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特許7325417半導体処理のためのチャンバ構成要素のエクスサイチュコーティング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-03
(45)【発行日】2023-08-14
(54)【発明の名称】半導体処理のためのチャンバ構成要素のエクスサイチュコーティング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20230804BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230804BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/302 101G
C23C16/52
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020532621
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018064090
(87)【国際公開番号】W WO2019118248
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】62/599,618
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/954,454
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユアン・グアンビー
(72)【発明者】
【氏名】バンフォード・サディオス
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー・カーティス・ウォレン
(72)【発明者】
【氏名】カーシャル・トニー
(72)【発明者】
【氏名】ビル・クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】シュロッサー・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シャンバグ・ダモダル
(72)【発明者】
【氏名】ゴング・ボー
(72)【発明者】
【氏名】チウ・フアタン
(72)【発明者】
【氏名】ライ・フォンユアン
(72)【発明者】
【氏名】スウ・チェンーフア
(72)【発明者】
【氏名】ホーン・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】カーレ・ロヒット
(72)【発明者】
【氏名】ホ・レオナルド・ワイ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラシェカー・アナンド
(72)【発明者】
【氏名】ブレニンガー・アンドリュー・エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】リウ・ガン
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-199907(JP,A)
【文献】特表2017-512375(JP,A)
【文献】特開2015-122486(JP,A)
【文献】国際公開第2016/131024(WO,A1)
【文献】特表2017-514991(JP,A)
【文献】特開2016-216817(JP,A)
【文献】特開2016-051864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/3065
C23C 16/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の反応チャンバで使用するためのチャンバ構成要素をコーティングする方法であって、
(a)前記チャンバ構成要素を第1の反応チャンバ内に基板として受け入れることと、
(b)第1の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1の反応剤を前記チャンバ構成要素の表面に吸着させることと、
(c)第2の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1および第2の反応剤を原子層堆積反応で互いに反応させて、前記チャンバ構成要素の前記表面に保護コーティングを形成することと、
(d)前記保護コーティングが最終的な厚さに達するまで(b)および(c)を繰り返すことと、
(e)前記第1の反応チャンバから前記チャンバ構成要素を取り出すことと、
(f)(e)の後に前記チャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置することと、
(g)前記チャンバ構成要素が前記第2の反応チャンバ内に設置されている状態で前記第2の反応チャンバを修復プラズマに曝露して、前記保護コーティングを再形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記保護コーティングは、金属酸化物、金属窒化物、または金属フッ化物を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記金属酸化物、金属窒化物、または金属フッ化物中の前記金属は、遷移金属である、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記保護コーティングは、酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、または窒化アルミニウムを含む、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、
前記保護コーティングは、酸化イットリウムまたはフッ化イットリウムを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記チャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置した後に前記第2の反応チャンバ内で半導体ウエハ上に膜を堆積することをさらに含み、前記膜は、原子層堆積または化学気相堆積により堆積される、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記半導体ウエハ上に前記膜を堆積する間、前記第2の反応チャンバ内を約40~200℃の高温状態にすることをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
(a)前記保護コーティングが金属酸化物を含み、かつ、前記修復プラズマが酸化プラズマを含んでいるか、または、
(b)前記保護コーティングが金属窒化物を含み、かつ、前記修復プラズマが窒素を含んでいるか、または、
(c)前記保護コーティングが金属フッ化物を含み、かつ、前記修復プラズマがフッ素を含んでいるか、
のいずれかである、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記修復プラズマは、前記保護コーティング中の金属と同じ金属をさらに含む、方法。
【請求項10】
第2の反応チャンバで使用するためのチャンバ構成要素をコーティングする方法であって、
(a)前記チャンバ構成要素を第1の反応チャンバ内に基板として受け入れることと、
(b)第1の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1の反応剤を前記チャンバ構成要素の表面に吸着させることと、
(c)第2の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1および第2の反応剤を原子層堆積反応で互いに反応させて、前記チャンバ構成要素の前記表面に保護コーティングを形成することと、
(d)前記保護コーティングが最終的な厚さに達するまで(b)および(c)を繰り返すことと、
(e)前記第1の反応チャンバから前記チャンバ構成要素を取り出すことと、
(e)の後に前記チャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置することと、
前記チャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置した後に前記第2の反応チャンバ内で半導体ウエハ上に膜を堆積することであって、前記膜は、原子層堆積または化学気相堆積により堆積されることと、
前記第2の反応チャンバ内で前記半導体ウエハ上に前記膜を堆積した後、前記第2の反応チャンバから前記半導体ウエハを取り出すことと、酸素を含む第1のプラズマに前記第2の反応チャンバを曝露し、次に窒素を含む第2のプラズマに前記第2の反応チャンバを曝露することと
を含む、方法。
【請求項11】
第2の反応チャンバで使用するためのチャンバ構成要素をコーティングする方法であって、
(a)前記チャンバ構成要素を第1の反応チャンバ内に基板として受け入れることと、
(b)第1の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1の反応剤を前記チャンバ構成要素の表面に吸着させることと、
(c)第2の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1および第2の反応剤を原子層堆積反応で互いに反応させて、前記チャンバ構成要素の前記表面に保護コーティングを形成することと、
(d)前記保護コーティングが最終的な厚さに達するまで(b)および(c)を繰り返すことと、
(e)前記第1の反応チャンバから前記チャンバ構成要素を取り出すことと、
(e)の後に前記チャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置することと、
前記チャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置した後に前記第2の反応チャンバ内で半導体ウエハ上に膜を堆積することであって、前記膜は、原子層堆積または化学気相堆積により堆積されることと、
前記第2の反応チャンバをフッ素含有プラズマに曝露することによって前記第2の反応チャンバを洗浄し、次に前記第2の反応チャンバを還元プラズマに曝露することによって前記第2の反応チャンバからフッ素を除去することをさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法であって、
前記保護コーティングは、前記チャンバ構成要素をプラズマに曝露することなく形成される、方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記チャンバ構成要素を含む複数のチャンバ構成要素が前記第1の反応チャンバに同時に供給され、それにより前記保護コーティングが前記複数のチャンバ構成要素上に同時に形成される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記複数のチャンバ構成要素はサイズおよび/または形状が均一ではなく、前記複数のチャンバ構成要素が第1のチャンバ構成要素および第2のチャンバ構成要素を含み、前記第1および第2のチャンバ構成要素が前記第2の反応チャンバ内に同時に存在するように前記第1および第2のチャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置することをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、
前記保護コーティングの前記最終的な厚さは、約1nm~10mmである、方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法であって、
(b)の前に前記チャンバ構成要素の一部をマスキングし、前記チャンバ構成要素の前記マスキングされた部分に前記保護コーティングが形成されるのを防ぐことをさらに含む、方法。
【請求項17】
第2の反応チャンバで使用するためのチャンバ構成要素をコーティングする方法であって、
(a)前記チャンバ構成要素を第1の反応チャンバ内に基板として受け入れることと、
(b)第1の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1の反応剤を前記チャンバ構成要素の表面に吸着させることと、
(c)第2の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1および第2の反応剤を原子層堆積反応で互いに反応させて、前記チャンバ構成要素の前記表面に保護コーティングを形成することと、
(d)前記保護コーティングが最終的な厚さに達するまで(b)および(c)を繰り返すことと、
(e)前記第1の反応チャンバから前記チャンバ構成要素を取り出すことと、
前記保護コーティングが望まれる前記チャンバ構成要素の1つまたは複数の表面が実質的に曝露されるように、前記チャンバ構成要素を前記第1の反応チャンバ内の基板支持体上に位置決めすることと、を含み、前記第1の反応チャンバ内で前記チャンバ構成要素を第1の位置から第2の位置に再位置決めすることをさらに含み、前記保護コーティングは、前記第1の位置に配向されるときに前記チャンバ構成要素の第1のセットの表面の上に形成され、前記第2の位置に配向されるときに前記チャンバ構成要素の第2のセットの表面の上に形成される、方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法であって、
前記チャンバ構成要素は、シャワーヘッドである、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記シャワーヘッドは、前記シャワーヘッドの厚さを貫通する第1のセットの穴と、前記シャワーヘッド内の1つまたは複数の内部通路と接続する第2のセットの穴とを備え、前記保護コーティングは、前記第1のセットの穴、前記第2のセットの穴、および前記内部通路を共形的にコーティングする、方法。
【請求項20】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法であって、
前記チャンバ構成要素は、基板支持台座、リフトピン、リフトピンリテーナ、またはガスライン供給構成要素である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年12月15日出願の、「EX-SITU COATING OF CHAMBER COMPONENTS FOR SEMICONDUCTOR PROCESSING APPARATUS」と題する米国特許仮出願第62/599,618号に対する米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張する、2018年4月16日出願の、「EX SITU COATING OF CHAMBER COMPONENTS FOR SEMICONDUCTOR PROCESSING APPARATUS」と題する米国特許出願第15/954,454号の優先権の利益を主張し、上記の出願の各々は、その全体があらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0002】
本明細書の様々な実施形態は、半導体処理装置で使用するためのチャンバ構成要素を準備するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業が進歩するにつれて、デバイスの寸法はますます小さくなっている。膜の不純物または他の不均一性の存在が半導体デバイスの故障につながることが多いため、次第に小型化が進んでいるこれらのフィーチャには、高度に均一かつ再現性のある堆積手順が必要である。
【0004】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0005】
本明細書のある特定の実施形態は、半導体基板の処理に使用される反応チャンバのためのチャンバ構成要素を準備する方法に関する。様々な実施形態において、この方法は、チャンバ構成要素を第1の反応チャンバに供給することと、原子層堆積を使用してチャンバ構成要素を保護コーティングでコーティングすることとを含む。保護コーティングが形成された後、チャンバ構成要素は、第1の反応チャンバから取り出され、第2の反応チャンバ内に設置される。第2の反応チャンバは半導体ウエハの処理に使用されるため、チャンバ構成要素は第2の反応チャンバ内で意図された目的を果たす(例えば、シャワーヘッド、リフトピン、リフトピンリテーナ、基板支持台座などとして機能する)。多くの場合、第2の反応チャンバは、原子層堆積装置および/または化学気相堆積装置などの気相堆積装置である。
【0006】
開示される実施形態の別の態様では、コーティングされたチャンバ構成要素が提供される。チャンバ構成要素は、本明細書で説明されるように原子層堆積によって堆積された保護コーティングによりエクスサイチュ(ex situ)でコーティングされてもよい。開示される実施形態の別の態様では、反応チャンバが提供される。反応チャンバは、本明細書で説明されるように原子層堆積を通じて堆積された保護コーティングによりエクスサイチュでコーティングされた1つまたは複数のチャンバ構成要素を有してもよい。
【0007】
開示される実施形態の一態様では、第2の反応チャンバで使用するためのチャンバ構成要素をコーティングする方法が提供され、この方法は、(a)チャンバ構成要素を第1の反応チャンバ内に基板として受け入れることと、(b)第1の反応剤を第1の反応チャンバに供給し、第1の反応剤をチャンバ構成要素の表面に吸着させることと、(c)第2の反応剤を第1の反応チャンバに供給し、第1および第2の反応剤を原子層堆積反応で互いに反応させて、チャンバ構成要素の表面に保護コーティングを形成することと、(d)保護コーティングが最終的な厚さに達するまで(b)および(c)を繰り返すことと、(e)第1の反応チャンバからチャンバ構成要素を取り出すこととを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、保護コーティングは、金属酸化物、金属窒化物、または金属フッ化物を含む。例えば、金属酸化物、金属窒化物、または金属フッ化物中の金属は、遷移金属であってもよい。場合によっては、保護コーティングは、酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、または窒化アルミニウムを含む。場合によっては、保護コーティングは、酸化イットリウムまたはフッ化イットリウムを含む。
【0009】
この方法は、(e)の後にチャンバ構成要素を第2の反応チャンバ内に設置することをさらに含んでもよい。いくつかのそのような場合、この方法は、チャンバ構成要素を第2の反応チャンバ内に設置した後に第2の反応チャンバ内で半導体ウエハを処理することをさらに含んでもよい。半導体ウエハの処理は、半導体ウエハ上に膜を堆積することを含んでもよい。ある特定の場合では、原子層堆積または化学気相堆積により膜を堆積してもよい。いくつかの実施形態では、方法は、半導体ウエハ上に膜を堆積する間、第2の反応チャンバ内を約40~200℃の高温状態にすることをさらに含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施態様では、方法は、チャンバ構成要素が第2の反応チャンバ内に設置されている状態で第2の反応チャンバを修復プラズマに曝露することをさらに含んでもよく、(a)保護コーティングが金属酸化物を含み、かつ、修復プラズマが酸化プラズマを含んでいるか、または、(b)保護コーティングが金属窒化物を含み、修復プラズマが窒素を含んでいるか、または、(c)保護コーティングが金属フッ化物を含み、修復プラズマがフッ素を含んでいるかのいずれかである。修復プラズマは、保護コーティング中の金属と同じ金属をさらに含んでもよい。
【0011】
ある特定の場合では、方法は、第2の反応チャンバ内で半導体ウエハ上に膜を堆積した後、第2の反応チャンバから半導体ウエハを取り出すことと、酸素を含む第1のプラズマに第2の反応チャンバを曝露し、次に窒素を含む第2のプラズマに第2の反応チャンバを曝露することとを含んでもよい。これらの実施形態または他の実施形態では、方法は、第2の反応チャンバをフッ素含有プラズマに曝露することによって第2の反応チャンバを洗浄し、次に第2の反応チャンバを還元プラズマに曝露することによって第2の反応チャンバからフッ素を除去することをさらに含んでもよい。
【0012】
