(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、及び、電子部品
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20230810BHJP
G03F 7/023 20060101ALI20230810BHJP
C08G 73/22 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/004 512
G03F7/023
C08G73/22
(21)【出願番号】P 2019055237
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】イム ヨンジョン
(72)【発明者】
【氏名】秋元 真歩
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/057143(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/046332(WO,A1)
【文献】特開2019-023728(JP,A)
【文献】国際公開第2017/217292(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/180548(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
C08G 73/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体、(B)感光剤、(C)有機顔料を含み、
前記(C)有機顔料が、ペリレン系顔料
とフタロシアニン系顔料
との
両方を含み、
前記ペリレン系顔料は、ペリノンオレンジ、ペリノンレッド、ペリレンパーミリオン、ペリレンマゼンター、ペリレンバイオレットから選ばれ、
前記フタロシアニン系顔料は、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンから選ばれ、
前記(C)有機顔料の配合量は、前記(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の配合量を100質量部とした場合に、
5~25質量部であることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
カーボンブラックを含まないことを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とする、ドライフィルム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物、又は、請求項3に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする、硬化物。
【請求項5】
請求項4に記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、及び、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIなどの半導体素子のバッファーコート膜やウエハレベルパッケージ(WLP)の再配線用の絶縁膜には、感光性のポリイミドやポリベンゾオキサゾール(PBO)等の感光性耐熱樹脂の前駆体を含む感光性樹脂組成物が広く用いられている。
【0003】
感光性樹脂組成物をWLP用の絶縁膜として使用する場合には、感光性樹脂組成物の硬化物は透光性を有するため、ウエハ表面の機密性の高い回路情報が視認されてしまう場合があり、この回路情報が部外者に漏洩するおそれがある。
一方、機密性の高い回路情報を隠蔽するために、感光性樹脂組成物中の着色顔料の配合量を多くすると、絶縁膜の光透過性が悪くなり、絶縁膜深部における感光性樹脂組成物の感光不良の原因となるおそれがある。
その為、機密性の高い回路情報を確実に隠蔽しつつ、製造時の不具合を発生させない感光性に優れた着色感光性樹脂組成物が望まれている。
【0004】
また、感光性樹脂組成物をWLP用の絶縁膜として使用する場合には、感光性樹脂組成物の硬化時に、感光性樹脂組成物の硬化収縮により、歪が発生し、即ち、内部応力が残留することがある。この内部応力は、後工程である裏面研削工程において、シリコンウエハが薄くなった場合に、シリコンウエハの反りとして顕現する。その結果、研削工程中の搬送不良や、次工程のダイシング工程でのマウント不良等の原因となる。従って、感光性樹脂組成物をWLP用の絶縁膜として用いる場合には、硬化後の内部応力が極めて少ないことが必要とされる。
【0005】
このような要求に対し従来、着色した感光性樹脂組成物としては、特許文献1に、アルカリ可溶性耐熱性樹脂と感光剤と染料、無機顔料、有機顔料から選ばれる少なくとも1種の着色剤を添加した感光性樹脂組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献1に記載された発明によれば、回路情報の隠蔽性に関しては、十分な性能を示すものと考えられる。しかしながら、カーボンブラックを多用している点で、絶縁性については不十分となる可能性がある。また、硬化後の内部応力についての評価は含まれていない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、硬化後の感光性樹脂組成物が、感光不良を起こすことなく感光することができ((深部)感光性に優れ)、かつ、WLPの再配線用の絶縁膜として用いた場合に、シリコンウエハ上の配線回路パターンを視認できない程度に隠蔽性を有し、硬化収縮時の内部応力が極めて少ない感光性樹脂組成物と、ドライフィルム、硬化物、電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意検討するなかで、ポリベンゾオキサゾールの前駆体を含む感光性樹脂組成物は、ポリベンゾオキサゾールの前駆体が加熱により閉環反応してベンゾオキサゾール構造を形成する際に生じる分子間のパッキング効果によって、硬化物に内部応力が生じるものと考えた。そこで、前記パッキング効果を抑制するように、特定量の有機顔料を添加することで、硬化物の内部応力が緩和されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
