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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20230803BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20230803BHJP
   C08K 7/06 20060101ALI20230803BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20230803BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20230803BHJP
   C08K 3/18 20060101ALI20230803BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230803BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20230803BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
C08L23/02
C08K7/06
C08K7/14
C08L23/12
C08K3/18
C08K3/36
C08K5/521
C08J5/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019182634
(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公開番号】P2020066737
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2018196534
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】片山 弘
(72)【発明者】
【氏名】上田 隆史
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-062189(JP,A)
【文献】特開2012-116916(JP,A)
【文献】特開2015-143339(JP,A)
【文献】特開2003-160701(JP,A)
【文献】特開2004-010720(JP,A)
【文献】特開2014-237750(JP,A)
【文献】特開2012-167250(JP,A)
【文献】特開2018-127563(JP,A)
【文献】特開2007-069347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/18
C08L 23/02
C08K 7/06
C08K 7/14
C08L 23/12
C08K 3/18
C08K 3/36
C08K 5/521
C08J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)難燃剤、(C)炭素長繊維、(D)ガラス繊維を含む樹脂組成物から得られる樹脂成形体であって、
前記樹脂成形体中、(B)難燃剤を15~40質量%、(C)炭素長繊維を3~15質量%および(D)ガラス繊維を0~30質量%含有し、
前記樹脂成形体中、次式[(C)+(D)]/(B)から求められる(B)、(C)、(D)成分の含有割合(質量比)が0.2~2.0であり、
下記(I)~(IV)を満たす、樹脂成形体。
(I)前記樹脂成形体の厚みが1.5~8.0mm。
(II)前記樹脂成形体が、ISO527より測定された引張強さ(MPa)と密度との比で表される比強度が50kN・m/kg以上であること。
(III)前記樹脂成形体が、ISO178より測定された曲げ弾性率(MPa)と密度との比で表される比弾性率が5000kN・m/kg以上であること。
(IV)前記樹脂成形体が、周波数範囲1~100MHzにおいてKEC法電界による電磁波シールド性が30dBを超える値であること。
【請求項2】
前記樹脂組成物が、(A)~(D)成分に加えて(E)重炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウムおよび酸化ケイ素から選ばれる炭化促進剤を0.7~5.0質量%含有しているものである、請求項1記載の樹脂成形体。
【請求項3】
UL94 V試験法による燃焼試験判定結果が1.5mm厚みの試験片においてV-0である、請求項1または2記載の樹脂成形体。
【請求項4】
前記(I)~(IV)に加えてさらに下記(V)、(VI)を満たしている、請求項1または2記載の樹脂成形体。
(V)下記方法のコーンカロリーメータ発熱性試験により測定される総発熱量が、加熱開始から130sec経過後において8MJ/m2以下であること。
(VI)下記方法のコーンカロリーメータ発熱性試験による総発熱量測定の際、加熱開始から5min経過後において前記自己消火性樹脂成形体を被覆するアルミニウム箔に開孔がないこと。
コーンカロリーメータ発熱性試験:ISO5660-1に準拠し、大きさ100mm×100mm、厚み2.0mmの平板状成形品の加熱面を除いた面をアルミニウム箔(厚さ12μm)で覆ったものを試料とし、輻射熱強度は50kW/m2にて、5分間加熱を行う。
【請求項5】
(C)成分が、炭素長繊維を長さ方向に揃えた状態で束ねた炭素繊維束に(A)成分のポリオレフィン系樹脂が溶融状態で付着されて一体化されたものが4~50mmの長さに切断された樹脂付着炭素長繊維束である、請求項1~4のいずれか1項記載の樹脂成形体。
【請求項6】
(D)成分が、ガラス長繊維を長さ方向に揃えた状態で束ねたガラス長繊維束に(A)成分のポリオレフィン系樹脂が溶融状態で付着されて一体化されたものが5~50mmの長さに切断された樹脂付着ガラス長繊維束である、請求項1~4のいずれか1項記載の樹脂成形体。
【請求項7】
(B)成分が、リン系難燃剤である、請求項1~4のいずれか1項記載の樹脂成形体。
【請求項8】
(A)成分が、ポリプロピレン系樹脂である、請求項1~4のいずれか1項記載の樹脂成形体。
【請求項9】
車両用バッテリーモジュールの筐体部品またはその周辺部品である、請求項1~8のいずれか1項記載の樹脂成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車や電動二輪などのバッテリー式電動輸送機器のバッテリーモジュール筐体部品または周辺部品に使用できる樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
EVやPHVなどのバッテリー式電動輸送機器に搭載される、バッテリーなどの充電式エネルギー貯蔵システム(REESS)には、それを構成する各部品に、従来の車載用樹脂部品よりも高度な難燃性や自己消火性が求められる。例えば、欧州ECE-R100などの電気安全に関する法規を満たす必要がある。
【0003】
特許文献1には、ポリプロピレン樹脂、リン系難燃剤、炭素繊維を含有する樹脂成形体が記載されており、前記炭素繊維は前記成形体中で屈曲して存在することで、軽量であって曲げ特性や衝撃特性が良好な樹脂成形体を得ることができる。
【0004】
