(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】屋内位置認証方法、屋内位置認証システム、及び屋内位置認証装置
(51)【国際特許分類】
H04W 4/02 20180101AFI20230815BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20230815BHJP
G06F 21/44 20130101ALI20230815BHJP
H04W 4/33 20180101ALI20230815BHJP
H04W 12/104 20210101ALI20230815BHJP
H04W 12/63 20210101ALI20230815BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20230815BHJP
【FI】
H04W4/02
G01S5/14
G06F21/44
H04W4/33
H04W12/104
H04W12/63
H04W64/00 150
(21)【出願番号】P 2021085681
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】520129311
【氏名又は名称】LocationMind株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【氏名又は名称】竹居 信利
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【氏名又は名称】在原 元司
(72)【発明者】
【氏名】千野 孝一
(72)【発明者】
【氏名】桐谷 直毅
(72)【発明者】
【氏名】大平 亘
(72)【発明者】
【氏名】ソウロブ ランジット
(72)【発明者】
【氏名】ディネス マナンダー
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 亮介
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076044(JP,A)
【文献】特開2017-163467(JP,A)
【文献】特開2020-195073(JP,A)
【文献】国際公開第2009/096184(WO,A1)
【文献】特開2013-207720(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137971(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G06F 21/44
G01S 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内に配置される複数の無線機器であって、位置情報演算用の無線信号を送出する複数の無線機器を認証する工程、
前記認証した無線機器から受信した無線信号に基づき、位置情報を取得する端末装置から、当該位置情報の取得の基礎となった無線信号の送信元である前記認証された無線機器の数の情報を取得する工程、及び、
前記取得した無線機器の数の情報に基づいて、前記端末装置が取得した位置情報を認証する工程を含む屋内位置認証方法。
【請求項2】
屋内に配置される複数の無線機器と、
屋内に位置し、前記無線機器が送出する無線信号を受信する端末装置と、
前記無線機器及び端末装置に通信可能に接続される屋内位置認証装置と、を含む屋内位置認証システムであって、
前記無線機器は、位置情報取得用の無線信号を送出し、
前記端末装置は、前記無線機器から受信した無線信号に基づき、位置情報を取得する手段と、当該位置情報の取得の基礎となった無線信号の送信元である無線機器
のうち認証された無線機器を特定する情報を出力する手段と、を含み、
前記屋内位置認証装置は、
前記無線機器を認証する第1認証手段と、
前記端末装置から、当該端末装置における位置情報の取得の基礎となった無線信号の送信元である無線機器のうち、前記認証された無線機器の数の情報を取得する取得手段と、
前記取得した無線機器の数の情報に基づいて、前記端末装置が取得した位置情報を認証する第2認証手段と、
を含む屋内位置認証システム。
【請求項3】
請求項2に記載の屋内位置認証システムであって、
前記屋内位置認証装置の第2認証手段は、前記端末装置が取得した位置情報を認証する屋内位置認証システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の屋内位置認証システムであって、
前記無線機器は、配された位置において、屋外から位置情報の取得の基礎となる無線信号を受信可能なときには、当該無線信号を受信し、
当該受信した無線信号に基づいて、送出する無線信号を生成する屋内位置認証システム。
【請求項5】
屋内に配置される複数の無線機器と通信可能に接続された屋内位置認証装置であって、
位置情報取得用の無線信号を送出する前記複数の無線機器を認証する機器認証手段と、
前記認証した無線機器から受信した無線信号に基づき、位置情報を取得する端末装置から、当該位置情報の取得の基礎となった無線信号の送信元である前記認証された無線機器の数の情報を取得する手段と、
前記取得した無線機器の数の情報に基づいて、前記端末装置が取得した位置情報を認証する位置認証手段と、
を含む屋内位置認証装置。
【請求項6】
請求項5に記載の屋内位置認証装置であって、
前記認証した、端末装置が取得した位置情報を記録するとともに、当該記録した位置情報の履歴を保持しており、
