(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
G01N35/00 E
(21)【出願番号】P 2021527354
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2020009921
(87)【国際公開番号】W WO2020261656
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019118743
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】古矢 美樹
(72)【発明者】
【氏名】牛久 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】飯島 昌彦
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-172828(JP,A)
【文献】特開2009-174997(JP,A)
【文献】特開平04-145363(JP,A)
【文献】特開昭61-200473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の分析を自動で行う自動分析装置であって、
前記試料の電解質濃度を測定する電解質測定部と、
前記試料の生化学項目を測定する比色測定部と、
前記試料のpHを測定するpH測定部と、
前記電解質測定部および前記比色測定部のうち少なくともいずれか一方での測定用の前記試料の分注を前記試料が収容された容器から行う第1分注部と、
前記容器を搬送する搬送部と、を備え、
前記pH測定部による前記試料のpH測定用の分注あるいはpH測定が前記第1分注部による試料分注より下流側で実行されるように、前記搬送部、前記第1分注部および前記pH測定部が配置された
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記pH測定部によるpH測定用の前記試料の分注を行う位置あるいはpH測定位置が、前記第1分注部による試料分注位置とは異なる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記自動分析装置の機構の動作を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記電解質濃度の測定用の分注を前記生化学項目の測定用の分注より先に行うよう前記第1分注部を制御する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
試料の分析を自動で行う自動分析装置であって、
前記試料の電解質濃度を測定する電解質測定部と、
前記試料の生化学項目を測定する比色測定部と、
前記試料のpHを測定するpH測定部と、
前記電解質測定部および前記比色測定部のうち少なくともいずれか一方での測定用の前記試料の分注を前記試料が収容された容器から行う第1分注部と、
前記容器を搬送する搬送部と、
前記自動分析装置の機構の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記pH測定部による前記試料のpH測定用の分注あるいはpH測定が前記第1分注部による試料分注より後になるように前記搬送部を制御する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記電解質濃度の測定用の分注を前記生化学項目の測定用の分注より先に行うよう前記搬送部を制御する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1または
4に記載の自動分析装置において、
前記電解質測定部、前記比色測定部、および前記pH測定部は、前記試料として生体試料とは異なる試料を測定可能である
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の自動分析装置において、
前記試料の測定結果を表示可能な表示部を更に備え、
前記生体試料とは異なる試料の測定が行われた際には、前記異なる試料の測定結果の理論値と測定値との比較結果が前記表示部に表示される
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項
6に記載の自動分析装置において、
前記異なる試料は透析液である
ことを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液等の成分の物性を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の新鮮さを損なうことなく、分析できる自動分析装置の一例として、特許文献1には、試料導入装置の採取試料導入部から試料分注部に至る間に、制御装置に接続する、臨床用試料を変質させずに臨床用試料の物理的又は物理化学的性質に基づいて複数種の試料の種別を検出する試料識別装置を設ける、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動分析装置は、比色分析やISE測定により血液や尿などの生体試料に含まれる成分の定性・定量分析を行う装置である。
【0005】
比色分析とは、特定の成分に特異的に反応する試薬を添加・反応させ、反応液の吸光度や発光量を測定することにより、定性・定量分析を行う分析のことである。
【0006】
また、ISE測定とは、イオン選択性電極を用いて、生体試料に含まれるNa+、K+、Cl-等の電解質を定量分析する分析のことである。
