(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】光源、光源装置及び光源の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20230809BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20230809BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230809BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20230809BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20230809BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20230809BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20230809BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230809BHJP
【FI】
H01L33/58
F21S41/153
F21S2/00 100
F21V19/00 170
F21S2/00 311
H01L33/50
F21W102:10
F21Y105:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021108803
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岡久 強志
(72)【発明者】
【氏名】野間 紳太郎
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-220405(JP,A)
【文献】特開2019-175847(JP,A)
【文献】特開2010-139754(JP,A)
【文献】特開2015-076357(JP,A)
【文献】国際公開第2006/035664(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/38
H01L 33/48-33/64
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射面と、前記出射面と反対側に位置する電極面と、をそれぞれ有し、1次元または2次元に配置される複数の発光素子と、
それぞれが、前記複数の発光素子の前記出射面上に配置される複数の波長変換部材と、
前記複数の波長変換部材上に配置され、前記複数の波長変換部材の上面を連続して覆う第1光拡散部材であって、前記複数の波長変換部材側に位置する下面において、前記複数の波長変換部材と接する領域間に溝を有する第1光拡散部材と、
前記第1光拡散部材上に配置される透光性部材と、
前記透光性部材上に配置される第2光拡散部材と、
前記複数の発光素子の側面および前記複数の波長変換部材の側面を覆い、かつ、前記第1光拡散部材の前記溝内に配置される遮光部材と、
を備える光源。
【請求項2】
前記第1光拡散部材および前記第2光拡散部材の全光線透過率は、30%以上90%以下である、請求項
1に記載の光源。
【請求項3】
前記第1光拡散部材および前記第2光拡散部材の拡散率は、10%以上90%以下である、請求項
1または2に記載の光源。
【請求項4】
前記透光性部材は、ガラス板である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の光源。
【請求項5】
前記透光性部材の厚さは、前記第1光拡散部材の厚さおよび前記第2光拡散部材の厚さよりも大きい、請求項1から
4のいずれか一項に記載の光源。
【請求項6】
前記複数の発光素子のそれぞれは、前記電極面に配置された正負の電極を有しており、
前記遮光部材は、前記電極面の前記正負の電極以外の領域を覆っている、請求項1から
4のいずれか一項に記載の光源。
【請求項7】
前記電極面は矩形形状を有しており、
前記正負の電極は、前記矩形の対角方向に配置されている、請求項
6に記載の光源。
【請求項8】
前記複数の発光素子の電極面側において、前記遮光部材の表面を覆い、前記正負の電極それぞれと接続される複数の導電層をさらに備える、請求項
6に記載の光源。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の光源と、
前記光源から所定の距離を隔てて配置されたレンズと、
を備えた光源装置。
【請求項10】
第2光拡散部材と、前記第2光拡散部材上に配置された透光性部材と、前記透光性部材上に配置された第1光拡散部材と、前記第1光拡散部材上に配置された波長変換部材と、を含む第1積層部材を用意する工程と、
前記第1積層部材の前記波長変換部材に、出射面および前記出射面と反対側に位置する電極面とをそれぞれ有する複数の発光素子を、前記出射面が前記波長変換部材と対向するように、前記波長変換部材上に1次元または2次元に配置する工程と、
前記複数の発光素子間において、前記波長変換部材を分断し、前記第1光拡散部材に達する複数の溝を前記第1積層部材に形成する工程と、
前記複数の溝を充填し、かつ、前記複数の発光素子の側面および前記電極面を覆う遮光部材を形成する工程と、
前記遮光部材を上面から研削し、前記複数の発光素子の前記電極面に位置する一対の電極を露出させる工程と、
前記遮光部材の上面に、前記露出した一対の電極を覆う導電層を形成する工程と、
を含む光源の製造方法。
【請求項11】
支持体上に配置された第1光拡散部材と、前記第1光拡散部材上に配置された波長変換部材と、を含む第1積層部材を用意する工程と、
前記第1積層部材の前記波長変換部材に、出射面および前記出射面と反対側に位置する電極面とをそれぞれ有する複数の発光素子を、前記出射面が前記波長変換部材と対向するように、前記波長変換部材上に1次元または2次元に配置する工程と、
前記複数の発光素子間において、前記波長変換部材および前記第1光拡散部材を分断する複数の溝を前記第1積層部材に形成する工程と、
前記複数の溝を充填し、かつ、前記複数の発光素子の側面および前記電極面を覆う遮光部材を形成する工程と、
前記遮光部材を上面から研削し、前記複数の発光素子の前記電極面に位置する一対の電極を露出させる工程と、
前記遮光部材の上面に、前記露出した一対の電極を覆う導電層を形成する工程と、
前記支持体を剥離し、透光性部材と、前記透光性部材上に配置された第2光拡散部材と、を含む第2積層部材、または、他の第1光拡散部材と、前記他の第1光拡散部材上に配置された透光性部材と、前記透光性部材上に配置された第2光拡散部材と、を含む第3積層部材を前記第1光拡散部材上に配置する工程と、
を含む光源の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源、光源装置及び光源の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光素子をアレイ状に配置した光源が種々の分野で利用されている。このような光源は、複数の発光素子の任意の一部を駆動させることによって、照射領域を変化させた部分照射が可能である。このような特徴を利用すれば、従来にない機能を備えた灯具を実現することが可能である。例えば、特許文献1は、車両の配光可変型前照灯に使用可能な光源を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、部分照射時の発光特性に優れた光源、光源装置及び光源の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る光源は、出射面と、前記出射面と反対側に位置する電極面と、をそれぞれ有し、1次元または2次元に配置される複数の発光素子と、それぞれが、前記複数の発光素子の前記出射面上に配置される複数の波長変換部材と、それぞれが、前記複数の波長変換部材上に配置される複数の第1光拡散部材と、前記複数の第1光拡散部材上に配置され、前記複数の第1光拡散部材を連続して覆う透光性部材と、前記透光性部材上に配置される第2光拡散部材と、前記複数の発光素子の側面、前記複数の波長変換部材の側面および前記複数の第1光拡散部材の側面を覆う遮光部材と、を備える。
