(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/235 20110101AFI20230808BHJP
H04N 21/2362 20110101ALI20230808BHJP
H04N 21/435 20110101ALI20230808BHJP
H04N 21/434 20110101ALI20230808BHJP
H04H 20/95 20080101ALI20230808BHJP
【FI】
H04N21/235
H04N21/2362
H04N21/435
H04N21/434
H04H20/95
(21)【出願番号】P 2019129592
(22)【出願日】2019-07-11
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 真也
(72)【発明者】
【氏名】大西 正芳
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-060416(JP,A)
【文献】特開2000-224257(JP,A)
【文献】特開2015-173443(JP,A)
【文献】特表2012-515496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
H04H 20/91 -40/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送システムに用いる送信装置であって、
XMLで記述されたXMLデータのデータ構造を定義するXMLスキーマを用いて、前記XMLデータを圧縮するデータ圧縮部と、
前記データ圧縮部が前記XMLデータを圧縮する際に用いる前記XMLスキーマと、前記データ圧縮部により圧縮された前記XMLデータとを多重化することにより放送コンテンツを出力する多重化部と、
伝送路を介して、前記多重化部が出力する前記放送コンテンツを受信装置に送信する送信部と、を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
制御メッセージを生成する制御メッセージ生成部をさらに備え、
前記制御メッセージ生成部は、前記データ圧縮部が前記XMLデータを圧縮する際に用いる前記XMLスキーマを前記制御メッセージに格納し、
前記多重化部は、前記制御メッセージ生成部が出力する前記制御メッセージと、前記データ圧縮部により圧縮された前記XMLデータとを多重化することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
非同期型汎用データ伝送方式の汎用データを出力する汎用データ送出部をさらに備え、
前記汎用データ送出部は、前記データ圧縮部が前記XMLデータを圧縮する際に用いる前記XMLスキーマを前記汎用データに格納し、
前記多重化部は、前記汎用データ送出部が出力する前記汎用データと、前記データ圧縮部により圧縮された前記XMLデータとを多重化することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項4】
前記多重化部は、前記受信装置に予め格納されたXMLスキーマ及び前記伝送路を介して送信されるXMLスキーマのいずれを前記XMLデータの圧縮展開に用いるべきかを示す情報を前記放送コンテンツに多重化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項5】
前記多重化部は、前記データ圧縮部が前記XMLスキーマを用いたXMLデータ圧縮を継続する期間において、前記データ圧縮部が前記XMLデータを圧縮する際に用いる前記XMLスキーマを前記放送コンテンツに周期的に多重化することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項6】
放送システムに用いる受信装置であって、
伝送路を介して、XMLで記述されたXMLデータのデータ構造を定義するXMLスキーマと、前記XMLスキーマを用いて圧縮された前記XMLデータとが多重化された放送コンテンツを送信装置から受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記放送コンテンツから前記XMLスキーマ及び前記XMLデータを分離する多重分離部と、
前記多重分離部により分離された前記XMLスキーマを用いて、前記多重分離部により分離された前記XMLデータを展開する圧縮データ展開部と、を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項7】
前記XMLスキーマは、MMTで規定された制御メッセージに格納され、