当該保持している履歴が、前記端末装置の移動経路の推定処理、または当該移動経路に基づく課金処理に供される屋内位置認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内での位置を認証する屋内位置認証方法、屋内位置認証システム、及び屋内位置認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、全地球衛星測位航法システム(GNSS)を利用した位置測位技術において、デジタル署名により位置を認証する技術が特許文献1に開示されている。しかしながらこの特許文献1の技術では、衛星測位航法信号が届かない屋内では、位置の認証ができない。
【0003】
特許文献2には、子どもなど、個体の位置を追跡するシステムが開示されているが、この技術では位置追跡のために、このシステム専用の信号を送受する送信機や受信機を各所に配備する必要があり、配備コストが大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6425722号公報
【文献】特許第6373905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、上記従来の技術では、屋内における位置認証を行うことができていない。または位置認証を行うためには屋内での位置を取得するためのシステムを新たに導入する必要があって、配備コストが大きいという問題点があった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、比較的小さい配備コストで、屋内での位置認証を可能とする、屋内位置認証方法、屋内位置認証システム、及び屋内位置認証装置を提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来例の問題点を解決するための本発明の一態様は、屋内位置認証方法であって、屋内に配置される複数の無線機器であって、位置情報取得用の無線信号を送出する複数の無線機器を認証する工程、前記認証した無線機器から受信した無線信号に基づき、位置情報を取得する端末装置から、当該位置情報の取得の基礎となった無線信号の送信元である前記認証された無線機器の数の情報を取得する工程、及び、前記取得した無線機器の数の情報に基づいて、前記端末装置が取得した位置情報を認証する工程を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、屋内に既存の無線LANシステム等、無線通信可能な装置を用いて、屋内での屋内位置認証システムを構成でき、比較的小さい配備コストで、屋内での位置認証を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る屋内位置認証システムの構成例を表すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る屋内位置認証装置が利用するデータベースの内容例を表す説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る屋内位置認証装置の動作例を表すフローチャート図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る屋内位置認証装置と通信する無線送受信機の動作例を表すフローチャート図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る屋内位置認証システムのもう一つの構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態の一例に係る屋内位置認証システム1は、
図1に例示するように、駅の構内やデパートなどの施設、その他の、屋内に配置される少なくとも一つの無線送受信機100と、この無線送受信機100との間でネットワーク等を介して通信可能に接続される屋内位置認証装置200と、位置認証の対象となるユーザが所持するユーザデバイス300とを含んで構成される。
【0011】
無線送受信機100は、制御部101と、記憶部102と、インタフェース部103と、管理部104と、無線送受信部105とを含んで構成されている。
【0012】
制御部101は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部102に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態では、この無線送受信機100の制御部101は、機器認証処理と、位置認証処理とを実行する。
【0013】
具体的に制御部101は、屋内位置認証装置200から入力される指示に従って、機器認証処理を行う。また、この制御部101は、屋内位置認証装置200から入力される指示に従って、後に説明する無線送受信部105の通信可能エリアにあるユーザデバイス300との通信路の確立と切断とを制御する。これらの制御部101の詳しい動作は後に述べる。
【0014】
記憶部102は、制御部101によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムは、コンピュータ可読かつ非一時的な記録媒体に格納されて提供され、この記憶部102に複写されて格納されたものであってもよい。
【0015】
またこの記憶部102は、制御部101による処理で必要となる各種パラメータなどを保持し、制御部101のワークメモリとしても動作する。一例として、この記憶部102には、機器名(DeviceName)、機器識別子(ID)、屋内の所定のエリアに固有の識別情報(エリア識別情報:Area)、RSSI値、その他所定のフラグ情報や、データを互いに関連付けた個別データベースを保持する。
【0016】
