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特許7322149MRAM用途のための構造を形成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】MRAM用途のための構造を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 50/01 20230101AFI20230731BHJP
   H10B 61/00 20230101ALI20230731BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20230731BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20230731BHJP
【FI】
H10N50/01
H10B61/00
H01L29/82 Z
H10N50/10 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021534956
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 US2019057031
(87)【国際公開番号】W WO2020131206
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】16/230,563
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アン, ジェス
(72)【発明者】
【氏名】ツェン, シンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュエ, リン
(72)【発明者】
【氏名】パカラ, マヘンドラ
【審査官】殿川 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6434103(JP,B1)
【文献】特開2016-208031(JP,A)
【文献】特開2006-295198(JP,A)
【文献】特開2013-197397(JP,A)
【文献】米国特許第10069064(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0149123(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0236251(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0110691(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0008429(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 50/00 - 50/85
H10B 61/00
H01L 29/00 - 29/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気トンネル接合(MTJ:magnetic tunnel junction)素子構造であって、
基板上に配置された磁気トンネル接合(MTJ)ピラー構造であって、膜積層体を含み、前記膜積層体が、フリー層上に形成されたトンネルバリア層上に配置された参照層を有する、MTJピラー構造と、
前記MTJピラー構造を取り囲む間隙であって、前記磁気トンネル接合(MTJ)ピラー構造内に形成された前記フリー層を途切れさせる間隙と、
を含み、前記膜積層体が、
前記参照層上に配置された合成反強磁性フリー(SAF:synthetic antiferromagnetic free)層と、
前記合成反強磁性フリー(SAF)層上に配置されたハードマスク層と
をさらに含む、
磁気トンネル接合(MTJ)素子構造。
【請求項2】
前記間隙はさらに、前記フリー層上に配置されたパッシベーション層を途切れさせる、請求項1に記載の磁気トンネル接合(MTJ)素子構造。
【請求項3】
前記パッシベーション層の一部が、前記磁気トンネル接合(MTJ)ピラー構造の上部を覆う、請求項に記載の磁気トンネル接合(MTJ)素子構造。
【請求項4】
前記磁気トンネル接合(MTJ)ピラー構造が、前記膜積層体を取り囲むスペーサ層を含む、請求項に記載の磁気トンネル接合(MTJ)素子構造。
【請求項5】
前記磁気トンネル接合(MTJ)ピラー構造内に形成された前記フリー層の幅が、前記膜積層体の幅より大きい、請求項に記載の磁気トンネル接合(MTJ)素子構造。
【請求項6】
前記スペーサ層が、窒化ケイ素層又は炭窒化ケイ素層である、請求項に記載の磁気トンネル接合(MTJ)素子構造。
【請求項7】
前記間隙の幅が、約10nmと約50nmとの間である、請求項1に記載の磁気トンネル接合(MTJ)素子構造。
【請求項8】
前記間隙はさらに、スペーサ層及び前記フリー層の上に配置された前記パッシベーション層を途切れさせる、請求項に記載の磁気トンネル接合(MTJ)素子構造。
【請求項9】
前記スペーサ層の一部が、前記磁気トンネル接合(MTJ)ピラー構造の上部を覆う、請求項に記載の磁気トンネル接合(MTJ)素子構造。
【請求項10】
磁気トンネル接合(MTJ:magnetic tunnel junction)素子構造を形成する方法であって、
参照層、トンネルバリア層、前記トンネルバリア層の下に配置されたフリー層、前記参照層上に配置された合成反強磁性フリー(SAF:synthetic antiferromagnetic free)層、及び前記合成反強磁性フリー(SAF)層上に配置されたハードマスク層を含む膜積層体をパターニングすることと、
前記フリー層が露出するまで、前記参照層及び前記トンネルバリア層をパターニングすることと、
パターニングされた前記参照層及びパターニングされた前記トンネルバリア層の側壁を覆うスペーサ層を形成することと、
前記スペーサ層上に当該スペーサ層を覆う誘電体層を形成することと、
前記誘電体層を覆うパッシベーション層を形成することと、
前記パッシベーション層の一部及び前記誘電体層を選択的にエッチングして、前記膜積層体を取り囲む間隙を形成することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記膜積層体内の前記フリー層まで前記間隙を延長するためにパターニングプロセスを実施することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フリー層上に配置された前記スペーサ層の一部まで前記間隙を延長するためにパターニングプロセスを実施することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記スペーサ層が、パターニングされた前記参照層及びパターニングされた前記トンネルバリア層を取り囲み、前記間隙との境目となる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記スペーサ層は、前記誘電体層とは異なる材料で作製される。請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電体層は、前記パッシベーション層とは異なる材料で作製される。請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記間隙が、パターニングされた前記参照層及びパターニングされた前記トンネルバリア層の下方の前記フリー層の一部を画定する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM:magnetoresistive random access memory)の用途で使用される構造を作製する方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、MRAMの用途のための磁気トンネル接合構造を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)は、MRAMセルのアレイを含む一種のメモリデバイスであり、電荷の代わりに自身の抵抗値を用いてデータを記憶する。概して、各MRAMセルは、磁気トンネル接合(MTJ:magnetic tunnel junction)構造を含む。MTJ構造は、論理状態「0」又は「1」を表すために調整可能な抵抗を有しうる。MTJ構造は典型的に、磁気層のスタックを含んでおり、この磁気層のスタックは、2つの強磁性層が、薄い非磁性の誘電体、例えば絶縁トンネル層によって分離された構成を有する。最上部の電極、及び底部の電極を利用して、MTJ構造を挟んでおり、従って、電流が、最上部の電極と底部の電極との間を流れることができる。
