(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
H10K 85/10 20230101AFI20230725BHJP
C08K 5/56 20060101ALI20230725BHJP
C08L 65/00 20060101ALI20230725BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230725BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20230725BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230725BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20230725BHJP
H10K 101/10 20230101ALN20230725BHJP
H10K 101/30 20230101ALN20230725BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20230725BHJP
【FI】
H10K85/10
C08K5/56
C08L65/00
C09K11/06 660
C09K11/06 690
H10K50/12
H10K50/15
H10K85/30
H10K101:10
H10K101:30
H10K101:40
(21)【出願番号】P 2020515532
(86)(22)【出願日】2019-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2019017476
(87)【国際公開番号】W WO2019208648
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2018085560
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々田 敏明
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/123269(WO,A1)
【文献】特開2016-111355(JP,A)
【文献】特開2012-131995(JP,A)
【文献】国際公開第2012/086670(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/058160(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/093822(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0193611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 85/10
C08K 5/56
C08L 65/00
C09K 11/06
H10K 50/12
H10K 50/15
H10K 85/30
H10K 101/10
H10K 101/30
H10K 101/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の有機層及び第2の有機層と、を有する発光素子であり、
第1の有機層が、燐光発光性化合物を含有する層であり、
第2の有機層が、末端基と、前記末端基に結合するブロックと、前記末端基に結合しないブロックとを含むブロック共重合体、及び、前記ブロック共重合体の架橋体のうち、少なくとも1種を含有する層であり、
前記末端基に結合しないブロックが、下記式(X)で表される非架橋性の構成単位及び下記式(Z)で表される非架橋性の構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含み、
前記末端基に結合しないブロック中の前記式(X)で表される非架橋性の構成単位の合計個数及び前記式(Z)で表される非架橋性の構成単位の合計個数をそれぞれX
I及びZ
Iとし、前記末端基に結合するブロック中の前記式(X)で表される非架橋性の構成単位の合計個数及び前記式(Z)で表される非架橋性の構成単位の合計個数をそれぞれX
II及びZ
IIとするとき、下記式(i)~(iii)の少なくとも1つを満たす、発光素子。
X
I>X
II (i)
Z
I>Z
II (ii)
X
I+Z
I>X
II+Z
II (iii)
【化1】
[式中、
a
X1及びa
X2は、それぞれ独立に、0以上10以下の整数を表す。
Ar
X1及びAr
X3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
X2及びAr
X4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar
X2が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。Ar
X4が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
R
X1、R
X2及びR
X3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
X2が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。R
X3が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。]
【化2】
[式中、Ar
Zは、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項2】
前記燐光発光性化合物が、下記式(1)で表される燐光発光性化合物である、請求項1に記載の発光素子。
【化3】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
n
1は1以上の整数を表し、n
2は0以上の整数を表す。但し、Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n
1+n
2は3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n
1+n
2は2である。
E
1及びE
2は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。但し、E
1及びE
2の少なくとも一方は炭素原子である。E
1が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。E
2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
環L
1は、置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。前記置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環L
1が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
環L
2は、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。前記置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環L
2が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
環L
1が有していてもよい置換基と環L
2が有していてもよい置換基とは、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
A
1-G
1-A
2は、アニオン性の2座配位子を表す。A
1及びA
2は、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。G
1は、単結合、又は、A
1及びA
2とともに2座配位子を構成する原子団を表す。A
1-G
1-A
2が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。]
【請求項3】
前記式(1)で表される燐光発光性化合物が、下記式(1-A)で表される燐光発光性化合物である、請求項2に記載の発光素子。
【化4】
[式中、
M、n
1、n
2、E
1及びA
1-G
1-A
2は、前記と同じ意味を表す。
環L
1Aは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアゾール環又はジアゾール環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環L
1Aが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
E
21A、E
22A、E
23A及びE
24Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。E
21A、E
22A、E
23A及びE
24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。E
21Aが窒素原子の場合、R
21Aは存在しない。E
22Aが窒素原子の場合、R
22Aは存在しない。E
23Aが窒素原子の場合、R
23Aは存在しない。E
24Aが窒素原子の場合、R
24Aは存在しない。
R
21A、R
22A、R
23A及びR
24Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
21A、R
22A、R
23A及びR
24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。R
21AとR
22A、R
22AとR
23A、R
23AとR
24A、及び、環L
1Aが有していてもよい置換基とR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
環L
2Aは、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環を表す。]
【請求項4】
前記式(1-A)で表される燐光発光性化合物が、下記式(1-B1)、式(1-B2)、式(1-B3)、式(1-B4)又は式(1-B5)で表される燐光発光性化合物である、請求項3に記載の発光素子。
【化5】
[式中、
M、n
1、n
2、R
21A、R
22A、R
23A、R
24A及びA
1-G
1-A
2は、前記と同じ意味を表す。
n
11及びn
21は、それぞれ独立に、1又は2を表す。但し、Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n
11+n
21は3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n
11+n
21は2である。
R
11B、R
12B、R
13B、R
14B、R
15B、R
16B、R
17B及びR
18Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
11B、R
12B、R
13B、R
14B、R
15B、R
16B、R
17B及びR
18Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
式(1-B1)中、R
11BとR
12B、R
12BとR
13B、R
13BとR
14B、及び、R
11BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-B2)中、R
13BとR
14B、R
13BとR
15B、R
15BとR
16B、R
16BとR
17B、R
17BとR
18B、及び、R
18BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-B3)中、R
11BとR12B、R
12BとR
13B、R
13BとR
14B、R
11BとR
21A、R
13BとR
15B、R
15BとR
16B、R
16BとR
17B、R
17BとR
18B、及び、R
18BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する
原子とともに環を形成していてもよい。式(1-B4)中、R
11BとR
18B、R
14BとR
15B、R
15BとR
16B、R
16BとR
17B、R
17BとR
18B、及び、R
11BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-B5)中、R
11BとR
12B、R
12BとR
18B、R
15BとR
16B、R
16BとR
17B、R
17BとR
18B、及び、R
11BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【請求項5】
前記式(1-A)で表される燐光発光性化合物が、下記式(1-A1)、式(1-A2)、式(1-A3)又は式(1-A4)で表される燐光発光性化合物である、請求項3に記載の発光素子。
【化6】
【化7】
[式中、M、n
1、n
2、R
21A、R
22A、R
23A、R
24A及びA
1-G
1-A
2は、前記と同じ意味を表す。
R
11A、R
12A及びR
13Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
11A、R
12A及びR
13Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
式(1-A1)中、R
11AとR
21Aとは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-A2)中、R
12AとR
13Aとは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-A3)及び式(1-A4)中、R
11AとR
12A、R
12AとR
13A、及び、R
11AとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【請求項6】
前記末端基に結合するブロックが、前記式(X)で表される非架橋性の構成単位又は前記式(Z)で表される非架橋性の構成単位を含まない、請求項1~
5のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記末端基に結合するブロックが、下記式(Y)で表される非架橋性の構成単位、前記式(X)で表される非架橋性の構成単位、前記式(Z)で表される非架橋性の構成単位及び架橋性基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の発光素子。
【化8】
[式中、Ar
Y1
は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。]
【請求項8】
前記末端基に結合しないブロックが、式(Y)で表される非架橋性の構成単位及び架橋性基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の発光素子。
【化9】
[式中、Ar
Y1は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。]
【請求項9】
前記ブロック共重合体が架橋性基を有する構成単位を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項10】
前記架橋性基を有する構成単位が、下記式(2)で表される構成単位及び下記式(2’)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項
7~9のいずれか一項に記載の発光素子。
【化10】
[式中、
nAは0以上5以下の整数を表し、nは1以上5以下の整数を表す。nAが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
Ar
3は、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
L
Aは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。L
Aが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
Xは、前記架橋性基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。]
【化11】
[式中、
mAは0以上5以下の整数を表し、mは1以上5以下の整数を表し、cは0又は1を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
Ar
5は、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
4及びAr
6は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
4、Ar
5及びAr
6はそれぞれ、該基が結合している窒素原子に結合している該基以外の基と、直接又は酸素原子もしくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。
K
Aは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。K
Aが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
X’は、前記架橋性基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、前記架橋性基である。]
【請求項11】
前記架橋性基が、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、オキシラン、オキセタン、アジリジン、アゼチジン、アジド、ベンゾシクロブテン及びナフトシクロブテンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む、請求項
7~10のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項12】
前記架橋性基が、A群中の式(XL-1)~式(XL-19)で表される架橋性基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む、請求項
7~11のいずれか一項に記載の発光素子。
(A群)
【化12】
[式中、
n
XLは、0以上5以下の整数を表す。複数存在するn
XLは、同一であってもよく異なっていてもよい。
R
XLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。R
XLが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
波線は、該波線を有する基が、複数存在する幾何異性体のいずれか1種であるか、又は複数の幾何異性体を含むことを表す。
*1は、結合位置を表す。
A群中の架橋性基は置換基を有していてもよく、該置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
【請求項13】
前記架橋性基が、下記式(XL-1)で表される架橋性基、下記式(XL-16)で表される架橋性基、下記式(XL-17)で表される架橋性基、下記式(XL-18)で表される架橋性基及び下記式(XL-19)で表される架橋性基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む、請求項
7~12のいずれか一項に記載の発光素子。
【化13】
[式中、
*1は、結合位置を表す。
式(XL-1)、式(XL-16)、式(XL-17)、式(XL-18)又は式(XL-19)で表される架橋性基は置換基を有していてもよく、該置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
【請求項14】
前記式(i)を満たす、請求項1~13のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項15】
前記第1の有機層が、下記式(H-1)で表される化合物、下記式(Y)で表される非架橋性の構成単位及び下記式(Z)で表される非架橋性の構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む高分子化合物、又は、これらの両方をさらに含有する層である、請求項1~14のいずれか一項に記載の発光素子。
【化14】
[式中、
Ar
H1及びAr
H2は、それぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
n
H1及びn
H2は、それぞれ独立に、0又は1を表す。n
H1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。複数存在するn
H2は、同一でも異なっていてもよい。
n
H3は、0以上10以下の整数を表す。
L
H1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、-[C(R
H11)
2]n
H11-で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。L
H1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。n
H11は、1以上10以下の整数を表す。
R
H11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
複数存在するR
H11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
L
H2は、-N(-L
H21-R
H21)-で表される基を表す。L
H2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。L
H21は、単結合、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
H21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【化15】
[式中、Ar
Y1は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。]
【化16】
[式中、Ar
Zは、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項16】
前記第1の有機層が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料をさらに含有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項17】
前記第1の有機層と、前記第2の有機層とが、隣接している、請求項1~16のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項18】
前記第2の有機層が、前記陽極と前記第1の有機層との間に設けられた層である、請求項1~17のいずれか一項に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子は、ディスプレイ及び照明の用途に好適に使用することが可能であり、研究開発が行われている。例えば、特開2012-131995号公報(特許文献1)には、ブロックを含まない高分子化合物(例えば、高分子化合物CP2)のみを含有する正孔輸送層と、燐光発光性化合物を含有する発光層とを有する発光素子が開示されている。また、特開2016-111355号公報(特許文献2)には、ブロックを含む高分子化合物(例えば、高分子化合物P4)の硬化物を含有する正孔輸送層と、燐光発光性化合物を含有する発光層とを有する発光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-131995号公報
【文献】特開2016-111355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した発光素子は、輝度寿命が必ずしも十分ではなかった。
そこで、本発明は、輝度寿命が優れる発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]~[14]を提供する。
【0006】
[1] 陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の有機層及び第2の有機層と、を有する発光素子であり、
第1の有機層が、燐光発光性化合物を含有する層であり、
第2の有機層が、末端基と、前記末端基に結合するブロックと、前記末端基に結合しないブロックとを含むブロック共重合体、及び、前記ブロック共重合体の架橋体のうち、少なくとも1種を含有する層であり、
前記末端基に結合しないブロックが、下記式(X)で表される非架橋性の構成単位及び下記式(Z)で表される非架橋性の構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含み、
前記末端基に結合しないブロック中の前記式(X)で表される非架橋性の構成単位の合計個数及び前記式(Z)で表される非架橋性の構成単位の合計個数をそれぞれX
I及びZ
Iとし、前記末端基に結合するブロック中の前記式(X)で表される非架橋性の構成単位の合計個数及び前記式(Z)で表される非架橋性の構成単位の合計個数をそれぞれX
II及びZ
IIとするとき、下記式(i)~(iii)の少なくとも1つを満たす、発光素子。
X
I>X
II (i)
Z
I>Z
II (ii)
X
I+Z
I>X
II+Z
II (iii)
【化1】
[式中、
a
X1及びa
X2は、それぞれ独立に、0以上10以下の整数を表す。
Ar
X1及びAr
X3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
X2及びAr
X4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar
X2が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。Ar
X4が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
R
X1、R
X2及びR
X3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
X2が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。R
X3が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。]
【化2】
[式中、Ar
Zは、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[2] 前記燐光発光性化合物が、下記式(1)で表される燐光発光性化合物である、[1]に記載の発光素子。
【化3】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
n
1は1以上の整数を表し、n
2は0以上の整数を表す。但し、Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n
1+n
2は3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n
1+n
2は2である。
E
1及びE
2は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。但し、E
1及びE
2の少なくとも一方は炭素原子である。E
1が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。E
2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
環L
1は、置換基を有していてもよい芳香族複素環を表す。前記置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環L
1が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
環L
2は、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。前記置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環L
2が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
環L
1が有していてもよい置換基と環L
2が有していてもよい置換基とは、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
A
1-G
1-A
2は、アニオン性の2座配位子を表す。A
1及びA
2は、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。G
1は、単結合、又は、A
1及びA
2とともに2座配位子を構成する原子団を表す。A
1-G
1-A
2が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。]
[3] 前記式(1)で表される燐光発光性化合物が、下記式(1-A)で表される燐光発光性化合物である、[2]に記載の発光素子。
【化4】
[式中、
M、n
1、n
2、E
1及びA
1-G
1-A
2は、前記と同じ意味を表す。
環L
1Aは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアゾール環又はジアゾール環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環L
1Aが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
E
21A、E
22A、E
23A及びE
24Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。E
21A、E
22A、E
23A及びE
24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。E
21Aが窒素原子の場合、R
21Aは存在しない。E
22Aが窒素原子の場合、R
22Aは存在しない。E
23Aが窒素原子の場合、R
23Aは存在しない。E
24Aが窒素原子の場合、R
24Aは存在しない。
R
21A、R
22A、R
23A及びR
24Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
21A、R
22A、R
23A及びR
24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。R
21AとR
22A、R
22AとR
23A、R
23AとR
24A、及び、環L
1Aが有していてもよい置換基とR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
環L
2Aは、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環を表す。]
[4] 前記式(1-A)で表される燐光発光性化合物が、下記式(1-B1)、式(1-B2)、式(1-B3)、式(1-B4)又は式(1-B5)で表される燐光発光性化合物である、[3]に記載の発光素子。
【化5】
[式中、
M、n
1、n
2、R
21A、R
22A、R
23A、R
24A及びA
1-G
1-A
2は、前記と同じ意味を表す。
n
11及びn
21は、それぞれ独立に、1又は2を表す。但し、Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n
11+n
21は3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n
11+n
21は2である。
R
11B、R
12B、R
13B、R
14B、R
15B、R
16B、R
17B及びR
18Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
11B、R
12B、R
13B、R
14B、R
15B、R
16B、R
17B及びR
18Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
式(1-B1)中、R
11BとR
12B、R
12BとR
13B、R
13BとR
14B、及び、R
11BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-B2)中、R
13BとR
14B、R
13BとR
15B、R
15BとR
16B、R
16BとR
17B、R
17BとR
18B、及び、R
18BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-B3)中、R
11BとR12B、R
12BとR
13B、R
13BとR
14B、R
11BとR
21A、R
13BとR
15B、R
15BとR
16B、R
16BとR
17B、R
17BとR
18B、及び、R
18BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する
原子とともに環を形成していてもよい。式(1-B4)中、R
11BとR
18B、R
14BとR
15B、R
15BとR
16B、R
16BとR
17B、R
17BとR
18B、及び、R
11BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-B5)中、R
11BとR
12B、R
12BとR
18B、R
15BとR
16B、R
16BとR
17B、R
17BとR
18B、及び、R
11BとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
[5] 前記式(1-A)で表される燐光発光性化合物が、下記式(1-A1)、式(1-A2)、式(1-A3)又は式(1-A4)で表される燐光発光性化合物である、[3]に記載の発光素子。
【化6】
【化7】
[式中、M、n
1、n
2、R
21A、R
22A、R
23A、R
24A及びA
1-G
1-A
2は、前記と同じ意味を表す。
R
11A、R
12A及びR
13Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
11A、R
12A及びR
13Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
式(1-A1)中、R
11AとR
21Aとは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-A2)中、R
12AとR
13Aとは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。式(1-A3)及び式(1-A4)中、R
11AとR
12A、R
12AとR
13A、及び、R
11AとR
21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
]
[6] 前記末端基に結合するブロックが、前記式(X)で表される非架橋性の構成単位又は前記式(Z)で表される非架橋性の構成単位を含まない、[1]~[
5]のいずれかに記載の発光素子。
[7] 前記末端基に結合するブロックが、下記式(Y)で表される非架橋性の構成単位、前記式(X)で表される非架橋性の構成単位、前記式(Z)で表される非架橋性の構成単位及び架橋性基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の発光素子。
【化8】
[式中、Ar
Y1
は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。]
[8] 前記末端基に結合しないブロックが、式(Y)で表される非架橋性の構成単位及び架橋性基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位をさらに含む、[1]~[7]のいずれかに記載の発光素子。
【化9】
[式中、Ar
Y1は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。]
[9] 前記ブロック共重合体が架橋性基を有する構成単位を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の発光素子。
[10] 前記架橋性基を有する構成単位が、下記式(2)で表される構成単位及び下記式(2’)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[