ここで、個別データベースに記録されたエリア識別情報は、施設ごと、かつ、当該施設内の屋内を複数のエリアに分割したエリアごとに、それぞれに固有の情報として予め設定されているものとする。またここでのRSSI値は、この個別データベースを保持する無線送受信機100が、他の機器から受信した信号の強度を表すものであり、信号の送信元となった他の機器を識別する機器識別子に関連付けて記録される。 インタフェース部103は、ユーザからの情報入力を受け入れるインタフェースであり、一例として、指紋認証装置などの生体認証装置や、タッチセンサ、ディスプレイ等を含む。
【0017】
管理部104は、制御部101から入力される指示に従い、無線送受信部105が送受する無線信号を管理する。
【0018】
無線送受信部105は、GNSS信号、無線LAN信号、ブルートゥース(登録商標)信号、携帯電話通信網用信号(3G,4G,5G…等)などのうち、いずれかの無線信号を送受する。
【0019】
屋内位置認証装置200は、無線送受信機100との間でネットワークを介して種々の情報を送受するコンピュータ制御デバイスであり、プロセッサなどのプログラム制御デバイスと、ディスクデバイスやメモリデバイス等の記憶手段とを少なくとも備える。本実施の形態の一例では、この屋内位置認証装置200は、プロセッサの動作により、機器認証処理と、位置認証処理とを実行する。
【0020】
本実施の形態の一例において、この無線送受信機100は、屋内に配置された無線LANアクセスポイント、携帯電話通信基地局、あるいは各種のIoT機器であり得る。
【0021】
屋内位置認証装置200は、屋内に配置されている複数の無線送受信機100の制御を行う。この屋内位置認証装置200は、対象とする無線送受信機100との間で通信を行い、その位置を認証し、その通信を制御する。
【0022】
屋内位置認証装置200は、
図1に例示したように、制御部201と、記憶部202と、通信部203とを含んで構成される。
【0023】
制御部201は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部202に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態の制御部201は、機器認証処理と、位置認証処理とを実行する。これらの制御部201の動作については後に詳しく述べる。
【0024】
記憶部202は、制御部201によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムは、コンピュータ可読かつ非一時的な記録媒体に格納されて提供され、この記憶部202に複写されて格納されたものであってもよい。
【0025】
またこの記憶部202は、
図2に例示するように、この屋内位置認証装置200が通信する無線送受信機100を識別する情報(無線送受信機100に固有な情報であれば、名称や機器識別子、ネットワークアドレス等、どのようなものでもよい)と、当該無線送受信機100が配置されている屋内のエリアに固有の識別情報(エリア識別情報)と、無線送受信機100が認証された状態となっているか否か(「マスターである」か否か)とを少なくとも互いに関連付けて保持する機器データベースを保持する。なお、このデータベースではさらに、種々のデータ(Data)や、設置された位置が固定された無線送受信機100に関しては、エリア内における当該設置位置を特定する情報(設置している店舗を特定する情報等)などがさらに関連付けられてもよい。
【0026】
通信部203は、ネットワークインタフェース等であり、制御部201から入力される指示に従って、各無線送受信機100との間で情報を送受する。
【0027】
ユーザデバイス300は、携帯電話端末等であり、ユーザが所持して移動可能なものであるとする。
【0028】
[機器認証処理]
次に、無線送受信機100の制御部101及び屋内位置認証装置200の制御部201による機器認証処理について説明する。本実施の形態の一例では、施設等の屋内に配置された無線送受信機100は、そのn台以上(nは2以上の整数)が、相互に通信が可能であるか否かによってその位置の正当性を認証する。例えば3台の無線送受信機100が相互に通信可能であるときに、これらの無線送受信機100は同じ屋内に配置されていると認証する。
【0029】
そこで本実施の形態では、無線送受信機100と屋内位置認証装置200との制御部101,201は、所定のタイミングごとに繰り返して次の機器認証処理を実行する。
【0030】
すなわち、屋内位置認証装置200の制御部201は、
図3に例示するように、カウンターiを「0」にリセットし(S10)、記憶部202のデータベースに格納された情報で特定される無線送受信機100のそれぞれを順次選択しつつ、次の処理を繰り返して行う。
【0031】
制御部201は、カウンターNを「0」にリセットして、選択した無線送受信機100(以下、注目無線送受信機と呼ぶ)を識別する情報と、この情報に関連付けられた、エリア識別情報を含む種々の情報(「マスターである」か否かなどのフラグ情報などを含んでもよい)を、注目無線送受信機に送出して、当該情報をブロードキャストさせる(ブロードキャストの指示:S11)。このブロードキャストは、無線送受信機100の無線送受信部105の無線信号が無線LANアクセスポイント、携帯電話通信基地局、などのうちいずれであるかによって異なる方式で行われる。
【0032】
このとき、制御部201は、注目無線送受信機に対応して機器データベースに格納されているフラグ情報を「オフ」(「マスターでない」旨を表す情報)に、一時的に設定してもよい。
【0033】