保護コーティングは、ある特定の場合では、チャンバ構成要素をプラズマに曝露することなく形成されてもよい。他の場合では、保護コーティングは、プラズマへの曝露の結果として形成される。いくつかの実施形態では、チャンバ構成要素を含む複数のチャンバ構成要素が反応チャンバに同時に供給され、それにより保護コーティングが複数のチャンバ構成要素上に同時に形成される。いくつかのそのような実施形態では、複数のチャンバ構成要素は、サイズおよび形状が均一である。同時に処理された複数のチャンバ構成要素は、時間の経過とともに摩耗または劣化するので、第2の反応チャンバに次々に順番に設置することができる。他の場合では、同時に処理された複数のチャンバ構成要素は、複数の異なる第2の反応チャンバに供給されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のチャンバ構成要素は、サイズおよび形状が均一である。他の実施形態では、複数のチャンバ構成要素は、サイズおよび/または形状が均一ではない。特定の実施形態では、複数のチャンバ構成要素は、サイズおよび/または形状が均一ではなく、第1のチャンバ構成要素および第2のチャンバ構成要素を含んでおり、方法は、第1および第2のチャンバ構成要素が第2の反応チャンバ内に同時に存在するように第1および第2のチャンバ構成要素を第2の反応チャンバ内に設置することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、(b)の後かつ(c)の前に第1の反応チャンバから過剰の第1の反応剤を除去することをさらに含んでもよい。同様に、方法は、(c)の後かつ次に(b)を反復する前に第1の反応チャンバから過剰の第2の反応剤を除去することをさらに含んでもよい。保護コーティングの最終的な厚さは、約1nm~10mmであってもよい。場合によっては、最終的な厚さは、約100~800nm、または約100~500nmである。これらの場合または他の場合、方法は、チャンバ構成要素を第2の反応チャンバ内に設置した後に第2の反応チャンバ内で複数の半導体ウエハを処理することをさらに含んでもよく、複数の半導体ウエハは、異なる時間に処理される。
【0014】
ある特定の実施態様では、方法は、(b)の前にチャンバ構成要素の一部をマスキングし、チャンバ構成要素のマスキングされた部分に保護コーティングが形成されるのを防ぐことをさらに含んでもよい。これらの実施形態または他の実施形態では、方法は、保護コーティングが望まれるチャンバ構成要素の1つまたは複数の表面が実質的に曝露されるように、チャンバ構成要素を第1の反応チャンバ内の基板支持体上に位置決めすることをさらに含んでもよい。この方法はさらに、第1の反応チャンバ内でチャンバ構成要素を第1の位置から第2の位置に再位置決めすることを含んでもよく、保護コーティングは、第1の位置に配向されるときにチャンバ構成要素の第1のセットの外形の上に形成され、第2の位置に配向されるときにチャンバ構成要素の第2のセットの表面の上に形成される。
【0015】
チャンバ構成要素は、様々な実施形態においてシャワーヘッドであってもよい。場合によっては、方法は、ノズルである第2のチャンバ構成要素で繰り返されてもよく、方法は、シャワーヘッドとノズルの両方が保護コーティングでコーティングされた後にノズルをシャワーヘッドに取り付けることをさらに含んでもよい。シャワーヘッドは、シャワーヘッドの厚さを貫通する第1のセットの穴を含んでもよい。保護コーティングは、第1のセットの穴を共形的にコーティングしてもよい。シャワーヘッドは、シャワーヘッド内の1つまたは複数の内部通路と接続する第2のセットの穴を含んでもよい。保護コーティングは、第1のセットの穴、第2のセットの穴、および内部通路を共形的にコーティングしてもよい。ある特定の実施態様では、チャンバ構成要素は、基板支持台座である。ある特定の実施態様では、チャンバ構成要素は、リフトピン、リフトピンリテーナ、またはガスライン供給構成要素である。保護コーティングは、場合によっては約20~650℃の温度で形成されてもよい。
【0016】
開示される実施形態の別の態様では、特定の程度のプロセス不均一性を達成しながら半導体ウエハ上に膜を堆積するように反応チャンバを動作させる方法が提供され、この方法は、(a)バッチ内の各半導体ウエハ上に膜を堆積することであって、それぞれの膜が平均膜厚を有し、バッチは、次の洗浄サイクルまでの間に反応チャンバ内で処理される全ての半導体ウエハを含み、バッチ内の半導体ウエハの少なくとも一部は、連続して処理されることと、(b)(a)を繰り返して、少なくとも9つの追加のバッチで各半導体ウエハ上に膜を堆積し、少なくとも合計10バッチに対して膜を堆積することとを含み、反応チャンバは、保護コーティングが形成された少なくとも1つのチャンバ構成要素を含み、保護コーティングは、反応チャンバの外で実施される原子層堆積反応により形成され、この少なくとも10バッチのうち最初のバッチと最後のバッチから半導体ウエハ上に堆積された膜を比較したとき、膜のウエハ上の不均一性が平均膜厚の約3%以下しか変化していない。
【0017】
ある特定の実施形態では、バッチは、少なくとも約50枚の半導体ウエハを含む。例えば、バッチは、少なくとも約200枚の半導体ウエハを含んでもよい。平均膜厚は、少なくとも約50Åの厚さであってもよい。例えば、平均膜厚は、少なくとも約200Åの厚さであってもよい。
【0018】
いくつかの実施態様では、(b)は、(a)を繰り返すことを含んでもよく、少なくとも19の追加のバッチで各半導体ウエハ上に膜を堆積し、少なくとも合計20バッチに対して膜を堆積することを含み、この少なくとも20バッチのうち最初のバッチと最後のバッチから半導体ウエハ上に堆積された膜を比較したとき、膜のウエハ上の均一性が平均膜厚の約1%以下しか変化していないことを含んでもよい。これらの実施形態または他の実施形態では、バッチは、少なくとも約50枚の半導体ウエハを含んでもよく、(b)は、(a)を繰り返すことを含んでもよく、少なくとも19の追加のバッチで各半導体ウエハ上に膜を堆積し、少なくとも合計20バッチに対して膜を堆積することを含み、この少なくとも20バッチのうち最初のバッチと最後のバッチから半導体ウエハ上に堆積された膜を比較したとき、膜のウエハ上の均一性が平均膜厚の約0.05%以下しか変化していないことを含んでもよい。
【0019】
これらおよび他の特徴は、関連する図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A図1Aは、保護コーティングをチャンバ構成要素の上に形成する方法を説明するフローチャートであり、保護コーティングは原子層堆積によりエクスサイチュで形成される。
【0021】
図1B図1Bは、反応チャンバを準備し、プロセスチャンバ内で半導体ウエハを処理する方法を説明するフローチャートであり、その準備はエクスサイチュの原子層堆積方法を使用して保護コーティングをチャンバ構成要素上に形成することを伴う。
【0022】
図2A図2Aは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッドを示す図である。
図2B図2Bは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッドを示す図である。
【0023】
図2C図2Cは、ある特定の実施形態による、シャワーヘッドの穴の拡大断面図である。
【0024】
図2D図2Dは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッドを示す図である。
図2E図2Eは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッドを示す図である。
図2F図2Fは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッドを示す図である。
図2G図2Gは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッドを示す図である。
【0025】
図3A図3Aは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッドを示す図である。
図3B図3Bは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッドを示す図である。
【0026】
図4図4は、図3Aおよび図3Bに示すシャワーヘッドの側面図である。
【0027】
図5A図5Aは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得る基板支持台座を示す図である。
図5B図5Bは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得る基板支持台座を示す図である。
図5C図5Cは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得る基板支持台座を示す図である。
【0028】
図6図6は、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るリフトピンホルダを図示する図である。
【0029】
図7図7は、ある特定の実施形態によって、シャワーヘッドなどのチャンバ構成要素が保護コーティングによりエクスサイチュでコーティングされることを説明する図である。
【0030】
図8A図8Aは、関連するチャンバ構成要素が本明細書の実施形態による保護コーティングでコーティングされた場合、および関連するチャンバ構成要素がコーティングされていなかった場合について、経時的に得られたウエハ上の不均一性のバッチ間変動を比較するグラフである。
図8B図8Bは、関連するチャンバ構成要素が本明細書の実施形態による保護コーティングでコーティングされた場合、および関連するチャンバ構成要素がコーティングされていなかった場合について、経時的に得られたウエハ上の不均一性のバッチ内変動を比較するグラフである。
【0031】
図9図9は、ある特定の実施形態による、保護コーティングでコーティングされたシャワーヘッドを有する反応チャンバ内で処理されたある特定の半導体基板上で観察された粒子の数を説明するグラフである。
【0032】
図10A図10Aは、ある特定の実施形態による、反応チャンバの高充填パラメータ状態および低充填パラメータ状態を説明する図である。
図10B図10Bは、ある特定の実施形態による、反応チャンバの高充填パラメータ状態および低充填パラメータ状態を説明する図である。
【0033】
図11A図11Aは、数百枚の半導体ウエハを処理する過程で各半導体ウエハを処理した後に窒素プラズマを反応チャンバに供給した場合について、充填パラメータ時間のドリフトを示す図である。
図11B図11Bは、数百枚の半導体ウエハを処理する過程で各半導体ウエハを処理した後に酸素プラズマ、続いて窒素プラズマを反応チャンバに供給した場合について、充填パラメータ時間のドリフトを示す図である。
【0034】
図12A図12Aは、冷却されたシャワーヘッドを内部に有する反応チャンバ内で経時的に処理された様々なウエハについて得られた、不均一な堆積パラメータを示す図である。
【0035】
図12B図12Bは、加熱されたシャワーヘッドを内部に有する反応チャンバ内で経時的に処理された様々なウエハについて得られた、はるかに均一な堆積パラメータを示す図である。
図12C図12Cは、加熱されたシャワーヘッドを内部に有する反応チャンバ内で経時的に処理された様々なウエハについて得られた、はるかに均一な堆積パラメータを示す図である。
図12D図12Dは、加熱されたシャワーヘッドを内部に有する反応チャンバ内で経時的に処理された様々なウエハについて得られた、はるかに均一な堆積パラメータを示す図である。
図12E図12Eは、加熱されたシャワーヘッドを内部に有する反応チャンバ内で経時的に処理された様々なウエハについて得られた、はるかに均一な堆積パラメータを示す図である。
図12F図12Fは、加熱されたシャワーヘッドを内部に有する反応チャンバ内で経時的に処理された様々なウエハについて得られた、はるかに均一な堆積パラメータを示す図である。
図12G図12Gは、加熱されたシャワーヘッドを内部に有する反応チャンバ内で経時的に処理された様々なウエハについて得られた、はるかに均一な堆積パラメータを示す図である。
図12H図12Hは、加熱されたシャワーヘッドを内部に有する反応チャンバ内で経時的に処理された様々なウエハについて得られた、はるかに均一な堆積パラメータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本出願では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「部分的に製作された集積回路」という用語は、互換的に使用されることがある。しかし、「基板」という用語は、半導体ウエハを指す場合もあれば、異なる反応チャンバで処理されているチャンバ構成要素を指す場合もあることが理解される。「ウエハ」という用語は、一般に理解されているように、もっぱら半導体ウエハを指すことを意図している。当業者は、「部分的に製作された集積回路」という用語が、ウエハ上に集積回路を製作するための多くの段階のいずれかにあるシリコンウエハを指すことができることを理解するであろう。半導体デバイス業界で使用されるウエハまたは基板は、典型的には、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。以下の詳細な説明は、いくつかの実施形態がウエハ上で実施されることを想定している。しかし、実施形態は、そのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料であり得る。様々な実施形態において、ワークピースは、以下で説明されるように、チャンバ構成要素である。チャンバ構成要素は、第1の反応チャンバ内で基板/ワークピースとして処理された後、異なる反応チャンバに組み込むことができる。半導体ウエハのほかにも、開示される実施形態を利用することができる他のワークピースとしては、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、マイクロメカニカルデバイスなど(ならびにそのような製品の製作に使用される反応チャンバ用の任意のチャンバ構成要素)のような様々な製品が挙げられる。
【0037】
半導体デバイスを製作するとき、製作プロセスは正確であり、かつ再現性があることが有利である。このような正確さと再現性により、所望の仕様から外れたデバイスの数を最小限に抑えることによって製造コストが削減される。残念ながら、半導体製作装置は時間の経過と共にさらに多くのウエハを処理するので、装置内の処理条件は変化する。これらの変化する条件は、装置内で処理されるウエハに影響を与える可能性がある。例えば、反応チャンバが経時的に膜を一連のウエハ上に堆積するために使用されると、膜副産物が反応チャンバの内面に蓄積する。一定期間後、反応チャンバを洗浄して膜副産物を除去する。多くの場合、この洗浄プロセスは、反応チャンバを遠隔で生成されたプラズマ(例えば、フッ化窒素プラズマなどのフッ素含有プラズマ)に曝露し、それによって膜副産物を除去することを伴う。残念ながら、この洗浄プロセスは、その下にある反応チャンバ構成要素の表面状態を変える可能性がある。例えば、アルミニウムシャワーヘッドおよび/または基板支持台座は、フッ素ラジカルによって攻撃され、多孔性フッ化アルミニウムを形成する場合がある。この反応により、シャワーヘッド/台座の表面積が大幅に増加し、それによってこれらのリアクタ構成要素の表面性質が変化する。反応チャンバが洗浄されるたびに、チャンバ構成要素の表面状態がさらに変わってしまう。これらの変化する表面状態は、経時的に反応チャンバ内で処理されたウエハの堆積(または他の処理)結果を変化させることがある。これらの影響を示す実験結果が、図8Aおよび図8Bに関連して説明されている。これらの変化は、以下でさらに説明されるように、インサイチュ(in situ)で形成されたアンダーコートでシャワーヘッドがコーティングされていても起こり得ることに留意されたい。
【0038】
ある特定のプロセスは、シャワーヘッドおよび台座などのチャンバ構成要素の表面状態に特に敏感である。例えば、炭化ケイ素(SiCx)およびその誘導体(例えば、ケイ素および炭素以外の元素を含み得る)の化学気相堆積は、これらの条件に敏感であり得る。様々な実施形態において、このプロセスは、水素ラジカルにウエハを曝露することを伴う(水素ラジカルの生成場所は、反応チャンバから離れていても離れていなくてもよい)。理論または作用機構に拘束されることなく、半導体ウエハへの水素ラジカルの生成および分配は、シャワーヘッドおよび台座などのチャンバ構成要素の表面状態に影響されると考えられている。追加のチャンバ洗浄が経時的に実施されると、これらの構成要素の表面状態が変化し(例えば、フッ素ラジカルにさらに攻撃されることによって表面積が増加する)、堆積結果は経時的にドリフトする。
【0039】
次のチャンバ洗浄動作までの間に特定の反応チャンバで処理されるウエハは、バッチと呼ばれる。バッチ内のウエハは、経時的に連続して処理される。言い換えれば、本明細書で説明されるバッチ処理は、バッチ内の全ての基板が同時に処理されるバッチ処理とは異なる。本明細書で使用されるバッチ処理では、バッチ内の基板の少なくとも一部が異なる時間に処理される。しかし、ある特定の反応チャンバは、同時に複数の基板を処理するように構成され、そのような場合、バッチ内のある特定の基板を同時に処理することができることが理解される。一例では、洗浄されたばかりの反応チャンバを使用して、一度に1枚のウエハ上に膜を堆積し、200枚のウエハが処理された後に反応チャンバを洗浄する。この例では、バッチは、次のチャンバ洗浄までの間に処理された200枚のウエハを含む。別の例では、洗浄されたばかりの反応チャンバを使用して、一度に2枚のウエハ上に膜を堆積し、400枚のウエハが処理された後に反応チャンバを洗浄する。この例では、バッチは、次のチャンバ洗浄までの間に処理された400枚のウエハを含む。
【0040】
場合によっては、ウエハのバッチは、少なくとも約25枚のウエハ、少なくとも約50枚のウエハ、少なくとも約100枚のウエハ、または少なくとも約200枚のウエハを含む。これらの場合または他の場合、ウエハのバッチは、最大約400枚のウエハ、または最大約200枚のウエハを含み得る。様々な実施形態において、バッチは約200~400枚のウエハを含むことができるが、多くのバッチサイズを使用することができる。理想的なバッチサイズは、堆積される(または別の方法で処理される)膜の組成、堆積される(または別の方法で処理される)膜の厚さなどを含む(がこれらに限定されない)多数の要因に依存し得る。
【0041】
半導体デバイス製作中に発生する可能性がある別の問題は、部分的に製作された半導体デバイスを汚染する粒子の生成である。多くの場合、粒子は、反応チャンバ自体の内面に由来する金属粒子である。例えば、粒子は、チャンバの内壁、天井、シャワーヘッド、基板支持体、リフトピン、ガスライン、ノズルなどに由来し得る。特定の例では、反応チャンバおよび/または内部の構成要素は、アルミニウム、例えばアルミニウム6061-T6(アルミニウム、およびクロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ケイ素、チタン、亜鉛などの少量の他の材料を含む場合がある)でできている。多くの場合、粒子は、反応チャンバがプラズマまたは他の過酷な処理条件に曝露されたときに生成される。粒子は、処理中に基板の表面上に落下する可能性があり、それによって望ましくない膜不純物が生じ、デバイスの故障の可能性を増加させる。
【0042】
このような粒子の生成に対抗するための1つの技術は、反応チャンバの表面をアンダーコートでコーティングすることである。アンダーコートは、裸のチャンバ表面からの金属汚染を最小限に抑えるために、チャンバの内面にインサイチュで形成される材料の層である。典型的には、基板が反応チャンバ内に存在しない間にアンダーコートが堆積される。アンダーコートは、(a)アンダーコートを形成する反応剤と(b)反応剤同士の反応を駆動するエネルギーの両方に曝露されるチャンバの内面に形成される。アンダーコートについては、2013年11月25日出願の「CHAMBER UNDERCOAT PREPAREATION METHOD FOR LOW TEMPERATURE ALD FILMS」と題する米国出願番号第14/089,653号にさらに記載されており、上記の出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
