IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産化学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-バンクパターンの形成方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】バンクパターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/095 20060101AFI20230803BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20230803BHJP
   G03F 7/023 20060101ALI20230803BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20230803BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20230803BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230803BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230803BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20230803BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20230803BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230803BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230803BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230803BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
G03F7/095
G03F7/004 501
G03F7/023
G03F7/033
G03F7/075 511
G03F7/004 505
H05B33/10
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/02
H01L21/30 573
G03F7/20 521
G09F9/00 338
G09F9/30 349Z
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2018240129
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020101697
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 昇志郎
(72)【発明者】
【氏名】大村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】稲見 佳代
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-129344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/095
G03F 7/004
G03F 7/023
G03F 7/033
G03F 7/075
H05B 33/10
H10K 50/10
H05B 33/12
H05B 33/22
H10K 59/10
H05B 33/02
H01L 21/027
G03F 7/20
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にバンクと該バンクによって区画された領域とを形成する方法であって、該バンクによって区画された領域に有機薄膜を形成するためのバンクパターンの形成方法において、
基板上に直接または他の層を介して、下記(A)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する第一の感光性樹脂組成物を塗布して、下層膜を設ける下層膜形成工程と、
該下層膜上に、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有する第二の感光性樹脂組成物を塗布して、レジスト膜を設けるレジスト膜形成工程と、
該レジスト膜を露光しそして現像することにより、バンクを形成し、その現像過程において非バンク部の下層膜が非バンク部のレジスト膜と共に除去されるバンク形成工程とを含むバンクパターンの形成方法。
(A)成分:アミド基を有するアルカリ可溶性樹脂(該アミド基はアクリルアミド、メタクリルアミドから選ばれる少なくとも1つのモノマーに由来する)、
(C)成分:溶剤、
(D)成分:感光剤、
(a)成分:アルカリ可溶性樹脂、
(b)成分:微粒子、
(c)成分:溶剤、
(d)成分:感光剤
【請求項2】
上記(b)成分は無機微粒子である請求項1に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項3】
上記(b)成分は着色剤を含む微粒子である請求項1に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項4】
上記(b)成分は、無機微粒子である場合に、その平均一時粒子径が5nm~100nmであり、有機微粒子である場合に、平均粒径が5nm~1000nmである請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項5】
前記第一の感光性樹脂組成物は、下記(Z1)乃至(Z4)のうち少なくともいずれか1つを満足する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
(Z1):(E)成分である架橋剤をさらに含有する;
(Z2):(A)成分のアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、自己架橋性基をさらに有するか、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基をさらに有する;
(Z3):(D)成分が(D-2)である光ラジカル発生剤であり、さらに(F)成分として、エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を含有する;
(Z4):(D)成分が(D-3)である光酸発生剤であり、さらに(G)成分として、(D)成分より発生した酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を含有する
【請求項6】
前記第二の感光性樹脂組成物は、下記(z1)乃至(z4)のうち少なくともいずれか1つを満足する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
(z1):(e)成分である架橋剤をさらに含有する;
(z2):(a)成分のアルカリ可溶性樹脂が、自己架橋性基をさらに有するか、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基をさらに有する;
(z3):(d)成分が(d-2)である光ラジカル発生剤であり、さらに(f)成分として、エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を含有する;
(z4):(d)成分が(d-3)である光酸発生剤であり、さらに(g)成分として、(d)成分より発生した酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を含有する
【請求項7】
(D)および/または(d)成分がキノンジアジド化合物である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項8】
(D)成分がキノンジアジド化合物であり、さらに、前記(Z1)および/または(Z2)のいずれかを満足する請求項5に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項9】
(d)成分がキノンジアジド化合物であり、さらに、前記(z1)および/または(z2)のいずれかを満足する請求項6に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項10】
(D)成分がジアゾナフトキノンである請求項8に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項11】
(d)成分がジアゾナフトキノンである請求項9に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項12】
第二の感光性樹脂組成物に、さらに下記(h)成分を含む請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
(h)成分:撥液性基(h1)を有する重合体
【請求項13】
(h)成分が更に、下記(h2)を有する重合体である請求項12に記載のバンクパターンの形成方法。
(h2):N-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる少なくとも1つの基
【請求項14】
(h)成分が更に、下記(h3)を有する重合体である請求項12または13に記載のバンクパターンの形成方法。
(h3):ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基
【請求項15】
(h)成分の前記撥液性基(h1)が炭素原子数3乃至10のフルオロアルキル基、ポリフルオロエーテル基、シリルエーテル基及び式5で表されるポリシロキサン基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である請求項12乃至請求項14いずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
-(SiR-O)-SiR・・・式5
(ただし、R、Rは独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、Rは水素または炭素原子数1乃至10の有機基を表し、nは1乃至200の整数を表す。)
【請求項16】
(h)成分の重合体がアクリル重合体である請求項12乃至請求項15のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項17】
(h)成分のアクリル重合体の数平均分子量がポリスチレン換算で2,000乃至100,000である請求項16に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項18】
100質量部の(a)成分に、(h)成分が0.1質量部乃至20質量部を占めることを特徴とする請求項12乃至請求項17のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項19】
(a)成分が撥液性基(h1)を有する樹脂であり、(h)成分を含まない請求項1乃至請求項11のいずれか一項記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項20】
100質量部の(a)成分中に撥液性基(h1)を有する重合単位が5質量部乃至30質量部を占めることを特徴とする請求項19に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項21】
(A)成分のアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂および/または(a)成分のアルカリ可溶性樹脂の数平均分子量がポリスチレン換算で2,000乃至50,000である請求項1乃至請求項20のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項22】
(a)成分100質量部に対して5質量部乃至500質量部の(b)成分を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項23】
(A)成分の100質量部に対して、(E)成分が1質量部乃至50質量部であることを特徴とする請求項5乃至請求項22のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項24】
前記他の層が有機エロクトロルミネッセンスの正孔注入層である請求項1乃至請求項23のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
【請求項25】
基板上にバンクと該バンクによって区画された領域とを有するバンクパターンであって、
該バンクは、基板側から少なくとも、基板と、下記(A)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する第一の感光性樹脂組成物からなる下層膜と、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有する第二の感光性樹脂組成物からなるレジスト膜とを有し、該バンクによって区画された領域は、前記下層膜及び前記レジスト膜を有しないバンクパターン。
(A)成分:アミド基を有するアルカリ可溶性樹脂(該アミド基はアクリルアミド、メタクリルアミドから選ばれる少なくとも1つのモノマーに由来する)、
(C)成分:溶剤、
(D)成分:感光剤、
(a)成分:アルカリ可溶性樹脂、
(b)成分:微粒子、
(c)成分:溶剤、
(d)成分:感光剤
【請求項26】
請求項25に記載のバンクパターンを有する表示素子。
【請求項27】
請求項25に記載のバンクパターンを画像形成用隔壁として有する表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物から得られる硬化膜のバンクパターンの形成方法に関する。この感光性樹脂組成物を用いた硬化膜のバンクパターンの形成方法は、特に液晶ディスプレイやELディスプレイにおける層間絶縁膜、インクジェット方式に対応した遮光壁または隔壁を形成する方法として好適である。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機EL(electroluminescent)素子等のディスプレイ素子の作製工程においてインクジェットを用いたフルカラー表示基板作製技術が近年活発に検討されている。たとえば液晶表示素子におけるカラーフィルタ作製に関しては、従来の印刷法、電着法、染色法または顔料分散法に対して、あらかじめパターニングされた画素を規定する区画(以下バンクという)を、光を遮断する感光性樹脂層で形成し、このバンクに囲まれた領域にインク滴を滴下するカラーフィルタおよびその製造方法(特許文献1)などが提案されている。また有機EL表示素子においてもあらかじめバンクを作製し、同様に発光層となるインクを滴下し、有機EL表示素子を作製する方法(特許文献2)が提案されている。
【0003】
また、有機EL表示装置におけるコントラストを高め、視認性を向上させる目的で、バンク材料に顔料を混合して遮光性を持たせる試みがなされている。また、バンク材料の解像度を向上させる目的でバンク材料に微粒子を混合する試みがなされている。また、感光性樹脂組成物の屈折率や透明性の向上を目的として微粒子を混合する試みがなされている。しかしながら、これらの方法ではいずれも添加した顔料や微粒子の残渣がパターン開口部に残存し、有機EL表示装置の不良の原因となる問題があった。
【0004】
バンクにおける開口部の残渣を抑制する方法として、撥液性を有するバンク材料の下層に親水性化合物を含有する層を設け、上層のバンク材料とともに現像除去することによってバンク材料の成分により親液性を有するべきバンク開口部が汚染されることを防ぐ方法が提案されている(特許文献5~7)。しかしながら、この方法では下層の親水性が高いために吸湿が起こりやすく、パターンが剥離する等の問題があった。
【0005】
バンクにおける開口部の残渣を抑制する方法として、撥液性を有するバンク材料の下層に有機層を設け、上層のバンク材料でパターンを形成した後にドライエッチング工程により下層を除去することによってバンク開口部の親液性を向上する方法が提案されている(特許文献8)。しかしながら、この方法では工程が煩雑になる問題があった。
【0006】
また、積層した二層の有機層に対して一度の露光工程、一度の現像工程を行うことによりパターンを形成方法として特許文献9、特許文献10が提案されている。しかしながら、これらはいずれもパターン開口部の残渣の抑制を目的としたものではなかった。また、特許文献9の方法では下層の有機層が感光性を有していないため、パターンの寸法を制御するためには精密な工程制御が必要であった。特許文献10の方法では露光工程の後に加熱処理を行う必要があり、工程が煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-187111号公報
【文献】特開平11-54270号公報
【文献】特開2000-353594号公報
【文献】特開平10-197715号公報
【文献】特開2010-33925号公報
【文献】特開2010-73340号公報
【文献】特開2010-129344号公報
【文献】特開2011-216250号公報
【文献】特許第4182358号公報
【文献】特許第5083566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、表示素子の性能を向上し得る顔料や微粒子を含有するバンク、プロセス的に簡便で生産コスト的にも有利な撥液性のバンクを用いても、バンク以外の領域に顔料や微粒子、撥液性のレジスト材料の成分などの残渣が残りにくいバンクパターンの形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、基板上に直接または他の層を介して、アミド基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有する第一の感光性樹脂組成物を塗布して下層膜を設け、この下層膜上に、撥液成分である重合体や微粒子を含有する第二の感光性樹脂組成物を、塗布してレジスト膜を設け、レジスト膜を露光および現像することによりバンクを形成する。この現像過程において、非バンク部の下層膜が、非バンク部のレジスト膜とともに除去されることで、基板上に撥液成分や微粒子等を含むレジスト膜残渣を低減させ開口部の親液性を維持したまま膜表面に撥水性と撥液性を効率的に付与できることを見出し、本発明を完成させた。
ここで、基板上にバンクが所在する領域はバンク部とし、バンク以外の領域は非バンク部とする。
【0010】
即ち、本発明は以下に関する。
1.基板上にバンクと該バンクによって区画された領域とを形成する方法であって、該バンクによって区画された領域に有機薄膜を形成するためのバンクパターンの形成方法において、
基板上に直接または他の層を介して、下記(A)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する第一の感光性樹脂組成物を塗布して、下層膜を設ける下層膜形成工程と、
該下層膜上に、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有する第二の感光性樹脂組成物を塗布して、レジスト膜を設けるレジスト膜形成工程と、
該レジスト膜を露光しそして現像することにより、バンクを形成し、その現像過程において非バンク部の下層膜が非バンク部のレジスト膜と共に除去されるバンク形成工程とを含むバンクパターンの形成方法。
(A)成分:アミド基を有するアルカリ可溶性樹脂、
(C)成分:溶剤、
(D)成分:感光剤、
(a)成分:アルカリ可溶性樹脂、
(b)成分:微粒子、
(c)成分:溶剤、
(d)成分:感光剤。
2.(b)成分は無機微粒子である上記1に記載のバンクパターンの形成方法。
3.(b)成分は着色剤を含む微粒子である上記1に記載のバンクパターンの形成方法。4.(b)成分の平均粒子径が5nm~1000nmである上記1乃至上記3のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
5.前記第一の感光性樹脂組成物は、下記(Z1)乃至(Z4)のうち少なくともいずれか1つを満足する上記1乃至上記4のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
(Z1):(E)成分である架橋剤をさらに含有する;
(Z2):(A)成分のアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、自己架橋性基をさらに有するか、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基をさらに有する;
(Z3):(D)成分が(D-2)である光ラジカル発生剤であり、さらに(F)成分として、エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を含有する;
(Z4):(D)成分が(D-3)である光酸発生剤であり、さらに(G)成分として、(D)成分より発生した酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を含有する
6.前記第二の感光性樹脂組成物は、下記(z1)乃至(z4)のうち少なくともいずれか1つを満足する上記1乃至上記5のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。(z1):(e)成分である架橋剤をさらに含有する;
(z2):(a)成分のアルカリ可溶性樹脂が、自己架橋性基をさらに有するか、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基をさらに有する;
(z3):(d)成分が(d-2)である光ラジカル発生剤であり、さらに(f)成分として、エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を含有する;
(z4):(d)成分が(d-3)である光酸発生剤であり、さらに(g)成分として、(d)成分より発生した酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を含有する
7.(D)および/または(d)成分がキノンジアジド化合物である上記1乃至上記4のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
8.(D)成分がキノンジアジド化合物であり、さらに、前記(Z1)および/または(Z2)のいずれかを満足する上記5に記載のバンクパターンの形成方法。
9.(d)成分がキノンジアジド化合物であり、さらに、前記(z1)および/または(z2)のいずれかを満足する上記6に記載のバンクパターンの形成方法。
10.(D)成分がジアゾナフトキノンである上記8に記載のバンクパターンの形成方法。
11.(d)成分がジアゾナフトキノンである上記9に記載のバンクパターンの形成方法。
12.第二の感光性樹脂組成物に、さらに下記(h)成分を含む上記1乃至上記11のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
(h)成分:撥液性基(h1)を有する重合体、
13.(h)成分が更に、下記(h2)を有する重合体である上記12に記載のバンクパターンの形成方法。
(h2):N-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる少なくとも1つの基。
14.(h)成分が更に、下記(h3)を有する重合体である上記12または13に記載のバンクパターンの形成方法。
(h3):ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基。
15.(h)成分の前記撥液性基(h1)が炭素原子数3乃至10のフルオロアルキル基、ポリフルオロエーテル基、シリルエーテル基及び式5で表されるポリシロキサン基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である上記12乃至上記14いずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
-(SiR-O)-SiR・・・式5
(ただし、R、Rは独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、Rは水素または炭素原子数1乃至10の有機基を表し、nは1乃至200の整数を表す。)。
16.(h)成分の重合体がアクリル重合体である上記12乃至上記15のいずれか一項
に記載のバンクパターンの形成方法。
17.(h)成分のアクリル重合体の数平均分子量がポリスチレン換算で2,000乃至100,000である上記16に記載のバンクパターンの形成方法。
18.100質量部の(a)成分に、(h)成分が0.1質量部乃至20質量部を占めることを特徴とする上記12乃至上記17のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
19.(a)成分が撥液性基(h1)を有する樹脂であり、(h)成分を含まない上記1乃至上記11のいずれか一項記載のバンクパターンの形成方法。
20.100質量部の(a)成分中に撥液性基(h1)を有する重合単位が5質量部乃至30質量部を占めることを特徴とする上記19に記載のバンクパターンの形成方法。
21.(A)成分のアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂および/または(a)成分のアルカリ可溶性樹脂の数平均分子量がポリスチレン換算で2,000乃至50,000である上記1乃至上記20のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
22.(a)成分100質量部に対して5質量部乃至500質量部の(b)成分を含有することを特徴とする上記1乃至上記21のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
23.(A)成分の100質量部に対して、(E)成分が1質量部乃至50質量部であることを特徴とする上記5乃至上記22のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
24.前記他の層が有機エロクトロルミネッセンスの正孔注入層である上記1乃至上記23のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法。
25.上記1乃至上記24のいずれか一項に記載のバンクパターンの形成方法により形成された硬化膜。
26.上記25に記載の硬化膜を有する表示素子。
27.上記25に記載の硬化膜を画像形成用隔壁として有する表示素子。
28.下記(A)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する、レジスト膜の下層膜形成用感光性樹脂組成物。
(A)成分:アミド基を有するアルカリ可溶性樹脂、
(C)成分:溶剤、
(D)成分:感光剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明のバンクパターンの形成方法によれば、表示素子の性能を向上し得る顔料や微粒子を含有するバンク、プロセス的に簡便で生産コスト的にも有利な撥液性のバンクを用いても、非バンク部にある基板表面への撥液性成分や微粒子などのレジスト材料の残渣を抑制することで、基板表面の親液性が向上するバンクパターンを形成できる。つまり、バンクで区画された領域内に均一な有機薄膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、基板上にバンクと該バンクによって区画された領域とを形成する製造方法を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のバンクパターンの形成方法の詳細を説明する。
本発明のバンクパターンの形成方法は、基板上にバンクと該バンクによって区画された領域とを形成する方法であって、該バンクによって区画された領域に有機薄膜を形成するためのバンクパターンの形成方法において、