制御部201は、注目無線送受信機がブロードキャストした情報を受信した、注目無線送受信機以外の無線送受信機100から、当該受信した情報を受け入れる(S12)。なお、後に説明するが、注目無線送受信機がブロードキャストした情報を受信した注目無線送受信機以外の無線送受信機100は、当該受信した情報とともに、注目無線送受信機からの受信信号の強度を表すRSSI情報を屋内位置認証装置200へ送信しているものとする。このときそして制御部201は、当該受け入れた情報と、ステップS11で送出した情報とを対比する(S13)。具体的に制御部201は、ステップS11で送出した情報と、ステップS12で受け入れた情報とのそれぞれに含まれるエリア識別情報が一致するかを調べ、これらが一致するときに、カウンターNを「1」だけインクリメントして(S14)、このカウンターNが所定の2以上の整数しきい値n(例えばn=2でよい)以上となったか否かを判断する(S15)。ここで、カウンターNが当該所定の整数しきい値n以上となっていれば、制御部201は、機器データベースに格納された情報のうち、注目無線送受信機を識別する情報に関連付けられている、フラグ情報を「オン」(「マスターである」旨を表す情報)に書き換えて機器データベースを更新し、カウンターiを「1」だけインクリメントする(S16)。
【0034】
そして制御部201は、当該カウンターiの値が、認証するべき無線送受信機の数として予め定められた値P(以下、機器認証しきい値と呼ぶ。この機器認証しきい値Pは例えば3以上の整数としておく)以上となっているか否かを調べ(S17)。当該カウンターiの値が機器認証しきい値P以上であれば、処理を終了する、
【0035】
一方、制御部201は、ステップS17において、カウンターiの値が機器認証しきい値未満であるときには、次の無線送受信機100を注目無線送受信機として選択し、ステップS11に戻って処理を続ける。
【0036】
また制御部201は、ステップS15において、カウンターNが当該所定の整数しきい値n未満であるときには、ステップS12に戻り、さらに別の無線送受信機100からの情報の受信を待機する。
【0037】
さらに制御部201は、ステップS12での待機時間が予め定めた時間を超えたとき、あるいはステップS13において、ステップS11で送出した情報と、ステップS12で受け入れた情報とのそれぞれに含まれるエリア識別情報が一致しない場合には、ステップS12からS14の繰り返し処理を終了し、次の無線送受信機100を注目無線送受信機として選択し、ステップS11に戻って処理を続ける。
なお、機器データベースに登録されているすべての無線送受信機100を順次注目無線送受信機として選択してステップS11からS17の処理を行ったならば、制御部201は、処理を終了する。
【0038】
さらに、屋内位置認証装置200が、互いに異なるエリア識別情報で識別される複数のエリアの無線送受信機100を制御の対象としている場合には、屋内位置認証装置200は、それぞれのエリアに係る無線送受信機100に対して上記の処理を実行する。
【0039】
一方、この屋内位置認証装置200とともに動作する無線送受信機100の制御部101は、他の、互いに異なる複数の無線送受信機100がブロードキャストして自己が受信したエリア識別情報のうち、最も数の多いエリア識別情報を記憶部102に、自己が所在するエリアのエリア識別情報として格納する。またこの制御部101は、
図4に例示するように、屋内位置認証装置200からエリア識別情報などを受信すると(S21)、受信した情報に含まれるエリア識別情報と、自身の記憶部102に格納されているエリア識別情報とを比較する(S22)。屋内位置認証装置200は、これらが不一致である場合は、無線送受信機100が不正に移動されている可能性があるので、以下の処理を中断する。
【0040】
一方、ステップS22で、受信した情報に含まれるエリア識別情報と、自身の記憶部102に格納されているエリア識別情報とが一致していたならば、ステップS21で受信した情報を無線にて周囲にブロードキャストする(S23)。
【0041】
また、無線送受信機100の制御部101は、他の無線送受信機100がブロードキャストする情報を受信すると、当該情報と、当該情報を受信したときの無線の信号の強度の情報とを、予め定められている、屋内位置認証装置200に対して送出する。
【0042】
これらの動作により、屋内位置認証装置200は、無線送受信機100のうち、予め登録されたエリア内にあるものを、エリアごとに少なくともP(Pは3以上の整数)台ずつ見出して、認証した無線送受信機100(マスター送受信機)として記録する。
【0043】
[機器認証状態の時間的変化]
マスター送受信機となった無線送受信機100が、永続的にマスター送受信機として機能できるとは限らない。例えば無線送受信機100が店舗に備えられている場合、当該店舗が閉店したときに無線送受信機100の電源が落とされてしまう場合もあり得る。
【0044】
本実施の形態では、既に述べたように、無線送受信機100の機器認証処理を、所定のタイミングごと(例えば10分ごと、など)に繰り返して実行することで、マスターとなる送受信機100をできるだけ確保し、本実施の形態のシステムの可用性を向上している。
【0045】
例えば、4台の無線送受信機100a,100b,100c,100dが所在するエリアにおいて、3台の無線送受信機100a,100b,100cがマスター送受信機として記録されているものとする。この状況において、無線送受信機100aが、何らかの原因で通信不能となった場合、次の機器認証処理のタイミングにおいて、屋内位置認証装置200が送出したブロードキャストの指示(