アンダーコートは粒子の生成を抑え、関連する汚染を低減するのに有用であるが、アンダーコートも特定の課題を提示する。例えば、上述のように、アンダーコートは、関連する反応剤と、適切な反応を駆動するエネルギーの両方に曝露されるチャンバ表面上にのみ形成される。その結果、アンダーコートは関連表面を十分に被覆できないことがある。本明細書では、チャンバ構成要素の表面にコーティングを形成することが意図される/望ましい場合、そのチャンバ構成要素の表面は「関連表面」である。表面への堆積を防ぐために意図的にマスキングされる表面は、特に明記されていない限り、「関連表面」の意味から除外される。インサイチュで堆積されたアンダーコートによるアンダーコート被覆が不十分であることが多い表面/構成要素は、(1)シャワーヘッド穴の内面、(2)シャワーヘッドの背面、(3)シャワーヘッドのステム、(4)ガスおよび/またはプラズマ供給ライン、ノズル、弁などの内面、(5)リフトピン、(6)リフトピンホルダ/リテーナ、(7)ウエハが載置されるアルミニウムまたは他の金属台座などを含むが、これらに限定されない。
【0044】
例えば反応チャンバの幾何学的形状および/または反応チャンバ内の構成要素の位置決めの結果として、これらの表面の多くを反応チャンバ内の関連する反応剤およびエネルギーにインサイチュで曝露することが困難または不可能になることがある。ある特定の表面は、関連する反応剤の全てに曝露されないことがあり、例えば1つの反応剤のみを供給するように構成されるガス供給ラインおよびシャワーヘッド穴は、膜形成に必要な第2の反応剤に全く曝露されない場合がある。同様に、これらの表面または他の表面は、アンダーコート形成反応を駆動するエネルギーに曝露されない場合がある。例えば、熱エネルギーへの曝露の結果としてアンダーコートが形成される場合、列挙した表面の一部が適切な温度に加熱されないことがある。プラズマエネルギーへの曝露の結果としてアンダーコートが形成される場合、列挙した表面の一部がプラズマに曝露されないことがある。場合によっては、プラズマシースの厚さのようなプラズマ固有の考慮事項により、プラズマが小さな空間(例えば、シャワーヘッド穴およびガス供給ラインの内側)に侵入することができない場合がある。従来のコーティング技術は、シャワーヘッド穴の内側をコーティングすることができなかった。例えば、物理気相堆積、溶射、および他の視線型コーティング(line of sight coating)技術は、約10を超えるアスペクト比を有するシャワーヘッド穴をコーティングすることができないことが頻繁にある。これらのコーティングされていない穴は、特に高温で還元プラズマ(例えば、アンモニアプラズマ、H2プラズマなど)、フッ素含有プラズマ(例えば、NF3プラズマ)、および/または酸化プラズマ(例えば、N2Oプラズマ、O2プラズマ、CO2プラズマなど)に曝露されると攻撃される可能性がある。そのような攻撃は、穴の寸法、表面仕上げ、または穴の他の特性を変化させる場合があり、これによりガスの流れおよび/またはプラズマは、穴が攻撃されて変化するにつれて経時的に異なる挙動をする可能性がある。シャワーヘッド穴の変化は、ガスの流れおよびプラズマの均一性に影響を与え、それによって図8Aに関連して以下でさらに説明されるように、チャンバ内に載置され処理されるウエハ上の膜の不均一性に悪影響を与える。このような変化は、シャワーヘッドの有効寿命に大きな影響を与える。
【0045】
さらに、インサイチュで堆積されたアンダーコート(ならびにインサイチュで実施されてもされなくてもよい、陽極酸化、スパッタリング、物理気相堆積、およびプラズマ溶射などの他のチャンバ構成要素コーティングプロセス)により、チャンバ表面上に微孔性材料が堆積する。この材料の微孔構造は、プラズマに曝露されたときに実質的なラジカル損失をもたらす。このようなラジカル損失は、ラジカルを必要とするウエハにラジカルが到達できるにラジカルが効果的に消費されるため、半導体ウエハの適切な処理を妨げてしまう。従来のコーティング技術の別の問題は、典型的に形成されるコーティングが比較的厚く(例えば、500nmを超える)、チャンバ構成要素から半導体ウエハ上に剥がれ落ちるという望ましくない傾向があることである。
【0046】
本明細書で説明される技術は、アンダーコートのインサイチュ堆積に関するいくつかの課題を克服しつつ、コーティングされたチャンバ表面から生じる利点を提供する。一般的に言えば、本明細書で説明される技術は、第1の反応チャンバ内に位置決めされた1つまたは複数の構成要素上に保護コーティングを形成することを伴い、その構成要素は後で第2の反応チャンバ内に設置される。第1の反応チャンバは、関連するチャンバ構成要素を準備/コーティングするために使用され、その後、構成要素が取り出されて、半導体基板の処理に使用される第2の反応チャンバ内に設置される。この保護コーティングのエクスサイチュ堆積により、チャンバ構成要素の関連表面の全てを適切にコーティングすることが可能となり、それによって粒子の生成および基板の汚染が最小限に抑えられる。
【0047】
本明細書で使用する場合、チャンバ構成要素上に堆積された保護コーティングは、「エクスサイチュ」で堆積されると見なされる。この場合、保護コーティングは、第1の反応チャンバ内のチャンバ構成要素上に堆積され、その後、取り出されて第2の反応チャンバ内に設置される。一般的に言えば、チャンバ構成要素は、第2の反応チャンバ内に設置され、その一部を形成する。言い換えれば、チャンバ構成要素は、第2の反応チャンバ内に設置されたときに、意図された目的を果たす(例えば、シャワーヘッド、リフトピンなどとして機能する)。逆に、チャンバ構成要素は、第1の反応チャンバ内にあるとき、コーティングされる基板に過ぎない。チャンバ構成要素は第1の反応チャンバ内では基板に過ぎないので、保護コーティングの堆積中、チャンバ構成要素を望み通りに位置決めおよび操作することができる。これにより、保護コーティングを全ての関連表面上に形成することができる。これは、アンダーコートのインサイチュ堆積では不可能なことである。
【0048】
本明細書で説明されるエクスサイチュのチャンバ構成要素コーティングプロセスはまた、スループットを最大化し、コストを削減するという点でも有益である。多くの場合、保護コーティングは、層ごとに膜厚を周期的に構築する原子層堆積(ALD)プロセスにより形成される。この技術は高品質かつ高度に共形的な保護コーティングを形成するが、コーティングを所望の厚さ(例えば、1nm~10mm、場合によっては約100~500nm)に形成するにはかなりの時間がかかる。様々な場合において、保護コーティングを形成するには1日から数日程度かかる。保護コーティングが半導体ウエハの処理に使用されるリアクタのアンダーコートとしてインサイチュで形成される場合、保護コーティングが形成されている全時間中、リアクタを半導体ウエハの処理に利用できなくなる。このダウンタイムにより、スループットが低下し、コストが増加する。
【0049】
対照的に、チャンバ構成要素がエクスサイチュでコーティングされる場合、チャンバ構成要素が別のリアクタでコーティングされている間、リアクタは半導体基板を処理するために利用可能であり続ける。多くの場合、本明細書で説明される技術を使用してコーティングされるチャンバ構成要素は、使用期間の後に摩耗する構成要素である。これらの消耗部品は反応チャンバ内に設置され、一定期間使用されてから、交換される。したがって、半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバは、第2のシャワーヘッドが異なる反応チャンバ内で保護コーティングによりコーティングされている間、第1のシャワーヘッドを使用し続けることができる。これらのプロセスは、同時に行われてもよいし、同時でなくてもよいことが理解される。第2のシャワーヘッドがコーティングされた後、第1のシャワーヘッドを取り外し、第2のシャワーヘッドに交換する。シャワーヘッドの取り外しと再設置のプロセスは、保護コーティングを形成するプロセス(少なくとも、保護コーティングを原子層堆積により本明細書に記載された厚さに堆積する場合)よりも大幅に高速である。さらに、エクスサイチュコーティングプロセスはより完全な保護コーティングをチャンバ構成要素の関連表面上に形成するため、保護コーティングは優れた保護を提供することができ、インサイチュで堆積されたアンダーコートと比較して長持ちし得る。これは、チャンバ構成要素を頻繁に交換する必要がなく、それによって処理装置の所有・動作コストが最小限に抑えられることを意味する。
【0050】
(コーティングプロセス)
様々な実施形態において、保護コーティングは、原子層堆積により堆積される。場合によっては、プラズマ支援原子層堆積が使用されてもよい。本明細書で使用する場合、「原子層堆積」という用語は、別段の指定がない限り、プラズマ支援原子層堆積を含むことを意図している。原子層堆積プロセスに適用されるとき、「熱」という用語は、反応がプラズマエネルギーではなく熱エネルギーによって駆動されることを意味する。
【0051】
本明細書で説明されるような原子層堆積方法によりエクスサイチュで形成される保護コーティングは、上述の従来の方法により形成されたコーティングよりも緻密となる傾向がある。これらの緻密なコーティングは多孔性の微細構造を有さないため、ラジカル再結合の速度が大幅に低下し、それによって、はるかに高い割合のラジカルが、ラジカルを必要とする半導体ウエハに確実に到達できるようになる。コーティングされたチャンバ構成要素についてのラジカル再結合に関する問題は、2015年3月26日出願の、「MINIMIZING RADICAL RECOMBINATION USING ALD SILICON OXIDE SURFACE COATING WITH INTERMITTENT RESTORATION PLASMA」と題する米国特許出願第14/712,167号にさらに記載されており、上記の出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。この参照出願の実施形態と比較して、本明細書で説明されるコーティングは、改善された微細構造を有するより緻密な材料を形成することが期待される。
【0052】
図1Aは、様々な実施形態による、保護コーティングをチャンバ構成要素上に形成する方法100を説明するフローチャートを示している。方法100は、チャンバ構成要素を第1の反応チャンバに基板として供給する動作101から始まる。チャンバ構成要素は、第1の反応チャンバ内に載置されるが、第1のリアクタの構成要素として内部に設置されるのではない。言い換えれば、チャンバ構成要素がシャワーヘッドである場合、そのシャワーヘッドは、第1の反応チャンバ内に存在するときにはシャワーヘッドとして機能しない。そのシャワーヘッドは、ガスラインまたは他の構成要素に接続することなく、単独で設けられてよい。チャンバ構成要素は、基板支持体上に位置決めされてもよい。基板支持体は、保護コーティングの形成が望まれるチャンバ構成要素の全ての関連表面を曝露するように構成され得る。場合によっては、全ての関連表面が確実にコーティングされるようにするため、保護コーティングの堆積中に第1の反応チャンバ内でチャンバ構成要素を移動/再位置決めしてもよい。場合によっては、チャンバ構成要素を分解、または他の方法で開放して、追加の表面をコーティングのために露出させてもよい。
【0053】
保護コーティングが望まれない表面を遮蔽するために、必要に応じてマスキングを設けることができる。そのようなマスキングは、金属に関連する電気接点または他の電気的性質を必要とするエリア上にALDコーティングが堆積されるのを防ぐために必要である。また、マスキングは、水または他の流体によって冷却され得るシャワーヘッドの特定のチャネル内にコーティングが堆積することを防ぐため、ガス入口孔またはガス出口孔に施すこともできる。そのようなマルチプレナムシャワーヘッドは、最新技術の堆積チャンバでますます利用されている。したがって、提案された技術は、ウエハの要件を満たしながら部品寿命を延ばすための最大の利点を提供するエリアにおいて、そのような複雑な部品を選択的にコーティングすることができるだろう。
【0054】
様々な実施形態において、チャンバ構成要素は、第1の反応チャンバ内の唯一の基板であってもよい。他の実施形態では、複数のチャンバ構成要素を同時に第1の反応チャンバに供給することができ、各チャンバ構成要素は、第1の反応チャンバ内でコーティングされる基板としてのみ作用する。場合によっては、第1の反応チャンバ内で同時にコーティングされるチャンバ構成要素は、全てが同じ第2の反応チャンバ内に共に設置されてもよい。例えば、本明細書に列挙されているチャンバ構成要素のいずれかは、第1の反応チャンバ内で同時にコーティングされてから、同じ第2の反応チャンバ内に共に設置されてもよい。特定の例では、シャワーヘッドとリフトピンの両方が、第1の反応チャンバ内で同時にコーティングされ、その後、同じ第2の反応チャンバ内に設置される。異なるタイプのチャンバ構成要素をこのように同時にコーティングすることにより、異なるチャンバ構成要素全てがその上に均一な保護コーティングを有することができる。いくつかの他の例では、複数のチャンバ構成要素が第1の反応チャンバ内で同時にコーティングされるが、その複数のチャンバ構成要素に含まれるチャンバ構成要素は1種類だけである(例えば、シャワーヘッド、またはリフトピン、またはガス供給ラインなど)。一例では、複数の同様または同一のシャワーヘッドが、第1の反応チャンバ内で同時にコーティングされる。同様または同一の種類のチャンバ構成要素をこのように同時にコーティングすることは、特定の種類のチャンバ構成要素におけるチャンバ構成要素間でのコーティングの変動を最小限に抑えるのに役立つ。これは、古いチャンバ構成要素を新しいチャンバ構成要素に交換するときに発生する不均一性の低減に特に役立つ。
【0055】
動作103において、第1の反応剤が第1の反応チャンバに導入される。第1の反応剤は、チャンバ構成要素の全ての曝露面に吸着する。第1の反応剤の例示的な投与時間は、約1~30秒であり得る。動作105において、過剰の第1の反応剤が第1の反応チャンバからパージされる。そのようなパージは、第1の反応チャンバを排気すること、および/または第1の反応チャンバを別のガス(例えば、多くの場合は不活性ガス)で掃引することによって実現できる。第1の反応チャンバから第1の反応剤をパージすることにより、第1の反応剤と第2の反応剤との間の望ましくない気相反応のリスクを最小化する。そのようなパージは、反応がプラズマによって駆動される特定の場合には、必要ではない(したがって省略してもよい)ことがある。
【0056】
動作107において、第2の反応剤が第1の反応チャンバに導入される。第2の反応剤は、チャンバ構成要素の露出面に吸着してもよい。第2の反応剤の例示的な投与時間は、約1~30秒であり得る。動作109において、第1および第2の反応剤の間で反応が駆動され、チャンバ構成要素上に保護膜が形成される。多くの場合、第1および第2の反応剤の間の反応は、熱駆動原子層堆積反応である。そのような場合、動作109は、第1の反応チャンバ(または基板支持体などの内部の構成要素)が目標温度に達するようにすること、または目標温度を維持するようにすることを伴い得る。目標温度は、反応チャンバに供給される反応剤、保護コーティングの所望の組成、およびコーティングされたチャンバ構成要素の最終的な用途に依存し得る(例えば、堆積が起こり得る温度は、半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバ内にチャンバ構成要素が設置されたときにチャンバ構成要素が曝露される典型的な処理温度または最大処理温度に近い温度である)。いくつかの例では、目標温度は、約150~400℃、または約300~700°Fであってもよい。他の場合、第1および第2の反応剤の間の反応は、プラズマ支援原子層堆積反応である。そのような場合、動作109は、プラズマを生成すること、およびチャンバ構成要素をプラズマに曝露することを伴い得る。プラズマは、誘導結合プラズマ、容量結合プラズマ、マイクロ波結合プラズマ、変圧器結合プラズマ、遠隔プラズマ、インサイチュプラズマなどを含む任意の種類のプラズマであってもよい。例示的なプラズマ曝露時間は、約0.5秒~20分であり得る。プラズマを生成するための例示的なRF電力レベルは、約0.5~3kWであり得る。プラズマを生成するための例示的な周波数は、400kHz、2MHz、13.6MHz、および60MHzを含む。
【0057】
理論または作用機構によって制限されることなく、(プラズマ支援原子層堆積反応とは対照的に)熱駆動原子層堆積反応は、シャワーヘッド穴の内部やガス供給ラインの内部などの小さな保護領域に高品質かつ高度に共形的な保護膜を形成するのに優れていると考えられている。上述のように、プラズマはそのような小さな保護領域を透過できず、未コーティング状態で残してしまう場合がある。必要な熱エネルギーを全ての関連表面に供給することは比較的容易であるため、熱駆動反応はこれらの領域をより良好にコーティングすることができる。
【0058】
動作103、105、107、および109は共に、1つの原子層堆積サイクルを説明する。各サイクルが1つの単層の膜厚を構築し、各単層は、約0.5~3Åの厚さを有する。各単層の厚さは、例えば、各反応剤投与ステップの曝露時間、反応剤の付着係数などを含む多数の要因に依存する。任意選択で、第1の反応チャンバは、動作107の後かつ動作109の前、および/または、動作109の後かつ次に動作103を反復する前にパージされてもよい。そのようなパージは、望ましくない気相反応の低減に役立つ可能性があり、さらに、第1の反応チャンバからの副産物または他の汚染物質の除去に役立つ可能性がある。
【0059】
動作111において、保護コーティングが所望の最終的な厚さに達したかどうかが決定される。本明細書のいくつかの実施形態では、所望の最終的な厚さは、約1nm~約10mmである。場合によっては、最終的な厚さは、約1nm以上、約10nm以上、約100nm以上、約200nm以上、約500nm以上、約1μm以上、約10μm以上、約100μm以上、約500μm以上、または約1mm以上の厚さである。これらの場合または他の場合、最終的な厚さは、約10mm以下、約1mm以下、約500μm以下、約100μm以下、約10μm以下、約1μm以下、約500nm以下、約200nm以下、約100nm以下、または約10nm以下であってもよい。この厚さの範囲の保護コーティングは、(1)その下にあるチャンバ表面からの汚染を低減すること、および、(2)過酷な処理条件下でも長時間持続することの両方をなし得る。この厚さにより、チャンバ構成要素を過酷なプラズマ(例えば、洗浄プラズマ、堆積プラズマ、処理プラズマなど)に、最小限の劣化で複数回、繰り返し曝露することが可能になる。いくつかの実施形態では、厚さが約500nmを超えると、保護コーティングは、より容易に剥がれる傾向があり得る。ある特定の実施態様では、厚さが約100nm未満であると、保護コーティングは、汚染に対する実質的または長期的な保護を提供しない可能性がある。
【0060】
保護コーティングがまだ所望の最終的な厚さに堆積されていない場合、方法は、動作103に続き、別のALDサイクルが開始される。保護コーティングが所望の最終的な厚さに達した場合、方法は、動作113に続き、コーティングされたチャンバ構成要素が第1の反応チャンバから取り出される。この時点で、コーティングされたチャンバ構成要素は第2の反応チャンバ内に設置する準備ができており、第2の反応チャンバにおいて、その意図された目的を果たすことになる。各ALDサイクルがこのような薄い単層を堆積するため、チャンバ構成要素を最終的な厚さまで完全にコーティングするには、典型的には数百または数千のサイクルが必要である。典型的には、これは1~3日かかる。
【0061】
図1Bは、第2の反応チャンバを準備し、内部で半導体ウエハを処理する方法120のフローチャートを提示する。方法120は、原子層堆積を使用して第1の反応チャンバ内でチャンバ構成要素を保護膜でコーティングする動作121から始まる。動作121は、例えば、図1Aの動作101~111を使用して実現することができる。簡潔にするため、説明は繰り返さない。次に、コーティングされたチャンバ構成要素は、動作113で第1の反応チャンバから取り出される。図1Bの動作113は、図1Aの動作113と同じである。コーティングされたチャンバ構成要素は、第1の反応チャンバから取り出された後、動作123で第2の反応チャンバ内に設置される。次に、動作125において、コーティングされたチャンバ構成要素が第2の反応チャンバ内に設置された状態で、半導体ウエハが第2の反応チャンバ内で処理される。この処理は、例えば原子層堆積、化学気相堆積、または別の堆積方法を使用して、膜の層をウエハ上に堆積することを伴い得る。他の場合では、処理は、ウエハから材料をエッチングすること、ウエハをプラズマ処理に曝露すること、または別のタイプの処理を伴うことができる。
【0062】
