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  • 特許-高分子化合物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】高分子化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
C08G61/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019152686
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2020056004
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2018183826
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 健
(72)【発明者】
【氏名】廣井 結希
(72)【発明者】
【氏名】森 拓也
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-125087(JP,A)
【文献】特開2005-179649(JP,A)
【文献】特開2010-013531(JP,A)
【文献】特開2018-104675(JP,A)
【文献】特開2005-138038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00- 61/12
C08G 2/00- 2/38
C08F 6/00-246/00
C08F301/00
C08C 19/00- 19/44
C08G 69/00- 69/50
B01D 15/00- 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物Aを精製して、低分子量成分が低減された式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物Bを製造する方法であって、
前記精製が、前記高分子化合物A及び溶媒を含有する混合物を、吸着剤を用いてカラムクロマトグラフィ処理する工程を含み、
前記カラム中の吸着剤の充填量が、前記高分子化合物A 100質量部に対して300質量部以上であり、
前記吸着剤のメソ孔容積が、0.3~0.7cm3/gである、製造方法。
[式中、
Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、又は2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基とが結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar2が複数存在する場合、それらは各々同一又は異なっていてもよい。
Ar3は、1価の芳香族炭化水素基、又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar3が複数存在する場合、それらは各々同一又は異なっていてもよい。
aは、0~2の整数を表す。]
【請求項2】
前記吸着剤が、活性白土及び活性炭からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記高分子化合物Aの重量平均分子量が、20000を超える、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記カラムクロマトグラフィ処理する工程の後、さらに再沈殿処理する工程を含む、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
式(1)で表される構成単位を有する高分子化合物Aを精製する方法であって、
前記精製が、前記高分子化合物A及び溶媒を含有する混合物を、吸着剤を用いてカラムクロマトグラフィ処理する工程を含み、
前記カラム中の吸着剤の充填量が、前記高分子化合物A 100質量部に対して300質量部以上であり、
前記吸着剤のメソ孔容積が、0.3~0.7cm3/gである、精製方法。
[式中、
Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、又は2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基とが結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar2が複数存在する場合、それらは各々同一又は異なっていてもよい。
Ar3は、1価の芳香族炭化水素基、又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar3が複数存在する場合、それらは各々同一又は異なっていてもよい。
aは、0~2の整数を表す。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」とも表記する)素子等の材料として、例えば、高分子化合物が用いられている。当該素子の電気特性、寿命等を向上させるために、当該高分子化合物は低分子量成分の含有量が少ないことが望ましい。
【0003】
高分子化合物は、例えば、遷移金属錯体の存在下、芳香族ジボロン酸と芳香族ジハロゲン化物とを鈴木カップリング反応させることにより合成することができる。しかし、この合成方法では、低分子量成分の含有量が十分に小さい高分子化合物を得ることが困難であった。
ポリマーから低分子量成分の含有量を低減させ得る方法として、例えば、特許文献1には、電荷移動特性を有する分子量フラクションを分離する方法が記載されている。特許文献2には、未精製の高分子化合物を、水中で炭素材料(活性炭等)と接触させて精製する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2003-503519号公報
【文献】国際公開第2011/118611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低分子量成分の含有量が少ない高分子化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、所定のメソ孔容積を有する吸着剤を所定量用いて、高分子化合物をカラムクロマトグラフィ処理することにより、高分子化合物中の低分子量成分の含有量(質量分率)を選択的に低減できることを見出した。かかる知見に基づいて、さらに検討を加えて、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の[1]~[5]を提供する。
【0007】
[1] 式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物A(以下、高分子化合物Aと表記する場合がある)を精製して、低分子量成分が低減された式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物B(以下、高分子化合物Bと表記する場合がある)を製造する方法であって、
前記精製が、前記高分子化合物A及び溶媒を含有する混合物を、吸着剤を用いてカラムクロマトグラフィ処理する工程を含み、
