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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】情報収集システム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/06 20060101AFI20230810BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20230810BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G08C15/06 H
G08C15/00 E
H04Q9/00 311J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019175117
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021051635
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100177493
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 修
(72)【発明者】
【氏名】及川 和夫
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-195705(JP,A)
【文献】特開2014-98983(JP,A)
【文献】特開2016-206067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-15/06
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー装置の測定結果を測定データ信号として所定の間隔で送信する測定装置と、複数の前記測定装置から送信される前記測定データ信号を受信し、前記測定装置へそれぞれ応答信号を送信する監視装置とからなる情報収集システムにおいて、
前記測定装置は、電池を電源とし前記センサー装置および送受信部の動作状態、非動作状態を切り替える制御部を備え、
前記測定装置の制御部は、
前記センサー装置および送受信部を、非動作状態から動作状態とし、前記センサー装置の測定結果を前記測定データ信号として前記監視装置に送信し、該監視装置から前記応答信号を受信した後に動作状態から非動作状態とし、所定の間隔で次の測定データ信号を前記監視装置に送信するため非動作状態から動作状態とし、
前記監視装置は、受信した前記測定データ信号を分析して該測定データ信号を送信した測定装置の測定モードの変更を行う必要があるか否かを判断する制御部を備え、
前記監視装置の制御部は、
前記測定データ信号を送信した測定装置と前記監視装置との間で行う次の測定データ信号および該測定データ信号を受信した後の前記応答信号の送受信が、別の前記測定装置と前記監視装置との間で行う前記測定データ信号および該測定データ信号を受信した後の前記応答信号の送受信と重ならないように、前記測定装置から前記次の測定データ信号を送信するタイミングを制御する応答信号であって、かつ、前記測定モードを変更する必要があると判断した場合は測定モード変更信号を含み、前記測定モードの変更を行う必要はないと判断した場合は測定モード変更信号を含まないか測定モード継続信号を含む応答信号を、前記測定データ信号を送信した測定装置に送信することを特徴とする情報収集システム。
【請求項2】
請求項記載の情報収集システムにおいて、
前記監視装置は、データ収集部と、該データ収集部で収集されたデータを記憶するデータ記憶部を備え、
前記監視装置の制御部は、前記測定装置の測定モードの変更を行う必要があるか否かの判断に、前記データ記憶部に記憶されたデータの分析を含むことを特徴とする情報収集システム。
【請求項3】
請求項記載の情報収集システムにおいて、
前記測定装置は、前記監視装置に備えられた前記データ収集部で収集されたデータの少なくとも一部を記憶するデータ記憶部を備え、
前記測定装置の制御部は、
前記測定データと前記測定装置のデータ記憶部に記憶されたデータを分析して測定モードを変更する必要があるか否かを判断し、
前記測定モードを変更する必要があると判断した場合は、前記測定データ信号とともに測定モード変更要求信号を前記監視装置に送信し、
前記監視装置の制御部は、前記測定装置の測定モードの変更を行う必要があるか否かの判断に、前記測定モード変更要求信号の分析を含むことを特徴とする情報収集システム。
【請求項4】
請求項1または2記載の情報収集システムにおいて、
前記測定装置は、自機の測定データを記憶するデータ記憶部を備え、
前記測定装置の制御部は、
前記測定データと前記測定装置のデータ記憶部に記憶された過去の自機の測定データを分析して測定モードを変更する必要があるか否かを判断し、
前記測定モードを変更する必要があると判断した場合は、前記測定データ信号とともに測定モード変更要求信号を前記監視装置に送信し、
前記監視装置の制御部は、前記測定装置の測定モードの変更を行う必要があるか否かの判断に、前記測定モード変更要求信号の分析を含むことを特徴とする情報収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を電源とした測定装置と、監視装置との間で信号を無線通信する情報収集システムに関し、特に電池の消耗を抑えランニングコストを軽減しながら、測定環境の変化に対応して測定データ信号を送信する間隔を可変することができる情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIoT技術、AI技術の進展に伴い、多くのセンサー装置を広範囲に配置し、そこから得られる多くのデータを分析することで、高精度化、高度化された情報を収集し、あるいは新たな情報を抽出することが可能となってきている。このような状況下においては、多くのデータをどのように収集するかが一つの課題となってきている。
