+ELx,ESy)となり、干渉光A2のジョーンズベクトルは(ESx+jELx,ESy)となる。なお、各要素に共通する振幅の倍数は省略している。
【0013】
PD15及びPD16は、それぞれ、干渉光A1及びA2の光電変換を行って以下の電気信号XI及びXQを処理部60に出力する。
XI=|ESx+|ELx+2Re[ESx Lx]+|ESy (1)
XQ=|ESx+|ELx+2Im[ESx Lx]+|ESy (2)
なお、Re[]は実数部分を意味し、Im[]は虚数部分を意味している。また、E Lxは、ELxの共役複素数である。
【0014】
90度ハイブリッド14は、局所光Lyと信号光Sとの干渉光B1をPD18に出力し、局所光Lyの位相をπ/2だけシフトさせた光と信号光Sとの干渉光B2をPD19に出力する。局所光Lyの電界をELyとすると、干渉光B1のジョーンズベクトルは(ESx,ESy+ELy)となり、干渉光B2のジョーンズベクトルは(ESx,ESy+jELy)となる。なお、各要素に共通する振幅の倍数は省略している。
【0015】
PD18及びPD19は、それぞれ、干渉光B1及びB2の光電変換を行って以下の電気信号YI及びYQを処理部60に出力する。
YI=|ESx+|ELy+2Re[ESy Ly]+|ESy (3)
YQ=|ESx+|ELy+2Im[ESy Ly]+|ESy (4)
なお、E Lyは、ELyの共役複素数である。
【0016】
PD17は、信号光Sの光電変換を行って以下の電気信号Gを処理部60に出力する。
G=|ESx+|ESy (5)
【0017】
式(1)~式(4)の内、復調に必要な項は、それぞれ、2Re[ESx Lx]、2Im[ESx Lx]、2Re[ESy Ly]、2Im[ESy Ly]である。したがって、処理部60は、電気信号XI、XQ、YI及びYQから、それぞれ、2Re[ESx Lx]、2Im[ESx Lx]、2Re[ESy Ly]、2Im[ESy Ly]に対応する信号成分を抽出する必要がある。
【0018】
ここで、式(1)~式(4)の内、|ELxや|ELyは、局所光間のビート成分に対応する。光受信装置は、光源10が生成する局所光Lの振幅(強度)を一定の所定値に制御でき、この場合、局所光Lxのビート成分である|ELxや、局所光Lyのビート成分である|ELyは、光受信装置において既知の一定値(直流成分)になる。したがって、処理部60に、|ELx及び|ELyを予め設定しておくことで、処理部60は、電気信号XI、XQ、YI及びYQから、局所光のビート成分の部分を除去することができる。
【0019】
また、式(1)~式(4)の内、|Esx+|Esyの部分は、信号光間のビート成分に対応する。局所光Lとは異なり、この信号光間のビート成分は、偏波多重光Sの強度変化に伴い変化する。このため、処理部60は、PD17が出力する、信号光間のビート成分である|Esx+|Esyに対応する電気信号Gを使用する。具体的には、処理部60は、電気信号XI、XQ、YI及びYQそれぞれから、予め設定された局所光のビート成分に対応する所定値と電気信号Gを減ずることで、局所光間のビート成分及び信号光間のビート成分を除去した電気信号を取得する。なお、この処理は、アナログ領域で行ってもデジタル領域で行っても良い。
【0020】
光受信装置は、その後、後段のMIMO処理部で、処理部60が取得した電気信号のMIMO処理を行うことで、第1偏波の信号光と第2偏波の信号光それぞれで搬送された情報の復調を行うことができる。
【0021】
以上、本実施形態による光受信装置は、偏波多重された信号光のコヒーレント光検波のために5つのPDを使用し、4つのバランス型光検出器、つまり、8つのPDを使用する従来の構成と比較して、必要なPDの数を削減することができる。なお、非特許文献1に記載の構成と比較すると、必要なPDが1つ増えるが、信号光間のビート成分を除去することができ、復調におけるノイズの影響を抑えることができる。
【0022】
なお、本実施形態では、光源10が生成した局所光LをPBS11において偏波分離することで局所光Lx及び局所光Lyを生成していた。しかしながら、光源10がX偏波の局所光を生成し、この局所光を等振幅に2分岐した後、一方の局所光を半波長板でY偏波の局所光に変換することで、局所光Lx及びLyを生成する構成とすることもできる。また、本実施形態において、光受信装置は、互いに直交する2つの偏波の信号光を偏波多重した偏波多重光を受信するものとしていたが、偏波多重を使用しない光通信システムに対しても本発明を適用することができる。
【0023】
<第二実施形態>
図1の光受信装置において、90度ハイブリッド13及び14には、X偏波及びY偏波の両方の成分を含む光が入力されていた。しかしながら、90度ハイブリッド13及び14に偏波依存性がある場合、X偏波成分及びY偏波成分の一方は、他方より大きく減衰し、この場合、電気信号XI、XQ、YI及びYQそれぞれから電気信号Gを減じても、信号光間のビート成分を除去できなくなる。本実施形態は、90度ハイブリッドが偏波依存性を有していても信号光間のビート成分を除去できる構成を開示するものである。
【0024】
