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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】化学気相成長装置および被膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/458 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
C23C16/458
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019093324
(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公開番号】P2019206751
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-04-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2018098575
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】森 力
(72)【発明者】
【氏名】山村 和市
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】河本 充雄
【審判官】立木 林
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-178743(JP,A)
【文献】特開2011-009295(JP,A)
【文献】特開2007-201098(JP,A)
【文献】特開昭61-124572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C16/00-16/56
H01L21/205,21/31
H01L21/365,21/469
H01L21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器内に保持された基材の全面に成膜するための化学気相成長装置であって、
前記反応容器内には、一つ以上の基材を保持するための保持装置が設けられ、
前記保持装置は、一つの基材を保持するための保持構造を一つ以上有しており、
前記保持構造は、前記基材を保持することのできる第1の保持部材と、前記第1の保持部材とは独立して前記基材を保持することのできる第2の保持部材とを少なくとも有しており、
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材は、上下方向に可動し、
前記保持構造は、前記基材を公転可能とすることを特徴とする化学気相成長装置。
【請求項2】
前記基材を保持している保持部材を、前記第1の保持部材および前記第2の保持部材の間で変更可能とする請求項1に記載の化学気相成長装置。
【請求項3】
成膜中において、保持部材と接触する前記基材の支持点の位置が変更可能である請求項1または2に記載の化学気相成長装置。
【請求項4】
前記保持構造は、前記基材を自転可能とする請求項1~3のいずれか1項に記載の化学気相成長装置。
【請求項5】
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材は、二つ以上の支持点において前記基材と接触する請求項1~4のいずれか1項に記載の化学気相成長装置。
【請求項6】
前記第1の保持部材と前記基材との一つの支持点当たりの実効接触面積および前記第2の保持部材と前記基材との一つの支持点当たりの実効接触面積がそれぞれ20mm以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の化学気相成長装置。
【請求項7】
基材を保持する第1の保持部材と、前記第1の保持部材とは独立して前記基材を保持する第2の保持部材とを少なくとも備えた反応容器内で化学気相成長により基材全面に被膜を形成する方法であって、
前記第1の保持部材により前記基材を保持して、前記基材表面に化学気相成長により被膜を形成する第一工程と、
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材が上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動することによって、前記第1の保持部材に代わって前記第2の保持部材により前記基材を保持する第二工程と、
前記第2の保持部材により保持された前記基材の表面に化学気相成長により被膜を形成する第三工程を含み、
前記第一工程及び前記第三工程では、前記基材を公転させながら前記基材の表面に被膜を形成することを特徴とする被膜形成方法。
【請求項8】