【0003】
一方の強磁性層、例えば参照層は、向きが固定された磁化を特徴としている。他方の強磁性層、例えば記憶層は、例えば磁場の印加等により、素子への書き込み後に向きが変化する磁化を特徴としている。ある素子では、誘電体酸化物層といった絶縁体材料が、強磁性層の間に挟まれた薄いトンネルバリア層として形成されうる。上記層は典型的に、上層のブランケット膜として連続的に堆積させられる。続いて、強磁性層及び絶縁体材料が、様々なエッチングプロセスによってパターニングされ、上記エッチングプロセスでは、1つ以上の層が部分的又は全体的に除去されて、デバイスのフィーチャ(特徴)が形成される。
【0004】
参照層と記憶層のそれぞれの磁化が、反平行であるときに、磁気トンネル接合の抵抗は高く、高い論理状態「1」に対応する抵抗値Rmaxを有する。その一方、それぞれの磁化が平行であるときには、磁気トンネル接合の抵抗は低く、すなわち、低い論理状態「0」に対応する抵抗値Rminを有する。MRAMセルの論理状態は、その抵抗値を基準抵抗値Rrefと比較することで読み取られ、基準抵抗値Rrefは、基準セル又は基準セルの一群から導出され、高い論理状態「1」の抵抗値と、低い論理状態「0」の抵抗値と、の間の中間抵抗値を表す。
【0005】
スピントルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT MRAM:Spin-transfer-torque magnetic random access memory)と、スピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM:spin-orbit-torque magnetic random access memory)とは、異なったチップ構造をしており、それぞれのチップ構造は、独自の電気的性能及びエネルギー効率を有する。スピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)は、MRAMの用途のために広く研究されてきた。しかしながら、スピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)を作動させるときには、外部又は内部で生成された磁場も必要となる。しかしながら、このような要件によって、製造プロセスが複雑になり、製造コストが増大することが多い。従って、比較的シンプルな構造をしたスピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)をどのように作製するかということが、低い製造コストと共に課題として残っている。
【0006】
したがって、当該技術分野では、MRAM用途のMTJ構造を作製するための改善された方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施形態は、MRAMの用途、特にスピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)の用途のために、基板上に磁気トンネル接合(MTJ)構造を作製するための方法及び装置を提供する。一実施形態において、磁気トンネル接合(MTJ)素子構造は、基板上に配置された磁気トンネル接合(MTJ)ピラー構造と、MTJピラー構造を取り囲む間隙と、を含む。
【0008】
他の実施形態において、磁気トンネル接合(MTJ)素子構造を形成する方法は、
参照層、トンネルバリア層、及びトンネルバリア層の下に配置されたフリー層を含む膜積層体をパターニングすることと、
フリー層が露出するまで、参照層及びトンネルバリア層をパターニングすることと、
パターニングされた参照層及びパターニングされたトンネルバリア層の側壁を覆うスペーサ層を形成することと、
スペーサ層上に当該スペーサ層を覆う誘電体層を形成することと、
誘電体層を覆うパッシベーション層を形成することと、
パッシベーション層の一部及び誘電体層を選択的にエッチングして、膜積層体を取り囲む間隙を形成すること
を含む。
【0009】
さらに別の実施形態において、磁気トンネル接合(MTJ)素子構造は、パターニングされた参照層と、パターニングされたフリー層上に配置されたトンネルバリア層とを取り囲むスペーサ層、及び、パターニングされたフリー層を取り囲む間隙を含む。
【0010】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態の一部が添付図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態を実施するための、一実施形態による処理チャンバを示す。
図2】本開示の一実施形態を実施するための、他の実施形態によるクラスタ処理システムを示す。
図3】本開示の一実施形態に係る、磁気トンネル接合(MTJ)構造をバックエンド相互接続構造と共に作製する方法を説明するフロー図を示す。
図4A図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図4B図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図4C図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図4D図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図4E図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図4F図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図4G図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図4H図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図4I図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図4J図3の方法の一段階における基板の断面図である。
図5本開示の一実施形態に係る、MRAMの用途のための基板上にMTJ構造を作製するためのプロセスを示すフロー図の他の例を示す
図6A図5の方法の一段階における基板の断面図である。
図6B図5の方法の一段階における基板の断面図である。
図6C図5の方法の一段階における基板の断面図である。
図6D図5の方法の一段階における基板の断面図である。
図6E図5の方法の一段階における基板の断面図である。
図6F図5の方法の一段階における基板の断面図である。
