IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本アンテナ株式会社の特許一覧 ▶ 日本放送協会の特許一覧

<>
  • 特許-周波数変換伝送システム 図1
  • 特許-周波数変換伝送システム 図2
  • 特許-周波数変換伝送システム 図3
  • 特許-周波数変換伝送システム 図4
  • 特許-周波数変換伝送システム 図5
  • 特許-周波数変換伝送システム 図6
  • 特許-周波数変換伝送システム 図7
  • 特許-周波数変換伝送システム 図8
  • 特許-周波数変換伝送システム 図9
  • 特許-周波数変換伝送システム 図10
  • 特許-周波数変換伝送システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】周波数変換伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/438 20110101AFI20230807BHJP
   H04B 1/18 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
H04N21/438
H04B1/18 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019164170
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021044643
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】100199820
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 博志
(72)【発明者】
【氏名】冨永 宏一
(72)【発明者】
【氏名】比留間 利通
(72)【発明者】
【氏名】神田 欣則
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 雄一
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 智拓
(72)【発明者】
【氏名】三浦 憲一郎
【審査官】醍醐 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-040291(JP,A)
【文献】特開2015-019253(JP,A)
【文献】特開2001-086477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04B 1/18-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星放送の中間周波数信号とされるIF受信信号であって、伝送路の伝送可能周波数帯域の上限を超える少なくとも1チャンネルの対象IF受信信号を、元の周波数より低い前記伝送可能周波数帯域内の周波数に周波数変換するダウンコンバータを少なくとも含み、該ダウンコンバータにより周波数変換された対象IF受信信号と他の放送信号とを伝送路に伝送する送信部と、該伝送路で伝送されてきた前記周波数変換された対象IF受信信号を元の対象IF受信信号の周波数に戻すアップコンバータを少なくとも含む受信部とを備える周波数変換伝送システムにおいて、
前記ダウンコンバータは、前記伝送可能周波数帯域の上限を超えるBS-IF左旋受信信号またはCS-IF左旋受信信号の内の1チャンネルの対象IF受信信号を、前記伝送可能周波数帯域内のBS-IF右旋受信信号とCS-IF右旋受信信号との間のガードバンド内にダウンコンバートし、前記アップコンバータは、ダウンコンバートされた対象IF受信信号を元の周波数の対象IF受信信号にアップコンバートすることを特徴とする周波数変換伝送システム。
【請求項2】
衛星放送の中間周波数信号とされるIF受信信号であって、伝送路の伝送可能周波数帯域の上限を超える少なくとも2チャンネルの対象IF受信信号を、元の周波数より低い前記伝送可能周波数帯域内の周波数に周波数変換するダウンコンバータを少なくとも含み、該ダウンコンバータにより周波数変換された対象IF受信信号と他の放送信号とを伝送路に伝送する送信部と、該伝送路で伝送されてきた前記周波数変換された対象IF受信信号を元の対象IF受信信号の周波数に戻すアップコンバータを少なくとも含む受信部とを備える周波数変換伝送システムにおいて、
前記ダウンコンバータは、前記伝送可能周波数帯域の上限を超えるBS-IF左旋受信信号またはCS-IF左旋受信信号の内の2チャンネルの対象IF受信信号を、前記伝送可能周波数帯域内のBS-IF右旋受信信号とCS-IF右旋受信信号との間のガードバンド内にダウンコンバートし、前記アップコンバータは、ダウンコンバートされた2チャンネルの対象IF受信信号を元の周波数の2チャンネルの対象IF受信信号にアップコンバートすることを特徴とする周波数変換伝送システム。
【請求項3】
前記ダウンコンバータは、ダウンコンバートされた前記対象IF受信信号の中心周波数が、前記ガードバンドの中心周波数とほぼ等しくなるようにダウンコンバートすることを特徴とする請求項1または2に記載の周波数変換伝送システム。
【請求項4】
前記送信部は、衛星放送の中間周波数信号とされるIF受信信号を、前記伝送可能周波数帯域内の第1IF受信信号と、該伝送可能周波数帯域を超える第2IF受信信号とに分波する第1分波器と、該第1分波器で分波された前記第1IF受信信号とUHF帯の地上放送信号とを混合する第1混合器と、該第1分波器で分波された第2IF受信信号の少なくとも1チャンネルの対象IF受信信号を周波数変換する前記ダウンコンバータと、前記第1混合器から出力される第1混合信号と、前記ダウンコンバータから出力される周波数変換された対象IF受信信号とを混合する第2混合器とを備え、前記第2混合器から出力される前記第1IF受信信号と前記UHF帯の地上放送信号と前記周波数変換された対象IF受信信号とが混合された第2混合信号が前記伝送路で伝送されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の周波数変換伝送システム。
【請求項5】
前記受信部は、前記伝送路で伝送されてきた前記第2混合信号を2分配する第1分配器と、該第1分配器で分配された一方の分配信号をUHF帯の地上放送信号と前記第1IF受信信号とに分波する第2分波器と、前記第1分配器で分配された他方の分配信号が供給され、前記周波数変換された対象IF受信信号を元の周波数の対象IF受信信号に周波数変換して前記第2IF受信信号とする前記アップコンバータと、前記第2分波器で分波された前記UHF帯の地上放送信号を出力するUHF出力端子と、前記アップコンバータから出力された前記第2IF受信信号と、前記第2分波器で分波された前記第1IF受信信号とを混合する第3混合器と、前記第3混合器から出力される前記IF受信信号を出力するBS・CS-IF出力端子とを備えることを特徴とする請求項4に記載の周波数変換伝送システム。
