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特許7330299複数の撮像ユニットを用いたリソグラフィシステムのばらつきを補う学習ベースのデジタル補正
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  • 特許-複数の撮像ユニットを用いたリソグラフィシステムのばらつきを補う学習ベースのデジタル補正 図1
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  • 特許-複数の撮像ユニットを用いたリソグラフィシステムのばらつきを補う学習ベースのデジタル補正 図10A
  • 特許-複数の撮像ユニットを用いたリソグラフィシステムのばらつきを補う学習ベースのデジタル補正 図10B
  • 特許-複数の撮像ユニットを用いたリソグラフィシステムのばらつきを補う学習ベースのデジタル補正 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-10
(45)【発行日】2023-08-21
(54)【発明の名称】複数の撮像ユニットを用いたリソグラフィシステムのばらつきを補う学習ベースのデジタル補正
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20230814BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021569863
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 US2020030470
(87)【国際公開番号】W WO2020242702
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】16/426,458
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コスクン, テイマー
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-177032(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0064683(US,A1)
【文献】特開2012-212884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G03F 9/00
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
多重撮像ユニットデジタルリソグラフィツール(DLT)のステージを、前記ステージに結合された基板上に設けられたアライメントマークのセットが前記DLTの眼のセットの下に配置されるように、位置づけすることと、
前記セット内の各アライメントマークに対して、
その上の前記眼に結合されたカメラを用いて、第1の画像を第1の時間に取得することと、
第1の測定位置を決定するために、前記第1の画像から、前記カメラのFOV内の前記アライメントマークの第1の位置を得ることと、
前記アライメントマークの1又は複数の追加の画像を後続の時間に取得し、1又は複数の対応する後続の測定位置を決定することと、
前記後続の測定位置間の差をそれぞれ計算することと
を行うことと、
前記アライメントマークのセットに対して計算された前記差に少なくとも部分的に基づいて、前記眼のセットに対する眼の中心のドリフトを補正するための予測モデルを作成することと
を含む方法。
【請求項2】
前記眼のセットの各眼が前記基板の印刷領域を画定し、各印刷領域に1又は複数のアライメントマークが設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各印刷領域に2つ又は4つのアライメントマークが設けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カメラのFOV内の前記アライメントマークの位置が画像処理を用いて得られ、前記カメラのFOV内の前記測定位置及び前記後続の測定位置が前記ステージの座標系でそれぞれ表わされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
記DLTが少なくとも1つのブリッジを備え、ブリッジが2つ以上の眼を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記眼のセットは、前記DLTの全ての眼を含み、前記基板の走査を実行する前に、前記予測モデルに基づいて、前記走査で印刷されるパターンのセットにデジタル補正を適用することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基板の1つの走査と次の走査との間を補正するグローバル線形アライメントモデルを生成することを更に含み、前記グローバル線形アライメントモデルに対して、各眼に対する残差データから前記予測モデルを作成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記予測モデルは、前記DLTのN回の先行する走査における眼の中心の残差データの移動平均である、
前記予測モデルは、より直近の走査からのデータをより重く重みづけする、前記N回の先行する走査における前記眼の中心の残差データの加重移動平均である、又は
それらの組み合わせである、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
システムであって、
プロセッサと、
メモリであって、履歴データに基づいて、多重撮像ユニットDLTの眼に対する眼の中心のばらつきの予測値を出力するための工程を実行するように構成されたアプリケーションプログラムを含む、メモリとを備え、前記工程は、
最も直近に印刷されたN枚のプレートにおける眼に対する眼の中心のばらつきの履歴データを得ることと、
前記DLTの予測モデルに、前記眼の中心のばらつきの履歴データを入力することと、
前記モデルの出力として、前記眼に対する補正予測値を受信することと、
前記眼に対する前記補正予測値を、前記DLTの現在印刷中のプレートにおける前記眼の印刷領域に適用することと
を含む、システム。
【請求項10】
Nは3から5である、
前記予測モデルは、N回の先行する走査における前記眼の中心のばらつきデータの移動平均である、
前記予測モデルは、より直近の走査からのデータをより重く重みづけする、前記N回の先行する走査における前記眼の中心の残差データの加重移動平均である、又は
それらの組み合わせである、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
N枚の先行するプレートにおける前記眼の中心のばらつきの履歴データがバッファに記憶され、前記バッファは、前記N枚のプレートと前記DLTの眼の数とによって定義される固定サイズを有し、前記バッファは先入れ先出し(FIFO)バッファである、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、マスクレスリソグラフィの分野に関し、より具体的には、多重撮像ユニットデジタルリソグラフィツール(DLT)における撮像ユニットの位置のばらつきを補う学習ベースのデジタル補正に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]一般に、基板上に電気的フィーチャーを形成するためにマイクロリソグラフィ技法が採用される。感光性フォトレジストは、通常、基板の少なくとも1つの表面に塗布される。マスクレスフォトリソグラフィでは、パターンジェネレータが、パターンの一部として感光性フォトレジストの選択されたエリアを露光する。光は、選択されたエリアのフォトレジストに化学変化をもたらし、この選択されたエリアを、その後の材料除去及び/又は材料添加プロセスにより、電気的フィチャーを作り出すために備える。基板上の電気的フィーチャーの正確な配置が、電気的相互接続の品質を決定する。