基板上に直接または他の層を介して、下記(A)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する第一の感光性樹脂組成物を塗布して、下層膜を設ける下層膜形成工程と、
該下層膜上に、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有する第二
の感光性樹脂組成物を塗布して、レジスト膜を設けるレジスト膜形成工程と、
該レジスト膜を露光しそして現像することにより、バンクを形成し、その現像過程において非バンク部の下層膜が非バンク部のレジスト膜と共に除去されるバンク形成工程とを含むバンクパターンの形成方法である。
(A)成分:アミド基を有するアルカリ可溶性樹脂
(C)成分:溶剤
(D)成分:感光剤
(a)成分:アルカリ可溶性樹脂
(b)成分:微粒子
(c)成分:溶剤
(d)成分:感光剤
【0014】
本発明の第二の感光性樹脂組成物は、(b)成分が無機微粒子であることが好ましい。
本発明の第二の感光性樹脂組成物は、(b)成分が着色剤を含む微粒子であることが好ましい。
本発明の第二の感光性樹脂組成物は、(b)成分の平均粒子径が1nm~1000nmであることが好ましい。
【0015】
本発明の第一の感光性樹脂組成物は、更に下記(Z1)乃至(Z4)の少なくともいずれか1つを満足することが好ましい。
(Z1):(E)成分である架橋剤をさらに含有する;、
(Z2):(A)成分のアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、自己架橋性基をさらに有するか、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基をさらに有する;
(Z3):(D)成分が(D-2)である光ラジカル発生剤であり、さらに(F)成分として、エチレン性重合性基を2個以上有する化合物を含有する;
(Z4):(D)成分が(D-3)である光酸発生剤であり、さらに(G)成分として、(D-3)成分より発生した酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を含有する。
【0016】
本発明の第二の感光性樹脂組成物は、更に下記(z1)乃至(z4)の少なくともいずれか1つを満足することが好ましい。
(z1):(e)成分である架橋剤をさらに含有する;、
(z2):(a)成分のアルカリ可溶性樹脂が、自己架橋性基をさらに有するか、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基をさらに有する;
(z3):(d)成分が(d-2)である光ラジカル発生剤であり、さらに(f)成分として、エチレン性重合性基を2個以上有する化合物を含有する;
(z4):(d)成分が(d-3)である光酸発生剤であり、さらに(g)成分として、(d-3)成分より発生した酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を含有する。
【0017】
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)および/または(d)成分がジアゾナフトキノンであるポジ型感光性樹脂組成物であることが好ましい。
【0018】
以下、本発明のバンクパターンの形成方法について、図1を参照しながら説明する。
【0019】
<下層膜形成工程>
本発明の製造方法においては、まず、基板11に直接または他の層を介してアミド基を有するモノマーおよび後述するアルカリ可溶性基を有するモノマーからなる第一の感光性
樹脂組成物を塗布しプリベークして、撥液性のない下層膜12を設ける。
【0020】
以下、下層膜の各成分の詳細を説明する。
【0021】
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、アミド基を有するアルカリ可溶性樹脂である。アミド基を有することにより分子内または分子間で水素結合を形成し、後述する上層レジスト膜を塗布する際にその溶剤に対する耐溶剤性を発揮することができる。上層レジスト膜が塗布時点で基板と接触しない。(A)成分の樹脂には、アルカリ可溶性を付与すべくアルカリ可溶性基が含まれ、該アルカリ可溶性基としては、例えば、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、イミド基、スルホニル基、リン酸基、ボロン酸基、そして活性メチレン基および活性メチン基が挙げられる。なおフェノール性ヒドロキシ基及びカルボキシル基はアルカリ可溶性基であるとともに、後述するように熱反応性の部位((E)成分の架橋剤と橋かけ構造を形成し得る部位)でもある。
また(A)成分は、上記アミド基を有するアルカリ可溶性の樹脂であれば、特にその他の構造や含まれる官能基は限定されない。例えば、後述する(G)酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を含む場合、(A)成分は(G)成分との反応部位がなくてもよいし、また、(G)成分との反応部位を有する場合には、その反応部位は酸の作用により(G)成分と共有結合を形成しうる基、もしくは加熱により(G)成分と共有結合を形成しうる基であれば特に限定されない。
【0022】
ここで活性メチレン基とはメチレン基(-CH-)のうち、隣接位置にカルボニル基を持ち、求核試薬に対する反応性を持つものを言う。また、本発明において前記活性メチン基とは前記活性メチレン基においてメチレン基の1個の水素原子がアルキル基で置換された構造を有し、求核試薬に対する反応性を持つものを言う。
【0023】
活性メチレン基および活性メチン基の中でも活性メチレン基が好ましく、下記式(A1)で表される活性メチレン基がより好ましい。
【化1】
(式(A1)中、Rはアルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を表し、破線は結合手を表す。)
【0024】
上記式(A1)において、Rが表すアルキル基としては、例えば、炭素原子数1乃至20のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1乃至5のアルキル基が好ましい。
そのようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基等が挙げられる。
その中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基等が好ましい。
【0025】
上記式(A1)において、Rが表すアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基が挙げられ、炭素原子数1乃至5のアルコキシ基が好ましい。
そのようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。
その中でも、メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基及びn-プロポキシ基等が好
ましい。
【0026】
上記式(A1)で表される基としては、例えば、以下の構造等が挙げられる。なお、構造式中、破線は結合手を表す。
【化2】
【0027】
上記(A)成分のアルカリ可溶性樹脂の中でも、アミド基を有するとともに、アルカリ可溶性基としてフェノール性ヒドロキシ基及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有し、且つ、数平均分子量が2,000乃至50,000であるアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
【0028】
上記(A)成分のアルカリ可溶性樹脂は、かかる構造を有するアルカリ可溶性樹脂であればよく、樹脂を構成する高分子の主鎖の骨格及び側鎖の種類などについて特に限定されない。
【0029】
然しながら、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂は、数平均分子量が2,000乃至50,000の範囲内にあるものである。数平均分子量が50,000を超えて過大なものであると、現像残渣が発生し易くなり、感度が大きく低下する一方、数平均分子量が2,000未満で過小なものであると、現像の際、露光部の膜減りが相当量発生し、硬化不足になる場合がある。
【0030】
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、あるいはポリイミド前駆体又はポリイミド等が挙げることができる。中でも好ましい樹脂としてアクリル系樹脂(アクリル重合体)を挙げることができる。
【0031】
また、本発明においては、複数種のモノマーを重合して得られる共重合体(以下、特定共重合体と称す。)からなるアルカリ可溶性樹脂を(A)成分として用いることもできる。この場合、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂は、複数種の特定共重合体のブレンド物であってもよい。
【0032】
すなわち、上記の特定共重合体は、アミド基を有するモノマーとともに、アルカリ可溶性を発現するモノマー、即ち好適なアルカリ可溶性基としてカルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基を有するモノマーと、所望によりこれらモノマーと共重合可能なモノマーの群から選択される少なくとも一種のモノマーとを、必須の構成単位として形成された共重合体であって、その数平均分子量が2,000乃至50,000のものである。数平均分子量が50,000より過大であると、残渣が生じる場合がある。
なお、アミド基を有するモノマーが同時にアルカリ可溶性基を有していてもよい。
【0033】
上記のアミド基を有するモノマーは、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N
-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、4-ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、4-ヒドロキシフェニルアクリルアミド等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、メタアクリルアミドが好ましい。
【0034】
上記の「カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも一種を有するモノマー」は、カルボキシル基を有するモノマー及びフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーが含まれる。これらのモノマーはカルボキシル基、又はフェノール性ヒドロキシ基を一個有するものに限らず、複数個有するものでもよい。
【0035】
以下、上記モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものでない。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ-(2-(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ-(2-(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N-(カルボキシフェニル)マレイミド、N-(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N-(カルボキシフェニル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0036】
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N-(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N-(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N-(ヒドロキシフェニル)マレイミド、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられる。
【0037】
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)の製造において、アルカリ可溶性を発現するモノマーの比率、例えばカルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基を有するモノマーの比率は、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)の製造に用いる全てのモノマーのうち、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。アルカリ可溶性を発現するモノマー(カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基を有するモノマー)が5質量%未満の場合には、アルカリ可溶性樹脂(アクリル重合体)のアルカリ溶解性が不足する。
【0038】
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂において、アミド基の導入量は、全繰り返し単位に対して5乃至60質量%であることが好ましく、5乃至40質量%であることがより好ましい。例えば、特定共重合体の製造において、特定共重合体の製造に用いる全てのモノマーに対して、アミド基を有するモノマーの比率を、例えば5乃至40質量%とすることができる。
【0039】
本発明の(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、硬化後のパターン形状をより安定化させるという点から、さらにヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマーを共重合させたものであることが好ましい。
【0040】
ヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、5-アクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン等が挙げられる。
【0041】
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)の製造において、ヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマーを使用する場合のその比率は、特定共重合体の製造に用いる全てのモノマーに対して、好ましくは5質量%乃至60質量%、より好ましくは10質量%乃至50質量%、最も好ましいのは20質量%乃至40質量%である。ヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマーが5質量%未満の場合は、共重合体のパターン形状の安定化効果が得られない場合がある。60質量%以上の場合には、(A)成分のアルカリ可溶性基の割合が不足し、現像性等の特性が低下する場合がある。
【0042】
本発明の(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、共重合体のTgを上げるという点から、さらにN-置換マレイミド化合物を共重合させることもできる。
【0043】
N-置換マレイミド化合物としては、例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、及びN-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。透明性の観点から芳香環を有さない化合物が好ましく、現像性、透明性、耐熱性の点から脂環骨格を有するものがより好ましく、中でもシクロヘキシルマレイミドが最も好ましい。
【0044】
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)の製造において、N-置換マレイミドを用いる場合の比率は、特定共重合体の製造に用いる全てのモノマーに対して、好ましくは5乃至60質量%、より好ましくは10質量%乃至50質量%である。N-置換マレイミドが5質量%未満の場合は、共重合体のTg向上効果が得られない場合がある。60質量%以上の場合には、溶剤への溶解性が低下する場合がある。
【0045】
本発明の第一の感光性樹脂組成物が要件(Z2)を満足する場合、本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)は、自己架橋性基をさらに有するか、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基(以下、架橋性基ともいう)をさらに有する共重合体であることが好ましい。例えばアルカリ可溶性樹脂(A)に、前記自己架橋性基及び架橋性基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する繰り返し単位を導入することにより、要件(Z2)を満足することができる。
【0046】
上記自己架橋性基としては、N-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基及びブロックイソシアネート基が挙げられる。
【0047】
上記架橋性基としては、N-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等が挙げられる。
【0048】
かかる自己架橋性基又は架橋性基を(A)成分のアルカリ可溶性樹脂に含有させる場合の含有量は、(A)成分の樹脂における全ての繰り返し単位の合計に基いて、自己架橋性基又は架橋性基を有する単位を好ましくは10質量%乃至70質量%、特に好ましくは20質量%乃至60質量%の割合で含有する。
【0049】
(A)成分のアルカリ可溶性樹脂が、さらにN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基及びブロックイソシアネート基等の自己架橋性基、及びN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等の架橋性基から選ばれる少なくとも1種を有する繰り返し単位を有する場合、例えば、ラジカル重合性を有し、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等の架橋性基及びN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基及びアルコキシシリル基等
の自己架橋性基から選ばれる少なくとも1種を有する不飽和化合物(モノマー)を共重合させればよい。
【0050】
ラジカル重合性を有し、N-アルコキシメチル基を有するモノマーとしては、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
【0051】
ラジカル重合性を有し、さらにN-ヒドロキシメチル基を有するモノマーとしては、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0052】
ラジカル重合性を有し、さらにアルコキシシリル基を有するモノマーとしては、3-アクリロイルオキシトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0053】
ラジカル重合性を有し、さらにエポキシ基を有するモノマーとしては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、α-n-プロピルアクリル酸グリシジル、α-n-ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸-3,4-エポキシブチル、メタクリル酸-3,4-エポキシブチル、3,4-エポキシシクロへキシルメタクリレート、アクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、メタクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、α-エチルアクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロへキシルメタクリレートなどが好ましく用いられる。これらは、単独であるいは組み合わせて用いられる。
【0054】
ラジカル重合性を有し、さらにオキセタニル基を有するモノマーとしては、例えば、オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。なお本明細書中、“(メタ)アクリル酸”なる記載はアクリル酸とメタクリル酸の双方を表す。
このようなモノマーの中では、3-(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-3-エチル-オキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-3-エチル-オキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-トリフロロメチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2-トリフロロメチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-フェニル-オキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2-フェニル-オキセタン、2-(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、2-(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、2-(メタクリロイルオキシメチル)-4-トリフロロメチルオキセタン、2-(アクリロイルオキシメチル)-4-トリフロロメチルオキセタンが好ましく、3-(メタクリロイルオキシメチル)-3-エチル-オキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-3-エチル-オキセタン等が好ましく用いられる。
【0055】
ラジカル重合性を有し、さらにビニル基を有するモノマーとしては、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。
【0056】
ラジカル重合性を有し、さらにブロックイソシアネート基を有するモノマーとしては、
メタクリル酸2-(0-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ)エチル、メタクリル酸2-(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ)エチル等が挙げられる。
【0057】
本発明の第一の感光性樹脂組成物が(Z2)を満足する場合、ラジカル重合性を有し、N-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基及びブロックイソシアネート基等の自己架橋性基及びN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等の架橋性基から選ばれる少なくとも1種の基を有するモノマー(不飽和化合物)から誘導される構成単位を、アルカリ可溶性樹脂(A)が有する全ての繰り返し単位の合計に基づいて、好ましくは10質量%乃至70質量%、特に好ましくは20質量%乃至60質量%含有する。この構成単位が10質量%未満の場合は、得られる硬化膜の耐熱性や表面硬度が低下する傾向にあり、一方この構成単位の量が70質量%を超える場合は感光性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
【0058】
また、本発明においては、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体、例えばアクリル重合体)は、上述のモノマー以外のモノマー(以下、その他モノマーと称す。)をも構成単位として形成された共重合体であってもよい。その他モノマーは、具体的には、上記カルボキシル基を有するモノマー及びフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーからなる群から選択される少なくとも一種と共重合可能なものであればよく、(A)成分の特性を損ねない限り、特に限定されるものでない。そのようなモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、N-置換アクリルアミド化合物、マレイミド、アクリロニトリル、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
以下、当該その他モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
前記アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、グリシジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-アミノエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、γ-ブチロラクトンアクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルアクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルアクリレート、8-エチル-8-トリシクロデシルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、カプロラクトン2-(アクリロイルオキシ)エチルエステル、及びポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート等が挙げられる。
【0060】
前記メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-アミノメチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3-メトキシブチルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、γ-ブチロラクトンメタクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルメタクリレート、8-メチル-
8-トリシクロデシルメタクリレート、8-エチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、及びポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート等が挙げられる。
【0061】
前記N-置換アクリルアミド化合物としては、例えば、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0062】
前記スチレン化合物としては、ヒドロキシ基を有しないスチレン、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
【0063】
前記ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、アリルグリシジルエーテル、3-エテニル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、及び、1,7-オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
【0064】
(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)の製造において、上記その他モノマーの比率は、特定共重合体の製造に用いる全てのモノマーに対して、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。80質量%よりも多くなると相対的に必須成分((A)成分を構成する必須のモノマー)が減るため、本発明の効果を十分に得ることが困難になる。
【0065】
