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特許7329045高品質酸化ケイ素薄膜の高温原子層堆積のための組成物
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  • 特許-高品質酸化ケイ素薄膜の高温原子層堆積のための組成物 図1
  • 特許-高品質酸化ケイ素薄膜の高温原子層堆積のための組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】高品質酸化ケイ素薄膜の高温原子層堆積のための組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20230809BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20230809BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230809BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/318 C
C23C16/455
C23C16/42
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021518587
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2019054488
(87)【国際公開番号】W WO2020072768
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】62/741,126
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】メイリャン ワン
(72)【発明者】
【氏名】シンチエン レイ
(72)【発明者】
【氏名】マドゥカル ビー.ラオ
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-236073(JP,A)
【文献】国際公開第2018/170126(WO,A1)
【文献】特開2012-124492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/318
C23C 16/455
C23C 16/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ケイ素膜を基材に堆積するためのプロセスであって、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.式I:
12 mSi(NR34n (I)
によって表される構造を有し、式中、R1、R2及びR3が、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基及びC6~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され;R4が、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基、C6~C10アリール基及びC3~C10アルキルシリル基から選択され;mが0~2であり;nが1~3であり、m+n=3であ少なくとも1つのケイ素前駆体を前記反応器中に導入する工程であって、前記少なくとも1つのケイ素前駆体中の塩化物イオンが、ICによって測定した場合に50ppm以下の濃度で存在し、前記少なくとも1つのケイ素前駆体が金属不純物を実質的に有さず、前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、クロロシラン、ブロモシラン及びヨードシランからなる群から選択されるハライドを含有しない試剤を使用することによって合成されたものである、工程
c.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程;
d.酸素源を前記反応器中に導入する工程;並びに
e.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの酸化ケイ素が堆積されるまで繰り返され、600~800℃の1つ又は複数の温度で、かつ50ミリTorr(mT)~760Torrの1つ又は複数の圧力で行われるプロセス。
【請求項2】
3とR4とが連結されて環式環構造を形成している、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、ジエチルアミノトリエチルシラン、ジメチルアミノトリエチルシラン、エチルメチルアミノトリエチルシラン、t-ブチルアミノトリエチルシラン、イソ-プロピルアミノトリエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリエチルシラン、ピロリドノトリエチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、エチルメチルアミノトリメチルシラン、t-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリメチルシラン、ピロリドノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、エチルメチルアミノジメチルシラン、t-ブチルアミノジメチルシラン、イソ-プロピルアミノジメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジメチルシラン、ピロリジノジメチルシラン、ジエチルアミノジエチルシラン、ジメチルアミノジエチルシラン、エチルメチルアミノジエチルシラン、t-ブチルアミノジエチルシラン、イソ-プロピルアミノジエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジエチルシラン、ピロリドノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ジピロリジノジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジエチルシラン、ジピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ジピロリジノメチルビニルシラン、2,6-ジメチルピペリジノメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノジメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン、メチルアミノトリメチルシラン、n-プロピルアミノトリメチルシラン、イソ-ブチルアミノトリメチルシラン、n-ブチルアミノトリメチルシラン、シクロヘキサミノトリメチルシラン、2-メチルピロリジノトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリジノトリメチルシラン、ピペリジノトリメチルシラン、1-メチルピペラジノトリメチルシラン、ピロリルトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン、イミダゾリルトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に10ppm以下の濃度で存在する、請求項に記載のプロセス
【請求項5】
前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に5ppm以下の濃度で存在する、請求項に記載のプロセス
【請求項6】
前記パージガスが、窒素、ヘリウム及びアルゴンからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記酸素源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、酸素/水素、酸素/水、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素、オゾン源及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
工程eの後に、以下の工程f及びg:
f.水蒸気又はヒドロキシル源を前記反応器中に導入する工程;及び
g.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程
をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
酸化ケイ素膜を堆積するためのプロセスであって、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.式I:
12 mSi(NR34n (I)
によって表される構造を有し、式中、R1、R2及びR3が、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基及びC6~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され;R4が、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基、C6~C10アリール基及びC3~C10アルキルシリル基から選択され;mが0~2であり;nが1~3であり、m+n=3であ少なくとも1つのケイ素前駆体を前記反応器中に導入する工程であって、前記少なくとも1つのケイ素前駆体中の塩化物イオンが、ICによって測定した場合に50ppm以下の濃度で存在し、前記少なくとも1つのケイ素前駆体が金属不純物を実質的に有さず、前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、クロロシラン、ブロモシラン及びヨードシランからなる群から選択されるハライドを含有しない試剤を使用することによって合成されたものである、工程
c.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程;
d.酸素源を前記反応器中に導入する工程;