【0003】
[0003]多重撮像ユニットDLTでは、基板にパターンを付与するために撮像ユニット(眼と呼ばれる)を使用し、各眼が基板の1つの領域に印刷を行う。撮像ユニットは固定され、例えば、その下をステージが移動する。撮像ユニットは、ブリッジとして知られる単一のクロスバーに組み立てられ得る、又は例えば複数のブリッジに組み立てられ得る。各眼は、特定の印刷領域に印刷を行う。一度に全ての眼から印刷することで、基板の各印刷領域に異なる(又は所望により同一の)パターンが作成される。各眼がその印刷領域にのみ印刷を行うようにするためには、撮像ユニットが単一のユニットとしてまとまり、ブリッジ上の眼の間の距離が一定である必要があり、複数のブリッジシステムの場合は、ブリッジ間の距離がそれぞれの長さに沿って一定である必要がある。これらの制約は、機械的及び熱的の両方で困難な場合が多く、その結果、ステージの座標系に対する眼又はブリッジの位置のドリフトにより、撮像ユニットがその公称位置からドリフトすることがある。このドリフトは、熱影響によるエンコーダ等の位置測定システムのドリフトによる有効ドリフトでもあり得る。
【0004】
[0004]このような多重撮像ユニットシステムのモニタリングデータから、ブリッジ上の眼の位置が時間とともに変化することが示されており、これは熱影響及び/又は機械的にドリフトする部品に起因し得る。したがって、当技術分野では、この撮像ユニットのドリフトを補う必要がある。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の実施形態は、概して、多重撮像ユニットを含むDLT走査の前に、撮像ユニット(眼)のドリフトをデジタル的に補う又は補正することに関するものである。
【0006】
[0006]一実施形態では、予測モデルを作成する方法が開示される。多重撮像ユニットデジタルリソグラフィツール(DLT)のステージは、ステージに結合された基板上に設けられたアライメントマークのセットがDLTの眼のセットの下に配置されるように位置づけされる。セット内の各アライメントマークに対して、その上の眼に結合されたカメラを用いて、第1の時間に第1の画像が取得され、第1の測定位置を決定するために、第1の画像から、カメラのFOV内のアライメントマークの第1の位置が得られる。1又は複数の対応する後続の測定位置を決定するために、後続の時間にアライメントマークの1又は複数の追加の画像が続いて得られる。後続の測定位置間の差がそれぞれ計算され、計算された差に少なくとも部分的に基づいて、眼のセットの眼の中心のドリフトを補正するための予測モデルが作成される。
【0007】
[0007]別の実施形態では、DLTの各走査の開始前に、予測モデルを使用して、走査で印刷されるパターンにデジタル補正が適用される。
【0008】
[0008]別の実施形態では、多重撮像ユニットDLTの撮像ユニットのセットのためのモデルを作成する方法が開示される。基板は、基板のアライメントマークのセットが多重撮像ユニットDLTの眼のセットの下に配置されるように位置づけされる。セット内の各アライメントマークに対して、その上の眼に結合されたカメラを用いて、アライメントマークの画像が取得され、アライメントマークの測定位置を決定するために、カメラの視野(FOV)内のアライメントマークの位置が得られ、アライメントマークの測定位置とアライメントマークの公称位置との間の差が計算される。その差に少なくとも部分的に基づいてアライメントマークの公称位置をその測定位置に変換するために、最適化されたアライメントモデルが作成される。
【0009】
[0009]別の実施形態では、システムは、プロセッサと、メモリとを含む。メモリは、履歴データに基づいて、多重撮像ユニットDLTの眼に対する眼の中心のばらつきの予測を出力するための工程を実行するように構成されたアプリケーションプログラムを含む。この工程は、最も直近に印刷されたN枚のプレートにおける、眼に対する眼の中心のばらつきの履歴データを得ることと、DLTの予測モデルに、眼の中心のばらつきの履歴データを入力することと、モデルの出力として、眼の補正予測値を受信することと、眼の補正予測値を、DLTの現在印刷中のプレートにおける眼の印刷領域に適用することとを含む。
【0010】
[0010]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は例示的な実施形態を単に示すものであり、したがって、その範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書に開示される実施形態に係る、多重撮像ユニットを有する例示的なDLTを示す図である。
図2】本明細書に開示される実施形態に係る印刷実行の開始における図1の例示的なDLTを示す図である。
図3図1及び図2の例示的なDLTにおける眼のドリフト及びブリッジのドリフトの影響を示す図である。
図4】本明細書に開示される実施形態に係る、印刷領域ごとに4つのアライメントマークが使用される例示的な多重撮像ユニットDLTを示す図である。
図5】本明細書に開示される実施形態に係る、9つの眼を有する例示的なDLTを示す図である。
図6】本明細書に開示される実施形態に係る、履歴データに基づいて多重撮像ユニットDLTの眼に対する眼の中心のばらつきを予測するために使用される例示的なモデルトレーニングデータのセット及び例示的なスライディング予測ウィンドウを示す図である。
図7】本明細書で開示される実施形態に係る、図5でラベル付けされた2つの例示的な眼の実際の眼の中心のばらつき及び予測された眼の中心のばらつきのプロットを示す図である。
図8】本明細書に開示される実施形態に係る、第1の層の印刷のための例示的な機械学習ベースの補正におけるアライメントマークの配置を示す図である。
図9】本明細書に開示される実施形態に係る、グローバルアライメントモデルを生成する方法の一実施形態を示す図である。
図10A】本明細書に開示される実施形態に係る、グローバルアライメントモデルの残差データを収集し、現在印刷中のプレートの眼の印刷領域における補正を予測するためにモデルをトレーニングする方法の一実施形態を示す図である。
図10B】本明細書に開示される実施形態に係る、DLTによって印刷された最後のK枚のプレートからのアライメントの履歴残差データを入力し、DLTの眼の補正予測値を得て、現在のプレートを印刷するときに補正予測値を適用する方法の一実施形態を示す図である。
図11】本明細書に開示される実施形態に係る、多重撮像ユニットDLT内の眼の中心の移動を補正するためのモデルを作成し適用するための機械学習及び予測システムのハイレベルブロック図の一実施形態を示す図である。
【0012】
