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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】マルチビーム荷電粒子撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/09 20060101AFI20230802BHJP
   H01J 37/147 20060101ALI20230802BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20230802BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20230802BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230802BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H01J37/09 A
H01J37/147 B
H01J37/147 C
H01J37/28 B
H01J37/28 Z
H01J37/305 B
H01L21/30 541W
H01L21/30 541B
G03F7/20 504
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019109216
(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2020004711
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】18179687.1
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ボフスラフ セダ
(72)【発明者】
【氏名】アリ モホンマディ-ゲイダーリ
(72)【発明者】
【氏名】マレク ウンコフスキ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-511809(JP,A)
【文献】国際公開第2010/082451(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/081422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子撮像装置であって、
試料を保持するための試料ホルダと、
粒子光学コラムであって、
前駆荷電粒子ビームを、駆ビームの到達範囲内に対応する複数の開口を有する開口プレート上に向けることによって、複数の荷電粒子ビームを生成し、
前記荷電粒子ビームを前記試料に向けるための粒子光学コラムと、を備え、
前記開口プレートは、前記前駆ビームの到達範囲内に配置された、互いに異なる開口パターンを含む複数の異なるゾーンを含み、
前記粒子光学コラムが、前記開口プレートの下流に配置され、前記ゾーンのうちの選択された1つから前記試料上に向けられるべきビームアレイを選択するための選択装置を備え
前記ゾーンのうちの1つが、それを細分化することなく前記前駆ビームの一部の通過を可能にするために、単一貫通孔を含み、
前記選択装置内の可変開口、及び前記開口プレートと前記選択装置との間に配置された調整可能レンズアセンブリ、のうちの少なくともいずれかが、前記開口プレートの前記単一貫通孔を通過するビームのビーム電流値を減らすために使用される、
ことを特徴とする、荷電粒子撮像装置。
【請求項2】
荷電粒子撮像装置であって、
試料を保持するための試料ホルダと、
粒子光学コラムであって、
前駆荷電粒子ビームを、駆ビームの到達範囲内に対応する複数の開口を有する開口プレート上に向けることによって、複数の荷電粒子ビームを生成し、
前記荷電粒子ビームを前記試料に向けるための粒子光学コラムと、を備え、
前記開口プレートは、前記前駆ビームの到達範囲内に配置された、互いに異なる開口パターンを含む複数の異なるゾーンを含み、
前記粒子光学コラムが、前記開口プレートの下流に配置され、前記ゾーンのうちの選択された1つから前記試料上に向けられるべきビームアレイを選択するための選択装置を備え、
前記選択装置が、前記選択されたゾーンから前記選択されたビームアレイのみを前記試料に通過させるように位置決めされることができる制限開口を有するマスキングプレートを備え、
前記選択装置が、前記制限開口を介して前記選択されたゾーンからの前記選択されたビームアレイのみを向けるように、前記マスキングプレートに対して前記複数のビームを偏向させるための前記マスキングプレートの前段に位置する偏向アセンブリをさらに備える、
ことを特徴とする、荷電粒子撮像装置。
【請求項3】
荷電粒子撮像装置であって、
試料を保持するための試料ホルダと、
粒子光学コラムであって、
前駆荷電粒子ビームを、駆ビームの到達範囲内に対応する複数の開口を有する開口プレート上に向けることによって、複数の荷電粒子ビームを生成し、
前記荷電粒子ビームを前記試料に向けるための粒子光学コラムと、を備え、
前記開口プレートは、前記前駆ビームの到達範囲内に配置された、互いに異なる開口パターンを含む複数の異なるゾーンを含み、
前記粒子光学コラムが、記ゾーンのうちの選択された1つから前記試料上に向けられるべきビームアレイを選択するための、前記開口プレートの下流に配置された選択装置を備え
