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特許7326405化学機械研磨のためのテクスチャード加工された小型パッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】化学機械研磨のためのテクスチャード加工された小型パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/10 20120101AFI20230807BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20230807BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20230807BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20230807BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20230807BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230807BHJP
【FI】
B24B37/10
B24B37/12 D
B24B37/26
B24B37/005 A
B24B41/06 L
H01L21/304 622F
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021184805
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2018549965の分割
【原出願日】2017-03-17
(65)【公開番号】P2022031724
(43)【公開日】2022-02-22
【審査請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】62/313,023
(32)【優先日】2016-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オー, ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】スアレス, エドウィン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ジェイソン ガーチュン
(72)【発明者】
【氏名】ラウ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン, キン イー
(72)【発明者】
【氏名】チョッカリンガム, アシュウィン マルガッパン
(72)【発明者】
【氏名】レッドフィールド, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ギャレットソン, チャールズ シー.
(72)【発明者】
【氏名】オスターヘルド, トーマス エイチ.
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/010866(WO,A1)
【文献】特開2005-118996(JP,A)
【文献】特開2000-354952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
B24B 41/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨処理中に基板を保持するように構成された基板支持体と、
膜及び前記研磨処理中に前記基板に接触する研磨面を有する研磨パッド部分を含む研磨パッドアセンブリであって、前記研磨パッド部分は前記膜に前記研磨面の反対にある側で接合され、前記研磨面は前記基板の直径の少なくとも4分の1より小さく2mm~30mmの範囲内にある前記研磨面に平行な方向の幅を有し、前記研磨パッド部分の外面は、前記研磨面を提供する上面を有する複数の平坦凸部を形成する、第1の複数の平行な溝と、前記第1の複数の溝に直交する第2の複数の平行な溝と、を有し、前記研磨面は、前記第1及び第2の複数の溝の側壁と前記平坦凸部の上面との交差によって画定される複数のエッジを有し、前記第1の複数の平行な溝は厳密に2~6本の溝であり、前記第2の複数の溝も同じ数の溝である、研磨パッドアセンブリと、
前記研磨パッドアセンブリを保持し、前記研磨面を前記基板に押圧する研磨パッドキャリアと、
前記基板支持体と前記研磨パッドキャリアとの間に相対運動を引き起こすように構成された駆動システムと、
を備える、化学機械研磨システム。
【請求項2】
前記第1及び第2の複数の溝は、0.4~2mmの幅を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2の複数の溝は、2~6mmのピッチを有する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記溝の幅、対、前記溝のピッチの比は、1:2.5~1:4である、請求項1又は2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記膜は、可撓性のより小さい第2の部分によって囲まれた第1の部分を含み、前記研磨パッド部分は前記第1の部分に接合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記膜と前記研磨パッド部分は一体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記研磨パッド部分は接着剤によって前記膜に固定されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記膜は円形であり、前記研磨パッド部分は円形である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
円形の膜と、
前記円形の膜の中心に配置され、研磨処理中に基板に接触する研磨面を有する円形の研磨パッド部分であって、前記研磨パッド部分は前記膜の直径の少なくとも5分の1より小さく2mm~30mmの範囲内にある直径を有し、前記研磨パッド部分の外面は、前記研磨面を提供する上面を有する複数の平坦凸部を形成する、第1の複数の平行な溝と、前記第1の複数の溝に直交する第2の複数の平行な溝と、を有し、前記研磨面は、前記第1及び第2の複数の溝の側壁と前記平坦凸部の上面との交差によって画定される複数のエッジを有し、前記第1の複数の平行な溝は厳密に2~6本の溝であり、前記第2の複数の溝も同じ数の溝である、研磨パッド部分と、
を含む研磨パッドアセンブリ。
【請求項10】
