(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】周波数調整を用いたデュアルレベルパルス化のためのRF整合回路網内の補助回路
(51)【国際特許分類】
H03H 7/40 20060101AFI20230731BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20230731BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
H03H7/40
H05H1/46 R
H01L21/302 101C
H01L21/302 101B
(21)【出願番号】P 2019554895
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(86)【国際出願番号】 US2018025838
(87)【国際公開番号】W WO2018187292
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-01
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ユホウ
(72)【発明者】
【氏名】サトー・アーサー・エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ウー・イン
(72)【発明者】
【氏名】パターソン・アレクサンダー・ミラー
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152252(JP,A)
【文献】米国特許第09378931(US,B2)
【文献】特開2011-187503(JP,A)
【文献】特開2003-249400(JP,A)
【文献】特表2007-515761(JP,A)
【文献】特開2014-222657(JP,A)
【文献】特開2011-091048(JP,A)
【文献】特開2009-246091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/302
H01L21/461
H03H7/30-7/54
H05H1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波(RF)整合回路制御システムであって、
複数の調整可能な構成要素を備えたRF整合回路であって、
少なくとも2つのパルスレベルを含む入力信号をRF発生器から受信し、
前記入力信号に基づいて、出力信号を負荷に提供し、
前記入力信号に関連するインピーダンスを前記負荷のインピーダンスに整合させるよう構成された、RF整合回路と、
コントローラであって、
前記入力信号の前記少なくとも2つのパルスレベルに対して前記負荷のそれぞれのインピーダンスを決定し、
前記RF整合回路の周波数調整範囲を前記少なくとも2つのパルスレベルに対する前記負荷の前記それぞれのインピーダンスと合わせることで、前記入力信号に関連する前記インピーダンスを前記それぞれのインピーダンスと整合させるように、前記複数の調整可能な構成要素の動作パラメータを調節するよう構成された、コントローラと、
を備え、
前記動作パラメータを調整するために、前記コントローラは、
第1パルスレベルにおいて供給される前記入力信号に対応して、前記第1パルスレベルのために決定された第1インピーダンスに基づき、前記複数の調整可能な構成要素のうちの第1調整可能構成要素の第1動作パラメータを調整し、
第2パルスレベルにおいて供給される前記入力信号に対応して、前記第2パルスレベルのために決定された第2インピーダンスに基づき、前記複数の調整可能な構成要素のうちの第2調整可能構成要素の第2動作パラメータを調整し、
前記第1動作パラメータは、前記RF整合回路における第1キャパシタの第1静電容量および第2キャパシタの第2静電容量のうちの少なくとも一方に対応し、
前記第2動作パラメータは、第3キャパシタの第3静電容量に対応し、
前記RF整合回路の前記周波数調整範囲を前記
第1インピーダンスおよび前記第2インピーダンス
の両方と合わせるために、前記コントローラは、
(i)
前記第1静電容量および前記第2静電容量のうちの少なくとも一方を調整して、前記RF整合回路の前記
周波数調
整範囲
を並進方向
へシフ
トさせ、
(ii)
前記第3キャパシタを調整して、前記RF整合回路の前記
周波数調
整範囲
を回転方向
へシフト
させて、前記
周波数調
整範囲の傾きを調整するように構成され
る、RF整合回路制御システム。
【請求項2】
請求項
1に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第1キャパシタは、前記入力信号と接地との間に接続された分路キャパシタに対応する、RF整合回路制御システム。
【請求項3】
請求項
2に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第2キャパシタは、前記入力信号と前記負荷との間に接続された直列キャパシタに対応する、RF整合回路制御システム。
【請求項4】
請求項
3に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第3キャパシタは、(i)前記負荷に接続された前記第2キャパシタの端部と(ii)接地との間に接続されている、RF整合回路制御システム。
【請求項5】
請求項
4に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記動作パラメータは、さらに、インダクタのインダクタンス値に対応する第3動作パラメータを含む、RF整合回路制御システム。
【請求項6】
請求項
5に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記インダクタは、前記第3キャパシタと並列に接続されている、RF整合回路制御システム。
【請求項7】
請求項
4に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第1動作パラメータを調節するために、前記コントローラは、(i)前記少なくとも2つのパルスレベルの内の第1パルスレベルに対する前記負荷の前記インピーダンスに関連する反射電力を低減するように、前記第1静電容量および前記第2静電容量のそれぞれの値を決定し、(ii)前記決定されたそれぞれの値に基づいて、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの少なくとも一方を調節するよう構成されている、RF整合回路制御システム。
