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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】搬送異常予測システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20230725BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230725BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B65G43/02 Z
H01L21/68 A
H05K13/02 U
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019181870
(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公開番号】P2021054632
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】中村 顕
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045852(JP,A)
【文献】特開2017-157652(JP,A)
【文献】特開平10-154900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/02
H05K 13/00
H01L 21/677
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを有し、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する推定部を備え、
前記学習済みモデルは、過去の正常な基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを教師データとしてLSTM(Long Short-Term Memory)にて機械学習したものであり、前記推定部は、新たな基板搬送時までの実際のセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時の直前までの実際のセンサデータを含むデータセットから前記学習済みモデルにより予測される当該新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットと、当該新たな基板搬送時の実際のセンサデータを含むデータセットとの乖離を計算し、当該乖離に基づいて前記搬送異常度を推定して出力する、
ことを特徴とする搬送異常予測システム。
【請求項2】
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを有し、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する推定部を備え、
前記学習済みモデルは、過去の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かがラベル付けされた教師データを機械学習したものであり、前記推定部は、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、前記学習済みモデルにより予測される搬送異常発生時である確率に基づいて、前記搬送異常度を推定して出力する、
ことを特徴とする搬送異常予測システム。
【請求項3】
前記学習済みモデルは、過去の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かがラベル付けされるとともに、搬送異常発生時の場合には搬送異常の発生原因がラベル付けされた教師データを機械学習したものであり、前記推定部は、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、前記学習済みモデルにより搬送異常の発生原因ごとに予測される搬送異常発生時である確率に基づいて、搬送異常の発生原因ごとの前記搬送異常度を推定して出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の搬送異常予測システム。
【請求項4】
前記複数のセンサは、振動センサ、音センサ、画像センサ、映像センサ、温度センサ、機器移動速度センサ、機器動作トルクセンサ、機器平行度センサのうちの1種類または2種類以上からなる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の搬送異常予測システム。
【請求項5】
前記推定部により出力される前記搬送異常度を、あらかじめ定められた閾値と比較し、前記搬送異常度が前記閾値を超えている場合には、メンテナンス通知および/またはアラームを出力するための出力信号を出力装置に送信する出力信号送信部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の搬送異常予測システム。
【請求項6】
前記推定部は、新たな基板搬送時における搬送開始から現時点までのセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の搬送異常予測システム。
【請求項7】
前記推定部は、新たな基板搬送時における搬送開始から搬送終了までのセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の搬送異常予測システム。
【請求項8】
前記推定部は、複数枚の新たな基板搬送時における最初の基板の搬送開始から最後の基板の搬送終了までのセンサデータを含むデータセットを入力として、当該複数枚の新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の搬送異常予測システム。
【請求項9】
前記新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを教師データとして前記学習済みモデルを再学習させる再学習部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の搬送異常予測システム。
【請求項10】
前記データセットは、当該基板搬送時における機器動作時間、メンテナンス後経過時間、基板ハンドリング部の部品使用時間のうちの少なくとも1つの時間情報をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の搬送異常予測システム。
【請求項11】
前記推定部は、複数の学習済みモデルを有し、前記複数の学習済みモデルによる予測の組み合わせに基づいて前記搬送異常度を推定して出力する、
ことを特徴とする請求項1~10に記載の搬送異常予測システム。
【請求項12】
基板搬送部と、
請求項1~11のいずれかに記載の搬送異常予測システムと、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項13】
コンピュータが実行する搬送異常予測方法であって、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力するステップであって、前記学習済みモデルは、過去の正常な基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを教師データとしてLSTM(Long Short-Term Memory)にて機械学習したものであり、新たな基板搬送時までの実際のセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時の直前までの実際のセンサデータを含むデータセットから前記学習済みモデルにより予測される当該新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットと、当該新たな基板搬送時の実際のセンサデータを含むデータセットとの乖離を計算し、当該乖離に基づいて前記搬送異常度を推定して出力する、ステップ
を含むことを特徴とする搬送異常予測方法。
【請求項14】
コンピュータが実行する搬送異常予測方法であって、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力するステップであって、前記学習済みモデルは、過去の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かがラベル付けされた教師データを機械学習したものであり、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、前記学習済みモデルにより予測される搬送異常発生時である確率に基づいて、前記搬送異常度を推定して出力する、ステップ
