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特許7330595シリコーン系コーティング組成物およびこれを含むシリコーン系離型フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】シリコーン系コーティング組成物およびこれを含むシリコーン系離型フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/08 20060101AFI20230815BHJP
   C09D 183/07 20060101ALI20230815BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20230815BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20230815BHJP
   C08K 3/10 20180101ALI20230815BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20230815BHJP
【FI】
C09D183/08
C09D183/07
C09D7/20
C08L83/08
C08K3/10
C08J7/04 Z CES
C08J7/04 CEZ
C08J7/04 CFD
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022520105
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 KR2021009317
(87)【国際公開番号】W WO2022019606
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0090770
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ヒョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジヒェ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ス・ソ
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-269430(JP,A)
【文献】特表2021-534311(JP,A)
【文献】特表2016-513160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08J 7/00-7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン系樹脂、シリコーン系架橋剤、および金属触媒を含み、
下記化学式2で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物をさらに含む、シリコーン系コーティング組成物:
【化1】
前記化学式のうち、
~R は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
~L は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリーレン、または置換もしくは非置換のヘテロアリーレンであり、
nは1~1000の整数であり、
mは10~1000の整数である。
【請求項2】
前記シリコーン系樹脂は、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(vinyl terminated polydimethylsiloxane)である、請求項1に記載のシリコーン系コーティング組成物。
【請求項3】
前記シリコーン系コーティング組成物は、液状組成物の形態である、請求項1に記載のシリコーン系コーティング組成物。
【請求項4】
有機溶媒;
シリコーン系樹脂;
シリコーン系架橋剤;
金属触媒;および
前記化学式2
【化2】
で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物を含む、請求項に記載のシリコーン系コーティング組成物。
【請求項5】
有機溶媒100重量部に対して、
シリコーン系樹脂5~30重量部;
シリコーン系架橋剤0.05~5重量部;
金属触媒0.5~10重量部;および
下記化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物0.1~50重量部を含む、請求項に記載のシリコーン系コーティング組成物。
【請求項6】
前記有機溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、およびアセトンのいずれか一つである、請求項またはに記載のシリコーン系コーティング組成物。
【請求項7】
基材層;および
請求項1に記載のシリコーン系コーティング組成物の硬化物であるコーティング層;を含む、
シリコーン系離型フィルム。
【請求項8】
前記コーティング層の表面エネルギーは、15mN/m~40mN/mである、請求項に記載のシリコーン系離型フィルム。
【請求項9】
前記コーティング層の厚さは、30nm~500nmである、請求項に記載のシリコーン系離型フィルム。
【請求項10】
前記基材層の厚さは、10μm~500μmである、請求項に記載のシリコーン系離型フィルム。
【請求項11】
前記基材層は、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、紙、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された一つを含む、請求項に記載のシリコーン系離型フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年07月22日付けで韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0090770号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【0002】
本明細書は、シリコーン系コーティング組成物およびこれを含むシリコーン系離型フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
フラットパネルディスプレイ(FPD)は、各種電子・電気機器の表示装置として多く用いられている。例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、表面電界ディスプレイ(SED)、電界放出型ディスプレイ(FED)などの表示装置や、これらを用いたタッチパネルが挙げられる。このようなディスプレイ表面の傷つき防止、汚れ防止、指紋付着防止、帯電防止、反射防止、防眩、のぞき見防止などの目的として各種フィルムが付着される。
【0004】
各種フィルムの中でも、シリコーン系離型フィルムは、シリコーン組成物を基材に薄膜でコーティングする形態で製造される。このようなシリコーン系離型フィルムの主な役割は、コーティング液が湿潤(Wetting)する特性と、離型性を示す特性が核心であるといえるが、このような二つの特性は、互いに衝突する概念であって、コーティング液に対する湿潤特性が改善されると、表面エネルギーの上昇に応じた剥離特性に影響を及ぼすという問題が発生するため、湿潤特性を改善しながらも剥離特性に影響がない、優れたシリコーン系離型フィルムの必要性が台頭している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録特許第10-0377243号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、尿素基が導入されたシリコーン系化合物を含むことで、コーティング層の湿潤特性を改善しながらも剥離特性に影響がない、優れたシリコーン系コーティング組成物を提供する。
