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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】高圧蒸気アニール処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/324 20060101AFI20230814BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230814BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
H01L21/324 J
H01L21/68 N
H01L21/324 S
H01L21/265 602A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020526392
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 US2018055401
(87)【国際公開番号】W WO2019099125
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】62/586,935
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャーラー, ジェーソン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォパト, ロバート ブレント
(72)【発明者】
【氏名】カールソン, チャールズ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラニク, ジェフリー チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン, ティモシー ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ブラニク, デーヴィット
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ, アーロン
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120883(JP,A)
【文献】特表2005-533378(JP,A)
【文献】特表2015-530477(JP,A)
【文献】特表2001-512789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/324
H01L 21/683
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を取り囲むチャンバ本体であって、該チャンバ本体の底壁を貫通して開口部が形成されているチャンバ本体と、
前記内部空間内で移動可能に配置されたカセットであって、その内部に複数の基板を装填するために第1の位置まで上昇し、処理のために前記第1の位置の下の第2の位置まで下降するように構成されたカセットと、
前記チャンバ本体に形成された前記開口部を通って配置され、前記カセットに連結されたシャフトと、
前記カセットの底壁に連結されたプラグであって、前記カセットが前記第2の位置にあるときに前記チャンバ本体の前記底壁の上面と係合するように構成された下向きのシールであり、前記開口部及び前記シャフトを包囲し、前記カセットが前記第2の位置にあるときに前記チャンバ本体の前記底壁に対して密閉可能な前記シールを備えるプラグと、
前記チャンバ本体の側壁に配置され、290℃を超える温度に前記チャンバ本体を維持するように動作可能なヒータと、
を備える、バッチ処理チャンバ。
【請求項2】
前記内部空間内に配置された中空の円筒形シェルをさらに備え、前記シェルの内面に配置された一又は複数のヒータを有する、請求項1に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項3】
前記チャンバ本体を通って形成された装填ポートを密閉可能に閉じるように構成されたスリットバルブドアをさらに備え、前記スリットバルブドアは、前記チャンバ本体の内面と係合するシールを備える、請求項1に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項4】
前記カセット上に配置された蓋をさらに含み、前記蓋は、前記シェルの外径よりも大きい直径を有する、請求項に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項5】
前記スリットバルブドアはさらに、前記チャンバ本体の内面と係合するように構成されたシールを備える、請求項3に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項6】
前記チャンバ本体の前記底壁は、前記プラグを収容するための段付き開口部を備える、請求項1に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項7】
前記カセットの前記底壁と前記プラグとの間に配置された熱遮断部をさらに備える、請求項1に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項8】
前記プラグ内に配置された冷却チャネルをさらに備える、請求項1に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項9】
前記カセットの前記底壁は、流体が通過することを可能にするように構成された開口部を備える、請求項1に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項10】