前記第一工程から第三工程は、成膜中に行われる請求項7に記載の被膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材表面上に機能性被膜などを形成するための化学気相成長装置および被膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱分解窒化硼素(PBN)、熱分解炭素(PG)、炭化タンタル(TaC)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化硅素(SiC)などの材料を基材表面に成膜して、耐熱性や耐腐食性などの機能を付与した部材は、半導体製造装置などに広く用いられている。
【0003】
例えば、カーボン基材にPBNをコーティングすることにより、高い絶縁性、耐熱性を有し、熱衝撃に強い部材が得られる。PBNは、化学気相成長(CVD)法によって得られ、高純度、高強度、異方特性および高熱伝導率といった特性を有し、窒化硼素(BN)本来の優れた特性を、カーボン基材に付与することができる。さらに、PBNは、多くの物質に対して反応し難く、低温酸化雰囲気や高温不活性ガス雰囲気においても金属や化合物に反応しないため、PBNをコーティングした部材は、有機金属化学気相成長法(MOCVD)装置のヒーターやサセプタなどとして使用されている。
【0004】
PGは、化学的に安定、高純度で、熱的安定性も高く、不浸透性で、熱伝導率が高い。カーボン基材にPGをコーティングした部材は、高温ウエハサセプタ、カソード、MOCVD装置部品、イオン注入装置部品などとして用いられる。
【0005】
TaCは、遷移金属炭化物の中で融点が最も高く(約3900℃)、化学的安定性、強度、靭性および耐食性に優れている。カーボン基材やTaC焼結体の表面にTaC膜を被覆して得られる炭化タンタル被覆材料は、Si、SiC、GaNなどの半導体単結晶製造装置に部材として用いられている。TaC焼結体にCVD法でTaC膜を被覆した場合は、焼結助剤を含まない均質で純度の高い被膜を形成することができ、機能性を向上させることができる。
【0006】
AlNは、絶縁性や熱伝導率が高く、比較的軽量なセラミックスである。この特性のため、AlNをコーティングしたカーボン基材は、高熱伝導性部材、耐熱部品、耐食部品、金属溶解用の容器などに使用される。
【0007】
SiCをコーティングしたカーボン基材は、カーボンの持つ特性に加えて、物理衝撃に強くなり、急速局部加熱耐性も有する。また、SiCをコーティングしたカーボン基材は、約700℃までは酸化雰囲気でも使用することができ、カーボン粉などのパーティクルが発生しにくいことから、エピタキシャル成長装置用サセプタやCVD用サセプタやヒーターなどに使用される。
【0008】
このような材料は、その機能性を十分に発揮するために基材全面に被覆される場合が多い。しかし、図5に示すような従来のCVD装置により基材表面に被膜を形成する際には、基材6と基材保持部材4との接触する部分には被膜が形成されない。このため、基材と基材保持部材との接触する面積がなるべく小さくなるように基材保持部材は設計される。しかしながら、そのように基材保持部材を用いても、基材における基材保持部材と接触する支持点には被膜が形成されない。そのため、基材全面を被覆する場合は、支持点を変更して複数回成膜することが必要となる。また、この場合には、一回目に成膜された膜と二回目の成膜された膜との界面において、物性が不連続になるなどの課題もある。これに対して、現在までにいくつかの提案がなされている。
【0009】
特許文献1には、高周波加熱コイルを加熱するとともに電磁力により基材を浮上させ、基材全面を均一成膜することが記載されている。しかしながら、この方法では多くの電力が必要であり、基材も軽量で小型なものに限られるため、量産技術としては不適切である。
【0010】
特許文献2では、成膜中に支持点を連続的に移動させることによって、均質な被膜を形成する技術が提案されている。この方法は、支持杆に基材の貫通孔を通して懸架することによって行われるため、基材の形状が限られるという問題がある。
【0011】
特許文献3では、熱分解炭素又は炭化珪素が被覆され、幅10mm以下の複数の支持部を有する支持台を用いることが提案されている。この方法では、支柱痕は減少するものの、消滅することはない。
【0012】
特許文献4では、基材の支持部材に微少なショックを加えて、基材と支持部材との接触部位を変位させながらコーティングすることが提案されている。これにより、1回の成膜で全面をコーティングすることが可能となるが、基材と支持部材との摩擦によって基材や被膜の摩耗や割れが問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開昭50-33184号公報
【文献】特開昭63-134663号公報
【文献】特開昭61-124572号公報
