(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20230814BHJP
【FI】
H01L33/38
(21)【出願番号】P 2021202182
(22)【出願日】2021-12-14
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2021088186
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健太郎
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-028032(JP,A)
【文献】特開2019-036729(JP,A)
【文献】特開2016-051829(JP,A)
【文献】特表2019-527480(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0380620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた活性層と、前記活性層上に設けられた第2導電型の第2半導体層と、を有し、前記第1半導体層の一部が、前記活性層及び前記第2半導体層から露出する半導体積層体と、
前記第1半導体層の前記一部上に設けられ、前記第1半導体層に電気的に接続された第1電極と、
前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層に電気的に接続された第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極を覆い、前記第1電極上に第1開口が設けられ、前記第2電極上に第2開口が設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に設けられ、前記第1開口で前記第1電極に電気的に接続された第1パッド電極と、
前記第1絶縁層上に設けられ、前記第2開口で前記第2電極に電気的に接続された第2パッド電極と、
を備え、
上面視において、前記第1半導体層の前記一部は、
前記第1パッド電極と前記第2パッド電極の間にあり、前記基板の上面と平行な第1方向に延びる第1領域と、
前記第1方向に交差し前記第1領域から前記第1パッド電極への方向である第2方向に、前記第1領域から延びる複数の第2領域と、
を有し、
前記第1電極は、前記第1領域上及び前記複数の第2領域上に配置されており、
前記第1パッド電極は、上面視で前記複数の第2領域の間に位置する前記活性層を覆う発光素子。
【請求項2】
上面視において、前記第1半導体層の前記一部は、前記第1方向に交差し前記第1領域から前記第2パッド電極への方向である第3方向に、前記第1領域から延びる複数の第3領域を有し、
前記第1電極は、前記複数の第3領域上に更に配置されており、
前記第2パッド電極は、上面視で前記複数の第3領域の間に位置する前記活性層を覆う請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
上面視において、前記第1パッド電極及び前記第2パッド電極に覆われる前記活性層の面積は、上面視における前記活性層の面積の75%以上である、請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1パッド電極は、上面視で前記複数の第2領域の間に位置する前記活性層と、前記複数の第2領域とを連続して覆い、
前記第2パッド電極は、上面視で前記複数の第3領域の間に位置する前記活性層と、前記複数の第3領域とを連続して覆う請求項2または3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第2半導体層は、上面視で前記複数の第3領域の間に位置する中間領域を有し、
前記第2開口は、前記中間領域上に位置する請求項2~4のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項6】
前記第1開口は、前記第1領域上に位置する請求項2~5のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1領域は、上面視で前記第1半導体層の中心を含む領域である請求項2~6のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1電極と前記第1絶縁層との間に設けられ、前記第1電極に電気的に接続され、一部が前記第1絶縁層の前記第1開口から露出した第3電極を更に備え、
前記第1パッド電極は、前記第1開口で前記第3電極に電気的に接続されている請求項2~7のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項9】
前記第2半導体層、前記活性層、前記第1半導体層の前記一部、および、前記第1電極を覆い、前記第1電極上に第3開口が設けられ、前記第2半導体層上に第4開口が設けられた第2絶縁層を更に備え、
前記第3電極は、前記第2絶縁層上に設けられ、前記第3開口で前記第1電極に電気的に接続されており、
前記第2電極は、前記第2絶縁層上に設けられ、前記第4開口で前記第2半導体層に電気的に接続されている請求項8に記載の発光素子。
【請求項10】
前記第4開口は、上面視において、前記複数の第2領域の間に位置する前記活性層及び前記複数の第3領域の間に位置する前記活性層に重なる位置に設けられ、
前記第2電極は、上面視において、前記第2絶縁層、前記第4開口、及び、前記第1電極を連続して覆う請求項9に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第1領域の前記第1方向の長さが、前記半導体積層体の前記第1方向の長さの60%以上である請求項1~10のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項12】
前記活性層は、前記第1領域によって分断された2つの領域を有する請求項2~11のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項13】
上面視において、前記第1半導体層の前記一部は、前記第1領域に連続し前記基板の外縁に沿う第4領域を更に有し、
前記第1電極は、前記第4領域上に更に設けられている請求項12に記載の発光素子。
【請求項14】
前記活性層は、上面視で、前記第1領域、前記複数の第2領域、及び前記複数の第3領域の周囲を囲む請求項2~
10のいずれか1つに記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、n型層、活性層、及びp型層を有する積層体と、n型層上に形成されたn電極と、p型層上に形成されたp電極と、を備える発光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、活性層において電流が流れる範囲を広げつつ、放熱性に優れた発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る発光素子は、基板と、前記基板上に設けられた第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた活性層と、前記活性層上に設けられた第2導電型の第2半導体層と、を有し、前記第1半導体層の一部が、前記活性層及び前記第2半導体層から露出する半導体積層体と、前記第1半導体層の前記一部上に設けられ、前記第1半導体層に電気的に接続された第1電極と、前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層に電気的に接続された第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極を覆い、前記第1電極上に第1開口が設けられ、前記第2電極上に第2開口が設けられた第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に設けられ、前記第1開口で前記第1電極に電気的に接続された第1パッド電極と、前記第1絶縁層上に設けられ、前記第2開口で前記第2電極に電気的に接続された第2パッド電極と、を備える。上面視において、前記第1半導体層の前記一部は、前記第1パッド電極と前記第2パッド電極の間にあり、前記基板の上面と平行な第1方向に延びる第1領域と、前記第1方向に交差し前記第1領域から前記第1パッド電極への方向である第2方向に、前記第1領域から延びる複数の第2領域と、を有する。前記第1電極は、前記第1領域上及び前記複数の第2領域上に配置されている。前記第1パッド電極は、上面視で前記複数の第2領域の間に位置する前記活性層を覆う。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、活性層において電流が流れる範囲を広げつつ、放熱性に優れた発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る発光素子を示す上面図である。