前記開口プレートは、前記粒子光学コラムの最初のレンズより前段に配置され、前記選択装置は前記最初のレンズの後段に配置されている、
ことを特徴とする、荷電粒子撮像装置。
【請求項4】
前記ゾーンのうちの少なくとも2つが、本質的に同一の開口分布を有するが、その分布における前記開口の直径に関して異なる、請求項1~3いずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記ゾーンのうちの1つが、それを細分化することなく前記前駆ビームの一部の通過を可能にするために、単一貫通孔を含む、請求項1~4いずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記選択装置が、前記選択されたゾーンから前記選択されたビームアレイのみを前記試料に通過させるように位置決めされることができる制限開口を有するマスキングプレートを備える、請求項1~のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記試料とビームアレイの相対走査運動を生成するための走査アセンブリを備える、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
荷電粒子顕微鏡および荷電粒子リソグラフィ撮像システムを備える群から選択される、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
請求項1乃至3いずれか1項記載の荷電粒子撮像装置を使用する方法であって、前記荷電粒子撮像装置が、
試料を保持するための試料ホルダと、
粒子光学コラムであって、
前駆荷電粒子ビームを、前記前駆ビームの到達範囲内に対応する複数の開口を有する開口プレート上に向けることによって、複数の荷電粒子ビームを生成し、
前記荷電粒子ビームを前記試料に向けるための粒子光学コラムと、を備え、
前記前駆ビームの到達範囲内に配置された、互いに異なる開口パターンを含む複数の異なるゾーンを含むように前記開口プレートを構成し、
前記開口プレートの下流に配置された選択装置を使用して、前記ゾーンのうちの選択された1つからのビームアレイを選択して前記試料上に向ける、ことを特徴とする、方法。
【請求項10】
第1の使用セッションでは、前記ゾーンのうちの第1のゾーンが、各ビームが第1のビーム電流値を有するビームアレイによって前記試料を照射するように選択され、
第2の使用セッションでは、前記ゾーンのうちの第2のゾーンが、各ビームが第2の異なるビーム電流値を有するビームアレイによって前記試料を照射するように選択され、
それによって、前記第1および第2のゾーンが、本質的に同一の開口分布を有するが、その分布における前記開口の直径に関して異なる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記開口プレートが、それを細分化することなく前記前駆ビームの一部の通過を可能にするために、単一貫通孔を有するゾーンを含むように構成され、
前記前駆ビームが、前記荷電粒子撮像装置の単一ビーム動作モードを生成するように前記貫通孔上に向けられる、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子撮像装置において、
-試料を保持するための試料ホルダと、
-粒子光学コラムであって、
・前駆荷電粒子ビームを、前記前駆体ビームの到達範囲内に対応する複数の開口を有する開口プレート上に向けることによって、複数の荷電粒子ビームを生成し、
・前記ビームを前記試料に向けるための粒子光学コラムと、を備える、荷電粒子撮像装置に関する。
【0002】
本発明はまた、そのような装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
荷電粒子撮像装置の例は、荷電粒子顕微鏡(CPM)と、(フォトレジストでコーティングされた半導体基板上に集積回路パターンを書き込むためにとりわけ使用される)荷電粒子リソグラフィ撮像システムとを含む。荷電粒子顕微鏡法は、周知であり、特に電子顕微鏡の形態で顕微鏡対象物を撮像するためのますます重要な技術である。歴史的に、電子顕微鏡の基本的な種数は、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、および走査透過電子顕微鏡(STEM)などの多くの周知の装置種に、ならびに、例えば、イオンビームミリングまたはイオンビーム誘起蒸着(IBID)などの支援活動を可能にする、「機械加工」集束イオンビーム(FIB)をさらに使用するいわゆる「二重ビーム」装置(例えば、FIB-SEM)などの様々な副種に進化している。より具体的には、以下のとおりである:
-SEMにおいては、走査電子ビームによる試料の照射は、例えば、二次電子、後方散乱電子、X線およびカソード発光(赤外線、可視および/または紫外線光子)の形態で試料からの「補助」放射線の放出を引き起こし、次に、この放出された放射線の1つ以上の成分は、検出されて画像を蓄積するために使用される。
-TEMにおいては、試料に照射するために使用される電子ビームは、(この目的のために、一般的に、SEM試料の場合よりも薄くなる)試料に貫通するために十分高いエネルギーとなるように選択され、次に、試料から放出された透過電子を使用して画像を生成することができる。このようなTEMを走査モードで動作させる(したがってSTEMになる)と、照射電子ビームの走査動作中に当該画像が蓄積される。
