(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】シアノアクリレート組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 220/34 20060101AFI20230725BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20230725BHJP
C09J 4/04 20060101ALI20230725BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230725BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20230725BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C08F220/34
C08F2/44 Z
C09J4/04
C09J11/06
C09J11/08
C09J11/04
(21)【出願番号】P 2020523701
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2018079495
(87)【国際公開番号】W WO2019081759
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-25
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】コボ、 イシドロ
(72)【発明者】
【氏名】フェラン、 マリサ
(72)【発明者】
【氏名】サダウスカイテ、 ヴィクトリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ウォード、 エマー
(72)【発明者】
【氏名】タリー、 レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ、 バリー エヌ.
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522899(JP,A)
【文献】国際公開第2016/038514(WO,A1)
【文献】特表2009-500517(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077091(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102504708(CN,A)
【文献】特開2011-241290(JP,A)
【文献】特開2011-057733(JP,A)
【文献】特開2010-150422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0241249(US,A1)
【文献】特表2014-515775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-2/60
C08F 6/00-246/00;301/00
C09J 1/00-5/10
C09J 9/00-201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)β-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分、
(b)2-メチルブチルシアノアクリレート、イソアミルシアノアクリレート
、2-ペンチルシアノアクリレート、3-メチルペンチルシアノアクリレート、2-エチルブチルシアノアクリレート、3、7-ジメチルオクチルシアノアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるシアノアクリレート成分、
(c)ゴム強化成分、
(d)耐湿性付与成分、および
(e)耐熱性付与成分
を含むシアノアクリレート組成物
であって、
(c)ゴム強化成分が、(i)エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(ii)エチレンおよびメチルアクリレートのジポリマー、(iii)塩化ビニリデン-アクリロニトリルコポリマー、(iv)塩化ビニル/ビニルアセテートコポリマー、(v)ポリエチレンとポリビニルアセテートのコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、
(d)耐湿性付与成分が、水素化芳香族無水物であり、
(e)耐熱性付与成分が、ベンゾニトリル類であり、
β-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分(a)が、組成物中に、55~75重量%およびシアノアクリレート成分(b)が、20~35重量%で存在するシアノアクリレート組成物。
【請求項2】
β-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分が、β-メトキシエチルシアノアクリレート、β-エトキシエチルシアノアクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ゴム強化成分が、エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物であり、反応生成物が離型剤、酸化防止剤、ステアリン酸およびポリエチレングリコールエーテルワックス
を含まない、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
耐湿性付与成分が、水素化無水フタル酸である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