【
図3】
図1のIII-III線における断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る発光素子の基板及び半導体積層体を示す上面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、及び第1電極を示す上面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、第1電極、及び絶縁層を示す上面図である。
【
図7】第1の実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、第1電極、絶縁層、第2電極、及び第3電極を示す上面図である。
【
図8】第1の実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、第1電極、絶縁層、第2電極、第3電極、及び他の絶縁層を示す上面図である。
【
図9】第1の実施形態に係る発光素子を示す上面図である。
【
図10】第2の実施形態に係る発光素子を示す上面図である。
【
図12】第2の実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、第1電極、及び絶縁層を示す上面図である。
【
図13】第3の実施形態に係る発光素子を示す上面図である。
【
図15】第3の実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、及び第1電極を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。更に、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
また、以下では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いて、各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交している。またX軸が延びる方向を「X方向」とし、Y軸が延びる方向を「Y方向」とし、Z軸が延びる方向を「Z方向」とする。また、説明をわかりやすくするために、Z方向を上方、その逆方向を下方とするが、これらの方向は、重力方向とは無関係である。また、上方から対象部材を見ること、又は、対象部材を適宜透過させて見ることを「上面視」という。また、X方向のうち、矢印の方向を「+X方向」といい、その逆方向を「-X方向」という。また、Y方向のうち、矢印の方向を「+Y方向」といい、その逆方向を「-Y方向」という。
【0010】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る発光素子を示す上面図である。
図2は、
図1のII-II線における断面図である。
図3は、
図1のIII-III線における断面図である。
本実施形態に係る発光素子100は、フリップチップ実装可能な発光素子である。発光素子100は、
図2及び
図3に示すように、基板110と、半導体積層体120と、第1電極130と、絶縁層140(第2絶縁層に相当)と、第2電極152と、絶縁層160(第1絶縁層に相当)と、第1パッド電極171と、第2パッド電極172と、を備える。発光素子100は、第3電極153を更に備えていてもよい。以下、発光素子100の各部について詳述する。
【0011】
基板110は、半導体積層体120を支持する部材である。また、基板110は、例えば、半導体積層体120をエピタキシャル成長させるための部材である。また、基板110は、サファイア等の透光性を備える部材である。他にも、基板110の材料としては、スピネル(MgAl2O4)、炭化ケイ素(SiC)、シリコン(Si)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、砒化ガリウム(GaAs)、ダイヤモンド、ニオブ酸リチウム、又はガリウム酸ネオジウム等が挙げられる。基板の上面には、複数の凸部が設けられていてもよい。
【0012】
基板110の形状は、平板状である。基板110の上面は、X方向及びY方向に概ね平行である。ここで、基板の上面に複数の凸部が設けられている場合、基板の上面のうち複数の凸部が設けられていない上面がX方向及びY方向に概ね平行である。
図1に示すように、上面視における基板110の形状は、本実施形態では矩形である。上面視において、基板110の外縁を構成する4辺のうちの2辺は、X方向に概ね平行であり、他の2辺は、Y方向に概ね平行である。ただし、基板の形状は、上記の形状に限定されず、例えば、基板の形状は、三角形や、六角形などの多角形とすることができる。ここで、「概ね平行」とは、5度程度のずれは許容されることを意味する。
【0013】
基板110の上面には、
図2及び
図3に示すように、半導体積層体120が配置されている。半導体積層体120には、例えば、In
XAl
YGa
1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)等の半導体が好適に用いられる。半導体積層体120は、基板110上に設けられた第1導電型の第1半導体層121と、第1半導体層121上に設けられた活性層122と、活性層122上に設けられた第2導電型の第2半導体層123と、を有する。
【0014】
図4は、本実施形態に係る発光素子の基板及び半導体積層体を示す上面図である。
なお、
図4では、説明をわかりやすくするため、上面視において、第1半導体層121において活性層122及び第2半導体層123から露出している領域、及び第2半導体層123が設けられている領域を相互に異なる斜線のハッチングで示している。
【0015】
第1半導体層121は、例えばn型半導体層である。第1半導体層121は、基板110の上面のうちの外縁領域111aを除いた領域の概ね全域を覆っている。本実施形態において、上面視における第1半導体層121の形状は、略矩形である。
【0016】
活性層122は、第1半導体層121上に位置する。活性層122は、第1半導体層121の上面の一部121sを除いた部分の概ね全域を覆っている。第1半導体層121の上面の一部121sは、第1半導体層121の上面のうち活性層122及び第2半導体層123から露出した面である。
【0017】
第2半導体層123は、例えばp型半導体層である。第2半導体層123は、活性層122上に位置する。第2半導体層123は、活性層122の上面の概ね全域を覆っている。換言すれば、上面視における第2半導体層123の形状は、活性層122の形状と概ね同じであり、第1半導体層121の上面の一部121sが、活性層122及び第2半導体層123の両方から露出している。
【0018】