[0023]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0024]以下の説明では、この実施形態のより完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が示されている。しかしながら、当業者には明らかなように、異なる構成を用いた様々な変更を、本資料の範囲から逸脱することなく行うことができる。他の例では、この資料が不明瞭になるのを避けるために、よく知られた特徴は説明されていない。したがって、本開示は、本明細書に示される特定の例示的な実施形態に限定されるとはみなされず、そのような代替実施形態は全て、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0014】
[0025]図1は、例示的な多重撮像ユニットDLT100におけるデジタルアライメントを示す図である。システム100は、光源(図示せず)を用いて基板103上にリソグラフィパターンを印刷するために使用される多重撮像ユニット115(「眼」と呼ばれる)を有する。図1において基板103を斜線で示し、眼115の基板103より上の部分を透明で示している。DLT100では、多重撮像ユニット115が固定され、基板103は、二次元矢印150で示すように、基板103を垂直及び水平に移動させてパターンを印刷する可動ステージ140に配置及び貼付される。
【0015】
[0026]図1を引き続き参照すると、眼115は、2つの垂直バー(ブリッジとして知られる)110及び113のそれぞれに取り付けられている。この例示的なDLTでは、各ブリッジには4つの眼が設けられている。ブリッジ110及び113は、基板103の上に取り付けられ、8つの眼の各々は、下の基板上に眼の印刷領域130を画定する。眼115が基板103に対して適切に位置合わせされるようにするために、基板103には、各印刷領域130に2つのアライメントマーク120、121が設けられている。これらは、各印刷領域130の左側にアライメントマーク120として示されており、各印刷領域130の右側にアライメントマーク121が示されている。図示したように、ブリッジ110及び113の図示した位置において、アライメントマーク120は、それぞれブリッジ110及び113の眼115の下にある。
【0016】
[0027]アライメントマーク120、121は、基板103が取り付けられているステージ140の座標系における位置が既知である。したがって、眼115を用いてアライメントマーク120及び121の画像を取得し、取得した画像内のそれらの位置を決定することにより、DLT100の眼115の位置が、ステージ140の座標系に対して特定される。このようにして、眼の位置がステージに対して校正され、また、互いに対しても校正される。しかしながら、上述したように、時間の経過とともに、例えば部品のドリフト等の熱条件及び/又は機械的変化によると考えられるものにおいて、各ブリッジ上の眼の位置が、時間的に変化していることが観察される。実施形態では、眼の位置のこれらの変化が追跡され、デジタル的に補われる。これを行うために、図1に示すように、アライメントマーク120が眼115の下に位置づけされるように設計されたマーク位置まで、ステージ140が移動する。眼115は、結合されたカメラを用いて、それらの下に配置されたアライメントマークをそれぞれ撮影する。このプロセスは、アライメントマーク121に対して繰り返される。
【0017】
[0028]幾つかの実施形態では、アライメント時間を最小限に抑えるために、眼ごとのアライメントマークの数が2つのマークに制限される場合、全てのマークが2つのステップで取り込まれ得ることが留意される。例えば、図1を引き続き参照すると、第1のステップにおいて、マーク120(ブリッジ110及び113の各々について)がそれぞれ全て並行して取り込まれ得る。次に、第2のステップにおいて、マーク121が全て取り込まれ得る。このように、眼ごとのアライメントマークが更に追加されると、アライメントステップも更に追加され、そのたびにステージの移動が発生し、更に時間が費やされる。
【0018】
[0029]図2は、本明細書に開示される実施形態に係る印刷実行の開始における図1の例示的なDLTを示す図である。図1図2の唯一の違いは、基板103に対する眼115の位置であり、図2では、印刷実行を開始するように配置されており、したがって、眼115は、それぞれの印刷領域130の左上に位置づけされている。一実施形態では、矢印150を参照して、眼115から基板103の印刷領域130上に印刷するとき、ステージ140は、眼がその印刷領域130の右端に来るまで、「走査」と呼ばれる水平方向に右の方へ移動する。その時点でステージ140は停止し、「ステップ」として知られる垂直方向の増分距離だけ下方に移動し、その後、眼115がその印刷領域130の左端に再び配置されるまで、別の走査で水平方向に左の方へ戻る。パターンは、この走査とステップの蛇行運動を介して印刷される。ステージ140の運動は、いかなるアライメント補正にも関係なく、固定されている。一実施形態では、ミスアライメントに対する補正はデジタル的に行われ、各印刷実行の開始前に、グローバルデジタル補正が、以下に詳細に説明するように生成されるグローバルアライメントモデルに基づいて、印刷されるパターンに適用される。一実施形態では、追加の眼特有の線形位置補正又は他の局所デジタル補正が、走査時にも適用される。
【0019】
[0030]ここで、図1及び図2の例示的なDLT100、並びに図3図4図6及び図8のそれぞれに図示した例示的なデジタルリソグラフィツールにおいて、図示したような眼、ブリッジ、アライメントマーク及び眼の印刷領域構成は、単なる例示のためのものであることに留意されたい。したがって、様々な実施形態に係る他の例示的なデジタル撮像システムは、例えば、より多い又は少ない数の眼、より多い又は少ない数のブリッジ、より多い又は少ない数のアライメントマーク、ブリッジ上の眼の間の異なるピッチ、及び複数のブリッジ間の異なる間隔を含み得る。
【0020】
[0031]図3は、図1及び図2の例示的なDLT100上の眼及びブリッジ位置のドリフトの影響を示す図である。図3において、例示的なDLT100は、ブリッジ113の回転、及び位置315への眼115のドリフトが発生した後の、図2のDLT100と同じものである。これらの位置変化は、DLTが基板上に多数のプレートを連続的に印刷するために使用される際に経時的に発生し得る熱条件及び/又は機械的変化の影響を示すものである。図3に示す位置変化の結果として、図1及び図2のDLT100ではブリッジ110及び113が互いに平行であるが、図3の例ではブリッジ113が反時計方向に回転しており、ブリッジ110に対してもはや平行でなくなっている。その結果、ブリッジ113の全ての眼325の実際の位置が変化している。前述のように、ブリッジ110の底部の眼は、破線で示すその元の位置115から、太線の輪郭で示すその現在の実際の位置315まで、上方かつ右側にドリフトしている。
【0021】
[0032]DLT100では、ブリッジとそれらのそれぞれの眼は、位置が変わっていない基板103の上に取り付けられている。しかしながら、所定の眼の基板103上の印刷領域はその眼の位置によって画定されるため、破線の輪郭で示す元の印刷領域130はもはや正確ではなく、実際の印刷領域は、ブリッジ113上の眼については330、335、及び337として、ブリッジ110の底部の眼については327として、太線の輪郭で示されたものである。ブリッジ110の上3つの眼については、それらの位置がドリフトしていないため、元の印刷領域131及び133は影響を受けていない。しかし、ブリッジ110の底部の眼が新たな位置315へ上方に眼の中心がドリフトしているため、関連する印刷領域327が同じ量だけ上方及び右方に移動し、今や印刷領域133の底部と重なり、また、印刷領域335の左下隅及び印刷領域337の左側と重なっている。更に、印刷領域327の底部には間隙ができている。