使用期間の後、コーティングされたチャンバ構成要素(またはその上のコーティング)は、例えばプラズマ(例えば、フッ素含有洗浄プラズマ)への曝露の結果として、劣化し始める可能性がある。典型的には、半導体ウエハ上に材料を堆積した結果としてチャンバ内面に蓄積する材料を除去するために、反応チャンバは定期的に洗浄される。反応チャンバがALDに使用される例として、反応チャンバは、約50枚の半導体ウエハを処理した後に洗浄され得る。同様の場合に、反応チャンバは、約100枚の半導体ウエハを処理した後、または約200枚の半導体ウエハを処理した後に洗浄され得る。洗浄頻度は、例えば、半導体ウエハ上に堆積される膜の組成および厚さに依存する。一般的に言えば、膜が厚くなるほど、より頻繁なチャンバ洗浄が必要となる。
【0063】
保護コーティングは、洗浄プロセスに耐えるように設計することができる。多くの場合、保護コーティングは、洗浄プラズマに繰り返し曝露されることに耐えるように設計されている。これにより、コーティングされたチャンバ構成要素は、交換が必要になるまで反応チャンバ内で比較的長時間使用することができるようになる。様々な実施形態において、洗浄プラズマは、フッ化窒素プラズマである。フッ化窒素プラズマは、チャンバの内面に蓄積した望ましくない材料(例えば、ケイ素ベースの材料、誘電体材料、および様々な他の材料)と反応するフッ素ラジカルを含む。他のフッ素含有プラズマもまた、同様の効果を有する。同様に、保護コーティングは、アンモニアプラズマへの曝露に耐えるように設計することができる。アンモニアプラズマは、例えば反応剤としてアンモニアを提供するために、半導体ウエハ上への堆積中に使用されてもよい。アンモニアプラズマはまた、半導体ウエハの表面処理として使用することもできる。
【0064】
理論または作用機構によって拘束されることなく、酸化アルミニウム(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)、フッ化アルミニウム(AlF3)、酸窒化アルミニウム(AlON)、酸化イットリウム(Y23)、およびフッ化イットリウム(YF3)ベースの保護コーティングは、フッ化窒素プラズマへの曝露、ならびにアンモニアプラズマへの曝露などの典型的なフッ素ラジカルベースの洗浄プロセスに耐えることができると考えられている。これらの材料は、例えば、アンダーコート材料として一般的に使用されている酸化シリコンと比較すると、フッ化窒素プラズマおよびアンモニアプラズマに対して実質的に改善された耐性を示すと考えられている。
【0065】
いくつかの実施形態では、異なる組成の2つ以上の保護コーティングを共に設けることができる。例えば、保護コーティングは、2つの副層を備える二重層または3つの副層を備える三重層を含むことができ、各副層は、本明細書に列挙されている組成を有する。場合によっては、そのような副層が4つ以上設けられてもよい。副層のそれぞれが、保護膜全体に関して本明細書で説明されるような厚さであってもよい。他の場合では、保護膜全体の厚さが本明細書で説明されるような厚さであって、その厚さを異なる副層の間で分割してもよい。場合によっては、副層同士が同じ厚さを有することがある。他の場合では、副層同士が異なる厚さを有することがある。特定の例では、保護膜は、酸化アルミニウムと酸化イットリウムを積層した二重層である。多くの他の組み合わせが可能である。
【0066】
プラズマへの曝露の結果としての劣化に対する保護コーティングの耐性は、高温(例えば、約75~700℃、場合によっては、約100~700℃、または約200~700℃、または約200~400℃、または約200~300℃、または約100~250℃、または約75~400℃、または約400~700℃)で保護コーティングを形成することによって強化することができる。場合によっては、アルミニウム製(または、主にアルミニウム製)のチャンバ構成要素上に形成される保護コーティングは、約75~400℃、または約100~250℃、または約200~400℃の温度で堆積されてもよい。いくつかの他の場合では、セラミック製(または、主にセラミック製)のチャンバ構成要素上に形成される保護コーティングは、約400~700℃の温度で堆積され得る。セラミック製の構成要素は設置後にアルミニウム製の構成要素よりも高い処理温度に晒される可能性があるため、セラミック構成要素のコーティングにはより高い堆積温度が利用されることがある。いずれの場合も、保護コーティングは、チャンバ構成要素がコーティングされ、半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバ内に設置された後にチャンバ構成要素が曝露される最大温度の約25℃以内、または約50℃以内の高温で形成され得る。場合によっては、より低い温度が使用される場合もある。場合によっては、堆積温度は、ほぼ室温(例えば、約20℃)ほどに低くてもよい。特定の実施形態では、保護コーティングは、約20~650℃の温度で形成されてもよい。
【0067】
高温の範囲内では、チャンバ構成要素の表面に存在する細孔または溝が拡張する。これにより、拡張した細孔および溝内に保護コーティングが形成され、共形的で完全な保護コーティングを形成することができる。対照的に、チャンバ構成要素がより低い温度でコーティングされる場合、細孔または溝は拡張せず、保護コーティングがそのようなエリアに適切に形成されない可能性がある。多くの場合、チャンバ構成要素は、第2の反応チャンバ内に設置され、半導体ウエハの処理に使用されるときに高温に曝露される。この時点で、全ての細孔/溝が拡張し、細孔/溝内のコーティングが不完全な領域は粒子の生成に対して脆弱になる。これらの理由から、高温でチャンバ構成要素をコーティングすることが望ましい。しかし、様々な実施形態において、保護コーティングを形成するための堆積温度が高すぎないようにすることが望ましい。例えば、ある特定の例において、より高い温度(例えば、400℃、500℃、およびそれ以上)で形成された保護コーティングは、半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバ内に設置されたときに不十分な粒子性能を示す。したがって、場合によっては、保護コーティングを形成するための堆積温度は、約250℃未満、または約300℃未満、または約400℃未満に維持され得る。多くのそのような場合において、堆積温度は、約100℃または150℃の最低温度より上に維持される。
【0068】
所望のコーティングの組成に応じて、様々な反応剤を使用して保護コーティングを形成することができる。多くの場合、保護コーティングは、金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物、またはそれらの組み合わせである。保護コーティング中の金属は、様々な例において遷移金属であり得る。ある特定の例示的な反応剤を以下に列挙するが、これらは限定を意図するものではない。
【0069】
保護コーティングがアルミニウム(例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、および/またはフッ化アルミニウム)を含む場合、アルミニウム含有反応剤を使用することができる。例示的なアルミニウム含有反応剤は、アルミニウムトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)(Al(OCC(CH33CHCOC(CH333)、トリイソブチルアルミニウム([(CH32CHCH23Al)、トリメチルアルミニウム((CH33Al)、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム(III)(Al(N(CH323)、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0070】
保護コーティングがイットリウム(例えば、酸化イットリウム、窒化イットリウム、および/またはフッ化イットリウム)を含む場合、イットリウム含有反応剤を使用することができる。例示的なイットリウム含有反応剤は、トリス[N、N-ビス(トリメチルシリル)アミド]イットリウム([[(CH33Si]2N]3Y)、トリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)(Y(C54CH2(CH22CH33)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)(Y(C553)、イットリウム2-メトキシエトキシド溶液、例えば、2-メトキシエタノール(C9216Y)、イットリウム(III)トリス(イソプロポキシド)(C9213Y)、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)(Y(OCC(CH33CHCOC(CH333)、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0071】
保護コーティングがチタン(例えば、酸化チタン、窒化チタン、および/またはフッ化チタン)を含む場合、チタン含有反応剤を使用することができる。例示的なチタン含有反応剤は、テトラキス(ジエチルアミド)チタン(IV)([(C252N]4Ti)、テトラキス(ジメチルアミド)チタン(IV)([(CH32N]4Ti)、テトラキス(エチルメチルアミド)チタン(IV)([(CH325)N]4Ti)、チタン(IV)ジイソプロポキシドビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)(Ti[OCC(CH33CHCOC(CH332(OC372)、チタン(IV)イソプロポキシド(Ti[OCH(CH324)、四塩化チタン(TiCl4)、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0072】
保護コーティングが他の金属を含む場合、当技術分野で一般に理解されているように、適切な前駆体を提供することができる。
【0073】
保護コーティングが酸素を含む場合、酸素含有反応剤を使用することができる。例示的な酸素含有反応剤は、酸素(O2)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SO)、二酸化硫黄(SO2)、酸素含有炭化水素(Cxyz)、水(H2O)、それらの混合物などを含むが、これらに限定されない。
【0074】
保護コーティングが窒素を含む場合、窒素含有反応剤を使用することができる。窒素含有反応剤は、少なくとも1つの窒素、例えば、アンモニア(NH3)、ヒドラジン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、t-ブチルアミン、ジ-t-ブチルアミン、シクロプロピルアミン、sec-ブチルアミン、シクロブチルアミン、イソアミルアミン、2-メチルブタン-2-アミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ジ-t-ブチルヒドラジンなどのアミン(例えば、炭素を持つアミン)、ならびにアニリン、ピリジン、およびベンジルアミンなどの芳香族含有アミンを含有する。アミンは、第一級、第二級、第三級または第四級(例えば、テトラアルキルアンモニウム化合物)であり得る。窒素含有反応剤は、窒素以外のヘテロ原子を含むことができ、例えば、ヒドロキシルアミン、t-ブチルオキシカルボニルアミンおよびN-t-ブチルヒドロキシルアミンは、窒素含有反応剤である。
【0075】
保護コーティングがフッ素を含む場合、フッ素含有反応剤を使用することができる。例示的なフッ素含有反応剤は、フッ化水素(HF)および四フッ化チタン(TiF4)などの金属フッ化物、フッ化ニオブ(V)(NbF5)、五フッ化タンタル(TaF5)、六フッ化タングステン(WF6)、フッ化モリブデン(MoFx)、フッ化バナジウム(VFx)、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0076】
保護コーティングが酸化アルミニウムである特定の実施形態では、第1の反応剤は、トリメチルアルミニウムであり、第2の反応剤は、水である。これらの反応剤は、熱エネルギーへの曝露の結果として(例えば、プラズマへの曝露は必要ない)互いに反応する可能性がある。したがって、これらの反応剤は、凹面または他のアクセスが困難な表面(シャワーヘッド穴の内部、内部プレナムなど)を含む、チャンバ構成要素の非マスキング面の上に高度に共形的な保護コーティングを形成するのに特に有用である。
【0077】
(コーティング可能なチャンバ構成要素)
ありとあらゆるチャンバ構成要素は、保護コーティングでコーティングされてもよい。このような構成要素は、シャワーヘッド、ガス供給ライン、リフトピン、リフトピンホルダ/リテーナ、チャンバ壁、チャンバ天井、基板支持体、台座、ウエハキャリアなどを含むことができるが、これらに限定されない。チャンバ構成要素は劣化するので、経時的に交換されるチャンバ構成要素上に保護コーティングを設けることは、特に有用であり得る。
【0078】
図2Aおよび図2Bは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッド200を別の角度から見た図(それぞれ上面図および底面図)を提示する。場合によっては、図2Aおよび図2Bに示すようなシャワーヘッド200は、化学気相堆積および/または原子層堆積に使用されるリアクタ内に設置されてもよい。いくつかの実施形態では、リアクタは、堆積反応チャンバまたは抑制反応チャンバである。シャワーヘッド200は、複数の穴205が形成されるプレート201を含む。場合によっては、約2000個の穴205を設けることができる。縁部領域203は、半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバ内にシャワーヘッド200を設置するために使用され得る空間および開口部を含む。図2Aおよび図2Bは縁部領域203内側のプレート201に穴205が設けられていない領域を示しているが、必ずしもそうであるとは限らない。いくつかの実施形態では、穴205は、縁部領域203までずっと設けられてもよい。この例では、様々な穴205が同心円に沿って位置決めされているが、他の穴パターンを使用することもできる。
【0079】
図2Cは、図2Aおよび図2Bの穴205の拡大断面図を図示する。穴205は、「w」と記された幅(直径または臨界直径と呼ばれることもある)および「h」と記された高さを有する。この例における穴205の高さは、穴205が形成されるプレート201の厚さと同じである。様々な実施形態において、シャワーヘッドは、プレートの厚さを貫通する1つまたは複数の穴を有することができ、穴は、約0.5~4mmの幅、および/または約1~20mmの高さを有する。場合によっては、シャワーヘッドは、例えばマルチプレナムシャワーヘッドでのガス混合を改善するために、穴を位置合わせせずに重ねた複数のプレートを含んでもよい。
【0080】
穴のアスペクト比は、穴の高さと穴の幅の比較である(h:w)。アスペクト比は、穴の高さを穴の幅で割った数値として計算することができる(h/w)。本明細書のある特定の実施形態では、シャワーヘッド穴のアスペクト比は、少なくとも約5、または少なくとも約10、または少なくとも約50、または少なくとも約100、または少なくとも約500であってもよい。場合によっては、シャワーヘッド穴のアスペクト比が、最大で約2000になることがある。このようにアスペクト比が非常に高いと、シャワーヘッドが反応チャンバ内にインサイチュで設置されるとき、穴をコーティングすることが困難になる。その理由は、例えば、必要な反応剤の全部を全ての関連表面に供給することが困難であるため、および/または、関連表面の全てをプラズマに曝露することが困難であるため(例えば、プラズマへの曝露の結果としてコーティングが形成される場合)である。熱駆動ALD反応を使用してシャワーヘッドを異なる反応チャンバ内でエクスサイチュでコーティングすることによって、必要な反応剤を必要に応じて全ての関連表面に供給することができ、反応を駆動するために必要なエネルギーが均一に与えられる。その結果、形成される保護コーティングは、シャワーヘッド穴の内側およびシャワーヘッドの裏側など、アクセスが困難な表面であっても高度に共形的である。図2C図2Aおよび図2Bの場面で説明されているが、本明細書で説明されるシャワーヘッドのいずれも、説明される特徴(例えば、寸法)を有する穴を含み得ることが理解される。
【0081】
図2D図2Gは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッドを別の角度から見た図を提示する。様々な実施形態において、図2D図2Gに示すシャワーヘッドは、電動シャワーヘッドである。多くの場合、このタイプのシャワーヘッドは、シャンデリアシャワーヘッドと呼ばれる。これらの実施形態または他の実施形態では、図2D図2Gに示すシャワーヘッドは、接地されたシャワーヘッドであり得る。いくつかの実施形態では、図2D図2Gに示すシャワーヘッドは、カリフォルニア州フリーモントのLam Research Corporationから入手可能なVector(登録商標)製品ファミリーのリアクタなど、化学気相堆積またはプラズマ強化化学気相堆積に使用される反応チャンバ内に設置され得る。
【0082】
図3Aおよび図3Bは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るシャワーヘッド300を別の角度から見た図(それぞれ上面図および底面図)を提示する。場合によっては、図3Aおよび図3Bに示すようなシャワーヘッド300は、原子層堆積に使用される反応チャンバ内に設置されてもよい。これらの場合または他の場合、この温度は、約500になることがある。シャワーヘッド300は、多数の第1の穴305aおよび第2の穴305bを有するプレート301を含む。第1の穴305aはプレート301を貫通して延びているが、第2の穴305bはシャワーヘッド300の底部側(裏側と呼ばれることもある)にのみ開いている。シャワーヘッド300は、反応剤を第2の穴305bに供給する内部通路(図示せず)を含む。反応剤は、第2の穴305bを出るときにノズル306を通過する。ノズル306は、二次ガス噴射器と呼ばれることもある。内部通路は、ガス入口ポート(図示せず)でシャワーヘッド300と接続することができる専用の反応剤供給ライン(図示せず)によって供給され得る。場合によっては、シャワーヘッド300を出るまで互いに混合しない追加の反応剤を提供するために、追加の分離された内部通路がプレート301に設けられてもよい。保護コーティングを形成するためにエクスサイチュ原子層堆積が使用されるとき、これらの内部通路も保護コーティングでコーティングされてもよい。追加のプロセスガスを供給するために、要望に応じて追加のガス入口ポート(図示せず)を設けることができる。反応剤供給システムおよびプロセスの必要性に応じて、単一のガス入口ポートを使用して単一の反応剤または複数の異なる反応剤を提供することができる。液体は、熱流体接続309および311を介してシャワーヘッド300に提供する、および/または、シャワーヘッド300から除去することができる。熱流体は、シャワーヘッド300の加熱および/または冷却に使用される熱交換流体であってもよい。熱流体接続309および311は、いくつかの実施形態では保護コーティングが堆積される前にマスキングすることができる。ある特定の場合では、穴305bがシャワーヘッドの上部側に開くように、シャワーヘッドの底部側と上部側を逆にすることができる。シャワーヘッドは、どちらの向きでも使用することができる。様々な穴のパターンを使用することができる。
【0083】
様々な実施形態において、ノズル306がシャワーヘッド300に接続されていない状態で、ノズル306およびシャワーヘッド300の残りの部分に保護コーティングを形成してもよい。ノズル306とシャワーヘッド300の残りの部分の両方にコーティングを形成した後、ノズル306を第2の穴305bに接続し、シャワーヘッド300の製作を完了することができる。別の実施形態では、ノズル306が接続されている状態で、シャワーヘッド300全体を保護コーティングでコーティングする。気密接続を確実にするために、ノズル306とプレート301との間にOリング(図示せず)を設けてもよい。
【0084】
図4は、図3Aおよび図3Bに示すシャワーヘッド300の断面図を示している。上述のように、第1の穴305aは、シャワーヘッド300の厚さ全体を貫通している。ノズル306は、第2の穴305bに取り付けられる。ノズル306および第2の穴305bは、シャワーヘッド300の本体に形成される1つまたは複数のガスプレナム350から気相反応剤を供給する。ガスプレナム350は、ガス入口(図示せず)からガスを受け取る。ノズル306は、内部にガス供給通路352を含む。シャワーヘッド300の本体は、熱交換流体が流れることができる1つまたは複数の冷却プレナム340をさらに含む。
【0085】
