(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】冷却ファン、電動機組立体
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
H02K9/06 E
(21)【出願番号】P 2019226339
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】落合 章裕
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-136479(JP,U)
【文献】特開平11-289716(JP,A)
【文献】特開2015-095962(JP,A)
【文献】特開2019-162017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/00- 9/28
H02K 11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機の駆動軸に取り付けられるハブと、
前記ハブの周面に設けられた羽根と、
前記ハブの周面に設けられると共に、前記羽根を円錐面で支持する円錐状の下板と、 前記下板の裏側に設けられた裏羽根と、を有
し、
前記裏羽根は、前記下板の裏側の空間から軸方向に突出すると共に、軸方向に沿って垂直に延びる径方向内端縁を備え、且つ、前記径方向内端縁から前記下板の外周端まで径方向に延びている、ことを特徴とする冷却ファン。
【請求項2】
前記裏羽根は、前記ハブの周面に対し、径方向で離間して設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の冷却ファン。
【請求項3】
前記ハブ、前記羽根、前記下板、及び、前記裏羽根は、一体で成形されている、ことを特徴とする
請求項1または2に記載の冷却ファン。
【請求項4】
駆動軸と、
前記駆動軸を回転させるモータと、
内部に前記モータが配置されたモータケーシングと、
前記モータの動作を制御するインバータと、
内部に前記インバータが配置され、前記駆動軸が貫通するインバータケースと、
前記インバータケースに隣接して配置され、前記駆動軸の端部に固定された冷却ファンと、を有する電動機組立体であって、
前記冷却ファンとして、
請求項1~3のいずれか一項に記載の冷却ファンを有する、ことを特徴とする電動機組立体。
【請求項5】
前記冷却ファンの前記裏羽根は、前記インバータの発熱素子の少なくとも一部と軸方向で重なる位置で回転する、ことを特徴とする
請求項4に記載の電動機組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ファン、電動機組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、インバータ部とモータ部とを備えた電動機組立体が知られている。このような電動機組立体において、インバータ部は、インバータと、インバータを収容するインバータケースと、を備えている。モータ部は、駆動軸を回転させる回転子および固定子を備えるモータと、モータを収容するモータケーシングとを備えている。
【0003】
インバータおよびモータは発熱源であるため、電動機組立体が運転されると、インバータの熱はインバータケースに伝達され、インバータケースは高温になる。同様に、モータの熱はモータケーシングに伝達され、モータケーシングは高温になる。結果として、電動機組立体は、その全体として非常に高温になる。
【0004】
したがって、電動機組立体は、駆動軸に固定された冷却ファンを備えている。冷却ファンは、駆動軸の回転とともに回転し、インバータケースの外面およびモータケーシングの外面を冷却する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、冷却ファンには、羽根の剛性を高めるためや、冷却風をインバータケースの外周側に効率的に送るために、羽根の下部に下板(整流ガイド)を設ける場合がある。このような場合、下板とインバータケースとの間に熱が籠ってしまい、インバータの放熱性が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、冷却ファンの下板の裏側の空気を拡散させ、放熱性を向上させることができる冷却ファン、電動機組立体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る冷却ファンは、回転機の駆動軸に取り付けられるハブと、前記ハブの周面に設けられた羽根と、前記ハブの周面に設けられると共に、前記羽根を円錐面で支持する円錐状の下板と、前記下板の裏側に設けられた裏羽根と、を有する。