本発明に用いる(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)を得る方法は特に限定されないが、例えば、アミド基及びカルボキシル基から選ばれる基を有するとともに、アルカリ可溶性基であるカルボキシル基、フェノール性ヒドロキシ基等から選択される少なくとも一種の基を有するモノマー、及び、所望によりヒドロキシアルキル基を有するモノマー、N-置換マレイミド化合物、そして所望によりN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基及びブロックイソシアネート基等の自己架橋性基及びN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等の架橋性基から選ばれる少なくとも1種の基を有するモノマー、所望によりそれ以外の共重合可能なモノマー及び所望により重合開始剤等を共存させた溶剤中において、50乃至110℃の温度下で重合反応させることにより、得られる。その際、用いられる溶剤は、アルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)を構成するモノマー及びアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する(C)成分に記載する溶剤が挙げられる。
【0066】
このようにして得られる(A)成分のアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。本発明において、得られた(A)成分のアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)の溶液をそのまま後述する感光性樹脂組成物の調製に用いてもよい。
【0067】
また、上記のようにして得られた(A)成分のアルカリ可溶性樹脂(特定共重合体)の溶液を、ジエチルエーテルや水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定共重合体の粉体とすることができる。このような操作により、特定共重合体と共存する重合開始剤や未
反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した特定共重合体の粉体を得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰り返し行えばよい。
本発明においては、上記特定共重合体の粉体を(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としてそのまま用いてもよく、あるいはその粉体を、たとえば後述する(C)成分に再溶解して溶液の状態として用いてもよい。
【0068】
また、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、一部イミド化したポリアミド酸等のポリイミド前駆体、カルボン酸基含有ポリイミド等のポリイミドを用いることもでき、それらはアルカリ可溶性であれば特にその種類を限定されずに用いることができる。
【0069】
ポリイミド前駆体である前記ポリアミド酸は、一般的に(i)テトラカルボン酸二無水物化合物と(j)ジアミン化合物とを重縮合して得ることができる。
【0070】
上記(a)テトラカルボン酸二無水物化合物は特に限定はなく、具体例として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸;1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物などの脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
これらは、1種単独で用いてもよく、又は2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
また、上記(j)ジアミン化合物も特に限定されることはなく、例えば、2,4-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノ安息香酸、3,5-ジアミノ安息香酸、4,6-ジアミノ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、2,5-ジアミノ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3,5-ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3,5-ジカルボキシフェニル)スルホン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジカルボキシ-5,5’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジカルボキシ-5,5’-ジメトキシビフェニル、1,4-ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等のカルボキシル基を有するジアミン化合物;2,4-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノフェノール、2,5-ジアミノフェノール、4,6-ジアミノレゾルシノール、2,5-ジアミノハイドロキノン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3,5-ジヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3
-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3,5-ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3,5-ジヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシ-5,5’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシ-5,5’-ジメトキシビフェニル、1,4-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等のフェノール性ヒドロキシ基を有するジアミン化合物;1,3-ジアミノ-4-メルカプトベンゼン、1,3-ジアミノ-5-メルカプトベンゼン、1,4-ジアミノ-2-メルカプトベンゼン、ビス(4-アミノ-3-メルカプトフェニル)エーテル、2,2-ビス(3-アミノ-4-メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のチオフェノール基を有するジアミン化合物;1,3-ジアミノベンゼン-4-スルホン酸、1,3-ジアミノベンゼン-5-スルホン酸、1,4-ジアミノベンゼン-2-スルホン酸、ビス(4-アミノベンゼン-3-スルホン酸)エーテル、4,4’-ジアミノビフェニル-3,3’-ジスルホン酸、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル-6,6’-ジスルホン酸等のスルホン酸基を有するジアミン化合物が挙げられる。また、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-メチレン-ビス(2,6-エチルアニリン)、4,4’-メチレン-ビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、o-トリジン、m-トリジン、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-トルイル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン等のジアミン化合物を挙げることが出来る。
これらは、1種単独で用いてもよく、又は2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
本発明で用いられるポリアミド酸が(i)テトラカルボン酸二無水物化合物と(j)ジアミン化合物から製造される場合、両化合物の配合比、すなわち(j)ジアミン化合物の総モル数/(i)テトラカルボン酸二無水物化合物の総モル数は0.7乃至1.2であることが望ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1に近いほど生成するポリアミド酸の重合度は大きくなり分子量が増加する。
【0073】
また、ジアミン化合物を過剰に用いて重合した際、残存するポリアミド酸の末端アミノ基に対してカルボン酸無水物を反応させ末端アミノ基を保護することもできる。
このようなカルボン酸無水物の例としてはフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、無
水マレイン酸、ナフタル酸無水物、水素化フタル酸無水物、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸、テトラヒドロフタル酸無水物等を挙げることができる。
【0074】
ポリアミド酸の製造において、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物化合物との反応の反応温度は-20乃至150℃、好ましくは-5乃至100℃の任意の温度を選択することができる。高分子量のポリアミド酸を得るには、反応温度5℃乃至40℃、反応時間1乃至48時間の範囲にて適宜選択する。低分子量で保存安定性の高く部分的にイミド化されたポリアミド酸を得るには反応温度40℃乃至90℃、反応時間10時間以上から選択することがより好ましい。
また、末端アミノ基を酸無水物で保護する場合の反応温度は-20乃至150℃、好ましくは-5乃至100℃の任意の温度を選択することができる。
【0075】
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物化合物の反応は溶剤中で行なうことができる。その際に使用できる溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、m-クレゾール、γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン等を挙げることができる。これらは単独でも、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミド酸を溶解しない溶剤であっても、重合反応により生成したポリアミド酸が析出しない範囲であれば、上記溶剤に混合して使用してもよい。
【0076】
このようにして得られたポリアミド酸を含む溶液は、感光性樹脂組成物の調製にそのまま用いることができる。また、ポリアミド酸を水、メタノール、エタノール等の貧溶剤に沈殿単離させて回収して用いることもできる。
【0077】
また、(A)成分としては、任意のポリイミドも用いることができる。本発明に用いるポリイミドとは前記ポリアミド酸などのポリイミド前駆体を化学的又は熱的に50%以上イミド化させたものである。
【0078】
本発明の第一の感光性樹脂組成物に用いるポリイミドは、アミド基を有するとともに、アルカリ溶解性を与えるためにカルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基から選ばれる基を有することが好ましい。
ポリイミドへのアミド基の導入方法は、アミド基を有するモノマーを用いる方法、アミド基を有する酸無水物でアミン末端を封止する方法等が用いられる。
ポリイミドへのカルボキシル基又はフェノール性ヒドロキシ基の導入方法は、カルボキシル基又はフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーを用いる方法、カルボキシル基又はフェノール性ヒドロキシ基を有する酸無水物でアミン末端を封止する方法、或いは、ポ
リアミド酸などのポリイミド前駆体をイミド化する際にイミド化率を99%以下にする方法等が用いられる。
【0079】
このようなポリイミドは上述のポリアミド酸などのポリイミド前駆体を合成した後、化学イミド化もしくは熱イミド化を行うことで得ることができる。
化学イミド化の方法としては、一般的に、ポリイミド前駆体溶液に過剰の無水酢酸およびピリジンを添加し、室温から100℃で反応させる方法が用いられる。また、熱イミド化の方法としては、一般的に、ポリイミド前駆体溶液を温度180℃乃至250℃で脱水しながら加熱する方法が用いられる。
【0080】
また、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、さらにフェノールノボラック樹脂を用いることができる。
【0081】
また、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、ポリエステルポリカルボン酸を用いることもできる。ポリエステルポリカルボン酸は、酸二無水物とジオールから、国際公開第2009/051186号に記載の方法により、得ることができる。
酸二無水物としては、上記(i)テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
ジオールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ベンゼン-1,3-ジメタノール、ベンゼン-1,4-ジメタノール等の芳香族ジオール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;及びエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール等が挙げられる。
【0082】
また、本発明においては、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂は、複数種のアルカリ可溶性樹脂の混合物であってもよい。
【0083】
<(C)成分>
本発明に用いる(C)成分は、溶剤として(A)成分、及び必要に応じて後述の(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分を溶解し、且つ所望により添加される後述のその他添加剤などを溶解するものであり、斯様な溶解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
【0084】
斯様な(C)成分としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ブタノン、3-メチル-2-ペンタノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、γ―ブチロラクトン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0085】
これらの溶剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
これら(C)成分の中、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、2-ヘプタノン、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル等が、塗膜性が良好で安全性が高いという観点より好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が、(A)成分の溶解性の観点から特に好ましい。これら溶剤は、一般にフォトレジスト材料のための溶剤として用いられている。
【0086】
<(D)成分>
(D)成分である感光剤としては、(D-1)1,2-キノンジアジド化合物、(D-2)光ラジカル発生剤、(D-3)光酸発生剤が挙げられる。
【0087】
(D-1)1,2-キノンジアジド化合物としては、ヒドロキシ基又はアミノ基のいずれか一方か、ヒドロキシ基及びアミノ基の両方を有する化合物であって、これらのヒドロキシ基又はアミノ基(ヒドロキシ基とアミノ基の両方を有する場合は、それらの合計量)のうち、好ましくは10モル%乃至100モル%、特に好ましくは20モル%乃至95モル%が1,2-キノンジアジドスルホン酸でエステル化、またはアミド化された化合物を用いることができる。
上記1,2-キノンジアジドスルホン酸としては、例えば1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸、1,2-ベンゾキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸等が挙げられ、前述のヒドロキシ基又はアミノ基のいずれか一方あるいは両方を有する化合物との反応では、該1,2-キノンジアジドスルホン酸の塩化物を用いることができる。
上記(D-1)1,2-キノンジアジド化合物としては、ジアゾナフトキノンを用いることができる。
【0088】
前記ヒドロキシ基を有する化合物としては例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ガリック酸メチル、ガリック酸エチル、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4-イソプロプリデンジフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール、4,4’,4’’―トリスヒドロキシフェニルエタン、1,1,1-トリスヒドロキシフェニルエタン、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)メチルなどのフェノール化合物、エタノール、2-プロパノール、4-ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-メトキシプロパノール、2-ブトキシプロパノール、乳酸エチル、乳酸ブチルなどの脂肪族アルコール類を挙げることができる。
【0089】
また、前記アミノ基を含有する化合物としては、アニリン、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、4-アミノジフェニルメタン、4-アミノジフェニル、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、などのアニリン類、アミノシクロヘキサンを挙げることができる。
【0090】
さらに、ヒドロキシ基とアミノ基両方を含有する化合物としては、例えば、o-アミノ
フェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール、4-アミノレゾルシノール、2,3-ジアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、4,4’-ジアミノ-4’’-ヒドロキシトリフェニルメタン、4-アミノ-4’,4’’-ジヒドロキシトリフェニルメタン、ビス(4-アミノ-3-カルボキシ-5-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3-カルボキシ-5-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-アミノ-3-カルボキシ-5-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3-カルボキシ-5-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのアミノフェノール類、2-アミノエタノール、3-アミノプロパノール、4-アミノシクロヘキサノールなどのアルカノールアミン類を挙げることができる。
【0091】
これらの1,2-キノンジアジド化合物は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0092】
本発明の第一の感光性樹脂組成物がポジ型感光性樹脂組成物である場合に(D-1)成分のキノンジアジド基を有する化合物を含有させる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは5質量部乃至100質量部、より好ましくは8質量部乃至50質量部、更に好ましくは10質量部乃至40質量部である。5質量部未満の場合、ポジ型感光性樹脂組成物の露光部と未露光部の現像液への溶解速度差が小さくなり、現像によるパターニングが困難である場合がある。また、100質量部を超えると、短時間での露光で1,2-キノンジアジド化合物が十分に分解されないため感度が低下する場合や、(D-1)成分が光を吸収してしまい硬化膜の透明性を低下させてしまう場合がある。
【0093】
(D-2)光ラジカル発生剤は、露光によりラジカルを発生するものであれば特に制限はない。具体例としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5-トリアリールイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メチルフェニル)イミダゾール2量体、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-S-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル-1,3-ブタジエニル)-S-トリアジン、2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-S-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-S-トリアジン、2-(4-エトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-S-トリアジン、2-(4-ブトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-S-トリアジン等のハロメチル-S-トリアジン系化合物、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパノン、1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1,1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2-n-ブトキシエチル-
4-ジメチルアミノベンゾエート、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-(4-フェニルチオフェニル)-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、4-ベンゾイル-メチルジフェニルサルファイド、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルフォリニル)-1-プロパノン等が挙げられる。
上記の光ラジカル発生剤は、市販品として容易に入手が可能であり、その具体例としては、例えばIRGACURE173、IRGACURE 500、IRGACURE 2959、IRGACURE 754、IRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE 1300、IRGACURE 819、IRGACURE 819DW、IRGACURE 1880、IRGACURE 1870、DAROCURE TPO、DAROCURE 4265、IRGACURE 784、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02、IRGACURE 250(以上、BASF社製)、KAYACURE DETX-S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE 2-EAQ(以上、日本化薬(株)製)、TAZ-101、TAZ-102、TAZ-103、TAZ-104、TAZ-106、TAZ-107、TAZ-108、TAZ-110、TAZ-113、TAZ-114、TAZ-118、TAZ-122、TAZ-123、TAZ-140、TAZ-204(以上みどり化学(株)製)等が挙げられる。
これらの光ラジカル発生剤単独で使用しても、二種類以上を併用することも可能である。
【0094】
本発明の第一の感光性樹脂組成物に(D-2)成分を含有させる場合の含有量は、(A)成分の100質量部に対して0.1質量部乃至30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部乃至20質量部であり、特に好ましくは1質量部乃至15質量部である。この割合が過小である場合には、露光部が硬化不足となり、パターン形成ができなかったり、できたとしても信頼性の低い膜となる場合がある。また、この割合が過大である場合には、塗膜の透過率が低下したり、未露光部の現像不良が起こる場合がある。
【0095】
(D-3)の光酸発生剤は紫外線照射時に光分解して酸を発生する化合物であれば特に限定されるものではない。光酸発生剤が光分解した際に発生する酸としては、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-フェノールスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、p-キシレン-2-スルホン酸、m-キシレン-2-スルホン酸、4-エチルベンゼンスルホン酸、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ(2-エトキシエタン)スルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタン-1-スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸又はその水和物や塩等が挙げられる。
【0096】
光酸発生剤としては、例えば、ジアゾメタン化合物、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジスルホン系化合物、スルホン酸誘導体化合物、ニトロベンジル化合物、ベンゾイントシレート化合物、鉄アレーン錯体、ハロゲン含有トリアジン化合物、アセトフェノン誘導体化合物、及び、シアノ基含有オキシムスルホネート化合物などが挙げられる。
従来知られ又は従来から使用されている光酸発生剤は、いずれも、特に限定されることなく、本発明において適用することができる。なお、本発明において、(D)成分の光酸発生剤は、一種単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。具体例としては、下記式[PAG-1]~式[PAG-41]で表される化合物等を挙げることができる。
【0097】
【化3】
【0098】
【化4】
【0099】
【化5】
【0100】
【化6】
【0101】
【化7】
【0102】
【化8】
【0103】
【化9】
【0104】
本実施の形態の第一の感光性樹脂組成物に(D-3)成分を含有させる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部乃至20質量部、より好ましくは0.1質量部乃至10質量部、更に好ましくは0.5質量部乃至8質量部である。(D-3)成分の含有量を0.01質量部以上とすることで、充分な熱硬化性および溶剤耐性を付与することができる。しかし、20質量部より多い場合、未露光部が現像不良となったり、組成物の保存安定性が低下する場合がある。
【0105】
<(E)成分>
(E)成分は架橋剤であり、本発明の第一の感光性樹脂組成物が要件(Z1)を満たす場合に組成物中に導入されるものである。より具体的には、(A)成分の熱反応性部位(たとえば、カルボキシル基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基)と熱反応により橋架け構造を形成しうる構造を有する化合物である。以下、具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。熱架橋剤は、例えば、(E1)アルコキシメチル基及びヒドロキシメチル基から選ばれる置換基を2個以上有する架橋性化合物や(E2)下記式(1)で表される架橋性化合物から選ばれるものが好ましい。これらの架橋剤は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0106】
