(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】搬送装置、およびそれを備えた検体分析システム、検体前処理装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20230804BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G01N35/04 G
B65G54/02
(21)【出願番号】P 2018244154
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】青山 康明
(72)【発明者】
【氏名】小林 啓之
(72)【発明者】
【氏名】金子 悟
(72)【発明者】
【氏名】玉腰 武司
(72)【発明者】
【氏名】星 遼佑
(72)【発明者】
【氏名】神原 克宏
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 洋
(72)【発明者】
【氏名】鬼澤 邦昭
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-153704(JP,A)
【文献】特開2016-171669(JP,A)
【文献】特開2017-077971(JP,A)
【文献】特開2017-102103(JP,A)
【文献】MURAKAMI Shohji et al.,"Encoderless Servo Drive With Adequately Designed IPMSM for Pulse-Voltage-Injection-Based Position D,IEEE TRANSACTIONS ON INDUSTRY APPLICATIONS,2012年,VOL.48, NO.6,PP.1922-1930
【文献】牧野 省吾,”磁石使用量を削減した長ストローク用リニア同期モータに関する研究”,[online],長崎大学学術研究成果リポジトリ,2018年03月20日,インターネット<URL:http://hdl.handle.net/10069/39060>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P7/02-7/025, 25/032-25/034, 25/06-25/066,
B65G54/02,
G01N35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物側に設けられた第1磁性体と、
第2磁性体からなるコア、および前記コアの外周に巻かれた巻線を有する2つ以上の磁気回路と、
前記磁気回路に1対1で設けられており、前記巻線に電流を供給する2つ以上の駆動回路と、
前記巻線に流れる電流値を検出する2つ以上の電流検出部と、
前記電流検出部によって検出された電流値を基に、前記第1磁性体の位置を演算し、演算した前記第1磁性体の位置情報を基に前記駆動回路から前記巻線に供給する電流を制御する演算部と、を備え、
前記電流検出部は、前記巻線に接続された抵抗であり、
前記演算部は、
少なくとも2つ以上の異なる周波数のパルス電圧を印加させるよう前記駆動回路を制御し、前記抵抗の電圧値から電流を検出するものであり、
前記駆動回路が印加する前記パルス電圧のうち
前記第1磁性体の位置を演算するために印加するパルス電圧
の大きさを、
前記駆動回路が印加する前記パルス電圧のうち前記第1磁性体の駆動に用いる電圧以下
の大きさとして、
前記
第1磁性体の位置を演算するために印加するパルス電圧によって生じる電流波形
から求まるインダクタンスと
前記被搬送物から前記磁気回路までの距離との関係を定める関係式
及び前記電流波形
から求まるインダクタンスと
前記距離との関係を定めるテーブルデータ
のうちいずれか一方以上を予め記憶しておき、
各々の前記磁気回路において前記電流波形からインダクタンスを検出し、隣り合う前記巻線のインダクタンスの差分、各々の前記巻線のインダクタンスの傾きおよびその値のうちいずれか一つ以上
と前記インダクタンスと前記距離との関係を定める前記関係式及び前記テーブルデータのうちいずれか一方以上とから前記第1磁性体の位置を演算する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記演算部は、前記電流波形の立ち上がり時間から前記第1磁性体の位置を演算する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記駆動回路が印加する周波数の異なる前記パルス電圧のうち、周波数が最も高いパルス電圧の周波数を、最も低いパルス電圧の周波数の5倍以上とする
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記演算部は、正負のパルス電圧を印加するよう前記駆動回路を制御する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記駆動回路が印加する前記パルス電圧のうち、前記第1磁性体の位置を演算するために印加するパルス電圧の周波数を10000Hz以下とする
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の搬送装置において、
前記第1磁性体の位置を演算するために印加するパルス電圧の周波数を100Hz以上とする
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記演算部は、隣り合う2つの前記コアに巻かれた前記巻線に対してパルス電圧を印加した際の電流値を用いて前記第1磁性体の位置を演算する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記第1磁性体と前記コアとのギャップが10mm以下である
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記巻線の巻き数が100ターン以上である
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項10】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記第1磁性体は、永久磁石である
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項11】
請求項1に記載の搬送装置を備えた
ことを特徴とする検体分析システム。
【請求項12】
請求項1に記載の搬送装置を備えた
ことを特徴とする検体前処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば血液や尿などの生体試料(以下検体と記載)の分析を行う検体分析システムや分析に必要な前処理を行う検体前処理装置に好適な搬送装置、およびそれを備えた検体分析システムや検体前処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に柔軟であり高い搬送性能を与える、研究室試料配送システムおよび対応する動作方法の一例として、特許文献1には、いくつかの容器キャリアであって、各々が少なくとも1つの磁気的活性デバイス、好ましくは少なくとも1つの永久磁石を備え、試料容器を運ぶように適合された容器キャリアと、容器キャリアを運ぶように適合された搬送平面と、搬送平面の下方に静止して配置された幾つかの電磁アクチュエータであって、容器キャリアに磁力を印加することによって搬送平面の上で容器キャリアを移動させるように適合された電磁アクチュエータと、を備える、ことが記載されている。