【0009】
上記冷却ファンにおいては、前記裏羽根は、前記ハブの周面に対し、径方向で離間して設けられていてもよい。
上記冷却ファンにおいては、前記裏羽根は、前記下板の外周端まで径方向に延びていてもよい。
上記冷却ファンにおいては、前記裏羽根は、前記下板の裏側の空間から軸方向に突出していてもよい。
上記冷却ファンにおいては、前記ハブ、前記羽根、前記下板、及び、前記裏羽根は、一体で成形されていてもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る電動機組立体は、駆動軸と、前記駆動軸を回転させるモータと、内部に前記モータが配置されたモータケーシングと、前記モータの動作を制御するインバータと、内部に前記インバータが配置され、前記駆動軸が貫通するインバータケースと、前記インバータケースに隣接して配置され、前記駆動軸の端部に固定された冷却ファンと、を有する電動機組立体であって、前記冷却ファンとして、先に記載の冷却ファンを有する。
【0011】
上記電動機組立体においては、前記冷却ファンの前記裏羽根は、前記インバータの発熱素子の少なくとも一部と軸方向で重なる位置で回転してもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の態様によれば、冷却ファンの下板の裏側の空気を拡散させ、放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る電動機組立体の断面図である。
【
図2】一実施形態に係る電動機組立体の左側面図である。
【
図3】一実施形態に係る冷却ファン付近の電動機組立体の拡大断面図である。
【
図4】一実施形態に係る冷却ファンの表側の斜視図である。
【
図5】一実施形態に係る冷却ファンの裏側の斜視図である。
【
図7】比較例として、裏羽根が下板の裏側の空間から軸方向に突出しない場合の空気の流れを示す解析図である。
【
図8】実施例として、裏羽根が下板の裏側の空間から軸方向に突出した場合の空気の流れを示す解析図である。
【
図9】一実施形態に係る裏羽根の変形例を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る電動機組立体1の断面図である。
図2は、一実施形態に係る電動機組立体1の左側面図である。
図1に示すように、電動機組立体1は、インバータ20が内蔵された一体型構造を有する電動機である。電動機組立体1は、モータ部2と、インバータ部3と、を備えている。
【0015】
電動機組立体1は、モータ部2によって回転する駆動軸5を備えている。駆動軸5は、インバータ部3を貫通して配置されている。以下の説明では、駆動軸5の中心軸Oが延びる方向を軸方向といい、中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0016】
モータ部2は、駆動軸5を回転させる回転子6(ロータ)および固定子7(ステータ)を備えるモータ8と、回転子6および固定子7を収容するモータケーシング10と、を備えている。また、インバータ部3は、モータ8の動作(回転速度)を制御するインバータ20と、インバータ20を収容し、軸方向においてモータケーシング10に直列的に接続されたインバータケース21と、を備えている。
【0017】
駆動軸5は、モータケーシング10およびインバータケース21を貫通して延びている。モータケーシング10およびインバータケース21は、駆動軸5の中心軸Oと同軸の円筒状に形成されている。モータケーシング10およびインバータケース21は、駆動軸5の軸方向に直列的に配置されている。このため、電動機組立体1は、コンパクトな構造を有している。駆動軸5の端部(すなわち、駆動軸5の反負荷側)には、冷却ファン30が固定されている。冷却ファン30は、インバータケース21の外側に配置されており、インバータケース21に隣接している。
【0018】
モータケーシング10の内部には、発熱源であるモータ8が配置されている。モータ8は、駆動軸5に固定された回転子6と、回転子6を囲んで、外部(図示しない)からの電力を受けて回転磁界を形成する固定子7と、を備えている。固定子7は、ステータコアと、ステータコアに巻かれたコイルと、を備えている。駆動軸5は、回転子6に固定され、上述した回転磁界によって回転子6とともに回転する。