前記多重分離部は、前記放送コンテンツから前記制御メッセージ及び前記圧縮されたXMLデータを分離し、
前記圧縮データ展開部は、前記多重分離部により分離された前記制御メッセージに格納された前記XMLスキーマを用いて、前記多重分離部により分離された前記XMLデータを展開することを特徴とする請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記XMLスキーマは、非同期型汎用データ伝送方式の汎用データに格納され、
前記多重分離部は、前記放送コンテンツから前記汎用データ及び前記圧縮されたXMLデータを分離し、
前記圧縮データ展開部は、前記多重分離部により分離された前記汎用データに格納された前記XMLスキーマを用いて、前記多重分離部により分離された前記XMLデータを展開することを特徴とする請求項6に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送システムに用いる送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、新4K8K衛星放送の字幕符号化方式であるARIB-TTML(Timed Text Markup Language)が規定されている。ARIB-TTMLは、W3Cで勧告化されているTTMLを拡張したXML(Extensible Markup Language)ベースの記述言語であり、テキストの表示タイミングやレイアウトなどを指定できる。
【0003】
ARIB-TTMLを用いて字幕データを符号化すると、地上デジタル放送の字幕符号化方式である8単位符号を用いて符号化した場合と比較して、字幕1ページあたりのデータ量が8~12倍に増加する。
【0004】
このため、新4K8K衛星放送の伝送方式において、ARIB-TTMLで符号化された字幕データであるXMLデータを圧縮して伝送する方式が規定されている(非特許文献2参照)。このときの圧縮方式としては、W3Cで規定されているEXI(Efficient XML Interchange)が用いられる(非特許文献3参照)。
【0005】
EXIを用いてXMLデータを圧縮する際に、XMLデータのデータ構造を定義するXMLスキーマを指定して圧縮を行うschemaIdオプションを用いると、XMLデータを高い圧縮率で圧縮可能である。但し、送信側がXMLスキーマを用いてXMLデータを圧縮する場合、受信機も同じXMLスキーマを持っていないと、圧縮されたデータを正しく展開できない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】電波産業会標準規格:デジタル放送におけるマルチメディア符号化方式(第2世代) 第一編第3部”,ARIB STD-B62 2.1版 (2019)
【文献】電波産業会標準規格:“デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式”,ARIB STD-B60 1.13版 (2018)
【文献】W3C Efficient XML Interchange (EXI) Format 1.0 (Second Edition),W3C Recommendation
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
新4K8K衛星放送の標準規格はARIB-TTMLのXMLスキーマを規定しており、XMLデータを圧縮および展開する際に送信側および受信機が利用可能なXMLスキーマは固定となっている。
【0008】
このため、XMLスキーマを指定してXMLデータを高い圧縮率で圧縮しようとする場合、標準規格で規定されていないXMLスキーマを用いることができず、XMLデータのデータ構造の定義を柔軟に変更できないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、放送システムにおいて、XMLスキーマを用いてXMLデータを高い圧縮率で圧縮可能としつつ、XMLデータのデータ構造の定義を柔軟に変更可能とする送信装置及び受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様に係る送信装置は、放送システムに用いる送信装置であって、XMLで記述されたXMLデータのデータ構造を定義するXMLスキーマを用いて、前記XMLデータを圧縮するデータ圧縮部と、前記データ圧縮部が前記XMLデータを圧縮する際に用いる前記XMLスキーマと、前記データ圧縮部により圧縮された前記XMLデータとを多重化することにより放送コンテンツを出力する多重化部と、伝送路を介して、前記多重化部が出力する前記放送コンテンツを受信装置に送信する送信部とを備えることを要旨とする。
