(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】環境発電モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H02S 30/10 20140101AFI20230816BHJP
【FI】
H02S30/10
(21)【出願番号】P 2019108909
(22)【出願日】2019-06-11
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】吉原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】松尾 孝敏
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-246209(JP,A)
【文献】特開2011-114257(JP,A)
【文献】特開2011-155218(JP,A)
【文献】国際公開第2012/128342(WO,A1)
【文献】特開2016-131421(JP,A)
【文献】特開2013-120772(JP,A)
【文献】特開平11-135813(JP,A)
【文献】特開2014-043766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0090678(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01L 31/18-31/20
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境発電素子と、
前記環境発電素子の周縁部に配置されるフレームと、
前記環境発電素子と前記フレームとの間に配置され、前記環境発電素子と前記フレームとを接着している接着部材とを備え、
前記フレームは、
前記環境発電素子の平面部を支持する支持面と、
前記支持面から垂直方向に延び、前記環境発電素子の前記フレームに対する位置を決めるガイド面と、
前記ガイド面から、前記環境発電素子の側面から離れる方向に傾斜して延びる傾斜面と、を有
し、
前記フレームは、上側フレームと下側フレームとを含み、
前記上側フレームは、前記下側フレームの支持面に載置された前記環境発電素子を上側から挟み込んでおり、
前記上側フレーム及び前記下側フレームは、それぞれ嵌合部を有し、
前記上側フレームの嵌合部と前記下側フレームの嵌合部とが嵌合するように構成されている、環境発電モジュール。
【請求項2】
請求項
1に記載の環境発電モジュールにおいて、
前記ガイド面の高さは、前記環境発電素子の厚みの1/10以上且つ1/2未満である、環境発電モジュール。
【請求項3】
環境発電素子と、前記環境発電素子の周縁部に配置される上側フレーム及び下側フレームと、を備える環境発電モジュールの製造方法であって、
前記上側フレーム及び下側フレームは、それぞれ、
前記環境発電素子の平面部を支持する支持面と、
前記支持面から垂直方向に延び、前記環境発電素子の前記フレームに対する位置を決めるガイド面と、
前記ガイド面から、前記環境発電素子の側面から離れる方向に傾斜して延びる傾斜面と、を有し、
前記製造方法は、
前記下側フレームの支持面に前記環境発電素子を載置するステップと、
前記下側フレームの傾斜面と、前記環境発電素子の側面との間に接着部材を塗布するステップと、
前記上側フレームを前記下側フレームに嵌合させて、前記上側フレームと前記下側フレームとで前記環境発電素子を挟み込むステップと、を含む、環境発電モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境発電モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商用電源を得られない外出先などでも電力を供給できるように、外部環境に応じた電力を発電する携帯型の環境発電モジュールの需要が高まっている。このような環境発電モジュールとしては、例えば、太陽光等の光エネルギーを用いて発電する太陽電池を備える太陽電池モジュールが挙げられる。
【0003】
環境発電モジュールは、例えば太陽電池パネルのような環境発電素子の周縁部をフレームで覆う構成とすることで、耐衝撃性を向上させることができる。
【0004】
この際、単にフレームに環境発電素子を嵌め込むだけでなく、環境発電素子とフレームとを接着剤のような接着部材で接着させることで、環境発電素子とフレームとをより強固に結合させることができる。
【0005】
例えば、特許文献1には、接着剤を塗布した下枠に太陽電池モジュール本体を配置して、太陽電池モジュール本体と下枠とを接着させる発明が開示されている。
【0006】
また、例えば、特許文献2には、嵌合溝を有するフレーム本体の嵌合溝に接着剤を塗布し、その嵌合溝に太陽電池パネルを挿入して、太陽電池パネルとフレーム本体とを接着させる発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-126071号公報