【0019】
図1において、モータ8は模式的に描かれている。モータ8は、例えば、ロータに永久磁石を用いた永久磁石型モータである。しかしながら、モータ8は、永久磁石型モータに限定されず、誘導モータやSRモータなど、様々な種類のモータであってもよい。
【0020】
モータケーシング10は、固定子7が固定されたモータフレーム11と、モータフレーム11の一方の開口端を閉じ、かつ駆動軸5が貫通する貫通孔12aが形成されたエンドカバー12と、モータフレーム11の他方の開口端を閉じ、かつ駆動軸5が貫通する貫通孔13aが形成されたモータ側板13(インバータケース側ブラケット)と、を備えている。
【0021】
エンドカバー12およびモータ側板13は、モータ8を軸方向で挟んで互いに対向している。駆動軸5は、エンドカバー12の軸受支持部12bに支持された軸受14によって回転自在に支持されている。また、駆動軸5は、モータ側板13の軸受支持部13bに支持された軸受15によって回転自在に支持されている。
【0022】
インバータケース21は、インバータ20を取り囲んでいる。インバータケース21は、インバータ20の周囲に配置されたインバータフレーム22と、インバータフレーム22の一方の開口端を閉じる冷却ファン側カバー部材23(冷却ファン側ブラケット)と、インバータフレーム22の他方の開口端を閉じるモータケーシング側カバー部材24(モータケーシング側ブラケット)と、を備えている。
【0023】
冷却ファン側カバー部材23は、冷却ファン30に隣接しており、駆動軸5が貫通する貫通孔23aを有している。モータケーシング側カバー部材24は、モータケーシング10のモータ側板13に隣接しており、駆動軸5が貫通する貫通孔24aを有している。貫通孔23aと貫通孔24aは、筒状部材25を介して軸方向に接続されている。筒状部材25は、駆動軸5の周囲を覆っている。
【0024】
インバータフレーム22は、冷却ファン側カバー部材23およびモータケーシング側カバー部材24に軸方向で挟まれて接続されている。なお、インバータフレーム22と冷却ファン側カバー部材23との接続構造、およびインバータフレーム22とモータケーシング側カバー部材24との接続構造は、嵌め合い構造であるが、その接続構造は特に限定されない。
【0025】
インバータフレーム22の外面には、径方向外側に向かって延びる複数の放熱フィン22aが形成されている。複数の放熱フィン22aは、駆動軸5の軸方向に延びている。インバータケース21(より具体的には、インバータフレーム22)は、冷却ファン30の回転によって送られる空気が、放熱フィン22aに接触することによって冷却される。そして、インバータ20は、インバータケース21を介して冷却される。
【0026】
モータフレーム11の外面には、径方向外側に向かって延びる複数の放熱フィン11aが形成されている。複数の放熱フィン11aは、駆動軸5の軸方向に延びている。モータケーシング10(より具体的には、モータフレーム11)は、冷却ファン30によって送られる空気が、放熱フィン11aに接触することによって冷却される。そして、モータ8は、モータケーシング10を介して冷却される。
【0027】
電動機組立体1は、冷却ファン30を覆うファンカバー26を備えている。また、ファンカバー26は、冷却ファン側カバー部材23を覆うように配置されており、冷却ファン側カバー部材23に固定されている。ファンカバー26は、冷却ファン30と軸方向で対向する吸込口26aを有している。また、ファンカバー26は、インバータフレーム22の外面に沿って空気を吐き出す吐出口26bを有している。
【0028】
冷却ファン側カバー部材23の外面には、複数の放熱フィン23bが形成されている。放熱フィン23bは、冷却ファン側カバー部材23から冷却ファン30に向かって軸方向立設している。また、放熱フィン23bは、
図2に示すように、駆動軸5を中心に、径方向に放射状に延びている。
【0029】
図1に戻り、インバータケース21の内部には、インバータ20が配置されている。インバータ20は、スイッチング素子やコンデンサなどの要素を含む発熱素子41と、この発熱素子41が実装された基板42と、を備えている。基板42は、冷却ファン側カバー部材23の内面に固定されている。冷却ファン側カバー部材23の内面は、基板42が載置される受け皿形状を有している。このような構造により、冷却ファン側カバー部材23には、基板42の放熱用および表面保護用の樹脂を充填することができる。