【請求項6】
前記ダウンコンバータは、前記第2IF受信信号を一時的に周波数変換して、一時的に周波数変換された前記第2IF受信信号の内から前記対象IF受信信号を弾性表面波フィルタにより抽出し、抽出された対象IF受信信号を前記伝送可能周波数帯域内のBS-IF右旋受信信号とCS-IF右旋受信信号との間のガードバンド内にダウンコンバートするよう周波数変換して出力することを特徴とする請求項4または5に記載の周波数変換伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の受信設備により高度広帯域衛星デジタル放送を伝送可能とする周波数変換伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本における衛星放送の歴史は、BSアナログ放送開始、BSデジタル放送開始、110°CS放送開始と続き、それに対するIF伝送周波数帯域も順次更新され、最高伝送周波数が1335MHz→1550MHz→2150MHz→2602MHzと拡張されてきた。
そして、2018年12月1日から高度広帯域衛星デジタル放送(ISDB-S3,4K8K放送,BS・CS左旋放送)の本放送が開始されている。高度広帯域衛星デジタル放送では、2224MHzないし3224MHzの周波数帯域とされるBS・CS左旋IF放送信号がさらに追加されることになる。このため、共同受信設備等の棟宅内TV信号受信設備において、高度広帯域衛星デジタル放送のBS・CS左旋IF放送信号を伝送するには、同軸ケーブル、増幅器、分岐器・分配器、受信者端子、直列ユニット等の受信設備の全てが2224MHz~3224MHzの伝送周波数帯域を伝送可能な機器に改修する必要がある。
【0003】
しかしながら、既設の受信設備は建設された時期により、最高伝送周波数がそれぞれ異なっており、高度広帯域衛星デジタル放送を受信するために、最高伝送周波数が3224MHzの機器へ全ての受信設備を変更するには、変更費用が高額となったり、設備によっては変更が不可能あるいは困難なことがあった。
【0004】
ところで、従来、地上のテレビ放送信号に比べて周波数が高いBS中間周波数信号(BS-IF信号)を、地上のテレビ放送信号を伝送するように設計された既存のCATVシステムでも伝送できるようにするCATVシステムが特許文献1に提案されている。このCATVシステムの伝送周波数配列を図11(a)(b)に示す。図11(a)に示すように既存のCATVシステムの伝送可能帯域は、90MHzないし770MHzとされ、この帯域に90~222MHzのVHF帯のテレビ放送信号と470~770MHzのUHF帯のテレビ放送信号とが含まれている。そして、BS-IF信号は1030~1337MHzの8チャンネルとされて、伝送可能帯域より高域となっている。そこで、1030~1337MHzの8チャンネルのBS-IF信号の内の4チャンネルを、テレビ放送信号の周波数帯まで落とすダウンコンバータをヘッドエンド側に設ける。具体的には、図11(b)に示すようにダウンコンバータによりBS-IF信号の1030~1107MHzの1,3チャンネルを伝送可能帯域内の330~407MHzにダウンコンバートすると共に、BS-IF信号の1260~1337MHzの13,15チャンネルを伝送可能帯域内の253~330MHzにダウンコンバートする。この場合、253~407MHzの帯域は伝送可能帯域における空き帯域とされている。
【0005】
ダウンコンバータでダウンコンバートされたBS-IF信号を含む伝送可能帯域の信号はヘッドエンド側から端末側に伝送される。端末側にはアップコンバータが設けられており、アップコンバータによりBS-IF信号の330~407MHzの1,3チャンネルが1030~1107MHzの元の周波数に戻されると共に、BS-IF信号の253~407MHzの13,15チャンネルが1260~1337MHzの元の周波数に戻されて、TV受像機等に供給される。これにより、既存のCATVシステムにおいて地上のテレビ放送信号に加えてBS-IF信号も伝送できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-86477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、既設の受信設備の伝送可能周波数帯域を超える高度広帯域衛星デジタル放送信号を、既設の受信設備を改修することなく伝送可能とする周波数変換伝送システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の周波数変換伝送システムは、衛星放送の中間周波数信号とされるIF受信信号であって、伝送路の伝送可能周波数帯域の上限を超える少なくとも1チャンネルの対象IF受信信号を、元の周波数より低い前記伝送可能周波数帯域内の周波数に周波数変換するダウンコンバータを少なくとも含み、該ダウンコンバータにより周波数変換された対象IF受信信号と他の放送信号とを伝送路に伝送する送信部と、該伝送路で伝送されてきた前記周波数変換された対象IF受信信号を元の対象IF受信信号の周波数に戻すアップコンバータを少なくとも含む受信部とを備える周波数変換伝送システムにおいて、前記ダウンコンバータは、前記伝送可能周波数帯域の上限を超えるBS-IF左旋受信信号の内の1チャンネルの対象IF受信信号を、前記伝送可能周波数帯域内のBS-IF右旋受信信号とCS-IF右旋受信信号との間のガードバンド内にダウンコンバートし、前記アップコンバータは、ダウンコンバートされた対象IF受信信号を元の周波数の対象IF受信信号にアップコンバートすることを最も主要な特徴としている。
【0009】
本発明の他の周波数変換伝送システムは、衛星放送の中間周波数信号とされるIF受信信号であって、伝送路の伝送可能周波数帯域の上限を超える少なくとも1チャンネルの対象IF受信信号を、元の周波数より低い前記伝送可能周波数帯域内の周波数に周波数変換するダウンコンバータを少なくとも含み、該ダウンコンバータにより周波数変換された対象IF受信信号と他の放送信号とを伝送路に伝送する送信部と、該伝送路で伝送されてきた前記周波数変換された対象IF受信信号を元の対象IF受信信号の周波数に戻すアップコンバータを少なくとも含む受信部とを備える周波数変換伝送システムにおいて、前記ダウンコンバータは、前記伝送可能周波数帯域の上限を超えるBS-IF左旋受信信号の内の2チャンネルの対象IF受信信号を、前記伝送可能周波数帯域内のBS-IF右旋受信信号とCS-IF右旋受信信号との間のガードバンド内にダウンコンバートし、前記アップコンバータは、ダウンコンバートされた2チャンネルの対象IF受信信号を元の周波数の2チャンネルの対象IF受信信号にアップコンバートすることを最も主要な特徴としている。