耐湿性付与成分が、テトラヒドロフタル酸無水物である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ベンゾニトリル類が、3,5-ジニトロベンゾニトリル、2-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル、テトラフルオロイソフタロニトリル、ペンタフルオロベンゾニトリル、α、α、α-2-テトラフルオロ-p-トルニトリルおよびテトラクロロテレフタロニトリルからなる群から選択される、請求項1~
5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
チキソトロープ剤、ゲル化剤、増粘剤、促進剤および耐衝撃性付与剤のうちの1以上をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
チキソトロープ剤がヒュームドシリカである、請求項
7に記載の組成物。
【請求項9】
促進剤が、カリックスアレーン、オキサカリックスアレーン、シラクラウン、シクロデキストリン、クラウンエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、エトキシル化水酸基化合物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
7に記載の組成物。
【請求項10】
カリックスアレーンが、テトラブチルテトラ[2-エトキシ-2-オキソエトキシ]カリックス-4-アレーンである、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
クラウンエーテルが、15-クラウン-5,18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6、ベンゾ-15-クラウン-5-ジベンゾ-24-クラウン-8、ジベンゾ-30-クラウン-10、トリベンゾ-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ-22-クラウン-6、ジベンゾ-14-クラウン-4、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-24-クラウン-8、シクロヘキシル-12-クラウン-4、1,2-デカリル-15-クラウン-5、1,2-ナフト-15-クラウン-5、3,4,5-ナフチル-16-クラウン-5、1,2-メチル-ベンゾ-18-クラウン-6、1,2-メチルベンゾ-5,6-メチルベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチル-18-クラウン-6、1,2-ビニルベンゾ-15-クラウン-5、1,2-ビニルベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチル-シクロヘキシル-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ-22-クラウン-6、および1,2-ベンゾ-1,4-ベンゾ-5-オキシジェン-20-クラウン-7およびそれらの組み合わせからなる群内のメンバーから選択される、請求項
9に記載の組成物。
【請求項12】
ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートが以下の構造内
【化7】
(式中、nは、3より大きい)にある、請求項
9に記載の組成物。
【請求項13】
耐衝撃性付与剤が、クエン酸である、請求項
7に記載の組成物。
【請求項14】
β-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分(a)およびシアノアクリレート成分(b)が、組成物中に70:3
0の重量比で存在する、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
酸性安定剤およびフリーラジカル阻害剤をさらに含む、請求項1~
14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか1項に記載の組成物の反応生成物。
【請求項17】
シアノアクリレート成分中
に20重量パーセントまでの量で溶解したゴム強化成分を含む
、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1~
15のいずれか1項に記載のシアノアクリレート組成物を少なくとも1つの基材に塗布し、組成物が固定するのに十分な時間、基材を互いに合わせる工程を含む、2つの基材を結合する方法。
【請求項19】
2-メチルブチルシアノアクリレート、イソアミルシアノアクリレート
、2-ペンチルシアノアクリレート、3-メチルペンチルシアノアクリレート、2-エチルブチルシアノアクリレート、3、7-ジメチルオクチルシアノアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるシアノアクリレート成分に溶解されたゴム強化成分を提供し、それらとβ-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分を混合することで、混ぜ合わせる工程を含む、請求項1~
15のいずれか1項に記載のシアノアクリレート組成物の調製方法。
【請求項20】
組成物がアルミニウム基材の間に配置されて硬化生成物を形成し、100℃の温度
に6週間の間曝されたとき、硬化生成物が、成分(d)および(e)を含まない比較組成物よりも改善された引張強度性能を示す、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
組成物が軟鋼基材の間に配置されて硬化生成物を形成し、100℃の温度
で6週間の間、または98%の相対湿度条件および40℃の温度
で6週間に曝されたとき、硬化生成物が、成分(d)および(e)を含まない比較組成物よりも改善された引張強度性能を示す、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