(E1)成分のアルコキシメチル基及びヒドロキシメチル基から選ばれる置換基を2個以上有する架橋性化合物は、熱硬化時の高温に曝されると、脱水縮合反応により架橋反応が進行するものである。このような化合物としては、例えば、アルコキシメチル化グリコールウリル、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、およびアルコキシメチル化メラミン等の化合物、およびフェノプラスト系化合物が挙げられる。
【0107】
アルコキシメチル化グリコールウリルの具体例としては、例えば、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3-テトラキス(ブトキシメチル)尿素、1,1,3,3-テトラキス(メトキシメチル)尿素、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-4,5-ジヒドロキシ-2-イミダゾリノン、および1,3-ビス(メトキシメチル)-4,5-ジメトキシ-2-イミダゾリノン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製グリコールウリル化合物(商品名:サイメル(登録商
標)1170、パウダーリンク(登録商標)1174)等の化合物、メチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)65)、ブチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)300、U-VAN10S60、U-VAN10R、U-VAN11HV)、DIC(株)製尿素/ホルムアルデヒド系樹脂(高縮合型、商品名:ベッカミン(登録商標)J-300S、同P-955、同N)等が挙げられる。
【0108】
アルコキシメチル化ベンゾグアナミンの具体例としてはテトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製(商品名:サイメル(登録商標)1123)、(株)三和ケミカル製(商品名:ニカラック(登録商標)BX-4000、同BX-37、同BL-60、同BX-55H)等が挙げられる。
【0109】
アルコキシメチル化メラミンの具体例としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:サイメル(登録商標)300、同301、同303、同350)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:マイコート(登録商標)506、同508)、三和ケミカル製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MW-30、同MW-22、同MW-11、同MW-100LM、同MS-001、同MX-002、同MX-730、同MX-750、同MX-035)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MX-45、同MX-410、同MX-302)等が挙げられる。
【0110】
また、このようなアミノ基の水素原子がメチロール基またはアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物、尿素化合物、グリコールウリル化合物及びベンゾグアナミン化合物を縮合させて得られる化合物であってもよい。例えば、米国特許第6323310号に記載されているメラミン化合物およびベンゾグアナミン化合物から製造される高分子量の化合物が挙げられる。前記メラミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)303(三井サイテック(株)製)等が挙げられ、前記ベンゾグアナミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)1123(三井サイテック(株)製)等が挙げられる。
【0111】
フェノプラスト系化合物の具体例としては、例えば、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メトキシフェノール、3,3’,5,5’-テトラキス(ヒドロキシメチル)ビフェニル-4,4’-ジオール、3,3’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンメタノール)、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス[2-メチル-6-ヒドロキシメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-メチル-6-ヒドロキシメチルフェノール]、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス[2,6-ビス(ヒドロキシメチル)フェノール]、4,4’-メチレンビス[2,6-ビス(ヒドロキシメチル)フェノール]、2,6-ビス(メトキシメチル)フェノール、2,6-ビス(メトキシメチル)クレゾール、2,6-ビス(メトキシメチル)-4-メトキシフェノール、3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)ビフェニル-4,4’-ジオール、3,3’-メチレンビス(2-メトキシ-5-メチルベンゼンメタノール)、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス[2-メチル-6-メトキシメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-メチル-6-メトキシメチルフェノール]、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス[2,6-ビス(メトキシメチル)フェノール]、4,4’-メチレンビス[2,6-ビス(メトキシメチル)フェノール]、等が挙げられる。市販品としても入手が可能であり、その具体例としては、26DMPC、46DMOC、DM-BIPC-F、DM-BIOC-F、TM-BIP-A、BISA-F、BI25X-DF、BI25X-TPA(以上、旭有機材工業(株)製)等が挙げられる。
【0112】
さらに、(E1)成分としては、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド等のヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーも用いることができる。
【0113】
そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N-ブトキシメチルアクリルアミド)、N-ブトキシメチルアクリルアミドとスチレンとの共重合体、N-ヒドロキシメチルメタクリルアミドとメチルメタクリレートとの共重合体、N-エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートとの共重合体、及びN-ブトキシメチルアクリルアミドとベンジルメタクリレートと2-ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。このようなポリマーの重量平均分子量は、1,000乃至50,000であり、好ましくは、1,500乃至20,000であり、より好ましくは2,000乃至10,000である。
【0114】
また本発明の第一の感光性樹脂組成物は、(E2)成分として、下記式(1)で表される架橋性化合物を含有することができる。
【化10】
(式中、kは2乃至10の整数、mは0乃至4の整数を示し、R11はk価の有機基を表す)
【0115】
(E2)成分は、式(1)で表されるシクロアルケンオキサイド構造を有する化合物であれば特に限定されない。その具体例としては、下記式E2-1及びE2-2や、以下に示す市販品等が挙げられる。
【化11】
【化12】
【0116】
市販品としては、エポリードGT-401、同GT-403、同GT-301、同GT-302、セロキサイド2021、セロキサイド3000(ダイセル(株)製 商品名)、脂環式エポキシ樹脂であるデナコールEX-252(ナガセケムテックス(株)製 商
品名)、CY175、CY177、CY179(以上、Huntsman Corporation製 商品名)、アラルダイトCY-182、同CY-192、同CY-184(以上、Huntsman Corporation製 商品名)、エピクロン200、同400(以上、DIC(株)製 商品名)、エピコート871、同872(以上、三菱ケミカル(株)製 商品名)、ED-5661、ED-5662(以上、セラニーズコーティング(株)製 商品名)、等を挙げることができる。また、これらの架橋性化合物は、単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0117】
これらのうち、耐熱性、耐溶剤性、耐長時間焼成耐性等の耐プロセス性、および透明性の観点からシクロヘキセンオキサイド構造を有する、式E2-1及び式E2-2で表される化合物、エポリードGT-401、同GT-403、同GT-301、同GT-302、セロキサイド2021、セロキサイド3000が好ましい。
【0118】
また、E成分としては(E1)成分、(E2)成分として示したもの以外の(A)成分の熱反応性部位(たとえば、カルボキシル基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基)と熱反応により橋架け構造を形成しうる化合物も用いることができる。具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6-テトラグリシジル-2,4-ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、及びN,N,N’,N’,-テトラグリシジル-4、4’-ジアミノジフェニルメタン等のエポキシ化合物、VESTANAT B1358/100、VESTAGON BF 1540(以上、イソシアヌレート型変性ポリイソシアネート、デグサジャパン(株)製)、タケネート(登録商標)B-882N、同タケネートB―7075(以上、イソシアヌレート型変性ポリイソシアネート、三井化学(株)製)等のイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0119】
また、E成分としては(A)成分の熱反応性部位(たとえば、カルボキシル基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基)と熱反応により橋架け構造を形成しうる構造を2個以上有する重合体を用いることができる。具体的には、例えば、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等のエポキシ基を有する化合物を使用して製造されるポリマー、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する化合物を使用して製造されるポリマー、2-イソシアナトエチルメタクリレート(カレンズMOI[登録商標]、昭和電工(株)製)、2-イソシアナトエチルアクリレート(カレンズAOI[登録商標]、昭和電工(株)製)等のイソシアナート基を有する化合物、または2-(0-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズMOI-BM[登録商標]、昭和電工(株)製)、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI-BP[登録商標]、昭和電工(株)製)等のブロックイソシアネート基を有する化合物を使用して製造されるポリマーが挙げられる。これらの化合物は単独、もしくは複数を組み合わせて使用してポリマーを製造しても良く、そのほかの化合物と組み合わせてポリマーを製造しても良い。
【0120】
(A)成分がヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基を有する場合には、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基で表される基を2つ以上有する化合物を(E)成分と
して用いることができる。
【0121】
これらの架橋性化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0122】
本発明の第一の感光性樹脂組成物における架橋剤として(E)成分を選択した場合の含有量は、(A)成分の100質量部に対して1質量部乃至50質量部、好ましくは1質量部乃至40質量部、より好ましくは1質量部乃至30質量部である。架橋性化合物の含有量が少ない場合には、架橋性化合物によって形成される架橋の密度が十分ではないため、パターン形成後の耐熱性、耐溶剤性、長時間の焼成に対する耐性等を向上させる効果が得られない場合がある。一方、50質量部を超える場合には、未架橋の架橋性化合物が存在し、パターン形成後の耐熱性、耐溶剤性、長時間の焼成に対する耐性等が低下し、また、感光性樹脂組成物の保存安定性が悪くなる場合がある。
【0123】
<(F)成分>
(F)成分はエチレン性重合性基を2個以上有する化合物である。ここで言うところのエチレン性重合性基を2個以上有する化合物とは、一分子中に重合性基を2個以上有し、且つそれらの重合性基が分子末端にある化合物のことを意味し、それらの重合性基とは、アクリレート基、メタクリレート基、ビニル基及びアリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種類の重合性基のことを意味する。
この(F)成分であるエチレン性重合性基を2個以上有する化合物は、本発明の第一の感光性樹脂組成物におけるネガ型感光性樹脂組成物の溶液において、各成分との相溶性が良好で、且つ現像性に影響を与えないという観点から、分子量(該化合物がポリマーである場合、重量平均分子量)が1,000以下の化合物が好ましい。
【0124】
このような化合物の具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,3,5-トリメタクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、トリス(ヒドロキシエチルアクリロイル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチルメタクリロイル)イソシアヌレート、トリアクリロイルホルマール、トリメタクリロイルホルマール、1,6-ヘキサンジオールアクリレート、1,6-ヘキサンジオールメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エタンジオールジアクリレート、エタンジオールジメタクリレート、2-ヒドロキシプロパンジオールジアクリレート、2-ヒドロキシプロパンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、イソプロピレングリコールジアクリレート、イソプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、N,N’-ビス(アクリロイル)システイン、N,N’-ビス(メタクリロイル)システイン、チオジグリコールジアクリレート、チオジグリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、ビスフェノールSジアクリレート、ビスフェノールSジメタクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジメタクリレート、ジアリルエー
テルビスフェノールA、o―ジアリルビスフェノールA、マレイン酸ジアリル、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
【0125】
上記の多官能アクリレート化合物は、市販品として容易に入手が可能であり、その具体例としては、例えばKYARAD T-1420、同DPHA、同DPHA-2C、同D-310、同D-330、同DPCA-20、同DPCA-30、同DPCA-60、同DPCA-120、同DN-0075、同DN-2475、同R-526、同NPGDA、同PEG400DA、同MANDA、同R-167、同HX-220、同HX620、同R-551、同R-712、同R-604、同R-684、同GPO-303、同TMPTA、同THE-330、同TPA-320、同TPA-330、同PET-30、同RP-1040(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM-210、同M-240、同M-6200、同M-309、同M-400、同M-402、同M-405、同M-450、同M-7100、同M-8030、同M-8060、同M-1310、同M-1600、同M-1960、同M-8100、同M-8530、同M-8560、同M-9050(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400、同260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業(株)製)、A-9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、AD-TMP、ATM-35E、A-TMMT、A-9550、A-DPH、TMPT、9PG、701、1206PE、NPG、NOD-N,HD-N,DOD-N,DCP,BPE-1300N,BPE-900,BPE-200,BPE-100,BPE-80N,23G,14G,9G,4G,3G,2G,1G (以上、新中村化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらのエチレン性重合性基を2個以上有する化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0126】
本発明の第一の感光性樹脂組成物に(F)成分を含有させる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して5質量部乃至200質量部であることが好ましく、より好ましくは10質量部乃至150質量部であり、特に好ましくは50質量部乃至150質量部である。この割合が過小である場合には、露光部が硬化不足となり、パターン形成ができなかったり、できたとしても信頼性の低い膜となる可能性がある。また、この割合が過大である場合には、プリベーク後の塗膜にタックが発生したり、現像時に未露光部が溶解不良となる場合がある。
【0127】
<(G)成分>
本発明の第一の感光性樹脂組成物に用いられる(G)成分は、酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物である。このような酸により共有結合を形成する官能基としてはエポキシ基、アルコキシメチル基、ヒドロキシメチル基等が挙げられる。
【0128】
エポキシ基を2個以上有する化合物としては、例えば、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-4-(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6-ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3-トリス[p-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4’-メチレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル及びビスフェノール-A-ジグリシジルエーテル、及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0129】
また、エポキシ基を2個以上有する化合物としては、入手が容易である点から市販品の
化合物を用いてもよい。以下にその具体例(商品名)を挙げるが、これらに限定されるものではない:YH-434、YH434L(新日化エポキシ製造(株)製)等のアミノ基を有するエポキシ樹脂;エポリードGT-401、同GT-403、同GT-301、同GT-302、セロキサイド2021、セロキサイド3000(ダイセル(株)製)等のシクロヘキセンオキサイド構造を有するエポキシ樹脂;エピコート1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828(以上、油化シェルエポキシ(株)(現三菱ケミカル(株))製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピコート807(油化シェルエポキシ(株)(現三菱ケミカル(株))製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エピコート152、同154(以上、油化シェルエポキシ(株)(現三菱ケミカル(株))製)、EPPN201、同202(以上、日本化薬(株)製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;EOCN-102、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1020、EOCN-1025、EOCN-1027(以上、日本化薬(株)製)、エピコート180S75(油化シェルエポキシ(株)(現三菱ケミカル(株))製)等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;デナコールEX-252(ナガセケムテックス(株)製)、CY175、CY177、CY179、アラルダイトCY-182、同CY-192、同CY-184(以上、Huntsman
Corporation製)、エピクロン200、同400(以上、大日本インキ化学工業(株)(現DIC(株))製)、エピコート871、同872(以上、油化シェルエポキシ(株)(現三菱ケミカル(株))製)、ED-5661、ED-5662(以上、セラニーズコーティング(株)製)等の脂環式エポキシ樹脂;デナコールEX-611、同EX-612、同EX-614、同EX-622、同EX-411、同EX-512、同EX-522、同EX-421、同EX-313、同EX-314、同EX-321(ナガセケムテックス(株)製)等の脂肪族ポリグリシジルエーテル等。
【0130】
また、エポキシ基を2個以上有する化合物としてはエポキシ基を有するポリマーを使用することもできる。
上記エポキシ基を有するポリマーは、例えばエポキシ基を有する付加重合性モノマーを用いた付加重合により製造することができる。一例として、ポリグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体、グリシジルメタクリレートとスチレンと2-ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体等の付加重合ポリマーや、エポキシノボラック等の縮重合ポリマーを挙げることができる。
【0131】
或いは、上記エポキシ基を有するポリマーは、ヒドロキシ基を有する高分子化合物とエピクロルヒドリン、グリシジルトシレート等のエポキシ基を有する化合物との反応により製造することもできる。
【0132】
このようなポリマーの重量平均分子量としては、例えば、300乃至20,000である。
【0133】
これらのエポキシ基を2個以上有する化合物は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0134】
アルコキシメチル基及びヒドロキシメチル基から選ばれる置換基を2個以上有する化合物は、例えば、アルコキシメチル化グリコールウリル、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、およびアルコキシメチル化メラミン等の化合物、およびフェノプラスト系化合物が挙げられる。
【0135】
アルコキシメチル化グリコールウリルの具体例としては、上記の段落[0108]で記載したとおりである。
【0136】
アルコキシメチル化ベンゾグアナミンの具体例としては、上記の段落[0109]で記載したとおりである。
【0137】
アルコキシメチル化メラミンの具体例としては、上記の段落[0110]で記載したとおりである。
【0138】
また、このようなアミノ基の水素原子がメチロール基またはアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物、尿素化合物、グリコールウリル化合物及びベンゾグアナミン化合物を縮合させて得られる化合物であってもよい。例えば、米国特許第6323310号に記載されているメラミン化合物およびベンゾグアナミン化合物から製造される高分子量の化合物が挙げられる。前記メラミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)303(三井サイテック(株)製)等が挙げられ、前記ベンゾグアナミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)1123(三井サイテック(株)製)等が挙げられる。
【0139】
フェノプラスト系化合物の具体例としては、上記の段落[0112]で記載したとおりである。
【0140】
さらに、(G)成分としては、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド等のヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーも用いることができる。
【0141】
そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N-ブトキシメチルアクリルアミド)、N-ブトキシメチルアクリルアミドとスチレンとの共重合体、N-ヒドロキシメチルメタクリルアミドとメチルメタクリレートとの共重合体、N-エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートとの共重合体、及びN-ブトキシメチルアクリルアミドとベンジルメタクリレートと2-ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。このようなポリマーの重量平均分子量は、1,000乃至50,000であり、好ましくは、1,500乃至20,000であり、より好ましくは2,000乃至10,000である。
【0142】
本発明の第一の感光性樹脂組成物に(G)成分の酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を含有させる場合の含有量は、(A)成分100質量部に基づいて5質量部乃至200質量部であることが好ましく、より好ましくは50質量部乃至150質量部である。この割合が過小である場合には、ネガ型感光性樹脂組成物の光硬化性が低下する場合があり、他方、過大である場合には未露光部の現像性が低下し残膜や残渣の原因となる場合がある。
【0143】
<その他添加剤>
更に、本発明に用いる第一の感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、レベリング剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、密着促進剤、または多価フェノール、多価カルボン酸等の溶解促進剤等を含有することができる。
界面活性剤として好ましくは含フッ素ポリマーのフッ素系界面活性剤を用いる。このようなフッ素系界面活性剤として、例えばメガファック(登録商標)F-251、同F-281、同F-430、同F-444、同R-30、同R-40、同F-553、同F-554、同F-555、同F-556、同F-557、同F-558(以上、DIC(株)製)、サーフロン(登録商標)S-242、同S-243、同S-385、同S-386
、同S-420、同S-611(以上、ACGセイミケミカル(株)製)等が挙げられる。これらのフッ素系界面活性剤は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0144】
<レジスト膜形成工程>
上述のように下層膜12を形成した後は、第二の感光性樹脂組成物を下層膜12の上に塗布しプリベークしてレジスト膜13を形成する(図1)。通常、この第二の感光性樹脂組成物は、下層膜12の全面に塗布してレジスト膜13を形成する。