-SEMはまた、例えば、比較的薄いサンプルと比較的高い入射ビームエネルギーを使用する場合など、「透過モード」で使用されることもできる。そのようなツールは、しばしば「TSEM」(透過型SEM)と呼ばれ、それは、通常、試料と試料後検出器との間に配置された比較的初歩的な撮像システム(例えば、単一レンズおよび偏向器)を有する。
【0004】
照射ビームとして電子を使用する代わりに、荷電粒子顕微鏡法は、荷電粒子の他の種を使用して実行することもできる。この点において、「荷電粒子」という語句は、例えば、電子、正イオン(例えば、GaまたはHeイオン)、負イオン(酸素など)、陽子および陽電子を含むものとして広く解釈されるべきである。電子顕微鏡法以外の荷電粒子顕微鏡法に関しては、いくつかの別の情報を、例えば、以下などの参考文献から収集することができる。
https://en.wikipedia.org/wiki/Focused_ion_beam
http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_Helium_Ion_Microscope
-W.H.Escovitz,T.R.Fox and R.Levi-Setti,Scanning Transmission Ion Microscope with a Field Ion Source,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 72(5),pp1826-1828(1975)。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22472444
撮像および(局所的な)表面改質(例えば、ミリング、エッチング、蒸着など)の実施に加え、CPMはまた、ディフラクトグラムの検査、分光法の実施、イオンチャネリング/イオン後方散乱(ラザフォード後方散乱分光分析)の研究などの他の機能を有することができることに留意すべきである。
【0005】
リソグラフィ撮像システム(例えば、ウェハステッパ/ウェハスキャナ)において、放射線の化学線ビームは、基板(例えば、半導体ウェハ)の表面上に提供された(例えば、スピンコートされた)材料(フォトレジスト)のエネルギー感応性層をパターン化するために使用される。従来、化学線ビームは、マスク/レチクルを通過してその後に感光性パターン上にそのパターンを付与する(例えば、水銀灯またはレーザからの)広い光子ビームを含んでいた。しかしながら、他の種類のリソグラフィ撮像システムは、所望のパターンにしたがって感光層上にわたって1つ以上の電子ビームをトレースする、いわゆる「直接書き込み」電子ビームツールなどの荷電粒子を利用する。さらに他のリソグラフィ撮像システムの概念は、イオンビームを利用する。
【0006】
全ての場合において、荷電粒子撮像装置は、少なくとも以下の構成要素を備える:
以下などの荷電粒子源:
・例えば、電子の場合には、電界放出銃(FEG;ショットキーまたはコールドFEG)またはLaB熱源;
・例えば、イオンの場合には、液体金属イオン源(LMIS)、ナノ開口イオン源(NAIS)またはRF生成イオンプラズマ源。
-前記源からの「生」粒子ビームを操作し、フォーカシング、収差緩和、(ダイヤフラムによる)トリミング、フィルタリングなどの所定の動作を該粒子ビームに対して実行するように機能する粒子光学コラム(照明器)。それは、一般的に1つ以上の(荷電粒子)レンズを備え、他の種類の(粒子)光学構成要素も備えることができる。所望に応じて、照明器には、調査中の試料にわたってその出射ビームに走査運動を実行させることができる偏向システムを設けることができる。
-調査中の試料がその上に保持されて位置決め(例えば、傾斜、回転)されることができる試料ホルダ。所望に応じて、このホルダは、ビームに対して試料の走査運動を行うように移動されることができる。一般に、このような試料ホルダは、位置決めシステムに接続される。極低温試料を保持するように設計される場合、試料ホルダは、例えば適切に接続される極低温槽を使用して、前記試料を極低温に維持するための手段を備えることができる。
【0007】
(S)TEMもしくはTSEMなどの透過型CPM、またはマスクベースのリソグラフィ撮像システムは、さらに以下を備える:
-試料(面)[またはリソグラフィにおいて、マスク面]内を透過する荷電粒子を本質的に捕え、検出/撮像装置、分光装置、レジストコーティングされたウェハなどのターゲット上にそれらを向ける(集束させる)撮像システム。上述した照明器の場合と同様に、撮像システムはまた、収差緩和、トリミング、フィルタリングなどの他の機能を実行することもでき、それは、一般的に、1つ以上の荷電粒子レンズおよび/または他の種類の粒子光学部品を備える。
【0008】
従来は、荷電粒子撮像装置は、単一撮像ビームを使用してきた。しかしながら、近年では、マルチビーム装置設計が出現し始めている。マルチビーム電子顕微鏡は、例えば、本発明者のうちの1人の博士論文:Ali Mohammadi-Gheidariによる「196 Beams in a Scanning Electron Microscope」(TU Delft、オランダ、2013年11月)に記載されている。
https://repository.tudelft.nl/islandora/object/uuid:98869173-12db-49cf-9466-0341cf6ad845?collection=research