e.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程;
f.水蒸気又はOH源を前記反応器中に導入する工程;並びに
g.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程
を含み、工程b~gが、所望の厚さが堆積されるまで繰り返され、プロセス温度が600~800℃であり、前記反応器中の圧力が50ミリTorr(mT)~760Torrであるプロセス。
【請求項10】
3とR4とが連結されて環式環構造を形成している、請求項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、ジエチルアミノトリエチルシラン、ジメチルアミノトリエチルシラン、エチルメチルアミノトリエチルシラン、t-ブチルアミノトリエチルシラン、イソ-プロピルアミノトリエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリエチルシラン、ピロリドノトリエチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、エチルメチルアミノトリメチルシラン、t-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリメチルシラン、ピロリドノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、エチルメチルアミノジメチルシラン、t-ブチルアミノジメチルシラン、イソ-プロピルアミノジメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジメチルシラン、ピロリジノジメチルシラン、ジエチルアミノジエチルシラン、ジメチルアミノジエチルシラン、エチルメチルアミノジエチルシラン、t-ブチルアミノジエチルシラン、イソ-プロピルアミノジエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジエチルシラン、ピロリドノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ジピロリジノジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジエチルシラン、ジピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ジピロリジノメチルビニルシラン、2,6-ジメチルピペリジノメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノジメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン、メチルアミノトリメチルシラン、n-プロピルアミノトリメチルシラン、イソ-ブチルアミノトリメチルシラン、n-ブチルアミノトリメチルシラン、シクロヘキサミノトリメチルシラン、2-メチルピロリジノトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリジノトリメチルシラン、ピペリジノトリメチルシラン、1-メチルピペラジノトリメチルシラン、ピロリルトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン、イミダゾリルトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に10ppm以下の濃度で存在する、請求項11に記載のプロセス
【請求項13】
前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に5ppm以下の濃度で存在する、請求項11に記載のプロセス
【請求項14】
前記パージガスが、窒素、ヘリウム及びアルゴンからなる群から選択される、請求項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記酸素源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素及びオゾン源からなる群から選択される、請求項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記膜が、2MV/cmで1.0×10-9A/cm2以下、4MV/cmで1.0×10-9A/cm2以下、又は6MV/cmで1.0×10-8A/cm2以下の漏洩電流を有する、請求項に記載のプロセス
【請求項17】
前記膜が、2MV/cmで1.0×10-9A/cm2以下、4MV/cmで1.0×10-9A/cm2以下、又は6MV/cmで1.0×10-8A/cm2以下の漏洩電流を有する、請求項に記載のプロセス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月4日に提出された米国仮特許出願第62/741126号に基づく優先権を主張していて、その全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
酸化ケイ素膜の形成のための組成物及び方法が本明細書において説明される。より具体的には、約600℃以上の1つ又は複数の堆積温度において、原子層堆積(ALD)プロセスを使用する、酸化ケイ素膜の形成のための組成物及び方法が本明細書において説明される。
【背景技術】
【0003】
熱酸化は、半導体用途において、高純度であり、かつ高いコンフォーマル性を有する酸化ケイ素膜、例えば二酸化ケイ素(SiO2)を堆積するのに一般に使用されるプロセスである。しかし、熱酸化プロセスは、非常に低い堆積速度、例えば700℃で0.03Å/sより低い堆積速度を有し、このことは熱酸化を大量製造プロセスのために実用的でないものとする(例えば、Wolf,Sの「Silicon Processing for the VLSI Era Vol.1-Process Technology」、Lattice Press、CA、1986を参照せよ)。
【0004】
原子層堆積(ALD)及びプラズマ強化原子層堆積(PEALD)は、低温(<500℃)で二酸化ケイ素(SiO2)のコンフォーマルな膜を堆積するのに使用されるプロセスである。ALD及びPEALDプロセスの両方において、前駆体と反応性ガス(例えば酸素又はオゾン)とは、特定のサイクル数で分離してパルス化されて、それぞれのサイクルで二酸化ケイ素(SiO2)のモノレイヤーを形成する。しかし、これらのプロセスを使用して低温で堆積された二酸化ケイ素(SiO2)は、半導体用途に対して有害である、不純物、例えば炭素(C)、窒素(N)、水素(H)又はそれらの組み合わせのレベルを含有する場合がある。これを改善するために、1つの可能な解決策は、例えば500℃以上に堆積温度を上昇させることである。しかし、これらのより高い温度では、半導体産業に用いられる従来の前駆体は、自己反応し、熱的に分解し、ALD方式というよりはむしろ化学気相堆積(CVD)方式で堆積する傾向がある。とりわけ、半導体用途における高いアスペクト比の構造において、CVD方式の堆積は、ALD堆積と比較して減少したコンフォーマル性を有する。加えて、CVD方式の堆積は、ALD方式の堆積より低い、膜又は材料の厚さの制御性をもたらす。
【0005】
特開2010-275602号公報及び特開2010-225663号公報は、Si含有薄膜、例えば300~500℃の温度におけるCVDプロセスによる酸化ケイ素、を形成するための原材料の使用を開示している。原材料は、式:(a)HSi(CH3)(R1)(NR23)(式中、R1はNR45又は1C~5Cアルキル基を表し、R2及びR4は1C~5Cアルキル基又は水素原子をそれぞれ表し、R3及びR5は1C~5Cアルキル基をそれぞれ表す);又は(b)HSiCl(NR12)(NR34)(式中、R1及びR3は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基又は水素原子を独立に表し、R2及びR4は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を独立に表す)によって表される有機ケイ素化合物である。有機ケイ素化合物はH-Si結合を含む。
【0006】
米国特許第7084076号明細書(「’076特許」)は、二酸化ケイ素を形成する500℃より低いALD堆積のための、触媒としてのピリジンと組み合わせて使用されるハロゲン化されたシロキサン、例えばヘキサクロロジシロキサン(HCDSO)を開示している。
【0007】
米国特許第6992019号明細書(「’019特許」)は、関連するパージ方法及びシークエンスとともに、少なくとも2つのケイ素原子を有するケイ素化合物からなる第一の反応体成分を使用することによって、触媒成分として三級脂肪族アミンを使用することによって、又はその両方を組み合わせることによって、優れた特性を有する二酸化ケイ素層を半導体基材に形成する触媒補助ALDのための方法を開示している。使用される前駆体はヘキサクロロジシランである。堆積温度は25~150℃である。
【0008】
米国特許第9460912号明細書及び米国特許第10242864号明細書(’912特許及び’864)は、約500℃の1つ又は複数の堆積温度における、酸化ケイ素含有膜の形成のための組成物及び原子層堆積(ALD)プロセスを開示している。1つの態様において、組成物及びプロセスは、説明されている以下の式I、II及びそれらの組み合わせを有する化合物から選択される1つ又は複数のケイ素前駆体を使用していて、R12 mSi(NR34np I、及びR12 mSi(OR3n(OR4qp IIである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
熱ベースの堆積プロセスを置き換えるために、ALDプロセス又はALDに類似のプロセスを、例えば、以下に限定するものではないが、CVDプロセスを使用する、高品質の、低不純物の、高いコンフォーマル性を有する酸化ケイ素膜を形成するためのプロセスを開発する要求がある。さらに、ALD又はALDに類似のプロセスにおいて、1つ又は複数の膜特性、例えば純度及び/又は密度を改善する高温堆積(例えば、600℃の1つ又は複数の温度における堆積)を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ALD又はALDに類似のプロセスにおける、高温での、例えば600℃以上の1つ又は複数の温度での、酸化ケイ素材料又は膜の堆積のためのプロセスが本明細書において説明される。