7]~[9]のいずれかに記載の発光素子。
【化10】
[式中、
nAは0以上5以下の整数を表し、nは1以上5以下の整数を表す。nAが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
Ar
3は、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
L
Aは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。L
Aが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
Xは、前記架橋性基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。]
【化11】
[式中、
mAは0以上5以下の整数を表し、mは1以上5以下の整数を表し、cは0又は1を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
Ar
5は、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
4及びAr
6は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
4、Ar
5及びAr
6はそれぞれ、該基が結合している窒素原子に結合している該基以外の基と、直接又は酸素原子もしくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。
K
Aは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。K
Aが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
X’は、前記架橋性基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、前記架橋性基である。]
[11] 前記架橋性基が、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、オキシラン、オキセタン、アジリジン、アゼチジン、アジド、ベンゾシクロブテン及びナフトシクロブテンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む、[
7]~[10]のいずれかに記載の発光素子。
[12] 前記架橋性基が、A群中の式(XL-1)~式(XL-19)で表される架橋性基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む、[
7]~[11]のいずれかに記載の発光素子。
(A群)
【化12】
[式中、
n
XLは、0以上5以下の整数を表す。複数存在するn
XLは、同一であってもよく異なっていてもよい。
R
XLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。R
XLが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
波線は、該波線を有する基が、複数存在する幾何異性体のいずれか1種であるか、又は複数の幾何異性体を含むことを表す。
*1は、結合位置を表す。
A群中の架橋性基は置換基を有していてもよく、該置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
[13] 前記架橋性基が、下記式(XL-1)で表される架橋性基、下記式(XL-16)で表される架橋性基、下記式(XL-17)で表される架橋性基、下記式(XL-18)で表される架橋性基及び下記式(XL-19)で表される架橋性基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む、[
7]~[12]のいずれかに記載の発光素子。
【化13】
[式中、
*1は、結合位置を表す。
式(XL-1)、式(XL-16)、式(XL-17)、式(XL-18)又は式(XL-19)で表される架橋性基は置換基を有していてもよく、該置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
[14] 前記式(i)を満たす、[1]~[13]のいずれかに記載の発光素子。
[15] 前記第1の有機層が、下記式(H-1)で表される化合物、下記式(Y)で表される非架橋性の構成単位及び下記式(Z)で表される非架橋性の構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む高分子化合物、又は、これらの両方をさらに含有する層である、[1]~[14]のいずれかに記載の発光素子。
【化14】
[式中、
Ar
H1及びAr
H2は、それぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
n
H1及びn
H2は、それぞれ独立に、0又は1を表す。n
H1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。複数存在するn
H2は、同一でも異なっていてもよい。
n
H3は、0以上10以下の整数を表す。
L
H1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、-[C(R
H11)
2]n
H11-で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。L
H1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。n
H11は、1以上10以下の整数を表す。
R
H11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
複数存在するR
H11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
L
H2は、-N(-L
H21-R
H21)-で表される基を表す。L
H2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。L
H21は、単結合、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
H21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【化15】
[式中、Ar
Y1は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。]
【化16】
[式中、Ar
Zは、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[16] 前記第1の有機層が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料をさらに含有する、[1]~[15]のいずれかに記載の発光素子。
[17] 前記第1の有機層と、前記第2の有機層とが、隣接している、[1]~[16]のいずれかに記載の発光素子。
[18] 前記第2の有機層が、前記陽極と前記第1の有機層との間に設けられた層である、[1]~[17]のいずれかに記載の発光素子。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、輝度寿命が優れる発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一態様に係る発光素子の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<共通する用語の説明>
本明細書において共通して用いられる用語について、必要に応じて具体例を挙げて説明すると、特記しない限り以下のとおりである。
【0010】
「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「i-Pr」はイソプロピル基、「t-Bu」はtert-ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
金属錯体及び燐光発光性化合物を表す式中、金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
【0011】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103以上1×108以下である重合体を意味する。
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下である化合物を意味する。
【0012】
「構成単位」とは、高分子化合物の分子鎖に1個以上存在する単位を意味する。なお、高分子化合物の分子鎖に2個以上存在する構成単位を、特に「繰り返し単位」と言う。
「ブロック」とは、ブロック共重合体である高分子化合物の分子鎖を構成するブロックを指しており、1種又は2種以上の構成単位から構成される分子鎖部分(ブロック)である。
「ブロック共重合体」とは、2種以上のブロックを含む高分子化合物を意味する。ブロック共重合体において、互いに隣接するブロックは構成が異なっていることが好ましい。
「互いに隣接するブロックは構成が異なっていること」とは、例えば、互いに隣接するブロックに含まれる構成単位は同一であるが、その組成及び/又は連鎖分布が異なること、並びに、互いに隣接するブロックのうち、一方に含まれる少なくとも1種の構成単位と、他方に含まれる少なくとも1種の構成単位とが異なることが挙げられる。互いに隣接するブロックは、例えば、一方のブロック(以下、「1つ目のブロック」ともいう。)を重合により形成した後、1つ目のブロック存在下、他方のブロックを重合により形成するとともに1つ目のブロックに結合させる方法、及び、互いに隣接するブロックをそれぞれ独立に形成した後、これらのブロックを結合させる方法等により、製造することができる。
【0013】
「架橋性基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基である。架橋性基は、高分子化合物の架橋性が優れることから、好ましくは、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、オキシラン、オキセタン、アジリジン、アゼチジン、アジド、ベンゾシクロブテン及びナフトシクロブテンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を架橋性部位として含む。
上記構造を含む架橋性基としては、上記のA群、すなわち、式(XL-1)~式(XL-19)で表される架橋性基が挙げられる。
【0014】
構成単位が「非架橋性」であるとは、その構成単位が架橋性基を有しないことを意味する。
【0015】
「アルキル基」は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。直鎖状アルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1以上50以下であり、好ましくは1以上20以下である。分岐状アルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3以上50以下であり、好ましくは3以上20以下である。アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、及び、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基)が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3以上50以下であり、好ましくは4以上20以下である。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
「アリール基」は、芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6以上60以下であり、好ましくは6以上20以下であり、より好ましくは6以上10以下である。アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0016】
「アルコキシ基」は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。直鎖状アルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1以上40以下であり、好ましくは1以上10以下である。分岐状アルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3以上40以下であり、好ましくは3以上10以下である。アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3以上40以下であり、好ましくは4以上10以下である。シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6以上60以下であり、好ましくは6以上20以下である。アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0017】
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」としては、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、及び、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
【0018】
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2以上60以下であり、好ましくは4以上20以下である。1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
【0019】
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0020】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。置換アミノ基としては、より具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0021】
「アルケニル基」は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。直鎖状アルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2以上30以下であり、好ましくは3以上20以下である。分岐状アルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3以上30以下であり、好ましくは4以上20以下である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3以上30以下であり、好ましくは4以上20以下である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0022】
「アルキニル基」は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。直鎖状アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2以上20以下であり、好ましくは3以上20以下である。分岐状アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4以上30以下であり、好ましくは4以上20以下である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4以上30以下であり、好ましくは4以上20以下である。
アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0023】
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6以上60以下であり、好ましくは6以上30以下であり、より好ましくは6以上18以下である。アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、ジベンゾシクロへプタンジイル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは、下記の式(A-1)~式(A-23)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基であってもよい。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【化21】
[式中、R及びR
aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。複数存在するR及びR
aはそれぞれ、同一であってもよく異なっていてもよく、R
a同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0029】
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2以上60以下であり、好ましくは3以上20以下であり、より好ましくは4以上15以下である。2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、下記の式(AA-1)~式(AA-34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基であってもよい。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【化28】
[式中、R及びR
aは、前記と同じ意味を表す。]
【0037】
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基又はシクロアルキニル基を表す。置換基は架橋性基であってもよい。
【0038】
<式(X)で表される構成単位>
式(X)で表される構成単位は、非架橋性の構成単位である。
式(X)で表される構成単位は、電荷輸送性向上(とりわけ正孔輸送性向上)に有利な構成単位である。
上記式(X)におけるaX1は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0以上5以下の整数であり、より好ましくは0以上2以下の整数であり、さらに好ましくは0又は1であり、特に好ましくは1である。
aX2は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0以上5以下の整数であり、より好ましくは0以上2以下の整数であり、さらに好ましくは0である。
【0039】
RX1、RX2及びRX3は、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RX1、RX2及びRX3におけるアリール基は、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、ナフタセン環、フルオレン環、ピレン環、ぺリレン環又はクリセン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環又はフルオレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、さらに好ましくは、フェニル基又はフルオレニル基であり、特に好ましくはフェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RX1、RX2及びRX3における1価の複素環基は、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環又はジヒドロアクリジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0040】
ArX1、ArX2、ArX3及びArX4におけるアリーレン基は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ピレンジイル基、フルオレンジイル基又はジベンゾシクロへプタンジイル基であり、より好ましくは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基又はフルオレンジイル基であり、さらに好ましくは、フェニレン基又はフルオレンジイル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1、ArX2、ArX3及びArX4における2価の複素環基は、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環又はジヒドロアクリジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、さらに好ましくは、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0041】
ArX1及びArX3で表されるアリーレン基は、本発明に係る発光素子の輝度寿命がより向上する観点から、好ましくは、式(A-1)~式(A-9)又は式(A-19)~式(A-21)で表される基であり、より好ましくは、式(A-1)~式(A-3)、式(A-8)又は式(A-9)で表される基であり、さらに好ましくは式(A-1)~式(A-3)で表される基であり、特に好ましくは式(A-1)で表される基である。
ArX1及びArX3で表される2価の複素環基は、本発明に係る発光素子の輝度寿命がより向上する観点から、好ましくは、式(AA-1)~式(AA-15)又は式(AA-18)~式(AA-22)で表される基であり、より好ましくは、式(AA-1)~式(AA-6)又は式(AA-10)~式(AA-15)で表される基である。
ArX1及びArX3は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0042】
ArX2及びArX4で表されるアリーレン基としては、本発明に係る発光素子の輝度寿命がより向上する観点から、好ましくは、式(A-1)~式(A-14)又は式(A-19)~式(A-23)で表される基であり、より好ましくは、式(A-1)~式(A-10)又は式(A-19)~式(A-21)で表される基であり、さらに好ましくは、式(A-1)~式(A-3)、式(A-6)~式(A-9)又は式(A-19)~式(A-21)で表される基であり、特に好ましくは式(A-1)~式(A-3)、式(A-8)又は式(A-9)で表される基であり、とりわけ好ましくは式(A-1)又は式(A-9)で表される基である。
【0043】
ArX2及びArX4で表される2価の複素環基の好ましい例は、ArX1及びArX3で表される2価の複素環基の好ましい例と同様である。
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の好ましい例は、それぞれ、ArX2及びArX4で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好ましい例と同様である。
【0044】
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0045】
【化29】
[式中、R
XXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0046】
RXXは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0047】
ArX2及びArX4は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0048】
ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基としては、好ましくはフッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又は置換アミノ基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくはアルキル基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0049】
ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例は、それぞれ、RX1~RX3におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基の例及び好ましい例は、RX1、RX2及びRX3におけるアリール基の例及び好ましい例と同様である。アミノ基が有する置換基における1価の複素環基の例及び好ましい例は、RX1~RX3における1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有してもよい置換基がさらに有していてもよい置換基としては、好ましくはフッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又は置換アミノ基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
【0050】
式(X)で表される構成単位は、好ましくは式(X-1)~式(X-7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X-1)~式(X-6)で表される構成単位である。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【化33】
[式中、R
x4及びR
x5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基、シアノ基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR
x4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するR
x5は、同一でも異なっていてもよく、R
x5同士(好ましくは隣接するR
x5同士)は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0055】
Rx4及びRx5は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは水素原子又はアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Rx4及びRx5におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
Rx4及びRx5で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0056】
式(X)で表される構成単位としては、例えば、下記の式(X1-1)~式(X1-19)で表される構成単位が挙げられる。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
<式(Z)で表される構成単位>
式(Z)で表される構成単位は、非架橋性の構成単位である。
ArZで表される2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2以上60以下であり、好ましくは2以上30以下であり、より好ましくは3以上15以下である。
ArZで表される2価の複素環基のヘテロ原子の数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、通常、1以上30以下であり、好ましくは1以上10以下であり、より好ましくは1以上5以下であり、さらに好ましくは、1以上3以下である。
ArZで表される2価の複素環基は、環構成原子として、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子及びセレン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を含む複素環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であることが好ましく、環構成原子として、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を含む複素環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であることがより好ましく、環構成原子として、窒素原子を含む複素環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基(以下、「2価の含窒素複素環基」ともいう。)であることがさらに好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0066】
ArZで表される2価の複素環基において、2価の含窒素複素環基以外の2価の複素環基としては、例えば、ボロール環、フラン環、シロール環、ホスホール環、チオフェン環、セレノフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾボロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾシロール環、ジベンゾホスホール環、ジベンゾチオフェン環又はジベンゾセレノフェン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基が挙げられ、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは式(AA-12)~式(AA-15)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0067】
ArZで表される2価の複素環基において、2価の含窒素複素環基は、電荷輸送性向上(とりわけ正孔輸送性向上)の観点から、環構成原子として二重結合を有さない窒素原子を含み、且つ、環構成原子として二重結合を有する窒素原子を含まない、2価の含窒素複素環基(以下、「二重結合を有さない窒素原子を含む2価の含窒素複素環基」ともいう。)が好ましく、この基は置換基を有していてもよい。また、ArZで表される2価の含窒素複素環基において、2価の含窒素複素環基は、電荷輸送性向上(とりわけ電子輸送性向上)の観点から、環構成原子として二重結合を有する窒素原子を含む、2価の含窒素複素環基(以下、「二重結合を有する窒素原子を含む2価の含窒素複素環基」ともいう。)が好ましく、この基は置換基を有していてもよい。
【0068】
「二重結合を有さない窒素原子」とは、窒素原子と、その窒素原子と結合するすべての原子との間に単結合のみを有する窒素原子を意味する。
「環構成原子に二重結合を有さない窒素原子を含む」とは、-N(-RN)-(式中、RNは水素原子又は置換基を表す。)又は下記式で表される基を環内に含むことを意味する。
【0069】
【0070】
二重結合を有さない窒素原子を含む2価の含窒素複素環基としては、例えば、ピロール環、インドール環、イソインドール環、カルバゾール環、ジヒドロアクリジン環、5,10-ジヒドロフェナジン環、アクリドン環、キナクリドン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、インドロカルバゾール環又はインデノカルバゾール環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基が挙げられ、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上及び電荷輸送性向上(とりわけ正孔輸送性向上)の観点から、好ましくは、カルバゾール環、ジヒドロアクリジン環、5,10-ジヒドロフェナジン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、インドロカルバゾール環又はインデノカルバゾール環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、カルバゾール環、ジヒドロアクリジン環、5,10-ジヒドロフェナジン環、フェノキサジン環又はフェノチアジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、さらに好ましくは、カルバゾール環、フェノキサジン環又はフェノチアジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、式(AA-10)、式(AA-11)、式(AA-18)~式(AA-21)で表される基であり、とりわけ好ましくは、式(AA-18)又は式(AA-19)で表される基である。
【0071】
「二重結合を有する窒素原子」とは、窒素原子と、その窒素原子と結合する原子との間に二重結合を有する窒素原子を意味する。
「環構成原子として二重結合を有する窒素原子を含む」とは、-N=で表される基を環内に含むことを意味する。
【0072】
二重結合を有する窒素原子を含む2価の含窒素複素環基としては、ジアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ベンゾジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアザナフタレン環、アザアントラセン環、ジアザアントラセン環、トリアザアントラセン環、アザフェナントレン環、ジアザフェナントレン環又はトリアザフェナントレン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子2個を除いた基が挙げられ、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上及び電荷輸送性向上(とりわけ電子輸送性向上)の観点から、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、アザアントラセン環、ジアザアントラセン環、アザフェナントレン環又はジアザフェナントレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環又はトリアジン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、さらに好ましくは、式(AA-1)-式(AA-4)で表される基であり、特に好ましくは、式(AA-4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0073】
ArZにおいて、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基の例及び好ましい例は、ArX1及びArX3で表されるアリーレン基の例及び好ましい例と同様である。
ArZにおいて、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、2価の複素環基の例及び好ましい例は、ArZで表される2価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
ArZにおける少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の例としては、例えば、ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の例が挙げられる。
【0074】
ArZで表される基が有していてもよい置換基としては、好ましくはフッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又は置換アミノ基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくはアルキル基又はアリール基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
ArZで表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
【0075】
ArZで表される基が有していてもよい置換基が有してもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0076】
式(Z)で表される構成単位は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上及び電荷輸送性向上(とりわけ電子輸送性向上)の観点から、好ましくは式(Z-1)-式(Z-4)で表される構成単位であり、より好ましくは式(Z-1)又は式(Z-3)で表される構成単位であり、さらに好ましくは式(Z-1)で表される構成単位である。
また、式(Z)で表される構成単位は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上及び電荷輸送性向上(とりわけ正孔輸送性向上)の観点から、好ましくは式(Z-5)-式(Z-7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(Z-5)で表される構成単位である。
