(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】送受信機及び信号生成方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/54 20060101AFI20230817BHJP
H04B 1/403 20150101ALI20230817BHJP
【FI】
H04B1/54
H04B1/403
(21)【出願番号】P 2020558397
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2019045149
(87)【国際公開番号】W WO2020110814
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2018221804
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、総務省、「テラヘルツ波デバイス基盤技術の研究開発-300GHz帯シリコン半導体CMOSトランシーバ技術-」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100196380
【氏名又は名称】森 匡輝
(72)【発明者】
【氏名】高野 恭弥
(72)【発明者】
【氏名】藤島 実
【審査官】大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0093299(US,A1)
【文献】特開2018-125712(JP,A)
【文献】LEE, Sangyeop et al.,An 80-Gb/s 300-GHz-Band Single-Chip CMOS Transceiver,IEEE Journal of Solid-State Circuits,Volume 54, Issue 12,IEEE,2019年10月15日,pp.3577-3588,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8869897,特に、Section I-III
【文献】FUJISHIMA, Minoru,Key Technologies for THz Wireless Link by Silicon CMOS Integrated Circuits,Photonics 2018, 5, 50,Multidisciplinary Digital Publishing Institute,2018年11月23日,https://doi.org/10.3390/photonics5040050
【文献】藤島 実,300GHz帯無線通信用シリコンCMOS集積回路,電子情報通信学会2018年総合大会講演論文集 エレクトロニクス1,一般社団法人電子情報通信学会,2018年03月06日,SS-39, SS-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/54
H04B 1/403
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数帯域を有する入力信号をアップコンバートして送信信号を生成するための局部発振信号を出力する局部発振器と、
前記入力信号と前記局部発振信号とを加算して出力する第1加算部と、
前記第1加算部の出力信号を逓倍する第1逓倍部と、
前記入力信号の逆位相の信号と前記局部発振信号とを加算して出力する第2加算部と、
前記第2加算部の出力信号を逓倍する第2逓倍部と、
前記第1逓倍部で逓倍された信号と、前記第2逓倍部で逓倍された信号とを加算及び減算し、生成した加算信号及び減算信号を出力する加減算部と、
前記加減算部で生成した前記加算信号を用いて、受信アンテナで受信した受信信号をダウンコンバートするダウンコンバージョンミキサと、
を備える送受信機。
【請求項2】
前記第1逓倍部及び前記第2逓倍部は、
入力された信号を2逓倍する2逓倍器を備える、
請求項1に記載の送受信機。
【請求項3】
前記入力信号は、
ベースバンド信号と前記局部発振信号とを混合して得られる中間周波数信号である、
請求項1又は2に記載の送受信機。
【請求項4】
前記加算信号から所定の周波数の信号を通過させる周波数濾過器を備え、
全二重通信を行う、
請求項1から3のいずれか一項に記載の送受信機。
【請求項5】
所定の周波数帯域を有する入力信号に局部発振信号を加算する第1加算ステップと、
前記第1加算ステップで加算された信号を逓倍する第1逓倍ステップと、
前記入力信号の逆位相の信号に前記局部発振信号を加算する第2加算ステップと、
前記第2加算ステップで加算された信号を逓倍する第2逓倍ステップと、
前記第1逓倍ステップで逓倍された信号から、前記第2逓倍ステップで逓倍された信号を減算して減算信号を生成するとともに、前記第1逓倍ステップで逓倍された信号と、前記第2逓倍ステップで逓倍された信号とを加算して加算信号を生成する加減算ステップと、
前記加算信号を用いて、受信アンテナで受信した受信信号をダウンコンバートするダウンコンバートステップと、
を含む信号生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受信機及び信号生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高い周波数の信号を用いて無線通信を行う場合、特に送受信機の信号増幅回路等に用いるトランジスタの最大動作周波数より高い周波数の搬送波を用いて無線通信を行う場合、搬送波を電力増幅器によって増幅することができない。このような高い周波数で無線通信を行う送信機が開発されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