図3のステップS11)に対し、無線送受信機100aは応答しないが、他の無線送受信機100b,100c,100dは、この指示に応答して順次、これらの無線送受信機100が所在するエリアを識別するエリア識別情報を含む情報をブロードキャストする。
【0046】
すると、ここでの例では無線送受信機100bがブロードキャストした情報は、無線送受信機100c,100dによって受信されるので、無線送受信機100c,100dがそれぞれ屋内位置認証装置200に対して受信した情報を送出する。屋内位置認証装置200は、これら無線送受信機100c,100dが受信した情報を参照し、無線送受信機100bがブロードキャストした情報と一致していることを確認すると、無線送受信機100bによってブロードキャストされた情報が、2以上の他の(無線送受信機100b以外の)無線送受信機100c,100dによって受信されていることを以て、無線送受信機100bを認証された、マスター送受信機として記録する。
【0047】
以下同様に、無線送受信機100cがブロードキャストした情報は、無線送受信機100b,100dによって受信され、無線送受信機100dがブロードキャストした情報は、無線送受信機100b,100cによって受信されるので、屋内位置認証装置200が、3台の無線送受信機100a,100b,100cをマスター送受信機として記録することとなる。
【0048】
屋内位置認証装置200は、これにより、当該無線送受信機100a,100b,100c,100dが所在するエリアにおける位置認証処理(以下に説明する)の可用性を維持する。
【0049】
[位置認証処理]
次に、ユーザが所持するユーザデバイス300の位置認証処理について説明する。本実施の形態では、ユーザデバイス300は、位置認証処理用のアプリケーションプログラムを実行し、無線送受信機100が機器認証処理などの過程で、屋内位置認証装置200からの指示によりブロードキャストする、エリア識別情報と、「マスターである」か否かなどのフラグ情報などの情報を受信する。
【0050】
ユーザデバイス300は、当該受信した情報を蓄積して保持する。具体的にこのユーザデバイス300は、スマートフォン等であり、ブロードキャストされた信号を受信し、当該受信した信号を復調して、ブロードキャストされた情報を取り出す。そしてユーザデバイス300は、、無線送受信機100を識別する情報をキーとして、当該取り出した情報(受信した情報)を蓄積して記録する。またこのときユーザデバイス300は、ブロードキャストされた情報の発信元である無線送受信機100を識別する情報に関連付けて、当該無線送受信機100から受信した、ブロードキャストされた信号の信号受信強度(RSSI値)を、併せて記録してもよい。
【0051】
ユーザデバイス300は、最後に受信した情報に含まれるエリア識別情報が、現在自身が所在するエリアを識別する情報(所在エリア情報)であるものと推定して、当該所在エリア情報に一致するエリア識別情報を含み、互いに異なる無線送受信機100を識別する情報に関連付けられている情報を、上記記録した情報のうちから読み出す。
【0052】
ユーザデバイス300は、当該読み出した情報に含まれる、「マスターである」か否かを表すフラグ情報を参照し、互いに異なる無線送受信機100を識別する情報に関連付けられ、かつフラグ情報がマスターであることを表す状態となっている情報(証明情報と呼ぶ)の数Nをカウントする。
【0053】
ユーザデバイス300は、この数Nが予め定めたしきい値(このしきい値は機器認証しきい値以上とする。ここでの説明では「3」としておく)未満であるときには、無線送受信機100がブロードキャストする情報を受信する処理から繰り返す。
【0054】
また、この数Nが、上記しきい値以上となったときには、ユーザデバイス300は、証明情報の少なくとも一部(例えばN個の無線送受信機100を識別する情報の組、あるいは当該N個の無線送受信機100を識別する情報と、それぞれに関連付けて記録したRSSI値の組)を記録する。この記録は、ユーザデバイス300が、所在エリア情報で示されるエリアに所在していたことを示す情報となる。またユーザデバイス300は、ここで証明情報に含まれるエリア識別情報で識別されるエリアに所在していると判断する(位置情報を取得する)。
【0055】
なお、ユーザデバイス300は、ここで記録した情報(N個の無線送受信機100を識別する情報やそれぞれに関連付けて記録されたRSSI値の組)を、ユーザデバイス300を識別する情報とともに、屋内位置認証装置200等、外部のサーバに送出して記録させてもよい。この情報を受けた外部のサーバは、ユーザデバイス300を識別する情報(例えばユーザデバイス300の電話番号などでよい)に、証明情報の少なくとも一部(例えばN個の無線送受信機100を識別する情報の組)を関連付けて記録しておく。
【0056】
一例として、ユーザデバイス300が、N個の無線送受信機100を識別する情報とそれぞれに関連付けて記録されたRSSI値の組を屋内位置認証装置200に送出する場合、屋内位置認証装置200は、次のように動作してもよい。
【0057】
すなわち、この例の屋内位置認証装置200は、機器データベースに各無線送受信機100のエリア内での設置位置の情報を保持しているものとする。そして屋内位置認証装置200は、ユーザデバイス300から受信した情報に基づき、当該情報の送信元であるユーザデバイス300が、当該情報に含まれる情報で識別される各無線送受信機100からそれぞれどの程度の距離に存在するかを対応するRSSI値から推定し、エリア内でのユーザデバイス300の位置推定を行うこととしてもよい。
【0058】
[疑似ランダム情報]