図7】一実施形態による磁気トンネル接合(MTJ)構造の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すために同一の参照番号を使用している。1つの実施形態で開示されている要素は、具体的な記述がなくとも、他の実施形態で有益に利用されうると想定される。
【0013】
しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を示しているにすぎず、したがって、本開示の範囲を限定すると見做すべきではないことに注意されたい。
【0014】
本開示の実施形態は、概して、MRAMの用途のための基板上に配置されたMTJ構造を形成するための装置及び方法を提供する。本開示の実施形態は、適切なMRAMの用途、特にスピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)の用途において利用されうる。一実施形態において、本明細書に記載のMTJ構造では、間隙(例えば、不連続なフリー層又は空隙)が、近傍の膜層に対してMTJ構造に近接して画定され、これにより、浮遊磁界が、隔離されたMTJピラー構造に供給されうる。こうすることによって、固有の磁場が、膜構造内に配置された不連続なフリー層によって生成されうる。したがって、外部での磁場の生成を無くすことができ、よって、製造コスト及び複雑さを低減することができる。
【0015】
図1は、基板上に配置された膜積層体をエッチングするためにパターニングプロセスを実施するのに適した処理チャンバ100の一例の断面図である。本明細書で開示される教示と共に利用するために適合されうる適切な処理チャンバには、例えば、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社(Applied Materials,Inc.)から入手可能なENABLER(登録商標)、C3(登録商標)、又はAdvantEdge Mesa(登録商標)処理チャンバが含まれる。処理チャンバ100は、優れたエッチング性能を可能とする複数の特徴を含んで示されるが、他の処理チャンバが、本明細書で開示される本発明の特徴の1つ以上から恩恵を受けるよう適合されうると考えられる。
【0016】
処理チャンバ100は、チャンバ本体102及びリッド104を含み、チャンバ本体102及びリッド104が、内部容積室106を包囲している。チャンバ本体102は、典型的に、アルミニウム、ステンレス鋼又は他の適切な材料から作製される。チャンバ本体102は通常、側壁108及び底部110を含む。基板支持ペデスタルアクセスポート(図示せず)が、通常、側壁108において画定され、スリット弁によって選択的にシールされて、処理チャンバ100からの基板103の出入れを容易にする。排気ポート126がチャンバ本体102において画定されており、内部容積室106をポンプシステム128に接続する。ポンプシステム128は通常、処理チャンバ100の内部容積室106を真空にし、かつ処理チャンバ100の内部容積室106の圧力を調整するために利用される1つ以上のポンプ及びスロットルバルブを含む。一実施形態において、ポンプシステム128は、内部容積室106の内部の圧力を、典型的に約10mTorrと約500Torrとの間の動作圧力に維持する。
【0017】
リッド104は、チャンバ本体102の側壁108上に密に支持される。リッド104を開けて、処理チャンバ100の内部容積106より容積を大きくすることができる。リッド104は、光学プロセスの監視を容易にする窓142を含む。一実施形態において、窓142は、処理チャンバ100の外部に取り付けられた光学モニタシステム140によって利用される信号を透過させる石英又は他の適切な材料で構成される。
【0018】
光学モニタシステム140は、チャンバ本体102内部容積室106、及び/又は基板支持ペデスタルアセンブリ148上に配置された基板103の少なくとも1つを、窓142を介して見るよう配置されている。一実施形態において、光学モニタシステム140は、リッド104に接続されており、光学的計測法を利用する統合された堆積プロセスを円滑化し、飛び込んでくる基板パターンフィーチャの不統一(例えば、厚さ等)を補正するためのプロセス調整を可能とする情報を提供し、必要に応じて、プロセス状態の監視(例えば、プラズマ監視、及び温度監視等)を提供する。本開示から利益を得るよう適合されうる1つの光学モニタシステムは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社(Applied Materials,Inc.)から入手可能なEyeD(登録商標)フルスペクトル干渉計測モジュールである。
【0019】
ガスパネル158が、内部容積室106に処理ガス及び/又は洗浄ガスを供給するために、処理チャンバ100に接続されている。図1に示す例では、入口ポート132’、132’’がリッド104に設けられており、ガスパネル158から、処理チャンバ100の内部容積室106へとガスが伝達されることを可能とする。一実施形態において、ガスパネル158は、入口ポート132’、132’’を介して処理チャンバ100の内部容積室106の中へとフッ素化された処理ガスを供給するよう適合される。一実施形態において、ガスパネル158から供給される処理ガスは、少なくとも、フッ素化ガス、塩素、及び炭素含有ガス、酸素ガス、窒素含有ガス、及び塩素含有ガスを含む。フッ素化ガス及び炭素含有ガスの例には、CHF、CH、及びCFが含まれる。他のフッ素化ガスが、CF、C、C、及びCのうちの1つ以上を含みうる。酸素含有ガスの例には、O、CO、CO、NO、NO、O、HO等が含まれる。窒素含有ガスの例には、N、NH、NO、NO等が含まれる。塩素含有ガスの例には、HCl、Cl、CCl、CHCl、CHCl、CHCl等が含まれる。炭素含有ガスの好適な例には、メタン(CH)、エタン(C)、エチレン(C)等が含まれる。
【0020】
シャワーヘッドアセンブリ130が、リッド104の内側表面114に結合されている。シャワーヘッドアセンブリ130は複数の開孔を含み、この複数の開孔によって、ガスが、シャワーヘッドアセンブリ130を介して、入口ポート132’、132’’から処理チャンバ100の内部容積室106の中に流れ、処理チャンバ100内で処理されている基板103の表面全体に、所定のように分散されることが可能となる。
【0021】
遠隔プラズマ源177が、任意選択的にガスパネル158に接続され、遠隔プラズマ源からの混合ガスを、処理のために内部容積室106に進入する前に解離させることが促進されうる。RF電源143が、整合ネットワーク141を介してシャワーヘッドアセンブリ130に接続されている。RF電源143は、典型的に、約50kHzから約200MHzまでの範囲の調整可能な周波数で、最大約3000W生成することができる。
【0022】
シャワーヘッドアセンブリ130は、加えて、光学的計測信号を透過させる領域を含む。光学的に透過性の領域又は通路138は、光学モニタシステム140が、内部容積室106、及び/又は基板支持ペデスタルアセンブリ148上に配置された基板103を見ることを可能にするために適している。通路138は、シャワーヘッドアセンブリ130内に形成若しくは配置された材料、又は1つ若しくは複数の開口とすることができ、光学モニタシステム140によって生成され、かつ反射されて戻ってきたエネルギーの波長に対して実質的に透過性である。一実施形態において、通路138は窓142を含み、通路138を介したガス漏れを防止する。窓142は、サファイアプレート、石英プレート、又は他の適切な材料でありうる。代替的に、窓142は、リッド104内に配置されうる。
【0023】