を含むことを特徴とする搬送異常予測方法。
【請求項15】
コンピュータに、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力された
センサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力するステップであって、前記学習済みモデルは、過去の正常な基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを教師データとしてLSTM(Long Short-Term Memory)にて機械学習したものであり、新たな基板搬送時までの実際のセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時の直前までの実際のセンサデータを含むデータセットから前記学習済みモデルにより予測される当該新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットと、当該新たな基板搬送時の実際のセンサデータを含むデータセットとの乖離を計算し、当該乖離に基づいて前記搬送異常度を推定して出力する、ステップ
を実行させるための搬送異常予測プログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力された
センサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力するステップであって、前記学習済みモデルは、過去の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かがラベル付けされた教師データを機械学習したものであり、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、前記学習済みモデルにより予測される搬送異常発生時である確率に基づいて、前記搬送異常度を推定して出力する、ステップ
を実行させるための搬送異常予測プログラム。
【請求項17】
コンピュータに、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力するステップであって、前記学習済みモデルは、過去の正常な基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを教師データとしてLSTM(Long Short-Term Memory)にて機械学習したものであり、新たな基板搬送時までの実際のセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時の直前までの実際のセンサデータを含むデータセットから前記学習済みモデルにより予測される当該新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットと、当該新たな基板搬送時の実際のセンサデータを含むデータセットとの乖離を計算し、当該乖離に基づいて前記搬送異常度を推定して出力する、ステップ
を実行させるための搬送異常予測プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項18】
コンピュータに、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力するステップであって、前記学習済みモデルは、過去の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かがラベル付けされた教師データを機械学習したものであり、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、前記学習済みモデルにより予測される搬送異常発生時である確率に基づいて、前記搬送異常度を推定して出力する、ステップ
を実行させるための搬送異常予測プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項19】
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から新たな基板搬送時までに出力された実際のセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時の直前までの実際のセンサデータを含むデータセットから学習済みモデルにより予測される当該新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットと、当該新たな基板搬送時の実際のセンサデータを含むデータセットとの乖離を計算し、当該乖離に基づいて当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する推定部にて用いられる学習済みモデルであって、
入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続された出力層とを有し、過去の正常な基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを教師データとしてLSTM(Long Short-Term Memory)にて機械学習したものであり、
新たな基板搬送時の直前までの実際のセンサデータを含むデータセットが入力層に入力されると、当該新たな基板搬送時のセンサデータを予測して出力層から出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデル。
【請求項20】
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、学習済みモデルにより予測される搬送異常発生時である確率に基づいて当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する推定部にて用いられる学習済みモデルであって、
入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続された出力層とを有し、過去の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かがラベル付けされた教師データを機械学習したものであり、
新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットが入力層に入力されると、当該新たな基板搬送時が搬送異常発生時である確率を予測して出力層から出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送異常予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置において、基板をハンドリングすることは必須である。しかし、装置が長時間稼働していると、部品の摩耗や機器のズレにより、ハンドリングミスが発生することがある。ハンドリングミスが発生すると、装置が停止して生産性が低下したり、基板自体が破損する可能性がある。
【0003】
特許文献1には、ウェハハンドリングマシンの稼働中におけるセンサの出力を、ウェハハンドリングマシンの稼働前の位置合わせ時に記憶されたセンサの出力と比較して、その差が一定の閾値を超える場合に位置合わせから外れていると判断するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6325325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、ウェハハンドリングマシンの稼働中におけるセンサの出力と稼働前の位置合わせ時に記憶されたセンサの出力との差が一定の閾値を超えると異常であると判断する単純な手法にて異常の検出を行っており、検出確率は高くない。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、搬送異常の検出確率を向上できる搬送異常予測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る搬送異常予測システムは、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを有し、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する推定部