【0003】
また、従来技術の試料分配システムに関連して最適化される動作パラメータを有するラボラトリ試料分配システムの一例として、特許文献2には、ラボラトリ試料分配システムが複数の電磁アクチュエータを備え、各電磁アクチュエータが強磁性コアおよび励磁巻線を備え、各励磁巻線がその割り当てられる強磁性コアを越える、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
臨床検査のための検体分析システムでは、血液,血漿,血清,尿、その他の体液等の検体(サンプル)に対し、指示された分析項目の検査を実行する。
【0007】
この検体分析システムでは、複数の機能の装置をつなげ、自動的に各工程を処理することができる。つまり、検査室の業務合理化のために、生化学や免疫など複数の分析分野の分析部や分析に必要な前処理を行う前処理部を搬送ラインで接続して、1つのシステムとして運用している。
【0008】
従来の検体分析システムで用いられている搬送ラインは、主にベルト駆動方式がメインである。このようなベルト駆動方式では、搬送途中でなんらかの異常により搬送が停止してしまうと、それより下流側の装置に検体を供給できなくなる、との問題がある。このため、ベルトの摩耗について十分に注意を払う必要があった。
【0009】
医療の高度化及び高齢化社会の進展により、検体処理の重要性が高まってきている。そこで、検体分析システムの分析処理の能力の向上のために、検体の高速搬送や大量同時搬送、および複数方向への搬送が望まれている。
【0010】
そのような搬送を実現する技術の一例として、特許文献1,2に記載の技術がある。
【0011】
これら特許文献1,2に記載の技術では、検体搬送キャリアに設けられた磁気活性デバイスの位置を検出する容器キャリア検出デバイスが設けられている。
【0012】
特許文献1においては、搬送平面上に位置する容器キャリアの存在および位置を検知するために、容器キャリア検知デバイスが設けられている。また、格子の形で上に配置された複数のIRベース反射光バリアを有するプリント回路基板を備えている。
【0013】
特許文献2においては、ラボラトリ試料分配システムが移送面を備えている。また、移送面の下方に複数の電磁アクチュエータが配置されている。さらに、複数の位置センサが移送面の上に分配される。位置センサはHallセンサとして具体化されている。
【0014】
しかしながら、上記した特許文献1および特許文献2において、これらのシステムでは容器キャリア検出デバイスが複数必要となり、デバイスの故障による信頼性低下が懸念される。また、検出デバイスを配置するスペースが必要であり、小型化に限界があった。
【0015】
さらに、特許文献1,2では、位置を検出する検出デバイスを移送面の上に分配する必要がある。このため、検体搬送キャリアに設けられた磁気活性デバイスと移送面下に設けられた電磁アクチュエータとの距離がどうしても離れてしまう、との制約があった。従って、搬送力の低下が生じるとともに、電磁アクチュエータが大きくなり、また重くなる、との課題があった。
【0016】
本発明は、信頼性の高い、小型で軽量な搬送装置とそれを備えた検体分析システムや検体前処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、被搬送物側に設けられた第1磁性体と、第2磁性体からなるコア、および前記コアの外周に巻かれた巻線を有する2つ以上の磁気回路と、前記磁気回路に1対1で設けられており、前記巻線に電流を供給する2つ以上の駆動回路と、前記巻線に流れる電流値を検出する2つ以上の電流検出部と、前記電流検出部によって検出された電流値を基に、前記第1磁性体の位置を演算し、演算した前記第1磁性体の位置情報を基に前記駆動回路から前記巻線に供給する電流を制御する演算部と、を備え、前記電流検出部は、前記巻線に接続された抵抗であり、前記演算部は、少なくとも2つ以上の異なる周波数のパルス電圧を印加させるよう前記駆動回路を制御し、前記抵抗の電圧値から電流を検出するものであり、前記駆動回路が印加する前記パルス電圧のうち前記第1磁性体の位置を演算するために印加するパルス電圧の大きさを、前記駆動回路が印加する前記パルス電圧のうち前記第1磁性体の駆動に用いる電圧以下の大きさとして、前記第1磁性体の位置を演算するために印加するパルス電圧によって生じる電流波形から求まるインダクタンスと前記被搬送物から前記磁気回路までの距離との関係を定める関係式及び前記電流波形から求まるインダクタンスと前記距離との関係を定めるテーブルデータのうちいずれか一方以上を予め記憶しておき、各々の前記磁気回路において前記電流波形からインダクタンスを検出し、隣り合う前記巻線のインダクタンスの差分、各々の前記巻線のインダクタンスの傾きおよびその値のうちいずれか一つ以上と前記インダクタンスと前記距離との関係を定める前記関係式及び前記テーブルデータのうちいずれか一方以上とから前記第1磁性体の位置を演算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、信頼性の高い、小型で軽量な搬送装置を提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例1の搬送装置の概略構成を示す図である。
【
図2】実施例1の搬送装置における、電流検出部の具体的構成の一例を示す図である。
【
図3】永久磁石―磁極間のギャップと永久磁石に作用する推力との関係を示す図である。
【
図4】実施例1の搬送装置における、インダクタンスの大小による電流波形の形状を模式的に表した図である。
【
図5】
図1に示す実施例1の搬送装置の断面を模式的に示した図である。
【
図6】
図1に示す実施例1の搬送装置の断面を模式的に示した図である。
【
図7】実施例1の搬送装置における、
図5の位置において巻線に電圧を印加した場合の電流波形の立ち上がりの様子を示す図である。
【
図8】実施例1の搬送装置における、
図5の位置において巻線に電圧を印加した場合の電流波形の立ち上がりの様子を示す図である。
【
図9】本発明の実施例2の搬送装置の概略構成を示す図である。
【
図10】実施例2の搬送装置の一部を拡大した図である。
【
図11】実施例2の搬送装置の概略構成を示す図である。
【
図13】
図11に示す実施例2の搬送装置における搬送部分の部分拡大図である。
【
図17】
図11に示す実施例2の搬送装置における巻線のインダクタンス特性の一例を示す図である。
【
図18】
図11に示す実施例2の搬送装置における巻線の他のバリエーションにおけるインダクタンス特性の一例を示す図である。
【
図19】本発明の実施例3の搬送装置において巻線に印加するパルス電圧と生じる電流の概略を示す図である。
【
図20】実施例3の搬送装置において巻線に印加するパルス電圧のパターンの一例を示す図である。
【
図21】実施例3の搬送装置において巻線に印加するパルス電圧のパターンの一例を示す図である。
【
図22】実施例3の搬送装置において巻線に印加するパルス電圧のパターンの一例を示す図である。
【
図23】実施例3の搬送装置において巻線に印加するパルス電圧のパターンの一例を示す図である。
【
図24】実施例3の搬送装置において巻線に印加される位置検出用パルス電圧の周波数とインダクタンスの特性を示す図である。
【
図25】実施例3の搬送装置における電圧パルスを発生させるためのPWM制御方式の一例を示す図である。
