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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】混練装置及び混練システム
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/70 20220101AFI20230725BHJP
   B28C 5/46 20060101ALI20230725BHJP
   B01F 35/90 20220101ALI20230725BHJP
   B01F 35/95 20220101ALI20230725BHJP
【FI】
B01F27/70
B28C5/46
B01F35/90
B01F35/95
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019065867
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020163274
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 彰
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-328429(JP,A)
【文献】特開平08-127021(JP,A)
【文献】特開平09-239253(JP,A)
【文献】特開2003-024759(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106738350(CN,A)
【文献】中国実用新案第2866082(CN,Y)
【文献】特開昭60-023556(JP,A)
【文献】特開2005-279348(JP,A)
【文献】特開2017-132164(JP,A)
【文献】特開2014-218082(JP,A)
【文献】特開2015-136862(JP,A)
【文献】中国実用新案第201753324(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第101891061(CN,A)
【文献】中国実用新案第206589158(CN,U)
【文献】登録実用新案第3067254(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/70
B01F 35/95
B01F 35/90
B28C 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート材料が供給される混合容器と、
前記混合容器内に配置され、前記混合容器内の前記コンクリート材料を混練するように構成された混練機構と、
前記混合容器内の前記コンクリート材料との間で熱交換を行うように構成された温調機構とを備え、
前記温調機構は、前記混合容器の外表面のうち前記混練機構の高さ位置以下の領域に配置されており、
前記温調機構は、前記混合容器内の前記コンクリート材料との間で熱交換が行われる流体が流通する流路を含み、
前記流路は蛇行形状を呈しており、
前記混練機構は、前記混合容器内において回転可能に構成された撹拌翼部材を含み、
前記撹拌翼部材は一対の主面を含み、
前記一対の主面のうち、前記撹拌翼部材の進行方向とは逆側の面が、凹凸状を呈している、混練装置。
【請求項2】
コンクリート材料が供給される混合容器と、
前記混合容器内に配置され、前記混合容器内の前記コンクリート材料を混練するように構成された混練機構と、
前記混合容器内の前記コンクリート材料との間で熱交換を行うように構成された温調機構とを備え、
前記温調機構は、前記混合容器の外表面のうち前記混練機構の高さ位置以下の領域に配置されており、
前記混練機構は、前記混合容器内の前記コンクリート材料との間で熱交換が行われる流体が流通する流路を含み、
前記混練機構は、前記混合容器内において回転可能に構成された撹拌翼部材を含み、
前記撹拌翼部材は一対の主面を含み、
前記一対の主面のうち、前記撹拌翼部材の進行方向とは逆側の面が、凹凸状を呈している、混練装置。
【請求項3】
前記混練機構は、
前記混合容器内において回転可能に構成された回転軸と、
前記回転軸の外周面から外方に向けて突出するように回転軸に取り付けられた撹拌翼部材とを含み、
前記流路は、前記回転軸の内部又は前記撹拌翼部材の内部に設けられている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記流路は、外側管と、前記外側管の内部に配置された内側管とで構成された二重管構造を呈している、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記温調機構は、前記混合容器内の前記コンクリート材料との間で熱交換が行われる流体が流通する別の流路を含む、請求項2~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記別の流路は蛇行形状を呈する、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記温調機構は、前記混合容器の外表面のうち、前記混合容器の公称容量の前記コンクリート材料が前記混合容器内に貯留されるときの前記コンクリート材料の上面の高さ位置以下の領域に配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の装置と、