【文献】特開2012-195483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の発明は、太陽電池モジュール本体と下枠とを接着させる際に接着剤をはみ出させ、はみ出した接着剤を除去する工程を有する。そのため、本来必要な分よりも余分に接着剤を塗布しており、はみ出した分の接着剤が無駄となっていた。
【0009】
特許文献2に記載の発明は、嵌合溝に太陽電池パネルを挿入する際に太陽電池パネルがどの位置まで挿入されるかが不定であるため、太陽電池パネルがどこまで挿入されたかに依存して、嵌合溝と太陽電池パネルとの間の接着剤の広がり具合がばらついていた。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、適量の接着部材を適切な位置に配置することが可能な環境発電モジュール及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の環境発電モジュールは、環境発電素子と、前記環境発電素子の周縁部に配置されるフレームと、前記環境発電素子と前記フレームとの間に配置され、前記環境発電素子と前記フレームとを接着している接着部材とを備え、前記フレームは、前記環境発電素子の平面部を支持する支持面と、前記支持面から垂直方向に延び、前記環境発電素子の前記フレームに対する位置を決めるガイド面と、前記ガイド面から、前記環境発電素子の側面から離れる方向に傾斜して延びる傾斜面と、を有する。このような構成とすることで、本発明の環境発電モジュールは、ガイド面によって、環境発電素子のフレームに対する位置を決定することができる。また、本発明の環境発電モジュールは、環境発電素子の側面と、フレームの傾斜面とで囲まれた空間を有する。従って、本発明の環境発電モジュールは、適量の接着部材を適切な位置に配置することができる。
【0012】
ここで、本発明の環境発電モジュールにおいて、前記フレームは、上側フレームと下側フレームとを含み、前記上側フレームは、前記下側フレームの支持面に載置された前記環境発電素子を上側から挟み込んでいることが好ましい。このように、フレームが上側フレームと下側フレームとに分かれている構成とすることで、環境発電モジュールを製造する際に、下側フレームの傾斜面と環境発電素子の側面との間の空間に塗布された接着部材の量を、上側フレームに遮られずに上方から確認することができる。従って、適量の接着部材を適切な位置に塗布することがさらに容易となる。
【0013】
また、本発明の環境発電モジュールにおいて、前記上側フレーム及び前記下側フレームは、それぞれ嵌合部を有し、前記上側フレームの嵌合部と前記下側フレームの嵌合部とが嵌合するように構成されていることが好ましい。このような構成とすることで、下側フレームと上側フレームとを強固に結合させることができる。
【0014】
また、本発明の環境発電モジュールにおいて、前記ガイド面の高さは、前記環境発電素子の厚みの通常1/10以上且つ1/2未満であり、1/5以上且つ2/5以下であることが好ましい。このような構成とすることで、環境発電素子のフレームに対する位置の精度を向上でき、塗布された接着部材の保持が容易となる。これにより、接着部材が環境発電素子の側面部に適切に接するので、接着強度が向上し、また、接着部材による環境発電モジュール端面の防水・気密性など封止状態が向上することとなる。
【0015】
また、本発明の環境発電モジュールの製造方法は、環境発電素子と、前記環境発電素子の周縁部に配置される上側フレーム及び下側フレームと、を備える環境発電モジュールの製造方法であって、前記上側フレーム及び前記下側フレームは、それぞれ、前記環境発電素子の平面部を支持する支持面と、前記支持面から垂直方向に延び、前記環境発電素子の前記フレームに対する位置を決めるガイド面と、前記ガイド面から、前記環境発電素子の側面から離れる方向に傾斜して延びる傾斜面と、を有し、前記製造方法は、前記下側フレームの支持面に前記環境発電素子を載置するステップと、前記下側フレームの傾斜面と、前記環境発電素子の側面との間に接着部材を塗布するステップと、前記上側フレームを前記下側フレームに嵌合させて、前記上側フレームと前記下側フレームとで前記環境発電素子を挟み込むステップと、を含む。このような方法とすることで、本発明の環境発電モジュールの製造方法は、ガイド面によって、環境発電素子のフレームに対する位置を決定することができる。また、環境発電モジュールは、環境発電素子の側面と、フレームの傾斜面とで囲まれた空間を有する。従って、本発明の環境発電モジュールの製造方法は、適量の接着部材を適切な位置に配置することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、適量の接着部材を適切な位置に配置することが可能な環境発電モジュール及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る環境発電モジュールの分解斜視図である。