【0009】
さらに、マルチ電子ビームリソグラフィ撮像システムは、例えば、オランダのデルフトにあるMapper Lithography B.V.社によって開発されて販売されている。-単一のビームとは対照的に-複数の一次ビームを同時に使用することの背後にある基本的な考え方は、ビームのアレイの使用が「パラレル撮像」を可能にするため、スループットの大幅な向上を約束することである。しかしながら、複数の撮像ビーム(ビームレット;サブビーム;成分ビーム)の同時使用もまた、満足に対処される必要がある様々な技術的問題および課題を提示する。そのような問題が生じる分野の例は、マルチビーム生成/調整および収差制御を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、改良されたマルチビーム荷電粒子撮像装置を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、そのような装置が従来技術の顕微鏡よりも柔軟なマルチビーム生成/調整を可能にすべきであることである。特に、本発明の目的は、そのような装置においてビーム電流/ビームモダリティを調整する革新的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらのおよび他の目的は、上記冒頭の段落に記載された装置において達成され、その装置は、以下を特徴としている:
-前記開口プレートは、前記前駆ビーム到達範囲内に配置された、互いに異なる開口パターンを含む複数の異なるゾーンを含み、
-粒子光学コラムは、前記開口プレートの下流に配置され、前記ゾーンのうちの選択された1つから試料上に向けられるべきビームアレイを選択するための選択装置を備える。
【0012】
従来の粒子光学コラムの設計は、1つ以上のビームクロスオーバーを含む傾向があり、ビームエンベロープは、再び発散する前に(最小幅の)「ウエスト」を介して収束(集束)される。そのようなクロスオーバーは、調整可能開口を配置する/その近くに配置するのに便利な位置とすることができ、その幅は、ウエスト幅、ひいては総ビーム電流を縮小/再拡大するように変化することができる。そのような電流調整機構は、原則として、単一ビームおよびマルチビーム粒子光学設計の両方において利用可能である。しかしながら、累積ビーム電流が単一ビーム設計よりもはるかに高くなる傾向があるマルチビーム設計では、そのようなクロスオーバー(および特にそれらに収束する/それらから発散するビーム経路)は、様々なビーム中の荷電粒子間のクーロン相互作用の程度が、付随する効果として著しいボケおよび画像の明るさの損失を伴って、許容できないものになる可能性がある位置を表す。このため、可能であれば、マルチビーム設計ではビームクロスオーバーを回避することが望ましくあり得る。しかしながら、クロスオーバーが回避されると、上述した便利なビーム電流調整機構は機能しなくなる。
【0013】
本発明の装置の設計は、他の問題を解決し且つ他の機能を提供することに加えて、この問題に対する解決策を提供する。より具体的には、本発明の実施形態では、開口プレート内の前記ゾーンのうちの少なくとも2つは、本質的に同一の開口分布を有するが、その分布における開口の直径に関しては異なる。換言すれば、各開口の中心点が参照「節点」を定義する場合、(少なくとも)2つのゾーンZおよびZの節点は、同じ分布(アレイ/行列配置)を有するが、各節点を中心とした開口のサイズは、ZとZとの間で異なる。-同一の/共通の開口分布について-このように異なる開口サイズを有することは、マルチビームアレイ内の全ての成分ビームに対するビーム電流値の調整を可能にする。例えば、ZおよびZのそれぞれは、規則正しい直交または六角形の開口アレイを含むことができるが、例えば、それぞれ5μmおよび20μmの開口幅を有する。
【0014】
本発明の別の実施形態では、前記ゾーンの一方は、それを細分化することなく前記前駆(先駆、初期)ビームの一部の通過を可能にするための単一の貫通孔を含む(上記使用される用語を参照して、単一貫通孔を有するゾーンから発するビーム「アレイ」は、ここではただ1つの部材ビームを含むことになることが理解されるであろう)。そのような貫通孔の存在は、所望に応じて、装置がマルチビームモードではなく単一ビームモードで使用されることを有利に可能にする。これは、例えば、必要に応じて単一ビームモードに戻すことができるようにすることが望ましくあり得る場合に、単一ビームアーキテクチャのマルチビームの実装が特定の準最適な態様を被る場合に有用であり得る。例えば、マルチビームSEMは、試料傾斜を可能にするのに容易に適しているわけではなく、単一ビーム(「従来の」)SEMよりも複雑な検出器アーキテクチャ(例えば、微分後方散乱電子検出用)を必要とする可能性もある;この点に関して、そのような機能性/マルチモダリティは、「両方の長所」の利点を提供し、本発明の装置が使用可能な用途数を増加させるため、必要に応じて/所望に応じて単一ビームモードに容易に戻ることができるという魅力を容易に保持することができる。所望に応じて、開口プレートは、異なるビーム電流を有する単一ビームを実現するために-様々な直径の-そのような異なる「単一ビーム」貫通孔を有する複数の異なるゾーンを含むことができる。あるいは、(比較的大きい)貫通孔が与えられた単一のゾーンを単に使用することができ、開口プレートの下流側(例えば、選択装置内)の調整可能開口を使用して、より低い単一ビーム電流が必要とされるときにビーム径を縮小/削減することができる(例えば、図3を参照)。さらに別の可能なシナリオでは、-開口プレートと選択装置との間に配置された-調整可能レンズアセンブリが使用され、最終的に試料に衝突する単一ビームスポットのサイズを制御することができる。これらの様々なアプローチの様々な組み合わせ/ハイブリッドももちろん可能である。