前記混合容器に供給される前の前記コンクリート材料の温度を計測するように構成された計測器と、
前記計測器によって計測された温度に基づいて、前記混合容器内の前記コンクリート材料と前記温調機構との間の熱交換量を調整するように構成された制御部とを備える、混練システム。
【請求項9】
前記混合容器に供給される前の前記コンクリート材料を貯蔵する貯蔵容器と、
前記貯蔵容器内の前記コンクリート材料との間で熱交換を行うように構成された別の温調機構とを更に備える、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、混練装置及び混練システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの打設工事に際して、コンクリートが所望の特性を発揮するために、生コンクリートの温度を所定の温度範囲とすることが規定されている。例えば、日本建築学会によれば、寒中でのコンクリート工事の際には荷卸し時のコンクリート温度を原則として10℃~20℃程度とし、暑中でのコンクリート工事の際には荷卸し時のコンクリート温度を35℃以下とするように定められている(日本建築学会、「建築工事標準仕様書・同解説5 鉄筋コンクリート工事」、第15版、2018年7月30日、p.415、p.432)。
【0003】
そこで、特許文献1は、骨材貯蔵ビンに冷却水を散水し、それによって冷却された骨材をミキサに投入し、他の材料と共にミキサで混練することで、生コンクリートの練り上がり温度を抑制する方法を開示している。特許文献2は、暑中環境下で工事を行う場合に、コンクリート材料に冷却水を配合して混練することで、所定温度以下の生コンクリートを製造する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-138319号公報
【文献】特開2005-288698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、骨材貯蔵ビンの上方から冷却水を供給した場合、骨材貯蔵ビンの下部に貯蔵されている骨材に対して冷却水が十分に供給されない場合があったり、これとは逆に、時間経過に伴い冷却水が骨材貯蔵ビンの下部に移動して当該下部に冷却水が溜まってしまう場合がある。そのため、骨材貯蔵ビンの上部に貯蔵されている骨材と下部に貯蔵されている骨材とで、表面水率に偏りが生じ、製造された生コンクリートのフレッシュ性状がコントロールし難くなる。
【0006】
一方、特許文献2に記載の方法の場合、製造しようとする生コンクリートの配合(例えば、水セメント比など)は予め決められているので、当該配合を逸脱する量の冷却水をコンクリート材料に追加することはできない。そのため、特許文献2の方法によれば、所望の温度よりも高い温度の生コンクリートが製造される場合がある。
【0007】
そこで、本開示は、適切な練り上がり温度の生コンクリートを製造することが可能な混練装置及び混練システムを説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一つの観点に係る混練装置は、コンクリート材料が供給される混合容器と、混合容器内に配置され、混合容器内のコンクリート材料を混練するように構成された混練機構と、混合容器内のコンクリート材料との間で熱交換を行うように構成された温調機構とを備える。温調機構は、混合容器の外表面のうち混練機構の高さ位置以下の領域に配置されている。
【0009】
本開示の他の観点に係る混練システムは、上記の装置と、混合容器に供給される前のコンクリート材料の温度を計測するように構成された計測器と、計測器によって計測された温度に基づいて、混合容器内のコンクリート材料と温調機構との間の熱交換量を調整するように構成された制御部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る混練装置及び混練システムによれば、適切な練り上がり温度の生コンクリートを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、混練システムの一例を示す概略図である。
図2図2は、混練装置の一例を示す上面図である。
図3図3は、図2のIII-III線断面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線断面図である。
図5図5は、図3のV-V線断面図である。
図6図6は、撹拌翼部材の他の例を示す斜視図である。