図5A図5Cは、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得る基板支持台座500を別の角度から見た図を示している。場合によっては、図5A図5Cに示すような基板支持台座500は、原子層堆積に使用される反応チャンバ内に設置されてもよい。基板支持台座500は、処理中に半導体ウエハを支持する表面502を有する本体部分501を含む。表面502は、多数の開口部を含み、そのいくつかはリフトピン開口部である。リフトピン(図示せず)は、リフトピン開口部内に設けることができる。リフトピンは、半導体ウエハを持ち上げ、反応チャンバを出入りするウエハの移送を容易にするように動作し得る。同様に、リフトピンホルダ(図示せず)をリフトピン開口部に設けることができる。リフトピンは、必要に応じてリフトピンホルダを通過することができる。リフトピンホルダの一例を図6に示す。リフトピンおよびリフトピンホルダ(ならびに基板支持台座500の他の分離可能な部分)は、基板支持台座500の残りの部分と共にコーティングされても、または別々にコーティングされてもよい。これらの部品が別々にコーティングされる場合は、必要な部品の全てがコーティングされた後に基板支持台座500を組み立ててもよい。組み立てられた支持台座は、その後、反応チャンバ内に設置することができる。基板支持台座500の本体501は、ステム503に接続されて支持される。保護コーティングを形成する前に、ある特定のエリアをマスキングすることができる。例えば、電気接点が形成されている領域をマスキングし、接点をアクセス可能かつ導電性のまま残しておくことができる。保護コーティングをインサイチュのアンダーコートとして形成する場合と比較すると、保護コーティングをエクスサイチュで形成する場合のほうが、電気接点領域(および他のマスキングされた領域)のマスキングは容易である。例えば、コーティング前の関連するチャンバ構成要素は、一体型のチャンバ構成要素として設置されていないため、全ての関連表面をコーティングするために容易に取り扱い/操作(または分解)することができる。
【0086】
図6は、本明細書で説明される技術を使用して保護コーティングでコーティングされ得るリフトピンホルダ600を示している。場合によっては、図6に示すようなリフトピンホルダ600は、原子層堆積に使用される反応チャンバ内に設けられてもよい。リフトピン(図示せず)は、リフトピンホルダ600の中央開口部を通って延び、半導体ウエハと係合することができる。図5Aを参照すると、リフトピンホルダ600は、基板支持台座500の本体502に設けられてもよい。
【0087】
特定のタイプの処理および特定の反応チャンバを参照して様々な図を説明しているが、これらの図に示す部品は、代替のタイプの反応チャンバに設けられてもよく、半導体基板上の様々な種類の処理に使用されてもよいことが理解される。開示される実施形態から利益を得ることができる追加の装置の例は、Altus(登録商標)製品ファミリーの任意の装置(化学気相堆積および原子層堆積)、Vector(登録商標)製品ファミリーの任意の装置(プラズマ強化化学気相堆積)、Striker(登録商標)製品ファミリーの任意の装置(原子層堆積)、Speed(登録商標)製品ファミリーの任意の装置(高密度プラズマ化学気相堆積)などを含むが、これらに限定されない。これらの製品ファミリーの各々は、カリフォルニア州フリーモントのLam Research Corporationから入手可能である。
保護コーティングの特性
【0088】
保護コーティングは、ある特定の実施形態において特定の特性を有し得る。例えば、保護コーティングは、特定の組成、密度、弾性率、硬度、下層への接着力、応力、結晶構造、純度、および/または厚さを有し得る。所望の特性は、チャンバ構成要素が使用される反応チャンバのタイプ、ならびに反応チャンバで行われる処理のタイプに依存し得る。例示的な特性が本明細書に提供されているが、限定を意図するものではない。
【0089】
上述のように、保護コーティングには多数の異なる組成を使用することができる。いくつかの実施形態では、保護コーティングは、酸化アルミニウム(Alxy)、窒化アルミニウム(Alxy)、フッ化アルミニウム(Alxy)、酸窒化アルミニウム(Alxyz)、酸化イットリウム(Yxy)、フッ化イットリウム(Yxy)、またはそれらの組み合わせであり得る。これらの材料は、半導体処理中に一般的に使用されるフッ素ラジカルベースのプラズマ(例えば、NF3洗浄プラズマ)、アンモニアプラズマ、および他のプラズマ(例えば、Ar+N2プラズマ、Ar+N2+_O2プラズマ、およびAr+O2プラズマ)に対して強い耐性を示すと考えられている。これらのタイプのプラズマは、コーティングされていないチャンバ構成要素で使用すると深刻な悪影響を与える可能性があり、実質的な金属汚染を半導体ウエハにもたらす場合がある。
【0090】
ある特定の実施形態では、保護コーティングは、約150~300℃の全ての温度に対して約100~400GPaの弾性率を有することができる。これらの場合または他の場合、保護コーティングは、約150~300℃の全ての温度で約6~18GPaの硬度を有することができる。これらの場合または他の場合、保護コーティングは、下層の材料に対して少なくとも約200mN、場合によっては少なくとも約1Nまたは少なくとも約5Nの接着力を有することができる。接着力は、ASTM D7187スクラッチ接着力試験に基づいて測定することができる。これらの場合または他の場合、保護コーティングは、約150℃を超える全ての温度で約500MPaの最大応力(圧縮)を有することができる。これらの場合または他の場合、保護コーティングは、アモルファスである結晶構造(X線回折によって決定される)を有することができる。これらの場合または他の場合、保護コーティングは、約99.9~99.999%の純度を有することができる。これらの場合または他の場合、保護コーティングは、本明細書の他の場所で説明されるように、約100~500nmの厚さを有することができる。これらの場合または他の場合、保護コーティングは、堆積する全ての表面にわたって厚さの変動を約3%未満とすることができる。
【0091】
(プロセス安定性)
本明細書の様々な実施形態において、本明細書で説明される保護コーティングを含むように準備された1つまたは複数のチャンバ構成要素(例えば、シャワーヘッド、台座など)を有する反応チャンバは、多数の半導体ウエハを処理する過程で特定の程度のプロセス安定性を達成するように動作される。プロセス安定性の問題は、図8Aおよび図8Bに関連して以下でさらに説明される。
【0092】
ある特定の場合では、プロセス安定性は、経時的に反応チャンバ内に堆積された膜のウエハ上の不均一性を追跡することによって分析することができる。ウエハ上の不均一性は、膜の最も厚い領域と最も薄い領域の厚さの差として計算される。例えば、厚さが48~52Åの範囲であり、平均厚さが50Åである第1の膜の場合、ウエハ上の不均一性は4Å(52Å-48Å=4Å)となる。多くの場合、ウエハ上の不均一性の変動は、膜の平均厚さを参照して分析される。例えば、厚さが48~51Åの範囲であり、平均厚さが50Åである第2の膜の場合、ウエハ上の不均一性は3Åとなる。第1および第2の膜の間のウエハ上の不均一性の変化は、1Å(4Å-3Å=1Å)である。これは、平均膜厚(50Å)と比較すると、2%の変動を表す(1Å/50Å*100=2%)。
【0093】
異なるバッチの膜を比較するとき、バッチ内の変動/傾向に起因する差異を最小限に抑えるために、異なるバッチの同じウエハ番号を検討する必要がある。ウエハ番号は、バッチ内でウエハが処理される順序である。したがって、第1のバッチを第3のバッチと比較するとき、第1のバッチの最初のウエハと第3のバッチの最初のウエハを測定し、比較することができる。同様の例では、第1のバッチの50番目のウエハおよび第3のバッチの50番目のウエハを測定することができる。
【0094】
バッチの過程でのウエハ上の不均一性の変動は、平均膜厚の約5%以下、または約3%以下、または約2%以下、または約1%以下、または約0.05%以下であり得る。多くの実施形態では、この非常に低い変動は、最後に約10バッチ、または少なくとも約20バッチにわたって維持することができる。ウエハ上に堆積された膜は、任意の組成を有することができ、特定の例では、膜は、炭化ケイ素または炭化ケイ素誘導体である。図8Aに記載された例を参照すると、コーティングされたシャワーヘッドにより、反応チャンバは、半導体ウエハ上に堆積された炭化ケイ素膜について、20バッチ(各バッチは200枚のウエハを含む)にわたってウエハ上の不均一性の変動を平均膜厚のわずか約0.05%とすることができた。このようなレベルの安定性は、コーティングされていないシャワーヘッドを使用した同様のプロセスでは達成することができなかった。
【0095】
記載されたレベルのプロセス安定性を達成するためのバッチサイズは、本明細書で説明される範囲内であり得る。各ウエハ上に堆積された膜は、少なくとも約50Åの厚さ、少なくとも約100Åの厚さ、少なくとも約200Åの厚さ、少なくとも約500Åの厚さ、またはそれ以上であり得る。
【0096】
(コーティングされたチャンバ構成要素のインサイチュ回復)
上述のように、処理ガスおよびプラズマへの曝露を繰り返すことにより、チャンバ構成要素の表面が影響を受ける可能性がある。ALDによるエクスサイチュコーティングの使用は、こうした曝露に対するそのようなチャンバ構成要素の耐性を実質的に改善するが、様々な実施形態において、これらの条件はコーティングされたチャンバ構成要素の表面を最終的に変える場合がある。例えば、窒素含有プラズマに繰り返し曝露されるシャワーヘッド、台座、または他のチャンバ構成要素上の酸化アルミニウムコーティングは、そのようなチャンバ構成要素上にAlNまたはAlON結合を最終的に形成する可能性がある。これらの結合は表面汚染物質として効果的に作用するため、それらを除去することが望ましいとされ得る。同様に、酸素含有プラズマに繰り返し曝露されるシャワーヘッド、台座、または他のチャンバ構成要素上の窒化アルミニウムコーティングの曝露は、そのようなチャンバ構成要素の上に表面汚染物質として作用するAlOまたはAlNO結合を最終的に形成する可能性がある。他にも多くの例が考えられる。これらの変化する表面状態/汚染物質は、ウエハ上の処理結果に悪影響を及ぼし得る。例えば、チャンバ構成要素の表面がより汚染されるにつれて、反応チャンバ内のラジカルは汚染された表面でますます失われ、基板の処理に利用できるラジカルが少なくなる。いくつかの実施形態では、これにより、経時的にウエハ上の性能(例えば、厚さ、均一性など)に顕著な傾向が表れる可能性がある。異なる時間に処理される異なる基板間で高度の均一性が望まれるため、このような傾向は望ましくなく、ウエハ上の結果に表れるいかなる傾向も、そのような均一性を低下させる。
【0097】
表面の汚染物質の除去、および、コーティングされたチャンバ構成要素の状態の修復は、様々な方法で行うことができる。ここでは、いくつかの例について説明する。一般に、これらの例は、コーティングされたチャンバ構成要素が、設置されている反応チャンバ内で(例えば、チャンバ構成要素をエクスサイチュで最初にコーティングするために使用される反応チャンバ内ではなく、半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバ内で)インサイチュで調整される場合に関係する。これらの例は、特定の用途について要望に応じて組み合わせることができる。
【0098】
(実施例1:修復プラズマ)
半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバは、反応チャンバを修復プラズマに曝露することによって調整されてもよい。修復プラズマは、コーティングされたチャンバ構成要素の表面から汚染物質を除去するように作用し、コーティングされたチャンバ構成要素の表面をその意図された組成(および、場合によっては、構造)に修復する。
【0099】
修復プラズマは、修復プラズマ生成ガスから生成される。修復プラズマ生成ガスは、多くの場合、チャンバ構成要素のコーティングに見られる少なくとも1つの構成要素を含む。例えば、金属酸化物によりエクスサイチュでコーティングされたシャワーヘッド(または他のチャンバ構成要素)は、O2または別の酸素含有種を含む修復プラズマ生成ガスから生成された修復プラズマに曝露され得る。同様に、金属窒化物によりエクスサイチュでコーティングされたシャワーヘッド(または他のチャンバ構成要素)は、N2または別の窒素含有種を含む修復プラズマ生成ガスから生成された修復プラズマに曝露され得る。金属フッ化物によりエクスサイチュでコーティングされたシャワーヘッド(または他のチャンバ構成要素)は、F2または別のフッ素含有種を含む修復プラズマ生成ガスから生成された修復プラズマに曝露され得る。いずれの場合も、修復プラズマ生成ガスは、希ガス(例えば、Ar、He、Neなど)のような1つまたは複数の不活性種も含むことができる。様々な実施形態において、修復プラズマ生成ガスは、金属および/またはケイ素を含まないか、または実質的に含まない(例えば、痕跡量のみを含む)場合がある。
【0100】
修復プラズマは、半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバ内で直接生成されてもよく、または遠隔で生成され、この反応チャンバに供給されてもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバは、約1分~24時間の間、修復プラズマに曝露されてもよい。場合によっては、この曝露時間は、約1~60分、約1~20分、約1~15分、約1~2分、または約1~24時間である。場合によっては、この曝露時間は、少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約5分、または少なくとも約10分である。これらの場合または他の場合、この曝露時間は、約24時間以下、約1時間以下、約20分以下、約15分以下、約10分以下、または約2分以下であってもよい。
【0101】
多くの場合、修復プラズマはこの曝露時間内に継続的に供給されるが、修復プラズマはまた、この曝露時間内に定期的または断続的に供給されてもよい(例えば、30分プラズマをオンにした後、30分プラズマをオフにする)。断続的なプラズマを使用して、プラズマによるチャンバ構成要素の過熱を防ぐことができる。この調整ステップ中の反応チャンバ内の圧力は、約0.01~100mTorr、または約0.2~5Torr、または約0.5~5Torr、または約5~40Torrであってもよい。これらの場合または他の場合、圧力は、少なくとも約0.01mTorr、少なくとも約0.2Torr、または少なくとも約0.5Torrであってもよい。これらの場合または他の場合、圧力は、約40Torr以下、約5Torr以下、または約1Torr以下であってもよい。場合によっては、この調整ステップ中に、1つまたは複数のチャンバ構成要素の温度を制御してもよい。例えば、いくつかのそのような場合では、1つまたは複数のチャンバ構成要素(例えば、シャワーヘッド、台座など)および/またはチャンバ自体(例えば、チャンバ壁、床、天井など)を、約70~400℃、場合によっては約70~200℃、または約70~100℃、または約80~160℃、または約150~400℃の温度に維持することができる。いくつかのそのような場合では、この温度は、少なくとも約70℃、少なくとも約100℃、または少なくとも約150℃であってもよい。これらの場合または他の場合、この温度は、約400℃以下、約200℃以下、約160℃以下、または約100℃以下であってもよい。修復プラズマは、ある範囲の電力レベルおよび周波数で生成することができ、例えば300mmの基板あたり約1000~10,000ワット(例えば、300mmの基板あたり1000~3000ワット)および約50kHz~2.45GHz(例えば、50~700kHz、300~500kHz、または1.8MHz~2.45GHz、または10~20MHz、または50~70MHz)のプラズマ周波数で生成され得る。
【0102】
修復プラズマ(または他の調整技術)は、特定の周波数で供給されてもよい。場合によっては、ウエハが反応チャンバ内で処理された後に毎回調整が実施される。他の場合では、n枚のウエハが反応チャンバ内で処理された後に調整が実施されてもよく、nは、2、3、4、5、10、20、50、75、100、200、300、400、または500である。調整の最適な頻度は、ウエハ上で実施されるプロセス、反応チャンバに提供される材料、タイミングなどを含む多数の要因に依存する。一般に、洗浄を頻繁に行うほど、ウエハ上の結果の傾向が最小限に抑えられる。しかし、洗浄が頻繁すぎると、スループットが低下し始める可能性がある。
【0103】
場合によっては、コーティングされたチャンバ構成要素が基板の処理に使用される前であっても、コーティングされたチャンバ構成要素を内部に有する反応チャンバに修復プラズマが供給されてもよい。このような場合、修復プラズマは、コーティングされたチャンバ構成要素の表面を修復するのではなく(まだ新しいため)、コーティングされたチャンバ構成要素を調整し、処理中に使用される化学物質に合わせて準備するように作用する。そのような例では、修復プラズマをインサイチュ調整プラズマと呼ぶことがある。このインサイチュ調整は何度でも繰り返すことができ、多くの場合、使用の直前に行われる(例えば、新しいコーティングされたチャンバ構成要素が設置されるとき、および/または新しい処理化学物質が導入されるときに行われる)。多くの場合、インサイチュ調整プラズマはO2プラズマであり、チャンバ構成要素は酸化アルミニウムまたは別の酸化物でコーティングされているが、他の組成/材料が様々な場合で使用されてもよい。インサイチュ調整プラズマは、2015年3月26日出願の、「MINIMIZING RADICAL RECOMBINATION USING ALD SILICON OXIDE SURFACE COATING WITH INTERMITTENT RESTORATION PLASMA」と題する米国特許出願第14/712,167号にさらに記載されており、上記の出願は、上記の参照により組み込まれる。
【0104】
多くの場合、調整の実施中に、ウエハは反応チャンバ内に存在しない。いくつかの他の場合では、調整の実施中に、ウエハまたはダミーウエハ(例えば、製造用ではない犠牲ウエハ)が反応チャンバ内に存在する場合がある。
【0105】
図10Aおよび図10Bを参照して以下で説明される実験結果は、修復プラズマの使用が、反応チャンバ(または、反応チャンバ内部のコーティングされたチャンバ構成要素)を半導体基板の処理に使用するための使用可能状態に修復するのにかかる時間を大幅に短縮することができることを示している。さらに、様々な場合において、修復しなければ有効寿命の終わりに達していたコーティングされたチャンバ構成要素上のコーティングを修復するために(例えば、長時間待機するなどの他の技術では回復不可能であったコーティングされたチャンバ構成要素を修復するために)、修復プラズマを使用することができる。
【0106】
(実施例2:追加の反応剤による修復プラズマ)
実施例1では、修復プラズマ生成ガスは、一種類の反応種を含んでいる(例えば、酸化物ベースのコーティングを修復するための反応性酸素種、窒化物ベースのコーティングを修復するための反応性窒素種、フッ化物ベースのコーティングを修復するための反応性フッ化物種など)。対照的に、実施例2では、修復プラズマ生成ガスは、互いに反応し得る2つ以上の種を含んでいる。これら2つの種が、反応して、チャンバ構成要素上のコーティングのための所望の組成を形成することができる。例えば、酸化アルミニウムでコーティングされたシャワーヘッド(または他のチャンバ構成要素)は、アルミニウム含有反応剤と酸素含有反応剤(例えば、O2など)の両方を含む修復プラズマ生成ガスから生成される修復プラズマに曝露され得る。窒化アルミニウムでコーティングされたシャワーヘッド(または他のチャンバ構成要素)は、アルミニウム含有反応剤と窒素含有反応剤(例えば、N2など)の両方を含む修復プラズマ生成ガスから生成される修復プラズマに曝露され得る。フッ化アルミニウムでコーティングされたシャワーヘッド(または他のチャンバ構成要素)は、アルミニウム含有反応剤とフッ化物含有反応剤(例えば、F2など)の両方を含む修復プラズマ生成ガスから生成される修復プラズマに曝露され得る。前述の例はアルミニウム含有コーティングに関するものであるが、コーティングおよび反応剤はそのように限定されないことが理解される。コーティングがアルミニウム以外の金属または材料を含む場合、その関連する金属または材料を供給するための反応剤を少なくとも1つ選択することができる。
【0107】
2つ以上の反応剤は、同時に共に供給されてもよく、または異なる時間に供給されてもよい(例えば、修復プラズマ生成ガスの組成が経時的に変化するように供給される)。特定の例では、反応剤の供給をずらして、それによりチャンバ構成要素上のコーティングを修復および再形成する反応が自己制限的な表面反応を介して起こり得るようにする。