を備える。
【0008】
このような態様によれば、推定部が、過去の基板搬送時におけるセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いることで、新たな基板搬送時におけるセンサデータを含むデータセットについて、複数の指標データから総合して、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力することができる。これにより、基板搬送中におけるセンサの出力と基板搬送前の位置合わせ時に記憶されたセンサの出力との差が一定の閾値を超えると異常と判断する従来の態様に比べて、搬送異常の検出確率を向上できる。また、学習済みモデルを用いることで、従来の態様では扱いにくかった機器の振動、音、画像データなどをセンサデータとして利用することが可能である。
【0009】
本発明の第2の態様に係る搬送異常予測システムは、第1の態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記複数のセンサは、振動センサ、音センサ、画像センサ、映像センサ、温度センサ、機器移動速度センサ、機器動作トルクセンサ、機器平行度センサのうちの1種類または2種類以上からなる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る搬送異常予測システムは、第1または2の態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記推定部により出力される前記搬送異常度を、あらかじめ定められた閾値と比較し、前記搬送異常度が前記閾値を超えている場合には、メンテナンス通知および/またはアラームを出力するための出力信号を出力装置に送信する出力信号送信部
をさらに備える。
【0011】
本発明の第4の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~3のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記推定部は、新たな基板搬送時における搬送開始から現時点までのセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する。
【0012】
本発明の第5の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~3のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記推定部は、新たな基板搬送時における搬送開始から搬送終了までのセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する。
【0013】
本発明の第6の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~3のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記推定部は、複数枚の新たな基板搬送時における最初の基板の搬送開始から最後の基板の搬送終了までのセンサデータを含むデータセットを入力として、当該複数枚の新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する。
【0014】
本発明の第7の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~6のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを教師データとして前記学習済みモデルを再学習させる再学習部
をさらに備える。
【0015】
本発明の第8の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~7のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記データセットは、当該基板搬送時における機器動作時間、メンテナンス後経過時間、基板ハンドリング部の部品使用時間のうちの少なくとも1つの時間情報をさらに含む。
【0016】
本発明の第9の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~8のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記学習済みモデルは、過去の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに当該基板搬送時から搬送異常発生時までの残り時間または残り搬送回数が紐づけられた教師データを機械学習したものであり、前記推定部は、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、前記学習済みモデルにより予測される前記残り時間または残り搬送回数に基づいて、前記搬送異常度を推定して出力する。
【0017】
本発明の第10の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~8のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記学習済みモデルは、過去の正常な基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを教師データとしてk近傍法にて機械学習したものであり、前記推定部は、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、前記学習済みモデルにより計算されるk近傍までの距離に基づいて、前記搬送異常度を推定して出力する。
【0018】
本発明の第11の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~8のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記学習済みモデルは、過去の正常な基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを教師データとしてLSTM(Long Short-Term Memory)にて機械学習したものであり、前記推定部は、新たな基板搬送時までの実際のセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時の直前までの実際のセンサデータを含むデータセットから前記学習済みモデルにより予測される当該新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットと、当該新たな基板搬送時の実際のセンサデータを含むデータセットとの乖離を計算し、当該乖離に基づいて前記搬送異常度を推定して出力する。
【0019】
本発明の第12の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~8のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記学習済みモデルは、過去の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かがラベル付けされた教師データを機械学習したものであり、前記推定部は、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、前記学習済みモデルにより予測される搬送異常発生時である確率に基づいて、前記搬送異常度を推定して出力する。
【0020】
本発明の第13の態様に係る搬送異常予測システムは、第12の態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記学習済みモデルは、過去の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かがラベル付けされるとともに、搬送異常発生時の場合には搬送異常の発生原因がラベル付けされた教師データを機械学習したものであり、前記推定部は、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、前記学習済みモデルにより搬送異常の発生原因ごとに予測される搬送異常発生時である確率に基づいて、搬送異常の発生原因ごとの前記搬送異常度を推定して出力する。
【0021】