詳細なメカニズムを推察するならば、従来、フタロシアニン系やペリレンに代表される縮合多環系顔料は、共役系のπ電子相互作用により、分子間に強いスタッキング効果が生じ、顔料としての耐性が得られることが知られている。このような顔料は、ポリベンゾオキサゾールのような芳香族ポリマーとの親和性が高いと推測され、ポリベンゾオキサゾール前駆体の閉環反応の際に、顔料がポリマー分子間に介在することで、パッキング効果(分子間相互作用)を緩和し、硬化膜の収縮、ひいては内部応力を低減するものと考える。
【0011】
すなわち、本発明は、
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体、(B)感光剤、(C)有機顔料を含み、
前記(C)有機顔料の配合量は、前記(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の配合量を100質量部とした場合に、0.1~30質量部であることを特徴とする、感光性樹脂組成物を提供する。
【0012】
本発明の感光性樹脂組成物は、カーボンブラックを含まないことを特徴とする前記感光性樹脂組成物としてもよい。
【0013】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記(C)有機顔料が、ペリレン系顔料、又は、フタロシアニン系顔料の少なくとも1つを含むことを特徴とする前記感光性樹脂組成物としてもよい。
【0014】
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルムを提供する。
【0015】
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物、又は、前記ドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする硬化物を提供する。
【0016】
また、本発明は前記硬化物を有することを特徴とする電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、感光不良を起こすことなく感光することができ((深部)感光性に優れ)、かつ、シリコンウエハ上の配線回路パターンを視認できない程度の隠蔽性を有し、硬化収縮時の内部応力が極めて少ない感光性樹脂組成物と、ドライフィルム、硬化物、電子部品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
なお、説明した化合物に異性体が存在する場合、特に断らない限り、存在し得る全ての異性体が本発明において使用可能である。
【0019】
1.感光性樹脂組成物
本発明の感光性樹脂組成物は、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)、感光剤(B)、有機顔料(C)を含み、前記有機顔料の配合量は、前記(A)成分の配合量を100質量部とした場合に、0.1~30質量部であることを特徴とする、感光性樹脂組成物である。
以下に、本発明の感光性樹脂組成物について詳述する。
【0020】
1-1.(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体
本発明の感光性樹脂組成物は、ポリベンゾオキサゾール前駆体を含む。
このポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する方法は特に限定されず、公知の方法で合成することができる。例えば、アミン成分としてのジヒドロキシジアミン類と、酸成分としてのジカルボン酸ジクロリド等のジカルボン酸のジハライドとを反応させて得ることができる。
【0021】
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、下記式(1)で示される繰り返し構造を有するポリヒドロキシアミド酸であることが好ましい。
(式中、Xは4価の有機基を示し、Yは2価の有機基を示す。nは1以上の整数であり、好ましくは10~50、より好ましくは20~40である。)
【0022】
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体を上記の合成方法で合成する場合、前記一般式(1)中、Xは、前記ジヒドロキシジアミン類の残基であり、Yは、前記ジカルボン酸の残基である。
【0023】
前記ジヒドロキシジアミン類としては、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。中でも、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンが好ましい。
【0024】