【0108】
いくつかの実施形態では、修復プラズマは連続的に供給され、両方の反応剤はプラズマの形態で使用される。いくつかの他の実施形態では、修復プラズマは、定期的または断続的に供給されてもよい。いくつかのそのような場合では、プラズマが存在しないとき、1つまたは複数の反応剤(例えば、場合によっては金属含有反応剤)をガスの形態で反応チャンバに供給してもよい。
【0109】
実施例1に関して提供された詳細は、実施例2にも適用され得る。
【0110】
(実施例3:段階的O2、N2プラズマによる修復プラズマ)
この例では、半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバは、関連するチャンバ構成要素上のコーティングを再調整および再形成するために、異なる時間に異なるプラズマに曝露される。最初に、反応チャンバは、酸素プラズマ(例えば、O2などの酸素含有種から生成され、多くの場合、Ar、Heなどの不活性ガスを含む)に曝露される。この最初のプラズマ曝露の後、反応チャンバは、窒素プラズマ(例えば、N2などの窒素含有種から生成され、多くの場合、Ar、Heなどの不活性ガスを含む)に曝露される。反応チャンバは、約30秒~2分の間、酸素プラズマに曝露され、次に、約1~30秒の間、窒素プラズマに曝露されてもよい。様々な場合において、酸素プラズマへの曝露時間と窒素プラズマへの曝露時間との間には特定の比率があり得る。いくつかのそのような実施形態では、反応チャンバが酸素プラズマに曝露される時間は、反応チャンバが窒素プラズマに曝露される時間の少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、または少なくとも約15倍であってもよい。曝露時間は、特定のレベルのスループットおよびプロセスの均一性を達成するように選択することができ、通常は、曝露時間が長いほど、スループットが低くなり、プロセスの均一性が高くなる。
【0111】
ある特定の実施形態では、酸素プラズマの組成は、酸素が約10~50%、または約10~20%であり、残りを不活性ガスとすることができる。これらの実施形態または他の実施形態では、窒素プラズマの組成は、窒素が約0.1~5%、または約0.5~2%であり、残りを不活性ガスとすることができる。窒素プラズマは、いくつかの実施形態では酸素プラズマと比較して不活性ガスの組成をより高くすることができる。他の場合では、逆のことが当てはまる場合がある。
【0112】
場合によっては、反応チャンバが酸素プラズマ対窒素プラズマに曝露されるとき、異なるプラズマ生成条件が適用されることがある。例えば、一実施形態では、酸素プラズマは連続波プラズマであり、窒素プラズマはパルス化される(例えば、デューティサイクルが50%未満)。また、異なるプラズマを生成するために使用される電力(例えば、多くの場合はRF電力)も異なることがある。一例では、酸素プラズマの生成に使用される電力は、窒素プラズマの生成に使用される電力よりも大きいことがある(場合によっては、少なくとも2倍大きい)。プラズマを生成するための例示的な電力レベルは、300mmの基板あたり約500~2500Wを含むが、これに限定されない。
【0113】
図11Aおよび図11Bに関して以下でさらに説明される実験結果が示しているように、この段階的な調整技術は上述のウエハ上の処理結果で観察される傾向を大幅に低減する、または、さらに排除までするものであり、それによって、はるかに均一な製品を達成している。これにより、反応チャンバの信頼性が向上し、したがって価値が最大化される。
【0114】
実施例1および2に関して提供された詳細は、実施例3にも適用され得る。
【0115】
(実施例4:湿式または乾式化学物質による完全なチャンバ洗浄)
場合によっては、コーティングされたチャンバ構成要素の表面を修復するために、より完全な洗浄プロセスが必要になることがある。これは、チャンバ構成要素が、半導体ウエハ上での処理の副産物として形成される特に厚い膜で覆われている場合に起こり得る。一例では、酸化アルミニウム(または別のコーティング材料)によりエクスサイチュでコーティングされたチャンバ構成要素は、関連する反応チャンバで半導体ウエハの処理に使用された後、酸化シリコン(または別の副産物材料)で覆われている。この副産物材料を除去するために、湿式または乾式化学物質(プラズマ有りまたは無し)を使用して、チャンバ構成要素を洗浄することができる。一例では、反応チャンバが、F2、NF3、または異なるフッ素含有洗浄反応剤の少なくとも1つから(直接または遠隔で)生成されたプラズマに曝露される。別の例では、副産物材料を除去するために、反応チャンバ(または関連するコーティングされたチャンバ構成要素)が湿式化学物質に曝露されてもよい。例示的な湿式化学物質は、様々な酸および塩基、アルコール、水、脱イオン水、アセトンなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの特定の例は、水酸化アンモニウム(NH4OH)、過酸化水素(H22)、塩酸(HCl)、フッ化水素酸(HF)、硝酸(HNO3)、イソプロピルアルコール(C38O)などを含む。
【0116】
実施例1、および実施例4の一部の実施形態は、各々、反応チャンバをプラズマに曝露して、コーティングされたチャンバ構成要素を調整することを伴うが、これら2つの実施形態の間にはいくつかの重要な違いがある。実施例1では、修復プラズマ生成ガスは、典型的には、コーティングされたチャンバ構成要素のコーティングに含まれる少なくとも1つの成分(例えば、酸化物コーティングの場合は酸素、窒化物コーティングの場合は窒素など)を含んでいる。対照的に、実施例4では、化学物質は、典型的には、洗浄化学物質である(例えば、多くの場合はフッ素含有化学物質)。様々な場合において、洗浄化学物質は、コーティングされたチャンバ構成要素のコーティングに含まれる成分を含まない。例えば、チャンバ構成要素上のコーティングが酸化アルミニウムである場合、実施例4によるチャンバ構成要素の洗浄にはF2またはNF3プラズマが特に適切であり得る。これは、F2またはNF3のどちらもアルミニウムまたは酸素を含まないからである。関連して、フッ化アルミニウムでコーティングされたチャンバ構成要素がF2プラズマに曝露される場合、コーティングとプラズマの両方がフッ素を含むので、このプラズマは実施例1に基づく修復プラズマと見なされる。
【0117】
湿式または乾式化学物質技術が使用される場合、コーティングされたチャンバ構成要素は、使用される技術に応じて、約0.5秒~24時間の間、湿式化学物質または乾式化学物質(例えば、プラズマ)に曝露されてよい。場合によっては、曝露時間は、約0.5秒~2分、または約1~30秒、または約1~15分、または約1~60分、または約1~24時間であってもよい。場合によっては、曝露時間は、少なくとも約0.5秒、少なくとも約1秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、少なくとも約10分、少なくとも約30分、または少なくとも約1時間であってもよい。これらの場合または他の場合、曝露時間は、約24時間以下、約1時間以下、約30分以下、約10分以下、約1分以下、約30秒以下、または約10秒以下であってもよい。
【0118】
洗浄動作により、コーティングされたチャンバ構成要素の表面上に若干のフッ素が残る場合がある。このフッ素は、実施例1に関連して説明したように、修復プラズマを使用して除去することができ、または例えば、H2プラズマなどの還元プラズマを使用して除去することができる。H2プラズマを使用する場合、コーティングされたチャンバ構成要素上の残留フッ素をHFの形態で除去/抽出することができ、この形態で反応チャンバから排出することができる。実施例4に関連して説明された洗浄技術は、半導体ウエハ上の粒子形成を有利に低減することができる。洗浄動作は、必要に応じて断続的または定期的に行うことができる。
【0119】
(実施例5:完全なチャンバ洗浄およびこれに続く修復プラズマ)
この例は、実施例1と4の両方を使用する特定の実施形態である。反応チャンバまたはチャンバ構成要素を実施例4で説明したように湿式または乾式化学物質で洗浄した後、反応チャンバを実施例1に関連して説明したように修復プラズマに曝露する。この技術を使用して、コーティングされたチャンバ構成要素の表面が本質的に「新品同様」となるように、コーティングされたチャンバ構成要素をほぼ初期の状態に修復することができる(例えば、最初にエクスサイチュでコーティングされ、半導体ウエハの処理に使用される反応チャンバ内に設置された後のコーティングされたチャンバ構成要素と同じまたは非常に類似した性質を有する)。実施例1および4に関連して提供された詳細は、実施例5にも適用され得る。
【0120】
(実施例6:実施例1~5の任意の他の組み合わせ)
実施例1から5は、特定の用途について要望に応じて組み合わせることができる。同様に、これらの例は、本明細書で説明される他の技術と組み合わせることができる。そのような他の技術には、コーティングされたチャンバ構成要素の表面組成変化を温度制御によって遅延させる技術(以下でさらに説明する)が含まれるが、これに限定されない。これらの技術を共に使用することで、優れた結果および均一性を提供することができる。
【0121】
(コーティングされた構成要素の表面組成変化の遅延)
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるようにコーティングされたチャンバ構成要素の表面組成変化を遅延させるために、ある特定のステップを行ってもよい。このようなステップは、コーティングされたチャンバ構成要素および/または反応チャンバを高温(例えば、標準の室温を超え、場合によっては半導体ウエハの処理時に使用される温度を超える)に加熱することを含み得る。
【0122】
そのような高温は、多くの用途で約40~100℃とすることができる。一部の特定の用途では、高温は、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、または少なくとも約90℃であってもよい。これらの用途または他の用途では、高温は、約120℃以下、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、または約60℃以下であってもよい。理想的な温度は、考慮される特定の用途(例えば、コーティングされたチャンバ構成要素のコーティングの組成、反応チャンバで使用される反応剤/副産物の組成、様々なチャンバ構成要素の加熱特性など)に依存し得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、コーティングされたチャンバ構成要素および/または反応チャンバは、反応チャンバが半導体ウエハの処理に使用されるとき、断続的または定期的に高温状態にされてもよい。例えば、コーティングされたチャンバ構成要素および/または反応チャンバは、次の半導体ウエハの処理までの間に(例えば、各半導体ウエハが処理された後、またはある特定の数の半導体ウエハが処理された後)、高温状態にされ得る。高温状態のとき、半導体ウエハは反応チャンバ内に存在してもよいし、存在していなくてもよい。別の例では、コーティングされたチャンバ構成要素および/または反応チャンバは、半導体ウエハの処理中に、1つまたは複数の処理ステップにおいて高温状態にされ得る。いくつかの他の実施形態では、反応チャンバの使用中に、構成要素の温度が最低閾値を下回らないようにしながら連続的に(例えば、半導体ウエハを処理している間、および次の半導体ウエハを処理するまでの間)高温状態としてもよい。
【0124】
断続的または定期的に高温状態とされる場合、高温状態の時間は、約30分~3時間、場合によっては約30~60分、または約2~3時間であり得る。
【0125】
図12A図12Hに関連して以下でさらに説明される実験結果が示しているように、本明細書で説明されるようにシャワーヘッドを加熱すると、追加の半導体ウエハが処理されるときにバッチの過程で観察される性質のドリフトが大幅に減少する。
【0126】
(装置)
本明細書で説明される方法は、任意の適切な装置によって実施され得る。適切な装置は、プロセス動作を実現するためのハードウェアと、本実施形態に従ってプロセス動作を制御するための命令を有するシステムコントローラとを含む。例えば、いくつかの実施形態では、ハードウェアは、プロセスツールに含まれる1つまたは複数のプロセスステーションを含み得る。
【0127】
本明細書の様々な実施形態は、反応チャンバ内に設置するためのチャンバ構成要素を準備するための方法に関する。第1の反応チャンバは、保護コーティングをチャンバ構成要素上に堆積することによってチャンバ構成要素を準備するために使用される。次に、チャンバ構成要素は、第1の反応チャンバから取り出され、第2の反応チャンバ内に設置される。第2の反応チャンバは半導体ウエハの処理に使用されるものなので、チャンバ構成要素は第2の反応チャンバ内で意図された目的を果たす。第1の反応チャンバは、(1)原子層堆積を実施するように構成され、(2)コーティングされるチャンバ構成要素に適した十分な大きさのチャンバを有する任意の反応チャンバであり得る。第2の反応チャンバは、半導体ウエハの処理に使用される任意の反応チャンバであり得る。多くの場合、第2の反応チャンバは、原子層堆積および/または化学気相堆積に使用される反応チャンバである。
【0128】
図7は、本明細書で説明されるように、保護コーティングをチャンバ構成要素上に堆積するために使用され得るプロセスステーション700の一実施形態を概略的に示す。図7のプロセスステーション700は、(例えば、原子層堆積および/または化学気相堆積によって)半導体基板上に膜を堆積するためにも使用でき、内部の構成要素のいずれかが本明細書で説明される技術を使用してコーティングされていてもよいことが理解される。簡略化のため、プロセスステーション700は、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ本体702を有する独立型プロセスステーションとして図示されている。しかし、複数のプロセスステーション700が共通のプロセスツール環境に含まれていてもよいことが認識されるであろう。さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション700の1つまたは複数のハードウェアパラメータ(以下で詳細に説明されるものを含む)を、1つまたは複数のコンピュータコントローラによってプログラム的に調整できることが認識されるであろう。
【0129】
プロセスステーション700は、プロセスガスを分配シャワーヘッド706に供給するための反応剤供給システム701と流体的に連通している。反応剤供給システム701は、シャワーヘッド706に供給するプロセスガスをブレンドおよび/または調整するための混合容器704を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁720は、混合容器704へのプロセスガスの導入を制御することができる。同様に、シャワーヘッド入口弁705は、シャワーヘッド706へのプロセスガスの導入を制御することができる。
【0130】
BTBASなどのいくつかの反応剤は、プロセスステーションで気化されてプロセスステーションに供給される前は、液体の形で保存することができる。例えば、図7の実施形態は、混合容器704に供給される液体反応剤を気化させるための気化ポイント703を含む。気化ポイント703は、反応剤が全てガスである場合、省略されてもよい。いくつかの実施形態では、気化ポイント703は、加熱気化器であってもよい。そのような気化器から生成された反応剤蒸気は、下流の供給配管内で凝縮し得る。凝縮した反応剤に不適合ガスが曝露されると、小粒子が形成されることがある。これらの小粒子は、配管を詰まらせ、弁の動作を妨げ、基板を汚染するなどの恐れがある。これらの問題に対処するためのいくつかのアプローチは、残留反応剤を除去するために供給配管を掃引および/または排気することを伴う。しかし、供給配管を掃引すると、プロセスステーションのサイクル時間が増加し、プロセスステーションのスループットが低下する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、気化ポイント703の下流の供給配管をヒートトレースしてもよい。いくつかの例では、混合容器704もヒートトレースしてよい。1つの非限定的な例では、気化ポイント703の下流の配管は、混合容器704でおよそ100℃~およそ150℃に及ぶ昇温プロファイルを有する。
【0131】
いくつかの実施形態では、液体反応剤は、液体注入器で気化されてもよい。例えば、液体注入器は、液体反応剤のパルスを混合容器の上流のキャリアガス流に注入することができる。1つのシナリオでは、液体注入器は、液体を高圧から低圧にフラッシュすることによって反応剤を気化させることができる。別のシナリオでは、液体注入器は、液体を分散微小液滴に霧化し、続いて加熱された供給パイプ内でその微小液滴を気化させてもよい。小さな液滴は大きな液滴よりも速く気化することができ、液体注入と完全気化との間の遅延を減少させることが認識されるであろう。気化が速いほど、気化ポイント703から下流の配管の長さを短くすることができる。1つのシナリオでは、液体注入器は、混合容器704に直接取り付けられてもよい。別のシナリオでは、液体注入器は、シャワーヘッド706に直接取り付けられてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、気化されてプロセスステーション700に供給される液体の質量流量を制御するために、液体流コントローラを気化ポイント703の上流に設けることができる。例えば、液体流コントローラ(LFC)は、LFCの下流に位置する熱質量流量計(MFM)を含み得る。次に、LFCのプランジャ弁は、MFMと電気的に通信する比例積分微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号に応答して調整され得る。しかし、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定化するには1秒以上かかる場合がある。これは、液体反応剤の投与時間を延長する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてもよい。いくつかの実施形態では、LFCの感知管およびPIDコントローラを無効にすることによって、LFCをフィードバック制御モードから直接制御モードに動的に切り替えることができる。
【0133】
シャワーヘッド706は、プロセスガスを基板712に向けて分配する。図7に示す実施形態では、基板712は、シャワーヘッド706の下に位置し、台座708上のリフトピン730の上に載置された状態で示されている。基板712は、コーティングされている最中のチャンバ構成要素である。例えば、基板712は、図2A図2B図2D図2G図3A図3B、または図4に示すシャワーヘッドのいずれであってもよい。基板712はまた、リフトピン、リフトピンホルダ、基板支持台座、反応剤供給ライン、または保護コーティングでコーティングされる他の任意のチャンバ構成要素であってもよい。図7は、反応チャンバ内に1つの基板712のみを示しているが、ある特定の実施形態では、1つの反応チャンバ内で複数の基板が同時にコーティングされてもよいことが理解される。チャンバ構成要素の全ての関連表面が確実にコーティングされるようにするため、台座708、リフトピン730、および関連する器具を、堆積中に特定のチャンバ構成要素を支持するよう望み通りに修正することができる。場合によっては、台座708は、チャンバ構成要素の頂部面および底部面が実質的に曝露されるように、チャンバ構成要素の周縁を支持してもよい。
【0134】
シャワーヘッド706は、任意の適切な形状を有することができ、プロセスガスを基板712に分配するための任意の適切な数および配置のポートを有することができることが認識されるであろう。本明細書に示されるシャワーヘッドのいずれかを、ある特定の場合に使用してもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、微小体積707がシャワーヘッド706の下に位置する。プロセスステーションの体積全体ではなく、微小体積でALDおよび/またはCVDプロセスを実施することにより、反応剤への曝露および掃引時間を短縮したり、プロセス条件(例えば、圧力、温度など)を変更する時間を短縮したり、プロセスステーションロボットのプロセスガスへの曝露を制限したりすることなどが可能である。例示的な微小体積サイズは、0.1リットル~2リットルの体積を含むが、これに限定されない。比較的大きなチャンバ構成要素を収容するには、より大きな微小体積が必要になる場合がある。この微小体積も、生産性スループットに影響する。サイクルあたりの堆積速度が低下する一方で、サイクル時間も同時に減少する。ある特定の場合では、後者の効果は、膜の所与の目標厚さに対するモジュールの全体的なスループットを改善するのに十分なほど目覚ましい。