非特許文献1は、ポリプロピレン、炭素繊維、ポリリン酸アンモニウムを含有する混合物において、各構成成分が有する要件(繊維長、含有量)と熱的挙動や難燃効果との関係についての分析評価が記載されており、特に難燃性はUL94においてV-0を満たすことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-116916号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Journal of Composite Materials 2018,Vol.52(4)519-530,「Effect of carbon fiber amount andlength on flame retardant and mechanical properties of intumescentpolypropylene composites」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、バッテリー式電動輸送機器への搭載可能基準を満たす難燃性、さらに比強度および比弾性率が高く、電磁波シールド性を有する樹脂成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)難燃剤、(C)炭素長繊維、(D)ガラス繊維を含む樹脂組成物から得られる樹脂成形体であって、
前記樹脂成形体中、(B)難燃剤を15~40質量%、(C)炭素長繊維を3~15質量%および(D)ガラス繊維を0~30質量%含有し、
前記樹脂成形体中、次式[(C)+(D)]/(B)から求められる(B)、(C)、(D)成分の含有割合(質量比)が0.2~2.0であり、
下記(I)~(IV)を満たす、樹脂成形体を提供する。
(I)前記樹脂成形体の厚みが1.5~8.0mm。
(II)前記樹脂成形体が、ISO527より測定された引張強さ(MPa)と密度との比で表される比強度が50kN・m/kg以上であること。
(III)前記樹脂成形体が、ISO178より測定された曲げ弾性率(MPa)と密度との比で表される比弾性率が5000kN・m/kg以上であること。
(IV)前記樹脂成形体が、周波数範囲1~100MHzにおいてKEC法電界による電磁波シールド性が30dBを超える値であること。
【発明の効果】
【0009】
本発明の樹脂成形体は、バッテリー式電動輸送機器への搭載可能基準(ECE-R100など)を満たす難燃性を有しており、さらに機械的強度が良く、高い電磁波シールド性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<樹脂組成物>
以下、本発明の樹脂成形体に使用する樹脂組成物の一実施態様を説明する。
【0011】
(A)成分のポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE,ULDPE)など)、ポリプロピレン系樹脂、メチルペンテン系樹脂などのα-C2~20鎖状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂などが使用できる。これらポリオレフィン系樹脂は、単独でまたは二種以上組み合わせてもよい。本発明の好ましい一態様はポリプロピレン系樹脂である。
【0012】
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレンと他の共重合性単量体との共重合体であってもよい。他の共重合性単量体としては、例えば、オレフィン系単量体(例えば、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテンなどのα-C2~20鎖状オレフィン、環状オレフィンなど)、ビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系モノマーなど]、ジエン系単量体(例えば、ブタジエンなど)、不飽和多価カルボン酸またはその酸無水物(例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸またはその酸無水物など)、イミド系単量体[例えば、マレイミド、N-アルキルマレイミド(例えば、N-C1~4アルキルマレイミドなど)などのN-置換マレイミド]などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
より詳細には、ポリプロピレン系樹脂としては、単独重合体であるホモポリプロピレンの他、共重合体として、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体などのプロピレン含有量が80質量%以上のプロピレン-α2~20鎖状オレフィン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体など)などが挙げられる。
これらのポリプロピレン系樹脂のうち、本発明の好ましい一態様はホモポリプロピレン、プロピレン-α2~6鎖状オレフィン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体など)であり、本発明の別の好ましい一態様は、ホモポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)である。これらのポリプロピレン系樹脂は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0013】
ポリプロピレン系樹脂が不飽和多価カルボン酸またはその酸無水物を含む共重合性単量体との共重合体である酸基含有ポリプロピレン系樹脂の場合は、特許第4354776号公報、特許第5021066号公報、特開2007-112041号公報に記載されている公知のものを使用することができる。
【0014】
酸基含有ポリプロピレン系樹脂としては、本発明の好ましい一態様はポリプロピレン/無水マレイン酸グラフトポリプロピレンであり、市販品として、アルケマ株式会社のOREVAC CA100、三菱ケミカル株式会社のMODIC P908が例示できる。
【0015】
酸基含有ポリプロピレン系樹脂の酸変性量は、無水マレイン酸換算で、本発明の好ましい一態様は0.05~10質量%であり、本発明の別の好ましい一態様は0.07~5質量%であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.1~3質量%である。
【0016】
酸基含有ポリプロピレン系樹脂の酸濃度は、酸価として、本発明の好ましい一態様は0.5~120mgKOH/gであり、本発明の別の好ましい一態様は0.8~60mgKOH/gであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は1.0~30mgKOH/gである。
【0017】
(A)成分のポリプロピレン系樹脂が酸基含有ポリプロピレン系樹脂を含有する場合のベースポリマー(酸基含有ポリプロピレン系樹脂を除いたポリプロピレン系樹脂)と酸基含有ポリプロピレン系樹脂の含有割合は、ベースポリマーの本発明の好ましい一態様は80~99質量%であり、本発明の別の好ましい一態様は85~98質量%であり、酸基含有ポリプロピレン系樹脂は合計を100質量%とするときの残部割合である。
【0018】
(A)成分が前記ベースポリマーと酸基含有ポリプロピレン系樹脂を含有する場合、(A)成分としての酸濃度は、酸価として、本発明の好ましい一態様は0.25~2.5mgKOH/gであり、本発明の別の好ましい一態様は0.30~2.0mgKOH/gであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.50~2.0mgKOH/gである。
【0019】
(B)成分の難燃剤は、軽量化および燃焼試験後の自己消火性や成形体の開孔抑制の点から、リン系難燃剤が好ましく、(B-1)有機リン酸化合物または(B-2)有機リン酸塩化合物がより好ましく、それらの混合物であってもよく、ハロゲン原子は含まない。
【0020】