【0022】
[0033]ブリッジ113の眼325によって画定される印刷領域が、上2つの印刷領域330と下2つの印刷領域335、337になったため、パターン配置誤差だけでなく眼の印刷境界のスティッチング誤差の両方が発生している。新たな印刷領域330はそれらの元の位置(元の印刷領域130で示される)よりも左側に変位しているので、ブリッジ110の上2つの印刷領域、すなわち印刷領域325と重なるようになり、スティッチング誤差が起きる。同様に、ブリッジ113の底部印刷領域335は、今やその元の位置の右側に変位しており、その左端のエッジと印刷領域133の右端のエッジとの間に間隙ができる原因となる。印刷領域327及び337の両方が右側に移動しているが、印刷領域327はわずかにより右側に移動しており、したがって、ブリッジ313の印刷領域337と重なる。
【0023】
[0034]一般にDLTでは、時間の経過とともに眼が水平、垂直、回転移動し得る。これは、上述したように、熱的及び機械的影響への応答によるものと考えられている。実施形態では、次に図4を参照して説明するグローバルアライメントモデルを作成することによって、DLTの全ての眼にわたる眼の中心のドリフト及びブリッジ位置のドリフトの集合効果が、デジタル補正される。
【0024】
[0035]図4は、本明細書に開示の実施形態に係る、印刷領域430ごとに4つのアライメントマークが使用され、印刷領域の左側に2つのアライメントマーク420、及び印刷領域の右側に追加の2つのアライメント421がある、例示的な多重撮像ユニットDLT400を示す図である。図4の例示的なDLTは、2つのブリッジ410及び413を有し、各ブリッジ上に4つの眼415が設けられる。したがって、図4の例示的なDLTは、眼ごとに2つの追加のアライメントマークを使用することを除き、図1及び図2の例示的なDLTと本質的に同一である。実施形態では、眼ごとに2つを超えるアライメントマークを使用することにより、2次元のデータ点が各眼について取得されるため、眼の中心のドリフト及びブリッジ位置のドリフトをより正確に取り込むことが可能になる。幾つかの実施形態では、グローバルアライメントモデルを生成するために、眼ごとに少なくとも2つのアライメントマークが画定される。
【0025】
[0036]幾つかの実施形態では、眼ごとに少なくとも2つのアライメントマークからのアライメントマークデータを使用して、アライメントモデリングの残差が、各眼の中心の移動を推定するために使用される。この移動は、次に、DLTの各眼に対する補正として適用される。一実施形態では、グローバル線形アライメントモデルは、以下のように生成され得る。アライメントマークのセットがDLTの眼の下に来るように、DLTのステージを移動させる。例えば、図4を参照すると、ステージ440は、アライメントマーク420がブリッジ410及び413の各々の眼415の下にあるように移動される。各眼は、カメラに結合され、又はカメラを含み、このカメラは、眼の下のアライメントマークの画像を取得するのに使用される。幾つかの実施形態では、カメラのFOV内のアライメントマークの位置を得て、その公称位置からのアライメントマークの偏差を計算するために、1又は複数の画像処理アルゴリズムが使用される。ステージは、例えば、アライメントマーク421がブリッジ410及び413上の眼415によってそれぞれ取り込まれるように、ステージ440を図4において左に移動させることによって、残りの全てのアライメントマークを眼の下に配置してそれぞれの画像を取得するように、必要に応じて追加的に移動される。
【0026】
[0037]幾つかの実施形態では、公称アライメントマーク位置を実際のアライメントマーク位置に変換するグローバル線形アライメントモデルが生成され得る。グローバルモデルは、x及びyの両方にシフト、スケール、及び回転の項を含む。グローバルアライメントモデルを計算するために、実際のマーク位置とモデル予測位置との間の全体的な平均二乗根(RMS)誤差を計算するメリット関数が形成される。最適化アルゴリズムは、メリット関数を最小化するx及びyシフト、x及びyスケール、x及びy回転パラメータのグローバルセットを探索する。モデルは、メモリに保存され、現在のプレートを印刷する前に補正を適用するために使用され得る。実施形態では、このプロセスは、パイロットランと量産印刷ランの両方に対して実行され得る。
【0027】
[0038]更に、幾つかの実施形態では、図6及び図7に関連して後述するように、履歴残差データを使用して、上述した線形アライメント補正に対する追加補正を作成し得る、より局所的な眼又はブリッジのドリフトを補い得る、又はその両方を行うことができる。眼の印刷領域ごとに2つを超えるアライメントマークの位置が取得される場合、同様の方法を使用して、いずれかの機構(複数可)によって引き起こされるいかなる局所ドリフトも補うことができることに留意されたい。
【0028】
[0039]プレート間のグローバル線形ばらつきは、上述したように、グローバル線形アライメントモデルによって取り込まれ、補われ得る。
【0029】
[0040]幾つかの実施形態では、オーバーレイ補正フィードバックが、プロセス関連の位置誤差を補うため、又はアライメントとオーバーレイとの差を補うために、パイロットランの点別平均に基づいて適用され得る。実施形態では、この補正フィードバックは、リソグラフィ印刷及び開発プロセスが完了した後に、計測ツール上のオーバーレイ測定に基づいて実行され得る。
【0030】
[0041]一実施形態では、例えば図4に示すように、眼ごとに4つのアライメントマークを用いることで、眼ごとの履歴に基づく線形予測モデルが作成され得る。このモデルは、各眼に対して適用されるべき追加のスケール、回転、及び直交性補正を予測することができる。
【0031】
[0042]次に、従来の位置補正アプローチよりも優れた、本明細書に開示の実施形態に係るデジタル位置補正が有する幾つかの利点を説明する。最初に、マスクベースの従来のリソグラフィでは、オーバーレイは、ウエハ(又はガラスプレート)とマスクアライメントマークとを機械的に位置合わせすることによって行われることに留意されたい。これには、撮像ユニットを機械的に移動させる必要があり、静的な補正を要する。これに対し、マスクレスリソグラフィシステムにおけるデジタル補正は、いかなる機械的なアライメントも必要としない。また、撮像ユニットを移動させないため、予測されるばらつきに基づいて動的な補正を走査ごとに適用することが可能である。また、デジタル位置補正は、撮像ユニットの構成に依存しないため、より高次の補正を適用することが可能である。
【0032】
