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特許7334148TiN-SiN CMP用途の高選択性のための窒化物抑制剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】TiN-SiN CMP用途の高選択性のための窒化物抑制剤
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230821BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020514598
(86)(22)【出願日】2018-08-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 US2018046429
(87)【国際公開番号】W WO2019055160
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】15/706,192
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】チェン チー-シェン
(72)【発明者】
【氏名】チウ イー-ホン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン フン-チョン
(72)【発明者】
【氏名】イエ ミン-チー
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0107404(US,A1)
【文献】特表2011-517507(JP,A)
【文献】特表2017-510977(JP,A)
【文献】特表2014-532305(JP,A)
【文献】特開2017-114966(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069457(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨組成物であって、
(a)ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)およびポリスチレンスルホン酸から選択されるアニオン性ポリマーを含む表面を有するアルミナ粒子と、
(b)(I)ポリオキシアルキレン官能基およびスルホネート官能基を含む界面活性剤、(II)ポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤、(III)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤、ならびに(IV)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびサルフェート官能基を含む第2の界面活性剤、から選択される除去速度抑制剤と、
(c)水性キャリアと、を含み、鉄含有触媒と、リン酸、有機酸、ホスホネート化合物およびニトリルから選択される安定剤とをさらに含有する、化学機械研磨組成物。
【請求項2】
前記アルミナ粒子が、前記研磨組成物中に0.001重量%~10重量%の濃度で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項3】
前記除去速度抑制剤が、前記研磨組成物中に0.001重量%~5重量%の濃度で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項4】
前記除去速度抑制剤がポリオキシエチレン基を含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項5】
前記除去速度抑制剤が、ラウリルポリオキシエチレンエーテルサルフェートを含む界面活性剤、エトキシル化C-C12アルコールを含む第1の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、アルファオレフィンスルホネートを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせ、から選択される、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項6】
前記除去速度抑制剤が、エトキシル化C-C12アルコールを含む第1の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、を含む、請求項5に記載の研磨組成物。
【請求項7】
前記除去速度抑制剤が、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、を含む、請求項5に記載の研磨組成物。
【請求項8】
前記研磨組成物が1~5のpHを有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項9】
腐食防止剤をさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項10】
前記研磨組成物が腐食防止剤を含み、前記腐食防止剤が、ヘキシルアミン、テトラメチル-p-フェニレンジアミン、オクチルアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルベンジルアミン、アミノプロピルシラノール、アミノプロピルシロキサン、ドデシルアミン、チロシン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、リジン、グリシン(アミノ酢酸)、およびそれらの組み合わせ、から選択される、請求項9に記載の研磨組成物。
【請求項11】
基板を化学機械的に研磨する方法であって、