【0136】
いくつかの実施形態では、台座708は、基板712を微小体積707に曝露するために、および/または微小体積707の体積を変化させるために、上昇または下降させることができる。例えば、基板搬送段階では、台座708を下降させ、基板712を台座708上に載置できるようにすることが可能である。堆積プロセス段階では、台座708を上昇させ、基板712を微小体積707内に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、微小体積707は、基板712と台座708の一部とを完全に取り囲み、堆積プロセス中に高フローインピーダンスの領域を形成することができる。
【0137】
任意選択で、台座708は、堆積プロセスの一部の間に下降および/または上昇させ、微小体積707内のプロセス圧力、反応剤濃度などを調整することができる。堆積プロセス中にプロセスチャンバ本体702がベース圧力を維持する1つのシナリオでは、台座708を下降させることにより、微小体積707を排気することができる。微小体積とプロセスチャンバ体積の例示的な比率は、1:700~1:10の体積比を含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、台座の高さは、適切なコンピュータコントローラによってプログラム的に調整することができることが認識されるであろう。
【0138】
別のシナリオでは、台座708の高さを調整することにより、堆積プロセスに含まれるプラズマ活性化サイクルおよび/またはプラズマ処理サイクル中にプラズマ密度を変化させることが可能になり得る。堆積プロセス段階の終わりに、別の基板の搬送段階中に台座708を下降させ、台座708から基板712を取り出し可能にすることができる。
【0139】
本明細書で説明される例示的な微小体積の変更として、高さ調整可能な台座に言及しているが、いくつかの実施形態では、シャワーヘッド706の位置を台座708に対して調整し、微小体積707の体積を変化させられることが認識されるであろう。さらに、台座708および/またはシャワーヘッド706の垂直位置を、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって変更してもよいことが認識されるであろう。いくつかの実施形態では、台座708は、基板712の向きを回転させるための回転軸を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調整の1つまたは複数が、1つまたは複数の適切なコンピュータコントローラによってプログラム的に実施され得ることが認識されるであろう。
【0140】
図7に示す実施形態に戻ると、シャワーヘッド706および台座708は、プラズマに電力を供給するためのRF電源714および整合ネットワーク716と電気的に通信してもよい。いくつかの実施形態では、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングの1つまたは複数を制御することによって、プラズマエネルギーを制御してもよい。例えば、RF電源714および整合ネットワーク716は、ラジカル種の所望の組成を有するプラズマを形成するために任意の適切な電力で動作されてもよい。適切な電力の例は、上記に含まれている。同様に、RF電源714は、任意の適切な周波数のRF電力を提供し得る。いくつかの実施形態では、RF電源714は、高周波RF電源および低周波RF電源を互いに独立制御するように構成され得る。例示的な低周波RF周波数は、50kHz~700kHzの周波数を含むことができるが、これに限定されない。例示的な高周波RF周波数は、1.8MHz~2.45GHzの周波数を含むことができるが、これに限定されない。表面反応のためのプラズマエネルギーを提供するために、任意の適切なパラメータが離散的または連続的に調整されてもよいことが認識されるであろう。1つの非限定的な例では、連続的に電力が供給されるプラズマと比較して基板表面とのイオン衝突を低減するために、プラズマ電力を断続的にパルス化してもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマモニタによって、プラズマをインサイチュで監視してもよい。1つのシナリオでは、1つまたは複数の電圧、電流センサ(例えば、VIプローブ)によって、プラズマ電力を監視してもよい。別のシナリオでは、1つまたは複数の発光分光センサ(OES)によって、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度を測定してもよい。いくつかの実施形態では、そのようなインサイチュのプラズマモニタからの測定値に基づいて、1つまたは複数のプラズマパラメータをプログラム的に調整することができる。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループで使用されてもよい。いくつかの実施形態では、プラズマおよび他のプロセス特性を監視するために他のモニタが使用されてもよいことが認識されるであろう。このようなモニタは、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力トランスデューサを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0142】
いくつかの実施形態では、プラズマは、入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を介して制御されてもよい。一例では、プラズマプロセス段階のプラズマ条件を設定するための命令を、堆積プロセスレシピの対応するプラズマ活性化レシピ段階に含めることができる。場合によっては、プロセスレシピ段階が順番に配置されてもよく、それにより堆積プロセス段階の全ての命令がそのプロセス段階と同時に実行される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータを設定するための命令は、プラズマプロセス段階に先行するレシピ段階に含まれ得る。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガスの流量を設定するための命令、プラズマ発生器を電力設定点に設定するための命令、ならびに第1のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。続く第2のレシピ段階は、プラズマ発生器を有効にするための命令、および第2のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を無効にするための命令、および第3のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で、任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復されてもよいことが認識されるであろう。
【0143】
いくつかの堆積プロセスでは、プラズマストライクは、数秒以上のオーダーの時間で持続する。ある特定の実施態様では、はるかに短いプラズマストライクを使用することができる。これらは、約10ミリ秒~1秒、典型的には約20ミリ秒~80ミリ秒のオーダーとすることができ、具体的な例は50ミリ秒である。このような非常に短いRFプラズマストライクでは、プラズマの非常に迅速な安定化が必要である。これを実現するために、プラズマ発生器は、周波数の変動を許しながら、インピーダンス整合が特定の電圧に事前設定されるように設定されるように構成され得る。従来、高周波プラズマは、約13.56MHzのRF周波数で生成される。本明細書で開示される様々な実施形態において、周波数は、この標準値とは異なる値に変動することが許される。インピーダンス整合を所定の電圧に固定しながら周波数の変動を許すことによって、プラズマはより迅速に安定することができる。これは、いくつかのタイプの堆積サイクルに関連する非常に短いプラズマストライクを使用するときに重要になる可能性がある。
【0144】
RF電源714および整合ネットワーク716は、保護膜がプラズマ駆動反応ではなく熱駆動反応により形成される特定の場合には省略されてもよい。しかし、RF電源714および整合ネットワーク716は、チャンバ洗浄および/または膜処理のような堆積に関連しないプロセスに有用であり得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、台座708は、ヒータ710を介して温度制御されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、堆積プロセスステーション700の圧力制御は、バタフライ弁718によって行われてもよい。図7の実施形態に示すように、バタフライ弁718は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空を絞る。しかし、いくつかの実施形態では、プロセスステーション700の圧力制御は、プロセスステーション700に導入される1つまたは複数のガスの流量を変化させることによって調整することもできる。
【0146】
(システムコントローラ)
いくつかの実施態様では、コントローラはシステムの一部であり、そのようなシステムは上述した例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を備えることができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入と搬出、ならびに、特定のシステムに接続または連動する他の搬送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0147】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0148】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0149】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0150】
上述のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0151】
上述の様々なハードウェアおよび方法の実施形態は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光パネルなどの製作または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたはプロセスと併せて使用されてもよい。一般的には、必須ではないが、そのようなツール/プロセスは、共通の製作施設で共に使用または実施される。
【0152】
膜のリソグラフィパターニングは、一般的には、以下のステップのいくつかまたは全てを含み、各ステップが、使用可能な多くのツールを用いて可能にされる:(1)スピンオンツールまたはスプレーオンツールを使用して、ワークピース(例えば、窒化ケイ素膜が形成された基板)にフォトレジストを塗布するステップ、(2)ホットプレートまたは炉または他の適切な硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化するステップ、(3)ウエハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光にフォトレジストを露光するステップ、(4)ウェットベンチまたはスプレー現像剤などのツールを使用して、レジストを現像してレジストを選択的に除去し、それによってレジストをパターニングするステップ、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを使用することによって、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写するステップ、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去するステップ。いくつかの実施形態では、フォトレジストを塗布する前に、灰化可能なハードマスク層(アモルファスカーボン層など)および別の適切なハードマスク(反射防止層など)を堆積させてもよい。
【0153】
多数の変形が可能であるため、本明細書で説明される構成および/または手法は本質的に例示であり、これらの特定の実施形態または例は限定的な意味で考慮されるべきではないことを理解されたい。本明細書で説明される特定のルーチンまたは方法は、任意の数の処理戦略の1つまたは複数を表すことができる。したがって、説明されている様々な動作は、説明されているシーケンスで実施してもよく、他のシーケンスで実施してもよく、並行して実施してもよく、または場合によっては省略してもよい。同様に、上述のプロセスの順序は変更してもよい。特定の参考文献が、参照により本明細書に組み込まれている。そのような参考文献でなされた放棄または否認が、本明細書で説明される実施形態に必ずしも適用されないことが理解される。同様に、そのような参考文献において必要であると説明されている特徴は、本明細書の実施形態では省略されてもよい。
【0154】
本開示の主題は、本明細書で開示される様々なプロセス、システムおよび構成の新規かつ非自明な全ての組み合わせおよび部分的組み合わせ(コンビネーションおよびサブコンビネーション)、さらには他の特徴、機能、動作、および/または性質、ならびにそれらのあらゆる均等物を含む。
【0155】
(実験)
図8Aのグラフは、厚さ200Åの炭化ケイ素膜を20バッチの半導体ウエハ上に堆積する過程で起きたウエハ上の不均一性の変化を膜厚のパーセントとして示している。このグラフには、(1)本明細書で説明されるエクスサイチュの原子層堆積技術を使用して酸化アルミニウムでコーティングされたシャワーヘッドおよび基板支持台座を含んだ反応チャンバと、(2)コーティングされていないシャワーヘッドおよび支持台座を含んだ反応チャンバの両方の結果が含まれる。第1のバッチはウエハ上の不均一性の変化を計算するベースラインとして使用されるため、いずれの場合も、第1のバッチはウエハ上の不均一性の変化を0%で示す。
【0156】
各バッチは約50枚のウエハを含み、これらのウエハがバッチ内で連続して処理された。ウエハ上の不均一性は、各バッチで処理された最初のウエハについて測定された。この値を、残りの全てのバッチについてウエハ上の不均一性の変動を追跡するためのベースラインとして使用した。ウエハ上への膜堆積の副産物として、各バッチの過程で不要な材料がチャンバ内面上に蓄積した。バッチ内の全てのウエハが処理された後、ウエハの処理に使用された反応チャンバをフッ化窒素プラズマに曝露することによって洗浄サイクルを実施した。プラズマ中のフッ素ラジカルは、ウエハ上に膜を堆積する過程でチャンバ表面に蓄積した材料を除去するように作用し、それによって反応チャンバを洗浄した。
【0157】
図8Aのy軸は、ウエハ上の不均一性の変化(バッチ1と比較とした変化)を平均膜厚のパーセントとして表している。上述のように、このウエハ上の不均一性は、各バッチの最初のウエハについて測定された。このウエハ上の不均一性は、1バッチの過程で、および異なるバッチ間で安定していることが望ましい。図8Aを参照すると、ウエハ上の不均一性の変化は、異なるバッチ間の過程で、ほぼ0のままであることが望ましい。
【0158】
図8Aの下側の線は、シャワーヘッドおよび基板支持台座がコーティングされていない場合に対応する。経時的に、バッチ1と比較すると、平均膜厚のパーセントとして表されるウエハ上の不均一性に大幅な変化(例えば、約5%の減少)があった。この傾向は、シャワーヘッドおよび基板支持台座がコーティングされていないとき、ウエハ上の不均一性が非常に不安定であることを示している。この不安定性は望ましくない。理論または作用機構によって拘束されることを望むものではないが、この不安定性は、アルミニウム6061-T6製のシャワーヘッドがフッ化窒素洗浄プラズマに曝露されるたびに、そのシャワーヘッドの表面が(ある程度)フッ化アルミニウムに転化する結果として発生すると考えられる。この現象は、従来のシャワーヘッドを定期的に交換する必要がある理由の1つである。本明細書で説明されるようにエクスサイチュで保護コーティングによりコーティングされたシャワーヘッド(および、任意選択で、他のチャンバ構成要素)を使用すると、フッ化窒素洗浄プラズマ(およびアンモニアプラズマ)に対するシャワーヘッドの耐性が大幅に向上すると考えられており、これは、各シャワーヘッドをより長い時間使用することができ、より安定した処理結果が得られることを意味している。これにより、経時的に半導体製作コストを大幅に削減することができる。
【0159】
図8Aの上側の線は、シャワーヘッドおよび基板支持台座が本明細書で説明される技術を使用して酸化アルミニウムでコーティングされた場合に対応する。この場合、ウエハ上の不均一性は、バッチ間でかなり安定しており、第1のバッチと20番目のバッチとの間に変動はほとんどなかった。実際、20バッチ間で、ウエハ上の不均一性の変動は、試験された基板の平均膜厚の約0.05%に過ぎなかった。この安定性は大幅な改善を表しており、保護コーティングがプラズマの曝露による劣化からチャンバ構成要素を適切に保護していることを示している。20バッチの終わりには、チャンバ構成要素がコーティングされている場合よりもチャンバ構成要素がコーティングされていない場合の方が、ウエハ上の不均一性の変動がおよそ20倍高かった。
【0160】
図8Bのグラフは、20の異なるバッチについて、各バッチ内のウエハ上の不均一性の変化を平均膜厚のパーセントとして示している。バッチごとに、バッチ内の最後のウエハのウエハ上の不均一性からバッチ内の最初のウエハのウエハ上の不均一性を引いて、ウエハ上の不均一性のバッチ内変化を計算する。図8Bでは、この値を平均膜厚のパーセントとして報告している。言い換えれば、図8Bのy軸は、全部で20のバッチについて、それぞれ個々のバッチの過程でウエハ上の不均一性にどれだけの傾向があったかを示している。この値は、低い値であって、かつ経時的に安定していることが望ましい。このグラフには、(1)本明細書で説明されるエクスサイチュの原子層堆積プロセスを使用して酸化アルミニウムでコーティングされたシャワーヘッドおよび基板支持台座を含んだ反応チャンバと、(2)コーティングされていないシャワーヘッドおよび基板支持台座を含んだ反応チャンバの両方の結果が含まれる。コーティングされていないシャワーヘッドおよび台座を有する反応チャンバの場合、バッチ内のウエハ上の不均一性は、20バッチの間に増加した。図8Aの結果と同様に、この不安定性は望ましくない。対照的に、コーティングされたシャワーヘッドおよび台座を有する反応チャンバは、バッチ内のウエハ上の不均一性がバッチ間でより安定していることを示した。さらに、ウエハ上の不均一性のバッチ内変化は、チャンバ構成要素がコーティングされている場合の方がコーティングされていない場合と比較して一般的に低く、コーティングされたチャンバ構成要素が使用されている各バッチ内でのウエハ上の不均一性の傾向がそれほど広くないことを示している。図8Aおよび図8Bの結果は、コーティングされたチャンバ構成要素が再現性および均一な処理結果の点で大幅な改善を提供することを示している。
【0161】
追加の実験結果は、本明細書で説明されるエクスサイチュで堆積された保護コーティングが、フッ素含有プラズマ(NF3プラズマなど)および還元プラズマ(アンモニアプラズマなど)に対して非常に耐性があることを示している。例えば、熱駆動原子層堆積によりエクスサイチュで堆積された酸化アルミニウムの500nm厚の保護コーティングを有するシャワーヘッドは、そのシャワーヘッドを設置した反応チャンバが膜を約5,000枚の半導体基板上に堆積するために使用されたことに伴い、NH3プラズマまたはアンモニアプラズマに繰り返し曝露された。NH3プラズマに繰り返し曝露された後でも、窒素はシャワーヘッドのおよそ30nmの深さまでしか浸透することができず、窒素原子の最大濃度は約5%であった。同様に、NF3プラズマに繰り返し曝露された後、フッ素はシャワーヘッドのコーティング内でおよそ40nmの深さまでしか浸透することができず、フッ素原子の最大濃度は約10%であった。
【0162】