図2は、本実施形態による光受信装置の構成図である。光受信装置は、光伝送路を介して図示しない光送信装置から偏波多重光である信号光Sを受信する。信号光Sは、第1偏波の信号光と、第1偏波とは直交する第2偏波の信号光とを偏波多重した光信号である。PBS20は、受信する偏波多重光の偏波分離を行い、X偏波の信号光Sxを分岐部22に出力し、X偏波と直交するY偏波の信号光Syを半波長板21に出力する。半波長板21は、Y偏波の信号光Syの偏波を回転してX偏波の信号光Syxに変換し、信号光Syxを分岐部23に出力する。分岐部22は、信号光Sxを等振幅に2分岐し、PD28と90度ハイブリッド26に出力する。同様に、分岐部23は、信号光Syxを2分岐し、PD33と90度ハイブリッド27に出力する。なお、X偏波及びY偏波と、送信側における第1偏波及び第2偏波の方向は独立している。
【0025】
光源24は、X偏波の局所光Lxを生成して分岐部25に出力する。分岐部25は、局所光Lxを等振幅に2分岐し、それぞれ、90度ハイブリッド26及び27に出力する。
【0026】
90度ハイブリッド26は、局所光Lxと信号光Sxとの干渉光C1をPD29に出力し、局所光Lxの位相をπ/2だけシフトさせた光と信号光Sxとの干渉光C2をPD30に出力する。X偏波である局所光Lx及び信号光Sxの電界をそれぞれELx及びESxとすると、干渉光C1のジョーンズベクトルは(ESx+ELx,0)となり、干渉光C2のジョーンズベクトルは(ESx+jELx,0)となる。なお、各要素に共通する振幅の倍数は省略している。
【0027】
PD29及びPD30は、それぞれ、干渉光C1及びC2の光電変換を行って以下の電気信号XI及びXQを処理部61に出力する。
XI=|ESx+|ELx+2Re[ESx Lx] (6)
XQ=|ESx+|ELx+2Im[ESx Lx] (7)
なお、E Lxは、ELxの共役複素数である。
【0028】
90度ハイブリッド27は、局所光Lxと信号光Syxとの干渉光D1をPD31に出力し、局所光Lxの位相をπ/2だけシフトさせた光と信号光Syxとの干渉光D2をPD32に出力する。X偏波である局所光Lx及び信号光Syxの電界をそれぞれELx及びESyxとすると、干渉光D1のジョーンズベクトルは(ESyx+ELx,0)となり、干渉光D2のジョーンズベクトルは(ESyx+jELx,0)となる。なお、各要素に共通する振幅の倍数は省略している。
【0029】
PD31及びPD32は、それぞれ、干渉光D1及びD2の光電変換を行って以下の電気信号YI及びYQを処理部61に出力する。
YI=|ESyx+|ELx+2Re[ESyx Lx] (8)
YQ=|ESyx+|ELx+2Im[ESyx Lx] (9)
【0030】
また、PD28及びPD33は、それぞれ、信号光Sx及びSyxの光電変換を行って以下の電気信号XG及びYGを処理部61に出力する。
XG=|ESx (10)
YG=|ESyx (11)
【0031】
式(6)~式(9)の内、復調に必要な項は、それぞれ、2Re[ESx Lx]、2Im[ESx Lx]、2Re[ESyx Lx]、2Im[ESyx Lx]である。したがって、処理部61は、電気信号XI、XQ、YI及びYQから、それぞれ、2Re[ESx Lx]、2Im[ESx Lx]、2Re[ESyx Lx]、2Im[ESyx Lx]に対応する信号成分を抽出する必要がある。
【0032】
第一実施形態と同様に、|ELxは、局所光間のビート成分に対応し、その値は光受信装置において既知である。したがって、処理部61に、予め|ELxの値を設定しておく。また、第一実施形態と同様に、式(6)~式(9)の|ESxや|ESyxは、信号光間のビート成分に対応し、偏波多重光Sの強度変化に伴い変化する。
【0033】
このため、処理部61は、PD28が出力する、信号光Sx間のビート成分である|ESxに対応する電気信号XGと、信号光Syx間のビート成分である|ESyxに対応する電気信号YGと、を使用する。処理部61は、電気信号XI及びXQから電気信号XG及び予め設定された|ELxを減ずることで、信号光Sx間及び局所光Lx間のビート成分を除去した電気信号を取得することができる。同様に、処理部61は、電気信号YI及びYQから電気信号YG及び予め設定された|ELxを減ずることで、信号光Syx間及び局所光間のビート成分を除去した電気信号を取得することができる。なお、この処理は、アナログ領域で行ってもデジタル領域で行っても良い。
【0034】
光受信装置は、その後、後段のMIMO処理部で、処理部61が取得した電気信号のMIMO処理を行うことで、第1偏波の信号光と第2偏波の信号光それぞれで搬送された情報の復調を行うことができる。
【0035】
以上、本実施形態による光受信装置は、偏波多重された信号光のコヒーレント光検波のために6つのPDを使用し、従来の8つのPDを使用する構成と比較して、必要なPDの数を削減することができる。なお、非特許文献1に記載の構成と比較すると、必要なPDが2つ増えるが、信号光間のビート成分を除去することができ、復調におけるノイズの影響を抑えることができる。また、90度ハイブリッドには、X偏波の光のみが入力されるため、第一実施形態と比較して、90度ハイブリッドに対する偏波依存性の制約を緩和することができる。
【0036】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
13、14:90度ハイブリッド、15~19:フォトダイオード
図1
図2