一実施形態において、シャワーヘッドアセンブリ130は、処理チャンバ100の内部容積室106に流入するガスを別々に制御することを可能とする複数のゾーンを備えて構成される。図1に示した例において、シャワーヘッドアセンブリ130は、内部ゾーン134及び外部ゾーン136として、別々の入口ポート132’、132’’を介してガスパネル158に別々に接続されている。
【0024】
基板支持ペデスタルアセンブリ148は、ガス分配(シャワーヘッド)アセンブリ130の下方の処理チャンバ100の内部容積室106内に配置されている。基板支持ペデスタルアセンブリ148は、処理中に基板103を保持する。基板支持ペデスタルアセンブリ148は、通常、基板支持ペデスタルアセンブリ148を貫通して配置される複数のリフトピン(図示せず)を含み、この複数のリフトピンは、基板103を基板支持ペデスタルアセンブリ148から上昇させ、従来のやり方でのロボット(図示せず)による基板103の交換を促進するよう構成されている。内側ライナ118が、基板支持ペデスタルアセンブリ148の外周を密に囲みうる。
【0025】
一実施形態において、基板支持ペデスタルアセンブリ148は、取付板162と、基部164と、静電チャック166と、を含む。取付板162は、チャンバ本体102の底部110に結合されており、ユーティリティ、例えば、とりわけ、流体、電力線、及びセンサリード等を、基部164及び静電チャック166までルーティングするための通路を含む。静電チャック166は、基板103をシャワーヘッドアセンブリ130の下で保持するために少なくとも1つのクランプ電極180を備える。静電チャック166は、従来知られるように、チャック電源182によって駆動され、基板103をチャック面に保持する静電力を発生させる。代替的に、基板103は、クランプ、真空又は重力によって基板支持ペデスタルアセンブリ148に保持されうる。
【0026】
基部164と静電チャック166の少なくとも一方が、基板支持ペデスタルアセンブリ148の横方向温度プロファイルを制御するために、少なくとも1つのオプションの埋設ヒータ176、少なくとも1つのオプションの埋設アイソレータ174、及び、複数の導管168、170を含みうる。導管168、170は、当該導管を通して温度調節流体を循環させる流体源172に流体接続している。ヒータ176は、電源178によって調節される。導管168、170及びヒータ176は、基部164の温度を制御し、これにより静電チャック166を加熱及び/又は冷却し、最終的には、そこに載置される基板103の温度プロファイルを制御するために利用される。静電チャック166及び基部164の温度は、複数の温度センサ190、192を使用して監視されうる。静電チャック166は、当該静電チャック166の基板支持ペデスタル支持面に形成された、溝といった複数のガス通路(図示せず)であって、Heといった熱伝達(又は裏面)ガス源に流体接続された上記複数のガス通路をさらに含みうる。稼働時に、背面ガスは、制御された圧力でガス通路内に供給され、静電チャック166と基板103との間の熱伝達を強化する。
【0027】
一実施形態において、基板支持ペデスタルアセンブリ148は、カソードとして構成されており、複数のRFバイアス電源184、186に接続された電極180を含む。RFバイアス電源184、186は、基板支持ペデスタルアセンブリ148内に配置された電極180と、他の電極、例えば、シャワーヘッドアセンブリ130又はチャンバ本体102の天井(リッド104)等と、の間に接続されている。RFバイアス電力が、チャンバ本体102の処理領域内に配置されたガスを励起して、当該ガスから形成されたプラズマ放電を維持する。
【0028】
図1に示す実施例では、デュアルRFバイアス電源184,186が、整合回路188を介して、基板支持ペデスタルアセンブリ148内に配置された電極180に接続されている。RFバイアス電源184、186によって生成された信号が、単一の供給線を通じて、整合回路188を介して基板支持ペデスタルアセンブリ148に届けられ、プラズマ処理チャンバ100内で、供給された混合ガスがイオン化され、これにより、堆積又は他のプラズマ強化プロセスを実施するために必要なイオンエネルギーが供給される。RFバイアス電源184、186は一般に、約50kHzと約200MHzの間の周波数と、約0ワットと約5000ワットの間の電力と、を有するRF信号を生成することができる。追加のバイアス電源189が、プラズマの特性を制御するために電極180に接続されうる。
【0029】
一動作モードにおいて、基板103は、プラズマ処理チャンバ100内の基板ペデスタルアセンブリ148上に配置される。処理ガス及び/又は混合ガスが、ガスパネル158からシャワーヘッドアセンブリ130を介してチャンバ本体102に導入される。真空ポンプシステム128が、チャンバ本体102の内側の圧力を維持しながら、堆積副産物を除去する
【0030】
コントローラ150が、処理チャンバ100の動作を制御するために処理チャンバ100に接続されている。コントローラ150は、中央処理装置(CPU:central processing unit)152と、メモリ154と、プロセスシーケンスを制御し、ガスパネル158からのガス流を調節するために利用されるサポート回路156と、を含む。CPU152は、工業環境で使用されうる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサでありうる。ソフトウェアルーチンが、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又は他の形態のデジタルストレージといったメモリ154に格納されうる。サポート回路156は、従来CPU152に接続されており、キャッシュ、クロック回路、入出力システム、電源等を含みうる。コントローラ150と処理チャンバ100の様々な構成要素との間の双方向通信は、数多くの信号ケーブルを介して処理される。
【0031】
図2は、例示的なクラスタ処理システム200の概略的な上面図であり、クラスタ処理システム200には、1つ以上の処理チャンバ211、221、232、228、220が組み込まれ、一体化されている。一実施形態において、クラスタ処理システム200は、カリフォルニア州サンタクララにあるアプライドマテリアルズ社(Applied Materials,Inc.)から入手可能なCentura(登録商標)又はEndura(登録商標)統合処理システムでありうる。他の処理システム(他の製造業者のものを含む)が、本開示から利益を得るよう適合されうると考えられる。
【0032】
クラスタ処理システム200は、真空気密処理プラットフォーム204と、ファクトリインタフェース202と、システムコントローラ244と、を含む。プラットフォーム204は、複数の処理チャンバ211、221、232、228、220と、真空基板移送チャンバ236に結合された少なくとも1つのロードロックチャンバ222と、を含む。2つのロードロックチャンバ222が、図2では示されている。ファクトリインタフェース202が、ロードロックチャンバ222によって移送チャンバ236に接続される。
【0033】
一実施形態において、ファクトリインタフェース202が、少なくとも1つのドッキングステーション208と、基板の移送を促進する少なくとも1つのファクトリインタフェースロボット214と、を含む。ドッキングステーション208は、1つ以上の前方開口型統一ポッド(FOUP:front opening unified pod)を収容するよう構成されている。2つのFOUP206A~206Bが、図2の実施形態では示されている。ファクトリインタフェースロボット214は、当該ロボット214の一端に配置されたブレード216を有しており、ロードロックチャンバ222を介した処理のために、ファクトリインタフェース202から処理プラットフォーム204へと基板を移送するよう構成されている。任意選択的に、1つ以上の計測ステーション218を、ファクトリインタフェース202の末端226に接続して、FOUP206A~206Bからの基板の測定を円滑にすることができる。