【
図2】
図1の下側フレームのA-A断面の概略図である。
【
図3】
図1の上側フレームのB-B断面の概略図である。
【
図4】フレームが環境発電素子を挟み込んでいる様子を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る環境発電モジュールの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】下側フレームに環境発電素子を載置した様子を示す図である。
【
図7】フレームが環境発電素子を挟み込んだ際の接着部材の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。各図において共通の構成部には、同一の符号を付している。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る環境発電モジュール1の分解斜視図である。環境発電モジュール1は、環境発電素子10と、下側フレーム20Aと、上側フレーム20Bと、接着部材30Aと、接着部材30Bと、電極40とを備える。
【0020】
下側フレーム20Aと上側フレーム20Bとを合わせてフレーム20とも称する。すなわち、フレーム20は、下側フレーム20Aと、上側フレーム20Bとを含む。
【0021】
接着部材30Aと接着部材30Bとは、特に区別する必要がない場合、接着部材30と総称する場合がある。
【0022】
環境発電素子10は、外部環境中のエネルギーを利用して発電する。外部環境中のエネルギーは、例えば、太陽光、振動、又は熱などに基づくエネルギーであってよい。本実施形態においては、環境発電素子10が、太陽光又は室内光などの光エネルギーを利用して発電する太陽電池を有するものとして説明するが、環境発電素子10が利用する外部環境中のエネルギーは、光エネルギーに限定されない。
【0023】
本実施形態の環境発電素子10は、太陽電池で構成された太陽電池パネルを備えてよい。太陽電池パネルは、太陽光、室内光などの入射光を光電変換して電力を出力する太陽電池を含む部材である。太陽電池パネルに含まれる太陽電池の種類としては、大別して、無機系材料を用いた無機系太陽電池と、有機系材料を用いた有機系太陽電池とが挙げられる。無機系太陽電池としては、シリコン(Si)を用いたSi系、化合物を用いた化合物系、量子ドットを用いた量子ドット系などが挙げられる。また、有機系太陽電池としては、有機顔料を用いた低分子蒸着系、導電性高分子を用いた高分子塗布系、変換型半導体を用いた塗布変換系などの薄膜系、チタニア、有機色素及び電解質から成る色素増感系などが挙げられる。また、太陽電池パネルに含まれる太陽電池には、有機無機ハイブリッド太陽電池、ペロブスカイト系化合物を用いた太陽電池も含めることができる。またこれらを複合又は積層させたタンデム系などもある。太陽電池パネルは薄型パネル状であってもよく、その場合には、薄型に成型し易い点で、プラスチックフィルム等に作製された有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、又はペロブスカイト太陽電池等が好適である。なお、太陽電池パネルが薄型パネル状である場合、上記プラスチックフィルム等に作製されたものに限定されるものでなく、同様に薄型であれば方式を問わないことは言うまでもない。太陽電池パネルが薄型パネル状である場合、その厚みは、例えば製造技術面から10μm以上3mm以下が好適である。
【0024】
環境発電素子10は、
図1に示すように、平板状である。
【0025】
下側フレーム20Aと上側フレーム20Bは、環境発電素子10の周縁部を挟み込む。すなわち、フレーム20は、環境発電素子10の周縁部に配置されている。環境発電モジュール1が組み立てられた状態において、下側フレーム20Aは、環境発電素子10の下側(Z軸負方向側)に位置する。また、環境発電モジュール1が組み立てられた状態において、上側フレーム20Bは、環境発電素子10の上側(Z軸正方向側)に位置する。
【0026】
下側フレーム20Aは、嵌合部25Aを有する。上側フレーム20Bは、嵌合部25Bを有する。下側フレーム20Aの嵌合部25Aと、上側フレーム20Bの嵌合部25Bとは、嵌合するように構成されている。下側フレーム20Aの嵌合部25Aと、上側フレーム20Bの嵌合部25Bとを嵌合させることで、下側フレーム20Aと上側フレーム20Bとを強固に結合させることができる。
【0027】
図1においては、下側フレーム20Aは、Y軸負方向側の辺に嵌合部25Aを有し、上側フレーム20Bは、Y軸負方向側の辺に嵌合部25Bを有している。しかしながら、下側フレーム20Aにおいて、Y軸負方向側の辺以外の辺も嵌合部として機能してよい。同様に、上側フレーム20Bにおいて、Y軸負方向側の辺以外の辺も嵌合部として機能してよい。
【0028】