前記ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、5-tert-ブチルイソフタル酸、5-ブロモイソフタル酸、5-フルオロイソフタル酸、5-クロロイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4-カルボキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(p-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等の芳香環を有するジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、1,2-シクロブタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等の脂肪族系ジカルボン酸が挙げられる。中でも、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルが好ましい。
【0025】
前記一般式(1)中、Xが示す4価の有機基は脂肪族基でも芳香族基でもよいが、芳香族基であることが好ましく、2つのヒドロキシ基と2つのアミノ基がオルト位に芳香環上に位置することがより好ましい。前記4価の芳香族基の炭素原子数は、6~30であることが好ましく、6~24であることがより好ましい。前記4価の芳香族基の具体例としては下記の官能基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、ポリベンゾオキサゾール前駆体に含まれうる公知の芳香族基を用途に応じて選択することができる。
【0026】
【0027】
前記4価の芳香族基は、前記芳香族基の中でも下記の基であることが好ましい。
【0028】
前記一般式(1)中、Yが示す2価の有機基は脂肪族基でも芳香族基でもよいが、芳香族基であることが好ましく、芳香環上で前記一般式(1)中のカルボニルと結合していることがより好ましい。前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6~30であることが好ましく、6~24であることがより好ましい。前記2価の芳香族基の具体例としては下記の基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、ポリベンゾオキサゾール前駆体に含まれる公知の芳香族基を用途に応じて選択すればよい。
【0029】
(式中、Aは単結合、-CH
2-、-O-、-CO-、-S-、-SO
2-、-NHCO-、-C(CF
3)
2-、-C(CH
3)
2-からなる群から選択される2価の基を表す。)
【0030】
前記2価の有機基は、前記芳香族基の中でも下記の基であることが好ましい。
【0031】
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、上記のポリヒドロキシアミド酸の繰り返し構造を2種以上含むことができる。また、上記のポリヒドロキシアミド酸の繰り返し構造以外の構造を含んでいてもよく、例えば、ポリアミド酸の繰り返し構造を含んでいてもよい。
【0032】
このようなポリベンゾオキサゾール前駆体は、その数平均分子量(Mn)が5,000~100,000であることが好ましく、8,000~50,000であることがより好ましい。ここで、数平均分子量は、GPCで測定し、標準ポリスチレンで換算した数値である。また、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体は、その質量平均分子量(Mw)が10,000~200,000であることが好ましく、16,000~100,000であることがより好ましい。ここで、質量平均分子量は、GPCで測定し、標準ポリスチレンで換算した数値である。Mw/Mnは1~5であることが好ましく、1~3であることがより好ましい。
【0033】
以上説明したようなポリベンゾオキサゾール前駆体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリベンゾオキサゾール前駆体の配合量は、組成物固形分全量基準で30~95質量%であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましい。
【0034】
1-2.(B)感光剤
本発明の感光性樹脂組成物は、感光剤を含む。
感光剤としては、特に制限はなく、光酸発生剤や光重合開始剤、光塩基発生剤を用いることができる。光酸発生剤は、紫外線や可視光等の光照射により酸を発生する化合物であり、光重合開始剤は、同様の光照射によりラジカルなどを発生する化合物であり、光塩基発生剤は、同様の光照射により分子構造が変化するか、又は、分子が開裂することにより1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。特に本発明においては、この感光剤として、光酸発生剤を好適に用いることができる。
【0035】
光酸発生剤としては、ナフトキノンジアジド化合物、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、芳香族N-オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、ベンゾキノンジアゾスルホン酸エステル等を挙げることができる。光酸発生剤は、溶解阻害剤であることが好ましい。中でもナフトキノンジアジド化合物であることが好ましい。
【0036】
ナフトキノンジアジド化合物としては、具体的には例えば、トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンのナフトキノンジアジド付加物(例えば、三宝化学研究所社製のTS533,TS567,TS583,TS593)や、テトラヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジド付加物(例えば、三宝化学研究所社製のBS550,BS570,BS599)や、4-{4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]-α,α-ジメチルベンジル}フェノールのナフトキノンジアジド付加物(例えば、三宝化学研究所社製のTKF-428,TKF-528)等を使用することができる。