(B1)有機リン酸化合物としては、リン酸、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミンなどが挙げられ、これらの中でも、本発明の好ましい一態様はポリリン酸メラミンであり、本発明の別の好ましい一態様はピロリン酸メラミンである。
【0021】
(B2)有機リン酸塩化合物としては、オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジンなどが挙げられ、これらの中でも、本発明の好ましい一態様はポリリン酸ピペラジンであり、本発明の別の好ましい一態様はピロリン酸ピペラジンである。
【0022】
(B)成分が(B1)成分と(B2)成分との混合物である場合、(B1)成分と(B2)成分の質量比は、本発明の好ましい一態様は1:99~99:1であり、本発明の別の好ましい一態様は10:90~90:10であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は30:70~70:30である。前記質量比が1:99~99:1の範囲内であると、難燃化効果が良い。
【0023】
(B)成分は、市販品として、株式会社ADEKAのアデカスタブ FP-2100JC、FP-2200S、およびFP-2500Sが例示できる。
【0024】
(B)成分は、本発明の好ましい一態様は平均粒径40μm以下のものであり、本発明の別の好ましい一態様は難燃性の点から10μm以下のものである。平均粒径が40μm以下の場合には、(A)成分のポリオレフィン系樹脂に対する分散性がよく、高度な難燃性を得ることができ、さらに樹脂成形体の機械的強度もよい。
【0025】
(B)成分の難燃剤は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の炭化促進剤、難燃助剤、発泡剤、酸化防止剤、滑剤、他の非ハロゲン系難燃剤を含んでいてもよい。
【0026】
難燃助剤としては、本発明の好ましい一態様はペンタエリスリトールの2量体以上の縮合体およびそのエステルから選ばれるものであり、本発明の別の好ましい一態様はペンタエリスリトールとそのエステル、ジペンタエリスリトールとそのエステル、トリペンタエリスリトールとそのエステルから選ばれる1または2以上である。
難燃助剤は、前記のペンタエリスリトールの縮合体などを主成分として含有し(本発明の好ましい一態様は80質量%以上)、残部として他の炭化剤を配合することができる。
【0027】
他の炭化剤としては、ペンタエリスリトール、セルロース、マルトース、グルコース、アラビノース、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオール;或いはこれらのポリオール成分とカルボン酸とが反応して生成するエステル化合物;メラミン、その他のメラミン誘導体、グアナミンまたはその他のグアナミン誘導体、メラミン(2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジン)、イソシアヌル酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌル酸、トリス(3-ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレートなどのトリアジン系誘導体などを挙げることができる。
【0028】
発泡剤としては、メラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、炭素数4~9のメチロールメラミン、シアヌル酸メラミンなどのメラミン誘導体、尿素、チオ尿素、(チオ)尿素-ホルムアルデヒド樹脂、炭素数2~5のメチロール(チオ)尿素などの尿素誘導体、ベンゾグアナミン、フェニルグアナミン、アセトグアナミン、サクシニルグアナミンなどのグアナミン類、グアナミン類とホルムアルデヒドとの反応生成物、ジシアンジアミド、グアニジンおよびスルファミン酸グアニジンなどの窒素含有化合物から選ばれるものを挙げることができる。
【0029】
他の非ハロゲン系難燃剤としては、リン酸エステル系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、赤燐、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、膨張黒鉛などが挙げられる。
リン酸エステル系難燃剤として、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(o-またはp-フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、o-フェニルフェニルジクレジルホスフェート、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、テトラフェニル-m-フェニレンジホスフェート、テトラフェニル-p-フェニレンジホスフェート、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、ビスフェノールA-ビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールA・ポリフェニルホスフェート、ジピロカテコールハイポジホスフェートなどを挙げることができる。
その他にも、脂肪酸・芳香族リン酸エステルとして、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、フェニルネオペンチルホスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジホスフェート、エチルピロカテコールホスフェートなどの正リン酸エステルおよびこれらの混合物を挙げることができる。
【0030】
難燃助剤および炭化促進剤は、本発明で用いる(B)成分の難燃剤において単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。難燃助剤の添加により難燃剤の配合量を低減できたり、難燃剤単独では得られない難燃性が得られたりするので、難燃剤を配合する樹脂の種類や用途に応じて適宜併用することが好ましい。難燃助剤の粒径、融点、粘度などは難燃化効果や粉体特性で優れたものになるように選択される。
【0031】
難燃助剤の配合量は、(B)成分100質量部(本発明の好ましい一態様は(B1)および(B2)の合計含有量100質量部)に対して、本発明の好ましい一態様は10~60質量部であり、本発明の別の好ましい一態様は15~50質量部であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は15~45質量部である。前記範囲内であると、成形品の機械強度がよく、表面のべたつきも生じることなく、さらに、難燃性向上に作用する強固な炭化層が形成されて難燃性が良好となる。
炭化促進剤の配合量は、(B)成分100質量部(本発明の好ましい一態様は(B1)および(B2)の合計含有量100質量部)に対して、本発明の好ましい一態様は1~30質量部であり、本発明の別の好ましい一態様は0.5~10質量部であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.5~6質量部であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は2~5質量部である。前記範囲内であると、難燃効果がよく、成形時の押出が安定し、さらに成形体の機械物性が良く、難燃性が良好となる。
【0032】