【請求項8】
請求項
4に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第2動作パラメータを調節するために、前記コントローラは、(i)前記少なくとも2つのパルスレベルの内の第2パルスレベルに対する前記負荷の前記インピーダンスに関連する反射電力を低減するように、前記第3静電容量の値を決定し、(ii)前記第3静電容量の前記決定された値に基づいて、前記第3キャパシタを調節するよう構成されている、RF整合回路制御システム。
【請求項9】
基板処理システムであって、
請求項1に記載のRF整合回路制御システムを備える、基板処理システム。
【請求項10】
請求項1に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記負荷は、基板処理チャンバ内の電極、誘導コイル構造、および、プラズマの内の少なくとも1つに対応する、RF整合回路制御システム。
【請求項11】
基板処理システム内でインピーダンス整合を実行するための方法であって、
複数の調整可能な構成要素を備えたRF整合回路を利用する工程と、
少なくとも2つのパルスレベルを含む入力信号をRF発生器から受信する工程と、
前記入力信号に基づいて、出力信号を負荷に提供する工程と、
前記入力信号に関連するインピーダンスを前記負荷のインピーダンスに整合させる工程と、
前記入力信号の前記少なくとも2つのパルスレベルに対して前記負荷のそれぞれのインピーダンスを決定する工程と、
前記RF整合回路の周波数調整範囲を前記少なくとも2つのパルスレベルに対する前記負荷の前記それぞれのインピーダンスと合わせることで、前記入力信号に関連する前記インピーダンスを前記それぞれのインピーダンスと整合させるように、前記複数の調整可能な構成要素の動作パラメータを調節する工程と、
を備え、
前記動作パラメータを調整する工程は、
第1パルスレベルにおいて供給される前記入力信号に対応して、前記第1パルスレベルのために決定された第1インピーダンスに基づき、前記複数の調整可能な構成要素のうちの第1調整可能構成要素の第1動作パラメータを調整する工程と、
第2パルスレベルにおいて供給される前記入力信号に対応して、前記第2パルスレベルのために決定された第2インピーダンスに基づき、前記複数の調整可能な構成要素のうちの第2調整可能構成要素の第2動作パラメータを調整する工程と、
を含み、
前記第1動作パラメータは、前記RF整合回路における第1キャパシタの第1静電容量および第2キャパシタの第2静電容量のうちの少なくとも一方に対応し、
前記第2動作パラメータは、第3キャパシタの第3静電容量に対応し、
前記RF整合回路の前記周波数調整範囲を前記
第1インピーダンスおよび前記第2インピーダンス
の両方と合わせる
ために、
(i
)前記RF整合回路の
周波数調
整範囲
が並進方向
へシフ
トするように、
前記第1静電容量および前記第2静電容量のうちの少なくとも一方が調整され、
(ii
)前記RF整合回路の前記
周波数調
整範囲
が回転方向
へシフト
して前記
周波数調
整範囲の傾きを調整する
ように、前記第3キャパシタが調整される、方法。
【請求項12】
請求項
11に記載の方法であって、
前記第1キャパシタは、前記入力信号と接地との間に接続された分路キャパシタに対応する、方法。
【請求項13】
請求項
12に記載の方法であって、
前記第2キャパシタは、前記入力信号と前記負荷との間に接続された直列キャパシタに対応する、方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の方法であって、
前記第3キャパシタは、(i)前記負荷に接続された前記第2キャパシタの端部と(ii)接地との間に接続されている、方法。
【請求項15】
請求項
14に記載の方法であって、
さらに、インダクタを前記第3キャパシタと並列に接続する工程を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2018年4月2日出願の米国特許出願第15/942,629号の優先権を主張し、また、2017年4月7日出願の米国仮出願第62/482,859号の利益を主張する。上記の出願の開示全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システムにおけるパルスプラズマ動作に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示するためのものである。ここに名を挙げられている発明者の業績は、この背景技術に記載された範囲において、出願時に従来技術として通常見なされえない記載の態様と共に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【0004】
半導体ウエハなどの基板のエッチング、蒸着、および/または、その他の処理を実行するために、基板処理システムが利用されうる。基板に実行されうる処理の例は、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)処理、化学強化プラズマ蒸着(CEPVD)処理、イオン注入処理、ならびに/もしくは、その他のエッチング、蒸着、および、洗浄処理を含むが、これらに限定されない。基板は、基板処理システムの処理チャンバ内の基板支持体(ペデスタル、静電チャック(ESC)など)上に配置されうる。例えば、PECVD処理のエッチング中、1または複数の前駆体を含むガス混合物が、処理チャンバに導入され、プラズマが、基板をエッチングするために点火される。
【発明の概要】
【0005】
高周波(RF)整合回路制御システムが、複数の調整可能な構成要素を備えたRF整合回路を備える。RF整合回路は:少なくとも2つのパルスレベルを含む入力信号をRF発生器から受信し;入力信号に基づいて、出力信号を負荷に提供し;入力信号に関連するインピーダンスを負荷のインピーダンスに整合させるよう構成されている。コントローラが:入力信号の少なくとも2つのパルスレベルに対して負荷のそれぞれのインピーダンスを決定し;RF整合回路の周波数調整範囲を少なくとも2つのパルスレベルに対する負荷のそれぞれのインピーダンスと合わせることで、入力信号に関連するインピーダンスをそれぞれのインピーダンスと整合させるように、複数の調整可能な構成要素の動作パラメータを調節するよう構成されている。
【0006】