前記第1及び第2の複数の溝は、0.4~2mmの幅を有する、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記第1及び第2の複数の溝は、2~6mmのピッチを有する、請求項9又は10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記溝の幅、対、前記溝のピッチの比は、1:2.5~1:4である、請求項9又は10又は11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記膜は、可撓性のより小さい第2の部分によって囲まれた第1の部分を含み、前記研磨パッド部分は前記第1の部分に接合されている、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記膜と前記研磨パッド部分は一体である、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記研磨パッド部分は接着剤によって前記膜に固定されている、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記研磨パッドキャリアは、前記研磨パッド部分が延在する開口部を除いて前記研磨パッドアセンブリを覆うように、前記研磨パッドアセンブリの下方で延在するフランジ部分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記研磨パッドキャリアは、前記研磨パッドアセンブリと前記フランジ部分との間に画定されるチャンバにスラリを供給するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨(CMP)に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は通常、シリコンウェハに導電層、半導電層、または絶縁層を連続的に堆積させることによって基板上に形成される。1つの製造ステップは、非平坦面上に充填層を堆積し、充填層を平坦化することを含む。ある応用例では、充填層は、パターン層の上面が露出するまで平坦化される。例えば、導電性充填層がパターニング済み絶縁層上に堆積され、絶縁層内のトレンチまたは孔を充填することができる。平坦化後、高くなった絶縁層のパターン間に残っている金属層の部分が、基板上の薄膜回路間の導電経路になるビア、プラグ、およびラインを形成する。酸化物研磨などの他の用途では、非平面の表面上に既定の厚さが残るまで、充填層が平坦化される。加えて、フォトリソグラフィのためには、基板表面の平坦化が通常必要とされる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、認められた平坦化方法の1つである。この平坦化方法では通常、基板がキャリアまたは研磨ヘッドに取り付けられる必要がある。基板は通常、露出面が回転研磨パッドに当たるようにして置かれる。キャリアヘッドが、基板に制御可能な荷重をかけ、基板を研磨パッドに押し付ける。通常、研磨用の研磨スラリが、研磨パッドの表面に供給される。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、研磨される基板よりも小さいテクスチャード加工された研磨パッドを提供する。
【0005】
一態様では、化学機械研磨システムは研磨処理中に基板を保持するように構成された基板支持体を含み、研磨パッドアセンブリは膜及び研磨面を有する研磨パッド部分、研磨パッドアセンブリを保持し、研磨面を基板に対して研磨面を押圧する研磨パッドキャリア、並びに、基板支持体と研磨パッドキャリアとの間の相対運動を引き起こすように構成された駆動システムを含む。研磨パッド部分は、膜の、研磨面に向かい合う側に接合されている。研磨面は、基板の直径の少なくとも4分の1より小さい研磨面に平行な幅を有する。研磨パッド部分の外面は、少なくとも1つの凹部と、研磨面を提供する上面を有する少なくとも1つの平坦凸部を含む。研磨面は、少なくとも1つの凹部の側壁と少なくとも1つの平坦凸部の上面との交差によって画定される複数のエッジを有する。
【0006】
実装は一又は複数の下記の特徴を含みうる。
【0007】
少なくとも1つの凹部は、第1の複数の平行な溝を含みうる。少なくとも1つの凹部は、第1の複数の溝に垂直な第2の複数の平行な溝を含みうる。第1の複数の平行な溝は厳密には2~6本の溝であり、第2の複数の溝も同じ数の溝になりうる。
【0008】
膜と研磨パッド部分は一体であってよく、或いは、研磨パッド部分は接着剤によって膜に固定されてもよい。膜は可撓性の小さい第2の部分によって囲まれた第1の部分を含んでもよく、研磨パッド部分は第1の部分に接合されてもよい。
【0009】
別の態様では、研磨パッドアセンブリは、研磨処理中に基板に接触する研磨面を有する、円形の膜及び円形の研磨パッド部分を含む。研磨パッド部分は、膜の直径の少なくとも5分の1より小さい直径を有する。研磨パッド部分は、円形の膜の中心の周囲に配置されうる。研磨パッド部分の上面は、一又は複数の凹部と、研磨面を提供する上面を有する一又は複数の平坦凸部とを含みうる。研磨面は、一又は複数の凹部の側壁と一又は複数の平坦凸部の上面との交差によって画定される複数のエッジを有しうる。
【0010】
実装は、一又は複数の下記の特徴を含みうる。
【0011】
一又は複数の凹部は、第1の複数の平行な溝を含みうる。一又は複数の凹部は、第1の複数の溝に垂直な第2の複数の平行な溝を含みうる。第1の複数の平行な溝は厳密には2~6本の溝であり、第2の複数の溝も同じ数の溝になりうる。
【0012】
一又は複数の凹部は、研磨パッド部分の円周から径方向内向きに延在する複数の凹部を含みうる。一又は複数の凹部は、複数の同心円状の環状溝を含みうる。一又は複数の平坦凸部は、複数の分離された突起を含みうる。突起は円形であってよい。突起は間隙によって分離されてよく、平坦凸部の研磨パッド面に平行な方向の幅は、隣接する平坦凸部間の間隙の幅の約1~5倍になっている。一又は複数の平坦凸部は、相互接続された矩形のグリッドを含みうる。
【0013】
膜と研磨パッド部分は一体であってよく、或いは、研磨パッド部分は接着剤によって膜に固定されてもよい。
【0014】
別の態様では、研磨パッドアセンブリは、研磨処理中に基板に接触する研磨面を有する、膜及び凸状多角形研磨パッド部分を含む。研磨パッド部分は、膜の幅の少なくとも5分の1より小さい幅を有する。研磨パッド部分は、円形の膜の中心の周囲に配置される。研磨パッド部分の上面は、一又は複数の凹部と、研磨面を提供する上面を有する一又は複数の平坦凸部とを含む。研磨面は、一又は複数の凹部の側壁と一又は複数の平坦凸部の上面との交差によって画定される複数のエッジを有する。