【
図26】実施例3の搬送装置におけるコイル電流を制御する電流制御方式の一例を示す図である。
【
図27】本発明の実施例4の検体分析システムの一例を示す図である。
【
図28】本発明の実施例4の検体前処理装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の搬送装置、およびそれを備えた検体分析システム、検体前処理装置の実施例を、図面を用いて説明する。
【0021】
<実施例1>
本発明の搬送装置の実施例1について
図1乃至
図8を用いて説明する。
【0022】
最初に本実施例の搬送装置の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は、2つの磁極25と永久磁石10が相対的に動作する本実施例の搬送装置の概略を模式的に示した図である。
【0023】
図1において、搬送装置1は、永久磁石10、円柱状のコア22とコアの外周側にまかれた巻線21とで構成される磁極25、駆動回路50、電流検出部30、演算部40、電源55を備えている。
【0024】
永久磁石10は、被搬送物側に設けられており、好適にはネオジムやフェライトなどの永久磁石で構成される。しかし、永久磁石10はその他の磁石および軟磁性体でも構成できる。また、永久磁石10と軟磁性体を組み合わせてもよいし、永久磁石の替わりに磁性体で構成することもできる。
【0025】
永久磁石10が設けられた被搬送物の一例として、検体ホルダや、複数本保持する検体ラック111(
図27参照)がある。このうち、検体ホルダには検体を入れる検体容器122(
図27参照)が通常1本搭載されており、永久磁石10の移動に伴って所望の位置まで搬送される。つまり、検体容器122や検体容器122を保持する検体ホルダと永久磁石10とが一体となるように構成されており、永久磁石10が搬送されることで、検体容器122およびホルダが所望の位置まで搬送される。
【0026】
通常、磁極25と永久磁石10の間には永久磁石10を支持する搬送面(図示省略)が設けられており、その搬送面上を永久磁石10が滑るように移動する。
【0027】
図1に示すように、搬送装置1には磁極25が少なくとも2つ以上設けられている。1つ1つの磁極25は、磁性体からなるコア22、コア22の外周に巻かれた巻線21を有している。磁極25のうち円柱状のコア22が永久磁石10に対向するように配置されている。
【0028】
搬送装置1では、巻線21に電流を流すことにより、永久磁石10に電磁力を作用させ、磁極25間を移動させる。電磁力を効率よく作用させるために、また、目的の方向に移動させるためには、永久磁石10と磁極25の相対位置情報が必要となる。たとえば、永久磁石10が二つの磁極25の一方の直上にある場合、その直下の磁極25に電流を流しても搬送方向への力が発生しない。逆に、永久磁石10が直上にない磁極25に電流を流すことにより、永久磁石10を磁極25に引き寄せる力を発生することができる。つまり、効率よく力を発生させ、その力の方向を制御できることになる。
【0029】
図1の手前側の磁極25の上に永久磁石10があった場合、永久磁石10が作る磁束が磁極25に作用する。ここで、永久磁石10が近い側の磁極25と、遠い側の磁極25とでは、作用する磁束の大きさが異なる。つまり、永久磁石10と磁極25の相対位置によって磁極25に作用する磁束の大きさが変わることになる。
【0030】
コア22は磁性体で構成されており、コア22を通る磁束は、磁束が大きくなると通りにくくなる、との性質がある。ここで、巻線21に電圧を印加して電流を流すと、その電流によって生じた磁束がコア22に発生する。したがって、コア22には、永久磁石10による磁束と、巻線21に流した電流によって生じる磁束と、が発生する。
【0031】
一般的に、巻線21に電流を流すと、その周りに磁場が発生し、生じる磁束は流した電流値に比例する。この比例定数はインダクタンスとよばれる。しかし、コア22などの磁性体を有した回路では、コア22の飽和特性により、インダクタンスが変化する。
【0032】
コア22の飽和が発生すると、コア22に生じる磁束の大きさによってインダクタンスが変わる。つまり、永久磁石10の磁束の大きさによって巻線21のインダクタンスが変化する。これは、永久磁石10の位置によって巻線21のインダクタンスが変化することを意味する。
【0033】
巻線21に生じる電圧Vは、以下に示す
V=-dφ/dt (1)
で表される。ここで、φは磁束、tは時間である。電圧Vは単位時間当たりの磁束の変化量で表される。
【0034】
また、電流I、インダクタンスLとすると、以下に示す
dI/dt=(1/L)×(dφ/dt) (2)
との関係が成立する。これら式(1)および式(2)から
dI/dt=-V/L (3)
との関係が成立する。
【0035】
つまり、一定の電圧を巻線21に印加した場合、式(3)に示すようにインダクタンスLの大きさによって供給される電流Iの時間微分が変化する。これは、電圧を印加した場合に供給される電流の立ち上がり方が異なること意味する。
【0036】
従って、巻線21に電圧を印加した場合、巻線21に流れる電流とその流れ方を検出することで、インダクタンスLを演算で求めることができる。つまり、永久磁石10の位置によって変化する巻線21のインダクタンスLを検出すれば、そのインダクタンスに影響を与える永久磁石10の位置が求められることになる。
【0037】
そのために、磁極25のうち巻線21に駆動回路50を接続するとともに、巻線21に流れる電流値を検出する電流検出部30を設ける。本実施例では、駆動回路50により巻線21に電圧を印加し、その電圧によって生じる電流値を電流検出部30で検出する。
【0038】
電流を検出する電流検出部30は、直列抵抗や、たとえば、カレントトランスによるもの、ホール電流センサを用いたものなどが考えられるが、これらに限定するものではない。
【0039】
以下、電流検出部30の一具体例について
図2を用いて説明する。
図2は、電流検出のための構成の具体例の一例を示す模式図である。
【0040】
図2に示すような2つの磁極25と永久磁石10が相対的に動作する搬送装置1Aでは、磁極25は、円柱状のコア22とコアの外周側にまかれた巻線21で構成される。また、円柱状のコア22に対向するように永久磁石10が配置される。巻線21には、駆動回路50が接続されている。
【0041】
さらに、巻線21と駆動回路50の間には、巻線21に流れる電流を検出するための抵抗31が設けられている。
【0042】
図1に戻り、駆動回路50は交流または電池などの直流の電源55に接続されている。駆動回路50は、この電源55から電流を受け取り、磁極25の巻線21に電流を供給する。
【0043】
演算部40は、電流検出部30によって検出された電流値を基に、コア22と永久磁石10との相対位置関係を演算して、搬送装置1内における永久磁石10の位置を演算する。また、演算部40は、この演算した永久磁石10の位置情報を用いて、駆動回路50から永久磁石10の駆動に必要な電流を供給するタイミングを決定し、適切な巻線21に電流を供給させる。
【0044】
本実施例では、特に、演算部40は、巻線21に対してパルス電圧60を印加させて、そのパルス電圧60によって生じる電流波形から、より具体的には電流の変化量から永久磁石10の位置を演算する。その詳細は後述する。
【0045】
これによって、永久磁石10と磁極25の間に、何らかのセンサを設置することが不要となり、永久磁石10と磁極25の間隔を縮めることが可能となり、また故障が生じる可能性を低減でき、信頼性の向上を図ることができる。
