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特許7324355制御装置、制御システム、および開閉部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、および開閉部材
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
E05B47/00 Z
E05B47/00 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022176703
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2019056794の分割
【原出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2023002833
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】高木 雄太
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-229476(JP,A)
【文献】特開2017-120001(JP,A)
【文献】実開平05-002687(JP,U)
【文献】特開2014-165817(JP,A)
【文献】特開2012-186620(JP,A)
【文献】特開2007-321507(JP,A)
【文献】特表2018-524534(JP,A)
【文献】特開2011-014516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 47/00
G01N 27/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気によって変化する二酸化炭素濃度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記二酸化炭素濃度に基づいて対象装置の状態を制御する信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部によって生成された前記信号を前記対象装置に送信する通信部と、を備え、
前記信号生成部は、
前記二酸化炭素濃度が第1の条件を満たす場合に、前記対象装置を第2の状態に変化させる信号である第1の制御信号を生成し、
第2の条件が満たされる場合に、前記対象装置を第1の状態に変化させる信号である第2の制御信号を生成し、
前記第1の条件は、第1の閾値未満であった前記二酸化炭素濃度が前記第1の閾値以上になることを含み、
前記第2の条件は、第2の閾値以上であった前記二酸化炭素濃度が前記第2の閾値未満になることを含む、制御装置。
【請求項2】
前記第1の制御信号は、前記対象装置を前記第1の状態から前記第2の状態に変化させる信号である、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2の制御信号の生成は、前記第1の制御信号を生成した後で行われる、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1の閾値は、空気中の二酸化炭素濃度の参照値よりも大きく、且つ、呼気中の二酸化炭素濃度の参照値よりも小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2の条件は、第2の閾値以上であった前記二酸化炭素濃度が前記第2の閾値未満になってから所定時間が経過することをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第2の閾値は、空気中の二酸化炭素濃度の参照値よりも大きく、且つ、前記第1の閾値以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記対象装置は、開閉部材のロック装置である、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1の状態および前記第2の状態のうち、一方が前記開閉部材の開閉を抑制する施錠状態であり、他方が前記開閉部材の開閉を可能にする解錠状態である、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
開閉部材のロック装置と、
前記ロック装置の制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
呼気によって変化する二酸化炭素濃度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記二酸化炭素濃度に基づいて前記ロック装置の状態を制御する信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部によって生成された前記信号を前記ロック装置に送信する通信部と、を備え、