【0011】
1つの実施態様において、酸化ケイ素膜を基材に堆積するためのプロセスであって、a.基材を反応器中に提供する工程;b.式I:
12 mSi(NR34n (I)
によって表される構造を有し、式中、R1、R2及びR3が、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基及びC6~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され、R4が、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基、C6~C10アリール基及びC3~C10アルキルシリル基から選択され、mが0~2であり、nが1~3であり、m+n=3である少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器中に導入する工程;c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;d.酸素源を反応器中に導入する工程;並びにe.パージガスを用いて反応器をパージする工程を含み、工程b~eが、所望の厚さの酸化ケイ素が堆積されるまで繰り返され、600~800℃の1つ又は複数の温度で、かつ50ミリTorr(mT)~760Torrの1つ又は複数の圧力で行われるプロセスが開示される。
【0012】
別の実施態様において、酸化ケイ素膜を堆積するためのプロセスであって、a.基材を反応器中に導入する工程;b.式I:
12 mSi(NR34n (I)
によって表される構造を有し、式中、R1、R2及びR3が、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基及びC6~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され、R4が、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基、C6~C10アリール基及びC3~C10アルキルシリル基から選択され、mが0~2であり、nが1~3であり、m+n=3である少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器中に導入する工程;c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;d.酸素源を反応器中に導入する工程;e.パージガスを用いて反応器をパージする工程;f.水蒸気又はOH源を反応器中に導入する工程;並びにg.パージガスを用いて反応器をパージする工程を含み、工程b~gが、所望の厚さが堆積されるまで繰り返され、プロセス温度が600~800℃であり、反応器中の圧力が50mT~760Torrであるプロセスが開示される。
【0013】
本明細書において説明され、上の方法のいずれかから製造される酸化ケイ素膜は、2MV/cmで1.0×10-9A/cm2以下、4MV/cmで1.0×10-9A/cm2以下、又は6MV/cmで1.0×10-8A/cm2以下の漏洩電流を有する。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、例として本発明の原理を例示する添付の図面とあわせてされる、好ましい実施態様の以下のさらなる詳細な説明から明らかとなる。本発明の実施態様及び特徴は、単独で又は互いに組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】それぞれ650℃及び700℃で、>50ppmの塩化物不純物を有するDMATMSを用いて堆積された酸化ケイ素膜の漏洩電流曲線である。膜漏洩電流は、2MV/cmで1.0×10-9A/cm2より大きい、4MV/cmで1.0×10-9A/cm2より大きい、6MV/cmで1.0×10-8A/cm2より大きい。
図2】それぞれ650℃及び700℃で、2ppmの塩化物不純物を有するDMATMSを用いて堆積された酸化ケイ素膜の漏出電流曲線である。700℃の膜の漏洩電流は、2MV/cmで1.0×10-9A/cm2より小さい、4MV/cmで1.0×10-9A/cm2より小さい、6MV/cmで1.0×10-8A/cm2より小さい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ALD又はALDに類似のプロセス、例えば、以下に限定するものではないが、サイクリック化学気相堆積プロセス(CCVD)で、600℃以上、好ましくは700℃以上、最も好ましくは720℃以上の1つ又は複数の温度で、酸化ケイ素含有膜、例えば酸窒化ケイ素膜、化学量論的な若しくは化学量論的でない酸化ケイ素膜、酸化ケイ素膜又はそれらの組み合わせの形成に関する組成物及びプロセスが本明細書において説明される。本明細書において説明される高温堆積(例えば、約600~800℃の1つ又は複数の堆積温度)方法は、以下の利点:約2.1g/cm3以上の密度、少量の化学的不純物、熱原子層堆積、PEALDプロセス若しくはPEALDに類似のプロセスにおける高いコンフォーマル性、得られる膜中の炭素含有量を調節する能力のうち少なくとも1つ又は複数を示す膜又は材料を提供するか;及び/又は膜は、0.5wt%希釈HFにおいて測定したとき、5オングストローム毎秒(Å/s)以下のエッチング速度を有する。炭素ドープされた酸化ケイ素膜について、他の特徴、例えば、以下に限定するものではないが、約1.8g/cm3以上又は2.0g/cm3以上の密度に加えて、0.5wt%希釈HFにおけるエッチング速度を2Å/sより低い値に調整するために、1%より多い炭素が望まれる。重要なことには、堆積された酸化ケイ素は、2MV/cmで1.0×10-9A/cm2以下、4MV/cmで1.0×10-9A/cm2以下、又は6MV/cmで1.0×10-8A/cm2以下の漏洩電流を有する。
【0017】
先行技術における典型的なALDプロセスは、25~500℃のプロセス温度で、酸素源又は酸化剤、例えば酸素、酸素プラズマ、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素若しくはオゾン源を直接使用してSiO2を形成する。堆積工程は、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.ケイ素前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.酸素源を反応器中に導入する工程;及び
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含む。このような先行技術のプロセスにおいて、工程b~eは、所望の厚さの膜が堆積されるまで繰り返される。
【0018】
高温プロセス、すなわち600℃より高いプロセスは、膜の純度及び密度の点でより良好な膜品質をもたらすことができると考えられる。ALDプロセスは良好な膜ステップカバレッジを提供するが、ALD又はPEALDにおいて使用される典型的な有機ケイ素前駆体は、典型的には500℃より低い範囲の温度において、ALD方式で膜を堆積するだけである。温度がこの範囲より高いとき、前駆体の熱分解が起こり、このことは気相反応又は連続的な基材表面反応のいずれかを引き起こし、堆積プロセスを、所望されるALD方式というよりはむしろCVD方式に変える。
【0019】
特定の理論によって拘束されることを意図するものではないが、600℃より高い1つ又は複数の温度におけるALD又はALDに類似の堆積プロセスについて、本明細書において説明されるケイ素前駆体分子は、基材表面において特定の反応性サイトと反応してケイ素種のモノレイヤーを固定する少なくとも1つの固定官能基を有する。固定官能基は、アミノ基、例えばジメチルアミノ又はジエチルアミノ基から選択することができる。ケイ素前駆体は、不動態官能基をさらに有するべきであり、それはさらなる表面反応を妨げる程度に化学的に安定であり、自己制御プロセスをもたらす。不動態化官能基は、異なるアルキル基、例えばメチル、エチル、フェニル基から選択され、好ましくはメチル基である。次いで、表面の残基が酸化されてSi-O-Si結合並びにヒドロキシル基を形成することができる。加えて、以下のスキーム1に示されるように、ヒドロキシル源、例えばH2O又は水プラズマを反応器中にさらに導入して、次のALDサイクルのための反応性サイトとしてのさらなるヒドロキシル基を形成することができる。
【化1】
【0020】
1つの実施態様において、本明細書において説明される少なくとも1つのケイ素前駆体は、以下の式I:
12 mSi(NR34n (I)
有し、式中、R1、R2及びR3が、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基及びC6~C10アリール基からそれぞれ独立に選択され、R4が、水素、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基、C6~C10アリール基及びC3~C10アルキルシリル基から選択され、R3とR4とが、環式環構造を形成するように連結されているか、又はR3とR4とが、環式環構造を形成するように連結されておらず、mが0~2であり、nが1~3であり、m+n=3である化合物であり、ケイ素前駆体は、ハライド化合物、金属イオン、金属及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を実質的に有しない。
【0021】