【0046】
ここで、磁界解析により算出した永久磁石10―磁極25間のギャップと永久磁石10に作用する推力との関係を
図3に示す。
【0047】
図3に示すように、永久磁石10と磁極25とのギャップは、短ければ短いほど永久磁石10に作用する推力を大きくできる。従って、
図3に示す関係から、ギャップを10[mm]以下とすることが望ましい。これによって永久磁石10や検体容器122を搬送する推力を十分に確保することができる。
【0048】
従来は、永久磁石10と磁極25との間にある搬送面に、容器キャリア検出デバイスを埋め込む必要があり、永久磁石10と磁極25とのギャップは短くすることに限界があった。
【0049】
これに対し、巻線21のインダクタンスを用いて永久磁石10の位置を検出する本実施例の搬送装置1では、永久磁石10と磁極25とのギャップを短くすることができる。このため、従来に比べて推力を大きくすることができる。さらに、複数の検出デバイスが不要となり、検出デバイス故障などによる搬送装置の停止を防止することができる。
【0050】
次に、巻線21に印加する電圧と、その電圧によって生じる電流波形について
図4を用いて説明する。
図4はインダクタンスの大小による電流波形の形状を模式的に表したものである。
【0051】
図4に示すように、巻線21にパルス電圧60を印加した場合の電流波形は、インダクタンスの大小によって変化する。
【0052】
例えば、インダクタンスが小さい場合には電流の立ち上がりが早くなり、電流波形70aのような形状となる。一方、インダクタンスが大きい場合は電流の立ち上がりが鈍くなり、電流波形70bのような形状となる。つまり、任意の電圧、特にパルス電圧60を印加した場合の電流変化を検出することでインダクタンス、すなわち永久磁石10の位置に関する情報を検出することができる。
【0053】
図5および
図6を用いて、磁極25と永久磁石10の相対位置とインダクタンスについて説明する。
図5および
図6は、
図1に示した搬送装置1の断面を模式的に示した図である。以下、永久磁石10が位置Pおよび位置P’にある場合のインダクタンスについて説明する。
【0054】
図5の場合、巻線21aやコア22aの直上である位置Pに永久磁石10がある。このとき、永久磁石10の作る磁束は、コア22aとコア22bとのいずれにも発生する。しかし、永久磁石10はコア22aの直上にあるため、コア22aに対して永久磁石10が作る磁束は、コア22bに対して永久磁石10が作る磁束に対して小さい。このため、巻線21aと巻線21bとのインダクタンスが異なることになる。
【0055】
そこで、巻線21に印加した電圧によって生じる電流変化によってインダクタンスが検出され、そのインダクタンスから永久磁石10の位置を検出することができる。
【0056】
図6に示すようにコア22aとコア22bとの間である位置P’に永久磁石10が存在する場合においては、コア22aとコア22bに永久磁石10が作る磁束はほぼ同一となる。例えば、位置Pから位置P’に永久磁石10が移動しつつある場合は、隣り合う巻線21のインダクタンスの差分、各々の巻線21のインダクタンスの傾きおよびその値から、永久磁石10の位置を検出することで検出精度を向上させることができる。
【0057】
図7および
図8に、
図5の位置における各巻線21a,21bに電圧を印加した場合の電流波形の立ち上がりを示す。
図7は、
図5のような位置関係において巻線21aに電圧を印加した場合の電流波形を、
図8は、
図5のような位置関係において巻線21bに電圧を印加した場合の電流波形を示す。
【0058】
図7に示すように、巻線21aやコア22aの直上に永久磁石10が存在する場合、電流の立ち上がり時間は約0.005秒である。これに対し、
図8に示すように隣接する巻線21bやコア22bの直上に永久磁石10が存在する場合は、立ち上がり時間は約0.003秒である。
【0059】
このように、時刻Tにおいて、パルス状の電圧を印加した場合の電流立ち上がり時間(TからT’の時間)またはその傾きを比較する。永久磁石10が直上にありインダクタンスが小さい場合は、
図7に示すように、電流の増加がなだらかになる。一方、永久磁石10が直上になく、インダクタンスが大きい場合は、
図8に示すように電流の増加が急になる。
【0060】
即ち、パルス状の電圧を印加した際の電流変化を検出することで、永久磁石10の有無や位置を高い精度で検出することができる。そこで、本発明ではこの原理を利用することで磁極25と永久磁石10との間に検出機構を設けることなく永久磁石10、すなわち被搬送物の位置を検出し、搬送制御に用いる。
【0061】
そのために、演算部40は、インダクタンスと距離との関係を定める関係式やテーブルデータ、電流の立ち上がり時間と距離との関係を定める関係式やテーブルデータ等の各種データ、関係式を予め記憶しておくことが望ましい。
【0062】
例えば、
図2に示す電流検出部30として、巻線21に接続された抵抗31が設けられている形態の場合、演算部40は、抵抗31の電圧値を基に、巻線21に流れる電流値や増加量、減少量の情報を演算し、コア22と永久磁石10の相対位置を算出する。そして、演算部40によって演算されたコア22と永久磁石10との相対位置情報に基づいて、駆動回路50から巻線21に流れる電流を制御する。抵抗31は、巻線21に流れる電流を検出可能であればよいため、回路上の位置はどこでもかまわない。
【0063】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0064】
上述した本発明の実施例1の搬送装置1は、被搬送物側に設けられた永久磁石10と、磁性体からなるコア22、およびコア22の外周に巻かれた巻線21を有する磁極25と、磁極25の巻線21に電流を供給する駆動回路50と、巻線21に流れる電流値を検出する電流検出部30と、電流検出部30によって検出された電流値を基に、永久磁石10の位置を演算し、演算した永久磁石10の位置情報を基に駆動回路50から巻線21に供給する電流を制御する演算部40と、を備えている。
【0065】
これによって、ベルト駆動式とは異なる信頼性の高い磁気駆動式の搬送機構において、搬送面上に搬送対象を検出する機構を設けることなく、被搬送物の位置を求めることができる。従って、搬送対象と磁極との距離を従来に比べて離す必要がなく、搬送のための電磁力を十分に搬送対象側の磁石(永久磁石10)に対して伝達させることができ、従来のような搬送する力の低下、電磁アクチュエータが大きくなって重くなる、等の各種課題を解決した、小型で軽量な搬送装置とすることができる。
【0066】
また、電流検出部30は、巻線21に接続された抵抗31であり、演算部40は、抵抗31の電圧値から電流を検出するため、簡易な構成によって高精度に巻線21に流れる電流を検出することができ、より信頼性を高めることができるとともに、小型化を確実に図ることができる。
【0067】
更に、演算部40は、パルス電圧60を印加させるよう駆動回路50を制御し、パルス電圧60によって生じる電流変化から永久磁石10の位置を演算することで、磁極25と永久磁石10との相対位置関係をより正確、確実に求めることができ、信頼性をより高めることができる。
【0068】
また、永久磁石10とコア22とのギャップが10[mm]以下であることで、磁極25から発生させる搬送力を被搬送物と一体の永久磁石10に対して十分に伝達することができ、搬送性能を十分に確保することができる。