【0010】
また、上記本発明の周波数変換伝送システムにおいて、前記ダウンコンバータは、ダウンコンバートされた前記対象IF受信信号の中心周波数が、前記ガードバンドの中心周波数とほぼ等しくなるようにダウンコンバートしてもよい。
さらに、上記本発明の周波数変換伝送システムにおいて、前記送信部は、衛星放送の中間周波数信号とされるIF受信信号を、前記伝送可能周波数帯域内の第1IF受信信号と、該伝送可能周波数帯域を超える第2IF受信信号とに分波する第1分波器と、該第1分波器で分波された前記第1IF受信信号とUHF帯の地上放送信号とを混合する第1混合器と、該第1分波器で分波された第2IF受信信号の少なくとも1チャンネルの対象IF受信信号を周波数変換する前記ダウンコンバータと、前記第1混合器から出力される第1混合信号と、前記ダウンコンバータから出力される周波数変換された対象IF受信信号とを混合する第2混合器とを備え、前記第2混合器から出力される前記第1IF受信信号と前記UHF帯の地上放送信号と前記周波数変換された対象IF受信信号とが混合された第2混合信号が前記伝送路で伝送されていてもよい。
【0011】
さらにまた、上記本発明の周波数変換伝送システムにおいて、前記受信部は、前記伝送路で伝送されてきた前記第2混合信号を、前記第1混合信号と前記周波数変換された対象IF受信信号とに分波する第2分波器と、該第2分波器で分波された前記第1混合信号を、前記第1IF受信信号と前記UHF帯の地上放送信号とに分波する第3分波器と、該第2分波器で分波された前記周波数変換された対象IF受信信号を元の周波数の対象IF受信信号に周波数変換して前記第2IF受信信号とする前記アップコンバータと、前記第3分波器で分波された前記UHF帯の地上放送信号を出力するUHF出力端子と、前記アップコンバータから出力された前記第2IF受信信号と、前記第3分波器で分波された前記第1IF受信信号とを混合する第3混合器と、前記第3混合器から出力される前記IF受信信号を出力するBS・CS-IF出力端子とを備えていてもよい。
さらにまた、上記本発明の周波数変換伝送システムにおいて、前記ダウンコンバータは、前記第2IF受信信号を一時的に周波数変換して、一時的に周波数変換された前記第2IF受信信号の内から前記対象IF受信信号を弾性表面波フィルタにより抽出し、抽出された対象IF受信信号を前記伝送可能周波数帯域内のBS-IF右旋受信信号とCS-IF右旋受信信号との間のガードバンド内にダウンコンバートするよう周波数変換して出力するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の周波数変換伝送システムは、伝送路の伝送可能周波数帯域の上限を超える高度広帯域衛星デジタル放送信号の少なくとも1チャンネルの対象IF受信信号を、伝送可能周波数帯域内のBS-IF右旋受信信号とCS-IF右旋受信信号との間のガードバンド内にダウンコンバートして伝送するようにしたので、既設の受信設備の伝送可能周波数帯域を超える高度広帯域衛星デジタル放送信号を、既設の受信設備を改修することなく伝送可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例の周波数変換伝送システムの構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施例の周波数変換伝送システムにかかる伝送周波数配列を示す図である。
図3】本発明の第2実施例の周波数変換伝送システムにかかる伝送周波数配列を示す図である。
図4】本発明の第1実施例の周波数変換伝送システムにかかる送信部の構成を示す回路ブロック図である。
図5】本発明の第2実施例の周波数変換伝送システムにかかる送信部の構成を示す回路ブロック図である。
図6】本発明の第1実施例の周波数変換伝送システムの送信部におけるダウンコンバータの構成を示す回路ブロック図である。
図7】本発明の第2実施例の周波数変換伝送システムの送信部におけるダウンコンバータの構成を示す回路ブロック図である。
図8】本発明の実施例の周波数変換伝送システムにかかる受信部の構成を示す回路ブロック図である。
図9】本発明の第1実施例の周波数変換伝送システムの受信部におけるアップコンバータの構成を示す回路ブロック図である。
図10】本発明の第2実施例の周波数変換伝送システムの受信部におけるアップコンバータの構成を示す回路ブロック図である。
図11】従来のCATVシステムの伝送周波数配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の周波数変換伝送システムでは、伝送路の伝送可能周波数帯域の上限を超える高度広帯域衛星デジタル放送信号の少なくとも1チャンネルの対象IF受信信号を、伝送可能周波数帯域内のBS-IF右旋受信信号とCS-IF右旋受信信号との間のガードバンド内にダウンコンバートして伝送することで、本発明の目的を達成した。
【実施例
【0015】
本発明の実施例の周波数変換伝送システム1の構成を図1に示す。
図1に示す本発明の実施例の周波数変換伝送システム1は、送信部13および受信部15とを備え、送信部13と受信部15とが伝送路14で接続されて構成されている。送信部13は、地上波放送アンテナ11で受信されたUHF帯の受信信号と、BS・CSアンテナ12で受信されたBS・CS放送波を中間周波数信号に変換したBS・CS-IF右左旋受信信号とを混合して、伝送路14に送出している。伝送路14は、有線の伝送路であり、例えば同軸ケーブルとされている。この場合、伝送路14には図示しない増幅器、分岐器・分配器、受信者端子、直列ユニット等の受信設備が設けられている。
【0016】