【0007】
現在の自動分析装置においてpH測定手段は提供できておらず、pHも測定したい場合は、別途専用の装置で測定する必要がある。また、試料量も追加で必要となる。
【0008】
また、特許文献1では、試料導入部と分注部の間にpH計を設置し、pHの違いにより血清と尿を判別させる、ことが記載されている。この特許文献1に記載の装置では、測定順はpH、比色分析の順となっている。
【0009】
上記した特許文献1に記載された自動分析装置では、患者由来の生体試料とは別のモード、例えば透析液とした場合で、比色およびISE項目の他にpH測定が必要なときに、pH測定手段が提供できていない、との課題があった。
【0010】
また、特許文献1では、pH測定手段が提供できているが、比色分析の前にpHが測定される。ここで、比色分析は脂質、酵素、免疫項目が対象であるため、pHよりも高い測定精度が要求される。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載されたようにpH測定が比色分析の前に実施されることで、時間経過に伴う試料濃縮により比色分析やISE分析の精度に懸念が生じる、またpH測定手段が試料に浸漬することによるキャリーオーバが懸念される、との問題がある。
【0012】
本発明は、比色分析やISE分析に影響を与えることなく、また処理能力を低下させることなく、pH測定を可能とする自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、試料の分析を自動で行う自動分析装置であって、前記試料の電解質濃度を測定する電解質測定部と、前記試料の生化学項目を測定する比色測定部と、前記試料のpHを測定するpH測定部と、前記電解質測定部および前記比色測定部のうち少なくともいずれか一方での測定用の前記試料の分注を前記試料が収容された容器から行う第1分注部と、前記容器を搬送する搬送部と、を備え、前記pH測定部による前記試料のpH測定用の分注あるいはpH測定が前記第1分注部による試料分注より下流側で実行されるように、前記搬送部、前記第1分注部および前記pH測定部が配置されたことを特徴とする。
【0014】
また、他の一例として、試料の分析を自動で行う自動分析装置であって、前記試料の電解質濃度を測定する電解質測定部と、前記試料の生化学項目を測定する比色測定部と、前記試料のpHを測定するpH測定部と、前記電解質測定部および前記比色測定部のうち少なくともいずれか一方での測定用の前記試料の分注を前記試料が収容された容器から行う第1分注部と、前記容器を搬送する搬送部と、前記自動分析装置の機構の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記pH測定部による前記試料のpH測定用の分注あるいはpH測定が前記第1分注部による試料分注より後になるように前記搬送部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、比色分析やISE分析に影響を与えることなく、また処理能力を低下させることなく、pH測定についても行うことができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1に係る自動分析装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】実施例1に係る自動分析装置のISE測定部の概略構成を示す図である。
【
図3】実施例1に係る自動分析装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】実施例1に係る自動分析装置の表示装置に表示される理論値入力画面である。
【
図5】実施例1に係る自動分析装置の表示装置に表示されるISEキャリブレーション結果画面である。
【
図6】実施例1に係る自動分析装置の表示装置に表示される比色キャリブレーション結果画面である。
【
図7】実施例1に係る自動分析装置の表示装置に表示されるpH測定キャリブレーション結果画面である。
【
図8】実施例1に係る自動分析装置の表示装置に表示される透析液モード項目依頼画面である。
【
図9】実施例1に係る自動分析装置の表示装置に表示される透析液判定結果画面である。
【
図10】本発明の実施例3に係る自動分析装置の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の自動分析装置の実施例を、図面を用いて説明する。以下の実施例において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0018】
また、後述する各分析部,分析モジュールによって測定される対象である本発明における試料とは、血清および尿などの生体試料に加えて、透析液等の生体試料とは異なる液体も含むものとする。
【0019】
<実施例1>
本発明の自動分析装置の実施例1について
図1乃至
図9を用いて説明する。
【0020】
最初に、
図1を用いて本実施例に係る自動分析装置の全体的な構成の概略について説明する。
図1に、本発明の一実施例に係る自動分析装置の全体構成を示す斜視図を示す。
【0021】
図1に示す自動分析装置100は、試料の分析を自動で行う装置であり、主として、搬送機構27、反応ディスク11、試薬ディスク19、試料分注機構21,22、試薬分注機構17,18、撹拌機構15,16、分光光度計14、洗浄槽23,24,28,29,31、洗浄機構13、ISE測定部32、pH測定機構34、洗浄槽39、制御装置40を備えている。
【0022】