【0037】
また、光重合開始剤としては、慣用公知のものを用いることができ、例えば、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤などを用いることができる。
【0038】
前記オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI-325、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、ADEKA社製のN-1919、NCI-831などが挙げられる。
【0039】
前記α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられ、市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などを用いることができる。
【0040】
前記アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられ、市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアーTPO、IGM Resins社製のOmnirad(オムニラッド)819などを用いることができる。
【0041】
前記チタノセン系光重合開始剤としては、具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)-ジ-フェニル-チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ジ-クロロ-チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス(2、3、4、5、6ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス(2、6-ジフルオロ-3-(ピロール-1-イル)フェニル)チタニウムなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー784などが挙げられる。
【0042】
また、光塩基発生剤としては、イオン型光塩基発生剤でもよく、非イオン型光塩基発生剤でもよいが、イオン型光塩基発生剤の方が組成物の感度が高く、パターン膜の形成に有利になるので好ましい。塩基性物質としては、例えば、2級アミン、3級アミンが挙げられる。
【0043】
イオン型の光塩基発生剤としては、例えば、芳香族成分含有カルボン酸と3級アミンとの塩や、和光純薬社製イオン型PBGのWPBG-082、WPBG-167、WPBG-168、WPBG-266、WPBG-300等を用いることができる。
【0044】
非イオン型の光塩基発生剤としては、例えば、α-アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、N-ホルミル化芳香族アミノ基、N-アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。その他の光塩基発生剤として、WPBG-018(商品名:9-anthrylmethyl N,N’-diethylcarbamate)、WPBG-027(商品名:(E)-1-[3-(2-hydroxyphenyl)-2-propenoyl]piperidine)、WPBG-140 (商品名:1-(anthraquinon-2-yl)ethyl imidazolecarboxylate)、WPBG-165等を使用することもできる。
【0045】
以上説明したような感光剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、感光剤の配合量は、組成物固形分全量基準で0.5~40質量%であることが好ましく、1~30質量%であることがより好ましい。
【0046】
1-3.(C)有機顔料
本発明の感光性樹脂組成物は、有機顔料を含む。有機顔料としては、特に限定されず、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料、など公知慣用のいずれを含んでもよい。
【0047】
アゾ系顔料としては、例えば、アゾイエローレーキ、アゾレーキレッド等の溶性アゾ顔料;モノアゾイエロー、モノアゾオレンジ、ジスアゾ顔料、ピラゾロン顔料等の不溶性アゾ顔料;ベンズイミダゾロン顔料;βナフトール顔料;ナフトールAS顔料;縮合アゾ顔料;等を挙げることができる。
【0048】
フタロシアニン系顔料としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリン等が挙げられる。
【0049】
縮合多環系顔料としてはアンスラピリミジンイエロー、フラバンスロンイエロー、アンザンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、インダンスロンブルー等のスレン系顔料(アンスラキノン系顔料)、インジゴブルー、チオインジゴマゼンタ、チオインジゴボルドー等のインジゴ系顔料、ペリノンオレンジ、ペリノンレッド等のペリノン系顔料、ペリレンパーミリオン、ペリレンレッドBL、ペリレンマゼンター、ペリレンレッド、ペリレンバイオレット等のペリレン系、キノフタロンイェロー等のフタロン系、カルベゾールバイオレット、等のジオキサジン系、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンスカーレッド、ジクロロキナタリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、イソインドリノンイエロー、ソインドリノンオレンジのイソインドリノン系顔料、イソインドリン、金属錯体顔料;等が挙げることができる。