図7図7は、混練装置の他の例を示す上面図である。
図8図8は、混練装置の他の例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0013】
[混練システムの構成]
まず、図1を参照して、混練システム1の構成について説明する。混練システム1は、セメント、粗骨材(例えば、砂利)、細骨材(例えば、砂)、水、混和剤等を混練して生コンクリートを製造するように構成されている。混練システム1は、複数のサイロ2(貯蔵容器)と、複数の材料貯蔵器3(貯蔵容器)と、複数の計量器4と、ホッパ5と、液源6と、熱源7と、ポンプ8と、混練装置10と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
【0014】
複数のサイロ2はそれぞれ、コンクリート材料(セメント、粗骨材、細骨材)を貯蔵するように構成されている。すなわち、複数のサイロ2は、粗骨材又は細骨材を貯蔵する骨材サイロと、セメントを貯蔵するセメントサイロとを含む。これらのサイロ2に貯蔵されているコンクリート材料は、図示しないベルトコンベア等により材料貯蔵器3に搬送される。
【0015】
複数のサイロ2の外周面には、水槽2a(別の温調機構)が設けられている。水槽2aは、サイロ2内のコンクリート材料と熱交換する液体が内部を流通するように構成されている。当該液体が供給される供給口が水槽2aの下部に設けられており、当該液体が排出される排出口が水槽2aの上部に設けられていてもよい。
【0016】
複数の材料貯蔵器3は、サイロ2から搬送されたコンクリート材料又は水を一時的に貯蔵するように構成されている。すなわち、複数の材料貯蔵器3は、コンクリート材料を貯蔵する貯蔵器と、混練用の水を貯蔵する貯蔵器とを含む。これらの材料貯蔵器3に貯蔵されているコンクリート材料又は水は、必要に応じて計量器4に供給される。
【0017】
複数の材料貯蔵器3の外周面には、水槽3a(別の温調機構)が設けられている。水槽3aは、材料貯蔵器3内のコンクリート材料又は水と熱交換する液体が内部を流通するように構成されている。当該液体が供給される供給口が水槽3aの下部に設けられており、当該液体が排出される排出口が水槽3aの上部に設けられていてもよい。
【0018】
複数の材料貯蔵器3の内部にはそれぞれ、材料貯蔵器3内の材料の温度を計測するように構成された温度計4a(計測器)が配置されている。温度計4aによって計測された温度データは、コントローラCtrに送信される。
【0019】
複数の計量器4はそれぞれ、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作し、セメント、粗骨材、細骨材、水を個別に計量するように構成されている。各計量器4は、コントローラCtrから指示された所定量の材料を検知すると、当該材料を混練装置10に投入する。なお、水が計量器4に供給される際に、水に混和剤が混合されてもよい。
【0020】
ホッパ5は、混練装置10の下方に配置されており、混練装置10における材料の混練により製造された生コンクリートを生コン車Cに供給するように構成されている。液源6は、熱交換用の液体を貯留するように構成されている。熱交換用の液体は、例えば、水、湯、油、冷媒等の熱媒体であってもよい。
【0021】
熱源7は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作し、液源6に貯留されている液体を冷却又は加熱するように構成されている。熱源7は、例えば、ヒータ、ヒートポンプなどであってもよい。ポンプ8は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作し、液源6に貯留されている液体を吸引し、水槽2a,3a及び混練装置10の水槽16,18(後述する)に当該液体を送り出すように構成されている。ポンプによって送り出された液体は、水槽2a,3a,16,18内を流通した後、再び液源6に戻る。
【0022】
混練装置10は、複数の材料貯蔵器3とホッパ5との間に配置されており、複数の材料貯蔵器3から供給された材料を内部で混練するように構成されている。混練装置10は、例えば、水平一軸型ミキサ、水平二軸型ミキサ、パン型ミキサなどであってもよい。図2図5に示される例において、混練装置10は、混合容器12と、一対の混練機構14と、一対の水槽16(温調機構)と、水槽18(温調機構)と、断熱材20とを含む。
【0023】
混合容器12は、図2及び図3に示されるように、上方が開放された有底筒状体である。混合容器12は、互いに向かい合う位置にある一対の側壁12aと、互いに向かい合う位置にある一対の端壁12bと、底壁12cとを含む。一対の側壁12a及び一対の端壁12bは、上方から見て矩形状を呈している。
【0024】
