(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】配線基板、接合型配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20230728BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20230728BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230728BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230728BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20230728BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20230728BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
H05K1/18 J
H01L21/92 604R
H01L23/12 N
H01L23/12 Z
H05K1/02 Z
H05K3/28 B
H05K3/28 Z
H05K3/36 B
H05K3/46 Z
(21)【出願番号】P 2019123233
(22)【出願日】2019-07-01
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 直生
(72)【発明者】
【氏名】村山 啓
(72)【発明者】
【氏名】相澤 光浩
(72)【発明者】
【氏名】三木 翔太
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-049499(JP,A)
【文献】特開2015-111608(JP,A)
【文献】特開2007-281393(JP,A)
【文献】特開2016-048709(JP,A)
【文献】特開平11-111771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0278056(US,A1)
【文献】特開2017-163115(JP,A)
【文献】米国特許第09059106(US,B2)
【文献】特開2007-324418(JP,A)
【文献】特開2008-091649(JP,A)
【文献】国際公開第2008/078746(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 1/02
H05K 3/28
H05K 3/36
H01L 23/12
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された配線層及び絶縁層を備えた配線構造体と、
前記配線構造体の表面の所定の領域の周縁に沿って形成される複数の第1のポストであって、前記配線層に電気的に接続されない第1のシード層と、前記第1のシード層上に形成される第1の金属層とをそれぞれ有する複数の第1のポストと、
前記複数の第1のポストによって囲まれた位置で前記配線層に接続される第2のシード層と、前記第2のシード層上に形成され前記第1の金属層と同じ金属材料からなる第2の金属層とを有する第2のポストと、を有し、
前記複数の第1のポストは、
前記所定の領域の周縁を構成する辺の中央部に配置されている第1のポストが、前記辺の両端部に配置されている第1のポストよりも、前記配線構造体の表面からの高さが低い
ことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記配線構造体の表面を被覆しているソルダーレジスト層をさらに有し、
前記複数の第1のポストは、
前記ソルダーレジスト層上に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記複数の第1のポストは、
前記配線構造体の表面に露出する前記絶縁層上に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記複数の第1のポストは、
前記所定の領域の周縁を構成する辺の両端部に配置された第1のポストが、前記第2のポストよりも前記配線構造体の表面からの高さが高く、前記辺の中央部に配置された第1のポストが、前記第2のポストよりも前記配線構造体の表面からの高さが低い
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項5】
前記複数の第1のポストは、
前記配線構造体の表面からの高さに応じて径の大きさが異なる
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項6】
前記複数の第1のポストは、
前記所定の領域の周縁を構成する辺に沿って異なる疎密で配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項7】
第1の配線基板と第2の配線基板とが接合され、前記第1
の配線基板と前記第2
の配線基板とに挟まれた領域がアンダーフィル材で充填されている接合型配線基板であって、
前記第1の配線基板は、
積層された配線層及び絶縁層を備えた配線構造体と、
前記配線構造体の表面の前記第2の配線基板が接合された接合領域の周縁に沿って形成される複数の第1のポストであって、前記配線層に電気的に接続されない第1のシード層と、前記第1のシード層上に形成される第1の金属層とをそれぞれ有する複数の第1のポストと、