【0006】
本開示の一実施形態に係る光源は、出射面と、前記出射面と反対側に位置する電極面と、をそれぞれ有し、1次元または2次元に配置される複数の発光素子と、それぞれが、前記複数の発光素子の前記出射面上に配置される複数の波長変換部材と、前記複数の波長変換部材上に配置され、前記複数の波長変換部材の上面を連続して覆う第1光拡散部材であって、前記複数の波長変換部材側に位置する下面において、前記複数の波長変換部材と接する領域間に溝を有する第1光拡散部材と、前記第1光拡散部材上に配置される透光性部材と、前記透光性部材上に配置される第2光拡散部材と、前記複数の発光素子の側面および前記複数の波長変換部材の側面を覆い、かつ、前記第1光拡散部材の前記溝内に配置される遮光部材と、を備える。
【0007】
本開示の一実施形態に係る光源の製造方法は、第2光拡散部材と、前記第2光拡散部材上に配置された透光性部材と、前記透光性部材上に配置された第1光拡散部材と、前記第1光拡散部材上に配置された波長変換部材と、を含む第1積層部材を用意する工程と、前記第1積層部材の前記波長変換部材に、出射面および前記出射面と反対側に位置する電極面とをそれぞれ有する複数の発光素子を、前記出射面が前記波長変換部材と対向するように、前記波長変換部材上に1次元または2次元に配置する工程と、前記複数の発光素子間において、前記波長変換部材を分断し、前記第1光拡散部材に達する複数の溝を前記第1積層部材に形成する工程と、前記複数の溝を充填し、かつ、前記複数の発光素子の側面および前記電極面を覆う遮光部材を形成する工程と、前記遮光部材を上面から研削し、前記複数の発光素子の前記電極面に位置する一対の電極を露出させる工程と、前記遮光部材の上面に、前記露出した一対の電極を覆う導電層を形成する工程と、を含む。
【0008】
本開示の一実施形態に係る光源の製造方法は、支持体上に配置された第1光拡散部材と、前記第1光拡散部材上に配置された波長変換部材と、を含む第1積層部材を用意する工程と、前記第1積層部材の前記波長変換部材に、出射面および前記出射面と反対側に位置する電極面とをそれぞれ有する複数の発光素子を、前記出射面が前記波長変換部材と対向するように、前記波長変換部材上に1次元または2次元に配置する工程と、前記複数の発光素子間において、前記波長変換部材および前記第1光拡散部材を分断する複数の溝を前記第1積層部材に形成する工程と、前記複数の溝を充填し、かつ、前記複数の発光素子の側面および前記電極面を覆う遮光部材を形成する工程と、前記遮光部材を上面から研削し、前記複数の発光素子の前記電極面に位置する一対の電極を露出させる工程と、前記遮光部材の上面に、前記露出した一対の電極を覆う導電層を形成する工程と、前記支持体を剥離し、透光性部材と、前記透光性部材上に配置された第2光拡散部材と、を含む第2積層部材、または、他の第1光拡散部材と、前記他の第1光拡散部材上に配置された透光性部材と、前記透光性部材上に配置された第2光拡散部材と、を含む第3積層部材を前記第1光拡散部材上に配置する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、部分照射時の発光特性に優れた光源、光源装置及び光源の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態の光源の模式斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の光源の模式上面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の光源の模式下面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の光源発の
図3のIV-IV線における模式断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の光源発の
図3のV-V線における模式断面図である。
【
図7】
図7は、導電層および遮光部材を取り除いた発光ユニットの模式下面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の光源の動作を説明する模式斜視図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の光源の製造方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第1実施形態の光源の他の製造方法を示すフローチャートである。
【
図12A】
図12Aは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12B】
図12Bは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12C】
図12Cは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12D】
図12Dは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12E】
図12Eは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12F】
図12Fは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12G】
図12Gは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12H】
図12Hは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12I】
図12Iは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12J】
図12Jは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図12K】
図12Kは、第1実施形態の光源の他の製造方法における工程断面図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態の光源装置の模式斜視図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態の光源装置の模式断面図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態の光源モジュールの模式斜視図である。
【
図16】
図16は、第2の実施形態の他の光源装置の模式断面図である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態の他の光源モジュールの模式斜視図である。
【
図21A】
図21Aは、実施例の光源において、1つの発光ユニットを点灯させた場合の発光状態を示す写真である。
【
図21B】