式Iを有する前駆体の例は、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、エチルメチルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミノトリエチルシラン、ジメチルアミノトリエチルシラン、エチルメチルアミノトリエチルシラン、t-ブチルアミノトリエチルシラン、イソ-プロピルアミノトリエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリエチルシラン、ピロリジノトリエチルシラン、t-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリメチルシラン、ピロリジノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、エチルメチルアミノジメチルシラン、t-ブチルアミノジメチルシラン、イソ-プロピルアミノジメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジメチルシラン、ピロリジノジメチルシラン、ジエチルアミノジエチルシラン、ジメチルアミノジエチルシラン、エチルメチルアミノジエチルシラン、t-ブチルアミノジエチルシラン、イソ-プロピルアミノジエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジエチルシラン、ピロリドノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジピロリジノジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジエチルシラン、ジピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ジピロリジノメチルビニルシラン、2,6-ジメチルピペリジノメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノジメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)クロロシラン、メチルアミノトリメチルシラン、n-プロピルアミノトリメチルシラン、イソ-ブチルアミノトリメチルシラン、n-ブチルアミノトリメチルシラン、シクロヘキサミノトリメチルシラン、2-メチルピロリジノトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリジノトリメチルシラン、ピペリジノトリメチルシラン、1-メチルピペラジノトリメチルシラン、ピロリルトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン、イミダゾリルトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。
【0022】
式Iの構造を有する前駆体は、アミン基及びアルコキシ基から選択される固定官能基を有していて、好ましくはメチル基であるアルキル基不動態化官能基を有する。特定の理論によって拘束されることを意図するものではないが、Si-Me基は、600℃より高い温度で安定であり、不動態化官能基を提供して、さらなる表面反応を妨げて、自己制御ALD又はALDに類似のプロセスをもたらすと考えられる。
【0023】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「アルキル」は、1~10、3~10又は1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の官能基を意味する。例示的な直鎖アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基を含むが、それらに限定されない。例示的な分岐鎖アルキル基は、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソ-ペンチル、tert-ペンチル、イソヘキシル及びネオヘキシルを含むが、それらに限定されない。特定の実施態様において、アルキル基は、アルキル基に結合された1つ又は複数の官能基、例えば、以下に限定するものではないが、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基又はそれらの組み合わせ、を有していてよい。他の実施態様において、アルキル基は、アルキル基に結合された1つ又は複数の官能基を有しない。アルキル基は、飽和であるか、又は代わりに不飽和であってよい。
【0024】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「アリール」は、3~10個の炭素原子、5~10個の炭素原子又は6~10個の炭素原子を有する芳香族環状官能基を意味する。例示的なアリール基は、フェニル、ベンジル、クロロベンジル、トリル及びo-キシリルを含むが、それらに限定されない。
【0025】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「アミノ」は、窒素原子に連結されたアルキル又は芳香族基(例えば、上のように画定されたNR34)を意味し、1~12個又は1~6個の炭素原子を有してよい。例示的なアミノ基は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、tert-ブチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、ピペリジノ、アルキル置換されたピペリジノ(例えば、2,6-ジメチルピペリジノ)、ピロリジノ、アルキル置換されたピロリジノ(例えば2,5-ジメチルピロリジノ)、ピロリル、アルキル置換されたピロリル、イミダゾリル及びアルキル置換されたイミダゾリル基を含むが、それらに限定されない。
【0026】
上の式において、及び本明細書を通じて、本明細書において使用される用語「不飽和の」は、官能基、置換基、環又はブリッジが、1つ又は複数の炭素二重結合又は三重結合を有することを意味する。不飽和の環の例は、芳香族環、例えばフェニル環であってよいが、それに限定されない。用語「飽和の」は、官能基、置換基、環又はブリッジが、1つ又は複数の二重結合又は三重結合を有しないことを意味する。
【0027】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「アルキルシリル」は、3~10個を有する直鎖又は分岐鎖の官能基を意味する。例示的なアルキルシリル基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルシリル、ジエチルシリル及びジメチルエチルシリルを含むが、それらに限定されない。
【0028】
特定の実施態様において、式I中の置換基R3とR4とは、共に連結されて環構造を形成することができる。当業者が理解するように、R3とR4とがともに連結されて環を形成している場合、R3はR4に連結するための結合の手を含み、逆もまた同様である。これらの実施態様において、環構造は不飽和、例えば環状アルキル環であるか、又は飽和、例えばアリール環であってよい。さらに、これらの実施態様において、環構造はまた、置換されているか、又は置換されていなくてよい。例示的な環式環基は、ピロリジノ、ピペリジノ及び2,6-ジメチルピペリジノ基を含むが、それらに限定されない。しかし、他の実施態様において、置換基R3とR4とは連結されていない。
【0029】
式Iの前駆体は、以下の反応式(1)によって生成することができる。
【化2】
【0030】
式(1)の反応は、有機溶媒を用いて(例えば有機溶媒の存在の下で)、又は有機溶媒を用いずに(例えば有機溶媒が存在しないで)行うことができる。有機溶媒が使用される実施態様において、適した有機溶媒の例は、炭化水素、例えばヘキサン、オクタン、トルエン、並びにエーテル、例えばジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン(THF)を含むが、それらに限定されない。これらの又は他の実施態様において、溶媒が使用される場合、反応温度は、約-70℃~用いられる溶媒の沸点の範囲である。得られるケイ素前駆体化合物は、例えば、全ての副生成物並びに存在するならば任意の溶媒を除去した後の減圧蒸留によって、精製することができる。
【0031】
ハライドを実質的に有しない本発明による組成物は、(1)化学合成の間に塩化物源を減少させるか、若しくは排除することによって、及び/又は(2)最終精製された生成物が塩化物を実質的に有しないように、有効な精製プロセスを行って粗生成物から塩化物を除去することによって達成することができる。塩化物源は、合成の間に、ハライド、例えばクロロシラン、ブロモシラン又はヨードシランを含有しない試剤を使用することによって低減することができ、それによってハライドイオンを含有する副生成物の生成を回避する。加えて、得られる粗生成物が塩化物不純物を実質的に有しないように、先述の試剤は塩化物不純物を実質的に有しないべきである。類似の方式で、合成は、ハライドベースの溶媒、触媒、又は許容できないほど高いレベルのハライド汚染物質を含有する溶媒を使用しないべきである。粗生成物は、種々の精製方法によってさらに処理されて、最終生成物を、ハライド、例えば塩化物を実質的に有しない状態にする。このような方法は、先行技術においてよく説明されていて、例えば蒸留又は吸着などの精製プロセスを含んでよいが、それらに限定されない。蒸留は、沸点における違いを利用することによって所望の生成物から不純物を分離するのに一般に使用される。吸着もまた、構成成分の異なる吸着特性を活用するように使用して、最終生成物がハライドを実質的に有しないように分離を生じさせることができる。吸着剤、例えば商業的に入手可能なMgO-Al23ブレンドを使用して、ハライド、例えば塩化物を除去することができる。
【0032】
式(1)は、本文書において説明されるように、ハライドトリアルキルシランと、一級又は二級アミンとの反応を含む、式Iを有するケイ素前駆体化合物を製造する例示的な合成経路である。他の合成経路、例えば式(2)又は(3)もまた、先行技術において説明されるように、式Iを有するこれらのケイ素前駆体化合物を製造するのに用いることができる。
【化3】
【0033】