[0043]図5は、眼ごとに2つのアライメントマークが画定された、例示的な9眼DLT500を示す図である。この例示的なシステムは、ブリッジ510を含む。各ブリッジの端にある2つの眼は、眼66 515及び眼82 517としてラベルづけされている。これらは、後述する図7の眼の中心のばらつきのプロットに提示される例示の結果を追跡するためにそのようにラベル付けされ、眼が偶数を使用して下から上にラベル付けされる番号付けスキームを反映する。したがって、この例示的なDLTでは、眼66から始まって、中間の目を眼68、眼70、眼72、眼74、眼76、眼78、眼80と指定する。各眼は、例えば525に図示した印刷領域を画定し、各印刷領域内には、基板上に2つのアライメントマークが設けられている。図1及び図4の例示的なシステムに関して上述した方法で、図5の例示的なDLTの工程からデータが収集され、グローバル線形アライメントモデルが計算され得る。更に、この同じ例示的なシステムにおいて、次に図6を参照して説明するように、機械学習モデルが生成され得、このモデルは、予測ウィンドウ内の所定の眼についての履歴データ(先行する印刷プレートから)を入力として取り込み、現在印刷中のプレートについての眼の中心のばらつきの予測値を出力する。これについては、次に説明する。
【0033】
[0044]実施形態では、異なる種類の機械学習(ML)ベースのモデルが使用され得る。例えば、過去の統計的予測モデルは、眼の中心の移動を予測するために眼単位で、又は例えば、局所補正を予測するためにアライメントマーク単位で、使用され得る。あるいは、例えば、統計的機械学習モデルは、それぞれ個別のセンサに加えて、各センサ間の相互作用(ここではマーク位置)を考慮し、必要な局所補正を予測する。モデルは、モデルの入力が予測ウィンドウ内の部分的なデータセットである大規模なデータセットを使用して、トレーニングされる。
【0034】
[0045]図6は、本明細書に開示の実施形態に係る、多重撮像ユニットDLTの眼のセットに対して眼の中心のばらつきを予測するモデルをトレーニングするために使用される、例示的な過去のモデルトレーニングデータ620及び例示的なスライディング予測ウィンドウ610、640のセットを示す図である。図6に示す例示的なデータは、図5に示す例示的なDLTと同様に、9眼DLTから取得されたものである。したがって、9つの眼のそれぞれに対する別々のプロットが図6に示され、各眼のプロットは異なる記号を使用している。図5の眼66及び眼82に類似するブリッジの両端の眼は、このトレーニングデータセットにおいて最大の平均残差分散を示し、図6においてそれぞれ眼630及び635としてラベル付けされている。
【0035】
[0046]一実施形態では、次に説明するように、眼の中心のドリフトを予測する予測モデルが生成され、トレーニングされ得る。最初に、オーバーレイ誤差データだけでなく、アライメントモデルの残差データ620が、DLT内の全ての眼に対して収集され得る。上述したように、また図10Aのブロック1025に関連して後述するように、オーバーレイ誤差データは、各プレートに対して要求される補正ベクトルを含む。更に上述したように、モデルの残差データは、グローバルアライメントモデルから得た眼に対するグローバルアライメント予測と、眼の実際の位置との間の差である。この差は、所与の印刷又はプレートについて、その眼の「残差データ」として知られる。
【0036】
[0047]引き続き図6を参照すると、例示的な予測モデルに対して、予測ウィンドウが画定されている。予測ウィンドウは、現在のプレートに対する眼の中心のばらつきの予測に使用する、つまり適用すべき必要な補正の予測値に使用する、以前に印刷されたプレートの数Nを決定する。例えば、N=5の場合、直近の5枚のプレートが使用される。幾つかの実施形態では、予測ウィンドウは3から5の整数である。他の実施形態では、より長期的な影響がより大きい場合、Nはより大きくてよい。
【0037】
[0048]例示的な値がN=5の場合、予測ウィンドウ内の全てのモデルの残差データが「フィーチャーベクトル(特徴ベクトル)」Xとして使用され、i=N-5、N-4、N-3、N-2、及びN-1である。N枚目のプレート(例えば、図6の現在のプレート640)に対する必要な補正はYと定義され、XをYベクトルにマッピングするモデル関数gが決定される。したがって、1又は複数の実施形態では、各眼に対して別々のgが計算される。しかしながら、代替の実施形態では、平均又は共通の関数gが、全体として全ての眼に対して使用され得る。
【0038】
[0049]1又は複数の実施形態では、矢印613で示すように、予測ウィンドウ640を全てのデータを通して一度に一ステップずつスライドさせることによって、複数のX及びYのデータセットが得られる。DLT印刷プロセスの最初の数枚のプレートのように、まだ完全なN枚実行の履歴データがない場合、利用可能なデータが使用される。例えば、最初のプレートには現在のプレートのデータを使用し、第2のプレートには第1のプレートのデータと現在のプレートのデータを使用する、等である。
【0039】
[0050]1又は複数の実施形態では、一旦モデルパラメータ(例えば、関数gのパラメータ)がトレーニングされると、モデルは、DLTに記憶され、N枚の先行印刷におけるその眼の残差の中心のドリフトに基づいて、任意の眼に対して現在印刷中のプレートに適用すべき補正を予測するために使用される。実施形態では、モデルは、オフラインでトレーニングされ得、トレーニングデータは、DLTに記憶される必要はない。幾つかの実施形態では、パイロット印刷ランのアライメントデータは、テキストファイルでDLTメインサーバに記憶され、また、容易にアクセスできるようにメモリに記憶される。実施形態では、量産印刷において、予測ウィンドウのサイズによって定義されるような限られた数の履歴アライメントデータのみが記憶され得る。前述のように、幾つかの実施形態では、これは、3つから5つの履歴アライメントデータファイルである。幾つかの実施形態では、これらの履歴データファイルは、DLTメインサーバに記憶され、また、容易にアクセスできるようにメモリに保持され得る。ある実施形態では、先入れ先出し(FIFO)アプローチを使用して、サーバ上及びメモリ内にファイルを記憶させ、記憶する必要があるデータ量を最小限に抑えるようにする。
【0040】
[0051]1又は複数の実施形態では、予測モデルのためのデータの様々な組み合わせが実行され得る。例えば、1つの統計的予測の実施形態では、予測ウィンドウ内の全てのプレートを使用した眼ごとの平均を使用することができ、各プレートは等しい寄与を有する。或いは、例えば、第1の代替実施形態では、等しく重み付けされた平均の代わりに、重み付けされた平均が計算され得、例えば、より直近のプレートにおける眼の位置の残差に加えられる重みは、より過去のプレートに対する残差に加えられるものよりも重く重み付けされ得る。したがって、例えば、プレートN-1のデータは、プレートN-2よりも大きな重みを有する。一例では、指数関数的な重み付けが使用され得る。これら2つの実施形態(統計的予測及び加重統計的予測)の各々において、オーバーレイデータは使用されない。
【0041】
[0052]第2の代替実施形態では、MLモデルを用いた重み付け関数は、アライメントデータが記録され、全てのプレートについてオーバーレイが測定された以前のランを使用して決定される。上記実施形態では、各DLT及び/又は製造施設は、異なるMLモデルを有し得る。上記実施形態では、モデルは、より多くのアライメントデータ及びオーバーレイデータが得られるにつれて、経時的に改善され得、オーバーレイデータは、モデルをトレーニングするために使用され、また、モデルを改善するために継続的に収集され得る。
【0042】