耐熱性付与成分が、テトラフルオロイソフタロニトリルであり、組成物がアルミニウムまたは軟鋼基材の間に配置されて硬化生成物を形成し、120℃の温度
に6週間の間曝されたとき、硬化生成物が、成分(d)および(e)を含まない比較組成物よりも改善された引張強度性能を示す、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)β-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分、(b)2-メチルブチルシアノアクリレート、イソアミルシアノアクリレート、2-エチルヘキシルシアノアクリレート、2-ペンチルシアノアクリレート、3-メチルペンチルシアノアクリレート、2-エチルブチルシアノアクリレート、3、7-ジメチルオクチルシアノアクリレートおよびそれらの組み合わせから選択されるシアノアクリレート成分、(c)ゴム強化成分、(d)耐湿性付与成分、および(e)耐熱性付与成分を含むシアノアクリレート組成物に関する。本発明のシアノアクリレート組成物の硬化生成物は、従来のシアノアクリレート組成物で経験される臭いまたは従来のシアノアクリレート組成物でも経験されるブルーミングを伴わずに、改善された強化された耐熱性および耐湿性を示す。
【背景技術】
【0002】
<関連技術の簡単な説明>
シアノアクリレート接着剤組成物は周知であり、多種多様な用途をもつ、短時間で硬化する瞬間接着剤として広範に使用される。H.V.Coover、D.W.Dreifus及びJ.T.O’Connor、「Cyanoacrylate Adhesives」Handbook of Adhesives中、27、463~77、I.Skeist編、Van Nostrand Reinhold、New York、第3版(1990)を参照のこと。G.H.Millet、「Cyanoacrylate Adhesives」Structural Adhesives:Chemistry and Technology中、S.R.Hartshorn編、Plenun Press、New York、249~307ページ(1986)も参照のこと。
【0003】
米国特許第4,440,910号(O’Connor)は、ある種の有機ポリマーをエラストマー、すなわち実際にはゴム状の性質を有する強化添加剤として使用することにより、ゴム強化シアノアクリレート組成物を開発した。したがって、’910特許は、(a)シアノアクリレートエステルと、(b)約0.5重量%~約20重量%のエラストマーポリマーとの実質的に無溶媒の混合物を含む硬化性接着剤を対象とし、特許請求されている。エラストマーポリマーは、低級アルケンモノマーおよび(i)アクリル酸エステル、(ii)メタクリル酸エステルまたは(iii)酢酸ビニルとのエラストマーコポリマーから選択される。より具体的には、’910特許には、シアノアクリレートのための強化添加剤として、アクリルゴム、ポリエステルウレタン、エチレン-酢酸ビニル;フッ素ゴム、イソプレン-アクリロニトリルポリマー、クロロスルフィン化ポリエチレン、ポリ酢酸ビニルのホモポリマーが特に有用であることが判明したと記載される。
【0004】
エラストマーポリマーは、’910特許に、アクリル酸のアルキルエステルのホモポリマー、低級アルケンなどの他の重合性モノマーとアクリル酸のアルキルまたはアルコキシエステルとのコポリマー、およびアクリル酸のアルキルまたはアルコキシエステルのコポリマーのいずれかである、と記載されている。アクリルのアルキルおよびアルコキシエステルと共重合され得る他の不飽和モノマーとしては、ジエン、反応性ハロゲン含有不飽和化合物、およびアクリルアミドなどの他のアクリルモノマーが挙げられる。
【0005】
米国特許第5,288,794号(Attarwala)は、改善されたシアノアクリレートモノマー接着剤配合物に関し、その配合物は、2つ以上の電子吸引基である置換基を有するそれらの芳香環上の少なくとも3つの置換基を特徴とする、モノ、ポリまたはヘテロ芳香族化合物のポリマー接着剤の耐熱性を高める有効量が提供される。芳香族化合物の例は、2,4-ジニトロフルオロベンゼン、2,4-ジニトロクロロベンゼン、2,4-ジフルオロニトロベンゼン、3,5-ジニトロベンゾニトリル、2-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル、4,4’-ジフルオロ-3,3’-ジニトロフェニルスルホン、ペンタフルオロニトロベンゼン;ペンタフルオロベンゾニトリル、α、α、α-2-テトラフルオロ-p-トルニトリルおよびテトラクロロターフタロニトリルである。
【0006】
’794特許における発見の前に、シアノアクリレート接着剤結合の熱安定性を改善するために多くの試みがなされてきた。
【0007】
例えば、米国特許第3,832,334号は、無水マレイン酸の添加に関し、速い硬化速度を維持しながら耐熱性(硬化時)が増大したシアノアクリレート接着剤を製造することが報告されている。
【0008】
米国特許第4,196,271号は、トリ-、テトラ-および高級カルボン酸またはその無水物に関し、硬化したシアノアクリレート接着剤の耐熱性を改善するために有用であると報告されている。
【0009】
米国特許第4,450,265号は、シアノアクリレート接着剤の耐熱性を改善するための無水フタル酸の使用に関する。より具体的には、’265特許は、大部分が2-シアノアクリル酸の少なくとも1種のエステルを含む重合性成分を含む接着剤組成物に関し、請求されるものであり、組成物はさらに、水分または高温に暴露された状態で組成物から形成された接着剤結合の強度および/または耐久性に、好ましい影響を及ぼすのに効果的な量の無水フタル酸を含む。有効量は、組成物の0.1重量%~5.0重量%、例えば0.3重量%~0.7重量%であると報告されている。’265特許は、無水フタル酸の添加剤を使用しない組成物および無水マレイン酸を使用した組成物(アルミニウムの場合よりもステンレススチールのラップ剪断の場合はあまり顕著ではない)に対する優位性を報告している。