本発明で用いる樹脂組成物は、(B)成分の難燃剤を含む樹脂混合物を含有してもよく、前記樹脂混合物中の(B)成分の難燃剤(本発明の好ましい一態様は(B1)および(B2))の含有割合は、本発明の好ましい一態様は50~80質量%であり、本発明の別の好ましい一態様は55~75質量%であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は60~70質量%である。
(B)成分の難燃剤として樹脂混合物を使用し、前記樹脂が(A)成分のポリオレフィン系樹脂であるときは、前記樹脂混合物中のポリオレフィン系樹脂は(A)成分の含有量に含まれる。(A)成分のポリオレフィン系樹脂としては、本発明の好ましい一態様はポリプロピレン系樹脂であり、本発明の別の好ましい一態様はホモポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)である。
さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、滑剤を含んでいてもよい。
【0033】
酸化防止剤としては、樹脂用の酸化防止剤として公知のリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤(例えば、ホスファイト系酸化防止剤やチオエーテル系酸化防止剤などの特開平7-76640号公報の段落番号0015~0025に記載されているものやトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリスイソデシルホスファイトなどのアリルホスファイトやアルキルホスファイト)、アミン系酸化防止剤から選ばれるものを挙げることができる。市販品として、BASFジャパン株式会社製「Irganox1010」、(株)ADEKA製「アデカスタブ PEP36」が例示できる。
滑剤としては、従来公知の滑剤、例えば、脂質類、ワックス類、シリコーン樹脂類などを挙げることができ、例えば、特開2009-167270号公報の段落番号0068~0073に記載のものから選ばれるものを挙げることができる。市販品として、日油株式会社製「アルフローH-50S」が例示できる。
【0034】
(C)成分の炭素長繊維は、PAN系およびピッチ系のいずれでもよく、その他、レーヨン系、セルロース系、リグニン系、フェノール系などを使用することもできる。炭素長繊維の繊維径は、本発明の好ましい一態様は5~15μmであり、本発明の別の好ましい一態様は6~8μmである。
【0035】
(C)成分は、炭素長繊維を長さ方向に揃えた状態で束ねた炭素繊維束に(A)成分のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分を溶融させ、必要に応じて(B)成分の難燃剤を分散させた状態で付着させて、一体化された後に、所定の長さに切断して得られる樹脂付着炭素長繊維束を使用してもよい。
ここでいう樹脂付着炭素長繊維束は、付着状態によって、炭素繊維束の中心部まで樹脂が浸透され(含浸され)、繊維束を構成する中心部の繊維間にまで樹脂が入り込んだ状態のもの(以下「樹脂含浸炭素長繊維束」という);強化用繊維束の表面のみが樹脂で覆われた状態のもの(以下「樹脂表面被覆炭素長繊維束」という);それらの中間のもの(繊維束の表面が樹脂で覆われ、表面近傍のみに樹脂が含浸され、中心部にまで樹脂が入り込んでいないもの)(以下「樹脂一部含浸炭素長繊維束」という)を含むものであって、「樹脂含浸炭素長繊維束」が好ましい。
(C)成分として(A)成分または(B)成分を含む樹脂付着炭素長繊維束を使用したときは、樹脂付着炭素長繊維束中の(A)成分または(B)成分は、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量に含まれる。
【0036】
樹脂付着炭素長繊維束は、特許第5959183号公報の段落番号0043に挙げられる周知の製造方法により製造することができる。炭素繊維束の本数は、5,000~28,000本の範囲から調整される。
【0037】
樹脂付着炭素長繊維束中の炭素繊維の含有量は、樹脂付着炭素長繊維束100質量%中、本発明の好ましい一態様は10~60質量%であり、本発明の別の好ましい一態様は15~55質量%であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は15~50質量%であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は20~40質量%である。
樹脂付着炭素長繊維束中の炭素繊維を除いた残部は(A)成分のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分であって、(A)成分のポリオレフィン系樹脂としては、本発明の好ましい一態様はポリプロピレン系樹脂であり、本発明の別の好ましい一態様はホモポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)である。(A)成分のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分は、安定剤といった樹脂添加剤を含んでもよいが、(B)成分をはじめとする難燃剤は含まない。
【0038】
樹脂付着炭素長繊維束の長さ(即ち、(C)成分の炭素長繊維の長さ)は、本発明の好ましい一態様は4~50mmが好ましく、本発明の別の好ましい一態様は5~30mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は7~25mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は8~15mmである。
樹脂付着炭素長繊維束の直径は特に制限されるものではないが、0.5~5mmの範囲にすることができる。
【0039】
さらに、剛性向上および強度向上(引張強度、曲げ強度、衝撃強度)の点から、(D)成分であるガラス繊維を含有するのが好ましい。
(D)成分は、ガラス繊維を含む樹脂混合物であってもよく、前記樹脂混合物100質量%中、ガラス繊維の含有割合は、本発明の好ましい一態様は0~70質量%であり、本発明の別の好ましい一態様は10~70質量%であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は20~65質量%であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は30~60質量%である。
前記樹脂混合物中のガラス繊維を除いた残部は(A)成分のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分であって、(A)成分のポリオレフィン系樹脂としては、本発明の好ましい一態様はポリプロピレン系樹脂であり、本発明の別の好ましい一態様はホモポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)である。
(D)成分のガラス繊維として樹脂混合物を使用したときは、前記樹脂混合物中の(A)成分のポリオレフィン系樹脂は(A)成分の含有量に含まれる。
【0040】
(D)成分のガラス繊維の繊維径は、本発明の好ましい一態様は9~20μmであり、本発明の別の好ましい一態様は10~17μmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は13~17μmであり、また長繊維でも短繊維でもよい。
【0041】