[0053]実施形態では、グローバル線形モデルと、図6に関連して説明したようなMLモデルとが組み合わされ、各印刷に対する補正として適用される。補正はデジタル的に適用されるため(例えば、DLTの眼及びブリッジは移動しない)、2つの補正は数学的に組み合わされた組み合わせ補正であり得る。このような実施形態では、MLモデルは、グローバル線形アライメントモデルの残差に基づくので、グローバル線形モデルからの残余局所ばらつきをカバーし得る。例えば、このような実施形態では、グローバル線形モデルが生成され得る。次に、各マークに対するモデルフィッティングの残差が計算され得、上述のように、残差は、モデルの予測とアライメントマークの実測位置との間の差である。このような実施形態では、予測ウィンドウ内の残差データを使用することによって、追加の線形モデルを眼ごとに作成することができ、眼ごとのMLモデルスケール補正は、その眼に対する全体的なスケール補正を決定するためにグローバルアライメントスケール補正に追加され得る。このような実施形態では、同じ補正がシフト及び回転に対して行われ得る。(上述したように、グローバルアライメントモデルは、メリット関数を最小化するx及びyシフト、x及びyスケール、並びにx及びy回転パラメータのグローバルセットを求めることによって、全体的なRMS誤差を最小限に抑えるように最適化される)。
【0043】
[0054]図7は、図5及び図6で特定された2つの例示的な眼、眼66及び眼82についての予測データと実データとを比較したプロットである。これらの眼のそれぞれに対する予測は、図6に関連して上述したように、以前にトレーニングされたモデルを使用して生成され、図6に示すトレーニングデータと同様に、42の実際の印刷ランに対するデータを提示する。各眼の0回目の印刷実行は、最初のパイロットランを表し、したがって、4つのプロット730、731、740及び741は全てその印刷ランにおいてゼロ値を有し、それは、その後の眼の中心のばらつきが測定されるベンチマークである。一実施形態では、モデルはDLTに記憶され、予め定義された数の直近の先行走査に対する実際の眼の中心のばらつきの入力データに基づいて、現在印刷中のプレート720についての予測を生成するために使用される。一実施形態では、予測された眼の中心のばらつきが、その眼によって印刷されているパターンをデジタル補正するために使用される。
【0044】
[0055]図7の例では、長さN=4の予測ウィンドウ705が使用され、したがって、図示した2つの眼のそれぞれについて、モデルへの入力は、印刷実行N-1、N-2、N-3及びN-4の実際の眼の中心のばらつきであり、Nは現在印刷中のプレートである。図示したように、眼66 713において、予測された眼の中心のばらつき730のプロットは、印刷番号1~15の実際の眼の中心のばらつき731よりわずかに小さく、印刷ラン16~20の実際の眼の中心のばらつきとほぼ一致し、次に印刷ラン21~42のほぼ平均値である。眼82 715の場合は実際のプロット741のほぼ平均値である予測プロット740の部分が印刷番号20で始まることを除き、同様の結果が、眼82 715の予測プロット740及び実際の眼の中心のばらつきのプロット741において見られる。
【0045】
[0056]図7の例では、単純な等加重移動平均モデルが使用された。他の実施形態では、例えば、加重平均等の他の形態の移動平均モデルが適用され得る。図7のプロット730及び731、並びに740及び741を参照すると、予測モデルとして単純な移動平均が使用されたため、予測プロットの以下の挙動が観察される。最初は、実際の分散が増加しているため、予測された眼の中心分散730、740は実際の眼の中心分散731、741より遅れている。印刷番号20に変曲点があり、そこでは眼の中心分散の増加が止まり、減少し始め、その後、平均して横ばいになっている。予測モデルは移動平均であるため、図示したように、2つの連続した印刷間の変化は平滑化される。
【0046】
[0057]次に、図8を参照して、一実施形態による、第1の層の印刷のための学習ベースの補正方法について説明する。図8の方法は、基板上にアライメントマークが設けられていない第1の印刷層の問題に対処するものである。このため、実施形態では、ステージ、又はステージに結合されたチャック等、DLTの固定部分に永久アライメントマークが配置され得る。眼は、これらの「非基板」アライメントマークの上に配置され、それらの画像は、眼に結合されたカメラによって取得され、眼のドリフトの予測モデルが作成される。
【0047】
[0058]図8は、ブリッジ810及び820を有する例示的なDLT800を示す図である。DLT800は、2つのブリッジのそれぞれに9つの眼を有する18眼システムである。したがって、ブリッジ810及び820には、それぞれ、眼811及び821が設けられている。基板830は、各眼の印刷領域、合計18個の印刷領域を示す。これは第1の層の印刷であるため、基板830のガラスプレートにアライメントマークはない。眼の中心のばらつきを追跡するために、アライメントマークはチャックに設けられる、又はステージ840に取り付けられる。これらは、基板830の上部におけるアライメントマーク827のライン、基板830の底部にある第2のアライメントマーク829のライン、及びその左エッジにおける基板830に隣接するアライメントマーク825のラインに図示されている。
【0048】
[0059]一実施形態では、例えばブリッジ間のばらつきを取り込むこと、及び/又は眼の間のブリッジ間ばらつきを取り込むこと(例えば、上述の図3に示したものと同様)を含み得る眼の中心のばらつきを予測するために、ステージ840が、全体として、各眼811、821の下に永久アライメントマークが配置されるように何度も移動される。第1のステップとして、ステージ840は、眼821によってアライメントマーク825を取り込むように移動される。第2のステップとして、ステージ840は、眼811によってアライメントマーク825を取り込むように移動される。こうすれば、各眼は少なくとも1つのアライメントマークの画像を取り込み、画像処理は、カメラFOV内のアライメントマークの位置を得るため、及び第1の層のパイロット印刷が実行される前に各眼によるアライメントマークの第1の測定位置をそれらから決定するために使用され得る。一実施形態では、パイロット印刷は、いかなる補正もなしで実行される。一実施形態では、全ての眼の第1のアライメントマーク位置のセットは、基準マーク位置として指定され得る。1又は複数の実施形態では、トータルピッチ仕様を満たす必要がある場合、上記最初のパイロットラン印刷は、トータルピッチ計測ツールで測定され得る。上記実施形態では、上記測定に基づいて、デジタルトータルピッチ補正が適用され得る。「トータルピッチ」は、時として、所定のディスプレイ製造業で採用されている歪みの尺度を指す場合があることに留意されたい。
【0049】
[0060]1又は複数の実施形態では、各第1の層の印刷前に、上述したパイロットランと同様に、マーク位置求解プロセス全体が繰り返され得る。上記実施形態では、アライメントマーク位置のパイロットランに対するドリフトを計算するために、パイロットランで測定されたアライメントマーク位置が各眼の現在のアライメントマーク位置からそれぞれ減算され得る。上記実施形態では、これらの相対ドリフトを使用して、各眼の中心の移動が推定され得る。次に、この移動が、その印刷のためのDLT800の各眼に対する補正としてそれぞれ適用され得る。トータルピッチ補正(例えば、グローバルアライメント予測)がパイロットランから決定される場合、その補正も適用され得る。このように、眼の中心にドリフトがあっても、全てのプレートが同じように印刷される。