【0034】
ロードロックチャンバ222のそれぞれは、ファクトリインタフェース202に接続された第1のポートと、移送チャンバ236に接続された第2のポートと、を有する。ロードロックチャンバ222は、圧力制御システム(図示せず)に接続されており、この圧力制御システムは、ロードロックチャンバ222をポンプダウンしてベントし、移送チャンバ236の真空環境と、ファクトリインタフェース202の実質的な周囲(例えば、大気)環境と、の間の基板の通過を促進する。
【0035】
移送チャンバ236の中には、真空ロボット230が配置されている。真空ロボット230は、ロードロックチャンバ222と、計測ステーション218と、処理チャンバ211、221、232、228、220との間で基板224を移送することが可能なブレード234を有する。
【0036】
クラスタ処理システム200の一実施形態において、クラスタ処理システム200は、1つ以上の処理チャンバ211、221、232、228、220を含むことができ、当該1つ以上の処理チャンバは、堆積チャンバ(例えば、物理気相堆積チャンバ、化学気相堆積、若しくは他の堆積チャンバ)、アニーリングチャンバ(例えば、高圧アニーリングチャンバ、RTPチャンバ、レーザアニールチャンバ)、エッチングチャンバ、洗浄チャンバ、硬化チャンバ、リソグラフィ露光チャンバ、又は、他の同様のタイプの半導体処理チャンバでありうる。クラスタ処理システム200の幾つかの実施形態において、クラスタ処理システム200は、1つ以上の処理チャンバ211、221、232、228、220、移送チャンバ236、ファクトリインタフェース202、及び/又は、少なくとも1つのドロックチャンバ222を含むことができる
【0037】
システムコントローラ244が、クラスタ処理システム200に接続されている。計算装置201を含んでよく又は計算装置201に含まれてよいシステムコントローラ244が、クラスタ処理システム200の処理チャンバ221、232、228、100の直接的な制御を利用して、クラスタ処理システム200の動作を制御する。代替的に、システムコントローラ244は、処理チャンバ211、221、232、228、220及びクラスタ処理システム200と関連付けられたコンピュータ(又はコントローラ)を制御してよい。動作時に、システムコントローラ244はまた、それぞれのチャンバからのデータ収集及びフィードバックを可能にし、クラスタ処理システム200の性能を最適化する。
【0038】
上述の計算装置201と同様に、システムコントローラ244は通常、中央処理ユニット(CPU)238と、メモリ240と、サポート回路242と、を含む。CPU238は、工業環境で利用することが可能な任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つでありうる。サポート回路242は、従来ではCPU238に接続されており、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源等を含みうる。ソフトウェアルーチンによって、CPU238が、特定目的のコンピュータ(コントローラ)244に変換される。ソフトウェアルーチンはまた、クラスタ処理システム200から離れて配置された第2のコントローラ(図示されず)によって格納及び/又は実行されてよい。
【0039】
図3は、本開示の一実施形態に係る、MRAMの用途のために基板上にMTJ構造を作製するためのプロセス300を説明するフロー図を示している。MTJ構造を作製するためのプロセス300は、スピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)、スピントルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT MRAM)、及び/又は、ハイブリッド(又は集積)スピン軌道トルク磁気スピントルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT-STT MRAM)の用途、特に、スピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)で利用できることに注意されたい。図4A図4Jは、図3のプロセスの様々な段階で基板402上に形成されるMTJ構造の概略的な断面図である。プロセス300は、図1で示したプラズマ処理チャンバ100といった適切な処理チャンバ内、又は、堆積チャンバ、パターニングチャンバ、若しくは図2で示したクラスタ処理システム200に組み込まれた他の適切な処理チャンバを含む他の適切な処理チャンバ内で実施されうると考えられる。プロセス300が、他の製造業者のものを含む適切な処理チャンバ内で実施されうることにも注意されたい。
【0040】
プロセス300は、工程302において、図4Aに示すように、絶縁構造405内に形成された、404a、404bとして示される相互接続構造を有する基板402といった基板を供給することによって開始される。相互接続構造404a、404b及び絶縁構造405は、図2に示したクラスタ処理システム200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で形成されうる。一実施形態において、相互接続構造404a、404b及び絶縁構造405は、金属又はガラス、ケイ素、誘電体バルク材料及び金属合金又はガラス複合材を含むベース(図示せず)にさらに形成することができ、このベースは例えば、結晶シリコン(例えば、Si<100>又はSi<111>)、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、ドープされた又はドープされていないシリコンウエハ、並びに、パターニングされた又はパターニングされていないウエハシリコンオンインシュレータ(SOI:silicon on insulator)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、又はサファイアである。ベースは、200mm、300mm、450mm、又は他の直径といった様々な寸法を有してよく、また、矩形又は方形のパネルであってよい。特に断らない限り、本明細書に記載の実施例は、直径200mm、直径300mm、又は直径450mmのベース基板を有する基板上で実行される。
【0041】
絶縁構造405は誘電材料を含んでよく、例えば、SiN、SiCN、SiO、SiON、SiC、アモルファスカーボン、SiOC又は他の適切な低誘電率材料等を含んでよい。相互接続構造404a、404bは、金属含有材料を含み、例えば、アルミニウム、タングステン、銅、ニッケル、タンタル、チタン等を含む。一例において、絶縁構造405が、SiOCといった低誘電率誘電材料を含み、相互接続構造404a、404bが銅を含む。
【0042】