【0069】
<実施例2>
本発明の実施例2の搬送装置について
図9乃至
図18を用いて説明する。実施例1と同じ構成には同一の符号を示し、説明は省略する。以下の実施例においても同様とする。
【0070】
本実施例における搬送装置は、磁極25Aや永久磁石10Aの形状が異なる以外は実施例1に記載された搬送装置1,1Aと同じ構成、動作である。
【0071】
図9に示すように、本実施例の搬送装置では、角柱状のコア22Aと、そのコア22Aの周りに巻いた巻線21Aと、から構成される磁極25Aを2つ以上備えており、縦横に複数配置されている。
図9では、縦10個、横10個の磁極25Aで構成されている。
【0072】
本実施例では、電流検出部30についても磁極25Aの各々に一対一で備えられている。
【0073】
また、演算部40は、電流検出部30で検出した電流値を用いて永久磁石10Aの位置を演算することは同じである。本実施例では、隣り合う2つのコア22Aに巻かれた巻線21Aに対してパルス電圧60を印加した際の電流値を用いて永久磁石10Aの位置を演算する。その詳細は後述する。
【0074】
本実施例では、ホルダや検体容器122と一体に構成される永久磁石10Aが角柱形状をしている。なお、形状は角柱に限定されるものではない。たとえば、リング状、複数の磁石を組み合わせたものでも構わない。
【0075】
永久磁石10Aは、並べられた磁極25Aの上を相対的に移動する。磁極25Aの上には、搬送面(図示省略)が設置され、それにならって永久磁石10Aが移動する。
【0076】
駆動回路50、電流を検出する電流検出部30は他実施例と同様であるので図示、また詳細な説明は省略する。
【0077】
図9に示す複数の磁極25Aのうち2つの磁極25Aを抜き出したものを
図10に示す。本実施例では、磁極25Aのうち、永久磁石10Aと対向しない側、すなわち
図10の磁極25Aの下部で、磁性体からなるヨーク23Aにより連結されている。ヨーク23Aを用いて連結することで巻線21のインダクタンスを大きくすることが可能になる。
【0078】
図11は、
図9に示す磁極25Aの下部にヨーク23を図示した図である。以下、
図12乃至
図18を用いて本実施例の構成例における永久磁石10の検出方法について説明する。
【0079】
以下、
図11等において永久磁石10Aが位置Aから位置A’に移動した際の検出例について示す。
【0080】
搬送装置の上面図を
図12に、搬送部分の拡大図を
図13に示す。また、
図13のB-B’断面で切断し、側面から見た模式図を
図14,
図15,
図16に示す。ここでは、永久磁石10が作る磁束と、各巻線が作る磁束が同じ向きになるように電流を流したとする。
【0081】
図14に示すように、永久磁石10Aが位置A上にある場合に、永久磁石10Aが作る磁束と、巻線21aが作る磁束が同じ向きになるように電流を流すと、巻線21aのインダクタンスが小さくなる。また、その隣の巻線21bには永久磁石10Aの影響が作用し、インダクタンスがわずかに低下する。更に隣の巻線21cでは、永久磁石10Aの影響がほとんどなく、インダクタンスの低下は見られない。
【0082】
図15に示すように、永久磁石10Aが移動して位置Aと位置A’との間に近づくにつれて、巻線21aのインダクタンスは増加していき、巻線21bのインダクタンスは減少する。また、巻線21cについてもインダクタンスが減少する。
【0083】
その後、
図16のように位置A’まで永久磁石10Aが移動すると、巻線21bのインダクタンスが小さくなり、隣の巻線21aのインダクタンスはほぼ本来の値にもどる。更に、巻線21cのインダクタンスの低下が始まり、値がわずかに低下する。
【0084】
このように、永久磁石10Aが近くにある巻線のインダクタンスと、その周りの巻線のインダクタンスとの差を検知することにより、永久磁石10の位置や進行方向などを正確に検出することができる。
【0085】
図11中位置A→位置A’→位置Cと永久磁石10Aが移動する際の巻線21a、巻線21b、巻線21cのインダクタンス特性を磁場解析によって求めた結果を
図17に示す。
【0086】
図17中、インダクタンス特性80aは巻線21aにおける磁石位置とインダクタンスとの関係を、インダクタンス特性80bは巻線21bにおける磁石位置とインダクタンスとの関係を、および、インダクタンス特性80cは巻線21cにおける磁石位置とインダクタンスとの関係を示している。これらのインダクタンス特性は、永久磁石10が作る磁束と、巻線が作る磁束が同じ向きになるように電流を流した場合の一例である。ここでは、各巻線の間隔を10[mm]とした場合のものであり、位置は永久磁石10の位置を表しており、位置0[mm]では
図12等中位置A上、位置10[mm]で位置A’上、位置20[mm]で位置C上にあるものとする。
【0087】
位置0[mm]に永久磁石10Aが位置するときは、巻線21aのインダクタンスが落ち込んでおり、隣の巻線21b、さらにその隣の巻線21cに離れていくにつれてインダクタンスは大きくなる。
【0088】
永久磁石10Aが位置A’に移動していくと、巻線21aのインダクタンスが増加し、巻線21bのインダクタンスが減少し、巻線21cのインダクタンスがわずかに減少する。
【0089】
更に、永久磁石10Aが位置Cに移ると、巻線21aのインダクタンスは緩やかに増加し、本来の値に近づく。また、巻線21bのインダクタンスは減少から増加に転じ、巻線21cのインダクタンスが減少していく。
【0090】
このように、各巻線のインダクタンスの大きさや、変化量、傾き、比率などを用いることで、永久磁石10Aの位置や移動方向、速度の検出精度を確保することができることが分かる。
【0091】
ここで、巻線21Aのインダクタンスは、巻き数が多いほどインダクタンスが大きくなる。そこで、永久磁石10Aの磁束の変化量でインダクタンスを高精度で検出するためには、巻線のインダクタンスが10[mH]以上、巻線21Aのターン数は100ターン以上であることが望ましい。
【0092】
これらのインダクタンス特性は、永久磁石10Aが作る磁束と巻線21Aが作る磁束が同じ向きになるように電流を流した場合と、永久磁石10Aが作る磁束と巻線21Aが作る磁束が逆の向きになるように電流を流した場合とでも特性は異なる。永久磁石10Aが作る磁束と巻線が作る磁束が同じ向きの場合と、逆の向きの場合の巻線のインダクタンス特性を
図18に示す。
【0093】
図18のインダクタンス特性80bは
図17に示した条件と同じで、永久磁石10Aが作る磁束と巻線21Aが作る磁束が同じ向きになるように電流を流した場合の特性である。インダクタンス特性80dは、永久磁石10Aが作る磁束と巻線21Aが作る磁束が逆の向きになるように電流を流した場合の特性である。
【0094】
図18に示すように、巻線21Aの作る磁束の方向を変えることで、異なる特性が得られる。つまり、印加する電圧の正負やその大きさ、周波数などを変化させた場合、異なるインダクタンス特性が得られる。これらの情報を利用することで、より精度の高い永久磁石10Aの位置検出が可能となる。
【0095】
本発明の実施例2の搬送装置においても、前述した実施例1の搬送装置とほぼ同様な効果が得られる。
【0096】
また、磁極25A、および電流検出部30を少なくとも2つ以上備え、演算部40は、少なくとも2つ以上の電流検出部30で検出した電流値を用いて永久磁石10Aの位置を演算する、特に隣り合う2つのコア22Aに巻かれた巻線21Aに対してパルス電圧60を印加した際の電流値を用いて永久磁石10Aの位置を演算することにより、より検出精度が高く、位置に関係する情報量の多い搬送装置とすることができる。