【0050】
[0061]更に、1又は複数の実施形態では、予測モデルは、履歴ドリフトデータを使用して作成され、その後、DLTに記憶され得る。予測モデルを使用して、現在印刷中の第1の層に補正が適用され得る。一実施形態では、過去の統計的予測モデルを眼単位で使用して、量産中の各プレートの眼の中心の移動が予測され得る。1又は複数の実施形態では、予測モデルは、現在のプレートに適用される予測ウィンドウ内のドリフトを平均化又は加重平均化し得る。あるいは、他の実施形態では、機械学習モデルを使用して、アライメントドリフトの履歴データ及び対応するトータルピッチ測定値を使用してモデルがトレーニングされる重み付けスキームが定義され得る。
【0051】
[0062]1又は複数の実施形態では、マーク測定の頻度は、ドリフト遷移の挙動に基づいて決定され得る。これは、1又は複数の実施形態において、量産におけるタクトタイムを改善するために実施され得る。したがって、例えば、ドリフトの変化が速い場合、より頻繁なマーク測定が必要となる。同様に、上記実施形態では、ドリフトが遅い場合、各プレートの印刷前にマーク位置を測定する代わりに、Nを整数とするN枚目のプレートごとに測定が実行され得る。上記実施形態では、次のマーク測定のセットまで、計算された補正が適用され得る。したがって、上記実施形態では、マーク位置の測定がない全てのプレートに対して、以前に計算された補正が適用される。例えば、プレートN+1、N+2、...、2N-1はそれぞれ、プレートNからの補正を使用する。
【0052】
[0063]図9は、本明細書に開示される実施形態に係る、グローバル線形アライメントモデルを生成する方法900の一実施形態を示す図である。図示した方法の実施形態は、ブロック910から970を含む。他の実施形態では、方法900は、より多くの、又はより少ないブロックを有し得る。
【0053】
[0064]ブロック910において、基板が、基板上に設けられたアライメントマークのセットが多重撮像ユニットDLTの眼のセットの下に配置されるように、DLTのステージによって位置づけされる。実施形態では、基板は、基板が取り付けられているステージを移動させることによって位置づけされる。この例は、図1に示されており、アライメントマーク120がブリッジ110及び113の各眼115の下に配置されるように、ステージ140が移動している。ブロック920において、セット内の各アライメントマークに対して、アライメントマークの画像が、アライメントマークの上にあるDLTの眼のカメラで取得される。例えば、カメラは、眼に統合されていてよい、又は、例えば、眼に結合されていてよい。ブロック930において、セット内の各アライメントマークに対して、カメラの視野(FOV)内のアライメントマークの位置が得られる。実施形態では、位置は、アライメントマークの測定位置を決定するために、DLTのプロセッサ又はコントローラによって実行される相関又はエッジ検出等の画像処理、又は両方を組み合わせたハイブリッド法を介して得られる。実施形態では、アライメントマークの測定位置は、ステージの座標系で表される、又は、例えば、基板の座標系等のステージの座標系に容易に変換可能なものである。
【0054】
[0065]クエリブロック940において、眼のセットの各眼の印刷領域に追加のアライメントマークがあるかどうかが決定される。これは、例えば、印刷されている基板上に設けられたアライメントマークの数、並びにどのアライメントマークが既に画像化されたか及びその数を追跡するDLTのプロセッサ又はコントローラによって実行され得る。幾つかの実施形態では、上述のように、各眼に対して少なくとも2つのアライメントマークが画定されていることが好ましいため、クエリブロック940は「はい(Yes)」を返すことになる。例えば、図1に示すように、各印刷領域130は2つのアライメントマーク120及び121を有し、又は、例えば、図4に示すように、各印刷領域430は4つのアライメントマークを有し、又は、例えば、図5に示すように、各印刷領域525は2つのアライメントマークを有している。クエリブロック940が「はい(Yes)」を返した場合、方法はブロック910に移り、ブロック910から930がアライメントマークの別のセットに対して繰り返され、このプロセスは、基板上の全てのアライメントマークの画像が取得されてそれらの測定位置が決定されるまで継続する。
【0055】
[0066]クエリブロック940が「いいえ(No)」を返した場合、ブロック950において、画像化された各アライメントマークに対して、その測定位置とその公称位置との差が計算される。例えば、公称位置と測定位置が共にステージの2次元座標で表される場合、DLTのプロセッサによって距離関数を用いた計算を使用して、その差が決定され得る。ブロック960において、画像化された全てのアライメントマークにおける差に少なくとも部分的に基づいて、アライメントマークの公称位置をそれらの測定位置に変換するために、グローバルアライメントモデルが作成される。例えば、グローバルアライメントモデルは、図11の機械学習、モデリング及び予測モジュール112等の機械学習及び予測モジュール又はプログラムを実行しているDLTのプロセッサによって作成され得る。ブロック970において、基板の走査を実行する前に、走査で印刷されるパターンのセットに対するグローバルデジタル補正が、グローバルアライメントモデルに基づいて適用される。
【0056】
[0067]幾つかの実施形態では、上述したように、グローバルアライメントモデルは、x及びyの両方にシフト、スケール、及び回転の項を含み、x及びyはDLTの基板の寸法である。上記実施形態では、グローバルアライメントモデルを計算するために、実際のマーク位置とモデル予測位置との間の全体的な平均二乗根(RMS)誤差を計算するメリット関数が形成され得、メリット関数を最小化するx及びyシフト、x及びyスケール、並びにx及びy回転パラメータのグローバルセットを探索する最適化アルゴリズムが適用され得る。上記実施形態では、グローバルアライメントモデルはメモリに保存され、現在のプレートを印刷する前に補正を適用するために使用され得る。上記実施形態では、このプロセスは、パイロットランと量産印刷ランの両方において実行され得る。
【0057】
[0068]図10Aは、本明細書に開示される実施形態に係る、グローバルアライメントモデルの残差データを収集し、それを使用して予測モデルをトレーニングして現在のプレートの眼の印刷領域の補正を予測する方法1000Aの一実施形態を示す図である。図示した本方法の実施形態は、ブロック1010から1040を含む。他の実施形態では、方法1000Aは、より多くの、又はより少ない、ブロックを有し得る。
【0058】
[0069]ブロック1010において、多重撮像ユニットDLTの眼のセットに対するアライメントモデルの残差データが収集される。例えば、図6の9眼DLTのためのデータ620である。ブロック1015において、サイズKの予測ウィンドウが定義され、Kは整数である。幾つかの実施形態では、Kは3から5である。他の実施形態では、Kは5より大きい。ブロック1020において、予測ウィンドウのKプリント内の全てのモデルの残差データは、フィーチャーベクトルXiとして定義され、iは1からKまでの整数のシーケンスである。例えば、所定の眼について、サイズK=5の予測ウィンドウに対する現在印刷中のプレートNにおけるフィーチャーベクトルは、プレート(N-5)、(N-4)、(N-3)、(N-2)及び(N-1)におけるその眼に対する残差データ(例えば、予測ウィンドウ内のその眼に対するほぼ水平プロットからデータ)を含んでいる。