【0015】
利点には、オプションにより、以下の一又は複数(限定するものではないが)が含まれうる。
【0016】
非同心円状の研磨均一性を補正するために、例えば軌道運動をする小型パッドを使用してもよい。軌道運動は、研磨が望ましくない領域にパッドが重なることを避けながら、許容可能な研磨速度をもたらすことができ、これにより基板の均一性を改善する。これに加えて、回転とは異なり、軌道運動は、基板に対する研磨パッドの固定配向を維持し、研磨領域にわたってより均一な研磨速度をもたらすことができる。
【0017】
パッドのテクスチャリングは、研磨速度の上昇をもたらしうる。
【0018】
本発明のその他の態様、特徴、及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】研磨システムの概略断面側面図である。
図2】基板上の研磨パッドのローディング領域の概略上面図である。
図3A】研磨パッドアセンブリの概略断面図である。
図3B】研磨パッドアセンブリの概略断面図である。
図3C】研磨パッドアセンブリの概略断面図である。
図3D】研磨パッドアセンブリの概略断面図である。
図3E】研磨パッドアセンブリの概略断面図である。
図4A】研磨パッドアセンブリの研磨面の概略底面図である。
図4B】研磨パッドアセンブリの概略底面図である。
図5A】研磨パッドアセンブリの研磨パッド部分の概略底面図である。
図5B】研磨パッドアセンブリの研磨パッド部分の概略斜視図である。
図5C】研磨パッドアセンブリの研磨パッド部分の概略斜視図である。
図5D】研磨パッドアセンブリの研磨パッド部分の概略斜視図である。
図5E】研磨パッドアセンブリの研磨パッド部分の概略斜視図である。
図5F】研磨パッドアセンブリの研磨パッド部分の概略斜視図である。
図5G】研磨パッドアセンブリの研磨パッド部分の概略斜視図である。
図6】研磨パッドキャリアの概略断面図である。
図7】固定された角度配向を維持しながら軌道を描いて動く研磨パッドを例示する概略断面上面図である。
図8】研磨システムの研磨パッドキャリア及び駆動トレインシステムの概略断面側面図である。
【0020】
様々な図面における類似の参照符号は、類似の要素を表している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.序論
一部の化学機械研磨処理では、基板の表面にわたって不均一な厚さが生じる。例えば、バルク研磨処理では、基板上で研磨不足の領域が生じる場合がある。この問題に対処するため、バルク研磨の後に研磨不足の基板の部分に焦点を当てる「タッチアップ」研磨処理を実行することが可能である。
【0022】
一部のバルク研磨処理では、局所化された非同心円状の、不均一な研磨不足のスポットが生じる。基板の中心の周りを回転する研磨パッドは、不均一な同心円状のリングを補正することができるかもしれないが、局所化された非同心円状且つ不均一なスポットに対処することはできないかもしれない。非同心円状の研磨均一性を補正するためには、軌道運動をする小型パッドを使用してもよい。
【0023】
図1を参照すると、基板の局所領域を研磨するための研磨装置100は、基板10を保持するための基板支持体105、及び研磨パッド部分200を保持するための可動研磨パッドキャリア300を含む。研磨パッド部分200は、研磨されている基板10の半径より小さい直径を有する研磨面220を含む。例えば、研磨パッド部分200の直径は、基板10の直径の少なくとも2分の1、例えば、少なくとも4分の1、例えば、少なくとも10分の1、例えば、少なくとも20分の1より小さくなりうる。
【0024】
研磨パッドキャリア300は、研磨駆動システム500から吊り下げられる。研磨駆動システム500は、研磨処理中に基板10に対する研磨パッドキャリア300の運動をもたらす。研磨駆動システム500は、支持構造体550から吊り下げられてもよい。
【0025】
幾つかの実装形態では、位置決め駆動システム560が、基板支持体105及び/又は研磨パッドキャリア300に接続される。例えば、研磨駆動システム500は、位置決め駆動システム560と研磨パッドキャリア300との間の接続をもたらすことができる。位置決め駆動システム560は、パッドキャリア300を、基板支持体105の上の所望の横方向位置に配置するように動作可能である。
【0026】
例えば、支持構造体550は、2つのリニアアクチュエータ562及び564を含みうる。この2つのリニアアクチュエータ562及び564は、位置決め駆動システム560を設けるため、基板支持体105の上で垂直方向に配向されている。代替的に、基板支持体105は、2つのリニアアクチュエータによって支持されうる。代替的に、基板支持体105は1つのリニアアクチュエータによって支持され、研磨パッドキャリア300は他のリニアアクチュエータによって支持されうる。代替的に、基板支持体105は回転可能であって、研磨パッドキャリア300は径方向に沿って運動をもたらす単一のリニアアクチュエータから吊り下げられうる。代替的に、研磨パッドキャリア300を回転式アクチュエータから吊り下げてもよく、基板支持体105は、回転式アクチュエータにより回転可能でありうる。代替的に、支持構造体550は、基板105の側面から離れて配置されたベースに枢動可能に取り付けられたアームであってよく、基板支持体105はリニアアクチュエータ又は回転式アクチュエータによって支持されうる。
【0027】
オプションにより、垂直アクチュエータは、基板支持体105及び/又は研磨パッドキャリア300に接続されうる。例えば、基板支持体105は、基板支持体105を昇降させることができる垂直駆動可能ピストン506に接続可能である。代替的に、または追加的に、研磨パッドキャリア300全体を上げ下げするため、垂直駆動可能ピストンは位置決めシステム500内に含まれうる。
【0028】
研磨装置100はオプションにより、研磨スラリなどの研磨液62を保持するリザーバ60を含む。以下で説明するように、幾つかの実装では、スラリは研磨パッドキャリア300を介して、研磨される基板10の表面12の上に供給される。導管64、例えば可撓性チューブは、研磨流体をリザーバ60から研磨パッドキャリア300まで移送するために使用することができる。代替的に、又は追加的に、研磨装置は、研磨液を供給するための分離されたポート60を含みうる。研磨装置100は、研磨パッド200を一定した研磨状態に維持するために、研磨パッド200を磨く研磨パッドコンディショナーをさらに含みうる。リザーバ60は、導管64を経由して、研磨液を制御可能な速度で供給するポンプを含みうる。
【0029】