工程304では、図4Bに示すように、膜積層体450が基板402上に配置される。膜積層体450は、図2に示すクラスタ処理システム200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で形成されうる。膜積層体450は、スピン軌道トルク(SOT:spin-orbit-torque)層406と、フリー層408と、トンネルバリア層410を間に挟んで参照層412と、をさらに含み、これらの層は、基板402上に順次形成される。次いて、合成反強磁性フリー(SAF)層414が、参照層412上に形成され、その後にハードマスク層416が形成される。図4B図4Jで説明する膜積層体450は、6つの層のみを含んでいるが、必要に応じて、追加の又は複数の膜層が膜積層体450内にさらに形成されうることに注意されたい。トンネルバリア層410は、トンネル接合磁気抵抗(TMR:tunnel junction magnetoresistive)センサの場合は酸化物バリア層であってよく、又は、巨大磁気抵抗(GMR:giant magnetoresistive)センサの場合は導電層であってよい。膜積層体450がTMRセンサを形成するよう構成されたときには、トンネルバリア層410は、MgO、HfO、TiO、TaO、Al、又は他の適切な材料を含みうる。図4B図4Jに示す実施形態では、トンネルバリア層410は、厚さが約1~約25オングストローム、例えば約10オングストロームのMgOを含みうる。
【0043】
フリー層408及び参照層412は、金属含有材料又は磁性材料であってよく、例えば、Mo、Ir、Ru、Ta、MgO、Hf、Fe、CoFe、CoFeB等であってよい。フリー層408及び参照層412は、必要に応じて、同じ又は異なる材料で作製できることに注意されたい。SOT層406、合成反強磁性フリー(SAF)層414、及びハードマスク層416は、CoFeB、MgO、Ta、W、Pt、CuBi、Mo、Ru、Ir、これらの合金、又はこれらの組合せから作製される。ハードマスク層416が、膜積層体450内に配置されており、後に、後続のパターニング及び/又はエッチングプロセスの間、エッチングマスク層として利用される。
【0044】
工程304では、最初に、第1のパターニングプロセス、例えばエッチングプロセスを行って、ハードマスク層416をパターニングし、次いで、第2のパターニングプロセスを行って、ハードマスク層416へのパターニングによって露出した膜積層体450を、フリー層408の表面が露出するまでパターニング(例えば、エッチング)して、図4Cに示すような磁気トンネル接合(MTJ)構造455の一部を形成する。第1及び第2のパターニングプロセスは、図2に示したクラスタ処理システム200に組み込まれた、図1で示した処理チャンバ100内で実施することができ、又は、クラスタ処理システム200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で実施することができる。パターニングされたハードマスク層416が膜積層体450上に残存しており、工程304で実施されたパターニングプロセスの後で、磁気トンネル接合(MTJ)構造455の一部を形成することが意図されることに注意されたい。膜積層体450をパターニングするための第1及び第2のパターニングプロセスは、様々な混合ガス又はエッチャントを供給して、各層に含まれる材料に従って様々な層をエッチングするよう構成された幾つかのステップ又は様々なレシピを含みうる。
【0045】
パターニング中に、エッチング混合ガス、又は様々なエッチング種を含む幾つかの混合ガスが、基板表面に連続的に供給されて、フリー層408まで膜積層体450の部分を除去する。
【0046】
工程304におけるパターニングプロセスの終点は、時間又は他の適切な方法によって制御されうる。例えば、パターニングプロセスは、図4Cに示すようにフリー層408が露出するまで約200秒~約10分間実施された後に終了しうる。パターニングプロセスは、必要に応じて、OES検出器、又は他の好適な検出器といった終点検出器からの判定によって終了しうる。
【0047】
膜積層体450をパターニングした後に形成されたような、部分的に形成された磁気トンネル接合(MTJ)構造455のプロファイルは、垂直な側壁を有するが、磁気トンネル接合(MTJ)構造455が、必要に応じて他のプロファイルを有し、例えば、テーパ状プロファイル、又は所望の傾斜が付いた任意の適切な側壁プロファイルを有しうることに注意されたい。
【0048】
工程306では、堆積プロセスが行われ、図4Dに示すように、部分的に形成された磁気トンネル接合(MTJ)構造455を覆うスペーサ層418が形成される。スペーサ層418は、図2に示すクラスタ処理システム200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で形成されうる。スペーサ層418は、誘電体層であってよく、例えば、SiN、SiOC、SiON、SiOC、SiO、SiC、アモルファスカーボン、又は必要に応じて、他の適切な絶縁材料であってよい。一例において、スペーサ層418は、窒化ケイ素又は炭窒化ケイ素層である。
【0049】
スペーサ層418は、磁気トンネル接合(MTJ)構造455及び露出したフリー層408を覆いながら、基板402上にコンフォーマル(共形)に形成される。スペーサ層418は厚さが、約3nmと約30nmとの間である。
【0050】
工程308では、パターニングプロセスが、図4Eに示すように、スペーサ層418をパターニングするために実施される。スペーサ層418は、ハードマスク層416の上面及びフリー層408の上面からスペーサ層418が除去するように、パターニングされる。したがって、工程308でのパターニングプロセスの後で、スペーサ層418が、磁気トンネル接合(MTJ)構造455の側壁上に選択的に形成される。スペーサ層418は、磁気トンネル接合(MTJ)構造455の作製プロセスが完了しているときには、後に側壁保護構造として形成されうる。
【0051】
工程310では、次いで、図4Fに示すように、誘電体層420が、スペーサ層418上、並びに、ハードマスク層416及びフリー層408の露出表面上にコンフォーマルに形成される。誘電体層420は、酸化ケイ素層とすることができ、この酸化ケイ素層は、次のパターニングプロセスの間、磁気トンネル接合(MTJ)構造455の側壁に対して強化された保護を提供するために利用されうる。一例において、誘電体層420は、絶縁材料であってよく、例えば、SiN、SiOC、SiON、SiOC、SiO、SiCアモルファスカーボン、又は必要に応じて、他の適切な絶縁材料であってよい。一例において、誘電体層420は、スペーサ層418とは異なる材料で作製される。一例において、誘電体層420は酸化ケイ素層であり、スペーサ層418は窒化ケイ素層である。
【0052】
工程312では、パターニングプロセスが、図4Gに示すように、磁気トンネル接合(MTJ)構造455から誘電体層420の一部を除去するために実行される。パターニングプロセスは、フリー層408の上面及びハードマスク層416の上面が露出するまで、連続的に実施される。パターニングプロセスによって、誘電体層420が選択的にエッチングされ、誘電体層420は、主に磁気トンネル接合(MTJ)構造455の側壁上に残され、スペーサ層418が形成されている位置を主に覆っている。そうすることによって、誘電体層420は、スペーサ層418に対して強化された保護を提供するとともに、フリー層408との接触表面領域435を生成することができる。このような接触表面領域435が後に、磁気トンネル接合(MTJ)構造455が基板402上に完全に形成されたときには、間隙(例えば、空隙)を画定することになる。
【0053】