【0007】
本発明は、前記シリコーン系コーティング組成物の硬化物であるコーティング層を含む、シリコーン系離型フィルムを提供する。
但し、本発明が解決しようとする課題は、上記で言及した課題に制限されず、言及していないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明らかに理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シリコーン系樹脂、シリコーン系架橋剤、および金属触媒を含み、下記化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物をさらに含む、シリコーン系コーティング組成物を提供する:
【化1】
前記化学式1のうち、
およびRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、アミノ基(NH)、またはL-OHであり、
は、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリーレン、または置換もしくは非置換のヘテロアリーレンであり、
は、イソシアネート基(-N=C=O)、アミノ基(NH)、置換もしくは非置換のアルキル基、または水酸基(OH)であり、
は、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリーレン、または置換もしくは非置換のヘテロアリーレンであり、
nは1~1000の整数である。
本発明は、基材層;および前記シリコーン系コーティング組成物の硬化物であるコーティング層;を含む、シリコーン系離型フィルムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシリコーン系コーティング組成物は、尿素基が導入されたシリコーン系化合物をさらに含むことで、改善されたコーティング層の湿潤特性を保有しながらも良好な剥離特性を維持することができるため、多様な分野で用いられるフィルムの製造に好適なシリコーン系離型フィルムを提供することができる。
【0010】
本発明に係るシリコーン系離型フィルムは、改善された湿潤特性および良好な剥離特性を保有することで、多様な分野で用いられるフィルムの製造に好適であるという利点がある。
【0011】
本発明の効果は、上述した効果に限定されず、言及していない効果は、本願明細書および添付図面から当業者に明らかに理解されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の理解を助けるためにさらに詳しく説明する。
本発明に係るシリコーン系コーティング組成物およびこれを含むシリコーン系離型フィルムについて以下に詳述するが、この際に用いられる技術用語および科学用語において、他の定義がなければ、この発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明において、本発明の要旨を不要に濁す恐れがある公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0013】
本明細書で用いられる用語を定義すれば下記のとおりである。
本願明細書の全体にわたって、ある部分がある構成要素を『含む』とする際、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0014】
本願明細書の全体にわたって、ある部材が他の部材の『上に』位置しているとする際、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
本願明細書の全体にわたって、『重量部』とは、各成分間の重量の比率を意味し得る。
本願明細書の全体にわたって、『一つ以上』とは、例えば、「1、2、3、4、または5、特に1、2、3、または4、より特に1、2、または3、さらに特に1または2」を意味する。
【0015】
本発明において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、およびZ平均分子量(Mz+1)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、gel permeation chromatography、Water社製)を用いて測定した標準ポリスチレンに対する換算数値である。しかし、前記重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、およびZ平均分子量(Mz+1)は、これに限定されず、本発明が属する技術分野で周知の他の方法により測定されてもよい。
【0016】
本願明細書の全体にわたって、コーティング層の離型剥離力は、コーティング層をTesa7475標準粘着テープに2kgの荷重で3回往復圧着して付着し、設定された温度(70℃)で、設定された時間(1日)の間保管した後、測定機器(Cheminstruments社/AR-1000)を用いて、180°の剥離角度、0.3m/minの剥離速度で測定した、コーティング層を剥離する平均的な力を意味し得る。この際、測定規準としては、Final Test Method No.10を適用することができる。
【0017】
本願明細書の全体にわたって、『置換もしくは非置換の』とは、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミノ基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;シクロアルコキシ基;アリールオキシ基;ヘテロシクリルオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;カルボシリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アルキニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルキルアミン基;アラルキルアミン基;ヘテロアリールアミン基;アリールアミン基;アリールホスフィン基;またはN、O、およびS原子のうち1個以上を含むヘテロアリールからなる群より選択された1個以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0018】
本願明細書の全体にわたって、『2以上の置換基が連結された置換基』とは、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0019】
本明細書において、用語『重水素』とは、最も一般的な同位元素の約2倍の質量、すなわち、約2原子質量単位の質量を有する水素の安定した同位元素を指す。
【0020】
本願明細書の全体にわたって、『ハロゲン基』とは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)原子を指す。
本明細書において、用語『シアノ基』または『ニトリル基』とは、-C≡N基を意味する。
本願明細書の全体にわたって、『イソシアネート基』とは、-N≡C=O基を意味する。
【0021】
本願明細書の全体にわたって、『ニトロ基』とは、-NO基を指す。
本願明細書の全体にわたって、『ヒドロキシ基』とは、-OH基を指す。
本願明細書の全体にわたって、『カルボニル基』とは、-C(=O)-で表される2価の有機ラジカルを意味する。具体的に、前記カルボニル基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~40であることが好ましい。具体的に、下記のような構造の化合物であってもよいが、これに限定されない。
【0022】
【化2】
【0023】