前記信号生成部は、
前記二酸化炭素濃度が第1の条件を満たす場合に、前記ロック装置を第2の状態に変化させる信号である第1の制御信号を生成し、
第2の条件が満たされる場合に、前記ロック装置を第1の状態に変化させる信号である第2の制御信号を生成し、
前記第1の条件は、第1の閾値未満であった前記二酸化炭素濃度が前記第1の閾値以上になることを含み、
前記第2の条件は、第2の閾値以上であった前記二酸化炭素濃度が前記第2の閾値未満になることを含み、
前記第1の状態および前記第2の状態のうち、一方が前記開閉部材の開閉を抑制する施錠状態であり、他方が前記開閉部材の開閉を可能にする解錠状態である、制御システム。
【請求項10】
ロック装置と、前記ロック装置の制御装置と、を備える開閉部材であって、
前記制御装置は、
呼気によって変化する二酸化炭素濃度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記二酸化炭素濃度に基づいて前記ロック装置の状態を制御する信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部によって生成された前記信号を前記ロック装置に送信する通信部と、を備え、
前記信号生成部は、
前記二酸化炭素濃度が第1の条件を満たす場合に、前記ロック装置を第2の状態に変化させる信号である第1の制御信号を生成し、
第2の条件が満たされる場合に、前記ロック装置を第1の状態に変化させる信号である第2の制御信号を生成し、
前記第1の条件は、第1の閾値未満であった前記二酸化炭素濃度が前記第1の閾値以上になることを含み、
前記第2の条件は、第2の閾値以上であった前記二酸化炭素濃度が前記第2の閾値未満になることを含み、
前記第1の状態および前記第2の状態のうち、一方が前記開閉部材の開閉を抑制する施錠状態であり、他方が前記開閉部材の開閉を可能にする解錠状態である、開閉部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は制御装置、制御システム、および開閉部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、幼い子供が勝手に開閉したり、操作したりすることを防止できる手段(以下、チャイルドロック)が知られている。チャイルドロックは、例えばドア、窓、扉、引き出し、コンセントおよび電化製品等に設けられる。
【0003】
例えば、特許文献1は、扉が閉止位置に在る時間が所定時間を超えると自動的にロック機構が施錠状態へ移行することによって、チャイルドロックの機能を確実に発揮させることができるロック機構を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-321507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばチャイルドロックにおいては、道具(例えば鍵)を用いることなく簡単な操作によって解除できることが好ましいが、意図的な操作以外で偶然に解除されることを回避する必要がある。近年、施錠状態および解錠状態を切り替えるチャイルドロックに限られず、制御対象となる装置の状態を制御する技術において、ユーザによる意図的な操作以外で制御が実施されてしまう蓋然性の低減が望まれていた。
【0006】
本開示は、制御対象となる装置の状態を制御する技術において、ユーザによる意図的な操作以外で制御が実施されてしまう蓋然性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、
呼気によって変化する二酸化炭素濃度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記二酸化炭素濃度に基づいて対象装置の状態を制御する信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部によって生成された前記信号を前記対象装置に送信する通信部と、を備え、
前記信号生成部は、
前記二酸化炭素濃度が第1の条件を満たす場合に、前記対象装置を第2の状態に変化させる信号である第1の制御信号を生成し、
第2の条件が満たされる場合に、前記対象装置を前記第1の状態に変化させる信号である第2の制御信号を生成し、
前記第1の条件は、第1の閾値未満であった前記二酸化炭素濃度が前記第1の閾値以上になることを含み、
前記第2の条件は、第2の閾値以上であった前記二酸化炭素濃度が前記第2の閾値未満になることを含む。
【0008】
本開示の一実施形態に係る制御システムは、
開閉部材のロック装置と、
