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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】搬送装置および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023520440
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2022045030
【審査請求日】2023-04-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】関 正也
(72)【発明者】
【氏名】山田 展也
(72)【発明者】
【氏名】富田 正輝
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-057379(JP,A)
【文献】特開2012-069957(JP,A)
【文献】特開2011-100883(JP,A)
【文献】特開平05-051112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 1/00
B66F 7/00
B21D 43/00
E04H 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を昇降方向および昇降方向に直交する走行方向に搬送するように構成された搬送装置であって、
基板搬入出口を有する処理モジュールを設置するためのモジュールフレームの側面に固定される取り付け部材であって、前記基板搬入出口の昇降方向における両側に配置され走行方向に伸びる複数の走行レールを含む、取り付け部材を有し、
前記取り付け部材は、前記側面に固定され昇降方向に伸びる複数の固定レールをさらに含み、前記複数の走行レールは、前記複数の固定レールに固定され、前記複数の固定レールおよび前記複数の走行レールは、前記基板搬入出口を囲むように配置され、
前記搬送装置はさらに、前記複数の走行レールの側面に跨って昇降方向に伸び、前記複数の走行レールの側面に沿って移動可能な昇降レールと、
前記昇降レールに沿って昇降可能であり、基板を保持するためのハンドを有する搬送ロボットと、
を含む、
搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ロボットは、水平に保持した基板の天地を反転することができるように構成されている、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記複数の固定レールおよび前記複数の走行レールは、昇降方向および走行方向の少なくとも一方向に並んで前記モジュールフレームに設置された複数の処理モジュールの複数の基板搬入出口を囲むように配置される、
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
基板搬入出口が形成された第1の側面を有する第1の処理モジュールと、
基板搬入出口が形成された第2の側面を有する第2の処理モジュールと、
前記第1の処理モジュールを設置するための第1のモジュールフレームと、
前記第2の処理モジュールを設置するための第2のモジュールフレームであって、前記第1の側面と前記第2の側面が対向するように、前記第1のモジュールフレームと間隔をあけて配置された、第2のモジュールフレームと、
前記第1の側面と前記第2の側面に囲まれて形成される基板搬送空間と、
前記基板搬送空間に配置され前記第1のモジュールフレームまたは前記第2のモジュールフレームの側面に取り付けられた請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送装置と、
を含む、基板処理装置。
【請求項5】
前記基板搬送空間の上方に配置され、前記基板搬送空間に対して気体を供給するように構成されたたファンモジュールをさらに含む、
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の処理モジュールおよび前記第2の処理モジュールは、基板に対してめっき処理を行うめっきモジュールを含む、
請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の処理モジュールは、基板に対してプリウェット処理を行うプリウェットモジュールをさらに含み、
前記第2の処理モジュールは、基板を乾燥させるための乾燥モジュールをさらに含む、
請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記搬送ロボットの走行方向において前記基板搬送空間に隣接する第1の領域には、基板カセット、前記プリウェットモジュール、および前記乾燥モジュールの間で基板の受け渡しを行うためのドライロボットが配置され、
前記搬送ロボットの走行方向において前記第1の領域の反対側で前記基板搬送空間に隣接する第2の領域には、基板処理装置の外部から前記基板搬送空間に配置された前記搬送装置に対してアクセスするためのアクセス口が形成される、
請求項7に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、搬送装置および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板(例えば半導体ウェハ)の被処理面に対して各種処理を行うための基板処理装置が知られている。基板処理装置は、例えば、基板の被めっき面に導電膜を形成するための電解めっき装置、または基板の被研磨面を研磨して平坦化するための化学機械研磨(CMP)装置などである。
【0003】