【0003】
特許文献1及び非特許文献1の送信機は、送信機の最終段を並列構成として、並列構成部分の複数の出力信号を電力合成器で合成することにより、高い周波数での電力増幅器による増幅を行うことなく搬送波を生成している。
【0004】
また、上記のような高い周波数の信号を受信する受信機では、ダウンコンバージョンミキサに入力される局部発信信号を生成するために、上記送信機と同様に、局部発振器が用いられる(例えば、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】K.Takano, et al., “A 105Gb/s 300GHz CMOS Transmitter”, Digest of Technical Papers IEEE International Solid-State Circuits Conference, p.308-309, Feb. 2017
【文献】S.Hara, et al., “A 32Gbits/s 16QAM CMOS Receiver in 300GHz Band”, 2017 IEEE MTT-S International Microwave Symposium, p.1703-1706, June 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献2の送受信機では、送信機、受信機それぞれが、局部発振器を有しているため、送受信機全体の消費電力が大きくなるとともに、回路面積が増大する。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、低消費電力で、回路面積の小さい送受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の観点に係る送受信機は、
所定の周波数帯域を有する入力信号をアップコンバートして送信信号を生成するための局部発振信号を出力する局部発振器と、
前記入力信号と前記局部発振信号とを加算して出力する第1加算部と、
前記第1加算部の出力信号を逓倍する第1逓倍部と、
前記入力信号の逆位相の信号と前記局部発振信号とを加算して出力する第2加算部と、
前記第2加算部の出力信号を逓倍する第2逓倍部と、
前記第1逓倍部で逓倍された信号と、前記第2逓倍部で逓倍された信号とを加算及び減算し、生成した加算信号及び減算信号を出力する加減算部と、
前記加減算部で生成した前記加算信号を用いて、受信アンテナで受信した受信信号をダウンコンバートするダウンコンバージョンミキサと、
を備える。
【0010】
また、前記第1逓倍部及び前記第2逓倍部は、
入力された信号を2逓倍する2逓倍器を備える、
こととしてもよい。
【0011】
また、前記入力信号は、
ベースバンド信号と前記局部発振信号とを混合して得られる中間周波数信号である、
こととしてもよい。
【0012】
また、前記加算信号から所定の周波数の信号を通過させる周波数濾過器を備え、
全二重通信を行う、
こととしてもよい。
【0013】
また、本発明の第2の観点に係る信号生成方法は、
所定の周波数帯域を有する入力信号に局部発振信号を加算する第1加算ステップと、
前記第1加算ステップで加算された信号を逓倍する第1逓倍ステップと、
前記入力信号の逆位相の信号に前記局部発振信号を加算する第2加算ステップと、
前記第2加算ステップで加算された信号を逓倍する第2逓倍ステップと、
前記第1逓倍ステップで逓倍された信号から、前記第2逓倍ステップで逓倍された信号を減算して減算信号を生成するとともに、前記第1逓倍ステップで逓倍された信号と、前記第2逓倍ステップで逓倍された信号とを加算して加算信号を生成する加減算ステップと、
前記加算信号を用いて、受信アンテナで受信した受信信号をダウンコンバートするダウンコンバートステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の送受信機によれば、送信信号を生成する際に生じる局部発信信号を、受信部のダウンコンバージョンミキサの局部発信信号として利用することにより、受信部の局部発振器を不要とすることができるので、送受信機の消費電力を削減するとともに、回路面積を小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る送受信機のブロック図である。
【
図2】実施の形態に係る周波数混合部の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態に係る送受信機の回路構成の例を示す図である。
【
図4】
図3の回路の点(a)~(e)における信号の電力スペクトルの例を示す図である。
【
図5】(A)は、実施の形態に係る送受信機の入力信号のコンスタレーションの例を示す図であり、(B)は、実施の形態に係る送受信機の出力信号のコンスタレーションの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る送受信機について説明する。
【0017】
本実施の形態に係る送受信機1は、
図1のブロック図に示すように、ベースバンド部11と、第1局部発振器12と、第2局部発振器13と、変調部14と、周波数混合部20と、送信アンテナ15と、受信アンテナ16と、ダウンコンバージョンミキサ17とを備える無線送受信機である。
【0018】
