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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】撮像素子、および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/40 20230101AFI20230801BHJP
   H04N 25/443 20230101ALI20230801BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20230801BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H04N25/40
H04N25/443
H04N25/76
H01L27/146 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022046546
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2020048758の分割
【原出願日】2013-03-15
(65)【公開番号】P2022088475
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】武石 雅人
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特許第7047857(JP,B2)
【文献】特開2000-013690(JP,A)
【文献】特開2013-025144(JP,A)
【文献】特開2006-270292(JP,A)
【文献】特開平06-217206(JP,A)
【文献】国際公開第2010/073520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
を電荷に変換する第1光電変換部と、
前記第1光電変換部の隣に配置され、光を電荷に変換する第2光電変換部と、
光を電荷に変換する第3光電変換部と、
前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく第1信号に信号処理を行う第1信号処理部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく第2信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく第3信号とに信号処理を行う第2信号処理部と
を備え、
前記第2光電変換部は、行方向と列方向とのうちいずれか一方の方向において前記第1光電変換部と前記第3光電変換部との間に配置され、
記第1光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間が終了する1タイミングと、前記第2光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間が終了する2タイミングとの間の期間は、前記第2タイミングと、前記第3光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間が終了する3タイミングとの間の期間よりも短い撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間の期間は、前記第1タイミングと前記第3タイミングとの間の期間よりも短い撮像素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像素子において、
前記第3光電変換部は、前記第2光電変換部の隣に配置される撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で変換された電荷を転送する第1転送部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷を転送する第2転送部と、
前記第3光電変換部で変換された電荷を転送する第3転送部と
を備え、
前記第1タイミングは、前記第1転送部により前記第1光電変換部で変換された電荷の転送が開始されるタイミングであり、
前記第2タイミングは、前記第2転送部により前記第2光電変換部で変換された電荷の転送が開始されるタイミングであり、
前記第3タイミングは、前記第3転送部により前記第3光電変換部で変換された電荷の転送が開始されるタイミングである撮像素子。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像素子において、
前記第1転送部を制御するための制御信号が出力される第1転送制御線と、
前記第2転送部を制御するための制御信号が出力される第2転送制御線と、
前記第3転送部を制御するための制御信号が出力される第3転送制御線と
を備える撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間が開始される第4タイミングと、前記第2光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間が開始される第5タイミングとの間の期間は、前記第5タイミングと、前記第3光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間が開始される第6タイミングとの間の期間よりも短い撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記第4タイミングと、前記第5タイミングとの間の期間は、前記第4タイミングと、前記第6タイミングとの間の期間よりも短い撮像素子。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部の電荷を排出する第1リセット部と、
前記第2光電変換部の電荷を排出する第2リセット部と、
前記第3光電変換部の電荷を排出する第3リセット部と
を備え、
前記第4タイミングは、前記第1リセット部により前記第1光電変換部の電荷の排出が開始されるタイミングであり、
前記第5タイミングは、前記第2リセット部により前記第2光電変換部の電荷の排出が開始されるタイミングであり、
前記第6タイミングは、前記第3リセット部により前記第3光電変換部の電荷の排出が開始されるタイミングである撮像素子。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像素子において、
前記第1リセット部を制御するための制御信号が出力される第1リセット制御線と、
前記第2リセット部を制御するための制御信号が出力される第2リセット制御線と、
前記第3リセット部を制御するための制御信号が出力される第3リセット制御線とを備える撮像素子。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1信号処理部は、前記第1信号をデジタル信号に変換する第1変換部を有し、