次いで、工程314において、図4Hに示すように、パッシベーション層422が基板402上に形成される。パッシベーション層422は、上部422bと、側壁部422aと、底部422cと、を有しうる。上部422bは、ハードマスク層16の上面上に形成されている。図4Hに示すように、側壁部422aは、誘電体層420に対するライニングとなって形成され、底部422cは、フリー層408の上面上に形成される。パッシベーション層422は、基板402上に非コンフォーマルに形成され、パッシベーション層422の上部422b上及び底部422cでの厚さは、側壁部422aの厚さと比べて比較的大きい。パッシベーション層422の様々な位置での厚さの変動によって、後続のエッチング又はパターニングプロセスの間に、基板402の様々な位置に対して様々な度合いの保護を提供することが可能である。したがって、パッシベーション層422を非コンフォーマルに形成することによって、パッシベーション層422の側壁部422aを、比較的薄い厚さで意図的に形成し、これにより、パッシベーション層422の上部422b及び底部422cを過度に痛めることなく、主に誘電体層420を選択的に除去することができる。
【0054】
一例において、パッシベーション層422はまた、誘電体層420とは異なる絶縁材料で作製される。パッシベーション層422及び誘電体層420を形成するために利用される様々な材料によって、後続のパターニングプロセス中のエッチング選択度が支援されうる。一例において、パッシベーション層422は絶縁材料であってよく、例えば、SiN、SiOC、SiON、SiOC、SiO、SiCアモルファスカーボン、又は必要に応じて、他の適切な絶縁材料であってよい。1つの特定の例において、パッシベーション層422は、窒化ケイ素(SiN)層であり、誘電体層420は、酸化ケイ素(SiO)層である。
【0055】
工程316では、図4Iに示すように、横方向エッチングプロセスが実施され、パッシベーション層422の側壁部422a、及び、磁気トンネル接合(MTJ)構造455の側壁に対するライニングとなる誘電体層420が主にエッチングされる。横方向エッチングプロセスによって、主に、パッシベーション層422の側壁部422a、及び誘電体層420除去され、ハードマスク層416上のパッシベーション層422の上部422b、及びフリー層上のパッシベーション層422の底部422cは残される。パッシベーション層422の残存する部分(例えば、上部422b及び底部422c)は、後に、磁気トンネル接合(MTJ)構造455の形成を完了するための次のパターニングプロセスにおいて、エッチングマスク層として利用することができる。パッシベーション層422の上部422b及び底部422cが、基板402上に残されており、後続のパターニングプロセスでフィーチャをフリー層408内に転写するのを支援するため、追加のリソグラフィプロセスを無くし、よって、リソグラフィプロセスからのミスアライメントの可能性を低減することができる。
【0056】
工程316におけるパターニングプロセスによって、図4Iに示すように、パッシベーション層422の側壁部422a及び誘電体層420が除去され、パッシベーション層422の側壁部422a及び誘電体層420が位置決めに利用された位置に、間隙430(例えば、空隙)が形成される。誘電体層420が除去されると、次いで、誘電体層420がフリー層408に接触していた接触表面領域435が露出して、間隙430が形成される。間隙430の寸法は、誘電体層420の厚さと、パッシベーション層422の側壁部422aの厚さと、の組み合わせと実質的に同様である。一例において、間隙430の幅は、約10nmと約50nmとの間でありうる。間隙が、磁気トンネル接合(MTJ)構造455を取り囲む環状構造(例えば、リング)をしていることに注意されたい。
【0057】
工程318では、図4Jに示すように、パターニングプロセスがさらに実施され、パッシベーション層422の底部422cをパターニングすることで露出したフリー層408がエッチングされる。パターニングプロセスによって、フリー層408がエッチングされ、従って、パッシベーション層422の底部422cに形成された間隙が、フリー層408の中へと延長される。パターニングプロセスは、SOT層406の上面434が露出するまで連続的に実施される。したがって、工程318でのパターニングプロセス後に、磁気トンネル接合(MTJ)構造455が完成し、間隙430が、パッシベーション層422の底部422c及びフリー層408において形成されている。図4Jの最終的な構造を示す、図7に示される上面図において、間隙430は、磁気トンネル接合(MTJ)構造455を取り囲む環状構造として形成される。パッシベーション層422の上部422bが、磁気トンネル接合(MTJ)構造455上に残されており、パッシベーション層422の底部422cが、相互接続構造404a、404bの間の基板402上に残されている。間隙430によって、特に、パッシベーション層422及びフリー層408が途中で途切れ、これにより、不連続のフリー層408が、磁化されたときに磁気トンネル接合(MTJ)構造455に浮遊磁界を提供することができる。そうすることによって、追加のフリー層といった外部の磁場を生成する従来の構造、又は、異なる方向に(例えば、磁気トンネル接合(MTJ)構造455に対して直交して)磁場を生成する磁気層を無くすことができ、これにより、製造コスト、複雑さを低減すると共に、所望のデバイス性能を維持することができ又は向上させることすらできる。
【0058】
スペーサ層418が、磁気トンネル接合(MTJ)構造455の側壁、及びフリー層408に接しているため、磁気トンネル接合(MTJ)構造455内で画定されるフリー層408の幅465は、パターニングされたトンネルバリア層410、パターニングされた参照層412、パターニングされた合成反強磁性フリー(SAF)層414、及びハードマスク層416を含むパターニングされた磁気トンネル接合(MTJ)構造455の幅467よりも大きい。したがって、得られる磁気トンネル接合(MTJ)構造455は、底部不連続フリー層408を含み、この底部不連続フリー層408の幅465は、磁気トンネル接合(MTJ)構造455内で画定される他の層(例えば、トンネルバリア層410、参照層412、合成反強磁性フリー(SAF)層414、及びハードマスク層416)の幅467よりも大きい。
【0059】
図5は、本開示の一実施形態に係る、MRAMの用途のために基板上にMTJ構造を作製するためのプロセス500を説明するフロー図の他の例を示す。プロセス500は、図3の工程306の後に、図4Dの構造を用いて実行が続けられる。図6A図6Fは、図5のプロセスの様々な段階で基板402上に形成されるMTJ構造の概略的な断面図である。
【0060】
したがって、プロセス300は、図4Dの構造が設けられる図3の工程306の後で、工程308で続行され、図4E図4Jに示す構造が設けられる。これに対して、代替的に、図4Dの構造が設けられる図3の工程306の後で、図5のプロセス500が、図4DのMTJ構造の作製を続行するために実施されうる。
【0061】
プロセス500は、工程502において、図6Aに示すように、スペーサ層418を予めパターニングすることなく、スペーサ層418上に誘電体層602を形成することによって開始される。誘電体層602は、基板上に形成されたスペーサ層418のプロファイルに従って、基板402全体にコンフォーマルに形成される。同様に、先の誘電体層420と同じように、ここで形成される誘電体層602は、スペーサ層418とは異なる材料で作製される。一例において、スペーサ層418は、SiN層又は炭窒化ケイ素であり、誘電体層602は、SiO層である。
【0062】
誘電体層602は、上部602bと、側壁部602cと、底部602aとを含む。同様に、上部602bが、ハードマスク層416の上面及びスペーサ層418を覆う。側壁部602cが、MTJ構造455の側壁及びスペーサ層418を覆う。底部602aが、スペーサ層418及びフリー層408の表面の上に形成される。
【0063】