底壁12cは、図3に示されるように、側方から見て、水平方向に並ぶ2つの半円状の突起が並ぶ凹凸状を呈している。各突起は、図3の奥行き方向において略同一形状を保って延びており、半円柱状の円柱面を呈している。当該円柱面の半径は、撹拌翼部材24(後述する)が底壁12cに接触することを避けるため、撹拌翼部材24の回転軌跡の最大半径よりも大きくなるように設定されている。底壁12cには、混練によって製造された生コンクリートをホッパ5に排出するための開閉口(図示せず)が設けられている。
【0025】
一対の混練機構14は、底壁12cの各突起に対応するように混合容器12に取り付けられている。混練機構14は、図2及び図3に示されるように、回転軸22(別の流路)と、複数の撹拌翼部材24(別の流路)と、モータ26とを含む。回転軸22は、底壁12cの突起の長手方向に沿って一対の端壁12bの間を水平に延びている。回転軸22の各端部はそれぞれ、一対の端壁12bに対して回転可能に保持されている。
【0026】
回転軸22は、図2図4に示されるように、内側管22aと、外側管22bとを含む。内側管22aは、図4に示されるように、両端が開放された筒状体である。内側管22aは、外側管22bと同軸状に延びるように、外側管22bの内部に配置されている。すなわち、回転軸22は、二重管構造を呈している。
【0027】
外側管22bは有底筒状体であり、外側管22bの底壁は内側管22aの一方の開放端と対向している。そのため、内側管22aの他方の開放端から供給された液体は、内側管22aを通って一方の開放端から排出されて外側管22bの底壁でその流れの向きが反転され、内側管22aと外側管22bとの間の空間を通って外側管22bの開放端から排出される。すなわち、内側管22a及び外側管22bによって液体の流路が構成されている。
【0028】
複数の撹拌翼部材24は、回転軸22の外周面から外方に向けて突出するように回転軸22に取り付けられている。複数の撹拌翼部材24は、回転軸22の長手方向において略等間隔に位置していると共に、回転軸22の周方向において略等間隔に位置している。撹拌翼部材24は、アーム24aと、翼本体24bとを含む。アーム24aは、回転軸22と翼本体24bとの間を接続するように延びている。
【0029】
撹拌翼部材24(アーム24a及び翼本体24b)の内部には、図4に示されるように、液体が流通可能な流路(図示せず)が設けられている。そのため、内側管22aと外側管22bとの間の空間を流れる液体の一部は、撹拌翼部材24の内部の流路を流れた後に、再び当該空間に戻される(図4の破線矢印参照)。
【0030】
モータ26は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作し、回転軸22を回転駆動させるように構成されている。モータ26は、図2に示されるように、一方の端壁12bの外壁面に取り付けられている。モータ26は、例えばギアボックス(図示せず)を介して回転軸22に接続されており、回転軸22を所定の回転数で回転させる。
【0031】
水槽16,18は、混合容器12内のコンクリート材料と熱交換する液体が内部を流通するように構成されている。当該液体が供給される供給口が水槽16,18の下部に設けられており、当該液体が排出される排出口が水槽16,18の上部に設けられていてもよい。
【0032】
一方の水槽16は、図3に示されるように、一方の側壁12aの外壁面から底壁12cのうち一方の突起の外壁面を連続して覆うように、混合容器12の外表面に取り付けられている。他方の水槽16は、他方の側壁12aの外壁面から底壁12cのうち他方の突起の外壁面を連続して覆うように、混合容器12の外表面に取り付けられている。そのため、水槽16は、側方から見てJ字形状を呈している。
【0033】
水槽16の内部には、図5に示されるように、複数の板状部材16aが配置されている。複数の板状部材16aは、いずれも水平方向に延びており、水槽16の上下方向において並んでいる。複数の板状部材16aは、上下方向において互い違いとなるように配置されている。複数の板状部材16aのうち奇数番目の板状部材16aの一端(図5の左端)は水槽16の一方の側壁(図5の左側壁)に固定されており、複数の板状部材16aのうち奇数番目の板状部材16aの他端(図5の右端)は水槽16の他方の側壁(図5の右側壁)とは離間した自由端となっている。一方、複数の板状部材16aのうち偶数番目の板状部材16aの一端(図5の左端)は水槽16の一方の側壁(図5の左側壁)とは離間した自由端となっており、複数の板状部材16aのうち奇数番目の板状部材16aの他端(図5の右端)は水槽16の他方の側壁(図5の右側壁)に固定されている。すなわち、水槽16の内部には、複数の板状部材16aによって蛇行形状を呈する流路が構成されている。
【0034】
水槽18は、図2に示されるように、他方の端壁12bの外壁面を覆うように、混合容器12の外表面に取り付けられている。水槽18の内部には、水槽16と同様に複数の板状部材が配置されおり、蛇行形状を呈する流路が構成されていてもよい。
【0035】