前記カラム中の吸着剤の充填量が、前記高分子化合物A 100質量部に対して300質量部以上であり、
前記吸着剤のメソ孔容積が、0.3~0.7cm3/gである、製造方法。
[式中、
Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、又は2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基とが結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar2が複数存在する場合、それらは各々同一又は異なっていてもよい。
Ar3は、1価の芳香族炭化水素基、又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar3が複数存在する場合、それらは各々同一又は異なっていてもよい。
aは、0~2の整数を表す。]
[2] 前記吸着剤が、活性白土及び活性炭から選択される1種以上である、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記高分子化合物Aの重量平均分子量が、20000を超える、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 前記カラムクロマトグラフィ処理する工程の後、さらに再沈殿処理する工程を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 式(1)で表される構成単位を有する高分子化合物Aを精製する方法であって、 前記精製が、前記高分子化合物A及び溶媒を含有する混合物を、吸着剤を用いてカラムクロマトグラフィ処理する工程を含み、
前記カラム中の吸着剤の充填量が、前記高分子化合物A 100質量部に対して300質量部以上であり、
前記吸着剤のメソ孔容積が、0.3~0.7cm3/gである、精製方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法によれば、分子量として20000以下の低分子量成分の含有量が十分に小さい高分子化合物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1~3及び比較例1~7で用いた吸着剤のメソ孔容積と得られた高分子化合物に含まれる低分子量(分子量20000以下)成分の質量分率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.共通する用語の説明
本明細書において使用する用語を以下に説明する。
【0011】
「水素原子」は、軽水素原子であっても重水素原子であってもよい。
【0012】
「アルキル基」とは、直鎖、分岐及び環状のアルキル基を意味する。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、通常1~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。分岐及び環状のアルキル基の炭素原子数は、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-n-ヘキシル-デシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。
【0013】
「アルキル基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アルキル基」はこれらの置換基から選択される1~20個の置換基を有していてもよい。当該置換アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-n-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基等が挙げられる。
【0014】
「アリール基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた1価の基を意味する。アリール基の炭素原子数は、通常6~60であり、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~10である。当該アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基等が挙げられる。
【0015】
「アリール基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アリール基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい。当該置換アリール基としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基、4-ヘキシルフェニル基、4-フェニルフェニル基等が挙げられる。
【0016】
「アルコキシ基」とは、直鎖、分岐及び環状のアルコキシ基を意味する。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、通常1~40であり、好ましくは4~10である。分岐及び環状のアルコキシ基の炭素原子数は、通常3~40であり、好ましくは4~10である。当該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。
【0017】
「アルコキシ基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アルコキシ基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい。
【0018】
「アリールオキシ基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を酸素原子に置き換えた1価の基を意味する。アリールオキシ基の炭素原子数は、通常6~60であり、好ましくは7~48である。当該アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基等が挙げられる。
【0019】
「アリールオキシ基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アリールオキシ基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい。当該置換アリールオキシ基としては、例えば、ペンタフルオロフェノキシ基、4-ヘキシルフェノキシ基、4-フェニルフェノキシ基等が挙げられる。
【0020】
「置換アミノ基」は、2つの置換基を有するアミノ基を意味する。当該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基(該アリール基はアルキル基を有していてもよい)、1価の複素環基等が挙げられる。当該置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ジ(モノ又はジアルキルアリール)アミノ基が挙げられ、具体的には、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基等が挙げられる。