基板処理装置は、装置内部で基板を搬送するための搬送装置を備えている。特許文献1に開示された搬送装置は、基板処理装置の床面に水平方向に伸びる水平動作アセンブリと、水平動作アセンブリ上に垂直に取り付けられた垂直動作アセンブリと、垂直動作アセンブリに取り付けられたロボットアセンブリと、を備えている。搬送装置は、ロボットアセンブリを垂直動作アセンブリに沿って昇降方向に移動させ、垂直動作アセンブリを水平動作アセンブリに沿って水平方向に移動させることにより、ロボットアセンブリに保持された基板を搬送するように構成される。
【0004】
さらに、特許文献1には、垂直動作アセンブリの頂部にも水平動作アセンブリを設けることによって、搬送装置の剛性を高めて基板の水平方向の移動速度を高めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許8,066,466B2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された搬送装置は、基板の搬送速度を向上させ、かつ、基板の被処理面にパーティクルが付着するのを抑制することは考慮されていない。
【0007】
すなわち、基板処理装置では、基板搬送路の上部にファンフィルタモジュールを設け、基板の被処理面に対して清浄空気を供給することによって、被処理面にパーティクルが付着するのを抑制することが知られている。この点、特許文献1に開示された搬送装置のように、搬送装置に保持された基板の直上に水平動作アセンブリが設置されていると、被処理面に対して清浄空気を供給するのが難しくなり、その結果、被処理面にパーティクルが付着するおそれがある。
【0008】
そこで、本願は、基板の搬送速度を向上させ、かつ、基板の被処理面にパーティクルが付着するのを抑制することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、基板を昇降方向および昇降方向に直交する走行方向に搬送するように構成された搬送装置であって、基板搬入出口を有する処理モジュールを設置するためのモジュールフレームの側面に固定される取り付け部材であって、前記基板搬入出口の昇降方向における両側に配置され走行方向に伸びる複数の走行レールを含む、取り付け部材と、前記複数の走行レールに跨って昇降方向に伸び、前記複数の走行レールに沿って移動可能な昇降レールと、前記昇降レールに沿って昇降可能であり、基板を保持するためのハンドを有する搬送ロボットと、を含む、搬送装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
図2A図2Aは、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図2B図2Bは、図2AのB-B線における断面図である。
図2C図2Cは、図2BのC-C線における断面図である。
図3図3は、一実施形態のモジュールフレームの一部の構成を概略的に示す斜視図である。
図4A図4Aは、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図4B図4Bは、図4AのB-B線における断面図である。
図4C図4Cは、図4BのC-C線における断面図である。
図5図5は、一実施形態の搬送装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図6A図6Aは、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図6B図6Bは、図6AのB-B線における断面図である。
図6C図6Cは、図6BのC-C線における断面図である。
図7A図7Aは、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図7B図7Bは、図7AのB-B線における断面図である。
図7C図7Cは、図7BのC-C線における断面図である。
図8A図8Aは、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図8B図8Bは、図8AのB-B線における断面図である。
図8C図8Cは、図8BのC-C線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。なお、以下の実施形態では、基板処理装置の一例としてめっき装置を挙げて説明するが、これに限らず、基板の被研磨面を研磨して平坦化するための化学機械研磨(CMP)装置に本実施形態の搬送装置を適用することもできる。
【0012】
<めっき装置の全体構成>
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。図2Aは、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。図1、2Aに示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、めっきモジュール400、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、および、制御モジュール800を備える。
【0013】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収納された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出したりするためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数および配置は任意である。搬送ロボット(ドライロボット)110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、プリウェットモジュール200およびスピンリンスドライヤ600の間で基板を受け渡すように構成される。