【文献】特開平08-100265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明では、基材や被膜の摩耗や割れが起こることなく、1回の成膜により基材全面に被膜形成可能な化学気相成長装置および被膜形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意検討の結果、基材を保持することのできる第1の保持部材と、第1の保持部材とは独立して基材を保持することのできる第2の保持部材とを化学気相成長装置に備えさせ、さらに、第1の保持部材および第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材を上下方向に可動とすることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]反応容器内に保持された基材の表面に成膜するための化学気相成長装置であって、反応容器内には、一つ以上の基材を保持するための保持装置が設けられ、保持装置は、一つの基材を保持するための保持構造を一つ以上有しており、保持構造は、基材を保持することのできる第1の保持部材と、第1の保持部材とは独立して基材を保持することのできる第2の保持部材とを少なくとも有しており、第1の保持部材および第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材は、上下方向に可動することを特徴とする化学気相成長装置。
[2]基材を保持している保持部材を、第1の保持部材および第2の保持部材の間で変更可能とする上記[1]に記載の化学気相成長装置。
[3]成膜中において、保持部材と接触する基材の支持点の位置が変更可能である上記[1]または[2]に記載の化学気相成長装置。
[4]保持構造は、基材を自転可能とする上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の化学気相成長装置。
[5]保持構造は、基材を水平方向に移動可能とする上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の化学気相成長装置。
[6]第1の保持部材および第2の保持部材は、二つ以上の支持点において基材と接触する上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の化学気相成長装置。
[7]第1の保持部材と基材との一つの支持点当たりの実効接触面積および第2の保持部材と基材との一つの支持点当たりの実効接触面積がそれぞれ20mm以下である上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の化学気相成長装置。
[8]基材を保持する第1の保持部材と、第1の保持部材とは独立して基材を保持する第2の保持部材とを少なくとも備えた反応容器内で化学気相成長により基材表面に被膜を形成する方法であって、第1の保持部材により基材を保持して、基材表面に化学気相成長により被膜を形成する第一工程と、第1の保持部材および第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材が上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動することによって、第1の保持部材に代わって第2の保持部材により基材を保持する第二工程と、第2の保持部材により保持された基材の表面に化学気相成長により被膜を形成する第三工程を含むことを特徴とする被膜形成方法。
[9]第一工程から第三工程は、成膜中に行われる上記[8]に記載の被膜形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1回の成膜により基材全面に被膜形成が可能となるため、支持点を変更しての複数回の成膜が不要となり、生産性が向上する。特に、熱CVD法により複数回の成膜を行おうとすると、成膜時間の他、比較的高温の反応温度への昇温や降温のための時間も必要である。このため、本発明によれば、特に熱CVD法の場合、大きく生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態のCVD装置における保持装置の一例を示す概略模式図。
図2】本発明の一実施形態のCVD装置における反応容器の一例を示す概略模式図。
図3】本発明の一実施形態のCVD装置における反応容器の一例を示す概略模式図。
図4】実施例で用いたCVD装置における保持構造の動きを示す概略模式図。
図5】従来のCVD装置における反応容器の一例を示す概略模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[化学気相成長装置]
本発明の一実施形態における化学気相成長装置は、反応容器内に保持された基材の表面に成膜し、反応容器内には、一つ以上の基材を保持するための保持装置が設けられている。保持装置は、一つの基材を保持するための保持構造を一つ以上有しており、保持構造は、基材を保持することのできる第1の保持部材と、第1の保持部材とは独立して基材を保持することのできる第2の保持部材とを少なくとも有している。そして、第1の保持部材および第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材は上下方向に可動する。これにより、本発明の一実施形態における化学気相成長装置は、1回の成膜により基材全面に被膜形成が可能となる。そして、支持点を変更しての複数回の成膜が不要となり、生産性が向上する。本発明の一実施形態における化学気相成長装置を以下、詳細に説明する。
【0019】