【0097】
更に、巻線21Aの巻き数が100ターン以上であることで、永久磁石10Aの磁束の変化量によるインダクタンスの変化量をより高精度で検出することができる。
【0098】
なお、本実施例では、角柱形状のコア22Aと角柱形状の永久磁石10とを用いる場合を例に説明したが、永久磁石10Aの位置によってインダクタンスが変化すればよく、これに限定されるものではない。
【0099】
実施例1のように永久磁石10とコア22とを円柱形形状とすることでインダクタンスの変化を緩やかにできる。インダクタンスの変化が緩やかな場合、永久磁石10がどの位置にあっても同一の精度で位置を検出できるメリットがある。
【0100】
これに対し、本実施例のように永久磁石10Aとコア22Aとを角柱形形状とすることでインダクタンスの変化に急峻な個所となだらかな個所を形成することができる。急峻な個所ではインダクタンスの変化が大きく、その位置での検出精度を高くすることが可能になる。
【0101】
また、永久磁石10Aが直上にある場合と、永久磁石10Aが巻線21Aの周辺にない場合とのインダクタンスの差は10[mH]以上であることが望ましい。このインダクタンスの差が大きいほど、位置の検出精度を向上させることができる。
【0102】
<実施例3>
本発明の実施例3の搬送装置について
図19乃至
図26を用いて説明する。
【0103】
本実施例の搬送装置は、巻線21,21Aに印加する電圧のバリエーションに関する。本実施例の搬送装置の基本的な構成は実施例1および実施例2と同様であり、その詳細は省略する。
【0104】
以下、巻線21,21Aに流れる電流を検出するために、巻線21,21Aに印加されるパルス電圧のバリエーションについて説明する。
【0105】
最初に巻線21,21Aに印加するパルス電圧60と、巻線21,21Aに生じる電流との関係について
図19を用いて説明する。
【0106】
図19に示すように、巻線21,21Aにパルス電圧60を連続して印加すると、永久磁石10,10Aの位置によってインダクタンスが変化するため、電流波形70の傾きや形状が変化する。この電流の情報を用いることでインダクタンスを演算し、磁石位置を検出する。
【0107】
パルス電圧の印加のパターンを
図20乃至
図23に示す。
図20および
図21は永久磁石10,10Aが静止している場合に印加するパルス電圧の一例であり、
図22および
図23は永久磁石10,10Aの位置が時々刻々と変化している場合に印加するパルス電圧の一例である。
【0108】
図20は正方向のパルス電圧60Aのみを印加するパターンである。
【0109】
図21は、正負のパルス電圧60Bを印加するパターンである。このように演算部40により、正負のパルス電圧60Bを印加するよう駆動回路50を制御することで、巻線21,21Aが作る磁束の向きを変えることが可能となり、検出精度をより向上させることができる。
【0110】
ここで、上述のように、永久磁石10,10Aを駆動する電磁力を発生させるためには巻線21,21Aに電圧を印加する必要がある。そこで、この駆動用の電圧またはパルス電圧に、位置検出用パルス電圧を重畳することができる。ここで、位置検出用パルス電圧の周波数は、駆動用パルス電圧の周波数と異なる値とすることが望ましい。定常時は、望ましくは、駆動用パルス電圧は高周波で電流変化をさせるため、駆動用パルス電圧は高周波、位置検出用パルス電圧は低周波にする方が良い。
【0111】
図22は被搬送物を断続的に移動させた場合の波形例である。また、
図22に示すパルス電圧60Cは、駆動用パルス電圧60dに、位置検出用パルス電圧60cが重畳されたものである。一般的に駆動用パルス電圧60はPWM(Pulse Width Modulation)変調などによって生成され、例えば10000[Hz]などの高周波の電圧パルスの幅を変化させることで平均電圧を変化させる。また、
図22は断続的に駆動用パルス電圧60dを印加し、被搬送物を断続的に動作させた場合の例である。
【0112】
駆動用パルス電圧60dは巻線に永久磁石10を移動させるための推力を発生させるものである。
【0113】
位置検出用パルス電圧60cは、駆動用パルス電圧60dとは異なる周波数とすることが望ましい。駆動用パルス電圧60dは、PWM変調などで生成され、定常時には例えば10000[Hz]程度のパルス幅を変化させて生成される。特には、駆動用パルス電圧60dは、位置検出用パルス電圧60cに対し、周波数が高く、電圧の大きさが同等かそれ以上であることが望ましい。
【0114】
図23は被搬送物を断続的に移動させた場合の波形例である。また、
図23に示すパルス電圧60Dは、駆動用パルス電圧60fに、正負の位置検出用パルス電圧60eを重畳したものである。
【0115】
図23に示すようなパルス電圧60Dにおいても、定常時はPWM変調などで生成される位置検出用パルス電圧60eは、駆動用パルス電圧60fより周波数が低く、電圧の大きさが同等かそれ以下であることが望ましい。
【0116】
なお、駆動用の電圧は、
図22および
図23に示すようなパルス電圧60d,60fのような周期的な波形の電圧である必要はなく、非周期的であってもかまわない。
【0117】
また、PWM変調などで生成される駆動用パルス電圧60d,60fの周波数は、位置検出用パルス電圧60c,60eの周波数に対して、5倍以上であることが望ましい。
【0118】
図24に巻線21,21Aに印加する位置検出用パルス電圧の周波数とインダクタンスの特性との関係を示す。
【0119】
図24では、永久磁石10,10Aが巻線21,21Aの近傍にない場合に印加されるパルス電圧の周波数とインダクタンスとの関係をインダクタンス特性80fに、永久磁石10,10Aが巻線21,21Aの直上にある場合に印加されるパルス電圧の周波数とインダクタンスとの関係をインダクタンス特性80eに示す。
【0120】
図24に示すように、パルス電圧の周波数が大きくなるにしたがって、永久磁石10,10Aが巻線21,21A近傍にない場合と、永久磁石10,10Aが巻線21,21A直上にある場合のインダクタンスの差が減少してくる。
【0121】
つまり、巻線21,21Aのインダクタンスは周波数によって変化するため、永久磁石10,10Aの位置検出に必要なインダクタンスの差を0.01[mH]以上確実に確保するためには、位置検出用パルス電圧の周波数は、10000[Hz]以下であることが望ましい。通常、PWM変調などで生成される駆動用パルスは10000[Hz]以上で印加される。また、被搬送物の駆動の電気的な周期(駆動周波数)は、通常10~100[Hz]以下の間隔で駆動されることから、位置検出用パルス電圧の周波数は、100[Hz]以上とすることが望ましい。より望ましくは、1000~2000[Hz]の間に設定することが望ましい。
【0122】
本発明の実施例3の搬送装置においても、前述した実施例1や実施例2の搬送装置とほぼ同様な効果が得られる。
【0123】
また、駆動回路50から印加するパルス電圧60C,60Dを少なくとも2つ以上の異なる周波数とすることにより、被搬送物を搬送中であっても搬送と位置検出とのいずれをも実行することができる。
【0124】
更に、駆動回路50が印加する周波数の異なるパルス電圧60のうち、周波数が最も高いパルス電圧60の周波数を、最も低いパルス電圧60の周波数より5倍以上高くすることで、位置検出用パルス電圧60eによって永久磁石10,10A側が駆動されることを抑制して、振動や脈動、ならびに騒音などの問題を抑制することができる。