【0015】
本発明の開口プレートにおける複数の選択可能なゾーン{Z}はまた、他の効果/利点を達成することを可能にする。例えば、以下のとおりである:
-2つの異なるゾーンZ、Zは、同一の開口サイズと基本開口分布の幾何学的形状(例えば、直交する)を有することができるが、それらの開口の数/間隔に関して異なる可能性がある-例えば、Zは、n×n個の開口アレイを有することができるのに対して、Zは、n≠mであるm×m個のアレイを有することができる。
-2つの異なるゾーンZ、Zは、異なる基本開口分布の幾何学的形状を有することができる-例えば、Zは、直交開口分布を有することができるのに対して、Zは、六角形(「ハニカム」)開口分布を有することができる。
これは、例えば、密/非密ラインの非等方性、ラインの方向などに関して、撮像される特定の集積回路レイアウトにビーム形状(開口分布の幾何学的形状)を調整することができることが望ましい場合があるリソグラフィ撮像用途に望ましくあり得る。さらに、それは、例えば、特定の試料の結晶学的配向/寸法にビーム形状を合わせることを可能にする。
【0016】
本発明の選択装置に関して、これは、開口プレートの下流側(すなわち、後段に)に有利に位置決めされる。これは、-一般に非常に高い(超高)真空および高電圧レベルを特徴とする環境である荷電粒子源の近くから選択装置が配置されることができることを意味する。これらの態様は、源の近くに重要でないサブシステムを配置/操作することを困難/非実用的にする。例えば、源近傍の非常に高い真空レベル(例えば、ショットキーFEGについては通常約10-9ミリバールおよびCFEGについては10-10-10-11ミリバール)は、例えば、材料の適合性(脱ガス/ベークアウト耐久性に関して)および真空フィードスルーに著しい制限を課し、モータ/アクチュエータタイプおよび配線に関する選択を制限する。同時に、源近傍の高電圧レベル(例えば、STEMの場合には最大で~300kV)は、例えば(正しく設計/実装されていない場合にアークオーバーを生じる可能性がある)金属電極および/または作動ロッドなどの使用される構造の種類/位置に制限を課す。そのような考慮は、開口プレートの上流側に実用的で満足のいくように動作する選択装置を構成することを困難にするであろう。しかしながら、開口プレートの下流では、以下の理由により、条件がはるかに変わりやすくなる:
-この領域には、高電圧源がない;
-ここでの真空度は、一般的にそれほど高くはなく、試料近傍では通常10-7ミリバール、ビームチューブでは10-5ミリバール程度である。これらの値では、脱ガスは、一般的には重要な問題ではなく、ベークアウトは、一般的に必要とされず、したがって、材料/構造に関してはるかに広い選択肢がある。
したがって、これからより詳細に説明するように、この領域で電気的/磁気的/機械的システムを十分に実行することを実現することははるかに容易である。
【0017】
本発明の装置における前駆ビームは、開口プレートの複数のゾーンを一度に通過するため、選択装置の主なタスクは、同時に他のゾーンがそうすることを防止しながら試料を照射することが可能にされる特定のゾーンを選択することである;これに関連して、選択装置は、したがってゾーン選択機構として機能する。換言すれば、開口プレートから発するビーム収集/エンベロープが基準断面を有すると見なされる場合、選択装置は、試料へのさらなるアドミタンスのためにこの断面の特定の(選択可能な)部分のみを画定するように機能する。本発明の実施形態では、選択装置は、選択されたゾーンから選択されたビームアレイ(ビームセグメント)のみを試料に通過させるように位置決めされることができる制限開口を有するマスキングプレートを備える。便利なことに、そのようなマスキングプレートは、所望に応じて、マスキングプレート/制限開口をビームの基準断面/コラムの粒子光軸に対して制御可能に位置決めするためにモータ(または他のアクチュエータ)に接続されることができる。制限開口は、(コラム倍率を考慮して)開口プレート内の様々なゾーンの形状/サイズと一致する/補完する形状/サイズとされてもよい。さらに、所望に応じて、必要に応じて/所望に応じて特定のものが選択される複数の制限開口が存在してもよい。例えば、図3を参照されたい。本明細書に記載されるようなマスキングプレートは、開口プレートの様々なゾーン(からのビーム)が互いに比較的よく分離されている平面に便利には配置され、これは、とりわけそのようなマスキングプレートの寸法/製造を単純化する。
【0018】
前の段落の実施形態の改良では、選択装置は、さらに、前記制限開口を介して前記選択されたゾーンからの前記選択されたビームアレイのみを向けるようにマスキングプレートに対してビームエンベロープを偏向させるために前述したマスキングプレートの前段(任意位置)に位置する偏向アセンブリを備える。そのような偏向アセンブリは、例えば、マスキングプレート/制限開口に対してビーム断面を制御可能に位置決めするために1組以上の静電および/または磁気偏向器を備えることができる。この基本的なアプローチの改良では、マスキングプレートの前段に(第1の偏向器セットによって)導入された所与の偏向がマスキングプレートの後段に(第2の偏向器セットによって)補償/無効化されるように、偏向器は対にされ、それによって残留(角度)偏向がない試料にビームが当たるのを確実にする。