前記ロック装置の制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
呼気によって変化する二酸化炭素濃度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記二酸化炭素濃度に基づいて前記ロック装置の状態を制御する信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部によって生成された前記信号を前記ロック装置に送信する通信部と、を含み、
前記信号生成部は、
前記二酸化炭素濃度が第1の条件を満たす場合に、前記ロック装置を第2の状態に変化させる信号である第1の制御信号を生成し、
第2の条件が満たされる場合に、前記ロック装置を第1の状態に変化させる信号である第2の制御信号を生成し、
前記第1の条件は、第1の閾値未満であった前記二酸化炭素濃度が前記第1の閾値以上になることを含み、
前記第2の条件は、第2の閾値以上であった前記二酸化炭素濃度が前記第2の閾値未満になることを含み、
前記第1の状態および前記第2の状態のうち、一方が前記開閉部材の開閉を抑制する施錠状態であり、他方が前記開閉部材の開閉を可能にする解錠状態である。
【0009】
本開示の一実施形態に係る開閉部材は、
ロック装置と、前記ロック装置の制御装置と、を備える開閉部材であって、
前記制御装置は、
呼気によって変化する二酸化炭素濃度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記二酸化炭素濃度に基づいて前記ロック装置の状態を制御する信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部によって生成された前記信号を前記ロック装置に送信する通信部と、を備え、
前記信号生成部は、
前記二酸化炭素濃度が第1の条件を満たす場合に、前記ロック装置を第2の状態に変化させる信号である第1の制御信号を生成し、
第2の条件が満たされる場合に、前記ロック装置を第1の状態に変化させる信号である第2の制御信号を生成し、
前記第1の条件は、第1の閾値未満であった前記二酸化炭素濃度が前記第1の閾値以上になることを含み、
前記第2の条件は、第2の閾値以上であった前記二酸化炭素濃度が前記第2の閾値未満になることを含み、
前記第1の状態および前記第2の状態のうち、一方が前記開閉部材の開閉を抑制する施錠状態であり、他方が前記開閉部材の開閉を可能にする解錠状態である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態によれば、制御対象となる装置の状態を制御する技術において、ユーザによる意図的な操作以外で制御が実施されてしまう蓋然性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】制御装置の動作を示すフローチャートである。
図3】制御装置を備える制御システムの具体例を示す図である。
図4】制御装置およびロック装置を備える開閉部材の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る制御装置10について説明する。本実施形態において、制御装置10は、制御の対象である装置(以下、「対象装置」ともいう。)の状態を制御するために用いられる。一例において、対象装置は、開閉部材のロック装置であるが、これに限られない。開閉部材は、例えばドア、窓、扉、または引き出しであるが、これらに限られない。ロック装置は、開閉部材の開閉を抑制する施錠状態、および開閉部材の開閉を可能にする解錠状態(すなわち、開閉部材の開閉の抑制を解除した状態)のいずれか一方の状態を取り得る。しかしながら、対象装置、および対象装置が取り得る状態は、当該例に限られず、任意に定められてもよい。対象装置の具体例については後述する。
【0014】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。ユーザは、制御装置10に向かって呼気を吹きかける。制御装置10は、COセンサを備えており、呼気によって変化する二酸化炭素濃度を検出する。一般的に、ユーザの呼気には、空気と比較して多くの二酸化炭素が含まれている。このため、呼気が吹きかけられているときに検出される二酸化炭素濃度は、呼気が吹きかけられていないときに検出される二酸化炭素濃度よりも高くなる。
【0015】
制御装置10は、検出された二酸化炭素濃度が第1の条件を満たす場合に、対象装置を第1の状態から第2の状態に変化させる信号である第1の制御信号を生成して、対象装置に送信する。例えば、所定の閾値未満であった二酸化炭素濃度が当該閾値以上になると、対象装置であるロック装置を施錠状態から解錠状態に変化させる第1の制御信号が生成および送信される。
【0016】