【0021】
「エステル化されたカルボキシル基」とは、式:-COOR'(R'は、アルキル基、アリール基、1価の複素環基等を表す。)で表される基を意味する。当該エステル化されたカルボキシル基としては、例えば、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が挙げられ、具体的には、例えば、-CO2CH3で表される基、-CO225で表される基、-CO265で表される基等が挙げられる。
【0022】
「アルケニル基」は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、通常2~30であり、好ましくは2~20である。分岐及び環状のアルケニル基の炭素原子数は、通常3~30であり、好ましくは4~20である。当該アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテン-1-イル基、3-ブテン-1-イル基、1-シクロヘキセニル基、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基等が挙げられる。
【0023】
「アルケニル基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アルケニル基」はこれらの置換基から選択される1~20個の置換基を有していてもよい。当該置換アルケニル基としては、例えば、2-フェニルエテニル基、4-オクチル-2-フェニルエテニル基等が挙げられる。
【0024】
「アルキニル基」は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。直鎖のアルキニル基の炭素原子数は、通常2~30であり、好ましくは2~20である。分岐及び環状のアルキニル基の炭素原子数は、通常4~30であり、好ましくは4~20である。当該アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチン-1-イル基、3-ブチン-1-イル基等が挙げられる。
【0025】
「アルキニル基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アルキニル基」はこれらの置換基から選択される1~20個の置換基を有していてもよい。当該置換アルキニル基としては、例えば、2-フェニルエチニル基、4-オクチル-2-フェニルエチニル基等が挙げられる。
【0026】
「金属錯体含有基」は、金属原子とそれに配位する配位子とから形成される錯体を含む基を意味する。例えば、式(C-1)~式(C-4)のいずれかで表される基が挙げられる。
【0027】
[式中、MはIrまたはPtである。MがIrのとき、m=2であり、MがPtのとき、m=1である。環Aは置換基を有していてもよい窒素原子を含む環状構造を表す。環Bは置換基を有していてもよい炭素原子を含む環状構造を表す。Rは、後記と同じ意味を表す。]
【0028】
環Aとしては、例えば、含窒素芳香環(ピリジン等)が挙げられる。環Bとしては、例えば、芳香環(ベンゼン等)又は複素芳香環(ジベンゾチオフェン等)が挙げられる。環A及び環Bは置換基を有していてもよい。環A及び環Bはそれぞれ、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基等から選択される1~4個の置換基を有していてもよい。
【0029】
「1価の芳香族炭化水素基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた1価の基を意味する。芳香族炭化水素の炭素原子数は、通常6~60であり、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~10である。当該1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基等が挙げられる。
【0030】
「1価の芳香族炭化水素基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アルキレン基(ジメチレン基、トリメチレン基等)等が挙げられる。「1価の芳香族炭化水素基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい。当該置換された1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、ベンゾシクロブテニル基等が挙げられる。
【0031】
「2価の芳香族炭化水素基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた2価の基、及び当該2価の基からなる群から選ばれる複数個(例えば、2~5個)が結合した2価の基を意味する。2価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、通常、6~60であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。当該2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基等が挙げられる。
【0032】
「2価の芳香族炭化水素基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「2価の芳香族炭化水素基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい。当該置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、式(A-1)~式(A-20)で表される基が挙げられる。
【0033】
[式中、Rは、水素原子、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基を表す。Rは、置換可能な基である場合、置換基を有していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。隣接するR同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0034】
「1価の複素環基」とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち1個の水素原子を除いた1価の基を意味する。1価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち1個の水素原子を除いた1価の基である「1価の芳香族複素環基」が好ましい。「1価の複素環基」としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基等が挙げられる。
【0035】
「芳香族複素環式化合物」とは、例えば、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物;フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物;並びにそれらの化合物が複数結合した化合物のいずれをも意味する。