【0010】
米国特許第4,532,293号は、シアノアクリレート接着剤に優れた耐熱性を提供するためのベンゾフェノンテトラカルボン酸またはその無水物の使用に関するものであり、シアノアクリレート接着剤に優れた耐熱性を提供すると言われている。
【0011】
米国特許第4,490,515号は、熱間強度特性を改善するために特定のマレイミドまたはナジイミド化合物を含有するシアノアクリレート組成物に関する。
【0012】
米国特許第5,340,873号は、改善された靭性および柔軟性を有し、本質的にa)シアノアクリレートモノマーおよびb)二塩基性脂肪族または芳香族カルボン酸およびグリコールから誘導され、Rが二塩基性カルボン酸の有機残留物であり、R1がグリコールの有機残基である特別な構造の繰り返し単位を有する有効強化量の飽和ヒドロキシ末端ポリエステルポリマーからなるシアノアクリレート接着剤組成物に関し、ポリエステルは、約30,000~60,000の重量平均分子量および約-40℃~30℃のTgを有する。
【0013】
米国特許第6,833,196号は、シアノアクリレート成分を提供すること、およびメチルメタクリルモノマーとブチルアクリルモノマーおよびイソボルニルアクリルモノマーの少なくとも1つとを含む強化剤を提供する工程を含み、鋼とEPDMゴム基材との間のシアノアクリレート組成物の靭性を高める方法に関する。これによって、アクリルモノマー強化剤はシアノアクリレート組成物の靭性を高め、その結果硬化する。シアノアクリレート組成物は、72時間の室温硬化後および2時間の121℃硬化後の平均引張せん断強度が約4400psiを超える。
【0014】
従来の市販のエチルシアノアクリレート組成物には悪臭があり、一部のエンドユーザーは不快に感じる。β-メトキシエチルシアノアクリレートは、同じ臭いがないことが知られている。また、エチルシアノアクリレート組成物は、硬化するとブルーミングを示すことも知られている。β-メトキシエチルシアノアクリレートはそうではない。
【0015】
今日、市場で市販されている強化された低臭/低ブルームシアノアクリレート製品はない。市販の強化シアノアクリレート製品は、主にエチルシアノアクリレートモノマーに基づいており、(1)一部のエンドユーザーが不快に感じる臭い、および/または(2)硬化したときにブルーミングすることがある。そして、その硬化生成物に耐熱性および/または耐湿性を提供するような製品はない。
【0016】
市販のシアノアクリレート製品は、多くの場合、エチレンメチルメタクリレートターポリマーで強化されている。このポリマーは、β-メトキシエチルシアノアクリレートを含むシアノアクリレート組成物にほとんど靭性を与えない。その一つの理由は、β-メトキシエチルシアノアクリレートの不足した溶解度かもしれない。
【0017】
β-アルコキシアルキルシアノアクリレート組成物の靭性を改善するための最新技術およびこれまでの努力にもかかわらず、そのようなシアノアクリレート組成物の硬化生成物に靭性を提供し、なおかつシアノアクリレート組成物に関連することが多い、臭いおよび/またはブルーミングを最小限に抑え、場合によっては、その硬化生成物に耐熱性および/または耐湿性を付与する長年の切実で、まだ満たしていない要求これまでにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
(a)β-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分、(b)2-メチルブチルシアノアクリレート、イソアミルシアノアクリレート、2-エチルヘキシルシアノアクリレート、2-ペンチルシアノアクリレート、3-メチルペンチルシアノアクリレート、2-エチルブチルシアノアクリレート、3、7-ジメチルオクチルシアノアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるシアノアクリレート成分、(c)ゴム強化成分、(d)耐湿性付与成分、および(e)耐熱性付与成分を含むシアノアクリレート組成物が提供される。
【0019】
本発明はまた、2つの基材を一緒に結合する方法であって、少なくとも1つの基材に上記の組成物を塗布し、その後に基材を互いに合わせる工程を含む方法に関する。
【0020】
さらに、本発明は、本発明の組成物の反応生成物に関する。
【0021】
また、本発明は、本発明の組成物を調製する方法、ならびに従来のシアノアクリレート組成物で経験した臭いまたは従来のシアノアクリレート硬化組成物で経験したブルーミングもなく、シアノアクリレート組成物の硬化生成物に靭性および耐熱性および耐湿性を付与する方法に関する。
【0022】
本発明は、以下の「詳細な説明」と題されたセクションを読むことにより、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】
図1Aは、存在する場合に基材間に55μmギャップを形成するスペーサー素子のある場合ない場合での、室温での硬化後の軟鋼基材上のサンプルAのT剥離強度性能の表Aで取得したデータの棒グラフを示す。
【0024】
【
図1B】
図1Bは、存在する場合に基材間に55μmギャップを形成するスペーサー素子のある場合ない場合での、室温で1週間硬化した後の軟鋼基材上のサンプルA~CのT剥離強度性能の表Bで取得したデータの棒グラフを示す。
【0025】
【
図2】
図2は、LOCTITE Power Easy(表および図では「PE」と呼ぶ)およびLOCTITE 454と比較した、表Cに示されたサンプルA~Cの軟鋼基材の側面衝撃強度の棒グラフを示す。
【0026】
【
図3】
図3は、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454と比較した、表1に示されたサンプルA~Cについて記載された時間、室温エージング後の軟鋼基材の結合強度の棒グラフを示す。