研磨装置100は、洗浄流体の供給源70、例えば、リザーバ又は供給ラインを含むことができる。洗浄流体は脱イオン水になりうる。導管72、例えば可撓性チューブは、研磨流体をリザーバ70から研磨パッドキャリア300まで移送するために使用することができる。
【0030】
研磨装置100は、研磨パッドキャリア300の内部に制御可能な圧力を印可する、制御可能な圧力源80、例えばポンプを含む。圧力源80は、可撓性チューブなどの導管82によって研磨パッドキャリア300に接続可能である。
【0031】
リザーバ60、洗浄流体源70及び制御可能な圧力源80の各々は、支持構造体555、又は研磨装置100の様々な構成要素を保持する個別のフレームの上に装着可能である。
【0032】
処理中、基板10は、例えばロボットによって、基板支持体105の上に装填される。幾つかの実装では、位置決め駆動システム560は、基板10が装填されるとき、研磨パッドキャリア500が基板支持体105の直上にならないように、研磨パッドキャリア500を移動する。例えば、支持構造体550が枢動可能なアームである場合、そのアームは、基板ローディング中に、研磨パッドキャリア300が基板支持体105の側面から離れるように回転可能である。
【0033】
次に、位置決め駆動システム560は、基板10の上の所望の位置に研磨パッドキャリア300と研磨パッド200を配置する。研磨パッド200は基板10に接触させられる。例えば、研磨パッドキャリア300は、研磨パッド200を動かして基板10の上に研磨パッド200を押圧することができる。代替的に、又は追加的に、一又は複数の垂直アクチュエータは、研磨パッドキャリア300全体を下げて、及び/又は基板支持体を持ち上げて、基板10に接触させることが可能になりうる。研磨駆動システム500は、研磨パッドキャリア300と基板支持体105との間の相対運動を生み出し、基板10の研磨を引き起す。
【0034】
研磨処理中、位置決め駆動システム560は、研磨駆動システム500及び基板10を、互いに対して実質的に固定されるように保持しうる。例えば、位置決めシステムは、研磨駆動システム500を基板10に対して静止するように保持することができ、又は、研磨駆動システム500を研磨される領域にわたって(研磨駆動システム500が基板10にもたらす運動に比べて)ゆっくりとスイープさせることができる。例えば、位置決め駆動システム560によって基板にもたらされる瞬間速度は、研磨駆動システム500によって基板10にもたらされる瞬間速度の5%未満、例えば、2%未満であってよい。
【0035】
研磨システムはまた、コントローラ90、例えば、プログラム可能なコンピュータを含む。コントローラは、中央処理装置91、メモリ92、及び支援回路93を含みうる。コントローラ90の中央処理装置91は、支援回路93を介してメモリ92から読み込まれた命令を実行し、コントローラが、環境及び所望の研磨パラメータに基づく入力値を受信し、様々なアクチュエータ及び駆動システムを制御することを可能にする。
【0036】
2.基板支持体
図1を参照すると、基板支持体105は、研磨パッドキャリア300の下方に配置されたプレート形状本体である。本体の上面128は、処理される基板を収容するのに十分に大きいローディング領域を提供する。例えば、基板は、直径200~450mmの基板であってよい。基板支持体105の上面128は、基板10の背面(すなわち、研磨されていない表面)に接触し、その位置を保つ。
【0037】
基板支持体105は、基板10とほぼ同じ半径を有するか、又はそれより大きな半径を有する。幾つかの実装では、基板支持体105は、例えば、基板直径の1~2%ほど、基板よりもわずかに小さい。この場合、支持体105の上に置かれたとき、基板10のエッジは、支持体105のエッジよりわずかに突出する。これにより、エッジグリップロボットが支持体の上に基板を置くためのクリアランスを設けることができる。幾つかの実装では、基板支持体105は、例えば、基板直径の1~2%ほど、基板よりもわずかに大きい。いずれの場合においても、基板支持体105は、基板の背面の主要面に接触することができる。
【0038】
幾つかの実装では、基板支持体105は、クランプアセンブリ111を用いて、研磨処理中の基板10の位置を維持する。例えば、クランプアセンブリ111は、基板支持体105が基板10よりも幅広いときに存在しうる。幾つかの実装では、クランプアセンブリ111は、基板10の上面のリムに接触する単一の環状クランプリング112であってもよい。代替的に、クランプアセンブリ111は、基板10の両側で上面のリムに接触する2つの円弧状のクランプ112を含みうる。クランプアセンブリ111のクランプ112は、一又は複数のアクチュエータ113によって、基板のリムと接触するように下降されうる。クランプの下向きの力によって、基板は、研磨処理中に横方向に動かないように拘束される。幾つかの実装では、一又は複数のクランプは、基板の外側エッジを囲むような下方に突出するフランジ114を含む。
【0039】
代替的に、又は追加的に、基板支持体105は真空チャックである。この場合、基板10に接触する支持体105の上面128は、支持体105の一又は複数の通路によって、ポンプなどの真空源126に接続された複数のポート122を含む。操作中には、真空源126によって、通路126から空気を排気することができ、したがって、基板10を基板支持体105上で所定位置に保持するためにポート122を通して吸引力が作用する。基板支持体105が基板10より幅が広くても狭くても、真空チャックは存在しうる。
【0040】
幾つかの実装では、基板支持体105は、研磨中に基板10の周囲を取り囲むリテーナを含む。上述の様々な基板支持体の特徴は、オプションにより互いと組み合わせることができる。例えば、基板支持体は、真空チャック及びリテーナの両方を含んでもよい。
【0041】
3.研磨パッド
図1及び図2を参照すると、研磨パッド部分200は、研磨中に接触領域(ローディング領域とも呼ばれる)で基板10と接触する研磨面220を有する。研磨面220は、基板10の半径より小さな、最大側面寸法Dを有してもよい。例えば、研磨パッドの最大側面寸法は、基板の直径の約5~10%であってもよい。例えば、直径が200mm~300mmの範囲にあるウエハに関しては、研磨パッド表面220は、2~30mm、例えば3~10mm、例えば3~5mmの最大横寸法を有しうる。より小型のパッドは、より高い精度をもたらすが、使用する速度がより遅くなる。
【0042】
横断面形状、すなわち、研磨パッド部分200(及び研磨面220)の研磨面220に平行な断面は、円、正方形、楕円、又は円弧など、ほぼ任意の形状になりうる。
【0043】