【0011】
第2の態様に係る受信装置は、放送システムに用いる受信装置であって、伝送路を介して、XMLで記述されたXMLデータのデータ構造を定義するXMLスキーマと、前記XMLスキーマを用いて圧縮された前記XMLデータとが多重化された放送コンテンツを送信装置から受信する受信部と、前記受信部が受信した前記放送コンテンツから前記XMLスキーマ及び前記XMLデータを分離する多重分離部と、前記多重分離部により分離された前記XMLスキーマを用いて、前記多重分離部により分離された前記XMLデータを展開する圧縮データ展開部とを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放送システムにおいて、XMLスキーマを用いてXMLデータを高い圧縮率で圧縮可能としつつ、XMLデータのデータ構造の定義を柔軟に変更可能とする送信装置及び受信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る放送システムの構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係る送信装置の構成を示す図である。
【
図3】実施形態に係る字幕・文字スーパーの伝送の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るXMLスキーマを制御メッセージに格納するときのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るMPテーブルの一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るcompression_typeの一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
【
図8】変更例に係る送信装置の構成を示す図である。
【
図9】変更例に係る汎用データの一例を示す図である。
【
図10】変更例に係る受信装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して実施形態について説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0015】
(放送システム)
まず、本実施形態に係る放送システムについて説明する。
図1は、本実施形態に係る放送システム10の構成を示す図である。放送システム10は、例えば新4K8K衛星放送に基づくシステムである。放送システム10は、放送波のみならず通信を伝送路として補完的に利用可能である。
【0016】
図1に示すように、放送システム10は、送信装置100と受信装置300とを有する。送信装置100は、伝送路200を介して受信装置300に放送コンテンツを送信する。
【0017】
伝送路200は、放送伝送路であってもよい。この場合、送信装置100は、放送波によるブロードキャスト伝送を行う。
【0018】
或いは、伝送路200は、通信伝送路であってもよい。この場合、送信装置100は、インターネット等の通信ネットワークによるブロードキャスト伝送、マルチキャスト伝送、又はユニキャスト伝送を行う。
【0019】
送信装置100から伝送路200を介して受信装置300に送信される放送コンテンツは、映像データ、音声データ、及び字幕データを含む。
【0020】
本実施形態において、字幕データは、非特許文献1で規定されるARIB-TTMLを用いて符号化されたXMLデータである。但し、XMLスキーマによって定義されているXMLデータであればよく、XMLデータの種類は字幕データに限定されるものではない。
【0021】
また、本実施形態において、映像データ、音声データ、及び字幕データ(XMLデータ)は、非特許文献2で規定されるMMT(MPEG Media Transport)を用いて多重化された状態で送信装置100から受信装置300に送信されるものとする。
【0022】
(送信装置)
次に、本実施形態に係る送信装置100について説明する。
図2は、本実施形態に係る送信装置100の構成を示す図である。
【0023】
図2に示すように、送信装置100は、映像送出部101と、音声送出部102と、データ圧縮部103と、制御メッセージ生成部105と、多重化部106と、送信部107とを有する。
【0024】
映像送出部101は、放送コンテンツを構成する映像データを、映像符号化方式に従って圧縮符号化したうえで多重化部106に出力する。
【0025】
音声送出部102は、放送コンテンツを構成する音声データを、音声符号化方式に従って圧縮符号化したうえで多重化部106に出力する。
【0026】