以下、レジスト膜の各成分の詳細を説明する。
【0145】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は、アルカリ可溶性基を有する樹脂である。アルカリ可溶性基としては、例えば、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、イミド基、スルホニル基、リン酸、ボロン酸及び活性メチレン基および活性メチン基が挙げられる。
【0146】
活性メチレン基とはメチレン基(-CH-)のうち、隣接位置にカルボニル基を持ち、求核試薬に対する反応性を持つものを言う。また、本発明において前記活性メチン基とは前記活性メチレン基においてメチレン基の1個の水素原子がアルキル基で置換された構造を有し、求核試薬に対する反応性を持つものを言う。
【0147】
活性メチレン基および活性メチン基の中でも活性メチレン基が好ましく、下記式(a1)で表される活性メチレン基がより好ましい。
【化13】
(式(a1)中、Rはアルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を表し、破線は結合手を表す。)
【0148】
上記式(a1)において、Rが表すアルキル基としては、例えば、炭素原子数1乃至20のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1乃至5のアルキル基が好ましい。
そのようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基等が挙げられる。
その中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基等が好ましい。
【0149】
上記式(a1)において、Rが表すアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基が挙げられ、炭素原子数1乃至5のアルコキシ基が好ましい。
そのようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。
その中でも、メトキシ基、エトキシ基及びn-プロポキシ基等が好ましい。
【0150】
上記式(a1)で表される基としては、例えば、以下の構造等が挙げられる。なお、構造式中、破線は結合手を表す。
【化14】
【0151】
上記アルカリ可溶性基の中でも、フェノール性ヒドロキシ基及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1種の有機基を有し、且つ、数平均分子量が2,000乃至50,000であるアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
【0152】
上記(a)成分のアルカリ可溶性樹脂は、かかる構造を有するアルカリ可溶性樹脂であればよく、樹脂を構成する高分子の主鎖の骨格及び側鎖の種類などについて特に限定されない。
【0153】
然しながら、(a)成分のアルカリ可溶性樹脂は、数平均分子量が2,000乃至50,000の範囲内にあるものである。数平均分子量が50,000を超えて過大なものであると、現像残渣が発生し易くなり、感度が大きく低下する一方、数平均分子量が2,000未満で過小なものであると、現像の際、露光部の膜減りが相当量発生し、硬化不足になる場合がある。
【0154】
(a)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、あるいはポリイミド前駆体又はポリイミド等が挙げることができる。
【0155】
また、本発明においては、複数種のモノマーを重合して得られる共重合体(以下、特定共重合体と称す。)からなるアルカリ可溶性樹脂を(a)成分として用いることもできる。この場合、(a)成分のアルカリ可溶性樹脂は、複数種の特定共重合体のブレンド物であってもよい。
【0156】
すなわち、上記の特定共重合体は、アルカリ可溶性を発現するモノマー、即ちフェノール性ヒドロキシ基及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも一種を有するモノマーと、これらモノマーと共重合可能なモノマーの群から選択される少なくとも一種のモノマーとを、必須の構成単位として形成された共重合体であって、その数平均分子量が2,000乃至50,000のものである。数平均分子量が50,000より過大であると、残渣が生じる場合がある。
【0157】
上記の「フェノール性ヒドロキシ基及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも一種を有するモノマー」は、フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー及びカルボキシル基を有するモノマーが含まれる。これらのモノマーはフェノール性ヒドロキシ基又はカルボキシル基を一個有するものに限らず、複数個有するものでもよい。
【0158】
以下、上記モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものでない。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ-(2-(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ-(2-(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N-(カルボキシフェニル)マレイミド、N-
(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N-(カルボキシフェニル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0159】
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N-(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N-(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N-(ヒドロキシフェニル)マレイミド、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられる。
【0160】
(a)成分のアルカリ可溶性樹脂の製造における不飽和カルボン酸誘導体及び/またはフェノール性ヒドロキシ基と重合性不飽和基を有するモノマーの比率は、(a)成分のアルカリ可溶性樹脂の製造に用いる全てのモノマーのうち、好ましくは5モル%乃至90モル%、より好ましくは10モル%乃至60モル%、最も好ましくは10モル%乃至30モル%である。不飽和カルボン酸誘導体が5重量%未満の場合には、重合体のアルカリ溶解性が不足する。
【0161】
本発明の(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、硬化後のパターン形状をより安定化させるという点から、さらにヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマーを共重合させたものであることが好ましい。
【0162】
ヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、5-アクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン等が挙げられる。
【0163】
(a)成分のアルカリ可溶性樹脂の製造におけるヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマーの比率は、好ましくは5質量%乃至60質量%、より好ましくは10質量%乃至50質量%、最も好ましいのは20質量%乃至40質量%である。ヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマーが5質量%未満の場合は共重合体のパターン形状の安定化効果が得られない場合がある。60質量%以上の場合には、(a)成分のアルカリ可溶性基が不足し、現像性等の特性が低下する場合がある。
【0164】
本発明の(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、共重合体のTgを上げるという点から、さらにN置換マレイミド化合物を共重合させたものであることが好ましい。
【0165】
N置換マレイミド化合物マレイミド化合物としては、例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、及びN-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。透明性の観点から芳香環を有さない物が好ましく、現像性、透明性、耐熱性の点から脂環骨格を有するものがより好ましく、中でもシクロヘキシルマレイミドが最も好ましい。
【0166】
(a)成分のアルカリ可溶性樹脂の製造におけるN-置換マレイミドの比率は、好ましくは5質量%乃至60質量%、より好ましくは10質量%乃至50質量%、最も好ましいのは20質量%乃至40質量%である。N-置換マレイミドが5質量%未満の場合は共重合体のTgが低くなり、耐熱性に劣る場合がある。60質量%以上の場合には、透明性が低下する場合がある。
【0167】
本発明の第二の感光性樹脂組成物が要件(z2)を満足する場合、本発明で用いられる
(a)成分のアルカリ可溶性樹脂は、自己架橋性基をさらに有するか、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基(以下、架橋性基ともいう)をさらに有する共重合体であることが好ましい。
【0168】
上記自己架橋性基としてはN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基及びブロックイソシアネート基が挙げられる。
【0169】
上記架橋性基としては、N-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等が挙げられる。
【0170】
かかる自己架橋性基又は架橋性基を(a)成分のアルカリ可溶性樹脂に含有させる場合の含有量は、(a)成分の樹脂における繰り返し単位1単位あたり、0.1乃至0.9個であることが好ましく、現像性と耐溶剤性の観点から、0.1乃至0.8個であることがさらに好ましい。
【0171】
(a)成分のアルカリ可溶性樹脂が、さらにN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基及びブロックイソシアネート基等の自己架橋性基及びN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等の架橋性基から選ばれる少なくとも1種を有する繰り返し単位を有する場合、例えば、ラジカル重合性を有し、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等の架橋性基及びN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基及びアルコキシシリル基等の自己架橋性基から選ばれる少なくとも1種を有する不飽和化合物を共重合させればよい。
【0172】
ラジカル重合性を有し、N-アルコキシメチル基を有する不飽和化合物としては、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
【0173】
ラジカル重合性を有し、さらにN-ヒドロキシメチル基を有するモノマーとしては、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0174】
ラジカル重合性を有し、さらにアルコキシシリル基を有するモノマーとしては、3-アクリロイルオキシトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0175】
ラジカル重合性を有し、さらにエポキシ基を有する不飽和化合物としては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、α-n-プロピルアクリル酸グリシジル、α-n-ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸-3,4-エポキシブチル、メタクリル酸-3,4-エポキシブチル、アクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、メタクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、α-エチルアクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロへキシルメタクリレートなどが挙げられる。これらのうち、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロへキシルメタクリレートなどが好ましく用いられる。これらは、単独
であるいは組み合わせて用いられる。
【0176】
ラジカル重合性を有し、さらにオキセタン基を有する不飽和化合物としては、例えば、オキセタン基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。なお、このようなモノマーの中では、3-(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-3-エチル-オキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-3-エチル-オキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-トリフロロメチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2-トリフロロメチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-フェニル-オキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-2-フェニル-オキセタン、2-(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、2-(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、2-(メタクリロイルオキシメチル)-4-トリフロロメチルオキセタン、2-(アクリロイルオキシメチル)-4-トリフロロメチルオキセタンが好ましく、3-(メタクリロイルオキシメチル)-3-エチル-オキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)-3-エチル-オキセタン等が好ましく用いられる。
【0177】
ラジカル重合性を有し、さらにビニル基を有するモノマーとしては、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。
【0178】
ラジカル重合性を有し、さらにブロックイソシアネート基を有するモノマーとしては、メタクリル酸2-(0-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ)エチル、メタクリル酸2-(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ)エチル等が挙げられる。
【0179】
本発明の第二の感光性樹脂組成物が(z1)を満足する場合、ラジカル重合性を有し、N-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基及びブロックイソシアネート基等の自己架橋性基及びN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等の架橋性基から選ばれる少なくとも1種の基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を、(a)成分のアルカリ可溶性樹脂が有する全ての繰り返し単位の合計に基づいて、好ましくは10質量%乃至70質量%、特に好ましくは20質量%乃至60質量%含有する。この構成単位が10質量%未満の場合は得られる硬化膜の耐熱性や表面硬度が低下する傾向にあり、一方この構成単位の量が70質量%を超える場合は感放射線性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
【0180】
また、本発明においては、(a)成分のアクリル重合体は、上述のモノマー以外のモノマー(以下、その他モノマーと称す。)をも構成単位として形成された共重合体であってもよい。その他モノマーは、具体的には、上記カルボキシル基を有するモノマー及びフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーからなる群から選択される少なくとも一種と共重合可能なものであればよく、(a)成分の特性を損ねない限り、特に限定されるものでない。そのようなモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
以下、当該その他モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0181】
前記アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、グリシジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルア
クリレート、tert-ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-アミノエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルアクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルアクリレート、及び、8-エチル-8-トリシクロデシルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、カプロラクトン2-(アクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、等が挙げられる。
【0182】
前記メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-アミノメチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3-メトキシブチルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、γ-ブチロラクトンメタクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルメタクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、及び、8-エチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート等が挙げられる。
【0183】
前記アクリルアミド化合物としては、例えば、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0184】
前記ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、アリルグリシジルエーテル、3-エテニル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、及び、1,7-オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
【0185】
前記スチレン化合物としては、ヒドロキシ基を有しないスチレン、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
【0186】
(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂の製造において、上記その他モノマーの比率は80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。80質量%よりも多くなると相対的に必須成分が減るため、本発明の効果を十分に得ることが困難になる。
【0187】
本発明に用いる(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂を得る方法は特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性ヒドロキシ基、及び、熱又は酸の作用によりカルボン酸又はフェノール性ヒドロキシ基を生成する基からなる群から選択される少なくとも一種を有するモノマー、ヒドロキシアルキル基を有するモノマー、所望によりN-アルコキシメチル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基及びブロックイソシアネート基等の自己架橋性基及びN-アルコキシメチ
ル基、N-ヒドロキシメチル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニル基、ブロックイソシアネート基等の架橋性基から選ばれる少なくとも1種の基を有するモノマー、所望によりそれ以外の共重合可能なモノマー及び所望により重合開始剤等を共存させた溶剤中において、50℃乃至110℃の温度下で重合反応させることにより、得られる。その際、用いられる溶剤は、アルカリ可溶性樹脂を構成するモノマー及び特定官能基を有するアクリル重合体を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する(c)成分に記載する溶剤が挙げられる。
【0188】
このようにして得られる特定官能基を有するアクリル重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
【0189】
また、上記のようにして得られた特定共重合体の溶液を、ジエチルエーテルや水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定共重合体の粉体とすることができる。このような操作により、特定共重合体と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した特定共重合体の粉体を得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰り返し行えば良い。
本発明においては、上記特定共重合体の粉体をそのまま用いても良く、あるいはその粉体を、たとえば後述する(c)成分に再溶解して溶液の状態として用いても良い。
【0190】
また、(a)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、一部イミド化したポリアミド酸等のポリイミド前駆体、カルボン酸基含有ポリイミド等のポリイミドを用いることもでき、それらはアルカリ可溶性であれば特にその種類を限定されずに用いることができる。
【0191】
ポリイミド前駆体である前記ポリアミド酸は、一般的に(i)テトラカルボン酸二無水物化合物と(j)ジアミン化合物とを重縮合して得ることができる。
【0192】
上記(i)テトラカルボン酸二無水物化合物は特に限定はなく、具体例として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物のような脂環式テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物のような脂肪族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
これらは、1種単独で用いてもよく、又は2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0193】
また、上記(j)ジアミン化合物も特に限定されることはなく、例えば、2,4-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノ安息香酸、3,5-ジアミノ安息香酸、4,6-ジアミノ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、2,5-ジアミノ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3,5-ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3,5-ジカルボキシフェニル)スルホン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジカルボキシ-
5,5’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジカルボキシ-5,5’-ジメトキシビフェニル、1,4-ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノ-3-カルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,4-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノフェノール、2,5-ジアミノフェノール、4,6-ジアミノレゾルシノール、2,5-ジアミノハイドロキノン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3,5-ジヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3,5-ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3,5-ジヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシ-5,5’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシ-5,5’-ジメトキシビフェニル、1,4-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等フェノール性ヒドロキシ基を有するジアミン化合物、1,3-ジアミノ-4-メルカプトベンゼン、1,3-ジアミノ-5-メルカプトベンゼン、1,4-ジアミノ-2-メルカプトベンゼン、ビス(4-アミノ-3-メルカプトフェニル)エーテル、2,2-ビス(3-アミノ-4-メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン等チオフェノール基を有するジアミン化合物、1,3-ジアミノベンゼン-4-スルホン酸、1,3-ジアミノベンゼン-5-スルホン酸、1,4-ジアミノベンゼン-2-スルホン酸、ビス(4-アミノベンゼン-3-スルホン酸)エーテル、4,4’-ジアミノビフェニル-3,3’-ジスルホン酸、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル-6,6’-ジスルホン酸等スルホン酸基を有するジアミン化合物が挙げられる。また、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-メチレン-ビス(2,6-エチルアニリン)、4,4’-メチレン-ビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、o-トリジン、m-トリジン、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-トルイル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン等のジアミン化合物を挙げるこ
とが出来る。
これらは、1種単独で用いてもよく、又は2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0194】