図21Bは、比較例の光源において、1つの発光ユニットを点灯させた場合の発光状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による光源および光源の製造方法は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、工程、その工程の順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0012】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の光源における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略したり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりすることがある。また、本明細書において「被覆」「覆う」等の用語は直接接する場合に限定するものではなく、特に断らない限り、間接的に(例えば他の部材を介して)被覆する場合も含むものである。
【0013】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。さらに、「上」と表現する位置関係は接している場合と接していないが上方に位置している場合も含む。
【0014】
また、分かりやすさのため、数値範囲を波ダッシュ「~」で示す場合がある。例えば、1mm~5mmと示す場合がある。この記載は1mm以上5mm以下の範囲を意味している。つまり、波ダッシュを用いた数値範囲は、特に明示的に他の説明がない限り、波ダッシュの前後の数値を含む。
【0015】
以下に示す図では、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示す矢印が示されている。X軸に沿うX方向は、実施形態に係る光源が備える発光ユニットが配置される配置平面内(言い換えると、発光ユニットが配列する配列平面内)での所定方向を示し、Y軸に沿うY方向は、発光ユニットの配置平面内でX方向に直交する方向を示し、Z軸に沿うZ方向は、配置平面に直交する方向を示すものとする。またX方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向とし、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向とし、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向とする。実施形態では、光源は一例として+Z方向に光を照射するものとする。但し、このことは、光源および光源装置の使用時における向きを制限するわけではなく、光源および光源装置の向きは任意である。
【0016】
<第1実施形態>
(光源101の構造)
図1は、第1実施形態の光源101の模式斜視図であり、
図2および
図3は、光源101の模式上面図および模式下面図である。
図2および
図3において、光源101の内部の構造の一部が破線で示されている。
図4および
図5は、
図3のIV-IV線およびV-V線における光源101の模式断面図である。
図6は、光源101に含まれる1つの発光ユニットの模式断面図である。
【0017】
光源101は、複数の発光素子20と、複数の波長変換部材30と、第1光拡散部材40と、透光性部材50と、第2光拡散部材60と、遮光部材70と、を備える。
図2に示すように、光源101は、これらの構成要素を含む単位構造である発光ユニット10を複数含んでいる。
【0018】
光源101において、複数の発光ユニット10は、1次元または2次元に配置されている。例えば、
図2に示すように、複数の発光ユニット10は、X方向およびY方向の2次元に配置されている。発光ユニット10はそれぞれ発光素子20を含むので、光源101において、発光素子20も1次元または2次元に配置されている。本実施形態では光源101は、63個の発光ユニット10を含み、63個の発光ユニット10がX方向およびY方向に7行9列で配置されている。しかし、光源101に含まれる発光ユニット10の数は任意であり、他の数であってよい。光源101における発光ユニット10の数は、例えば9~2500程度であり、複数の発光ユニット10は、X方向およびY方向の2次元に、例えば3行3列から50行50列程度に配置されている。
【0019】
1つの発光ユニット10は、例えば、平面視つまりXY平面において、一辺が50μm~550μm、好ましくは一辺が200μm~450μmの正方形または長方形形状を有している。光源101は、例えば、XY平面において、一辺が1mm~5mm、好ましくは一辺が2mm~4mmの正方形または長方形形状を有している。光源101の厚さは、例えば、100μm~1mm程度である。発光ユニット10のサイズおよび光源101に含まれる発光ユニットの数、並びに、光源101のサイズは、用途に応じて決定される。例えば、光源101は、スマートフォンなどの携帯デバイスの静止画撮影用のフラッシュまたは動画撮影(撮像)用の照明として用いることができる。
【0020】
光源101は上面101aおよび下面101bを有しており、下面101bには、各発光ユニット10に電流を供給するための導電層80が配置されている。導電層80を介して外部から電流が複数の発光ユニット10に供給されることによって、発光ユニット10が選択的に駆動され、主に上面101aから光が出射する。
【0021】
図4および
図5に示すように、光源101において、複数の波長変換部材30は、複数の発光素子20の出射面20a上にそれぞれ配置される。第1光拡散部材40は、複数の波長変換部材30の上面30aを連続して覆っている。透光性部材50は、第1光拡散部材40上に配置され、第2光拡散部材60が透光性部材50上に配置されている。後述するように、第1光拡散部材40は、下面40bに、下面40bを複数の領域に区分する溝40gを有している。溝40gにより確定される下面40bの複数の領域は、それぞれ複数の波長変換部材30と接している。遮光部材70は、複数の発光素子20の側面20cおよび複数の波長変換部材30の側面30cを覆っている。遮光部材70は、第1光拡散部材40の溝40g内にも配置されている。以下、各構成要素に分けて、光源101の構造をより詳細に説明する。
【0022】
[発光素子20]
発光素子20は、出射面20aと出射面20aと反対側に位置する電極面20bと、出射面20aと電極面20bとの間の側面20cとを含む。電極面20bには、少なくとも一対の電極(正負の電極)21が位置している。
【0023】
発光素子20は、レーザーダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子である。発光素子20は典型的にはLEDである。発光素子20は、例えば、サファイアまたは窒化ガリウム等の支持基板と、支持基板上の半導体積層体とを含む。半導体積層体は、n型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた活性層と、n型半導体層およびp型半導体層と電気的に接続されたp側電極およびn側電極を含む。半導体積層体は、紫外~可視域の発光が可能な窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を含んでいてもよい。正負の電極21は、p側電極およびn側電極と電気的に接続されている。
【0024】
発光素子20は、青色光を出射する発光素子であってもよいし、青色光以外の色、例えば赤色光または緑色光、紫外光を出射する発光素子であってもよい。本実施形態では、各発光ユニット10の発光素子20として、青色光を出射するLEDを例示する。
【0025】
図7は、遮光部材70および導電層80を取り除いた発光ユニット10を発光素子20の電極面20b側から見た平面図である。分かりやすさのため、各構成要素には