工程504では、図6Bに示すように、誘電体層602をパターニングするためにパターニングプロセスが実行され、磁気トンネル接合(MTJ)構造455から、誘電体層602の上部602b及び底部602aが除去される。パターニングプロセスは、スペーサ層418の上面604及び底部上面606が露出するまで、連続的に行われる。パターニングプロセスによって、誘電体層602が選択的にエッチングされて、主にスペーサ層418の側壁68上及び磁気トンネル接合(MTJ)構造455の側壁上に、誘電体層602の側壁部602cが残される。そうすることによって、誘電体層602の側壁部602cが、スペーサ層418の側壁608に対して強化された保護を提供するとともに、スペーサ層418の底部上面606に対する接触表面領域615を生成しうる。このような接触表面領域615が後に、磁気トンネル接合(MTJ)構造455が基板402上に完全に形成されたときに、間隙(例えば、空隙)を画定することになる。
【0064】
工程506において、図6Cに示すように、パッシベーション層610が基板402上に形成される。パッシベーション層610は、上部610aと、側壁部610cと、底部610bとを有しうる。上部610aが、スペーサ層418の上面604上に形成される。図6Cに示すように、側壁部610cが、誘電体層602の側壁部602cに対するライニングとなって形成され、底部610bが、スペーサ層418の底部上面606上に形成される。先に記載したパッシベーション層422と同様に、パッシベーション層610は、基板402上に非コンフォーマルに形成され、パッシベーション層610の上部610a及び底部610bでの厚さは、側壁部610cの厚さと比べて、比較的大きい。パッシベーション層610の様々な位置での厚さの変動によって、後続のエッチング又はパターニングプロセスの間に、基板402の様々な位置に対する様々な度合いの保護が提供されうる。したがって、パッシベーション層610を非コンフォーマルに形成することによって、パッシベーション層610の側壁部610cが、意図的に比較的薄い厚さで形成され、これにより、パッシベーション層610の上部610a及び底部610bを過度に傷つけることなく、誘電体層602の側壁部602cが選択的に除去されうる。
【0065】
同様に、パッシベーション層610はまた、誘電体層602とは異なる絶縁材料から作製される。一例において、パッシベーション層610は絶縁材料であってよく、例えば、SiN、SiOC、SiON、SiOC、SiO、SiCアモルファスカーボン、又は必要に応じて、他の適切な絶縁材料であってよい。1つの特定の例において、パッシベーション層610は、窒化ケイ素(SiN)層であり、誘電体層602は、酸化ケイ素(SiO)層である。
【0066】
工程508では、図6Dに示すように、主に、パシベーション層610の側壁部610cと、磁気トンネル接合(MTJ)構造455の側壁に対するライニングとなる誘電体層602の側壁部602cとに対して、横方向エッチングプロセスが実施される。横方向エッチングプロセスでは、パッシベーション層610の側壁部610c、及び誘電体層602の側壁部602cが主に除去され、スペーサ層418上のパッシベーション層610の上部610a及び底部610bが残される。パッシベーション層610の残されている部分(例えば、上部610a及び底部610b)は、後に、磁気トンネル接合(MTJ)構造455の形成を完了するための次のパターニングプロセスにおいて、エッチングマスク層として利用されうる。パッシベーション層610の上部610a及び底部610bが基板402上に残されて、後続のパターニングプロセスでスペーサ層418及びフリー層408へのフィーチャの転写を支援するため、追加的なリソグラフィプロセスを無くし、したがって、リソグラフィプロセスからのミスアライメントの可能性を低減することができる。
【0067】
工程508でのパターニングプロセスによって、図6Dに示すように、パッシベーション層610の側壁部610c、及び誘電体層602の側壁部602cが除去され、誘電体層602の側壁部602cが位置決めに使用された位置に、間隙60(例えば、空隙)が形成される。誘電体層602が除去されると、次いで、接触表面領域615(ここで、誘電体層602がスペーサ層418に接触していた)が露出し、間隙60が形成される。間隙60の寸法(例えば、幅)は、パッシベーション層610の側壁部610cの厚さと、誘電体層602の側壁部602cの厚さと、の組み合わせと実質的に同様である。一例において、間隙630の幅は、約10nmと約50nmとの間でありうる。間隙は、上述のように、図7で示した上面図と同様に、磁気トンネル接合(MTJ)構造455を取り囲む環状構造(例えば、リング)でありうることに注意されたい。
【0068】
工程510において、図6Eに示すように、パターニングプロセスが、パシベーション層610の底部610bをエッチングマスクとして用いて、スペーサ層418をエッチングするためにさらに行われ、したがって、間隙630がスペーサ層418内に存在するよう延長される。続いて、工程512において、図6Fに示すように、スペーサ層418がパターニングされたことで露出したフリー層408をエッチングするために、パターニングプロセスがさらに行われ、したがって、間隙630がフリー層408の中にあるよう延長される。パターニングプロセスによって、フリー層408がエッチングされ、したがって、空隙630がフリー層408の中へと延長される。SOT層406の上面628が露出するまで、パターニングプロセスが連続的に実施される。したがって、工程512におけるパターニングプロセスの後に磁気トンネル接合(MTJ)構造455が完成し、間隙630が、パッシベーション層610の底部610b、スペーサ層418、及びフリー層408において形成されている。間隙630によって、特に、パッシベーション層610、スペーサ層418、及びフリー層408が途中で途切れ、これにより、不連続のフリー層408が、磁化されると、磁気トンネル接合(MTJ)構造455に浮遊磁界を提供することができる。そうすることによって、追加のフリー層といった外部の磁場を生成する従来の構造、又は、異なる方向に(例えば、磁気トンネル接合(MTJ)構造455に対して直交して)磁場を生成する磁気層を無くすことができ、これにより、製造コスト、複雑さを低減すると共に、所望のデバイス性能を維持することができ又は向上させることすらできる。
【0069】
従って、MRAMのため、特にスピン軌道トルク(SOT)磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)の用途のために、MTJ素子構造を形成するプロセス及び装置が提供される。一実施形態において、MTJ構造を形成するための膜積層体がパターニングされる間に、間隙(例えば、空隙)が、MTJ構造の周囲に形成する。間隙(例えば、不連続フリー層)が、近傍の膜層に対してMTJ構造に近接して画定され、これにより、浮遊磁界が、隔離されたMTJピラー構造に提供されうる。そうすることによって、固有の磁場が、膜構造内に配置された不連続なフリー層によって生成されうる。したがって、外部での磁場の生成を無くすことができ、よって、製造コスト及び複雑さを低減することができる。さらに、間隙が、MTJピラー構造から、パターニングされた膜層を利用して形成されるため、パターニングプロセス中に追加の現像プロセスが必要とならず、これにより、リソグラフィプロセス中に生じたミスアライメントの可能性を低減又は排除することができる。
【0070】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されうる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7