本実施形態では、上面視において、第1半導体層121の一部121sは、第1領域121s1と、複数の第2領域121s2と、を有する。上面視において、第1半導体層121の一部121sは、複数の第3領域121s3と、2つの第4領域121s4、121s5と、を有してもよい。
【0019】
第1領域121s1は、基板110の上面と平行な第1方向D1に延びている。第1方向D1は、本実施形態では、Y方向と同じ方向である。ただし、第1方向は、Y方向と異なる方向であってもよい。例えば、第1方向は、X方向及びY方向と交差する方向であってもよい。第1領域121s1は、本実施形態では、上面視における第1半導体層121の中心Cを含む。本実施形態のように上面視における第1半導体層の形状が四角形である場合、中心Cは、上面視における第1半導体層121の外縁の対角線の交点上に位置する。第1半導体層の形状が台形である場合、第1半導体層の中心は、その台形の重心とすることができる。また、上面視における第1半導体層の形状が正多角形状または三角形状の場合、第1半導体層の中心は、その正多角形または三角形の内接円の中心に位置する。
【0020】
本実施形態において、第1領域121s1の第1方向D1の長さL1は、半導体積層体120の第1方向D1の長さL2と等しい。ここで、後述する第2の実施形態においては、長さL1と、長さL2とが異なり、長さL1は長さL2の60%以上である。更に、後述する第3の実施形態においては、長さL1と長さL2は等しい。従って、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態において、長さL1は長さL2の60%以上100%以下である。
【0021】
各第2領域121s2は、第1方向D1と交差する第2方向D2に、第1領域121s1から延びている。本実施形態では、第2方向D2は、-X方向である。例えば、複数の第2領域121s2は、それぞれが第1方向D1に直交して第1領域121s1から延びていることが好ましい。また、例えば、複数の第2領域121s2は、それぞれが、第1方向D1に略等間隔で配列されていることが好ましい。複数の第2領域121s2が、このように設けられていることにより、電流密度分布のばらつきを抑制することができる。ここで、「略等間隔」とは、1μm以下の間隔のずれは許容されることを意味する。
【0022】
ただし、本明細書において、「第2領域が第2方向に延びている」とは、第2領域の少なくとも一部が第2方向に延びていることを意味する。したがって、各第2領域は、その一部が第2方向に延びていればよく、その全体が第2方向に延びていなくてもよい。具体的には、例えば、第1半導体層の上面視における形状が矩形である場合、第1半導体層には、全体が第1半導体層の角部に向かって延びる第2領域が設けられていてもよい。この場合、第2領域は、その全体が第1方向及び第2方向と交差する方向に延びているものの、その一部は、第2方向に延びている。このような第2領域が第1半導体層に設けられていることで、第1半導体層の角部にまで電流を広げ易い。また、一の第2領域の全体が延びる方向は、他の第2領域の全体が延びる方向と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1半導体層は、全体が第2方向に延びる一の第2領域と、全体が第1方向及び第2方向と交差する方向に延びる他の第2領域と、を有していてもよい。
【0023】
また、第2領域における第1領域側の端部の第1方向の幅は、第2領域における第2方向側の端部の第1方向幅と異なってもよい。例えば、第2領域の第1方向の幅は、第2方向に向かうにつれて小さくなっていてもよい。このようにすることで、活性層の面積を広くすることができる。
【0024】
同様に、各第3領域121s3は、第1方向D1に交差する第3方向D3に、第1領域121s1から延びている。本実施形態では、第3方向D3は、+X方向である。例えば、複数の第3領域121s3は、それぞれが第1方向D1に直交して延びていることが好ましい。また、例えば、複数の第3領域121s3は、それぞれが第1方向D1に略等間隔で配列されていることが好ましい。複数の第3領域121s3が、このように設けられていることにより、電流密度分布のばらつきを抑制することができる。
【0025】
ただし、本明細書において、「第3領域が第3方向に延びている」とは、第3領域の少なくとも一部が第3方向に延びていることを意味する。したがって、各第3領域は、その一部が第3方向に延びていればよく、その全体が第3方向に延びていなくてもよい。具体的には、例えば、第1半導体層の上面視における形状が矩形である場合、第1半導体層には、全体が第1半導体層の角部に向かって延びる第3領域が設けられていてもよい。この場合、第3領域は、その全体が第1方向及び第3方向と交差する方向に延びているものの、その一部は、第3方向に延びている。このような第3領域が第1半導体層に設けられていることで、第1半導体層の角部にまで電流を広げ易い。また、一の第3領域の全体が延びる方向は、他の第3領域の全体が延びる方向と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1半導体層は、全体が第3方向に延びる一の第3領域と、全体が第1方向及び第3方向と交差する方向に延びる他の第3領域と、を有していてもよい。
【0026】
また、第3領域における第1領域側の端部の第1方向の幅は、第3領域における第3方向側の端部の第1方向の幅と異なってもよい。例えば、第3領域の第1方向の幅は、第3方向に向かうにつれて小さくなっていてもよい。このようにすることで、活性層の面積を広くすることができる。
【0027】
本実施形態では、第2領域121s2の数は、第3領域121s3の数と等しい。第2領域121s2の数は、第3領域121s3の数と等しくすることにより、電流密度分布のばらつきを抑制することができる。ただし、第2領域の数は、第3領域の数と異なっていてもよい。また、第2領域の数及び第3領域の数は、それぞれ2以上である限り、上記の数に限定されない。また、上面視において、第2領域121s2と第3領域121s3とを、上面視において左右対称となるように配置することが好ましい。第2領域121s2と第3領域121s3とを、そのように配置することで電流密度分布のばらつきを抑制することができる。
【0028】
2つの第4領域121s4、121s5は、それぞれ、第1領域121s1に連続し、基板110の外縁領域111aに沿って延びている。具体的には、一方の第4領域121s4は、第1領域121s1の+Y方向の端部から-X方向に延びる第1部分と、第1部分の-X方向における端部から-Y方向に延びる第2部分と、第2部分の-Y方向における端部から+X方向に延び、第1領域121s1の-Y方向の端部に連続する第3部分と、を有する。他方の第4領域121s5は、第1領域121s1の+Y方向の端部から+X方向に延びる第1部分と、第1部分の+X方向における端部から-Y方向に延びる第2部分と、第2部分の-Y方向における端部から-X方向に延び、第1領域121s1のY-方向の端部に連続する第3部分と、を有する。
【0029】
このように、第1半導体層121の一部121sは、複数の第2領域121s2及び複数の第3領域121s3を有していることが好ましい。ただし、第1半導体層の活性層及び第2半導体層から露出する一部の形状は、上記の形状に限定されない。例えば、第1半導体層の一部は、第1領域及び複数の第2領域のみを有していてもよい。また、例えば、第1半導体層の一部は、第1領域及び第3方向に延びる複数の第3領域のみを有していてもよい。
【0030】
第1半導体層121の上面において活性層122及び第2半導体層123から露出するこれらの領域121s1、121s2、121s3、121s4、121s5は、