前記複数の第1のポストによって囲まれた位置で前記配線層に接続される第2のシード層と、前記第2のシード層上に形成され前記第1の金属層と同じ金属材料からなる第2の金属層とを有する第2のポストと、を有し、
前記複数の第1のポストは、
前記接合領域の周縁を構成する辺の中央部に配置されている第1のポストが、前記辺の両端部に配置されている第1のポストよりも、前記配線構造体の表面からの高さが低く、
前記第2の配線基板は、
前記第2のポストに電気的に接続されている、
ことを特徴とする接合型配線基板。
【請求項8】
前記複数の第1のポストは、
前記接合領域の周縁を構成する辺の両端部に配置された第1のポストで前記第2の配線基板を支持していること、
を特徴とする請求項7記載の接合型配線基板。
【請求項9】
配線層及び絶縁層を積層して配線構造体を形成する工程と、
前記配線層に電気的に接続されない第1の部分と前記配線層に接続される第2の部分とを有するシード層を形成する工程と、
前記配線構造体の表面の所定の領域の周縁に沿った前記第1の部分上の複数の第1のポストと、前記複数の第1のポストによって囲まれる前記第2の部分上の第2のポストとを金属のめっきにより形成する工程と、を有し、
前記複数の第1のポストと前記第2のポストとを形成する工程では、
前記所定の領域の周縁を構成する辺の両端部に形成される第1のポストよりも、当該辺の中央部に形成される第1のポストの前記配線構造体の表面からの高さを低くする
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、接合型配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化及び微細化を促進するために、複数の配線基板を立体的に重ねて実装する3次元実装が検討されている。このような3次元実装では、例えば主基板上に、微細配線を有する中継基板が接合されることがある。具体的には、主基板と中継基板の間に、例えばNCF(Non-Conductive Film)などのアンダーフィル材が充填され、中継基板が主基板に接合される。また、主基板の表面には導電体のポストが形成されており、このポストと中継基板の表面に形成された電極パッドとがはんだによって接続される。これにより、主基板と中継基板が電気的に接続される。
【0003】
主基板と中継基板が接合される際には、配線基板間にアンダーフィル材が充填された状態で、両配線基板が互いに近づく方向に加圧される。このとき、アンダーフィル材は、配線基板間から溢れ出し、例えば中継基板の周囲にフィレットを形成する。すなわち、例えば
図11に示すように、主基板10に中継基板20が接合される場合、両配線基板の間から排出されるアンダーフィル材によって、中継基板20の周囲にフィレット30が形成される。なお、
図11は、主基板10と中継基板20とを接合した接合型配線基板を中継基板20側から見た平面図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/173764号
【文献】特開2014-110390号公報
【文献】特開2007-305814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の接合型配線基板においては、中継基板の周囲に形成されるフィレットの形状が一様ではなく、主基板上の部品実装領域が制限されるという問題がある。具体的には、
図11に示したように、中継基板20の四辺の中央部分においてフィレット30が大きく広がり、中継基板20の近傍に部品を実装することが困難である。
【0006】
また、中継基板20の四隅部分においてはフィレット30の広がりが小さいが、中央部分でフィレット30が大きく広がっているため、主基板10上に位置を揃えて部品を実装することが困難であり、部品配置の柔軟性が損なわれる。
【0007】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、フィレットの形状を調節することができる配線基板、接合型配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願が開示する配線基板は、1つの態様において、積層された配線層及び絶縁層を備えた配線構造体と、前記配線構造体の表面の所定の領域の周縁に沿って形成され、前記配線構造体の表面から突出している複数の第1のポストと、前記複数の第1のポストによって囲まれた位置で前記配線層に接続し、前記配線構造体の表面から突出している第2のポストと、を有し、前記複数の第1のポストは、前記所定の領域の周縁を構成する辺の中央部に配置されているポストが、前記辺の両端部に配置されているポストよりも、前記配線構造体の表面からの高さが低い。
【発明の効果】
【0009】
本願が開示する配線基板、接合型配線基板及び配線基板の製造方法の1つの態様によれば、フィレットの形状を調節することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る主基板の構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係る主基板の構成を示す断面模式図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態に係る主基板の構成を示す他の断面模式図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態に係る主基板の製造方法を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、DFRパターニング工程の具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、主基板の表面付近を拡大して示す図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態に係る接合型配線基板の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、配線基板間の距離を説明する図である。