図6に示す断面と同じパターンを付している。
【0026】
発光素子20の平面視における形状である電極面20bおよび出射面20aは、典型的には、矩形である。出射面20aの矩形形状の一辺の長さは、発光ユニット10の上面視における一辺の長さより小さいことが好ましい。例えば、発光素子20の矩形形状の一辺の長さは、40μm~500μm、好ましくは一辺が100μm~350μmの正方形または長方形形状を有している。
【0027】
出射面20aおよび電極面20bの矩形を規定する各辺は発光ユニット10および発光素子20の配列の方向であるX方向またはY方向に平行である。電極21は、矩形の対角方向に配置されている。本実施形態では、平面視において、電極21は三角形の形状を有している。対角方向に一対の電極を配置する場合、一対の電極間の距離をできるだけ離し、かつ面積を大きくするという点で、三角形は有利である。三角形は角が丸められていたり、辺の一部が曲線を含んでいたりしてもよい。ここでは、電極21は、
図7に示すように、略直角三角形であり、電極面20bの矩形の対角に直角三角形の直角部が配置されている。
図4に示すように、平面視における発光素子20の中心を通り、XZ方向に平行な断面には電極21は表れていない。
【0028】
[波長変換部材30]
波長変換部材30は、発光素子20の出射面20a上に配置されている。波長変換部材30は、発光素子20の出射面20aから出射された光の少なくとも一部を吸収し、吸収した光よりも長い波長の光を放出する。
【0029】
図2に示すように、平面視において、波長変換部材30は、発光素子20の出射面20aよりも大きいことが好ましい。これにより発光素子20の出射面20aよりも大きい領域から所望の色の光(例えば白色光)を出射させることができる。よって、光源101において発光素子20の配列間隔が十分に小さくできない場合でも、複数の発光ユニット10を点灯させた場合に、発光ユニット10間に輝度の低い領域が生じるのを抑制することができる。
【0030】
波長変換部材30の平面視における形状は、典型的には、矩形である。波長変換部材30の平面視における矩形形状の一辺の長さは、45μm~525μm、好ましくは150μm~400μmである。平面視において、波長変換部材30は、例えば、発光素子20の出射面よりも50%以上大きな面積、好ましくは90%以上大きな面積を有している。隣接する波長変換部材30間の距離は、例えば、10μm~100μmである。波長変換部材30は、板状又は層状の部材であることが好ましい。波長変換部材30の厚みは、例えば、30μm~100μmとすることができる。
【0031】
波長変換部材30は平面視において、例えば、矩形形状を有している。つまり、上面30aおよび下面30bは、X方向またはY方向に平行な4つの辺で規定される矩形形状を有する。
図7に示すように、発光素子20の電極面20b側から見た場合、波長変換部材30の下面30bの一部は、発光素子20の出射面20aと対向しておらず、出射面20aを囲むように、露出している。
【0032】
波長変換部材30は、例えば、透光性樹脂と、透光性樹脂中に含まれる蛍光体とを含む。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、αサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si,Al)F6:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、または、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2又はAgInSe2)等を用いることができる。
【0033】
KSAF系蛍光体としては、下記式(I)で表される組成を有していてよい。
M2[SipAlqMnrFs] (I)
式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。Mnは4価のMnイオンであってよい。p、q、r及びsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、5.9≦s≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦p+q+r≦1.05又は0.97≦p+q+r≦1.03、0<q≦0.03、0.002≦q≦0.02又は0.003≦q≦0.015、0.005≦r≦0.15、0.01≦r≦0.12又は0.015≦r≦0.1、5.92≦s≦6.05又は5.95≦s≦6.025であってよい。例えば、K2[Si0.946Al0.005Mn0.049F5.995]、K2[Si0.942Al0.008Mn0.050F5.992]、K2[Si0.939Al0.014Mn0.047F5.986]で表される組成が挙げられる。このようなKSAF系蛍光体によれば、輝度が高く、発光ピーク波長の半値幅の狭い赤色発光を得ることができる。
【0034】
透光性樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。これら樹脂の混合物を用いてもよい。
【0035】
波長変換部材30は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよく、例えば、青色の光を吸収して黄色の光を放出する蛍光体や青色の光を吸収して赤色の光を放出する蛍光体を含んでいてもよい。波長変換部材30に含まれる蛍光体の種類や含有量を調整することにより、発光ユニット10から所望の色の光を出射させることができる。
【0036】
波長変換部材30は、遮光しない程度に光拡散材を含んでいてもよい。波長変換部材30に含有される光拡散材の含有率は、発光素子20から出射した光および/または波長変換された光に対する波長変換部材30の透過率が50%以上99%以下、好ましくは70%以上90%以下となるように調整することができる。光拡散材としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、またはガラス等を用いることができる。
【0037】
波長変換部材30は、蛍光体を含むガラスを用いてもよい。また、波長変換部材は、蛍光体のみを含む焼結体、または、蛍光体と上述した光拡散材とを含む焼結体であってもよい。
【0038】
[第1光拡散部材40]
第1光拡散部材40は、複数の波長変換部材30の上面30aを連続して覆うように波長変換部材30上に配置されている。第1光拡散部材40は入射光の進行方向をランダムに変化させて光を出射する。つまり、第1光拡散部材40は、入射した光を拡散させて透過させる。第1光拡散部材40は、複数の波長変換部材30と対向する面である下面40bに、複数の溝40gを有している。溝40gは、下面40bの波長変換部材30と接する領域の間に形成されている。複数の溝40gは、X方向に平行な溝40gXと、Y方向に平行な溝40gYを含む。後述するように溝40g内には遮光部材70が配置される。
図4から
図6に示す例では、溝40gは、第1光拡散部材40の上面40aには達していない。このため、第1光拡散部材40の下面40bにおいて、波長変換部材30と接する複数の領域が溝40gで区画されているが、第1光拡散部材40は、分断されていない1つの連続した部材である。溝40gで区画される第1光拡散部材40の下面40bの形状は、波長変換部材30の上面を内包できる形状であることが好ましく、波長変換部材30の平面視における形状と略同じ形状であることがより好ましい。これにより、波長変換部材30の外周に沿って生じやすい色調ずれを抑制することができる。
【0039】