本発明で用いられるポリアミド酸が(i)テトラカルボン酸二無水物化合物と(j)ジアミン化合物から製造される場合、両化合物の配合比、すなわち(j)ジアミン化合物の総モル数/(i)テトラカルボン酸二無水物化合物の総モル数は0.7乃至1.2であることが望ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1に近いほど生成するポリアミド酸の重合度は大きくなり分子量が増加する。
【0195】
また、ジアミン化合物を過剰に用いて重合した際、残存するポリアミド酸の末端アミノ基に対してカルボン酸無水物を反応させ末端アミノ基を保護することもできる。
このようなカルボン酸無水物の例としてはフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、無水マレイン酸、ナフタル酸無水物、水素化フタル酸無水物、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸、テトラヒドロフタル酸無水物等を挙げることができる。
【0196】
ポリアミド酸の製造において、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物化合物との反応の反応温度は-20℃乃至150℃、好ましくは-5℃乃至100℃の任意の温度を選択することができる。高分子量のポリアミド酸を得るには、反応温度5℃乃至40℃、反応時間1時間乃至48時間の範囲にて適宜選択する。低分子量で保存安定性の高く部分的にイミド化されたポリアミド酸を得るには反応温度40℃乃至90℃、反応時間10時間以上から選択することがより好ましい。
また、末端アミノ基を酸無水物で保護する場合の反応温度は-20℃乃至150℃、好ましくは-5℃乃至100℃の任意の温度を選択することができる。
【0197】
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物化合物の反応は溶剤中で行なうことができる。その際に使用できる溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、m-クレゾール、γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン等を挙げることができる。これらは単独でも、混合して使用しても良い。さらに、ポリアミド酸を溶解しない溶剤であっても、重合反応により生成したポリアミド酸が析出しない範囲で、上記溶剤に混合して使用してもよい。
【0198】
このようにして得られたポリアミド酸を含む溶液は、感光性樹脂組成物の調製にそのまま用いることができる。また、ポリアミド酸を水、メタノール、エタノール等の貧溶剤に沈殿単離させて回収して用いることもできる。
【0199】
また、(a)成分としては、任意のポリイミドも用いることができる。本発明に用いるポリイミドとは前記ポリアミド酸などのポリイミド前駆体を化学的又は熱的に50%以上イミド化させたものである。
【0200】
本発明の第二の感光性樹脂組成物に用いるポリイミドは、アルカリ溶解性を与えるためにカルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基から選ばれる基を有することが好ましい。
ポリイミドへのカルボキシル基又はフェノール性ヒドロキシ基の導入方法は、カルボキシル基又はフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーを用いる方法、カルボキシル基又はフェノール性ヒドロキシ基を有する酸無水物でアミン末端を封止する方法、或いは、ポリアミド酸などのポリイミド前駆体をイミド化する際にイミド化率を99%以下にする方法等が用いられる。
【0201】
このようなポリイミドは上述のポリアミド酸などのポリイミド前駆体を合成した後、化学イミド化もしくは熱イミド化を行うことで得ることができる。
化学イミド化の方法としては一般的にポリイミド前駆体溶液に過剰の無水酢酸およびピリジンを添加し室温から100℃で反応させる方法が用いられる。また、熱イミド化の方法としては一般的に、ポリイミド前駆体溶液を温度180℃乃至250℃で脱水しながら過熱する方法が用いられる。
【0202】
また、(a)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、さらにフェノールノボラック樹脂を用いることができる。
【0203】
また、(a)成分のアルカリ可溶性樹脂としては、ポリエステルポリカルボン酸を用いることもできる。ポリエステルポリカルボン酸は、酸二無水物とジオールから、WO2009/051186に記載の方法により、得ることができる。
酸二無水物としては、上記(i)テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
ジオールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ベンゼン-1,3-ジメタノール、ベンゼン-1,4-ジメタノール等の芳香族ジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、及びエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール等が挙げられる。
【0204】
また、本発明においては、(a)成分のアルカリ可溶性樹脂は、複数種のアルカリ可溶性樹脂の混合物であってもよい。
【0205】
<(b)成分>
本発明に用いる(b)成分の微粒子は、顔料、染料などの着色剤の微粒子、もしくは有機または無機の微粒子である。
【0206】
染料としては、例えば、ベンゼンアゾ系染料、アントラキノン染料等が挙げられる。
【0207】
顔料としては、例えば、カーボンブラック、ベンゾフラノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料等の黒色有機顔料、チタン、銅、鉄、もしくは銀等の金属またはその酸化物・窒化物等の微粒子等の黒色無機顔料、またはC.I.ピグメントイエロー20、86、93、109、110、117、125、138、148、154、166、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、61、C.I.ピグメントレッド9、97、122、149、168、177、180、192、217、220、228、240、C.I.ピグ
メントバイオレット19、23、30、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
【0208】
着色剤とは、顔料、染料等を有するが、(b)成分が着色剤である場合には、好ましくは顔料を含む微粒子である。
【0209】
(b)成分の微粒子は、構造によりレジスト膜に耐溶剤性、耐熱性といった安定性や、透明性、光拡散性、屈折率制御といった光学特性を付与できる場合もある。
【0210】
(b)成分の微粒子は前述の役割を果たすものであれば特に限定されないが、有機微粒子、無機微粒子を挙げることができる。
【0211】
前記有機微粒子、無機微粒子の形状は特に限定されないが、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、ビーズが連結した鎖状や、粉末等の不定形のものであってもよい。
【0212】
本発明で使用する前記有機微粒子の平均粒径は、5nm~1000nmであることが望ましい。ここで平均粒径(μm)とは、Mie理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定して得られる50%体積径(メジアン径)である。
【0213】
前記有機微粒子としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル粒子(PMMA粒子)、シリコーン粒子、ポリスチレン粒子、ポリカーボネート粒子、アクリルスチレン粒子、ベンゾグアナミン粒子、メラミン粒子、ポリオレフィン粒子、ポリエステル粒子、ポリアミド粒子、ポリイミド粒子、ポリフッ化エチレン粒子等があげられる。
【0214】
前記有機微粒子は、市販品を好適に用いることができ、例えば、テクポリマー(登録商標)MBXシリーズ、同SBXシリーズ、同MSXシリーズ、同SMXシリーズ、同SSXシリーズ、同BMXシリーズ、同ABXシリーズ、同ARXシリーズ、同AFXシリーズ、同MBシリーズ、同MBPシリーズ、同MB-Cシリーズ、同ACXシリーズ、同ACPシリーズ[以上、積水化成品工業(株)製];トスパール(登録商標)シリーズ[モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(同)製];エポスター(登録商標)シリーズ、同MAシリーズ、同STシリーズ、同MXシリーズ[以上、(株)日本触媒製];オプトビーズ(登録商標)シリーズ[日産化学(株)製];フロービーズシリーズ[住友精化(株)製];トレパール(登録商標)PPS、同PAI、同PES、同EP[以上、東レ(株)製];3M(登録商標)ダイニオンTFマイクロパウダーシリーズ[3M社製];ケミスノー(登録商標)MXシリーズ、同MZシリーズ、同MRシリーズ、同KMRシリーズ、同KSRシリーズ、同MPシリーズ、同SXシリーズ、同SGPシリーズ[以上、綜研化学(株)製];タフチック(登録商標)AR650シリーズ、同AR-750シリーズ、同FH-Sシリーズ、同A-20、同YKシリーズ、同ASFシリーズ、同HUシリーズ、同Fシリーズ、同Cシリーズ、同WSシリーズ[以上、東洋紡(株)製];アートパール(登録商標)GRシリーズ、同SEシリーズ、同Gシリーズ、同GSシリーズ、同Jシリーズ、同MFシリーズ、同BEシリーズ[以上、根上工業(株)製];信越シリコーン(登録商標)KMPシリーズ[信越化学工業(株)製]等を用いることができる。
【0215】
前記無機微粒子としては、例えばシリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、水酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム等、およびこれらを含む複合酸化物等が挙げられる。
【0216】
これらの無機微粒子の中でもシリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタニウムが好ましく、
特に平均一次粒子径が5nm~100nmの値を有する粒子が好ましい。ここで平均一次粒子径は透過型電子教観察により測定される一次粒子径の平均値である。
【0217】
上述した粒子のうちコロイダルシリカ粒子としては、シリカゾルを用いることができる。シリカゾルはケイ酸ナトリウム水溶液を原料として公知の方法により製造される水性シリカゾルまたはその水性シリカゾルの分散媒である水を有機溶媒に置換して得られる有機溶媒分散シリカゾルを使用することができる。
【0218】
また、メチルシリケートやエチルシリケート等のアルコキシシランをアルコール等の有機溶媒中で触媒(例えば、アンモニア、有機アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒)の存在下に加水分解し、縮合して得られるシリカゾルまたはそのシリカゾルの分散媒を他の有機溶媒に溶媒置換したオルガノシリカゾルを用いることもできる。
上記オルガノシリカゾルの市販品の例としては、例えば商品名MA-ST-S(メタノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名MT-ST(メタノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名MA-ST-UP(メタノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名MA-ST-M(メタノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名MA-ST-L(メタノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名IPA-ST-S(イソプロパノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名IPA-ST(イソプロパノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名IPA-ST-UP(イソプロパノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名IPA-ST-L(イソプロパノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名IPA-ST-ZL(イソプロパノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名NPC-ST-30(n-プロピルセロソルブ分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名PGM-ST(1-メトキシ-2-プロパノール分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名DMAC-ST(ジメチルアセトアミド分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名XBA-ST(キシレン・n-ブタノール混合溶媒分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名EAC-ST(酢酸エチル分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名PMA-ST(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名MEK-ST(メチルエチルケトン分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名MEK-ST-UP(メチルエチルケトン分散シリカゾル、日産化学(株)製)、商品名MEK-ST-L(メチルエチルケトン分散シリカゾル、日産化学(株)製)及び商品名MIBK-ST(メチルイソブチルケトン分散シリカゾル、日産化学(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0219】
上述した粒子のうち酸化ジルコニウムおよび酸化ジルコニウムを含む複合酸化物の粒子の例としては、例えばナノユースZR-40BL(水分散ジルコニアゾル)、ナノユースOZ-S30M(メタノール分散ジルコニアゾル)、ナノユースOZ-S30K(メチルエチルケトン分散ジルコニアゾル)、ナノユースOZ-S40K-AC(メチルエチルケトン分散ジルコニアゾル)、サンコロイドHZ-400M7(メタノール分散ジルコニアゾル)(以上全て商品名、日産化学(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0220】
上述した粒子のうち酸化チタンおよび酸化チタンを含む複合酸化物の粒子の例としては、例えば商品名サンコロイドHT-R305M7-20(メタノール分散チタニアゾル、日産化学(株)製)等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0221】
これらの有機および無機微粒子は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0222】
本発明の第二の感光性樹脂組成物における(b)成分の含有量は、(a)成分、後述の(d)成分、(e)成分、(f)成分、(h)成分および(q)成分の合計質量を100質量部としたとき、好ましくは5質量部乃至1000質量部、より好ましくは10質量部
乃至500質量部、更に好ましくは10質量部乃至200質量部である。(b)成分の含有量が5質量部より少ない場合、着色、安定性向上、光学特性制御などの目的とする特性が得られない場合がある。また、(b)成分の含有量が1000質量部より多い場合、レジスト膜の製膜性が低下する場合がある。
【0223】
<(c)成分>
本発明に用いる(c)成分は、溶剤として(a)成分、(b)成分、及び必要に応じて後述の(d)成分、(e)成分、(f)成分、(g)成分、(h)成分、(q)成分を溶解し、且つ所望により添加される後述のその他添加剤などを溶解するものであり、斯様な溶解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
【0224】
斯様な(c)成分としては、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(C)成分と同じものが挙げられる。
【0225】
これらの溶剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
これら(c)成分の中、下層膜を溶解させない点からヒドロキシ基を有しない溶媒、すなわち、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ブタノン、3-メチル-2-ペンタノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、γ―ブチロラクトン、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドン等が好ましい。これら溶剤は、一般にフォトレジスト材料のための溶剤として用いられている。
ヒドロキシ基を有する溶剤を用いる場合は、上述した通り下層膜を溶解させない点からヒドロキシ基を有しない溶剤と組み合わせて使用することが好ましい。組み合わせる溶媒は塗膜性が良好で下層膜を溶解させなければ一種類でも二種類以上でも特に限定はされない。この場合、下層膜を溶解させない観点からヒドロキシ基を有する溶剤の量は(c)成分全体に対して70重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましく、50重量%以下が更に好ましく、30重量%以下が最も好ましい。
【0226】
<(d)成分>
(d)成分である感光剤としては、(d-1)1,2-キノンジアジド化合物、(d-2)光ラジカル発生剤、(d-3)光酸発生剤が挙げられる。
【0227】
(d-1)1,2-キノンジアジド化合物としては、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(D)成分中に挙げた(D-1)と同じものが挙げられる。
【0228】
これらの1,2-キノンジアジド化合物は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0229】
本発明の第二の感光性樹脂組成物がポジ型感光性樹脂組成物である場合に(d-1)成分のキノンジアジド基を有する化合物を含有させる場合の含有量は、(a)成分と(h)成分の合計100質量部に対して、好ましくは5質量部乃至100質量部、より好ましくは8質量部乃至50質量部、更に好ましくは10質量部乃至40質量部である。5質量部未満の場合、ポジ型感光性樹脂組成物の露光部と未露光部の現像液への溶解速度差が小さくなり、現像によるパターニングが困難である場合がある。また、100質量部を超えると、短時間での露光で1,2-キノンジアジド化合物が十分に分解されないため感度が低下する場合や、(d-1)成分が光を吸収してしまい硬化膜の透明性を低下させてしまう
場合がある。
【0230】
(d-2)光ラジカル発生剤は、露光によりラジカルを発生するものであれば特に制限はない。具体例としては、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(D)成分中に挙げた(D-2)と同じものが挙げられる。
【0231】
本発明の第二の感光性樹脂組成物に(d-2)成分を含有させる場合の含有量は、(a)成分と(h)成分の合計100質量部に対して0.1質量部乃至30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部乃至20質量部であり、特に好ましくは1質量部乃至15質量部である。この割合が過小である場合には、露光部が硬化不足となり、パターン形成ができなかったり、できたとしても信頼性の低い膜となる場合がある。また、この割合が過大である場合には、塗膜の透過率が低下したり、未露光部の現像不良が起こる場合がある。
【0232】
(d-3)の光酸発生剤は紫外線照射時に光分解して酸を発生する化合物であれば特に限定されるものではない。光酸発生剤が光分解した際に発生する酸としては、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(D)成分の(D-3)中に挙げた光酸発生剤が光分解した際に発生する酸と同じものが挙げられる。
【0233】
光酸発生剤としては、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(D)成分の(D-3)中に挙げた光酸発生剤と同じものが挙げられる。
【0234】
本実施の形態の第二の感光性樹脂組成物に(d-3)成分を含有させる場合の含有量は、(a)成分と(h)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部乃至20質量部、より好ましくは0.1質量部乃至10質量部、更に好ましくは0.5質量部乃至8質量部である。(d-3)成分の含有量を0.01質量部以上とすることで、充分な熱硬化性および溶剤耐性を付与することができる。しかし、20質量部より多い場合、未露光部が現像不良となったり、組成物の保存安定性が低下する場合がある。
【0235】
<(e)成分>
(e)成分は架橋剤であり、本発明の第二の感光性樹脂組成物が要件(z1)を満たす場合に組成物中に導入されるものである。より具体的には、(a)成分の熱反応性部位(たとえば、カルボキシル基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基)と熱反応により橋架け構造を形成しうる構造を有する化合物である。以下、具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。熱架橋剤は、例えば、(e1)アルコキシメチル基及びヒドロキシメチル基から選ばれる置換基を2個以上有する架橋性化合物や(e2)下記式(2)で表される架橋性化合物から選ばれるものが好ましい。これらの架橋剤は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0236】
(e1)成分のアルコキシメチル基及びヒドロキシメチル基から選ばれる置換基を2個以上有する架橋性化合物は、熱硬化時の高温に曝されると、脱水縮合反応により架橋反応が進行するものである。このような化合物としては、例えば、アルコキシメチル化グリコールウリル、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、およびアルコキシメチル化メラミン等の化合物、およびフェノプラスト系化合物が挙げられる。
【0237】
アルコキシメチル化グリコールウリルの具体例としては、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(E)成分中に挙げたものと同じものを用いることができる。
【0238】
アルコキシメチル化ベンゾグアナミンの具体例としては前述した上層膜形成用組成物中で用いる(E)成分中に挙げたものと同じものを用いることができる。
【0239】
フェノプラスト系化合物の具体例としては、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(E)成分中に挙げたものと同じものを用いることができる。
【0240】
さらに、(e1)成分としては、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド等のヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーも用いることができる。
【0241】
そのようなポリマーとしては、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(E)成分中に挙げた(E1)と同じものを用いることができる。
【0242】
また本発明の第二の感光性樹脂組成物は、(e2)成分として、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(E)成分中に挙げた(E2)と同じものを用いることができる。
【0243】
また、e成分としては(e1)成分、(e2)成分として示したもの以外の(a)成分の熱反応性部位(たとえば、カルボキシル基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基)と熱反応により橋架け構造を形成しうる化合物も用いることができる。具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6-テトラグリシジル-2,4-ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、及びN,N,N’,N’,-テトラグリシジル-4、4’-ジアミノジフェニルメタン等のエポキシ化合物、VESTANAT B1358/100、VESTAGON BF 1540(以上、イソシアヌレート型変性ポリイソシアネート、デグサジャパン(株)製)、タケネート(登録商標)B-882N、同タケネートB―7075(以上、イソシアヌレート型変性ポリイソシアネート、三井化学(株)製)等のイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0244】
また、e成分としては(a)成分の熱反応性部位(たとえば、カルボキシル基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基)と熱反応により橋架け構造を形成しうる構造を2個以上有する重合体を用いることができる。具体的には、例えば、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等のエポキシ基を有する化合物を使用して製造されるポリマー、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する化合物を使用して製造されるポリマー、2-イソシアナトエチルメタクリレート(カレンズMOI[登録商標]、昭和電工(株)製)、2-イソシアナトエチルアクリレート(カレンズAOI[登録商標]、昭和電工(株)製)等のイソシアナート基を有する化合物、または2-(0-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズMOI-BM[登録商標]、昭和電工(株)製)、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI-BP[登録商標]、昭和電工(株)製)等のブロックイソシアネート基を有する化合物を使用して製造されるポリマーが挙げられる。これらの化合物は単独、もしくは複数を組み合わせて使用してポリマーを製造しても良く、そのほかの化合物と組み合わせてポリマーを製造しても
良い。
【0245】
(a)成分がヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と反応する基を有する場合には、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基で表される基を2つ以上有する化合物を(e)成分として用いることができる。
【0246】
これらの架橋性化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0247】
本発明の第二の感光性樹脂組成物における架橋剤として(e)成分を選択した場合の含有量は、(a)成分と(h)成分の合計100質量部に対して1質量部乃至50質量部、好ましくは1質量部乃至40質量部、より好ましくは1質量部乃至30質量部である。架橋性化合物の含有量が少ない場合には、架橋性化合物によって形成される架橋の密度が十分ではないため、パターン形成後の耐熱性、耐溶剤性、長時間の焼成に対する耐性等を向上させる効果が得られない場合がある。一方、50質量部を超える場合には、未架橋の架橋性化合物が存在し、パターン形成後の耐熱性、耐溶剤性、長時間の焼成に対する耐性等が低下し、また、感光性樹脂組成物の保存安定性が悪くなる場合がある。