【0019】
本発明は、有利には、試料とビームアレイの相対走査運動を生成するための走査アセンブリを備える走査システムに適用される。選択に応じて、そのような走査は、試料に対してビームアレイを移動させること、またはビームアレイに対して試料を移動させること、または両方の組み合わせを必然的に伴うことができる。従来のSEM/STEMでは、例えば、走査運動は、通常、試料変位によってではなく単にビーム偏向によって行われる。一方、従来のリソグラフィ撮像システムでは、走査ステージを使用して試料を移動させることがより一般的である。ビーム走査が使用される場合、使用される走査偏向器は、本発明の選択装置の下流に便利には配置されることができる(例えば、図1を参照)。使用される正確なセットアップに応じて、例えば、前述した同時係属出願である欧州特許出願第18176596.7号に記載された(主に)ビーム走査とは対照的に、(主に)試料走査を選択する方が有利であり得る特定の理由がある。
【0020】
本発明で使用されるビームアレイにおける入射ビームの数に関して、これは任意であることが強調されるべきである。一方では、ビーム数が多いほど、達成できるスループットの向上が大きくなり、他方では、ビーム数が多いと、システム全体の複雑さが増す。当業者は、これらの競合する効果間の妥協点を見出し、所与のシナリオ/使用事例に適切な数を選択することができるであろう。例えば、14×14アレイの196本のビームを使用して満足のいくシステムを構築することができる-多くの他のビームの複数性/構成も可能である。
【0021】
本発明は、ここで、例示的な実施形態および添付の概略図面に基づいてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明が実装される-電子顕微鏡の場合における-荷電粒子撮像装置の実施形態の縦断面正面図を描写している。
図2図2は、電子ビームアレイが単一の前駆ビームから生成されることができる方法を示している。
図3図3は、本発明にかかる荷電粒子装置の実施形態において粒子光軸に沿って配置された様々な構成要素の正面図および平面図を示している。
図4A図4Aは、本発明の実施形態で使用されることができる可能性のある開口プレートの代替実施形態を示している。
図4B図4Bは、本発明の実施形態で使用されることができる可能性のある開口プレートの代替実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面において、適切な場合、対応する部分は、対応する参照符号を使用して示される。
【0024】
実施形態1
図1(縮尺どおりではない)は、本発明が利用される荷電粒子撮像装置の実施形態の非常に概略的な図である;より具体的には、それは、SEMの実施形態を示している-しかしながら、本発明の文脈では、それはまた、例えば、STEMまたはリソグラフィ撮像システムとすることができる。顕微鏡Mは、粒子光軸B’に沿って伝播する電子ビーム(荷電粒子ビーム)を生成する粒子光学コラム/照明器1を備える。粒子光学コラム1は、試料Sを保持/位置決めするための試料ホルダ17および関連するステージ/アクチュエータ19を備える真空チャンバ3に取り付けられている。真空チャンバ3は、真空ポンプ(図示せず)を使用して排気される。電圧源21を用いて、試料ホルダ17、または少なくとも試料Sは、必要に応じて、グラウンドに対して所定電位にバイアス(浮遊)されることができる。
【0025】
粒子光学コラム1は、電子源(荷電粒子源)5(例えば、ショットキーエミッタ、コールドFEGまたはLaBフィラメントなど)、電子ビームを試料S上に集束させるためのレンズ11、13、およびビームの偏向/走査を実行するための偏向ユニット15を備える。試料S上に電子ビームを走査することによって、-例えば、X線、赤外/可視/紫外光、二次電子および/または後方散乱電子のフラックスを含む-出射放射線が試料Sから発せられる。検出器23、27は、そのような出射放射線の異なる種類/モダリティを検査するために使用されることができる様々な可能な検出器の種類から選択されることができる。ここに描かれた装置では、以下の検出器の選択がなされた:
-検出器23は、セグメント化電子検出器であり、(光軸B’を包含する)中央開口25の周りに配置された複数の独立した検出セグメント(例えば、四分円)を含む。そのような検出器は、例えば、試料Sから発せられる電子のフラックスの角度依存性を調査するために使用されることができる。
-検出器27は、例えば、試料Sから発せられるX線を記録し、したがって、エネルギー分散型X線分光法(EDX)を実行するために使用されることができるX線検出器である。それは、代替的に例えば陰極線ルミネセンス検出器とすることができる。
【0026】