本発明の第14の態様に係る搬送異常予測システムは、第1~13のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムであって、
前記推定部は、複数の学習済みモデルを有し、前記複数の学習済みモデルによる予測の組み合わせに基づいて前記搬送異常度を推定して出力する。
【0022】
本発明の第15の態様に係る基板処理装置は、
基板搬送部と、
第1~14のいずれかの態様に係る搬送異常予測システムと、
を備える。
【0023】
本発明の第16の態様に係る搬送異常予測方法は、
コンピュータが実行する搬送異常予測方法であって、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力するステップ
を含む。
【0024】
本発明の第17の態様に係る搬送異常予測プログラムは、
コンピュータに、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力するステップ
を実行させる。
【0025】
本発明の第18の態様に係るコンピュータ読取可能な記録媒体は、
コンピュータに、
基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力するステップ
を実行させるための搬送異常予測プログラムを非一時的(non-transitory)に記録している。
【0026】
本発明の第19の態様に係る学習済みモデルは、チューニングされたニューラルネットワークシステムであって、
入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続された出力層とを有し、基板搬送部に設けられた複数のセンサの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットを入力層に入力し、それにより出力層から出力される出力結果と、当該基板搬送時における搬送異常度とを比較し、その誤差に応じて各ノードのパラメータを更新する処理を、過去の複数回の基板搬送時のセンサデータを含むデータセットについて繰り返すことにより、過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習したものであり、
前記複数のセンサの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットが入力層に入力されると、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力層から出力するよう、コンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、搬送異常の検出確率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、一実施の形態に係る基板処理装置の概略的な構成を示す図である。
図2図2は、一実施の形態に係る搬送異常予測システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、正常な基板搬送時のセンサデータの一例を示す図である。
図4図4は、搬送異常発生時における基板搬送部について説明するための図である。
図5図5は、搬送異常発生時のセンサデータの一例を示す図である。
図6図6は、第1の態様における学習済みモデルの構成を説明するための模式図である。
図7図7は、第2の態様における学習済みモデルの構成を説明するための模式図である。
図8図8は、第3の態様における学習済みモデルの構成を説明するための模式図である。
図9図9は、第4の態様における学習済みモデルの構成を説明するための模式図である。
図10図10は、第5の態様における学習済みモデルの構成を説明するための模式図である。
図11図11は、第6の態様における学習済みモデルの構成を説明するための模式図である。
図12図12は、第7の態様における学習済みモデルについて説明するための模式図である。
図13図13は、第8の態様における学習済みモデルの構成を説明するための模式図である。
図14図14は、一実施の形態に係る搬送異常予測方法の一例について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0030】
図1は、一実施形態に係る基板処理装置1の概略的な構成を示す図である。
【0031】
図1に示すように、基板処理装置1は、トップリング6と、基板搬送部2と、ノズル3a、3bと、搬送異常予測システム10と、出力装置4とを有している。
【0032】
トップリング6は、下面にエアバッグが設けられており、基板Wを下向きに保持するとともに、基板搬送位置(基板搬送部2と対向する位置)と基板処理位置(たとえば不図示の研磨テーブルと対向する位置)との間で基板Wを移動するように構成されている。
【0033】
ノズル3a、3bは、基板搬送位置におけるトップリング6の側方に配置されており、トップリング6のエアバッグと基板Wとの間にエアおよびシャワーを噴射して、トップリング6から基板Wを剥がすように構成されている。
【0034】
基板搬送部2は、基板搬送位置におけるトップリング6の下方に配置されており、トップリング6から剥がされて落下する基板Wを受け取るように構成されている。基板搬送部2としては、たとえば、リフターまたはリニアトランスポータ(LTP)が用いられる。
【0035】
図1に示すように、基板搬送部2には、複数(図示された例では3つ)のセンサ51~53が設けられている。図示された例では、複数のセンサ51~53はいずれも、基板搬送部2の振動を計測する振動センサ(加速度センサ)であり、基板搬送部2のうちアーム部分や軸部分など、基板Wの受け渡し時の振動が直接伝わる箇所に取り付けられている。
【0036】
なお、複数のセンサ51~53は、振動センサに限定されるものではなく、振動センサ、音センサ、画像センサ、映像センサ、温度センサ、機器移動速度センサ、機器動作トルクセンサ、機器平行度センサのうちの1種類または2種類以上からなっていてもよい。
【0037】
図3は、正常な基板搬送時にセンサ51~53から出力されるセンサデータの一例を示す図である。図3において、実線の四角で囲まれた領域は、1枚の基板搬送時(1サイクル)における搬送開始から搬送終了までのセンサデータを示している。図3に示すように、正常な搬送時には、1サイクルごとに同様の波形のセンサデータがセンサ51~53から繰り返し出力される。
【0038】
図4は、搬送異常発生時における基板搬送部2について説明するための図であり、図5は、搬送異常発生時のセンサデータの一例を示す図である。
【0039】
図4に示すように、代表的な搬送異常の徴候としては、基板Wがトップリング6から左右対称に剥がれず、基板Wが斜めに傾いた姿勢で落下する。この場合、基板Wが基板搬送部2に着座する際の衝撃が基板Wの1カ所に集中することで、基板Wが破損しやすくなる。さらに症状が悪化すると、基板搬送部2から基板Wが落下してしまう。図4に示す例では、搬送異常の発生原因(異常種類)として、(1)ノズル3a、3bから噴射されたエアおよびシャワーが当たる位置がずれること、(2)トップリング6の軸と基板搬送部2の軸とがずれること、の2つが考えられる。
【0040】
図5に示すように、搬送異常発生時には、正常時の波形とは異なる波形のセンサデータがセンサ51~53から出力される。図5において、実線の四角で囲まれた領域は、搬送異常発生時における搬送開始から搬送終了までのセンサデータを示している。
【0041】
出力装置4は、ユーザ(たとえば基板処理装置1のオペレータ)に対して各種情報を出力するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイなどの映像表示手段(ディスプレイ)やランプ、スピーカーなどが用いられる。
【0042】
図1に示すように、搬送異常予測システム10は、複数のセンサ51~53と出力装置4の各々に通信可能に接続されている。
【0043】
次に、搬送異常予測システム10の構成について説明する。図2は、搬送異常予測システム10の構成を示すブロック図である。搬送異常予測システム10の少なくとも一部は、1つのコンピュータまたは量子コンピューティングシステム、もしくは互いにネットワークを介して接続された複数のコンピュータまたは量子コンピューティングシステムによって構成されている。
【0044】
図2に示すように、搬送異常予測システム10は、入力部11と、制御部12と、記憶部13と、出力部14とを有している。各部11~14は、バスやネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0045】