【0036】
「1価の複素環基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アルキレン基等が挙げられる。1価の複素環基は、これらの置換基から選択される1~5個の置換基を有していてもよい。
【0037】
「2価の複素環基」とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基を意味する。2価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基である「2価の芳香族複素環基」が好ましい。「2価の複素環基」としては、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール等の芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基、及び当該2価の基からなる群から選ばれる複数(例えば、2~4個)が結合した2価の基が挙げられる。
【0038】
「2価の複素環基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。2価の複素環基は、これらの置換基から選択される1~5個の置換基を有していてもよい。当該置換基を有していてもよい2価の複素環基として好ましくは、式(A-21)~式(A-45)で表される基である。
【0039】
[式中、R及びR’は前記と同じ意味を表す。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0040】
「2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基とが結合した2価の基」としては、上述した2価の芳香族炭化水素基の1個又は2個以上と、上述した2価の複素環基の1個又は2個以上とが任意に結合した2価の基を意味する。2価の芳香族炭化水素基及び2価の複素環基としては、上述したものが挙げられる。
【0041】
「2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基とが結合した2価の基」は置換基を有していてもよく、その部分構造である2価の芳香族炭化水素基上には、上述した、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基及び金属錯体含有基から選択される1~10個の置換基を有していてもよく、他の部分構造である2価の複素環基上には、上述した、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基及び金属錯体含有基から選択される1~5個の置換基を有していてもよい。
【0042】
2.本発明の製造方法
本発明の製造方法は、式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物Aを精製して、低分子量成分が低減された式(1)で表される構成単位を有する高分子化合物Bを製造する方法であり、高分子化合物A及び溶媒を含有する混合物を、吸着剤を用いてカラムクロマトグラフィ処理する工程を含み、前記吸着剤の充填量が、高分子化合物A 100質量部に対して、300質量部以上であり、かつ、前記吸着剤のメソ孔容積が、0.3~0.7cm3/gであることを特徴としている。この製造方法により、高分子化合物Aから低分子量成分を選択的に除去でき、低分子量成分の含有量(質量分率)の少ない高分子化合物Bを製造することができる。
【0043】
2.1 吸着剤
本発明で用いる吸着剤は、メソ孔容積が、0.3~0.7cm3/gである。低分子量の成分をより効率的に除去する観点からは、0.3~0.6cm3/gが好ましく、0.3~0.5cm3/gが更に好ましい。ここで、メソ孔とは、通常、孔径が2nm~50nmの細孔を意味する。メソ孔容積は、窒素吸着法により測定することができる。
【0044】
吸着剤の種類は上記メソ孔容積を有すれば特に限定はなく、例えば、粘土、活性炭、無機酸化物が挙げられる。粘土としては、例えば、活性白土、酸性白土、ベントナイト、カオリナイトが挙げられる。無機酸化物としては、例えば、活性アルミナ(AlO3)、シリカゲル(SiO2)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO3)が挙げられる。吸着剤としては、粘土、活性炭が好ましく、活性白土、活性炭がより好ましい。吸着剤は、上記のうちから選択される1種単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
吸着剤の使用量は、低分子量成分を除去する観点からは、高分子化合物A 100質量部に対して、500質量部以上が好ましく、1000質量部以上がより好ましく、1500質量部以上がさらに好ましい。また、吸着剤の使用量は、高分子化合物Bの回収量を上げる観点からは、高分子化合物A 100質量部に対して、10000質量部以下が好ましく、8000質量部以下がより好ましく、6000質量部以下がさらに好ましく、3000質量部以下が特に好ましい。
【0046】
吸着剤の粒子表面の帯電の大きさを示す指標として、ゼータ電位を用いることができる。
【0047】
吸着剤は、pH7の純水中におけるゼータ電位の絶対値が1~70mVであることが好ましく、15~50mVであることがより好ましく、20~40mVであることがさらに好ましい。前記ゼータ電位の絶対値がかかる範囲を満たすと、低分子量成分が一層低減できる傾向がある。ここで、ゼータ電位は、電気泳動法により測定することができる。
【0048】
吸着剤の平均粒子径は、低分子量成分を除去する観点から20~65μmが好ましく、22~50μmであることがより好ましく、22~45μmであることがよりさらに好ましく、22~40μmであることが特に好ましい。ここで平均粒子径は、体積基準の累積50%粒子径を意味し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0049】
2.2 カラムクロマトグラフィ
本発明の製造方法では、高分子化合物A及び溶媒を含有する混合物を、吸着剤を充填したカラムに通して、低分子量成分を分離及び除去するカラムクロマトグラフィ処理を用いることを特徴とする。具体的には、固定相としてカラムに充填した吸着剤を用い、移動相として高分子化合物A及び溶媒を含有する混合物を用い、分離する溶質として高分子化合物Aを用い、固定相(吸着剤)と移動相内の高分子化合物Aとの間で生じる相互作用の違いを利用して、高分子化合物A中の低分子量成分を分離及び除去する方法である。
【0050】
吸着剤をカラムに充填する方法としては特に限定はなく、典型例として、吸着剤と溶媒を接触させ、スラリー化した後に充填する方法、固体として充填する方法、固体として充填した後に溶媒を浸漬させ吸着剤中の気体を溶媒に置換する方法等が挙げられる。低分子量成分を簡便に除去する観点からは、固体の吸着剤を充填した後に溶媒を浸漬させて吸着剤中の気体を溶媒に置換する方法が好ましい。上述したとおり、カラムに充填する吸着剤の量は、高分子化合物A 100質量部に対して、300質量部以上である。
【0051】