本発明の方法において用いられる触媒は、ケイ素-窒素結合の形成を促進するもの、すなわち脱水素カップリング触媒である。本明細書において説明される方法で使用することができる例示的な触媒は、以下:アルカリ土類金属触媒;ハライドを有しない典型、遷移金属、ランタノイド及びアクチノイド触媒;並びにハライド含有の典型、遷移金属、ランタノイド及びアクチノイド触媒を含むが、それらに限定されない。
【0034】
例示的なアルカリ土類金属触媒は、以下:Mg[N(SiMe322、ToMMgMe [ToM=トリス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリニル)フェニルボレート]、ToMMg-H、ToMMg-NR2 (R=H、アルキル、アリール)Ca[N(SiMe322、[(dipp-nacnac)CaX(THF)]2 (dipp-nacnac=CH[(CMe)(2,6-iPr2-C63N)]2;X=H、アルキル、カルボシリル、有機アミノ)、Ca(CH2Ph)2、Ca(C352、Ca(α-Me3Si-2-(Me2N)-ベンジル)2(THF)2、Ca(9-(Me3Si)-フルオレニル)(α-Me3Si-2-(Me2N)-ベンジル)(THF)、[(Me3TACD)3Ca3(μ3-H)2+ (Me3TACD=Me3[12]aneN4)、Ca(η2-Ph2CNPh)(hmpa)3 (hmpa=ヘキサメチルホスホルアミド)、Sr[N(SiMe322、並びに他のM2+アルカリ土類金属-アミド、-イミン、-アルキル、-水素化物、及び-カルボシリル錯体 (M=Ca、Mg、Sr、Ba)を含むが、それらに限定されない。
【0035】
例示的なハライドを有しない典型、遷移金属、ランタノイド及びアクチノイド触媒は、以下:1,3-ジ-イソ-プロピル-4,5-ジメチルイミダゾール-2-イリデン、2,2’-ビピリジル、フェナントロリン、B(C653、BR3 (R=直鎖、分岐鎖若しくは環状のC1~C10アルキル基、C5~C10アリール基又はC1~C10アルコキシ基)、AIR3 (R=直鎖、分岐鎖、若しくは環状のC1~C10アルキル基、C5~C10アリール基又はC1~C10アルコキシ基)、(C552TiR2 (R=アルキル、H、アルコキシ、有機アミノ、カルボシリル)、(C552Ti(OAr)2 [Ar=(2,6-(iPr)263)]、(C552Ti(SiHRR’)PMe3 (R、R’は、H、Me、Phからそれぞれ独立に選択される)、TiMe2(dmpe)2 (dmpe=1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン)、ビス(ベンゼン)クロム(0)、Cr(CO)6、Mn2(CO)12、Fe(CO)5、Fe3(CO)12、(C55)Fe(CO)2Me、Co2(CO)8、Ni(II)アセテート、ニッケル(II)アセチルアセトネート、Ni(シクロオクタジエン)2、[(dippe)Ni(μ-H)]2 (dippe=1,2-ビス(ジ-イソ-プロピルホスフィノ)エタン)、(R-インデニル)Ni(PR’3)Me (R=1-iPr、1-SiMe3、1,3-(SiMe32;R’=Me、Ph)、[{Ni(η-CH2:CHSiMe22O}2{μ-(η-CH2:CHSiMe22O}]、Cu(I)アセテート、CuH、[トリス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリニル)フェニルボレート]ZnH、(C552ZrR2 (R=アルキル、H、アルコキシ、有機アミノ、カルボシリル)、Ru3(CO)12、[(Et3P)Ru(2,6-ジメシチルチオフェノラート)][B[3,5-(CF32634]、[(C5Me5)Ru(R3P)x(NCMe)3-x+ (Rは、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC1~C10アルキル基及びC5~C10アリール基から選択され;x=0、1、2、3である)、Rh6(CO)16、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)カルボニル水素化物、Rh22(CO)2(dppm)2 (dppm=ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、Rh2(μ-SiRH)2(CO)2(dppm)2 (R=Ph、Et、C613)、Pd/C、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、Pd(II)アセテート、(C552SmH、(C5Me52SmH、(THF)2Yb[N(SiMe322、(NHC)Yb(N(SiMe322 [NHC=1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン)]、Yb(η2-Ph2CNPh)(hmpa)3 (hmpa=ヘキサメチルホスホルアミド)、W(CO)6、Re2(CO)10、Os3(CO)12、Ir4(CO)12、(アセチルアセトナート)ジカルボニルイリジウム(I)、Ir(Me)2(C5Me5)L (L=PMe3、PPh3)、[Ir(シクロオクタジエン)OMe]2、PtO2(アダムス触媒)、炭素上の白金(Pt/C)、炭素上のルテニウム(Ru/C)、炭素上のパラジウム、炭素上のニッケル、炭素上のオスミウム、白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(Karstedt’s触媒)、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)白金(0)、Pt(シクロオクタジエン)2、[(Me3Si)2N]3U][BPh4]、[(Et2N)3U][BPh4]、及び他のハライドを有しないMn+錯体(M=Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、U;n=0、1、2、3、4、5、6)を含むが、それらに限定されない。
【0036】
例示的なハライド含有の典型、遷移金属、ランタノイド及びアクチノイド触媒は、以下:BX3 (X=F、Cl、Br、I)、BF3・OEt2、AlX3 (X=F、Cl、Br、I)、(C552TiX2 (X=F、CI)、[Mn(CO)4Br]2、NiCl2、(C552ZrX2 (X=F、CI)、PdCl2、PdI2、CuCl、CuI、CuF2、CuCl2、CuBr2、Cu(PPh33Cl、ZnCl2、[(C66)RuX22 (X=Cl、Br、I)、(Ph3P)3RhCl(ウィルキンソン触媒)、[RhCl(シクロオクタジエン)]2、ジ-μ-クロロ-テトラカルボニルジロジウム(I)、ビス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)カルボニルクロリド、NdI2、SmI2、DyI2、(POCOP)IrHCl (POCOP=2,6-(R2PO)263;R=iPr、nBu、Me)、H2PtCl6・nH2O(Speier’s触媒)、PtCl2、Pt(PPh32Cl2、及び他のハライド含有のMn+錯体(M=Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、U;n=0、1、2、3、4、5、6)を含むが、それらに限定されない。
【0037】
好ましくは、本発明による式Iを有するケイ素前駆体化合物と、本発明による式Iを有するケイ素前駆体化合物を含む組成物とは、ハライドイオンを実質的に有しない。本明細書において使用されるとき、用語「実質的に有しない」は、ハライドイオン(又はハライド)、例えば塩化物(すなわち塩化物含有種、例えばHCl、又は少なくとも1つのSi-Cl結合を有するケイ素化合物、例えばMe3SiCl)、フッ化物、臭化物及びヨウ化物に関するとき、イオンクロマトグラフィー(IC)によって測定して(重量で)5ppmより少ないことを、好ましくはイオンクロマトグラフィー(IC)によって測定して3ppmより少ないことを、より好ましくはイオンクロマトグラフィー(IC)によって測定して1ppmより少ないことを、最も好ましくはイオンクロマトグラフィー(IC)によって測定して0ppmであることを意味する。最終生成物中の有意なレベルの塩化物は、装置性能、例えばより高い漏洩電流に対して有害である場合があると考えられる。好ましくは、式Iを有するケイ素前駆体化合物もまた、金属イオン又は金属不純物、例えばLi+、Al3+、Fe2+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Cr3+、揮発性金属錯体を実質的に有しない。本明細書において使用されるとき、用語「実質的に有しない」は、Li、Al、Fe、Ni、Crに関するとき、ICP-MSによって測定した場合に、(重量で)5ppmより少ないことを、好ましくは3ppmより少ないことを、より好ましくは1ppmより少ないことを、最も好ましくは0.1ppmであることを意味する。幾つかの実施態様において、式Iを有するケイ素前駆体化合物は、金属イオン、例えばLi+、Al3+、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Cr3+を有しない。本明細書において使用されるとき、用語「有しない」は、Li、Al、Fe、Ni、Cr、貴金属、例えばRu又はPt(合成において使用される触媒に基づくルテニウム(Ru)若しくは白金(Pt))に関するとき、ICP-MSによって測定した場合に(重量で)1ppmより少ないことを、好ましくはICP-MSによって測定した場合に0.1ppmより少ないことを、より好ましくはICP-MSによって測定した場合に0.01ppmより少ないことを、最も好ましくはICP-MSによって測定した場合に1ppbであることを意味する。加えて、好ましくは、式Iを有するケイ素前駆体化合物はまた、ケイ素含有不純物、例えば成長に対して影響を有する場合があるアルキルシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサンを実質的に有しない。
【0038】