ベースバンド部11は、送受信機1から送信する情報を、ベースバンド信号として変調部14に出力する。
【0019】
第1局部発振器12は、ベースバンド信号から所定の周波数帯域を有する中間周波数信号(以下、IF信号という)を生成するための第1局部発振信号を生成する。第1局部発振器12は、第1局部発振信号を変調部14に出力する。
【0020】
第2局部発振器13は、搬送波として用いられる第2局部発振信号(以下、LO信号という)を生成する。第2局部発振器13は、LO信号を周波数混合部20に出力する。
【0021】
変調部14は、ベースバンド部11の出力信号であるベースバンド信号と、第1局部発振器12の出力信号である第1局部発振信号とを混合して、IF信号を生成する混合器を備える。変調部14は、IF信号を周波数混合部20に出力する。
【0022】
周波数混合部20は、変調部14で生成されたIF信号を入力信号とし、IF信号をアップコンバートして送信信号(以下、RFTX信号という)を生成する。また、IF信号のアップコンバートとともに生成するLO信号を、ダウンコンバージョンミキサ17へ送信する。周波数混合部20の詳細な構成については、後述する。
【0023】
送信アンテナ15は、周波数混合部20の出力信号であるRFTX信号を電波として送信する。
【0024】
受信アンテナ16は、無線信号である受信信号(以下、RFRX信号という)を受信して、ダウンコンバージョンミキサ17へ送信する。
【0025】
ダウンコンバージョンミキサ17は、周波数混合部20から受信したLO信号と、受信アンテナ16から受信したRFRX信号とに基づいて、RFRX信号をダウンコンバートし、受信情報を含むベースバンド信号を出力する。
【0026】
続いて、
図2のブロック図を参照して、本実施の形態に係る周波数混合部20の構成について説明する。周波数混合部20は、
図2に示すように、第1加算部21と、第2加算部22と、第1逓倍部25と、第2逓倍部26と、加減算部27とを備える。
【0027】
第1加算部21は、第1加算ステップとして、変調部14で生成されたIF信号と、第2局部発振器13で生成されたLO信号とを入力し、IF信号とLO信号とを加算した信号を出力する。
【0028】
第2加算部22は、第2加算ステップとして、変調部14で生成されたIF信号を、図示しない位相反転回路で位相反転させた逆位相の信号(以下、-IF信号という)と、第2局部発振器13で生成されたLO信号とを加算した信号を出力する。
【0029】
第1逓倍部25は、第1逓倍ステップとして、IF信号をアップコンバートして高周波の送信信号を生成する。具体的には、第1逓倍部25は、IF信号を含む第1加算部21の出力信号を逓倍して出力する。本実施の形態では、第1逓倍部25は、乗算器であるスクエアミキサを用いて入力信号を2逓倍する2逓倍器を備え、第1加算部21から入力された信号を2逓倍して出力する。
【0030】
第2逓倍部26は、第2逓倍ステップとして、入力信号をアップコンバートして高周波の送信信号を生成する。具体的には、第2逓倍部26は、-IF信号を含む第2加算部22の出力信号を逓倍して出力する。本実施の形態では、第2逓倍部26は、乗算器であるスクエアミキサを用いて入力信号を2逓倍する2逓倍器を備え、第2加算部22から入力された信号を2逓倍して出力する。
【0031】
加減算部27は、第1逓倍部25の出力信号から、第2逓倍部26の出力信号を減算する減算器を備え、加減算ステップとして、減算器で生成された減算信号をRFTX信号として送信アンテナ15へ出力する。また、加減算部27は、第1逓倍部25の出力信号と第2逓倍部26の出力信号とを加算する加算器を備え、加減算ステップとしての加算によって発生するLO信号を含む加算信号を、ダウンコンバージョンミキサ17へ出力する。
【0032】
より具体的に、
図2に示す各点の信号の電力スペクトルを参照しつつ、本発明に係る受信情報を含むベースバンド信号の信号生成方法について説明する。まず、第1加算部21は、IF信号とLO信号とを加算した信号((LO+IF)信号)を第1逓倍部25に入力する。
【0033】
第1逓倍部25は、(LO+IF)信号を逓倍する。(LO+IF)信号の逓倍は、周波数混合器、すなわち乗算器によって行われる。本実施の形態の第1逓倍部25は、第1加算部21の出力信号を2逓倍する。よって、第1逓倍部25は、以下の式(1)で表される演算を行う。
(LO+IF)2=LO2+2LO・IF+IF2 ・・・(1)
ただし、LOはLO信号、IFは信号。
【0034】
第2加算部22は、-IF信号とLO信号とを加算した信号((LO-IF)信号)を第2逓倍部26に入力する。第2逓倍部26は、上述の第1逓倍部25と同様に(LO-IF)信号を2逓倍して、以下の式(2)で表される信号を出力する。
(LO-IF)2=LO2-2LO・IF+IF2 ・・・(2)
ただし、LOはLO信号、IFは信号。
【0035】
加減算部27は、第1逓倍部25の出力信号から、第2逓倍部26の出力信号を減算した差動信号を出力する。上述の式(1)、(2)及び
図2のブロック図に概念的に表された出力電力スペクトルに示すように、第1逓倍部25の出力信号のLO
2の項及びIF
2の項に対応する信号は、第2逓倍部26の出力信号のLO
2の項及びIF
2の項に対応する信号に、等しい。したがって、第1逓倍部25の出力信号から第2逓倍部26の出力信号を減算した減算信号は、LO・IFの項が残る一方、送信信号RF
TXについての不要波であるLO
2、IF
2の項が除去された信号となる。
【0036】