【0027】
【
図4】
図4は、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454と比較した、表1に示されたサンプルA~Cについて記載された時間、室温エージング後のアルミニウム基材の結合強度の棒グラフを示す。
【0028】
【
図5】
図5は、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454と比較した、表1に示されたサンプルA~Cについて記載された時間、100℃の温度でエージング後の軟鋼基材で観察された結合強度の棒グラフを示す。
【0029】
【
図6】
図6は、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454と比較した、表1に示されたサンプルA~Cについて記載された期間、120℃の温度でエージング後の軟鋼基材で観察された結合強度の棒グラフを示す。
【0030】
【
図7】
図7は、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454と比較した、表1に示されたサンプルA~Cの40℃/98%RHでの耐湿性エージング後の軟鋼基材の結合強度の棒グラフを示す。
【0031】
【
図8】
図8は、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454と比較した、表1に示されたサンプルA~Cの室温、100℃および120℃の加熱エージング、および98%相対湿度および40℃での6週間エージング後の軟鋼基材で観察された結合強度の棒グラフを示す。
【0032】
【
図9】
図9は、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454と比較した、表1に示されたサンプルA~Cの室温、100℃および120℃の加熱エージング、および98%相対湿度および40℃での6週間エージング後のアルミニウム基材で観察された結合強度の棒グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<詳細な説明>
上述のように、本発明は、(a)β-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分、(b)2-メチルブチルシアノアクリレート、イソアミルシアノアクリレート、2-エチルヘキシルシアノアクリレート、2-ペンチルシアノアクリレート、3-メチルペンチルシアノアクリレート、2-エチルブチルシアノアクリレート、3、7-ジメチルオクチルシアノアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるシアノアクリレート成分、(c)ゴム強化成分、(d)耐湿性付与成分、および(e)耐熱性付与成分を含むシアノアクリレート組成物に関する。
【0034】
β-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分(a)は、β-メトキシメチルシアノアクリレート、β-メトキシエチルシアノアクリレート、β-エトキシメチルシアノアクリレート、β-エトキシエチルシアノアクリレートおよびそれらの組み合わせから選択することができる。それらのβ-アルコキシアルキルシアノアクリレートの中で特に望ましいのは、β-メトキシエチルシアノアクリレートである。
【0035】
β-アルコキシアルキルシアノアクリレート成分(a)は、全組成物の約40重量%~約90重量%の範囲内の量で組成物に含まれるべきであり、約55重量%~約75重量%の範囲、たとえば、約55重量%~約70重量%または約55重量%~約65重量%が好ましく、約60重量%が特に望ましい。
【0036】
シアノアクリレート成分(b)は、2-メチルブチルシアノアクリレート、イソアミルシアノアクリレート、2-エチルヘキシルシアノアクリレート、2-ペンチルシアノアクリレート、3-メチルペンチルシアノアクリレート、2-エチルブチルシアノアクリレート、3,7-ジメチルオクチルシアノアクリレート、およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。これらのシアノアクリレート成分の中で特に望ましいのは、イソアミルシアノアクリレートである。
【0037】
シアノアクリレート成分(b)は、全組成物の約10重量%~約50重量%の範囲内の量で組成物中に含まれるべきであり、約20重量%~約35重量%の範囲が望ましく、そして約30重量%が特に望ましい。
【0038】
ゴム強化成分(c)は、(i)エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(ii)エチレンおよびメチルアクリレートのジポリマー、(iii)塩化ビニリデン-アクリロニトリルコポリマー、(iv)塩化ビニル/ビニルアセテートコポリマー、(v)ポリエチレンとポリビニルアセテートのコポリマーおよびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0039】
望ましくは、(i)エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物(c)であり、反応生成物は、離型剤、酸化防止剤、ステアリン酸、ポリエチレングリコールエーテルワックスを実質的に含まず、β-アルコキシアルキルシアノアクリレートが使用のために選択される。DuPontは、VAMAC VCS 5500の商品名でそのような反応生成物を供給している。
【0040】
ゴム強化成分(c)は、全組成物の約3重量%~約20重量%の範囲内の量で組成物に含まれるべきであり、約5重量%~約15重量%の範囲が望ましく、約8重量%が特に望ましい。
【0041】