【0003】
たとえば、近年の異常気象に伴い発生する集中豪雨やゲリラ豪雨などの局所的な異常降雨に対して、広範囲に水位計を配置し、河川の水位データ等を観測局(センサー端末)からセンタ局へ収集する情報収集システムが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4801949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来提案されている情報収集システムは、複数の測定装置から送信されるデータを1つの監視装置で収集するため、監視装置から測定装置に対してデータ送信の準備ができているかを確認し、これに対応して測定装置から監視装置にデータ送信を行う「ポーリング」を行っていた。しかしこのような構成では、測定装置の受信装置等を常に動作状態としておく必要がある。そこで大容量の電池を搭載する構成とすると装置コストが嵩んでしまう。また装置コストを抑えるため、容量の小さい電池を使用する構成とすると頻繁に電池交換を行わなければならずランニングコストが嵩んでしまうという問題があった。本発明は容量の小さい電池を電源とする場合であっても測定装置の駆動時間を長くすることができる情報収集システムを提供することを目的とする。さらに本発明は、短い間隔で測定を行う必要がある場合、それに対応して測定間隔の長い測定モードから測定間隔の短い測定モードに変更して適切な情報収集を行うことが可能な情報収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、センサー装置の測定結果を測定データ信号として所定の間隔で送信する測定装置と、複数の前記測定装置から送信される前記測定データ信号を受信し、前記測定装置へそれぞれ応答信号を送信する監視装置とからなる情報収集システムにおいて、前記測定装置は、電池を電源とし前記センサー装置および送受信部の動作状態、非動作状態を切り替える制御部を備え、前記測定装置の制御部は、前記センサー装置および送受信部を、非動作状態から動作状態とし、前記センサー装置の測定結果を前記測定データ信号として前記監視装置に送信し、該監視装置から前記応答信号を受信した後に動作状態から非動作状態とし、所定の間隔で次の測定データ信号を前記監視装置に送信するため非動作状態から動作状態とし、前記監視装置は、受信した前記測定データ信号を分析して該測定データ信号を送信した測定装置の測定モードの変更を行う必要があるか否かを判断する制御部を備え、前記監視装置の制御部は、前記測定データ信号を送信した測定装置と前記監視装置との間で行う次の測定データ信号および該測定データ信号を受信した後の前記応答信号の送受信が、別の前記測定装置と前記監視装置との間で行う前記測定データ信号および該測定データ信号を受信した後の前記応答信号の送受信と重ならないように、前記測定装置から前記次の測定データ信号を送信するタイミングを制御する応答信号であって、かつ、前記測定モードを変更する必要があると判断した場合は測定モード変更信号を含み、前記測定モードの変更を行う必要はないと判断した場合は測定モード変更信号を含まないか測定モード継続信号を含む応答信号を、前記測定データ信号を送信した測定装置に送信することを特徴とする。
【0007】
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載の情報収集システムにおいて、前記監視装置は、データ収集部と、該データ収集部で収集されたデータを記憶するデータ記憶部を備え、前記監視装置の制御部は、前記測定装置の測定モードの変更を行う必要があるか否かの判断に、前記データ記憶部に記憶されたデータの分析を含むことを特徴とする。
【0008】
本願請求項3に係る発明は、請求項記載の情報収集システムにおいて、前記測定装置は、前記監視装置に備えられた前記データ収集部で収集されたデータの少なくとも一部を記憶するデータ記憶部を備え、前記測定装置の制御部は、前記測定データと前記測定装置のデータ記憶部に記憶されたデータを分析して測定モードを変更する必要があるか否かを判断し、前記測定モードを変更する必要があると判断した場合は、前記測定データ信号とともに測定モード変更要求信号を前記監視装置に送信し、前記監視装置の制御部は、前記測定装置の測定モードの変更を行う必要があるか否かの判断に、前記測定モード変更要求信号の分析を含むことを特徴とする。
【0009】
本願請求項4に係る発明は、請求項1または2記載の情報収集システムにおいて、前記測定装置は、自機の測定データを記憶するデータ記憶部を備え、前記測定装置の制御部は、前記測定データと前記測定装置のデータ記憶部に記憶された過去の自機の測定データを分析して測定モードを変更する必要があるか否かを判断し、前記測定モードを変更する必要があると判断した場合は、前記測定データ信号とともに測定モード変更要求信号を前記監視装置に送信し、前記監視装置の制御部は、前記測定装置の測定モードの変更を行う必要があるか否かの判断に、前記測定モード変更要求信号の分析を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の情報収集システムは、測定装置がタイマーに従い所定の時間に自発的に動作状態となり、所定の動作が完了した後に送受信部やセンサー装置等が非動作状態となる構成とすることと、この動作状態の期間に次の測定データ信号を測定装置から監視装置に送信するタイミングを指示等する応答信号を監視装置から受信する構成とすることで、測定装置の非動作状態の期間を長くすることができ、測定装置の受信装置を常に動作状態としておく必要があるポーリングと比較して、測定装置の電池の消耗を大幅に低減することができる。