まとめると、これらの結果は、本明細書で説明されるエクスサイチュのALDコーティング技術を使用して、高品質の保護コーティングをチャンバ構成要素上に形成することができ、保護コーティングがフッ化窒素プラズマおよびアンモニアプラズマに対する大きな耐性を提供することを示している。これらのプラズマは反応チャンバの洗浄に一般的に使用されるため、洗浄サイクルが繰り返される中でこれらのプラズマへの曝露に耐えることが、保護コーティングにとって重要である。この耐性により、コーティングされたチャンバ構成要素が反応チャンバ内に設置された後、コーティングされたチャンバ構成要素が、コーティングされていない場合に発生するであろう汚染を防ぐように、または最小限に抑えるように動作することで、長い有効寿命を確保することができる。
【0163】
図9は、不要な粒子の生成を最小限に抑えるための酸化アルミニウム保護コーティングの有効性を示すグラフである。酸化アルミニウムの保護コーティングを原子層堆積によりエクスサイチュでシャワーヘッド上に堆積した。このシャワーヘッドを、半導体基板の処理に使用される反応チャンバ内に設置し、10,000ウエハ相当のサイクルに供した。言い換えると、チャンバに入るガスによって、10,000枚のウエハ上にCVD膜を堆積した。ある特定のウエハを分析し、ウエハ表面で観察された粒子の数を評価した。図9に示すように、半導体ウエハに関するこの分析は、約2000ウエハ相当のサイクル後、約7000ウエハ相当のサイクル後、約9000ウエハ相当のサイクル後、約10,000ウエハ相当のサイクル後、および13,000ウエハ相当のサイクル後に行われた。このシャワーヘッドを用いた10,000ウエハ相当のサイクルまでは、各半導体ウエハ上で5つ以下の粒子アダー(>0.045μm)が観察された。
【0164】
追加の実験結果は、酸化アルミニウム保護コーティングを、様々な表面形状および表面欠陥の上に高度に共形的に形成できることを示している。
【0165】
図10Aおよび図10Bは、修復プラズマを使用して、反応チャンバ(および内部のコーティングされた構成要素)を非常に迅速に所望の状態に修復できることを示す実験結果を提供する。図10Aは、(1)高充填パラメータ状態にある反応チャンバおよび(2)低充填パラメータ状態にある反応チャンバの場合の充填パラメータを示す。充填パラメータは、反応チャンバ内で処理された半導体ウエハの充填性能を反映する。
【0166】
一般に、追加の半導体ウエハを反応チャンバ内で処理するとき、充填パラメータは経時的に均一であることが望ましい。反応チャンバ内のそのような均一性は、半導体ウエハの処理結果のより高い均一性につながる。この特定の例に望まれる充填パラメータは、2本の水平な点線の間に示されている。他の用途では、所望の充填パラメータがこれらの値を外れる可能性もある。図10Aおよび図10Bの例では、高充填パラメータ状態下で反応チャンバを動作させることが望ましい(例えば、図10Aの左側に示す高充填パラメータ状態は、2本の水平な点線内にある充填パラメータを示す)。
【0167】
しかし、様々な処理動作は、反応チャンバ内の条件を変更し、反応チャンバを高充填パラメータ状態から低充填パラメータ状態に変化させる可能性がある。図10Aおよび図10Bの例では、低充填パラメータ状態は、所望の範囲よりもはるかに低い充填パラメータを示す。充填パラメータを低下させる可能性のある動作には、ポンプの問題、削減の問題、チャンバ発生器の問題、チャンバの不適切な停止などの事象を含み得るが、これらに限定されない。さらに、コーティングされたチャンバ構成要素上のコーティングの性質に影響を及ぼす事象(例えば、酸化物コーティングのフッ化または窒化を引き起こすなど)は、充填パラメータに大きく影響を及ぼす可能性がある。加えて、反応チャンバを動作させるプロセスまたはアイドリングするプロセスでさえ、反応チャンバの状態を変化させる場合がある。したがって、反応チャンバは、内部の1つまたは複数の半導体ウエハを処理する過程で、またはアイドル期間の過程で高充填パラメータ状態から低充填パラメータ状態に変化/ドリフトすることがある。様々な場合において、反応チャンバは、チャンバ内で半導体ウエハのバッチを処理するための連続動作の後で、高充填パラメータ状態から低充填パラメータ状態に変化することがある。
【0168】
ウエハは、バッチの過程で異なる時間に連続して処理されるが、場合によっては、例えば、異なるステーションで複数のウエハを同時に処理するように装置を構成してもよい。ウエハの各バッチは、完全なチャンバ洗浄動作(典型的には、例えば、チャンバ表面に蓄積した副産物の実質的な除去を伴う)の後、次の完全なチャンバ洗浄動作までの間に特定の反応チャンバ内で処理される全てのウエハを含んでいる。場合によっては、バッチは、数十枚の半導体ウエハを含む場合がある。他の場合では、バッチはこれよりはるかに大きく、例えば、数百枚の半導体ウエハを含む。
【0169】
経時的に均一なチャンバ状態(例えば、充填パラメータが経時的に均一である状態)で反応チャンバを動作させることが望ましいため、かつ通常の処理動作は充填パラメータを減少させる傾向があり得るため、反応チャンバの充填パラメータを増加させることが望ましい時がある。充填パラメータを増加させることによりチャンバを高充填パラメータ状態に修復し、半導体ウエハを以前の処理と同じ条件で処理することができるようになる。
【0170】
反応チャンバを低充填パラメータ状態から高充填パラメータ状態に変化させるために使用され得る1つの方法は、長時間(例えば、数時間、典型的には10時間よりも長い)待機することである。(例えば、コーティングされたチャンバ構成要素が窒素含有プラズマに曝露されたために)コーティングされたチャンバ構成要素に窒素が付着した結果として処理の過程で充填パラメータが減少した場合、コーティングされたチャンバ構成要素から窒素ラジカルが脱離するため、長時間の待機時間のうちに充填パラメータがゆっくりと増加することがある。コーティングされたチャンバ構成要素上に存在する他の不要な材料についても、同様の脱離が発生することがある。しかし、この待機技術では、反応チャンバの回復および高充填パラメータ状態の再確立が常に成功するとは限らない。以前は、待機が成功しなかった場合、典型的には、コーティングされたチャンバ構成要素を廃棄し、コーティングされたチャンバ構成要素を新たに反応チャンバに設けていた。このような交換は、交換部品自体のコストの観点と、必要に応じた待機および部品交換に伴うダウンタイム/生産性の損失の観点の両方から、経時的にコストがかかる可能性がある。
【0171】
反応チャンバを高充填パラメータ状態に修復するための別の技術は、上述のように、反応チャンバを修復プラズマに曝露することである。修復プラズマは、コーティングされたチャンバ構成要素から窒素(または他の不要な材料)が脱離するまで数時間待機する必要がなく、チャンバを低充填パラメータ状態から高充填パラメータ状態に迅速に修復する。これにより、反応チャンバを半導体基板の処理に利用できない時間が大幅に短縮されて、スループットが向上し、価値が最大化される。
【0172】
図10Bは、修復プラズマの適用前と、修復プラズマの適用後の両方における反応チャンバの充填パラメータを示す。反応チャンバが修復プラズマに曝露される前は、低充填パラメータ状態にあった。次に、反応チャンバを、約20分間、O2とArの混合物から生成された修復プラズマに曝露した。修復プラズマに曝露された後、充填パラメータは大幅に増加し、反応チャンバを高充填パラメータ状態に戻した。これらの結果は、修復プラズマを使用して反応チャンバを所望の状態に迅速に回復させ、それによって非常に均一なウエハ上の結果を達成できることを示している。
【0173】
図11Aおよび図11Bは、反応チャンバが経時的に数百枚の半導体ウエハの処理に使用されるときの反応チャンバの充填パラメータを示している。これらの例では、シャワーヘッドは、本明細書で説明されるように、原子層堆積によりエクスサイチュで堆積された酸化アルミニウムでコーティングされていた。図11Aでは、各半導体ウエハが内部で処理された後に約1秒間、N2/Arの混合物から生成されたプラズマに反応チャンバを曝露した。N2/Arプラズマは、ウエハレス調整(例えば、修復プラズマ)動作として供給された。これは、プラズマ曝露中に反応チャンバ内に半導体ウエハが存在しなかったことを意味する。図11Bでは、反応チャンバが、約1分間のO2/Arプラズマへの曝露と、それに続く約1秒間のN2/Arプラズマへの曝露を伴う段階的ウエハレス調整(例えば、段階的修復プラズマ)プロセスに曝露された。図11Aの場合、充填パラメータは、およそ0.009/ウエハ(500枚のウエハ処理後におよそ4.5ユニット)だけ下方にドリフトした。対照的に、O2プラズマとN2プラズマの両方を用いた段階的ウエハレス調整(例えば、段階的修復プラズマ)を使用した場合、充填パラメータの下方へのドリフトは、はるかに少ない量であり、わずか約0.0007/ウエハ(700枚のウエハ処理後におよそ0.49ユニット)であった。これは、大幅な改善を表している。具体的には、O2プラズマとN2プラズマの両方を用いた段階的調整を使用したとき、ウエハあたりの充填パラメータのドリフトが1桁減少した。
【0174】
図12Aは、シャワーヘッドが処理中に約25℃の温度に冷却される化学気相堆積チャンバ内において追加の半導体ウエハが経時的に処理されるときの、堆積パラメータとウエハ番号との関係を示している。図10A図10B図11A、および図11Bに関連して説明された充填パラメータと同様に、図12A図12Hの堆積パラメータは、反応チャンバ内で処理された半導体ウエハ上の充填性能を反映する。充填パラメータが一定であることが望ましいのと同じ理由で、堆積パラメータは経時的に一定であることが望ましい。
【0175】
この場合、堆積パラメータは、60枚の半導体ウエハを処理する過程で実質的に減少する傾向にあった。この傾向は望ましくない。図12B図12Hは、シャワーヘッドが処理中に約70℃の温度に加熱された化学気相堆積反応チャンバ内において追加のウエハが経時的に処理されるときの、堆積パラメータとウエハ数との関係を示している。図12Bはウエハ番号1~20を示し、図12Cはウエハ番号100~120を示し、図12Dはウエハ番号200~220を示し、図12Eはウエハ番号215~235を示し、図12Fはウエハ番号320~335を示し、図12Gはウエハ番号420~435を示し、図12Hはウエハ番号520~545を示す。図12Aから図12Hの各々において、シャワーヘッドは、本明細書で説明されるように、原子層堆積によりエクスサイチュで堆積された酸化アルミニウムでコーティングされていた。
【0176】
図12B図12Hに示すように、加熱されたシャワーヘッドを使用することにより、堆積パラメータの均一性が実質的に増加する。各グラフのx軸はウエハ番号を表しており、最初に処理されたウエハほどウエハ番号が小さく、後で処理されたウエハほどウエハ番号が大きい。各グラフのy軸は堆積パラメータを表す。これらのグラフのデータ点は平坦/水平であることが望ましい。データ点が平坦/水平であることは、異なるウエハ間の経時的な均一性を示す。一般に、コーティングされたシャワーヘッドが少なくとも約70℃の温度に維持されたときに、最高品質の処理結果が観察された。場合によっては、処理中にシャワーヘッドを約70~200℃の温度に加熱してもよい。他の場合では、シャワーヘッドを約40~200℃の温度に加熱してもよい。
【0177】
図12B図12Hには、注目すべきいくつかの事象が存在する。図12Eでは、2枚のウエハの間に(例えば、垂直の点線によって大まかに示されるように、ウエハ番号220と221との間に)12時間のアイドル時間が設けられた。12時間のアイドル後、最初に処理されたウエハは、以前の堆積パラメータよりも著しく高い堆積パラメータを示した。この後、堆積パラメータは減少し、最終的には安定した値に戻った。アイドル期間の直後の堆積パラメータの増加は望ましくない。図12Hでは、垂直の点線によって示されるように、第2のアイドル期間が用いられた。この場合、アイドル時間は約36時間と長くなった。アイドリング後、次のウエハを処理する前に、反応チャンバをO2およびArから生成された修復プラズマに曝露した。この修復プラズマにより、図12Eにおいて12時間のアイドル後に観察された堆積パラメータの増加を排除する。堆積パラメータは、アイドリング後に急上昇することなく、アイドリング前の状態と比較して均一なレベルを維持する。長いアイドル期間の後でもこのレベルの均一性があることは、非常に望ましい。
【0178】
上記の説明では、提示された実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全てがなくても実施することができる。他の例では、開示された実施形態を不必要に不明瞭にしないように、周知のプロセス動作は詳細には説明されていない。開示された実施形態は具体的な実施形態と併せて説明されるが、開示された実施形態を限定することを意図するものではないことが理解されよう。特定のパラメータについて別段の定義がない限り、本明細書で使用される「約」および「およそ」という用語は、関連する値に対して±10%を意味することを意図している。本開示は以下の適用例を含む。
[適用例1]
第2の反応チャンバで使用するためのチャンバ構成要素をコーティングする方法であって、
(a)前記チャンバ構成要素を第1の反応チャンバ内に基板として受け入れることと、
(b)第1の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1の反応剤を前記チャンバ構成要素の表面に吸着させることと、
(c)第2の反応剤を前記第1の反応チャンバに供給し、前記第1および第2の反応剤を原子層堆積反応で互いに反応させて、前記チャンバ構成要素の前記表面に保護コーティングを形成することと、
(d)前記保護コーティングが最終的な厚さに達するまで(b)および(c)を繰り返すことと、
(e)前記第1の反応チャンバから前記チャンバ構成要素を取り出すことと
を含む、方法。
[適用例2]
適用例1に記載の方法であって、
前記保護コーティングは、金属酸化物、金属窒化物、または金属フッ化物を含む、方法。
[適用例3]
適用例2に記載の方法であって、
前記金属酸化物、金属窒化物、または金属フッ化物中の前記金属は、遷移金属である、方法。
[適用例4]
適用例2に記載の方法であって、
前記保護コーティングは、酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、または窒化アルミニウムを含む、方法。
[適用例5]
適用例2に記載の方法であって、
前記保護コーティングは、酸化イットリウムまたはフッ化イットリウムを含む、方法。
[適用例6]
適用例1~5のいずれか一項に記載の方法であって、
(e)の後に前記チャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置することをさらに含む、方法。
[適用例7]
適用例6に記載の方法であって、
前記チャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置した後に前記第2の反応チャンバ内で半導体ウエハ上に膜を堆積することをさらに含み、前記膜は、原子層堆積または化学気相堆積により堆積される、方法。
[適用例8]
適用例7に記載の方法であって、
前記半導体ウエハ上に前記膜を堆積する間、前記第2の反応チャンバ内を約40~200℃の高温状態にすることをさらに含む、方法。
[適用例9]
適用例7または8に記載の方法であって、
前記チャンバ構成要素が前記第2の反応チャンバ内に設置されている状態で前記第2の反応チャンバを修復プラズマに曝露することをさらに含んでおり、
(a)前記保護コーティングが金属酸化物を含み、かつ、前記修復プラズマが酸化プラズマを含んでいるか、または、
(b)前記保護コーティングが金属窒化物を含み、かつ、前記修復プラズマが窒素を含んでいるか、または、
(c)前記保護コーティングが金属フッ化物を含み、かつ、前記修復プラズマがフッ素を含んでいるか、
のいずれかである、方法。
[適用例10]
適用例9に記載の方法であって、
前記修復プラズマは、前記保護コーティング中の金属と同じ金属をさらに含む、方法。
[適用例11]
適用例7~10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2の反応チャンバ内で前記半導体ウエハ上に前記膜を堆積した後、前記第2の反応チャンバから前記半導体ウエハを取り出すことと、酸素を含む第1のプラズマに前記第2の反応チャンバを曝露し、次に窒素を含む第2のプラズマに前記第2の反応チャンバを曝露することとを含む、方法。
[適用例12]
適用例7~10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2の反応チャンバをフッ素含有プラズマに曝露することによって前記第2の反応チャンバを洗浄し、次に前記第2の反応チャンバを還元プラズマに曝露することによって前記第2の反応チャンバからフッ素を除去することをさらに含む、方法。
[適用例13]
適用例1~12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記保護コーティングは、前記チャンバ構成要素をプラズマに曝露することなく形成される、方法。
[適用例14]
適用例1~13のいずれか一項に記載の方法であって、
前記チャンバ構成要素を含む複数のチャンバ構成要素が前記反応チャンバに同時に供給され、それにより前記保護コーティングが前記複数のチャンバ構成要素上に同時に形成される、方法。
[適用例15]
適用例14に記載の方法であって、
前記複数のチャンバ構成要素はサイズおよび/または形状が均一ではなく、前記複数のチャンバ構成要素が第1のチャンバ構成要素および第2のチャンバ構成要素を含み、前記第1および第2のチャンバ構成要素が前記第2の反応チャンバ内に同時に存在するように前記第1および第2のチャンバ構成要素を前記第2の反応チャンバ内に設置することをさらに含む、方法。
[適用例16]
適用例1~15のいずれか一項に記載の方法であって、
前記保護コーティングの前記最終的な厚さは、約1nm~10mmである、方法。
[適用例17]
適用例1~16のいずれか一項に記載の方法であって、
(b)の前に前記チャンバ構成要素の一部をマスキングし、前記チャンバ構成要素の前記マスキングされた部分に前記保護コーティングが形成されるのを防ぐことをさらに含む、方法。
[適用例18]
適用例1~17のいずれか一項に記載の方法であって、
前記保護コーティングが望まれる前記チャンバ構成要素の1つまたは複数の表面が実質的に曝露されるように、前記チャンバ構成要素を前記第1の反応チャンバ内の基板支持体上に位置決めすることをさらに含み、前記第1の反応チャンバ内で前記チャンバ構成要素を第1の位置から第2の位置に再位置決めすることをさらに含み、前記保護コーティングは、前記第1の位置に配向されるときに前記チャンバ構成要素の第1のセットの表面の上に形成され、前記第2の位置に配向されるときに前記チャンバ構成要素の第2のセットの表面の上に形成される、方法。
[適用例19]
適用例1~18のいずれか一項に記載の方法であって、
前記チャンバ構成要素は、シャワーヘッドである、方法。
[適用例20]
適用例19に記載の方法であって、
前記シャワーヘッドは、前記シャワーヘッドの厚さを貫通する第1のセットの穴と、前記シャワーヘッド内の1つまたは複数の内部通路と接続する第2のセットの穴とを備え、前記保護コーティングは、前記第1のセットの穴、前記第2のセットの穴、および前記内部通路を共形的にコーティングする、方法。
[適用例21]
適用例1~18のいずれか一項に記載の方法であって、
前記チャンバ構成要素は、基板支持台座、リフトピン、リフトピンリテーナ、またはガスライン供給構成要素である、方法。
[適用例22]
特定の程度のプロセス不均一性を達成しながら半導体ウエハ上に膜を堆積するように反応チャンバを動作させる方法であって、
(a)バッチ内の各半導体ウエハ上に前記膜を堆積することであって、それぞれの膜が平均膜厚を有し、前記バッチは、次の洗浄サイクルまでの間に前記反応チャンバ内で処理される全ての半導体ウエハを含み、前記バッチ内の前記半導体ウエハの少なくとも一部は、連続して処理されることと、
(b)(a)を繰り返して、少なくとも9つの追加のバッチで各半導体ウエハ上に前記膜を堆積し、少なくとも合計10バッチに対して前記膜を堆積することと
を含み、
前記反応チャンバは、保護コーティングが形成された少なくとも1つのチャンバ構成要素を備え、前記保護コーティングは、前記反応チャンバの外で実施される原子層堆積反応により形成され、
前記少なくとも10バッチのうち最初のバッチと最後のバッチから半導体ウエハ上に堆積された膜を比較したとき、前記膜のウエハ上の不均一性が前記平均膜厚の約3%以下しか変化していない、
方法。
[適用例23]
適用例22に記載の方法であって、
前記バッチは、少なくとも約50枚の半導体ウエハを含む、方法。
[適用例24]
適用例22または23に記載の方法であって、
前記平均膜厚は、少なくとも約50Åの厚さである、方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図12H