(i)その表面上に窒化チタン(TiN)層および窒化ケイ素(SiN)層を含む基板を準備することと、
(ii)研磨パッドを準備することと、
(iii)化学機械研磨組成物として、
(a)研削粒子と、
(b)(I)ポリオキシアルキレン官能基およびスルホネート官能基を含む界面活性剤、(II)ポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤、(III)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤、ならびに(IV)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびサルフェート官能基を含む第2の界面活性剤、から選択される除去速度抑制剤と、
(c)水性キャリアと、
を含み、鉄含有触媒と、リン酸、有機酸、ホスホネート化合物およびニトリルから選択される安定剤とをさらに含有する、前記化学機械研磨組成物を準備することと、
(iv)前記基板を前記研磨パッドおよび前記化学機械研磨組成物に接触させることと、
(v)前記基板に対して前記研磨パッドおよび前記化学機械研磨組成物を相対的に動かして、前記基板の表面上の前記TiN層の少なくとも一部および同前記SiN層の少なくとも一部を研削して前記基板を研磨することであって、前記TiN層が前記SiN層よりも速く選択的に除去されること、を含む方法。
【請求項12】
前記TiN:SiN除去速度選択性が15:1より大きい、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記研削粒子がコロイドシリカ粒子およびアルミナ粒子から選択され、前記アルミナ粒子がアニオン性ポリマーを含む表面を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記研削粒子がアルミナ粒子であり、前記アルミナ粒子がアニオン性ポリマーを含む表面を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アニオン性ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ビニルスルホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、2-(メタクロイルオキシ)エチルホスフェート、およびそれらの組み合わせ、から選択される繰り返し単位を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記研削粒子が前記研磨組成物中に0.001重量%~10重量%の濃度で存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記除去速度抑制剤がポリオキシエチレン基を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記除去速度抑制剤が、ラウリルポリオキシエチレンエーテルサルフェートの塩を含む界面活性剤、エトキシル化C-C12アルコールを含む第1の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、アルファオレフィンスルホネートを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせ、から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記除去速度抑制剤が、エトキシル化C-C12アルコールを含む第1の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記除去速度抑制剤が、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記除去速度抑制剤が前記研磨組成物中に0.001重量%~5重量%の濃度で存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記研磨組成物が1~5のpHを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記研磨組成物が腐食防止剤をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
前記研磨組成物が腐食防止剤を含み、前記腐食防止剤が、ヘキシルアミン、テトラメチル-p-フェニレンジアミン、オクチルアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルベンジルアミン、アミノプロピルシラノール、アミノプロピルシロキサン、ドデシルアミン、チロシン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、リジン、グリシン(アミノ酢酸)、およびそれらの組み合わせ、から選択される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
高度な半導体デバイス(メモリと論理回路の両方)の製造において、特定の統合スキームでは、バリア層に到達した際に除去が停止する(一般に「ストップ・オン・バリア」と呼ばれる)、金属(例えば、Cu、CuMn、Ta、TaN、Al、AlCo、Co、CoMo、Ru、RuTa、RuTiN、Mn、TiN(セルフストップ)、W、Pt)、誘電体(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ポリシリコン)、またはポリマー(例えば、光反応性(PR)、スピンオングラス(SOG)タイプの酸化物)の選択的な除去が要求される。基板の表面の化学機械研磨(CMP)のための組成物および方法は、当該技術分野においてよく知られている。半導体基板(例えば、集積回路製造用)の表面のCMP用の研磨組成物(研磨スラリー、CMPスラリー、およびCMP組成物としても知られる)は、典型的には、研削剤および様々な添加剤化合物を含む。窒化チタン(TiN)と窒化ケイ素(SiN)で形成されたバリア層の場合、ストップ・オン・バリアプロセスは、典型的なCMP組成物が、TiNまたはSiN層に対して上にある金属層の除去に特に選択的ではないので、困難な場合がある。