搬送機構27は、反応ディスク11の近くに設置されており、試料ラック投入部(図示省略)から投入された、試料を収容する複数の試料容器25を搭載する試料収納容器26を試料分注機構21,22の分注位置やpH測定機構34によるpH測定位置まで搬送するとともに、測定が終了した試料収納容器26を搬出する装置である。
【0023】
なお、本実施例では試料収納容器26に複数の試料容器25を搭載する例を説明しているが、試料収納容器26には1以上の試料容器25を搭載できればよい。試料収納容器26の例としては、1個の試料容器25を搭載する試料ホルダや、複数の試料容器25を搭載する試料ラック等がある。
【0024】
反応ディスク11には、その周方向に沿って所定の間隔にて相互に離間した状態で、血液又は尿などの試料と試薬とを反応させるための反応容器12が複数格納されている。
【0025】
試薬ディスク19は、その中に試薬が収容された試薬ボトル20が複数個、円周状に格納可能となっている保管庫である。試薬ディスク19は保冷されている。
【0026】
試料分注機構21,22は、反応ディスク11と搬送機構27との間に設置されており、円弧状に回転および上下動可能に構成されている。その先端には、試料プローブ21a,22aがそれぞれ設けられている。
【0027】
試料プローブ21a,22aは試料分注機構21,22の回転軸を中心に円弧を描きながら移動して、ISE測定部32での測定用の試料の吸引を試料容器25から行ってISE測定部32の希釈槽33への試料の吐出を行うとともに、分光光度計14での測定用の試料の吸引を試料容器25あるいは反応容器12から行い、反応容器12への吐出を行う各種分注動作を実行する。
【0028】
試薬分注機構17,18は、反応ディスク11と試薬ディスク19とに隣接して設置されており、円弧状に回転および上下動可能に構成されており、その先端には、試薬プローブ17a,18aが設けられている。
【0029】
試薬プローブ17a,18aは試薬分注機構17,18の回転軸を中心に円弧を描きながら移動して、試薬の吸引を試薬ボトル20から行い、反応容器12への吐出を行う分注動作を実行する。
【0030】
撹拌機構15,16は、例えば先端に設けられた撹拌翼或いはへら状の棒(図示省略)を備えており、撹拌翼或いは棒を反応容器12内の試料と試薬との混合液である反応液に浸潤させて回転することにより撹拌する。なお、撹拌機構15,16は、このような機構に限られるものではなく、超音波によるものとすることができる。
【0031】
分光光度計14は、反応容器12内の試料と試薬とを反応させた反応液の反応過程や反応後の光学特性を測定する装置であり、反応ディスク11の内側に配置される光源14aに対して反応容器12を挟むように対向して配置される。
【0032】
洗浄機構13は測定が終了した後に反応容器12を洗浄する装置である。
【0033】
反応ディスク11と試薬ディスク19の間には、試薬分注機構17,18の試薬プローブ17a,18aを洗浄するための洗浄槽28,29が設置されている。また、反応ディスク11と搬送機構27との間には、試料分注機構21,22の試料プローブ21a,22aを洗浄するための洗浄槽23,24が設置されている。更に、反応ディスク11と撹拌機構15,16の間には、撹拌機構15,16の撹拌翼或いはへら状の棒を洗浄するための洗浄槽31が設置されており、コンタミ防止が図られている。
【0034】
図2は、本実施例1に係るISE測定部32の概略構成図である。
【0035】
ISE測定部32は、イオン選択電極を用いて試料中の電解質、例えばNa
+、K
+、Cl
+イオン等の濃度を測定する測定部であり、
図1に示すように反応ディスク11の周囲に配置されている。
【0036】
ISE測定部32は、
図2に示すように、希釈槽33、希釈液用シリンジ106、希釈液用電磁弁107、ISEシッパーシリンジ108、シッパーシリンジ用電磁弁109、ピンチバルブ110、Na
+選択電極111、K
+選択電極112、Cl
-選択電極113、比較電極液用電磁弁115、比較電極116、内部標準液用シリンジ118、内部標準液用電磁弁119を備えている。
【0037】
希釈液ボトル105には、ISE測定用に試料の希釈に用いる希釈液が収容されている。希釈液は、希釈液用シリンジ106と希釈液用電磁弁107の動作によって希釈槽33に送られ、希釈槽33内の試料を希釈する。
【0038】
希釈槽33内で希釈された試料は、ISEシッパーシリンジ108、シッパーシリンジ用電磁弁109、およびピンチバルブ110の動作により、Na+選択電極111、K+選択電極112、およびCl-選択電極113に吸引される。
【0039】
また、比較電極液ボトル114に収容された比較電極液は、比較電極液用電磁弁115、シッパーシリンジ108、およびシッパーシリンジ用電磁弁109の動作により、比較電極116に吸引される。比較電極116と、各イオン選択電極111,112,113との間の起電力が測定される。
【0040】
試料濃度を求めるために用いられる内部標準液の測定において、内部標準液ボトル117に収容された内部標準液は、内部標準液用シリンジ118および内部標準液用電磁弁119の動作によって、試料や希釈液の排除された希釈槽33に送られる。
【0041】
希釈槽33内の内部標準液は、シッパーシリンジ108、シッパーシリンジ用電磁弁109、およびピンチバルブ110の動作により、Na+選択電極111、K+選択電極112、およびCl-選択電極113に吸引され、比較電極116との間の起電力が測定される。
【0042】
以降において単に起電力と記載した場合は、比較電極116との間の起電力を示すものとする。