【0125】
また、演算部40は、正負のパルス電圧60B,60Dを印加するよう駆動回路50を制御することにより、巻線21,21Aが作る磁束の向きを変えることができ、検出精度をより向上させることができる。
【0126】
更に、駆動回路50が印加するパルス電圧60のうち、永久磁石10の位置を演算するために印加するパルス電圧60c,60eが、永久磁石10の駆動に用いられる駆動用パルス電圧60d,60fによって生成される駆動周波数以下とすることで、位置検出用パルス電圧60c,60eにより永久磁石10,10Aへ駆動力が作用して振動や脈動の原因になることを抑制することができる。
【0127】
また、駆動回路50が印加するパルス電圧60のうち、永久磁石10の位置を演算するために印加するパルス電圧60c,60eの周波数を10000[Hz]以下とすることにより、永久磁石10,10Aまでの距離が異なる場合におけるインダクタンスの絶対値の違いを大きく確保することができ、位置検出精度を高く確保することができる。
【0128】
更に、永久磁石10の位置を演算するために印加するパルス電圧60c,60eの周波数を100[Hz]以上とすることで、駆動用電圧と位置検出用パルス電圧とを明確に分別することができ、位置検出精度を確実に高く確保するとともに、振動や脈動の原因になることをより抑制することができる。
【0129】
以上述べてきた駆動回路50における位置検出用、および駆動用電圧パルスの発生方法については、一般的に用いられているPWM制御方式を用いた場合、精度良く電圧パルスをコイルに印加させることが可能となる。その際のPWMパルスの発生方法を
図25に示す。
【0130】
図25に示すように、駆動用電圧指令に上述の位置検出用パルスを加算し、最終的な電圧指令を演算する。さらに、その電圧指令を三角波比較部51においてPWMキャリアと比較する。このPWMキャリアとの大小比較によって、PWMパルスを生成する。ここでは図示していないが、生成されたPWMパルスは電気信号として駆動回路50に入力され、実際にPWMパルスに沿った電圧パルスを生成、コイルに印加される。この操作によって、コイルに上述の駆動用電圧指令と位置検出用パルスを加算した最終的な電圧指令に応じた電流が流れる。さらに、ここで生じる位置検出用パルスに応じたコイル電流の変化で、上述のインダクタンスの変化を検出することができる。
【0131】
なお、上記駆動用電圧指令の演算方法については、特に限定されるものでなく、一般的な電流制御方式で構成することができる。この電流制御方式の一例を
図26に示す。
図26に示す電流制御方式は電流フォードバック制御方式であり、コイルに流す駆動用電流の指令値とコイル電流の検出値の差分を演算、その値を比例積分等で構成される電流制御器52に入力して、駆動用電圧指令を演算する。
【0132】
ここで述べた電流制御方式、およびPWM制御方式を用いた場合、任意のコイル電流を精度良く発生させることが可能となる。さらにコイルのインダクタンスを検出するための位置検出用電圧パルスの周波数や振幅を任意に変更することが可能となるため、位置検出精度や騒音に応じた電圧パルスの調整が可能となる。
【0133】
<実施例4>
本発明の実施例4の搬送装置を備えた検体分析システムおよび検体前処理装置の実施例を、
図27および
図28を用いて説明する。最初に、検体分析システム100の全体構成について
図27を用いて説明する。
図27は検体分析システム100の全体構成を概略的に示す図である。
【0134】
図27において、検体分析システム100は、反応容器に検体と試薬を各々分注して反応させ、この反応させた液体を測定する装置であり、搬入部101、緊急ラック投入口113、搬送ライン102、バッファ104、分析部105、収納部103、表示部118、制御部120等を備える。
【0135】
搬入部101は、血液や尿などの生体試料を収容する検体容器122が複数収納された検体ラック111を設置する場所である。緊急ラック投入口113は、標準液を搭載した検体ラック(キャリブラック)や緊急で分析が必要な検体が収容された検体容器122を収納する検体ラック111を装置内に投入するための場所である。
【0136】
バッファ104は、検体ラック111中の検体の分注順序を変更可能なように、搬送ライン102によって搬送された複数の検体ラック111を保持する。
【0137】
分析部105は、バッファ104からコンベアライン106を経由して搬送された検体を分析する。その詳細は後述する。
【0138】
収納部103は、分析部105で分析が終了した検体を保持する検体容器122が収容された検体ラック111を収納する。
【0139】
搬送ライン102は、搬入部101に設置された検体ラック111を搬送するラインであり、上述した実施例1乃至実施例3で説明した搬送装置のいずれかと同等の構成である。本実施例では、磁性体、好適には永久磁石は検体ラック111の裏面側に設けられている。
【0140】
分析部105は、コンベアライン106、反応ディスク108、検体分注ノズル107、試薬ディスク110、試薬分注ノズル109、洗浄機構112、試薬トレイ114、試薬IDリーダー115、試薬ローダ116、分光光度計121等により構成される。
【0141】
コンベアライン106は、バッファ104中の検体ラック111を分析部105に搬入するラインであり、上述した実施例1乃至実施例3で説明した搬送装置と同等の構成である。
【0142】
反応ディスク108は、複数の反応容器を備えている。検体分注ノズル107は、回転駆動や上下駆動により検体容器122から反応ディスク108の反応容器に検体を分注する。試薬ディスク110は、複数の試薬を架設する。試薬分注ノズル109は、試薬ディスク110内の試薬ボトルから反応ディスク108の反応容器に試薬を分注する。洗浄機構112は、反応ディスク108の反応容器を洗浄する。分光光度計121は、光源(図示省略)から反応容器の反応液を介して得られる透過光を測定することにより、反応液の吸光度を測定する。
【0143】
試薬トレイ114は、検体分析システム100内への試薬登録を行う場合に、試薬を設置する部材である。試薬IDリーダー115は、試薬トレイ114に設置された試薬に付された試薬IDを読み取ることで試薬情報を取得するための機器である。試薬ローダ116は、試薬を試薬ディスク110へ搬入する機器である。
【0144】
表示部118は、血液や尿等の液体試料中の所定の成分の濃度の分析結果を表示するための表示機器である。
【0145】
制御部120は、コンピュータ等から構成され、検体分析システム100内の各機構の動作を制御するとともに、血液や尿等の検体中の所定の成分の濃度を求める演算処理を行う。
【0146】
以上が検体分析システム100の全体的な構成である。
【0147】
上述のような検体分析システム100による検体の分析処理は、一般的に以下の順に従い実行される。
【0148】
まず、検体ラック111が搬入部101または緊急ラック投入口113に設置され、搬送ライン102によって、ランダムアクセスが可能なバッファ104に搬入される。
【0149】
検体分析システム100は、バッファ104に格納されたラックの中で、優先順位のルールに従い、最も優先順位の高い検体ラック111をコンベアライン106によって、分析部105に搬入する。
【0150】