【0050】
前記の有機顔料は、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。これらのうち、感光不良を起こすことなく感光することができ((深部)感光性に優れ)、かつ、WLPの再配線用の絶縁膜として用いた場合に、シリコンウエハ上の配線回路パターンを視認できない程度の隠蔽性を有し、硬化収縮時の内部応力が極めて少ない感光性樹脂組成物を得る観点で、多環顔料を含むことが好ましく、フタロシアニン系、ペリレン系を含むことがより好ましく、フタロシアニン系及びペリレン系の両方を含むことがさらに好ましい。
【0051】
フタロシアニン系やペリレンに代表される縮合多環系顔料は、共役系のπ電子相互作用により、分子間に強いスタッキング効果が生じ、顔料としての耐性が得られることが知られている。このような顔料は、ポリベンゾオキサゾールのような芳香族ポリマーとの親和性が高いと推測され、ポリベンゾオキサゾール前駆体の閉環反応の際に、顔料がポリマー分子間に介在することで、パッキング効果(分子間相互作用)を緩和し、硬化膜の収縮、ひいては内部応力を低減するものと考える。
【0052】
このような有機顔料の配合量は、ポリベンゾオキサゾール前駆体の配合量を100質量部とした場合に、0.1~30質量部であり、0.5~25量部が好ましく、1~25質量部がより好ましく、5~25質量部がさらに好ましい。なお、この配合量は、15質量%以下としてもよい。この有機顔料の配合量がかかる範囲にある場合には、感光不良を起こすことなく感光することができ、かつ、WLPの再配線用の絶縁膜として用いた場合に、ウエハ上の配線回路パターンを視認できない程度の隠蔽性を有し、硬化収縮時の内部応力が極めて少ない感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0053】
1-4.その他の成分
本発明の感光性樹脂組成物は、さらにその他の成分を含むことができる。その他の成分としては、例えば、溶媒、架橋剤、シランカップリング剤、増感剤、接着助剤、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子を添加することができる。
【0054】
溶媒としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体、感光剤、有機顔料のうち少なくともいずれか一種、及び、他の任意の添加剤を溶解させるものであれば、特に限定されない。溶媒の具体例としては、N,N’-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これらは単独で用いても、二種以上を混合して用いてもかまわない。使用する溶媒の量は、塗布膜厚や粘度に応じて、ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対し、50~9000質量部の範囲で用いることができる。
【0055】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、架橋剤やシランカップリング剤を添加することで、膜の物性や密着性を向上することができる。架橋剤及びシランカップリング剤としては、公知のものを適宜選択して用いることができ、特に制限されない。
【0056】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、光感度を向上させるための公知の増感剤や、基材との接着性向上のための公知の接着助剤などを配合することもできる。
【0057】
さらにまた、本発明の感光性樹脂組成物には、加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子が含まれる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物には、カーボンブラックや酸化チタン等の無機顔料及び繊維等を配合してもよい。なお、本発明の感光性樹脂組成物に無機顔料を組み合せる場合は、例えば、無機顔料であるカーボンブラックは、導電性を有するため、多量に用いると硬化後の絶縁性が低下する場合があり、さらに、吸収波長領域が上記感光剤と重複し、感光性樹脂組成物の感光性を低下させるため、好ましくは含まない方が良い。
【0058】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型であってもネガ型であってもよいが、ポジ型の場合において、より顕著な効果を得ることができ、好ましい。
【0059】
[ドライフィルム]
本発明のドライフィルムは、本発明の感光性樹脂組成物を塗布後、乾燥して得られる樹脂層を有する。本発明のドライフィルムは、樹脂層を、基材に接するようにラミネートして使用される。
【0060】
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム(支持フィルム)に本発明の感光性樹脂組成物をブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の適宜の方法により均一に塗布し、乾燥して、前記した樹脂層を形成し、好ましくはその上にカバーフィルム(保護フィルム)を積層することにより、製造することができる。カバーフィルムとキャリアフィルムは同一のフィルム材料であっても、異なるフィルムを用いてもよい。
【0061】
本発明のドライフィルムにおいて、キャリアフィルム及びカバーフィルムのフィルム材料は、ドライフィルムに用いられるものとして公知のものをいずれも使用することができる。
【0062】