さらに本実施の形態の一例では、屋内位置認証装置200は、無線送受信機100に対してのブロードキャストの指示に、無線送受信機100を識別する情報等とともにブロードキャストするべき情報として、疑似的にランダムな値の情報を含めてもよい。この疑似的にランダムな値は、何らかの乱数により決定したものであってもよいし、予め定められた秘密鍵により暗号化された時刻情報(屋内位置認証装置200が計時する時刻情報)等であってもよい。
【0059】
そして無線送受信機100は、ブロードキャストを行う際に、エリア識別情報と、「マスターである」か否かなどのフラグ情報などとともに、当該疑似的にランダムな値をブロードキャストする。
【0060】
屋内位置認証装置200は、ブロードキャストを指示した無線送受信機100を識別する情報に関連付けて、この疑似的にランダムな値を格納して記録しておく。
【0061】
ユーザデバイス300等は、無線送受信機100がブロードキャストする、この疑似的にランダムな値も受信し、上記記録する情報に、証明情報に含まれる疑似的にランダムな値を含める。この例では、ユーザデバイス300の所在位置を後に認証する際に、記録された情報と、屋内位置認証装置200が、対応する時点で発した疑似的なランダムな値とが一致するか否かを確認することで、記録された情報の信頼性を向上できる。
【0062】
[動作]
本実施の形態の一例に係る屋内位置認証システム1は、基本的に以上の構成を備えており、次のように動作する。
【0063】
以下の例では、位置認証の対象となる屋内のエリアには、当該エリア内で無線にて情報を送受可能な無線送受信機100が複数配されているものとする。またこの無線送受信機100は、屋内位置認証装置200との間で通信可能に接続されているものとする。
【0064】
屋内位置認証装置200には、予め、各エリアに対応する無線送受信機100について、当該無線送受信機100を識別する情報と、当該無線送受信機100が配置されているエリアに固有なエリア識別情報と、当該無線送受信機100が認証された状態となっているか否か(「マスターである」か否か)を表すフラグ情報とを少なくとも互いに関連付けたデータベースを保持している。
【0065】
この状態で屋内位置認証装置200は、所定のタイミングごとに繰り返して、無線送受信機100に係る機器認証処理を実行する。この処理では、エリアごとに、データベースに格納された情報で特定される無線送受信機100のそれぞれを順次選択しつつ、次の処理を繰り返して行う。
【0066】
屋内位置認証装置200は選択した無線送受信機100を注目無線送受信機として、この注目無線送受信機を識別する情報と、この情報に関連付けられた、エリア識別情報と、「マスターである」か否かなどのフラグ情報などとを、ブロードキャストの指示として注目無線送受信機に送出する。なお、屋内位置認証装置200は、このとき、データベースの無線送受信機100に係るフラグ情報をオフ(「マスターでない」)としておく。
【0067】
注目無線送受信機は、屋内位置認証装置200からブロードキャストの指示を受けると、当該指示に含まれるエリア識別情報と、自身の記憶部102に格納されているエリア識別情報とを比較する。そして注目無線送受信機は、これらが一致する場合に、指示に従って、受信した、注目無線送受信機を識別するする情報とエリア識別情報と、「マスターである」か否かなどのフラグ情報などとをブロードキャストにより送出する。ここでブロードキャストの方法は、無線送受信機100の通信方式により異なるものであるが、宛先を限定せずに、当該通信方式に対応する受信能力を有する装置であれば受信可能となっているものであれば、どのような方法であってもよい。
【0068】
注目無線送受信機が配置されているエリアと同じエリアに配置された、注目無線送受信機とは異なる他の無線送受信機100(便宜的に受信側装置と呼ぶ)は、注目無線送受信機がブロードキャストした情報を受信すると、当該受信した情報と、当該情報を受信したときの無線の信号の強度の情報とを、予め定められている、屋内位置認証装置200に対して送出する。
【0069】
屋内位置認証装置200は、受信側装置から、当該受信側装置が注目無線送受信機から受信した情報と、その信号強度の情報とを受け入れるごとに、注目無線送受信機から受信した情報として受信側装置から受け入れた情報と、先に注目無線送受信機に送出した情報とを比較する。そしてこれらが一致するとした受信側装置の数Nをカウントし、このカウント値Nが予め定めたしきい値n(例えばn=2)以上となったときに、データベースにおける注目無線送受信機を識別する情報に関連付けられたフラグ情報を、オンに設定する。
【0070】
この処理により、エリアごとに配置された無線送受信機100は、所定の数以上の他の無線送受信機100との間で、相互に通信が可能である場合にマスターとして登録され、認証された状態となる。
【0071】
屋内位置認証装置200は、エリアごとに、マスターとなっている無線送受信機100の数が予め定めた台数(例えば3台)未満とならないよう、上記の処理を定期的に繰り返して行うこととする。
【0072】
また、これら無線送受信機100が配置されたエリアに所在するユーザデバイス300は、無線送受信機100が機器認証処理などの過程で、屋内位置認証装置200からの指示によりブロードキャストする、エリア識別情報と、「マスターである」か否かなどのフラグ情報などの情報を受信する。
【0073】
ユーザデバイス300は、受信した情報を、無線送受信機100を識別する情報をキーとして蓄積して格納する。
【0074】
またユーザデバイス300は、最後に受信した情報に含まれるエリア識別情報が、現在自身が所在するエリアを識別する情報(所在エリア情報)であるものと推定して、当該所在エリア情報に一致するエリア識別情報を含み、互いに異なる無線送受信機100を識別する情報に関連付けられている情報を、蓄積している情報のうちから読み出す。