2018年12月1日から高度広帯域衛星デジタル放送(ISDB-S3,BS・CS左旋放送)の本放送が始まった。BS・CS左旋放送のBS・CS-IF左旋受信信号の周波数は2224MHz~3224MHzとされているが、本発明の周波数変換伝送システム1における伝送路14は既設の受信設備とされており、例えば、BS・CS-IF右旋受信信号の上限周波数である2150MHzまでの周波数にしか対応していない。本発明にかかる周波数変換伝送システム1における伝送可能周波数帯域は、10MHz~2150MHzとされている。そこで、本発明にかかる周波数変換伝送システム1の第1実施例では、内蔵するダウンコンバータにより2224MHz~2681MHzのBS-IF左旋受信信号の内の少なくとも1チャンネルを、2150MHzより低域側であって空いている周波数帯域に配列し直して伝送路14に送出している。同時に、送信部13は、UHF帯の受信信号、BS・CS-IF右旋受信信号を伝送路14に送出している。そして、受信部15において、内蔵するアップコンバータにより空いている周波数帯域に配列されたBS-IF左旋受信信号を、元の周波数に周波数変換して、高度広帯域衛星デジタル放送に対応しているテレビジョンやレコーダとされる受信機器16に供給している。また、UHF帯の受信信号、BS・CS-IF右旋受信信号も伝送路14で伝送されて、受信機器16に供給される。これにより、本発明にかかる周波数変換伝送システム1の第1実施例においては、BS-IF左旋受信信号に対応していない既設の伝送路14を用いても、受信機器16でBS-IF左旋受信信号を受信することができるようになる。
【0017】
図2(a)~(e)に、本発明の第1実施例の周波数変換伝送システム1の伝送周波数配列を示し、この図を参照しながら以下に周波数変換伝送システムの第1実施例の伝送周波数配列を説明する。伝送路14の伝送可能周波数帯域の上限は2150MHzとされている。
図2(a)に、BS・CSアンテナ12で受信されIF信号に変換されたBS・CS-IF右左旋受信信号のスペクトルを示しており、1032MHz~1489MHzのBS-IF右旋受信信号(以下、「BS-R」という)と、1595MHz~2071MHzのCS-IF右旋受信信号(以下、「CS-R」という)と、2224MHz~2681MHzのBS-IF左旋受信信号(以下、「BS-L」という)と、2748MHz~3224MHzのCS-IF左旋受信信号(以下、「CS-L」という)とが示されている。図2(b)に、地上波放送アンテナ11で受信されたUHF帯の受信信号のスペクトルが示されており、470MHz~770MHzのUHF帯の地上放送信号(以下、「UHF」という)が示されている。図2(c)に、送信部13で混合された「UHF」と「BS-R」と「CS-R」と「BS-L」と「CS-L」のスペクトルが示されている。図2(c)に示すように、混合された受信信号は470MHz~3224MHzの周波数とされ、2150MHzまでの周波数までにしか対応していない既設の伝送路14では全てを伝送することができない。そこで、第1実施例の伝送周波数配列では、既設の伝送路14で「BS-L」の少なくとも1チャンネルも伝送できるように、送信部13で伝送周波数の配列が変更される。
【0018】
図2(d)に、送信部13から出力される受信信号のスペクトルが示されている。送信部13では、「UHF」と「BS-R」と「CS-R」とが混合される。ここで、2224MHz~2681MHzの「BS-L」は12波から構成され、12波はBS-2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24の12チャンネルのBS-IF左旋受信信号とされている。第1実施例では、送信部13のダウンコンバータにより、「BS-L」の内の1チャンネル、図示する例ではBS-14のBS-IF左旋受信信号が「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンド(1489MHz~1595MHz)内に周波数変換される。具体的には、BS-14の中心周波数である2471.82MHzがダウンコンバータにより1542.22MHzにダウンコンバートされる。これにより、送信部13から伝送路14に伝送される受信信号は、108MHz~2071MHzの周波数となり、2150MHzまでの周波数までにしか対応していない伝送路14で、「UHF」、「BS-R」、「CS-R」に加えて「BS-L」の1チャンネルが伝送できるようになる。なお、ダウンコンバートされたBS-14の中心周波数となる1542.22MHzは、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの略中心周波数とされている。
【0019】
図2(e)に、受信部15から出力される受信信号のスペクトルが示されている。受信部15では、送信部13から伝送された図2(d)に示すスペクトルの受信信号が受信される。そして、BS-14の中心周波数がアップコンバータにより破線で示す「BS-L」の周波数帯域における元のBS-14の中心周波数である2471.82MHzにアップコンバートされる。これにより、受信部15から出力される受信信号は470MHz~2681MHzの周波数となり、受信機器16において「UHF」、「BS-R」、「CS-R」に加えて「BS-L」も受信できるようになる。
なお、上記の説明では「BS-L」の1チャンネルをダウンコンバートして「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域で伝送するようにしたが、「BS-L」に替えて「CS-L」の1チャンネルをダウンコンバートして「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域で伝送するようにしてもよい。
【0020】
次に、図3(a)~(e)に、本発明の第2実施例の周波数変換伝送システム1の伝送周波数配列を示し、この図を参照しながら以下に周波数変換伝送システムの第2実施例の伝送周波数配列を説明する。伝送路14の伝送可能周波数帯域の上限は2150MHzとされている。
図3(a)に、BS・CSアンテナ12で受信されIF信号に変換されたBS・CS-IF右左旋受信信号のスペクトルを示しており、1032MHz~1489MHzの「BS-R」と、1595MHz~2071MHzの「CS-R」と、2224MHz~2681MHzの「BS-L」と、2748MHz~3224MHzの「CS-L」とが示されている。図3(b)に、地上波放送アンテナ11で受信されたUHF帯の受信信号のスペクトルが示されており、470MHz~770MHzの「UHF」が示されている。図3(c)に、送信部13で混合された「UHF」と「BS-R」と「CS-R」と「BS-L」と「CS-L」のスペクトルが示されている。図3(c)に示すように、混合された受信信号は470MHz~3224MHzの周波数とされ、2150MHzまでの周波数までにしか対応していない既設の伝送路14では全てを伝送することができない。そこで、第2実施例の周波数変換伝送システム1の伝送周波数配列では、既設の伝送路14で「BS-L」の2チャンネルも伝送できるように、送信部13で伝送周波数の配列が変更される。
【0021】