【0077】
【0078】
【化44】
[式中、R
Y1及びR
Y3は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR
Y1は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0079】
RY1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子又はアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RY3は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RY1及びRY3で表される基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
RY1及びRY3が有してもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0080】
式(Z-1)で表される構成単位は、式(Z-1’)で表される構成単位であることが好ましい。また、式(Z-3)で表される構成単位は、式(Z-3’)で表される構成単位であることが好ましい。
【0081】
【化45】
[式中、R
Y1及びR
Y3は前記と同じ意味を表す。]
【0082】
【化46】
[式中、R
Y1は前記を同じ意味を表す。R
Y4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0083】
RY4は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RY4で表される基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
RY4が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0084】
式(Z)で表される構成単位としては、例えば、式(Z-201)-式(Z-215)で表される2価の複素環基からなる構成単位、式(Z-301)-式(Z-310)で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基からなる構成単位が挙げられる。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【化52】
[式中、
Z
Aは、-O-で表される基又は-S-で表される基を表す。Z
Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Z
Bは、-CH=で表される基又は-N=で表される基を表す。Z
Bが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0091】
ZAは、好ましくは-O-で表される基である。ZBは、好ましくは-N=で表される基である。
【0092】
<架橋性基の説明>
本発明に係る第2の有機層に含有されるブロック共重合体(以下、「本発明に係るブロック共重合体」ともいう。)は、架橋性基を含み得る。
本発明に係るブロック共重合体が架橋性基を含む場合、架橋性基は、本発明に係るブロック共重合体の架橋性が優れることから、好ましくは、式(XL-1)~式(XL-4)、式(XL-7)~式(XL-10)又は式(XL-14)~式(XL-19)で表される架橋性基であり、より好ましくは、式(XL-1)、式(XL-3)、式(XL-9)、式(XL-10)又は式(XL-16)~式(XL-19)で表される架橋性基であり、さらに好ましくは、式(XL-1)又は式(XL-16)~式(XL-19)で表される架橋性基であり、特に好ましくは、式(XL-1)又は式(XL-17)で表される架橋性基であり、とりわけ好ましくは式(XL-17)で表される架橋性基である。
本発明に係るブロック共重合体において、架橋性基は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
上記A群中の架橋性基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0093】
本発明に係るブロック共重合体が架橋性基を含む場合、本発明に係るブロック共重合体は、架橋性基を、架橋性基を有する構成単位として含むことが好ましく、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(2’)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋性基を有する構成単位を含むことがより好ましい。
すなわち、架橋性基を有する構成単位は、式(2)で表される構成単位又は上記式(2’)で表される構成単位であることが好ましい。このことにより、本発明に係るブロック共重合体の架橋性が優れる傾向にある。
【0094】
〔式(2)で表される構成単位〕
nAは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0以上3以下の整数であり、より好ましくは0以上2以下の整数であり、さらに好ましくは0又は1である。
nは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは1以上3以下の整数であり、より好ましくは1又は2であり、さらに好ましくは2である。
【0095】
上記式(2)においてAr3は、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar3は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
Ar3における芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6以上60以下であり、好ましくは6以上30以下であり、より好ましくは6以上18以下である。
Ar3における芳香族炭化水素基のn個の置換基を除いたアリーレン基部分の例及び好ましい範囲は、ArY1で表される基の例及び好ましい例と同様である。
Ar3における芳香族炭化水素基のn個の置換基を除いたアリーレン基部分は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは、式(A-1)~式(A-20)で表される基であり、より好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-6)~式(A-10)、式(A-19)又は式(A-20)で表される基であり、さらに好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-7)、式(A-9)又は式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0096】
Ar3における複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2以上60以下であり、好ましくは3以上30以下であり、より好ましくは4以上18以下である。
Ar3における複素環基のn個の置換基を除いた2価の複素環基部分の例及び好ましい範囲は、ArZで表される基の例及び好ましい例と同様である。
Ar3における複素環基のn個の置換基を除いた2価の複素環基部分としては、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは、式(AA-1)~式(AA-34)で表される基である。
【0097】
Ar3における芳香族炭化水素基及び複素環基が有していてもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基又はシアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、さらに好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Ar3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
Ar3で表される基が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0098】
LAにおけるアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1以上20以下であり、好ましくは1以上15以下であり、より好ましくは1以上10以下である。LAにおけるシクロアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3以上20以下である。
アルキレン基及びシクロアルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基及びシクロアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、オクチレン基が挙げられる。
LAにおけるアルキレン基及びシクロアルキレン基が有していてもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
LAにおけるアリーレン基は、置換基を有していてもよい。LAにおけるアリーレン基の例及び好ましい範囲は、ArY1で表される基の例及び好ましい例と同様であるが、好ましくは、フェニレン基又はフルオレンジイル基であり、より好ましくは、m-フェニレン基、p-フェニレン基、フルオレン-2,7-ジイル基、フルオレン-9,9-ジイル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
LAにおけるアリーレン基が有していてもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シアノ基又は架橋性基(好ましくは、上記A群から選ばれる架橋性基)であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
LAにおける2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、ArZで表される基の例及び好ましい例と同様である。
LAにおける2価の複素環基は、好ましくは、式(AA-1)~式(AA-34)で表される基である。
【0099】
LAは、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点から、好ましくは、アリーレン基又はアルキレン基であり、より好ましくは、フェニレン基、フルオレンジイル基又はアルキレン基であり、さらに好ましくは、アルキレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
LAで表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、Ar3で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0100】
R’は、好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R’で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0101】
上記式(2)においてXは、好ましくは上記A群より選ばれる架橋性基である。Xが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
Xにおける架橋性基は、ブロック共重合体の架橋性が優れることから、好ましくは、式(XL-1)~式(XL-4)、式(XL-7)~式(XL-10)又は式(XL-14)~式(XL-19)で表される架橋性基であり、より好ましくは、式(XL-1)、式(XL-3)、式(XL-9)、式(XL-10)又は式(XL-16)~式(XL-19)で表される架橋性基であり、さらに好ましくは、式(XL-1)又は式(XL-16)~式(XL-19)で表される架橋性基であり、特に好ましくは、式(XL-1)又は式(XL-17)で表される架橋性基であり、とりわけ好ましくは式(XL-17)で表される架橋性基である。
【0102】
〔式(2’)で表される構成単位〕
mAは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0以上3以下の整数であり、より好ましくは0以上2以下の整数であり、さらに好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
mは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは1以上3以下の整数であり、より好ましくは1又は2であり、さらに好ましくは2である。
cは、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点及び本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0である。
【0103】
Ar5は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
Ar5における芳香族炭化水素基のm個の置換基を除いたアリーレン基部分の定義及び例は、前述の式(X)におけるArX2で表されるアリーレン基の定義及び例と同様である。
Ar5における複素環基のm個の置換基を除いた2価の複素環基部分の定義及び例は、前述の式(X)におけるArX2で表される2価の複素環基部分の定義及び例と同様である。
Ar5における少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環が直接結合した基のm個の置換基を除いた2価の基の定義及び例は、前述の式(X)におけるArX2で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の定義及び例と同様である。
【0104】
Ar4及びAr6は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは、置換基を有していてもよいアリーレン基である。
Ar4及びAr6におけるアリーレン基の定義及び例は、前述の式(X)におけるArX1及びArX3におけるアリーレン基の定義及び例と同様である。
Ar4及びAr6における2価の複素環基の定義及び例は、前述の式(X)におけるArX1及びArX3における2価の複素環基の定義及び例と同様である。
Ar4、Ar5及びAr6が有していてもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基又はシアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、さらに好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくはアルキル基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Ar4~Ar6で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
Ar4~Ar6で表される基が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0105】
KAにおけるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義及び例は、それぞれ、前述の式(2)のLAにおけるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義及び例と同様である。
KAの例及び好ましい例は、LAの例及び好ましい例と同様であるが、KAは、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点から、好ましくは、フェニレン基又はメチレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
KAで表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、LAで表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0106】
R’’の例及び好ましい例は、R’の例及び好ましい例と同様である。
【0107】
X’は、好ましくは、架橋性基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、架橋性基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
X’におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
X’で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
上記式(2’)において、少なくとも1つのX’は、架橋性基であり、好ましくは上記A群より選ばれる架橋性基である。
X’における架橋性基の定義及び例は、前述の式(2)のXにおける架橋性基の定義及び例と同様である。
【0108】
〔式(2)又は(2’)で表される構成単位の具体例〕
式(2)で表される構成単位としては、例えば、下記の式(2-1)~式(2-30)で表される構成単位が挙げられ、式(2’)で表される構成単位としては、例えば、下記の式(2’-1)~式(2’-9)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、架橋性基を有する構成単位は、本発明に係るブロック共重合体の架橋性向上の観点から、好ましくは、式(2-1)~式(2-30)で表される構成単位であり、より好ましくは、式(2-1)~式(2-15)、式(2-19)、式(2-20)、式(2-23)、式(2-25)又は式(2-30)で表される構成単位であり、さらに好ましくは、式(2-1)~式(2-9)又は式(2-30)で表される構成単位である。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
〔架橋性基を有するその他の構成単位〕
本発明に係るブロック共重合体が架橋性基を含む場合、本発明に係るブロック共重合体は、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(2’)で表される構成単位以外の構成単位を含むことによって架橋性基を含んでもよい。
すなわち、架橋性基を有する構成単位は、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(2’)で表される構成単位以外の架橋性基を有する構成単位であってもよい。上記式(2)で表される構成単位及び上記式(2’)で表される構成単位以外の架橋性基を有する構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位が挙げられる。
【0114】
【0115】
<式(Y)で表される構成単位>
式(Y)で表される構成単位は、非架橋性の構成単位である。
ArY1で表される基は、発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ピレンジイル基、フルオレンジイル基又はジベンゾシクロへプタンジイル基であり、より好ましくは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基又はフルオレンジイル基であり、さらに好ましくは、フェニレン基、アントラセンジイル基又はフルオレンジイル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0116】
ArY1で表される基が有していてもよい置換基は、好ましくは、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、さらに好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくはアルキル基又はアリール基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0117】
ArY1で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
ArY1で表される基が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0118】
本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましい式(Y)で表される構成単位の例としては、下記の式(Y-1)~(Y-4)で表される構成単位であり、より好ましくは式(Y-1)、式(Y-2)又は式(Y-4)で表される構成単位であり、さらに好ましくは、式(Y-2)で表される構成単位である。
【0119】
【化58】
[式中、
R
Y1は前記と同じ意味を表す。
X
Y1は、-C(R
Y2)
2-、-C(R
Y2)=C(R
Y2)-又は-C(R
Y2)
2-C(R
Y2)
2-で表される基を表す。R
Y2は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR
Y2は、同一であってもよく異なっていてもよく、R
Y2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0120】
RY2は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RY2で表される基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
RY2が有していてもよい置換基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0121】
XY1において、-C(RY2)2-で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基若しくはシクロアルキル基、両方がアリール基、両方が1価の複素環基、又は、一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基若しくは1価の複素環基であり、より好ましくは両方がアルキル基若しくはシクロアルキル基、両方がアリール基、又は、一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、さらに好ましくは一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
2個存在するRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、-C(RY2)2-で表される基としては、好ましくは式(Y-A1)-式(Y-A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-A4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0122】
【0123】
XY1において、-C(RY2)=C(RY2)-で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基若しくはシクロアルキル基、又は、一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0124】
XY1において、-C(RY2)2-C(RY2)2-で表される基中の4個のRY2は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基である。
複数あるRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、-C(RY2)2-C(RY2)2-で表される基は、好ましくは下記の式(Y-B1)-式(Y-B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-B3)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0125】
【化60】
[式中、R
Y2は前記と同じ意味を表す。]
【0126】
XY1は、好ましくは、-C(RY2)2-で表される基である。
【0127】
式(Y-1)で表される構成単位は、好ましくは下記の式(Y-1’)で表される構成単位である。式(Y-2)で表される構成単位は、好ましくは下記の式(Y-2’)で表される構成単位である。式(Y-3)で表される構成単位は、好ましくは下記の式(Y-3’)で表される構成単位である。式(Y-4)で表される構成単位は、好ましくは下記の式(Y-4’)で表される構成単位である。
【0128】
【化61】
[式中、R
Y1及びX
Y1は前記と同じ意味を表す。
R
Y11は、フッ素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR
Y11は、同一であってもよく異なっていてもよい。]
【0129】
RY11は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RY11で表される基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
RY11が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0130】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば式(Y-11)~式(Y-49)で表される構成単位が挙げられる。
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
<燐光発光性化合物>
本発明に係る発光素子における第1の有機層に含有される燐光発光性化合物について、説明する。
燐光発光性化合物は、通常、室温(25℃)で燐光発光性を示す化合物を意味するが、好ましくは、室温で三重項励起状態からの発光を示す金属錯体である。この三重項励起状態からの発光を示す金属錯体は、中心金属原子及び配位子を有する。
【0143】
中心金属原子としては、例えば、原子番号40以上の原子で、錯体にスピン-軌道相互作用があり、一重項状態と三重項状態との間の項間交差を起こし得る金属原子が挙げられる。金属原子としては、例えば、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子及び白金原子が挙げられ、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくはイリジウム原子又は白金原子である。
【0144】
配位子としては、例えば、中心金属原子との間に、配位結合及び共有結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を形成する、中性若しくはアニオン性の単座配位子、又は、中性若しくはアニオン性の多座配位子が挙げられる。中心金属原子と配位子との間の結合としては、例えば、金属-窒素結合、金属-炭素結合、金属-酸素結合、金属-リン結合、金属-硫黄結合及び金属-ハロゲン結合が挙げられる。多座配位子とは、通常、2座以上6座以下の配位子を意味する。
【0145】
〔式(1)で表される燐光発光性化合物〕
燐光発光性化合物は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、上記式(1)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0146】
Mは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、イリジウム原子又は白金原子であることが好ましく、イリジウム原子であることがより好ましい。
Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n1は2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n1は2であることが好ましい。
【0147】
(環L1及び環L2)
環L1に含まれるE1及び環L2に含まれるE2は、炭素原子であることが好ましい。
【0148】
環L1で表される芳香族複素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2以上60以下であり、好ましくは3以上30以下であり、より好ましくは4以上15以下である。環L1は、5員の芳香族複素環又は6員の芳香族複素環であることが好ましく、2つ以上4つ以下の窒素原子を構成原子として有する5員の芳香族複素環又は1つ以上4つ以下の窒素原子を構成原子として有する6員の芳香族複素環であることがより好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。但し、環L1が6員の芳香族複素環である場合、E1は炭素原子であることが好ましい。
環L1としては、例えば、ジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環及びジアザナフタレン環が挙げられ、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアゾール環又はジアゾール環であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環又はジアゾール環であり、さらに好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環又はジアザナフタレン環であり、特に好ましくは、ピリジン環、キノリン環又はイソキノリン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0149】
環L2で表される芳香族炭化水素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
環L2で表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、フルオレン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環及びこれらの環が2個以上5個以下縮合した環が挙げられ、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環又はジヒドロフェナントレン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、フルオレン環又はジヒドロフェナントレン環であり、さらに好ましくはベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0150】
環L2で表される芳香族複素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~60であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~15である。
環L2で表される芳香族複素環としては、ピロール環、ジアゾール環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環及びこれらの環に芳香環が1個以上5個以下縮合した環が挙げられ、発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、さらに好ましくは、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。環L2が6員の芳香族複素環である場合、E2は炭素原子であることが好ましい。
環L2は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、ベンゼン環、フルオレン環、ジヒドロフェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、さらに好ましくはベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0151】
環L1及び環L2が有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、さらに好ましくは、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アリール基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0152】
本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、式(1)で表される燐光発光性化合物において、環L1及び環L2のうち、少なくとも1つは置換基を有することが好ましい。
【0153】
環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基としては、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、フェントレニル基、ジヒドロフェントレニル基又はフルオレニル基であり、より好ましくは、フェニル基又はフルオレニル基であり、さらに好ましくはフェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
環L1及び環L2が有していてもよい置換基における1価の複素環基としては、好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、フェノキサジニル基又はフェノチアジニル基であり、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基又はカルバゾリル基であり、さらに好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基又はトリアジニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
環L1及び環L2が有していてもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基の例及び好ましい例は、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基の例及び好ましい例と同様である。アミノ基が有する置換基における1価の複素環基の例及び好ましい例は、環L1及び環L2が有していてもよい置換基における1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
【0154】
環L1及び環L2が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは、アルキル基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
環L1及び環L2が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
【0155】
環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基は、発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、式(D-A)、式(D-B)又は式(D-C)で表される基であり、より好ましくは式(D-A)又は式(D-B)で表される基であり、さらに好ましくは式(D-A)で表される基である。
【0156】
【化73】
[式中、
m
DA1、m
DA2及びm
DA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
G
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
DA1、Ar
DA2及びAr
DA3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar
DA1、Ar
DA2及びAr
DA3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
T
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するT
DAは、同一であってもよく異なっていてもよい。]
【0157】
【化74】
[式中、
m
DA1、m
DA2、m
DA3、m
DA4、m
DA5、m
DA6及びm
DA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
G
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するG
DAは、同一であってもよく異なっていてもよい。
Ar
DA1、Ar
DA2、Ar
DA3、Ar
DA4、Ar