カラムクロマトグラフィ処理は、通常、高分子化合物A及び溶媒を含有する混合物(通常、高分子化合物Aを含む溶液)を吸着剤及び溶媒を充填したカラムに通液することにより実施することができる。カラムを通過した溶液を回収して、低分子量成分が除去された高分子化合物Bを取得することができる。また、当該混合物を通液した後に、さらに溶媒(展開溶媒)を通液することもできる。さらに、カラムを通過した溶液を2以上のフラクションに分けて、低分子量成分が効果的に除去されたフラクションを集めて高分子化合物Bを取得することもできる。
【0052】
カラムクロマトグラフィの処理時間としては、低分子量成分を除去する観点からは、特に限定されない。例えば、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましく、3時間以上がさらに好ましい。
【0053】
本発明の吸着剤によるカラムクロマトグラフィ処理は、上記の処理を1回、又は2回以上繰り返して実施することができる。
【0054】
2.3 溶媒
溶媒は、式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物Aを溶解し得るもの、即ち、高分子化合物Aに対する良溶媒であれば特に限定はない。
【0055】
当該溶媒(高分子化合物Aに対する良溶媒)は、高分子化合物Aの特性に応じて、種々の溶媒の中から選択することができる。当該溶媒は、具体的には、高分子化合物Aの溶解度(20℃)が1g/100g以上となる溶媒として定義することができる。
【0056】
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル溶媒;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド溶媒;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;及びクロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル溶媒等が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよく、さらに水と併用してもよい。
【0057】
これらのうち、溶媒は、芳香族炭化水素溶媒及びエーテル溶媒が好ましく、芳香族炭化水素溶媒がより好ましく、トルエン、キシレン及びメシチレンがさらに好ましい。
【0058】
カラムクロマトグラフィ処理に用いる溶媒の使用量は、高分子化合物A 100質量部に対して、通常100~1000000質量部であり、好ましくは1000~100000質量部である。
【0059】
2.4 高分子化合物A
本発明の精製対象である高分子化合物は、所定のモノマーを重合して得ることができ、該モノマー由来の繰り返し単位(以下、構成単位とも表記する)を2個以上有する化合物である。具体的には、当該高分子化合物としては、例えば、前記式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物Aが挙げられる。式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物Aは、式(1)で表される構成単位を必須として含んでおり、必要に応じ、式(1)で表される構成単位以外の構成単位(例えば、アルキレン基(例えば、-(CH2)-)、-O-、-S-、-(CO)-、それらの組合せ等)を含んでいてもよい。特に、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物Aが好ましい。
【0060】
高分子化合物Aは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1×103~1×108の範囲が好ましく、1×104~1×106の範囲がより好ましく、3×104~5×105の範囲が更に好ましい。ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び低分子量(分子量20000以下)成分の質量分率は、実施例の記載に従い測定することができる。
【0061】
式(1)で表される構成単位のAr1及びAr2としては、2価の芳香族炭化水素基又は2価の複素環基が好ましく、2価の芳香族炭化水素基がより好ましい。これらの基は置換基(特に、アルキル基及びアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。)を有していてもよい。
Ar1及びAr2で表される2価の芳香族炭化水素基としては、式(A-1)~式(A-3)、式(A-8)又は式(A-9)で表される基が好ましく、式(A-1)又は式(A-9)で表される基がより好ましい。
Ar1及びAr2で表される2価の複素環基としては、式(A-24)又は式(A-35)で表される基が好ましい。
式(1)中、aは、0又は1であることが好ましい。
【0062】
式(1)で表される構成単位の例として、式(1-1)~式(1-20)で表される構成単位が挙げられ、式(1-1)~式(1-4)、式(1-9)~式(1-11)、式(1-15)、式(1-16)又は式(1-20)で表される構成単位が好ましく、式(1-1)~式(1-3)、式(1-9)~式(1-11)、式(1-15)又は式(1-20)で表される構成単位がより好ましい。ただし、これらの例示された構成単位に限定されるわけではない。
【0063】
[式中、Rは、前記と同じ意味を表す。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0064】
式(1)で表される構成単位において、Ar1、Ar2及びAr3のうち少なくとも一つは、置換基として架橋基を含む基を有していてもよい。架橋基を含む基として、例えば、式(2)で表される基が挙げられる。
[式中、Lは、単結合、或いは、-(CH2)-、-O-、-S-、-(CO)-、-(C64)-、又はこれらから選ばれる2個以上の基が結合した2価の基を表す。但し、-O-同士、-S-同士、-O-及び-S-は、互いに直接結合しない。Yは架橋基を表す。Yが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0065】
Lとして、例えば、-(CH2m-(mは0~20の整数を表す)、-(CH2p-(C64)-(CH2q-(pは0~10の整数を表し、qは0~10の整数を表す)、-(CH2r-O-(CH2s-(rは0~10の整数を表し、sは0~10の整数を表す)、-(CH2t-(C64)-O-(CH2u-(tは0~10の整数を表し、uは0~10の整数を表す)等が挙げられる。
【0066】
Yで示される架橋基は、架橋基群Aから選択される基であることが好ましい。
<架橋基群A>
[式中、これらの基はそれぞれ、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよい。RXLは、-(CH2)-、-O-、-S-、-(CO)-、又はこれらから選ばれる2個以上の基が結合した2価の基を表す。但し、-O-同士、-S-同士、-O-及び-S-は、互いに直接結合しない。nXLは、0~5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、複数存在するnXLは、同一でも異なっていてもよい。*はLとの結合部位である。]