本願明細書の全体にわたって、『エステル基』とは、-C(=O)O基を指す。具体的に、前記エステル基は、エステル基の酸素が炭素数1~25の直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖のアルキル基、または炭素数6~25のアリール基で置換されていてもよい。具体的に、下記構造式の化合物であってもよいが、これに限定されない。
【0024】
【化3】
【0025】
本願明細書の全体にわたって、『エーテル』とは、-R-O-R’で表されるものを意味する。前記エーテルにおいて、RまたはR’は、それぞれ互いに独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり、これに限定されない。
【0026】
本願明細書の全体にわたって、『イミド基』とは、-C(O)NRC(O)R構造を意味する。具体的に、前記RおよびRは、それぞれ独立して、水素、または本明細書で定義されたような、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であってもよい。具体的に、前記イミド基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~25であることが好ましい。具体的に、下記のような構造の化合物であってもよいが、これに限定されない。
【0027】
【化4】
【0028】
本願明細書の全体にわたって、『アミノ基』とは、-NH基を指す。
本願明細書の全体にわたって、『ホスフィンオキシド基』とは、-P(=O)Rの構造を意味する。
【0029】
本願明細書の全体にわたって、『アルコキシ基』、『シクロアルコキシ基』、『アリールオキシ基』、および『ヘテロシクリルオキシ基』とは、酸素原子(-O-)を介して分子の残りに付着された、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロシクリルのいずれか一つを指す。
【0030】
本願明細書の全体にわたって、『アルキルチオキシ基』および『アリールチオキシ基』とは、硫黄原子(-S-)を介して分子の残りに付着された、前記アルキルまたはアリールのいずれか一つを指す。
【0031】
本願明細書の全体にわたって、『アルキルスルホキシ基』および『アリールスルホキシ基』とは、-SOを介して分子の残りに付着された、前記アルキルまたはアリールのいずれか一つを指す。
【0032】
本願明細書の全体にわたって、『カルボシリル基』とは、Si-C結合を含有する炭素、水素、およびケイ素を含む有機シリル基を意味する。具体的に、前記カルボシリルの炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~10であることが好ましく、シリル数は、特に限定されないが、シリル数1~10であることが好ましい。具体的に、前記カルボシリル基の例としては、メチルシリル(-SiMeH)、エチルシリル(-SiEtH)、ジエチルシリル(-SiEtH)、ジメチルシリル(-SiMeH)、トリエチルシリル(-SiEt)、トリメチルシリル(-SiMe)、1,2-ジメチルジシリル(-SiMeHSiMeH)、1,4-ジシラブチル(-SiHCHCHSiH)、ジメチルビニルシリル(-SiMeCH=CH)、フェニルシリル(-SiPhH)などが挙げられるが、これに限定されない。
【0033】
本願明細書の全体にわたって、『シリル基』とは、非置換のシリル基(-SiH)を意味する。
【0034】
具体的に、前記シリル基は、具体的に、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0035】
具体的に、前記ホウ素基は、具体的に、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0036】
本願明細書の全体にわたって、『アルキル基』とは、直鎖もしくは分岐鎖の飽和炭化水素を意味する。具体的に、前記アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、1~40であることが好ましい。一実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。また一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。また一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~6である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0037】
本願明細書の全体にわたって、『シクロアルキル基』とは、炭素原子の完全に飽和および部分的に不飽和の炭化水素環を指す。具体的に、前記シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~60であることが好ましく、一実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。また一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。また一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~6である。具体的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘブチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
本願明細書の全体にわたって、『アルケニル基』とは、二重結合を1つ以上含む直鎖状もしくは分岐鎖状の不飽和炭化水素を指す。具体的に、前記アルケニル基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は、特に限定されないが、2~40であることが好ましい。一実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~20である。また一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。また一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~6である。具体的な例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブダジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
本願明細書の全体にわたって、『アルキニル基』とは、三重結合を1つ以上含む直鎖状もしくは分岐鎖状の不飽和炭化水素ラジカルを意味する。具体的に、前記アルキニル基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は、特に限定されないが、2~40であることが好ましい。一実施態様によれば、前記アルキニル基の炭素数は2~20である。また一つの実施態様によれば、前記アルキニル基の炭素数は2~10である。また一つの実施態様によれば、前記アルキニル基の炭素数は2~6である。具体的な例としては、エチニル、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イル、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、またはブタ-3-イン-1-イルなどから選択される短鎖の炭化水素ラジカルが挙げられるが、これに限定されない。
【0040】
本願明細書の全体にわたって、『アリール基』とは、一つの水素除去により芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであって、単環状もしくは多環状の芳香族炭化水素ラジカルを意味する。具体的に、前記アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~60であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記アリール基は、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などが挙げられるが、これに限定されない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0041】