DA5、Ar
DA6及びAr
DA7は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar
DA1、Ar
DA2、Ar
DA3、Ar
DA4、Ar
DA5、Ar
DA6及びAr
DA7が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
T
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するT
DAは、同一であってもよく異なっていてもよい。]
【0158】
【化75】
[式中、
m
DA1は、0以上の整数を表す。
Ar
DA1は、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar
DA1が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
T
DAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0159】
mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、通常10以下の整数であり、好ましくは5以下の整数であり、より好ましくは2以下の整数であり、さらに好ましくは0又は1である。mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、同一の整数であることが好ましく、mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、同一の整数であることがより好ましい。
【0160】
GDAは、好ましくは芳香族炭化水素基又は複素環基であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環又はカルバゾール環から環を構成する炭素原子又は窒素原子に直接結合する水素原子3個を除いてなる基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
GDAが有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
GDAが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
GDAが有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
GDAが有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
GDAは、好ましくは、下記の式(GDA-11)~式(GDA-15)で表される基であり、より好ましくは、下記の式(GDA-11)~式(GDA-14)で表される基であり、さらに好ましくは、下記の式(GDA-11)又は式(GDA-14)で表される基であり、特に好ましくは下記の式(GDA-11)で表される基である。
【0161】
【化76】
[式中、
*は、式(D-A)におけるAr
DA1、式(D-B)におけるAr
DA1、式(D-B)におけるAr
DA2、又は、式(D-B)におけるAr
DA3との結合を表す。
**は、式(D-A)におけるAr
DA2、式(D-B)におけるAr
DA2、式(D-B)におけるAr
DA4、又は、式(D-B)におけるAr
DA6との結合を表す。
***は、式(D-A)におけるAr
DA3、式(D-B)におけるAr
DA3、式(D-B)におけるAr
DA5、又は、式(D-B)におけるAr
DA7との結合を表す。
R
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R
DAが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。]
【0162】
RDAは、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RDAにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例は、それぞれ、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
RDAが有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、GDAが有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0163】
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、好ましくは、フェニレン基、フルオレンジイル基又はカルバゾールジイル基であり、より好ましくは、下記の式(ArDA-1)~式(ArDA-5)で表される基であり、さらに好ましくは、下記の式(ArDA-1)~式(ArDA-3)で表される基であり、特に好ましくは下記の式(ArDA-2)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0164】
【化77】
[式中、
R
DAは、前記と同じ意味を表す。
R
DBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
DBが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。]
【0165】
RDBは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
RDBにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例は、それぞれ、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
RDBが有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、GDAが有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0166】
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、GDAが有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0167】
TDAにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例は、それぞれ、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
TDAが有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、GDAが有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
TDAは、好ましくは、下記の式(TDA-1)~式(TDA-3)で表される基であり、より好ましくは下記の式(TDA-1)で表される基である。
【0168】
【化78】
[式中、R
DA及びR
DBは、前記と同じ意味を表す。]
【0169】
式(D-A)で表される基は、好ましくは、下記の式(D-A1)~式(D-A5)で表される基であり、より好ましくは、下記の式(D-A1)又は式(D-A3)~式(D-A5)で表される基であり、さらに好ましくは、下記の式(D-A1)で表される基である。
【0170】
【化79】
[式中、
R
p1、R
p2、R
p3及びR
p4は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
p1、R
p2及びR
p4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
np1は、0以上5以下の整数を表し、np2は0以上3以下の整数を表し、np3は0又は1を表し、np4は0以上4以下の整数を表す。複数存在するnp1は、同一であってもよく異なっていてもよい。]
【0171】
式(D-B)で表される基は、好ましくは、下記の式(D-B1)~式(D-B3)で表される基であり、より好ましくは、下記の式(D-B1)で表される基である。
【0172】
【化80】
[式中、
R
p1、R
p2及びR
p3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
p1及びR
p2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
np1は0以上5以下の整数を表し、np2は0以上3以下の整数を表し、np3は0又は1を表す。np1及びnp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。]
【0173】
式(D-C)で表される基は、好ましくは、下記の式(D-C1)~式(D-C4)で表される基であり、より好ましくは、下記の式(D-C1)~式(D-C3)で表される基であり、さらに好ましくは、式(D-C1)で表される基である。
【0174】
【化81】
[式中、
R
p4、R
p5及びR
p6は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
p4、R
p5及びR
p6が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
np4は0以上4以下の整数を表し、np5は0以上5以下の整数を表し、np6は0以上5以下の整数を表す。]
【0175】
np1は、好ましくは0以上2以下の整数であり、より好ましくは1である。np2は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。np3は好ましくは0である。
np4は、好ましくは0以上2以下の整数であり、より好ましくは0である。np5は、好ましくは0以上3以下の整数であり、より好ましくは0又は1である。np6は、好ましくは0以上2以下の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0176】
Rp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5及びRp6におけるアルキル基又はシクロアルキル基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基又はtert-オクチル基である。
Rp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5及びRp6におけるアルコキシ基又はシクロアルコキシ基としては、好ましくは、メトキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基又はシクロへキシルオキシ基である。
【0177】
Rp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5及びRp6は、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基又はtert-オクチル基である。
【0178】
環L1が有していてもよい置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していないことが好ましい。環L2が有していてもよい置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していないことが好ましい。環L1が有していてもよい置換基と、環L2が有していてもよい置換基とは、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していないことが好ましい。
【0179】
(アニオン性の2座配位子)
式(1)におけるA1-G1-A2で表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記式で表される配位子が挙げられる。但し、A1-G1-A2で表されるアニオン性の2座配位子は、添え字n1でその数を定義されている配位子とは異なる。
【0180】
【化82】
[式中、*は、Mと結合する部位を表す。]
【0181】
〔式(1-A)で表される燐光発光性化合物〕
式(1)で表される燐光発光性化合物は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、上記式(1-A)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0182】
環L1Aは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環又はジアゾール環であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環又はジアザナフタレン環であり、さらに好ましくは、ピリジン環、キノリン環又はイソキノリン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環L1Aが有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、環L1及び環L2が有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
環L1Aが有していてもよい置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成してしないことが好ましい。
【0183】
環L2Aがピリジン環である場合、E21Aが窒素原子であるピリジン環、E22Aが窒素原子であるピリジン環、又は、E23Aが窒素原子であるピリジン環が好ましく、E22Aが窒素原子であるピリジン環がより好ましい。
環L2Aがジアザベンゼン環である場合、E21A及びE23Aが窒素原子であるピリミジン環、又は、E22A及びE24Aが窒素原子であるピリミジン環が好ましく、E22A及びE24Aが窒素原子であるピリミジン環がより好ましい。
環L2Aは、ベンゼン環であることが好ましい。
E21A、E22A、E23A及びE24Aは、炭素原子であることが好ましい。
【0184】
R21A、R22A、R23A及びR24Aは、発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、水素原子、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、さらに好ましくは、水素原子又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R21A、R23A及びR24Aは、特に好ましくは、水素原子である。
【0185】
式(1-A)で表される燐光発光性化合物において、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、環L1Aの少なくとも1つが置換基を有するか、或いは、R21A、R22A、R23A及びR24Aの少なくとも1つがアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子であることが好ましい。
【0186】
R21A、R22A、R23A及びR24Aにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
R21A、R22A、R23A及びR24Aが有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、環L1及び環L2が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
R21AとR22A、R22AとR23A、R23AとR24A、及び、環L1Aが有していてもよい置換基とR21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成してしないことが好ましい。
【0187】
〔式(1-A1)~式(1-A4)、式(1-B1)~式(1-B5)で表される燐光発光性化合物〕
式(1-A)で表される燐光発光性化合物は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、上記の式(1-A1)~式(1-A4)(好ましくは、上記の式(1-A1)又は式(1-A3)で表される燐光発光性化合物であり、より好ましくは、上記の式(1-A1)で表される燐光発光性化合物である。)又は上記の式(1-B1)~式(1-B5)で表される燐光発光性化合物(好ましくは、上記の式(1-B1)~式(1-B3)で表される燐光発光性化合物であり、より好ましくは、上記の式(1-B1)で表される燐光発光性化合物である。)であり、より好ましくは、上記の式(1-B1)~式(1-B5)で表される燐光発光性化合物であり、さらに好ましくは、上記の式(1-B1)~式(1-B3)で表される燐光発光性化合物であり、特に好ましくは、上記の式(1-B1)で表される燐光発光性化合物である。
【0188】
[式(1-A1)~式(1-A4)で表される燐光発光性化合物]
式(1-A1)及び式(1-A3)中、R11Aは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(1-A3)中、R12Aは、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0189】
式(1-A2)及び式(1-A4)中、R12Aは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(1-A4)中、R11Aは、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0190】
式(1-A1)~式(1-A4)中、R13Aは、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0191】
R11A、R12A及びR13Aにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
R11A、R12A及びR13Aが有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、環L1及び環L2が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0192】
式(1-A1)~式(1-A4)中、R11AとR12A、R12AとR13A、及び、R11AとR21Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成しないことが好ましい。
【0193】
[式(1-B1)~式(1-B5)で表される燐光発光性化合物]
R11B、R12B、R13B、R14B、R15B、R16B、R17B及びR18Bは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0194】
R11B、R14B、R15B、R16B、R17B及びR18Bは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、水素原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R12B及びR13Bは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、好ましくは、水素原子、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは水素原子又は1価の複素環基であり、さらに好ましくは、水素原子であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0195】
R11B、R12B、R13B、R14B、R15B、R16B、R17B及びR18Bにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例は、それぞれ、環L1及び環L2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい例と同様である。
R11B、R12B、R13B、R14B、R15B、R16B、R17B及びR18Bが有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、環L1及び環L2が有していてもよい置換基がさらに有していてもよい置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0196】
式(1-B1)~式(1-B5)中、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上に有利であることから、R11B、R12B、R13B、R14B、R11B、R12B、R13B、R14B、R15B、R16B、R17B、R18B、R21A、R22A、R23A及びR24Aの少なくとも1つは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子であることが好ましく、R12B、R13B、R22A及びR23Aの少なくとも1つは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子であることがより好ましく、R13B及びR22Aの少なくとも1つはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることがさらに好ましく、R22Aの少なくとも1つはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0197】
式(1-B1)~式(1-B5)中、R11BとR12B、R12BとR13B、R13BとR14B、R11BとR21A、R13BとR15B、R15BとR16B、R16BとR17B、R17BとR18B、R18BとR21A、R11BとR18B、R1
4BとR15B、及び、R12BとR18Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していないことが好ましい。
【0198】
〔燐光発光性化合物の具体例〕
燐光発光性化合物としては、例えば、下記式で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
燐光発光性化合物は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.、American Dye Source等から入手可能である。
また、「Journal of the American Chemical Society,Vol.107,1431-1432(1985)」、「Journal of the American Chemical Society,Vol.106,6647-6653(1984)」、特表2004-530254号公報、特開2008-179617号公報、特開2011-105701号公報、特表2007-504272号公報、国際公開第2006/121811号、特開2013-147450号公報、特開2014-224101号公報等の文献に記載の公知の方法により製造することも可能である。
【0205】
<ブロック共重合体>
本発明に係るブロック共重合体は、末端基と、末端基に結合したブロック(以下、「末端ブロック」ともいう。)と、末端基に結合しないブロック(以下、「非末端ブロック」ともいう。)とを含むブロック共重合体である。すなわち、本発明に係るブロック共重合体は、末端基、末端ブロック及び非末端ブロックをこの順に含むブロック共重合体である。
本発明に係るブロック共重合体は、好ましくは、末端基と、末端ブロックと、非末端ブロックと、末端ブロックと、末端基と、をこの順に含む。本発明に係るブロック共重合体において、上記2つの末端基は、同一であってもよく異なっていてもよいが、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点から、同一であることが好ましい。また、この本発明に係るブロック共重合体において、上記2つの末端ブロックは、同一であってもよく異なっていてもよいが、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点から、同一であることが好ましい。
【0206】
本発明に係るブロック共重合体は、末端基、末端ブロック及び非末端ブロック以外の構成単位を含んでいてもよいが、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点から、本発明に係るブロック共重合体は、末端基、末端ブロック及び非末端ブロックのみからなることが好ましい。
末端基、末端ブロック及び非末端ブロック以外の構成単位としては、例えば、接合単位及び分岐単位が挙げられる。
本発明に係るブロック共重合体は、架橋性基を含んでもよいし、架橋性基を含まなくてもよいが、本発明に係る発光素子を湿式法で形成でき、かつ、発光素子の製造において、層の積層化が容易となるので、本発明に係るブロック共重合体は、架橋性基を含むことが好ましい。
【0207】
本発明に係るブロック共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、例えば2×103以上5×106以下であり、好ましくは5×103以上1×106以下であり、より好ましくは1×104以上5×105以下であり、さらに好ましくは2×104以上1×105以下である。
本発明に係るブロック共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、例えば5×103以上1×107以下であり、好ましくは1×104以上5×106以下であり、より好ましくは5×104以上1×106以下であり、さらに好ましくは1×105以上5×105以下であり、特に好ましくは1×105以上3×105以下である。
【0208】
〔末端基〕
末端基とは、本発明に係るブロック共重合体の末端に配置されるとともに、末端ブロックに直接結合する基であり、好ましくは、本発明に係るブロック共重合体に末端基を導入する際に用いる試剤(末端封止剤)における該試剤導入後の残基としての原子団である。
本発明に係るブロック共重合体の安定性の観点から、末端基は、好ましくは、本発明に係るブロック共重合体のすべての末端に配置される。末端基が複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよいが、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点から、同一であることが好ましい。
本発明に係るブロック共重合体の安定性の観点から、末端基は、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基である。末端基において、アリール基及び1価の複素環基は置換基を有していてもよいが、好ましくは、置換基を有しない。
本発明に係るブロック共重合体の架橋性を高めるために、末端基は、架橋性基を含むことが好ましく、架橋性基であることがより好ましい。架橋性基の例及び好ましい例は、上述の架橋性基についての説明において述べた例及び好ましい例が当てはまる。
【0209】
末端基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例は、それぞれ、RX1~RX3におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
末端基におけるアリール基及び1価の複素環基が有していてもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は架橋性基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は架橋性基であり、さらに好ましくは、アルキル基又は架橋性基であり、特に好ましくはアルキル基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよいが、さらに置換基を有さないことがとりわけ好ましい。
末端基におけるアリール基及び1価の複素環基が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例は、それぞれ、RX1~RX3におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
末端基におけるアリール基及び1価の複素環基が有していてもよい置換基における架橋性基の例及び好ましい例は、上述の架橋性基についての説明において述べた例及び好ましい例と同様である。
【0210】
〔非末端ブロック〕
非末端ブロックは、末端基に直接結合しないブロックであって、1種以上の構成単位からなるブロックである。非末端ブロックに含まれる構成単位は、通常、1種以上10種以下であり、本発明に係るブロック共重合体の合成が容易になる観点から、好ましくは1種以上7種以下であり、より好ましくは2種以上5種以下であり、さらに好ましくは2種以上4種以下であり、特に好ましくは3種又は4種である。
本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックは1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。本発明に係るブロック共重合体に含まれる非末端ブロックは、通常、1種以上10種以下であり、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点から、好ましくは1種以上5種以下であり、より好ましくは1種以上3種以下であり、さらに好ましくは1種又は2種であり、特に好ましくは1種である。
非末端ブロックの種類が異なる場合としては、例えば、ブロックを構成する構成単位の種類が異なる場合、並びに、各構成単位の含有率及び連鎖分布が異なる場合が挙げられる。非末端ブロックが複数存在する場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。
非末端ブロックの少なくとも1つは、本発明に係るブロック共重合体の製造において、末端ブロックを形成する前に形成されるブロックであることが好ましい。
【0211】
非末端ブロックは、式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む。非末端ブロックにおいて、式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位は、それぞれ、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよいし、1種以上の式(X)で表される構成単位及び1種以上の式(Z)で表される構成単位が含まれていてもよい。
非末端ブロックは、好ましくは、式(X)で表される構成単位を含む。
非末端ブロックは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、式(Y)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位をさらに含むことが好ましく、式(Y)で表される構成単位、又は、式(Y)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位をさらに含むことがより好ましく、式(Y)で表される構成単位のみ、又は、式(Y)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位のみをさらに含むことがさらに好ましい。非末端ブロックにおいて、式(Y)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位は、それぞれ、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0212】
本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに含まれる構成単位のうちの少なくとも1種が非末端ブロックに含まれないこと、及び/又は、非末端ブロックに含まれる構成単位のうちの少なくとも1種が末端ブロックに含まれないことが好ましく、末端ブロックに含まれる構成単位のうちの少なくとも1種が第1の非末端ブロックに含まれないこと、及び、非末端ブロックに含まれる構成単位のうちの少なくとも1種が末端ブロックに含まれないことがより好ましい。
【0213】
本発明に係るブロック共重合体に含まれる非末端ブロックのポリスチレン換算の数平均分子量は、例えば1×103以上1×106以下であり、好ましくは2×103以上5×105以下であり、より好ましくは3×103以上1×105以下であり、さらに好ましくは5×103以上5×104以下である。
本発明に係るブロック共重合体に含まれる非末端ブロックのポリスチレン換算の重量平均分子量は、例えば2×103以上2×106以下であり、好ましくは3×103以上1×106以下であり、より好ましくは5×103以上5×105以下であり、さらに好ましくは1×104以上2×105以下である。
【0214】
〔末端ブロック〕
末端ブロックは、末端基に直接結合するブロックであって、1種以上の構成単位からなるブロックである。末端ブロックに含まれる構成単位は、通常、1種以上10種以下であり、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点及び本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは1種以上7種以下であり、より好ましくは2種以上5種以下であり、さらに好ましくは2種又は3種である。
本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックは1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。本発明に係るブロック共重合体に含まれる末端ブロックは、通常、1種以上10種以下であり、本発明に係るブロック共重合体の製造容易性の観点から、好ましくは1種以上5種以下であり、より好ましくは1種以上3種以下であり、さらに好ましくは1種である。
末端ブロックの種類が異なる場合の例としては、非末端ブロックの種類が異なる場合の例と同様である。
末端ブロックは、本発明に係るブロック共重合体の製造において、末端基を形成する前(好ましくは末端封止剤と反応させる前)に形成されるブロックであることが好ましい。
【0215】
末端ブロックは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位、式(Z)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むことが好ましく、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むことがより好ましく、式(Y)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むことが更に好ましく、式(Y)で表される構成単位、又は、式(Y)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位を含むことが特に好ましく、式(Y)で表される構成単位のみ、又は、式(Y)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位のみを含むことがとりわけ好ましい。
【0216】
末端ブロックにおいて、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位、式(Z)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位は、それぞれ、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
末端ブロックは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、式(X)で表される構成単位を含まないこと又は式(Z)で表される構成単位を含まないことが好ましく、式(Z)で表される構成単位を含まないことがより好ましく、式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位を含まないことがさらに好ましい。
【0217】
本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロック及び非末端ブロックは、それぞれ独立に、単独重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体及びグラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、共重合体であることが好ましい。
本発明に係るブロック共重合体は、式(X)で表される非架橋性の構成単位及び式(Z)で表される非架橋性の構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む。