【0012】
一方、測定装置の電池の消耗を抑えるため測定間隔を長くすると短時間で急激に変化する水量等のデータを観測できなくなるため、測定装置と監視装置にデータ記憶部を備える構成とし、測定間隔を速やかに変更可能としている。例えば、監視装置のデータ記憶部により記憶されたデータから測定間隔を変化させる必要があると判断した場合に、あるいは測定装置の測定データの変化から測定間隔を変化させる必要があると判断した場合に、監視装置から測定モードを変更するための応答信号を送信し、あるいは測定装置から測定モードの変更を要求する構成とすることで、短時間に変化するデータの測定が可能となる。
【0013】
また、複数の測定装置間で測定データを送信するタイミングが重なり、測定データの再送信による電池の消耗を防ぐため、監視装置と各測定装置との送受信のタイミングを制御することで、測定装置の電池の消耗を低減させることができ、測定装置の長時間の運用が可能となりランニングコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施例の情報収集システムの説明図である。
図2】本発明の第1の実施例の情報収集システムの定常時の信号の送受信を説明する図である。
図3】本発明の第1の実施例の情報収集システムの測定モード変更時の信号の送受信を説明する図である。
図4】本発明の第1の実施例の情報収集システムのタイミング修正時の信号の送受信を説明する図である。
図5】本発明の第2の実施例の情報収集システムの説明図である。
図6】本発明の第2の実施例の情報収集システムの信号の測定モード変更時の送受信を説明する図である。
図7】本発明の第3の実施例の情報収集システムの説明図である。
図8】本発明の第3の実施例の送受信する信号の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の情報収集システムは、容量の小さい電池を電源として、センサー装置の測定結果を測定データ信号として所定の間隔で送信する測定装置と、複数の測定装置から測定データ信号を受信する監視装置とを備えている。また特に電池の消耗を抑えるように測定装置の動作を制御することを特徴としている。以下、河川の水位データ等を収集する場合を例にとり、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の第1の実施例について説明する。図1は本発明の第1の実施例の情報収集システムの説明図で、3台の測定装置10-1~10-3と、これらを制御する監視装置20を備えている。
【0017】
各測定装置10-1~10-3は、制御部11により動作が制御される送受信部12、センサー装置13、これらに電源を供給する電池14を備えている。測定装置10-1~10-3は、測定を行う河川の橋梁等に固定される。センサー装置13としては、水位計や流速計を用いることができ、1台の測定装置に1台または複数台のセンサー装置を備えることができる。
【0018】
一方監視装置20は、複数の測定装置10-1~10-3との間で信号の送受信を行うため、制御部21により動作が制御される送受信部22を備えている。一般的に監視装置20は建物内に設置されている。
【0019】
このような構成の測定装置10-1~10-3と監視装置20を備えた情報収集システムは、長期間測定を継続する必要がある。その際、測定装置10-1~10-3の電池14の消耗が早いと交換のためのランニングコストが嵩んでしまう。そこで電池14の消耗を抑えるため測定装置10-1~10-3の動作時間をできるだけ短くする必要がある。
【0020】
測定装置と監視装置は次のように動作する。まず、測定装置10-1と監視装置20との間の信号の送受信の動作を説明する。測定装置10-1の最初の起動時、あるいは起動後に非動作状態となった後に再び起動状態となると、センサー装置13に電池14から電源が供給され水位や水流等の所定の測定を行う。この測定結果を監視装置20に送信するため、送受信部12にも電源が供給され、測定データ信号を常時動作状態の監視装置20に送信する。測定データ信号を送受信部22で受信した監視装置20は、所定の応答信号を測定装置10-1に向けて送信する。この応答信号を送受信部12で受信した測定装置10-1は、次の動作状態を行うために必要なタイマー等を除き、動作を停止する(非動作状態となる)。所定の時間経過後、再度動作状態となり、上記動作を繰り返す。測定装置10-2、10-3においても同様の動作が行われる。測定装置10-1~10-3と監視装置20との間の信号の送受信は、中継器を介して行うこともできる。
【0021】
センサー装置13の測定結果は測定データ信号として測定装置10-1から監視装置20に送信される。図2(a)に示すように測定装置10-1から送信される測定データ信号には、センサー装置13の測定データと複数の測定装置のうち測定装置10-1であることを識別する識別信号を含んでいる。また測定装置10-1の現時点で設定されている信号の送受信間隔等を示す測定モード信号を含めることもできる。なお、この測定モード信号は、監視装置20内に測定装置10-1の現在の測定モードを記録しておけば、識別信号さえ受信すれば測定モードを知ることができるので必ずしも必須ではない。
【0022】
測定装置10-1から測定データ信号を受信した監視装置20は、測定装置10-1に対して応答信号を送信する。この応答信号には、図2(b)に示すように上述の識別信号と、測定データ信号を受領したことを示す受信確認信号とを含んでいる。また、測定モード変更信号を含んでもよい。
【0023】