【0002】
ストップ・オン・バリア技術の特定の用途の1つは、酸化物基板上のバリア層上に配置されたタングステン層のCMP除去を含むタングステンゲート形成である。酸化物基板の窪みには、バリア層の一部が並んでおり、タングステン金属が充填されている。研磨中、タングステン層は、バリア層の平面部分までCMPによって除去される。次に、窪み内のタングステンの一部が研磨によって除去され、ゲート構造が形成される。ストップ・オン・バリア技術の主な困難性の1つは、バリア層の平面部分の望ましくない除去であり、これはゲートの高さを小さくすることや他の問題をもたらし得る。多くの場合、CMP組成物は、バリア層が露出したときに材料除去を確実かつ一貫して停止するほど十分に選択的ではない。例として、TiNおよびSiNの選択性がゲートの高さを制御する役割を果たすので、TiNおよびSiNの適切な選択性を得ることは、タングステンゲートバフ研磨用途にとって望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
CMP組成物および方法の現在の理解にもかかわらず、適切なバリア層の選択性(TiN:SiN)を得ながら、バリア層(例えば、TiNまたはSiN)上で適切な金属層除去(例えば、タングステン)を提供するCMP組成物および方法に対する技術の必要性が依然として存在する。本明細書に記載される方法および組成物は、この必要性に対処する。
【0004】
本発明は、基板、例えばTiNおよびSiNを含む基板を研磨するのに適したCMP組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)研削粒子と、(b)(I)ポリオキシアルキレン官能基およびスルホネート官能基を含む界面活性剤、(II)ポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤、(III)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤、ならびに(IV)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびサルフェート官能基を含む第2の界面活性剤、から選択される除去速度抑制剤と、(c)水性キャリアと、を含む化学機械研磨組成物を提供する。
【0006】
本発明はまた、基板を化学機械的に研磨する方法であって、(i)その表面上に窒化チタン(TiN)層および窒化ケイ素(SiN)層を含む基板を準備することと、(ii)研磨パッドを準備することと、(iii)化学機械研磨組成物として、(a)研削粒子と、(b)(I)ポリオキシアルキレン官能基およびスルホネート官能基を含む界面活性剤、(II)ポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤、(III)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤、ならびに(IV)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびサルフェート官能基を含む第2の界面活性剤、から選択される除去速度抑制剤と、(c)水性キャリアと、を含む前記化学機械研磨組成物を準備することと、(iv)基板を前記研磨パッドおよび化学機械研磨組成物に接触させることと、(v)基板に対して研磨パッドおよび化学機械研磨組成物を相対的に動かして、前記基板の表面上の前記TiN層の少なくとも一部および同前記SiN層の少なくとも一部を研削して前記基板を研磨することであって、前記TiN層が前記SiN層よりも速く選択的に除去されることと、TiN:SiN除去速度選択性が15:1より大きいこと、を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、(a)研削粒子、(b)除去速度抑制剤、および(c)水性キャリアから本質的になる、またはそれらからなることを含む化学機械研磨組成物を提供する。本発明はまた、TiN層およびSiN層を含む基板であって、TiN層がSiN層よりも速く選択的に除去される、基板を化学機械的に研磨する方法を提供する。
【0008】
研削粒子は、任意の適切な研削粒子とすることができる。例示的な研削粒子として、例えば、アルミナ(例えば、酸化アルミニウム)、シリカ(例えば、二酸化ケイ素)、セリア(例えば、酸化セリウム)、ジルコニア(例えば、酸化ジルコニウム)、チタニア(例えば、二酸化チタン)、ゲルマニア(例えば、二酸化ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム)、マグネシア(例えば、酸化マグネシウム)、それらの共形成生成物、またはそれらの組み合わせ、の金属酸化物研削粒子が挙げられる。金属酸化物研削粒子は、任意の適切な種類の金属酸化物粒子、例えば、ヒュームド金属酸化物粒子、湿式プロセス金属酸化物粒子(例えば、沈殿金属酸化物粒子または縮合重合金属酸化物粒子)、コロイド状金属酸化物粒子、または表面修飾された金属酸化物粒子(例えば、表面修飾されたポリマー)とすることができる。
【0009】