図3(d)に、送信部13から出力される受信信号のスペクトルが示されている。送信部13では、「UHF」と「BS-R」と「CS-R」とが混合される。ここで、2224MHz~2681MHzの「BS-L」は12波から構成され、第2実施例では、送信部13のダウンコンバータにより、「BS-L」の内の2チャンネル、図示する例ではBS-12とBS-14との2チャンネルのBS-IF受信信号が「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンド(1489MHz~1595MHz)内に周波数変換される。具体的には、BS-12の中心周波数である2433.46MHzがダウンコンバータにより1561.40MHzにダウンコンバートされ、BS-14の中心周波数である2471.82MHzがダウンコンバータにより1523.04MHzにダウンコンバートされる。これにより、送信部13から伝送路14に伝送される受信信号は、108MHz~2071MHzの周波数となり、2150MHzまでの周波数までにしか対応していない伝送路14で、「UHF」、「BS-R」、「CS-R」に加えて「BS-L」の2チャンネルが伝送できるようになる。なお、ダウンコンバートされたBS-12,BS-14の2チャンネルを合わせたBS-IF受信信号の中心周波数は、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの略中心周波数になるようにダウンコンバートされている。
【0022】
図3(e)に、受信部15から出力される受信信号のスペクトルが示されている。受信部15では、送信部13から伝送された図3(d)に示すスペクトルの受信信号が受信される。そして、BS-12の中心周波数がアップコンバータにより破線で示す「BS-L」の周波数帯域における元のBS-12の中心周波数である2433.46MHzにアップコンバートされ、BS-14の中心周波数がアップコンバータにより破線で示す「BS-L」の周波数帯域における元のBS-14の中心周波数である2471.82MHzにアップコンバートされる。これにより、受信部15から出力される受信信号は470MHz~2681MHzの周波数となり、受信機器16において「UHF」、「BS-R」、「CS-R」に加えて「BS-L」も受信できるようになる。
なお、上記の説明では「BS-L」の2チャンネルをダウンコンバートして「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域で伝送するようにしたが、「BS-L」に替えて「CS-L」の2チャンネルをダウンコンバートして「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域で伝送するようにしてもよい。
【0023】
次に、本発明にかかる第1実施例の周波数変換伝送システムにおける送信部13の構成を示す回路ブロック図を図4に示す。図2(a)~(e)に示す第1実施例の伝送周波数配列とされる場合の送信部13の説明を以下に行う。
図4に示すように、送信部13はUHF入力端子101とBS・CS-IF入力端子111とを備えている。UHF入力端子101には、地上波放送アンテナ11で受信された470MHz~710MHzの「UHF」が入力され、第1増幅器102により所定のレベルになるよう増幅されて第1混合器103の一方に入力される。また、BS・CS-IF入力端子111には、BS・CSアンテナ12で受信された衛星放送が中間周波数信号に変換されて1032MHz~3224MHzのBS・CS-IF右左旋受信信号として入力され、第2増幅器112により所定のレベルになるよう増幅されて第1分波器113に入力される。第1分波器113では、1032MHz~2071MHzの「BS-R」と、2224MHz~3224MHzの「BS-L」とに分波される。第1分波器113で分波された「BS-R」が第1混合器103の他方に入力され、分波された「BS-L」がダウンコンバータ114に入力される。
【0024】
第1混合器103では、入力された「UHF」と「BS-R」とが混合されて、470MHz~710MHz+1032MHz~2071MHzの周波数帯域の「UHF」+「BS-R」の受信信号とされ、第2混合器104の一方に入力される。また、ダウンコンバータ114では、「BS-L」における1チャンネル、例えばBS-14のBS-IF受信信号が「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンド(1489MHz~1595MHz)内にダウンコンバートされて、第2混合器104の他方に入力される。第2混合器104では、第1混合器103で混合された受信信号とダウンコンバータ114でダウンコンバートされた受信信号とが混合されて、第3増幅器105に入力される。そして、第3増幅器105により所定のレベルになるよう増幅されて、108MHz~2071MHzの周波数帯域とされた受信信号が出力端子121から出力される。すなわち、出力端子121からは、UHF受信信号とBS・CS-IF右旋受信信号と、ダウンコンバートされたBS-IF左旋受信信号の1チャンネルとが出力される(図2(d)参照)。
なお、「BS-L」に替えて「CS-L」の1チャンネルをダウンコンバータ114により、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域の周波数にダウンコンバートして伝送するようにしてもよい。
【0025】
次に、本発明にかかる第2実施例の周波数変換伝送システムにおける送信部13-2の構成を示す回路ブロック図を図5に示すが、送信部13-2の構成は送信部13のダウンコンバータ114がダウンコンバータ214に変更された構成を除いて同じ構成とされているので、同じ構成の説明は省略してダウンコンバータ214の説明だけを行う。
図5に示す送信部13-2におけるダウンコンバータ214では、「BS-L」における2チャンネル、例えばBS-12およびBS-14の2チャンネルのBS-IF受信信号が「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンド(1489MHz~1595MHz)内にダウンコンバートされて、第2混合器104の他方に入力される。第2混合器104では、第1混合器103で混合された受信信号とダウンコンバータ214でダウンコンバートされた受信信号とが混合されて、第3増幅器105に入力される。そして、第3増幅器105により所定のレベルになるよう増幅されて、108MHz~2071MHzの周波数帯域とされた受信信号が出力端子121から出力される。すなわち、出力端子121からは、UHF受信信号とBS・CS-IF右旋受信信号と、ダウンコンバートされたBS-IF左旋受信信号の2チャンネルとが出力される(図3(d)参照)。