そして、制御装置10は、第1の制御信号を生成した後で、第2の条件が満たされる場合に、対象装置を第2の状態から第1の状態に変化させる信号である第2の制御信号を生成して、対象装置に送信する。例えば、第1の制御信号を生成した後で、所定の閾値以上であった二酸化炭素濃度が当該閾値未満になると、対象装置であるロック装置を解錠状態から施錠状態に変化させる第2の制御信号が生成および送信される。
【0017】
かかる構成によれば、ユーザは、制御装置10に呼気を吹きかける操作によって、制御対象である対象装置を第1の状態から第2の状態に切り替えることができる。またユーザは、制御装置10に呼気を吹きかける操作を終了することによって、対象装置を第2の状態から第1の状態に戻すことができる。例えばボタンの押下またはタッチスクリーンに対するタッチ等の、装置に対する一般的な操作と比較して、制御装置10に向かって呼気を吹きかける操作は、ユーザが意図せずに実施してしまう蓋然性が低い。したがって、制御対象となる装置の状態を制御する技術において、ユーザによる意図的な操作以外で制御が実施されてしまう蓋然性を低減することができる。
【0018】
次に、制御装置10の構成について、詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、制御装置10は、検出部11と、信号生成部12と、通信部13と、を備える。
【0020】
検出部11は、二酸化炭素濃度を検出するCOセンサを含む。本実施形態において「COセンサ」は、例えば非分散型赤外線分析法を用いたガスセンサまたは電気化学式ガスセンサであるが、これらに限られず、二酸化炭素濃度を検出可能な任意のセンサであってもよい。COセンサは、常時、または任意の時間間隔(例えば、1秒間隔)で、二酸化炭素の動を検出可能である。検出部11は、COセンサが外気またはユーザが制御装置10に向かって吹きかけた呼気に暴露されるように、制御装置10に設けられる。具体的には、COセンサは、制御装置10の外観に露出して設けられてもよく、あるいは制御装置10に設けられた開口の近傍に設けられてもよい。上述したように、呼気が吹きかけられているとき(すなわち、呼気に暴露されているとき)に検出される二酸化炭素濃度は、呼気が吹きかけられていないとき(すなわち、外気に暴露されているとき)に検出される二酸化炭素濃度よりも高くなる。本実施形態において、検出部11は、呼気によって変化する二酸化炭素濃度を検出可能である。
【0021】
信号生成部12は、1つ以上のメモリおよび1つ以上のプロセッサを含む。本実施形態において「メモリ」は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、または光メモリ等であるが、これらに限られない。信号生成部12に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、またはキャッシュメモリとして機能してもよい。信号生成部12に含まれるメモリは、制御装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。また、本実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限られない。
【0022】
本実施形態において、信号生成部12は、検出部11によって検出された二酸化炭素濃度に基づいて、対象装置の状態を制御する信号を生成する。以下、具体的に説明する。
【0023】
信号生成部12は、二酸化炭素濃度が第1の条件を満たすか否かを判定する。第1の条件は、例えば、第1の閾値th1未満であった二酸化炭素濃度が当該第1の閾値th1以上になることを含むが、これに限られない。例えば、第1の条件は、第1の閾値th1未満であった二酸化炭素濃度が当該第1の閾値th1以上になった後、第1の閾値th1以上である状態が所定時間継続したことをさらに含んでもよい。
【0024】
ここで、第1の閾値th1は、空気中の二酸化炭素濃度の参照値(以下、「空気中参照値」ともいう。)よりも大きく、且つ、呼気中の二酸化炭素濃度の参照値(以下、「呼気中参照値」ともいう。)よりも小さい範囲において、任意に定められてもよい。本実施形態において「空気中参照値」は、人間の一般的な生活環境における空気中の二酸化炭素濃度とみなすことができる値である。例えば、空気中参照値は、換気された屋内における一般的な二酸化炭素濃度とされる250ppm以上1000ppm以下の任意の値であるが、これに限られず、実用上空気中の二酸化炭素濃度とみなすことができる任意の値であってもよい。一方、本実施形態において「呼気中参照値」は、呼気中の二酸化炭素濃度とみなすことができる値である。例えば、呼気中参照値は、人間の呼気における一般的な二酸化炭素濃度とされる20000ppm以上60000ppm以下の任意の値であるが、これに限られず、実用上呼気中の二酸化炭素濃度とみなすことができる任意の値であってもよい。かかる場合、第1の閾値th1未満であった二酸化炭素濃度が当該第1の閾値以上になることは、ユーザが制御装置10に呼気を吹きかける操作を実施したことを示唆する。一例において、第1の閾値th1は、二酸化炭素濃度の空気中参照値よりも十分大きくなるように定められてもよい。本実施形態では、第1の閾値th1は、例えば20000ppmである。