本発明の方法の態様に沿って、研磨組成物は、本発明の研磨方法によりSiN層よりも速くTiN層が選択的に除去されるという条件で、任意の適切な研削粒子を含むことができる。本発明の方法のいくつかの実施形態において、研磨組成物はアルミナ粒子を含み、アルミナ粒子はアニオン性ポリマーを含む表面を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、研磨組成物はコロイドシリカ粒子を含む。例示的なコロイダルシリカ粒子として、例えば、FUSO Chemical Co.(Tokyo,Japan)からのPL-3DおよびPL-2コロイダルシリカ(それぞれ、約35nmおよび約25nmの平均粒子サイズ)が挙げられる。
【0011】
好ましい実施形態では、研削粒子は、アルミナ粒子から選択され、アルミナ粒子は、アニオン性ポリマー、コロイドシリカ粒子、およびそれらの組み合わせを含む表面を有する。別の好ましい実施形態では、研削粒子は、アルミナ粒子から本質的になること、またはそれからなることを含み、アルミナ粒子はアニオン性ポリマーを含む表面を有する。さらに別の好ましい実施形態では、研削粒子は、コロイドシリカ粒子から本質的になること、またはそれからなることを含む。
【0012】
アルミナ粒子は、ヒュームドアルミナ粒子または非ヒュームドα-アルミナ粒子とすることができる。ヒュームドアルミナ粒子は一般に、一次粒子の凝集体の形をしているが、凝集体は、かなりのエネルギー入力なしでは容易に個々の一次粒子には分解されない。一次粒子は概して球形であるが、凝集体は一次粒子の鎖状構造であり、概して球形ではない。非ヒュームドα-アルミナ粒子はアルミナの結晶形であり、典型的には凝集体を形成しない。好ましい実施形態では、アルミナ粒子は非ヒュームドα-アルミナ粒子である。
【0013】
研削粒子(例えば、コロイドシリカ粒子、アニオン性ポリマーを含む表面を有するアルミナ粒子)は、任意の適切な粒子径を有することができる。粒子の粒子径は、粒子を包含する最小球の直径である。研削粒子は、約10nm以上、例えば、約15nm以上、約20nm以上、約25nm以上、約35nm以上、約45nm以上、約50nm以上、約55nm以上、約60nm以上、約75nm以上、または約100)nm以上の平均粒子径を有することができる。あるいは、または加えて、研削粒子は、約1,000nm以下、例えば、約950nm以下、約950nm以下、約900nm以下、約850nm以下、約800nm以下、約750nm以下、約700nm以下、約650nm以下、約600nm以下、約650nm以下、約500nm以下、約475nm以下、約450nm以下、約425nm以下、約400nm以下、約375nm以下、約350nm以下、約325nm以下、約300nm以下、約275nm以下、約250nm以下、約225nm以下、約200nm以下、約175nm以下、約160nm以下、約150nm以下、約125nm以下、約115nm以下、約100nm以下、約90)nm以下、または約80nm以下の平均粒子径を有することができる。例えば、セリア、ジルコニア、シリカ、およびアルミナ粒子は、約25nm~約250nm、例えば、約35nm~約200nm、約45nm~約150nm、約50nm~約125nm、約55nm~約120nm、または約60nm~約115nmの平均粒子径を有することができる。したがって、研削粒子は、前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内の平均粒子径を有することができる。例えば、研削粒子は、約10nm~約1000nm、約25nm~約950nm、約30nm~約900nm、約35nm~約850nm、約40nm~約800nm、約45nm~約750nm、約50nm~約700nm、約55nm~約650nm、約60nm~約600nm、約75nm~約550nm、約100nm~約500nm、約25nm~約450nm、約30nm~約400nm、約35nm~約350nm、約40nm~約300nm、約45nm~約250nm、または約50nm~約200nmの平均粒子径を有することができる。
【0014】
研削粒子の粒子径は、任意の好適な手法、例えば、光散乱技術を使用して測定することができる。適切な粒子サイズ測定機器は、例えば、Malvern Instruments(Malvern,UK)から入手できる。
【0015】
化学機械研磨組成物は、任意の好適な量の研削粒子を含むことができる。組成物が含む研削粒子が少なすぎる場合、組成物は十分な除去速度を示さない可能性がある。対照的に、研磨組成物が含む研削粒子が多すぎる場合、組成物は、望ましくない研磨性能を示す可能性があり、費用効果がない可能性があり、および/または安定性に欠ける可能性がある。したがって、研削粒子は、約10重量%以下、例えば、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下の濃度で研磨組成物中に存在することができる。あるいは、または加えて、研削粒子は、約0.001重量%以上、例えば、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、または約1.5重量%以上の濃度で研磨組成物中に存在することができる。したがって、研削粒子は、前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内の濃度で研磨組成物中に存在することができる。例えば、研削粒子は、約0.001重量%~10重量%、例えば約0.005重量%~約9重量%、約0.01重量%~約8重量%、約0.05重量%~約7重量%、約0.1重量%~約6重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、または約1.5重量%~約3重量%の濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0016】