フレーム20は、例えば、ステンレス鋼(SUS)やアルミなどの金属、ガラスなど無機物、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン系ポリマー、ABS樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、生分解性ポリマーなどプラスチックやウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマーなどエラストマー、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などとガラスファイバーや炭素繊維などを含む繊維強化材料を材料として形成されたものであってよい。このようなフレーム20を環境発電素子10の周縁部に配置して環境発電素子10の周縁部を挟み込むことによって、例えば、環境発電モジュール1が落下したり人にぶつかったりした場合などに、フレーム20は、環境発電素子10を保護することができる。すなわち、フレーム20を環境発電素子10の周縁部に配置することで、環境発電モジュール1の耐衝撃性を向上させることができる。
【0029】
接着部材30Aは、環境発電素子10と下側フレーム20Aとの間に配置され、環境発電素子10と下側フレーム20Aとを接着している。接着部材30Bは、環境発電素子10と上側フレーム20Bとの間に配置され、環境発電素子10と上側フレーム20Bとを接着している。
【0030】
接着部材30は、例えば、熱可塑系、熱硬化系、光硬化系、湿気硬化系など適時選択すればよく、作業性の点で、光硬化系が好ましい。接着部材30の材料は、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系のような接着剤であってよい。意匠性や接着剤がはみ出したときでも見えにくくなる点から、接着部材30は、透明性があるものが好ましい。また、接着部材30は、衝撃を吸収できる点から、柔軟性があるものが好ましく、エラストマー系が好ましい。これらは、シリカやガラス繊維など充填剤を含んでいてもよい。
【0031】
電極40は、正極端子41と、負極端子42とを有する。正極端子41は、環境発電素子10の正極と電気的かつ機械的に接続する。負極端子42は、環境発電素子10の負極と電気的かつ機械的に接続する。
【0032】
電極40は、下側フレーム20Aと上側フレーム20Bとの間に挟まれて所定の位置に固定されている。この所定の位置において、正極端子41は、環境発電素子10の正極と電気的かつ機械的に接続し、負極端子42は、環境発電素子10の負極と電気的かつ機械的に接続する。
【0033】
続いて、
図2及び
図3を参照して、下側フレーム20A及び上側フレーム20Bの構成の詳細について説明する。
【0034】
図2は、
図1における下側フレーム20AのA-A断面の概略図である。下側フレーム20Aは、支持面21Aと、ガイド面22Aと、傾斜面23Aとを有する。
【0035】
支持面21Aは、環境発電モジュール1が組み立てられた状態において、環境発電素子10の平面部に接する面であり、環境発電素子10の平面部を支持する。ここで、環境発電素子10の平面部とは、平板状の環境発電素子10における面積が広い面である。
図1においては、環境発電素子10の面のうち、XY平面に平行な面が平面部である。支持面21Aは、環境発電素子10の下側の平面部を支持する。
【0036】
ガイド面22Aは、支持面21Aから垂直方向に、Z軸正方向に向かって延びている面である。ガイド面22Aは、環境発電素子10の側面に接し、環境発電素子10の下側フレーム20Aに対する位置を決める。
【0037】
傾斜面23Aは、ガイド面22Aの上端から傾斜して延びる面である。傾斜面23Aは、支持面21Aが支持している環境発電素子10の側面から離れる方向に傾斜して延びている。
【0038】
図3は、
図1における上側フレーム20BのB-B断面の概略図である。上側フレーム20Bは、支持面21Bと、ガイド面22Bと、傾斜面23Bとを有する。
【0039】
支持面21Bは、環境発電モジュール1が組み立てられた状態において、環境発電素子10の平面部に接する面であり、環境発電素子10の平面部を支持する。支持面21Bは、環境発電素子10の上側の平面部を支持する。
【0040】
ガイド面22Bは、支持面21Bから垂直方向に、Z軸負方向に向かって延びている面である。ガイド面22Bは、環境発電素子10の側面に接し、環境発電素子10の上側フレーム20Bに対する位置を決める。
【0041】
傾斜面23Bは、ガイド面22Bの下端から傾斜して延びる面である。傾斜面23Bは、支持面21Bが支持している環境発電素子10の側面から離れる方向に傾斜して延びている。
【0042】
図4に、下側フレーム20Aと上側フレーム20Bとで、環境発電素子10を挟み込んでいる様子を示す。
【0043】
図4に示すように、環境発電素子10は、下側フレーム20Aのガイド面22Aと、上側フレーム20Bのガイド面22Bとに接している。このようにガイド面22A及びガイド面22Bに接することにより、環境発電素子10のフレーム20に対する位置が決まっている。