測定モードの変更は、監視装置20が判断する。具体的には、送受信部22で受信した測定データ信号を制御部21で分析し、測定装置10-1から次の測定データ信号を監視装置20に送信するタイミング(時刻あるいは間隔等)変えるか否か、換言すると測定モードを変更すべきか否かを判断する。測定モードを変更するか否かの判断基準は予め決められた条件と比較して制御部21で判断すればよい。判断基準の一例としては、「定常時の水位データと今回の測定データ信号から得られた水位の測定データとの差が10%以上増加している場合に測定間隔を30分間隔から15分間隔に変更する」というように設定しておく。また、1台の測定装置の測定モードが変更されたとき、別の測定装置の測定モードを変更するような判断基準でもよい。この判断基準は種々設定しておけばよい。
【0024】
測定モードの変更を行うと判断した場合には、図2(b)に示すような測定モード変更信号を含んだ応答信号を測定装置10-1に送信する。この測定モード変更信号を受信した測定装置10-1は、新たに設定された測定モードとして15分間隔で測定データ信号を送信するように測定モードが変更される。測定モードの変更が必要ない場合(現時点の測定モードを維持する場合)には、測定モード変更信号を含まない応答信号を現在の測定モードを継続することを指示する応答信号としたり、別途測定モード継続信号を送受信するようにしてもよい。
【0025】
図2(c)は、3台の測定装置10-1~10-3と監視装置20との間の信号の送受信の説明図である。河川の水位を長期間測定する場合、降雨等のない定常時には、水位が大きく変動することはない。例えば30分毎に測定データ信号を測定装置10-1~10-3から送信し、監視装置20から応答信号を送信するような測定モードに設定されている場合次のように動作する。
【0026】
所定の時間に起動し、センサー装置で所定の測定を行った測定装置10-1から測定データ信号(送信測定データ信号1a)が送信され、監視装置20がその測定データ信号(受信測定データ信号1a)を受信する。
【0027】
測定データ信号を受信した監視装置20は応答信号(送信応答信号1A)を送信し、測定装置10-1がその応答信号(受信応答信号1A)を受信する。定常時の水位の変化等のない状態では測定モードの変更は行わず、測定モードを継続すると判断される。そのため監視装置20の送受信部22からは、測定モード変更信号を含まない応答信号あるいは測定モード継続信号を含む応答信号が送信される。
【0028】
応答信号を受信した測定装置10-1は、前回の測定データ信号の送信時から30分後に次の測定データ信号を送信するために必要なタイマー等を除き、送受信部12、センサー装置13および制御部11が非動作状態となる。
【0029】
タイマーにより計測された所定の時間経過後、次の測定データ信号を送信するため、測定装置10-1を動作状態として、上述の動作を繰り返し、測定データ信号(送信測定データ信号および受信測定データ信号1b、1c、1d)を順次送受信し、それに対応する応答信号(送信応答信号および受信応答信号1B、1C、1D)を順次送受信する。
【0030】
ところで図1に示すように、通常の情報収集システムでは間欠動作を繰り返す複数台の測定装置と1台の監視装置20との間で測定データ信号と応答信号の送受信を行っている。具体的には測定装置10-2と監視装置20との間では、測定データ信号(送信測定データ信号および受信測定データ信号2a、2b、2c、2d)を順次送受信し、それに対応する応答信号(送信応答信号および受信応答信号2A、2B、2C、2D)を順次送受信し、測定装置10-3と監視装置との間では、測定データ信号(送信測定データ信号および受信測定データ信号3a、3b、3c)を順次送受信し、それに応答する応答信号(送信応答信号および受信応答信号3A、3B、3C)を順次送受信している。
【0031】
図2(c)に示すように、測定装置10-1~10-3は、測定データ信号を送信するために起動してから監視装置20から応答信号を受信するまでの短い動作状態の後、非動作状態となる。そのため、起動後、速やかに応答信号を受信することが測定装置10-1~10-3それぞれの電池14の消耗を少なくすることになる。
【0032】
そこで監視装置20は、測定装置10-1~10-3それぞれから送信される測定データ信号を受信するタイミングと、測定装置10-1~10-3それぞれに応答信号を送信するタイミングを制御している。
【0033】
上述の通り、測定装置10-1~10-3は、30分毎に動作状態になると測定データ信号を監視装置20に向けて送信し、監視装置20から送信される応答信号を受信して非動作状態となる間欠動作を繰り返している。ここで測定装置10-2は、測定装置10-1および測定装置10-3から送信される測定データ信号と重ならないように測定データ信号を送信する。図2(c)に示す例では、測定装置10-1が測定データ信号(送信測定データ信号1a)の送信を開始した時から10分後に測定装置10-2が測定データ信号(送信測定データ信号2a)を送信する。また測定装置10-3は、測定装置10-1が測定データ信号(送信測定データ信号1a)の送信を開始した時から20分後であり、測定装置10-2が測定データ信号(送信測定データ信号2a)の送信を開始した時から10分後に測定データ信号(送信測定データ信号3a)を送信するように制御されている。
【0034】
また監視装置20は、測定装置10-1から送信される測定データ信号(受信測定データ信号1a)を受信して応答信号(送信応答信号1A)を送信し、その後測定装置10-2から送信される測定データ信号(受信測定データ信号2a)を受信して応答信号(送信応答信号2A)を送信し、その後測定装置10-3から送信される測定データ信号(受信測定データ信号3A)を受信して応答信号(送信応答信号3A)を送信する。その後も測定装置10-1~10-3から順次送信される測定データ信号(受信測定データ信号1b、2b、3b、1c、2c、3c、1d、2d・・・)を受信して応答信号(送信応答信号1B、2B、3B、1C、2C、3C、1D、2D・・・)を送信する。
【0035】