耐熱性付与成分(d)として、ベンゾニトリル、例えば、2以上の電子求引基である置換基を有し、それらの芳香環上の少なくとも3つの置換基を特徴とするモノ、ポリまたはヘテロ芳香族化合物から選択されるものを使用すべきである。そのようなベンゾニトリルの具体例には、3,5-ジニトロベンゾニトリル、テトラフルオロイソフタロニトリル2-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル、ペンタフルオロベンゾニトリル、α、α、α-2-テトラフルオロ-p-トルニトリルおよびテトラクロロテレフタロニトリルが含まれる。
【0042】
耐熱性付与成分(ベンゾニトリルなど)は、約0.01重量%~約3重量%、たとえば約0.1重量%~約1重量%など、約3重量%までの量で存在する必要があり、0.5重量%が特に望ましい。
【0043】
耐湿性付与成分(e)として、通常、水素化無水物は、3,4,5,6-テトラヒドロ無水フタル酸などの水素化無水フタル酸であるべきである。しかしながら、それらの異性体バージョンおよびフタル酸無水物の部分的に水素化されたバージョンも使用できる。
【0044】
耐湿性付与成分(水素化無水フタル酸など)は、約0.01~約0.09の範囲内、望ましくは約0.03~約0.05重量%の範囲内など、約0.1重量%までの量で使用すべきである。そのようなレベルでは、ヨーロッパのEINECS規制体制の下で生成された製品ラベルは、規制のその部分に準拠するための「皮膚感作物質」の警告を伝える必要はない。
【0045】
望ましくは、3、4、5、6-テトラヒドロフタル酸無水物は、約0.01重量%~約1重量%など、約1重量%までの量で使用すべきであり、ペンタフルオロベンゾニトリルは、約0.01重量%~約0.5重量%など、約0.5重量%までの量で使用すべきである。
【0046】
本発明の組成物を形成するのに特に望ましい成分のセットは、広い範囲および所望の範囲で、以下に列挙されるものを含むことができる。特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約50~100ppmの量、望ましくは約100ppmの量のクエン酸も含む。
【0047】
【0048】
本発明のシアノアクリレート組成物には、カリックスアレーンおよびオキサカリックスアレーン、シラクラウン、クラウンエーテル、シクロデキストリン、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、エトキシル化された含水化合物およびそれらの組み合わせから選択されるいずれか1つ以上などの促進剤もまた含まれてもよい。
【0049】
カリックスアレーンおよびオキサカリックスアレーンのうち、多くは公知であり、特許文献に報告されている。例えば、米国特許第4,556,700号、第4,622,414号、第4,636,539号、第4,695,615号、第4,718,966号、および第4,855,461号に記載されており、これらの各々の開示は参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0050】
例えば、カリックスアレーンに関しては、以下の構造内のものが有用である。
【0051】
【化1】
式中、
R
1は、アルキル、アルコキシ、置換アルキルまたは置換アルコキシであり;R
2はHまたはアルキルであり;nは4,6または8である。
【0052】
1つの特に望ましいカリックスアレーンはテトラブチルテトラ[2-エトキシ-2-オキソエトキシ]カリックス-4-アレーンである。
【0053】
多くのクラウンエーテルが知られている。
たとえば、15-クラウン-5、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6、ベンゾ-15-クラウン-5-ジベンゾ-24-クラウン-8、ジベンゾ-30-クラウン-10、トリベンゾ-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ22-クラウン-6、ジベンゾ-14-クラウン-4、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-24-クラウン-8、シクロヘキシル-12-クラウン-4、1,2-デカリル-15-クラウン-5、1,2-ナフト-15-クラウン-5、3,4,5-ナフチル-16-クラウン-5、1,2-メチル-ベンゾ-18-クラウン-6、1,2-メチルベンゾ-5、6-メチレンベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチル-18-クラウン-6、1,2-ビニルベンゾ-15-クラウン-5、1,2-ビニルベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチルシクロヘキシル-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ-22-クラウン-6および1,2-ベンゾ-1,4-ベンゾ-5-オキシジェン-20-クラウン-7のいずれかを用いることができる。米国特許第4,837,260号(Sato)を参照し、これにより、その開示が参照によって本明細書に明確に組み込まれる。
【0054】
シラクラウンのうち、この場合も先と同様に多くは知られており、文献に報告されている。
【0055】
本発明の組成物に有用なシラクラウン化合物の具体的な例には、
【0056】
【0057】
【0058】
【化4】
およびジメチルシラ-17-クラウン-6が挙げられる。
【0059】
例えば、米国特許第4,906,317号(Liu)などを参照し、これにより、その開示が参照によって本明細書に明確に組み込まれる。
【0060】
本発明に関して多くのシクロデキストリンを使用できる。例えば、その開示がこれにより参照によって本明細書に明確に組み込まれる米国特許第5,312,864号(Wenz)に、少なくとも部分的にシアノアクリレートと溶解可能である、α、β又はγ-シクロデキストリンの水酸基誘導体として記載され、その権利が主張されるシクロデキストリンは、第1の促進剤成分として本明細書での使用適切な選択である。