本願明細書の全体にわたって、『フルオレニル基』とは、9-フルオレニルラジカルを意味する。
【0042】
具体的に、前記フルオレニル基は、置換されていてもよく、2個の置換基が互いに結合してスピロ(Spiro)構造を形成してもよい。前記フルオレニル基が置換される場合、
【化5】
などであってもよい。但し、これに限定されない。
【0043】
本願明細書の全体にわたって、『ヘテロアリール基』とは、一つの水素除去により芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであって、B、N、O、S、P(=O)、Si、およびPから選択された一つ以上のヘテロ原子を含むヘテロアリールを意味する。具体的に、前記ヘテロアリール基は、炭素数は特に限定されないが、炭素数3~60であることが好ましい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリン基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基、およびジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0044】
本願明細書の全体にわたって、アラルキル基、アラルケニル基、アルキルアリール基、アリールアミン基中のアリール基は、前述したアリール基の例示と同様である。本明細書において、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアミン基中のアルキル基は、前述したアルキル基の例示と同様である。
【0045】
本願明細書の全体にわたって、ヘテロアリールアミン中のヘテロアリールは、前述したヘテロアリールに関する説明が適用されてもよい。本明細書において、アラルケニル基中のアルケニル基は、前述したアルケニル基の例示と同様である。本明細書において、アリーレンは、2価の基であることを除いては、前述したアリール基に関する説明が適用されてもよい。本明細書において、ヘテロアリーレンは、2価の基であることを除いては、前述したヘテロアリールに関する説明が適用されてもよい。本明細書において、炭化水素環は、1価の基ではなく、2個の置換基が結合して形成されたことを除いては、前述したアリール基またはシクロアルキル基に関する説明が適用されてもよい。本明細書において、ヘテロ環は、1価の基ではなく、2個の置換基が結合して形成されたことを除いては、前述したヘテロアリールに関する説明が適用されてもよい。
【0046】
シリコーン系コーティング組成物
本発明は、シリコーン系樹脂、シリコーン系架橋剤、および金属触媒を含み、下記化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物をさらに含む、シリコーン系コーティング組成物を提供する。
【0047】
【化6】
【0048】
前記化学式1のうち、
およびRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、アミノ基(NH)、またはL-OHであり、
は、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリーレン、または置換もしくは非置換のヘテロアリーレンであり、
は、イソシアネート基(-N=C=O)、アミノ基(NH)、置換もしくは非置換のアルキル基、または水酸基(OH)であり、
は、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリーレン、または置換もしくは非置換のヘテロアリーレンであり、
nは1~1000の整数である。
【0049】
本発明に係るシリコーン系コーティング組成物は、湿潤特性を改善しながらも適切な離型剥離力を保有しており、多様な分野で用いられるフィルムの製造に好適なシリコーン系離型フィルムを提供することができる。具体的に、シリコーン系離型フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、個人用携帯情報端末およびナビゲーション、有機発光ダイオード、高分子発光ダイオード(Polymer Light Emitting Diodes)、偏光板などのディスプレイユニット分野、コーティング分野、粘着剤分野、接着剤分野などの多様な分野で用いられるものであって、対象物品の表面、粘着剤の表面、接着剤の表面などを保護したり、対象物品のキャリア(carrier)の役割を行ったり、所定のフィルムを製造するための基材フィルムとして用いられ、前記フィルムから除去される役割を行ったりするフィルムを意味し得る。また、シリコーン系離型フィルムは、対象物品などの製造過程、輸送、および貯蔵過程では対象物品に付着されるが、最終物品の製造時に除去されるフィルムを意味し得る。
【0050】
本明細書において、用語『シリコーン系樹脂』とは、一つ以上のケイ素原子(Si)、特に一つ以上のSiO基を含む、高度に架橋されたネットワーク-類似高分子を意味する。具体的に、本発明において、シリコーン系樹脂は、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(vinyl terminated polydimethylsiloxane)であってもよい。但し、前記シリコーン系樹脂の種類は、前述したものに限定されない。
【0051】
本発明によれば、シリコーン系樹脂の多分散指数(Poly Dispersity Index;PDI)は1~3である。前記多分散指数として、重量平均分子量値を数平均分子量で割った値で示したものである。
【0052】
本発明において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、およびZ平均分子量(Mz+1)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、gel permeation chromatography、Water社製)を用いて測定した標準ポリスチレンに対する換算数値である。しかし、前記重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、およびZ平均分子量(Mz+1)は、これに限定されず、本発明が属する技術分野で周知の他の方法により測定されてもよい。
【0053】
本発明によれば、シリコーン系樹脂の重量平均分子量は、100,000g/mol以上600,000g/mol以下であってもよい。具体的に、シリコーン系樹脂の重量平均分子量は、150,000g/mol以上550,000g/mol以下、200,000g/mol以上500,000g/mol以下、または250,000g/mol以上450,000g/mol以下であってもよい。シリコーン系樹脂の重量平均分子量を前述した範囲に調節することで、前記シリコーン系コーティング組成物の硬化物を含むコーティング層の表面エネルギーが過度に上昇または下降するのを効果的に防止することができる。さらに、シリコーン系樹脂の重量平均分子量が前述した範囲である場合、シリコーン系コーティング組成物の硬化物を含むコーティング層の離型剥離力が適切なレベルに実現されることができる。
【0054】
本明細書において、用語『シリコーン系架橋剤』とは、当業界で離型剤組成物を製造する際に用いられるものを制限されずに採択してもよい。例えば、前記シリコーン系架橋剤は、1個の分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノ水素シロキサン、具体的には、ジメチル水素シロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ポリ(メチル水素シロキサン)、ポリ(水素シルセスキオキサン)、およびメチル水素シロキサンのうち少なくとも一つを含んでもよいが、前記シリコーン系架橋剤の種類を制限するものではない。本発明においては、シリコーン系架橋剤としてメチル水素シロキサンを用いてもよい。