このうち入力部11は、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nに対する通信インターフェースである。入力部11は、複数のセンサ51~5Nの各々の出力端子に有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。
【0046】
出力部14は、出力装置4に対する通信インターフェースである。出力部14は、出力装置4の入力端子に有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。
【0047】
記憶部13は、たとえばフラッシュメモリなどの不揮発性データストレージである。記憶部13には、制御部12が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、記憶部13には、後述する推定部121により参照されるデータセット151と、後述する出力信号送信部122により参照される閾値152とが記憶される。
【0048】
データセット151は、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力され、入力部11を介して取得されたセンサデータを含んでいる。データセット151は、当該基板搬送時における機器動作時間、メンテナンス後経過時間、基板ハンドリング部(基板Wと接触して徐々に摩耗する部分)の部品使用時間のうちの少なくとも1つの時間情報をさらに含んでいてもよい。
【0049】
図2に示すように、制御部12は、推定部121と、出力信号送信部122と、再学習部123とを有している。これらの各部は、搬送異常予測システム10内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0050】
推定部121は、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデル120(たとえば、チューニングされたニューラルネットワークシステム、図6図13参照)を有しており、複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセット(すなわち記憶部13に記憶されたデータセット131)を入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する。
【0051】
推定部121における処理のタイミングの第1例として、推定部121は、リアルタイムで処理してもよく、すなわち、新たな基板搬送時における搬送開始から現時点までのセンサデータを含むデータセット131を入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力してもよい。
【0052】
推定部121における処理のタイミングの第2例として、推定部121は、1枚の基板Wごとに処理してもよく、すなわち、新たな基板搬送時における搬送開始から搬送終了までのセンサデータを含むデータセット131を入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力してもよい。
【0053】
推定部121における処理のタイミングの第3例として、推定部121は、基板Wのロット(たとえば1ロット25枚)ごとに処理してもよく、すなわち、推定部121は、複数枚(1ロット)の新たな基板搬送時における最初の基板の搬送開始から最後の基板の搬送終了までのセンサデータを含むデータセット131を入力として、当該複数枚(1ロット)の新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力してもよい。
【0054】
推定部121は、複数のセンサ51~5Nの各々から出力されたセンサデータをそのまま入力として利用してもよいし、FFT(高速フーリエ変換)によりあらかじめ定められた周波数領域の強度を抽出(前処理)したものを入力として利用してもよい。
【0055】
図6は、第1の態様における学習済みモデル120の構成を説明するための模式図である。図6に示す例では、学習済みモデル120は、チューニングされたニューラルネットワークシステムであり、入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続され出力層とを有する階層型のニューラルネットワークまたは量子ニューラルネットワーク(QNN)を含んでいる。図6では、階層型のニューラルネットワークとして、フィードフォワードニューラルネットワークが図示されているが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)やリカレントニューラルネットワーク(RNN)など、様々なタイプのニューラルネットワークが使用され得る。学習済みモデル120は、中間層が2層以上に多層化されたニューラルネットワーク、すなわちディープラーニング(深層学習)を含んでいてもよい。
【0056】
第1の態様における学習済みモデル120の生成方法の一例について説明すると、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータに、当該基板搬送時が搬送異常発生時か否か(たとえば正常な基板搬送時は0、搬送異常発生時は1)がラベル付けされた教師データを用意しておき、図6に示すように、教師データに含まれる1つの基板搬送時のセンサデータを入力層に入力し、それにより出力層から出力される出力結果と、教師データに含まれる当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かのラベルとを比較し、その誤差に応じて各ノードのパラメータ(重みや閾値など)を更新する処理を、教師データに含まれる複数の基板搬送時のデータの各々について繰り返す。これにより、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータに基づいて、当該基板搬送時が搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)を予測する学習済みモデル120(チューニングされたニューラルネットワークシステム)が生成される。
【0057】
第1の態様において、推定部121は、複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを入力として、学習済みモデル120により予測される搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)に基づいて、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する。なお、搬送異常度は、学習済みモデル120により予測される搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)そのものでもよいし、当該搬送異常確率を所定の関数で一意に変換した値であってもよい。
【0058】
図7は、第2の態様における学習済みモデル120の構成を説明するための模式図である。図7に示す例では、学習済みモデル120は、チューニングされたニューラルネットワークシステムであり、入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続され出力層とを有する階層型のニューラルネットワークまたは量子ニューラルネットワーク(QNN)を含んでいる。図7では、階層型のニューラルネットワークとして、フィードフォワードニューラルネットワークが図示されているが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)やリカレントニューラルネットワーク(RNN)など、様々なタイプのニューラルネットワークが使用され得る。学習済みモデル120は、中間層が2層以上に多層化されたニューラルネットワーク、すなわちディープラーニング(深層学習)を含んでいてもよい。
【0059】