なお、「BS-L」に替えて「CS-L」の2チャンネルをダウンコンバータ214により、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域の周波数にダウンコンバートして伝送するようにしてもよい。
【0026】
送信部13におけるダウンコンバータ114の構成を示す回路ブロック図を図6に示す。送信部13の説明では、BS-14の1チャンネルをダウンコンバートするとして説明する。
図6に示すように、ダウンコンバータ114は入力端子INに入力された2224MHz~3224MHzの「BS-L」および「CS-L」のBS-IF左旋受信信号は、「BS-L」の周波数帯域だけを通過させるバンドパスフィルタ(以下、「BPF」という)201を通過させてミキサ(以下、「MIX)という)202に「BS-L」のBS-IF受信信号を供給する。MIX202では、局部発振器203からの2726.58MHzの局発信号で「BS-L」の12チャンネルのBS-IF左旋受信信号を周波数変換して、周波数変換された下側帯波のみを通過させるBPF204に供給する。この場合、中心周波数2471.82MHzのBS-14はMIX202で周波数変換されBPF204で下側帯波が抽出されて中心周波数254.76MHzのBS-14とされて出力される。BPF204から出力される周波数変換された「BS-L」の12チャンネルは増幅器205で所定レベルになるよう増幅され、弾性表面波フィルタ(以下、「SAW」という)206に供給される。SAW206は、「BS-L」の12チャンネルの内から所望の1チャンネルを抽出するフィルタであり、SAW206の通過周波数帯域の中心周波数が254.76MHzとされていることから、BS-14のチャンネルのみが抽出される。SAW206から出力されるBS-14は、MIX207で局部発振器208からの1796.98MHzの局発信号で周波数変換され、周波数変換された下側帯波のみを通過させるBPF209に供給される。BPF209の通過周波数帯域は、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドである1489MHz~1595MHzの帯域とされている。これにより、中心周波数254.76MHzのBS-14はMIX207で周波数変換されBPF209で下側帯波が抽出されて中心周波数1542.22MHzにダウンコンバートされたBS-14がBPF209から出力される。BPF209から出力されるダウンコンバートされたBS-14は増幅器210で所定レベルになるよう増幅され、出力端子OUTから出力される。なお、ダウンコンバートされた1542.22MHzは、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの略中心周波数とされている。
【0027】
ダウンコンバータ114では、SAW206の通過周波数帯域を変更することにより、「BS-L」のいずれのチャンネルでも「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドである1489MHz~1595MHzの帯域にダウンコンバートすることができる。この場合、選択されたチャンネルに応じてSAW206の通過周波数帯域の中心周波数および局部発振器208の局発信号の周波数が設定されることになる。
また、「BS-L」に替えて「CS-L」の1チャンネルをダウンコンバータ114により、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域の周波数にダウンコンバートして伝送するようにしてもよい。この場合は、BPF201の通過周波数帯域を「CS-L」を通過させる周波数帯域とすると共に、所望の「CS-L」の1チャンネルの中心周波数に応じて、局部発振器203,208の局発信号の周波数とSAW206の通過周波数帯域を設定して、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域の周波数にダウンコンバートされるようにする。
【0028】
次に、送信部13-2におけるダウンコンバータ214の構成を示す回路ブロック図を図7に示す。送信部13-2の説明では、BS-12とBS-14との2チャンネルをダウンコンバートするとして説明する。
図7に示すように、ダウンコンバータ214は入力端子INに入力された2224MHz~3224MHzの「BS-L」および「CS-L」のBS-IF左旋受信信号を、「BS-L」の周波数帯域だけを通過させるBPF221を通過させてMIX222に「BS-L」のBS-IF左旋受信信号を供給する。MIX222では、局部発振器223からの2726.58MHzの局発信号で「BS-L」の12チャンネルのBS-IF受信信号を周波数変換して、周波数変換された下側帯波のみを通過させるBPF224に供給する。この場合、中心周波数2433.46MHzのBS-12はMIX222で周波数変換されBPF224で下側帯波が抽出されて中心周波数293.12MHzのBS-12とされ、中心周波数2471.82MHzのBS-14はMIX202で周波数変換されBPF224で下側帯波が抽出されて中心周波数254.76MHzのBS-14とされて出力される。BPF224から出力される周波数変換された「BS-L」の12チャンネルは増幅器225で所定レベルになるよう増幅され、分配器226により2分配されてSAW227とSAW228にそれぞれ供給される。そして、SAW227の通過周波数帯域の中心周波数は254.76MHzとされていることから、SAW227ではBS-14の1チャンネルのみが抽出されて出力される。また、SAW228の通過周波数帯域の中心周波数は293.12MHzとされていることから、SAW228ではBS-12の1チャンネルのみが抽出されて出力される。SAW227から出力されるBS-14とSAW228から出力されるBS-12とは混合器229で混合されてMIX230に供給される。MIX230では、局部発振器231からの1816.16MHzの局発信号で周波数変換され、周波数変換された下側帯波のみを通過させるBPF232に供給される。BPF232の通過周波数帯域は、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドである1489MHz~1595MHzの帯域とされている。中心周波数254.76MHzのBS-14はMIX230で周波数変換されBPF232で下側帯波が抽出されて中心周波数1561.40MHzにダウンコンバートされたBS-14が出力され、中心周波数293.12MHzのBS-12はMIX230で周波数変換されBPF232で下側帯波が抽出されて中心周波数1523.04MHzにダウンコンバートされたBS-12が出力される。BPF232から出力されるダウンコンバートされたBS-12とBS-14との2チャンネルは増幅器233で所定レベルになるよう増幅され、出力端子OUTから出力される。なお、ダウンコンバートされたBS-12,BS-14の2チャンネルのBS-IF受信信号の中心周波数は、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの略中心周波数になるようにダウンコンバートされている。