(D)成分のガラス繊維が長繊維であるときは、ガラス繊維を長さ方向に揃えた状態で束ねたガラス長繊維束に(A)成分のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分を溶融させた状態で付着させて、一体化された後に、所定の長さに切断して得られる樹脂付着ガラス長繊繊束を使用してもよい。(A)成分のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分は、安定剤といった樹脂添加剤を含んでもよいが、(B)成分をはじめとする難燃剤は含まない。
(D)成分として樹脂付着ガラス長繊維束を使用したときは、樹脂付着ガラス長繊維束中の(A)成分のポリオレフィン系樹脂は(A)成分の含有量に含まれる。
【0042】
ここでいう樹脂付着ガラス長繊維束は、前記の段落番号0030に記載された、付着状態によって区別される「樹脂含浸ガラス長繊維束」;「樹脂表面被覆ガラス長繊維束」;「樹脂一部含浸ガラス長繊維束」を含むものであって、「樹脂含浸ガラス長繊維束」が好ましい。
ガラス長繊維束の本数は、500~10000本の範囲から調整され、前記の段落番号0031に記載された「樹脂付着炭素長繊維束の製造方法」に準拠して製造することができる。
【0043】
樹脂付着ガラス長繊維束の長さ(即ち、(D)成分のガラス繊維の長さ)は、本発明の好ましい一態様は5~50mmであり、本発明の別の好ましい一態様は7~25mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は9~15mmである。
樹脂付着ガラス長繊維束の直径は特に制限されるものではないが、0.5~5mmの範囲にすることができる。
【0044】
(D)成分のガラス繊維が短繊維であるときは、本発明の好ましい一態様は長さ範囲1~4mmのガラス短繊維であり、本発明の別の好ましい一態様は2~3mmのガラス短繊維である。ガラス短繊維は、例えば、チョップドストランドなどであってもよく、表面処理された繊維であってもよい。
(D)成分のガラス繊維が短繊維であるときは、(A)成分のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分にガラス短繊維を分散させた樹脂混合物を使用してもよく、前記樹脂成分は、安定剤といった樹脂添加剤や(B)成分の難燃剤を含んでいてもよい。
【0045】
(D)成分は、成形体の強度と難燃性確保の点から、ガラス長繊維が好ましい。(D)成分としてガラス長繊維を用いることで、本発明で用いる樹脂組成物からなる成形体の強度が向上し、難燃性が安定化する。
【0046】
本発明で用いる樹脂組成物は、さらに(E)成分として炭化促進剤を含有することができる。
(E)成分の炭化促進剤としては、フェロセンなどの有機金属錯体化合物、水酸化コバルト、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、硼酸マグネシウム、硼酸カルシウムマグネシウムなどの硼酸アルカリ土類金属塩、硼酸マンガン、硼酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナ三水和物、重炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化コバルト、酸化亜鉛などの金属酸化物類、ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩、シリカチタニアなどの珪酸塩型固体酸、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛などの金属リン酸塩、ハイドロタルサイト、カオリナイト、セリサイト、パイロフィライト、ベントナイト、タルクなどの粘土鉱物類を挙げることができる。
中でも炭化促進剤としての効果の面から、本発明の好ましい一態様は重炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウムおよび酸化ケイ素であり、本発明の別の好ましい一態様は酸化亜鉛である。
【0047】
本発明で用いる樹脂組成物は、カーボンブラックを含有していてもよい。カーボンブラックとしては、公知のファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどを挙げることができる。
本発明で用いる樹脂組成物に含まれるカーボンブラックは、カーボンブラックを含む樹脂混合物(マスターバッチ)であってもよく、前記樹脂混合物100質量%中、カーボンブラックの含有割合は、本発明の好ましい一態様は0.01~40質量%であり、本発明の別の好ましい一態様は0.01~30質量%である。
残部は(A)成分のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分であって、(A)成分のポリオレフィン系樹脂としては、本発明の好ましい一態様はポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、それらの混合物である。
【0048】
本発明で用いる樹脂組成物には、本発明の課題を解決できる範囲内で、熱安定剤、滑剤、光安定剤、酸化防止剤、着色剤、離型剤を含有することができる。
【0049】
本発明で用いる樹脂組成物は、例えば、(C)、(D)成分を除く各成分をタンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー、ニーダーなどの混合機を用いて調製してもよい。
さらに、前記混合機で予備混合した後、(C)、(D)成分と合わせて一軸または二軸押出機などの押出機で混練してペレットに調製する方法、加熱ロールやバンバリーミキサーなどの混練機で溶融混練して調製する方法を適用することができる。
【0050】
<樹脂成形体>
以下、本発明の樹脂成形体の一実施態様を説明する。
樹脂成形体は、上記(A)~(D)成分を含む樹脂組成物からなる成形体であって、前記成形体中、(B)難燃剤を15~40質量%、(C)炭素長繊維を3~15質量%および(D)ガラス繊維を0~30質量%含有し、前記成形体中、(B)、(C)、(D)成分の含有割合(質量比)[((C)+(D))/(B)]が0.2~2.0であり、前記成形体は下記(I)~(IV)の要件を満たす。
(I)前記樹脂成形体の厚みが1.5~8.0mm。
(II)前記樹脂成形体が、ISO527より測定された引張強さ(MPa)と密度との比で表される比強度が50kN・m/kg以上であること。
(III)前記樹脂成形体が、ISO178より測定された曲げ弾性率(MPa)と密度との比で表される比弾性率が5000kN・m/kg以上であること。
(IV)前記成形体が、周波数範囲1~100MHzにおいてKEC法電界による電磁波シールド性が30dBを超える値であること。
【0051】
本発明の樹脂成形体の別実施形態を説明する。
樹脂成形体は、上記(A)~(E)成分を含む樹脂組成物からなる成形体であって、前記樹脂成形体中、(B)難燃剤を15~40質量%、(C)炭素長繊維を3~15質量%、(D)ガラス繊維を0~30質量%および(E)炭化促進剤を0.7~5.0質量%含有し、前記樹脂成形体中、(B)、(C)、(D)成分の含有割合(質量比)[((C)+(D))/(B)]が0.2~2.0であり、前記樹脂成形体は上記(I)~(IV)の要件を満たす。
【0052】
樹脂成形体の大きさや形状は、下記要件(I)を満たす範囲内で用途に応じて適宜調整することができる。
樹脂成形体は、厚み1.5~8.0mmであって、本発明の好ましい一態様は2.0~6.0mmであり、本発明の別の好ましい一態様は2.0~4.0mmである(要件(I))。
【0053】
樹脂成形体は、ISO527より測定された引張強さ(MPa)と密度の比で表される比強度が50kN・m/kg以上であり(要件(II))、本発明の好ましい一態様は60kN・m/kg以上であり、本発明の別の好ましい一態様は70kN・m/kg以上である。