【0248】
<(f)成分>
(f)成分はエチレン性重合性基を2個以上有する化合物である。ここで言うところのエチレン性重合性基を2個以上有する化合物とは、一分子中に重合性基を2個以上有し、且つそれらの重合性基が分子末端にある化合物のことを意味し、それらの重合性基とは、アクリレート基、メタクリレート基、ビニル基及びアリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種類の重合性基のことを意味する。
この(f)成分であるエチレン性重合性基を2個以上有する化合物は、本発明の第二の感光性樹脂組成物におけるネガ型感光性樹脂組成物の溶液において、各成分との相溶性が良好で、且つ現像性に影響を与えないという観点から、分子量(該化合物がポリマーである場合、重量平均分子量)が1,000以下の化合物が好ましい。
【0249】
このような化合物の具体例としては、前述した上層膜形成用組成物中で用いる(F)成分中に挙げたものと同じものを用いることができる。
【0250】
本発明の第二の感光性樹脂組成物に(f)成分を含有させる場合の含有量は、(a)成分と(h)成分の合計の100質量部に対して5質量部乃至200質量部であることが好ましく、より好ましくは10質量部乃至150質量部であり、特に好ましくは50質量部乃至150質量部である。この割合が過小である場合には、露光部が硬化不足となり、パターン形成ができなかったり、できたとしても信頼性の低い膜となる可能性がある。また、この割合が過大である場合には、プリベーク後の塗膜にタックが発生したり、現像時に未露光部が溶解不良となる場合がある。
【0251】
<(g)成分>
本発明に用いる第二の感光性樹脂組成物に用いられる(g)成分は、酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物である。このような酸により共有結合を形成する官能基としては前述した上層膜形成用組成物中で用いる(G)成分中に挙げたものと同じものを用いることができる。
【0252】
本発明に用いる第二の感光性樹脂組成物に(g)成分の酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を含有させる場合の含有量は、(a)成分と(h)成分の合計100質量部に基づいて5質量部乃至200質量部であることが好ましく、より好まし
くは50質量部乃至150質量部である。この割合が過小である場合には、ネガ型感光性樹脂組成物の光硬化性が低下する場合があり、他方、過大である場合には未露光部の現像性が低下し残膜や残渣の原因となる場合がある。
【0253】
<(h)成分>
(h)成分は、撥液性基(h1)を有する重合体である。
【0254】
本発明において、重合体としては、例えば、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン、ポリエステル及びアクリル重合体などが挙げられ、好ましい重合体としては、アクリル重合体が挙げられる。
【0255】
ここで、アクリル重合体とはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、マレイミド等の重合性不飽和基、すなわち、構造中にC=C二重結合を含む重合性基を有するモノマーを用いて得られる重合体を指す。
【0256】
ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレアとしては、ジアミンを酸二無水物と反応させたポリアミック酸、当該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミド、ジアミンをジカルボン酸無水物と反応させて得られるポリアミドまたはジアミンをジイソシアネートと反応させて得られるポリウレアであり、なおかつ、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基を有する少なくとも一種のモノマーと、ヒドロキシ基を有する少なくとも一種のモノマーを含むモノマー混合物から得られる重合体が挙げられる。
【0257】
ポリウレタンとしては、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基を有するジオールとアミノ基を有するジオールをジイソシアネートと反応させて得られるポリウレタンが挙げられる。
【0258】
フェノール樹脂としては、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基を有するフェノールと、ホルムアルデヒドを重合させて得られるノボラック樹脂が挙げられる。
【0259】
エポキシ樹脂としては、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基を有するビスフェノールA及び/またはビスフェノールFと、当該ビスフェノールA及び/またはビスフェノールFの時グリシジルエーテルと反応させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0260】
ポリシロキサンとしては、フルオロアルキル基を有するトリアルコキシシランまたはフルオロアルキル基を有するジアルコキシシランシランと、アミノ基を有するトリアルコキシシランまたはアミノ基を有するジアルコキシシランとを含むシランモノマー混合物を重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0261】
ポリエステルとしては、ジカルボン酸またはテトラカルボン酸二無水物とフルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基を有するジオールとを反応させて得られるポリエステルが挙げられる。
【0262】
<(h1)撥液性基の導入>
上記撥液性基としては、例えば、炭素原子数3乃至10のフルオロアルキル基、ポリフルオロエーテル基、シリルエーテル基及びポリシロキサン基から選ばれる少なくとも一種の基が挙げられる。
【0263】
上記フルオロアルキル基の炭素原子数は3乃至10であり、好ましくは、炭素原子数4乃至10のフルオロアルキル基であることが望ましい。
このようなフルオロアルキル基としては、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2-(パーフルオロブチル)エチル基、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピル基、2-(パーフルオロヘキシル)エチル基、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル基、2-(パーフルオロオクチル)エチル基、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピル基、2-(パーフルオロデシル)エチル基、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチル基、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル基、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)エチル基、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピル基、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)エチル基、及び2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヒドロキシプロピル基、等が挙げられる。
【0264】
本発明の(h)成分である重合体に炭素原子数3乃至10のフルオロアルキル基を導入するには、炭素原子数3乃至10のフルオロアルキル基を有するモノマーを共重合させれば良い。
【0265】
(h)成分がアクリル重合体である場合における上記炭素原子数3乃至10のフルオロアルキル基を有するモノマーの具体例としては、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルアクリレート、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルメタクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)エチルアクリレート、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)エチルメタクリレート、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)エチルアクリレート、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)エチルメタクリレート、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、及び2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0266】
上記ポリフルオロエーテル基としては、下記式3で表されるポリフルオロエーテル構造からなるRf基が挙げられる。
-(X-O)-Y・・・式3
式3中、Xは、炭素原子数1乃至10の2価飽和炭化水素基又は炭素原子数1乃至10のフルオロ化された2価飽和炭化水素基であって、nで括られた単位毎に同一の基又は異なる基を示し、Yは、水素原子(Yに隣接する酸素原子に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合していない場合に限る)、炭素原子数1乃至20の1価飽和炭化水素基又は炭素原子数1乃至20のフルオロ化された1価飽和炭化水素基を示し、nは2乃至50の整数を示す。ただし、式3におけるフッ素原子の総数は2以上である。
【0267】
式3におけるX、Yの態様として、好ましくは、Xは、炭素原子数1乃至10の水素原子1個を取り去ってフルオロ化されたアルキレン基又は炭素原子数1乃至10のパーフルオロ化されたアルキレン基であって、nで括られた単位毎に同一の基又は異なる基を示し、Yは、炭素原子数1乃至20の水素原子1個を取り去ってフルオロ化されたアルキル基又は炭素原子数1乃至20のパーフルオロ化されたアルキル基を示すものが挙げられる。
【0268】
式3におけるX、Yの態様として、より好ましくは、Xは、炭素原子数1乃至10のパーフルオロ化されたアルキレン基であって、nで括られた単位毎に同一の基又は異なる基を示し、Yは、炭素原子数1乃至20のパーフルオロ化されたアルキル基を示すものが挙げられる。
【0269】
式3においてnは2乃至50の整数を示す。nは2乃至30が好ましく、2乃至15がより好ましい。nが2以上であると、撥液性が良好である。nが50以下であると、(A)成分である重合体を、Rf基を有するモノマーと、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、N-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基またはトリアルコキシシリル基を有するモノマーやその他のモノマーとの共重合によって合成する場合に、モノマーの相溶性が良好となる。
【0270】
また、式3で表されるポリフルオロエーテル構造からなるRf基における炭素原子の総数は2乃至50が好ましく、2乃至30がより好ましい。当該範囲では、(h)成分である重合体は良好な撥液性を奏する。また、(h)成分である重合体を、Rf基を有するモノマーと、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、N-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基またはトリアルコキシシリル基を有するモノマーやその他のモノマーとの共重合によって合成する場合に、モノマーの相溶性が良好となる。
【0271】
Xの具体例としては、-CF-、-CFCF-、-CFCFCF-、-CFCF(CF)-、-CFCFCFCF-、-CFCFCF(CF)-、及びCFCF(CF)CF-が挙げられる。
【0272】
Yの具体例としては、-CF、-CFCF、-CFCHF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、及び(CF11CF、-(CF15CFが挙げられる。
【0273】
式3で表されるポリフルオロエーテル構造からなるRf基の好ましい態様としては、式4で表されるRf基が挙げられる。
-Cp-12(p-1)-O-(C2p-O)n-1-C2q+1・・・式4
式4中、pは2又は3の整数を示し、nで括られた単位毎に同一の基であり、qは1乃至20の整数、nは2乃至50の整数を示す。
【0274】
式4で表されるRf基として、具体的には、
-CFO(CFCFO)n-1CF(nは2乃至9)、
-CF(CF)O(CFCF(CF)O)n-113(nは2乃至6)、
-CF(CF)O(CFCF(CF)O)n-1(nは2乃至6)
が合成の容易さの点から好ましく挙げられる。
【0275】
(h)成分である重合体内のRf基は、全て同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0276】
上記シリルエーテル基とは、アルコールのヒドロキシ基がトリアルキルシリル基で保護された基を意味し、好ましくは下記式で表わされる基である。
-X4-Si(O-SiX1233
(式中、X1、X2、X3はそれぞれ独立して炭素原子数1乃至3のアルキル基を表し、X4は炭素原子数1乃至6のアルキレン基を表す。)
【0277】
本発明の(h)成分である重合体にシリルエーテル基を導入するには、シリルエーテル基を有するモノマーを共重合させれば良い。
【0278】
(h)成分がアクリル重合体である場合におけるシリルエーテル基を有するモノマーとしては、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン及びアクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0279】
上記ポリシロキサン基としては、式5で示されるポリシロキサン構造を有する基が挙げられる。以下、式5で示されるポリシロキサン構造を有する基をpSi基という。
-(SiR-O)-SiR・・・式5
(ただし、R、Rは独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、Rは水素または炭素原子数1乃至10の有機基を表し、nは1乃至200の整数を表す。)。
【0280】
、Rは独立に水素、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、またシロキシ単位毎に同一でも異なっていてもよい。(h)成分である重合体が良好な撥液性を奏することから、R、Rは水素、メチル基またはフェニル基の場合が好ましく、さらには、すべてのシロキシ単位のR、Rがメチル基の場合が好ましい。また、Rには、窒素原子、酸素原子等が含まれていてもよい。
【0281】
(h)成分である重合体へのpSi基の導入方法としては、pSi基を有するモノマーを共重合させる方法、反応部位を有する重合体にpSi基を有する化合物を反応させる各種変性方法、pSi基を有する重合開始剤を使用する方法等が挙げられる。
【0282】
pSi基を有するモノマーとしては、CH=CHCOO(pSi)、CH=C(CH)COO(pSi)等が挙げられる。ただし、pSiはpSi基を表す。pSi基を有するモノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0283】
反応部位を有する重合体にpSi基を有する化合物を反応させる各種変性方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0284】
エポキシ基を有するモノマーをあらかじめ共重合させ、後に片末端にカルボキシル基を有し片末端にpSi基を有する化合物を反応させる方法。エポキシ基を有するモノマーをあらかじめ共重合させ、後に片末端にアミノ基を有し片末端にpSi基を有する化合物を反応させる方法。エポキシ基を有するモノマーをあらかじめ共重合させ、後に片末端にメルカプト基を有し片末端にpSi基を有する化合物を反応させる方法。アミノ基を有するモノマーをあらかじめ共重合させ、後に片末端にカルボキシル基を有し片末端にpSi基を有する化合物を反応させる方法。
【0285】
アミノ基を有するモノマーをあらかじめ共重合させ、後に片末端にエポキシ基を有し片末端にpSi基を有する化合物を反応させる方法。カルボキシル基を有するモノマーをあらかじめ共重合させ、後に片末端にエポキシ基を有し片末端にpSi基を有する化合物を反応させる方法。カルボキシル基を有するモノマーをあらかじめ共重合させ、後に片末端にアミノ基を有し片末端にpSi基を有する化合物を反応させる方法。カルボキシル基を
有するモノマーをあらかじめ共重合させ、後に片末端に塩化シリル基を有し片末端にpSi基を有する化合物を反応させる方法。ヒドロキシ基を有するモノマーをあらかじめ共重合させ、後に片末端に塩化シリル基を有し片末端にpSi基を有する化合物を反応させる方法。
【0286】
pSi基を有する重合開始剤としては、開始剤分子主鎖中に2価のポリシロキサン構造を有する基が含まれていてもよいし、開始剤分子の末端部分または側鎖に1価のポリシロキサン構造を有する基が含まれていてもよい。開始剤分子主鎖中に2価のポリシロキサン構造を有する基が含まれている開始剤としては、2価のポリシロキサン構造を有する基とアゾ基とを交互に有する化合物等が挙げられる。市販品としては、VPS-1001、VPS-0501(以上、富士フイルム和光純薬工業社製)が挙げられる。
【0287】
(h)成分は、更に(h2):N-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる基を有する重合体であることが好ましい。
【0288】
<(h2):N-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる基の導入>
(h)成分である重合体はN-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる基を導入するには、N-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる基を有するモノマーを共重合させれば良い。
【0289】
(h)成分がアクリル重合体である場合におけるN-アルコキシメチルアミド基を有するモノマーとしては、例えば、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基で置換された(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。
【0290】
(h)成分がアクリル重合体である場合におけるブロックイソシアネート基を有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸2-(0-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ)エチル、メタクリル酸2-(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ)エチル等が挙げられる。
【0291】
(h)成分がアクリル重合体である場合におけるトリアルコキシシリル基を有するモノマーとしては、例えば、3-トリメトキシシリルプロピルアクリレート、3-トリエトキシシリルプロピルアクリレート、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0292】
(h)成分は、更に(h3)ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する重合体であることが好ましい。
【0293】
<(h3)ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基の導入>
本発明の(h)成分である重合体に(h3)ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を導入するには、(h3)ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するモノマーを共重合させれば良い。
【0294】
(h)成分がアクリル重合体である場合におけるカルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ-(2-(アクリロイルオ
キシ)エチル)フタレート、モノ-(2-(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N-(カルボキシフェニル)マレイミド、N-(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N-(カルボキシフェニル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0295】
(h)成分がアクリル重合体である場合におけるヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2-(アクリロイルオキシ)エチルエステル、カプロラクトン2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、5-アクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、及び5-メタクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、p-ヒドロキシスチレン、α―メチル-p-ヒドロキシスチレン、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルアクリルアミド、N-ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、p-ヒドロキシフェニルアクリレート、p-ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられる。中でも、2-ヒドロキシエチルアクリレートと2-ヒドロキシエチルメタクリレートから選ばれるモノマーが好ましい。
【0296】
(h)成分がアクリル重合体である場合におけるアミド基を有するモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド等が挙げられる。中でも、メタアクリルアミドが好ましい。
【0297】
(h)成分がアクリル重合体である場合におけるアミノ基を有するモノマーとしては、例えば、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルアクリレート、及びアミノプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0298】
(h)成分がアクリル重合体である場合における上記(h)成分の重合体の製造方法としては、撥液性基を有するモノマー、例えば、炭素原子数3乃至10のフルオロアルキル基を有するモノマー、ポリフルオロエーテル基、を有するモノマー、N-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基及びトリアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するモノマー、所望により、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するモノマー、並びに所望により前記以外の更なるモノマー(以下その他モノマーAともいう)を、重合開始剤存在下の溶剤中において、50℃乃至110℃の温度下で重合反応させることにより得られる。その際、用いられる溶剤は、アルカリ可溶性の重合体を構成するモノマー及び特定官能基を有する重合体を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、前述する(c)成分に記載する溶剤が挙げられる。
【0299】
その他モノマーhの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-アミノメチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3-メトキシブチルメタクリレート、γ-ブチロラクトンメタクリレート、2-プロピル-2-ア
ダマンチルメタクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、8-エチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、グリシジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-アミノメチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、γ-ブチロラクトンアクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルアクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルアクリレート、8-エチル-8-トリシクロデシルアクリレート、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、及びビニルビフェニル等が挙げられる。
【0300】
このようにして得られる特定官能基を有する重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
【0301】
また、上記のようにして得られた特定共重合体の溶液を、ジエチルエーテルや水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定共重合体の粉体とすることができる。このような操作により、特定共重合体と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した特定共重合体の粉体を得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰り返し行えば良い。
本発明においては、上記特定共重合体の粉体をそのまま用いても良く、あるいはその粉体を、たとえば前述する(c)成分に再溶解して溶液の状態として用いても良い。
【0302】
上記(h)成分の重合体において、撥液性基(h1)の導入量は、全繰り返し単位に対して5モル%乃至60モル%であることが好ましく、5モル%乃至40モル%であることがより好ましい。5モル%より過小である場合は、撥液性の効果を奏しない場合がある。60モル%よりも過大である場合は、凝集などの問題が生じる場合がある。
【0303】
上記(h)成分の重合体において、N-アルコキシメチルアミド基、ブロックイソシアネート基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる基(h2)の導入量は、全繰り返し単位に対して5モル%乃至70モル%であることが好ましく、5モル%乃至50モル%であることがより好ましい。5モル%よりも過少である場合は、得られる膜の耐熱性や耐溶剤性に問題を生じる場合がある。60モル%よりも過大である場合は、現像性に影響を与える場合がある。
【0304】
上記(h)成分の重合体において、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基(h3)を導入する場合、その導入量は、全繰り返し単位に対して5モル%乃至60モル%であることが好ましく、5モル%乃至40モル%であることがより好ましい。5モル%より過小である場合は、得られる膜の耐熱性や耐溶剤性の向上効果が得られない場合がある。60モル%よりも過大であると、撥液性の繰り返し単位が過小となる。
【0305】
また上記(h)成分の重合体の数平均分子量は、2,000乃至100,000であることが好ましい。より好ましくは3,000乃至50,000、さらに好ましくは4,000乃至10,000である。数平均分子量が100,000より過大であると、残渣が生じる場合がある。