内部空間を取り囲むチャンバ本体と、
前記内部空間内に移動可能に配置されたカセットであって、第1の位置と前記第1の位置の下の第2の位置との間で移動可能なカセットと、
前記内部空間内に配置され、前記カセットが前記第2の位置にあるときに前記カセットを取り囲む中空の円筒形シェルと、
前記チャンバ本体の側壁に配置され、290℃よりも高い温度に前記チャンバ本体を維持するように動作可能なヒータと、
前記カセットが前記第2の位置にあるときに前記シェルの内面と前記カセットとの間に配置される追加のヒータと、
を備えるバッチ処理チャンバ。
【請求項11】
前記カセットの底壁に連結されて、前記内部空間内で上下に移動するように構成されたプラグをさらに備え、前記プラグは、
前記チャンバ本体の底壁の上面と係合するように構成された下向きのシールを備える、請求項10に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項12】
前記チャンバ本体を通って形成された装填ポートを密閉可能に閉じるように構成されたスリットバルブドアをさらに備え、前記スリットバルブドアは、前記チャンバ本体の内面と係合するシールを備える、請求項10に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項13】
前記プラグ内に配置された冷却チャネルと、
前記カセットの前記底壁と前記プラグとの間に配置された熱遮断部であって、カプセル化されたカップを備える熱遮断部と、
をさらに備える、請求項11に記載のバッチ処理チャンバ。
【請求項14】
内部空間を取り囲むチャンバ本体であって、該チャンバ本体の底壁を貫通して開口部が形成されているチャンバ本体と、
前記内部空間内に移動可能に配置されたカセットであって、その内部に複数の基板を装填するために第1の位置まで上昇し、処理のために前記第1の位置の下の第2の位置まで下降するように構成されたカセットと、
前記カセットの底壁に連結されたプラグであって、前記カセットが前記第2の位置にあるときに前記チャンバ本体の前記底壁の上面と係合するように構成された下向きシールであり、前記開口部を包囲し、前記カセットが前記第2の位置にあるときに前記チャンバ本体の前記底壁に対して密閉可能な前記シールを備えるプラグと、
前記チャンバ本体の側壁に配置され、290℃よりも高い温度に前記チャンバ本体を維持するように動作可能なヒータと、
前記カセットが前記第2の位置にあるときにシェルの内面と前記カセットとの間に配置される追加のヒータと、
を備える、バッチ処理チャンバ。
【請求項15】
前記チャンバ本体に形成された前記開口部を通って配置され、前記カセットに連結されたシャフトをさらに備える、請求項14に記載のバッチ処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、概して、集積回路の製造に関し、具体的には、一又は複数の半導体基板をアニールするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記載
[0002] メモリデバイス、論理デバイス、マイクロプロセッサなどの半導体デバイスの形成は、半導体基板上への一又は複数の膜の堆積を伴う。膜は、半導体デバイスを製造するために必要な回路を作成するために使用される。アニーリングは、堆積された膜の電気的特性を改善するために、堆積された膜に対して様々な効果を達成するために使用される熱処理プロセスである。例えば、アニーリングを使用して、ドーパントを活性化し、堆積膜を高密度化し、又は成長膜の状態を変化させることができる。
【0003】
[0003] 半導体デバイスの幾何形状は、数十年前の導入以来、サイズが劇的に縮小されてきた。デバイス密度の増加は、減少した空間寸法を有する構造的特徴をもたらした。例えば、高アスペクト比(深さ対幅の比)の間隙及びトレンチにおいて、現代の半導体デバイスの構造上の特徴は、間隙を材料で充填することが極めて困難になる程度まで狭まっており、特に、間隙を充填する材料の特性を確実に制御することができない点で、極めて困難になってきている。バルク堆積材料の特性を改善するのに適した従来のアニーリング処理は、高アスペクト比の特徴で堆積された材料の特性を改善する能力を実証していない。
【0004】
[0004] したがって、半導体基板をアニールするための方法及び装置の改良が必要となっている。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の実施形態は、概して、一又は複数の半導体基板をアニールするための装置に関する。一実施形態では、バッチ処理チャンバが開示される。バッチ処理チャンバは、内部空間を取り囲むチャンバ本体と、内部空間内に移動可能に配置されたカセットと、カセットの底壁に連結されたプラグとを含む。チャンバ本体は、チャンバ本体の底壁を貫通する開口部を有する。シャフトが、チャンバ本体に形成された開口部を通って配置され、カセットに連結される。チャンバ本体は、290℃を超える温度にチャンバ本体を維持するように動作可能な一又は複数のヒータとインターフェース接続される。カセットは、その上に複数の基板を装填するために第1の位置まで上昇し、処理のために第1の位置の下の第2の位置まで下降するように構成される。プラグは、カセットが第2の位置にあるときに、チャンバ本体の底壁の上面と係合するように構成された下向きのシールを含む。シールは、開口部及びシャフトを包囲し、チャンバ本体の底壁に対して密閉する。
【0006】