本発明に係るブロック共重合体は、ブロック共重合体の製造が容易になり、且つ、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位、式(Z)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位からなる群より選ばれる2種以上15種以下の構成単位を含むブロック共重合体であることが好ましく、2種以上10種以下の構成単位を含むブロック共重合体であることがより好ましい。3種以上7種以下の構成単位を含むブロック共重合体であることがさらに好ましく、4種以上6種以下の構成単位を含むブロック共重合体であることが特に好ましい。
本発明に係るブロック共重合体には、式(X)で表される構成単位、式(Z)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位及び架橋性基を有する構成単位が、それぞれ、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
本発明に係るブロック共重合体は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
本発明に係るブロック共重合体は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、式(Y)で表される構成単位と、式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位からなる群より選ばれる1種以上の構成単位とを含むブロック共重合体であることが好ましく、式(Y)で表される構成単位と、式(X)で表される構成単位とを含むブロック共重合体であることがより好ましい。
本発明に係るブロック共重合体に含まれる構成単位の種類の合計は、ブロック共重合体の製造が容易になり、且つ、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは2種以上20種以下であり、より好ましくは2種以上15種以下であり、さらに好ましくは2種以上10種以下であり、特に好ましくは3種以上7種以下であり、とりわけ好ましくは4種以上6種以下である。
【0218】
〔ブロック共重合体の架橋体〕
本発明に係る発光素子において、第2の有機層が、本発明に係るブロック共重合体の架橋体を含む場合、本発明に係る発光素子を湿式法で形成でき、かつ、本発明に係る発光素子の製造において、層の積層化が容易となる。本発明に係るブロック共重合体の架橋体は、架橋性基を含むブロック共重合体の架橋体である。
本発明に係るブロック共重合体が架橋性基をさらに含むブロック共重合体である場合、本発明に係るブロック共重合体は、式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位からなる群より選ばれる1種以上の構成単位(好ましくは、式(X)で表される構成単位)と、架橋性基とを含むブロック共重合体であることが好ましく、式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位からなる群より選ばれる1種以上の構成単位(好ましくは、式(X)で表される構成単位)と、架橋性基を有する構成単位とを含むブロック共重合体であることがより好ましく、式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位からなる群より選ばれる1種以上の構成単位(好ましくは、式(X)で表される構成単位)と、架橋性基を有する構成単位と、式(Y)で表される構成単位とを含むブロック共重合体であることがさらに好ましく、式(X)で表される構成単位と、架橋性基を有する構成単位と、式(Y)で表される構成単位とを含むブロック共重合体であることが特に好ましい。
【0219】
本発明に係るブロック共重合体が架橋性基をさらに含むブロック共重合体である場合、末端基、末端ブロック及び非末端ブロックからなる群より選ばれる少なくとも1つは架橋性基を含むことが好ましく、末端ブロック及び非末端ブロックからなる群より選ばれる少なくとも1つは架橋性基を含むことがより好ましく、末端ブロック及び非末端ブロックからなる群より選ばれる少なくとも1つは架橋性基を有する構成単位を含むことがさらに好ましい。このことにより、架橋性基の導入量を高めやすくなるため、本発明に係るブロック共重合体の架橋性を十分な程度まで高めやすくなる。
本発明に係るブロック共重合体の架橋体におけるブロック共重合体の例及び好ましい範囲等は、本発明に係るブロック共重合体の項で説明した例及び好ましい範囲等と同様である。
【0220】
〔構成単位の合計個数〕
本明細書において、高分子化合物に含まれる各構成単位の合計個数は、高分子化合物の分子量1000あたりの構成単位の平均数を意味する。また、高分子化合物に含まれる架橋性基の合計個数は、高分子化合物の分子量1000あたりの架橋性基の平均数を意味する。
高分子化合物に含まれる各構成単位及び架橋基の合計個数は、例えば、以下の方法で求めることができる。
高分子化合物を構成する各構成単位について、末端基を除く全構成単位の総モルに対するその構成単位のモル比とその構成単位の分子量とを乗じた値の総和をD2とし、各構成単位について求めたモル比の総和をE3とし、モル比とその構成単位が有する架橋性基の数とを乗じた値の総和をE4とすると、高分子化合物に含まれる各構成単位の合計個数は、(E3×1000)/D2となり、高分子化合物に含まれる架橋性基の合計個数は、(E4×1000)/D2となる。
高分子化合物を構成する各構成単位の分子量は、例えば、ChemDraw(ヒューリンクス社製)のMolecular Weightの値を用いて、算出することができる。
【0221】
具体的な各構成単位の合計個数及び架橋性基の合計個数の算出方法を、合成例1で合成したブロック共重合体HTL-1を例に挙げて詳細に説明する。
【0222】
ブロック共重合体HTL-1は、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位とが40:30:2.5のモル比で構成される非末端ブロック、及び、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位とが10:10:7.5のモル比で構成される末端ブロックを有する。
化合物M1から誘導される構成単位の分子量は653.05、化合物M2から誘導される構成単位の分子量は751.12、化合物M3から誘導される構成単位の分子量は388.64、化合物M4から誘導される構成単位の分子量は176.22、化合物M5から誘導される構成単位の分子量は368.48である。
化合物M1から誘導される構成単位が有する架橋性基の数は0、化合物M2から誘導される構成単位が有する架橋性基の数は0、化合物M3から誘導される構成単位が有する架橋性基の数は0、化合物M4から誘導される構成単位が有する架橋性基の数は0、化合物M5から誘導される構成単位が有する架橋性基の数は2である。
化合物M1から誘導される構成単位は式(Y)で表される構成単位であり、化合物M2から誘導される構成単位は式(X)で表される構成単位であり、化合物M3から誘導される構成単位は式(Y)で表される構成単位であり、化合物M4から誘導される構成単位は式(Y)で表される構成単位であり、化合物M5から誘導される構成単位は架橋性基を有する構成単位である。
【0223】
D2は、以下のとおり求められる。
(653.05×0.40)+(751.12×0.30)+(388.64×0.025)+(653.05×0.10)+(176.22×0.10)+(368.48×0.075)=606.835
【0224】
ブロック共重合体HTL-1において、各構成単位のE3は、以下のとおり求められる。
(非末端ブロックにおける式(Y)で表される構成単位のE3)=0.40+0.025=0.425
(非末端ブロックにおける式(X)で表される構成単位のE3)=0.30
(非末端ブロックにおける式(Z)で表される構成単位のE3)=0
(非末端ブロックにおける式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位のE3)=0.30+0=0.30
(非末端ブロックにおける架橋性基を有する構成単位のE3)=0
(末端ブロックにおける式(Y)で表される構成単位のE3)=0.10+0.10=0.20
(末端ブロックにおける式(X)で表される構成単位のE3)=0
(末端ブロックにおける式(Z)で表される構成単位のE3)=0
(末端ブロックにおける式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位のE3)=0
(末端ブロックにおける架橋性基を有する構成単位のE3)=0.075
(ブロック共重合体における式(Y)で表される構成単位のE3)=0.40+0.025+0.10+0.10=0.625
(ブロック共重合体における式(X)で表される構成単位のE3)=0.30
(ブロック共重合体における式(Z)で表される構成単位のE3)=0
(ブロック共重合体における式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位のE3)=0.30+0=0.30
(ブロック共重合体における架橋性基を有する構成単位のE3)=0.075
【0225】
E4は、以下のとおり求められる。
(非末端ブロックにおけるE4)=(0.40×0)+(0.30×0)+(0.025×0)=0
(末端ブロックにおけるE4)=(0.10×0)+(0.10×0)+(0.075×2)=0.15
(ブロック共重合体におけるE4)=(0.40×0)+(0.30×0)+(0.025×0)+(0.10×0)+(0.10×0)+(0.075×2)=0.15
【0226】
ブロック共重合体HTL-1において、各構成単位及び架橋性基の合計個数は、以下のとおり求められる。
(非末端ブロックにおける式(Y)で表される構成単位の合計個数)=(0.425×1000)/606.835=0.700
(非末端ブロックにおける式(X)で表される構成単位の合計個数)=XI=(0.30×1000)/606.835=0.494
(非末端ブロックにおける式(Z)で表される構成単位の合計個数)=ZI=(0×1000)/606.835=0
(非末端ブロックにおける式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位の合計個数)=XI+ZI=(0.30×1000)/606.835=0.494
(非末端ブロックにおける架橋性基を有する構成単位の合計個数)=(0×1000)/606.835=0
(非末端ブロックにおける架橋性基の合計個数)=(0×1000)/606.835=0
(末端ブロックにおける式(Y)で表される構成単位の合計個数)=(0.20×1000)/606.835=0.330
(末端ブロックにおける式(X)で表される構成単位の合計個数)=XII=(0×1000)/606.835=0
(末端ブロックにおける式(Z)で表される構成単位の合計個数)=ZII=(0×1000)/606.835=0
(末端ブロックにおける式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位の合計個数)=XII+ZII=(0×1000)/606.835=0
(末端ブロックにおける架橋性基を有する構成単位の合計個数)=(0.075×1000)/606.835=0.124
(末端ブロックにおける架橋性基の合計個数)=(0.15×1000)/606.835=0.247
(ブロック共重合体における式(Y)で表される構成単位の合計個数)=(0.625×1000)/606.835=1.030
(ブロック共重合体における式(X)で表される構成単位の合計個数)=(0.30×1000)/606.835=0.494
(ブロック共重合体における式(Z)で表される構成単位の合計個数)=(0×1000)/606.835=0
(ブロック共重合体における式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位の合計個数)=(0.30×1000)/606.835=0.494
(ブロック共重合体における架橋性基を有する構成単位の合計個数)=(0.075×1000)/606.835=0.124
(ブロック共重合体における架橋性基の合計個数)=(0.15×1000)/606.835=0.247
【0227】
本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに含まれる式(Y)で表される構成単位の合計個数は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに式(Y)で表される構成単位が含まれる場合、非末端ブロックに含まれる式(Y)で表される構成単位の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0.01以上20以下であり、より好ましくは0.05以上10以下であり、さらに好ましくは0.1以上5以下であり、特に好ましくは0.1以上3以下であり、とりわけ好ましくは0.1以上2以下であり、0.5以上2以下であってもよい。
本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに含まれる式(X)で表される構成単位の合計個数(XI)は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに式(X)で表される構成単位が含まれる場合、非末端ブロックに含まれる式(X)で表される構成単位の合計個数(XI)は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0.01以上20以下であり、より好ましくは0.05以上10以下であり、さらに好ましくは0.1以上3以下であり、特に好ましくは0.2以上2以下であり、とりわけ好ましくは0.3以上2以下であり、0.2以上1以下であってもよい。
本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに含まれる式(Z)で表される構成単位の合計個数(ZI)は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに式(Z)で表される構成単位が含まれる場合、非末端ブロックに含まれる式(Z)で表される構成単位の合計個数(ZI)は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0以上20以下であり、より好ましくは0以上3以下であり、さらに好ましくは0以上1以下であり、特に好ましくは0である。
本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに含まれる式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位の合計個数(XI+ZI)は、通常0.001以上50以下であり、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0.01以上20以下であり、より好ましくは0.05以上10以下であり、さらに好ましくは0.1以上3以下であり、特に好ましくは0.2以上3以下であり、とりわけ好ましくは0.3以上2以下であり、0.2以上1以下であってもよい。
本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに含まれる架橋性基を有する構成単位の合計個数は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに架橋性基を有する構成単位が含まれる場合、非末端ブロックに含まれる架橋性基を有する構成単位の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点及び本発明に係るブロック共重合体の架橋性向上の観点から、好ましくは0.001以上20以下であり、より好ましくは0.005以上10以下であり、さらに好ましくは0.01以上5以下であり、さらに好ましくは0.01以上2以下であり、とりわけ好ましくは0.05以上1以下であり、とりわけより好ましくは0.05以上0.5以下である。
本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに含まれる架橋性基の合計個数は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体において、非末端ブロックに架橋性基が含まれる場合、非末端ブロックに含まれる架橋性基の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点及び本発明に係るブロック共重合体の架橋性向上の観点から、好ましくは0.001以上20以下であり、より好ましくは0.01以上10以下であり、さらに好ましくは0.05以上5以下であり、特に好ましくは0.1以上2以下であり、とりわけ好ましくは0.1以上1以下である。
本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに含まれる式(Y)で表される構成単位の合計個数は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに式(Y)で表される構成単位が含まれる場合、末端ブロックに含まれる式(Y)で表される構成単位の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0.005以上20以下であり、より好ましくは0.01以上10以下であり、さらに好ましくは0.05以上5以下であり、特に好ましくは0.1以上1以下である。
本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに含まれる式(X)で表される構成単位の合計個数(XII)は、通常0以上10以下であり、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0以上5以下であり、より好ましくは0以上1以下であり、さらに好ましくは0以上0.5以下であり、特に好ましくは0以上0.3以下であり、0以上0.1以下であってもよく、特に好ましくは0であってもよい。
本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに含まれる式(Z)で表される構成単位の合計個数(ZII)は、通常0以上10以下であり、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0以上5以下であり、より好ましくは0以上1以下であり、さらに好ましくは0以上0.1以下であり、特に好ましくは0である。
本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに含まれる式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位の合計個数(XII+ZII)は、通常0以上10以下であり、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0以上5以下であり、より好ましくは0以上1以下であり、さらに好ましくは0以上0.5以下であり、特に好ましくは0以上0.3以下であり、0以上0.1以下であってもよく、0であってもよい。
本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに含まれる架橋性基を有する構成単位の合計個数は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに架橋性基を有する構成単位が含まれる場合、末端ブロックに含まれる架橋性基を有する構成単位の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点及び本発明に係るブロック共重合体の架橋性向上の観点から、好ましくは0.001以上20以下であり、より好ましくは0.005以上10以下であり、さらに好ましくは0.01以上5以下であり、特に好ましくは0.01以上2以下であり、とりわけ好ましくは0.05以上1以下であり、とりわけより好ましくは0.05以上0.5以下であり、とりわけさらに好ましくは0.1以上0.5以下である。
本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに含まれる架橋性基の合計個数は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体において、末端ブロックに架橋性基が含まれる場合、末端ブロックに含まれる架橋性基の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点及び本発明に係るブロック共重合体の架橋性向上の観点から、好ましくは0.001以上20以下であり、より好ましくは0.01以上10以下であり、さらに好ましくは0.05以上5以下であり、特に好ましくは0.1以上3以下であり、とりわけ好ましくは0.1以上1以下であり、とりわけより好ましくは0.2以上1以下である。
本発明に係るブロック共重合体に含まれる式(Y)で表される構成単位の合計個数は、通常0以上50以下であり、本発明に係るブロック共重合体に式(Y)で表される構成単位が含まれる場合、本発明に係るブロック共重合体に含まれる式(Y)で表される構成単位の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0.01以上20以下であり、より好ましくは0.05以上10以下であり、さらに好ましくは0.1以上5以下であり、特に好ましくは0.1以上3以下であり、0.5以上2以下であってもよい。
本発明に係るブロック共重合体に含まれる式(X)で表される構成単位の合計個数は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体に式(X)で表される構成単位が含まれる場合、本発明に係るブロック共重合体に含まれる式(X)で表される構成単位の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0.01以上20以下であり、より好ましくは0.05以上10以下であり、さらに好ましくは0.1以上5以下であり、特に好ましくは0.1以上3以下であり、とりわけ好ましくは0.2以上2以下であり、0.2以上1以下であってもよい。
本発明に係るブロック共重合体に含まれる式(Z)で表される構成単位の合計個数は、通常0以上50以下であり、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0以上20以下であり、より好ましくは0以上3以下であり、さらに好ましくは0以上1以下であり、特に好ましくは0である。
本発明に係るブロック共重合体に含まれる式(X)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位の合計個数は、通常0.001以上50以下であり、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは0.01以上20以下であり、より好ましくは0.05以上10以下であり、さらに好ましくは0.1以上5以下であり、特に好ましくは0.1以上3以下であり、とりわけ好ましくは0.2以上2以下であり、0.2以上1以下であってもよい。
本発明に係るブロック共重合体に含まれる架橋性基を有する構成単位の合計個数は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体に架橋性基を有する構成単位が含まれる場合、本発明に係るブロック共重合体に含まれる架橋性基を有する構成単位の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点及び本発明に係るブロック共重合体の架橋性向上の観点から、好ましくは0.001以上20以下であり、より好ましくは0.005以上10以下であり、さらに好ましくは0.01以上5以下であり、特に好ましくは0.01以上2以下であり、とりわけ好ましくは0.05以上1以下であり、とりわけより好ましくは0.1以上1以下であり、0.05以上0.5以下であってもよい。
本発明に係るブロック共重合体に含まれる架橋性基の合計個数は、通常0以上50以下である。本発明に係るブロック共重合体に架橋性基が含まれる場合、本発明に係るブロック共重合体に含まれる架橋性基の合計個数は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点及び本発明に係るブロック共重合体の架橋性向上の観点から、好ましくは0.001以上20以下であり、より好ましくは0.01以上10以下であり、さらに好ましくは0.05以上5以下であり、特に好ましくは0.1以上3以下であり、とりわけ好ましくは0.1以上2以下であり、0.1以上1以下であってもよい。
【0228】
本発明に係るブロック共重合体は、式(i)~(iii)の少なくとも1つを満たすことにより、輝度寿命に優れる発光素子を得ることができる。本発明に係るブロック共重合体は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、式(i)~(iii)の少なくとも2つを満たすことが好ましい。
また、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、本発明に係るブロック共重合体は、式(i)又は式(iii)を満たすことが好ましく、式(i)を満たすことがより好ましく、式(i)及び式(ii)、又は、式(i)及び式(iii)を満たすことがさらに好ましく、式(i)及び式(iii)を満たすことが特に好ましい。
【0229】
〔ブロック共重合体の製造方法〕
本発明に係るブロック共重合体は、下記の工程を含む方法によって好適に製造することができる。
〔a〕非末端ブロックを形成する1種又は2種以上の化合物(モノマー)を重合させて非末端ブロックを形成する工程、
〔b〕非末端ブロックの存在下に、末端ブロックを形成する1種又は2種以上の化合物(モノマー)を重合させて、非末端ブロックに末端ブロックを結合させる工程、及び
〔c〕末端基を導入するための試剤(末端封止剤)を末端ブロックと反応させて、末端ブロックに末端基を導入する工程。
上記工程〔a〕は、後述の式(M-5)で表される化合物及び後述の式(M-1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合させて非末端ブロックを形成する工程を含むことが好ましく、後述の式(M-2)で表される化合物、後述の式(M-3)で表される化合物及び後述の式(M-4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、後述の式(M-5)で表される化合物及び後述の式(M-1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを重合させて非末端ブロックを形成する工程を含むことがより好ましく、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、後述の式(M-5)で表される化合物及び後述の式(M-1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを重合させて非末端ブロックを形成する工程を含むことがさらに好ましく、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、後述の式(M-5)で表される化合物の1種以上とを重合させて非末端ブロックを形成する工程を含むことが特に好ましい。
上記工程〔a〕において、本発明に係るブロック共重合体の非末端ブロックが架橋性基を含む場合、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合させることにより、架橋性基を含む非末端ブロックを形成することができる。
本発明に係るブロック共重合体の非末端ブロックが架橋性基を含む場合、上記工程〔a〕は、後述の式(M-5)で表される化合物及び後述の式(M-1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを重合させて非末端ブロックを形成する工程を含むことが好ましく、後述の式(M-5)で表される化合物の1種以上と、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを重合させて非末端ブロックを形成する工程を含むことがより好ましく、後述の式(M-5)で表される化合物の1種以上と、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、後述の式(M-4)で表される化合物の1種以上とを重合させて非末端ブロックを形成する工程を含むことがさらに好ましく、後述の式(M-5)で表される化合物の1種以上と、後述の式(M-2)で表される化合物の1種以上と、後述の式(M-4)で表される化合物の1種以上とを重合させて非末端ブロックを形成する工程を含むことが特に好ましい。
上記工程〔b〕は、非末端ブロックの存在下に、後述の式(M-1)で表される化合物、後述の式(M-2)で表される化合物、後述の式(M-3)で表される化合物、後述の式(M-4)で表される化合物及び後述の式(M-5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合させて、非末端ブロックに末端ブロックを結合させる工程を含むことが好ましく、非末端ブロックの存在下に、後述の式(M-2)で表される化合物、後述の式(M-3)で表される化合物、後述の式(M-4)で表される化合物及び後述の式(M-5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合させて、非末端ブロックに末端ブロックを結合させる工程を含むことがより好ましい。
上記工程〔b〕において、本発明に係るブロック共重合体の末端ブロックが架橋性基を含む場合、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合させることにより、架橋性基を含む末端ブロックを形成することができる。
本発明に係るブロック共重合体の末端ブロックが架橋性基を含む場合、上記工程〔b〕は、非末端ブロックの存在下に、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合させて、非末端ブロックに末端ブロックを結合させる工程を含むことが好ましく、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、後述の式(M-1)で表される化合物、後述の式(M-4)で表される化合物及び後述の式(M-5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを重合させて、非末端ブロックに末端ブロックを結合させる工程を含むことがより好ましく、後述の式(M-2)で表される化合物及び後述の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる群より選ばれる少なくとも1種と、後述の式(M-4)で表される化合物及び後述の式(M-5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを重合させて、非末端ブロックに末端ブロックを結合させる工程を含むことがさらに好ましい。
上記工程〔c〕は、後述の式(M-6)で表される化合物(末端封止剤)を末端ブロックと反応させて、末端ブロックに末端基を導入する工程を含むことが好ましい。上記工程〔c〕において、本発明に係るブロック共重合体の末端基が架橋性基を含む場合、例えば、後述の式(M-6)で表される化合物(末端封止剤)のうち、架橋基を有する化合物(好ましくは、後述の式(M-6)中のArTが架橋性基である化合物)を末端ブロックと反応させることにより、架橋性基を含む末端基を形成することができる。
【0230】
本明細書において、本発明に係るブロック共重合体の製造に使用される化合物を総称して、「原料モノマー」ということがある。
【0231】
上記の各工程において、原料モノマー、すなわち、非末端ブロックを形成する化合物、末端ブロックを形成する化合物及び末端封止剤は、それぞれ、上記[ブロック共重合体の製造方法]の項の記載に照らして、各ブロックが所望の構成単位を含み、各末端基が所望の基で構成されるように選択することができる。
【0232】
本発明に係るブロック共重合体の製造方法の一実施形態では、
上記工程〔a〕は、下記の式(M-4)で表される化合物の1種以上と、下記の式(M-5)で表される化合物及び下記の式(M-1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを重合させて非末端ブロックを形成する工程であり、
上記工程〔b〕は、非末端ブロックの存在下に、下記の式(M-4)で表される化合物の1種以上を重合させて、非末端ブロックに末端ブロックを結合させる工程であり、
上記工程〔c〕は、下記の式(M-6)で表される化合物(末端封止剤)を末端ブロックと反応させて、末端ブロックに末端基を導入する工程である。
非末端ブロックが架橋性基を含む場合、上記一実施形態に係る製造方法における上記工程〔a〕において、下記の式(M-4)で表される化合物の1種以上と、下記の式(M-5)で表される化合物及び下記の式(M-1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、下記の式(M-2)で表される化合物及び下記の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを重合させることにより、架橋性基を含む非末端ブロックを形成することができる。末端ブロックが架橋性基を含む場合、上記一実施形態に係る製造方法における上記工程〔b〕において、下記の式(M-4)で表される化合物の1種以上と、下記の式(M-2)で表される化合物及び下記の式(M-3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを重合させることにより、架橋性基を含む末端ブロックを形成することができる。末端基が架橋性基を含む場合、上記一実施形態に係る製造方法における上記工程〔c〕において、下記の式(M-6)中のArTが架橋性基である化合物を末端ブロックと反応させることにより、架橋性基を含む末端基を形成することができる。
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【化91】
[式中、
Ar
Z、Ar
3、L
A、nA、X、n、Ar
4、Ar
5、Ar
6、K
A、mA、X’、m、c、Ar
Y1、Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3、Ar
X4、R
X1、R
X2、R
X3、a
X1及びa
X2は、前記と同じ意味を表す。
Ar
Tは、アリール基、1価の複素環基又は架橋性基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Z
C1~Z
C11は反応性基であり、それぞれ独立に、B群及びC群からなる群より選ばれる基を表す。]
【0237】
式(M-1)で表される化合物は、式(Z)で表される構成単位を形成できる化合物である。
式(M-2)で表される化合物は、式(2)で表される構成単位を形成できる化合物である。
式(M-3)で表される化合物は、式(2’)で表される構成単位を形成できる化合物である。
式(M-4)で表される化合物は、式(Y)で表される構成単位を形成できる化合物である。
式(M-5)で表される化合物は、式(X)で表される構成単位を形成できる化合物である。
式(M-6)で表される化合物は、末端基を形成できる化合物である。
【0238】
ArTは、ブロック共重合体の安定性の観点から、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。また、ブロック共重合体の架橋性を高めることができるので、ArTは、架橋性基であることが好ましい。
ArTにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例は、上述した末端基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい例と同様である。
ArTにおける架橋性基の例及び好ましい例は、末端基における架橋性基の例及び好ましい例と同様である。
【0239】
B群及びC群はそれぞれ次のとおりである。
(B群)
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-O-S(=O)2RC1(式中、RC1は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)で表される基。
(C群)