別の特徴において、動作パラメータは、RF整合回路の第1キャパシタの第1静電容量および第2キャパシタの第2静電容量の少なくとも1つに対応する第1動作パラメータと、第3キャパシタの第3静電容量に対応する第2動作パラメータと、を含む。第1キャパシタは、入力信号と接地との間に接続された分路キャパシタに対応する。第2キャパシタは、入力信号と負荷との間に接続された直列キャパシタに対応する。第3キャパシタは、(i)負荷に接続された第2キャパシタの端部と(ii)接地との間に接続されている。動作パラメータは、さらに、インダクタのインダクタンス値に対応する第3動作パラメータを含む。インダクタは、第3キャパシタと並列に接続されている。
【0007】
別の特徴において、第1動作パラメータの調節は、調整可能周波数範囲を並進方向にシフトさせる。第2動作パラメータの調節は、調整可能周波数範囲を回転方向にシフトさせる。第1動作パラメータを調節するために、コントローラは:少なくとも2つのパルスレベルの内の第1パルスレベルに対する負荷のインピーダンスに関連する反射電力を低減するように、第1静電容量および第2静電容量のそれぞれの値を決定し;決定されたそれぞれの値に基づいて、第1キャパシタおよび第2キャパシタの少なくとも一方を調節するよう構成されている。第2動作パラメータを調節するために、コントローラは:少なくとも2つのパルスレベルの内の第2パルスレベルに対する負荷のインピーダンスに関連する反射電力を低減するように、第3静電容量の値を決定し;第3静電容量の決定された値に基づいて、第3キャパシタを調節するよう構成されている。
【0008】
別の特徴において、基板処理システムが、上記RF整合回路を備える。負荷は、基板処理チャンバ内の電極、誘電コイル構造、および、プラズマの内の少なくとも1つに対応する。
【0009】
基板処理システム内でインピーダンス整合を実行するための方法が:複数の調整可能な構成要素を備えたRF整合回路を利用する工程と;少なくとも2つのパルスレベルを含む入力信号をRF発生器から受信する工程と;入力信号に基づいて、出力信号を負荷に提供する工程と;入力信号に関連するインピーダンスを負荷のインピーダンスに整合させる工程と、を備える。方法は、さらに:入力信号の少なくとも2つのパルスレベルに対して負荷のそれぞれのインピーダンスを決定する工程と;RF整合回路の周波数調整範囲を少なくとも2つのパルスレベルに対する負荷のそれぞれのインピーダンスと合わせることで、入力信号に関連するインピーダンスをそれぞれのインピーダンスと整合させるように、複数の調整可能な構成要素の動作パラメータを調節する工程と、を備える。
【0010】
別の特徴において、動作パラメータは、RF整合回路の第1キャパシタの第1静電容量および第2キャパシタの第2静電容量の少なくとも1つに対応する第1動作パラメータと、第3キャパシタの第3静電容量に対応する第2動作パラメータと、を含む。第1キャパシタは、入力信号と接地との間に接続された分路キャパシタに対応する。第2キャパシタは、入力信号と負荷との間に接続された直列キャパシタに対応する。第3キャパシタは、負荷に接続された第2キャパシタの端部と接地との間に接続されている。インダクタが、第3キャパシタと並列に接続されている。第1動作パラメータを調節する工程は、調整可能周波数範囲を並進方向にシフトさせる。第2動作パラメータを調節する工程は、調整可能周波数範囲を回転方向にシフトさせる。
【0011】
詳細な説明、特許請求の範囲、および、図面から、本開示を適用可能なさらなる領域が明らかになる。詳細な説明および具体的な例は、単に例示を目的としており、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示は、詳細な説明および以下に説明する添付図面から、より十分に理解できる。
【0013】
【
図1】本開示の原理に従って、温度コントローラを備えた基板処理システムの一例を示す機能ブロック図。
【0014】
【
図2】本開示の原理に従って、温度コントローラを備えた別の基板処理システムの一例を示す機能ブロック図。
【0015】
【0016】
【
図3B】異なるパルスレベルに対する
図3Aの整合回路の調整範囲の例を示す図。
【0017】
【
図3C】異なるインピーダンスに対する
図3Aの整合回路の周波数調整範囲の例を示す図。
【0018】
【
図3D】
図3Aの整合回路の異なる静電容量に対する周波数調整範囲の例を示す図。
【0019】
【
図4A】本開示の原理に従って、第1整合回路例を示す図。
【0020】
【
図4B】本開示の原理に従って、第2整合回路例を示す図。
【0021】
【0022】
【
図4D】本開示の原理に従って、
図4Aおよび
図4Bの整合回路の異なる静電容量に対する周波数調整範囲の例を示す図。
【0023】
【
図5A】本開示の原理に従って、整合回路制御システムの一例を示す図。
【0024】
【
図5B】本開示の原理に従って、高パルスレベルおよび低パルスレベルに対する反射電力を示す図。
【0025】
【
図6】本開示の原理に従って、整合回路を制御するための方法の一例を示す図。
【0026】
図面において、同様および/または同一の要素を特定するために、同じ符号を用いる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
基板処理システムは、高周波(RF)電源のインピーダンスを、例えば、(容量結合プラズマ(CCP)システム内の)電極、(誘導結合プラズマ(ICP)システム内の)誘導コイル構造などに整合させるための整合回路または回路網を備えうる。例えば、整合回路は、バイアス整合回路、RF発生器整合回路網などに対応しうる。整合回路は、RF電源によって提供される特定の電力レベルに関連する電力反射を最小化するように調整されうる。一部の基板処理システムは、デュアルレベル(および/またはその他の混合モード)のプラズマパルス化を実施する。デュアルレベルパルス化では、RF電源の出力が、2つのパルスレベル(例えば、高パルスレベルおよび低パルスレベル)の間で行き来する。したがって、整合回路は、2つのレベルの内の一方のみに対して調整されうる。一部の例において、整合回路は、電力レベルに従って整合回路を再調整するための可変キャパシタを備えうる。しかしながら、キャパシタを調節するためのメカニズムは、通例、デュアルレベルパルス化におけるRFパルスの持続期間よりも遅い。他の例では、整合回路が特定のパルスレベルに対して調整されない時に、RF電源の周波数が、電力反射を最小化するように調節され、これは、周波数調整と呼ばれうる。しかしながら、周波数調整は、特定のパルスレベルに対して電力反射を十分に最小化しない場合がある。
【0028】