一実施形態では、研削粒子は、研磨組成物中に約0.01重量%~約1重量%の濃度で存在する。別の実施形態では、研削粒子は、研磨組成物中に約0.03重量%~約1重量%の濃度で存在する。
【0017】
研削粒子が研磨組成物中にて懸濁される場合には、研削粒子は望ましくはコロイド安定性がある。本明細書で使用される「コロイド安定性」という用語は、液体キャリア(例えば、水)中の研削粒子の懸濁液を指し、その懸濁液の経時的な維持を指す。本発明の文脈において、研削粒子を100mLのメスシリンダーに入れ、2時間にわたって無撹拌で静置した際、メスシリンダー底部の50mL中の粒子濃度(g/mL換算で[B])とメスシリンダー上部の50mL中の粒子濃度(g/mL換算で[T])との間の差を、研磨組成物中の粒子の初期濃度(g/mL換算で[C])で割った値が、0.5以下(すなわち、{[B]-[T]}/[C]≦0.5)の場合、研削粒子は、コロイド安定性と考えられる。[B]-[T]/[C]の値は、望ましくは0.3以下であり、好ましくは0.1以下である。
【0018】
アルミナ粒子は、アニオン性ポリマーを含む(例えば、コーティングされる)表面を有することが好ましい。アニオン性ポリマーは、典型的には静電的に、アルミナ粒子と相互作用し、アルミナ粒子は、水性キャリアに懸濁されるか、研磨パッドに固定されて、研削粒子の表面の少なくとも一部をコーティングする。特に、アニオン性ポリマーは、CMP組成物のpHで適切なゼータ電位を有するアルミナ粒子と結合する。ゼータ電位とは、固体と液体の界面を横切る電位、具体的には帯電したコロイド粒子(例えば、アルミナ粒子)を取り巻くイオンの拡散層を横切る電位を指す。アルミナ粒子のゼータ電位はpHによって異なる。例えば、正のゼータ電位を持つアルミナ粒子は、アニオン性ポリマーと静電的に相互作用することができる。また、アルミナ粒子表面に十分な正のサイトを有するわずかに負のゼータ電位を有するアルミナ粒子は、1つ以上のアニオン性ポリマーと静電的に相互作用することができる。アルミナ粒子は、好ましくは、CMP組成物のpHで正のゼータ電位を有する。アルミナ粒子のゼータ電位は、アニオン性ポリマーとアルミナ粒子との相互作用により低下する。
【0019】
α-アルミナの粒子は典型的には、未処理/コーティングされていない状態で正に帯電した表面を持つため、アニオン性ポリマーとα-アルミナの粒子との結合により、ポリマーまたはコポリマーの酸性官能基の少なくとも一部が脱プロトン化され、これにより、ポリマーをアルミナ粒子と一緒に負に帯電させる。
【0020】
アルミナ粒子の表面は、任意の適切な量のアニオン性ポリマーでコーティングすることができる。例えば、約5重量%以上(例えば、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約50重量%以上、実質的にすべて、またはすべて)のアルミナ粒子の表面をアニオン性ポリマーでコーティングすることができる。したがって、アニオン性ポリマーの存在は、部分的または全体的にコーティングされた研削剤(例えば、部分的または全体的にコーティングされたアルミナ粒子または部分的または全体的にコーティングされた研削剤研磨パッド)をもたらし得る。
【0021】
アニオン性ポリマーは、任意の適切なアニオン性ポリマーまたはコポリマーとすることができる。典型的には、アニオン性ポリマーは、カルボン酸官能基、スルホン酸官能基、ホスホン酸官能基、およびそれらの組み合わせ、から選択される繰り返し単位を含む。好ましくは、アニオン性ポリマーは、アクリル酸、アニオン性ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ビニルスルホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、2-(メタクロイルオキシ)エチルホスフェート、およびそれらの組み合わせ、から選択される繰り返し単位を含む。より好ましくは、アニオン性ポリマーは、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)およびポリスチレンスルホン酸から選択される。
【0022】
アルミナ粒子に対するアニオン性ポリマーの重量比は、アルミナ粒子の重量に対し、概して約0.01以上(例えば、約0.05以上、約0.1以上、約0.16以上、または約0.2以上)である。好ましくは、アルミナ粒子に対するアニオン性ポリマーの重量比は約3以下(例えば、約2以下、または約1以下)である。
【0023】
アルミナ粒子は、任意の適切な時点でアニオン性ポリマーで処理することができる。例えば、アルミナ粒子は、研磨組成物の他の成分に前処理されたアルミナ粒子を添加する前に、前処理されたアルミナ粒子を調製するための別のステップでアニオン性ポリマーで処理することができる。あるいは、アニオン性ポリマーは、アルミナ粒子を研磨組成物に添加する前、添加中、または添加後に研磨組成物に別々に添加することができる。これに関して、アルミナ粒子に対するアニオン性ポリマーの重量比は、研磨組成物中のアニオン性ポリマーの総重量を指すと理解され、アルミナ粒子に結合したアニオン性ポリマーの重量に限定されない。
【0024】
本発明にかかるアニオン性ポリマーを含む表面を有するアルミナ粒子を調製するための例示的な方法は以下の通りである。ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)を脱イオン水に溶解し、水酸化カリウムを添加してpHを3~4に調整する。次に、消泡剤を追加する。アルミナ粒子(すなわち、非ヒュームドα-アルミナ粒子)を40~45分間にわたって500mL/minの速度で混合物に添加し、混合物を10分間高せん断混合する。得られたポリマー被覆粒子は、約170nmの平均粒子径を有し、2~9のpH範囲にわたって-30mV未満のゼータ電位を有する。
【0025】