図2に示すように、第1半導体層121の上面において活性層122及び第2半導体層123に覆われた領域よりも、下方に位置する。これらの領域121s1、121s2、121s3、121s4、121s5は、例えば、第1半導体層121の上面の略全域に活性層122及び第2半導体層123を形成した後、第1半導体層121の一部、活性層122の一部、及び第2半導体層123の一部を除去することによって形成される。
【0031】
図4に示すように、本実施形態では、活性層122及び第2半導体層123は、それぞれ、第1領域121s1によって分断された2つの領域124a、124bを有する。上述したように、本実施形態においては、第1領域121s1の第1方向D1の長さL1は、半導体積層体120の第1方向D1の長さL2と等しいため、活性層122及び第2半導体層123は第1領域121s1によって分断される。
【0032】
上面視において、一方の領域124aは、第1方向D1に延びる第1延伸領域125aと、第1延伸領域125aに連続し、それぞれが隣り合う第2領域121s2の間に位置する複数の中間領域125bと、第1延伸領域125aに連続し、Y方向から複数の第2領域121s2を挟み込むように配置された2つの第2延伸領域125cと、を含む。同様に、上面視において、他方の領域124bは、第1方向D1に延びる第1延伸領域126aと、第1延伸領域126aに連続し、それぞれが隣り合う第3領域121s3の間に位置する複数の中間領域126bと、第1延伸領域126aに連続し、Y方向から複数の第3領域121s3を挟み込むように配置された2つの第2延伸領域126cと、を含む。したがって、複数の第2領域121s2の間に位置する活性層122、すなわち、活性層122の各中間領域125bは、上面視において、第2半導体層123の中間領域125bと重なっている。同様に、複数の第3領域121s3の間に位置する活性層122、すなわち、活性層122の各中間領域126bは、上面視において、第2半導体層123の中間領域126bと重なっている。
【0033】
図2及び
図3に示すように、第1半導体層121の一部121s上には、第1電極130が設けられている。第1電極130は、第1半導体層121に電気的に接続されている。
【0034】
図5は、本実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、及び第1電極を示す上面図である。
なお、
図5では、説明をわかりやすくするため、第1電極130が設けられている領域を斜線のハッチングで示している。
【0035】
第1電極130は、金属等の導電材料からなる。第1電極130に用いられる金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、又はルテニウム(Ru)等が挙げられる。第1電極130は、これらの金属のうちの1種にからなってもよいし、これらの金属を積層した構造であってもよいし、これらの金属を含む合金からなってもよい。
【0036】
第1電極130は、本実施形態では、第1半導体層121の第1領域121s1、複数の第2領域121s2、及び複数の第3領域121s3上に配置されており、これらの領域121s1、121s2、121s3に接している。第1電極130は、活性層122及び第2半導体層123から離隔している。第1電極130は、本実施形態では、2つの第4領域121s4、121s5上には設けられていない。
【0037】
具体的には、第1電極130は、第1領域121s1上に配置され、第1方向D1に延びる第1延伸部131と、第1延伸部131から第2方向D2に延び、各第2領域121s2上に配置された複数の第2延伸部132と、第1延伸部131から第3方向D3に延び、各第3領域121s3上に配置された複数の第3延伸部133と、を有する。第1延伸部131は、本実施形態では、最も+Y方向に位置する第2延伸部132及び第3延伸部133よりも+Y方向に突出している。また、第1延伸部131は、本実施形態では、最も-Y方向に位置する第2延伸部132及び第3延伸部133よりも-Y方向に突出している。また、第1延伸部131は、上面視において、第1半導体層121の外縁よりも内側に位置する。
【0038】
ただし、第1電極の形状は、上記の形状に限定されない。例えば、第1電極の第1延伸部は、最も+Y方向に位置する第2延伸部及び第3延伸部よりも+Y方向に突出していなくてもよい。換言すると、第1電極の第1延伸部の+Y方向の端部は、最も+Y方向に位置する第2延伸部及び第3延伸部の延長線上に位置してもよく、もしくは、最も+Y方向に位置する第2延伸部及び第3延伸部よりも-Y方向に凹んでいてもよい。また、第1電極の第1延伸部は、最も-Y方向に位置する第2延伸部及び第3延伸部よりも-Y方向に突出していなくてもよい。換言すると、第1電極の第1延伸部の-Y方向の端部は、最も-Y方向に位置する第2延伸部及び第3延伸部と延長線上に位置してもよく、もしくは、最も-Y方向に位置する第2延伸部及び第3延伸部よりも+Y方向に凹んでいてもよい。
【0039】
図2及び
図3に示すように、第2半導体層123、活性層122、第1半導体層121の一部121s、及び、第1電極130は、絶縁層140に覆われている。
【0040】
図6は、本実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、第1電極、及び絶縁層を示す上面図である。
なお、
図6では、説明をわかりやすくするため、絶縁層140が設けられている領域を斜線のハッチングで示している。
【0041】
絶縁層140は、絶縁材料からなる。絶縁層140に用いられる絶縁材料としては、例えば、シリコン酸化物(SiO2)又はシリコン窒化物(SiN)等が挙げられる。
【0042】
上面視における絶縁層140の外縁の形状は、第1半導体層121の形状と概ね相似である。
【0043】
絶縁層140には、第1領域121s1及び第1電極130の第1延伸部131上に開口141(第3開口に相当)が設けられている。これにより、絶縁層140から、第1延伸部131が露出している。ただし、開口の位置は、上記の位置に限定されない。例えば、開口は、第2延伸部上に設けられていてもよい。上面視における開口141の形状は、第1方向D1を長手方向とし、略矩形である。ただし、開口の形状は上記の形状に限定されない。
【0044】
また、絶縁層140には、第2半導体層123上に2つの開口142a、142b(第4開口に相当)が設けられている。各開口142a、142bは、本実施形態では、上面視において、複数の第2領域121s2の間及び複数の第3領域121s3の間に位置する活性層122に重なる位置に設けられている。具体的には、一方の開口142aは、活性層122及び第2半導体層123の一方の領域124a上に配置されている。上面視における一方の開口142aの形状は、一方の領域124aの形状と概ね相似であり、一方の領域124aよりも小さい。これにより、絶縁層140から、第2半導体層123の一方の領域124aの外縁部を除いた部分が露出している。同様に、他方の開口142bは、活性層122及び第2半導体層123の他方の領域124b上に配置されている。上面視における他方の開口142bの形状は、他方の領域124bの形状と概ね相似であり、他方の領域124bよりも小さい。これにより、絶縁層140から、第2半導体層123の他方の領域124bの外縁部を除いた部分が露出している。
【0045】
絶縁層140は、第1半導体層121の第1領域121s1の一部と、各第2領域121s2の全域と、各第3領域121s3の全域と、各第4領域121s4、121s5の一部と、活性層122及び第2半導体層123の各領域124a、124bの外縁部と、を連続して覆っている。したがって、
図2及び
図3に示すように、絶縁層140は、活性層122と第1電極130との間、及び第2半導体層123と第1電極130との間に配置されており、活性層122の側面及び第2半導体層123の側面は、絶縁層140に覆われている。
【0046】