【0054】
樹脂成形体は、ISO178より測定された曲げ弾性率(MPa)と密度の比で表される比弾性率が5000kN・m/kg以上であり(要件(III))、本発明の好ましい一態様は6500kN・m/kg以上であり、本発明の別の好ましい一態様は8000kN・m/kg以上であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は10000kN・m/kg以上である。
【0055】
また樹脂成形体は、前記成形体からなる平板(縦150mm、横150mm、厚み2.0mm)を用いて測定した、周波数範囲1~100MHzにおいてKEC法電界による電磁波シールド性が30dBを超える値を示す(要件(IV))。
電磁波シールド性の測定方法は、実施例に記載のものを適用する。
【0056】
また樹脂成形体は、前記成形体中の残存繊維の重量平均繊維長は、本発明の好ましい一態様は0.5~8.0mmの範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は0.6~6.0mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.8~5.0mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は1.0~4.0mmである。
前記残存繊維は、(C)成分の炭素長繊維に由来するものであり、(D)成分のガラス繊維が含まれる場合は、(C)成分の炭素長繊維と(D)成分のガラス繊維の両方に由来するものであってもよい。
前記重量平均繊維長は、本発明の成形体から約3gの試料を切出し、硫酸により樹脂を溶解除去して残存繊維を取り出した。取り出した繊維の一部(500本以上)をLUZEX AP((株)ニレコ製)で測定したデータから重量平均繊維長を求めた。計算式は、特開2006-274061号公報の段落番号0044、0045に記載のものを使用した。
【0057】
樹脂成形体は、1.5mm厚みの試験片において、UL94 V試験法による燃焼試験判定結果がV-0であることが好ましい。
樹脂成形体は、2.0mm厚みの試験片において、UL94 5V試験法による燃焼試験判定結果が5VAであることが好ましい。
【0058】
さらに本発明の樹脂成形体は、UL94 V試験法または5V試験法による燃焼試験以外にも、下記燃焼試験法A法による燃焼試験終了後の5分以内に、外から消火処理を加えずとも消火する、自己消火性を有するものが好ましく、前記A法のほかに、下記燃焼試験法B~E法のいずれか1以上による燃焼試験終了後の5分以内に自己消火性を有するものがより好ましい。「自己消火性」とは、炎と接触させたときに、炎の中では燃焼するが炎を遠ざけると一定時間内に自ら炎を消す性質をいう。
燃焼試験法A~E法は、A法がもっとも緩やかな燃焼条件であって、次いでB法、C法の順に燃焼条件が比較的厳しい試験であって、D法およびE法は燃焼条件の厳しい試験である。
【0059】
燃焼試験A法:前記成形体からなる平板(150×150×2.0mm)を使用した。UL94における20mm炎を使用し、前記平板下方から、前記平板の中心に対して130秒間接炎する。前記平板の接炎位置からバーナー口までの距離は10mm。
燃焼試験B法:前記成形体からなる平板(150×150×2.0mm)を使用した。UL94における38mm炎を使用し、前記平板下方から、前記平板の中心に対して130秒間接炎する。前記平板の接炎位置からバーナー口までの距離は20mm。
燃焼試験C法:前記成形体からなる平板(150×150×2.0mm)を使用した。UL94における125mm炎を使用し、前記平板下方から、前記平板の中心に対して130秒間接炎する。前記平板の接炎位置からバーナー口までの距離は100mm。
燃焼試験D法:前記成形体からなる平板(150×150×2.0mm)を使用した。UL94における125mm炎を使用し、前記平板下方から、前記平板の中心に対して130秒間接炎する。前記平板の接炎位置からバーナー口までの距離は40mm。
燃焼試験E法:前記成形体からなる平板(150×150×2.0mm)を使用した。UL94における200mm長さの炎を使用し、前記平板上方から、前記平板の中心に対して130秒間接炎する。前記平板の接炎位置からバーナー口までの距離は150mm。
【0060】
前記各種燃焼試験法は、欧州ECE-R100における自己燃焼性試験を想定したもので、前記各種燃焼試験法における自己消火性を有する本発明の樹脂成形体は欧州ECE-R100の規定を満たすことができる。
【0061】
さらに樹脂成形体は、前記の燃焼試験法E法による燃焼試験後の成形体、具体的には成形体表面の着火部分において、燃焼熱によって成形体の着火部分が溶けて孔が開くことはない(開孔がない)ものが好ましい。ここでいう「開孔」とは、着火した成形体表面から成形体の厚さ方向に貫いて開く孔のことで、孔の最大径が3mm以下のものや、貫通していない孔や凹みなどは含まない。
前記E法以外にも、前記燃焼試験法A~D法のいずれか1以上による燃焼試験後の成形体において開孔がないものがより好ましい。
【0062】
さらに本発明の好ましい一態様は、上記(I)~(IV)に加えて、下記(V)と(VI)を満たすものである。
(V)下記方法のコーンカロリーメータ発熱性試験により測定される総発熱量が、加熱開始から130sec経過後において8MJ/m2以下であること。
(VI)下記方法のコーンカロリーメータ発熱性試験による総発熱量測定の際、加熱開始から5min経過後において前記自己消火性樹脂成形体を被覆するアルミニウム箔に開孔がないこと。
コーンカロリーメータ発熱性試験:ISO5660-1に準拠し、大きさ100mm×100mm、厚み2.0mmの平板状成形品の加熱面を除いた面をアルミニウム箔(厚さ12μm)で覆ったものを試料とし、輻射熱強度は50kW/m2にて、5分間加熱を行う。
試験装置としては例えば、コーンカロリーメータC4((株)東洋精機製作所製)が使用できる。
【0063】
要件(V)は、本発明の好ましい一態様は、加熱開始から130sec経過後において8MJ/m2以下であることであり、本発明の別の好ましい一態様は、加熱開始から130sec経過後において7.5MJ/m2以下であることである。
要件(VI)の「開孔」とは、アルミニウム箔の厚さ方向に貫いて開く孔のことで、孔の最大径が3mm以下のものや、貫通していない孔や凹みなどは含まない。
コーンカロリーメータ発熱性試験においては、試料の加熱面を除いた面をアルミニウム箔で被覆することから、主に加熱面の反対側の面の被覆部分まで熱が伝達し、アルミニウムの融点である約660℃を超えるような場合に、アルミニウム箔が溶融し開孔が生じる。
【0064】
樹脂成形体は、(B)、(C)、(D)成分を含む場合、
(B)成分である難燃剤は、本発明の好ましい一態様は15~40質量%、本発明の別の好ましい一態様は20~35質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は25~35質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は25~34質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は26~30質量%含有することであり、
(C)成分である炭素長繊維は、本発明の好ましい一態様は3~15質量%、本発明の別の好ましい一態様は4~10質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は5~8質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は6~7質量%含有することであり、