第2の態様における学習済みモデル120の生成方法の一例について説明すると、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータと、当該基板搬送時における時間情報(すなわち、当該基板搬送時における機器動作時間、メンテナンス後経過時間、基板ハンドリング部の部品使用時間のうちの少なくとも1つ)とを含むデータセットに、当該基板搬送時が搬送異常発生時か否か(たとえば正常な基板搬送時は0、搬送異常発生時は1)がラベル付けされた教師データを用意しておき、図7に示すように、教師データに含まれる1つの基板搬送時のデータセットを入力層に入力し、それにより出力層から出力される出力結果と、教師データに含まれる当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かのラベルとを比較し、その誤差に応じて各ノードのパラメータ(重みや閾値など)を更新する処理を、教師データに含まれる複数の基板搬送時のデータの各々について繰り返す。これにより、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータと当該基板搬送時における時間情報とを含むデータセットに基づいて、当該基板搬送時が搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)を予測する学習済みモデル120(チューニングされたニューラルネットワークシステム)が生成される。
【0060】
第2の態様において、推定部121は、複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータと当該新たな基板搬送時における時間情報とを含むデータセットを入力として、学習済みモデル120により予測される搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)に基づいて、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する。なお、搬送異常度は、学習済みモデル120により予測される搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)そのものでもよいし、当該搬送異常確率を所定の関数で一意に変換した値であってもよい。
【0061】
図8は、第3の態様における学習済みモデル120の構成を説明するための模式図である。図8に示す例では、学習済みモデル120は、チューニングされたニューラルネットワークシステムであり、入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続され出力層とを有する階層型のニューラルネットワークまたは量子ニューラルネットワーク(QNN)を含んでいる。図8では、階層型のニューラルネットワークとして、フィードフォワードニューラルネットワークが図示されているが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)やリカレントニューラルネットワーク(RNN)など、様々なタイプのニューラルネットワークが使用され得る。学習済みモデル120は、中間層が2層以上に多層化されたニューラルネットワーク、すなわちディープラーニング(深層学習)を含んでいてもよい。
【0062】
第3の態様における学習済みモデル120の生成方法の一例について説明すると、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータに、当該基板搬送時が搬送異常発生時か否か(たとえば正常な基板搬送時は0、搬送異常発生時は1)がラベル付けされるとともに、搬送異常発生時の場合には搬送異常の発生原因(異常種類)がラベル付けされた教師データを用意しておき、図8に示すように、教師データに含まれる1つの基板搬送時のセンサデータを入力層に入力し、それにより出力層から出力される出力結果と、教師データに含まれる搬送異常の発生原因(異常種類)ごとの当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かのラベルとを比較し、その誤差に応じて各ノードのパラメータ(重みや閾値など)を更新する処理を、教師データに含まれる複数の基板搬送時のデータの各々について繰り返す。これにより、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータに基づいて、当該基板搬送時が搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)を搬送異常の発生原因(異常種類)ごとに予測する学習済みモデル120(チューニングされたニューラルネットワークシステム)が生成される。
【0063】
第3の態様において、推定部121は、複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを入力として、学習済みモデル120により搬送異常の発生原因(異常種類)ごとに予測される搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)に基づいて、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を搬送異常の発生原因(異常種類)ごとに推定して出力する。なお、搬送異常度は、学習済みモデル120により予測される搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)そのものでもよいし、当該搬送異常確率を所定の関数で一意に変換した値であってもよい。
【0064】
図9は、第4の態様における学習済みモデル120の構成を説明するための模式図である。図9に示す例では、学習済みモデル120は、チューニングされたニューラルネットワークシステムであり、入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続され出力層とを有する階層型のニューラルネットワークまたは量子ニューラルネットワーク(QNN)を含んでいる。図9では、階層型のニューラルネットワークとして、フィードフォワードニューラルネットワークが図示されているが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)やリカレントニューラルネットワーク(RNN)など、様々なタイプのニューラルネットワークが使用され得る。学習済みモデル120は、中間層が2層以上に多層化されたニューラルネットワーク、すなわちディープラーニング(深層学習)を含んでいてもよい。
【0065】
第4の態様における学習済みモデル120の生成方法の一例について説明すると、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータと、当該基板搬送時における時間情報(すなわち、当該基板搬送時における機器動作時間、メンテナンス後経過時間、基板ハンドリング部の部品使用時間のうちの少なくとも1つ)とを含むデータセットに、当該基板搬送時が搬送異常発生時か否か(たとえば正常な基板搬送時は0、搬送異常発生時は1)がラベル付けされるとともに、搬送異常発生時の場合には搬送異常の発生原因(異常種類)がラベル付けされた教師データを用意しておき、図9に示すように、教師データに含まれる1つの基板搬送時のデータセットを入力層に入力し、それにより出力層から出力される出力結果と、教師データに含まれる搬送異常の発生原因(異常種類)ごとの当該基板搬送時が搬送異常発生時か否かのラベルとを比較し、その誤差に応じて各ノードのパラメータ(重みや閾値など)を更新する処理を、教師データに含まれる複数の基板搬送時のデータの各々について繰り返す。これにより、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータと当該基板搬送時における時間情報とを含むデータセットに基づいて、当該基板搬送時が搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)を搬送異常の発生原因(異常種類)ごとに予測する学習済みモデル120(チューニングされたニューラルネットワークシステム)が生成される。
【0066】
第4の態様において、推定部121は、複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータと当該新たな基板搬送時における時間情報とを含むデータセットを入力として、学習済みモデル120により搬送異常の発生原因(異常種類)ごとに予測される搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)に基づいて、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を搬送異常の発生原因(異常種類)ごとに推定して出力する。なお、搬送異常度は、学習済みモデル120により予測される搬送異常発生時である確率(搬送異常確率)そのものでもよいし、当該搬送異常確率を所定の関数で一意に変換した値であってもよい。