データ圧縮部103は、放送コンテンツを構成する字幕データであるXMLデータを、ARIB-TTMLに従って符号化するとともに、非特許文献3で規定されたEXIに従ってXMLデータを圧縮したうえで多重化部106に出力する。以下において、データ圧縮部103により圧縮されたXMLデータを「圧縮XMLデータ」と呼ぶ。圧縮XMLデータには、字幕に限らず、文字スーパーが含まれてもよい。なお、字幕とは、放送コンテンツの映像内容と関係のあるテキストをいい、文字スーパーとは、放送コンテンツの映像内容と関係のないテキスト(例えば、緊急ニュース等)をいう。
【0027】
図3は、字幕・文字スーパーの伝送の一例を示す図である。スケジュールに従って送出される番組の連続は「サービス」と呼ばれる。
図3に示すように、MMTでは、放送コンテンツの単位を「パッケージ」として定義しているが、このパッケージをサービスと一対一に対応付けて用いる。
【0028】
MMTでは、映像データや音声データなどのコンポーネントをアセットと定義する。アセットは、MPU(Media Processing Unit)が連続した構造となる。番組は、1つ以上のアセット及び制御メッセージから構成されるパッケージとして定義される。
【0029】
字幕・文字スーパー伝送方式では、1つのアセットで1つの言語の字幕又は文字スーパーを伝送する。したがって、多言語の字幕や文字スーパーを伝送するには、複数のアセットを用いて伝送する。
図3では、字幕、文字スーパーをそれぞれ2言語伝送する例を示している。
【0030】
データ圧縮部103は、XMLデータのデータ構造を定義するXMLスキーマを指定して圧縮を行うschemaIdオプションを用いてXMLデータを圧縮することができる。
【0031】
本実施形態において、データ圧縮部103は、ARIB-TTMLの規格で規定されるXMLスキーマ(以下、「標準規格で規定されているXMLスキーマ」と呼ぶ)又は任意のXMLスキーマを用いてXMLデータを圧縮する。データ圧縮部103は、標準規格で規定されているXMLスキーマを用いて圧縮を行うか又は任意のXMLスキーマを用いて圧縮を行うかをアセットごとに個別に設定してもよい。
【0032】
標準規格で規定されているXMLスキーマを用いて圧縮を行う場合、このXMLスキーマは受信装置300に予め格納されているため、XMLスキーマを受信装置300に伝送する必要はない。
【0033】
一方、任意のXMLスキーマを用いて圧縮を行う場合、このXMLスキーマを受信装置300に伝送する。本実施形態において、データ圧縮部103は、任意のXMLスキーマを用いて圧縮を行う場合、このXMLスキーマを制御メッセージ生成部105に出力する。
【0034】
制御メッセージ生成部105は、ARIB STD-B60(非特許文献2)で規定された制御情報(SI:Signal Information)を格納したメッセージを生成し、生成した制御メッセージを多重化部106に出力する。制御メッセージは、映像データ、音声データ、及び字幕データ(圧縮XMLデータ)の多重化及び伝送に関する制御情報を格納したメッセージである。
【0035】
本実施形態において、制御メッセージ生成部105は、データ圧縮部103から出力されるXMLスキーマを制御メッセージに格納し、XMLスキーマが格納された制御メッセージを多重化部106に出力する。すなわち、制御メッセージ生成部105が出力する制御メッセージは、データ圧縮部103がXMLデータを圧縮する際に用いるXMLスキーマを含む。
【0036】
例えば、制御メッセージ生成部105は、制御メッセージを構成するテーブルとしてXMLスキーマを格納する。XMLスキーマを制御メッセージに格納するときのデータ構造の一例を
図4に示す。
図4に示すデータ構造(MML_Compression_Message)は、XMLスキーマの名前(xml_schema_name)とXMLスキーマのデータ(xml_schema_data_byte)とを含む。
【0037】
本実施形態において、制御メッセージ生成部105は、MPテーブルを制御メッセージに格納する。
図5は、MPテーブルの一例を示す図である。
【0038】
図5に示すように、制御メッセージ生成部105は、MPテーブルに、字幕・文字スーパーに関する付加情報が記述されるMH-データ符号化方式記述子を配置し、data_component_idを割り当てる。受信装置300では、MPテーブルを参照することで、アセットのロケーション情報を識別し、字幕・文字スーパーを伝送するアセットのパケットIDを特定し、特定されたパケットIDのアセット内で伝送されるMPU内のデータを展開し、字幕・文字スーパーとして送られたファイルを取得することができる。
【0039】