図7は、本実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、第1電極、絶縁層、第2電極、及び第3電極を示す上面図である。
なお、
図7では、説明をわかりやすくするため、第2電極152及び第3電極153が設けられている領域を相互に異なる斜線のハッチングで示している。
【0047】
第2電極152は、金属等の導電材料からなる。第2電極152に用いられる金属としては、例えば、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)又はチタン(Ti)等の比較的の光反射性高い金属が挙げられる。第2電極152は、これらの金属のうちの1種にからなってもよいし、これらの金属を積層した構造であってもよいし、これらの金属を含む合金からなってもよい。第2電極152は、第2半導体層123及び絶縁層140上に設けられ、各開口142a、142bで第2半導体層123に電気的に接続されている。第2電極152を、金属を積層した構造とする場合、例えば、上述した金属の中でも比較的光反射性の高いRhやAgなどを、第2半導体層123及び絶縁層140側に位置するように設けることで、光取り出し効率を向上させることができる。
【0048】
具体的には、上面視における第2電極152の外縁の形状は、上面視における絶縁層140の外縁の形状と概ね相似であり、第2電極152の外縁は、絶縁層140の外縁よりも内側に位置する。
【0049】
第2電極152には、絶縁層140の開口141上に、開口152aが設けられている。開口152aの形状は、開口141の形状と概ね相似である。開口152aは、開口141よりも大きい。これにより、第2電極152から、第1電極130の第1延伸部131及び絶縁層140の開口141の周囲の部分が露出している。ただし、第2電極の開口の形状は、上記の形状に限定されない。
【0050】
第2電極152は、上面視において、絶縁層140、絶縁層140の各開口142a、142b、及び、第1電極130を連続して覆っている。具体的には、第2電極152は、絶縁層140において外縁部及び開口141の周囲の部分を除いた部分の概ね全域と、2つの開口142a、142bと、を連続して覆っている。そのため、第2電極152は、絶縁層140を介して、第1電極130の第1延伸部131において開口141と上面視で重なる部分を除いた部分と、各第2延伸部132の全域と、各第3延伸部133の全域と、を覆っている。第2電極152は、
図2に示すように、第2半導体層123において、各開口142a、142bにより絶縁層140から露出した領域に接している。
【0051】
第3電極153は、導電材料からなる。第3電極153は、第2電極152と同様に、比較的光反射性の高い金属材料を含むことが好ましい。第3電極153は、絶縁層140上に設けられ、絶縁層140の開口141で第1電極130に電気的に接続されている。
【0052】
具体的には、第3電極153は、第2電極152の開口152a内に配置されている。第3電極153の形状は、
図7に示すように、絶縁層140の開口141及び第2電極152の開口152aの形状と概ね相似である。第3電極153は、開口141より大きく開口152aよりも小さい。第3電極153は、第2電極152から離隔している。ただし、第3電極の開口の形状は、上記の形状に限定されない。
【0053】
第3電極153は、
図2に示すように絶縁層140の開口141及びその周囲の領域を覆っている。第3電極153は、第1電極130の第1延伸部131において、開口141により絶縁層140から露出した領域に接している。
【0054】
図8は、本実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、第1電極、絶縁層、第2電極、第3電極、及び他の絶縁層を示す上面図である。
なお、
図8では、説明をわかりやすくするため、絶縁層160が設けられている領域を斜線のハッチングで示している。
【0055】
絶縁層160の材料は、絶縁層140と同様に絶縁材料からなる。上面視における絶縁層160の外縁の形状は、基板110の形状と概ね同じ形状である。
【0056】
絶縁層160には、第1電極130の上に、開口161(第1開口に相当)が設けられている。開口161は、第1半導体層121の第1領域121s1上に位置する。具体的には、開口161は、第3電極153の-X方向における端部上に位置し、Y方向に延びている。これにより、絶縁層160から第3電極153の一部が露出する。ただし、開口の位置及び形状は、上記に限定されない。
【0057】
また、絶縁層160には、第2電極152の上に、複数の開口162(第2開口に相当)が設けられている。具体的には、各開口162は、第2電極152の上であって、上面視で第1電極130の隣り合う第3延伸部133の間に位置する。すなわち、各開口162は、第2半導体層123の中間領域126b上に位置する。これにより、絶縁層160から第2電極152の一部が露出する。各開口162の形状は、X方向を長手方向とする長方形である。ただし、開口の位置及び形状は、上記に限定されない。また、開口は、第2半導体層の複数の中間領域上のいずれかに位置していればよい。従って、開口の数は1つであってもよい。
【0058】
絶縁層160は、基板110の上面の外縁領域111a、絶縁層140の外縁部、第2電極152において開口162と上面視で重なる部分を除いた部分の全域、及び第3電極153において開口161と上面視で重なる部分を除いた部分の全域を連続して覆っている。また、絶縁層160は、第3電極153及び絶縁層140を介して第1電極130を覆っている。
【0059】
図9は、本実施形態に係る発光素子を示す上面図である。
図9では、説明をわかりやすくするために、第1パッド電極171及び第2パッド電極172が設けられている領域を斜線のハッチングで示している。
【0060】
第1パッド電極171は、金属等の導電材料からなる。第1パッド電極171に用いられる金属としては、例えばニッケル(Ni)、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、銅(Cu)、又は金(Au)等が挙げられる。第1パッド電極171は、これらの金属のうちの1種にからなってもよいし、これらの金属を積層した構造であってもよいし、これらの金属を含む合金からなってもよい。第1パッド電極171は、
図2及び
図9に示すように、絶縁層160上に設けられ、開口161で第1電極130に電気的に接続されている。
【0061】
図9に示すように、上面視における第1パッド電極171の形状は、Y方向を長手方向とする六角形にすることができる。上面視において、第1パッド電極171の外縁を構成する6辺のうちの2辺は、X方向に平行であり、他の2辺はY方向に平行であり、残りの2辺は、X方向及びY方向に対して傾斜している。第1パッド電極171をこのような形状にすることで、後述する第2パッド電極172と異なる形状とし、第1パッド電極171および第2パッド電極172の極性を形状により判断することができる。ただし、第1パッド電極の形状は、上記の形状に特に限定されない。
【0062】
第1パッド電極171は、上面視で第1半導体層121の複数の第2領域121s2の間に位置する活性層122と、複数の第2領域121s2とを連続して覆っている。具体的には、第1パッド電極171は、活性層122及び第2半導体層123の一方の領域124aの第1延伸領域125aの一部と、各中間領域125bの全域と、各第2延伸領域125cの一部と、第1半導体層121の各第2領域121s2の全域と、絶縁層160の開口161と、を連続して覆っている。第1パッド電極171は、
図2に示すように、第3電極153において開口161により絶縁層160から露出した部分に接している。
【0063】