断熱材20は、図2及び図3に示されるように、水槽16,18の外表面を覆うように水槽16,18に設けられている。断熱材20は、水槽16,18内の液体と外気との間での熱交換を妨げるように構成されている。
【0036】
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、計量器4、熱源7、ポンプ9及びモータ26をそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、これらに当該指示信号をそれぞれ送信するように構成されている。
【0037】
コントローラCtrは、温度計4aによって計測された材料の温度に基づいて、計量器4、熱源7、ポンプ9及びモータ26の少なくとも一つを制御するように構成されていてもよい。例えば、コントローラCtrは、温度計4aによって温度が計測された材料を用いて生コンクリートが製造された場合の練り上がり温度を、温度計4aの計測値に応じて予測して、当該予測値が所定の範囲となるように、各種の温調パラメータのうちの少なくとも一つを変更してもよい。当該温調パラメータとしては、例えば、液源6内の液体の温度、当該液体の流量、当該液体の圧力、混合容器12内での材料の練り混ぜ時間、混合容器12に供給される材料の量(練り混ぜ量)などが挙げられる。
【0038】
コントローラCtrは、上記予測値が所定の範囲内となるように、液源6内の液体を混練システム1において循環させるように構成されていてもよい。例えば、コントローラCtrがポンプ8を制御して、液源6に貯留されている液体が下流側に送り出されると、当該液体は、水槽2a,3a,16,18の下部にある供給口にそれぞれ供給され、水槽2a,3a,16,18内をそれぞれ流通した後に、水槽2a,3a,16,18の上部にある排出口からそれぞれ排出され、液源6に戻される。このとき、当該液体は、内側管22aの他方の開放端にも供給され、回転軸22内及び撹拌翼部材24内を流通した後に、外側管22bの開放端から排出され、液源6に戻される。
【0039】
コントローラCtrは、上記予測値が所定の範囲を上回った場合、液源6内の液体の温度を低下させるように熱源7を制御してもよいし、当該液体の流量を増やすようにポンプ8を制御してもよいし、当該液体の圧力を高めるようにポンプ8を制御してもよいし、混合容器12内での材料の練り混ぜ時間を長くするようにモータ26を制御してもよいし、混合容器12に供給される材料の量を少なくするように計量器4を制御してもよい。一方、コントローラCtrは、上記予測値が所定の範囲を下回った場合、液源6内の液体の温度を高めるように熱源7を制御してもよいし、当該液体の流量を下げるようにポンプ8を制御してもよいし、当該液体の圧力を下げるようにポンプ8を制御してもよいし、混合容器12内での材料の練り混ぜ時間を短くするようにモータ26を制御してもよいし、混合容器12に供給される材料の量を多くするように計量器4を制御してもよい。
【0040】
[作用]
以上によれば、コンクリート材料に対して液体を直接供給することなく、混合容器12の外表面に配置された水槽16,18によって混合容器12内のコンクリート材料との間で熱交換を行える。しかも、水槽16,18は、混合容器12内において混練されるコンクリート材料を側方から取り囲んでいる。そのため、水槽16,18とコンクリート材料との間の熱交換が極めて効果的に行われる。したがって、適切な練り上がり温度の生コンクリートを製造することが可能となる。
【0041】
以上によれば、水槽16,18は、混合容器12内のコンクリート材料との間で熱交換が行われる液体が流通する流路を含んでいる。そのため、液体とコンクリート材料との熱交換を簡易な構成で実現することが可能となる。また、水槽16,18内の当該流路は蛇行形状を呈しているので、液体とコンクリート材料との間でより効率的に熱交換することが可能となる。
【0042】
以上によれば、回転軸22及び撹拌翼部材24は、混合容器12内のコンクリート材料との間で熱交換が行われる液体が流通する流路を含んでいる。そのため、混練機構14とコンクリート材料との間の熱交換も実現することが可能となる。また、回転軸22内の当該流路は、二重管構造を呈しているので、簡易な構成で、液体とコンクリート材料との間でより効率的に熱交換することが可能となる。
【0043】
以上によれば、混練前のコンクリート材料の温度に基づいて水槽16,18、回転軸22及び撹拌翼部材24とコンクリート材料との熱交換量がフィードバック制御される。そのため、製造される生コンクリートの練り上がり温度の調整を自動的に行うことが可能となる。
【0044】
以上によれば、水槽2a,3aとの間での熱交換により、サイロ2及び材料貯蔵器3内のコンクリート材料の温度が混練前に予め調整される。そのため、混練装置10における温調機構(水槽16,18、回転軸22、撹拌翼部材24)による混合容器12内のコンクリート材料の温度調整をより精度よく行うことが可能となる。
【0045】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0046】