【0061】
例えば、本明細書での使用に適したポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートには、以下の構造内のものが含まれる。
【0062】
【化5】
式中、
nは3より大きく、例えば3~12の範囲内であり、nは9であることが特に望ましい。 より具体的な例として、PEG 200 DMA(nは約4)、PEG 400 DMA(nは約9)、PEG 600 DMA(nは約14)、PEG 800 DMA(nは約19)が挙げられる。ここで、数値(例えば400)は、二つのメタクリレート基を除外した当該分子のグリコール部分の平均分子量を、グラム/モル(すなわち、400g/mol)で表記したものである。特に望ましいPEG DMAはPEG 400 DMAである。
【0063】
そしてエトキシル化された水素の化合物(または使用され得るエトキシル化脂肪アルコール)のうち、適切なものは、以下の構造内のものから選択され得る。
【0064】
【化6】
式中、C
mは、直鎖または分枝アルキルまたはアルケニル鎖であることができ、mは1~30の整数であり、例えば5~20であり、nは2~30の整数であり、例えば5~15であり、RはHまたはアルキル、例えばC1-6アルキルであってもよい。
【0065】
使用する場合、上記の構造に包含される促進剤は、全組成物の約0.01重量%~約10重量%の範囲内の量で組成物中に含まれるべきであり、約0.1重量%~約0.5重量%の範囲が望ましく、約0.4重量%が特に望ましい。
【0066】
通常、安定剤パッケージもシアノアクリレート組成物中に含まれる。前記安定剤パッケージは、1以上のフリーラジカル安定剤及びアニオン安定剤を含んでもよく、それぞれの内容及び量は、当業者に周知である。米国特許第5,530,037号及び第6,607,632号を参照し、その各開示が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0067】
特定の酸性物質(クエン酸など)、チキソトロピー剤またはゲル化剤、増粘剤、染料、およびそれらの組み合わせなどの他の添加剤を本発明のシアノアクリレート組成物に含めることができる。
【0068】
促進剤およびこれらの添加剤のうち、以下の表に列挙されているものが、特に記載された量で、望ましい例である。
【表2】
【0069】
シアノアクリレート成分(b)は、H2C=C(CN)-COORによって表されるものなどの多くの置換基で選択され得るシアノアクリレートモノマーをさらに含むことができ、式中、Rは、C1~15アルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アリルおよびハロアルキル基から選択される。望ましくは、これらの追加のシアノアクリレートモノマーは、メチルシアノアクリレート、エチル-2-シアノアクリレート、プロピルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート(n-ブチル-2-シアノアクリレートなど)、オクチルシアノアクリレート、アリルシアノアクリレート、およびこれらの組み合わせから選択できる。特に望ましいものは、エチル-2-シアノアクリレートである。
【0070】
本発明の別の態様では、2つの基材を互いに結合する方法が提供され、この方法は、少なくとも1つの基材に上記組成物を塗布し、その後、接着剤が固定するのを可能にするのに十分な時間、基材を互いに合わせることを含む。
【0071】
本発明のさらに別の態様では、上記組成物の反応生成物が提供される。
【0072】
組成物がアルミニウム基材の間に配置されて硬化生成物を形成し、100℃の温度に約6週間の間曝されたとき、硬化生成物は、成分(d)および(e)を含まない比較組成物よりも改善された温度性能を示す。
【0073】
組成物が軟鋼基材の間に配置されて硬化生成物を形成し、100℃の温度で約6週間の間、または98%の相対湿度条件、40℃の温度で約6週間に曝されたとき、硬化生成物は、成分(d)および(e)を含まない比較組成物よりも改善された温度性能を示す。
【0074】
耐熱性付与成分が、テトラフルオロイソフタロニトリルであり、組成物がアルミニウムまたは軟鋼基材の間に配置されて硬化生成物を形成し、120℃の温度に約6週間の間曝されたとき、硬化生成物は、成分(d)および(e)を含まない比較組成物よりも改善された温度性能を示す。
【0075】
本発明のさらに別の態様では、そのように記載された組成物を調製する方法が提供される。この方法は、シアノアクリレート成分を提供することと、水素化無水物および任意選択でベンゾニトリル化合物を混合することと組み合わせることを含む。
【0076】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明される。
【実施例】
【0077】
すべてのサンプルは、記載されている成分の実質的な成分の均質性を確実にするのに十分な時間混合して調製した。通常、使用する成分の量により、通常は約30分で十分である。各サンプルには、50ppmのクエン酸と安定剤パッケージも含まれていた。
【0078】
コントロールとして、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454を使用した。LOCTITE Power Easyは、PMMAでゲル状に濃縮されたβ-メトキシエチルシアノアクリレートである。LOCTITE 454は、VAMAC VCS 5500で強化されたエチルシアノアクリレートのゴムで、これもゲル状である。
【0079】
【0080】
以下の表Aは、55μmのギャップがある場合とない場合の両方で、室温でエージングした後のサンプルAの軟鋼基材のT剥離強度性能について取得したデータを示す。
【0081】
【0082】
【0083】