したがって、現在の技術は、デュアルレベルパルス化動作における両方のパルスレベルに対して電力反射を排除することがない(したがって、完全な電力供給を保証しない)。本開示の原理に従ったデュアルレベルパルス化システムのための整合回路は、両方のパルスレベルで反射電力を実質的に低減または排除するために、調整可能な補助回路を実装する。デュアルレベルパルス化に関して記載されているが、本開示の原理は、単一レベルおよび/またはマルチレベル(すなわち、3以上のパルスレベル)のパルス化システムで実施されてもよい。
【0029】
ここで、
図1を参照すると、基板処理システム10の一例が示されている。基板処理システム10は、RF発生システム11a、11bを備える。一部の例において、RF発生器発生システム11aは、変圧器結合容量性調整(TCCT)回路13に接続されたRF源12(例えば、変圧器結合プラズマ(TCP)RF発生器)を備えており、TCCT回路13は、誘導コイル構造16に電流を出力する。
【0030】
TCCT回路13は、通例、整合回路網14および電力分割器15を備える。整合回路網14は、伝送ラインによってRF源12へ接続されてよい。整合回路網14は、RF源12のインピーダンスを、電力分割器15および誘導コイル構造16を含む回路13の残り部分に整合させる。一部の例において、誘導コイル構造16は、単一の誘導コイル、一対の誘導コイル、もしくは、内側誘導コイル対および外側誘導コイル対、を備えてよい。電力分割器15は、誘導コイル構造16のコイルに供給される誘導電流の相対量を制御するために用いられてよい。平型コイルが図示されているが、その他のタイプのコイルが用いられてもよい。
【0031】
ガスプレナム20が、誘導コイル構造16と誘電体窓24との間に配置されてよい。誘電体窓24は、処理チャンバ28の片側に沿って配置される。処理チャンバ28は、さらに、基板34を支える基板支持体32を備える。基板支持体32は、静電チャック、機械式チャック、または、その他のタイプのチャックを含みうる。プラズマ40が、処理チャンバ28の内部で生成される。プラズマ40は、膜の蒸着または基板34のエッチングに用いられてよい。
【0032】
RF発生システム11bは、1または複数のバイアスRF源50、51と、バイアス整合回路52と、を備えてよい。RF源50は、動作中に基板支持体32をバイアスするために、バイアスRF電圧を提供する。バイアス整合回路52は、RF源50、51のインピーダンスを基板支持体32に整合させる。
【0033】
RF発生システム11a、11bは、集合的に1つのRF発生システム11と見なされてもよく、システムコントローラ54によって制御される。バイアス整合回路52および整合回路網14の内の1以上が、後に詳述するように、本開示に原理に従って、デュアルレベル(および/またはその他の混合モード)のパルス化システムおよび方法のための補助整合回路を実装してよい。
【0034】
ガス供給システム56が、誘電体窓24に隣接するチャンバ28にガス混合物を供給するために用いられてよい。ガス供給システム56は、処理ガス源57と、計量システム58(バルブおよびマスフローコントローラなど)と、処理ガスを混合するためのマニホルド59と、を備えてよい。
【0035】
ガス供給システム60が、バルブ61を介してガス62をガスプレナム20へ供給するために用いられてよい。ガスは、誘導コイル構造16および誘電体窓24を冷却するために用いられる冷却ガスを含みうる。ヒータ64が、所定の温度まで基板支持体32を加熱するために用いられてよい。排気システム65が、バルブ66およびポンプ67を備え、パージまたは排出によって処理チャンバ28から反応物質を除去する。
【0036】
システムコントローラ54は、エッチング処理を制御するために用いられてよい。システムコントローラ54は、処理パラメータ、例えば、温度、圧力などを監視し、ガス混合物の供給、プラズマの点火、維持、および、消火、反応物質の除去、冷却ガスの供給などを制御する。温度コントローラ55が、基板支持体32の温度を制御する。
【0037】
システムコントローラ54は、センサ74から入力信号を受信し、入力信号に基づいて、RF源12、50、51、バイアス整合回路52、および、ヒータ/クーラ64、ならびに/もしくは、基板処理システム10の構成要素の動作を制御してよい。センサ74は、RF発生システム11a、11b内、チャンバ28内、基板支持体32内、または、基板処理システム10内の他の場所に配置されてよい。センサ74は、例えば、供給されたRF電圧、温度、ガスおよび/または冷却材の流量、ならびに、ガスおよび/または冷却材の圧力を検出する。
【0038】
ここで、
図2を参照すると、RFプラズマを用いてエッチングを実行するための基板処理システムの一例100が示されている。基板処理システム100は、処理チャンバ102を備える。処理チャンバ102は、処理チャンバ102の他の構成要素を収容し、RFプラズマを閉じ込める。処理チャンバ102は、上側電極104と、基板支持体106(例えば、ESC)と、を備える。動作中、基板108が、基板支持体106上に配置される。
【0039】
単に例として、上側電極104は、ガスを導入して分散させるシャワーヘッド109を備えてよい。シャワーヘッド109は、処理チャンバ102の上面に接続された一端を備えるステム部分111を備えてよい。シャワーヘッド109は、略円筒形であり、処理チャンバ102の上面から離れた位置でステム部分111の反対側の端部から半径方向外向きに広がる。基板対向面またはシャワーヘッド109は、処理ガスまたはパージガスが流れる穴を備える。あるいは、上側電極104は、導電性のプレートを備えてもよく、ガスは、別の方法で導入されてもよい。
【0040】
基板支持体106は、下側電極として機能する導電性のベースプレート110を備える。ベースプレート110は、加熱プレート112を支持しており、加熱プレート112は、少なくとも部分的にセラミック材料で形成されてよい。熱抵抗層114が、加熱プレート112とベースプレート110との間に配置されてよい。ベースプレート110は、ベースプレート110に冷却材を流すための1または複数の冷却材流路116を備えてよい。
【0041】
RF発生システム120が、RF電圧を生成して、上側電極104および下側電極(例えば、基板支持体106のベースプレート110)の一方に出力する。上側電極104およびベースプレート110のもう一方は、DC接地、AC接地されるか、または、浮遊電位にあってよい。単に例として、RF発生システム120は、RF電圧を発生させる1または複数のRF発生器122(例えば、容量結合プラズマRF電力発生器、バイアスRF電力発生器、および/または、その他のRF電力発生器)を備えてよく、RF電圧は、1または複数の整合/配電回路網124によって上側電極104および/またはベースプレート110に供給される。一例として、プラズマRF発生器123、バイアスRF発生器125、プラズマRF整合回路網127、および、バイアスRF整合回路網129が示されている。バイアスRF整合回路網129およびプラズマRF整合回路網127の内の1以上が、後に詳述するように、本開示に原理に従って、デュアルレベル(および/またはその他の混合モード)のパルス化システムおよび方法のための補助整合回路を実装してよい。