【0067】
架橋基群Aの中では、式(XL-1)、式(XL-7)~式(XL-16)、式(XL-18)、式(XL-19)、式(XL-22)、又は式(XL-23)で表される基が好ましく、式(XL-1)、式(XL-10)、式(XL-12)、式(XL-16)、式(XL-18)、又は式(XL-19)で表される基がより好ましく、式(XL-1)、式(XL-16)、又は式(XL-19)で表される基がさらに好ましく、式(XL-1)又は式(XL-16)で表される基が特に好ましい。
【0068】
架橋基を有する単量体の具体例として、下記の式(2-1)~式(2-30)及び式(2'-1)~式(2'-9)で表される構造を有する化合物が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。
【0069】
式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物Aは、上記の構成単位から選ばれる1種又は2種以上の構成単位を含む高分子化合物を包含する。
【0070】
式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物Aは、例えば、塩素原子又は臭素原子を含有するモノマーを重合すること、或いは、塩素原子又は臭素原子を含有するモノマーと金属化合物とをカップリング重合することにより得ることができる。重合方法として、公知の方法を採用することができ、例えば、モノマーをSuzukiカップリング反応により重合する方法、Buchwaldカップリング反応により重合する方法、Stilleカップリング反応により重合する方法、Kumadaカップリング反応により重合する方法、Yamamotoカップリング反応により重合する方法等が挙げられるが、Suzukiカップリング反応により重合する方法及びBuchwaldカップリング反応により重合する方法が、構造制御のしやすさの観点から好ましい。
【0071】
2.5 高分子化合物Aと溶媒とを含有する混合物
高分子化合物Aと溶媒とを含有する混合物は、通常、カラムクロマトグラフィ処理の移動相になり得る形態(例えば、液状組成物、溶液等)である。例えば、固体の高分子化合物Aを溶媒に溶解させた溶液、単量体から重合反応して得た反応後の溶液、反応後溶液から高分子化合物を精製した精製後の溶液等が挙げられる。当該溶媒としては、前記「2.3 溶媒」の項で記載した溶媒を使用することができる。
【0072】
当該混合物中の高分子化合物Aの含有量(濃度)は、通常0.01~50質量%であり、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1~4質量%が更に好ましい。
【0073】
2.6 高分子化合物B
本発明の製造方法によれば、高分子化合物Aから低分子量成分を効果的に除去して、低分子量成分の含有量が低減された高分子化合物Bを得ることができる。そのため、本発明の製造方法で得られる高分子化合物Bは、有機EL素子の材料、有機光電変換素子の材料、有機トランジスタ素子の材料等として好適に用いられる。
【0074】
高分子化合物Bは、基本的に、高分子化合物Aと同じく、式(1)で表される構成単位を含有する化合物である。しかし、高分子化合物Bは、低分子量成分がカラムクロマトグラフィ処理により除かれているため、高分子化合物Aに比べて、重量平均分子量がより大きい。
【0075】
高分子化合物Bのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、2×103~1×108の範囲が好ましく、2×104を超え1×106以下の範囲がより好ましく、4×104~5×105の範囲が更に好ましい。なお、高分子化合物Bのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常、20000を超える。
【0076】
前記カラムクロマトグラフィ処理により、得られる高分子化合物Bの低分子量(分子量20000以下)成分の質量分率は、処理前の高分子化合物Aのそれと比べて大きく低減されている。例えば、1回のカラムクロマトグラフィ処理により、得られる高分子化合物Bの低分子量成分の質量分率は、処理前の高分子化合物Aのそれに対し、通常、70%以下、さらに65%以下、よりさらに60%以下、特に40%以下にまで低減される。
【0077】
前記カラムクロマトグラフィ処理により得られた高分子化合物Bは、公知の方法で固体として取り出すことができる。公知の方法としては例えば、貧溶媒と接触させる再沈殿法、溶媒を減圧下取り除く方法、溶媒を加熱下留去する方法等が挙げられる。再沈殿法により得られた固体をさらに加熱し、減圧下乾燥させ、固体として取り出す方法が好ましい。ここで、前記カラムクロマトグラフィ処理をする工程の後、再沈殿法(再沈殿処理する工程)を行うことが好ましい。
【0078】
当該再沈殿法は、通常、高分子化合物B及びその良溶媒を含む溶液に貧溶媒を接触させることにより実施することができる。例えば、高分子化合物B及びその良溶媒を含む溶液に貧溶媒を添加して撹拌する方法、貧溶媒に高分子化合物B及びその良溶媒を含む溶液を添加して撹拌する方法等が挙げられる。
【0079】
良溶媒としては、高分子化合物Bの特性に応じて、種々の溶媒の中から選択することができる。例えば、前記「2.3 溶媒」の項で記載した高分子化合物Aに対する良溶媒の中から選択することができる。これらのうち、芳香族炭化水素溶媒及びエーテル溶媒が好ましく、芳香族炭化水素溶媒がより好ましく、トルエン、キシレン及びメシチレンがさらに好ましい。良溶媒の使用量は、高分子化合物B 1質量部に対して、通常、10~1000質量部であり、好ましくは50~300質量部である。
【0080】
貧溶媒は、高分子化合物Bの溶解度(20℃)が1g/100g未満となる溶媒として定義することができる。例えば、アミド溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、エステル溶媒、及びニトリル溶媒が挙げられ、アルコール溶媒が好ましい。アミド溶媒として、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。アルコール溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。ケトン溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。エステル溶媒として、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチルが好ましく、メタノールがより好ましい。
【0081】
貧溶媒の使用量は、高分子化合物B 1質量部に対して、通常、10~10000質量部であり、好ましくは50~3000質量部である。
【0082】
3.その他の工程