【0043】
Na+選択電極111、K+選択電極112、Cl-選択電極113、および比較電極116は、制御装置40に接続されており、測定結果が出力される。
【0044】
図1に戻り、試料分注機構21,22より下流側に試料のpHを測定するpH測定機構34が設置されている。
【0045】
このため、搬送機構27、試料分注機構21,22およびpH測定機構34は、pH測定機構34による試料のpH測定用の分注あるいはpH測定が試料分注機構21,22による試料分注より後になるように配置されている。
【0046】
この場合、搬送機構27の動作については、上流から下流側への一方通行であることが望ましい。
【0047】
また、pH測定機構34によるpH測定用の試料の分注を行う位置あるいはpH測定位置が、試料分注機構21,22による試料分注位置とは異なるようになっている。
【0048】
pH測定機構34は、回転および上下動可能に構成されており、例えば50μLの試料から測定可能なpH電極35を備えており、試料容器25内に電極を挿入して試料のpHを測定する。このように試料容器25から直接pH測定できることにより、pH測定用の試料を別に用意、あるいは追加することが不要となる。pH電極35には温度素子(図示省略)が内蔵されている。
【0049】
pH測定機構34は、更に専用の洗浄槽39を備えており、pH電極35の洗浄を流水にて行うことができるようになっている。
【0050】
また、pH測定機構34の周囲には、キャリブレーション専用の標準液ボトル36,37,38が設置されており、pH電極35を浸けて行う。
【0051】
なお、pH電極35の洗浄は、比色あるいはISE用試料プローブの洗浄槽23,24と共用してもよい。また標準液は、サンプルカップ等に入れ試料収納容器26に設置してもよい。
【0052】
制御装置40は、上述された自動分析装置100内の各機構に接続されており、自動分析装置100の全体動作を制御するCPU(制御部44)を備えている。
【0053】
この制御装置40は、制御部44やメモリなどを備えたコンピュータであり、上記の各部材の様々な動作を制御するとともに、分光光度計14やNa+選択電極111、K+選択電極112、Cl-選択電極113、比較電極116の検出結果から試料中の所定成分の濃度を求める演算処理を行う。
【0054】
制御装置40による各機器の動作の制御は、記憶装置41に記録された各種プログラムに基づき実行される。記憶装置41には、試料の測定に用いる各種プログラムの他に、入力装置43を介して入力された各種パラメータや測定対象試料の情報(試料種別情報など)、測定結果などが記憶される。
【0055】
なお、制御装置40で実行される動作の制御処理は、1つのプログラムにまとめられていても、それぞれが複数のプログラムに別れていてもよく、それらの組み合わせでもよい。また、プログラムの一部または全ては専用ハードウェアで実現してもよく、モジュール化されていても良い。
【0056】
本実施例の制御装置40では、特に電解質濃度の測定用の分注を生化学項目の測定用の分注より先に行うよう試料分注機構21,22を制御することが望ましい。
【0057】
表示装置42は、測定する試料に対して測定する測定項目をオーダーする設定画面、測定した結果を確認する確認画面を表示可能なディスプレイである。ユーザは、表示装置42に表示された設定画面に基づいて、各種指示を入力するキーボード等の入力装置43を操作することで各種情報を入力する。
【0058】
この表示装置42には、生体試料とは異なる試料の測定が行われた際には、異なる試料の測定結果の理論値と測定値との比較結果が表示される。
【0059】
【0060】
以上が自動分析装置100の全体的な構成である。
【0061】
上述のような自動分析装置100による試料の分析処理は、一般的に以下の順に従い実行される。
【0062】
まず、試料収納容器26が搬入部等に設置され、搬送機構27によって自動分析装置100の試料分取位置まで搬入される。
【0063】
測定項目が生化学項目の場合には、試料分注機構21,22は、吸引した試料を反応ディスク11上にある反応容器12に吐出し、その反応容器12に対して試薬分注機構17,18により試薬ディスク19上の試薬ボトル20から吸引した試薬をさらに添加し、撹拌機構15,16で反応容器12内の試料と試薬とを混合して攪拌する。
【0064】
その後、分光光度計14により光源14aから反応容器12に保持された反応液を通過した光の光学特性が分光光度計14により測定され、測定結果が制御装置40に送信される。
【0065】
これに対し、依頼された測定項目が電解質項目の場合には、試料分注機構21,22は、吸引した試料をISE測定部32の希釈槽33に吐出し、イオン選択電極111,112,113より起電力が測定され、測定結果が制御装置40に送信される。ただし、電解質項目測定の場合は、試料の分注前に既知の濃度の内部標準液の起電力の測定を行う。
【0066】
更に、依頼された測定項目がpH項目の場合には、搬送機構27によって試料分注機構21,22の分注位置より更に下流側のpH測定機構34のpH電極35のアクセス位置まで試料収納容器26が搬送され、pH測定機構34によりpHが測定され、測定結果が制御装置40に送信される。
【0067】
制御装置40の制御部44は、送信された測定結果から演算処理によって試料内の特定成分の濃度を求める。分析結果は表示装置42を介してユーザに通知されるとともに、記憶装置41に記録される。
【0068】
次に、本実施例の自動分析装置100の分析時の動作や、その際に表示装置42に表示される画面の一例について