【0306】
また、本発明においては、(h)成分の重合体は、複数種の特定共重合体の混合物であ
ってもよい。
【0307】
(h)成分と(a)成分との比率は、(a)成分100質量部に対して(h)成分が0.1質量部乃至20質量部である。
【0308】
(a)成分が(h)成分中の撥液性基(h1)を有する場合は、(a)成分は(h)成分を兼ねることができ、この場合は必ずしも(h)成分を用いる必要はない。
この場合100質量部の(a)成分中に撥液性基(h1)を有する重合単位(モノマー)が5質量部乃至30質量部を占めることが好ましい。
【0309】
<その他添加剤>
更に、本発明に用いる第二の感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、レベリング剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、保存安定剤、消泡剤、密着促進剤、または多価フェノール、多価カルボン酸等の溶解促進剤等を含有することができる。
界面活性剤としては前述した上層膜形成用組成物中で用いる<その他の添加剤>に挙げたものと同じものを用いることができる。
撥液性の役割を果たすために、界面活性剤は(h)成分と同時に使用してもよいし、1種のみ使用してもよい。
【0310】
<バンク形成工程>
レジスト膜13を形成した後、露光しそして現像することにより、下層膜12とレジスト膜13を一括パターニングして、バンクを形成する。バンクによって区画された領域(非バンク部)が開口部14に形成する(図1を参照)。
【0311】
図1のように、第一および第二の感光性樹脂組成物がポジ型感光性樹脂組成物である場合に、露光される部分が非バンク部であり、現像過程において、非バンク部の下層膜と非バンク部のレジスト膜と共に除去され、開口部14に形成する。または、本発明の第一および第二感光性樹脂組成物がネガ型感光性樹脂組成物でる場合に、露光される部分がバンク部になり、現像過程において、非バンク部の下層膜と非バンク部のレジスト膜と共に除去される。
【0312】
従来の第二の感光性樹脂組成物が、現像過程において、残渣が残され、きれいに除去されることが難しい。残渣が残されることで、バンクによって区画された領域でさらに有機薄膜を形成する過程に、有機薄膜にムラなどの不良が生じる。本発明のバンクパターンの形成方法でバンクを形成すれば、基板上または基板上に介した他の層に残渣を残りにくいため、きれいな有機薄膜を生成できる。
【0313】
ここで、前記基板11上に形成しえる他の層としては、例えば有機電界発光素子の場合は、陽極、陰極、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、ブロック層、発光層などの層が挙げられる。本発明のバンクパターン形成方法が有機電界発光素子に用いられる場合、他の層としては、有機エロクトロルミネッセンスの正孔注入層が特に好適である。他の層は、少なくとも1層からなるものである。
【0314】
<感光性樹脂組成物>
本発明に用いる第一の感光性樹脂組成物は、下記(A)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する感光性樹脂組成物であり、且つ、所望により、(E)成分の架橋剤、(F)成分のエチレン性重合性基を2個以上有する化合物、(G)成分の酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物、及びその他添加剤のうち一種以上を更に含有することができる組成物である。
(A)成分:アミド基を有するアルカリ可溶性樹脂、
(C)成分:溶剤、
(D)成分:感光剤。
【0315】
中でも、本発明に用いる第一の感光性樹脂組成物の好ましい例は、以下のとおりである。
[1]:(A)成分100質量部に対して5質量部乃至100質量部の(D)成分を含有し、これら成分が(C)成分に溶解された感光性樹脂組成物あって、さらに前記(D)成分が(D-1)成分である第一の感光性樹脂組成物。
[2]:(A)成分100質量部に対して5質量部乃至100質量部の(D)成分を含有し、これら成分が(C)成分に溶解された感光性樹脂組成物であって、さらに(E)成分である架橋剤を、(A)成分100質量部に対して1質量部乃至50質量部含有する感光性樹脂組成物であって、さらに前記(D)成分が(D-1)成分である第一の感光性樹脂組成物。
[3]:(A)成分100質量部に対して5質量部乃至200質量部の(F)成分、(A)成分と(F)成分の合計の100質量部に対して0.1質量部乃至30質量部の(D)成分を含有し、これらが(C)成分に溶解された感光性樹脂組成物であって、さらに前記(D)成分が(D-2)成分である第一の感光性樹脂組成物。
【0316】
本発明に用いる第一の感光性樹脂組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、例えば1質量%乃至80質量%であり、また例えば5質量%乃至60質量%であり、または10質量%乃至50質量%である。ここで、固形分とは、感光性樹脂組成物の全成分から(C)成分を除いたものをいう。
【0317】
本発明に用いる第一の感光性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、その調製法としては、例えば、(A)成分のアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂を(C)成分に溶解し、この溶液に(D)成分の感光剤、必要に応じて(E)成分の架橋剤、(F)成分のエチレン性重合性基を2個以上有する化合物、(G)成分の酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要に応じてその他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0318】
本発明に用いる第一の感光性樹脂組成物の調製にあたっては、(C)成分中における重合反応によって得られる共重合体の溶液をそのまま使用することができ、この場合、(A)成分、(D)成分、必要に応じて(E)成分、(F)成分、(G)成分などを入れて均一な溶液とする際に、濃度調整を目的としてさらに(C)成分を追加投入してもよい。このとき、特定共重合体の形成過程で用いられる(C)成分と、第一の感光性樹脂組成物の調製時に濃度調整のために用いられる(C)成分とは同一であってもよいし、異なってもよい。
【0319】
而して、調製された第一の感光性樹脂組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
【0320】
本発明に用いる第二の感光性樹脂組成物は、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有する感光性樹脂組成物であり、且つ、所望により、(e)成分の架橋剤、(f)成分のエチレン性重合性基を2個以上有する化合物、(g)成分の酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物、(h)成分および/または(q)成分、並びにその他添加剤のうち一種以上を更に含有することができる組成物である。
(a)成分:アルカリ可溶性樹脂、
(b)成分:微粒子、
(c)成分:溶剤、
(d)成分:感光剤。
【0321】
本発明に用いる第二の感光性樹脂組成物の好ましい例は、以下のとおりである。
[1]:(a)成分100質量部に対して0.1質量部乃至20質量部の(h)成分を含有し、これら成分が(c)成分に溶解された第二の感光性樹脂組成物。
[2]:(a)成分100質量部に対して0.1質量部乃至20質量部の(h)成分、5質量部乃至100質量部の(d)成分を含有し、これら成分が(c)成分に溶解された感光性樹脂組成物あって、さらに前記(d)成分が(d-1)成分である第二の感光性樹脂組成物。
[3]:(a)成分100質量部に対して0.1質量部乃至20質量部の(h)成分、5質量部乃至100質量部の(d)成分を含有し、これら成分が(c)成分に溶解された感光性樹脂組成物であって、さらに(e)成分である架橋剤を、(a)成分と(h)成分の合計の100質量部に対して1質量部乃至50質量部含有する感光性樹脂組成物であって、さらに前記(d)成分が(d-1)成分である第二の感光性樹脂組成物。
[4]:(a)成分100質量部に対して0.1質量部乃至20質量部の(h)成分、(a)成分と(b)成分の合計の100質量部に対して5乃至200質量部の(f)成分、(a)成分と(b)成分と(f)成分の合計の100質量部に対して0.1乃至30質量部の(d)成分を含有し、これらが(c)成分に溶解された感光性樹脂組成物であって、さらに前記(d)成分が(d-2)成分である第二の感光性樹脂組成物。
[5]:(a)成分に撥液性基(h1)を含有し、(h)成分を含まない100質量部の(a)成分に撥液性基(h1)を有する重合単位が5質量部乃至30質量部を占める(a)成分で構成される第二の感光性樹脂組成物。
【0322】
本発明に用いる第二の感光性樹脂組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、例えば1質量%乃至80質量%であり、また例えば5質量%乃至60質量%であり、または10質量%乃至50質量%である。ここで、固形分とは、第二の感光性樹脂組成物の全成分から(c)成分を除いたものをいう。
【0323】
本発明に用いる第二の感光性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、その調製法としては、例えば、(h)成分(特定重合体)を(c)成分に溶解し、この溶液に(a)成分のアルカリ可溶性樹脂、(b)成分の微粒子、(d)成分の感光剤、必要に応じて(e)成分の架橋剤、(f)成分のエチレン性重合性基を2個以上有する化合物、(g)成分の酸により共有結合を形成する官能基を2個以上有する化合物、を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要に応じてその他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0324】
本発明に用いる第二の感光性樹脂組成物の調製にあたっては、(c)成分中における重合反応によって得られる共重合体の溶液をそのまま使用することができ、この場合、この(h)成分の溶液に第一の感光性樹脂組成物の調整のように(a)成分、(d)成分、必要に応じて(e)成分、(f)成分、(g)成分などを入れて均一な溶液とする際に、濃度調整を目的としてさらに(c)成分を追加投入してもよい。このとき、特定共重合体の形成過程で用いられる(c)成分と、第二の感光性樹脂組成物の調製時に濃度調整のために用いられる(c)成分とは同一であってもよいし、異なってもよい。
【0325】
而して、調製された第二の感光性樹脂組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
【0326】
<下層膜としての塗膜及び硬化膜>
本発明に用いる第一の感光性樹脂組成物を半導体基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属(例えばアルミニウム、モリブデン、クロム)などが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)の上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布などによって塗布し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で予備乾燥することにより、塗膜を形成することができる。その後、この塗膜を加熱処理することにより、下層膜としての感光性樹脂膜が形成される。
【0327】
この加熱処理の条件としては、例えば、温度70℃乃至160℃、時間0.3乃至60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。加熱温度及び加熱時間は、好ましくは80℃乃至140℃、0.5乃至10分間である。
【0328】
また、第一の感光性樹脂組成物から形成される感光性樹脂膜の膜厚は、例えば0.1μm乃至30μmであり、また例えば0.2μm乃至10μmであり、更に例えば0.3μm乃至8μmである。
【0329】
<レジスト膜としての塗膜及び硬化膜>
本発明に用いる第二の感光性樹脂組成物を上記で得られた下層膜の上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布などによって塗布し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で予備乾燥することにより、塗膜を形成することができる。その後、この塗膜を加熱処理することにより、レジスト膜としての感光性樹脂膜が形成される。
【0330】
この加熱処理の条件としては、例えば、温度70℃乃至160℃、時間0.3乃至60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。加熱温度及び加熱時間は、好ましくは80℃乃至140℃、0.5乃至10分間である。
【0331】
また、第二の感光性樹脂組成物から形成される感光性樹脂膜の膜厚は、例えば0.1μm乃至30μmであり、また例えば0.2μm乃至10μmであり、更に例えば0.3μm乃至8μmである。
【0332】
上記で得られた下層膜および下層膜上のレジスト膜の塗膜上に、所定のパターンを有するマスクを装着して紫外線等の光を照射し、アルカリ現像液で現像することで、材料組成により露光部と未露光部のいずれかが洗い出され、残存するパターン状の膜を必要に応じて80℃乃至140℃、0.5乃至10分間の加熱を行うことで端面のシャープなレリーフパターンが得られる。
【0333】
使用されうるアルカリ性現像液としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化第四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液が挙げられる。さらに、これらの現像液には、界面活性剤などを加えることもできる。
【0334】
上記の中、水酸化テトラエチルアンモニウム0.1乃至2.58質量%水溶液は、フォトレジストの現像液として一般に使用されており、本発明の第一および第二の感光性樹脂組成物においても、このアルカリ性現像液を用いて、膜の膨潤などの問題をひき起こすことなく良好に現像することができる。
【0335】
また、現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法など、いずれも用いることができる。その際の現像時間は、通常、15乃至180秒間である。
【0336】
現像後、感光性樹脂膜に対して流水による洗浄を例えば20乃至120秒間行い、続いて圧縮空気もしくは圧縮窒素を用いてまたはスピニングにより風乾することにより、基板上の水分が除去され、そしてパターン形成された膜が得られる。
【0337】
続いて、かかるパターン形成膜に対して、熱硬化のためにポストベークを行うことにより、具体的にはホットプレート、オーブンなどを用いて加熱することにより、耐熱性、透明性、平坦化性、低吸水性、耐薬品性などに優れ、良好なレリーフパターンを有する膜が得られる。
【0338】
ポストベークとしては、一般に、温度140℃乃至270℃の範囲の中から選択された加熱温度にて、ホットプレート上の場合には5乃至30分間、オーブン中の場合には30乃至90分間処理するという方法が採られる。
【0339】
しかして、かかるポストベークにより、目的とする、良好なパターン形状を有する硬化膜を得ることができる。
【0340】
以上のように、硬化膜のパターニング方法により、バンク以外の領域に撥液性のレジスト材料の成分などの残渣が残りにくい撥液バンクパターンを形成することができ、バンクで区画された領域内に均一な有機薄膜を形成することができる。
【実施例
【0341】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、重合体の分子量の測定は以下の通りである。
[重合体の分子量の測定]
重合体の分子量の測定は、装置として日本分光社製GPCシステムを用い、カラムとしてShodex(登録商標)KF-804L及び803Lを用い、下記の条件にて実施した。
カラムオーブン:40℃
流量:1mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン
【0342】
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次の通りである。
QDC:1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロリド
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
HPMA:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート
CHMI:N-シクロヘキシルマレイミド
PFHMA:2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート
TMSSMA:メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
KBM-503:3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
MAA:メタクリル酸
MAAm:メタクリルアミド
HPMA-QD:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート1molと1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロリド1.1molとの縮合反応によって合成される化合物
AIBN:α、α’-アゾビスイソブチロニトリル
QD1:α、α、α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプ
ロピルベンゼン1molと1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロリド2molとの縮合反応によって合成される化合物
QD2:4,4’,4”-(3-メチル-1-プロパニル-3-イリデン)トリスフェノール1molと1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロリド2molとの縮合反応によって合成される化合物
CST:ヒドロキシスチレン85%とスチレン15%の重合体と、ヒドロキシスチレン70%とスチレン30%の重合体とを3:7で混合したスチレン重合体(丸善石油化学(株)製)
8KQ:8KQ-2001(大成ファインケミカル(株)製 アルカリ可溶UV硬化型アクリル樹脂)
Poly-AA:ポリアクリル酸(富士フイルム和光純薬工業(株)製)
I907:2-メチルー1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパンー1-オン(IRGACURE 907、BASF製)
DEAB:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
OXE-02:IRGACURE OXE-02(BASF製)
GT-401:ブタンテトラカルボン酸 テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル) 修飾ε-カプロラクトン
YH-434L:新日化エポキシ製造(株)(現:新日鉄住金化学(株))製 YH-434L
CEL-2021P:3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
R-30:メガファックR-30(DIC(株)製)
CB1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート分散カーボンブラック(御国色素(株)製)
CB2:プロピレングリコールモノメチルエーテル分散カーボンブラック(御国色素(株)製)
TB1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート分散チタンブラック(三菱マテリアル(株)製)
PMA-ST:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート分散シリカゾル(日産化学(株)製)
OZ-S30K:ナノユースOZ-S30K(MEK分散ジルコニアゾル、日産化学(株)製)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EL:乳酸エチル
CH:シクロヘキサノン
【0343】
<合成例1>
MAAm 3.00g、HPMA 3.00g、CHMI 4.00g、AIBN 0.8gをPGME 43.2gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液(固形分濃度30質量%)を得た(P1)。得られたアクリル重合体のMnは3000、Mwは6200であった。
【0344】
<合成例2>
MAAm 3.00g、HPMA 3.00g、CHMI 4.00g、AIBN 0.8gをPGME 43.2gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液(固形分濃度30質量%)を得た(P2)。得られたアクリル重合体のMnは3000、Mwは6400であった。
【0345】
<合成例3>
MAAm 3.00g、HPMA 3.00g、CHMI 4.00g、AIBN 0.8gをPGME 43.2gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液(固形分濃度30質量%)を得た(P3)。得られたアクリル重合体のMnは3500、Mwは7500であった。
【0346】
<合成例4>
MAA 14.6g、HEMA 25.5g、MMA 24.6g、CHMI 35.3g、AIBN 6.0gをPGMEA 159.6gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液(固形分濃度40質量%)を得た(P4)。得られたアクリル重合体のMnは2400、Mwは4700であった。
【0347】
<合成例5>
MAA 90.00g、HEMA 225.00g、HPMA 45.00g、MMA
180.00g、CHMI 360.00g、AIBN 57.60gをPGME 1436.40gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液(固形分濃度40質量%)を得た(P5)。得られたアクリル重合体のMnは3100、Mwは6100であった。
【0348】
<合成例6>
HPMA-QD 2.50g、TMSSMA 2.58g、PFHMA 5.26g、MAA 0.70g、CHMI 1.46g、AIBN 0.33gをCH 51.3gに溶解し、110℃にて20時間撹拌させることによりアクリル重合体溶液(固形分濃
度20質量%)を得た(P6)。得られたアクリル重合体のMnは7,200、Mwは11,000であった。
【0349】
表1に示す組成で(A),(D)および(E)の各成分及び溶剤を混合し、下層膜材料1~7の第一の感光性樹脂組成物を調製した。
【表1】
【0350】
同様にして、表2に示す組成で上層レジスト層材料1~7の第二の感光性樹脂組成物を調製した。なお、表1中、表2中の組成比は固形分での比を表すものとする。
【0351】
【表2】
【0352】
[評価1 パターン形状の評価]
下層材料1~7の樹脂組成物をITO-ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚0.2μmの下層材料の塗膜を形成した。次に、上層材料1~7の感光性樹脂組成物を下層材料塗膜上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚1.1μmの上層材料の塗膜を形成した。この塗膜に50μmのライン&スペースパターンが描画されたフォトマスクを介してキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA-600FAにより365nmにおける光強度が2.6mW/cm2の紫外線を一定時間照射した。その後、塗膜を2.38質量%または0.4質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHと称す)水溶液に所定の時間浸漬した後、超純水で30秒間流水洗浄を行った。次いでこの塗膜を温度230℃で30分間加熱することによりポストベークを行い、実施例1~7および比較例1~11の基板を作成した。比較例1~7では下層材料1~7の塗布・プリベーク工程を行わずに上記と同様にして基板を作成した。作成したライン&スペースパターンの状態を光学顕微鏡より観察した。パターンが基板から剥離しているものを「剥離」、スペース部の基板上に粒子状の残渣が見られるものを「残渣」、パターンが剥離なく形成できているものを「〇」とした。得られた結果を表3に示す。
【0353】
[評価2 バンク部接触角の評価]
下層材料2の感光性樹脂組成物をITO-ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚0.2μmの下層材料の塗膜を形成した。次に、上層材料4の感光性樹脂組成物を下層材料塗膜上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚1.1μmの上層材料の塗膜を形成した。その後、塗膜を2.38質量%または0.4質量%のTMAH水溶液に所定の時間浸漬した後、超純水で30秒間流水洗浄を行った。次いでこの塗膜を温度230℃で30分間加熱することによりポストベークを行い、実施例4のITO-ガラス基板上の硬化膜を作成した。実施例1~3では紫外線の露光を行わずに上記と同様にして上層材料および下層材料からなるITO-ガラス基板上の硬化膜を形成した。比較例4では下層材料2の塗布・プリベーク工程を行わずに上記と同様にして上層材料4のみからなるITO-ガラス基板上の硬化膜を形成した。この硬化膜上のアニソールの接触角を協和界面科学(株)製Drop Masterを用いて測定した。得られた結果を表3に示す。評価2は上層材料に(h)成分を含む実施例4と比較例4についてのみ行った。
【0354】
[評価3 ITO基板上露光部接触角の評価]
下層材料2の感光性樹脂組成物をITO-ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚0.2μmの下層材料の塗膜を形成した。次に、上層材料4の感光性樹脂組成物を下層材料塗膜上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚1.1μmの上層材料の塗膜を形成した。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA-600FAにより365nmにおける光強度が2.6mW/cm2の紫外線を一定時間照射した。その後、塗膜を2.38質量%または0.4質量%のTMAH水溶液に所定の時間浸漬した後、超純水で30秒間流水洗浄を行った。次いでこの塗膜を温度230℃で30分間加熱することによりポストベークを行い、実施例4のITO-ガラス基板上の硬化膜を作成した。実施例1~3では紫外線の露光を行わずに上記と同様にして上層材料および下層材料からなるITO-ガラス基板上の硬化膜を形成した。比較例4では下層材料2の塗布・プリベーク工程を行わずに上記と同様にして上層材料4のみからなるITO-ガラス基板上の硬化膜を形成した。この硬化膜上のアニソールの接触角を協和界面科学(株)製Drop Masterを用いて測定した
。得られた結果を表3に示す。評価3は上層材料に(h)成分を含む実施例4と比較例4についてのみ行った。
【0355】
【表3】
【0356】
表3に示すように、評価1で下層材料を用いなかった比較例1~7ではいずれも残渣が見られたのに対し、下層材料を用いた実施例1~7はいずれも残渣が見られず、良好なパターン形状が得られた。また、下層材料にアミド基を含有しない親水性樹脂を用いた比較例8~11では評価1において現像時にパターンが剥離し、基板上に残らなかった。
図1