【0067】
図10は、第5の態様における学習済みモデル120の構成を説明するための模式図である。図10に示す例では、学習済みモデル120は、チューニングされたニューラルネットワークシステムであり、入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続され出力層とを有する階層型のニューラルネットワークまたは量子ニューラルネットワーク(QNN)を含んでいる。図10では、階層型のニューラルネットワークとして、フィードフォワードニューラルネットワークが図示されているが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)やリカレントニューラルネットワーク(RNN)など、様々なタイプのニューラルネットワークが使用され得る。学習済みモデル120は、中間層が2層以上に多層化されたニューラルネットワーク、すなわちディープラーニング(深層学習)を含んでいてもよい。
【0068】
第5の態様における学習済みモデル120の生成方法の一例について説明すると、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータに、当該基板搬送時から搬送異常発生時までの残り時間または残り搬送回数が紐づけられた教師データを用意しておき、図10に示すように、教師データに含まれる1つの基板搬送時のセンサデータを入力層に入力し、それにより出力層から出力される出力結果と、教師データに含まれる当該基板搬送時から搬送異常発生時までの残り時間または残り搬送回数とを比較し、その誤差に応じて各ノードのパラメータ(重みや閾値など)を更新する処理を、教師データに含まれる複数の基板搬送時のデータの各々について繰り返す。これにより、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータに基づいて、当該基板搬送時から搬送異常発生時までの残り時間または残り搬送回数を予測する学習済みモデル120(チューニングされたニューラルネットワークシステム)が生成される。
【0069】
第5の態様において、推定部121は、複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを入力として、学習済みモデル120により予測される残り時間または残り搬送回数に基づいて、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する。なお、搬送異常度は、学習済みモデル120により予測される残り時間または残り搬送回数そのものでもよいし、当該残り時間または残り搬送回数を所定の関数で一意に変換した値であってもよい。たとえば、搬送異常度は、学習済みモデル120により予測される残り時間を、メンテナンス時から搬送異常発生時までの平均時間で除算した値であってもよいし、学習済みモデル120により予測される残り搬送回数を、メンテナンス時から搬送異常発生時までの平均搬送回数で除算した値であってもよい。
【0070】
図11は、第6の態様における学習済みモデル120の構成を説明するための模式図である。図11に示す例では、学習済みモデル120は、チューニングされたニューラルネットワークシステムであり、入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続され出力層とを有する階層型のニューラルネットワークまたは量子ニューラルネットワーク(QNN)を含んでいる。図11では、階層型のニューラルネットワークとして、フィードフォワードニューラルネットワークが図示されているが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)やリカレントニューラルネットワーク(RNN)など、様々なタイプのニューラルネットワークが使用され得る。学習済みモデル120は、中間層が2層以上に多層化されたニューラルネットワーク、すなわちディープラーニング(深層学習)を含んでいてもよい。
【0071】
第6の態様における学習済みモデル120の生成方法の一例について説明すると、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータ、当該基板搬送時における時間情報(すなわち、当該基板搬送時における機器動作時間、メンテナンス後経過時間、基板ハンドリング部の部品使用時間のうちの少なくとも1つ)とを含むデータセットに、当該基板搬送時から搬送異常発生時までの残り時間または残り搬送回数が紐づけられた教師データを用意しておき、図10に示すように、教師データに含まれる1つの基板搬送時のデータセットを入力層に入力し、それにより出力層から出力される出力結果と、教師データに含まれる当該基板搬送時から搬送異常発生時までの残り時間または残り搬送回数とを比較し、その誤差に応じて各ノードのパラメータ(重みや閾値など)を更新する処理を、教師データに含まれる複数の基板搬送時のデータの各々について繰り返す。これにより、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータと当該基板搬送時における時間情報とを含むデータセットに基づいて、当該基板搬送時から搬送異常発生時までの残り時間または残り搬送回数を予測する学習済みモデル120(チューニングされたニューラルネットワークシステム)が生成される。
【0072】
第6の態様において、推定部121は、複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータと当該新たな基板搬送時における時間情報とを含むデータセットを入力として、学習済みモデル120により予測される残り時間または残り搬送回数に基づいて、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する。なお、搬送異常度は、学習済みモデル120により予測される残り時間または残り搬送回数そのものでもよいし、当該残り時間または残り搬送回数を所定の関数で一意に変換した値であってもよい。たとえば、搬送異常度は、学習済みモデル120により予測される残り時間を、メンテナンス時から搬送異常発生時までの平均時間で除算した値であってもよいし、学習済みモデル120により予測される残り搬送回数を、メンテナンス時から搬送異常発生時までの平均搬送回数で除算した値であってもよい。
【0073】
図12は、第7の態様における学習済みモデル120の構成を説明するための模式図である。図12に示す例では、学習済みモデル120は、過去の正常な基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを教師データとして、k近傍法にて機械学習したものであり、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットに基づいて、当該データセットのk近傍までの距離を計算する。図12に示す例において、複数の白丸(「〇」)はそれぞれ、過去の正常な基板搬送時のセンサデータの特徴空間における位置を示しており、白三角(「△」)は、新たな基板搬送時のセンサデータの特徴空間における位置を示しており、破線は、k=3の場合のk近傍までの距離を示している。
【0074】
第7の態様において、推定部121は、新たな基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを入力として、学習済みモデル121により計算されるk近傍までの距離に基づいて、搬送異常度を推定して出力する。なお、搬送異常度は、学習済みモデル120により計算されるk近傍までの距離そのものでもよいし、当該k近傍までの距離を所定の関数で一意に変換した値であってもよい。
【0075】
図13は、第8の態様における学習済みモデル120の構成を説明するための模式図である。図13に示す例では、学習済みモデル120は、チューニングされたニューラルネットワークシステムであり、入力層と、入力層に接続された1または2以上の中間層と、中間層に接続され出力層とを有する階層型のニューラルネットワークまたは量子ニューラルネットワーク(QNN)を含んでいる。学習済みモデル120は、中間層が2層以上に多層化されたニューラルネットワーク、すなわちディープラーニング(深層学習)を含んでいてもよい。
【0076】