【0029】
ダウンコンバータ214からは、「BS-L」の隣接するいずれの2チャンネルが選択されても、選択されたチャンネルは「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドである1489MHz~1595MHzの帯域にダウンコンバートされて出力される。この場合、選択されたチャンネルに応じてSAW227およびSAW228の通過周波数帯域の中心周波数および局部発振器231の局発信号の周波数が設定されることになる。
また、「BS-L」に替えて「CS-L」の隣接する2チャンネルをダウンコンバータ214により、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域の周波数にダウンコンバートして伝送するようにしてもよい。この場合は、BPF221の通過周波数帯域を「CS-L」を通過させる周波数帯域とすると共に、所望の「CS-L」の隣接する2チャンネルの中心周波数に応じて、局部発振器223,231の局発信号の周波数とSAW227,228の通過周波数帯域を設定して、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域の周波数にダウンコンバートされるようにする。
【0030】
次に、本発明の第1実施例の周波数変換伝送システム1における受信部15の構成を示す回路ブロック図を図8に示す。
図8に示すように、受信部15は入力端子301を備え、入力端子301には、伝送路14で伝送されてきた108MHz~2071MHzの周波数帯域とされた受信信号が入力される。この受信信号は、第4増幅器302により所定のレベルになるよう増幅されて第1分配器303に入力されて2分配される。第1分配器303で分配された一方の受信信号は第2分波器304に入力され、分配された他方の受信信号はアップコンバータ311に入力される。
【0031】
第2分波器304では、470MHz~710MHzの「UHF」の受信信号と1032MHz~2071MHzの「BS-R」および「CS-R」のBS・CS-IF右旋受信信号とに分波され、分波された「UHF」の受信信号はUHF出力端子305から出力される。また、第2分波器304で分波された「BS-R」および「CS-R」のBS・CS-IF右旋受信信号は、第3混合器312の一方に入力される。アップコンバータ311では、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンド(1489MHz~1595MHz)の帯域でダウンコンバートされて伝送されてきた「BS-L」のBS-IF左旋受信信号を当該BS-IF左旋受信信号の元の周波数になるようアップコンバートしている。すなわち、アップコンバータ311からは2224MHz~2681MHzの周波数帯域に戻された「BS-L」のBS-IF左旋受信信号が出力される。また、ガードバンドの帯域でダウンコンバートされて伝送されてきた受信信号が「CS-L」の場合は、アップコンバータ311からは2748MHz~3224MHzの周波数帯域に戻された「CS-L」のCS-IF左旋受信信号が出力される。このように、アップコンバータ311からは2224MHz~3224MHzの元の周波数帯域に戻された「BS-L」および「CS-L」のBS・CS-IF左旋受信信号が出力される。
【0032】
BS・CS-IF左旋受信信号の「BS-L」および「CS-L」はそれぞれ12チャンネルから構成されているが、伝送されてくるのは1チャンネルとされ、このチャンネルの周波数が元の周波数に戻されて第3混合器312の他方に入力される。第3混合器312では、「BS-R」と「BS-L」および「CS-L」とが混合されて1032MHz~3224MHzのBS・CS-IF右左旋受信信号とされ、BS・CS-IF出力端子313から出力される。なお、UHF出力端子305からは470MHz~710MHzの「UHF」の受信信号が出力され、BS・CS-IF出力端子313からは1032MHz~3224MHzのBS・CS-IF右左旋受信信号が出力され、それぞれの受信信号が受信機器16に供給される。
本発明の第2実施例の周波数変換伝送システム1における受信部15-2の構成は、アップコンバータ311に替えて後述するアップコンバータ321とされるが他の構成は同じ構成とされるので、その説明は省略する。なお、受信部15-2においては、「BS-L」および「CS-L」のBS・CS-IF左旋受信信号の内の2チャンネルが伝送されてきており、この2チャンネルの周波数がアップコンバータ321により元の周波数にアップコンバートされて第3混合器312の他方に入力されるようになる。
【0033】
受信部15におけるアップコンバータ311の構成を示す回路ブロック図を図9に示す。アップコンバータ311の説明では、「BS-L」におけるBS-14の1チャンネルをアップコンバートするとして説明する。
図9に示すように、アップコンバータ311には「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドで伝送されてきた1489MHz~1595MHzの受信信号が入力端子INに入力される。入力された受信信号は「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域を通過周波数帯域とするBPF401を通過してMIX402に供給される。MIX402では、局部発振器403の929.60MHzの局発信号で伝送されてきた受信信号が周波数変換され、BPF404で上側帯波が抽出される。例えば、ダウンコンバートされた「BS-L」におけるBS-14(中心周波数1542.22MHz)が伝送されてきた場合は、BPF404から2471.82MHzのBS-14が出力される。この周波数は、BS-14の元の周波数である。「BS-L」における他の1チャンネルが伝送されきた場合も、MIX402で局部発振器403の局発信号によりアップコンバートすることにより、元の「BS-L」の周波数に戻るようになる。この場合、伝送されてきたチャンネルの元の周波数に応じて局部発振器403の局発信号の周波数を設定する。すなわち、BPF404からは2224MHz~2681MHzのBS-IF左旋受信信号が出力され、増幅器405により所定レベルになるよう増幅されて出力端子OUTから出力される。