【0055】
本発明によれば、金属触媒として、当業界でシリコーン系コーティング組成物を製造する際に用いられるものを制限されずに採択して用いてもよい。具体的に、金属触媒は、白金系触媒を少なくとも含んでもよい。また、白金系触媒は、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、および塩化白金酸のオレフィン錯体のうち少なくとも一つを含んでもよいが、白金系触媒の種類を限定するものではない。本発明においては、白金系触媒としてPL-50T(信越シリコーン社)を用いてもよい。
【0056】
本発明によれば、シリコーン系コーティング組成物は、液状組成物の形態であってもよい。
本発明によれば、液状形態のシリコーン系コーティング組成物は、有機溶媒;シリコーン系樹脂;シリコーン系架橋剤;金属触媒;および下記化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物を含んでもよい。
【0057】
本発明によれば、液相形態のシリコーン系コーティング組成物は、有機溶媒100重量部に対して、シリコーン系樹脂5~30重量部;シリコーン系架橋剤0.05~5重量部;金属触媒0.5~10重量部;および下記化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物0.1~50重量部を含んでもよい。
【0058】
本発明によれば、前記有機溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、およびアセトンのいずれか一つであってもよい。但し、これに限定されず、当業界で一般的に知られている有機溶剤の中から自由に選択されてもよい。
【0059】
本発明によれば、シリコーン系樹脂の含量は、有機溶媒100重量部に対して、5重量部以上30重量部以下であってもよい。具体的に、シリコーン系樹脂の含量は、前記有機溶媒100重量部に対して、7.5重量部以上25.5重量部以下、8.5重量部以上21.5重量部以下、9.5重量部以上18.5重量部以下であってもよい。シリコーン系樹脂の含量を前述した範囲に調節することで、前記シリコーン系コーティング組成物をさらに容易に硬化させることができる。また、シリコーン系樹脂の含量が前述した範囲である場合、前記シリコーン系コーティング組成物の硬化物を含むコーティング層は、表面エネルギーを上昇させて湿潤特性を改善しながらも適切なレベルの離型剥離力を有することができる。
【0060】
本発明によれば、シリコーン系架橋剤の含量は、有機溶媒100重量部に対して、0.05重量部以上5重量部以下であってもよい。具体的に、シリコーン系架橋剤の含量は、有機溶媒100重量部に対して、0.1重量部以上3重量部以下、0.5重量部以上2重量部以下、0.8重量部以上1.5重量部以下であってもよい。シリコーン系架橋剤の含量を前述した範囲に調節することで、前記コーティング層の離型剥離力が過度に増加するのを効果的に防止することができる。具体的に、シリコーン系架橋剤の含量が前述した範囲内である場合、シリコーン系離型フィルムが高温条件で長時間保管される場合にも、前記コーティング層の離型剥離力が大きく増加することを抑制することができる。また、前記シリコーン系コーティング組成物の硬化物を含むシリコーン系離型フィルムの耐久性を向上させることができる。さらに、シリコーン系架橋剤の含量が前述した範囲内である場合、前記シリコーン系コーティング組成物の硬化性が低下するのを防止することができる。よって、シリコーン系コーティング組成物は、コーティング層の離型性能、すなわち、剥離性能が低下するのを抑制することができる。
【0061】
本発明によれば、金属触媒の含量は、有機溶媒100重量部に対して、0.5重量部以上10重量部以下であってもよい。具体的に、金属触媒の含量は、有機溶媒100重量部に対して、1重量部以上8重量部以下、1.5重量部以上7重量部以下、2重量部以上4重量部以下であってもよい。具体的に、金属触媒は、シリコーン系樹脂と前記シリコーン系架橋剤の硬化反応を促進させる役割を行うものであって、金属触媒の含量を前述した範囲に調節することで、シリコーン系コーティング組成物が未硬化または過硬化するのを効果的に抑制することができる。
【0062】
本発明によれば、化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物の含量は、有機溶媒100重量部に対して、0.1重量部以上50重量部以下であってもよい。具体的に、化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物の含量は、前記有機溶媒100重量部に対して、0.3重量部以上45重量部以下、0.5重量部以上40重量部以下、1重量部以上30重量部以下であってもよい。具体的に、化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物の含量を前述した範囲に調節することで、表面エネルギーを上昇させて湿潤特性を改善しながらも適切なレベルの離型剥離力を有することができる。
【0063】
前記化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物は下記のとおりである:
およびRは、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、アミノ基(NH)、またはL-OHであり、
は、置換もしくは非置換のアルキレン基、または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
は、イソシアネート基(-N=C=O)であり、
は、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
nは300~1000の整数である。
より具体的に、前記化学式1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物は、下記化学式2で表されてもよい。
【0064】
【化7】
【0065】
前記化学式2のうち、
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
~Lは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリーレン、または置換もしくは非置換のヘテロアリーレンであり、
nは1~1000の整数であり、
mは10~1000の整数である。
【0066】
前記化学式2で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物は下記のとおりである:
~Rは、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
~Lは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基、または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
nは300~1000の整数であり、
mは300~1000の整数である。
【0067】
より具体的に、前記化学式2で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物は、下記化学式2-1、2-2、2-3、および2-4のいずれか一つの化合物であってもよい。
【0068】
【化8】
【0069】
(前記化学式2-1~2-4のうち、nは500~1000の整数であり、mは300~1000の整数である)