(D)成分であるガラス繊維は、本発明好ましい一態様は0~30質量%、本発明の別の好ましい一態様は10~25質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は15~20質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は18~20質量%含有することであり、残部の(A)成分を合わせて100質量%とする。
【0065】
(E)成分である炭化促進剤を含有する場合は、本発明の好ましい一態様は0.7~5.0質量%、本発明の別の好ましい一態様は0.8~4.5質量%含有し、本発明のさらに別の好ましい一態様は1.0~3.5質量%含有することである
【0066】
(C)成分の炭素長繊維、(D)成分のガラス繊維、および(E)成分の炭化促進剤は、本発明の好ましい一態様は(C)、(D)、(E)成分の合計量中の(E)成分の含有割合[(E)/((C)+(D)+(E))×100]が5~50質量%であり、本発明の別の好ましい一態様は10~40質量%である。
【0067】
(A)成分のポリオレフィン系樹脂、(B)成分のリン系難燃剤、(E)成分の炭化促進剤の合計量中の(E)成分の含有割合[(E)/((A)+(B)+(E))×100]の本発明の好ましい一態様は1~8質量%であり、本発明の別の好ましい一態様は1.5~6質量%であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は3.1~6質量%である。
【0068】
また樹脂成形体は、(B)、(C)、(D)成分、カーボンブラックを含む場合、
(B)成分である難燃剤は、本発明の好ましい一態様は15~40質量、本発明の別の好ましい一態様は20~35質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は25~35質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は25~34質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は26~30質量%含有することであり、
(C)成分である炭素長繊維は、本発明の好ましい一態様は3~15質量%、本発明の別の好ましい一態様は4~10質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は5~8質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は6~7質量%含有することであり、
(D)成分であるガラス繊維は、本発明のさらに別の好ましい一態様は0~30質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は10~25質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は15~20質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は18~20質量%含有することであり、
カーボンブラックは、本発明の好ましい一態様は0.03~3質量%、本発明の別の好ましい一態様は0.1~1質量%、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.2~0.7質量%含有することであり、残部の(A)成分を合わせて100質量%とする。
【0069】
次式(B)/[(A)+(B)]×100から求められる(A)成分と(B)成分の合計含有量に対する(B)成分の含有割合(質量%)は、本発明の好ましい一態様は28~55質量%であり、本発明の別の好ましい一態様は30~50質量%であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は33~48質量%であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は35~45質量%である。
【0070】
比強度と難燃性の点から、次式[(C)+(D)]/(B)から求められる(B)、(C)、(D)成分の含有割合(質量比)は0.20~2.0であり、本発明の好ましい一態様は0.20~1.4であり、本発明の別の好ましい一態様は0.20~1.0である。
【0071】
本発明の樹脂成形体は、前記の樹脂組成物を用いて、公知の技術、例えば、射出成形、押出成形、真空成形、異型成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形、ガス注入成形などによって各種成形品に成形することができるが、本発明の効果をより享受し得る観点から、射出成形によって各種成形品に成形することが好ましい。
【実施例
【0072】
・(A1)ホモポリプロピレン、MFR7、製品名「PM600A」、サンアロマー株式会社製
・(A3)高流動性ホモポリプロピレン、MFR70、製品名「PMB02A」、サンアロマー株式会社製
・(A5)高流動性プロピレン-エチレンブロック共重合体、MFR60、製品名「PMB60A」、サンアロマー株式会社製
・(A6)無水マレイン酸変性ポリプロピレン、MFR10(190℃×0.325kg)、製品名「OREVAC CA100」、アルケマ株式会社製、酸価12mgKOH/g
・(A7)プロピレン-エチレンランダム共重合体、MFR25、製品名「PM921V」、サンアロマー株式会社製
(B-1)リン系難燃剤、製品名「FP-2500S」、株式会社ADEKA製
(B-2)リン系難燃剤、製品名「FP-2100JC」、株式会社ADEKA製
(C)サイジング剤処理炭素繊維ロービング:トレカT700SC-12000-50C(東レ社製、エポキシ系サイジング剤処理、繊維径7μm)
(D)チョップドガラス繊維(ECS03T-480、日本電気硝子株式会社製)、繊維の平均径13μm、平均長さ3mm
(E)成分:酸化亜鉛、酸化亜鉛II種、堺化学工業株式会社製
【0073】
・チョップドカーボン繊維(HT C413、帝人株式会社製)、繊維の平均径7μm、平均長さ6mm
・カーボンブラックマスターバッチ(以下、CBMB)、製品名「EPP-K-22771」、ポリコール工業株式会社製(カーボンブラック30質量%含有、残部はポリプロピレンとポリエチレンの混合物)
・安定剤1、製品名「Irganox1010」、BASFジャパン株式会社製
・安定剤2、製品名「アデカスタブ PEP36」、(株)ADEKA製
・滑剤、製品名「アルフローH-50S」、日油株式会社製(エチレンビスステアリン酸アミド)
【0074】
(1)MFR(g/10min)
ISO1133に準拠して温度230℃および荷重2.16kgで測定した。
(2)引張強さ(MPa)
ISO527に準拠して測定した。
(3)曲げ強度(MPa)
ISO178に準拠して測定した。
(4)曲げ弾性率(MPa)
ISO178に準拠して測定した。
(5)シャルピー衝撃強度(kJ/m2
ISO179/1eAに準拠して、ノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
【0075】
(難燃性)
UL94のバー型試験片(125mm×13mm)の20mm炎垂直燃焼試験(V試験)にて、実施例および比較例の樹脂組成物から作製した厚さ1.5mmの試験片(樹脂成形体)にて試験した。