前記第2信号処理部は、前記第2信号と前記第3信号とをデジタル信号に変換する第2変換部を有する撮像素子。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部、前記第2光電変換部および前記第3光電変換部は、第1半導体基板に配置され、
前記第1信号処理部、および前記第2信号処理部は、前記第1半導体基板に接続される第2半導体基板に配置される撮像素子。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像素子において、
前記第1半導体基板は、前記第2半導体基板により積層される撮像素子。
【請求項13】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1信号処理部で信号処理が行われた前記第1信号を記憶する第1記憶部と、
前記第2信号処理部で信号処理が行われた前記第2信号を記憶する第2記憶部と、
前記第2信号処理部で信号処理が行われた前記第3信号を記憶する第3記憶部とを備える撮像素子。
【請求項14】
請求項13に記載の撮像素子において、
前記第1信号処理部は、前記第1信号をデジタル信号に変換する第1変換部を有し、
前記第2信号処理部は、前記第2信号と前記第3信号とをデジタル信号に変換する第2変換部を有し、
前記第1記憶部は、前記第1変換部でデジタル信号に変換された前記第1信号が記憶され、
前記第2記憶部は、前記第2変換部でデジタル信号に変換された前記第2信号が記憶され、
前記第3記憶部は、前記第2変換部でデジタル信号に変換された前記第3信号が記憶される撮像素子。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部、前記第2光電変換部および前記第3光電変換部は、第1半導体基板に配置され、
前記第1信号処理部、および前記第2信号処理部は、前記第1半導体基板に接続される第2半導体基板に配置され、
前記第1記憶部、前記第2記憶部および前記第3記憶部は、前記第2半導体基板に接続される第3半導体基板に配置される撮像素子。
【請求項16】
請求項15に記載の撮像素子において、
前記第1半導体基板は、前記第2半導体基板により積層される撮像素子。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の撮像素子において、
前記第1半導体基板は、前記第3半導体基板により積層される撮像素子。
【請求項18】
請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2半導体基板は、前記第3半導体基板により積層される撮像素子。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
裏面照射型撮像チップと信号処理チップとが積層された撮像素子(以下、積層型撮像素子という)を備えた電子機器が提案されている(特許文献1参照)。積層型撮像素子は、裏面照射型撮像チップと信号処理チップとが、所定の領域ごとにマイクロバンプを介して接続されるように積層されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-49361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の撮像素子において、上記領域に画像を分けて、該領域ごとに撮像画像を取得する提案は多くなく、撮像素子の使い勝手が十分とはいえなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による撮像素子は、光を電荷に変換する第1光電変換部と、前記第1光電変換部の隣に配置され、光を電荷に変換する第2光電変換部と、光を電荷に変換する第3光電変換部と、前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく第1信号に信号処理を行う第1信号処理部と、前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく第2信号と、前記第3光電変換部で変換された電荷に基づく第3信号とに信号処理を行う第2信号処理部とを備え、前記第2光電変換部は、行方向と列方向とのうちいずれか一方の方向において前記第1光電変換部と前記第3光電変換部との間に配置され、前記第1光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間が終了する1タイミングと、前記第2光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間が終了する2タイミングとの間の期間は、前記第2タイミングと、前記第3光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間が終了する3タイミングとの間の期間よりも短い。
また、本発明による撮像装置は、上記に記載の撮像素子を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、単位領域を仕切る境界部における画像の歪みを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】積層型撮像素子の断面図である。
図2】撮像チップの画素配列と単位領域を説明する図である。
図3】単位領域の回路を説明する図である。
図4】撮像素子の機能的構成を示すブロック図である。
図5】撮像素子の撮像面における単位領域の配列と、セルの配列を例示する図である。
図6図6(a)は、セル内の4つの単位領域に含まれる画素に対する読み出し制御を説明する図、図6(b)は、図6(a)の読み出し制御によって読み出される画素信号の読み出し順を表す図である。
図7】隣接する4つのセルについての画素信号の読み出し順を表す図である。
図8】一実施の形態による撮像装置の構成を例示するブロック図である。
図9】焦点検出用の画素列を例示する図である。
図10図10(a)は、変形例1におけるセル内の4つの単位領域に含まれる画素に対する読み出し制御を説明する図、図10(b)は、図10(a)の読み出し制御によって読み出される画素信号の読み出し順を表す図である。
図11】隣接する4つのセルについての変形例1による画素信号の読み出し順を表す図である。
図12図12(a)は、変形例5におけるセル内の4つの単位領域に含まれる画素に対する読み出し制御を説明する図、図12(b)は、図12(a)の読み出し制御によって読み出される画素信号の読み出し順を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
<積層型撮像素子の説明>
始めに、本発明の一実施の形態による電子機器(例えば撮像装置1)に搭載する積層型撮像素子100について説明する。なお、この積層型撮像素子100は、本願出願人が先に出願した特願2012-139026号に記載されているものである。図1は、積層型撮像素子100の断面図である。撮像素子100は、入射光に対応した画素信号を出力する裏面照射型撮像チップ113と、画素信号を処理する信号処理チップ111と、画素信号を記憶するメモリチップ112とを備える。これら撮像チップ113、信号処理チップ111およびメモリチップ112は積層されており、Cu等の導電性を有するバンプ109により互いに電気的に接続される。