【0070】
本発明によれば、シリコーン系コーティング組成物の固形分含量は、0.5重量%以上30重量%以下であってもよい。具体的に、シリコーン系コーティング組成物の固形分含量は、1重量%以上25重量%以下、5重量%以上20重量%以下、10重量%以上15重量%以下、1重量%以上5重量%以下、8重量%以上15重量%以下、または20重量%以上28重量%以下であってもよい。
【0071】
本発明によれば、シリコーン系コーティング組成物の固形分含量を前述した範囲に調節することで、シリコーン系コーティング組成物を容易に塗布することができる。また、シリコーン系コーティング組成物の硬化時に粘度が急激に増加するのを防止し、塗布時に湿潤性が低下するのを防止することができる。具体的に、シリコーン系コーティング組成物の固形分含量が前述した範囲内である場合、シリコーン系コーティング組成物に含まれるシリコーン系樹脂の含量が相対的に少ないためシリコーン系コーティング組成物の硬化物の耐久性が低下するのを防止することができる。また、シリコーン系コーティング組成物の硬化時に粘度が急激に上昇し、硬化物の表面平坦性が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0072】
本発明によれば、シリコーン系コーティング組成物は、離型剤、シリカ粒子、および光開始剤のうち少なくとも一つを含むその他の添加剤をさらに含んでもよい。但し、前記その他の添加剤の種類は限定されず、当業界で用いられる公知の構成を用いてもよい。
【0073】
本発明の一実施態様によれば、シリコーン系コーティング組成物は、光硬化または熱硬化により硬化してもよい。具体的に、シリコーン系コーティング組成物は、熱硬化してもよく、シリコーン系コーティング組成物の熱硬化は、100℃以上180℃以下の温度で、30秒以上180秒以下の時間の間行われてもよい。シリコーン系コーティング組成物の硬化温度および硬化時間を前述した範囲に調節することで、シリコーン系コーティング組成物を安定的に硬化させ、硬化物の耐久性を向上させることができる。
【0074】
シリコーン系離型フィルム
本発明は、基材層;および前記シリコーン系コーティング組成物の硬化物であるコーティング層;を含む、シリコーン系離型フィルムを提供する。
【0075】
本発明に係るシリコーン系離型フィルムは、表面エネルギーを大きく上昇させながらも適切な離型剥離力を保有することで、多様な分野で用いられるフィルムの製造に好適であるという利点がある。
【0076】
本発明によれば、シリコーン系離型フィルムは、基材層およびコーティング層を含み、コーティング層は、シリコーン系コーティング組成物の硬化物を含んでもよい。
【0077】
本発明によれば、基材層の一面上にシリコーン系コーティング組成物を塗布し硬化させることで、基材層の一面上に備えられたコーティング層を含むシリコーン系離型フィルムを提供することができる。シリコーン系コーティング組成物を基材の一面上に塗布する方法としては、公知の工程を用いてもよい。具体的に、インクジェット印刷工程、ディスペンシング工程、シルクスクリーン工程、スプレーコーティング工程、スピンコーティング工程、ナイフコーティング工程、ディップコーターコーティング工程、メイヤーバーコーティング工程、グラビアコーティング工程、マイクログラビアコーティング工程などを用いてもよい。
【0078】
本発明によれば、前記基材層は、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、延伸ポリプロピレン樹脂、セルロース、およびポリ塩化ビニル樹脂のうち少なくとも一つを含んでもよいが、前記基材層の種類を制限するものではない。
【0079】
本発明によれば、前記基材層の厚さは、10μm以上500μm以下であってもよい。前述した範囲の厚さを有する基材層を含むシリコーン系離型フィルムは、耐久性に優れることができる。
【0080】
本発明によれば、前記コーティング層の厚さは、30nm以上500nm以下であってもよい。前述した範囲の厚さを有するコーティング層を含むシリコーン系離型フィルムは、適切な離型剥離力を保有することができる。
【0081】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング層は、下記式1を満たしてもよい。
[式1]
10%≦|(X-Y)/X|×100≦350%
【0082】
前記式1のうち、Xは、コーティング層をTesa7475標準粘着テープに付着し、常温(25℃)で1日間保管した後のコーティング層の離型剥離力であり(初期離型剥離力)、Yは、コーティング層をTesa7475標準粘着テープに付着し、70℃で1日間保管した後のコーティング層の離型剥離力(熱処理後の離型剥離力)を意味する。
【0083】
すなわち、コーティング層をTesa7475標準粘着テープに付着し、常温(25℃)で1日間保管したコーティング層の離型剥離力(初期離型剥離力)に対する、70℃で1日間保管したコーティング層の離型剥離力(熱処理後の離型剥離力)の変化量は、10%以上350%以下であってもよい。具体的に、初期離型剥離力に対する熱処理後の離型剥離力の変化量は、12%以上330%以下、15%以上320%以下であってもよい。初期離型剥離力に対する熱処理後の離型剥離力の変化量が前述した範囲を満たすコーティング層を含む離型剥離力は、高温条件においても離型性能を適切なレベルに維持できるという利点がある。すなわち、シリコーン系離型フィルムは、実際の製品に備えられた後に多様な条件に露出され得るし、特に高温条件に露出される場合にも、シリコーン系離型フィルムは、適切なレベルの離型性能を実現することができる。
【0084】
本発明によれば、コーティング層の離型剥離力は、前記コーティング層をTesa7475標準粘着テープに付着し、設定された温度および時間の間シリコーン系離型フィルムを保管した後、50RH%の湿度条件で、180°の剥離角度、0.3m/minの剥離速度で測定されてもよい。
【0085】
本発明によれば、コーティング層をTesa7475標準粘着テープに付着し、常温(25℃)で1日間保管した後のコーティング層の離型剥離力は、3gf/in以上50gf/in以下であってもよい。常温(25℃)で1日間保管した後の離型剥離力が前述した範囲を満たすコーティング層を含むシリコーン系離型フィルムは、適切なレベルの離型剥離力を保有することができる。
【0086】
本発明によれば、コーティング層をTesa7475標準粘着テープに付着し、70℃で1日間保管した後のコーティング層の離型剥離力は、5gf/in以上300gf/in以下であってもよい。70℃で1日間保管した後の離型剥離力が前述した範囲を満たすコーティング層を含むシリコーン系離型フィルムは、高温条件においても優れた離型性能を実現できるという長所がある。
【0087】
本発明によれば、コーティング層の表面エネルギーは、25mN/m以上40mN/m以下であってもよい。シリコーン系離型フィルムは、コーティング層の表面エネルギーが前述した範囲を満たしながらも適切なレベルの離型剥離力を保有することができる。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング層は、下記式2を満たしてもよい。
[式2]
85%≦A/B≦99.9%
【0089】
前記式2のうち、Aは、コーティング層をTesa7475標準粘着テープに付着し、常温(25℃)で1日間保管した後のコーティング層の離型剥離力であり、Bは、シリコーン系離型フィルムに付着していない粘着テープの離型剥離力を意味する。
【0090】
すなわち、シリコーン系離型フィルムに付着していない粘着テープの離型剥離力に対し、コーティング層をTesa7475標準粘着テープに付着し、常温(25℃)で1日間保管したコーティング層の離型剥離力の残留接着率は、85%以上99.9%以下であってもよい。
【実施例