このように信号の送受信を制御することにより測定装置10-1~10-3は、測定データ信号を送信すると速やかに応答信号を受信することができ、それぞれの動作時間を必要最小限に制御することが可能となる。その結果、それぞれの測定装置10-1~10-3に搭載されている電池14の消耗を最小限にすることが可能となる。
【0036】
なお、監視装置20および測定装置10-1~10-3に内蔵するタイマーにはそれぞれ誤差を有するため、長期間にわたり測定を続けると動作のタイミングにずれが生じ、各測定装置10-1~10-3から監視装置20への測定データ信号等の送信のタイミングが重なる可能性がある。このような場合、測定装置10-1~10-3は測定データ信号等を再送信しなければならず、電池14を消耗してしまう。そこで、このようなタイミングのずれによる送受信タイミングの重なりが起こらないように、監視装置20に内蔵するタイマーを基準としてタイミングを修正する必要がある。例えば、測定装置10-1~10-3それぞれから送信される測定データ信号を受信したタイミングが、監視装置20が管理する時間からずれている場合、測定装置10-1~10-3それぞれの次の測定データ信号の送信タイミングのずれを補正するように制御すればよい。具体的には、監視装置20が管理する測定データ信号等の受信タイミングに合わせて測定装置10-1~10-3それぞれから次の測定データ信号を送信するための応答信号を監視装置20から各測定装置10-1~10-3に送信し、その修正されたタイミングに合わせて制御部11、送受信部12およびセンサー装置13を起動させるように制御すればよい。
【0037】
次に降雨等により水位が大きく変動する場合について説明する。監視装置20は、受信した測定データ信号を分析して測定モードの変更を行う必要があると判断した場合には、図2(b)に示すような測定モード変更信号を含んだ応答信号を送信する。図3は、測定装置10-1~10-3と監視装置20との間の信号の送受信の説明図である。例えば、30分毎に測定データ信号を測定装置10-1~10-3から送信し、監視装置20から応答信号を送信するような測定モードに設定されている状態から、測定装置10-1、10-3の測定モードは変更せず、測定装置10-2のみ15分毎に測定データ信号を送信する測定モードに変更する場合、次のように動作する。
【0038】
測定装置10-1から測定データ信号(送信測定データ信号1a)を送信し、監視装置20がその測定データ信号(受信測定データ信号1a)を受信する。
【0039】
測定データ信号(受信測定モード信号1a)を受信した監視装置20は、制御部21でその結果を分析し、測定モードの変更を行う必要はないと判定する。監視装置20の送受信部22から応答信号(送信応答信号1A)を送信し、測定装置10-1がその応答信号(受信応答信号1A)を受信する。測定装置10-1の測定モードは変更しないので、監視装置20の送受信部22からは、測定モード変更信号を含まない応答信号あるいは測定モード継続信号を含む応答信号が送信される。
【0040】
応答信号を受信した測定装置10-1は、前回の測定データ信号(送信測定データ信号1a)の送信から30分後に次の測定データ信号を送信するために必要なタイマー等を除き、送受信部12、センサー装置13および制御部11が非動作状態となる。
【0041】
タイマーにより計測された所定の時間経過後、次の測定データ信号を送信するため、測定装置10-1を動作状態として、上述の動作を繰り返し、測定データ信号(送信測定データ信号および受信測定データ信号1b、1c、1d)を順次送受信し、それに対応する応答信号(送信応答信号および受信応答信号1B、1C、1D)を順次送受信する。
【0042】
測定装置10-1が測定データ信号(送信測定データ信号1a)の送信を開始した時から10分後に測定装置10-2が測定データ信号(送信測定データ信号2a)を送信し、監視装置20がその測定データ信号(受信測定データ信号2a)を受信する。
【0043】
測定データ信号を受信した監視装置20は、制御部21でその結果を分析する。例えば定常時の水位データと今回の測定データ信号から得られた水位データとを比較し、水位が10%以上増加している場合、測定装置10-2の測定を15分間隔とする測定モード変更を行う判断する。この場合、図2(b)に示すような測定モード変更信号を含んだ応答信号(送信応答信号2A)を測定装置10-2に送信する。
【0044】
測定モード変更信号を含む応答信号(受信応答信号2A)を受信した測定装置10-2は、応答信号に従い、前回の測定データ信号の送信時間から15分後に次の測定データ信号を送信するために必要なタイマー等を除き、送受信部12、センサー装置13および制御部11が非動作状態となる。
【0045】
タイマーにより計測された所定の時間経過後、次の測定データ信号を送信するため、測定装置10-2を動作状態として、測定データ信号(送信測定データ信号2b)を送信し、監視装置20がその測定データ信号(受信測定データ信号2b)を受信する。
【0046】
測定データ信号を受信した監視装置20は、制御部21でその結果を分析し、定常時の測定モードから変更した測定モード(15分毎の測定)を維持すると判断し、変更した測定モードを維持する応答信号(送信応答信号2B)を測定装置10-2に送信する。
【0047】
応答信号(受信応答信号2B)を受信した測定装置10-2は、応答信号に従い、前回の測定データ信号の送信時から15分後に次の測定データ信号を送信するために必要なタイマー等を除き、送受信部12、センサー装置13および制御部11が非動作状態となる。
【0048】
タイマーにより計測された所定の時間経過後、次の測定データ信号を送信するため、測定装置10-2を動作状態として、上述の動作を繰り返し、測定データ信号(送信測定データ信号および受信測定データ信号2c~2g)を順次送受信し、それに対応する応答信号(送信応答信号および受信応答信号2C~2G)を順次送受信する。水位が定常時に戻った後は、監視装置の制御部21によって測定装置10-2の測定を30分間隔とする測定モード変更を行うと判断され、それに対応する応答信号を送受信することで、定常状態の測定モードに変更することができる。