(1)撹拌翼部材24の外表面のうち撹拌翼部材24の進行方向(回転方向)とは逆側の面(背面)が、凹凸状を呈していてもよい。例えば、図6に示されるように、凹凸状の面として、翼本体24bの背面に複数の板状部材24cが設けられていてもよい。複数の板状部材24cは、回転軸22の長手方向において並んでいてもよい。アーム24aの長手方向から見たときに、複数の板状部材24cは、回転方向に対して平行に延びていてもよい。換言すれば、アーム24aの長手方向から見たときに、複数の板状部材24cは、回転軸22の長手方向及びアーム24aの長手方向の双方に直交する方向に沿って延びていてもよい。
【0047】
翼本体24bの背面が凹凸状を呈している場合、撹拌翼部材24の凹凸状の面の表面積が大きくなるので、当該凹凸状の面において熱交換を促進することが可能となる。また、撹拌翼部材24の凹凸状の面は、撹拌翼部材24の進行方向(回転方向)とは逆側にあるので、練り混ぜ性能に影響を与えにくく、混合容器12内において混練されているコンクリート材料が当該凹凸状の面の凹部に噛み込まれ難い。そのため、撹拌翼部材24における熱交換を促進しつつ、従来どおりの練り混ぜを行えるとともに、撹拌翼部材24のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0048】
(2)コンクリート材料を混練することができれば、混練機構14として種々の形態を採用してもよい。例えば、図7に示されるように、一対の翼本体24bが回転軸22の周りを二重螺旋状に延びており、これらの翼本体24bと回転軸22とがアーム24aによって接続されていてもよい。例えば、図8に示されるように、混練機構14が回転軸22を備えていなくてもよい。この場合、撹拌翼部材24は、螺旋状に延びる2つの翼本体24bと、これらの翼本体24bの端部同士を接続するアーム24aとによって構成されており、撹拌翼部材24の両端がそれぞれ、一対の端壁12bに対して回転可能に保持されていてもよい。
【0049】
(3)水槽2a,3aの周囲に断熱材が設けられていてもよい。内側管22aの内表面又は外表面に断熱材又は断熱空気層が設けられていてもよい。
【0050】
(4)混練システム1は複数の液源6を備えており、複数の液源6から水槽2a,3a,16,18及び回転軸22のいずれかに熱交換用の液体が供給されてもよい。例えば、混練システム1は、水槽2a,3a,16,18及び回転軸22のそれぞれに一対一で対応する液源6を備えており、各種の温調パラメータを液源6ごとに独立に変更可能であってもよい。
【0051】
(5)熱交換用の液体は、水槽2a,3a,16,18の下部から上部に向けて流れてもよいし、水槽2a,3a,16,18の上部から下部に向けて流れてもよいし、水槽2a,3a,16,18内を水平方向に流れてもよい。熱交換用の液体は、外側管22bの開放端から流入して、外側管22bの底壁でその流れの向きが反転され、内側管22aを通って内側管22aの他方の開放端から排出されてもよい。
【0052】
(6)回転軸22は二重管構造ではなく筒状を呈しており、熱交換用の液体が回転軸22の一方から供給され他方から排出されてもよい。
【0053】
(7)混練機構14の高さ位置、すなわち、撹拌翼部材24の軌跡のうち最も高い位置よりも上方において、水槽16,18内に板状部材16aが設けられていなくてもよい。あるいは、混練機構14の高さ位置よりも上方において、水槽16,18が設けられていなくてもよい。この場合、水槽16,18は、混合容器12内において混練されるコンクリート材料を側方から取り囲んでいる。そのため、水槽16,18とコンクリート材料との間で効果的に熱交換することが可能となる。
【0054】
(8)混合容器12の外表面のうち、混合容器12の公称容量のコンクリート材料が混合容器12内に貯留されるときのコンクリート材料の上面の高さ位置よりも上方において、水槽16,18内に板状部材16aが設けられていなくてもよい。あるいは、水槽16,18は、混合容器12の外表面のうち、混合容器12の公称容量のコンクリート材料が混合容器12内に貯留されるときのコンクリート材料の上面の高さ位置以下の領域に配置されていてもよい。この場合、水槽16,18は、混合容器12内において混練されるコンクリート材料の大部分を側方から取り囲む。そのため、水槽16,18とコンクリート材料との間でより効果的に熱交換することが可能となる。なお、一般に、混合容器12の公称容量のコンクリート材料が混合容器12内に貯留されたとき、コンクリート材料の上面の高さ位置は、回転軸22の高さ位置と同程度か、又は、回転軸22よりも下方である。
【0055】
(9)水槽2a,3aの内部には、水槽16,18と同様に複数の板状部材が配置されおり、蛇行形状を呈する流路が構成されていてもよい。あるいは、水槽2a,3a,16,18の内部に板状部材16a等が設けられていなくてもよい。
【0056】