[0006] 別の実施形態では、バッチ処理チャンバは、内部空間を取り囲むチャンバ本体と、内部空間内に移動可能に配置されたカセットと、内部空間内に配置された中空の円筒形シェルとを含む。チャンバ本体は、290℃を超える温度にチャンバ本体を維持するように動作可能な一又は複数のヒータとインターフェース接続される。カセットは、第1の位置と第1の位置の下の第2の位置との間で移動可能である。第1の位置では、カセットは、シェルの上方に配置される。第2の位置では、カセットはシェルによって包囲される。一又は複数のヒータが、シェルの内面とカセットとの間に配置される。
【0007】
[0007] さらに別の実施形態では、バッチ処理チャンバは、内部空間を取り囲むチャンバ本体と、内部空間内に移動可能に配置されたカセットと、カセットの底壁に連結されたプラグと、内部空間内に配置された中空の円筒形シェルと、カセット上に配置された蓋と、チャンバ本体の側壁を通って形成された装填ポートを密閉可能に閉じるように構成されたドアとを含む。チャンバ本体は、チャンバ本体を290℃を超える温度に維持するように動作可能な一又は複数のヒータを含む。カセットは、その底壁を貫通して形成された一又は複数のガス流入開口部を有する。カセットは、第1の位置と第1の位置の下の第2の位置との間で移動可能である。第1の位置では、カセットは、シェルの上方に配置される。第2の位置では、カセットはシェルによって包囲される。プラグは、シャフトに連結され、開口部を取り囲み、カセットが第2の位置にあるときに、チャンバ本体の底壁の上面と係合するように構成された下向きのシールを含む。プラグは、内部に配置された冷却チャネルも含む。シェルは、その内面に配置された一又は複数のヒータを有する。蓋は、シェルの外径よりも大きい直径を有する。
【0008】
[0008] 本開示の上述の特徴を詳細に理解しうるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、添付の図面に例示されている。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているに過ぎず、したがって、その範囲を限定するものとみなされるべきではなく、本開示は他の同等に有効な実施形態を許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】複数の基板をカセットに装填するための上昇位置にカセットを備えたバッチ処理チャンバの概略断面図である。
図1B】複数の基板を処理するための下降位置にカセットを備えたバッチ処理チャンバの概略断面図である。
図1C】カセットの概略的な底面図である。
図1D】バッチ処理チャンバ内に配置された円筒形シェルの部分概略断面図である。
図1E】開放構成におけるスリットバルブドアの概略断面図である。
図1F】閉鎖構成におけるスリットバルブドアの概略断面図である。
図2】バッチ処理チャンバの入口に接続された温度制御された入口流体回路の概略図である。
図3】バッチ処理チャンバの出口に接続された温度制御された出口流体回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0017] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込まれうると考えられる。
【0011】
[0018] 本開示の実施形態は、概して、一又は複数の基板、例えば、半導体基板をアニールするための装置に関する。一実施例では、装置は、バッチ処理チャンバ内に配置されたカセット上に位置する複数の半導体基板を処理するように動作するバッチ処理チャンバである。カセットが下げられて、例えば処理位置にあるときには、バッチ処理チャンバは、70barまでの圧力及び550℃までの温度で基板をアニールする。本明細書に記載の一実施例では、カセットの底壁は、カセットが下降位置にあるとき、バッチ処理チャンバを閉じる下向きのシールを含む。したがって、大気圧を超える処理圧力では、カセットと底部インターフェースに渡る圧力差によって、シールは強制的に圧縮され、これにより、シャフトの密閉用途で一般的に使用される動的シールと比較して、より堅牢なシールが形成され有利である。同様に、バッチ処理チャンバのスリットバルブドアは、処理チャンバの内部空間から密閉し、同様に、スリットバルブドアのシールは、処理チャンバの内部空間が高圧であるときには強制的に圧縮される。他の実施形態では、バッチ処理チャンバは、中空の円筒形シェルを組み込む。シェルは、シェルの境界内に配置され、シェルとカセットとの間に配置された、一又は複数のヒータによって生成された熱を保持するように機能する。シェルはまた、処理チャンバの側壁に伝達される熱量を実質的に減少させる。
【0012】
[0019] 図1は、複数の基板135をカセット130に装填するため、第1の位置、例えば上昇位置(すなわち、装填位置)に配置されたカセット130を備えるバッチ処理チャンバ100の概略断面図である。バッチ処理チャンバ100は、内部空間150を囲むチャンバ本体110と、チャンバ本体110の上に配置された蓋111とを有する。チャンバ本体110は、環形状を有するが、他の実施形態では、本体110は、長方形又は任意の閉鎖形状であってもよい。
【0013】
[0020] チャンバ本体110は、一又は複数のセクションで製造されてもよい。図1に示す実施形態では、チャンバ本体110は、底壁115、側壁117を含む蓋111を含む。底壁115は、内面151と外面153とを有する。側壁117は、内面155と外面157とを有する。蓋111及びチャンバ本体110は、固定シール118によって共に保持される。冷却チャネル119は、固定シール118に隣接して配置される。他の実施形態(図示せず)では、チャンバ本体110は、上部スプールと、底部115と蓋111との間に配置された下部スプールとを含んでもよい。チャンバ本体110は、一又は複数のHastelloy(登録商標)、Iconel(登録商標)、及びMonel(登録商標)合金などであるが、これらに限定されない、高い耐腐食性を示すニッケルベースの鋼合金から作製されてもよい。