【0049】
測定装置10-1が測定データ信号(送信測定データ信号1a)の送信を開始した時から20分後であって、測定装置10-2が測定データ信号(送信測定データ信号2a)の送信を開始した時から10分後に測定装置10-3が測定データ信号(送信測定データ信号3a)を送信し、監視装置20がその測定データ信号(受信測定データ信号3a)を受信する。
【0050】
測定データ信号を受信した監視装置20は応答信号(送信応答信号3A)を送信し、測定装置10-3がその応答信号(受信応答信号3A)を受信する。定常時の水位の変化等のない状態では測定モードの変更は行わず、測定モードを持続すると判断される。そのため監視装置20の送受信部22からは、測定モード継続信号を含む応答信号あるいは測定モード変更信号を含まない応答信号が送信される。
【0051】
応答信号を受領した測定装置10-3は、前回の測定データ信号の送信時から30分後に次の測定データ信号を送信するために必要なタイマー等を除き、送受信部12、センサー装置13および制御部11が非動作状態となる。
【0052】
タイマーにより計測された所定の時間経過後、次の測定データ信号を送信するため、測定装置10-3を動作状態として、上述の動作を繰り返し、測定データ信号(送信測定データ信号および受信測定データ信号3b、3c、3d)を順次送受信し、それに対応する応答信号(送信応答信号および受信応答信号3B、3C、3D)を順次送受信する。
【0053】
このように測定装置10-1、10-3は30分毎に、測定モード変更後の測定装置10-2は15分毎に、それぞれ動作状態となると測定データ信号を監視装置20に向けて送信し、監視装置20から送信される応答信号を受信して非動作状態となる間欠動作を繰り返すような場合でも、測定装置10-1~10-3から送信される測定データ信号の送受信のタイミングが相互に重ならないようにすることができる。図3に示す例では、測定装置10-1が測定データ信号(送信測定データ信号1a)送信を開始した時から10分後に測定装置10-2が測定データ信号(送信測定データ信号2a)を送信し、その10分後に測定装置10-3が測定データ信号(送信測定データ信号3a)を送信し、その5分後に測定装置10-2が測定データ信号(送信測定データ信号2b)を送信し、その5分後に測定装置10-1が測定データ信号(送信測定データ信号1b)を送信するように制御されている。
【0054】
これに対して制御装置20は、測定装置10-1から送信される測定データ信号(受信測定データ信号1a)を受信して応答信号(送信応答信号1A)を送信し、その後測定装置10-2から送信される測定データ信号(受信測定データ信号2a)を受信して応答信号(送信応答信号2A)を送信し、その後測定装置10-3から送信される測定データ信号(受信測定データ信号3A)を受信して応答信号(送信応答信号3A)を送信し、測定装置10-2から送信される測定データ信号(受信測定データ信号2b)を受信して応答信号(送信応答信号2B)を送信する。その後も測定装置10-1~10-3から順次送信される測定データ信号(受信測定データ信号1b、2c、3b、2d、1c、2e、3c、2f、1d、2g・・・)を受信して応答信号(送信応答信号1B、2C、3B、2D、1C、2E、3C、2F、1D、2G・・・)を送信する。
【0055】
このようにデータ信号の送受信が制御されることにより測定装置10-1~10-3は、測定データ信号を送信すると速やかに応答信号を受領することができ、それぞれの動作時間を最小限に抑制することが可能となる。その結果、それぞれの測定装置に搭載されている電池14の消耗を最小限にすることが可能となる。
【0056】
以上のように監視装置20により、データ信号の送受信のタイミングが制御されている。このような制御は、突発的に生じるデータ信号の送受信のタイミングを修正するためにも行われる。例えば図4に示すように、先に図1で説明したデータ信号の送受信において、測定装置10-1から送信される測定データ信号(送信データ信号1b)の送信のタイミングに他の通信との干渉や電磁的な雑音などにより通信できず再送信を繰り返すことにより遅れが生じた例を示している。例えば、測定装置10-1は、測定データ信号(送信測定データ信号1a)の送信を開始した時から30分後に次の測定データ信号(送信測定データ信号1b)の送信を開始する測定モードに設定している場合に、監視装置20が測定データ信号(送信測定データ信号1b)を受信する時間が2分間遅れたとすると、監視装置20は予め設定された送受信スケジュールと比較して次の測定データ信号(送信測定データ信号1c)の送信を開始するタイミングを測定データ信号(送信測定データ信号1a)の送信を開始した時から28分後に修正する。具体的には、測定装置10-1と監視装置20は次のように動作する。
【0057】
測定装置10-1から測定データ信号(送信測定データ信号1a)を送信し、監視装置20がその測定データ信号(受信測定データ信号1a)を受信する。
【0058】
測定データ信号を受信したい監視装置20は応答信号(送信応答信号1A)を送信し、測定装置10-1がその応答信号(受信応答信号1A)を受信する。この応答信号は、30分後に次の測定データ信号を送信するように指示されている。
【0059】
応答信号を受領した測定装置10-1は、前回の測定データ信号の送信時から30分後に次の測定データ信号を送信するために必要なタイマー等を除き、送受信部12、センサー装置13および制御部11が非動作状態となる。
【0060】