-B(ORC2)2(式中、RC2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC2は同一であってもよく異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合する酸素原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基;
-BF3Q'(式中、Q'は、Li、Na、K、Rb又はCsを表す。)で表される基;
-MgY'(式中、Y'は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される基;
-ZnY''(式中、Y''は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される基;及び、
-Sn(RC3)3(式中、RC3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC3は同一であってもよく異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合するスズ原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基。
【0240】
-B(ORC2)2で表される基としては、-B(OH)2のほか、下記式で表される基が例示される。
【0241】
【0242】
各ブロックを形成するための原料モノマーは、前記式(M-1)~式(M-5)で表される化合物がそうであるように、B群又はC群から選ばれる反応性基を2個有することができる。各ブロックを形成するためのそれぞれの原料モノマーが有する2個の反応性基は、原料モノマーの製造が容易であるので、いずれもB群から選ばれるか、又はいずれもC群から選ばれることが好ましい。
【0243】
例えば、B群から選ばれる基を有する化合物とC群から選ばれる基を有する化合物とは、公知のカップリング反応により、B群から選ばれる基に結合する炭素原子とC群から選ばれる基に結合する炭素原子との間に結合が生じる。そのため、B群から選ばれる基を2個有する化合物と、C群から選ばれる基を2個有する化合物とを公知のカップリング反応に供すれば、縮合重合により、これらの化合物の縮合重合体を得ることができる。
【0244】
上記縮合重合によって、非末端ブロックの形成、及び非末端ブロックへの末端ブロックの結合(末端ブロックの形成)を行うことができる。
一例として上記一実施形態に係る製造方法を挙げれば、例えば、ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、ZC5、ZC6、ZC9及びZC10がB群から選ばれる基である場合、ZC7及びZC8としてC群から選ばれる基を選択すれば、縮合重合によって非末端ブロックの形成、及び非末端ブロックへの末端ブロックの結合(末端ブロックの形成)を行うことができる。ZC1、ZC2、ZC3、ZC4、ZC5、ZC6、ZC9及びZC10がC群から選ばれる基である場合、ZC7及びZC8としてB群から選ばれる基を選択すれば、縮合重合によって非末端ブロックの形成、及び非末端ブロックへの末端ブロックの結合(末端ブロックの形成)を行うことができる。
また、上記一実施形態に係る製造方法において、式(M-1)~式(M-5)で表される化合物を2種以上用いる一実施形態について、式(M-4)で表される化合物の2種以上を用いた場合を例に説明する。例えば、式(M-4)で表される化合物の2種以上を用いて、末端ブロックの形成を行う場合、式(M-4)で表される化合物の少なくとも2種の一方の化合物のZC7及びZC8はC群から選ばれる基を選択し、他方の化合物のZC7及びZC8はB群から選ばれる基を選択すれば、縮合重合によって末端ブロックの形成を行うことができる。
【0245】
末端ブロックへの末端基の導入も同様の反応を利用して行うことができる。すなわち、末端ブロックの末端がB群から選ばれる基である場合、ZC11としてC群から選ばれる基を選択すれば、カップリング反応により末端基を導入することができる。末端ブロックの末端がC群から選ばれる基である場合、ZC11としてB群から選ばれる基を選択すれば、カップリング反応により末端基を導入することができる。
【0246】
B群から選ばれる基を2個有する化合物及びC群から選ばれる基を2個有する化合物を原料モノマーとして非末端ブロック及び末端ブロックのそれぞれを形成する上記縮合重合によってブロック共重合体を製造する場合、非末端ブロックを形成する工程(上記工程〔a〕)及び末端ブロックを形成する工程(上記工程〔b〕)のそれぞれにおいて、原料モノマーの使用量比を適切に制御することが好ましい。
すなわち、工程〔a〕において、B群から選ばれる基を2個有する化合物及びC群から選ばれる基を2個有する化合物のいずれか一方を、モル基準で過剰に使用することが好ましい。これにより、末端にB群から選ばれる基を有するか、又はC群から選ばれる基を有する非末端ブロックを確実に製造することができる。過剰に使用する化合物がB群から選ばれる基を2個有する化合物である場合には、末端にB群から選ばれる基を有する非末端ブロックが製造され、過剰に使用する化合物がC群から選ばれる基を2個有する化合物である場合には、末端にC群から選ばれる基を有する非末端ブロックが製造される。
続く工程〔b〕では、B群から選ばれる基を2個有する化合物及びC群から選ばれる基を2個有する化合物のうち、工程〔a〕において過剰に使用しなかった方の化合物を、モル基準で過剰に使用することが好ましい。これにより、非末端ブロックに結合し、末端にC群から選ばれる基を有するか、又はB群から選ばれる基を有する非末端ブロックを確実に製造することができる。過剰に使用する化合物がB群から選ばれる基を2個有する化合物である場合には、末端にB群から選ばれる基を有する末端ブロックが製造され、過剰に使用する化合物がC群から選ばれる基を2個有する化合物である場合には、末端にC群から選ばれる基を有する末端ブロックが製造される。
工程〔b〕において、末端にB群から選ばれる基を有する末端ブロックが製造される場合には、工程〔c〕においてC群から選ばれる基を有する末端封止剤を使用する。工程〔b〕において、末端にC群から選ばれる基を有する末端ブロックが製造される場合には、工程〔c〕においてB群から選ばれる基を有する末端封止剤を使用する。
【0247】
本発明に係るブロック共重合体の製造における原料モノマーの使用量比の制御を、実施例における合成例1で作製したブロック共重合体HTL-1を例に挙げて詳細に説明する。
合成例1において、非末端ブロックの形成には混合物HTL-1aが用いられ、この混合物は、C群から選ばれる基を2個有する化合物である化合物M1と、B群から選ばれる基を2個有する化合物である化合物M2と、B群から選ばれる基を2個有する化合物である化合物M3とを40:30:2.5のモル比で含む。このように混合物HTL-1aは、C群から選ばれる基を2個有する化合物がモル基準で過剰となるように使用量比が制御されている。したがって、形成される非末端ブロックは、末端にC群から選ばれる基を有する。
また、末端ブロックの形成には混合物HTL-1bが用いられ、この混合物は、C群から選ばれる基を2個有する化合物である化合物M1と、B群から選ばれる基を2個有する化合物である化合物M4と、B群から選ばれる基を2個有する化合物である化合物M5とを10:10:7.5のモル比で含む。このように混合物HTL-1bは、B群から選ばれる基を2個有する化合物がモル基準で過剰となるように使用量比が制御されている。これにより、末端にC群から選ばれる基を有する非末端ブロックに結合するとともに、末端にB群から選ばれる基を有する末端ブロックが形成される。
合成例1において使用されている末端封止剤であるフェニルボロン酸は、C群から選ばれる基を2個有する化合物である。したがって、フェニルボロン酸は、末端にB群から選ばれる基を有する末端ブロックに結合してブロック共重合体の末端を封止するとともに、末端基であるフェニル基が形成される。
【0248】
上記縮合重合(カップリング反応)は、通常、触媒、塩基及び溶媒の存在下で行われるが、必要に応じて、相間移動触媒をさらに共存させて行ってもよい。
【0249】
触媒としては、例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム等のパラジウム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(1,4-シクロオクタジエン)ニッケル(0)等のニッケル錯体等の遷移金属錯体;これらの遷移金属錯体が、さらにトリフェニルホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビピリジル等の配位子を有する錯体が挙げられる。触媒は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0250】
触媒の使用量は、原料モノマーのモル数の合計に対する遷移金属の量として、通常、0.00001モル当量以上3モル当量以下である。
【0251】
塩基及び相間移動触媒としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基;フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基;塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の相間移動触媒が挙げられる。塩基及び相間移動触媒は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0252】
塩基及び相間移動触媒の使用量は、それぞれ、原料モノマーの合計モル数に対して、通常0.001モル当量以上100モル当量以下である。
【0253】
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水が挙げられる。溶媒は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0254】
溶媒の使用量は、通常、原料モノマーの合計100質量部に対して、10質量部以上100000質量部以下である。
【0255】
縮合重合の反応温度は、通常-100℃以上200℃以下である。縮合重合の反応時間は、通常1時間以上である。
【0256】
縮合重合反応(カップリング反応)の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独、又は組み合わせて行うことができる。
本発明に係るブロック共重合体の純度が低い場合、例えば、晶析、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0257】
<発光素子>
本発明に係る発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の有機層及び第2の有機層と、を有する発光素子であり、第1の有機層が、燐光発光性化合物を含有する層であり、第2の有機層が、末端基と、末端基に結合するブロックと、末端基に結合しないブロックとを含むブロック共重合体、及び前記ブロック共重合体の架橋体のうち、少なくとも1種を含有する層であり、末端基に結合しないブロックが、式(X)で表される非架橋性の構成単位及び式(Z)で表される非架橋性の構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含み、上記式(i)~(iii)の少なくとも1つを満たす、発光素子である。
【0258】
第1の有機層及び第2の有機層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法等の乾式法、並びに、スピンコート法及びインクジェット印刷法等の湿式法が挙げられ、湿式法が好ましい。
第1の有機層を湿式法により形成する場合、後述する第1のインクを用いることが好ましい。
第2の有機層を湿式法により形成する場合、後述する第2のインク又は第2’のインクを用いることが好ましく、第2’のインクを用いることが好ましい。
【0259】
本発明に係るブロック共重合体が架橋性基を含む場合、第2の有機層を形成後、加熱又は光照射すること(好ましくは、加熱すること)で、第2の有機層に含有される架橋性基を含む本発明に係るブロック共重合体を架橋させることができる。この第2の有機層には、架橋性基を含む本発明に係るブロック共重合体が架橋した状態[架橋性基を含む本発明に係るブロック共重合体の架橋体]で含有されているため、第2の有機層は溶媒に対して実質的に不溶化されている。そのため、このような第2の有機層は、発光素子の製造において、層の積層化に好適に使用することができる。
【0260】
本発明に係る発光素子の好ましい一態様では、第2の有機層は本発明に係るブロック共重合体の架橋体を含む。
【0261】
架橋させるための加熱の温度は、通常、25℃以上300℃以下であり、好ましくは50℃以上260℃以下であり、より好ましくは130℃以上230℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上210℃以下である。
加熱の時間は、通常、0.1分以上1000分以下であり、好ましくは0.5分以上500分以下であり、より好ましくは1分以上120分以下であり、さらに好ましくは10分以上60分以下である。
【0262】
光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
【0263】
第1の有機層又は第2の有機層に含有される成分の分析方法としては、例えば、抽出等の化学的分離分析法、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴分光法(NMR)、質量分析法(MS)等の機器分析法、並びに、化学的分離分析法及び機器分析法を組み合わせた分析法が挙げられる。
【0264】
第1の有機層又は第2の有機層に対して、トルエン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を用いた固液抽出を行うことで、有機溶媒に対して実質的に不溶な成分(不溶成分)と、有機溶媒に対して溶解する成分(溶解成分)とに分離することが可能である。不溶成分は赤外分光法又は核磁気共鳴分光法により分析することが可能であり、溶解成分は核磁気共鳴分光法又は質量分析法により分析することが可能である。
【0265】
〔第1の有機層〕
第1の有機層には、燐光発光性化合物が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
第1の有機層における燐光発光性化合物の含有量は、第1の有機層としての機能が奏される範囲であればよい。例えば、燐光発光性化合物の合計の含有量は、第1の有機層の全量基準で0.01~100質量%であってよく、0.1~70質量%であることが好ましく、1~50質量%であることがより好ましく、5~45質量%であることがさらに好ましく、10~40質量%であることが特に好ましい。
本発明に係る発光素子の輝度寿命がより優れるので、第1の有機層は、燐光発光性化合物と、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性から選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料とを含有する層であることが好ましい。第1の有機層は、ホスト材料の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
【0266】
第1の有機層が、燐光発光性化合物とホスト材料とを含有する層である場合、ホスト材料の含有量は、燐光発光性化合物及びホスト材料の合計を100質量部とした場合、通常、1~99質量部であり、好ましくは5~98質量部であり、より好ましくは10~97質量部であり、さらに好ましくは30~96質量部であり、特に好ましくは50~95質量部である。第1の有機層が、燐光発光性化合物とホスト材料とを含有する層である場合、ホスト材料の含有量は、燐光発光性化合物及びホスト材料の合計を100質量部とした場合、10~90質量部であってもよく、30~85質量部であってもよく、50~80質量部であってもよい。
【0267】
ホスト材料の有する最低励起三重項状態(T1)は、本発明に係る発光素子の輝度寿命がより優れるので、燐光発光性化合物の有する最低励起三重項状態(T1)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
【0268】
ホスト材料としては、本発明に係る発光素子を湿式法で作製できるので、燐光発光性化合物を溶解することが可能な溶媒に対して溶解性を示すものであることが好ましい。
【0269】
ホスト材料は、低分子化合物(以下、「低分子ホスト」ともいう。)と高分子化合物(以下、「高分子ホスト」ともいう。)とに分類され、第1の有機層はいずれのホスト材料を含有していてもよい。第1の有機層に含有されていてもよいホスト材料としては、高分子ホストが好ましい。
【0270】
[低分子ホスト]
低分子ホストは、好ましくは、式(H-1)で表される化合物である。
【0271】
ArH1及びArH2は、フェニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ピロリル基、インドリル基、アザインドリル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、フェノキサジニル基又はフェノチアジニル基であることが好ましく、フェニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基又はアザカルバゾリル基であることがより好ましく、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基又はカルバゾリル基であることがさらに好ましく、式(TDA-3)で表される基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0272】
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アルキル基、シクロアルコキシ基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基がより好ましく、アルキル基又はシクロアルコキシ基がさらに好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0273】
nH1は、好ましくは1である。nH2は、好ましくは0である。
nH3は、通常、0以上10以下の整数であり、好ましくは0以上5以下の整数であり、さらに好ましくは1以上3以下の整数であり、特に好ましくは1である。
nH11は、好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましく1以上3以下の整数であり、さらに好ましく1である。
【0274】
RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はアルキル基であることがさらに好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0275】
LH1は、アリーレン基又は2価の複素環基であることが好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0276】
LH1は、式(A-1)~式(A-3)、式(A-8)~式(A-10)、式(AA-1)~式(AA-6)、式(AA-10)~式(AA-21)又は式(AA-24)~式(AA-34)で表される基であることが好ましく、式(A-1)、式(A-2)、式(A-8)、式(A-9)、式(AA-1)~式(AA-4)、式(AA-10)~式(AA-15)、式(AA-33)又は式(AA-34)で表される基であることがより好ましく、式(A-1)、式(A-2)、式(A-8)、式(AA-2)、式(AA-4)、式(AA-10)、式(AA-12)、式(AA-14)又は(AA-33)で表される基であることがさらに好ましく、式(A-8)、式(AA-10)、式(AA-12)又は式(AA-14)で表される基であることが特に好ましく、式(AA-14)で表される基であることがとりわけ好ましい。
【0277】
LH1が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基がより好ましく、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基がさらに好ましく、1価の複素環基が特に好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
【0278】
LH21は、単結合又はアリーレン基であることが好ましく、単結合であることがより好ましく、このアリーレン基は置換基を有していてもよい。
LH21で表されるアリーレン基又は2価の複素環基の定義及び例は、LH1で表されるアリーレン基又は2価の複素環基の定義及び例と同様である。
【0279】
RH21は、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
RH21で表されるアリール基及び1価の複素環基の定義及び例は、ArH1及びArH2で表されるアリール基及び1価の複素環基の定義及び例と同様である。
RH21が有していてもよい置換基の定義及び例は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の定義及び例と同様である。
【0280】
式(H-1)で表される化合物は、式(H-2)で表される化合物であることが好ましい。
【0281】
【化93】
[式中、Ar
H1、Ar
H2、n
H3及びL
H1は、前記と同じ意味を表す。]
【0282】
式(H-1)で表される化合物としては、下記式で表される化合物が例示される。
【0283】
【0284】
【0285】
【0286】
[高分子ホスト]
高分子ホストとしては、例えば、後述の正孔輸送材料である高分子化合物、後述の電子輸送材料である高分子化合物等が挙げられる。
【0287】
高分子ホストは、好ましくは、式(Y)で表される構成単位及び/又は式(Z)で表される構成単位を含む高分子化合物であり、より好ましくは、式(Y)で表される構成単位及び式(Z)で表される構成単位を含む高分子化合物である。
【0288】
高分子ホストが式(Y)で表される構成単位を含む場合、式(Y)で表される構成単位は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、高分子ホストに含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは1~99モル%であり、より好ましくは30~95モル%であり、さらに好ましくは50~90モル%である。
高分子ホストが式(Z)で表される構成単位を含む場合、式(Z)で表される構成単位は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、高分子ホストに含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1~40モル%であり、より好ましくは1~30モル%であり、さらに好ましくは5~20モル%である。
【0289】
式(Y)及び式(Z)で表される構成単位はそれぞれ、高分子ホスト中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0290】
高分子ホストは、電荷輸送性(とりわけ正孔輸送性)が優れるので、さらに、下記式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。
高分子ホストが式(X)で表される構成単位を含む場合、式(X)で表される構成単位は、電荷輸送性(とりわけ正孔輸送性)が優れるので、高分子ホストに含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1~50モル%であり、より好ましくは1~30モル%である。
高分子ホストにおいて、式(X)で表される構成単位は、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0291】
式(Y)で表される構成単位を含む高分子ホストとしては、例えば、表1に示す高分子化合物P-1~P-6等が挙げられる。
【0292】
【表1】
[表中、p、q、r、s及びtは、各構成単位のモル比率を示す。p+q+r+s+t=100であり、かつ、100≧p+q+r+s≧70である。その他の構成単位とは、式(Y)で表される構成単位、式(Z)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。]
【0293】
高分子ホストは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
高分子ホストのポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは2×103~1×106であり、より好ましくは3×103~5×105であり、より好ましくは5×103~1.5×105である。
高分子ホストのポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3×103~2×106であり、より好ましくは5×103~1×106であり、より好ましくは1×104~5×105である。
【0294】
[高分子ホストの製造方法]
高分子ホストは、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897-1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
【0295】
前記重合方法において、単量体を仕込む方法としては、単量体全量を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残りの単量体を一括、連続又は分割して仕込む方法、単量体を連続又は分割して仕込む方法等が挙げられる。
【0296】
遷移金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。
【0297】
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独又は組み合わせて行う。高分子ホストの純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0298】
[第1の組成物]
第1の有機層は、燐光発光性化合物と、燐光発光性化合物以外のその他の成分とを含む組成物(以下、「第1の組成物」ともいう。)を含有する層であってもよい。
その他の成分は、好ましくは、前述のホスト材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料(但し、燐光発光性化合物とは異なる)及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分である。
【0299】
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは架橋基を有する高分子化合物である。
低分子化合物としては、例えば、トリフェニルアミン及びその誘導体、N,N’-ジ-1-ナフチル-N,N’-ジフェニルベンジジン(α-NPD)、並びに、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(m-トリル)ベンジジン(TPD)等の芳香族アミン化合物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン及びトリニトロフルオレノン等の電子受容性部位が結合された化合物でもよい。
第1の組成物において、正孔輸送材料の含有量は、燐光発光性化合物を100質量部とした場合、通常、1~400質量部である。
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0300】
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
第1の組成物において、電子輸送材料の含有量は、燐光発光性化合物を100質量部とした場合、通常、1~400質量部である。
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0301】
[正孔注入材料及び電子注入材料]
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
第1の組成物において、正孔注入材料及び電子注入材料の含有量は、各々、燐光発光性化合物を100質量部とした場合、通常、1~400質量部である。
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0302】
[イオンドープ]
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10-5S/cm~1×103S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0303】
[発光材料]
発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋性基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、アントラセンジイル基及びピレンジイル基等のアリーレン基;芳香族アミンから2個の水素原子を取り除いてなる基等の芳香族アミン残基;並びに、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基及びフェノチアジンジイル基等の2価の複素環基を含む高分子化合物が挙げられる。
第1の組成物において、発光材料の含有量は、燐光発光性化合物を100質量部とした場合、通常、1~400質量部である。
発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0304】
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、燐光発光性化合物と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
第1の組成物において、酸化防止剤の含有量は、燐光発光性化合物を100質量部とした場合、通常、0.001~10質量部である。
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0305】
[第1のインク]
燐光発光性化合物と、溶媒とを含有する組成物(以下、「第1のインク」ともいう。)は、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリーコート法、ノズルコート法等の湿式法(以下、単に「湿式法」ともいう。)により、第1の有機層を形成する場合、好適に使用することができる。
【0306】
第1のインクの粘度は、湿式法の種類によって調整すればよいが、インクジェット印刷法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりが起こりづらいので、好ましくは25℃において1~20mPa・sである。
【0307】
第1のインクに含有される溶媒は、好ましくは、インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。溶媒としては、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、4-メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0308】
第1のインクにおいて、溶媒の含有量は、燐光発光性化合物を100質量部とした場合、通常、1000~100000質量部であり、好ましくは2000~20000質量部である。
第1のインクは、前述のホスト材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分をさらに含むことができる。
【0309】
〔第2の有機層〕
第2の有機層において、本発明に係るブロック共重合体が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。第2の有機層において、本発明に係るブロック共重合体の架橋体が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
第2の有機層において、本発明に係るブロック共重合体及び本発明に係るブロック共重合体の架橋体の合計の含有量は、第2の有機層としての機能が奏される範囲であればよい。例えば、本発明に係るブロック共重合体及び本発明に係るブロック共重合体の架橋体の合計の含有量は、第2の有機層の全量基準で0.1質量%以上100質量%以下であってよく、10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、30質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
【0310】
〔第2の組成物〕
第2の有機層は、第2の組成物を含有する層であってもよい。
ここで、第2の組成物は、本発明に係るブロック共重合体及び本発明に係るブロック共重合体の架橋体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、本発明に係るブロック共重合体及び本発明に係るブロック共重合体の架橋体以外のその他の成分とを含む。
第2の組成物に含まれるその他の成分は、好ましくは、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分であり、より好ましくは、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分である。ここでいう、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料は、本発明に係るブロック共重合体及び本発明に係るブロック共重合体の架橋体とは異なる。
第2の組成物において、本発明に係るブロック共重合体及び本発明に係るブロック共重合体の架橋体は、それぞれ、1種のみ含まれていてもよいし2種以上含まれていてもよい。
【0311】
第2の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の例及び好ましい例と同様である。
第2の組成物において、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の含有量は、各々、本発明に係るブロック共重合体及び本発明に係るブロック共重合体の架橋体の合計を100質量部とした場合、通常、1~400質量部である。
【0312】
第2の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい例は、第1の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい例と同様である。第2の組成物において、酸化防止剤の含有量は、本発明に係るブロック共重合体及び本発明に係るブロック共重合体の架橋体の合計を100質量部とした場合、通常、0.001質量部以上10質量部以下である。
【0313】
〔第2のインク〕
本発明に係るブロック共重合体と、溶媒とを含有する組成物(以下、「第2のインク」ともいう。)は、第1のインクの項で説明した湿式法に好適に使用することができる。第2のインクの粘度の好ましい例は、第1のインクの粘度の好ましい例と同様である。第2のインクに含有される溶媒の例及び好ましい例は、第1のインクに含有される溶媒の例及び好ましい例と同様である。
第2の有機層が本発明に係るブロック共重合体の架橋体を含む場合、架橋性基を含む本発明に係るブロック共重合体と、溶媒とを含有する組成物(以下、「第2’のインク」ともいう。)を用いて、上述の条件・方法等により、本発明に係るブロック共重合体に含まれる架橋性基を架橋させることにより、本発明に係るブロック共重合体の架橋体を含む第2の有機層を形成することができる。
【0314】
第2のインクにおいて、溶媒の含有量は、本発明に係るブロック共重合体を100質量部とした場合、通常、1000~100000質量部であり、好ましくは2000~20000質量部である。第2’のインクにおいて、溶媒の含有量は、架橋性基を含む本発明に係るブロック共重合体を100質量部とした場合、通常、1000~100000質量部であり、好ましくは2000~20000質量部である。
第2及び第2’のインクは、前述の正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分をさらに含むことができる。
【0315】
〔発光素子の層構成〕
本発明に係る発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の有機層及び第2の有機層とを有する発光素子であり、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは、第2の有機層が、陽極と第1の有機層との間に設けられた層である。