制御メッセージ生成部105は、MH-データ符号化方式記述子の符号化方式ごとに定めるadditional_data_component_infoフィールドに付加識別情報を格納する。この付加識別情報は、字幕データの圧縮に関するcompression_typeを含む。
図6は、compression_typeの一例を示す図である。
【0040】
図6に示すように、制御メッセージ生成部105は、字幕データを圧縮するときはcompression_typeを「0000」に設定し、XMLスキーマを指定せずに字幕データを圧縮するときはcompression_typeを「0001」に設定する。
【0041】
また、制御メッセージ生成部105は、標準規格で規定されているXMLスキーマ、すなわち、受信装置300に予め格納されたXMLスキーマを用いてXMLデータを圧縮するときはcompression_typeを「0010」に設定する。
【0042】
さらに、任意のXMLスキーマ、すなわち、伝送路200を介して送信されるXMLスキーマを用いてXMLデータを圧縮するときはcompression_typeを「0011」に設定する。
【0043】
これにより、受信装置300では、compression_typeを見ることで、圧縮された字幕データを展開するとき、どのスキーマを用いるかを判断できる。
【0044】
本実施形態において、任意のXMLスキーマを用いてXMLデータを圧縮する場合、制御メッセージ生成部105は、このXMLスキーマを用いたXMLデータ圧縮を継続する期間において、このXMLスキーマを含む制御メッセージを周期的に多重化部106に出力する。
【0045】
言い換えると、制御メッセージ生成部105は、全ての制御メッセージにXMLスキーマを含めるのではなく、ある時間間隔をおいて制御メッセージにXMLスキーマを含める。その結果、XMLデータ圧縮に用いるXMLスキーマが周期的に放送コンテンツに多重化されて伝送される。これにより、伝送路200の帯域を節約しつつ、放送コンテンツを途中から受信する受信装置300も字幕データ(圧縮XMLデータ)を展開できることになる。
【0046】
多重化部106は、映像送出部101から出力される映像データと、音声送出部102から出力される音声データと、データ圧縮部103から出力される圧縮XMLデータと、制御メッセージ生成部105から出力される制御メッセージとを多重化することにより、放送コンテンツを送信部107に出力する。
【0047】
本実施形態において、多重化部106は、非特許文献2で規定されるMMTの方式を用いて多重化を行う。具体的には、多重化部106は、映像データ、音声データ、及び字幕データ(圧縮XMLデータ)のそれぞれをMPUとし、MMTP(MMT Protocol)ペイロードに乗せてMMTPパケット化し、MMTPパケットをIPパケットのペイロードに載せてIPパケット化し、さらにIPパケットをTLVパケットのペイロードに載せてTLVパケット化して伝送する。
【0048】
送信部107は、伝送路200を介して、多重化部106が出力する放送コンテンツを受信装置300に送信する。伝送路200は、放送伝送路であってもよいし、通信伝送路であってもよい。
【0049】
(受信装置)
次に、本実施形態に係る受信装置300について説明する。
図7は、本実施形態に係る受信装置300の構成を示す図である。
【0050】
図7に示すように、受信装置300は、受信部301と、多重分離部302と、制御メッセージ処理部303と、圧縮データ展開部304と、データ処理部305と、映像処理部306と、音声処理部307とを有する。
【0051】
受信部301は、伝送路200を介して、送信装置100から送信された放送コンテンツを受信し、受信した放送コンテンツを多重分離部302に出力する。放送コンテンツは、制御メッセージと、映像、音声、及び字幕の各アセットのデータとを含む。本実施形態において、受信部301は、XMLスキーマが格納された制御メッセージとこのXMLスキーマを用いて圧縮されたXMLデータである字幕データとが多重化された放送コンテンツを受信する。
【0052】
多重分離部302は、受信部301から出力される放送コンテンツを制御メッセージ、字幕データ(本実施形態では、圧縮XMLデータ)、映像データ、及び音声データに分離し、制御メッセージを制御メッセージ処理部303に出力し、字幕データを圧縮データ展開部304に出力する。また、多重分離部302は、映像データを映像処理部306に出力し、音声データを音声処理部307に出力する。
【0053】