(10)サイロ2の外周面に水槽2aが設けられていなくてもよい。材料貯蔵器3の外周面に水槽3aが設けられていなくてもよい。熱交換用の液体が流通する流路が回転軸22及び撹拌翼部材24の内部に設けられていなくてもよい。
【0057】
(11)コンクリート材料との間で熱交換可能であれば、液体に代えて、他の流体(例えば気体)を用いてもよい。
【0058】
[他の例]
例1.本開示の一つの例に係る混練装置は、コンクリート材料が供給される混合容器と、混合容器内に配置され、混合容器内のコンクリート材料を混練するように構成された混練機構と、混合容器内のコンクリート材料との間で熱交換を行うように構成された温調機構とを備える。温調機構は、混合容器の外表面のうち混練機構の高さ位置以下の領域に配置されている。この場合、コンクリート材料に対して冷却水を直接供給することなく、混合容器の外表面に配置された温調機構によって混合容器内のコンクリート材料との間で熱交換を行える。しかも、温調機構は、混合容器の外表面のうち混練機構の高さ位置以下の領域に配置されているので、混合容器内において混練されるコンクリート材料を側方から取り囲んでいる。そのため、温調機構とコンクリート材料との間の熱交換が極めて効果的に行われる。したがって、適切な練り上がり温度の生コンクリートを製造することが可能となる。
【0059】
例2.例1の装置において、温調機構は、混合容器の外表面のうち、混合容器の公称容量のコンクリート材料が混合容器内に貯留されるときのコンクリート材料の上面の高さ位置以下の領域に配置されていてもよい。この場合、温調機構は、混合容器内において混練されるコンクリート材料の大部分を側方から取り囲む。そのため、温調機構とコンクリート材料との間でより効果的に熱交換することが可能となる。
【0060】
例3.例1又は例2において、温調機構は、混合容器内のコンクリート材料との間で熱交換が行われる流体が流通する流路を含んでいてもよい。この場合、流体とコンクリート材料との熱交換を簡易な構成で実現することが可能となる。
【0061】
例4.例3において、流路は蛇行形状を呈していてもよい。この場合、流体とコンクリート材料との間でより効率的に熱交換することが可能となる。
【0062】
例5.例1~例4のいずれかの装置において、混練機構は、混合容器内のコンクリート材料との間で熱交換が行われる流体が流通する別の流路を含んでいてもよい。この場合、混練機構とコンクリート材料との間の熱交換も実現することが可能となる。
【0063】
例6.例5の装置において、別の流路は、外側管と、外側管の内部に配置された内側管とで構成された二重管構造を呈していてもよい。この場合、簡易な構成で、流体とコンクリート材料との間でより効率的に熱交換することが可能となる。
【0064】
例7.例5又は例6の装置において、混練機構は、混合容器内において回転可能に構成された撹拌翼部材を含み、撹拌翼部材の進行方向とは逆側の面が凹凸状を呈していてもよい。この場合、撹拌翼部材の凹凸状の面の表面積が大きくなるので、当該凹凸状の面において熱交換を促進することが可能となる。また、撹拌翼部材の凹凸状の面は、撹拌翼部材の進行方向(回転方向)とは逆側にあるので、練り混ぜ性能に影響を与えにくく、混合容器内において混練されているコンクリート材料が当該凹凸状の面の凹部に噛み込まれ難い。そのため、撹拌翼部材における熱交換を促進しつつ、従来どおりの練り混ぜを行えるとともに、撹拌翼部材のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0065】
例8.本開示の他の例に係る混練システムは、例1~例7のいずれかに記載の装置と、混合容器に供給される前のコンクリート材料の温度を計測するように構成された計測器と、計測器によって計測された温度に基づいて、混合容器内のコンクリート材料と温調機構との間の熱交換量を調整するように構成された制御部とを備える。この場合、混練前のコンクリート材料の温度に基づいて温調機構がフィードバック制御されるので、製造される生コンクリートの練り上がり温度の調整を自動的に行うことが可能となる。
【0066】
例9.例8のシステムは、混合容器に供給される前のコンクリート材料を貯蔵する貯蔵容器と、貯蔵容器内のコンクリート材料との間で熱交換を行うように構成された別の温調機構とを更に備えていてもよい。この場合、混練前にコンクリート材料の温度が予め調整されるので、温調機構による混合容器内のコンクリート材料の温度調整をより精度よく行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1…混練システム、2…サイロ(貯蔵容器)、2a…水槽(別の温調機構)、3…材料貯蔵器(貯蔵容器)、3a…水槽(別の温調機構)、4a…温度計(計測器)、10…混練装置、12…混合容器、14…混練機構、16,18…水槽(温調機構)、22…回転軸(別の流路)、22a…内側管、22b…外側管、24…撹拌翼部材(別の流路)、Ctr…コントローラ(制御部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8