【0009】
なお、図示するように、入射光は主に白抜き矢印で示すZ軸プラス方向へ向かって入射する。本実施形態においては、撮像チップ113において、入射光が入射する側の面を裏面と称する。また、座標軸に示すように、Z軸に直交する紙面左方向をX軸プラス方向、Z軸およびX軸に直交する紙面手前方向をY軸プラス方向とする。以降のいくつかの図においては、図1の座標軸を基準として、それぞれの図の向きがわかるように座標軸を表示する。
【0010】
撮像チップ113の一例は、裏面照射型のMOSイメージセンサである。PD層106は、配線層108の裏面側に配されている。PD層106は、二次元的に配され、入射光に応じた電荷を蓄積する複数のPD(フォトダイオード)104、および、PD104に対応して設けられたトランジスタ105を有する。
【0011】
PD層106における入射光の入射側にはパッシベーション膜103を介してカラーフィルタ102が設けられる。カラーフィルタ102は、互いに異なる波長領域を透過する複数の種類を有しており、PD104のそれぞれに対応して特定の配列を有している。カラーフィルタ102の配列については後述する。カラーフィルタ102、PD104およびトランジスタ105の組が、一つの画素を形成する。
【0012】
カラーフィルタ102における入射光の入射側には、それぞれの画素に対応して、マイクロレンズ101が設けられる。マイクロレンズ101は、対応するPD104へ向けて入射光を集光する。
【0013】
配線層108は、PD層106からの画素信号を信号処理チップ111に伝送する配線107を有する。配線107は多層であってもよく、また、受動素子および能動素子が設けられてもよい。
【0014】
配線層108の表面には複数のバンプ109が配される。当該複数のバンプ109が信号処理チップ111の対向する面に設けられた複数のバンプ109と位置合わせされて、撮像チップ113と信号処理チップ111とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。
【0015】
同様に、信号処理チップ111およびメモリチップ112の互いに対向する面には、複数のバンプ109が配される。これらのバンプ109が互いに位置合わせされて、信号処理チップ111とメモリチップ112とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。
【0016】
なお、バンプ109間の接合には、固相拡散によるCuバンプ接合に限らず、はんだ溶融によるマイクロバンプ結合を採用してもよい。また、バンプ109は、例えば後述する一つの単位領域に対して一つ程度設ければよい。したがって、バンプ109の大きさは、PD104のピッチよりも大きくてもよい。また、画素が配列された画素領域以外の周辺領域において、画素領域に対応するバンプ109よりも大きなバンプを併せて設けてもよい。
【0017】
信号処理チップ111は、表裏面にそれぞれ設けられた回路を互いに接続するTSV(シリコン貫通電極)110を有する。TSV110は、周辺領域に設けられることが好ましい。また、TSV110は、撮像チップ113の周辺領域、メモリチップ112にも設けられてよい。
【0018】
図2は、撮像チップ113の画素配列と単位領域131を説明する図である。特に、撮像チップ113を裏面側から観察した様子を示す。画素領域には例えば2000万個以上もの画素がマトリックス状に配列されている。本実施形態においては、例えば隣接する4画素×4画素の16画素が一つの単位領域131を形成する。図の格子線は、隣接する画素がグループ化されて単位領域131を形成する概念を示す。単位領域131を形成する画素の数は、これに限られず1000個程度、例えば32画素×64画素でもよいし、それ以上でもそれ以下でもよい。
【0019】
画素領域の部分拡大図に示すように、単位領域131は、緑色画素Gb、Gr、青色画素Bおよび赤色画素Rの4画素から成るいわゆるベイヤー配列を、上下左右に4つ内包する。緑色画素は、カラーフィルタ102として緑色フィルタを有する画素であり、入射光のうち緑色波長帯の光を受光する。同様に、青色画素は、カラーフィルタ102として青色フィルタを有する画素であって青色波長帯の光を受光し、赤色画素は、カラーフィルタ102として赤色フィルタを有する画素であって赤色波長帯の光を受光する。
【0020】
本実施形態において、1ブロックにつき単位領域131を少なくとも1つ含むように複数のブロックが定義され、各ブロックはそれぞれ異なる制御パラメータで各ブロックに含まれる画素を制御できる。つまり、あるブロックに含まれる画素群と、別のブロックに含まれる画素群とで、撮像条件が異なる撮像信号を取得できる。制御パラメータの例は、フレームレート、ゲイン、間引き率、画素信号を加算する加算行数または加算列数、電荷の蓄積時間または蓄積回数、デジタル化のビット数等である。さらに、制御パラメータは、画素からの画像信号取得後の画像処理におけるパラメータであってもよい。
【0021】
図3は、単位領域の回路を説明する図である。図3において、単位領域131は、隣接する3画素×3画素の9画素により形成される。なお、単位領域131に含まれる画素の数はこれに限られない。単位領域131の二次元的な位置を画素A等で示す。
【0022】
単位領域131に含まれる画素のリセットトランジスタは、画素ごとに個別にオンオフされる。図3に示す例において、画素Aのリセットトランジスタをオンオフするリセット配線300が設けられており、画素Bのリセットトランジスタをオンオフするリセット配線310が、上記リセット配線300とは別個に設けられている。同様に画素Cのリセットトランジスタをオンオフするリセット配線320が、上記リセット配線300、310とは別個に設けられている。他の画素Dから画素Iに対しても、それぞれのリセットトランジスタをオンオフする専用線路が配されている。
【0023】
単位領域131に含まれる画素の転送トランジスタも、画素ごとに個別にオンオフされる。図3に示す例において、画素Aの転送トランジスタをオンオフする転送配線302、画素Bの転送トランジスタをオンオフする転送配線312、画素Cの転送トランジスタをオンオフする転送配線322が、別個に設けられている。他の画素Dから画素Iに対しても、それぞれの転送トランジスタを選択する専用線路が配されている。
【0024】
単位領域131に含まれる画素の選択トランジスタも画素ごとに個別にオンオフされる。図3に示す例において、画素Aの選択トランジスタをオンオフする選択配線306、画素Bの選択トランジスタをオンオフする選択配線316、画素Cの選択トランジスタをオンオフする選択配線326が、別個に設けられている。他の画素Dから画素Iに対しても、それぞれの選択トランジスタを選択する専用線路が配されている。