第8の態様における学習済みモデル120は、過去の正常な基板搬送時のセンサデータを含むデータセットを教師データとして、LSTM(Long Short-Term Memory;長・短期記憶)にて機械学習したものである。図13に示す例において、学習済みモデル120は、たとえばメンテナンス時から新たな基板搬送時の直前までの実際のセンサデータ(第1~n-1サイクルのセンサデータ)を含むデータセットに基づいて、当該新たな基板搬送時のセンサデータ(第nサイクルのセンサデータの予測値)を含むデータセットを予測する。
【0077】
第8の態様において、推定部121は、メンテナンス時から新たな基板搬送時までの実際のセンサデータ(第1~nサイクルのセンサデータ)を含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時の直前までの実際のセンサデータ(第1~n-1サイクルのセンサデータ)を含むデータセットから学習済みモデル120により予測される当該新たな基板搬送時のセンサデータ(第nサイクルのセンサデータの予測値)を含むデータセットと、当該新たな基板搬送時の実際のセンサデータ(第nサイクルのセンサデータ)を含むデータセットとの乖離を計算し、当該乖離に基づいて搬送異常度を推定して出力する。なお、搬送異常度は、当該乖離そのものであってもよいし、当該乖離を所定の関数で一意に変換した値であってもよい。
【0078】
推定部121は、複数の学習済みモデル120(たとえば第1~第8の態様における学習モデル120のうちの2つ以上)を有し、複数の学習済みモデル120による予測の組み合わせ(すなわちアンサンブル学習)に基づいて、搬送異常度を推定して出力してもよい。
【0079】
出力信号送信部122は、推定部121により出力される搬送異常度を、あらかじめ定められた閾値152と比較し、搬送異常度が閾値152を超えている場合には、メンテナンス通知および/またはアラームを出力するための出力信号を、出力部14を介して出力装置4に送信する。
【0080】
再学習部123は、新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセット131を教師データとして学習済みモデル120を再学習させる。
【0081】
次に、このような構成からなる搬送異常予測システム10による搬送異常予測方法の一例について説明する。図14は、搬送異常予測方法の一例を示すフローチャートである。
【0082】
図14に示すように、推定部121が、基板搬送部2に設けられた複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されるセンサデータを含むデータセット131を取得する(ステップS11)。推定部121により取得されるデータセット131は、当該基板搬送時2における機器動作時間、メンテナンス後経過時間、基板ハンドリング部の部品使用時間のうちの少なくとも1つ時間情報を含んでいてもよい。推定部121により取得されるデータセット131は、記憶部13に記憶される。
【0083】
そして、推定部121は、複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデル120を用いて、複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセット131を入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力する(ステップS12)。
【0084】
ステップS12において、推定部121は、複数のセンサ51~5Nの各々から過去の基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセットと搬送異常の発生原因(異常種類)ごとの当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデル120(図8、9参照)を用いて、複数のセンサ51~5Nの各々から新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセット131を入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を搬送異常の発生原因(異常種類)ごとに推定して出力してもよい。
【0085】
次に、出力信号送信部122が、推定部121により出力される搬送異常度を、あらかじめ定められた閾値152と比較する(ステップS13)。
【0086】
推定部121により出力される搬送異常度が閾値152を超えている場合には(ステップS13:YES)、出力信号送信部122は、メンテナンス通知および/またはアラームを出力するための出力信号を、出力部14を介して出力装置4に送信する(ステップS14)。
【0087】
他方、推定部121により出力される搬送異常度が閾値152を超えていない場合には(ステップS13:NO)、再学習部123が、当該新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセット131を正常時のラベルが付された教師データとして学習済みモデル120を再学習させる(ステップS15)。
【0088】
以上のような本実施の形態によれば、推定部121が、過去の基板搬送時におけるセンサデータを含むデータセットと当該基板搬送時における搬送異常度との関係性を機械学習した学習済みモデル120を用いることで、新たな基板搬送時におけるセンサデータを含むデータセット131について、複数の指標データから総合して、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を推定して出力することができる。これにより、基板搬送中におけるセンサの出力と基板搬送前の位置合わせ時に記憶されたセンサの出力との差が一定の閾値を超えると異常と判断する従来の態様に比べて、搬送異常の検出確率を向上できる。また、学習済みモデル120を用いることで、従来の態様では扱いにくかった機器の振動、音、画像データなどをセンサデータとして利用することが可能である。
【0089】
また、本実施の形態によれば、推定部121により推定された搬送異常度が閾値152を超えている場合に、出力信号送信部122が、メンテナンス通知および/またはアラームを出力するための出力信号を出力装置4に送信するため、出力装置4からの出力をトリガとしてユーザ(たとえば基板処理装置1のオペレータ)がメンテナンスを行うことで、ハンドリングミスを事前に防止できる。
【0090】
また、本実施の形態によれば、再学習部123が、新たな基板搬送時に出力されたセンサデータを含むデータセット131を教師データとして学習済みモデル120を再学習させるため、装置の稼働状況の変化に追従していくシステムが得られる。
【0091】
また、図8、9に示す実施の形態によれば、推定部121が、過去の基板搬送時におけるセンサデータを含むデータセットと搬送異常の発生原因(異常種類)ごとの当該基板搬送時における搬送異常度との間に存在する関係性に基づいて、新たな基板搬送時におけるセンサデータを含むデータセットを入力として、当該新たな基板搬送時における搬送異常度を搬送異常の発生原因(異常種類)ごとに推定して出力するため、搬送異常度が高いと推定された搬送異常の発生原因(異常種類)から調査することにより、装置のメンテナンス時間を短縮させることができる。
【0092】
なお、本実施の形態に係る搬送異常予測システム10は、1つのコンピュータまたは量子コンピューティングシステム、もしくは互いにネットワークを介して接続された複数のコンピュータまたは量子コンピューティングシステムによって構成され得るが、1または複数のコンピュータまたは量子コンピューティングシステムに搬送異常予測システム10を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを非一時的(non-transitory)に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体も、本件の保護対象である。
【0093】
以上、本発明の実施の形態および変形例を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。また、各実施の形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 基板処理装置
2 基板搬送部
3a、3b ノズル
4 出力装置
51~5N センサ
6 トップリング
10 搬送異常予測システム
11 入力部
12 制御部
121 推定部
122 出力信号送信部
123 再学習部
13 記憶部
131 データセット
132 閾値
14 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14