【0091】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明することにする。しかし、本発明に係る実施例は、種々の他の形態に変形されてもよく、本発明の範囲が以下に記述する実施例に限定されるものと解釈されない。本明細書の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものである。
【0092】
製造例:尿素基が導入されたシリコーン系化合物の製造
製造例1
THF溶媒下で、下記構造を有するアミノシリコーン1モルとヘキサメチレンジイソシアネート(Asahi社/HDI)1モルを20℃で4時間反応させ、下記化学式2-1で表される化合物を製造した(Si-HDI)。この際、窒素置換も並行して進行した。
下記化学式2-1で表される化合物の重量平均分子量は前述した方法により測定時に150,000~200,000g/molであり、多分散指数は1.9~2.0である。
【0093】
【化9】
(アミノシリコーン構造のうち、nは500~1000の整数である)
【0094】
【化10】
(化学式2-1のうち、nは500~1000の整数であり、mは300~1000の整数である)
【0095】
製造例2
THF溶媒下で、下記構造を有するアミノシリコーン1モルと4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(Evonik社/H12-MDI)1モルを20℃で4時間反応させ、下記化学式2-2で表される化合物を製造した(Si-H12-MDI)。この際、窒素置換も並行して進行した。
【0096】
下記化学式2-2で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物の重量平均分子量は前述した方法により測定時に100,000~150,000g/molであり、多分散指数は1.9~2.0である。
【0097】
【化11】
【0098】
【化12】
(化学式2-2のうち、nは500~1000の整数であり、mは300~1000の整数である)
【0099】
製造例3
THF溶媒下で、下記構造を有するアミノシリコーン1モルとトリメチルヘキサンジイソシアネート(Evonik社/TMDI)1モルを20℃で4時間反応させ、下記化学式2-3で表される化合物を製造した(Si-TMDI)。この際、窒素置換も並行して進行した。
【0100】
下記化学式2-3で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物の重量平均分子量は前述した方法により測定時に50,000~100,000g/molであり、多分散指数は1.8~2.0である。
【0101】
【化13】
(アミノシリコーン構造のうち、nは500~1000の整数である)
【0102】
【化14】
(化学式2-3のうち、nは500~1000の整数であり、mは300~1000の整数である)
【0103】
製造例4
THF溶媒下で、下記構造を有するアミノシリコーン1モルとイソホロンジイソシアネート(Evonik社/IPDI)1モルを20℃で4時間反応させ、下記化学式2-4で表される化合物を製造した(Si-IPDI)。この際、窒素置換も並行して進行した。
【0104】
下記化学式2-4で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物の重量平均分子量は前述した方法により測定時に80,000~120,000g/molであり、多分散指数は1.8~2.0である。
【0105】
【化15】
(アミノシリコーン構造のうち、nは500~1000の整数である)
【0106】
【化16】
(化学式2-4のうち、nは500~1000の整数であり、mは300~1000の整数である)
【0107】
実施例および比較例:シリコーン系離型フィルムの製造
材料の準備
シリコーン系樹脂として、重量平均分子量が300,000~400,000g/molで、多分散指数が1.8~2.2であるビニル末端ポリジメチルシロキサン(Shin-Etsu Silicon社/KS-847H)、シリコーン系架橋剤(Shin-Etsu Silicon社/X-92-122)、白金系触媒(Shin-Etsu Silicon社/PL-50T)、製造例1~4により製造された化学式2-1~2-4で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物、および溶剤としてテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、THF)を準備した。
【0108】
実施例1
テトラヒドロフラン100重量部に対して、シリコーン系樹脂10重量部、シリコーン系架橋剤1重量部、白金系触媒3重量部、および製造例1により製造された化学式2-1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物1重量部を含む、シリコーン系コーティング組成物を製造した。
【0109】
その後、製造されたシリコーン系コーティング組成物を、メイヤーバー8番を用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)基材層上に、2.5g/mの厚さで塗布した。その後、基材上に塗布されたシリコーン系コーティング組成物を130℃で1分間乾燥および硬化させた後、50℃で24時間エージング(aging)させ、離型フィルムを製造した。
【0110】
実施例2
テトラヒドロフラン100重量部に対して、シリコーン系樹脂10重量部、シリコーン系架橋剤1重量部、白金系触媒3重量部、および製造例1により製造された化学式2-1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物3重量部を含む、シリコーン系コーティング組成物を製造した。
【0111】
その後、製造されたシリコーン系コーティング組成物を、メイヤーバー8番を用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)基材層上に、2.5g/mの厚さで塗布した。その後、基材上に塗布されたシリコーン系コーティング組成物を130℃で1分間乾燥および硬化させた後、50℃で24時間エージング(aging)させ、離型フィルムを製造した。
【0112】
実施例3
テトラヒドロフラン100重量部に対して、シリコーン系樹脂10重量部、シリコーン系架橋剤1重量部、白金系触媒3重量部、および製造例1により製造された化学式2-1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物5重量部を含む、シリコーン系コーティング組成物を製造した。
【0113】
その後、製造されたシリコーン系コーティング組成物を、メイヤーバー8番を用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)基材層上に、2.5g/mの厚さで塗布した。その後、基材上に塗布されたシリコーン系コーティング組成物を130℃で1分間乾燥および硬化させた後、50℃で24時間エージング(aging)させ、離型フィルムを製造した。
【0114】
実施例4
テトラヒドロフラン100重量部に対して、シリコーン系樹脂10重量部、シリコーン系架橋剤1重量部、白金系触媒3重量部、および製造例1により製造された化学式2-1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物10重量部を含む、シリコーン系コーティング組成物を製造した。
【0115】
その後、製造されたシリコーン系コーティング組成物を、メイヤーバー8番を用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)基材層上に、2.5g/mの厚さで塗布した。その後、基材上に塗布されたシリコーン系コーティング組成物を130℃で1分間乾燥および硬化させた後、50℃で24時間エージング(aging)させ、離型フィルムを製造した。