制御メッセージ処理部303は、多重分離部302から出力される制御メッセージに含まれる付加識別情報のcompression_typeの値を読み、この値が「0010」又は「0011」である場合は、ARIB-TTMLの字幕データがXMLスキーマを用いて圧縮されていると判定し、その旨の情報を圧縮データ展開部304に出力する。字幕・文字スーパーを伝送するアセットが複数存在する場合、制御メッセージ処理部303は、これらのアセットごとに、compression_typeの値を判別する処理を行ってもよい。
【0054】
また、制御メッセージ処理部303は、compression_typeの値が「0011」である場合、多重分離部302から出力される制御メッセージに格納されたXMLスキーマを取得し、取得したXMLスキーマを圧縮データ展開部304に出力する。
【0055】
圧縮データ展開部304は、多重分離部302から出力される字幕データがXMLスキーマを用いて圧縮されている場合、XMLスキーマを用いてこの字幕データ(圧縮XMLデータ)を展開し、展開した字幕データをデータ処理部305に出力する。
【0056】
例えば、compression_typeの値が「0010」であった場合、圧縮データ展開部304は、デフォルトのXMLスキーマを用いて字幕データを展開する。一方、compression_typeの値が「0011」であった場合、圧縮データ展開部304は、制御メッセージ処理部303から出力されるXMLスキーマ(すなわち、伝送されたXMLスキーマ)を用いて字幕データを展開する。
【0057】
データ処理部305は、圧縮データ展開部304から出力される字幕データ(すなわち、展開されたXMLデータ)を復号して出力する。
【0058】
映像処理部306は、多重分離部302から出力される映像データを復号して出力する。
【0059】
音声処理部307は、多重分離部302から出力される音声データを復号して出力する。
【0060】
(実施形態のまとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る送信装置100は、XMLで記述されたXMLデータのデータ構造を定義するXMLスキーマを用いて、XMLデータを圧縮するデータ圧縮部103と、データ圧縮部103がXMLデータを圧縮する際に用いるXMLスキーマが格納された制御メッセージを生成する制御メッセージ生成部105と、データ圧縮部103により圧縮されたXMLデータと制御メッセージとを多重化することにより放送コンテンツを出力する多重化部106と、伝送路200を介して、多重化部106が出力する放送コンテンツを受信装置300に送信する送信部107とを有する。
【0061】
本実施形態に係る受信装置300は、伝送路200を介して、XMLスキーマが格納された制御メッセージとこのXMLスキーマを用いて圧縮されたXMLデータとが多重化された放送コンテンツを送信装置100から受信する受信部301と、受信部301が受信した放送コンテンツから制御メッセージ及びXMLデータを分離する多重分離部302と、多重分離部302により分離された制御メッセージに格納されたXMLスキーマを用いて、多重分離部302により分離されたXMLデータを展開する圧縮データ展開部304とを有する。
【0062】
これにより、本実施形態によれば、XMLスキーマを指定してXMLデータを高い圧縮率で圧縮しようとする場合であっても、規格で規定されていない任意のXMLスキーマを用いることができるため、XMLデータのデータ構造の定義を柔軟に変更できる。
【0063】
よって、放送システム10において、XMLスキーマを用いてXMLデータを高い圧縮率で圧縮可能としつつ、XMLデータのデータ構造の定義を柔軟に変更可能とする送信装置100及び受信装置300を提供できる。
【0064】
(変更例)
上述した実施形態において、データ圧縮部103がXMLデータを圧縮する際に用いるXMLスキーマを制御メッセージに格納する一例について説明した。
【0065】
本変更例では、制御メッセージにXMLスキーマを格納することに代えて、非特許文献2で規定される非同期型汎用データ伝送方式で伝送される汎用データにXMLスキーマを格納する。
【0066】
なお、汎用データ伝送方式は、各種データを同期型・非同期型により伝送する方式であって、映像、音声、字幕以外のデータの提示を行うプレイヤーで利用するデータやマルチメディアサービスで利用するデータの伝送に適する方式である。
【0067】
非同期型汎用データ伝送方式は、非同期型MPUにデータをカプセル化して伝送するものであって、映像・音声などとのタイミング同期が不要な場合に用いる方式である。非同期型汎用データ伝送方式は、非特許文献2で規定される。
【0068】
図8は、本変更例に係る送信装置100の構成を示す図である。
【0069】