なお、溝40gは、第1光拡散部材40の上面40aに達していてもよい。つまり、第1光拡散部材40は溝40gによって複数の第1光拡散部材40に分断されていてもよく、溝40gによって下面が複数の領域に区画されていてもよい。この場合、複数の第1光拡散部材40は、複数の波長変換部材30上にそれぞれ配置される。
【0040】
第1光拡散部材40は、例えば、透光性樹脂と透光性樹脂中に含まれる光拡散材とを含む。透光性樹脂および光拡散材には波長変換部材30に用いられる透光性樹脂および光拡散材と同様の材料を用いることができる。
【0041】
第1光拡散部材40は、例えば、30%~99%の全光線透過率(Tr)および10%~90%の拡散率(D)を有していてもよい。拡散率(D)が大きいほど、各ユニット間の暗線を抑制することができ好ましいが、拡散率が大きいほど光拡散による光学ロスが大きくなる。このため、第1光拡散部材40の拡散率は、ユニットを構成する各部材の大きさ等により適宜調整することができる。第1光拡散部材40の厚さは、例えば10μm~100μmである。溝40gの深さは、全領域に亘って略同じ深さであることが好ましいが、部分的に深くなっていてもよい。溝40gの深さは、例えば、第1光拡散部材40の厚さの50%~100%とすることが好ましい。これにより、隣接する発光ユニット10の一方を点灯させた際における、他方の非点灯の発光ユニットへの光の広がりを抑制することができる。平面視における溝40gの幅は、全領域に亘って略同じ幅であってもよいし、部分的に太くなっていてもよい。溝40gの幅は、例えば、5μm~100μmである。溝40gの幅は、深さ方向において略一定の幅であることが好ましいが、深さ方向に暫時または急峻に幅広又は幅狭であってもよい。
【0042】
[透光性部材50]
透光性部材50は、第1光拡散部材40上に配置されている。後述するように、透光性部材50は、発光素子20から入射する光を第2光拡散部材60に導光させるとともに、横方向(X軸及びY軸を通るXY平面に略平行な方向)にも伝搬させることによって、波長変換部材30間の暗部を抑制することができる。第1光拡散部材40が溝40gによって複数の第1光拡散部材40に分断されている場合には、透光性部材50は、複数の第1光拡散部材40上に配置され、複数の第1光拡散部材40を連続して覆っている。
【0043】
透光性部材50は、波長変換部材30に用いる透光性樹脂と同様の樹脂を用いて構成することができる。また、透光性部材50は、ガラス、透光性を有するセラミックスなどによって構成されていてもよい。光源101の強度を高めるという観点では、透光性部材50はガラス板、セラミックス板などであることが好ましい。透光性部材50の厚さは、例えば、50μm~300μm程度である。透光性部材50の厚さは、第1光拡散部材40厚さおよび後述する第2光拡散部材60の厚さよりも大きくてもよい。このような関係をみたすことによって、横方向への光の伝搬が増え、波長変換部材30間の暗部を抑制することができる。透光性部材50は、例えば、80%~99%の全光線透過率を有している。透光性部材50は、上記した全光線透過率を満たしていれば、光拡散材を含んでいてもよいが、透光性部材50は、実質的に光拡散材を含まないほうが好ましい。
【0044】
[第2光拡散部材60]
第2光拡散部材60は、透光性部材50上に配置されている。第2光拡散部材60は入射光の進行方向をランダムに変化させて光を出射する。つまり、第2光拡散部材60は、入射した光を拡散させて透過させる。拡散によって光の指向性を弱めることができるため、後述するように、点灯している発光ユニット10と、消灯している発光ユニット10とのコントラストを高めることができる。
【0045】
第2光拡散部材60は、第1光拡散部材40と同様の材料によって構成することができる。第2光拡散部材60は、例えば、30%~99%の全光線透過率(Tr)および10%~90%の拡散率(D)を有している。第2光拡散部材60の厚さは、例えば10μm~100μmである。
【0046】
[遮光部材70]
遮光部材70は、複数の発光素子20の側面20cおよび複数の波長変換部材30の側面30cを覆っている。また、遮光部材70は、第1光拡散部材40の溝40g内にも配置されている。本実施形態では、遮光部材70は、発光素子20の電極面20bのうち、電極21を除く領域にも配置されている。波長変換部材30が発光素子20の出射面20aよりも大きいため、波長変換部材30の下面30bのうち、出射面20aと接していない領域も遮光部材70で覆われている。遮光部材70は、複数の発光素子20および複数の波長変換部材30間に連続的に配置されており、全体として、光源101の下面101bを構成している。
【0047】
遮光部材70は光反射性及び/又は光吸収性を有する部材である。遮光部材70は、少なくとも、発光素子20の側面20cおよび波長変換部材30の側面30cを覆うことによって、各発光ユニット10の発光素子20の側面20cおよび波長変換部材30の側面30cから出射する光が隣接する発光ユニット10に入射するのを抑制する。
【0048】
遮光部材70は、高い光反射性を有することが好ましく、これにより、発光素子20の側面から出射する光を反射させて取り出すことができ、より光取り出し効率に優れた光源とすることができる。遮光部材70は、例えば、発光素子20から出射される光に対して60%以上の反射率を有することが好ましく、90%以上の反射率を有することがより好ましい。遮光部材70は、例えば、透光性樹脂と透光性樹脂中に含まれる光拡散材とを含む。透光性樹脂および光拡散材には波長変換部材30に用いられる透光性樹脂および光拡散材と同様の材料を用いることができる。また、遮光部材は、光拡散材に加えて、カーボンブラック等の光吸収材を含んでいてもよい。
【0049】
[導電層80]
導電層80は外部から光源101の各発光ユニット100の発光素子20に電流を供給するための端子である。
図3に示すように、複数の導電層80は、光源101の下面101bである、遮光部材70の発光素子20の電極面側の表面に、配置されている。導電層80の一部は電極21を覆っており、電極21と電気的に接続されている。電極21は、遮光部材70から露出する電極21の下面の全てが導電層80で覆われていることが好ましい。これにより、電極21と導電層80との電気的接続性が安定する。導電層80の他の一部は下面101bを構成している遮光部材70上に位置している。各発光ユニット10において、一対の導電層80は、発光素子20の矩形の対角方向に配置されている。平面視において、導電層80は、一辺が電極21の直角三角形の斜辺に沿った矩形状を有している。このような形状の導電層80が、発光素子20が配列するX方向およびY方向から45度回転した方向に2次元に配列されている。発光素子20の配列ピッチは、対角方向つまり、X方向あるいはY方向から45度回転した方向において、X方向およびY方向のルート2倍の値となるため、高密度で発光素子20を実装した場合でも、導電層80間の距離を確保しやすく、かつ、面積をより大きくするという点で有利である。
【0050】
導電層80は、例えば、Ag、Al、Au、Cu、Ti、Ni、Pt、Pd、W等の金属を含む単層または積層によって構成される。
【0051】
[光源101の動作]
図8を参照しながら光源101の動作を説明する。光源101において、発光素子20の出射面20aから出射した光は波長変換部材30、第1光拡散部材40、透光性部材50および第2光拡散部材60を透過して外部へ放射する。この時、波長変換部材30によって発光素子20からの光の少なくとも一部の波長が変換される。外部へ出射する光は、発光素子20から出射した光と波長変換された光とを含む。例えば、発光素子20から青色光を出射し、波長変換部材30が少なくとも黄色蛍光体を含む場合、青色光と黄色光が混合されることによって、光源101は、白色光を出射する。