【
図10】
図10は、フィレットの形状の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願が開示する配線基板、接合型配線基板及び配線基板の製造方法の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
図1は、一実施の形態に係る主基板100の構成を示す平面図である。この主基板100は、他の中継基板などを重ねて接合することにより、接合型配線基板を形成する。このため、主基板100は、他の中継基板が接合される接合領域110を有する。そして、接合領域110には、ダミーポスト121及び接続ポスト122が形成されている。
【0013】
ダミーポスト121は、接合領域110の周縁に沿って配列される導電体のポストである。ダミーポスト121は、主基板100の配線には接続されておらず、主基板100の表面の例えばソルダーレジスト層上に形成される。そして、ダミーポスト121は、主基板100と他の中継基板とが接合される際に、中継基板の周縁部に当接して支持する。
【0014】
接合領域110の各辺に沿って並ぶダミーポスト121は、主基板100の表面からの高さが異なる。具体的には、辺の両端に配置されるダミーポスト121が最も高く、辺の中央へ向かうに連れてダミーポスト121が低くなる。このように高さが異なるダミーポスト121は、例えば電解銅めっきによって同時に形成される。電解銅めっきによって高さが異なるダミーポスト121が形成されるため、それぞれのダミーポスト121は径の大きさも異なっている。
【0015】
接続ポスト122は、接合領域110のダミーポスト121に囲まれた領域に形成される導電体のポストである。接続ポスト122は、主基板100の配線に接続され、主基板100に接合される中継基板の電極パッドにはんだ付けされる。すなわち、接続ポスト122は、主基板100と中継基板を電気的に接続する。接続ポスト122は、主基板100の表面からの高さが等しく、径の大きさも均一である。また、接続ポスト122は、例えばダミーポスト121と同時に電解銅めっきによって形成される。なお、
図1においては、接続ポスト122が格子状に配列されるものとしたが、接続ポスト122の配置はこれに限定されない。
【0016】
図2は、
図1のI-I線断面を示す模式図である。
図2に示すように、主基板100は、複数の層が積層された積層基板である。具体的には、主基板100は、コア層130及びビルドアップ層140、150を有する。これらのコア層130及びビルドアップ層140、150は、主基板100の配線構造体を構成する。
【0017】
コア層130は、絶縁性の基材の両面に、めっきにより配線層が形成されたものである。両面の配線層は、必要に応じてビア131によって接続される。
【0018】
ビルドアップ層140は、コア層130の上面に形成され、例えばビルドアップ樹脂からなる絶縁層と導電体からなる配線層141とを備える層が積層されたものである。各配線層141は、ビア142によって接続される。また、ビルドアップ層140の表面は、ソルダーレジスト層143によって被覆される。ビルドアップ層140の表面にビア142が露出する位置においては、ソルダーレジスト層143に開口部が形成され、ビア142に接続する接続ポスト122が形成される。また、複数の接続ポスト122が並ぶ両端においては、ソルダーレジスト層143上にダミーポスト121が形成される。
図2に示すダミーポスト121は、接合領域110の辺の中央に配置されたダミーポスト121であるため、主基板100の表面からの高さが接続ポスト122よりも低い。具体的には、例えば接続ポスト122の高さが例えば20μm程度であるのに対し、ダミーポスト121の高さは、例えば10μm程度である。
【0019】
ビルドアップ層150は、コア層130の下面に形成され、例えばビルドアップ樹脂からなる絶縁層と導電体からなる配線層151とを備える層が積層されたものである。各配線層151は、ビア152によって接続される。また、ビルドアップ層150の表面には、例えば銅などの導電体により電極パッド153が形成され、主基板100がマザーボード等の外部部品に接合される際の接続端子となる。そして、ビルドアップ層150の表面は、電極パッド153を露出させるソルダーレジスト層154によって被覆される。
【0020】
図3は、
図1のII-II線断面を示す模式図である。すなわち、
図3は、ダミーポスト121が配列された接合領域110の周縁における断面を示す。
【0021】