図1Aは、軟鋼基材の靭性が、室温で8週間の期間にわたって維持されることを示す。驚くべきことに、55μmのギャップが存在すると、時間の経過とともに靭性が向上する。
【0084】
以下の表Bは、55μmのギャップがある場合とない場合の両方で、室温で1週間エージングした後のサンプルA~Cの軟鋼基材のT剥離強度性能について取得したデータを示す。2つのLOCTITEブランドの製品、Power Easyおよび454は、これらの条件下では性能を示さなかったため、データは報告されない。
【0085】
【0086】
サンプルBおよびCは、軟鋼基材でのT剥離強度性能によって測定された靭性の改善を示す。
【0087】
下の表Cは、サンプルA~C、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454の室温で1週間のエージング後の、軟鋼とアルミニウムの基材の側面衝撃強度性能について取得したデータを示す。
【0088】
【0089】
各サンプルA~Cの1週間の室温硬化後の軟鋼基材の側面衝撃強度性能は、テスト方法で観察可能な最大値である13.56Jを超えた。これらの値は、最低でもLOCTITEブランドのコントロールの2倍以上であった。優れた性能は、室温で1週間硬化した後のアルミニウム基材上のこれらのサンプルでも観察された。これらの値は、LOCTITEブランドのコントロールの最低3倍近くの高さであった。
図2を参照。
【0090】
以下の表Dは、室温で3日間、1週間、3週間、6週間エージングしたサンプルA~C、LOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454の軟鋼およびアルミニウム基材の引張強度性能について取得したデータを示す。
【0091】
【0092】
図3および4は、サンプルA~CおよびLOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454の軟鋼基材およびアルミニウム基材それぞれの室温エージングのこのデータを示す。軟鋼基材の接着強度は、コントロールとして使用された2つのLOCTITEブランドの製品と比較して、当初はやや低かった。しかし、時間の経過とともに結合強度が増加することが観察された。そして、アルミニウム基材の場合、エージング期間にわたって例外的な耐久性が観察された。
【0093】
以下の表Eは、サンプルA~CおよびLOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454の、それぞれ室温で1週間エージングした後、100℃の温度で3週および6週間エージングした軟鋼およびアルミニウム基材の引張強度性能について取得したデータを示す。
【0094】
【0095】
図5は、室温で1週間エージングした後、100℃で3週間および6週間エージングした軟鋼基材上のサンプルA~CおよびLOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454のこれらのデータを示す。サンプルAは、コントロールとして使用されるLOCTITEブランドの製品よりも大幅に改善された性能を示すことが観察された。耐熱性付与成分の添加は、ここではほとんど影響を示さないことが観察された。しかし、以下で説明するように、120℃の温度、特に軟鋼基材では、コントロールとして使用されるLOCTITEブランドの製品とサンプルAを比較して、性能の大幅な改善が見られる。アルミニウム基材上のサンプルBおよびCでは、耐久性が大幅に向上している。
【0096】
以下の表Fは、室温で1週間エージングした後、120℃の温度で3週間および6週間エージングした後の、サンプルA~CおよびLOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454の、それぞれ軟鋼およびアルミニウム基材上の引張強度性能について取得したデータを示す。
【0097】
【0098】
図6は、室温で1週間エージングした後、120℃で3週間および6週間エージングした軟鋼基材上のサンプルA~CおよびLOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454のこれらのデータを示す。サンプルBのTFIPNとTHPAの組み合わせは、120℃での耐久性に大きく貢献している。同様に、アルミニウム基材を接着するために使用され、6週間エージングした同じサンプルは、表Fに示すように、接着強度の大幅な保持をもたらした。
【0099】
以下の表Gは、室温で1週間エージングした後、98%相対湿度および40℃の温度で3週間および6週間エージングした軟鋼およびアルミニウム基材上のサンプルA~CおよびLOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454の引張強度性能について取得したデータを示す。
【0100】
【0101】
図7は、相対湿度98%、温度40℃で3週間および6週間エージングした後の、軟鋼基材上のサンプルA~CおよびLOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454のこれらのデータを示す。この場合も、耐熱性付与成分と耐湿性付与成分の両方の添加は、サンプルBとCで観察されたデータを参照して示されるように、性能プロファイルが大幅に向上している。
【0102】
図8および9は、室温、100℃、120℃および98%相対湿度/40℃で6週間エージング後の軟鋼基材およびアルミニウム基材上のサンプルA~CおよびLOCTITE Power EasyおよびLOCTITE 454のそれぞれのデータを示す。これらのデータは、上記の表E~Gに取得される。
【0103】
100℃では、本発明のサンプルはコントロールよりも優れていた。120℃で、本発明のサンプルを使用して、特に、軟鋼基材上の特定のサンプルBで、特に時間の経過とともに耐熱性が示された。優れた耐湿性が本発明のサンプルで観察され、コントロールを大幅に上回った。