本発明の高分子化合物Bを製造する方法には、前記カラムクロマトグラフィ処理及び再沈殿処理以外の工程も包含し得る。例えば、重合工程;重合後の高分子化合物の末端封止工程;酸、アルカリ、水、食塩水等のうち少なくとも一種と混合し、水層と有機層に分離精製する分液工程;常圧で又は減圧しながら共沸脱水させる共沸脱水工程;ソックスレー抽出器による連続抽出工程;前記吸着剤以外の吸着剤を使用したカラムクロマトグラフィ処理により精製する工程;晶析工程等が挙げられる。
【実施例
【0083】
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0084】
<分子量分析>
高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、分子量20000以下成分の質量分率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求めた。なお、低分子量(分子量20000以下)成分の質量分率は、GPCで得られる高分子化合物A由来のピークのうち、高分子化合物A由来の全ピーク面積に対して、ポリスチレン換算分子量が20000となる保持時間以降のピーク面積が占める割合を百分率で表した値である。
分析条件は以下の通り。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
カラム:PLgel 10μm MIXED-B(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
流量:0.5mL/分
検出波長:228nm
【0085】
<吸着剤のメソ孔容積>
吸着剤のメソ孔容積は以下の通り、窒素吸着法により求めた。120℃で8時間真空脱気した吸着剤について、細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製、商品名:BELSORP-mini)を用いて、吸着温度:77Kにおける窒素の吸着脱離等温線を、定容法により測定した。その脱着過程をBarret-Joyner-Halenda法(Journal of the American Chemical Society、1951年、373~380頁)により解析し、細孔分布曲線を得た。メソ孔容積は2nm以上50nm以下の範囲の窒素ガス脱着量を積算することにより求めた。
【0086】
<ゼータ電位の絶対値>
ゼータ電位は以下の通り、電気泳動法により求めた。吸着剤を2g/Lの濃度で水に分散させ、25℃において、ゼータ電位測定装置(スペクトリス(株)製、商品名:ゼータサイザーナノZS)により測定した。なおゼータ電位は、電気泳動移動度から、Smoluchowskiの式を用いて解析した。
【0087】
<平均粒子径>
平均粒子径は、試料を水中に入れ、ホモジナイザーで10分間分散させた後、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装(株)製、商品名:MT3300-EXII)で、体積基準の累積50%粒子径を測定して求めた。
【0088】
<製造例1>
特開2015-110751号公報の合成例12の記載に従い、下記式(A)で表される高分子化合物(P1)を製造した。Mw=1.15×105、分子量20000以下成分の質量分率=11.8%であった。
n=重合度
【0089】
<実施例1>
製造例1で得られた高分子化合物(P1)をトルエンに溶解させ、1.3質量%溶液(308g)を調製した。カラム管に活性白土(80g、水澤化学工業(株)製、活性白土V2、メソ孔容積=0.48cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=28.1μm)を充填し、トルエン(160g)で浸漬させた後、前記溶液を加えて通液した。得られたトルエン溶液をメタノール(2000g)に22℃下で滴下し、さらに30分撹拌した。析出した固体をろ過して取り出し、乾燥し、高分子化合物を固体として取得した(収率=77%)。得られた高分子化合物(P2)の収率=77%、Mw=1.22×105、分子量20000以下成分の質量分率=7.3%であった。
【0090】
<実施例2>
活性白土(80g、水澤化学工業(株)製、活性白土V2、メソ孔容積=0.48cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=28.1μm)に代えて、活性炭(80g、純正化学(株)製、メソ孔容積=0.32cm3/g、ゼータ電位の絶対値=31.2mV、平均粒子径=24.2μm)とした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた高分子化合物(P2)の収率=56%、Mw=1.26×105、分子量20000以下成分の質量分率=6.9%であった。
【0091】
<実施例3>
活性白土(80g、水澤化学工業(株)製、活性白土V2、メソ孔容積=0.48cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=28.1μm)に代えて、活性白土(80g、富士フイルム和光純薬(株)製、メソ孔容積=0.39cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.5mV、平均粒子径=29.1μm)とした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた高分子化合物(P2)の収率=80%、Mw=1.21×105、分子量20000以下成分の質量分率=7.7%であった。
【0092】
<比較例1>
製造例1で得られた高分子化合物(P1)をトルエンに溶解させ、1.3質量%溶液(308g)を調製した。この溶液に活性白土(8g、水澤化学工業(株)製、活性白土V2、メソ孔容積=0.48cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=28.1μm)と、トルエン(160g)を添加し、30分間撹拌した。その後活性白土をろ過して除き、得られた溶液をメタノール(2000g)に22℃下で滴下し、さらに30分撹拌した。析出した固体をろ過して取り出し、乾燥し、高分子化合物を固体として取得した。得られた高分子化合物(P2)の収率=77%、Mw=1.16×105、分子量20000以下成分の質量分率=11.2%であった。
なお、上記の条件で活性白土の使用量のみを増やして実施すると、撹拌が困難になるとともに、ろ過の際に溶液の排出性が悪くなった。
【0093】
<比較例2>
活性白土(80g、水澤化学工業(株)社製、活性白土V2、メソ孔容積=0.48cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=28.1μm)に代えて、酸性白土(80g、水澤化学工業(株)製、酸性白土♯300、メソ孔容積=0.28cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.0mV、平均粒子径=21.0μm)とした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた高分子化合物(P2)の収率=76%、Mw=1.16×105、分子量20000以下成分の質量分率=11.6%であった。
【0094】
<比較例3>