代替的に/補足的に、例えば前述した同時係属特許出願である欧州特許出願第18176596.7号に記載されているような後方散乱電子検出器を使用することができる。検出された出射放射線は、(前記走査運動のために)位置依存的であるため、検出器23、27から得られた情報もまた、位置依存的であり、したがって、試料S上の走査経路位置の関数としての基本的に検出器出力のマップである画像を組み立てるために使用されることができる。検出器23、27からの信号は、制御線(バス)29’’を通り、制御装置29によって処理され、表示ユニット31に表示される。そのような処理は、結合、積分、減算、偽色付け、エッジ強調、および当業者に知られている他の処理などの操作を含むことができる。さらに、自動認識プロセス(例えば、粒子分析に使用されるような)は、そのような処理に含まれてもよい。
【0027】
そのような「基本的な」設定の様々な改良および代替は、それらに限定されるものではないが、以下を含んで当業者に知られている:
-デュアル一次ビーム種の使用-例えば試料Sの撮像のための電子ビームおよび機械加工(または、場合によっては撮像)のためのイオンビーム。
-試料Sにおける制御された環境の使用-例えば、数ミリバールの圧力を維持すること(いわゆる環境SEMにおいて使用されるように)、またはエッチングもしくは前駆ガスなどのガスを入れることによって。
【0028】
本発明にとって重要なことは、単一の一次電子ビームが-従来のSEMにおいて使用されるように-ここではマルチビームアレイによって置き換えられているという事実である。図2は、図1に対する比較的小さな修正を用いて、そのようなマルチビームアレイがどのように生成されることができるかを示している。前駆電子ビームBは、電子源5を出て、一連の(抽出/加速)電極7を横断し、複数の開口9’’を含む開口プレート9に衝突し、このような構造9はまた、-開口9’’がレンズ効果を有するため-開口レンズアレイ(ALA)とも呼ばれることができ、例えば、薄膜(MEMS)技術を使用してシリコンシートに小孔のアレイをエッチングすることによって製造されることができる(前述した博士論文を参照)。ALA9に衝突する結果として、前駆ビームBは、それらを生成するために使用された複数の孔9’’と同じ幾何学的構成で、複数のB個のサブビーム/ビームレット/成分ビームB’’に変換される。次に、このビームアレイBは、それを試料S上に向ける照明器1を通って軸B’に沿ってその進路をたどる(図1を参照)。
【0029】
本発明において、ALA9は、(複数のゾーンがビームBによって同時に照明/横断されるように)それが前駆ビームBの(ALA9によって)ビーム到達範囲内に配置された-互いに異なる開口パターンを有する-複数の異なるゾーン{Z}を含む点で、特殊な形態をとる。そのようなシナリオの例が図3に示される:
-図の左側は、電子経路に沿って配置された特定の構成要素の正面図を示している(図1および図2も参照)。
-図の右側は、-同じ縮尺ではない-2つの特定の構成要素、すなわち、ALA9および選択装置33(の一部)の別個の平面図を示している。
本発明のALA9から始めて、現在の例では、これが5つの異なるゾーンを含むことがわかる。すなわち、以下のとおりである:
-4つの本質的に正方形の四分円ゾーンZ、Z、Z、Z。これらは、それぞれ、14×14個の直交するビーム開口の構成を有するが、それらは、これらの開口の直径/幅に関して互いに異なっている。より具体的には、ゾーンZは、最大の開口を有し、ゾーンZは、最小の開口を有し、ゾーンZおよびZは、これら2つの極端な場合の間で進行を呈する。明確にするために、ゾーンZの周囲は、破線輪郭によって示されており、他の四分円ゾーンZ、Z、Zは、同様に定義されるが、図が乱雑になるのを回避するために、それらの周囲は破線ではない。ここに示された構成では、ビーム開口は円形であるが、これは、必ずしもそうである必要はなく、他の形状(楕円形など)もまた可能である。
-(ゾーンZ-Zの交差部/共通の隅部に位置する)中央ゾーンZは、ここでは(比較的大きな)円形貫通孔の形態をとる。このゾーンZは、必要に応じて、以下により詳細に説明するように、図示された装置を単一ビームモードで使用することを可能にする。
【0030】
ここで本発明の選択装置33に移ると、これは、ALA9の下流に配置され(図1も参照)、本例では、2つの副構成要素、すなわち、マスキングプレート331およびビーム偏向アセンブリ332を備えることがわかる。この特定の状況では、マスキングプレート331は、電気モータなどのアクチュエータ331’’によってビーム経路内に位置決め/移動されることができる可動ストリップ331’を備える。(例えば、(MEMS処理された)シリコンの薄いシートからなることができる)示されたストリップ331’は、(この特定の場合には)それぞれが対応する制限開口37a、37b、・・・37gを有する7つの異なる領域35a、35b、・・・、35gを有する。これらの開口(窓)37a-37gは、以下の形態を有する:
-4つの領域35a、35b、35c、35dの場合、対応する開口37a、37b、37c、37dは、開放四分円の形態をとるが、これらの開放四分円37a-37dの相対位置は、領域35a-35dの間で異なる。ALA9のゾーンZ-Zと領域35a-35dを比較すると、開口37a(右上)、37b(左上)、37c(左下)、37d(右下)は、それぞれ、ゾーンZ、Z、ZおよびZに位置的に対応していることがわかる。開口37a-37dのサイズは、選択装置33が位置する平面でゾーンZ-Zのサイズに一致している。