分析部105に到着した検体ラック111は、さらにコンベアライン106によって反応ディスク108近くの検体分取位置まで移送され、検体分注ノズル107によって検体を反応ディスク108の反応容器に分取される。検体分注ノズル107により、当該検体に依頼された分析項目に応じて、必要回数だけ検体の分取を行う。
【0151】
検体分注ノズル107により、検体ラック111に搭載された全ての検体容器122に対して検体の分取を行う。全ての検体容器122に対する分取処理が終了した検体ラック111を、再びバッファ104に移送する。さらに、自動再検を含め、全ての検体分取処理が終了した検体ラック111を、コンベアライン106および搬送ライン102によって収納部103へと移送する。
【0152】
また、分析に使用する試薬を、試薬ディスク110上の試薬ボトルから試薬分注ノズル109により先に検体を分取した反応容器に対して分取する。続いて、撹拌機構(図示省略)で反応容器内の検体と試薬との混合液の撹拌を行う。
【0153】
その後、光源から発生させた光を撹拌後の混合液の入った反応容器を透過させ、透過光の光度を分光光度計121により測定する。分光光度計121により測定された光度を、A/Dコンバータおよびインターフェイスを介して制御部120に送信する。そして制御部120によって演算を行い、血液や尿等の液体試料中の所定の成分の濃度を求め、結果を表示部118等にて表示させたり、記憶部(図示省略)に記憶させたりする。
【0154】
なお、
図27に示すように、検体分析システム100は、上述したすべての構成を備えている必要はなく、前処理用のユニットを適宜追加したり、一部ユニットや一部構成を削除したりすることができる。また、分析部105は生化学分析用に限られず、免疫分析用であってもよい、更に1つである必要はなく、2以上備えることができる。この場合も、分析部105と搬入部101との間を搬送ライン102により接続し、搬入部101から検体ラック111を搬送する。
【0155】
次に、検体前処理装置150の全体構成について
図28を用いて説明する。
図28は検体前処理装置150の全体構成を概略的に示す図である。
【0156】
図28において、検体前処理装置150は、検体の分析に必要な各種前処理を実行する装置である。
図28中左側から右側に向けて、閉栓ユニット152、検体収納ユニット153、空きホルダスタッカー154、検体投入ユニット155、遠心分離ユニット156、液量測定ユニット157、開栓ユニット158、子検体容器準備ユニット159、分注ユニット165、移載ユニット161を基本要素とする複数のユニットと、搬送装置170と、これら複数のユニットの動作を制御する操作部PC163と、から構成されている。
【0157】
検体前処理装置150で処理された検体の移送先として、検体の成分の定性・定量分析を行うための検体分析システム100が接続されている。
【0158】
検体投入ユニット155は、検体が収容された検体容器122を検体前処理装置150内に投入するためのユニットである。遠心分離ユニット156は、投入された検体容器122に対して遠心分離を行うためのユニットである。液量測定ユニット157は、検体容器122に収容された検体の液量測定を行うユニットである。開栓ユニット158は、投入された検体容器122の栓を開栓するユニットである。子検体容器準備ユニット159は、投入された検体容器122に収容された検体を次の分注ユニット165において分注するために必要な準備を行うユニットである。分注ユニット165は、遠心分離された検体を、検体分析システムなどで分析するために小分けを行うとともに、小分けされた検体容器122、子検体容器122にバーコード等を貼り付けるユニットである。移載ユニット161は、分注された子検体容器122の分類を行い、検体分析システムへの移送準備を行うユニットである。閉栓ユニット152は、検体容器122や子検体容器122に栓を閉栓するユニットである。検体収納ユニット153は、閉栓された検体容器122を収納するユニットである。
【0159】
搬送装置170は、これら各ユニット間や検体前処理装置150と検体分析システム100との間で検体容器122を保持する検体ホルダや検体ラックを搬送する機構であり、実施例1乃至実施例3のいずれかの搬送装置が用いられる。
【0160】
なお、検体前処理装置150は、上述したすべての構成を備えている必要はなく、更にユニットを追加したり、一部ユニットや一部構成を削除したりすることができる。
【0161】
また、本実施例の検体分析システムは、
図28に示すような検体前処理装置150と検体分析システム100から構成された検体分析システム200であってもよい。この場合は、各システム内だけではなく、システムとシステムとの間を上述した実施例1乃至実施例3の搬送装置1,1Aにて接続し、検体容器122を搬送することができる。
【0162】
本発明の実施例4の検体分析システム100,200や検体前処理装置150は、前述した実施例1の搬送装置1,1Aを備えていることにより、高効率で検体容器122を搬送先まで搬送することができ、分析結果が得られるまでの時間を短くすることができる。また搬送トラブルも少なく、検査技師の負担を軽減することができる。
【0163】
なお、本実施例は、検体が収容された検体容器122を5本保持する検体ラック111を搬送対象として搬送する場合について例示したが、検体容器122を5本保持する検体ラック111以外にも、検体容器122を1本保持する検体ホルダを搬送対象として搬送することができる。
【0164】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0165】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0166】
例えば、実施例1乃至実施例4では、搬送装置で搬送する被搬送物が検体ラック111や検体ホルダである場合について説明したが、被搬送物は検体容器122を保持するラック、ホルダ等に限られず、大規模に搬送することが求められる様々な物体を搬送対象とすることができる。
【符号の説明】
【0167】
1,1A…搬送装置
10,10A…永久磁石(第1磁性体)
21,21A,21a,21b,21c…巻線
22,22A,22a,22b…コア(第2磁性体)
23A…ヨーク
25,25A…磁極(磁気回路)
30…電流検出部
31…抵抗
40…演算部
50…駆動回路
51…三角波比較部
52…電流制御器
55…電源
60,60A,60B,60C,60D…パルス電圧
60c,60e…位置検出用パルス電圧
60d,60f…駆動用パルス電圧
70,70a,70b…電流波形
80a,80b,80c,80d,80e,80f…インダクタンス特性
100…検体分析システム
101…搬入部
102…搬送ライン
103…収納部
104…バッファ
105…分析部
106…コンベアライン
107…検体分注ノズル
108…反応ディスク
109…試薬分注ノズル
110…試薬ディスク
111…検体ラック(被搬送物)
112…洗浄機構
113…緊急ラック投入口
114…試薬トレイ
115…リーダー
116…試薬ローダ
118…表示部
120…制御部
121…分光光度計
122…検体容器,子検体容器
150…検体前処理装置
152…閉栓ユニット
153…検体収納ユニット
154…ホルダスタッカー
155…検体投入ユニット
156…遠心分離ユニット
157…液量測定ユニット
158…開栓ユニット
159…子検体容器準備ユニット
161…移載ユニット
163…操作部PC
165…分注ユニット
170…搬送装置
200…検体分析システム