本発明の化学機械研磨組成物は、除去速度抑制剤を含む。好ましくは、除去速度抑制剤は、(I)ポリオキシアルキレン官能基およびスルホネート官能基を含む界面活性剤、(II)ポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤、(III)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤、ならびに(IV)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびサルフェート官能基を含む第2の界面活性剤、から選択される。特定の理論に縛られることを望まないが、研磨中に除去速度抑制剤の界面活性剤(複数可)が基板に吸着すると考えられる。さらに、基板に対する除去速度抑制剤の相対的親和性は、少なくとも部分的に、基板の性質(例えば、基板の構造、基板の形状、基板上に存在する材料)および研磨条件に依存する。したがって、所与の基板上の本発明の組成物および方法の研磨性能(例えば、除去速度、選択性、欠陥性など)は、除去速度抑制剤の性質を変更することにより変更することができる。
【0026】
出願人は、驚くべきことに、本発明の研磨組成物における、1つ以上のスルホネート(-SO )官能基および/またはサルフェート(-SO 2-)官能基と組み合わせたポリオキシアルキレン官能基(例えば、ポリオキシエチレン官能基)を含む除去速度抑制剤の存在が、SiNに対するTiNの望ましい除去速度選択性を提供することを見出した。除去速度抑制剤は、有利には、研磨中の本発明の研磨組成物中においてSiN対するTiNの選択性を改善し、これにより、ゲート高さ制御およびTiN残渣除去の改善が促進される。特定の理論に縛られることを望まないが、SiNに対するTiNの選択性(例えば、SiN除去速度に対するTiN除去速度の比)は、本発明の研磨組成物の除去速度抑制剤中に存在する、1つ以上のポリオキシアルキレン官能基、1つ以上のスルホネート官能基、および/または1つ以上のサルフェート官能基の相対濃度を調整することにより制御できると考えられる。
【0027】
本発明の研磨組成物の除去速度抑制剤は、任意の適切な方法で提供することができる。例えば、本発明の研磨組成物の除去速度抑制剤は、単一界面活性剤系(例えば、1成分系)として提供することができ、すなわち、除去速度抑制剤は、同じ界面活性剤分子内のポリオキシアルキレン官能基およびスルホネート官能基を含む界面活性剤、または同じ界面活性剤分子内のポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む。あるいは、除去速度抑制剤は、多成分系(例えば、2成分系、または3成分系など)として提供することができ、除去速度抑制剤は、化合物の混合物であり得、第1の界面活性剤は、ポリオキシアルキレン官能基を含み、第2の界面活性剤は、スルホネートおよび/またはサルフェート官能基を含み、化合物の混合物は、本明細書に記載の除去速度抑制剤として機能する。さらに、多成分混合物の各化合物は、混合物の特性とは無関係に、界面活性剤であってもよい。典型的には、多成分系として提供される除去速度抑制剤は、ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤を含み、および/またはポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびサルフェート官能基を含む第2の界面活性剤を含む。
【0028】
本明細書で使用される「第1の界面活性剤」および「第2の界面活性剤」という用語は、ポリオキシアルキレン官能基、スルホネート官能基、および/またはサルフェート官能基を含む別個の界面活性剤を指すために使用され、これらの用語は、本発明の研磨組成物への添加の順序を指したり、暗に意味したりするものではない。
【0029】
さらに、当業者に理解される「スルホネート」および「サルフェート」という用語は、界面活性剤が塩形態または酸形態で組成物に添加されるかどうかに関係なく、界面活性剤のアニオン形態を指す。
【0030】
除去速度抑制剤のポリオキシアルキレン官能基は、任意の適切なポリオキシアルキレン官能基とすることができる。好ましくは、ポリオキシアルキレン官能基は、ポリオキシエチレン官能基である。別の例示的なポリオキシアルキレン官能基は、ポリオキシプロピレン基である。例として、ポリオキシアルキレン官能基を含む適切な界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(すなわち、ポリソルベート20またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)であり、これは、例えば、Croda,Inc.からTWEEN(商標)20の商品名で市販されている。ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートは、ラウリン酸の添加前にソルビタンのエトキシ化(ポリエチレングリコールの20繰り返し単位)から形成されるポリソルベート型非イオン性界面活性剤である。当該技術分野で知られているように、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートは、様々な商品名の下で様々な供給源から容易に入手可能である。
【0031】
ポリオキシアルキレン官能基を含む他の適切な界面活性剤として、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(例えば、TRITON(商標)X-100)(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)、ノニルフェノールエトキシレート(例えば、IGEPAL(商標)CO-630)(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)が挙げられる。