【0042】
ガス供給システム130は、1または複数のガス源132-1、132-2、・・・、および、132-N(集合的に、ガス源132)を備えており、ここで、Nはゼロより大きい整数である。ガス源132は、1または複数の前駆体およびそれらの混合物を供給する。ガス源132は、パージガスを供給してもよい。気化した前駆体が用いられてもよい。ガス源132は、バルブ134-1、134-2、・・・、および、134-N(集合的に、バルブ134)ならびにマスフローコントローラ136-1、136-2、・・・、および、136-N(集合的に、マスフローコントローラ136)によってマニホルド140に接続されている。マニホルド140の出力は、処理チャンバ102に供給される。単に例として、マニホルド140の出力は、シャワーヘッド109に供給される。
【0043】
温度コントローラ142が、加熱プレート112に配置された熱制御素子(TCE:thermal control element)144に接続されてよい。システムコントローラ160とは別個に図示されているが、温度コントローラ142は、システムコントローラ160の一部として実装されてもよい。温度コントローラ142は、基板支持体106および基板支持体106上の基板(例えば、基板108)の温度を制御するために、TCE144の動作ひいては温度を制御してよい。温度コントローラ142は、流路116を通る冷却剤の流れ(圧力および流量)を制御するための冷却材アセンブリ146と連通してよい。例えば、冷却材アセンブリ146は、冷却材ポンプおよびリザーバを備えてよい。温度コントローラ142は、基板支持体106および加熱プレート112を冷却するために流路116を通して冷却材を選択的に流すように、冷却材アセンブリ146を作動させる。温度コントローラ142は、冷却材が流れる速度と、冷却材の温度とを制御してよい。温度コントローラ142は、後に詳述する検出パラメータに基づいて、TCE144に供給される電流と、流路116に供給される冷却材の圧力および流量とを制御する。
【0044】
バルブ156およびポンプ158が、処理チャンバ102から反応物質を排出するために用いられてよい。システムコントローラ160は、供給されるRF電力レベル、供給されるガスの圧力および流量、RF整合などを制御することを含め、基板処理システム100の構成要素を制御してよい。システムコントローラ160は、バルブ156およびポンプ158の状態を制御する。ロボット170が、基板支持体106上へ基板を供給すると共に、基板支持体106から基板を除去するために用いられてよい。例えば、ロボット170は、基板支持体106およびロードロック172の間で基板を搬送してよい。ロボット170は、システムコントローラ160によって制御されてよい。システムコントローラ160は、ロードロック172の動作を制御してよい。
【0045】
ここで、
図3A、
図3B、
図3C、
図3Dを参照して、1つのパルスレベルに調整された(例えば、バイアス整合回路52、RFバイアス整合回路網129などに対応する)整合回路の例200について説明する。整合回路200は、キャパシタC1およびC3を備えており、それらのキャパシタは、それぞれ、分路キャパシタおよび直列キャパシタと呼ばれうる。整合回路200は、RF電力発生器と電極との間に接続され、電極に提供されるRF電力に対してインピーダンス整合を提供するように調整される。例えば、キャパシタC1およびC3は、基板処理システムの関連構成要素(例えば、コイル、プラズマなど)のインピーダンスを整合するために調節される可変キャパシタである。
【0046】
(RF源(RF源12、50、51など)の周波数に対して電力反射を示す)
図3Bに示すように、整合回路200は、第1パルスレベル204に関連するインピーダンスを整合させるよう調整されてよい。したがって、周波数調整と併用すれば、電力反射は、第1パルスレベル204で排除されうる(例えば、0%まで低減されうる)。換言すると、キャパシタC1および/またはC3の静電容量が、周波数の調節(「周波数調整される」)に加えて、調節(「整合調整される」)されてよい。周波数調整は、発生器帯域幅(すなわち、RF電力発生器の周波数帯域幅)によって制約されうる。逆に、整合回路200は、第2パルスレベル208に関連するインピーダンスを整合させるためには調整されない(すなわち、静電容量C1およびC3は、第2パルスレベル208に整合調整されない)ので、周波数調整を行っても、第2パルスレベル208では、0%の電力反射には到達しえない。
【0047】
図3Cに示すように、第1パルスレベル(S1)に関連する負荷(例えば、Z
load)のインピーダンスが212で示されている。例えば、負荷インピーダンスは、50オームである。逆に、第2パルスレベル(S2)に関連するインピーダンスが216で示されている。インピーダンス212および216は、負荷インピーダンスZ
loadの複素表現に関連して示されている(例えば、ここで、Z
load = R
load + j × X
loadであり、R
loadは負荷抵抗に対応し、X
loadは負荷リアクタンスに対応し、j
2=-1である)。様々な負荷の値に対する整合回路200の(例えば、周波数調整についての)調整可能インピーダンス範囲が、220で示されている。したがって、整合回路200は、インピーダンス212が調整可能インピーダンス範囲220と合うように、調整される(例えば、キャパシタC1およびC3の値が調節される)。このように、周波数調整と併用すれば、第1パルスレベルS1に対する電力反射を排除することができる。しかしながら、第2パルスレベルS2については、周波数調整が到達できるのは、よくても224で示されるインピーダンスであり、それは、インピーダンス216と等価ではない。例えば、図に示すように、周波数は、12.80MHz(228)~14.20MHz(232)の間で変更されうる。第1パルスレベルについて調整される周波数は、13.80MHzに対応しうる。逆に、224での周波数は、13.15MHzに対応しうる。
【0048】