【0030】
モータ8およびインバータ20のそれぞれは発熱源である。したがって、これらモータ8およびインバータ20の放熱性を考慮した場合、モータフレーム11の材質およびインバータフレーム22の材質としては、熱伝導率の高いアルミニウムや鉄材を適用することが好ましい。
【0031】
図3は、一実施形態に係る冷却ファン30付近の電動機組立体1の拡大断面図である。
図4は、一実施形態に係る冷却ファン30の表側の斜視図である。
図5は、一実施形態に係る冷却ファン30の裏側の斜視図である。
図6は、
図4に示す矢視A-A断面図である。
これらの図に示すように、冷却ファン30は、ハブ31と、羽根32と、下板33(整流ガイド)と、裏羽根34と、を有している。本実施形態では、ハブ31、羽根32、下板33、及び、裏羽根34が、一体成形されている。この一体成形は、樹脂成形に限らず金属(鋳物など)であっても構わない。
【0032】
ハブ31は、
図3に示すように、円筒状に形成されており、駆動軸5の端部が挿入される挿入孔31aが形成されている。ハブ31の周面31b(外面)には、羽根32(表羽根)が設けられている。羽根32は、
図4に示すように、周方向に間隔をあけて複数設けられている。これら複数の羽根32は、ハブ31の周面31bから径方向外側に向かって放射状に延びている。
【0033】
図3に示すように、羽根32の下部(軸方向におけるインバータケース21側の端部)は、下板33に支持されている。下板33は、ハブ31の周面31bに設けられた円錐板である。下板33は、軸方向におけるハブ31の周面31bの中腹部からインバータケース21側に向かうに従って漸次拡径した形状を有している。この下板33は、貫通孔や切り欠きなどが無い平滑な円錐面を形成している。下板33の表面33a(インバータケース21と反対側の円錐面)は、上述した羽根32の下部と接続され、羽根32を支持している。
【0034】
下板33の裏側には、裏羽根34が設けられている。裏羽根34は、
図5に示すように、周方向に間隔をあけて複数設けられている。これら裏羽根34の周方向のピッチは、上述した表面33a側の羽根32と同じであるが、同じでなくても構わない。また、裏羽根34の枚数も、上述した表面33a側の羽根32と同じでなくても構わない。
【0035】
図6に示すように、裏羽根34は、下板33の外周端33cまで径方向に延びている。一方で、羽根32は、下板33の外周端33cまで径方向に延びていない。また、裏羽根34は、ハブ31の周面31bに対し、径方向で離間して設けられている。つまり、裏羽根34とハブ31との間には、径方向において隙間Sが形成されている。隙間Sは、冷却が必要な部位や冷却ファン30の回転抵抗を加味した寸法を有していると良い。
【0036】
また、裏羽根34は、下板33の裏側の空間33Bから軸方向に突出している。下板33の裏側の空間33Bとは、下板33の裏面33bによって囲まれた円錐状の空間を言う。つまり、裏羽根34は、下板33の裏面33bから軸方向に延び、下板33の裏側の空間33B(あるいは外周端33c)よりもインバータケース21側(
図3参照)に突出している。このような裏羽根34は、
図3に示すように、インバータ20の発熱素子41の少なくとも一部と軸方向で重なる位置で回転するようになっている。
【0037】
上記構成の冷却ファン30によれば、駆動軸5が回転すると、ハブ31に設けられた羽根32によって、
図1に示すファンカバー26の吸込口26aから空気が軸方向に吸い込まれ、その空気が羽根32から受ける遠心力によって径方向に吐出される。径方向に吐出された空気は、ファンカバー26の内面及び下板33の表面33a(円錐面)によって、インバータケース21の外面まで径方向に導かれ、ファンカバー26の吐出口26bからインバータフレーム22の放熱フィン22aに沿って軸方向に吐出される。
【0038】
下板33の裏側には、裏羽根34が設けられている。裏羽根34は、羽根32と共に回転し、下板33の裏側の空気を拡散させる。これによって、下板33とインバータケース21との間に熱が籠らないようになる。したがって、インバータ20の放熱性が低下してしまうことを抑制できる。また、裏羽根34が回転することで、下板33の裏側の空気に遠心力を与え、放射状に延びる放熱フィン23bの隙間を通って径方向に導くことができる。