特定の実施態様において、本明細書において説明される方法を使用して堆積されるケイ素膜は、酸素を含む酸素源、試剤又は前駆体を使用して、酸素の存在の下で形成される。酸素源は、少なくとも1つの酸素源の形態で反応器中に導入されるか、及び/又は堆積プロセスにおいて使用される他の前駆体中に付随的に存在していてよい。適した酸素源ガスは、例えば水(H2O)(例えば脱イオン水、清浄水及び/又は蒸留水)、酸素(O2)、酸素及び水素の混合物、酸素プラズマ、オゾン(O3)、N2O、NO2、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)並びにそれらの組み合わせを含んでよい。特定の実施態様において、酸素源は、約1~約2000標準立方センチメートル(sccm)、又は約1~約1000sccmの流速で反応器中に導入される酸素源ガスを含む。酸素源は、約0.1~約100sの時間で導入することができる。1つの特定の実施態様において、酸素源は、10℃以上の温度を有する水を含む。ALD又はサイクリックCVDプロセスによって膜が堆積される実施態様において、前駆体パルスは0.01sより長いパルス継続時間を有してよく、酸素源は0.01sより短いパルス継続時間を有してよく、一方で、水パルス継続時間は0.01sより短いパルス継続時間を有してよい。さらに別の実施態様において、パルスの間のパージ継続時間は0s近くと短いか、又は間にパージが無く連続的にパルス化される。少なくとも幾らかの炭素が、堆積された誘電体膜中に保たれるように、酸素源又は試剤は、ケイ素前駆体に対して1:1比より少ない分子の量で提供される。
【0039】
特定の実施態様において、酸化ケイ素膜は窒素をさらに含む。これらの実施態様において、膜は、本明細書において説明される方法を使用して堆積され、窒素含有源の存在の下で形成される。窒素含有源は、少なくとも1つの窒素源の形態で反応器中に導入されるか、及び/又は堆積プロセスにおいて使用される他の前駆体中に付随的に存在していてよい。適した窒素含有源ガスは、例えばアンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ及びそれらの混合物を含んでよい。特定の実施態様において、窒素含有源は、約1~約2000平方立方センチメートル(sccm)又は約1~約1000sccmの流速で反応器中に導入されるアンモニアプラズマ又は水素/窒素プラズマ源ガスを含む。窒素含有源は、約0.1~約100sの時間で導入することができる。ALD又はサイクリックCVDプロセスによって膜が堆積される実施態様において、前駆体パルスは0.01sより長いパルス継続時間を有してよく、窒素含有源は0.01sより短いパルス継続時間を有してよく、一方で、水パルス継続時間は0.01sより短いパルス継続時間を有してよい。さらに別の実施態様において、パルスの間のパージ継続時間は0s近くと短いか、又は間にパージが無く連続的にパルス化される。
【0040】
本明細書において説明される堆積方法は、1つ又は複数のパージガスを含んでよい。未消費の反応体及び/又は反応副生成物をパージするのに使用されるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスである。例示的なパージガスは、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン、水素(H2)及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。特定の実施態様において、パージガス、例えばArは、約10~約2000sccmの流速で、約0.1~1000sで、反応器中に供給され、それによって、反応器中に残っている場合がある未反応の材料及び任意の副生成物をパージする。
【0041】
前駆体、酸素源、窒素含有源及び/又は他の前駆体、供給源ガス及び/又は試剤を供給するそれぞれの工程は、得られる誘電体膜の化学量論的な組成を変えるように、それらを供給するための時間を変えることによって行うことができる。
【0042】
ケイ素前駆体、酸素含有源又はそれらの組み合わせのうち少なくとも1つにエネルギーが適用されて、反応を誘起して、基材に誘電体膜又はコーティングを形成する。このようなエネルギーは、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子ビーム、フォトン、遠隔プラズマ法及びそれらの組み合わせによって供給することができるが、それらに限定されない。特定の実施態様において、二次無線周波数(secondary RF Frequency)源を使用して、基材表面におけるプラズマ特徴を変更することができる。堆積がプラズマを含む実施態様において、プラズマ発生プロセスは、プラズマが反応器中で直接発生する直接プラズマ発生プロセス、又は代わりにプラズマが反応器の外部で発生して反応器中に供給される遠隔プラズマ発生プロセスを含んでよい。
【0043】
少なくとも1つのケイ素前駆体は、反応チャンバーに、例えばサイクリックCVD又はALD反応器に様々な手法で輸送することができる。1つの実施態様において、液体輸送システムを利用することができる。代わりの実施態様において、液体輸送及びフラッシュ蒸発プロセスを組み合わせた装置、例えばMSP Corporation of Shoreview,MNによって製造されたターボ蒸発器を用いることができ、低揮発性材料が容積的に輸送されることを可能とし、このことは前駆体の熱分解を伴わない再現性のある輸送及び堆積をもたらす。液体輸送配合物において、本明細書において説明される前駆体は、原液形態で輸送することができるか、又は代わりに前駆体を含む溶媒配合物若しくは組成物で用いることができる。従って、特定の実施態様において、前駆体配合物は、基材に膜を形成する所与の最終仕様用途において所望され、かつ有利である場合がある適した特徴の少なくとも1つの溶媒成分を含んでよい。
【0044】
式Iを有する少なくとも1つのケイ素前駆体が使用される実施態様について、溶媒と、本明細書において説明される式Iを有する少なくとも1つのケイ素前駆体とを含む組成物において、選択される溶媒又はそれらの混合物は、ケイ素前駆体と反応しない。組成物中のwt%での溶媒の量は、0.5wt%~99.5%又は10wt%~75%である。この又は他の実施態様において、溶媒は、式Iの少なくとも1つのケイ素前駆体の沸点(b.p.)と同様の沸点(b.p.)を有するか、又は溶媒のb.p.と式Iの少なくとも1つのケイ素前駆体のb.p.との差は、40℃以下、30℃以下、20℃以下又は10℃以下である。代わりに、沸点の差は、以下の端点:0、10、20、30又は40℃のうち任意の1つ又は複数に基づく範囲である。b.p.の差の適した範囲の例は、0~40℃、20℃~30℃又は10℃~30℃を含むが、それらに限定されない。組成物における適した溶媒の例は、エーテル(例えば1,4-ジオキサン、ジブチルエーテル)、三級アミン(例えばピリジン、1-メチルピペリジン、1-エチルピペリジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)、ニトリル(例えばベンゾニトリル)、アルカン(例えばオクタン、ノナン、ドデカン、エチルシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えばトルエン、メシチレン)、三級アミノエーテル(例えばビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル)又はそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。
【0045】
先に記載されるように、式Iの少なくとも1つのケイ素前駆体の純度レベルは、信頼性のある半導体製造のために許容可能であるのに十分に高い。特定の実施態様において、本明細書において説明される式Iの少なくとも1つのケイ素前駆体は、2wt%より少ない、1wt%より少ない、又は0.5wt%より少ない、以下の不純物:遊離アミン、遊離ハライド又はハロゲンイオン、及びより高分子量の種、のうち1つ又は複数を含む。本明細書において説明されるケイ素前駆体のより高い純度レベルは、以下のプロセス:精製、吸着及び/又は蒸留のうち1つ又は複数を通じて得ることができる。
【0046】
本明細書において説明される方法の1つの実施態様において、サイクル性の堆積プロセス、例えばALDに類似のもの、ALD又はPEALDを使用することができ、式Iの少なくとも1つのケイ素前駆体及び酸素源を使用して堆積が行われる。ALDに類似のプロセスは、サイクリックCVDプロセスとして定義されるが、高いコンフォーマル性の酸化ケイ素膜をさらに提供する。
【0047】
特定の実施態様において、前駆体キャニスターから反応チャンバーへと接続するガスラインは、プロセス要求に応じて1つ又は複数の温度に加熱され、式Iの少なくとも1つのケイ素前駆体のコンテナは、バブリングのために1つ又は複数の温度に保持される。他の実施態様において、式Iの少なくとも1つのケイ素前駆体を含む溶液は、直接液体注入のために1つ又は複数の温度に保持された気化器中に注入される。
【0048】
アルゴン及び/又は他のガスの流れをキャリアガスとして用いて、前駆体のパルスの間の、式Iの少なくとも1つのケイ素前駆体の蒸気の反応チャンバーへの輸送を促進することができる。特定の実施態様において、反応チャンバープロセスの圧力は約1Torrである。
【0049】
典型的なALD又はALDに類似のプロセス、例えばCCVDプロセスにおいて、基材、例えば酸化ケイ素基材は、初めに、ケイ素前駆体に暴露される反応チャンバー中の加熱器ステージで加熱されて、複合体が基材の表面に化学的に吸着することを可能とする。
【0050】
パージガス、例えばアルゴンは、未吸収の過剰の複合体をプロセスチャンバーからパージする。十分なパージの後、酸素源が反応チャンバー中に導入されて、吸収された表面と反応して、次いで別のガスパージをしてチャンバーから反応副生成物を除去することができる。プロセスサイクルを繰り返して、所望の膜厚を達成することができる。幾つかの場合において、ポンピングは不活性ガスを用いたパージを置き換えることができるか、又はその両方が用いられて未反応のケイ素前駆体除去することができる。
【0051】