図1及び図3A図3Dを参照すると、研磨パッドアセンブリ240を提供するため、研磨パッド部分200は膜(メンブレン)250に結合される。以下で説明するように、膜250のエッジ254が垂直に固定されている間に、研磨パッド部分200が接合される膜250の中心領域252が垂直に撓むことができるように、膜250は可撓性を有するように構成されている。
【0044】
膜250は、研磨パッド部分200の最大横寸法よりも大きい横寸法を有する。膜250は研磨パッド部分200よりも薄くなりうる。研磨パッド部分200の側壁202は、膜250に対して実質的に垂直に延在しうる。
【0045】
幾つかの実装では、例えば図3Aに示したように、研磨パッド部分200の上部は、接着剤260によって膜250の底部に固定される。接着剤はエポキシ樹脂、例えばUV硬化性エポキシ樹脂であってよい。この場合、研磨パッド部分200及び膜250は別々に製造され、次に接合されてもよい。
【0046】
幾つかの実装では、例えば図3Bに示したように、膜250及び研磨パッド部分200を含む研磨パッドアセンブリは、均質な組成からなる1つの一体物である。例えば、研磨パッドアセンブリ250全体は、補完形状を有するモールドの中への射出成形によって形成されうる。代替的に、研磨パッドアセンブリ240はブロックで形成され、次に膜250に対応するセクションになるように薄く機械加工されうる。
【0047】
研磨パッド部分200は、化学機械研磨中に基板に接触するのに適した材料になりうる。例えば、研磨パッド材料は、IC-1000材料などの微細孔ポリウレタンを含みうる。
【0048】
膜250と研磨パッド部分200が別々に形成される場合、膜250は研磨パッド材料よりも柔らかくなりうる。例えば、膜250は約60~70ショアDの硬度を有しうるのに対して、研磨パッド部分200は約80~85ショアDの硬度を有しうる。
【0049】
代替的に、膜250は研磨パッド部分200より可撓性が高いが、圧縮性はより低い。例えば、膜はポリエチレンテレフタレ-ト(PET)などの可撓性ポリマーになりうる。
【0050】
膜250は研磨パッド部分200とは異なる材料で形成されてよく、或いは、基本的に同一材料から形成されてもよいが、架橋結合又は重合の程度は異なる。例えば、膜250と研磨パッド部分200は共にポリウレタンであってもよいが、膜250は研磨パッド部分200より柔らかくなるように硬化の程度は低くなりうる。
【0051】
幾つかの実装では、図3Cに示したように、研磨パッド部分200は、組成の異なる2つ以上の層、例えば、研磨面220を有する研磨層210、及び膜250と研磨層210との間のより圧縮性の高いバッキング層212を含みうる。オプションにより、中間の接着剤層26、例えば感圧接着剤層は、研磨層210をバッキング層212に固定するために使用されうる。
【0052】
組成の異なる複数の層を有する研磨パッド部分もまた、図3Bに示した実装に適用可能である。この場合、膜250とバッキング層212は、均質な組成からなる1つの一体物になりうる。したがって、膜250はバッキング層212の一部である。
【0053】
幾つかの実装では、図3Dに示したように(図3B及び図3Cに示した実装にも適用可能であるが)、研磨パッド部分200の底面は、研磨処理中にスラリの移送を可能にする凹部224を含みうる。凹部224は、研磨パッド部分200の深さより浅く(例えば、研磨層210よりも浅く)なりうる。
【0054】
幾つかの実装では、図3Eに示したように(図3B図3Eに示した実装にも適用可能であるが)、膜250は中央セクション252の周囲に薄くなったセクション256を含む。薄くなったセクション256は、周囲の部分258よりも薄い。これは膜200の可撓性を増し、加圧下でより大きな垂直の撓みを可能にする。
【0055】
膜250の外周254は、研磨パッドキャリア300に対する密閉を改善するため、厚くなったリム又はその他の特徴を含みうる。
【0056】
研磨面220の横方向断面形状に関しては、様々な形状寸法が可能である。図4Aを参照すると、研磨パッド部分200の研磨面220は、円形領域になりうる。
【0057】
図1を参照すると、膜250の最大横寸法は基板支持体105の最小横寸法よりも小さい。同様に、膜250の最大横寸法は基板10の最小横寸法よりも小さい。
【0058】
図4Bを参照すると、膜250は、研磨パッド部分200のすべての側面で、研磨パッド部分200の外側壁202を越えて延在する。研磨パッド部分200は、膜250の2つの最も近いエッジから等距離になりうる。研磨パッド部分200は、膜250の中心に配置されうる。
【0059】
膜250の最小横寸法は、研磨パッド部分の対応する横寸法よりも約5倍から50倍大きくなりうる。膜250の最小(横方向)円周寸法は、約260mm~300mmになりうる。一般的に、膜250のサイズは可撓性に依存しており、そのサイズは、膜の中心が所望の圧力で所望の量の垂直撓みを受けるように選択することができる。研磨パッド部分200は約5~20mmの直径を有しうる。膜250は、研磨パッド部分200の直径の約4倍から20倍の直径を有しうる。
【0060】
パッド部分200は、約0.5~7mmの厚み、例えば、約2mmの厚みを有しうる。膜250は、約0.125~1.5mmの厚み、例えば、約0.5mmの厚みを有しうる。
【0061】
膜250の外周259は、研磨パッド部分の外周をほぼ再現しうる。例えば、図4Bに示したように、研磨パッド部分200が円形の場合、膜250も同様に円形になりうる。しかしながら、膜250の外周259は、尖った角を含まないように滑らかに湾曲されうる。例えば、研磨パッド部分200が正方形の場合、膜250は丸くなった四隅を有する正方形、すなわち角丸正方形(squircle)になる。
【0062】
図5A図5Fを参照すると、研磨パッド部分200の研磨面220はテクスチャード加工されてもよく、例えば、凹部224を含む。幾つかの実装では、凹部224は研磨速度を上げることができる。任意の特定の理論に限定されるものではないが、小型の研磨パッドで研磨する場合、研磨速度は「エッジ」、すなわち、凹部の垂直側面と結果的に生ずる平坦凸部の水平面との交差部分の数によって影響されうる。溝は大きめのパッド(すなわち、基板よりも大きいパッド)で使用されうるが、小型パッドの距離のスケールでは、スラリ分散はさほど問題にならないとみなされうる。例えば、研磨パッドの粗面は、小型パッドの距離のスケールではスラリを十分に分散させうるため、スラリ分散に溝が必要になることはない。
【0063】