本発明の一実施形態における化学気相成長装置は、例えば、熱分解窒化硼素(PBN)、熱分解炭素(PG)、炭化タンタル(TaC)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化硅素(SiC)などの材料を、反応容器内に保持した基材の表面に成膜するための化学気相成長(CVD)装置である。
【0020】
本発明の一実施形態におけるCVD装置において、成膜する材料や基材の種類、形状は任意に選択することができる。また、本発明の一実施形態におけるCVD装置におけるCVDの種類は特に限定されず、本発明の一実施形態におけるCVD装置は熱CVDやプラズマCVDなどにも適用できる。
なお、CVD法は、被覆性に優れ、均一で膜厚分布の良い被膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマCVD法のように、プラズマによる保持装置の損傷の懸念もない。
上記観点および生産性を大きく向上させることができるという観点から、本発明の一実施形態におけるCVD装置は、熱CVD法により基材表面に被膜を形成するCVD装置であることが好ましい。
【0021】
本発明の一実施形態におけるCVD装置の反応容器内には、一つ以上の基材を保持するための保持装置が設けられる。生産効率の観点から、保持装置は複数の基材を保持できることが好ましい。
【0022】
保持装置は、一つの基材を保持するための保持構造を一つ以上有する。保持装置が複数の基材を保持する場合は、保持装置には、複数の保持構造が設けられる。
【0023】
さらに、保持構造は、基材を保持することのできる第1の保持部材と、第1の保持部材とは独立して基材を保持することのできる第2の保持部材とを少なくとも有している。なお、「第1の保持部材とは独立して基材を保持することのできる」とは、第1の保持部材がなくても、第2の保持部材で基材を保持できることを意味する。また、保持構造は、第1の保持部材と第2の保持部材とを有していれば、第1の保持部材および第2の保持部材以外の保持部材を有していてもよい。例えば、保持構造は、基材を保持することのできる第1の保持部材と、第1の保持部材とは独立して基材を保持することのできる第2の保持部材と、第1の保持部材および第2の保持部材とは独立して基材を保持することのできる第3の保持部材を有してもよい。
【0024】
第1の保持部材および第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材は、上下方向に可動する。これにより、基材を保持している保持部材を、第1の保持部材および第2の保持部材の間で変更することができる。その結果、成膜中に、保持部材と接触する基材の支持点の位置を変更することができるので、基材表面全体に被膜を形成することができる。そして、支持点を変更しての複数回の成膜が不要となり、生産性が向上する。
【0025】
図1を参照して本発明の一実施形態におけるCVD装置に設けられた保持装置をさらに詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるCVD装置に設けられた保持装置の一例を示す概略図である。ここでは、第2の保持部材5が上方向に移動することによって、第1の保持部材4が保持していた基材6を、第2の保持部材5が保持する。
また、第2の保持部材5が下方向に移動することによって、第2の保持部材5が保持していた基材6を、第1の保持部材4が保持する。
このように、第2の保持部材5が上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動することによって、基材6を保持する保持部材を第1の保持部材4および第2の保持部材5の間で変更することができる。
【0026】
なお、第1の保持部材4が上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動することによって、基材6を保持する保持部材を第1の保持部材4および第2の保持部材5の間で変更できるようにしてもよい。また、第1の保持部材4および第2の保持部材5の両方が上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動することによって、基材6を保持する保持部材を第1の保持部材4および第2の保持部材5の間で変更できるようにしてもよい。このように、本発明の一実施形態におけるCVD装置では、第1の保持部材4および第2の保持部材5のうちの少なくとも一方の保持部材が上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動することによって、基材6を保持している保持部材を、第1の保持部材4および第2の保持部材5の間で変更することができる。
【0027】
ここで、「第1の保持部材4および第2の保持部材5の間で変更可能」とは、第1の保持部材4から第2の保持部材5に変更可能であること、第2の保持部材5から第1の保持部材4に変更可能であること、または第1の保持部材4から第2の保持部材5に変更可能であり、かつ第2の保持部材5から第1の保持部材4に変更可能であることを意味する。