【0075】
そしてユーザデバイス300は、当該読み出した情報に含まれる、「マスターである」か否かを表すフラグ情報を参照し、互いに異なる無線送受信機100を識別する情報に関連付けられ、かつフラグ情報がマスターであることを表す状態となっている証明情報の数Nをカウントする。
【0076】
ユーザデバイス300は、この数Nが予め定めたしきい値(このしきい値は3以上とする。ここでの説明では「3」としておく)未満であるときには、無線送受信機100がブロードキャストする情報を受信する処理から繰り返して実行する。
【0077】
また、この数Nが、上記しきい値以上となったときには、ユーザデバイス300は、証明情報の少なくとも一部(例えばN個の無線送受信機100を識別する情報の組)を、記録する。この記録は、ユーザデバイス300が、所在エリア情報で示されるエリアに所在していたことを示す情報として、例えば、後日利用できる。
【0078】
[実施形態の効果]
本実施の形態によると、無線LANシステムなど、屋内に既存のシステムを利用して、そのアクセスポイントのソフトウエアを更新することで位置認証のシステムを構成でき、比較的低い配備コストで、ユーザのデバイス等の屋内での位置を認証することが可能となる。
【0079】
[NFCカード等の位置を認証する例]
また、本実施の形態の屋内位置認証システム1は、
図5に例示するように、近接通信型のカードの位置を認証する場合にも利用できる。
【0080】
この
図5に示す例では、NFCカードCから情報を読み取る、NFCカードリーダ装置400を、無線送受信機100との間で通信可能なエリアに配置する。各NFCカードリーダ装置400には予め、それぞれに固有のリーダ識別子が設定されているものとする。このNFCカードリーダ装置400は、例えば電車の駅に設置される自動改札装置でよい。
【0081】
また、この例では、屋内位置認証装置200は、無線送受信機100に係る情報を保持する機器データベースのほかに、このNFCカードリーダ装置400について、リーダ識別子と、当該リーダ識別子で識別されるNFCカードリーダ装置400が設置されているエリアのエリア識別情報とを互いに関連付けて記録したリーダデータベースと、NFCカードごとに、その所在エリアを識別する情報を記録するためのカードデータベースとを保持する。
【0082】
NFCカードリーダ装置400は、既に説明したユーザデバイス300の位置認証処理と同様の処理により、NFCカードリーダ装置400自身が所在するエリアのエリア識別情報を取得する。NFCカードリーダ装置400は、自己を識別するリーダ識別子と取得したエリア識別情報とを屋内位置認証装置200に送出して、リーダデータベースに関連付けて記録させる。
【0083】
またこのNFCカードリーダ装置400は、接触したNFCカードCの識別情報(カード識別情報)を読み出すと、NFCカードリーダ装置400自身を識別するリーダ識別子と、当該読み出したカード識別情報とを、屋内位置認証装置200に対して送出する。
【0084】
屋内位置認証装置200は、NFCカードリーダ装置400から当該NFCカードリーダ装置400自身を識別するリーダ識別子と、当該NFCカードリーダ装置400が読み出したカード識別情報とを受信すると、リーダデータベースを参照して、当該NFCカードリーダ装置400に関連付けられたエリア識別情報を取得する。
【0085】
また屋内位置認証装置200は、カード識別情報に対して、ここで取得したエリア識別情報と、このエリア識別情報で識別されるエリアに所在していたことが認証されていないことを表すフラグ(オフとしたフラグ)情報とを関連付けて、カードデータベースに格納する。
【0086】
そして屋内位置認証装置200は、機器データベースから、上記取得したエリア識別情報に関連付けられた無線送受信機100を識別する情報であって、フラグ情報が「オン」となっている(認証された状態にある)無線送受信機100を識別する情報を検索する。屋内位置認証装置200は、検索により見出された無線送受信機100を識別する情報の数が、予め定めたしきい値(例えば「3」)以上であるか否かを調べる。ここで、検索により見出された無線送受信機100を識別する情報の数が、予め定めたしきい値であれば、屋内位置認証装置200は、先にカードデータベースに記録した、NFCカードリーダ装置400から受信したカード識別情報に係る情報のうち、認証されたか否かを表すフラグ情報をオン(認証されたことを表す状態)に変更して上書き更新する。
【0087】
つまり本実施の形態では、NFCカードリーダ装置400にかざしたNFCカードCについて、その所在エリアの情報が、NFCカードリーダ装置400の所在する(認証された)エリア識別情報に設定される。さらに、NFCカードCをかざした時点で、当該エリア識別情報で識別されるエリアにおいて、NFCカードリーダ装置400の所在エリアを認証するためのマスターとなっている(所在位置が認証されている)無線送受信機100の数が例えば3以上であることを条件として、当該NFCカードリーダ400が所在しているエリアが認証され、当該NFCカードリーダ400により読み取られたNFCカードCが、当該NFCカードリーダ400が所在しているエリアに所在していることが認証された状態となる。
【0088】
なお、ここでNFCカードリーダ装置400は、自動改札装置であるものとしたが、NFCカードリーダ装置400は、自動改札装置でなくても、例えば自動販売機であってもよい。
【0089】
[データベースの履歴]