タイマーにより計測された所定の時間経過後、次の測定データ信号を送信するため、測定装置10-1を動作状態とし、測定データ信号(送信測定データ信号1b)を送信する。ここで、他の通信との干渉や電磁的な雑音などにより通信できず再送信を繰り返すことなどにより送信時間が2分間遅れたとする。
【0061】
測定データ信号(受信測定データ信号1b)を受信した監視装置20は、この受信が2分間遅れていることを検知し、次の測定データ信号を28分後に送信するように測定モード変更信号を含む応答信号(送信応答信号1B)を送信する。
【0062】
この応答信号(受信応答信号1B)を受信した測定装置10-1は、前回の測定データ信号の送信時間から28分後に次の測定データ信号を送信するために必要がタイマー等を除き、送受信部12、センサー装置13および制御部11が非動作状態となる。
【0063】
タイマーにより計測された所定の時間経過後、次の測定データ信号を送信するため、測定装置10-1を動作状態として、測定データ信号(送信測定データ信号1c)を送信する。この送信は、正常なタイミングとなる。
【0064】
測定データ信号(受信測定データ信号1c)を受信した監視装置20は、この受信が正常なタイミングの送信であると判断し、次の測定データ信号を30分後に送信するように測定モード変更信号を含む応答信号(送信応答信号1C)を送信する。
【0065】
このように突発的な測定データ信号の送受信のタイミングのずれを速やかに修正することで、降雨時に頻繁な信号の送受信を行う必要が生じた場合でも、測定装置10-1~10-3は、測定データ信号を送信すると速やかに応答信号を受領することができ、それぞれの動作時間を最小限に抑制することが可能となる。その結果、それぞれの測定装置に搭載されている電池14の消耗を最小限にすることが可能となる。
【実施例2】
【0066】
次に第2の実施例について説明する。上記第1の実施例では測定装置の測定データが変化したことを確認した後に測定モードを変更する場合について説明した。しかしこのような方法では、水位の急激な変化等に対応できない場合がある。そこで、測定データが変化する前に測定モードを変更するように構成することも可能である。
【0067】
図5は、第2の実施例の情報収集システムの説明図である。本実施例の監視装置20Aは、上記第1の実施例同様、3台の測定装置10-1~10-3との間で信号の送受信を行うため、制御部21により動作が制御される送受信部22を備え、さらにデータ記憶部23とデータ収集部30を備えている。
【0068】
制御部21は、データ記憶部23に記憶されたデータから、各測定装置10-1~10-3の測定モードの変更を行うか否かを判断する。データ記憶部23に記憶されるデータは、データ収集部30によって収集される。例えば、データ収集部30では、気象庁等からインターネット回線を介して現在のレーダー雨量や降雨予測データを得ることができる。監視カメラからは画像データを得ることができる。履歴情報記憶部には測定装置10-1~10-3が設置されている位置あるいは周辺地域において、過去に降雨時の水位がどのように変化するか等の情報を記憶しておくことができる。データ収集部30によって収集されたデータは、適宜データ記憶部23に記憶される。データ収集部30についても制御部21から必要なデータの収集等を行い、データ記憶部23にデータを記憶するように制御すればよい。
【0069】
このような構成の測定装置10-1~10-3と監視装置20Aを備えた情報収集システムでは、実際の降雨や降雨予測等のない定常時には、水位は大きく変動することはないので、データ記憶部23に測定モードを変更することが必要になるデータを記憶させる必要はない。
【0070】
一方降雨があるが測定データに変化がない場合あるいは降雨が予測される場合には、データ記憶部23から記憶されたデータを取得し、制御部21により測定モードを変更するか否かを判断する。図6は、予測によりモード変更を行う場合の測定装置10-1~10-3と監視装置20Aとの間の信号の送受信の説明図である。例えば、河川の上流側から測定装置10-1、10-2、10-3の順に設置されており、データ収集部30により気象庁等からデータ収集を行い、測定装置10-1と測定装置10-2との間の流域、あるいはこの間の流域に合流する支流の上流側で降雨が予測されるというデータがデータ記憶部23に記憶されているとする。収集されたデータには、降雨量や降り始めの時刻の予測も含まれている。予測降雨量から急激な水位変化が予想される場合、あるいは急激ではないが設定されているタイミング(30分毎の測定)では測定が遅れてしまう可能性がある場合がある。このような状況を制御部21により、それぞれの測定装置10-1~10-3の測定データ信号の送信のタイミングを変更するか否かを判断する。
【0071】
測定装置10-1から測定データ信号(送信測定データ信号1a)を送信し、監視装置20がその測定データ信号(受信測定データ信号1a)を受信する。
【0072】
測定データを受信した監視装置20Aは、制御部21により、データ記憶部23に記憶されたデータを含めて、測定モードを変更する必要はないと判断する。
【0073】
測定装置10-2から測定データ信号(送信測定データ信号2a)を送信し、監視装置20Aがその測定データ信号(受信測定データ信号2a)を受信する。
【0074】
測定データ信号(受信測定データ信号2a)を受信した監視装置20Aは、制御部21により、測定モードを変更するか否かを判断する。ここで、測定データ信号のみでは測定モードを変更する必要はないと判断される場合であっても、データ記憶部23に記憶されたデータ(例えば、10分後に水位の上昇が予想されるという予測データ)を含めて判断を行う。この場合、30分後に次の水位測定を行うと、水位が大きく変動した後に測定を行うことになる。これでは、水位の上昇に伴う周辺地域への注意喚起が遅くなってしまう。そこで、測定モードを変更する必要があると判断する。
【0075】