また、加減算部27は、第1逓倍部25の出力信号と、第2逓倍部26の出力信号とを加算した同相信号を出力する。上述の式(1)、(2)及び
図2の出力電力スペクトルに示すように、第1逓倍部25の出力信号の+2LO・IFの項に対応する信号は、第2逓倍部26の出力信号の-2LO・IFの項に対応する信号の逆位相信号に、等しい。したがって、第1逓倍部25の出力信号と第2逓倍部26の出力信号とを加算した加算信号は、LO
2、IF
2の項が残る一方、LO・IFの項が除去された信号となる。
【0037】
加減算部27は、上記加算信号として生成された、LO2の信号をダウンコンバージョンミキサ17へ出力する。送受信機1が半二重通信を行う場合、RFRX信号の受信時には、周波数混合部20へのIF信号の入力がないので、加減算部27からダウンコンバージョンミキサ17への出力信号は、LO2の信号のみとなる。
【0038】
送受信機1が全二重通信を行う場合、加算信号のIF2の項に係る信号は、電力レベルの小さい信号であるので無視してもよいし、所定の周波数の信号を通過させる周波数濾過器によってLO2の信号を通過させ、IF2の信号を除去してもよい。ダウンコンバージョンミキサ17は、ダウンコンバートステップとして、受信アンテナ16で受信した、送信信号RFTXと同じ帯域の受信信号RFRXと、加減算部27から受信したLO信号とに基づいて、受信信号RFRXをダウンコンバートして、受信情報を含むベースバンド信号を生成して出力する。
【0039】
周波数混合部20は、上述のように構成され、IF信号とLO信号から不要信号を除去した高周波信号LO・IFを送信信号RFTXとして出力するとともに、受信信号RFRXをダウンコンバートするためのLO信号を出力する。
【0040】
図3に本実施の形態に係る送受信機1の回路構成の例を示す。
図3の左側に示される回路では、入力された局部発振信号を3逓倍したLO信号と、入力されたベースバンド信号とを、直交アップコンバージョンミキサである第1加算部21に入力し、Iチャンネル及びQチャンネルの(LO+IF)信号を生成している。
【0041】
スクエアミキサである第1逓倍部25は、第1加算部21から入力された(LO+IF)信号を逓倍して、(LO+IF)2の信号を出力する。
【0042】
また、
図3の右側に示される回路では、入力された局部発振信号を3逓倍したLO信号と、入力された逆位相のベースバンド信号とを、直交アップコンバージョンミキサである第2加算部22に入力し、Iチャンネル及びQチャンネルの(LO-IF)信号を生成している。
【0043】
スクエアミキサである第2逓倍部26は、第2加算部22から入力された(LO-IF)信号を逓倍して、(LO-IF)2の信号を出力する。
【0044】
第1逓倍部25及び第2逓倍部26からの出力信号は、ラットレース型電力結合器である加減算部27に入力される。加減算部27は、LO・IF信号を送信信号RFTXとして出力するとともに、LO信号をブランチラインハイブリッド40へ出力する。
【0045】
ブランチラインハイブリッド40で分配されたLO信号は、受信アンテナ16で受信された受信信号RFRXとともにダウンコンバージョンミキサ17-1、17-2に入力される。ダウンコンバージョンミキサ17-1、17-2は、受信信号RFRXをダウンコンバートし、それぞれIチャンネル、Qチャンネルのベースバンド信号を生成して出力する。
【0046】
図4は、
図3に係る送受信機1をCMOS回路として構成し、300GHzを中心周波数とする送信信号を生成した場合のシミュレーション結果の例を示す図である。この例における変調方式は64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、シンボルレートは5Gbaud、入力局部発振信号は50GHz、IF信号の中心周波数は150GHz、RF
TX信号の中心周波数は300GHzである。また、本シミュレーションでは、送受信機1の出力信号であるRF
TX信号が、折り返してRF
RX信号として送受信機1に入力されることとしている。
【0047】
図5(A)、(B)は、
図4のシミュレーションに係る送受信信号のコンスタレーションを示す図である。
図5(B)の受信部出力コンスタレーションから、受信信号RF
RXは正しく復調できていることがわかる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態に係る送受信機1の周波数混合部20は、送信信号であるRFTX信号を生成する際に生じるLO信号を、受信部のダウンコンバージョンミキサ17のLO信号として利用し、受信信号であるRFRX信号をダウンコンバートする。これにより、受信部のLO信号生成部を不要とすることができるので、送受信機1の消費電力を削減するとともに、回路面積を小さくすることが可能である。
【0049】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、高い周波数の信号を用いて無線通信を行う送受信機に好適である。特に、送受信機の信号増幅回路等に用いるトランジスタの最大動作周波数より高い周波数の搬送波を用いて無線通信を行う送受信機に好適である。
【符号の説明】
【0051】
1 送受信機
11 ベースバンド部
12 第1局部発振器
13 第2局部発振器
14 変調部
15 送信アンテナ
16 受信アンテナ
17,17-1,17-2 ダウンコンバージョンミキサ
20 周波数混合部
21 第1加算部
22 第2加算部
25 第1逓倍部
26 第2逓倍部
27 加減算部
40 ブランチラインハイブリッド