図3Dに示すように、整合回路200の調整可能インピーダンス範囲の例236が示されている。キャパシタC1およびC3を変化させることで、調整可能インピーダンス範囲を調節できる。例えば、C1の静電容量を増大させることは、調整可能インピーダンス範囲を236から240へシフトさせうる。逆に、C3の静電容量を増大させることは、調整可能インピーダンス範囲を236から244へシフトさせうる。したがって、キャパシタC1およびC3を変化させることで、略並進に調整可能インピーダンス範囲236をシフトさせることができる。しかしながら、第1パルスレベルおよび第2パルスレベルに関連するインピーダンスが、周波数調整可能インピーダンス範囲の内の同じ範囲と整合しない場合、電力反射が両方のパルスレベルで排除されえない。
【0049】
ここで、
図4A、
図4B、
図4C、および、
図4Dを参照して、本開示の原理に従って両方のパルスレベルに対して調整される整合回路の一例300について説明する。整合回路300は、キャパシタC1およびC3を備える。整合回路300は、RF電力発生器と、例えば(CCPシステム内の)電極、(ICPシステム内の)誘導コイル構造などとの間に接続され、電極またはICPコイルに提供されるRF電力に対してインピーダンス整合を提供するように調整される。整合回路300は、さらに、整合回路300の出力に接続された補助整合回路304を備える。一例において、補助整合回路304は、
図4Aに示すように、並列に接続されたキャパシタC4およびインダクタL1(例えば、LC回路)を備える。別の例において、補助整合回路304は、
図4Bに示すように、キャパシタC4を備える。
【0050】
図4Cに示すように、整合回路300は、第1パルスレベル308および第2パルスレベル312の各々に関連するインピーダンスを整合させるように調整されてよい。したがって、周波数調整と併用すれば、電力反射は、キャパシタC4の静電容量および/またはインダクタL1のインダクタンスをさらに調節することによって、第1パルスレベル308で排除され、第2パルスレベル312で排除されうる。
【0051】
図4Dに示すように、整合回路300の調整可能インピーダンス範囲316の例が示されている。キャパシタC1およびC3を変化させることで、
図3Dに関して記載したように、略並進に調整可能インピーダンス範囲316をシフトさせることができる。ただし、キャパシタC4を変化させることで、回転させるように調整可能インピーダンス範囲316をさらに調節できる。例えば、キャパシタC4を増大させることは、調整可能インピーダンス範囲を316から320へ回転させうる。換言すると、キャパシタC4を変化させて、調整可能インピーダンス範囲316の傾きを調節することで、第1パルスレベル308および第2パルスレベル312の両方に対して、周波数調整と併せて整合回路300を調整させることを可能にする。このように、両方のパルスレベルに対して電力反射を排除および/または実質的に減少させることができる。例えば、RF電力が第1パルスレベルにパルスされた時、RF周波数は、整合回路300のインピーダンスを第1パルスレベルに関連するインピーダンスに整合させるように、第1周波数に調節されてよい。逆に、RF電力が第2パルスレベルにパルスされた時、RF周波数は、整合回路300のインピーダンスを第2パルスレベルに関連するインピーダンスに整合させるように、第2周波数に調節されてよい。
【0052】
一部の例において、キャパシタC4は、選択されたレシピまたは処理に基づいて、(例えば、システムコントローラ54、160を用いて)自動的に調節されてよい。別の例において、キャパシタC4は、(例えば、ユーザによって)手動で調節されてもよい。キャパシタC4の値の範囲は、特定の基板処理チャンバ特性に従って決定されてよい。
【0053】
ここで、
図5Aおよび
図5Bを参照すると、RF整合回路制御システムの一例500は、RF電源(例えば、RF発生器508)と、例えば、512で概略的に示した電極(例えば、シャワーヘッドまたはESC)、誘導コイル構造、プラズマなどとの間でインピーダンスZ
loadを整合させるよう構成されたRF整合回路網504を備える。RF整合回路網504は、コントローラ516を備える、および/または、コントローラ516に応答する。単に例として、RF整合回路網504は、整合回路網14、127、129などに対応してよく、コントローラ516は、システムコントローラ54、160などに対応してよい。コントローラ516は、
図2~
図4で上述したように電力反射を最小化するために、整合回路構成要素520(例えば、キャパシタC1、C3、C4など)を調節するよう構成され、整合回路構成要素は、整合回路300に対応してよい。
【0054】
例えば、コントローラ516は、負荷センサ524からZloadの測定値に対応する検知された値を受信する。コントローラ516が、RF発生器508によって提供された2以上のパルスレベル(現在の例では、高パルスレベルおよび低パルスレベルなどの2つのパルスレベルとして記載されている)の間で遷移するので、RF発生器508は、2つのパルスレベルにそれぞれ対応する2つの周波数(例えば、freq1およびfreq2)の間で調節を行う。コントローラ516は、さらに、後に詳述するように、選択された周波数およびZloadに基づいて、キャパシタC1、C3、および/または、C4の静電容量値、ならびに/もしくは、インダクタL1の値のインダクタンスを調節する。
【0055】
図5Bの528に示すように、コントローラ516は、(第1高パルス周期における)高パルスレベルと(第2低パルス周期における)低パルスレベルとの間で、RF発生器508を交互に遷移させるよう構成される。532に示すように、RF発生器508は、第1および第2周波数の間で交互に遷移するよう構成される。例えば、高パルス周期中に、RF発生器508は、RF整合回路網504のインピーダンスを高パルスレベルに関連するインピーダンスに整合させるように、第1周波数(freq1)に適合する。第1周波数は、固定(例えば、一定)の周波数であってよい。
【0056】
一部の例において、コントローラ516は、さらに、高パルス周期中にキャパシタC1およびC3の静電容量値を調節する。例えば、コントローラ516は、測定されたZloadを第1周波数ならびにキャパシタC1およびC3の値に相関させるデータ(例えば、モデル、式、ルックアップテーブルなど)を格納してよい。
【0057】
逆に、低パルス周期中に、RF発生器508は、RF整合回路網504のインピーダンスを低パルスレベルに関連するインピーダンスに整合させるように、周波数を第2周波数(freq2)に調節する。第2周波数は、低パルス周期中に変更されてよい。例えば、RF発生器508は、536で示すように、第1周波数から第2周波数へ周波数を徐々に遷移させてよい。コントローラ516は、さらに、低パルス周期中にキャパシタC1、C3、および、C4の静電容量値、ならびに/もしくは、インダクタL1のインダクタンス値を調節する。