第2パッド電極172は、第1パッド電極171と同様に、金属材料等の導電材料からなる。第2パッド電極172は、絶縁層160上に設けられ、複数の開口162で第2電極152に電気的に接続されている。第2パッド電極172は、第1パッド電極171から離隔している。
【0064】
具体的には、上面視における第2パッド電極172の形状は、本実施形態ではY方向を長手方向とする長方形である。ただし、第1パッド電極の形状は、上記の形状に特に限定されない。
【0065】
第2パッド電極172は、上面視で、第1半導体層121の複数の第3領域121s3の間に位置する活性層122と、複数の第3領域121s3とを連続して覆っている。具体的には、第2パッド電極172は、活性層122及び第2半導体層123の他方の領域124bの第1延伸領域126aの一部と、各中間領域126bの全域と、各第2延伸領域126cの一部を覆っている。第2パッド電極172は、
図2に示すように、第2電極152において各開口162により絶縁層160から露出した部分に接している。
【0066】
したがって、第1半導体層121の第1領域121s1は、上面視において、第1パッド電極171と第2パッド電極172との間にある。ここで、「第1半導体層121の第1領域121s1は、上面視において、第1パッド電極171と第2パッド電極172との間にある」とは、第1領域121s1の少なくとも一部が、第1パッド電極171と第2パッド電極172との間に位置することを意味する。したがって、本実施形態のように上面視において第1パッド電極171と第1領域121s1が部分的に重なっていてもよいし、第1パッド電極171と第1領域121s1が重なっていなくてもよい。そして、第2方向D2とは、上面視において、第1領域121s1から第1パッド電極171に向かう方向である。また、第3方向D3とは、上面視において、第1領域121s1から第2パッド電極172に向かう方向である。
【0067】
第1パッド電極171及び第2パッド電極172は、例えば半田等の導電性の接合部材により、外部の実装基板に接合される。
【0068】
次に、本実施形態に係る発光素子100の動作について説明する。
第1パッド電極171は、
図2に示すように、第3電極153及び第1電極130を介して、第1半導体層121に電気的に接続されている。また、第2パッド電極172は、第2電極152を介して、第2半導体層123に接続されている。外部の実装基板を用いて第1パッド電極171と第2パッド電極172との間に電圧を印加することで、第1半導体層121内の電子と、第2半導体層123内の正孔が、活性層122において再結合する。これにより、活性層122が発光する。
【0069】
本実施形態に係る発光素子100においては、第1半導体層121の第1領域121s1、複数の第2領域121s2、及び複数の第3領域121s3が活性層122及び第2半導体層123から露出している。そして、第1電極130が、第1領域121s1、複数の第2領域121s2、及び複数の第3領域121s3上に設けられている。そのため、活性層122において、第1領域121s1から離れた部分にも、複数の第2領域121s2及び複数の第3領域121s3から電子が供給される。そのため、複数の第2領域121s2及び複数の第3領域121s3が設けられていない場合と比較して、本実施形態では、活性層122において電流が流れる範囲を広げることができる。
【0070】
一方、上面視で、活性層122において複数の第2領域121s2の間に位置する各中間領域125b及び複数の第3領域121s3の間に位置する各中間領域126bは、第1半導体層121から電子が供給され易いため、再結合が起こり易い。そのため、活性層122の各中間領域125b、126bは、発熱し易い。
【0071】
これに対して、発光素子100においては、
図9に示すように、上面視で第1パッド電極171が、活性層122の各中間領域125bを覆っている。また、上面視で第2パッド電極172が活性層122の各中間領域126bを覆っている。そのため、活性層122の各中間領域125b、126bにおいて生じた熱が、真上に位置する第1パッド電極171又は第2パッド電極172に伝搬し易い。そのため、活性層122の各中間領域125b、126bに生じた熱を、真上に設けられた第1パッド電極171及び第2パッド電極172により、外部に効率的に逃がすことができる。なお、活性層122の発熱は、特に半導体積層体120のガリウム(Ga)に対するアルミニウム(Al)の含有比率が大きい場合に発生しやすい傾向にある。従って、例えば、第1半導体層121がIn
XAl
YGa
1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)でありY≧0.5の場合において、上面視で第1パッド電極171が、活性層122の各中間領域125bを覆っており、上面視で第2パッド電極172が活性層122の各中間領域126bを覆っていることが好ましい。
【0072】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る発光素子100においては、第1半導体層121の一部121sが、活性層122及び第2半導体層123から露出している。上面視において、第1半導体層121の一部121sは、第1パッド電極171と第2パッド電極172の間にあり、基板110の上面と平行な第1方向D1の長さが半導体積層体120の第1方向D1の長さの60%以上である第1領域121s1と、第1方向D1に交差し第1領域121s1から第1パッド電極171への方向である第2方向D2に、第1領域121s1から延びる複数の第2領域121s2と、を有する。第1電極130は、第1領域121s1上及び複数の第2領域121s2上に配置されている。その結果、活性層122において電流が流れる範囲を広げることができる。
【0073】
一方、活性層122において、複数の第2領域121s2の間に位置する部分には、電子が供給され易く、発熱し易くなる。これに対して、本実施形態では、第1パッド電極171は、上面視で複数の第2領域121s2の間に位置する活性層122を覆っている。そのため、活性層122において生じた熱を、真上に配置される第1パッド電極171により外部に逃がし易い。
以上より、活性層122において電流が流れる範囲を広げつつ、放熱性に優れた発光素子100を提供できる。
【0074】
また、上面視において、第1半導体層121の一部121sは、第1方向D1に交差し第1領域121s1から第2パッド電極172への方向である第3方向D3に、第1領域121s1から延びる複数の第3領域121s3を更に有する。第1電極130は、複数の第3領域121s3上に更に配置されている。そのため、活性層122において電流が流れる範囲を更に広げることができる。
【0075】
一方、活性層122において、複数の第3領域121s3の間に位置する部分には、電子が供給され易く、発熱し易くなる。これに対して、本実施形態では、第2パッド電極172は、上面視で複数の第3領域121s3の間に位置する活性層122を覆っている。そのため、活性層122において生じた熱を、真上に配置される第2パッド電極172により逃がし易い。その結果、発光素子100の放熱性を高くできる。
【0076】
また、上面視において、第1パッド電極171及び第2パッド電極172に覆われる活性層122の面積は、上面視における活性層122の面積の75%以上である。このように、活性層122の大部分を第1パッド電極171及び第2パッド電極172によって覆うことで、発光素子100の放熱性を高くできる。
【0077】
ここで、活性層122が発する光のピーク波長が紫外域から深紫外域である場合、活性層122が発熱し易い。そのため、活性層122が発する光のピーク波長が紫外域から深紫外域である場合は、第1パッド電極171及び第2パッド電極172に覆われる活性層122の面積は、上面視における活性層122の面積の80%以上が好ましく、上面視における活性層122の面積の90%以上が更に好ましい。ここで、紫外域とは、例えば、波長が400nm以下であることを意味し、深紫外域とは、例えば、波長が300nm以下であることを意味する。