図3乃至
図9を用いて説明する。以下に示す動作は、1分析サイクルごとに制御装置40の制御部44により実行されるものとする。
【0069】
図3は、本実施例1の自動分析装置の動作フローチャートを示す。
図4は
図3に示すステップS406の画面の一例を示す図、
図5は
図3に示すステップS401あるいはステップS407のISEキャリブ結果画面の一例を示す図、
図6は
図3に示すステップS401あるいはステップS407の比色キャリブ結果画面の一例を示す図、
図7は
図3に示すステップS401あるいはステップS407のpH測定キャリブ結果画面の一例を示す図、
図8は
図3に示すステップS408の画面における透析液試料の一例を示す図、
図9は
図3に示すステップS413の画面の一例を示す図、である。
【0070】
本実施例では生体試料以外の試料は透析液を例とする。
【0071】
最初に、制御部44は、ユーザにより入力された分析対象の試料が、生体試料であるか透析液であるかを判定する(ステップS400)。生体試料であると判定された場合は処理をステップS401に進め、透析液であると判定された場合は処理をステップS406に進める。
【0072】
ステップS400で生体試料であると判定されたときは、制御部44は、最初は、必要に応じて、測定予定項目のキャリブレーションを行う(ステップS401)。
【0073】
その後、制御部44は、ユーザにより入力された試料別に測定したい項目を特定し(ステップS402)、生体試料測定の動作を開始する(ステップS403)。
【0074】
最初に、反応容器12あるいは希釈槽33への試料分注が行われ(ステップS404)、測定が終了すると測定結果が出力される(ステップS405)。
【0075】
ここで、透析治療に用いる透析液は、医薬品会社が販売する透析剤を現場で使用直前に希釈混合されることで、初めて完成した透析液となる。用いられる透析剤には液状や粉状があり、調整された透析液の成分濃度は、理論値として添付文書に記載されている。ここでの透析液モードとは、透析液中のNa+、K+、Cl-、HCO3
-、pH等の予め設定された項目のみを測定するモードをいう。上記項目を単独あるいは組み合わせて依頼することも可能である。
【0076】
透析液を測定するときは、予め、
図4に示すような画面により、分析開始前に各測定項目の理論値および判定基準を入力することができる(ステップS406)。このステップS406は任意のステップであり、省略することが可能である。
【0077】
図4に示すように、本ステップでの画面では、理論値がある項目について、ユーザが測定値を自動判定させたい場合に、判定させる項目と理論値、および判定基準を入力することができる。項目は予め自動分析装置100に登録済みのものから選択し、理論値および判定基準は手入力する。透析液の種類は複数登録できる。
【0078】
ここで、透析液は、生体試料と成分や性質が異なるため、ISEや比色項目において反応性が異なる。そこで、別途キャリブレーションを行い、透析液は透析液用の検量線を、生体試料は生体試料用の検量線を作る必要がある。
【0079】
そこで、制御部44は、必要に応じて、透析液用の測定項目は生体試料項目とは別にキャリブレーションを行う(ステップS407)。
【0080】
このステップS407におけるpH測定のキャリブレーションは、例えば、中性として25℃でpH6.86の中性リン酸塩標準液、酸性として25℃でpH4.01の酸塩標準液または25℃でpH1.68のシュウ酸塩標準液、アルカリ性として25℃でpH9.18のホウ酸塩標準液を用いる。これらの標準液をそれぞれ
図1における標準液ボトル36,37,38として設置位置に設置する。
【0081】
ここにpH電極35を中性、酸性、アルカリ性の順に浸けてpH標準液の温度に対する値に調整して行う。各標準液を測定の度に、次の標準液や試料に前の溶液が持ち越されないよう、pH電極35は洗浄槽39で流水洗浄される。また、これら標準液は、試料容器25に入れて試料収納容器26の載せ、pH測定機構に近づいた時にpH電極35を浸けることでもキャリブレーションでき、ユーザが選択できる。
【0082】
このステップS407においてISE測定部32において透析液項目と生体試料項目とで別のキャリブレーションが行われた場合は、
図5に示すようにその結果が区別して表示される。
【0083】
また、分光光度計14で透析液項目と生体試料項目とで別のキャリブレーションが行われた場合についても、
図6に示すようにその結果が区別して表示される。
【0084】
更に、
図7に示すように、予め入力された各標準液の表示値と並んで、自動分析装置100が測定した起電力と温度が表示される。
【0085】
その後、制御部44は、
図8に示すような画面によってユーザにより入力された試料別に測定したい項目を特定し(ステップS408)、透析液測定の動作を開始する(ステップS409)。
【0086】
ユーザは、本ステップS409を進めるために、
図8に示すような透析液試料における測定項目を本画面から選択して登録する。
【0087】
各画面下中央に並ぶ項目キーには、自動分析装置に登録した項目を予め割付設定しておく。初めに、試料種別のプルダウンから
図4で登録しておいた透析液Aを選択すると、透析液モードとなり、
図4において透析液Aで登録した項目のみが選択可能となる。このとき、生体試料用の項目として登録した項目については、選択できない状態となる。
【0088】
測定動作として、最初に、ISE項目および比色項目について希釈槽33あるいは反応容器12への試料分注が行われる(ステップS410)。このステップS410、あるいは上述のステップS404では、ISE分析項目用の分注が比色分析項目用の分注より先に実行されることが望ましい。