監視装置20Aから、測定モード変更信号を含む応答信号(送信応答信号2A)を送信し、測定装置10-2の測定モードを変更する。以下の動作の説明は、上述の動作と同様となる。
【0076】
測定装置10-3から測定データ信号(送信測定データ信号3a)を送信し、監視装置20Aがその測定データ信号(受信測定データ信号3a)を受信する。
【0077】
測定データ信号(受信測定データ信号3a)を受信した監視装置20Aは、測定装置10-2からの測定データ信号(受信測定データ信号2a)を受信した場合と同様の判断を行い、測定モード変更信号を含む応答信号(送信応答信号3A)を送信し、測定装置10-3の測定モードを変更する。以下の動作の説明は、上述の動作と同様となる。
【0078】
このように、測定モードを変更するか否かの判断の基礎となるデータを収集しておくことで、実際の水位の変化が生じる前に適切な測定モードの変更を行うことが可能となる。
【実施例3】
【0079】
次に第3の実施例について説明する。上記第2の実施例では監視装置20Aにデータ記憶部23を備える場合について説明したが、データ記憶部23Aを測定装置10A-1~10-3に備える構成としてもよい。
【0080】
図7は、第3の実施例の情報収集システムの説明図である。本実施例の測定装置10A-1~10A-3は、自機が測定したデータを記憶するデータ記憶部23Aを備えている。
【0081】
測定装置10A-1~10A-3にデータ記憶部23Aを備えることで、それぞれ自機の過去の測定データと現在の測定データとを用いて自ら測定モードの変更の要否を判断し測定データ信号とともに、測定装置の現時点の測定モードの変更を要求するように構成することが可能となる。測定モードの変更を要求された監視装置20Aは、測定モードを変更する応答信号を測定装置10A-1~10A-3に送信する。
【0082】
この場合、測定装置10A-1~10A-3から測定モードの変更を要求すると同時に、測定装置10A-1~10A-3が自ら、測定モードを変更するように構成し、監視装置20Aからは測定モードの変更を確認した応答信号が送信するようにしてもよい。このようにすると、測定装置10A-1~10A-3は単独で、監視装置20Aからの応答信号の受信を待たずに測定モードを変更することができ、水位等の急激な変化に対応して測定間隔を短くし、必要なデータを取得することが可能となる。当然ながら、測定データ信号等の送信のタイミングが重なる可能性がある場合には、応答信号によりそのタイミングを調整するようにすればよい。
【0083】
データ記憶部23Aに記憶させるデータは測定データに限らず、データ記憶部23に記憶されたデータのうち、例えば測定装置10A-1に関連するデータを監視装置20Aから測定装置10A-1に送信し、データ記憶部23Aに記憶させることができる。測定装置10A-2、10A-3についてもそれぞれ関連するデータをそれぞれのデータ記憶部23Aに記憶させることができる。
【0084】
例えば、測定装置10A-1の水位に影響を与えることが考えられる降雨の予測データ(降雨量や降り始めの時刻の予測)がある場合、予測される降雨量から急激な水位変化が予想される場合、あるいは急激ではないが設定されているタイミング(30分毎の測定)では測定が遅れてしまう可能性があるが場合、制御部11により、測定装置10A-1の測定データ信号の送信モードを変更するのが好ましい。
【0085】
そこで、測定装置10A-1から測定データ信号とともに測定モード変更要求信号を送信し、監視装置20Aがその信号を受信し、測定モードの変更を確認する応答信号を送信するようにすればよい。
【0086】
図8(a)に測定装置10A-1から送信される測定データ信号を示す。センサー装置30の測定データと複数の測定装置のうち測定装置10A-1であることを識別する識別信号と、測定モードの変更を要求する測定モード変更要求信号を含んでいる。図2で説明した現在の信号の送受信間隔等を含む測定モード信号を含んでも良い。
【0087】
測定装置10A-1から測定データ信号を受領した監視装置20Aは、測定装置10A-1に対して応答信号を送信する。この応答信号には。図8(b)に示すように、識別信号と、測定データ信号を受領した受信確認信号と、測定モード変更信号を含んでいる。この測定モード変更信号は、測定装置10A-1から送信された測定モード変更要求信号が送信された場合に、制御部21での判断なし(確認のみ)で返信する場合や、制御部21で測定モードを変更するか否かを判断して返信するようにする場合等、適宜設定することができる。
【0088】
測定モードの変更等は、上述の実施例と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0089】
以上のように構成した情報収集システムは、現在までの水位の変化から将来の水位の変化を予測するために測定データを利用することができる。例えば、危険水位に達するまでの時間を予測することができ、早期の避難を呼びかけるために有用である。また河川の本流の水位を測定することで、支流への逆流(バックウォータ現象)を予測し、避難を呼びかけるために有用である。さらには、本来生じるはずの水位の上昇が測定されない場合に、流木等によって河川の途中で水流が堰き止められている危険性を予測することもできる。
【0090】
本発明の情報収集システムは、測定装置として電源に電池を用い、簡便な構成とすることができるため、安価に形成することができ、河川の本流の他に小さな支流に設置するための装置として適している。これは近年多発している都市型水害の予測装置としても好適である。
【符号の説明】
【0091】
10、10A:測定装置、11:制御部、12送受信部、13:センサー装置、14:電池、20、20A:監視装置、21:制御部、22:送受信部、23、23A:データ記憶部、30:データ収集部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8