【0032】
本発明のCMP組成物中にTWEEN(商標)20が存在する場合、それは、スルホネート官能基またはサルフェート官能基のいずれかを含む少なくとも1つ以上の界面活性剤(例えば、第2の界面活性剤)とともに存在する。
【0033】
本発明の一態様に沿って、除去速度抑制剤は、スルホネート官能基またはサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む。スルホネート官能基を含む適切な界面活性剤として、例えば、アルファオレフィンスルホネート(AOS)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
アルファオレフィンスルホネート(AOS)は、例えば、直鎖アルファオレフィンとすることができる。直鎖アルファオレフィンとして、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンなどが挙げられる。また、C20-C24、C24-C30、およびC20-C30のアルケンのより高いブレンドも含まれる。典型的には、C10-C14直鎖アルファオレフィンは、界面活性剤の製造に使用される。例として、これらの化合物は、ベンゼンと反応して、直鎖アルキルベンゼン(LAB)を作製し、さらに直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LABS)にスルホン化され得る。
【0035】
ポリスチレンスルホネートは、ポリスチレンから誘導されたポリマーであるが、スルホネート官能基も含み、典型的には、ナトリウム形態またはカルシウム形態で供給される。
【0036】
スルホネート官能基を含む他の適切な界面活性剤は、DOWFAX(商標)の商品名でDow Chemical Company(Midland,MI)から市販されているアニオン性界面活性剤のスルホン化アルキルジフェニルオキシドシリーズであり、以下の化学構造(I)により特徴付けられる:
【化1】
式中、Rは任意の適切な基とすることができ、Xは任意の適切なカチオンとすることができる。一実施形態においては、Rは、C1-C30直鎖状または分岐状、飽和または不飽和のアルキル基である。C-C30アルキル基の例示としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、エチル-ヘキシル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルキル基は、OおよびNからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、Xは、Hまたは適切なカチオンである。例示的なカチオンとして、IA族金属(すなわち、アルカリ金属)、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびフランシウムが挙げられる。好ましい実施形態では、Rは、式(I)の化合物であるC6-C22アルキル基である。
【0037】
適切なスルホン化アルキルジフェニルオキシド界面活性剤の例として、Dow Chemical Company(Midland,MI)から商品名DOWFAX(商標)C10L、DOWFAX(商標)C6L、DOWFAX(商標)3B2、およびDOWFAX(商標)2A1で市販されている界面活性剤が挙げられる。
【0038】
本明細書に記載のCMP組成物に適したスルホネート官能基を含む界面活性剤の他の非限定的な例として、アルキルアリールスルホネート(例えば、ドデシルベンゼンスルホネートなどのアルキルベンゼンスルホネート)、アルキルスルホネート(例えば、アルキルグリセリドスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、およびアルキルスルホアセテート)、スルホスクシネート(例えば、モノアルキルスルホスクシネート、およびジアルキルスルホスクシネート)、アシルタウレート、およびアシルイセチオネートが挙げられる。
【0039】
本発明の研磨組成物がアルキルアリールスルホネートを含む場合、アルキル基は、スルホン酸基に対して任意の位置でアリール(例えば、ベンゼン)部分に結合することができる。アルキル基は、概して6個を超える炭素原子を含み、直鎖状または分岐状であり得る。分枝アルキル基は、一次炭素(例えば、メチレン基)、二次炭素、または三次炭素を介してアリール部分に結合することができる。好ましいアルキルアリールスルホネートは、ドデシルベンゼンスルホネートであり、そこでは、ドデシル基が、合計12個の炭素を有する任意のアルキル基であり得、したがって、直鎖状または分岐状であり得る。分枝ドデシル基は、一次炭素(例えば、メチレン基)、二次炭素、または三次炭素を介してベンゼン部分に結合することができる。好ましくは、ドデシル基は、二次炭素原子を介してベンゼン基に結合した直鎖ドデシル鎖を含む(すなわち、鎖の一端ではなくドデシル鎖に沿って内部的に)。
【0040】
サルフェート基を含む適切な界面活性剤の例は、その塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸アンモニウム)を含むアルキルサルフェート界面活性剤(例えば、ラウリルサルフェート)である。
【0041】
ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤を含む例示的な除去速度抑制剤は、エトキシ化C-C12アルコール(CAS 68439-45-2)とC10-C14アルキルアリールスルホネートの混合物である。この混合物は、例えば、商品名ZETASPERSE(商標)2300でAir Products(Allentown,PA)から市販されている。