【0014】
[0021] 一又は複数のカートリッジヒータ112が、チャンバ本体110内に、例えば、底部115又は側壁117の凹部内に配置される。ヒータ112は、チャンバ本体110を能動的に加熱し、チャンバ本体110を290℃よりも高い温度に維持するように構成される。ヒータ112の各々は、抵抗コイル、ランプ、セラミックヒータ、グラファイト系炭素繊維複合材料(CFC)ヒータ、ステンレス鋼ヒータ、又はアルミニウムヒータであってもよい。ヒータ112は、電源105によって給電される。温度センサ114は、チャンバ本体110に連結され、チャンバ本体110の温度を監視するように構成される。ヒータ112への電力は、温度センサ114から受け取ったフィードバックを介してコントローラ180によって制御される。石英のような(少なくともシールドに対して)低い熱伝達係数を有する材料で作られた任意の断熱ライナ116を、チャンバ本体110の側壁117の内面155に沿って内部空間150に配置することができるが、これに限定されるものではない。このような例では、ライナ116は、シェル120と側壁117との間に配置され、シェル120と側壁117との間で伝達される熱量を有利に減少させ、これによって、側壁117の温度調整を補助する。
【0015】
[0022] カセット130は、内部空間150内に移動可能に配置される。カセット130は、石英、セラミック、又は他の非熱伝導性材料から製造されうる。カセット130は、その中に複数の基板135を収容し、複数の基板135をバッチ処理チャンバ100に出し入れするのを容易にする。さらに、カセット130は、バッチ処理チャンバ100内の第1の位置とバッチ処理チャンバ100内の第2の位置との間の基板135の移送を容易にし、基板135が高圧及び高温でアニールされるようにする。
【0016】
[0023] カセット130は、上壁132と、底壁134と、側壁136とを含む。カセット130の側壁136は、その内面に形成された複数の基板収納スロット138を有する。各基板収納スロット138は、カセット130の側壁136の内面に沿って垂直に等間隔に配置される。各基板収納スロット138は、複数の基板135のうちの1つをその上に保持するように構成される。一実施例では、カセット130は、基板135を保持するための25個の基板収納スロット138を有することができる。他の実施例では、25個より多い又は少ない基板収納スロット138も想定される。底壁134には、カセット130内への流体の流れを容易にする一又は複数の開口133が形成されている。
【0017】
[0024] 図1Cは、カセット130の概略底面図である。一実施形態では、図1Cに示すように、カセット130の底壁134は、中央部分330から環形状の周辺部分131に半径方向に延在する一又は複数のスポーク104を含み、隣接するスポーク104間の開口133を画定する。
【0018】
[0025] 図1A及び図1Bに戻ると、プラグ172がカセット130の底壁134に連結される。プラグ172は一又は複数のシール175を含む。シールは、プラグ172の下面に配置することができる。プラグ172は、チャンバ本体110の底壁115を貫通して形成された開口部154の上方に垂直に配置される。プラグ172は、バッチ処理チャンバ100の動作中、カセット130と共に垂直に上下に作動する。いくつかの態様において、図1及び図2に示されるように、開口部154は、内面151に形成され、その中にプラグ172を収容するように構成された階段状の上方プロファイルを含む。作動中、プラグ172は、垂直下方に駆動され、開口部154の階段状プロファイルの底面をシール175と係合させ、それにより、プラグ172と底壁115との間に密閉を形成して、バッチ処理チャンバ100の開口部154を通る流体の流れを阻止する。
【0019】
[0026] プラグが内面151と係合すると、バッチ処理チャンバ100内の上昇した圧力は、バッチ処理チャンバ100の外側の圧力よりも大きく、シール175を内面151と強制的に係合させる。シール175を強制的に係合させることによって、より強く、より流体的に密閉されたシールが形成される。一実施例では、シール175は、パーフルオロエラストマーのような高温ポリマーから作られるが、これに限定されるわけではない。いくつかの実施形態では、シール175はOリングである。いくつかの実施形態では、プラグ172は除外されてもよい。このような実施例では、カセット130の底壁134は底部115に対して密閉する。そのような例では、シール175は、カセット134の底壁134の下面に配置されてもよく、又は任意選択により、シール175を除外してもよいことが企図される。
【0020】
[0027] プラグ172は、シール175に隣接して内部に配置された冷却チャネル176も含む。冷却チャネル176は、冷却流体源177に流体接続される。限定されるものではないが、不活性流体、誘電性流体、及び高性能伝熱流体などの冷却流体が、冷却チャネル176内で循環されてもよい。冷却チャネル176は、プラグ172及びシール175を冷却して、動作中にシール175を最大完全性温度(maximum integrity temperature)(例えば、約325℃)未満に維持し、それによってシール175の有効寿命を延ばすように構成される。プラグ172は、内部空間150内でプラグ172とカセット130を上下に動かすシャフト174に連結されている。プラグ172は、シャフト174の上端に配置され、シャフト174の別個の構成要素であってもよいし、それと一体的に形成されてもよい。シャフト174の下端は、シャフト174の運動を容易にするアクチュエータ170に連結されている。シャフト174及びアクチュエータ170は、コントローラ180によって制御される。
【0021】