【0025】
なお、電源配線304は、単位領域131に含まる各画素Aから画素Iで共通に接続されている。同様に、出力配線308は、単位領域131に含まる各画素Aから画素Iで共通に接続されている。さらに、電源配線304は複数の単位領域間で共通に接続されるが、出力配線308は単位領域ごとに設けられる。
【0026】
単位領域131のリセットトランジスタおよび転送トランジスタを個別にオンオフすることにより、単位領域131に含まれる各画素Aから画素Iに対して独立して、電荷の蓄積開始時間、蓄積終了時間、転送タイミングを含む電荷蓄積を制御することができる。また、単位領域131の選択トランジスタを個別にオンオフすることにより、各画素Aから画素Iの画素信号を共通の出力配線308を介して出力することができる。
【0027】
ここで単位領域131に含まれる各画素Aから画素Iについて、行および列に対して規則的な順序で電荷蓄積を制御する、いわゆるローリングシャッタ方式がある。ローリングシャッタ方式では行ごとに画素を選択してから列を指定するので、図3の例において「ABCDEFGHI」の順序で画素信号が出力される。
【0028】
このように単位領域131を基準として回路を構成することにより、単位領域131ごとに電荷蓄積時間を制御することができる。換言すると、単位領域131間で、異なったフレームレートによる画素信号をそれぞれ出力させることができる。更に言えば、一方の単位領域131に1回の電荷蓄積を行わせている間に、他方の単位領域131に何回もの電荷蓄積を繰り返させてその都度画素信号を出力させることにより、これらの単位領域131間で異なるフレームレートで動画用の各フレームを出力することもできる。
【0029】
図4は、撮像素子100の機能的構成を示すブロック図である。アナログのマルチプレクサ411は、単位領域131を形成する9個のPD104を順番に選択して、それぞれの画素信号を当該単位領域131に対応して設けられた出力配線308へ出力させる。マルチプレクサ411は、PD104と共に、撮像チップ113に形成される。
【0030】
マルチプレクサ411を介して出力された画素信号は、信号処理チップ111に形成された、相関二重サンプリング(CDS)・アナログ/デジタル(A/D)変換を行う信号処理回路412により、CDSおよびA/D変換が行われる。A/D変換された画素信号は、デマルチプレクサ413に引き渡され、それぞれの画素に対応する画素メモリ414に格納される。デマルチプレクサ413および画素メモリ414は、メモリチップ112に形成される。
【0031】
演算回路415は、画素メモリ414に格納された画素信号を処理して後段の画像処理部に引き渡す。演算回路415は、信号処理チップ111に設けられてもよいし、メモリチップ112に設けられてもよい。なお、図4では1つの単位領域131の分の接続を示すが、実際にはこれらが単位領域131ごとに存在して、並列で動作する。ただし、演算回路415は単位領域131ごとに存在しなくても良く、例えば、一つの演算回路415がそれぞれの単位領域131に対応する画素メモリ414の値を順に参照しながらシーケンシャルに処理してもよい。
【0032】
上記の通り、単位領域131のそれぞれに対応して出力配線308が設けられている。撮像素子100は撮像チップ113、信号処理チップ111およびメモリチップ112を積層しているので、これら出力配線308にバンプ109を用いたチップ間の電気的接続を用いることにより、各チップを面方向に大きくすることなく配線を引き回すことができる。
【0033】
単位領域131に対する画素順次読み出し制御は、隣接する4つの単位領域131毎に独立に行う制御を協調して行う。ここでは便宜上を隣接する4つの単位領域131をセルCと名付ける。図5は、撮像素子100(撮像チップ113)の撮像面における単位領域131の配列と、セルCの配列を例示する図である。
【0034】
図6は、図5における1つのセルCを拡大した図であり、図6(a)は、セルC内の4つの単位領域131a~131dに含まれる画素に対する読み出し制御を説明する図である。図6(a)において、隣接する4つの単位領域131a~131dに、それぞれ16画素が含まれている。本実施形態では、各単位領域131a~131dの中で、4つの単位領域131a~131dを仕切る縦横の境界線の交点Pに最も近い位置の画素を読み出し開始画素(図6(a)において斜線で示す)とする。そして、水平方向において点Pから離れる向き、および垂直方向において点Pから離れる向きに画素順次に画素信号を読み出し、各単位領域131a~131dの中で、点Pから最も遠い位置の画素を読み出し終了画素とする。
【0035】
具体的には、単位領域131aの場合、右下に位置する読み出し開始画素から水平左方向に読み出しながら、垂直上方向へ走査し、左上に位置する読み出し終了画素まで画素順次に読み出すように、読み出し制御される。これにより、単位領域131aを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0036】
単位領域131bの場合、右上に位置する読み出し開始画素から水平左方向に読み出しながら、垂直下方向へ走査し、左下に位置する読み出し終了画素まで画素順次に読み出すように、読み出し制御される。これにより、単位領域131bを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0037】
単位領域131cの場合、左下に位置する読み出し開始画素から水平右方向に読み出しながら、垂直上方向へ走査し、右上に位置する読み出し終了画素まで画素順次に読み出すように、読み出し制御される。これにより、単位領域131cを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0038】
単位領域131dの場合、左上に位置する読み出し開始画素から水平右方向に読み出しながら、垂直下方向へ走査し、右下に位置する読み出し終了画素まで画素順次に読み出すように、読み出し制御される。これにより、単位領域131dを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0039】
セルCにおいて、上記4つの単位領域131a~131dのそれぞれにおける読み出し制御を並行して同タイミングで行うと、セルCに含まれる64画素(4×16画素)の画素信号が16回に分けて順番に読み出される。
【0040】
図6(b)は、図6(a)に例示した読み出し制御によって読み出される画素信号の読み出し順を表す図である。1番が読み出し開始画素に対応し、16番が読み出し終了画素に対応する。4つの単位領域131a~131dのそれぞれで並行して同タイミングで行うので、セルCにおいて同じ番号で示される4つの画素からは、それぞれ同タイミングで画素信号が読み出される。図6(b)によれば、4つの単位領域131a~131dを仕切る横の境界線を挟んで上下に隣接する画素からは、同じタイミングで画素信号が読み出される。また、4つの単位領域131a~131dを仕切る縦の境界線を挟んで左右に隣接する画素からも、同じタイミングで画素信号が読み出される。