【0014】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では1台のアライナ120が配置されているが、アライナ120の数および配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数および配置は任意である。
【0015】
めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施すためのモジュールである。本実施形態では、めっきモジュール400は、搬送装置700の走行路を挟んで一方側に配置された8台のめっきモジュール400Aと、搬送装置700の走行路を挟んで反対側に配置された8台のめっきモジュール400Bと、を含む。本実施形態では、合計16台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数および配置は任意である。
【0016】
スピンリンスドライヤ600は、めっき処理後の基板を高速回転させて乾燥させるための乾燥モジュールの一形態である。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤが上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤの数および配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0017】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収納された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板をプリウェットモジュール200へ受け渡す。
【0018】
プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
【0019】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を、複合めっき処理のために他のめっきモジュール400へ搬送する、またはスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送ロボット110は、スピンリンスドライヤ600から基板を受け取り、乾燥処理を施した基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収納したカセットが搬出される。
【0020】
次に、めっき装置1000の詳細を説明する。図2Bは、図2AのB-B線における断面図である。図2Cは、図2BのC-C線における断面図である。図2A図2Cにおいては、便宜上、搬送装置700の走行方向をX方向、搬送ロボット110の走行方向をY方向、鉛直方向をZ方向とする。
【0021】
図2A図2Cにおいて、第1の処理モジュールの一例であるプリウェットモジュール200およびめっきモジュール400Aは、破線で示された第1のモジュールフレーム402Aに設置されている。また、制御モジュール800も、破線で示された第1のモジュールフレーム402Aに設置されている。また、第2の処理モジュールの一例であるめっきモジュール400Bおよびスピンリンスドライヤ600は、破線で示された第2のモジュールフレーム402Bに設置されている。なお、第1のモジュールフレーム402Aおよび第2のモジュールフレーム402Bは、図2Aおよび図2Bに破線で示すように、隣接配置された複数のモジュールフレームを含んで構成される。また、本実施形態では2台の制御モジュール800が第1のモジュールフレーム402Aに設置される例を示したが、これに限らず制御モジュール800は第2のモジュールフレーム402Bに設置されてもよい。
【0022】
図3は、一実施形態のモジュールフレームの一部の構成を概略的に示す斜視図である。図3は、モジュールフレームの一部として、4台のめっきモジュール400Aが設置される第1のモジュールフレーム402Aと、4台のめっきモジュール400Bが設置される第2のモジュールフレーム402Bと、これらの下部に配置されるベースフレーム406と、を示している。図3に示すように、第1のモジュールフレーム402Aおよび第2のモジュールフレーム402Bは、めっきモジュール400などを設置するための骨組みのラックである。第1のモジュールフレーム402Aおよび第2のモジュールフレーム402Bは、めっきモジュール400に使用するめっき液のタンク、およびめっき液を圧送するためのポンプなどを設置するためのベースフレーム406上にそれぞれ配置されている。
【0023】
各めっきモジュール400Aは、搬送装置700との間で基板の受け渡しを行うための基板搬入出口404(404-1~404-8)が形成された第1の側面405Aを有する。また、各プリウェットモジュール200は、搬送装置700との間で基板の受け渡しを行うための基板搬入出口204(204-1,204-2)が形成された第1の側面205を有する。一方、各めっきモジュール400Bは、搬送装置700との間で基板の受け渡しを行うための基板搬入出口404が形成された第2の側面405Bを有する。また、各スピンリンスドライヤ600は、搬送装置700との間で基板の受け渡しを行うための基板搬入出口604が形成された第2の側面605を有する。
【0024】
第1のモジュールフレーム402Aおよび第2のモジュールフレーム402Bは、第1の側面405A,205と、第2の側面405B,605と、が対向するように、互いに間隔をあけて配置されている。これにより、第1の側面405A,205と、第2の側面405B,605と、の間には基板搬送空間701が形成される。基板搬送空間701には搬送装置700が配置される。
【0025】
<搬送装置の構成>
次に、搬送装置700の詳細を説明する。図2に示すように、搬送装置700は、第1のモジュールフレーム402Aの側面(基板搬入出口204および基板搬入出口404が配置される側面)に固定される取り付け部材710-1と、取り付け部材710-1に取り付けられた昇降レール716と、基板を保持するためのハンドを有する搬送ロボット718と、を備える。