【0039】
このように、上述した本実施形態によれば、モータ8の駆動軸5に取り付けられるハブ31と、ハブ31の周面31bに設けられた羽根32と、ハブ31の周面31bに設けられると共に、羽根32を表面33aで支持する円錐状の下板33と、下板33の裏側に設けられた裏羽根34と、を有する、という構成を採用することによって、冷却ファン30の下板33の裏側の空気を拡散させ、放熱性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、
図6に示すように、裏羽根34は、ハブ31の周面31bに対し、径方向で離間して設けられている。この構成によれば、裏羽根34のハブ31の周面31b付近の周速が遅く空気の拡散にあまり寄与しない部分による冷却ファン30の回転抵抗の増加を抑制できる。これによって、冷却ファン30を低負荷で回転できる。
【0041】
また、本実施形態では、裏羽根34は、下板33の外周端33cまで径方向に延びていている。この構成によれば、下板33の裏側で拡散させた空気を、裏羽根34によって、下板33の外周端33cよりも径方向外側に押し出し易くなる。このため、下板33とインバータケース21との間に熱が籠り難くなる。
【0042】
また、本実施形態では、裏羽根34は、下板33の裏側の空間33Bから軸方向に突出している。この構成によれば、下板33の裏側に、より多くの空気の流れを形成できる。このため、下板33とインバータケース21との間に熱がより籠り難くなる。
【0043】
図7は、比較例として、裏羽根34が下板33の裏側の空間33Bから軸方向に突出しない場合の空気の流れを示す解析図である。
図8は、実施例として、裏羽根34が下板33の裏側の空間33Bから軸方向に突出した場合の空気の流れを示す解析図である。
図7および
図8では、空気の流れをベクトルの大きさで表している。
図7では、下板33の裏側の空気の流れが少ないのに対し、
図8では、
図7に比べて下板33の裏側の空気の流れが多いことが明らかに見て取れる。このように、上記構成によれば、冷却ファン30の下板33の裏側の空気を拡散させる効果が向上する。
【0044】
また、本実施形態では、ハブ31、羽根32、下板33、及び、裏羽根34は、一体で成形されている。これによって、冷却ファン30の各部位および全体としての剛性を高めることができ、また、冷却ファン30を低コストで製造できる。
【0045】
また、本実施形態の電動機組立体1は、駆動軸5と、駆動軸5を回転させるモータ8と、内部にモータ8が配置されたモータケーシング10と、モータ8の動作を制御するインバータ20と、内部にインバータ20が配置され、駆動軸5が貫通するインバータケース21と、インバータケース21に隣接して配置され、駆動軸5の端部に固定された裏羽根34を有する冷却ファン30と、を有するため、冷却ファン30の下板33の裏側の空気を拡散させ、放熱性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、
図3に示すように、冷却ファン30の裏羽根34は、インバータ20の発熱素子41の少なくとも一部と軸方向で重なる位置で回転するため、発熱素子41の熱を、放熱フィン23bを介して効率よく冷却することができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0048】
例えば、
図9に示すように、裏羽根34に凹凸を形成しても構わない。
図9に示す裏羽根34の回転方向を向く板面には、凸部34aと凹部34bが径方向に交互に形成されている。この裏羽根34が回転すると、凹部34bに淀みや渦ができ、空気を拡散させやすくなる。なお、このような凹凸は、裏羽根34の正圧面側に設けてもよいし、裏羽根34の負圧面側に設け、カルマン渦のように回転方向後方に渦を形成しても構わない。
【0049】
また、例えば、上記実施形態では、冷却ファン30が取り付けられる回転機として、電動機を例示したが、発電機であっても構わない。
【符号の説明】
【0050】
1 電動機組立体
5 駆動軸
8 モータ(回転機)
10 モータケーシング
20 インバータ
21 インバータケース
30 冷却ファン
31 ハブ
31b 周面
32 羽根
33 下板
33a 表面(円錐面)
33B 空間
33c 外周端
34 裏羽根
41 発熱素子