また本実施の形態の屋内位置認証システム1では、屋内位置認証装置200は、機器データベースやリーダデータベース、カードデータベース等、種々のデータベースの更新(コミット)の履歴を保持してもよい。そして、この履歴は、ユーザデバイス300等の移動経路の推定処理、さらには当該移動経路に基づく課金処理に供されてもよい。
【0090】
この例に係る屋内位置認証装置200を備えた屋内位置認証システム1は、例えば鉄道等における改札システムとして利用できる。具体的に、この例では予め本実施の形態において利用するエリア識別情報と、改札システムにおいて利用される駅改札等の位置を表す情報とを互いに関連付けるデータベース(位置情報変換データベース)が予め用意される。
【0091】
例えば、ある例では、位置情報変換データベースは、
エリア識別情報:改札などを特定する情報
800:JR東_東北新幹線_東京駅改札
801:JR東_東北新幹線_東京駅新幹線ホーム
802:JR東_東北新幹線_大宮駅改札
…
といったように設定される。
【0092】
この例においてユーザデバイス300(識別情報を「300」とする)を所持した、本実施の形態の屋内位置認証システム1のユーザが、東京駅の東北新幹線改札に近接すると、データベースには、
デバイスの識別情報:エリア識別情報:認証:…
100a:800:オン:…
100b:800:オン:…
100c:800:オン:…
300:800:オン:…
101a:801:オン:…
…
といった情報が記録されている状態となる。このとき屋内位置認証装置200はデータベースの更新確定の記録として、
デバイスの識別情報:エリア識別情報:認証:…
300:800:オン…
という記録を格納する。
【0093】
この記録は、ユーザデバイス300が、3つの認証された(マスターとなっている)無線送受信機100が所在するエリア識別子「800」のエリアに所在していることが認証された状態を表している。
【0094】
また、ユーザが新幹線ホームに移動すると、データベースの記録は、
デバイスの識別情報:エリア識別情報:認証:…
…
100c:800:オン:…
300:801:オン:…
101a:801:オン:…
…
といったように更新して確定される。このとき、ユーザデバイス300に係る更新確定の記録は、
デバイスの識別情報:エリア識別情報:認証:…
300:800:オン…
300:801:オン…
といったように変化する。
【0095】
次いで、ユーザが仙台駅(改札のエリア識別情報が805、ホームのエリア識別情報が806であるとする)に到着して新幹線から降車すると、屋内位置認証装置200によりデータベースが更新されて、データベースの記録は、
デバイスの識別情報:エリア識別情報:認証:…
…
100x:806:オン:…
300:806:オン:…
…
といったように更新して確定される。このとき、ユーザデバイス300に係る更新確定の記録は、
デバイスの識別情報:エリア識別情報:認証:…
300:800:オン…
300:801:オン…
300:806:オン…
といったように変化する。
【0096】
そしてユーザが仙台駅の改札を通過するとき、この改札近傍のエリアに所在したことが認証されるので、データベースは、屋内位置認証装置200により更新されて、
…
100y:805:オン:…
300:805:オン:…
…
となり、ユーザデバイス300に係る更新確定の記録は、
デバイスの識別情報:エリア識別情報:認証:…
300:800:オン…
300:801:オン…
300:806:オン…
300:805:オン…
といったように変化する。
【0097】
これにより、ユーザが東京駅改札→東京駅新幹線ホーム→仙台駅新幹線ホーム→仙台駅改札などと移動したことが認証されることとなる。
【0098】
またこの更新確定の履歴の記録においてエリア識別情報を、位置情報変換データベースを参照して改札システムの位置の情報に変換すれば、ユーザが東京駅の新幹線改札から入札して乗車し、仙台駅改札を出札したことが認証されるため、鉄道会社等が、課金等の処理に用いることも可能となる。
【0099】
つまり本実施の形態では、改札として自動開扉装置等やNFCカードリーダ装置等を備えたシステムを用いることなく、運賃の演算、請求が可能となる。なお、このシステムを利用したことも明確となるため、本実施の形態のシステムを利用した場合に限って運賃の割引を行うなどのインセンティブを、ユーザに与えることも可能となる。
【0100】
なお、既に述べたように、本実施の形態においてユーザデバイス300は、従来から一般的なスマートフォン等の携帯端末を利用することも可能である。すなわち、本実施の形態の屋内位置認証システムを利用するためには、ユーザデバイス300は、何らかの無線通信機能を備えていればよく、他にインフラの整備などの必要はない。
【0101】
[変形例]
なお、ここまでの説明では、位置を認証するための、同じエリア識別子で識別されるエリアに所在し、相互に通信可能な無線送受信機100の数に関するしきい値は、無線送受信機100の無線通信の方式によらないものとして説明していたが、本実施の形態はこれに限られない。
【0102】
例えば、無線送受信機100が携帯電話通信基地局であれば不正な移動が困難であると想定されることから、この場合のしきい値は、無線LANアクセスポイントのような不正な移動が可能である機器よりも小さい値としてよい。
【符号の説明】
【0103】
1 屋内位置認証システム、100 無線送受信機、101 制御部、102 記憶部、103 インタフェース部、104 管理部、105 無線送受信部、200 屋内位置認証装置、201 制御部、202 記憶部、203 通信部、300 ユーザデバイス、400 NFCカードリーダ装置。