キャリアフィルムとしては、例えば、2~150μmの厚さのポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムが用いられる。
【0063】
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、樹脂層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
【0064】
本発明のドライフィルム上の樹脂層の膜厚は、100μm以下が好ましく、5~50μmの範囲がより好ましい。
【0065】
2.感光性樹脂組成物の硬化物の製造方法
本発明の感光性樹脂組成物を用いて、その硬化物であるパターン膜は、例えば、ポジ型感光性樹脂組成物の場合、下記のように製造する。
【0066】
まず、ステップ1として、感光性樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥する、或いはドライフィルムから樹脂層を基材上に転写(ラミネート)することにより塗膜を得る。感光性樹脂組成物を基材上に塗布する方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法、さらにはインクジェット法等を用いることができる。
【0067】
塗膜の乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、感光性樹脂組成物中の(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の閉環が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、自然乾燥、送風乾燥、あるいは加熱乾燥を、70~140℃で1~30分の条件で行うことができる。好ましくは、ホットプレート上で1~20分乾燥を行う。また、真空乾燥も可能であり、この場合は、室温で20分~1時間の条件で行うことができる。
【0068】
基材については、特に制限はなく、シリコンウエハ等の半導体基材、配線基板、各種樹脂や金属などからなる基材に広く適用できる。
【0069】
次に、ステップ2として、上記塗膜を、パターンを有するフォトマスクを介して、あるいは直接、露光する。露光光線は、例えば、感光剤としての光酸発生剤を活性化させ、酸を発生させることができる波長のものを用いる。より具体的には、露光光線は、最大波長が350~410nmの範囲にあるものが好ましい。上述したように、適宜増感剤を用いると、光感度を調整することができる。露光装置としては、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー、レーザーダイレクト露光装置等を用いることができる。
【0070】
続いて、ステップ3として、加熱し、未露光部のポリベンゾオキサゾール前駆体の一部を閉環してもよい。ここで、閉環率は、30%程度である。加熱時間及び加熱温度は、ポリベンゾオキサゾール前駆体、塗布膜厚及び感光剤としての光酸発生剤の種類によって、適宜変更する。
【0071】
次いで、ステップ4として、塗膜を現像液で処理する。これにより、塗膜中の露光部分を除去して、本発明の感光性樹脂組成物のパターン膜を形成することができる。
【0072】
現像に用いる方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸せき法等の中から任意の方法を選択することができる。現像液としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の四級アンモニウム塩類等の水溶液を挙げることができる。また、必要に応じて、これらにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加してもよい。その後、必要に応じて塗膜をリンス液により洗浄してパターン膜を得る。リンス液としては、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を単独又は組み合わせて用いることができる。また、現像液として上記溶媒を使用してもよい。
【0073】
その後、ステップ5として、パターン膜を加熱して硬化塗膜(硬化物)を得る。このとき、ポリベンゾオキサゾール前駆体を閉環し、ポリベンゾオキサゾールを得ればよい。加熱温度は、ポリベンゾオキサゾール前駆体のパターン膜を硬化可能なように適宜設定する。例えば、不活性ガス中で、150~350℃で5~120分程度の加熱を行う。加熱温度のより好ましい範囲は、200~300℃である。加熱は、例えば、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いることにより行う。このときの雰囲気(気体)としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
【0074】
なお、本発明の感光性樹脂組成物がネガ型感光性樹脂組成物の場合、感光剤として、光酸発生剤に代えて光重合開始剤又は光塩基発生剤を用いて、上記ステップ4において塗膜を現像液で処理することにより、塗膜中の未露光部分を除去して、本発明の感光性樹脂組成物のパターン膜を形成することができる。
【0075】
3.感光性樹脂組成物の用途
本発明の感光性樹脂組成物の用途は特に限定されず、例えば、印刷インキ、又は接着剤、あるいは、表示装置、半導体装置、電子部品、光学部品、又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。具体的には、表示装置の形成材料としては、層形成材料や画像形成材料として、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、レジスト材料、配向膜等に用いることができる。