[0028] バッチ処理チャンバ100はまた、真空リップシール160を含む。真空リップシール160は、外面153とアクチュエータ170との間で、底壁115の外面153に隣接して配置される。真空リップシール160は、シャフト174の周りの真空リップシール160の密閉を容易にするためのシール165を含む。シール165は、パーフルオロエラストマーのような高温ポリマーから作られるが、これに限定されるわけではない。真空リップシール160は、シール175に対するバックアップシール又は冗長シールとして機能する。シール175が故障した場合、内部空間150から流出する加圧流体又は空気は、ポンプ(図示せず)に流体接続された出口169を通って導かれる。低圧動作中、シャフト174がバッチ処理チャンバ100の内部空間150内でカセット130を上下に移動させると、真空リップシール160は、内部空間150からの加圧された処理流体又は空気の漏出、或いは内部空間150内への周囲空気の侵入を防止する。
【0022】
[0029] いくつかの実施形態では、図1A及び図1Bに示すように、バッチ処理チャンバ100は、熱遮断部178も含む。熱遮断部は、プラグ172の上面及びカセット130の底壁134の下面に隣接して配置される。熱遮断部178は、底壁134に、又はプラグ172の上面に接着されてもよい。熱遮断部178はセラミックから製造されるが、他の材料も想定される。熱遮断部178は、カセット130とシャフト174との間の熱伝達を緩和することによって、カセット130からチャンバの外部への熱の流れを制限するように構成される。
【0023】
[0030] 図1Dは、バッチ処理チャンバ内に配置された円筒形シェルの部分概略断面図である。円筒形シェル120は、(下降位置にある)カセット130と任意選択の絶縁ライナ116との間に配置される。
【0024】
[0031] シェル120は、その内面106に連結されたヒータ127を有する壁123を含む。シェル120は、壁123内に位置する処理領域125を加熱し、処理領域125内の熱から壁123の外側の外側領域129を遮蔽するように構成される。言い換えるならば、シェル120は、処理領域125と外側領域129との間の熱分離を容易にする。壁123は、高反射性の板金又はHastelloy(登録商標)合金のようなニッケルベースの鋼合金から製造することができる。壁123の外面107は、処理領域125と外側領域129との間の熱分離をさらに容易にするために、任意選択で絶縁層(図示せず)でコーティングされてもよい。
【0025】
[0032] 壁123の内面106は、複数のフック126を有し、セラミックフックなどがそこに連結されている。複数のフック126は、その上に一又は複数のヒータ127を支持する。ヒータ127は、螺旋状又は軸方向に整列した構成で配置され、アニーリング動作中に処理領域125及びその中に配置された複数の基板135を加熱するように構成される。一実施例では、一又は複数のヒータ127は、処理領域125を550℃の温度まで加熱するように構成される。ヒータは、例えば、ニッケルクロム合金から形成された抵抗ヒータであってもよい。シェル120内のヒータ127は、電源105に電気的に接続される。一実施例では、内面106は熱反射性であり、ヒータ127によって生成された熱を処理領域125に反射させるように構成される。いくつかの態様では、内面1は、熱反射をさらに高めるために、その上に反射コーティングを含むことができる。
【0026】
[0033] 圧力センサ122は、底部115の内面151上の処理領域125内に配置される。圧力センサ122は、アニーリング処理中に処理領域125の圧力を測定するように構成される。温度センサ124は、圧力センサ122に隣接する底部115の内面151上の処理領域125内に配置され、温度センサ124は、アニーリング処理中に処理領域125の温度を測定するように構成される。
【0027】
[0034] カセット130の蓋140は、その下面に環状凹部142を含む。環状凹部142は、シェル120の壁123の上に配置されるように構成され、壁123と蓋140との間に間隙128を形成する。一実施例では、蓋140は、環状凹部142を収容するためにシェル120の外径よりも大きい直径を有する。処理流体が処理領域125内に導入されると、間隙128があることによって、残留空気は処理流体によって内部空間150(図1Bに示す)内に押し退けられる。
【0028】
[0035] 図1Dはまた、熱遮断部178の一実施例を示している。図示した実施例では、熱遮断部178は、カプセル化されたカップとして形成されている。カプセル化されたカップは、カセット130の底壁134との接触を最小にする。図1Dに示すように、熱遮断部178は、中空の中央部分109を囲む薄い円筒壁108を有する。中空の中央部分109及び薄い円筒壁は、カセット130とプラグ172との間の熱伝達を低減する。別の実施例では、熱遮断部178は、中空中央部分109を省略しうることが企図される。このような例では、熱遮断部178は、熱絶縁材料から形成することができる。
【0029】
[0036] 図1A及び図1Bに戻り、図1E及び図1Fを参照すると、装填ポート158は、チャンバ本体110の側壁117を通って形成される。図1Eは、開放構成のスリットバルブドア195の概略断面図である。図1Fは、閉鎖構成におけるスリットバルブドア195の概略断面図である。処理中に、複数の基板135をバッチ処理チャンバ100から装填ポート158を通って装填すること又は取り出すことができる。スリットバルブドア195は、装填ポート158を選択的に開閉することによって、装填ポート158を通って内部空間150へアクセスするために使用される。スリットバルブドア195は、装填ポート158を囲む側壁117の内面155と係合するように構成される。シール199は、装填ポート158を覆って密閉することによって、スリットバルブドア195の閉鎖を容易にする。内部空間150内の上昇した圧力は、スリットバルブドア195及びシール199を内面155にさらに係合させる。シール199は、パーフルオロエラストマーのような高温ポリマーから作られるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、シール199はOリングであってもよい。