【0028】
なお、第1の保持部材4および第2の保持部材5のうちの少なくとも一方の保持部材を上下方向に可動とするための可動機構については、特に限定されない。
【0029】
このようにすれば、成膜中において、保持部材と接触する基材の支持点を変更できるため、基材全面に被膜を形成する際に、複数回にわたって成膜する必要がない。
【0030】
第1の保持部材および第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材における上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向の移動およびそれによる基材の支持点の変更は、成膜中において、複数回行われることが好ましい。これにより、支持点付近における被膜の不均一性を抑えることができる。
【0031】
また、第1の保持部材が保持しているときの基材の位置と、第2の保持部材が保持しているときの基材の位置とが上下方向で変わるようにしてもよい。基材の位置を上下させることで、被膜全体の均一性の向上も期待できる。
【0032】
PBNをCVD法により成膜する際に原料として使用される塩化ホウ素とアンモニアは、常温でも反応するほど反応性が高いため、原料ガスがはじめて基材に接触する箇所の近傍で成膜されやすい傾向があり、裏面などにはガスが回り込みにくく成膜し難い。
【0033】
一方、TaCでは原料の反応性は高くないものの、タンタル源となる塩化タンタルなどの原子量の大きいガスは、炭素源となるメタンなどの原子量の小さいガスに比べて直進性が高いため、PBNと同様に、複雑形状基材の裏面や空間の狭い支持点近傍にはガスが回り込みにくく成膜し難い。
【0034】
成膜中に基材を上下方向に移動させることによって、ガスの流れや基材とガスとの接触位置を変化させられるため、被膜全体の均一性が向上する。このため、特に、PBN、TaCなどの均一に成膜し難い材料の被膜を形成するとき、成膜中に基材を上下方向に移動させることが好ましい。
【0035】
さらに、保持構造は基材を自転させてもよいし、水平方向に移動させてもよい。また、保持構造は基材を自転させながら、水平方向に移動させてもよい。これにより、ガスの流れを変化させることができるので、被膜全体の均一性をさらに向上させることができる。例えば、保持構造を公転させることによって、基材を水平方向に移動させることができる。また、被膜全体の均一性をさらに向上させるために、基材の自転および基材の上下方向の移動、基材の水平方向の移動および基材の上下方向の移動、または基材の自転、基材の水平方向の移動および基材の上下方向を組み合わせてもよい。
【0036】
第1の保持部材および第2の保持部材は、基材を保持できる部材であれば特に限定されない。上記保持部材は、例えば、先端が尖った針状の支持部を複数有し、先端で基材と接触するようにすることができる。一つの基材において、保持部材と基材とが接触する支持点の数は二つ以上であることが好ましく、三つ以上四つ以下であることがより好ましい。支持点が三つ以上であれば、より安定に基材を保持することができる。一方、支持点が多すぎると成膜できない箇所が増えて好ましくない。
【0037】
第1の保持部材と基材との一つの支持点当たりの実効接触面積および第2の保持部材と基材との一つの支持点当たりの実効接触面積は、それぞれ20mm以下であることが好ましい。この実効接触面積は、支持痕を残さないためになるべく小さい方が望ましい。
ここで、実効接触面積とは、支持点を変更せずに、基材表面に目的とする材料を目的とする厚みに成膜し、一つの支持点について支持痕となり基材が露出する面積のことである。
【0038】
また、一つの支持点当たりの実効接触面積が小さすぎると、接触面積に対して基材および保持部材にかかる応力が大きくなり、基材が変形したり保持部材が摩耗したりする懸念がある。そのため一つの支持点当たりの実効接触面積は1mm以上であることがより好ましい。
【0039】
保持部材の表面の材料は特に限定されないが、その表面の材料は、基材に成膜する材料又は基材を構成する材料と同一であることが好ましい。保持部材に用いる材料が上記材料と異なると、保持部材と原料ガスとが反応して、形成される被膜の組成が変化したり、保持部材からの不純物拡散によって基材や被膜が汚染されたりする懸念がある。
【0040】
本発明の一実施形態におけるCVD装置は、保持部材、保持構造を含む保持装置以外については特に限定されず、一般的なCVD装置と同様にすればよく、目的や必要に応じて任意に設計すればよい。
【0041】
本発明の一実施形態におけるCVD装置は、例えば外熱型減圧CVD装置であってもよい。図2および3は、外熱型減圧CVD装置の一例を示したものである。反応容器1は原料供給部8と排気部9を備えており、さらにヒーター7が設けられている。
【0042】