【0041】
上述した隣接する4つの単位領域毎に独立に行う制御を協調して行う読み出し制御を、図5に例示した全てのセルCで並行して同タイミングで行うと、撮像チップ113に含まれる全ての画素の画素信号が、16回に分けて順番に読み出される。
【0042】
図7は、隣接する4つのセルCについて、上述した読み出し制御によって読み出される画素信号の読み出し順を表す図である。1番が読み出し開始画素に対応し、16番が読み出し終了画素に対応する。4つのセルCのそれぞれで並行して同タイミングで行うので、図7において同じ番号で示される16個の画素からは、それぞれ同じタイミングで画素信号が読み出される。
【0043】
図7によれば、隣接する4つのセルCを仕切る横の境界線を挟んで上下に隣接する画素からは、同じタイミングで画素信号が読み出される。また、隣接する4つのセルCを仕切る縦の境界線を挟んで左右に隣接する画素からも、同じタイミングで画素信号が読み出される。
【0044】
このように、本実施形態によれば、セルCを構成する4つの単位領域131a~131dを仕切る境界線を挟んで上下および左右にそれぞれ隣接する画素から、同じタイミングで取得された画素信号を得ることができる。さらに、隣接する4つのセルCを仕切る境界線を挟んで上下および左右に隣接する画素から、同じタイミングで取得された画素信号を得ることができる。
【0045】
画素順次読み出しを行う場合、上述したように、単位領域131を形成する16画素の画素間で電荷蓄積タイミングが少しずつずれる。このタイミングのずれは、撮像装置1で動いている被写体を撮影する場合には、画像の歪みとして現れる。
【0046】
このような画像の歪みは、単位領域131と単位領域131との間の境界においても生じるところ、本実施形態においては、セルCを構成する4つの単位領域131a~131dを仕切る境界線を挟んで隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングが同じになるように読み出し制御したので、セルC内の4つの単位領域131a~131dを仕切る境界部における画像の歪み(境界部の両側で画素信号が大きく異なることで生じる画像割れ)を防止し得る。
【0047】
さらに、上記のような画像の歪みは、隣接するセルCとセルCとの間の境界においても生じるところ、本実施形態においては、隣接する4つのセルCを仕切る境界線を挟んで隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングが同じになるように読み出し制御したので、隣接するセルCを仕切る境界部における画像の歪み(境界部の両側で画素信号が大きく異なることで生じる画像割れ)も防止し得る。
【0048】
<撮像装置の説明>
図8は、上述した撮像素子100を有する撮像装置1の構成を例示するブロック図である。図8において、撮像装置1は、撮像光学系10、撮像部20、画像処理部30、ワークメモリ40、表示部50、記録部60、および制御部70を有する。
【0049】
撮像光学系10は、複数のレンズから構成され、被写界からの光束を撮像部20へ導く。撮像光学系10は、撮像装置1と一体に構成されていても、撮像装置1に対して交換可能に構成されていてもよい。また、撮像光学系10には、フォーカスレンズを内蔵していても、ズームレンズを内蔵していてもよい。
【0050】
撮像部20は、上述した撮像素子100と、撮像素子100を駆動する駆動部21とを有する。撮像素子100は、駆動部21が出力する制御信号によって駆動制御されることにより、上述したように、隣接する4つの単位領域毎に独立に行う制御を協調して行う読み出し制御が可能である。駆動部21に対する読み出し制御の指示は、制御部70が行う。
【0051】
画像処理部30は、ワークメモリ40と協働して、撮像部20で撮像された画像データに対する画像処理を行う。本実施形態において、画像処理部30は、通常の画像処理(色信号処理、ガンマ補正など)に加えて、画像に含まれる主要被写体の検出処理も行う。画像処理部30による主要被写体の検出は、公知の顔検出機能を用いて行うことができる。また、顔検出に加えて、例えば特開2010-16621号公報(US2010/0002940号)に記載されているように、画像に含まれる人体を主要被写体として検出するようにしてもよい。
【0052】
ワークメモリ40は、JPEG圧縮前後やMPEG圧縮前後の画像データなどを一時的に記憶する。表示部50は、例えば液晶表示パネル51によって構成され、撮像部20で撮像された画像(静止画や動画)や各種情報を表示したり、操作入力用画面を表示したりする。表示部50は、液晶表示パネル51の表示面にタッチパネル52が積層された構成を有する。タッチパネル52は、液晶表示パネル51にユーザが触れた位置を示す信号を出力する。
【0053】
記録部60は、メモリカードなどの記憶媒体に、本撮像指示(不図示のレリーズボタンによるレリーズ操作)に応じて取得した画像データなどの各種データを記憶させる。制御部70はCPUを有し、撮像装置1による全体の動作を制御する。制御部70は、撮像素子100(撮像チップ113)の各単位領域131において所定のフレームレート、ゲインで画像を取得させ、かつ、上記隣接する4つの単位領域毎に独立に行う制御を協調して行う読み出し制御をするように、制御パラメータを駆動部21へ指示する。
【0054】
また、制御部70は、撮像素子100から読み出した画素信号に基づいて、自動露出演算およびホワイトバランス調整値の決定を、AE、AWB演算部72により行わせる。AE、AWB演算部72は、例えば画素信号の平均的なレベルを所定のレベルへ近づけるように、露出(露光時間、ゲイン等)を演算する。また、AE、AWB演算部72は、白い色を白く表現するために用いる調整値を決定する。
【0055】
制御部70はさらに、撮像素子100から読み出した画素信号に基づいて、撮像光学系10による焦点調節状態をAF(オートフォーカス)演算部71により算出させる。AF演算部71は、位相差検出方式によって焦点調節状態を検出する。このために撮像素子100(撮像チップ113)の撮像面の所定位置には、撮像用画素に代えて焦点検出用の画素が設けられている。図9は、焦点検出用の画素列91~95を例示する図である。
【0056】
AF演算部71は、例えばライブビュー画像取得時において、画素列91~95を構成する焦点検出用の画素からの出力信号を用いて位相差検出演算を行うことにより、撮像光学系10による焦点調節状態(具体的にはデフォーカス量)を検出する。ライブビュー画像は、本撮像(レリーズ操作に応じて行う撮像)が行われる前のプレビュー画像とも呼ばれ、撮像素子100によって所定のフレームレート(例えば30fps)で取得されるモニタ用の画像をいう。焦点検出用の画素および位相差検出演算は、例えば特開2009-94881号公報に記載されるように公知であるため、詳細な説明を省略する。制御部70は、AF演算部71で演算されたデフォーカス量に応じて撮像光学系10を構成するフォーカスレンズの位置を移動させることにより、主要被写体に対する焦点調節を行う。