また、同様のバー型試験片及び平板試験片(150mm×150mm)の125mm炎垂直燃焼試験(5V試験)にて、実施例および比較例の樹脂組成物から作製した厚さ2.0mmの試験片(樹脂成形体)にて試験した。
【0076】
(電磁波シールド性)
樹脂成形体(縦150mm、横150mm、厚み2.0mm)を用い、KEC法(電界)に準拠して周波数範囲1~100MHzにおける電磁波シールド性を評価した。
【0077】
(総発熱量)
ISO5660-1に準拠し、大きさ100mm×100mm、厚み2.0mmの平板状成形品を試料とし、試験装置としてコーンカロリーメータC4((株)東洋精機製作所製)を使用して、総発熱量を測定した。輻射熱強度は50kW/m2にて、5分間加熱を行った。試料の加熱面を除いた面はアルミニウム箔(厚さ12μm)で被覆した。
加熱開始から130sec経過後の総発熱量[MJ/m2]とアルミニウム箔の開孔の有無(目視観察)の結果を表5に示す。
【0078】
製造例1(リン系難燃剤(B-1)を含む樹脂混合物の製造)
(A7)成分30質量部、安定剤1を0.20質量部、安定剤2を0.20質量部、および滑剤2.50質量部をドライブレンドした。
その後、二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」、230℃)のホッパーから供給し、さらに(B-1)成分70質量部はサイドフィーダーから供給して、溶融混練および賦形して、表1に示すリン系難燃剤(B-1)を含む樹脂混合物(直径3.0mm×長さ3.0mmのペレット)を得た。
【0079】
製造例2(樹脂含浸炭素長繊維束の製造)
(C)成分であるサイジング剤処理炭素繊維ロービング(約24000本の繊維の束)を、予備加熱装置による150℃の加熱を経て、クロスヘッドダイに通した。そのとき、クロスヘッドダイには、2軸押出機,シリンダー温度280℃)から溶融状態のポリプロピレン(A5:A6=85:15(質量比)の混合物)を供給し、繊維束にポリプロピレンを含浸させた。
その後、クロスヘッドダイ出口の賦形ノズルで賦形し(直径2.4mm)、整形ロールで形を整えた後、ペレタイザーにより8mmに切断し、炭素長繊維(C)40質量%を含有する樹脂含浸繊維束(ペレット)を得た。このようにして得た樹脂含浸繊維束を切断して確認したところ、炭素長繊維が長さ方向にほぼ平行になっており、中心部まで樹脂が含浸されていた。
【0080】
製造例3(ポリプロピレン系樹脂含浸ガラス長繊維束の製造)
(D)成分である平均繊維径17μmのガラス長繊維束(約4000本の繊維の束)をクロスヘッドダイに通して、(A3)PP樹脂:(A6)PP樹脂:安定剤1:安定剤2=48.0:1.50:0.25:0.25(質量部)のブレンド物を溶融させて供給し、ガラス繊維束に含浸させ、樹脂含浸ガラス長繊維束を得た。
その後、クロスヘッドダイ出口の賦形ノズルで賦形し(直径2.5mm)、整形ロールで形を整えた後、ペレタイザーにより長さ11mmに切断し、ガラス繊維(D)50質量%を含有する樹脂含浸ガラス繊維束(ペレット)を得た。このようにして得た樹脂含浸ガラス繊維束を切断して確認したところ、ガラス繊維が長さ方向にほぼ平行になっており、中心部まで樹脂が含浸されていた。
【0081】
実施例1~7、比較例1、2
(A3)PP樹脂、製造例1の難燃剤(B)を含む樹脂混合物、製造例2の樹脂含浸炭素長繊維束、製造例3のポリプロピレン系樹脂含浸ガラス長繊維束、CBMBを表1に示す配合でタンブラーにて混合後、射出成形機(ファナック(株)製 FANUC ROBOSHOTα-S150iA、金型50℃、成形温度235℃)に投入して、樹脂成形体を得た。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例1~4は、高度な難燃性および電磁波シールド性を有する樹脂成形体が得られた。また実施例5~7はガラス長繊維を含有する成形体で、比強度および比弾性率が大きく、さらに実施例1~4と同等の難燃性を有する。
【0084】
製造例4~11(繊維含有ポリプロピレン系難燃コンパウンドの製造)
表2に示す(A)成分のポリオレフィン系樹脂、(B)成分の難燃剤、カーボンブラック(マスターバッチ)およびその他添加剤をタンブラーにて混合した。
その後、二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」、230℃)のホッパーに供給し、さらに(D)成分のチョップドガラス繊維およびチョップドカーボン繊維をサイドフィーダーから供給して、溶融混練および賦形して、表2に示す樹脂混合物(直径3.0mm×長さ3.0mmのペレット)を得た。
製造例4~11の繊維含有ポリプロピレン系難燃コンパウンド中の(B)成分の難燃剤は樹脂成形体中の(B)成分の含有量に含まれ、前記ガラス短繊維は樹脂成形体中の(D)成分の含有量に含まれる。
【0085】
【表2】
【0086】
比較例3~10
表2に示す製造例4~11の繊維含有ポリプロピレン系難燃コンパウンドを射出成形機(ファナック(株)製 FANUC ROBOSHOT α-S150iA、金型50℃、成形温度220℃)に投入して、表3に示す樹脂成形体を得た。
【0087】
【表3】
【0088】
製造例12(リン系難燃剤(B-2)を含む樹脂混合物の製造)
(A5)成分35質量部、安定剤1を0.20質量部、安定剤2を0.20質量部、および滑剤2.50質量部をドライブレンドした。
その後、二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」、230℃)のホッパーから供給し、さらに(B-2)成分65質量部はサイドフィーダーから供給して、溶融混練および賦形して、表4に示すリン系難燃剤(B-2)を含む樹脂混合物(直径3.0mm×長さ3.0mmのペレット)を得た。
【0089】
製造例13(酸化亜鉛(E)を含む樹脂混合物の製造)
(A1)成分30質量部、(A3)成分35質量部、(A6)成分20質量部、(E)成分12質量部、安定剤1を0.25質量部、安定剤2を0.25質量部、および滑剤2.50質量部をドライブレンドし、二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」、230℃)のホッパーから供給し、溶融混練および賦形して、表4に示す酸化亜鉛(E)を含む樹脂混合物(直径3.0mm×長さ3.0mmのペレット)を得た。
【0090】
実施例8~10
(A3)PP樹脂、製造例12の難燃剤(B-2)を含む樹脂混合物、製造例2の樹脂含浸炭素長繊維束、製造例13の酸化亜鉛(E)を含む樹脂混合物、CBMBを表4に示す配合でタンブラーにて混合後、射出成形機(ファナック(株)製 FANUC ROBOSHOTα-S150iA、金型50℃、成形温度235℃)に投入して、樹脂成形体を得た。
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の樹脂成形体は、ECE-R100などの耐火試験に関する基準を満たす難燃性と自己消火性を有するため、電気自動車、電気シャトルバス、電動トラック、電動二輪、電動車椅子、電動立ち乗り二輪車などのバッテリー式電動輸送機器、特にバッテリーを脱着することのできない固定式バッテリーを用いる電動輸送機器のバッテリーモジュールの筐体の全部または一部、周辺部品(締結用部品など)、さらに電気自動車用充電器コネクタ、電池キャパシタ用ホルダー、電池キャパシタ用筐体あるいは電気自動車用充電スタンド用筺体にも使用することができる。
また、本発明の樹脂成形体は、電磁波シールド性を有するため、上記筐体または部品から発生する不要電波が車載ラジオへの雑音となることを防止できる。
さらに、本発明の樹脂成形体は、車両以外の電気・電子機器のハウジングなどに使用することができる。