【0059】
[0070]ブロック1025において、N枚目のプレートに対する必要な補正がベクトルYiとして定義され、フィーチャーベクトルXiを補正ベクトルYiにマッピングするモデル関数gが求められる。実施形態において、補正ベクトルYiは、眼の公称位置と実際の位置との間の水平距離及び垂直距離を表すために、2つの次元を含み得る。ブロック1030において、予測ウィンドウは、複数のX(入力)及びY(出力)データセットを作成するために、一度に1プレートずつトレーニングデータを通して前進し、ブロック1035において、そのように作成された全てのX及びYデータセットにおいてモデルがトレーニングされ、これにより、各Xフィーチャーベクトルが対応するY補正ベクトルにマッピングされる。その後モデルは、DLTのメモリに保存される。
【0060】
[0071]図6を参照して上述したように、一実施形態では、ブロック1010から1035における工程は、一度学習されれば、機械学習モデル及びトレーニングデバイスのプロセッサによってオフラインで実行され得、モデルを使用するDLTによって実行される必要はない。ブロック1010から1035の工程がオフラインで実行される場合、ブロック1035において、モデルは、それが使用可能になるように、DLTのメモリに記憶され得る。他の実施形態では、モデルは、ネットワーク接続されたデバイスにアクセス可能なネットワークストレージに記憶され得る。
【0061】
[0072]ブロック1040において、DLTによる現在のプレートの印刷中に、モデルを用いて、眼ごとに適用する補正が予測される。
【0062】
[0073]図10Bは、本明細書に開示される実施形態に係る、DLTによって印刷された最後のK枚のプレートからの履歴残差アライメントデータを入力し、デジタルリソグラフィシステムの眼に対する補正予測値を得て、現在のプレートを印刷するときに眼に補正予測値を適用する方法1000Bの一実施形態を示す図である。図示した本方法の実施形態は、ブロック1050から1065を含む。他の実施形態では、方法1000Bは、より多くの、又はより少ないブロックを有し得る。
【0063】
[0074]ブロック1050において、多重撮像ユニットDLTの眼に対し、最後のN枚の先行するプレートにおける眼の中心のばらつきの履歴データが得られる。例えば、DLTが20枚目のプレートを印刷している場合、このデータは、以前に印刷された19枚目から15枚目のプレートに対する眼の中心のばらつきデータを含む。一実施形態では、このデータは、図11のFIFOバッファ1109等のDLTのメモリのバッファに記憶され、バッファから、例えば図11の機械学習、モデリング及び予測モジュール1112等の、DLTのプロセッサの予測モジュールにロードされる。
【0064】
[0075]ブロック1055において、得られた眼の中心のばらつきの履歴データが予測モデルに入力され、予測モデルは、例えば図6のデータ620等のDLTのアライメントモデルの残差データでトレーニングされたものである。予測モデルは、例えば、上述した図10Aの方法1000Aのブロック1035において、DLTのメモリに保存されたモデルである。一実施形態では、モデルは、例えば、図11の機械学習、モデリング及び予測モジュール1112等のDLTのプロセッサの予測モジュールに保存される。他の実施形態では、モデルは、DLTを含むネットワーク接続デバイスにアクセス可能なネットワークストレージに記憶される。
【0065】
[0076]ブロック1060において、現在のプレートを印刷するときに適用される、眼に対する補正予測値が、予測モデルの出力として受信され、ブロック1065において、受信した補正が、現在印刷中のプレートのシステムの印刷領域で印刷されるパターンにデジタル適用される。
【0066】
[0077]図11は、本明細書に開示される実施形態に係る、多重撮像ユニットデジタルリソグラフィツール(DLT)における眼の中心の移動を補正するモデルを作成及び適用するための機械学習及び予測システム1100のハイレベルブロック図の一実施形態を示す図である。例えば、機械学習及び予測システム1100は、図9、10A及び10Bの方法を実行する際に使用するのに適している。機械学習及び予測システム1100は、プロセッサ1110だけでなく、制御プログラム等を記憶するためのメモリ1104を含む。
【0067】
[0078]様々な実施形態では、メモリ1104は、多重撮像ユニットDLTにおけるアライメントを補正するための、DLTの個々の眼に対して眼の中心の移動を予測するための、及び眼に対する上記予測された補正を現在印刷中のプレートの眼の印刷領域に印刷されるパターンに適用するための機械学習ベースのモデルを作成するプログラムも含む。幾つかの実施形態では、メモリ504は、眼に対して予測された補正を適用することの一部として、例えば、図1及び図2に示すようなステージ140、又は図4に示すようなステージ440等のステージの移動を制御するためのプログラム(図示せず)を含む。
【0068】
[0079]プロセッサ1110は、電源、クロック回路、キャッシュメモリ等の従来の支援回路1108、及びメモリ1104に記憶されたソフトウェアルーチン1106の実行を支援する回路と協働する。このように、ソフトウェアプロセスとして本明細書で説明したプロセスステップの一部は、ストレージデバイス(例えば、光学ドライブ、フロッピードライブ、ディスクドライブ等)からロードされ、メモリ1104内に実装されてプロセッサ1110によって操作され得ると考えられる。したがって、本開示の様々なステップ及び方法は、コンピュータ可読媒体に記憶され得る。機械学習及び予測システム1100はまた、機械学習及び予測システムと通信する様々な機能要素間のインターフェースを形成する入出力回路1102を含む。
【0069】
[0080]図11は、本開示に従って様々な制御機能を実行するようにプログラムされた機械学習、モデリング及び予測システム1100を示しているが、コンピュータという用語は、当技術分野でコンピュータと呼ばれる集積回路だけに限定されるものではなく、広くコンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ、特定用途向け集積回路及び他のプログラマブル回路を指し、これらの用語は本書で互換的に使用される。更に、1つの機械学習及び予測システム1100を示したが、その図示は簡潔にするためだけのものである。本明細書に記載の各方法は、ソフトウェアの変更により、別々のシステムで、又は同じシステムで利用できることが理解される。
【0070】
[0081]本明細書では、アライメントマークの実際の位置の測定誤差を減らすことによって層アライメントの精度を高めるための方法及びシステムを利用する態様を説明してきたが、これらの説明は、本明細書に記載の材料の範囲を限定することを決して意図するものではない。
【0071】
[0082]前述の内容は本発明の実施形態を対象としているが、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を考案することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11