【0030】
[0037] スリットバルブドア195は、細長いスロット105b内に配置された回転ピン105aを含む。ピン105aは、スリットバルブドア195をバー198aに連結する。バー198aは、水平アクチュエータ194a及び垂直アクチュエータ190に連結されている。水平アクチュエータ194aは、内部空間150内のスリットバルブドア195の一端を、装填ポート158に向かって、また、装填ポート158から離れるように直線的に移動させるように構成される。水平アクチュエータ194aの作動により、スリットバルブドア195はピン105cを中心に枢動し、一方、ピン105aは細長いスロット105b内を移動する。スリットバルブドア195の回転のためのクリアランスを提供するために、第2の水平アクチュエータ194bは、スリットバルブドア195がバー198bを介して内面155から離れる動作を容易にしうる。スリットバルブドア195は、基板の出し入れを可能にするため、非垂直配向(例えば、内面155に対して約45度)に旋回されてもよい。さらなるクリアランスを提供するため、水平アクチュエータ194a、194bは、ブラケット196の作動を容易にするように、リンク192によって垂直アクチュエータ190に連結されるブラケット196に連結されてもよい。ブラケット196の垂直方向の作動は、バー198a、198bを装填ポート158内で垂直方向に移動させることによって、装填ポート158内にさらなるクリアランスを提供する。スリットバルブドア195及び各アクチュエータの運動は、コントローラ180によって制御される。
【0031】
[0038] バッチ処理チャンバ100内の空気の流れを容易にするために、入口ポート152は、チャンバ本体110の底壁115を貫通して形成され、入口導管259(図2に示す)を内部空間150に流体接続する。出口ポート156はまた、底壁115を貫通して形成され、内部空間150を出口導管361(図3に示す)に接続する。入口ポート152は、一又は複数のガス(例えば、試薬、前駆体、パージガス、又はキャリアガス)を供給するために、ガス供給源に流体連結される。
【0032】
[0039] 図2は、温度制御された入口流体回路200を概略的に示す。温度制御された入口流体回路200は、入口導管259を介して入口ポート152に流体接続可能である。入口流体回路200は、ガスパネル250と、ソース導管257と、入口導管259に連結された入口分離バルブ255とを含む。一又は複数のヒータ252、254、及び258は、入口流体回路200の異なる部分とインターフェース接続され、入口流体回路200全体にわたる温度制御を容易にする。一又は複数の温度センサ251、253、及び256は、入口流体回路200の異なる部分とインターフェース接続され、温度測定値を取得し、温度測定情報をコントローラ180に提供し、それによってフィードバック制御を容易にする。
【0033】
[0040] 図2に示されているように、ソース導管257はヒータ252とインターフェース接続され、かつ熱連通している。入口分離バルブ255は、ヒータ254とインターフェース接続され、かつ熱連通している。入口導管259は、ヒータ258とインターフェース接続され、かつ熱連通している。温度センサ251は、ソース導管257とインターフェース接続され、ソース導管257の温度を測定するように構成される。温度センサ253は、入口分離バルブ255とインターフェース接続され、入口分離バルブ255の温度を測定するように構成される。温度センサ256は、入口導管259とインターフェース接続され、入口導管259の温度を測定するように構成される。温度読取装置205は、温度センサ251、253及び256から温度測定値を受け取り、表示する。温度読取装置205は、温度情報をコントローラ180に送り、入口流体回路200の温度制御を容易にする。
【0034】
[0041] 図3は、温度制御された出口流体回路300を概略的に示す。出口流体回路300は、出口導管361を介して出口ポート156に流体接続可能である。出口流体回路300は、出口分離バルブ365と、排気導管263と、凝集装置(condenser)360と、ポンプ378とを含む。出口流体回路300の熱制御を容易にするために、一又は複数のヒータ362、364、及び366が出口流体回路300の異なる部分とインターフェース接続される。一又は複数の温度センサ367、368、及び369が、出口流体回路300の異なる部分とインターフェース接続され、温度測定値を取得し、温度測定情報をコントローラ180に提供する。図3に示されているように、出口導管361はヒータ362とインターフェース接続され、かつ熱連通している。出口分離バルブ265は、ヒータ364とインターフェース接続され、かつ熱連通している。排気導管363は、ヒータ366とインターフェース接続され、かつ熱連通している。温度センサ367は、出口導管361とインターフェース接続され、出口導管361の温度を測定するように構成される。温度センサ368は、出口分離バルブ365とインターフェース接続され、出口分離バルブ365の温度を測定するように構成される。温度センサ369は、排気導管363とインターフェース接続され、排気導管363の温度を測定するように構成される。温度読取装置305は、温度センサ367、368及び369から温度測定値を受け取り、表示する。温度読取装置305は、出口流体回路300の温度制御を容易にするために、温度情報をコントローラ180に送る。