この又は他の実施態様において、本明細書において説明される方法の工程は、種々の順序で行うことができ、順次行うことができ、同時に(例えば別の工程の少なくとも一部の間に)行うことができ、それらの任意の組み合わせで行うことができると理解される。前駆体及び酸素源ガスを供給するそれぞれの工程を、それらを供給するための期間を変えて行って、得られる誘電体膜の化学量論的な組成を変えることができる。
【0052】
酸化ケイ素膜を基材に堆積する、本明細書において説明される方法の1つの特定の実施態様は、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.式Iを有する、本明細書において説明される少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.酸素源を反応器中に導入する工程;及び
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
を含み、工程b~eは、所望の厚さの酸化ケイ素膜が堆積されるまで繰り返される。
【0053】
本明細書において説明される方法の別の実施態様は、酸化工程の後に、ヒドロキシル又はOH源、例えばH2O蒸気を導入する。この実施態様における目的は、基材に定着するケイ素前駆体のための固定官能基又は反応性サイトを再配置して、モノレイヤーを形成することである。堆積工程は、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.式Iの1つのケイ素前駆体を反応器中に導入する工程:
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程:
d.酸素源を反応器中に導入する工程:
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
f.水蒸気又は他のヒドロキシル源を反応器中に導入する工程:及び
g.パージガスを用いて反応器をパージする工程
から構成され、工程b~gは、所望の厚さが堆積されるまで繰り返される。
【0054】
本明細書において説明される方法の代わりの実施態様において、堆積工程は、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.式Iの1つのケイ素前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.酸素源を反応器中に導入する工程;
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
f.水蒸気又はOH源を反応器中に導入する工程;及び
g.パージガスを用いて反応器をパージする工程
から構成され、工程b~iは、所望の厚さが堆積されるまで繰り返される。
【0055】
さらに別の実施態様は、過酸化水素又は酸素プラズマを用いて不動態化官能基又は基、例えばメチルを除去する。堆積工程は以下:
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.式Iの1つのケイ素前駆体を反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて反応器をパージする工程;
d.オゾン、過酸化水素又は酸素プラズマを反応器中に導入する工程;及び
e.パージガスを用いて反応器をパージする工程
の通りであり、工程b~eは、所望の膜厚が堆積されるまで繰り返される。
【0056】
本明細書において説明される方法のためのプロセス温度は、600℃~1000℃;600℃~750℃;600℃~750℃;又は600℃~800℃の範囲の1つ又は複数の温度である。
【0057】
堆積圧力の範囲は、50mT~760Torr又は500mT~100Torrの範囲の1つ又は複数の圧力である。パージガスは、不活性ガス、例えば窒素、ヘリウム又はアルゴン、から選択することができる。酸素源は、酸素、過酸化物、オゾン又はプラズマプロセスに基づく分子酸素から選択される。
【実施例
【0058】
比較例1:>50ppmの塩化物不純物を有するジメチルアミノトリメチルシランを用いる、酸化ケイ素膜の原子層堆積
酸化ケイ素膜の原子層堆積を、以下の前駆体:ジメチルアミノトリメチルシラン(DMATMS)を使用して行った。実験室スケールのALD処理ツールにおいて堆積を行った。蒸気引き抜きによって、ケイ素前駆体をチャンバーに輸送した。堆積区域に入れる前に、全てのガス(例えばパージガス及び反応体ガス又は前駆体及び酸素源)を100℃に予熱した。ガス及び前駆体の流速を、ALDダイヤフラムバルブを用いて高速作動で制御した。堆積において使用される基材は、12インチ長さのケイ素ストリップであった。熱電対をサンプルホルダーに取り付けて基材温度を確認した。オゾンを酸素源ガスとして使用して堆積を行った。堆積パラメータを表Iに提供する。
表I:DMATMSを使用する、オゾンを用いた酸化ケイ素膜の原子層堆積のためのプロセス
【表1】
【0059】
所望の厚さに到達するまで、工程b~eを繰り返した。膜の厚さ及び屈折率を、FilmTek 2000SEエリプソメータを使用して、膜からの反射データを、予め設定された物理モデル(例えばローレンツオシレータモデル)に合わせることによって測定した。湿式エッチング速度を、脱イオン水中の49wt%フッ化水素(HF)酸の、1:99体積希釈溶液を使用して行った。それぞれのバッチについて、熱酸化物ウエハを対照として使用して溶液濃度を確認した。水中の約0.5wt%HF溶液についての典型的な熱酸化物ウエハ湿式エッチング速度は0.5Å/sである。エッチングの前及び後の膜厚を使用して湿式エッチング速度を計算した。膜における炭素及び窒素濃度を、ダイナミック二次イオン質量分析(SIMS)法によって分析した。以下の式:%不均一性=((最大-最小)/(2×平均))を使用する6点測定から%不均一性を計算した。膜密度を、X線反射率法(XRR)を用いて特性評価した。
【0060】
図1は、それぞれ650℃及び700℃で、>50ppmの塩化物不純物を有するDMATMSを有するDMATMSを用いて堆積された酸化ケイ素についての漏洩電流曲線を表す。膜漏洩電流は、2MV/cmで1.0×10-9A/cm2より大きく、4MV/cmで1.0×10-9A/cm2より大きく、6MV/cmで1.0×10-8A/cm2より大きい。DMATMSから堆積された酸化ケイ素についての膜密度は、2.08~2.23g/cm3であった。
【0061】
実施例1:2ppmの塩化物不純物を有するジメチルアミノトリメチルシランを用いる、酸化ケイ素膜の原子層堆積
それぞれ650℃及び700℃で、2ppmの塩化物不純物を有するジメチルアミノトリメチルシランを用いて、酸化ケイ素膜を堆積した。図2は、特に700℃で堆積された酸化ケイ素膜について、より高い絶縁破壊電圧及び低い漏洩電流を示す漏洩電流曲線を表す。700℃の膜の漏洩電流は、2MV/cmで1.0×10-9A/cm2より小さく、4MV/cmで1.0×10-9A/cm2より小さく、6MV/cmで1.0×10-8A/cm2より小さい。
【0062】
特定の具体的な実施態様及び例を参照して上で例示及び説明がされたが、しかし、本発明が示された詳細に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の趣旨から逸脱することなく、特許請求の範囲の均等物の領域及び範囲で、詳細において様々な変更をすることができる。例えば、本文書において広く表現された全ての範囲は、その領域内に、その広い範囲内にある全てのより狭い範囲を含むことが明確に意図される。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)酸化ケイ素膜を基材に堆積するためのプロセスであって、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.式I:
1 2 m Si(NR 3 4 n (I)
によって表される構造を有し、式中、R 1 、R 2 及びR 3 が、直鎖又は分岐鎖のC 1 ~C 10 アルキル基及びC 6 ~C 10 アリール基からそれぞれ独立に選択され;R 4 が、水素、直鎖又は分岐鎖のC 1 ~C 10 アルキル基、C 6 ~C 10 アリール基及びC 3 ~C 10 アルキルシリル基から選択され;mが0~2であり;nが1~3であり、m+n=3であり、ハライド、金属及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を実質的に有しない少なくとも1つのケイ素前駆体を前記反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程;
d.酸素源を前記反応器中に導入する工程;並びに
e.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程
を含み、工程b~eが、所望の厚さの酸化ケイ素が堆積されるまで繰り返され、600~800℃の1つ又は複数の温度で、かつ50ミリTorr(mT)~760Torrの1つ又は複数の圧力で行われるプロセス。
(付記2)R 3 とR 4 とが連結されて環式環構造を形成している、付記1に記載のプロセス。