【0116】
実施例5
テトラヒドロフラン100重量部に対して、シリコーン系樹脂10重量部、シリコーン系架橋剤1重量部、白金系触媒3重量部、および製造例1により製造された化学式2-1で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物30重量部を含む、シリコーン系コーティング組成物を製造した。
【0117】
その後、製造されたシリコーン系コーティング組成物を、メイヤーバー8番を用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)基材層上に、2.5g/mの厚さで塗布した。その後、基材上に塗布されたシリコーン系コーティング組成物を130℃で1分間乾燥および硬化させた後、50℃で24時間エージング(aging)させ、離型フィルムを製造した。
【0118】
実施例6
テトラヒドロフラン100重量部に対して、シリコーン系樹脂10重量部、シリコーン系架橋剤1重量部、白金系触媒3重量部、および製造例1により製造された化学式2-2で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物5重量部を含む、シリコーン系コーティング組成物を製造した。
【0119】
その後、製造されたシリコーン系コーティング組成物を、メイヤーバー8番を用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)基材層上に、2.5g/mの厚さで塗布した。その後、基材上に塗布されたシリコーン系コーティング組成物を130℃で1分間乾燥および硬化させた後、50℃で24時間エージング(aging)させ、離型フィルムを製造した。
【0120】
実施例7
テトラヒドロフラン100重量部に対して、シリコーン系樹脂10重量部、シリコーン系架橋剤1重量部、白金系触媒3重量部、および製造例1により製造された化学式2-3で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物5重量部を含む、シリコーン系コーティング組成物を製造した。
【0121】
その後、製造されたシリコーン系コーティング組成物を、メイヤーバー8番を用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)基材層上に、2.5g/mの厚さで塗布した。その後、基材上に塗布されたシリコーン系コーティング組成物を130℃で1分間乾燥および硬化させた後、50℃で24時間エージング(aging)させ、離型フィルムを製造した。
【0122】
実施例8
テトラヒドロフラン100重量部に対して、シリコーン系樹脂10重量部、シリコーン系架橋剤1重量部、白金系触媒3重量部、および製造例1により製造された化学式2-4で表される尿素基が導入されたシリコーン系化合物5重量部を含む、シリコーン系コーティング組成物を製造した。
【0123】
その後、製造されたシリコーン系コーティング組成物を、メイヤーバー8番を用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)基材層上に、2.5g/mの厚さで塗布した。その後、基材上に塗布されたシリコーン系コーティング組成物を130℃で1分間乾燥および硬化させた後、50℃で24時間エージング(aging)させ、離型フィルムを製造した。
【0124】
【表1】
【0125】
比較例1
テトラヒドロフラン100重量部に対して、シリコーン系樹脂10重量部、シリコーン系架橋剤1重量部、および白金系触媒3重量部を含む、シリコーン系コーティング組成物を製造した。
【0126】
その後、製造されたシリコーン系コーティング組成物を、メイヤーバー8番を用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)基材層上に、2.5g/mの厚さで塗布した。その後、基材上に塗布されたシリコーン系コーティング組成物を130℃で1分間乾燥および硬化させた後、50℃で24時間エージング(aging)させ、離型フィルムを製造した。
【0127】
比較例2
メラミン樹脂からなる非シリコーン系離型フィルム(Unitika社/TRZ50)を用いた。
【0128】
比較例3
シリコーン系コーティング組成物で処理していないポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET、MCC社/T10075S)フィルムを用いた。
【0129】
測定方法
実施例および比較例で準備されたものに対し、下記のように物性を測定した。
【0130】
1.離型剥離力の測定
前記実施例1~実施例8および比較例1~比較例3で製造された離型フィルムの離型剥離力を下記のように測定した。
離型フィルムのコーティング層をTesa7475標準粘着テープに2kgの荷重で3回往復圧着して付着し、25℃および50RH%雰囲気で1日間保管した後、25℃および50RH%雰囲気で、測定機器(Cheminstruments社/AR-1000)を用いて、離型剥離力を測定した。サンプルの大きさ50×1,500mmおよび剥離力の測定大きさ250×1,500mmに対し、180°の剥離角度、0.3m/minの剥離速度で行い、5回の繰り返し測定値の平均値を求め、離型剥離力(gf/in)を求めた。
【0131】
また、シリコーン系離型フィルムのコーティング層をTesa7475標準粘着テープに2kgの荷重で3回往復圧着して付着し、70℃および50RH%雰囲気で1日間保管した後、25℃および50RH%雰囲気で、測定機器(Cheminstruments社/AR-1000)を用いて、離型剥離力を測定した。サンプルの大きさ50×1,500mmおよび剥離力の測定大きさ250×1,500mmに対し、180°の剥離角度、0.3m/minの剥離速度で行い、5回の繰り返し測定値の平均値を求め、離型剥離力(gf/in)を求めた。
【0132】
前述した方法により測定された25℃で1日間保管した後のコーティング層の離型剥離力(初期離型剥離力)と、70℃で1日間保管した後のコーティング層の離型剥離力(熱処理後の離型剥離力)、および初期離型剥離力に対する熱処理後の離型剥離力の変化量を下記表2および表3に示す。
【0133】
2.残留接着率の測定
粘着テープNITTO 31Bを用いて、前記剥離力の測定サンプルと同一の条件でサンプルを製作し、同一条件で1日間放置した後、離型フィルムから粘着テープを剥がし、ステンレス板(SUS 304)に2kg荷重のローラで往復2回圧着後に30分間放置した後、同様の方式により剥離力を測定した(A)。離型フィルムに付着していない粘着テープを直ちにステンレス板に付着後に剥離力を測定し、基準値(B)を定めた。
各サンプルは、5回の繰り返し測定後、A/B×100で計算して残留接着率(%)を算出し、その結果を下記表4および表5に示す。
【0134】
3.表面エネルギーの測定
前記実施例1~実施例8および比較例1~比較例3で製造された離型フィルムの表面エネルギーを下記のように測定した。表面エネルギー測定用の溶剤である超純水1mLおよびジヨードメタン1mLを離型フィルムに1μL/sの速度で落とし、測定機器(Dataphysics社/OCA20)を用いて測定用溶剤の接触角を測定し、これを用いて離型フィルムの表面エネルギーを計算した。前記方法により測定された表面エネルギー値を下記表6および表7に示す。
【0135】
表6および表7において、「Pol」は、実施例および比較例のフィルムに超純水を落として計算した極性の傾向を示す表面エネルギーを意味し、「Dis」は、ジヨードメタンを落として計算した非極性の傾向を示す表面エネルギーを意味する。全体表面エネルギーは、前記表面エネルギー(PolとDis)の和に該当する。
測定結果
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】
【表5】
【0140】
【表6】
【0141】
【表7】