【0025】
信号生成部12は、二酸化炭素濃度が第1の条件を満たすと判定した場合に、対象装置を第1の状態から第2の状態に変化させる第1の制御信号を生成する。かかる構成によれば、ユーザは、制御装置10に呼気を吹きかける操作によって、対象装置の状態を第1の状態から第2の状態に変化させることができる。
【0026】
また、信号生成部12は、上記の第1の制御信号を生成した後で、第2の条件が満たされるか否かを判定する。例えば、第2の条件は、第2の閾値th2以上であった二酸化炭素濃度が当該第2の閾値th2未満になることを含むが、これに限られない。例えば、第2の条件は、第2の閾値th2以上であった二酸化炭素濃度が当該第2の閾値th2未満になってから所定時間が経過することをさらに含んでもよい。
【0027】
ここで、第2の閾値th2は、二酸化炭素濃度の空気中参照値よりも大きく、且つ、二酸化炭素濃度の呼気中参照値よりも小さい範囲において、任意に定められてもよい。かかる場合、第2の閾値th2以上であった二酸化炭素濃度が当該第2の閾値th2未満になることは、ユーザが制御装置10に呼気を吹きかける操作を終了したことを示唆する。一例において、第2の閾値th2は、二酸化炭素濃度の空気中参照値よりも大きく、且つ、第1の閾値th1以下となるように定められてもよい。かかる構成によれば、検出部11によって検出された二酸化炭素濃度が第1の条件を満たした後(すなわち、第1の制御信号が生成された後)、ユーザが制御装置10に呼気を吹きかける操作を終了することによって第2の条件が満たされる確実性(すなわち、第2の制御信号が生成される確実性)が向上する。逆にいえば、検出部11によって検出された二酸化炭素濃度が第1の条件を満たした後(すなわち、第1の制御信号が生成された後)、ユーザが制御装置10に呼気を吹きかける操作を終了しても第2の条件が満たされない(すなわち、第2の制御信号が生成されない)という不都合の発生する蓋然性が低減する。本実施形態では、第2の閾値th2は、例えば10000ppmである。
【0028】
あるいは、第2の閾値th2は、人間の呼気における一般的な二酸化炭素濃度とされる20000ppm以上60000ppm以下の範囲において、任意に定められてもよい。かかる場合も、第2の閾値th2以上であった二酸化炭素濃度が当該第2の閾値th2未満になることは、ユーザが制御装置10に呼気を吹きかける操作を終了したことを示唆する。なお、第2の閾値th2は、第1の閾値th1より大きくてもよい。
【0029】
第2の条件は、上述の例に限られない。例えば、第2の条件は、二酸化炭素濃度が第1の条件を満たすと判定してから(例えば、第1の閾値th1未満であった二酸化炭素濃度が当該第1の閾値th1以上になってから)所定時間が経過することを含んでもよい。二酸化炭素濃度が第1の条件を満たすと判定してから所定時間が経過することは、例えば、ユーザが制御装置10に呼気を吹きかける操作を実施してから所定時間が経過したことを示唆する。
【0030】
信号生成部12は、第2の条件が満たされると判定した場合に、対象装置を第2の状態から第1の状態に変化させる第2の制御信号を生成する。例えば、対象装置であるロック装置を解錠状態から施錠状態に変化させる第2の制御信号が生成される。
【0031】
通信部13は、対象装置と有線または無線により通信する通信モジュールを含む。有線により通信する通信モジュールは、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルもしくは専用線等を介して通信する通信モジュールであるが、これらに限られない。無線により通信する通信モジュールは、例えばWifi(登録商標)等の無線通信規格に対応する通信モジュールであるが、これに限られない。通信部13は、対象装置と直接的に通信可能であってもよく、または、例えばネットワークハブもしくは無線アクセスポイント等の機器を介して対象装置と通信可能であってもよい。
【0032】
本実施形態において、通信部13は、信号生成部12によって生成された信号を対象装置に送信する。具体的には、通信部13は、信号生成部12が第1の制御信号または第2の制御信号を生成すると、当該信号を対象装置に送信する。対象装置は、第1の制御信号を受信すると、自装置を第1の状態から第2の状態に変化させる。一方、対象装置は、第2の制御信号を受信すると、自装置を第2の状態から第1の状態に変化させる。