図5Aを参照すると、幾つかの実装では、凹部224は、研磨面を別々の平坦凸部230に分割する複数の溝によってもたらされる。例えば、溝は、第1の複数の平行な溝240と、第1の複数の溝に垂直な(直交する)第2の複数の平行な溝242を含みうる。したがって、溝は相互接続された矩形のグリッド、例えば、個々に分離された矩形の平坦凸部224(研磨パッド部分のエッジ202によって切り落とされた平坦凸部を除く)を有する正方形のグリッドを形成する。わずか数本の溝であってもよく、例えば、第1の複数の溝に関しては2~6本の溝で、同様に第2の複数の溝に関しても2~6本の溝であってもよい。溝のピッチに対する溝の幅の比率は(研磨パッド表面220に平行な方向で)約1:2.5から1:4になりうる。溝240、242は約0.4~2mm幅、例えば、約0.8mmの幅で、約2~6mm、例えば約2.5mmのピッチを有しうる。
【0064】
図5Bを参照すると、幾つかの実装では、凹部224は、研磨パッド部分200の円周Pから径方向内向きに延在する。凹部224は、円周Pから中心Cまで部分的にのみ、例えば、パッド半径の20~80%だけ延在しうる。その結果得られる研磨パッド面220は、凹部のない中心領域234と、中心領域234から外向きに延在する複数のパーティション236とを含む単一の平坦凸部232を含む。中心領域234は円形であってもよい。研磨パッド部分200は、径方向に延在するパーティション236を6個~30個含みうる。凹部224は、パーティション236が径方向の長さに沿ってほぼ一様な幅を有しうるように、構成されうる。パーティション236の端部は円周Pで丸められうる。
【0065】
図5Cを参照すると、幾つかの実装では、凹部224は同心円状の溝である。結果として得られる研磨パッド面220は、複数の同心円状の溝232によって形成される。平坦凸部232は、研磨パッド部分200の半径に沿って、一様に離間されうる。3個から20個の平坦凸部232が存在しうる。円形平坦凸部232の幅は約1~5mmで、凹部224の幅は約0.5~3mmになりうる。
【0066】
図5Dを参照すると、幾つかの実装では、研磨面220は研磨パッド部分200の下方部分からの複数の分離された突起232によってもたらされ、凹部224は突起232の間に間隙をもたらす。各突起は、他の任意の平坦凸部によって囲まれていない、それ自体の平坦凸部をもたらす。個々の突起は円形であってよい。突起232は、研磨パッド部分200全体に一様に広がりうる。突起232の(研磨パッド面220に平行な方向の)幅は、隣接する突起232間の間隙の幅の約1~2倍の大きさになりうる。突起232は約0.5~5mmの幅になりうる。隣接する突起232間の間隙の幅は約0.5~3mmになりうる。
【0067】
オプションにより、中心領域230は、一又は複数の付加的な凹部、例えば、環状平坦凸部236を画定する円形凹部を含みうる。代替的に、中心領域230は凹部なしで形成されうる。代替的に、中心領域234は、研磨パッド部分の残りの部分と同じ突起パターンを有しうる。
【0068】
図5Eを参照すると、幾つかの実装では、凹部224は研磨パッド部分200の円周Pから径方向内向きに延在する。凹部224は、円周Pから中心Cまで部分的にのみ、例えば、パッド半径の20~80%だけ延在しうる。凹部224は、その径方向の長さに沿って一様な幅を有しうる。結果として得られる研磨パッド面220は、凹部のない中心領域234を含む一又は複数の平坦凸部232と、中心領域234から外に向かって延在する複数のパーティション236(隣接する凹部間の領域)を含む。特に、結果として得られるパーティション236は一般的に三角形である。
【0069】
凹部224は、正確に径方向に延在する必要はない。例えば、凹部224は、中心Cと円周Pの凹部の端部とを通る径方向のセグメントから、約10°~30°の角度Aだけオフセットされうる。研磨パッド部分200は、径方向に延在するパーティション236を6個~30個含みうる。中心領域234は、一又は複数の付加的な凹部、例えば、環状溝238を含みうる。代替的に、中心領域234は凹部なしで形成さえうる。
【0070】
図5Fを参照すると、幾つかの実装では、研磨面を別々の平坦凸部に分割する溝の代わりに、平坦凸部232は研磨面を別々の凹部に分離する。例えば、平坦凸部は第1の複数の平行な壁246と、第2の複数の平行な壁248を含みうる。第2の複数の壁は第1の複数の壁に対して垂直になりうる。例えば、平坦凸部232の壁246、248は、相互接続された矩形のグリッド、例えば、個々に分離された矩形の凹部224を含む正方形のグリッドを形成することができる。この構成は「ワッフル」パターンと称されることがある。平坦凸部232の壁246、248は、研磨パッド部分200を横切って一様に離間することができる。壁246、248は(研磨パッド面220に平行な方向に)約0.5~5mmの幅であってよく、壁の間の凹部の幅は約0.3~4mmになりうる。
【0071】
付加的なパーティション249は、研磨パッド部分200の円周Pに形成されうる。このパーティション249は、いずれの凹部224も研磨パッド部分200の側壁まで延在しないことを保証するため、壁246、248の残りの部分を取り囲む。研磨パッド部分200が円形であると仮定すると、パーティション249も同様に円形となる。
【0072】
図5Gを参照すると、幾つかの実装では、研磨面220は、研磨パッド部分200の下方部分からの複数の分離された突起232によって提供される。突起232は平坦凸部を提供する。凹部224は、突起232の間に間隙をもたらす。個々の突起は円形であってよい。突起232は、研磨パッド部分200全体に一様に広がりうる。突起232の(研磨パッド面220に平行な方向の)幅Wは、隣接する突起232間の間隙の幅Gの約2~10倍の大きさになりうる。突起232は約1~5mmの幅になりうる。
【0073】
上述の実装の各々で、複数のエッジは、研磨面とより多くのパーティションの側壁との間に画定される。加えて、上述の実装の各々で、平坦凸部の側壁は研磨面に対して垂直である。
【0074】
円形の外周を有する研磨パッド部分は上述のとおりであるが、他の形状、例えば、正方形、六角形、長方形などの多角形の外周も可能である。一般的に、外周は凸形状を形成しうる。すなわち、その形状を通って引かれる(エッジ又はコーナーに接していない)任意の直線は、境界線のちょうど2倍に対応する。
【0075】
説明されている構成の幾つかは、作られた研磨パッドへのフライス加工や溝の切削など、従来の技術では都合よく作ることはできない。しかし、これらのパターンは、研磨パッド部分3D印刷によって製造されうる。
【0076】
4.研磨パッドキャリア
図6を参照すると、研磨パッドアセンブリ240は、研磨パッド部分200に制御可能な下向きの圧力を加えるように構成される研磨パッドキャリア300によって保持される。
【0077】
研磨パッドキャリアは、ケーシング310を含む。ケーシング310は一般的に、研磨パッドアセンブリ250を取り囲むことができる。例えば、ケーシング310は、少なくとも研磨パッドアセンブリ250の膜250が配置される内部空洞を含みうる。