(付記3)前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、ジエチルアミノトリエチルシラン、ジメチルアミノトリエチルシラン、エチルメチルアミノトリエチルシラン、t-ブチルアミノトリエチルシラン、イソ-プロピルアミノトリエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリエチルシラン、ピロリドノトリエチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、エチルメチルアミノトリメチルシラン、t-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリメチルシラン、ピロリドノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、エチルメチルアミノジメチルシラン、t-ブチルアミノジメチルシラン、イソ-プロピルアミノジメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジメチルシラン、ピロリジノジメチルシラン、ジエチルアミノジエチルシラン、ジメチルアミノジエチルシラン、エチルメチルアミノジエチルシラン、t-ブチルアミノジエチルシラン、イソ-プロピルアミノジエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジエチルシラン、ピロリドノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ジピロリジノジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジエチルシラン、ジピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ジピロリジノメチルビニルシラン、2,6-ジメチルピペリジノメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノジメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン、メチルアミノトリメチルシラン、n-プロピルアミノトリメチルシラン、イソ-ブチルアミノトリメチルシラン、n-ブチルアミノトリメチルシラン、シクロヘキサミノトリメチルシラン、2-メチルピロリジノトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリジノトリメチルシラン、ピペリジノトリメチルシラン、1-メチルピペラジノトリメチルシラン、ピロリルトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン、イミダゾリルトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記1に記載のプロセス。
(付記4)前記ケイ素前駆体中の前記ハライドが、存在する場合には、塩化物イオンを含む、付記3に記載のプロセス。
(付記5)前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に50ppm以下の濃度で存在する、付記4に記載のケイ素前駆体。
(付記6)前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に10ppm以下の濃度で存在する、付記4に記載のケイ素前駆体。
(付記7)前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に5ppm以下の濃度で存在する、付記4に記載のケイ素前駆体。
(付記8)前記パージガスが、窒素、ヘリウム及びアルゴンからなる群から選択される、付記1に記載のプロセス。
(付記9)前記酸素源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、酸素/水素、酸素/水、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素、オゾン源及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、付記1に記載のプロセス。
(付記10)工程eの後に、以下の工程f及びg:
f.水蒸気又はヒドロキシル源を前記反応器中に導入する工程;及び
g.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程
をさらに含む、付記1に記載のプロセス。
(付記11)酸化ケイ素膜を堆積するためのプロセスであって、
a.基材を反応器中に提供する工程;
b.式I:
1 2 m Si(NR 3 4 n (I)
によって表される構造を有し、式中、R 1 、R 2 及びR 3 が、直鎖又は分岐鎖のC 1 ~C 10 アルキル基及びC 6 ~C 10 アリール基からそれぞれ独立に選択され;R 4 が、水素、直鎖又は分岐鎖のC 1 ~C 10 アルキル基、C 6 ~C 10 アリール基及びC 3 ~C 10 アルキルシリル基から選択され;mが0~2であり;nが1~3であり、m+n=3であり、ハライド、金属及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を実質的に有しない少なくとも1つのケイ素前駆体を前記反応器中に導入する工程;
c.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程;
d.酸素源を前記反応器中に導入する工程;
e.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程;
f.水蒸気又はOH源を前記反応器中に導入する工程;並びに
g.パージガスを用いて前記反応器をパージする工程
を含み、工程b~gが、所望の厚さが堆積されるまで繰り返され、プロセス温度が600~800℃であり、前記反応器中の圧力が50ミリTorr(mT)~760Torrであるプロセス。
(付記12)R 3 とR 4 とが連結されて環式環構造を形成している、付記11に記載のプロセス。
(付記13)前記少なくとも1つのケイ素前駆体が、ジエチルアミノトリエチルシラン、ジメチルアミノトリエチルシラン、エチルメチルアミノトリエチルシラン、t-ブチルアミノトリエチルシラン、イソ-プロピルアミノトリエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリエチルシラン、ピロリドノトリエチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、エチルメチルアミノトリメチルシラン、t-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノトリメチルシラン、ピロリドノトリメチルシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、エチルメチルアミノジメチルシラン、t-ブチルアミノジメチルシラン、イソ-プロピルアミノジメチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジメチルシラン、ピロリジノジメチルシラン、ジエチルアミノジエチルシラン、ジメチルアミノジエチルシラン、エチルメチルアミノジエチルシラン、t-ブチルアミノジエチルシラン、イソ-プロピルアミノジエチルシラン、ジ-イソプロピルアミノジエチルシラン、ピロリドノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジメチルシラン、ジピロリジノジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ジエチルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)ジエチルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)ジエチルシラン、ジピロリジノジエチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ-イソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(イソ-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(tert-ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ジピロリジノメチルビニルシラン、2,6-ジメチルピペリジノメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノジメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン、メチルアミノトリメチルシラン、n-プロピルアミノトリメチルシラン、イソ-ブチルアミノトリメチルシラン、n-ブチルアミノトリメチルシラン、シクロヘキサミノトリメチルシラン、2-メチルピロリジノトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリジノトリメチルシラン、ピペリジノトリメチルシラン、1-メチルピペラジノトリメチルシラン、ピロリルトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン、イミダゾリルトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記11に記載のプロセス。
(付記14)前記ケイ素前駆体中の前記ハライドが、存在する場合には、塩化物イオンを含む、付記13に記載のプロセス。
(付記15)前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に50ppm以下の濃度で存在する、付記14に記載のケイ素前駆体。
(付記16)前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に10ppm以下の濃度で存在する、付記14に記載のケイ素前駆体。
(付記17)前記塩化物イオンが、存在する場合には、ICによって測定した場合に5ppm以下の濃度で存在する、付記14に記載のケイ素前駆体。
(付記18)前記パージガスが、窒素、ヘリウム及びアルゴンからなる群から選択される、付記11に記載のプロセス。
(付記19)前記酸素源が、酸素、過酸化物、酸素プラズマ、水蒸気、水蒸気プラズマ、過酸化水素及びオゾン源からなる群から選択される、付記11に記載のプロセス。
(付記20)付記1によって製造される酸化ケイ素膜。
(付記21)付記11によって製造される酸化ケイ素膜。
(付記22)2MV/cmで1.0×10 -9 A/cm 2 以下、4MV/cmで1.0×10 -9 A/cm 2 以下、又は6MV/cmで1.0×10 -8 A/cm 2 以下の漏洩電流を有する、付記20に記載の酸化ケイ素膜。
(付記23)2MV/cmで1.0×10 -9 A/cm 2 以下、4MV/cmで1.0×10 -9 A/cm 2 以下、又は6MV/cmで1.0×10 -8 A/cm 2 以下の漏洩電流を有する、付記21に記載の酸化ケイ素膜。
図1
図2