【0058】
540に示すように、周波数およびキャパシタC1、C3、および、C4(ならびに、一部の例において、インダクタL1)を調節することによって、反射電力が、高パルス周期544において排除されると共に、低パルス周期548において実質的に低減されうる。例えば、測定されたZ
loadとRF発生器508の周波数とに従って、
図4Aおよび
図4Bに示したように配置されたキャパシタC4および/またはインダクタL1をさらに調節することで、552に示すように、低パルス周期548において反射電力を10%未満に低減できる。逆に、RF整合回路網504が、
図4Aおよび
図4Bに示したように配置されたキャパシタC4を備えない場合、低パルス周期548における反射電力は著しく大きくなりうる(例えば、556に示すように、50%)。
【0059】
図6は、本開示の原理に従って、整合回路を制御するための方法600の一例(例えば、RF整合回路制御システム500、コントローラ516などによって実施される)を示す。方法600は、工程604で開始する。工程608で、方法600は、RF発生器508が高バイアス電力状態にあるか否か(すなわち、RF発生器508が高パルスレベルの電力を供給しているか否か)を判定する。高バイアス電力状態にある場合、方法600は、工程612に進む。高バイアス電力状態にない場合、方法600は、工程616に進む。
【0060】
工程612で、方法600は、RF発生器508の周波数を第1周波数(例えば、freq1)に設定する。工程620で、方法600は、インピーダンスZload(例えば、RF整合回路網504の出力でのインピーダンス)を測定する。工程624で、方法600は、反射電力を低減するように、第1周波数および測定されたZloadに従ってC1およびC3の値を決定する。工程628で、方法600は、C1およびC3の値を調節する。例えば、方法600は、それぞれの静電容量値の調節に関連する利得係数(例えば、コントローラ516によって格納される)に従って、キャパシタC1およびC3を調節してよい。
【0061】
工程616で、方法600は、RF発生器508が低バイアス電力状態にあるか否か(すなわち、RF発生器508が低パルスレベルの電力を供給しているか否か)を判定する。低バイアス電力状態にある場合、方法600は、工程632に進む。低バイアス電力状態にない場合、方法600は、工程608に進む。工程632で、方法600は、インピーダンスZloadを測定する。工程636で、方法600は、反射電力を低減するように、測定されたZloadに従って、C1、C3、および、C4(および、一部の例においてはL1)ならびに第2周波数freq2の値を決定する。工程640で、方法600は、C1、C3、C4、L1、および/または、freq2を調節する。一部の例において、方法600は、低パルス周期中に、C1、C3、C4、L1、および/または、freq2の値を、決定された値に向かって徐々に調節してよい。
【0062】
上述の記載は、本質的に例示に過ぎず、本開示、応用例、または、利用法を限定する意図はない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施されうる。したがって、本開示には特定の例が含まれるが、図面、明細書、および、以下の特許請求の範囲を研究すれば他の変形例が明らかになるため、本開示の真の範囲は、それらの例には限定されない。方法に含まれる1または複数の工程が、本開示の原理を改変することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして記載されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載された特徴の内の任意の1または複数の特徴を、他の実施形態のいずれかに実装することができる、および/または、組み合わせが明確に記載されていないとしても、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができる。換言すると、上述の実施形態は互いに排他的ではなく、1または複数の実施形態を互いに置き換えることは本開示の範囲内にある。
【0063】
要素の間(例えば、モジュールの間、回路要素の間、半導体層の間)の空間的関係および機能的関係性が、「接続される」、「係合される」、「結合される」、「隣接する」、「近接する」、「の上部に」、「上方に」、「下方に」、および、「配置される」など、様々な用語を用いて記載されている。第1および第2要素の間の関係性を本開示で記載する時に、「直接」であると明確に記載されていない限り、その関係性は、他に介在する要素が第1および第2の要素の間に存在しない直接的な関係性でありうるが、1または複数の介在する要素が第1および第2の要素の間に(空間的または機能的に)存在する間接的な関係性でもありうる。本明細書で用いられているように、「A、B、および、Cの少なくとも1つ」という表現は、非排他的な論理和ORを用いて、論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、および、Cの少なくとも1つ」という意味であると解釈されるべきではない。
【0064】
いくつかの実施例において、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0065】
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0066】
コントローラは、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、もしくは、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。一部の例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0067】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0068】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。本開示は、以下の形態により実現されてもよい。
[形態1]
高周波(RF)整合回路制御システムであって、
複数の調整可能な構成要素を備えたRF整合回路であって、
少なくとも2つのパルスレベルを含む入力信号をRF発生器から受信し、
前記入力信号に基づいて、出力信号を負荷に提供し、