原料供給部8から、成膜する材料に応じた原料ガスが供給される。例えば、被膜の材料がPBNである場合、アンモニア(NH)のような窒素原子を含む化合物と三塩化ホウ素(BCl)のようなハロゲン化ホウ素を供給する。被膜の材料がTaCである場合、メタン(CH)のような炭素原子を含む化合物と、五塩化タンタル(TaCl)のようなハロゲン化タンタルを供給する。被膜の材料がPGである場合、CHのような炭素原子を含む化合物を単独で供給する。被膜の材料がAlNである場合、トリメチルアルミニウム(Al(CH)のようなアルミニウムを含む化合物と、NHのような窒素原子を含む化合物を供給する。被膜の材料がSiCである場合、シラン(SiH)のようなケイ素原子を含む化合物と、プロパン(C)のような炭素原子を含む化合物を供給する。
【0043】
供給された原料ガスを、900~1900℃、1~100Paの高温減圧下で熱CVD反応させて、基材表面にPBN、TaC、PG、AlN、SiCなどの機能性材料を成膜する。
【0044】
以上、本発明の一実施形態におけるCVD装置を説明したが、本発明のCVD装置は、本発明の一実施形態におけるCVD装置に限定されない。
【0045】
[被膜形成方法]
本発明の被膜形成方法は、基材を保持する第1の保持部材と、前記第1の保持部材とは独立して前記基材を保持する第2の保持部材とを少なくとも備えた反応容器内で化学気相成長により基材表面に被膜を形成する方法であり、
第1の保持部材により基材を保持して、基材表面に化学気相成長により被膜を形成する第一工程と、
第1の保持部材および第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材が上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動することによって、第1の保持部材に代わって第2の保持部材により基材を保持する第二工程と、
第2の保持部材により保持された基材の表面に化学気相成長により被膜を形成する第三工程を含む。これにより、1回の成膜により基材全面に被膜形成が可能となる。そして、支持点を変更しての複数回の成膜が不要となり、生産性が向上する。
【0046】
(反応容器)
本発明の被膜形成方法に用いる反応容器は、上記第一工程から第三工程を実施することのできる反応容器であれば特に限定されない。本発明の被膜形成方法に用いる反応容器として、例えば、上述の本発明の一実施形態におけるCVD装置の反応容器を用いることができる。以下、上述の本発明の一実施形態におけるCVD装置の反応容器を例に挙げて、本発明の被膜形成方法を説明する。
【0047】
(第一工程)
第一工程では、第1の保持部材により基材を保持して、基材表面に化学気相成長により被膜を形成する。なお、第1の保持部材および基材表面における化学気相成長については、上述の本発明の一実施形態におけるCVD装置で説明したものと同様であるので、これらの説明は省略する。
【0048】
(第二工程)
第二工程では、第1の保持部材および第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材が上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動することによって、第1の保持部材に代わって第2の保持部材により基材を保持する。これにより、保持部材と接触する基材の支持点の位置を変更することができる。なお、第1の保持部材および第2の保持部材のうちの少なくとも一方の保持部材における上方向および下方向のうちの少なくとも一方の方向の移動および第2の保持部材については、上述の本発明の一実施形態におけるCVD装置で説明したものと同様であるので、これらの説明は省略する。
【0049】
(第三工程)
第三工程では、第2の保持部材により保持された基材の表面に化学気相成長により被膜を形成する。これにより、保持部材と接触する基材の支持点の位置を、第一の工程における保持部材と接触する基材の支持点の位置から変更して、基材表面に化学気相成長により被膜を形成することができるので、基材全面に被膜を形成することができる。なお、基材表面における化学気相成長については、上述の本発明の一実施形態におけるCVD装置で説明したものと同様であるので、この説明は省略する。
【0050】
なお、第一工程から第三工程は、成膜中に行われることが好ましい。これにより、1回の成膜により基材全面に被膜形成が可能となるため、支持点を変更しての複数回の成膜が不要となり、生産性が向上する。例えば、化学気相成長により基材の表面に被膜を形成しながら第2工程を実施することが好ましい。
また、1回の成膜中に第1工程から第3工程を有する工程サイクルを複数回実施することが好ましい。これにより、支持点付近における被膜の不均一性を抑えることができる。
【0051】
以上、本発明の被膜形成方法に用いる反応容器として、上述の本発明の一実施形態におけるCVD装置の反応容器を例に挙げて、本発明の被膜形成方法を説明した。しかし、本発明の被膜形成方法は、本発明の一実施形態におけるCVD装置を用いた被膜形成方法に限定されない。
【実施例
【0052】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
〈実施例1〉
まず、冷間等方圧加圧法(CIP法)により成形された等方性黒鉛を有底円筒形状に加工して、6個の炭素基材を作製した。なお、炭素基材は、内径が180mmであり、外径が186mmであり、高さが180mmであった。