【0057】
ここで、画素順次読み出し時に生じる画像歪みがAF演算(位相差検出演算)に及ぼす影響について説明する。上述したように、画素順次読み出しを行う際の画素間の電荷蓄積タイミングのずれは、動いている被写体を撮影する場合に画像の歪みとして現れる。図9に例示したように、複数のセルCの間を跨ぐように画素列91~95を設ける場合は、画素列91~95は、セルC内に含まれる単位領域131の間も跨ぐことになる。
【0058】
仮に、上述した単位領域131a~131dを仕切る境界線を挟んで隣接する焦点検出用の画素間で、画素信号の取得タイミングを同じにするような制御をしない場合を想定すると、上記境界線を挟んで位相差情報が大きく異なってしまうこととなり、焦点調節状態(具体的にはデフォーカス量)の検出精度の低下を招いてしまう。
【0059】
しかしながら、本実施形態においては、セルCを構成する4つの単位領域131a~131dを仕切る境界線を挟んで隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングが同じになるように読み出し制御したので、セルC内の4つの単位領域131a~131dを仕切る境界部における焦点調節状態(具体的にはデフォーカス量)の検出精度の低下を防止し得る。
【0060】
さらに、上記のように境界線を挟んで位相差情報が大きく異なる事象は、隣接するセルCとセルCとの間の境界においても生じ得るところ、本実施形態においては、隣接する4つのセルCを仕切る境界線を挟んで隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングが同じになるように読み出し制御したので、隣接するセルCを仕切る境界部における焦点調節状態(具体的にはデフォーカス量)の検出精度の低下も防止し得る。
【0061】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子100は、複数の画素を有し、順次選択される画素の画素信号を読み出し可能な単位領域131が複数配列された撮像チップ113と、相互に隣接する単位領域131ごとに、相互に隣接する単位領域131から略同時に、相互に隣接する単位領域131において当該隣接の境界線に対して対称な向きに画素を順次選択して、画素信号を出力する出力配線308と、を備えるようにした。これにより、単位領域131を仕切る境界線を挟んで隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングを同じにできるため、単位領域131を仕切る境界部における画像の歪み(境界部の両側で画素信号が大きく異なることで生じる画像割れ)を抑えて高品位の画像を得ることができる。
【0062】
(2)上記(1)の撮像素子100において、出力配線308は、垂直方向に隣接する2つの単位領域(131aと131b、131cと131d)ごとに、垂直方向に隣接する2つの単位領域(131aと131b、131cと131d)から略同時に、垂直方向に隣接する2つの単位領域を仕切る水平方向の境界線に対して対称な向きに画素を順次選択して、画素信号を出力するようにした。これにより、単位領域131を仕切る横の境界線を挟んで上下に隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングを同じにできるため、単位領域131を仕切る境界部における画像の歪み(境界部の両側で画素信号が大きく異なることで生じる画像割れ)を抑えて高品位の画像を得ることができる。
【0063】
(3)上記(1)の撮像素子100において、出力配線308は、水平方向に隣接する2つの単位領域(131aと131c、131bと131d)ごとに、水平方向に隣接する2つの単位領域(131aと131c、131bと131d)から略同時に、水平方向に隣接する2つの単位領域を仕切る垂直方向の境界線に対して対称な向きに画素を順次選択して、画素信号を出力するようにした。これにより、単位領域131を仕切る縦の境界線を挟んで左右に隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングを同じにできるため、単位領域131を仕切る境界部における画像の歪み(境界部の両側で画素信号が大きく異なることで生じる画像割れ)を抑えて高品位の画像を得ることができる。
【0064】
(4)上記(1)の撮像素子100において、出力配線308は、垂直方向および水平方向に隣接する4つの単位領域(131a、131b、131c、131d)ごとに、4つの単位領域(131a、131b、131c、131d)から略同時に、4つの単位領域を仕切る垂直方向および水平方向の境界線の交点Pに対して対称な向きに画素を順次選択して、画素信号を出力するようにした。これにより、これにより、単位領域131a~131dを仕切る境界線を挟んで上下および左右に隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングを同じにできるため、単位領域131a~131dを仕切る境界部における画像の歪み(境界部の両側で画素信号が大きく異なることで生じる画像割れ)を抑えて高品位の画像を得ることができる。
【0065】
(5)上記(1)~(4)の撮像素子100において、複数の画素は、撮像用画素および焦点検出用画素を含むので、単位領域131を仕切る境界部における画像割れを抑えることに加えて、単位領域131を仕切る境界部における焦点調節状態(具体的にはデフォーカス量)の検出精度の低下も抑えることができる。
【0066】
(6)上記(5)の撮像装置1において、撮像チップ113と、撮像チップ113からの信号を処理する信号処理チップ111とが積層されているので、各チップを面方向に大きくすることなく、撮像素子100をコンパクトに構成できる。
【0067】
(7)電子機器の一例である撮像装置1は、撮像素子100を有するカメラユニットを備えたので、高品位の画像を得る撮像装置1を提供できる。
【0068】
(変形例1)
セルC内の4つの単位領域131a~131dに含まれる画素に対する読み出し方向を、上述した実施形態と異ならせてもよい。図10は、図5における1つのセルCを拡大した図であり、図10(a)は、変形例1におけるセルC内の4つの単位領域131a~131dに含まれる画素に対する読み出し制御を説明する図である。図10(a)において、隣接する4つの単位領域131a~131dに、それぞれ16画素が含まれている。
【0069】
変形例1では、各単位領域131a~131dの中で、4つの単位領域131a~131dを仕切る縦横の境界線の交点Pに最も近い位置の画素を読み出し開始画素(図10(a)において斜線で示す)とする。そして、水平方向においては点Pから一旦離れては再び点P側へ戻る向き、および垂直方向において点Pから離れる向きに画素順次に画素信号を読み出し、各単位領域131a~131dの中で、垂直方向において点Pから最も遠い位置の画素を読み出し終了画素とする。