【0078】
ケーシング310はまた、研磨パッド部分200が中へ延在する開口部312を含む。研磨パッド200の側壁202は、例えば、約0.5~2mmの幅Wを有する間隙によって、開口部312の側壁314から分離可能である。研磨パッド200の側壁202は、開口部312の側壁314に平行になりうる。
【0079】
膜250は空洞320を横断して延在し、空洞320を上方チャンバ322と下方チャンバ324に分割する。開口部312は下方チャンバ324を外部環境に接続する。膜254は、上方チャンバ320は加圧可能になるように、上方チャンバ320を密閉することができる。例えば、膜250が流体不透過性であると仮定すると、膜250のエッジ254はケーシング310に固定可能である。
【0080】
幾つかの実装では、ケーシング310は上方部分330と下方部分340を含む。上方部分330は、上方チャンバ322を取り囲む下向きに延在するリム332を含むことができ、下方部分340は、下方チャンバ342を取り囲む上向きに延在するリム342を含むことができる。
【0081】
上方部分330は、例えば、上方部分330の孔を通って、下方部分340のねじ切りされた受容孔の中へ延在するねじによって、下方部分340に着脱式で固定することができる。当該部分を着脱式で固定できるようにすることによって、研磨パッド部分200が摩耗したときには、研磨パッドアセンブリ240は取り外して交換することができる。
【0082】
膜250のエッジ254は、ケーシング310の上方部分330と下方部分340との間に固定可能である。例えば、膜250のエッジ254は、上方部分330のリム332の底面334と下方部分340のリム342の上面342との間で圧縮される。幾つかの実装では、上方部分330又は下方部分332のいずれかは、膜250のエッジ254を受容するように形成された凹部領域を含むことができる。
【0083】
ケーシング310の下方部分340は、リム342から水平方向内向きに延在するフランジ部分350を含む。下方部分340、例えば、フランジ350は、開口部312の領域を除き、膜250全体を横切って延在しうる。これにより、膜250を研磨デブリから保護し、膜250の寿命を延ばすことができる。
【0084】
ケーシング310の第1の通路360は、導管82を上方チャンバ322に接続する。これにより圧力源80はチャンバ322内の圧力を制御し、その結果下向きの圧力と膜250の撓みを制御し、更に基板10上の研磨パッド部分200への圧力を制御することができる。
【0085】
幾つかの実装では、上方チャンバ322が標準大気圧のとき、研磨パッド部分200は開口部312全体を通って延在し、ケーシング310の下面352を越えて突出する。幾つかの実装では、上方チャンバ322が標準大気圧のとき、研磨パッド部分200は開口部312の中へ部分的に延在し、ケーシング310の下面352を越えて突出しない。しかしながら、後者の場合、上方チャンバ322に適切な圧力を印加することによって、研磨パッド部分200がケーシング310の下面352を越えて突出するように、膜250を撓ませることができる。
【0086】
ケーシング310内のオプションの第2の通路362は、導管64を下方チャンバ324に接続する。研磨処理中に、スラリ62はリザーバ60から下方チャンバ324に流れ込み、研磨パッド部分200とケーシング310の下方部分との間の間隙を通ってチャンバ324の外へ流れ出ることができる。これにより、基板に接触する研磨パッドの部分に近接してスラリを供給することができる。その結果、スラリを少量で供給し、処理コストを低減することができる。
【0087】
ケーシング310内のオプションの第3の通路364は、導管72を下方チャンバ324に接続する。処理中、例えば、研磨処理後、洗浄流体は供給源70から下方チャンバ324へ流れることができる。これにより、研磨処理中に、研磨流体は下方チャンバ324から取り除かれる。これは、下方チャンバ324内でのスラリの凝集を防ぎ、結果として研磨パッドアセンブリ240の寿命を延ばし、故障を低減する。
【0088】
ケーシング310の下面352、例えば、フランジ350の下面は研磨中、基板10の上面12にほぼ平行に延在することができる。フランジ344の上面354は、内向きに測定した場合、外側上方部分330から傾斜している傾斜領域356を含むことができる。この傾斜領域356は、上方チャンバ322に圧力が加わったとき、膜250が内面354に接触しないように支援し、また、研磨処理中に膜250が開口部312を通るスラリ62の流れをブロックしないように支援することができる。代替的に、又は追加的に、フランジ354の上面354は、チャネル又は溝を含むことができる。膜250が上面354に接触する場合でも、スラリはチャネル又は溝を通って流れ続けることができる。
【0089】
図3は、下方部分340のリム342の側壁に現れる通路362及び364を示しているが、他の構成も可能である。例えば、通路362及び364の一方又は両方は、フランジ354の内面354に、或いは開口部312の側壁314内にも現れる。
【0090】
5.パッドの駆動システム及び軌道運動
図1図7及び図8を参照すると、研磨駆動システム500は、研磨処理中に、連結された研磨パッドキャリア300と研磨パッド部分200を軌道運動で動かすように構成されうる。特に、図7で示されているように、研磨駆動システム500は、研磨処理中に、基板に対して固定された角度配向で研磨パッドを維持するように構成されうる。
【0091】
図7は研磨パッド部分200の初期位置P1を示す。軌道を通る移動距離の4分の1、2分の1、及び4分の3での研磨パッド部分200の追加位置P2、P3、及びP4を透視図で示している。エッジマーカーEの位置で示されるように、研磨パッドは、軌道を通る移動中に、固定された角度配向に留まる。
【0092】
更に図7を参照すると、基板に接触している研磨パッド部分200の軌道の半径Rは、研磨パッド部分200の最大横寸法Dよりも小さくなりうる。幾つかの実装では、研磨パッド部分200の軌道の半径Rは接触領域の最小横寸法よりも小さい。円形研磨領域の場合には、研磨パッド部分200の最大横寸法Dである。例えば、軌道の半径は、研磨パッド部分200の最大横寸法の約5~50%、例えば、5~20%になりうる。直径20~30mmの研磨パッド部分の場合には、軌道の半径は1~6mmになりうる。これは、基板に対して、研磨パッド部分200の接触領域内で、より一様な速度プロファイルを実現する。研磨パッドは、毎分1000~5000回転(rpm)の速度で好ましい軌道を周回しうる。
【0093】