【0026】
取り付け部材710-1は、昇降レール716および搬送ロボット718を第1のモジュールフレーム402Aの側面に取り付けるための部材である。取り付け部材710-1は、第1のモジュールフレーム402Aおよびベースフレーム406の側面に固定され走行方向(X方向)に伸びる複数(本実施形態では3本)の走行レール714(714-1~714-3)を含む。走行レール714-1,714-2は、基板搬入出口204-1,204-2および基板搬入出口404-1~404-8のZ方向における両側に配置される。走行レール714-3は、走行レール714-2の下部に配置される。なお、本実施形態では、取り付け部材710-1の剛性を高めるために3本の走行レール714を設ける例を示したが、これに限らず、2本の走行レール(走行レール714-1,714-2、または、走行レール714-1,714-3)を設けてもよい。また、本実施形態では、走行レール714-2,714-3がベースフレーム406の側面に固定される例を示したが、これに限らず、走行レール714-2,714-3は第1のモジュールフレーム402Aの側面に固定されてもよい。
【0027】
昇降レール716は、複数の走行レール714の側面に跨って昇降方向に伸び、複数の走行レール714の側面に沿って移動可能に構成されている。具体的には、昇降レール716は、走行レール714に沿って移動可能なスライダ715を介して走行レール714に取り付けられている。昇降レール716は、図示していない駆動部材(例えばモータ)によって走行レール714に沿って移動するように構成される。
【0028】
搬送ロボット718は、昇降レール716に沿って昇降可能な部材である。具体的には、搬送ロボット718は、図示していない駆動部材(例えばモータ)によって昇降レール716に沿って昇降可能に構成される。搬送装置700は、昇降レール716を走行方向に移動させ、搬送ロボット718を昇降方向に移動させることによって、基板をX方向およびZ方向に搬送することができる。これにより、搬送装置700は、基板の搬送先となる処理モジュールの基板搬入出口の前に基板を搬送することができる。
【0029】
さらに、搬送ロボット718は、水平面内において昇降レール716を中心にハンドを旋回させることができるように構成されている。これにより、搬送ロボット718は、基板搬入出口の前に基板が搬送された後、ハンドを旋回させることによって、取り付け部材710-1を介して基板を処理モジュール内に搬送することができる。なお、搬送ロボット718は、水平保持した基板の天地を反転することができるように構成されている。これにより、搬送ロボット718は、例えば被めっき面を下向きにしてめっき処理された基板を反転させて被めっき面を上向きにしてスピンリンスドライヤ600に搬送することができる。
【0030】
なお、図2に示した実施形態では、取り付け部材710-1が複数の走行レール714を含む例を示したが、これに限定されない。以下、搬送装置700の変形例を説明する。図4Aは、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。図4Bは、図4AのB-B線における断面図である。図4Cは、図4BのC-C線における断面図である。図5は、一実施形態の搬送装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【0031】
図4および図5に示すように、取り付け部材710-2は、第1のモジュールフレーム402Aの側面に固定され昇降方向(Z方向)に伸びる複数(本実施形態では4本)の固定レール712(712-1~712-4)を含む。固定レール712-1,712-2は、基板搬入出口204-1,204-2および基板搬入出口404-1~404-4のX方向における両側に配置される。固定レール712-3,712-4は、基板搬入出口404-5~404-8のX方向における両側に配置される。
【0032】
また、取り付け部材710-2は、複数の固定レール712に固定され走行方向(X方向)に伸びる複数(本実施形態では3本)の走行レール714(714-1~714-3)を含む。走行レール714-1,714-2は、基板搬入出口204-1,204-2および基板搬入出口404-1~404-8のZ方向における両側に配置される。走行レール714-3は、走行レール714-2の下部に配置される。
【0033】
図4Bに示すように、固定レール712-1,712-2および走行レール714-1,714-2は、基板搬入出口204-1,204-2および基板搬入出口404-1~404-4を囲むように配置される。また、固定レール712-3,712-4および走行レール714-1,714-2は、基板搬入出口404-5~404-8を囲むように配置される。なお、走行レール714-1~714-3は、固定レール712-2,712-3の間で分割可能になっていてもよい。この場合、取り付け部材710-2を、基板搬入出口204-1,204-2および基板搬入出口404-1~404-4を囲む第1の取り付け部材と、基板搬入出口404-5~404-8を囲む第2の取り付け部材に分割することができる。これにより、取り付け部材710-2をめっき装置1000に組み込む際の搬送作業および取り付け作業を簡便に行うことができる。
【0034】
図2B、2C、図4B、4Cに示すように、めっき装置1000は、基板搬送空間701の上方に配置されたファンフィルタユニット408を含む。ファンフィルタユニット408は、基板搬送空間701に対して気体を供給するように構成されたたファンモジュールの一例である。ファンフィルタユニット408を設けることによって、基板搬送空間701に清浄空気のダウンフローを形成することができるので、基板搬送空間701内のパーティクルなどを除去することができる。