【0089】
ISE項目等の分注が終了した後、制御部44は、ステップS408において入力された測定項目にpH測定が含まれるか否かを判定する(ステップS410A)。pH測定を含むと判定された場合は処理をステップS411に進め、含まないと判定された場合は処理をステップS414に進める。
【0090】
次に、依頼された項目にpH測定が含まれる場合には、pH測定機構34によるpH測定を実行し(ステップS411)、測定結果を制御部44に出力させる(ステップS412)。
【0091】
また、ステップS406において理論値および判定基準を入力しておいた場合には、理論値に対するNa
+,K
+,Cl
-,HCO
3
-,pHの測定結果の正確性を自動的に計算するとともに、基準を満たすか否かの判定結果を求め、
図9に示すような画面を表示装置42に表示させる(ステップS413)。
【0092】
本ステップでは、
図9に示すように、測定された1つの透析液試料についての測定結果が表示され、ステップS406において登録した理論値および判定基準に対する判定結果も併せて表示される。
【0093】
これに対し、依頼された項目にpH測定が含まれない場合には、ISEおよび比色項目の測定結果を制御部44に出力する(ステップS414)。次いで、ステップS413と同様に理論値に対する測定結果の正確性および判定をステップS413において自動的に計算するとともに、基準を満たすか否かの判定結果を求める(ステップS415)。
【0094】
ステップS413あるいはステップS415の後、制御部44は、基準を満たすか否かの判定結果に判定NGが含まれるか否かを判定する(ステップ416)。判定NGが含まれると判定されたときは処理をステップS417に進め、アラームが出力される(ステップS417)。これに対しNGが含まれないと判定されたときは処理を終了する。
【0095】
ここで、上述のようにステップS406を省略した場合は、ステップS413やステップS415、ステップSS416、ステップS417を省略し、ステップS412あるいはステップS414を持って処理を終了させることができる。
【0096】
また、ステップS413やステップS415は、ユーザが希望しない場合は設定しない選択もできるものとする。
【0097】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0098】
上述した本発明の実施例1の自動分析装置100は、試料の電解質濃度を測定するISE測定部32と、試料の生化学項目を測定する分光光度計14と、試料のpHを測定するpH測定機構34と、ISE測定部32、あるいは分光光度計14での測定用の試料の分注を試料が収容された容器から行う試料分注機構21,22と、容器を搬送する搬送機構27と、を備え、pH測定機構34による試料のpH測定用の分注あるいはpH測定が試料分注機構21,22による試料分注より後になるように、搬送機構27、試料分注機構21,22およびpH測定機構34が配置されている。
【0099】
pH電極35は試料プローブ21a,22aよりも試料との接触面積が広く、キャリーオーバの影響が出やすいと推測される。そのため、キャリーオーバの影響を受けやすいISEや比色項目用の分注が先に実行され、その後にpH測定や分注が行われるように各種機構が配置されることで、pH測定をする試料とpH測定をしない試料を連続的に測定する際に、処理能力を落とすことなく、またキャリーオーバおよび試料濃縮の影響を抑制し、1台の自動分析装置内でISE分析、比色分析およびpH測定の全てを実行することが可能となる。
【0100】
このような配置構成は、特に中型や小型の自動分析装置に特に好適である。
【0101】
また、pH測定機構34によるpH測定用の試料の分注を行う位置あるいはpH測定位置が、試料分注機構21,22による試料分注位置とは異なるため、ISE・比色の処理能力を落とさずにpH測定が可能となり、分析処理能力をより確実に高めることができる。
【0102】
更に、ISE測定は比色測定より時間が掛かることから、制御装置40は、電解質濃度の測定用の分注を生化学項目の測定用の分注より先に行うよう試料分注機構21,22を制御することで、最終的な試料の分析結果が求まるまでの時間を確実に短縮することができる。
【0103】
また、ISE測定部32、分光光度計14、およびpH測定機構34は、試料として生体試料とは異なる試料を測定可能であること、特に異なる試料は透析液であることにより、透析液の標準化項目として定められた各項目の測定を一つの装置内で完結させることができ、ユーザの負担を大きく低減することができる。
【0104】
更に、試料の測定結果を表示可能な表示装置42を更に備え、生体試料とは異なる試料の測定が行われた際には、異なる試料の測定結果の理論値と測定値との比較結果が表示装置42に表示されることで、ユーザは生体試料以外の試料の分析結果を容易に把握することができ、よりユーザにとっての利便性の向上を図ることができる。
【0105】
<実施例2>
本発明の実施例2の自動分析装置について説明する。実施例1と同じ構成には同一の符号を示し、説明は省略する。以下の実施例においても同様とする。
【0106】
上述した実施例1の自動分析装置では、試料容器25にpH電極35を浸してpH測定を行うものであったのに対して、本発明の実施例2の自動分析装置は、pH測定機構34が試料容器25に加えて、比色測定用に試料と試薬とを混合して反応させた反応液を収容する反応容器12にもアクセス可能な位置に配置されている点である。例えば、