図3に示すように、ソルダーレジスト層143上には複数のダミーポスト121が形成される。そして、接合領域110の辺の両端に配置されるダミーポスト121aは、辺の中央に配置されるダミーポスト121bよりも高い。すなわち、複数のダミーポスト121の主基板100の表面からの高さが異なっており、接合領域110の辺の両端から辺の中央へ向かうに連れてダミーポスト121の高さが低くなる。具体的には、辺の両端のダミーポスト121aの高さは、例えば25μm程度であり接続ポスト122よりも高いのに対し、辺の中央のダミーポスト121bの高さは、例えば10μm程度であり接続ポスト122よりも低い。また、これらのダミーポスト121は、例えば電解銅めっきによって同時に形成されるため、径の大きさが異なっている。すなわち、異なる大きさの径で電解銅めっきが施されることにより、めっきが成長する高さが異なり、同一時間の電解銅めっきにより高さが異なるダミーポスト121が形成される。
【0022】
次いで、上記のように構成された主基板100の製造方法について、
図4に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0023】
まず、主基板100の支持部材となるコア層130が形成される(ステップS101)。具体的には、絶縁性の基材に、基材を貫通するビア131が形成されるとともに、基材の両面に例えば銅などの金属の配線層が形成される。基材の両面の配線層は、必要に応じて、ビア131によって接続されている。
【0024】
そして、コア層130の上面及び下面にビルドアップ法によってビルドアップ層140、150が形成される(ステップS102)。具体的には、コア層130の上面に、絶縁層と配線層141とを有する層が積層されてビルドアップ層140が形成される。配線層141は、絶縁層を貫通するビア142によって接続される。また、コア層130の下面に、絶縁層と配線層151とを有する層が積層されてビルドアップ層150が形成される。配線層151は、絶縁層を貫通するビア152によって接続される。また、ビルドアップ層150の表面には、電極パッド153が形成される。絶縁層は、例えばエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂を用いて形成される。また、配線層141、151、ビア142、152及び電極パッド153は、例えば銅などの金属のめっきによって形成される。
【0025】
そして、ビルドアップ層140、150の表面にソルダーレジスト層143、154が形成される(ステップS103)。すなわち、ビルドアップ層140の表面がソルダーレジスト層143によって被覆され、ビルドアップ層150の表面がソルダーレジスト層154によって被覆される。ビルドアップ層140の最上層のビア142に対応する位置においては、ソルダーレジスト層143に開口部が穿設される。つまり、ビア142の上面がソルダーレジスト層143の開口部から露出する。一方、ビルドアップ層150の電極パッド153に対応する位置においては、ソルダーレジスト層154に開口部が穿設される。つまり、電極パッド153がソルダーレジスト層154の開口部から露出する。
【0026】
続いて、ビルドアップ層140の表面の接合領域110に、ダミーポスト121及び接続ポスト122が形成される。具体的には、ビルドアップ層140の表面に例えば無電解銅めっき又はスパッタリングによってシード層が形成され、シード層にドライフィルムレジスト(DFR)が貼付される。そして、DFRのパターニングによって、ダミーポスト121及び接続ポスト122が形成される位置に開口部が穿設される(ステップS104)。
【0027】
すなわち、例えば
図5に示すように、シード層160上にDFR170が貼付され、ダミーポスト121が形成される位置に開口部171が形成され、接続ポスト122が形成される位置に開口部172が形成される。ここで、ダミーポスト121が形成される位置は、中継基板が接合される接合領域110の周縁であり、接続ポスト122が形成される位置は、ビルドアップ層140の最上層のビア142の上面が露出する位置である。したがって、開口部171は、接合領域110の周縁に穿設され、開口部172は、ビア142に対応する位置に穿設される。また、ダミーポスト121と接続ポスト122は、高さが異なることがあるため、それぞれの高さに応じて開口部171、172の径の大きさが異なる。
【0028】
DFR170のパターニングが行われると、電解銅めっきによって、ダミーポスト121及び接続ポスト122が形成される(ステップS105)。具体的には、例えば
図6に示すように、DFR170の開口部171、172の径の大きさに応じて電解銅が析出し、開口部171にはダミーポスト121が形成され、開口部172には接続ポスト122が形成される。このように、DFR170の開口部の径の大きさに応じてめっきの成長量を調整することができるため、開口部171の径の大きさが適宜設定され、接合領域110の辺の両端で高く中央で低いダミーポスト121が形成される。ダミーポスト121は、ソルダーレジスト層143上に形成されており、ビルドアップ層140の配線層141には接続されていないが、接続ポスト122は、ビア142上に形成されており、ビルドアップ層140の配線層141と電気的に接続される。
【0029】
そして、DFR170が剥離され(ステップS106)、シード層160のエッチングが行われる(ステップS107)。これにより、ダミーポスト121及び接続ポスト122が形成される部分以外のシード層160が除去され、例えば
図7に示すように、ダミーポスト121及び接続ポスト122の基部にのみシード層160が残存する。このようにして、接合領域110の周縁にダミーポスト121が形成されるとともに、ダミーポスト121によって囲まれる領域に接続ポスト122が形成される。
【0030】
以上のようにして製造された主基板100は、他の中継基板と接合されることにより接合型配線基板を形成する。
図8は、接合型配線基板の構成例を示す図である。