【0044】
図4に示すように、環境発電モジュール1は、環境発電素子10の側面と、下側フレーム20Aの傾斜面23Aと、上側フレーム20Bの傾斜面23Bとで囲まれた空間を有する。この空間の大きさは、環境発電素子10のフレーム20に対する位置が、ガイド面22A及びガイド面22Bによって決まっていることにより、一定の大きさである。
【0045】
従って、環境発電素子10の側面と、下側フレーム20Aの傾斜面23Aと、上側フレーム20Bの傾斜面23Bとで囲まれた空間に、接着部材30を塗布することにより、適量の接着部材30を適切な位置に配置することができる。
【0046】
環境発電素子10の側面と、下側フレーム20Aの傾斜面23Aと、上側フレーム20Bの傾斜面23Bとで囲まれた空間の大きさは、ガイド面22A及びガイド面22Bの高さを調整することで、適切な大きさとすることができる。
【0047】
例えば、ガイド面22Aの高さとガイド面22Bの高さとを合わせた高さ(「ガイド面の高さ」とも称する)は、環境発電素子10の厚みの1/10以上且つ1/2未満であってよく、好ましくは1/5以上且つ2/5以下程度であってよい。ガイド面の高さをこのような高さとすることで、環境発電素子10のフレーム20に対する位置の精度を向上でき、塗布された接着部材30の保持が容易となる。これにより、接着部材30が環境発電素子10の側面部に適切に接するので、接着強度が向上し、また、接着部材30による環境発電モジュール1の端面の防水・気密性など封止状態が向上することとなる。
【0048】
図5に示すフローチャートを参照して、本発明の一実施形態に係る環境発電モジュール1の製造方法の一例について説明する。
【0049】
まず、ステップS101において、下側フレーム20Aの支持面21Aに環境発電素子10を載置する。
図6に、下側フレーム20Aに環境発電素子10を載置した様子を示す。
【0050】
続いて、ステップS102において、下側フレーム20Aの傾斜面23Aと、環境発電素子10の側面との間の空間に、接着部材30Aを塗布する。この際、下側フレーム20Aのガイド面22Aによって環境発電素子10の位置が所定の位置に決められているため、適量の接着部材30Aを適切な位置に塗布することができる。
【0051】
また、この段階では、上側フレーム20Bがまだ環境発電素子10の上方に配置されていないため、下側フレーム20Aの傾斜面23Aと、環境発電素子10の側面との間の空間に塗布された接着部材30Aの量を、上方から確認することができる。従って、適量の接着部材30Aを適切な位置に塗布することがさらに容易となる。接着部材30Aの塗布は、例えば、ディスペンサにより行ってよい。
【0052】
続いて、ステップS103において、上側フレーム20Bを下側フレーム20Aに嵌め合わせて、上側フレーム20Bと下側フレーム20Aとで環境発電素子10を挟み込む。この際、上側フレーム20Bの傾斜面23Bに接着部材30Bを塗布させておいてよい。
【0053】
図7に、上側フレーム20Bと下側フレーム20Aとで環境発電素子10を挟み込んだ様子を示す。この際、押し出された接着部材30が、
図7に示すように、環境発電素子10の下面と下側フレーム20Aの支持面21Aとの間、環境発電素子10の上面と上側フレーム20Bの支持面21Bとの間、及び、下側フレーム20Aと上側フレーム20Bとの間に回り込んでよい。このように接着部材30が回り込むことで、下側フレーム20Aと環境発電素子10との間の接着強度、上側フレーム20Bと環境発電素子10との間の接着強度、及び、下側フレーム20Aと上側フレーム20Bとの間の接着強度を高めることができる。
【0054】
続いて、ステップS104において、接着部材30を硬化させる。例えば、接着部材30として常温硬化型の接着剤を用いた場合、環境発電モジュール1を常温で維持することにより、接着部材30を硬化させることができる。
【0055】
前述したところは本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えてもよいことは言うまでもない。
【0056】
例えば、本実施形態においては、接着部材30が接着剤であるものとして説明したが、接着部材30は環境発電素子10とフレーム20とを接着できるものであれば接着剤に限定されない。例えば、接着部材30は、両面テープであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、適量の接着部材を適切な位置に配置することが可能な環境発電モジュール及びその製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 環境発電モジュール
10 環境発電素子
20 フレーム
20A 下側フレーム
20B 上側フレーム
21A、21B 支持面
22A、22B ガイド面
23A、23B 傾斜面
25A、25B 嵌合部
30 接着部材
30A、30B 接着部材
40 電極
41 正極端子
42 負極端子