【0035】
[0042] 凝集装置360は、内部空間150に流体連結され、出口導管361を通って内部空間150を出る処理流体を凝集するように構成される。任意選択的に、凝集装置360を出る凝集した処理流体は、分離バルブ375を経由して熱交換器370を通って送られてもよい。熱交換器370は、処理流体がより容易に管理されうるように、凝集した処理流体をさらに冷却するように構成される。凝集装置360は、凝集導管372によって分離バルブ375に流体接続されている。熱交換器370は、熱交換器導管374によって分離バルブ375に連結される。ポンプ378は、ポンプ導管376によって熱交換器370に流体的に接続され、リサイクル、再利用又は廃棄するため、熱交換器370から容器(図示せず)への液化処理流体のポンピングを容易にする。
【0036】
[0043] 図2及び図3を参照すると、ヒータ252、254、258、362、364、及び366は、流体回路200及び300を通って流れている処理流体を所定の温度に維持するように構成される。一実施例では、所定の温度は、処理流体の凝結点よりも高い。ヒータ252、254、258、362、364、及び366は、外部環境への熱の損失を防止するために、任意選択により、断熱層で覆われてもよく、それによって、流体入口回路200及び流体出口回路300の温度制御効率が改善される。ヒータ252、254、258、362、364、及び366は、ランプ、抵抗加熱素子、伝熱流体を流すための流体導管、又は他の適切な加熱装置であってもよい。図2及び図3に示すような実施形態では、ヒータ252、254、258、362、364、及び366は、流体回路200及び300の素子の周囲に巻かれた抵抗ヒータである。ヒータ252、254、258、362、364、及び366は、電源105に個別に連結される。いくつかの実施形態では、ヒータ252、254、258、362、364、及び366の各々は、独立して制御されてもよい。温度センサ251、253、256、367、368、及び369は、それぞれ、赤外線センサなどの非接触センサ、又は熱電対などの接触センサになりうる。
【0037】
[0044] 入口分離バルブ255及び出口分離バルブ365は、遮断バルブである。入口分離バルブ255が開いているときには、ソース導管257を通って流れる処理流体が、内部空間150内で入口導管259及び処理領域125に入るように、出口分離バルブ365は閉じられる。一方、出口分離バルブ365が開いているときには、ガス状生成物が処理領域125から除去され、出口導管361及び排気導管363を通って凝集装置360に流れるように、入口分離バルブ255は閉じられる。
【0038】
[0045] 処理流体は、バッチ処理チャンバ100内の基板の所望のアニーリングのための処理要件に従って選択されることが企図される。処理流体は、酸素、蒸気、水、過酸化水素、及び/又はアンモニアなどの酸素含有ガス及び/又は窒素含有ガスを含みうる。酸素含有ガス及び/又は窒素含有ガスの代わりに、又はこれに加えて、処理流体は、一又は複数の有機ケイ素化合物、一又は複数のテトラアルキルオルトシリケート、一又は複数のジシロキサン、或いはこれらの任意の組合せなどであるが、これらに限定されないケイ素含有ガスを含有してもよい。いくつかの実施形態では、処理流体は、70barまでの圧力で約550℃の温度の蒸気であってもよい。
【0039】
[0046] 図1A及び図1Bに戻ると、バッチ処理チャンバは、コントローラ180も含む。コントローラ180は、アクチュエータ170、194a、194b、及び190、並びにバッチ処理チャンバ100の電源105の動作を制御する。また、コントローラ180は、冷却流体源177と、入口流体回路200(図2)と、出口流体回路300(図3)とに接続される。コントローラ180は、圧力センサ122と、温度センサ114及び124とに、通信可能に接続される。コントローラ180は、中央処理装置(CPU)182と、メモリ184と、補助回路186とを含む。CPU182は、産業用の設定で使用されうる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサであってよい。メモリ184は、ランダムアクセスメモリ、読取専用メモリ、フロッピー、又はハードディスクドライブ、又は他の形態のデジタル記憶装置であってよい。補助回路186は、通常、CPU182に連結され、キャッシュ、クロック回路、入出力システム、電源などを含みうる。
【0040】
[0047] バッチ処理チャンバ100は、70barまでの圧力下、かつ約550℃の温度下で、複数の基板135をアニールするために構成される。動作中、ヒータ112は、バッチ処理チャンバ100を予熱し、その後バッチ処理チャンバ100内に導入される過熱処理流体の凝結を回避するため、290℃を超える温度で内部空間150を維持するように、電源が投入される。
【0041】
[0048] コントローラは、装填ポート158を開くため、一又は複数のアクチュエータ190、194a、194bを駆動する。装填ポート158の開放と同時に、又は開放した後に、シャフト174はアクチュエータ170によって駆動され、バッチ処理チャンバ100の内部空間150内でカセット130を上昇させる。シャフト174は、ロボットエンドエフェクタ(図示せず)からの複数の基板135をそれぞれの基板収納スロット138上に個別に装填することができるように、各基板収納スロット138を装填ポート158と徐々に整列させる。複数の基板135がカセット130に装填されると、装填ポート158は閉じられる。
【0042】