【0054】
次に、外熱型減圧CVD装置の反応容器内にある保持装置に、6個の炭素基材を載置した。この保持装置は、一つの基材を保持するための保持構造を六つ有しており、各保持構造に1個ずつ炭素基材を載置した。
【0055】
また、この保持構造は、単独で基材を保持することのできる保持部材を二つ有しており、そのうち一つの保持部材(第1の保持部材)に炭素基材は載置されている。なお、保持部材は、先端が尖った支持部を3本有しており、炭素基材は支持部の先端と(支持点で)接触して支持されている。
なお、事前検証により、この保持部材と基材との一つの支持点当たりの実効接触面積は10mmであることを確認している。
【0056】
さらに、これらの保持部材は、上下方向に独立して逆位相で移動することが可能なようにしてある。なお、「独立して」とは、これら二つの保持部材が上下方向に相対的に異なった動作をすることをいう。また、上下方向に独立して逆位相で移動する二つの保持部材は、例えば、ギアなどを介して同じ回転系から上下方向に移動するための駆動力を得てもよい。最初に基材を保持する保持部材(第1の保持部材)は下方向に、もう一方の保持部材(第2の保持部材)は上方向に移動することにより、第1の保持部材から第2の保持部材へ炭素基材の受け渡しが可能となる。その後、炭素基材を受けとった保持部材(第2の保持部材)は下方向に、最初に炭素基材を保持していた保持部材(第1の保持部材)は上方向に移動することにより、再度、第1の保持部材に炭素基材を受け渡すことができる。なお、第1および第2の保持部材の上下方向の移動距離は50mmであった。
【0057】
ここで、第1の保持部材の基材と接触する箇所および第2の保持部材の基材と接触する箇所が異なるため、基材における支持点の変更が可能となる。
【0058】
なお、図4に示すように、各保持構造3は自転可能となっており、基材6を自転させられる。また、保持構造3は保持装置2の中心を支点として公転するようになっており、基材6を公転させられる。
ここでは、保持構造の公転1回転につき、自転を1回転、保持部材4,5の上下動を1回(炭素基材の受け渡しを1回)行うように設定した。なお、公転の回転速度は5rpmであった。
【0059】
続いて、原料供給部からNHガスを20SLM(standard/liter/minute(1atm、0℃))、BClガスを5SLM供給して、反応容器内の圧力を100Pa、温度を1800℃とした。化学気相成長により、炭素基材全面に膜厚1mmのPBN被膜を形成した。成膜開始から終了までの処理時間(昇温、降温時間を含む)は25時間であった。
【0060】
〈実施例2〉
保持構造の自公転を止めた以外は、実施例1と同様な方法でPBN被覆炭素基材を作製した。
【0061】
〈実施例3〉
保持部材と基材との実効接触面積を20mmとした以外は、実施例1と同様な方法でPBN被覆炭素基材を作製した。
【0062】
〈実施例4〉
実施例4ではTaC被覆炭素基材を作製した。ここでは、保持部材と基材との実効接触面積を5mmとした。また、原料供給部からCHガスを0.5SLM、導搬Arガス1.5SLMと共に温度170℃に熱して気化させたTaClを供給して、反応容器内の圧力を50Pa、温度を1100℃とした。化学気相成長により、炭素基材全面に膜厚30μmのTaC被膜を形成した。成膜開始から終了までの処理時間(昇温、降温時間を含む)は22時間であった。それ以外の操作は、実施例1と同様であった。
【0063】
〈実施例5〉
保持部材と基材との実効接触面積を20mmとした以外は、実施例4と同様な方法でTaC被覆炭素基材を作製した。
【0064】
〈実施例6〉
保持構造の自公転を止めた以外は、実施例4と同様な方法でTaC被覆炭素基材を作製した。
【0065】
〈実施例7〉
実施例7ではPG被覆炭素基材を作製した。ここでは、保持部材と基材との実効接触面積を20mmとした。また、原料供給部からCHガスを5SLM供給して、反応容器内の圧力を200Pa、温度を1700℃とした。化学気相成長により、炭素基材全面に膜厚50μmのPG被膜を形成した。成膜開始から終了までの処理時間(昇温、降温時間を含む)は27時間であった。それ以外の操作は、実施例1と同様であった。
【0066】
〈実施例8〉
保持部材と基材との実効接触面積を5mmとした以外は、実施例7と同様な方法でPG被覆炭素基材を作製した。
【0067】
〈実施例9〉
実施例9ではAlN被覆炭素基材を作製した。ここでは、保持部材と基材との実効接触面積を10mmとした。また、原料供給部からNHガスを0.5SLM、導搬Arガス2SLMと共に温度30~80℃に熱して気化させたAl(CHを供給して、反応容器内の圧力を50Pa、温度を900℃とした。化学気相成長により、炭素基材全面に膜厚100μmのAlN被膜を形成した。成膜開始から終了までの処理時間(昇温、降温時間を含む)は24時間であった。それ以外の操作は、実施例1と同様であった。
【0068】
〈実施例10〉
保持部材と基材との実効接触面積を20mmとした以外は、実施例9と同様な方法でAlN被覆炭素基材を作製した。