【0035】
本実施形態によれば、取り付け部材710-1、710-2は、基板搬入出口204,404を挟んでZ軸方向に間隔をあけて配置された複数の走行レール714を含んで構成されているので、取り付け部材710-1、710-2の剛性を高めることができる。これにより、昇降レール716はX方向に高速で移動することができるので、搬送装置700による基板の搬送速度を向上させることができ、その結果、めっき装置1000のスループットを向上させることができる。
【0036】
これに加えて、本実施形態によれば、基板の被処理面(被めっき面)にパーティクルが付着するのを抑制することができる。すなわち、本実施形態の搬送装置700は、取り付け部材710-1、710-2を介して壁掛け態様で第1のモジュールフレーム402Aの側面に固定されており、取り付け部材710-1、710-2の側面に沿って昇降レール716および搬送ロボット718が移動するように構成されている。したがって、従来技術のようにファンフィルタユニット408と基板との間に剛性を高めるための部材を設ける必要がない。このため、ファンフィルタユニット408から基板の被めっき面に対して清浄空気をダウンフロー供給することができるので、被処理面にパーティクルが付着するのを抑制することができる。
【0037】
また、図2A、2B、図4A、4Bに示すように、搬送ロボット(ドライロボット)110は、搬送ロボット718の走行方向(X方向)において基板搬送空間701に隣接して配置された第1の領域130に配置される。また、搬送ロボット718の走行方向(X方向)において基板搬送空間701に隣接して第1の領域130の反対側に配置された第2の領域810には、めっき装置1000の外部から基板搬送空間701に配置された搬送装置700に対してアクセスするためのアクセス口802が形成される。アクセス口802を設けることによって、作業者は、めっき装置1000を解体することなく、アクセス口802を介して搬送装置700の保守作業を容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施形態において、基板搬送空間701は、プリウェットモジュール200、めっきモジュール400A,400B、スピンリンスドライヤ600の側面に囲まれて形成されている。したがって、基板搬送空間701を形成するための筐体(フレームおよび側壁)を設けなくてもよいため、めっき装置1000の構造を簡素化することができる。また、基板搬送空間701を形成するための筐体を設ける場合、めっきモジュール400A,400Bなどの処理モジュールのX方向のサイズ変更を行うたびに、基板搬送空間701を形成するための筐体を作製する必要がある。これに対して、本実施形態によれば、基板搬送空間701を形成するための筐体を作製する必要がないので、処理モジュールのX方向のサイズを柔軟に変更することができる。
【0039】
次に、めっき装置1000の変形例について説明する。図6Aは、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。図6Bは、図6AのB-B線における断面図である。図6Cは、図6BのC-C線における断面図である。図6に示すめっき装置1000は、取り付け部材の構成以外は、図4に示しためっき装置1000と同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
【0040】
図6に示すように、取り付け部材710-3は、図4の取り付け部材710-2と比較して、固定レール712-2,712-3が設けられていない点が異なる。具体的には、取り付け部材710-3は、固定レール712-1,712-4と、走行レール714-1~714-3と、を含んで構成される。本実施形態によれば、取り付け部材710-3の部材数を減らすことができるので、取り付け部材710-3の搬送および組み立て作業を簡素化することができる。
【0041】
図7Aは、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。図7Bは、図7AのB-B線における断面図である。図7Cは、図7BのC-C線における断面図である。図7に示すめっき装置1000は、取り付け部材の構成以外は、図4に示しためっき装置1000と同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
【0042】
図7に示すように、取り付け部材710-4は、図4の取り付け部材710-2と比較して、追加の固定レール712-5~712-7を含んでいる。具体的には、固定レール712-1,712-5は、基板搬入出口204-1,204-2のX方向における両側に配置される。固定レール712-5,712-6は、基板搬入出口404-1,404-2のX方向における両側に配置される。固定レール712-6,712-2は、基板搬入出口404-3,404-4のX方向における両側に配置される。固定レール712-3,712-7は、基板搬入出口404-5,404-6のX方向における両側に配置される。本実施形態によれば、追加の固定レール712-5~712-7が設けられているので、取り付け部材710-4の剛性をさらに高めることができるので、搬送装置700による基板の搬送速度を向上させることができる。
【0043】
図8Aは、一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。図8Bは、図8AのB-B線における断面図である。図8Cは、図8BのC-C線における断面図である。図8に示すめっき装置1000は、取り付け部材の構成以外は、図4に示しためっき装置1000と同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