図1に本発明の一態様に係る発光素子の概略断面図を示す。発光素子10は、電極11と、電極14と、電極11及び電極14の間に設けられた第1の有機層13及び第2の有機層12と、を有する。
【0316】
発光素子10は、電極11、電極14、第1の有機層13及び第2の有機層12以外の層を有していてもよい。
発光素子10において、電極11及び電極14のうちの一方は陽極であり、他方は陰極である。発光素子10において、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、好ましくは、電極11が陽極であり、且つ、電極14が陰極である。
発光素子10において、第1の有機層13は、通常、発光層(以下、「第1の発光層」ともいう)である。
発光素子10において、電極11が陽極の場合、第2の有機層12は、通常、正孔輸送層又は第2の発光層であり、好ましくは正孔輸送層である。
発光素子10において、電極11が陰極の場合、第2の有機層12は、電子輸送層又は第2の発光層であり、好ましくは電子輸送層である。
【0317】
発光素子10において、第1の有機層13と第2の有機層12とは、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から好ましくは隣接して配置される。
発光素子10において、第2の有機層12は、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、電極11及び第1の有機層13の間に設けられた正孔輸送層又は第2の発光層であることがより好ましく、電極11及び第1の有機層13の間に設けられた正孔輸送層であることがさらに好ましい。この場合、電極11は陽極である。
【0318】
発光素子10において、電極11が陽極であり、且つ、第2の有機層12が電極11及び第1の有機層13の間に設けられた正孔輸送層である場合、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、電極11と第2の有機層12との間に、正孔注入層をさらに有することが好ましい。また、電極11が陽極であり、且つ、第2の有機層12が電極11及び第1の有機層13の間に設けられた正孔輸送層である場合、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、電極14と第1の有機層13との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層をさらに有することが好ましい。
【0319】
発光素子10において、電極11が陽極であり、且つ、第2の有機層12が電極11及び第1の有機層13の間に設けられた第2の発光層である場合、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、電極11と第2の有機層12との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層をさらに有することが好ましい。また、電極11が陽極であり、且つ、第2の有機層12が電極11及び第1の有機層13の間に設けられた第2の発光層である場合、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、電極14と第1の有機層13との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層をさらに有することが好ましい。
【0320】
発光素子10において、電極11が陰極であり、且つ、第2の有機層12が電極11及び第1の有機層13の間に設けられた電子輸送層である場合、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、電極14と第1の有機層13との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層をさらに有することが好ましい。また、電極11が陰極であり、且つ、第2の有機層12が電極11及び第1の有機層13の間に設けられた電子輸送層である場合、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、電極11と第2の有機層12との間に、電子注入層をさらに有することが好ましい。
【0321】
発光素子10において、電極11が陰極であり、且つ、第2の有機層12が電極11及び第1の有機層13の間に設けられた第2の発光層である場合、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、電極14と第1の有機層13との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層をさらに有することが好ましい。また、電極11が陰極であり、且つ、第2の有機層12が電極11及び第1の有機層13の間に設けられた第2の発光層である場合、本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、電極11と第2の有機層12との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層をさらに有することが好ましい。
【0322】
本発明に係る発光素子の具体的な層構成としては、例えば、(D1)~(D15)で表される層構成が挙げられる。本発明に係る発光素子は、通常、基板を有するが、基板上に陽極から積層されていてもよく、基板上に陰極から積層されていてもよい。
【0323】
(D1)陽極/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D2)陽極/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D3)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D4)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/陰極
(D5)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子注入層/陰極
(D6)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/陰極
(D9)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子注入層/陰極
(D10)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D11)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D12)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D13)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第2の発光層/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D14)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層(第2の有機層)/電子注入層/陰極
(D15)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の有機層)/第2の発光層(第2の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0324】
(D1)~(D15)中、「/」は、その前後の層が隣接して積層していることを意味する。例えば「第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)」とは、第2の発光層(第2の有機層)と第1の発光層(第1の有機層)とが隣接して積層していることを意味する。
【0325】
本発明に係る発光素子の輝度寿命向上の観点から、(D3)~(D12)で表される層構成が好ましく、(D7)~(D10)で表される層構成がより好ましい。
【0326】
本発明に係る発光素子において、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極は、それぞれ、必要に応じて、2層以上設けられていてもよい。
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0327】
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第1の発光層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極の厚さは、通常、1nm以上1μm以下であり、好ましくは2nm以上500nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上150nm以下である。
【0328】
本発明に係る発光素子において、積層する層の順番、数、及び厚さは、発光素子の発光効率、駆動電圧及び素子寿命を勘案して調整すればよい。
【0329】
〔第2の発光層〕
第2の発光層は、通常、第2の有機層又は発光材料を含有する層であり、好ましくは、発光材料を含有する層である。第2の発光層が発光材料を含有する層である場合、第2の発光層に含有される発光材料としては、例えば、上述の燐光発光性化合物及び第1の組成物が含有していてもよい発光材料等が挙げられる。第2の発光層に含有される燐光発光性化合物及び発光材料はそれぞれ、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本発明に係る発光素子が第2の発光層を有し、且つ、後述の正孔輸送層が第2の有機層ではない場合、第2の発光層は第2の有機層であることが好ましい。
【0330】
〔正孔輸送層〕
正孔輸送層は、通常、第2の有機層又は正孔輸送材料を含有する層であり、好ましくは、第2の有機層である。正孔輸送層が正孔輸送材料を含有する層である場合、正孔輸送材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい正孔輸送材料が挙げられる。正孔輸送層に含有される正孔輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本発明に係る発光素子が正孔輸送層を有し、且つ、前述の第2の発光層が第2の有機層ではない場合、正孔輸送層は第2の有機層であることが好ましい。
【0331】
〔電子輸送層〕
電子輸送層は、通常、第2の有機層又は電子輸送材料を含有する層であり、好ましくは、電子輸送材料を含有する層である。電子輸送層が電子輸送材料を含有する層である場合、電子輸送層に含有される電子輸送材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい電子輸送材料が挙げられる。電子輸送層に含有される電子輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0332】
〔正孔注入層及び電子注入層〕
正孔注入層は、正孔注入材料を含有する層である。正孔注入層に含有される正孔注入材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい正孔注入材料が挙げられる。正孔注入層に含有される正孔注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
電子注入層は、電子注入材料を含有する層である。電子注入層に含有される電子注入材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい電子注入材料が挙げられる。電子注入層に含有される電子注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0333】
〔基板/電極〕
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板を使用する場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0334】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0335】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。
合金としては、例えば、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、カルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
【0336】
陽極及び陰極は、それぞれ、2層以上の積層構造としてもよい。
【0337】
本発明に係る発光素子において、陽極及び陰極の少なくとも一方は、通常、透明又は半透明であるが、陽極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極及び陰極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法及びラミネート法が挙げられる。
【0338】
〔発光素子の製造方法〕
本発明に係る発光素子において、第1の発光層、第2の発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
第1の発光層、第2の発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層及び電子注入層は、第1のインク、第2のインク、第2’のインク、並びに、上述した発光材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料及び電子注入材料をそれぞれ含有するインクを用いて、湿式法により形成することができる。
【0339】
〔発光素子の用途〕
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。
パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。
上記いずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。
ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。
発光色の異なる複数種の高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。
ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。
面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源及び表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0340】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0341】
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量及びポリスチレン換算の重量平均分子量は、移動相にテトラヒドロフランを用い、下記のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めた。
測定する高分子化合物を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。移動相は、1.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED-B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV-VIS検出器(東ソー製、商品名:UV-8320GPC)を用いた。
本実施例において、高分子化合物中の構成単位の分子量は、ChemDraw Pro 13.0(ヒューリンクス社製)のMolecular Weightの値を用いて、算出した。
【0342】
<合成例M1~M25及びHM-1> 化合物M1~M25及びHM-1の合成及び入手
化合物M1は特開2011―174062号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M2は国際公開第2005/049546号に記載の方法に従って合成した。
化合物M3、化合物M7及び化合物M15は、国際公開第2002/045184号に記載の方法に従って合成した。
化合物M4及び化合物M21は市販品を用いた。
化合物M5は特開2008-106241号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M6及びM17~M19は、特開2010-189630号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M8は特開2010-215886号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M9は国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した。
化合物M10は国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。
化合物M11は国際公開第2009/157424号に記載の方法に従って合成した。
化合物M12は国際公開第2016/047536号に記載の方法に従って合成した。
化合物M13は国際公開第2013/191088号に記載の方法に従って合成した。
化合物M14及び化合物M20は国際公開第2012/086671号に記載の方法に従って合成した。
化合物M16は特開2003-226744号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M22は特開2012-144722号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M23は特開2004-143419号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M24は国際公開第2004/060970号に記載の方法に準じて合成した。
化合物M25は特開2012-33845号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物HM-1はLuminescence Technology社より購入した。
【0343】
【0344】
【0345】
【0346】
【0347】
【0348】
【0349】
【0350】
<合成例B1、G1、R1及びR2> 燐光発光性化合物B1、G1、R1及びR2の合成
燐光発光性化合物B1は国際公開第2006/121811号に記載の方法に準じて合成した。
燐光発光性化合物G1は国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した。
燐光発光性化合物R1は特開2006-188673号公報に記載の方法に準じて合成した。
燐光発光性化合物R2は特開2008-179617号公報に記載の方法に従って合成した。
燐光発光性化合物B1、G1、R1及びR2は、下記化学式で示される。
【0351】
【0352】
【0353】
<合成例HTL-1> ブロック共重合体HTL-1の合成
(1)非末端ブロックの形成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、下記の表2に示す混合物HTL-1a〔化合物M1(2.39g)、化合物M2(1.81g)及び化合物M3(91.4mg)〕並びにトルエン(23mL)を加え、80℃に加熱した。そこへ、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.9mg)及び20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(23.4g)を加えた後、100℃に加熱し、還流下で2.5時間攪拌することにより、非末端ブロックを形成した。
反応液中に存在する高分子化合物(非末端ブロック)のMnは7.6×103であり、Mwは1.7×104であった。
【0354】
(2)末端ブロックの形成
上記(1)で得られた反応液に、下記の表2に示す混合物HTL-1b〔化合物M1(0.45g)化合物M4(0.22g)及び化合物M5(0.26g)〕並びにトルエン(22mL)及び20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(26.6g)を加え、80℃に加熱した。そこへ、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.0mg)を加えた後、100℃に加熱し、還流下で4.5時間攪拌することにより、非末端ブロックに末端ブロックを結合させ、末端ブロックを形成した。
【0355】
(3)末端基の形成
上記(2)で得られた反応液に、末端封止剤であるフェニルボロン酸(160mg)を加えた後、100℃に加熱し、還流下で16時間攪拌することにより、末端ブロックに末端基を導入し、末端基を形成した。
【0356】
(4)後処理
上記(3)で得られた反応液を室温まで冷却し、水層を除去した後、10質量%塩酸で1回、3質量%アンモニア水溶液で1回、イオン交換水で1回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、予めトルエンを通液したアルミナカラム及びシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、ブロック共重合体HTL-1(3.2g)を得た。
ブロック共重合体HTL-1のMnは4.9×104であり、Mwは1.4×105であった。
【0357】
【0358】
ブロック共重合体HTL-1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位とを40:30:2.5のモル比で含む非末端ブロックを有し、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位とを10:10:7.5のモル比で含む末端ブロックを有し、且つ、末端基としてフェニル基を有するブロック共重合体である。
ブロック共重合体HTL-1は、末端基と、末端ブロックと、非末端ブロックと、末端ブロックと、末端基と、をこの順に含む。ブロック共重合体HTL-1は、上記式(i)及び(iii)を満たす。
【0359】
<合成例HTL-2> ブロック共重合体HTL-2の合成
ブロック共重合体HTL-2は、表3に示す混合物HTL-2a(化合物M1、化合物M2、化合物M3及び化合物M5)、並びに、混合物HTL-2b(化合物M1及び化合物M4)を用いて、特開2012-144722号公報に記載の方法に従って合成した。
ブロック共重合体HTL-2の合成において、非末端ブロックのMnは4.1×104であり、Mwは1.2×105であった。
ブロック共重合体HTL-2のMnは5.4×104であり、Mwは1.8×105であった。
【0360】
【0361】
ブロック共重合体HTL-2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位とを40:30:2.5:7.5のモル比で含む非末端ブロックを有し、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M4から誘導される構成単位とを10:10のモル比で含む末端ブロックを有し、且つ、末端基としてフェニル基を有するブロック共重合体である。
ブロック共重合体HTL-2は、末端基と、末端ブロックと、非末端ブロックと、末端ブロックと、末端基と、をこの順に含む。ブロック共重合体HTL-2は、上記式(i)及び(iii)を満たす。
【0362】
<合成例HTL-3> ブロック共重合体HTL-3の合成
(1)非末端ブロックの形成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、下記の表4に示す混合物HTL-3a〔化合物M6(1.46g)及び化合物M7(1.20g)〕、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(2.3mg)、並びに、トルエン(30mL)を加え、80℃に加熱した。そこへ、16質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(20.6g)を加えた後、100℃で2.5時間攪拌することにより、非末端ブロックを形成した。
反応液中に存在する高分子化合物(非末端ブロック)のMnは8.4×103であり、Mwは1.8×104であった。
【0363】
(2)末端ブロックの形成
上記(1)で得られた反応液に、下記の表4に示す混合物HTL-3b〔化合物M6(0.146g)、化合物M5(0.174g)及び化合物M8(0.150g)〕、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.57mg)、並びに、トルエン(10mL)を加え、100℃で4.5時間攪拌することにより、非末端ブロックに末端ブロックを結合させ、末端ブロックを形成した。
【0364】
(3)末端基の形成
上記(2)で得られた反応液に、末端封止剤であるフェニルボロン酸(160mg)及びビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(2.9mg)を加えた後、100℃に加熱し、還流下で16時間攪拌することにより、末端ブロックに末端基を導入し、末端基を形成した。
【0365】
(4)後処理
上記(3)で得られた反応液を室温まで冷却し、水層を除去した後、10質量%塩酸で1回、3質量%アンモニア水溶液で1回、イオン交換水で1回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、予めトルエンを通液したアルミナカラム及びシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、ブロック共重合体HTL-3(0.81g)を得た。
ブロック共重合体HTL-3のMnは5.5×104であり、Mwは3.7×105であった。
【0366】
【0367】
ブロック共重合体HTL-3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M7から誘導される構成単位とを45:40のモル比で含む非末端ブロックを有し、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M8から誘導される構成単位とを5:5:5のモル比で含む末端ブロックを有し、末端基としてフェニル基を有するブロック共重合体である。
ブロック共重合体HTL-3は、末端基と、末端ブロックと、非末端ブロックと、末端ブロックと、末端基と、をこの順に含む。ブロック共重合体HTL-3は、上記式(i)及び(iii)を満たす。
【0368】
<合成例HTL-4> ブロック共重合体HTL-4の合成
(1)非末端ブロックの形成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、下記の表5に示す混合物HTL-4a〔化合物M1(2.08g)及び化合物M2(1.75g)〕、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.17mg)、並びに、トルエン(35mL)を加え、80℃に加熱した。そこへ、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(23.4g)を加えた後、100℃で2.5時間攪拌することにより、非末端ブロックを形成した。
反応液中に存在する高分子化合物(非末端ブロック)のMnは7.4×103であり、Mwは1.7×104であった。
【0369】
(2)末端ブロックの形成
上記(1)で得られた反応液に、下記の表5に示す混合物HTL-4b〔化合物M1(1.35g)、化合物M9(0.328g)及び化合物M2(1.05g)〕、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.17mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(26.6g)、並びに、トルエン(40mL)を加え、100℃で4.5時間攪拌することにより、非末端ブロックに末端ブロックを結合させ、末端ブロックを形成した。
【0370】
(3)末端基の形成
上記(2)で得られた反応液に、末端封止剤であるM12(352mg)及びビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.16mg)を加えた後、100℃に加熱し、還流下で16時間攪拌することにより、末端ブロックに末端基を導入し、末端基を形成した。
【0371】
(4)後処理
上記(3)で得られた反応液を室温まで冷却し、水層を除去した後、10質量%塩酸で1回、3質量%アンモニア水溶液で1回、イオン交換水で1回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、予めトルエンを通液したアルミナカラム及びシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、ブロック共重合体HTL-4(4.47g)を得た。
ブロック共重合体HTL-4のMnは3.3×104であり、Mwは1.6×105であった。
【0372】
【0373】
ブロック共重合体HTL-4は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位とを30:25のモル比で含む非末端ブロックを有し、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M9から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位とを20:10:15のモル比で含む末端ブロックを有し、末端基として、化合物M12から誘導される架橋性基を有するブロック共重合体である。
ブロック共重合体HTL-4は、末端基と、末端ブロックと、非末端ブロックと、末端ブロックと、末端基と、をこの順に含む。ブロック共重合体HTL-4は、上記式(i)及び(iii)を満たす。
【0374】
<合成例HTL-5> ブロック共重合体HTL-5の合成
(1)非末端ブロックの形成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、下記の表6に示す混合物HTL-5a〔化合物M1(0.407g)、化合物M10(1.39g)、及び化合物M2(1.37g)〕、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.29mg)、並びに、トルエン(23mL)を加え、80℃に加熱した。そこへ、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(15.4g)を加えた後、100℃で2.5時間攪拌することにより、非末端ブロックを形成した。
反応液中に存在する高分子化合物(非末端ブロック)のMnは6.6×103であり、Mwは1.8×104であった。
【0375】
(2)末端ブロックの形成
上記(1)で得られた反応液に、下記の表6に示す混合物HTL-5b〔化合物M13(0.241g)、化合物M2(0.556g)及び化合物M11(0.248g)〕、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.33mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(14.5g)、並びに、トルエン(29mL)を加え、100℃で4.5時間攪拌することにより、非末端ブロックに末端ブロックを結合させ、末端ブロックを形成した。
【0376】
(3)末端基の形成
上記(2)で得られた反応液に、末端封止剤であるフェニルボロン酸(109mg)及びビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.07mg)を加えた後、100℃に加熱し、還流下で16時間攪拌することにより、末端ブロックに末端基を導入し、末端基を形成した。
【0377】
(4)後処理
上記(3)で得られた反応液を室温まで冷却し、水層を除去した後、10質量%塩酸で1回、3質量%アンモニア水溶液で1回、イオン交換水で1回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、予めトルエンを通液したアルミナカラム及びシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、ブロック共重合体HTL-5(2.72g)を得た。
ブロック共重合体HTL-5のMnは3.2×104であり、Mwは1.6×105であった。
【0378】
【0379】
ブロック共重合体HTL-5は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M10から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位とを10:30:33.4のモル比で含む非末端ブロックを有し、化合物M13から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M11から誘導される構成単位とを10:13.6:3のモル比で含む末端ブロックを有し、末端基としてフェニル基を有するブロック共重合体である。ブロック共重合体HTL-5は、末端基と、末端ブロックと、非末端ブロックと、末端ブロックと、末端基と、をこの順に含む。ブロック共重合体HTL-5は、上記式(i)及び(iii)を満たす。
【0380】
<合成例HTL-C1> 高分子化合物HTL-C1の合成
高分子化合物HTL-C1は、表7に示す混合物HTL-C1a(化合物M15、化合物M3、化合物M16及び化合物M9)を用いて、特開2013-131995号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL-C1のMnは7.8×104であり、Mwは2.6×105であった。
【0381】
【0382】
高分子化合物HTL-C1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M15から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M16から誘導される構成単位と、化合物M9から誘導される構成単位とを50:12.5:30:7.5のモル比で含むランダム共重合体(末端ブロック及び非末端ブロックを有さない共重合体)であり、末端基としてフェニル基を有する。
【0383】
<合成例HTL-C2> 高分子化合物HTL-C2の合成
(1)高分子化合物HTL-C2の合成
高分子化合物HTL-C2は、下記の表8に示す混合物HTL-C2a(化合物M6、化合物M7、化合物M5及び化合物M8)を用いて、特開2015-110751号公報に記載の方法に従って合成した。
高分子化合物HTL-C2のMnは5.9×104であり、Mwは1.8×105であった。
【0384】
【0385】
高分子化合物HTL-C2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M7から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M8から誘導される構成単位とを50:40:5:5のモル比で含むランダム共重合体(末端ブロック及び非末端ブロックを有さない共重合体)であり、末端基としてフェニル基を有する。
【0386】
<合成例HTL-C3> ブロック共重合体HTL-C3の合成
(1)非末端ブロックの形成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、下記の表9に示す混合物HTL-C3a〔化合物M1(0.694g)及び化合物M2(1.05g)〕、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.10mg)、並びに、トルエン(35mL)を加え、80℃に加熱した。そこへ、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(23.4g)を加えた後、100℃で2.5時間攪拌することにより、非末端ブロックを形成した。
反応液中に存在する高分子化合物(非末端ブロック)のMnは3.2×103であり、Mwは7.8×103であった。
【0387】
(2)末端ブロックの形成