図1の試料分注機構22の位置にpH測定機構34が配置される。
【0107】
このような構成によって、試薬ディスク19内にpH測定機構34のキャリブレーション専用の標準液ボトル36,37,38を配置することができる。
【0108】
この場合は、標準液は試薬分注機構17,18により反応容器12に分注し、そこでキャリブレーションを行う。また、試料収納容器26上の試料を反応容器12に分注することでpH測定を行うことができるようになっている。
【0109】
また、pH測定のキャリブレーションおよび測定を、反応容器12にて実行するか試料容器25(キャリブレーションの場合は専用の標準液ボトル36,37,38)で実行するかをユーザが選択できるようにすることがより望ましい。
【0110】
ここで、反応容器12は37℃前後に加温されているが、試料容器25は室温である。また、pHは温度によって変化するため、その変化を装置に入力あるいは記憶させ、キャリブレーションや測定における温度により、pH測定結果は37℃や25℃など一定の温度でのpH値に換算して出力させることが望ましい。
【0111】
その他の構成・動作は前述した実施例1の自動分析装置と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0112】
本発明の実施例2の自動分析装置においても、前述した実施例1の自動分析装置とほぼ同様な効果が得られる。
【0113】
また、pH測定機構34が、比色測定用に試料と試薬とを混合して反応させた反応液を収容する反応容器にもアクセス可能な位置に配置されていることにより、試料容器25に直接pH電極35を直接挿入することなくpH測定が可能となる。このため、pH測定を行った後に試料の再検査を行う場合におけるキャリーオーバの懸念を実施例1の自動分析装置に比べてより低減することができる。その上、は実施例1の自動分析装置に比べて構成が単純化され、安価な分析装置を提供することができる、との効果が得られる。
【0114】
<実施例3>
本発明の実施例3の自動分析装置について
図10を用いて説明する。
図10は本実施例3の自動分析装置の全体概略構成図である。
【0115】
図10に示す本実施例の自動分析装置200は、投入部1と、ID読取部2と、搬送機構217と、ISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aと、試料収納容器26を待機させておく待機部5と、試料収納容器26を搬出する搬出部6と、全体管理用コンピュータ221を備えている。
【0116】
投入部1は、試料容器25を搭載する1以上の試料収納容器26を自動分析装置200内に投入する部分である。
【0117】
試料収納容器26によって保持された試料容器25には、血液等の検査試料(試料)に関する属性情報(受付番号,患者氏名,依頼分析項目等)を示す試料IDが記録されたラベルやバーコードなどが付与されている。また、試料収納容器26自体には、ラック番号等のラック識別情報を示すラックIDを示すタグが付与されている。
【0118】
投入部1に置かれた試料収納容器26は、搬送機構217によって搬送される。その際に、ID読取部2により試料IDや試料ラックIDに関する情報が読み取られ、全体管理用コンピュータ221に送られる。
【0119】
搬送機構217は、投入部1から投入された試料収納容器26を、検査技師や医者等のユーザによりなされた分析依頼に従って対象となるISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aへ搬送する。また、ISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aでの分析が終了した試料収納容器26、もしくは分析依頼がなかった試料収納容器26を、待機部5あるいは搬出部6に搬送する装置である。
【0120】
搬送機構217は、形状の異なる試料収納容器26を識別し、試料収納容器26の形状に応じて搬送動作を切り分けてISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aに搬送を行うように構成されている。
【0121】
搬送機構217の具体的構成は特に限定されず、ベルト搬送や搬送ロボットによる搬送、電磁力を用いた搬送等、様々な搬送機構やその組み合わせを採用することができる。
【0122】
ISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aは、搬送機構217を介して搬送された試料収納容器26に保持された試料容器25内の試料の分析を実行するモジュールであり、搬送機構217に沿って配置されているとともに、搬送機構217に取り外し可能な接続になっている。
【0123】
ISE測定モジュール32A,pH測定モジュール34Aの構成の概略は、それぞれ実施例1で説明したISE測定部32、pH測定機構34と略同じであるため、詳細は省略する。また、比色測定モジュール100Aは、実施例1で説明した自動分析装置100のうち、ISE測定部32,pH測定機構34を除いた部分と略同じな構成であり、その詳細は省略する。
【0124】
これらISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aには、それぞれISE測定モジュール32Aでの測定用の試料の分注を試料容器25から行う試料分注機構21b、比色測定モジュール100Aの分光光度計14での測定用の試料の分注を試料容器25から行う試料分注機構21c、pH測定モジュール34Aでの測定用の試料の分注を試料容器25から行う試料分注機構34bが各々設けられている。