また、「CS-L」の1チャンネルが「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域で伝送されてきた場合は、伝送されてきたチャンネルの元の周波数に応じて局部発振器403の局発信号の周波数を設定すればよく、この際には、BPF404からは2748MHz~3224MHzのCS-IF左旋受信信号が出力され、増幅器405により所定レベルになるよう増幅されて出力端子OUTから出力される。このように、出力端子OUTからは2224MHz~3224MHzの「BS-L」および「CS-L」のBS・CS-IF右左旋受信信号が出力される。
【0034】
次に、本発明の第2実施例の周波数変換伝送システム1における受信部15-2におけるアップコンバータ321の構成を示す回路ブロック図を図10に示す。アップコンバータ321の説明では、「BS-L」におけるBS-12とBS-14との2チャンネルをアップコンバートするとして説明する。
図10に示すように、アップコンバータ321には「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドで伝送されてきた1489MHz~1595MHzの受信信号が入力端子INに入力される。入力された受信信号は「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域を通過周波数帯域とするBPF411を通過してMIX412に供給される。MIX412では、局部発振器413の910.42MHzの局発信号で伝送されてきた受信信号が周波数変換され、BPF414で上側帯波が抽出される。例えば、ダウンコンバートされた「BS-L」におけるBS-12(中心周波数1523.04MHz)とBS-14(中心周波数1561.40MHz)との2チャンネルが伝送されてきた場合は、BPF414からアップコンバートされた2433.46MHzのBS-12と2471.82MHzのBS-14とが出力される。この周波数は、BS-12およびBS-14の元の周波数である。「BS-L」における他の2チャンネルが伝送されきた場合も、MIX412で局部発振器413の局発信号によりアップコンバートすることにより、元の「BS-L」の周波数に戻るようになる。この場合、伝送されてきたチャンネルの元の周波数に応じて局部発振器413の局発信号の周波数を設定する。すなわち、BPF414からは2224MHz~2681MHzのBS-IF左旋受信信号が出力され、増幅器415により所定レベルになるよう増幅されて出力端子OUTから出力される。
また、「CS-L」の2チャンネルが「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域で伝送されてきた場合は、伝送されてきたチャンネルの元の周波数に応じて局部発振器413の局発信号の周波数を設定すればよく、この際には、BPF414からは2748MHz~3224MHzのCS-IF左旋受信信号が出力され、増幅器415により所定レベルになるよう増幅されて出力端子OUTから出力される。このように、出力端子OUTからは2224MHz~3224MHzの「BS-L」および「CS-L」のBS・CS-IF右左旋受信信号が出力される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の実施例の周波数変換伝送システムでは、上記説明したように、BS・CS-IF右旋受信信号の周波数までしか対応していない伝送路で伝送する場合は、BS-IF左旋の受信信号をダウンコンバートすることにより、BS-IF左旋の受信信号を伝送できるようになる。この場合、BS-IF左旋の受信信号に替えてCS-IF左旋の受信信号をダウンコンバートすることで、CS-IF左旋の受信信号を伝送するようにしてもよい。この場合、BS・CS-IF左旋受信信号の1チャンネルまたは2チャンネルを選択して、「BS-R」と「CS-R」との間のガードバンドの帯域に配列するようダウンコンバートする。これにより、選択した所望のCHのBS-IF左旋受信信号やCS-IF左旋受信信号を伝送可能となり、伝送された受信信号を受信機器で受信できるようになる。
このように、本発明の実施例の周波数変換伝送システムでは、送信側において、衛星放送における中間周波数信号とされるBS・CS-IF受信信号の伝送路で伝送可能な周波数の上限を超えるBS・CS-IF受信信号を、伝送路で伝送可能とされるガードバンドの周波数帯域にダウンコンバートして伝送路に送出し、受信側において、伝送路から伝送されてきたダウンコンバートされた受信信号の周波数を元の周波数に戻すようにアップコンバートしている。
また、本発明の実施例の周波数変換伝送システムにおいては、チャンネルを抽出するフィルタとして弾性表面波フィルタを用いるようにしたが、これに限ることはなく、チャンネルを抽出できるフィルタであればどのようなフィルタを用いてもよく、例えばデジタルフィルタを用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 周波数変換伝送システム、11 地上波放送アンテナ、12 BS・CSアンテナ、13 送信部、13-2 送信部、14 伝送路、15 受信部、16 受信機器、101 UHF入力端子、102 第1増幅器、103 第1混合器、104 第2混合器、105 第3増幅器、111 BS・CS-IF入力端子、112 第2増幅器、113 第1分波器、114 ダウンコンバータ、121 出力端子、201,204,209 BPF、202,207 MIX、203 局部発振器、205 増幅器、206 SAW、208 局部発振器、210 増幅器、214 ダウンコンバータ、221,224,232 BPF、222,230 MIX、223,231 局部発振器、225 増幅器、226 分配器、227,228 SAW、229 混合器、231 局部発振器、233 増幅器、301 入力端子、302 第4増幅器、303 第1分配器、304 第2分波器、305 UHF出力端子、311 アップコンバータ、312 第3混合器、313 BS・CS-IF出力端子、321 アップコンバータ、401,404 BPF、402 MIX、403 局部発振器、405 増幅器、411,414 BPF、412 MIX、413 局部発振器、415 増幅器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11