【0052】
光源101は、上述した構造を備えることによって、部分照射時の発光特性に優れる。具体的には、まず平面視において、波長変換部材30は、発光素子20の出射面20aよりも大きいため、発光素子20の出射面20aよりも大きい領域から白色光を出射させることができる。このため、上面101aにおける発光領域の割合が増大し、隣接する2つの発光領域間に生じる非発光領域E1を小さくすることができ、隣接する2つの発光ユニット10を点灯させた場合に、輝度の低い領域が生じるのを抑制することができる。
【0053】
上述したように、波長変換部材30が発光素子20の出射面20aよりも大きいことから、各発光ユニット10の波長変換部材30は、隣接する発光ユニット10の波長変換部材30と近接する。このため、波長変換部材30の側面30cから隣接する波長変換部材30の側面に向かって出射する矢印E2で示す光は、隣接する波長変換部材30に側面30cから入射しやすくなる。波長変換部材30の側面を覆う遮光部材70は、このような隣接する波長変換部材30間の光の伝搬を制限し、点灯した発光ユニット10と非点灯の発光ユニット10との境界における漏れ光、および、これによる隣接する発光ユニット10の疑似点灯を抑制することができる。
【0054】
発光素子20の光軸から外側に向かって斜めに出射する矢印E3で示す光は、波長変換部材30を透過する距離が相対的に長いため色調が黄色側にずれやすい。このような黄色側への色調のずれは点灯した発光ユニット10の発光領域の外周に沿って生じやすい。このため、波長変換部材30上に第1光拡散部材40が配置されることで、発光領域の外周における色調ずれ(イエローリング)が抑制され、発光領域内の発光色むらを抑制することができる。さらに、第1光拡散部材40の溝40gに遮光部材70が配置されることにより、色調がずれた光の横方向への広がりを抑制することができる。
【0055】
透光性部材50は、発光ユニット10の配列方向であるXY平面に平行な導光体であり、点灯した発光ユニット10の発光素子20から出射し、透光性部材50に入射された光は、矢印E4で示すように横方向に伝搬し得る。このため、隣接する2つの発光領域間に生じる非発光領域E1における輝度低下を抑制できる。また、透光性部材50は波長変換部材30と第1光拡散部材40によって空間的に離隔しているため、矢印E4で示す光が、透光性部材50内で反射しながら波長変換部材30に入射し、さらなる波長変換による色調ずれを生じるのが抑制される。一方、透光性部材50は、第1光拡散部材40と第2光拡散部材60とを空間的に分離しており、第1光拡散部材40と第2光拡散部材60とに異なる光学的機能を与えることができる。
【0056】
透光性部材50から斜め方向に出射する矢印E5で示す光は、第2光拡散部材60に入射し、拡散する。このため、矢印E5で示す光の指向性が弱められる。隣接する発光ユニット10が非点灯である場合には、点灯している発光ユニット10から非点灯の発光ユニット10へ漏れる光を減少させることができるため、上面101aにおける発光領域と非発光領域の輝度差(コントラスト)が向上する。
【0057】
なお、
図8における矢印E2、E3、E4、E5は、光が出射する方向を模式的に示したものであり、実際に発光素子から出射される光は各部材間を通過する際に、各界面の屈折率差によって進行方向は変化する場合がある。
【0058】
(光源101の製造方法1)
光源101の製造方法の実施形態を説明する。
図9は、光源101の製造方法の一例を示すフローチャートであり、
図10Aから
図10Fは、光源101の製造方法における工程断面図である。なお、分かりやすさのため、
図10Aから
図10Fは、
図3に示すV-V線断面に対応する工程断面図を示している。本実施形態の光源101の製造方法は、第1積層部材を用意する工程(S1)と、複数の発光素子を配置する工程(S2)と、溝を形成する工程(S3)と、遮光部材を形成する工程(S4)と、電極を露出させる工程(S5)と、導電層を形成する工程(S6)とを含む。
【0059】
[積層部材を用意する工程(S1)]
図10Aに示すように、第2光拡散部材60と、第2光拡散部材60上に配置された透光性部材50と、透光性部材50上に配置された第1光拡散部材40と、第1光拡散部材40上に配置された波長変換部材30と、を含む積層部材90を用意する。
【0060】
例えば、これらの部材を接着剤あるいは接着シートを用いて張り合わせ、積層部材90を作製する。積層部材90は、1つの光源101に対応するサイズを備えていてもよいし、複数の光源101を形成することが可能なサイズを備えていてもよい。積層部材90は、第2光拡散部材60から順番に積層していくことによって作製してもよいし、波長変換部材30に第1光拡散部材40を張り合わせた積層体と、透光性部材50に第2光拡散部材60を張り合わせた積層体と、を用意し、2つの積層体をさらに張り合わせてもよい。また、別途作製された積層部材90を入手することによって積層部材90を用意してもよい。
【0061】
[複数の発光素子を配置する工程(S2)]
図10Bに示すように、積層部材90の波長変換部材30に、出射面20aおよび出射面20aと反対側に位置する電極面20bとをそれぞれ有する複数の発光素子20を、出射面20aが波長変換部材30と対向するように、波長変換部材30上に1次元または2次元に配置する。
【0062】
発光素子20の出射面20aが波長変換部材30と対向するように発光素子20を配置し、発光素子20を波長変換部材30上に接合する。接合は、波長変換部材30の表面、あるいは、発光素子20の出射面20aに、あらかじめ接着剤、接着シート等の透光性の接合部材を配置し、接合部材を介して接合することができる。複数の発光素子20は、光源101における発光ユニット10のピッチで1次元または2次元に配置される。接合部材を用いず、波長変換部材30のタック性等を利用し、発光素子20と波長変換部材30とを直接接合してもよい。
【0063】
[溝を形成する工程(S3)]
図10Cに示すように、複数の発光素子20間において、波長変換部材30を分断し、第1光拡散部材40に達する溝40gを積層部材90に形成する。複数の発光素子20間のそれぞれにおいて、波長変換部材30を分断し、かつ、第1光拡散部材40に達する溝40gを形成する。溝40gは、X方向に平行な溝40gXと、Y方向に平行な溝40gYを含む。ダイシングソーなどのブレードを当て、各発光素子20間において、波長変換部材30側から積層部材90に溝40gを形成する。溝40gの深さは、波長変換部材30の厚さよりも大きく、波長変換部材30と第1光拡散部材40の合計の厚さ以下に設定する。これにより、波長変換部材30が分断されると共に、第1光拡散部材40に溝40gが形成される。このようにして、各発光素子20に個片化された波長変換部材30が配置される。
【0064】
[遮光部材を形成する工程(S4)]
図10Dに示すように、溝40g内に配置され、かつ、複数の発光素子20の側面20cおよび電極面20bを覆う遮光部材70を形成する。具体的には、溝40g内および発光素子20の側面20c、電極21および電極面20bを覆うように、未硬化の遮光部材を配置し、硬化させることによって、遮光部材70を形成する。遮光部材70は、例えば、トランスファーモールド、ポッティング、印刷、スプレー等の方法で形成することができる。
【0065】
[電極を露出させる工程(S5)]
図10Eに示すように遮光部材70を研削し、複数の発光素子20の電極面20bに位置する正負の電極21を露出させる。具体的には、形成した遮光部材70の一部を上面70bから研磨又は研削することによって、遮光部材70から各発光素子20の電極21の表面を露出させる。