[0049] シャフト174は、アクチュエータ170によって駆動され、バッチ処理チャンバ100の内部空間150内でカセット130を下降させる。カセット130が下降位置に下がると、プラグ172が内面151と係合して開口部154を密閉する。同時に、カセット130の蓋140は、シェル120の壁123の上に配置され、これにより、処理領域125を画定する。
【0043】
[0050] シェル120の内部に配置されたヒータ127は、電源105によって電源が投入され、処理領域125及び複数の基板135を約550℃の温度に維持する。過熱状態の処理流体は、ガスパネル250によって、入口流体回路200の入口導管259を通って処理領域125内に導入される。入口導管259を通って流体が導入されている間は、出口流体回路300は作動しない。流体が処理領域125に導入されると、流体に加えられる圧力は徐々に高まる。一実施例では、流体は、約70barの圧力が処理領域125内に確立されるまで、処理領域125内に導入される蒸気である。処理領域内に所望の圧力が確立されると、流体の流れは停止される。
【0044】
[0051] 複数の基板135は、処理流体に曝される。複数の基板135をアニールするため、高圧かつ高温下で、例えば蒸気に曝される。複数の基板135の処理中、処理領域125、入口導管259及び出口導管361は、処理流体が気相に留まるような温度及び圧力に維持される。例えば、処理領域125、入口導管259及び出口導管361の温度は、加えられた圧力での処理流体の凝結点よりも高い温度に維持される。処理領域125、入口導管259及び出口導管361は、適用される温度で処理ガスの凝縮圧力未満の圧力に維持される。コントローラ180は、温度センサ114及び124、温度読取装置205及び305、並びに圧力センサ122からの情報を使用して、バッチ処理チャンバ100に関して処理流体の流れ、適用される圧力、及び適用される熱を制御する。
【0045】
[0052] アニーリング処理が完了すると、出口流体回路300が起動され、処理領域125からの処理流体の除去を容易にする。処理流体は、出口流体回路300の出口導管361を通って処理領域から出る。処理領域125から処理ガスを除去する間は、入口流体回路200は作動しない。処理領域125内の凝縮物の形成を緩和するために、処理領域125から処理流体を除去した後に、ヒータ127の電源はオフにされる。次に、バッチ処理チャンバ100の内部空間150内でカセット130を上昇させるため、シャフト174はアクチュエータ170によって駆動される。次に、装填ポート158は、スリットバルブドア195の駆動を介して開かれ、基板135はバッチ処理チャンバ100から個々に取り出される。
【0046】
[0053] 一態様では、バッチ処理チャンバ100は、複数の基板135をカセット130へ装填するときに、或いはカセット130から取り出すときに、0.5気圧未満の圧力で動作する。このような低圧動作の間、真空リップシール160は、シャフト174がカセット130を内部空間150内で上下に移動させるときに有効になる。真空リップシール160は、シャフト174の周囲を密閉することによって、さらに加圧された流体又は空気の内部空間150への漏れを防止する。漏れの軽減を促進するため、真空リップシールは真空ポンプ(図示せず)に連結され、出口169を通って流体又は空気を引き出す。一実施例では、シール175が故障した場合、真空リップシール160は、低圧動作中にバッチ処理チャンバ100の真空完全性を維持できるように、出口169を通る任意の加圧された処理流体の除去を容易にする。
【0047】
[0054] 本明細書に記載のバッチ処理チャンバは、多くの利点をもたらす。バッチ処理チャンバは、真空下だけでなく高圧下でも動作するように構成される。バッチ処理チャンバは、内面に配置された多数のヒータを有する中空の円筒形シェルを組み込み、アニーリングなどの処理中に複数の基板を550℃まで加熱する。同時に、シェルは、シェル内部の熱がチャンバ壁に伝播するのを防止するための熱シールドとして作用し、チャンバ壁の温度を約290℃から約325℃の範囲に維持することが可能になる。チャンバ壁の温度を約290℃から約325℃の範囲に維持することで、シールが温度劣化することなく、チャンバへのポートを閉じるようにシールを使用することが可能になる。このようなシールを使用しないと、金属シールが必要となる。しかしながら、金属シールは恒久的に設置することが必要で、再利用能力が限られている。さらに、金属シールは、望ましくない粒子汚染を発生させる傾向がある。
【0048】
[0055] しかも、シールの位置決めによっては、使用圧力により、さらに頑強な密閉を形成することが可能になる。開示されている連結されたプラグ及びスリットバルブドアは共に、このようなシール位置決めが有効であると企図される。
【0049】
[0056] 最終的に、本明細書に開示される入口流体回路及び出口流体回路は、処理流体の温度を、流体回路を流れる処理流体の凝縮点より上に制御し、かつ維持する利点をもたらす。入口流体回路及び出口流体回路の異なる部分に連結された多数のヒータ及び温度センサは、コントローラが入口流体回路、出口流体回路及びチャンバへの熱供給を制御し、かつ維持するのを支援する。本明細書に開示の態様によって提供される追加の温度制御は、処理流体の凝縮を防止し、処理流体を気相に維持し、それによって基板の処理全体を改善する。
【0050】
[0057] 上記は、本開示の特定の実施形態に対象としているが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の例示にすぎないことを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態に到達するために、例示的な実施形態に多数の修正を行いうることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3