【0078】
また、半導体積層体120のガリウム(Ga)に対するアルミニウム(Al)の含有比率が大きい場合、活性層122が発熱しやすい。例えば、第1半導体層121がInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)でありY≧0.5の場合において活性層122が発熱し易い。そのため、半導体積層体120がInXAlYGa1-X-YNでありY≧0.5の場合において、第1パッド電極171及び第2パッド電極172に覆われる活性層122の面積は、上面視における活性層122の面積の80%以上が好ましく、上面視における活性層122の面積の90%以上が更に好ましい。
【0079】
また、第1パッド電極171は、上面視で複数の第2領域121s2の間に位置する活性層122と、複数の第2領域121s2とを連続して覆う。第2パッド電極172は、上面視で複数の第3領域121s3の間に位置する活性層122と、複数の第3領域121s3とを連続して覆う。そのため、活性層122において複数の第2領域121s2の間に位置する中間領域125b、活性層122において複数の第3領域121s3の間に位置する中間領域126b、複数の第2領域121s2、及び複数の第3領域121s3において生じた熱を、第1パッド電極171又は第2パッド電極により効率的に外部に逃がすことができる。その結果、発光素子100の放熱性を高くできる。
【0080】
また、第2半導体層123は、上面視で複数の第3領域121s3の間に位置する中間領域126bを有する。開口162は、中間領域126b上に位置する。そのため、発熱しやすい中間領域126bにおいて生じた熱が、開口162内に配置された第2電極152を介して、第2パッド電極172に伝搬し易い。その結果、発光素子100の放熱性を高くできる。
【0081】
また、開口161は、第1領域121s1上に位置する。そのため、第1半導体層121から、活性層122の2つの領域124a、124bのうちの一方に、電子が偏って供給されることを抑制できる。その結果、活性層122の電流密度分布のばらつきを抑制できる。
【0082】
また、第1領域121s1は、上面視で第1半導体層121の中心Cを含む領域である。このように、第1領域121s1が、第1半導体層121の略中央に位置し、そこから複数の第2領域121s2及び複数の第3領域121s3が延びている。そのため、活性層122の電流密度分布のばらつきを抑制できる。
【0083】
また、発光素子100は、第1電極130と絶縁層160との間に設けられ、第1電極130に電気的に接続され、一部が絶縁層160の開口161から露出した第3電極153を更に備える。第1パッド電極171は、開口161で第3電極153に電気的に接続されている。したがって、第3電極153が設けられていない場合と比較して、第1領域121s1上の電極の厚みを、厚くできる。これにより、順方向電圧を抑制できる。また、第2電極152の材料と第3電極153の材料が同じである場合、エッチングにより絶縁層160に開口161、162を形成する際に露出する部材のエッチングレートを統一できる。そのため、エッチングにより開口161、162を容易に形成できる。
【0084】
また、発光素子100は、第2半導体層123、活性層122、第1半導体層121の一部121s、及び第1電極130を覆い、第1電極130上に開口141が設けられ、第2半導体層123上に開口142a、142bが設けられた絶縁層140を更に備える。第3電極153は、絶縁層140上に設けられ、開口141で第1電極130に電気的に接続されている。第2電極152は、絶縁層140上に設けられ、開口142a、142bで第2半導体層123に電気的に接続されている。従って、第2電極152及び第3電極153が、絶縁層140上に乗りあげて形成されており、第2電極152及び第3電極153の上面視の面積が大きい。そのため、活性層122からの光を第2電極152及び第3電極153により効果的に反射し、発光素子100の光の取り出し効率を向上させることができる。
【0085】
また、開口142a、142bは、上面視において、複数の第2領域121s2の間に位置する活性層122及び複数の第3領域121s3の間に位置する活性層122に重なる位置に設けられている。第2電極152は、上面視において、絶縁層140、開口142a、142b、及び、第1電極130を連続して覆う。従って、第2電極152は、絶縁層140上に乗り上げており、更に、上面視で第1電極130に重なって形成されている。このように、第2電極152が形成されていることで、第2電極152により活性層122からの光をさらに効果的に反射することができ、発光素子100の光の取り出し効率を向上させることができる。
【0086】
また、活性層122は、第1領域121s1によって分断された2つの領域124a、124bを有する。このように、活性層122が分断されていることで、上面視において、2つのパッド電極171、172に覆われない活性層122の面積を低減することができ、活性層122から発生する熱を2つのパッド電極171、172により放熱しやすくすることができる。
【0087】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図10は、本実施形態に係る発光素子を示す上面図である。
図11は、
図10のXI-XI線における断面図である。
図12は、本実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、第1電極、及び絶縁層を示す上面図である。
本実施形態に係る発光素子200は、活性層222及び第2半導体層223が、上面視で、第1半導体層121の第1領域221s1、複数の第2領域121s2、及び複数の第3領域121s3を連続して囲んでいる点等で、第1の実施形態に係る発光素子100と相違する。
なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。後述する他の実施形態についても同様である。
【0088】
本実施形態では、活性層222及び第2半導体層223から露出する第1半導体層121の一部121sは、第1領域221s1の形状及び第4領域221s4の形状において、第1の実施形態における第1半導体層121の一部121sと相違する。具体的には、
図12に示すように、第1方向D1に延びる第1領域221s1の第1方向D1の両端部は、半導体積層体120の外縁に到達していない。換言すると、第1方向D1に延びる第1領域221s1の第1方向D1の両端部は、半導体積層体120の外縁から離れている。また、第4領域221s4は、第1領域221s1、複数の第2領域121s2、及び複数の第3領域121s3から離隔し、基板110の外縁領域111aに沿って、これらの領域221s1、121s2、121s3を囲んでいる。
【0089】
したがって、本実施形態では、活性層222及び第2半導体層223の形状も、第1の実施形態における活性層122及び第2半導体層123の形状と相違する。具体的には、活性層222及び第2半導体層223は、それぞれ、第1の実施形態における2つの領域124a、124bを接続したような形状を有する。活性層222及び第2半導体層223は、それぞれ、上面視で、複数の第1中間領域225aと、複数の第2中間領域225bと、外縁領域225cと、を有する。各第1中間領域225aは、隣り合う第2領域121s2の間に位置する。各第2中間領域225bは、隣り合う第3領域121s3の間に位置する。外縁領域225cは、各第1中間領域225aの-X方向の端部に連続し、各第2中間領域225bの+X方向の端部に連続している。また、外縁領域225cは、第4領域221s4に沿って複数の第1中間領域225a及び複数の第2中間領域225bを囲んでいる。