上記(1)で得られた反応液に、下記の表9に示す混合物HTL-C3b〔化合物M1(2.38g)、化合物M9(0.328g)及び化合物M2(1.75g)〕、ビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.24mg)、20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(26.6g)、並びに、トルエン(40mL)を加え、100℃で4.5時間攪拌することにより、非末端ブロックに末端ブロックを結合させ、末端ブロックを形成した。
【0388】
(3)末端基の形成
上記(2)で得られた反応液に、末端封止剤であるM12(352mg)及びビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.24mg)を加えた後、100℃に加熱し、還流下で16時間攪拌することにより、末端ブロックに末端基を導入し、末端基を形成した。
【0389】
(4)後処理
上記(3)で得られた反応液を室温まで冷却し、水層を除去した後、10質量%塩酸で1回、3質量%アンモニア水溶液で1回、イオン交換水で1回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、予めトルエンを通液したアルミナカラム及びシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、ブロック共重合体CP3(4.55g)を得た。
ブロック共重合体HTL-C3のMnは3.4×104であり、Mwは1.3×105であった。
【0390】
【0391】
ブロック共重合体HTL-C3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位とを10:15のモル比で含む非末端ブロックを有し、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M9から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位とを40:10:25のモル比で含む末端ブロックを有し、末端基として、化合物M12から誘導される架橋性基を有するブロック共重合体である。
ブロック共重合体HTL-C3は、上記式(i)、(ii)及び(iii)を満たさない。
【0392】
<合成例HTL-C4> ブロック共重合体HTL-C4の合成
(1)ブロック共重合体HTL-C4の合成
ブロック共重合体HTL-C4は、下記の表10に示す混合物HTL-C4a(化合物M1、化合物M2及び化合物M11)、並びに、下記の表10に示す混合物HTL-C4b(化合物M10、化合物M13及び化合物M2)を用いて、特開2016-111355号公報に記載の方法に従って合成した。
ブロック共重合体HTL-C4の合成において、非末端ブロックのMnは2.8×103であり、Mwは5.8×103であった。ブロック共重合体HTL-C4のMnは3.3×104であり、Mwは1.7×105であった。
【0393】
【0394】
ブロック共重合体HTL-C4は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M11から誘導される構成単位とを10:13.6:3のモル比で含む非末端ブロックを有し、化合物M10から誘導される構成単位と、化合物M13から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位とを30:10:33.4のモル比で含む末端ブロックを有し、末端基としてフェニル基を有するブロック共重合体である。ブロック共重合体CP4は、末端基と、末端ブロックと、非末端ブロックと、末端ブロックと、末端基と、をこの順に含む。ブロック共重合体HTL-C4は、上記式(i)、(ii)及び、(iii)を満たさない。
【0395】
<合成例HP-1> 高分子化合物HP-1の合成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、下記の表11に示す混合物HP-1a〔化合物M6(1.04g)及び化合物M17(2.11g)〕並びにトルエン(170g)を加え、80℃に加熱した。そこへ、酢酸パラジウム(0.77mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(4.7mg)及び20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(58g)を加え、還流下で3時間攪拌し、反応液を得た。
【0396】
得られた反応液を55℃にした後、そこへ、表11示す混合物HP-1b〔化合物M6(7.00g)及び化合物M14(8.53g)〕並びにトルエン(39g)を加え、80℃に加熱した。そこへ、酢酸パラジウム(1.5mg)及びトリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(9.3mg)を加えた後、還流下で6時間攪拌し、反応液を得た。そこへ、末端封止剤であるフェニルボロン酸(0.81g)、酢酸パラジウム(1.9mg)、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン(12mg)及び20質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(58g)を加えた後、還流下で15時間攪拌することにより、末端基を形成した。
【0397】
得られた反応液を40℃にした後、そこへ、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、水層を除去した後、3.6質量%塩酸で2回、2.5質量%アンモニア水溶液で2回、イオン交換水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、固体を得た。この固体をトルエンに溶解させ、予めトルエンを通液したアルミナカラム及びシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じたので、沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物HP-1(8.4g)を得た。高分子化合物HP-1のMnは4.4×104であり、Mwは1.1×105であった。
【0398】
【0399】
高分子化合物HP-1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M17から誘導される構成単位が、6.5:10のモル比で構成されるブロックを有し、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M14から誘導される構成単位とが、43.5:40のモル比で構成されるブロックを有し、且つ、末端基としてフェニル基を有する高分子化合物である。
【0400】
<合成例HP-2> 高分子化合物HP-2の合成
高分子化合物HP-2は、表12に示す混合物HP-2a(化合物M18、化合物M3及び化合物M17)、並びに、混合物HP-2b(化合物M18、化合物M19及び化合物M3)を用いて、特開2012-131995号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HP-2のMnは9.0×103であり、Mwは2.5×104であった。
【0401】
【0402】
高分子化合物HP-2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M18から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M17から誘導される構成単位とを25:10:10のモル比で含むブロックを有し、化合物M18から誘導される構成単位と、化合物M19から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位とが、15:10:30のモル比で構成されるブロックを有し、且つ、末端基としてフェニル基を有する高分子化合物である。
【0403】
<合成例HP-3> 高分子化合物HP-3の合成
高分子化合物HP-3は、表13に示す混合物HP-3a(化合物M6、化合物M14及び化合物M17)を用いて、特開2012-036388号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HP-3のMnは9.6×104であり、Mwは2.2×105であった。
【0404】
【0405】
高分子化合物HP-3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M14から誘導される構成単位と、化合物M17から誘導される構成単位とを50:40:10のモル比で含むランダム共重合体であり、末端基としてフェニル基を有する。
【0406】
<合成例HP-4> 高分子化合物HP-4の合成
高分子化合物HP-4は、表14に示す混合物HP-4a(化合物M18、化合物M19、化合物M3及び化合物M17)を用いて、特開2010-189630号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HP-4のMnは9.2×104であり、Mwは2.8×105であった。
【0407】
【0408】
高分子化合物HP-4は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M18から誘導される構成単位と、化合物M19から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M17から誘導される構成単位とを40:10:40:10のモル比で含むランダム共重合体であり、末端基としてフェニル基を有する。
【0409】
<合成例HP-5> 高分子化合物HP-5の合成
高分子化合物HP-5は、表15に示す混合物HP-5a(化合物M20、化合物M21、化合物M22、化合物M23及び化合物M24)を用いて、特開2015-35600号公報に記載の方法に従って合成した。
高分子化合物HP-5のMnは1.0×105であり、Mwは2.4×105であった。
【0410】
【0411】
高分子化合物HP-5は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M20から誘導される構成単位と、化合物M21から誘導される構成単位と、化合物M22から誘導される構成単位と、化合物M23から誘導される構成単位と、化合物M24から誘導される構成単位とを36:14:45:4:1のモル比で含むランダム共重合体(末端ブロック及び非末端ブロックを有さない共重合体)であり、末端基としてフェニル基を有する。
【0412】
<合成例ETL1> 高分子化合物ETL-1の合成
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M25(9.23g)、化合物M6(4.58g)、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(8.6mg)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(シグマアルドリッチ社製、商品名Aliquat336(登録商標))(0.098g)及びトルエン(175mL)を加え、105℃に加熱した。その後、そこに、12質量%炭酸ナトリウム水溶液(40.3mL)を滴下し、29時間還流させた。その後、そこに、フェニルボロン酸(0.47g)及びジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(8.7mg)を加え、14時間還流させた。その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた反応液を冷却後、メタノールに滴下したところ、沈殿が生じた。得られた沈殿物をろ取し、メタノール、水でそれぞれ洗浄後、乾燥させた。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、予めクロロホルムを通液したアルミナカラム及びシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。得られた精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じた。得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物ETL-1a(7.15g)を得た。高分子化合物ETL-1aのMnは3.2×104、Mwは6.0×104であった。
高分子化合物ETL-1aは、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M25から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位とを50:50のモル比で含むランダム共重合体であり、末端基としてフェニル基を有する。
【0413】
反応容器内をアルゴンガス雰囲気下とした後、高分子化合物ETL-1a(3.1g)、テトラヒドロフラン(130mL)、メタノール(66mL)、水酸化セシウム一水和物(2.1g)及び水(12.5mL)を加え、60℃で3時間撹拌した。その後、そこに、メタノール(220mL)を加え、2時間撹拌した。得られた反応混合物を濃縮した後、イソプロピルアルコールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じた。得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物ETL-1(3.5g)を得た。高分子化合物ETL-1の1H-NMR解析により、高分子化合物ETL-1中のエチルエステル部位のシグナルが消失し、反応が完結したことを確認した。
高分子化合物ETL-1は、高分子化合物ETL-1aの仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式で表される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位とを50:50のモル比で含むランダム共重合体であり、末端基としてフェニル基を有する。
【0414】
【0415】
ブロック共重合体HTL-1~5及びHTL-C1~C4における各構成単位の合計個数の算出結果を表16に示す。
【0416】
【0417】
<実施例D3> 発光素子D3の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるAQ-1200(Plectronics社製)をスピンコート法により50nmの厚さで成膜した。大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0418】
(第2の有機層の形成)
キシレンに、ブロック共重合体HTL-1を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより第2の有機層(正孔輸送層)を形成した。この加熱により、ブロック共重合体HTL-1は、架橋体となった。
【0419】
(第1の有機層の形成)
キシレンに、高分子化合物HP-1及び燐光発光性化合物G1(高分子化合物HP-1/燐光発光性化合物G1=70質量%/30質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、第2の有機層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、10分間加熱させることにより第1の有機層(第1の発光層)を形成した。
【0420】
(陰極の形成)
第1の有機層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、第1の有機層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子D3を作製した。
【0421】
(発光素子の評価)
発光素子D3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.30,0.64)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間を測定したところ、473.9時間であった。
【0422】
<実施例D1> 発光素子D1の作製と評価
実施例D3の(第1の有機層の形成)における、「高分子化合物HP-1」に代えて「高分子化合物HP-3」を用いたこと以外は、実施例D3と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子D1を作製した。発光素子D4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.30,0.64)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間を測定したところ、71.5時間であった。
【0423】
<実施例D2> 発光素子D2の作製と評価
実施例D3の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-1」に代えて「ブロック共重合体HTL-2」を用い、さらに、実施例D3の(第1の有機層の形成)における、「高分子化合物HP-1」に代えて「高分子化合物HP-3」を用いたこと以外は、実施例D3と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子D2を作製した。発光素子D2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.30,0.64)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間を測定したところ、37.4時間であった。
【0424】
<実施例D4> 発光素子D4の作製と評価
実施例D3の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-1」に代えて「ブロック共重合体HTL-2」を用いたこと以外は、実施例D3と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子D4を作製した。発光素子D4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.30,0.64)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間を測定したところ、361.6時間であった。
【0425】
<実施例D5> 発光素子D5の作製と評価
実施例D3の(第1の有機層の形成)における、「高分子化合物HP-1」に代えて「高分子化合物HP-2」を用いたこと以外は、実施例D3と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子D5を作製した。発光素子D5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.30,0.64)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間を測定したところ、108.6時間であった。
【0426】
<実施例D6> 発光素子D6の作製と評価
実施例D3の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-1」に代えて「ブロック共重合体HTL-2」を用い、さらに、実施例D3の(第1の有機層の形成)における、「高分子化合物HP-1」に代えて「高分子化合物HP-2」を用いたこと以外は、実施例D3と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子D6を作製した。発光素子D6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.30,0.64)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間を測定したところ、95.5時間であった。
【0427】
<実施例D7> 発光素子D7の作製と評価
実施例D3の(第1の有機層の形成)における、「高分子化合物HP-1」に代えて「高分子化合物HP-4」を用いたこと以外は、実施例D3と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子D7を作製した。発光素子D7に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.30,0.64)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間を測定したところ、24.9時間であった。
【0428】
<実施例D8> 発光素子D8の作製と評価
実施例D3の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-1」に代えて「ブロック共重合体HTL-2」を用い、さらに、実施例D3の(第1の有機層の形成)における、「高分子化合物HP-1」に代えて「高分子化合物HP-4」を用いたこと以外は、実施例D3と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子D8を作製した。発光素子D8に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.30,0.64)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間を測定したところ、29.1時間であった。
【0429】
<比較例CD1> 発光素子CD1の作製と評価
実施例D3の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-1」に代えて「高分子化合物HTL-C1」を用い、さらに、実施例D3の(第1の有機層の形成)における、「高分子化合物HP-1」に代えて「高分子化合物HP-2」を用いたこと以外は、実施例D3と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子CD1を作製した。発光素子CD1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.30,0.64)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間を測定したところ、4.6時間であった。
【0430】
【0431】
<実施例D9> 発光素子D9の作製と評価
実施例D3の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-1」に代えて「ブロック共重合体HTL-4」を用い、さらに、実施例D3の(第1の有機層の形成)を、下記の(第1の有機層の形成-D9)に変更したこと以外は、実施例D3と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子D9を作製した。発光素子D9に電圧を印加することによりEL発光が観測された。3000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.66,0.32)であった。初期輝度が3000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の65%となるまでの時間(以下、「LT65」ともいう。)を測定した。結果を表18に示す。
(第1の有機層の形成-D9)
キシレンに、高分子化合物HP-5及び燐光発光性化合物R1(高分子化合物HP-5/燐光発光性化合物R1=92.5質量%/7.5質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、第2の有機層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、10分間加熱させることにより第1の有機層(第1の発光層)を形成した。
【0432】
<比較例CD2> 発光素子CD2の作製と評価
実施例D9の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-4」に代えて「ブロック共重合体HTL-C3」を用いたこと以外は、実施例D9と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、陰極がこの順に積層された発光素子CD2を作製した。発光素子CD2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。3000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.66,0.32)であった。初期輝度3000cd/m2で定電流駆動させ、LT65を測定した。結果を表18に示す。
【0433】
実施例D9及び比較例CD2の結果を表18に示す。発光素子CD2のLT65を1.0としたときの発光素子D9のLT65の相対値を示す。
【0434】
【0435】
<実施例D10> 発光素子D10の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるAQ-1200(Plectronics社製)をスピンコート法により50nmの厚さで成膜した。大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0436】
(第2の有機層の形成)
キシレンに、ブロック共重合体HTL-3を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより第2の有機層(正孔輸送層)を形成した。この加熱により、ブロック共重合体HTL-3は、架橋体となった。
【0437】
(第1の有機層の形成)
キシレンに、化合物HM-1及び燐光発光性化合物R2(化合物HM-1/燐光発光性化合物R2=92.5質量%/7.5質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、第2の有機層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、10分間加熱させることにより第1の有機層(第1の発光層)を形成した。
【0438】
(電子輸送層の形成)
2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノールに、高分子化合物ETL-1を0.25質量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール溶液を用いて、第1の有機層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより電子輸送層を形成した。
【0439】
(陰極の形成)
電子輸送層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、電子輸送層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、電子輸送層、陰極がこの順に積層された発光素子D10を作製した。
【0440】
(発光素子の評価)
発光素子D10に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.61,0.40)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の80%となるまでの時間(以下、「LT80」ともいう。)を測定した。結果を表19に示す。
【0441】
<比較例CD3> 発光素子CD3の作製と評価
実施例D10の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-3」に代えて「高分子化合物HTL-C2」を用いたこと以外は、実施例D10と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、電子輸送層、陰極がこの順に積層された発光素子CD3を作製した。
発光素子CD3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.61,0.40)であった。初期輝度1000cd/m2で定電流駆動させ、LT80を測定した。結果を表19に示す。
【0442】
実施例D10及び比較例CD3の結果を表19に示す。発光素子CD3のLT80を1.00としたときの発光素子D10のLT80の相対値を示す。
【0443】
【0444】
<実施例D11> 発光素子D11の作製と評価
実施例D10の(第1の有機層の形成)における、「化合物HM-1及び燐光発光性化合物R2(化合物HM-1/燐光発光性化合物R2=92.5質量%/7.5質量%)」に代えて「化合物HM-1及び燐光発光性化合物B1(化合物HM-1/燐光発光性化合物B1=75質量%/25質量%)」を用いたこと以外は、実施例D10と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、電子輸送層、陰極がこの順に積層された発光素子D11を作製した。
発光素子D11に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.23,0.42)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の90%となるまでの時間(以下、「LT90」ともいう。)を測定した。結果を表20に示す。
【0445】
<比較例CD4> 発光素子CD4の作製と評価
実施例D10の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-3」に代えて「高分子化合物HTL-C2」を用い、さらに、実施例D10の(第1の有機層の形成)における、「化合物HM-1及び燐光発光性化合物R2(化合物HM-1/燐光発光性化合物R2=92.5質量%/7.5質量%)」に代えて「化合物HM-1及び燐光発光性化合物B1(化合物HM-1/燐光発光性化合物B1=75質量%/25質量%)」を用いたこと以外は、実施例D10と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、電子輸送層、陰極がこの順に積層された発光素子CD4を作製した。
発光素子CD4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.24,0.43)であった。初期輝度1000cd/m2で定電流駆動させ、LT90を測定した。結果を表20に示す。
【0446】
実施例D11及び比較例CD4の結果を表20に示す。発光素子CD4のLT90を1.0としたときの発光素子D11のLT90の相対値を示す。
【0447】
【0448】
<実施例D12> 発光素子D12の作製と評価
実施例D10の(第1の有機層の形成)における、「化合物HM-1及び燐光発光性化合物R2(化合物HM-1/燐光発光性化合物R2=92.5質量%/7.5質量%)」に代えて「化合物HM-1、燐光発光性化合物B1、燐光発光性化合物G1及び燐光発光性化合物R1(化合物HM-1/燐光発光性化合物B1/燐光発光性化合物G1/燐光発光性化合物R1=73.9質量%/25質量%/1質量%/0.1質量%)」を用いたこと以外は、実施例D10と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、電子輸送層、陰極がこの順に積層された発光素子D12を作製した。
発光素子D12に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.26,0.47)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間(以下、「LT95」ともいう。)を測定した。結果を表21に示す。
【0449】
<比較例CD5> 発光素子CD5の作製と評価
実施例D10の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-3」に代えて「高分子化合物HTL-C2」を用い、さらに、実施例D10の(第1の有機層の形成)における、「化合物HM-1及び燐光発光性化合物R2(化合物HM-1/燐光発光性化合物R2=92.5質量%/7.5質量%)」に代えて「化合物HM-1、燐光発光性化合物B1、燐光発光性化合物G1及び燐光発光性化合物R1(化合物HM-1/燐光発光性化合物B1/燐光発光性化合物G1/燐光発光性化合物R1=73.9質量%/25質量%/1質量%/0.1質量%)」を用いたこと以外は、実施例D10と同様にして、陽極、正孔注入層、正孔輸送層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、電子輸送層、陰極がこの順に積層された発光素子CD5を作製した。
発光素子CD5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.26,0.47)であった。初期輝度1000cd/m2で定電流駆動させ、LT95を測定した。結果を表21に示す。
【0450】
実施例D12及び比較例CD5の結果を表21に示す。発光素子CD5のLT95を1.0としたときの発光素子D12のLT95の相対値を示す。
【0451】
【0452】
<実施例D13> 発光素子D13の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるAQ-1200(Plectronics社製)をスピンコート法により50nmの厚さで成膜した。大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0453】
(第2の有機層の形成)
キシレンに、ブロック共重合体HTL-5を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより第2の有機層(第2の発光層)を形成した。この加熱により、ブロック共重合体HTL-5は、架橋体となった。
【0454】
(第1の有機層の形成)
キシレンに、化合物HM-1及び燐光発光性化合物B1(化合物HM-1/燐光発光性化合物B1=75質量%/25質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、第2の有機層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、10分間加熱させることにより第1の有機層(第1の発光層)を形成した。
【0455】
(電子輸送層の形成)
2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノールに、高分子化合物ETL-1を0.25質量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール溶液を用いて、第1の有機層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより電子輸送層を形成した。
【0456】
(陰極の形成)
電子輸送層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、電子輸送層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、陽極、正孔注入層、第2の発光層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、電子輸送層、陰極がこの順に積層された発光素子D13を作製した。
【0457】
(発光素子の評価)
発光素子D13に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.49,0.46)であった。初期輝度が1000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の98%となるまでの時間(以下、「LT98」ともいう。)を測定した。結果を表22に示す。
【0458】
<比較例CD6> 発光素子CD6の作製と評価
実施例D13の(第2の有機層の形成)における、「ブロック共重合体HTL-5」に代えて「ブロック共重合体HTL-C4」を用いたこと以外は、実施例D13と同様にして、陽極、正孔注入層、第2の発光層(第2の有機層)、第1の発光層(第1の有機層)、電子輸送層、陰極がこの順に積層された発光素子CD6を作製した。
発光素子CD6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/m2におけるCIE色度座標(x,y)=(0.50,0.45)であった。初期輝度1000cd/m2で定電流駆動させ、LT98を測定した。結果を表22に示す。
【0459】
実施例D13及び比較例CD6の結果を表22に示す。発光素子CD6のLT98を1.0としたときの発光素子D13のLT98の相対値を示す。
【0460】
【産業上の利用可能性】
【0461】
本発明によれば、輝度寿命が優れる発光素子を提供することができる。
【符号の説明】
【0462】
10 発光素子、11 陽極、12 第2の有機層、13 第1の有機層、14 陰極。