図8に示すように、本変更例に係る送信装置100は、汎用データ送出部104を有する。汎用データ送出部104は、非同期型汎用データ伝送方式の汎用データを生成し、この汎用データを多重化部106に出力する。
【0070】
本変更例において、汎用データ送出部104は、データ圧縮部103がXMLデータを圧縮する際に用いるXMLスキーマを汎用データに格納する。
【0071】
多重化部106は、汎用データ送出部104から出力される汎用データと、データ圧縮部103により圧縮されたXMLデータと、を多重化して放送コンテンツを出力する。
【0072】
図9は、本変更例に係る汎用データの一例を示す図である。
【0073】
図9に示すように、汎用データ伝送の処理では、MPUが処理の単位となる。MPUは、あるタイミングに利用するデータを含み、MPU単体で映像や音声の復号処理を行うことができる単位となる。MFUはMPUよりも小さな単位である。例えば、汎用データ送出部104は、1つのMFUに1つのXMLスキーマをファイルとして格納する。汎用データ送出部104は、1つのMPUに、1つのXMLスキーマをファイルが格納されているMFUを1つ格納してもよい。
【0074】
図10は、本変更例に係る受信装置300の構成を示す図である。
【0075】
図10に示すように、本変更例に係る受信装置300は、汎用データ処理部308を有する。多重分離部302は、放送コンテンツから汎用データを分離し、分離した汎用データを汎用データ処理部308に出力する。
【0076】
汎用データ処理部308は、多重分離部302から出力される汎用データに格納されたXMLスキーマを取得し、このXMLスキーマを圧縮データ展開部304に出力する。
【0077】
圧縮データ展開部304は、汎用データ処理部308から出力されるXMLスキーマを用いて、多重分離部302から出力される字幕データ(圧縮XMLデータ)を展開してデータ処理部305に出力する。
【0078】
以上説明したように、本変更例に係る送信装置100は、XMLで記述されたXMLデータのデータ構造を定義するXMLスキーマを用いて、XMLデータを圧縮するデータ圧縮部103と、データ圧縮部103がXMLデータを圧縮する際に用いるXMLスキーマが格納された汎用データを出力する汎用データ送出部104と、データ圧縮部103により圧縮されたXMLデータと汎用データとを多重化することにより放送コンテンツを出力する多重化部106と、伝送路200を介して、多重化部106が出力する放送コンテンツを、受信装置300に送信する送信部107と、を有する。
【0079】
本変更例に係る受信装置300は、伝送路200を介して、XMLスキーマが格納された汎用データとこのXMLスキーマを用いて圧縮されたXMLデータとが多重化された放送コンテンツを送信装置100から受信する受信部301と、受信部301が受信した放送コンテンツから汎用データ及びXMLデータを分離する多重分離部302と、多重分離部302により分離された汎用データに格納されたXMLスキーマを用いて、多重分離部302により分離されたXMLデータを展開する圧縮データ展開部304と、を有する。
【0080】
よって、本変更例によれば、放送システム10において、XMLスキーマを用いてXMLデータを高い圧縮率で圧縮可能としつつ、XMLデータのデータ構造の定義を柔軟に変更可能とする送信装置100及び受信装置300を提供できる。
【0081】
<その他の実施形態>
送信装置100が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラム及び受信装置300が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0082】
また、送信装置100が行う各処理を実行する機能部(回路)を集積化し、送信装置100を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。同様に、受信装置300が行う各処理を実行する機能部(回路)を集積化し、受信装置300を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0083】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 :放送システム
100 :送信装置
101 :映像送出部
102 :音声送出部
103 :データ圧縮部
104 :汎用データ送出部
105 :制御メッセージ生成部
106 :多重化部
107 :送信部
200 :伝送路
300 :受信装置
301 :受信部
302 :多重分離部
303 :制御メッセージ処理部
304 :圧縮データ展開部
305 :データ処理部
306 :映像処理部
307 :音声処理部
308 :汎用データ処理部