活性白土(80g、水澤化学工業(株)製、活性白土V2、メソ孔容積=0.48cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=28.1μm)に代えて、活性アルミナ(80g、和光純薬工業(株)製、メソ孔容積=0.27cm3/g、ゼータ電位の絶対値=31.3mV、平均粒子径=46.1μm)とした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた高分子化合物(P2)の収率=15%、Mw=1.16×105、分子量20000以下成分の質量分率=11.5%であった。
【0095】
<比較例4>
活性白土(80g、水澤化学工業(株)製、活性白土V2、メソ孔容積=0.48cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=28.1μm)に代えて、シリカゲル(80g、Merck社製、メソ孔容積=0.72cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=137.0μm)とした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた高分子化合物(P2)の収率=77%、Mw=1.15×105、分子量20000以下成分の質量分率=11.8%であった。
【0096】
<比較例5>
活性白土(80g、水澤化学工業(株)製、活性白土V2、メソ孔容積=0.48cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=28.1μm)に代えて、シリカゲル(80g、和光純薬工業(株)製、ワコーゲルC300、メソ孔容積=0.78cm3/g、ゼータ電位の絶対値=32.6mV、平均粒子径=67.5μm)とした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた高分子化合物(P2)の収率=82%、Mw=1.16×105、分子量20000以下成分の質量分率=11.4%であった。
【0097】
<比較例6>
活性白土(80g、水澤化学工業(株)製、活性白土V2、メソ孔容積=0.48cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=28.1μm)に代えて、活性炭(80g、大阪ガスケミカル(株)製、カルボラフィン、メソ孔容積=1.49cm3/g、ゼータ電位の絶対値=9.4mV、平均粒子径=45.6μm)とした以外は、実施例1と同様に処理を行った。得られた高分子化合物(P2)の収率=69%、Mw=1.18×105、分子量20000以下成分の質量分率=10.5%であった。
【0098】
<比較例7>
製造例1で得られた高分子化合物(P1)をトルエンに溶解させ、1.3質量%溶液(308g)を調製した。この溶液にトルエン(160g)を添加し、30分間撹拌した。得られた溶液をメタノール(2000g)に22℃下で滴下し、さらに30分撹拌した。析出した固体をろ過して取り出し、乾燥し、高分子化合物を固体として取得した。得られた高分子化合物(P2)の収率=95%、Mw=1.15×105、分子量20000以下成分の質量分率=11.8%であった。
【0099】
【表1】
【0100】
表1に示すように、本発明の製造方法を採用する実施例1~3では、それ以外の製造方法を採用する比較例1~7に比べて、高分子化合物中の低分子量成分の含有量を十分に小さくできることが明らかとなった。
【0101】
なお、実施例1~3及び比較例1~7では、低分子量(分子量20000以下)成分の質量分率は、すべて再沈殿処理を行った後の高分子化合物(P2)を用いて測定されている。比較例7より、再沈殿処理自体では低分子量成分の質量分率が11.8%のまま変化していないことから、所定の吸着剤を所定量用いてカラムクロマトグラフィ処理する本発明の方法が、高分子化合物中の低分子量成分の質量分率を低減する効果に大きく寄与していることが理解できる。
【0102】
<製造例2>
特開2012-036388号公報の実施例4の記載に従い、下記式(B)で表される高分子化合物(P3)を製造した。Mw=1.18×105、分子量20000以下成分の質量分率=8.5%であった。
n=重合度
【0103】
<実施例4>
製造例2で得られた高分子化合物(P3)をトルエンに溶解させ、1.0質量%溶液(400g)を調製した。カラム管に活性炭(80g、大阪ガスケミカル(株)製、白鷺M、メソ孔容積=0.33cm3/g、ゼータ電位の絶対値=20.3mV、平均粒子径=42.4μm)を充填し、トルエン(160g)で浸漬させた後、前記溶液を加えて通液した。得られたトルエン溶液をメタノール(2000g)に22℃下で滴下し、さらに30分撹拌した。析出した固体をろ過して取り出し、乾燥し、高分子化合物を固体として取得した。得られた高分子化合物(P4)の収率=25%、Mw=1.49×105、分子量20000以下成分の質量分率=1.2%であった。
【0104】
<比較例8>
製造例2で得られた高分子化合物(P3)をトルエンに溶解させ、1.0質量%溶液(400g)を調製した。この溶液にトルエン(160g)を添加し、30分間撹拌した。得られた溶液をメタノール(2000g)に22℃下で滴下し、さらに30分撹拌した。析出した固体をろ過して取り出し、乾燥し、高分子化合物を固体として取得した。得られた高分子化合物(P4)の収率=99%、Mw=1.18×105、分子量20000以下成分の質量分率=8.7%であった。
【0105】
<比較例9>
活性炭(80g、大阪ガスケミカル(株)製、白鷺M、メソ孔容積=0.33cm3/g、ゼータ電位の絶対値=20.3mV、平均粒子径=42.4μm)に代えて、シリカゲル(80g、Merck社製、メソ孔容積=0.72cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.7mV、平均粒子径=137.0μm)とした以外は、実施例4と同様に処理を行った。得られた高分子化合物(P4)の収率=99%、Mw=1.18×105、分子量20000以下成分の質量分率=8.7%であった。
【0106】
<比較例10>
活性炭(80g、大阪ガスケミカル(株)製、白鷺M、メソ孔容積=0.33cm3/g、ゼータ電位の絶対値=20.3mV、平均粒子径=42.4μm)に代えて、酸性白土(80g、水澤化学工業(株)製、酸性白土♯300、メソ孔容積=0.28cm3/g、ゼータ電位の絶対値=35.0mV、平均粒子径=21.0μm)とした以外は、実施例4と同様に処理を行った。得られた高分子化合物(P4)の収率=98%、Mw=1.18×105、分子量20000以下成分の質量分率=8.7%であった。
【0107】
【表2】
【0108】
表2に示すように、本発明の製造方法を採用する実施例4では、それ以外の製造方法を採用する比較例8~10に比べて、高分子化合物中の低分子量成分の含有量を十分に小さくできることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の製造方法によれば、低分子量成分の含有量が十分に小さい高分子化合物を製造することができる。得られた高分子化合物は、有機EL素子等の材料として好適に用いられる。
図1