図8に示す接合型配線基板は、主基板100に中継基板200が接合された構成を有する。
【0031】
具体的には、中継基板200は、主基板100の接合領域110に、アンダーフィル材300によって接着される。また、中継基板200の下面には、電極パッド210が形成されており、電極パッド210は、はんだ310によって主基板100の接続ポスト122に接続される。
【0032】
中継基板200が接合される際には、主基板100の接合領域110にアンダーフィル材300が配置され、アンダーフィル材300を挟むように上方から中継基板200が載置される。そして、両配線基板が近づく方向に主基板100と中継基板200が加圧される。このとき、主基板100と中継基板200によって挟まれるアンダーフィル材300が中継基板200の周囲へ排出され、フィレットを形成する。本実施の形態においては、接合領域110の周縁にダミーポスト121が形成されているため、ダミーポスト121によって中継基板200の周縁部が支持され、アンダーフィル材300を排出する主基板100と中継基板200との間隙が規定される。
【0033】
具体的には、例えば
図9に示すように、接合領域110の辺の両端から中央へ向かうに連れてダミーポスト121の高さが低くなるため、中継基板200の周縁部では、位置によって主基板100と中継基板200の間の距離が異なる。すなわち、中継基板200の四隅においては主基板100と中継基板200の間の距離が大きい一方、中継基板200の辺の中央部においては主基板100と中継基板200の間の距離が小さい。この結果、主基板100と中継基板200の間の距離が大きい中継基板200の四隅付近からは、比較的多くのアンダーフィル材300が排出される。これに対して、主基板100と中継基板200の間の距離が小さい中継基板200の辺の中央付近においては、中継基板200の周縁部によってアンダーフィル材300の排出が阻害され、排出されるアンダーフィル材300が比較的少ない。
【0034】
このように、ダミーポスト121の高さによって、排出されるアンダーフィル材300の量を調節する結果、中継基板200の周囲には、例えば
図10に示すように、一様な大きさで広がるフィレット300aを形成することができる。すなわち、中継基板200の辺の位置に応じてダミーポスト121の高さが異なるため、それぞれのダミーポスト121の高さに応じてアンダーフィル材300の排出量が調整され、フィレット300aの形状を制御することができる。
【0035】
特に、中継基板200の辺の中央付近から周囲へ流出するアンダーフィル材300の量が制限されているため、辺の中央部分でフィレット300aが大きく広がることがない。このため、中継基板200の周囲のフィレット300aのサイズを一様にすることができ、主基板100上の中継基板200近傍に位置を揃えて部品を実装することが可能となる。さらに、ダミーポスト121が中継基板200の周縁部を支持するため、主基板100と中継基板200の間の距離が過度に小さくなることがなく、アンダーフィル材300を確実に中継基板200の周囲へ排出させることができる。結果として、主基板100と中継基板200に挟まれる余分なアンダーフィル材300を周囲へ排出させることができ、主基板100の接続ポスト122と中継基板200の電極パッド210とを確実に接触させることができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態によれば、中継基板と接合される主基板の接合領域の周縁に沿ってダミーポストを形成し、接合領域の辺の両端から中央へ向かうに連れてダミーポストの高さを低くする。このため、辺の両端よりも中央付近で主基板と中継基板の周縁部との距離が小さくなり、辺の中央付近から中継基板の周囲へ流出するアンダーフィル材の量が制限される。結果として、中継基板の辺の各所から流出するアンダーフィル材の量を一様にすることができ、フィレットの形状を調節することができる。
【0037】
なお、上記一実施の形態においては、接合領域110の周縁の位置によってダミーポスト121の高さ及び径が異なるものとしたが、さらに、ダミーポスト121が配置される疎密が位置によって異なっていても良い。すなわち、例えば、接合領域110の辺の両端にはダミーポスト121が疎に配置され、辺の中央にはダミーポスト121が密に配置されても良い。これにより、ダミーポスト121によってアンダーフィル材300が排出される流路の幅を調整し、フィレット300aの形状を制御することができる。
【0038】
また、上記一実施の形態においては、ダミーポスト121がソルダーレジスト層143上に形成されるものとしたが、ダミーポスト121は、ビルドアップ層140を形成する絶縁層上に直接形成されても良い。この場合、ソルダーレジスト層143の接続ポスト122が形成される位置に開口部が穿設されるのと同時に、ダミーポスト121が形成される位置にも開口部が穿設されれば良い。ダミーポスト121が形成される位置においてソルダーレジスト層143に開口部が形成されれば、この開口部の底面にはビルドアップ層140の絶縁層が露出する。
【符号の説明】
【0039】
100 主基板
110 接合領域
121、121a、121b ダミーポスト
122 接続ポスト
130 コア層
131、142、152 ビア
140、150 ビルドアップ層
141、151 配線層
143、154 ソルダーレジスト層
153、210 電極パッド
160 シード層
170 DFR
200 中継基板
300 アンダーフィル材
300a フィレット