【0070】
単位領域131aの場合、右下に位置する読み出し開始画素から水平左方向に読み出し、折り返して水平右方向に読み出す動作を繰り返しながら垂直上方向へ走査し、右上に位置する読み出し終了画素まで画素順次に読み出すように、読み出し制御される。これにより、単位領域131aを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0071】
単位領域131bの場合、右上に位置する読み出し開始画素から水平左方向に読み出し、折り返して水平右方向に読み出す動作を繰り返しながら垂直下方向へ走査し、右下に位置する読み出し終了画素まで画素順次に読み出すように、読み出し制御される。これにより、単位領域131bを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0072】
単位領域131cの場合、左下に位置する読み出し開始画素から水平右方向に読み出し、折り返して水平左方向に読み出す動作を繰り返しながら、垂直上方向へ走査し、左上に位置する読み出し終了画素まで画素順次に読み出すように、読み出し制御される。これにより、単位領域131cを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0073】
単位領域131dの場合、左上に位置する読み出し開始画素から水平右方向に読み出し、折り返して水平左方向に読み出さす動作を繰り返しながら、垂直下方向へ走査し、左下に位置する読み出し終了画素まで画素順次に読み出すように、読み出し制御される。これにより、単位領域131dを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0074】
セルCにおいて、上記4つの単位領域131a~131dのそれぞれにおける読み出し制御を並行して同タイミングで行うと、セルCに含まれる64画素(4×16画素)の画素信号が16回に分けて順番に読み出される。
【0075】
図10(b)は、図10(a)に例示した読み出し制御によって読み出される画素信号の読み出し順を表す図である。1番が読み出し開始画素に対応し、16番が読み出し終了画素に対応する。4つの単位領域131a~131dのそれぞれで並行して同タイミングで行うので、セルCにおいて同じ番号で示される4つの画素からは、それぞれ同タイミングで画素信号が読み出される。図10(b)によれば、4つの単位領域131a~131dを仕切る横の境界線を挟んで上下に隣接する画素からは、同じタイミングで画素信号が読み出される。また、4つの単位領域131a~131dを仕切る縦の境界線を挟んで左右に隣接する画素からも、同じタイミングで画素信号が読み出される。
【0076】
上述した隣接する4つの単位領域毎に独立に行う制御を協調して行う読み出し制御を、図5に例示した全てのセルCで並行して同タイミングで行うと、撮像チップ113に含まれる全ての画素の画素信号が、16回に分けて順番に読み出される。図11は、隣接する4つのセルCについて、変形例1による読み出し制御によって読み出される画素信号の読み出し順を表す図である。1番が読み出し開始画素に対応し、16番が読み出し終了画素に対応する。4つのセルCのそれぞれで並行して同タイミングで行うので、図11において同じ番号で示される16個の画素からは、それぞれ同じタイミングで画素信号が読み出される。
【0077】
図11によれば、隣接する4つのセルCを仕切る横の境界線を挟んで上下に隣接する画素からは、同じタイミングで画素信号が読み出される。また、隣接する4つのセルCを仕切る縦の境界線を挟んで左右に隣接する画素からも、同じタイミングで画素信号が読み出される。
【0078】
このように、変形例1の場合にも、セルCを構成する4つの単位領域131a~131dを仕切る境界線を挟んで上下および左右にそれぞれ隣接する画素から、同じタイミングで取得された画素信号を得ることができる。さらに、隣接する4つのセルCを仕切る境界線を挟んで上下および左右に隣接する画素から、同じタイミングで取得された画素信号を得ることができる。
【0079】
上述したような画素順次読み出しを行う場合は、単位領域131を形成する16画素の画素間で電荷蓄積タイミングが少しずつずれる。動いている被写体を撮影する場合において、このタイミングのずれに起因する画像の歪みは、単位領域131と単位領域131との間の境界においても生じ得るところ、変形例1においては、セルCを構成する4つの単位領域131a~131dを仕切る境界線を挟んで隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングが同じになるように読み出し制御したので、セルC内の4つの単位領域131a~131dを仕切る境界部における画像の歪み(境界部の両側で画素信号が大きく異なることで生じる画像割れ)を防止し得る。
【0080】
さらに、上記のような画像の歪みは、隣接するセルCとセルCとの間の境界においても生じ得るところ、変形例1においては、隣接する4つのセルCを仕切る境界線を挟んで隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングが同じになるように読み出し制御したので、隣接するセルCを仕切る境界部における画像の歪み(境界部の両側で画素信号が大きく異なることで生じる画像割れ)も防止し得る。
【0081】
(変形例2)
上述した説明における水平方向と垂直方向との関係は、適宜切替え可能に構成してもよい。すなわち、点Pを起点に画素信号を垂直方向に読み出しながら、水平方向に走査する構成に切替える。
【0082】
(変形例3)
図9において水平方向に並ぶ焦点検出用の画素列91~95を例示したが、焦点検出用の画素列を、垂直方向にも並べて構成してもよい。
【0083】
(変形例4)
セルC内の4つの単位領域131a~131dに含まれる画素に対する読み出し方向を、斜めにしてもよい。図12は、図5における1つのセルCを拡大した図であり、図12(a)は、変形例4におけるセルC内の4つの単位領域131a~131dに含まれる画素に対する読み出し制御を説明する図である。図12(a)において、隣接する4つの単位領域131a~131dに、それぞれ16画素が含まれている。
【0084】
変形例4では、各単位領域131a~131dの中で、4つの単位領域131a~131dを仕切る縦横の境界線の交点Pに最も近い位置の画素を読み出し開始画素(図12(a)において斜線で示す)とする。そして、点Pに近い位置の画素から順番に斜め読みしながら、各単位領域131a~131dの中で、点Pから最も遠い位置の画素を読み出し終了画素とする。
【0085】
単位領域131aの場合、右下に位置する読み出し開始画素から読み出し、次に右上方向に斜め読みし、折り返して左下方向に斜め読みする。再び折り返して右上方向に斜め読みしてから、折り返して左下方向に斜め読みする。さらに折り返して右上方向に斜め読みし、最後に終了画素から読み出すように、画素順次に読み出し制御される。これにより、単位領域131aを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0086】