【0076】
また、半導体装置の形成材料としては、レジスト材料、バッファーコート膜のような層形成材料等に用いることができる。
【0077】
さらに、電子部品の形成材料としては、封止材料や層形成材料として、プリント配線板、層間絶縁膜、配線被覆膜等に用いることができる。
【0078】
さらにまた、光学部品の形成材料としては、光学材料や層形成材料として、ホログラム、光導波路、光回路、光回路部品、反射防止膜等に用いることができる。
【0079】
さらにまた、建築材料としては、塗料、コーティング剤等に用いることができる。
【0080】
本発明の感光性樹脂組成物は、主にパターン形成材料として用いられ、それによって形成されたパターン膜は、ポリベンゾオキサゾールからなる永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能することから、特に半導体装置、表示体装置及び発光装置の表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する装置の保護膜、多層回路の層間絶縁膜、受動部品用絶縁材料、ソルダーレジストやカバーレイ膜などのプリント配線板の保護膜、ならびに液晶配向膜等として好適に利用できる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り、すべて質量基準である。
【0082】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成)
温度計、攪拌機、原料仕込口及び窒素ガス導入口を備えた四つ口セパラブルフラスコに2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン40.3g(0.11モル)をN-メチル-2-ピロリドン1500gに溶解した後、ジフェニルエーテル-4、4’-ジカルボン酸ジクロリド35.4g(0.12モル)を反応系の温度を0~5℃に冷却しながら滴下した。
【0083】
滴下終了後、反応系の温度を室温に戻し、そのまま6時間攪拌した。その後、純水1.8g(0.1モル)を加えて、さらに40℃で1時間反応した。反応終了後、反応液を純水2000gに滴下した。沈殿物を濾集し、洗浄した後、真空乾燥を行い、以下に示す繰り返し構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体であるアルカリ可溶性ポリヒドロキシアミドを得た。重量平均分子量は32,000、数平均分子量は12,500、PDIは2.56であった。
【0084】
(実施例1~5、比較例1~2の光性樹脂組成物の作製)
上記ベンゾオキサゾール前駆体(PHA)100質量部に対して、感光剤としてナフトキノンジアジド化合物(DNQ)(三宝化学社製TKF-428)10質量部と、下記表1に記載の有機顔料とを配合した後、γ-ブチロラクトンをワニスの不揮発成分が30質量%になるように加え、各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物のワニスを得た。
【0085】
(視認(隠蔽)性評価用試料基板の作製)
得られた実施例1~5、比較例1~2のワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布、ホットプレートにて110℃で3分乾燥し、膜厚約5μmの塗膜を得た。次にオーブンを用いて、塗膜付きガラス基板を150℃/30分、320℃/60分で加熱し、隠蔽性評価用の試験基板を得た。
【0086】
・視認(隠蔽)性評価
上記隠蔽性評価用の試験片の下に種々のラインアンドスペースのテストパターンを印刷したPETフィルムを置き、肉眼で観察し、シリコンウエハ上のテストパターンの視認性を評価した。評価は下記評価基準にて行った。
◎:全てのテストパターンが視認できない。
○:テストパターンのラインアンドスペースが、150/150以下のものが視認できない。
△:テストパターンのラインアンドスペースが、150/150超、300/300以下のものが視認できない。
×:全てのテストパターンが、が視認できる。
【0087】
(内部応力評価用試料基板の作製)
得られた実施例1~5、比較例1~2のワニスをシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布、ホットプレートにて110℃で3分乾燥し、膜厚約5μmの塗膜を得た。次にオーブンを用いて、塗膜付きシリコンウエハを150℃/30分、320℃/60分で加熱し、内部応力評価用の試験基板を得た。
【0088】
・内部応力評価
シリコンウエハの厚みをマイクロメータにて測定し、前記加熱前後の樹脂組成物の膜厚を触針式表面形状測定器(BRUKERジャパン製 DektakXT)にて測定し、曲率半径を表面粗さ測定機((株)小坂研究所製 SE700)にて測定したベアシリコンウエハと塗膜付きシリコンウエハの反り量の変化より求め、下記式を用いて内部応力を算出した。
なお、シリコンウエハのヤング率は190GPa、ポアソン比は0.27とした。
内部応力の評価は下記評価基準にて行った。
◎:内部応力が15MPa以下
〇:内部応力が15MPa超~20MPa以下
△:内部応力が20MPa超~30MPa以下
×:内部応力が30MPa超
【0089】
【表1】
感光剤:TKF-428(三宝化学社製)
ペリレンレッド:PALIOGEN RED K3580(BASF社製)
フタロシアニンブルー:FASTOGEN BLUE 5380/FA5380(DIC社製)
チタンブラック:UB-1(三菱マテリアル社製)
カーボンブラック:ブラックSD-TT2259(レシノカラー工業社製)
【0090】
以上の結果から、本発明の効果が理解できる。