図1図6、及び図8を参照すると、研磨駆動システム500の駆動トレインは、例えば回転式アクチュエータなどの単一のアクチュエータ540で軌道運動を実現することができる。円形の凹部334は、ケーシング310の上面336、例えば、上方部分330の上面に形成されうる。凹部334の半径以下の半径を有する円形ローター510は、凹部334の内側に適合するが、研磨パッドキャリア300に対しては自由に回転することができる。ローター510は、オフセット駆動シャフト520によって、モーター530に接続されている。モーター530は支持構造体355から吊るすことができ、位置決め駆動システム560の可動部分に取り付けて動かすことができる。
【0094】
オフセット駆動シャフト520は、軸524の周りに回転するモーター540に接続される上方駆動シャフト部分522を含むことができる。駆動シャフト520はまた、上方駆動シャフト522に接続されるが、例えば、水平方向に延在する部分528によって、上方駆動シャフト522から横方向にオフセットされる、下方駆動シャフト部分526を含む。
【0095】
処理中、上方駆動シャフト522の回転により、下方駆動シャフト526とローター510は共に軌道を描いて回転する。ケーシング310の凹部334の内面に対するローター510の接触により、研磨パッドキャリア300は同様な軌道運動を行うように強いられる。
【0096】
下方駆動シャフト526がローター510の中心に接触すると仮定すると、下方駆動シャフト526は、上方駆動シャフト522から、軌道の望ましい半径をもたらす距離Sだけオフセットされうる。具体的には、オフセットによって、下方駆動シャフト522が半径Sの円で回転する場合には、凹部344の直径をT、ローターの直径をUとすると、R=S-((T-U)/2)となる。
【0097】
複数の回転防止リンク550、例えば4個のリンクは、研磨パッドキャリア300の回転を防止するため、位置決め駆動システム560から研磨パッドキャリア300まで延在する。回転防止リンク550は、研磨パッドキャリア300及び支持構造体500の受容孔に適合するロッドであってよい。ロッドは、ナイロンなど、可撓性はあるが一般的に伸長しない材料から形成されうる。このように、ロッドはわずかに撓むことができるため、研磨パッドキャリア300の軌道運動は可能にするが、回転は防止する。したがって、回転防止リンク550は、ローター510の運動と連動して、研磨パッドキャリア300と研磨パッド部分200の角度配向が研磨処理中に変化しない、研磨パッドキャリア300と研磨パッド部分200の軌道運動を実現する。軌道運動の利点は、より一様な速度プロファイルであり、結果的に単純な回転よりも一様な研磨となる。幾つかの実装では、回転防止リンク550は、研磨パッドキャリア300の中心の周りで、等しい角度間隔で離間されうる。
【0098】
幾つかの実装では、研磨駆動システム及び位置決め駆動システムは、同じ構成要素によって提供される。例えば、単一の駆動システムは、パッド支持ヘッドを2つの垂直方向に動かすように構成された2つのリニアアクチュエータを含みうる。位置決めのために、コントローラは、アクチュエータがパッド支持体を基板上の所望の位置に動かすことができる。研磨のために、コントローラは、例えば、位相オフセット正弦波信号(phase offset sinusoidal signal)を2つのアクチュエータに適用することによって、アクチュエータがパッド支持体を軌道運動で動かすようにすることができる。
【0099】
幾つかの実装では、研磨駆動システムは、2つの回転式アクチュエータを含みうる。例えば、研磨パッド支持体は、第1の回転式アクチュエータから吊り下げられ、次いで、第2の回転式アクチュエータから吊り下げられてもよい。研磨処理中、第2の回転式アクチュエータは、研磨パッドキャリアを軌道運動でスイープさせるアームを回転させる。第1の回転式アクチュエータは、例えば、第2の回転式アクチュエータと反対方向であるが同じ回転速度で回転して、回転運動を相殺する。それにより、研磨パッドアセンブリは、基板に対して実質的に固定された角位置に留まりながら軌道運動する。
【0100】
6.結論
基板上の不均一なスポットの大きさは、そのスポットを研磨するときのローディング領域の理想的な大きさを決定付ける。ローディング領域が大きすぎると、基板上の一部の領域での研磨不足の修正が、他の領域の過剰研磨引き起こすことがある。その一方で、ローディング領域が小さすぎると、研磨不足の領域をカバーするために基板を横切ってパッドを動かさなければならず、結果としてスループットが低下する。したがって、この実装によって、ローディング領域をスポットの大きさに適合させることができる。
【0101】
回転とは対照的に、軌道運動は、基板に対する研磨パッドの固定配向を維持し、研磨領域全体にわたってより均一な研磨速度をもたらすことができる。
【0102】
本明細書で使用されているように、基板という用語は、例えば、製品基板(例えば、複数のメモリ又はプロセッサダイを含む)、テスト基板、ベア基板、及びゲーティング基板を含みうる。基板は、集積回路の製造の様々な段階のものであってよく、例えば、基板はベアウエハであってよく、又は基板は一又は複数の堆積層及び/またはパターン層を含むことができる。
【0103】
本発明の数多くの実施形態について説明した。しかしながら、本発明の本質及び範囲から逸脱しない限り、様々な修正が行われうることを理解されたい。例えば、基板支持体は、幾つかの実施形態では、基板を研磨パッドに相対する位置に動かすことが可能な固有のアクチュエータを含みうる。別の例として、上述のシステムは、基板が実質的に固定された位置で保持されている間に研磨パッドを軌道経路で動かす駆動システムを含むが、その代わりに、研磨パッドが実質的に固定された位置に保持され、基板が軌道経路で動かされてもよい。この場合、研磨駆動システムは、似たようなシステムであってもよいが、研磨パッド支持体ではなく基板支持体に連結される。
【0104】
一般的に円形の基板が想定されるが、これは必要条件ではなく、支持体及び/又は研磨パッドは、長方形などの他の形状であってもよい(この場合、「半径」又は「直径」に関する説明は、概して、主軸に沿う横方向寸法に当てはまる)。
【0105】
相対位置決めという用語は、システムの構成要素を互いに対して位置決めすることを意味するときに使用され、必ずしも重力に対してではない。研磨面及び基板は垂直配向又は他の配向に保持されうることを理解されたい。しかしながら、開口部がケーシングの底部にあって、重力に対して配置することは、重力がケーシングから外に出るスラリの流れを支援しうるため、特に有利になりうる。
【0106】
したがって、その他の実施形態は下記の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
図8