前記入力信号に関連するインピーダンスを前記負荷のインピーダンスに整合させるよう構成された、RF整合回路と、
コントローラであって、
前記入力信号の前記少なくとも2つのパルスレベルに対して前記負荷のそれぞれのインピーダンスを決定し、
前記RF整合回路の周波数調整範囲を前記少なくとも2つのパルスレベルに対する前記負荷の前記それぞれのインピーダンスと合わせることで、前記入力信号に関連する前記インピーダンスを前記それぞれのインピーダンスと整合させるように、前記複数の調整可能な構成要素の動作パラメータを調節するよう構成された、コントローラと、
を備える、RF整合回路制御システム。
[形態2]
形態1に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記動作パラメータは、
前記RF整合回路の第1キャパシタの第1静電容量および第2キャパシタの第2静電容量の少なくとも1つに対応する第1動作パラメータと、
第3キャパシタの第3静電容量に対応する第2動作パラメータと、
を含む、RF整合回路制御システム。
[形態3]
形態2に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第1キャパシタは、前記入力信号と接地との間に接続された分路キャパシタに対応する、RF整合回路制御システム。
[形態4]
形態3に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第2キャパシタは、前記入力信号と前記負荷との間に接続された直列キャパシタに対応する、RF整合回路制御システム。
[形態5]
形態4に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第3キャパシタは、(i)前記負荷に接続された前記第2キャパシタの端部と(ii)接地との間に接続されている、RF整合回路制御システム。
[形態6]
形態5に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記動作パラメータは、さらに、インダクタのインダクタンス値に対応する第3動作パラメータを含む、RF整合回路制御システム。
[形態7]
形態6に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記インダクタは、前記第3キャパシタと並列に接続されている、RF整合回路制御システム。
[形態8]
形態5に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第1動作パラメータの調節は、前記周波数調整範囲を並進方向にシフトさせる、RF整合回路制御システム。
[形態9]
形態5に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第2動作パラメータの調節は、前記周波数調整範囲を回転方向にシフトさせる、RF整合回路制御システム。
[形態10]
形態5に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第1動作パラメータを調節するために、前記コントローラは、(i)前記少なくとも2つのパルスレベルの内の第1パルスレベルに対する前記負荷の前記インピーダンスに関連する反射電力を低減するように、前記第1静電容量および前記第2静電容量のそれぞれの値を決定し、(ii)前記決定されたそれぞれの値に基づいて、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの少なくとも一方を調節するよう構成されている、RF整合回路制御システム。
[形態11]
形態5に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記第2動作パラメータを調節するために、前記コントローラは、(i)前記少なくとも2つのパルスレベルの内の第2パルスレベルに対する前記負荷の前記インピーダンスに関連する反射電力を低減するように、前記第3静電容量の値を決定し、(ii)前記第3静電容量の前記決定された値に基づいて、前記第3キャパシタを調節するよう構成されている、RF整合回路制御システム。
[形態12]
基板処理システムであって、
形態1に記載のRF整合回路制御システムを備える、基板処理システム。
[形態13]
形態1に記載のRF整合回路制御システムであって、
前記負荷は、基板処理チャンバ内の電極、誘電コイル構造、および、プラズマの内の少なくとも1つに対応する、RF整合回路制御システム。
[形態14]
基板処理システム内でインピーダンス整合を実行するための方法であって、
複数の調整可能な構成要素を備えたRF整合回路を利用する工程と、
少なくとも2つのパルスレベルを含む入力信号をRF発生器から受信する工程と、
前記入力信号に基づいて、出力信号を負荷に提供する工程と、
前記入力信号に関連するインピーダンスを前記負荷のインピーダンスに整合させる工程と、
前記入力信号の前記少なくとも2つのパルスレベルに対して前記負荷のそれぞれのインピーダンスを決定する工程と、
前記RF整合回路の周波数調整範囲を前記少なくとも2つのパルスレベルに対する前記負荷の前記それぞれのインピーダンスと合わせることで、前記入力信号に関連する前記インピーダンスを前記それぞれのインピーダンスと整合させるように、前記複数の調整可能な構成要素の動作パラメータを調節する工程と、
を備える、方法。
[形態15]
形態14に記載の方法であって、
前記動作パラメータは、
前記RF整合回路の第1キャパシタの第1静電容量および第2キャパシタの第2静電容量の少なくとも1つに対応する第1動作パラメータと、
第3キャパシタの第3静電容量に対応する第2動作パラメータと、
を含む、方法。
[形態16]
形態15に記載の方法であって、
前記第1キャパシタは、前記入力信号と接地との間に接続された分路キャパシタに対応する、方法。
[形態17]
形態16に記載の方法であって、
前記第2キャパシタは、前記入力信号と前記負荷との間に接続された直列キャパシタに対応する、方法。
[形態18]
形態17に記載の方法であって、
前記第3キャパシタは、(i)前記負荷に接続された前記第2キャパシタの端部と(ii)接地との間に接続されている、方法。
[形態19]
形態18に記載の方法であって、
さらに、インダクタを前記第3キャパシタと並列に接続する工程を備える、方法。
[形態20]
形態18に記載の方法であって、
前記第1動作パラメータを調節する工程は、前記周波数調整範囲を並進方向にシフトさせ、
前記第2動作パラメータを調節する工程は、前記周波数調整範囲を回転方向にシフトさせる、方法。