単位領域131bの場合、右上に位置する読み出し開始画素から読み出し、次に右下方向に斜め読みし、折り返して左上方向に斜め読みする。再び折り返して右下方向に斜め読みしてから、折り返して左上方向に斜め読みする。さらに折り返して右下方向に斜め読みし、最後に終了画素から読み出すように、画素順次に読み出し制御される。これにより、単位領域131bを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0087】
単位領域131cの場合、左下に位置する読み出し開始画素から読み出し、次に左上方向に斜め読みし、折り返して右下方向に斜め読みする。再び折り返して左上方向に斜め読みしてから、折り返して右下方向に斜め読みする。さらに折り返して左上方向に斜め読みし、最後に終了画素から読み出すように、画素順次に読み出し制御される。これにより、単位領域131cを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0088】
単位領域131dの場合、左上に位置する読み出し開始画素から読み出し、次に左下方向に斜め読みし、折り返して右上方向に斜め読みする。再び折り返して左下方向に斜め読みしてから、折り返して右上方向に斜め読みする。さらに折り返して左下方向に斜め読みし、最後に終了画素から読み出すように、画素順次に読み出し制御される。これにより、単位領域131dを形成する16画素の画素信号が順番に読み出される。
【0089】
セルCにおいて、上記4つの単位領域131a~131dのそれぞれにおける読み出し制御を並行して同タイミングで行うと、セルCに含まれる64画素(4×16画素)の画素信号が16回に分けて順番に読み出される。
【0090】
図12(b)は、図12(a)に例示した読み出し制御によって読み出される画素信号の読み出し順を表す図である。1番が読み出し開始画素に対応し、16番が読み出し終了画素に対応する。4つの単位領域131a~131dのそれぞれで並行して同タイミングで行うので、セルCにおいて同じ番号で示される4つの画素からは、それぞれ同タイミングで画素信号が読み出される。図12(b)によれば、4つの単位領域131a~131dを仕切る横の境界線を挟んで上下に隣接する画素からは、同じタイミングで画素信号が読み出される。また、4つの単位領域131a~131dを仕切る縦の境界線を挟んで左右に隣接する画素からも、同じタイミングで画素信号が読み出される。
【0091】
上述した隣接する4つの単位領域毎に独立に行う制御を協調して行う読み出し制御を、図5に例示した全てのセルCで並行して同タイミングで行うと、撮像チップ113に含まれる全ての画素の画素信号が、16回に分けて順番に読み出される。そして、変形例4においても、上述した実施形態や変形例1の場合と同様に、セルCを構成する4つの単位領域131a~131dを仕切る境界線を挟んで隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングが同じになるので、セルC内の4つの単位領域131a~131dを仕切る境界部における画像の歪み(いわゆる画像割れ)を防止し得る。
【0092】
さらに、変形例4においても、上述した実施形態や変形例1の場合と同様に、隣接する4つのセルCを仕切る境界線を挟んで隣接する画素間で、画素信号の取得タイミングが同じになるので、隣接するセルCを仕切る境界部における画像の歪み(いわゆる画像割れ)も防止し得る。
【0093】
(変形例5)
上述した実施形態では、単位領域131内の画素に対して、画素順次に水平方向に電荷蓄積タイミングをずらす例を説明した。積層型撮像素子100は、単位領域131に対するリセット配線300、310、320、…、転送配線302、312、322、…、および選択配線306、316、326、…の設け方を変えることにより、単位領域131において水平ラインまたは垂直ラインごとにリセットおよび画素信号読み出しを可能に構成することもできる。そこで、水平ライン順次に画素信号読み出しを行う場合について、以下に説明する。
【0094】
変形例5では、上述した単位領域131a~131dの中で、上記交点Pに最も近い位置の水平ラインを読み出し開始ラインとする。そして、点Pの上側および下側の双方において、それぞれ点Pから離れた水平ラインほど、電荷蓄積タイミングを遅くするようにタイミングをずらす。このようにして、各単位領域131a~131dの中で、点Pから最も遠い水平ラインを読み出し終了ラインとする。
【0095】
セルCを構成する上記4つの単位領域131a~131dのそれぞれにおける読み出し制御を並行して同タイミングで行うと、セルCに含まれる16水平ライン(4×4水平ライン)の画素信号が4回に分けて順番に読み出される。
【0096】
そして、変形例5においては、セルCを構成する4つの単位領域131a~131dで上下を仕切る横の境界線を挟んで隣接する水平ラインは、ともに読み出し開始ラインになるので、セルC内の4つの単位領域131a~131dを上下に仕切る境界部における画像の歪み(いわゆる画像割れ)を防止し得る。なお、水平ライン順次読み出しの場合、セルC内の4つの単位領域131a~131dを左右に仕切る縦の境界線を挟んで隣接する水平ラインは、もともと電荷蓄積タイミングが同じなので、この境界部における画像の歪み(いわゆる画像割れ)は、もともと生じない。
【0097】
さらに、変形例5においては、隣接する4つのセルCの上下を仕切る横の境界線を挟んで隣接する水平ラインは、ともに読み出し終了ラインになるので、隣接するセルCを上下に仕切る境界部における画像の歪み(いわゆる画像割れ)も防止し得る。なお、水平ライン順次読み出しの場合、隣接するセルCを左右に仕切る縦の境界線を挟んで隣接する水平ラインは、もともと電荷蓄積タイミングが同じなので、この境界部における画像の歪み(いわゆる画像割れ)は、もともと生じない。
【0098】
(変形例6)
上述した実施形態に係る撮像装置1を、高機能携帯電話機、またはタブレット端末によって構成してもよい。この場合、高機能携帯電話機(またはタブレット端末)に搭載されるカメラユニットを、上記積層型撮像素子100を用いて構成する。
【0099】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。上記実施形態および各変形例の構成は、適宜組合せて構わない。
【符号の説明】
【0100】
1…撮像装置
10…撮像光学系
20…撮像部
30…画像処理部
40…ワークメモリ
50…表示部
60…記録部
70…制御部
71…AF演算部
100…撮像素子
109…バンプ
111…信号処理チップ
112…メモリチップ
113…撮像チップ
131、131a~131d…単位領域
308…出力配線
図1
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図12