-3つの領域35e、35f、35gの場合、対応する開口37e、37f、37gは、中央丸孔の形態をとるが、これらの丸孔37e-37gのサイズは、領域35e-35gの間で異なる。領域35e-35gをALA9と比較すると、全ての開口37e-37gは、ゾーンZに位置的に対応していることがわかる。開口37e-37gのサイズは、選択装置33が位置する平面でゾーンZのサイズに一致しており、それにより、以下のとおりである:
・最大開口37eは、この平面におけるZのサイズに正確に対応しているか、またはわずかに大きい。
・開口37f、37gは、開口37eよりも次第に小さくなっている。
【0031】
ALA9と協働するビームセレクタ33の動作に関して、これは、本質的に2つの態様を含む。すなわち、以下のとおりである:
-制限開口37a-37gのうちの選択された1つを粒子光軸B’の近くに/その上に配置するようにマスキングプレート331を移動させる;
-問題の制限開口にゾーンZ-Zのうちの選択された1つ(から発せられるビームアレイ/ビーム断面部分)を位置決めするように-例えば、静電偏向電極のセットを備えることができる-ビーム偏向アセンブリ332を起動する。
【0032】
(例えば、ルックアップテーブル内の位置エントリにしたがって)このようにマスキングプレート331および偏向アセンブリ332を使用すると、ゾーンZ-Zのうちの選択された1つからのビームアレイの進入(および試料Sに向かって前方への通過)をもたらすことが明らかである。より具体的には、以下のとおりである:
-ゾーンZ-Zの場合、これらの各ゾーンは、異なる幅の開口を含むため、それらは、それぞれ、関係する直交14×14個のマルチビームアレイを構成する様々なビームに対して異なるビーム電流値をもたらす。
-ゾーンZの場合、この単一ビームモードのビーム電流は、開口37eではなく開口37fまたは37gを選択することによって低減されることができる。
【0033】
当業者であれば、上記の特定の一対一対応は、厳密に固守される必要がないことを理解するであろう。例えば、マスキングプレート331の上流に配置された磁気レンズ(アセンブリ)は、その上に衝突するビームアレイを回転させるために使用されることができ、したがって、一度に1つずつ所定の制限開口を介して様々な異なる(四分円状)ゾーンが向けられることを(選択された回転の程度に応じて)潜在的に可能にする。
【0034】
構成要素9および331、ならびにその中の開口の特定の寸法は、特定の荷電粒子コラムの設計、所望のビーム電流値などの様々な要因に依存し、当業者であれば、所定の状況のニーズに適した値を選択することが十分できる。しかしながら、いくつかの一般的なガイダンスを提供することによって、以下の拘束力のない例が考慮されてもよい:
-ゾーンZ-Zの個々の開口の典型的な直径:約1-50μm。
-ゾーンZの貫通孔の典型的な直径:約50-300μm。
・制限開口37a-37dの典型的な直径:約0.1-1.5mm。
-制限開口37e-37gの典型的な直径:約4-200μm。
-前駆ビームBoによって衝突したALA9の典型的な面積:最大で約1.5×1.5mm
【0035】
ALA9および選択装置33に関して、ここで図示され且つ説明された例は、拘束力がなく、例えば、ALA9におけるゾーン{Z}の数および相対的な位置/配置、そのようなゾーンが互いに異なる方法、ストリップ331’の開口の数/形状などに関して、多くの代替案が可能であることに明示的に留意すべきである。これに関して、例えば、次の実施形態を参照されたい。
【0036】
実施形態2
図4Aおよび図4Bは、本発明の実施形態で使用されることができる可能性のある開口プレートの代替実施形態を示している。より具体的には、以下のとおりである:
図4Aは、それが単一ビーム貫通孔の周りに入れ子にされた直交マルチビーム構成を有する4つの四分円状ゾーンを含むという点で、図3のALA9と同様の開口プレート/ALAを示している。しかしながら、四分円状ゾーンの間の相互の間隔は、ここではより大きく、中央においてより大きな貫通孔を可能にする。そのような配置は、図3のALA9に対する「より広い」代替案である。
図4Bは、単一ビーム貫通孔が中央位置から移動され、代わりにそれ自体の四分円に配置されている状況を示している。ALAの全てのゾーンは、ここで(可動)正方形または円形の制限開口によって「サービスされる」ことができるため、そのような配置は、必要に応じて、付随するマスキングプレートの単純化を可能にする。
【符号の説明】
【0037】
1 照明器、粒子光学コラム
3 真空チャンバ
5 電子源
7 電極
9 開口プレート
9’’ 孔、開口
11 レンズ
13 レンズ
15 偏向ユニット
17 試料ホルダ
19 アクチュエータ
21 電圧源
23 検出器
25 中央開口
27 検出器
29 制御装置
31 表示ユニット
33 ビームセレクタ、選択装置
35a 領域
35b 領域
35c 領域
35d 領域
35e 領域
35f 領域
35g 領域
37a 制限開口、開口
37b 制限開口、開口
37c 制限開口、開口
37d 制限開口、開口
37e 制限開口、開口、丸孔
37f 制限開口、開口、丸孔
37g 制限開口、開口、丸孔
331 マスキングプレート
331’ ストリップ、可動ストリップ
331’’ アクチュエータ
332 ビーム偏向アセンブリ、偏向アセンブリ
B ビームアレイ
B’ 軸、光軸、粒子光軸
B’’ 成分ビーム
前駆ビーム、前駆電子ビーム、ビーム
M 顕微鏡
S 試料
ゾーン
ゾーン
ゾーン
ゾーン
中央ゾーン、ゾーン
ゾーン
ゾーン
ゾーン
ゾーン
図1
図2
図3
図4A
図4B