【0033】
次に、図2を参照して、制御装置10の動作のフローについて説明する。
【0034】
ステップS100:検出部11は、呼気によって変化する二酸化炭素濃度の検出を開始する。
【0035】
ステップS101:信号生成部12は、検出部11によって検出された二酸化炭素濃度が第1の条件を満たすか否かを判定する。例えば、信号生成部12は、第1の閾値th1未満であった二酸化炭素濃度が当該第1の閾値th1以上になると、二酸化炭素濃度が第1の条件を満たすと判定してもよい。二酸化炭素濃度が第1の条件を満たすと判定した場合(ステップS101-Yes)、プロセスはステップS102に進む。一方、二酸化炭素濃度が第1の条件を満たさないと判定した場合(ステップS101-No)、プロセスはステップS101を繰り返す。
【0036】
ステップS102:信号生成部12は、対象装置を第1の状態から第2の状態に変化させる第1の制御信号を生成する。そして通信部13は、第1の制御信号を対象装置へ送信する。
【0037】
ステップS103:第1の制御信号を生成した後で、信号生成部12は、第2の条件が満たされるか否かを判定する。例えば、信号生成部12は、第2の閾値th2以上であった二酸化炭素濃度が当該第2の閾値th2未満になると、第2の条件が満たされると判定してもよい。第2の条件が満たされると判定した場合(ステップS103-Yes)、プロセスはステップS104に進む。一方、第2の条件が満たされないと判定した場合(ステップS103-No)、プロセスはステップS103を繰り返す。
【0038】
ステップS104:信号生成部12は、対象装置を第2の状態から第1の状態に変化させる第2の制御信号を生成する。そして通信部13は、第2の制御信号を対象装置へ送信する。その後、プロセスはステップS101に戻る。
【0039】
以上述べたように、本実施形態に係る制御装置10は、呼気によって変化する二酸化炭素濃度を検出し、検出した二酸化炭素濃度が第1の条件を満たす場合に、対象装置を第1の状態から第2の状態に変化させる第1の制御信号を生成する。また、制御装置10は、第1の制御信号を生成した後で、第2の条件が満たされる場合に、対象装置を第2の状態から第1の状態に変化させる第2の制御信号を生成する。かかる構成によれば、ユーザは、制御装置10に呼気を吹きかける操作によって、制御対象である対象装置を第1の状態から第2の状態に切り替えることができる。またユーザは、制御装置10に呼気を吹きかける操作を終了することによって、対象装置を第2の状態から第1の状態に戻すことができる。例えばボタンの押下またはタッチスクリーンに対するタッチ等の、装置に対する一般的な操作と比較して、制御装置10に向かって呼気を吹きかける操作は、ユーザが意図せずに実施してしまう蓋然性が低い。したがって、制御対象となる装置の状態を制御する技術において、ユーザによる意図的な操作以外で制御が実施されてしまう蓋然性を低減することができる。
【0040】
本発明を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段または各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段またはステップ等を1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、対象装置として、施錠状態または解錠状態を取り得るロック装置を例に説明した。しかしながら、対象装置、および対象装置が取り得る状態は、これに限られない。
【0042】
具体的には、対象装置は、電子レンジまたは電磁加熱器等の家電装置であってもよい。家電装置は、少なくとも1つの操作(例えば、加熱を開始する操作等)を可能にする非ロック状態、および当該操作を禁止するロック状態のいずれか一方の状態を取り得る。かかる場合、上述した実施形態における「第1の状態」および「第2の状態」のうち、一方がロック状態であり、他方が非ロック状態である。一例において、「第1の状態」がロック状態であり、「第2の状態」が非ロック状態であってもよい。
【0043】
あるいは、対象装置は、コンセント装置であってもよい。コンセント装置は、プラグの挿入を可能にし、または挿入されたプラグに給電する給電状態、および、プラグの挿入を阻害し、または挿入されたプラグに対する給電を停止する非給電状態のいずれか一方の状態を取り得る。かかる場合、上述した実施形態における「第1の状態」および「第2の状態」のうち、一方が非給電状態であり、他方が給電状態である。一例において、「第1の状態」が非給電状態であり、「第2の状態」が給電状態であってもよい。
【0044】
また、上述した実施形態では、制御装置10と対象装置が別々に設けられる構成について説明した。しかしながら、制御装置10と対象装置とが1つの装置として実現される構成も可能である。