【0125】
なお、実施例1のように比色測定モジュール100AにISE測定部32あるいはpH測定機構34のうちいずれかあるいはいずれも組み込むことが可能である。
【0126】
また、ISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aの数は任意に設定でき、少なくとも1つ以上配置されていればよい。本実施例では、モジュール数が合計で3個の場合を示している。
【0127】
全体管理用コンピュータ221は、上述された自動分析装置200内の各機構に接続されており、自動分析装置200の全体動作を制御するCPU(制御部223)を備えている。
【0128】
この全体管理用コンピュータ221は、制御部223やメモリなどを備えたコンピュータであり、上記の各部材の様々な動作を制御するとともに、ISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aでの検出結果から試料中の所定成分の濃度を求める演算処理を行う。
【0129】
例えば、全体管理用コンピュータ221は、ID読取部2により読み取られた属性情報に基づいて、依頼された分析項目からどのISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aで実施するかを決定する。
【0130】
特に、本実施例の制御部223は、pH測定モジュール34Aによる試料のpH測定用の分注あるいはpH測定が、ISE測定モジュール32Aの試料分注機構21bや比色測定モジュール100Aの試料分注機構21cによる試料分注より後になるように搬送機構217を制御する。
【0131】
また、制御部223は、電解質濃度の測定用の分注を生化学項目の測定用の分注より先に行うよう搬送機構217を制御することが望ましい。
【0132】
この全体管理用コンピュータ221には、更に、必要な情報を入力するためのキーボードやマウスで構成される入力部225、分析結果や分析指示等の各種情報を表示するための表示装置224、記憶装置222、および上述の表示装置224に表示された
図4等の表示画面を含む様々な情報を印刷する印刷部(図示省略)等が接続されている。
【0133】
記憶装置222は、自動分析装置200内に投入された試料や試料収納容器26の検知情報、ISE測定モジュール32A,比色測定モジュール100A,pH測定モジュール34Aの測定状況や依頼情報を記録しているフラッシュメモリ等の半導体メモリやHDD等の磁気ディスク等の記録媒体である。この記憶装置222は、また、自動分析装置200内の各機器の動作の制御や各種表示処理等を実行するための様々なコンピュータプログラム等を記録している。
【0134】
その他の構成・動作は前述した実施例1の自動分析装置100と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0135】
本発明の実施例3のように、pH測定モジュール34Aによる試料のpH測定用の分注あるいはpH測定が試料分注機構21b,21cによる試料分注より後になるように搬送機構217を制御する自動分析装置200においても、前述した実施例1の自動分析装置100とほぼ同様な効果が得られる。
【0136】
このような自動分析装置は、各測定項目を分析する専用のモジュールや搬送モジュールを一つ以上備える大型の分析装置で特に有効である。
【0137】
また、制御部223は、電解質濃度の測定用の分注を生化学項目の測定用の分注より先に行うよう搬送機構217を制御することにより、最終的な試料の分析結果が求まるまでの時間を確実に短縮することができる。
【0138】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0139】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0140】
1…投入部
2…ID読取部
5…待機部
6…搬出部
11…反応ディスク
12…反応容器
13…洗浄機構
14…分光光度計(比色測定部)
14a…光源
15,16…撹拌機構
17,18…試薬分注機構
17a,18a試薬プローブ
19…試薬ディスク
20…試薬ボトル
21,21b,21c,22…試料分注機構(第1分注部)
21a,22a…試料プローブ
23,24,28,29,31…洗浄槽
25…試料容器
26…試料収納容器
27…搬送機構(搬送部)
32…ISE測定部(電解質測定部)
32A…ISE測定モジュール(電解質測定部)
33…希釈槽
34…pH測定機構(pH測定部)
34A…pH測定モジュール(pH測定部)
34b…試料分注機構
35…pH電極
36,37,38…pH電極専用標準液ボトル
39…pH電極専用洗浄槽
40…制御装置
41…記憶装置
42…表示装置
43…入力装置
44…制御部
100,200…自動分析装置
100A…比色測定モジュール
105…希釈液ボトル
106…希釈液用シリンジ
107…希釈液用電磁弁
108…ISEシッパーシリンジ
109…シッパーシリンジ用電磁弁
110…ピンチバルブ
111…Na+選択電極
112…K+選択電極
113…Cl-選択電極
114…比較電極液ボトル
115…比較電極液用電磁弁
116…比較電極
117…内部標準液ボトル
118…内部標準液用シリンジ
119…内部標準液用電磁弁
217…搬送機構(搬送部)
221…全体管理用コンピュータ
222…記憶装置
223…制御部
224…表示装置
225…入力部