【0066】
[導電層を形成する工程(S6)]
図10Fに示すように、遮光部材70の上面70bに、露出した正負の電極21を覆う導電層80を形成する。例えば、電極21を覆って遮光部材70の上面70b全体に、金属層を1層または2層以上形成する。その後、エッチング等によって遮光部材70を覆う金属層の一部を除去することによって、一部が電極21を覆い、他の一部が遮光部材70の上面70bを被覆する導電層80を形成する。これにより、光源101が完成する。
【0067】
(光源101の製造方法2)
光源101の製造方法の他の実施形態を説明する。
図11は、光源101の製造方法の他の一例を示すフローチャートであり、
図12Aから
図12Kは、光源101の製造方法における工程断面図である。他の形態による光源101の製造方法は、第1積層部材を用意する工程(S11)と、複数の発光素子を配置する工程(S12)と、溝を形成する工程(S13)と、遮光部材を形成する工程(S14)と、電極を露出させる工程(S15)と、導電層を形成する工程(S16)と、第2積層部材、または、第3積層部材を配置する工程(S17)と、を含む。
【0068】
[第1積層部材を用意する工程(S11)]
図12Aに示すように、支持体95上に配置された第1光拡散部材41と、第1光拡散部材41上に配置された波長変換部材30と、を含む第1積層部材91を用意する。具体的には、支持体95の上面95aに剥離可能な接着性部材を用いて第1光拡散部材41を仮固定する。そして、第1光拡散部材41上に波長変換部材30を配置する。
【0069】
[複数の発光素子を配置する工程(S12)]
図12Bに示すように、第1積層部材91の波長変換部材30に、出射面20aおよび出射面20aと反対側に位置する電極面20bとをそれぞれ有する複数の発光素子20を、出射面20aが波長変換部材30と対向するように、波長変換部材30上に1次元または2次元に配置する。この工程は、前述した複数の発光素子を配置する工程(S2)と同様に行うことができる。
【0070】
[溝を形成する工程(S13)]
図12Cに示すように、複数の発光素子20間において、波長変換部材30および第1光拡散部材
41を分断する溝40gを第1積層部材91に形成する。溝40gが支持体95に達し、複数の発光素子20間のそれぞれにおいて、波長変換部材30および第1光拡散部材41が分断されるように溝40gを形成する。これにより、各発光素子20に、波長変換部材30と第1光拡散部材41とが配置される。溝40gの側面には、波長変換部材30および第1光拡散部材41の側面が露出している。
【0071】
[遮光部材を形成する工程(S14)]
図12Dに示すように、溝40g内に配置され、かつ、複数の発光素子20の側面20cおよび電極面20bを覆う遮光部材70を形成する。この工程は、前述した遮光部材を形成する工程(S4)と同様に行うことができる。
【0072】
[電極を露出させる工程(S15)]
図12Eに示すように遮光部材70を研削し、複数の発光素子20の電極面20bに位置する正負の電極21を露出させる。この工程も、前述した電極を露出させる工程(S5)と同様に行うことができる。
【0073】
[導電層を形成する工程(S16)]
図12Fに示すように、遮光部材70の上面70bに、露出した正負の電極21を覆う導電層80を形成する。この工程も前述の導電層を形成する工程(S6)と同様に行うことができる。これにより支持体95に支持された複合体96が得られる。
【0074】
[第2積層部材、または、第3積層部材を配置する工程(S17)]
図12Gに示すように、複合体96を支持体95から剥離する。別途、
図12Hに示すような透光性部材50と、第2光拡散部材60とが積層された第2積層部材92を準備する。または、
図12Iに示すような他の第1光拡散部材42と、他の第1光拡散部材42上に配置された透光性部材50と、透光性部材50上に配置された第2光拡散部材60と、を含む第3積層部材93を準備する。そして、第2積層部材92の透光性部材50が第1光拡散部材41と対向するように、または、第3積層部材の他の第1光拡散部材42が第1光拡散部材41と対向するように、第1光拡散部材41上に配置する。
【0075】
具体的には、複合体96を、支持体95から剥離し、複合体96の上面96aに第1光拡散部材41を露出させる。そして、別途、透光性部材50と、第2光拡散部材60とが積層された第2積層部材92を用意する。または、他の第1光拡散部材42と、他の第1光拡散部材42上に配置された透光性部材50と、透光性部材50上に配置された第2光拡散部材60とを含む第3積層部材93を用意する。第2積層部材92または第3積層部材93は、積層部材を用意する工程(S1)と同様の工程によって、作製することができる。
【0076】
次に、第1光拡散部材41が露出した複合体96の上面96aに第2積層部材92または第3積層部材93を接合する。接着剤または接着シート等を用い、第2積層部材92の透光性部材50または、第3積層部材93の他の第1光拡散部材42を複合体96の上面96aに接合する。これにより、
図12Jに示す光源101または、
図12Kに示す光源101が得られる。
【0077】
図12Jに示す光源101は、各発光素子20に対応して分断された複数の第1光拡散部材41を備えている。このようにして、複数の波長変換部材30上に配置される複数の第1光拡散部材41が得られる。透光性部材50は、複数の第1光拡散部材41上に配置され、複数の第1光拡散部材41を連続して覆っている。
【0078】
図12Kに示す光源101は、各発光素子20に対応して分断された複数の第1光拡散部材41と、複数の第1光拡散部材41を連続して覆う第1光拡散部材42とを備えている。このようにして、複数の波長変換部材30上に配置され、複数の波長変換部材30の上面を連続して覆う第1光拡散部材40であって、波長変換部材30側に位置する下面において、複数の波長変換部材と接する領域間に溝を有する第1光拡散部材40が得られる。透光性部材50は、第1光拡散部材42上に配置され、複数の第1光拡散部材41を連続して覆っている。
【0079】
<第2の実施形態>
光源装置および光源モジュールの実施形態を説明する。
図13は光源装置201の模式斜視図であり、
図14は光源装置201の模式断面図である。
図15は、光源モジュール301の模式斜視図である。
【0080】
光源装置201は、レンズ202と、光源203と、を備えている。本実施形態では、光源装置201は、基板205および筐体204をさらに備えている。光源203は上記実施形態で説明した光源101を用いることができる。例えば、光源203は、基板205上に配置されている。基板205は、上面205aおよび下面205bを有し、上面205aには電極206が形成され、下面205bには電極207が形成されている。電極206と電極207とは、基板205の内部に形成された導電性のビアを介して電気的に接続されている。光源203は基板205の上面205aにおいて支持されており、光源203の導電層80が、電極206と電気的に接続されている。
【0081】
筐体204は、レンズ202を光源203の発光面である上面203aから所定の距離を隔てて保持している。レンズ202は、例えば凸レンズであり、レンズ202の光軸が上面203aの中心に位置合わせされている。
【0082】
光源モジュール301は、駆動IC302と、コンデンサ等の受動素子303と、コネクタ304と、回路基板305と、光源装置201と、を備える。回路基板305の上面には回路パターンが形成されており、光源装置201、駆動IC302、受動素子303およびコネクタ304が実装されている。駆動IC302と受動素子303は、回路基板305ではなく、光源装置の基板205に実装されていてもよい。