【0069】
〈実施例11〉
実施例11ではSiC被覆炭素基材を作製した。ここでは、保持部材と基材との実効接触面積を10mmとした。また、原料供給部からカーボン析出抑制剤としてHガスを2SLM、導搬Arガス2SLMと共に温度30~60℃に熱して気化させたCHSiClを供給して、反応容器内の圧力を200Pa、温度を1100℃とした。化学気相成長により、炭素基材全面に膜厚30μmのSiC被膜を形成した。成膜開始から終了までの処理時間(昇温、降温時間を含む)は24時間であった。それ以外の操作は、実施例1と同様であった。
【0070】
〈実施例12〉
保持部材と基材との実効接触面積を20mmとした以外は、実施例11と同様な方法でSiC被覆炭素基材を作製した。
【0071】
〈比較例1〉
保持部材が一つで、上下動しないこと以外は、実施例1と同様な方法でPBN被覆炭素基材を作製した。
【0072】
〈比較例2〉
保持部材が一つで、上下動しないこと以外は、実施例4と同様な方法でTaC被覆炭素基材を作製した。
【0073】
〈比較例3〉
保持部材が一つで、上下動しないこと以外は、実施例7と同様な方法でPG被覆炭素基材を作製した。
【0074】
〈比較例4〉
保持部材が一つで、上下動しないこと以外は、実施例9と同様な方法でAlN被覆炭素基材を作製した。
【0075】
〈比較例5〉
保持部材が一つで、上下動しないこと以外は、実施例11と同様な方法でSiC被覆炭素基材を作製した。
【0076】
〈比較例6〉
比較例1と同様に作製したPBN被覆炭素基材について、支持点を変更して再度成膜を行い、PBN被覆炭素基材を完成させた。
【0077】
〈比較例7〉
比較例2と同様に作製したTaC被覆炭素基材について、支持点を変更して再度成膜を行い、TaC被覆炭素基材を完成させた。
【0078】
〈比較例8〉
比較例3と同様に作製したPG被覆炭素基材について、支持点を変更して再度成膜を行い、PG被覆炭素基材を完成させた。
【0079】
〈比較例9〉
比較例4と同様に作製したAlN被覆炭素基材について、支持点を変更して再度成膜を行い、AlN被覆炭素基材を完成させた。
【0080】
〈比較例10〉
比較例5と同様に作製したSiC被覆炭素基材について、支持点を変更して再度成膜を行い、SiC被覆炭素基材を完成させた。
【0081】
以上のように作製した実施例1~12および比較例1~10の被覆炭素基材について以下の評価を行った。
(基材の露出観察)
被覆炭素基材の支持点周辺の20mm×20mmの領域について、光学顕微鏡(株式会社キーエンス製VHX―200)により観察し、撮影を行った。そして、基材の露出部の有無を調べた。
【0082】
(膜厚比率)
基材の露出部がなかった被覆炭素基材について膜厚比率の評価を行った。具体的には、有底円筒形状の被覆炭素基材の支持点周辺以外に、内側側面、外側側面、内側底面、外側底面の20mm×20mmの領域を切り出して、断面SEM観察を行った。画像解析により得られた最大膜厚に対する最小膜厚の比率を算出して、膜厚均一性の評価を行った。この値が1に近いほど膜厚均一性に優れている。
【0083】
(被膜色観察)
被覆炭素基材の支持点周辺の20mm×20mmの領域について、光学顕微鏡(株式会社キーエンス製VHX―200)により観察し、撮影を行った。そして、基材の露出部がなかった被覆炭素基材について、支持点付近においても全面同色の被膜が形成されたか、それとも色の違いがあるかを調べた。なお、色の違いは、わずかに組成が変化していることによるものと考えられる。
【0084】
(明領域面積比率)
支持点付近において色の違いがあった被覆炭素基材について明領域面積比率を測定した。具体的には、光学顕微鏡による観察および撮影を行った支持点周辺の20mm×20mmの領域について、分光色差計(ビデオジェット・エックスライト株式会社製RM200QC)を用いて被膜の色空間CIELAB値を測定した。撮影した画像と実測したCIELAB値をコンピュータカラーマッチングにより整合させた。その後、ImageJソフトを用いてグレイスケール(8bit)に変換して、さらに閾値を100として二値化を行った。そして、明領域の面積比率を算出した。
【0085】
実施例1~12および比較例1~10の評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
これらの結果から、実施例1~12では、1回の成膜でも基材を露出せずに被膜を形成することが可能であった。そのため、2回の成膜を行って全面被覆するよりも(比較例6~10)、大幅な処理時間の短縮が可能となった。また、膜厚均一性にも優れていた。
【0088】
TaCの成膜においては、明領域の面積比率が100%の被膜が得られ、より均質な被膜が得られたものと考えられる。さらに、保持構造を自公転させ、実効接触面積をより小さくすることによって、膜厚の均一性が向上した。
【符号の説明】
【0089】
1 反応容器
2 保持装置
3 保持構造
4 第1の保持部材(基材保持部材)
5 第2の保持部材
6 基材
7 ヒーター
8 原料供給部
9 排気部
10 支持点
11 支持部
図1
図2
図3
図4
図5