【0045】
また、本実施形態に係る発明は、制御装置10および対象装置を少なくとも備える制御システムとしても実現可能である。図3を参照して、本実施形態に係る制御装置10を備える制御システムAの具体例について説明する。制御システムAは、制御装置10と、開閉部材20のロック装置30と、を備える。ロック装置30は、上述した実施形態に係る対象装置に相当する。制御システムAは、開閉部材20をさらに備えてもよい。
【0046】
制御装置10は、開閉部材20の近傍において、例えば壁面に設けられてもよい。制御装置10は、例えば子供が呼気を吹きかけにくい位置(例えば、170cm程度の高さの位置)に設けられてもよい。図3に示す開閉部材20はドアであるが、上述したように、開閉部材20は開閉可能な任意の部材であってもよい。ロック装置30は、例えば壁の内部に設けられてもよい。ロック装置30は、開閉部材20の開閉を抑制する施錠状態、および開閉部材20の開閉を可能にする解錠状態のいずれか一方の状態を取り得る。開閉部材20の開閉の抑制およびその解除は、例えばデッドボルト等の施錠部材をアクチュエータで駆動することにより実施可能である。なお、制御システムAにおいて、制御装置10およびロック装置30の一方が、壁ではなく開閉部材20に設けられてもよい。
【0047】
ここで、制御システムAは、複数の制御装置10を備えてもよい。かかる場合、ロック装置30は、複数の制御装置10のうち規定数以上の制御装置10から第1の制御信号を受信すると、自装置を施錠状態から解錠状態に変化させる。規定数は、2以上の任意の整数である。一例において、ロック装置30は、全ての制御装置10から第1の制御信号を受信すると、自装置を施錠状態から解錠状態に変化させてもよい。同様に、ロック装置30は、複数の制御装置10のうち規定数以上の制御装置10から第2の制御信号を受信すると、自装置を解錠状態から施錠状態に変化させる。一例において、ロック装置30は、全ての制御装置10から第2の制御信号を受信すると、自装置を解錠状態から施錠状態に変化させてもよい。かかる構成によれば、例えば規定数の人間が規定数の制御装置10にそれぞれ呼気を吹きかけることにより、開閉部材20を解錠することができる。逆にいえば、規定数の制御装置10にそれぞれ呼気を吹きかける規定数の人間が集まらない限り、開閉部材20を解錠できないようにすることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る発明は、制御装置10およびロック装置30を備える開閉部材20としても実現可能である。図4を参照して、本実施形態に係る開閉部材20の具体例について説明する。図4に示す開閉部材20はドアであるが、上述したように、開閉部材20は開閉可能な任意の部材であってもよい。制御装置10は、例えば子供が呼気を吹きかけにくい位置(例えば、170cm程度の高さの位置)に設けられてもよい。ロック装置30は、開閉部材20の任意の位置に設けられる。ロック装置30は、開閉部材20の外観にあらわれるように設けられてもよく、開閉部材20に内蔵されてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態において、第2の条件が、第2の閾値th2以上であった二酸化炭素濃度が当該第2の閾値th2未満になること、および第2の閾値th2以上であった二酸化炭素濃度が当該第2の閾値th2未満になってから所定時間が経過することを含む例について説明した。また、第2の条件が、二酸化炭素濃度が第1の条件を満たすと判定してから(例えば、第1の閾値th1未満であった二酸化炭素濃度が当該第1の閾値th1以上になってから)所定時間が経過することを含む例について説明した。当該2つの例における「所定時間」は、例えば予め決定されていてもよく、あるいは、ユーザの呼気に基づいて動的に決定されてもよい。例えば、信号生成部12は、検出部11によって検出された二酸化炭素濃度が第1の条件を満たすと判定した場合、第1の閾値th1未満であった二酸化炭素濃度が当該第1の閾値th1以上になった後、第1の閾値th1以上である状態が継続した継続時間を測定する。信号生成部12は、当該継続時間に基づいて、上述の「所定時間」を決定する。例えば、信号生成部12は、当該継続時間が長いほど、上述の「所定時間」を長くしてもよい。かかる構成によれば、ユーザは、例えば制御装置10に呼気を吹きかける強さおよび/または時間を調節することで、対象装置が第2の状態から第1の状態に戻るまでの時間を調整可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 制御装置
11 検出部
12 信号生成部
13 通信部
20 開閉部材
30 ロック装置
A 制御システム
図1
図2
図3
図4