【0083】
駆動IC302および受動素子303は、光源203の駆動回路を構成している。コネクタ304には、外部から駆動回路および光源装置201を駆動するための電流が供給される。また、光源203の発光ユニット10を選択的に駆動するための制御信号が入力される。
【0084】
レンズ202は投影系光学系であり、光源203から出射した光を、拡大して外部に投射する。このため、複数の発光ユニット10が部分駆動された場合、部分駆動による光強度あるいは明滅に対応した強度および照射領域の光がレンズ202から投射される。投射される光は、第1実施形態で説明したように、部分照射時の発光特性に優れる。
【0085】
本実施形態では、光源203は、例えば、7行9列に配列された63個の発光ユニット10を含むため、投影される光も7行9列の領域で、独立して点灯/点滅させたり、点灯時の強度が調整されたりする。
【0086】
また例えば、発光ユニット10の配列ピッチで規定される領域よりも小さい領域を単位として光の明滅を制御したい場合には、光源装置201に液晶シャッタを組み合わせてもよい。
図16は液晶シャッタ208を備えた光源装置211の模式断面図である。
図17は、液晶シャッタ208の制御単位を説明する模式平面図である。
図18は、光源装置211を備えた光源モジュール311の模式斜視図である。
【0087】
図16に示すように、光源装置211は、液晶シャッタ208と、液晶シャッタ208を光源203の上面203a上で支持する支持部材210と、液晶シャッタ208と基板205とを電気的に接続する配線209と、をさらに備えている。液晶シャッタ208は、例えば、
図17に示すように、1つの発光ユニット10を4つの領域に分けて、独立してON/OFFの制御を行うことが可能である。つまり、液晶シャッタ208は、例えば、14行18列に配置された領域の単位でON/OFFの制御を行うことが可能である。ON状態の領域では、光を透過させ、OFF状態の領域では光を遮断する。光源モジュール311は、光源モジュール301の構成に加えて、液晶シャッタ208を駆動する駆動IC305をさらに備えている。本実施形態では、駆動IC305は光源モジュール311の回路基板305に実装されているが、駆動IC305は、光源装置211の基板205に実装されていてもよい。
【0088】
光源モジュール311によれば、発光ユニット10よりも小さい、14行18列の252個の領域において、独立して点灯/点滅を制御することが可能である。点灯/点滅の領域を小さくするために、発光ユニット10のサイズをより小さくした光源モジュールを実現した場合、相対的に発光ユニット10間の領域が多くなることによって、光源203から出射する光の全体の光量が低下し得る。このような場合に、液晶シャッタを組み合わせることによって、全体の光量を低下させることなく、より小さな領域を単位として点灯/点滅の制御が可能である。
【0089】
<実施例>
本実施形態の光源を作製し、光源から出射する光の輝度分布および色度分布を測定した。実施例として、7行9列に発光ユニット10が配置された光源101について、輝度および色度の測定を行った。比較例として、第2光拡散部材および透光性部材を備えておらず、かつ、第1光拡散部材に溝40gが設けられていない光源について、輝度および色度の測定を行った。
【0090】
実施例の光源の輝度分布を
図19Aに示す。比較例の光源の輝度分布を
図19Bに示す。また、実施例の光源の色度分布を
図20Aに示す。比較例の光源の色度分布を
図20Bに示す。点灯している発光ユニット間、および、点灯している発光ユニットと非点灯の発光ユニットとの間における輝度および色度を評価するため、実施例の光源101および比較例の光源のいずれにおいても、中央の9つの発光ユニットは点灯させず、周辺の54の発光ユニットを点灯させた。
【0091】
実施例の光源101では、波長変換部材30間の距離は50μmであり、比較例の光源における波長変換部材30間の距離は25μmである。第1光拡散部材および第2光拡散部材の厚さは、60μmであり、透光性部材の厚さは100μmである。また、第1光拡散部材および第2光拡散部材の全光線透過率は58%であり、拡散率は57%である。
【0092】
図19Aおよび
図19Bにおいて、輝度がグレースケールで示されており、白色の領域ほど輝度が高いことを示している。
図19Aおよび
図19Bから分かるように、実施例では、点灯している外周の発光ユニット間には輝度の低下した領域がほとんど見られないが、比較例では、発光ユニット間に輝度の低い領域があることが分かる。
【0093】
図20Aおよび
図20Bにおいて、左側の図は、x-y色度図における色度xの値の分布を示し、右側の図は色度yの値の分布を示す。右端のバーは、色度xの値または色度yの値それぞれについて、0.25から0.5の範囲をグレースケールで表示している。色度xまたは色度yの分布図の色は、バーが示す色(白から黒の濃淡)の値に対応している。
図20Aに示すように、実施例では、点灯している外周の発光ユニット間でxおよびyのいずれの色度もほとんど変化していないのに対して、比較例では、発光ユニット間に、xおよびyの値が高い領域があることが分かる。つまり、実施例では、点灯している発光ユニット間の領域でも色度ずれはほとんど生じないのに対し、比較例では、点灯している発光ユニット間において、色度が黄色側にずれていることが分かる。つまり、実施例では、消灯している領域における色むらが改善されていることが分かる。
【0094】
図21Aおよび
図21Bは、実施例の光源101と比較例の光源において、1つの発光ユニットを点灯させた場合の外観を示している。実施例の光源101では、点灯している発光ユニットの周囲に、円環状に弱く光が広がっているに対し、比較例の光源では、比較的強度の高い光が縦および横方向に広がっている。このように、非点灯の発光ユニットへの光の広がりは比較例の光源のほうが大きい。つまり、実施例の光源101では、非発光領域への光の漏れが抑制されることによって、発光領域と非発光領域の輝度差(コントラスト)が向上していることが分かる。
【0095】
このように実施例によれば、発光ユニット間の暗線および色度ずれが抑制され、発光領域と非発光領域とのコントラストに優れた、部分照射の発光特性に優れる光源を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の光源、光源装置は、カメラのフラッシュライト、車載のヘッドライト、照明等、種々の用途の発光装置として用いることができる。例えば種々の用途の灯具用の発光装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0097】
10 発光ユニット
20 発光素子
20a 出射面
20b 電極面
20c、30c 側面
21 電極
30 波長変換部材
30a、40a、95a、96a、101a、203a、205a 上面
30b、40b、101b、205b 下面
40、41、42 第1光拡散部材
40、40gX、40gY 溝
50 透光性部材
60 第2光拡散部材
70 遮光部材
80 導電層
90 積層部材
91 第1積層部材
92 第2積層部材
93 第3積層部材
95 支持体
96 複合体
100 発光ユニット
101 光源
130 波長変換部材
201、211 光源装置
202 レンズ
203 光源
204 筐体
205 基板
206 電極
207 電極
208 液晶シャッタ
209 フレキシブル配線
210 支持部材
301 光源モジュール
303 受動素子
304 コネクタ
305 回路基板
311 光源モジュール