【0090】
上述したように、第2の実施形態において、第1領域221s1の第1方向D1の長さL1は、半導体積層体120の第1方向D1の長さL2の60%以上である。また、第2の実施形態において、長さL1は、長さL2の70%以上であることが好ましく、長さL2の80%以上であることが更に好ましい。長さL1を上述した長さにすることで、上面視において、2つのパッド電極171、172の間で、2つのパッド電極171、172に覆われない活性層122の面積を低減することができ、活性層122から発生する熱を2つのパッド電極171、172により放熱しやすくすることができる。
【0091】
また、本実施形態では、第1電極230の第1延伸部231の形状も、第1の実施形態における第1延伸部131と相違する。具体的には、第1方向D1に延びる第1延伸部231は、最も+Y方向に位置する第2延伸部132及び第3延伸部133よりも+Y方向に突出していない。換言すると、第1電極230の第1延伸部231の+Y方向の端部は、最も+Y方向に位置する第2延伸部132及び第3延伸部133の延長線上に位置している。また、第1延伸部231は、最も-Y方向に位置する第2延伸部132及び第3延伸部133よりも-Y方向に突出していない。換言すると、第1電極230の第1延伸部231の-Y方向の端部は、最も-Y方向に位置する第2延伸部132及び第3延伸部133の延長線上に位置している。
【0092】
また、本実施形態では、絶縁層240には、第2半導体層123を露出する開口242の数が1つである点で、第1の実施形態における絶縁層140と相違する。開口242は、第1の実施形態における開口142a、142b同士を接続したような形状を有している。
【0093】
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態においても、第1の実施形態に係る発光素子100と同様に、第1半導体層121の一部121sが、第1領域221s1及び複数の第2領域121s2を含む。そして、第1電極230が第1領域221s1及び複数の第2領域121s2上に配置される。そして、第1パッド電極171が、上面視で、複数の第2領域121s2の間に位置する活性層222を覆う。したがって、複数の第2領域121s2の間に位置する活性層222において生じた熱を第1パッド電極171により放熱しやすくすることができる。
【0094】
また、本実施形態においては、活性層222は、上面視で、第1領域221s1、複数の第2領域121s2、及び複数の第3領域121s3の周囲を囲む。そのため、活性層222において複数の第2領域121s2の間に位置する複数の第1中間領域225aと複数の第3領域121s3の間に位置する複数の第2中間領域225bが、繋がっている。その結果、活性層222の電流密度分布のばらつきを抑制できる。
【0095】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
図13は、本実施形態に係る発光素子を示す上面図である。
図14は、
図13のXIV-XIV線における断面図である。
図15は、本実施形態に係る発光素子の基板、半導体積層体、及び第1電極を示す上面図である。
本実施形態に係る発光素子300は、第1電極330が第1半導体層121の第4領域121s4上にも設けられている点等で、第1の実施形態に係る発光素子100と相違する。
【0096】
具体的には、第1電極330は、
図15に示すように、第1延伸部131、複数の第2延伸部132、及び複数の第3延伸部133に加えて、2つの第4領域121s4、121s5上に位置する2つの外縁部334a、334bを更に有する。一方の外縁部334aは、第1延伸部131のY方向の両端部に連なり、第1半導体層121の第4領域121s4上に位置する。他方の外縁部334bは、第1延伸部131のY方向の両端部に連なり、第1半導体層121の第4領域121s5上に位置する。各外縁部334a、334bの少なくとも一部は、
図14に示すように、絶縁層140に覆われている。
【0097】
また、本実施形態における絶縁層360は、
図13に示すように、複数の開口162に加えて、各第2延伸領域126c上に、第2電極152を露出する開口362が設けられている。そのため、活性層122において生じた熱が、これらの開口362を介して第2電極152に伝搬しやすい。そのため、発光素子300の放熱性を高めることができる。
【0098】
また、本実施形態における第1パッド電極371は、
図13及び
図14に示すように、上面視において、第1電極330の一方の外縁部334aの一部を更に覆っている。そのため、第1半導体層121の一方の第4領域121s4において生じた熱を、第1パッド電極371により、外部に逃がしやすい。また、第1パッド電極371は、活性層122の一方の領域124aの全域を覆っている。そのため、活性層122において生じた熱を、第1パッド電極371により外部に逃がしやすい。
【0099】
同様に、本実施形態における第2パッド電極372は、
図13及び
図14に示すように、上面視において、第1電極330の他方の外縁部334bの一部を更に覆っている。そのため、第1半導体層121の他方の第4領域121s5において生じた熱を、第2パッド電極372により、外部に逃がしやすい。また、第2パッド電極372は、活性層122の他方の領域124bの全域を覆っている。そのため、活性層122において生じた熱を、第1パッド電極371により外部に逃がしやすい。
【0100】
以上説明したように、本実施形態に係る発光素子300においても、第1の実施形態に係る発光素子100と同様に、第1半導体層121の一部121sが、第1領域121s1及び複数の第2領域121s2を含む。そして、第1電極130が第1領域121s1及び複数の第2領域121s2上に配置される。そして、第1パッド電極371が、上面視で、複数の第2領域121s2の間に位置する活性層122を覆う。したがって、第1の実施形態に係る発光素子100と同様に、活性層222において電流が流れる範囲を広げつつ、放熱性に優れた発光素子300を提供できる。
【0101】
また、上面視において、第1半導体層121の一部121sは、第1領域121s1に連続し基板110の外縁に沿う第4領域121s4、121s5を有する。そして、第1電極330は、第4領域121s4、121s5上に更に設けられている。そのため、第1半導体層121と第1電極330の接触面積を大きくできる。その結果、順方向電圧の上昇を抑制できる。
【符号の説明】
【0102】
100、200、300:発光素子
110 :基板
111a :外縁領域
120 :半導体積層体
121 :第1半導体層
121s :第1半導体層の一部
121s1、221s1:第1領域
121s2 :第2領域
121s3 :第3領域
121s4、121s5、221s4:第4領域
122、222:活性層
123、223:第2半導体層
124a、124b:活性層及び第2半導体層の2つの領域
125a :第1延伸領域
125b :中間領域
125c :第2延伸領域
126a :第1延伸領域
126b :中間領域
126c :第2延伸領域
130、230、330:第1電極
131 :第1延伸部
132 :第2延伸部
133 :第3延伸部
140、240:絶縁層(第2絶縁層)
141 :開口(第3開口)
142a、142b、242:開口(第4開口)
152 :第2電極
152a :開口
153 :第3電極
160、360:絶縁層(第1絶縁層)
161 :開口(第1開口)
162 :開口(第2開口)
171、371:第1パッド電極
172、372:第2パッド電極
225a :第1中間領域
225b :第2中間領域
225c :外縁領域
231 :第1延伸部
334a、334b:外縁部
362 :開口(第2開口)
C :中心
D1 :第1方向
D2 :第2方向
D3 :第3方向
L1、L2 :長さ