【0044】
図8に示すように、取り付け部材710-5は、図4の取り付け部材710-2と比較して、走行レール714-1の設置位置が異なる。具体的には、走行レール714-1,714-2は、基板搬入出口204-2および基板搬入出口404-2,404-4,404-6,404-8のZ方向における両側に配置される。本実施形態によれば、他の部品との干渉などの理由により固定レール712の頂部に走行レール714-1を設けるのが難しい場合にも、取り付け部材710-5の剛性を保つことができる。
【0045】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0046】
本願は、一実施形態として、基板を昇降方向および昇降方向に直交する走行方向に搬送するように構成された搬送装置であって、基板搬入出口を有する処理モジュールを設置するためのモジュールフレームの側面に固定される取り付け部材であって、前記基板搬入出口の昇降方向における両側に配置され走行方向に伸びる複数の走行レールを含む、取り付け部材と、前記複数の走行レールに跨って昇降方向に伸び、前記複数の走行レールに沿って移動可能な昇降レールと、前記昇降レールに沿って昇降可能であり、基板を保持するためのハンドを有する搬送ロボットと、を含む、搬送装置を開示する。
【0047】
さらに、本願は、一実施形態として、前記取り付け部材は、前記側面に固定され昇降方向に伸びる複数の固定レールをさらに含み、前記複数の走行レールは、前記複数の固定レールに固定され、前記複数の固定レールおよび前記複数の走行レールは、前記基板搬入出口を囲むように配置される、搬送装置を開示する。
【0048】
さらに、本願は、一実施形態として、前記複数の固定レールおよび前記複数の走行レールは、昇降方向および走行方向の少なくとも一方向に並んで前記モジュールフレームに設置された複数の処理モジュールの複数の基板搬入出口を囲むように配置される、搬送装置を開示する。
【0049】
さらに、本願は、一実施形態として、基板搬入出口が形成された第1の側面を有する第1の処理モジュールと、基板搬入出口が形成された第2の側面を有する第2の処理モジュールと、前記第1の処理モジュールを設置するための第1のモジュールフレームと、前記第2の処理モジュールを設置するための第2のモジュールフレームであって、前記第1の側面と前記第2の側面が対向するように、前記第1のモジュールフレームと間隔をあけて配置された、第2のモジュールフレームと、前記第1の側面と前記第2の側面に囲まれて形成される基板搬送空間と、前記基板搬送空間に配置され前記第1のモジュールフレームまたは前記第2のモジュールフレームの側面に取り付けられた上記に記載の搬送装置と、を含む、基板処理装置を開示する。
【0050】
さらに、本願は、一実施形態として、前記基板搬送空間の上方に配置され、前記基板搬送空間に対して気体を供給するように構成されたたファンモジュールをさらに含む、基板処理装置を開示する。
【0051】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1の処理モジュールおよび前記第2の処理モジュールは、基板に対してめっき処理を行うめっきモジュールを含む、基板処理装置を開示する。
【0052】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1の処理モジュールは、基板に対してプリウェット処理を行うプリウェットモジュールをさらに含み、前記第2の処理モジュールは、基板を乾燥させるための乾燥モジュールをさらに含む、基板処理装置を開示する。
【0053】
さらに、本願は、一実施形態として、前記搬送ロボットの走行方向において前記基板搬送空間に隣接する第1の領域には、基板カセット、前記プリウェットモジュール、および前記乾燥モジュールの間で基板の受け渡しを行うためのドライロボットが配置され、前記搬送ロボットの走行方向において前記第1の領域の反対側で前記基板搬送空間に隣接する第2の領域には、基板処理装置の外部から前記基板搬送空間に配置された前記搬送装置に対してアクセスするためのアクセス口が形成される、基板処理装置を開示する。
【符号の説明】
【0054】
130 第1の領域
200 プリウェットモジュール
204 側面(基板搬入出口
204,404 基板搬入出口
204 基板搬入出口
205 第1の側面
400 めっきモジュール
402A 第1のモジュールフレーム
402B 第2のモジュールフレーム
404 基板搬入出口
405A 第1の側面
405B,605 第2の側面
408 ファンフィルタユニット
600 スピンリンスドライヤ
604 基板搬入出口
700 搬送装置
701 基板搬送空間
710-1~710-5 取り付け部材
712 固定レール
714 走行レール
716 昇降レール
718 搬送ロボット
802 アクセス口
810 第2の領域
1000 めっき装置
【要約】
基板の搬送速度を向上させ、かつ、基板の被処理面にパーティクルが付着するのを抑制する。
基板を昇降方向および昇降方向に直交する走行方向に搬送するように構成された搬送装置は、基板搬入出口404-1~404-8を有するめっきモジュールを設置するための第1のモジュールフレーム402Aの側面に固定される取り付け部材710-1を含む。取り付け部材710-1は、基板搬入出口404-1~404-8の昇降方向における両側に配置され走行方向に伸びる複数の走行レール714-1~714-3を含む。搬送装置は、複数の走行レール714-1~714-3に跨って昇降方向に伸び、複数の走行レール714-1~714-3に沿って移動可能な昇降レール716と、昇降レール716に沿って昇降可能であり、基板を保持するためのハンドを有する搬送ロボット718と、を含む。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C