【0042】
一実施形態では、本発明の研磨組成物は、同じ界面活性剤分子内にポリオキシアルキレン官能基とスルホネートまたはサルフェート官能基との両方を有する界面活性剤を含む除去速度抑制剤を含む。例示的な「単一界面活性剤」(例えば、同じ界面活性剤分子内にポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤)は、ラウレス硫酸アンモニウムおよびその塩(例えば、ラウリルポリオキシエチレン硫酸ナトリウムまたはラウリルポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)であり、これは、ポリオキシアルキレン官能基とサルフェート官能基との両方を有することを特徴とし、例えば、Sino-Japan Chemical Co.から商品名シノネート(商標)1105SFで市販されており、Kao Global Chemicalから商品名EMAL(商標)20Aで市販されている。
【0043】
好ましい実施形態では、除去速度抑制剤は、ラウリルポリオキシエチレンエーテルサルフェート、アルコキシル化アルカノールおよびアルキルアリールスルホネート、スルホン化アルキルアリールオキシドおよびアルコキシル化ポリソルビタン、α-オレフィンスルホネートおよびアルコキシル化ポリソルビタン、ならびにそれらの組み合わせ、から選択される。好ましくは、除去速度抑制剤は、アルコキシル化アルカノールであり、アルコキシル化アルカノールは、エトキシ化C-C12アルコールを含む。別の好ましい実施形態では、除去速度抑制剤は、アルコキシル化ポリソルビタンであり、アルコキシル化ポリソルビタンは、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含む。
【0044】
別の好ましい実施形態では、除去速度抑制剤は、ラウリルポリオキシエチレンエーテルサルフェートの塩を含む界面活性剤、エトキシル化C-C12アルコールを含む第13の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、アルファオレフィンスルホネートを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、およびそれらの組み合わせ、から選択される。
【0045】
さらに別の好ましい実施形態では、除去速度抑制剤は、エトキシル化C-C12アルコールを含む第1の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、を含む。
【0046】
さらに別の好ましい実施形態では、除去速度抑制剤は、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、を含む。
【0047】
当業者によって理解されるように、サルフェートおよびスルホネート官能基はイオン化可能であり、したがって、任意の適切な塩形態で本発明の研磨組成物中に存在し得る。
【0048】
化学機械研磨組成物は、任意の好適な量の除去速度抑制剤を含むことができる。組成物が含む除去速度抑制剤が少なすぎる場合、組成物は十分な選択性を示さない可能性がある。対照的に、研磨組成物が含む除去速度抑制剤が多すぎる場合、研磨組成物は、望ましくない研磨性能を示す可能性があり、費用効果がない可能性があり、かつ/または安定性または選択性に欠ける可能性がある。したがって、除去速度抑制剤は、約5重量%以下、例えば、約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、または約1重量%以下の濃度で研磨組成物中に存在することができる。あるいは、または加えて、除去速度抑制剤は、約0.001重量%以上、例えば、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、または約0.5重量%以上の濃度で研磨組成物中に存在することができる。したがって、除去速度抑制剤は、前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内の濃度で研磨組成物中に存在することができる。例えば、除去速度抑制剤は、約0.001重量%~5重量%、例えば約0.005重量%~約4.5重量%、約0.01重量%~約4重量%、約0.05重量%~約3.5重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.5重量%~約2.5重量%、約1重量%~約2重量%の濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0049】
一実施形態では、除去速度抑制剤は、研磨組成物中に約0.005重量%~約1重量%の濃度で存在する。別の実施形態では、除去速度抑制剤は、研磨組成物中に約0.1重量%の濃度で存在する。
【0050】
研磨組成物は水性キャリアを含む。水性キャリアは、水(例えば、脱イオン水)を含み、1種以上の水混和性有機溶媒を含有してもよい。使用できる有機溶媒の例には、プロペニルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、1-プロパノール、メタノール、1-ヘキサノールなどのアルコール、アセチルアルデヒドなどのアルデヒド、アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトンなどのケトン、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリムなどのスルホキシドを含むエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドンなどのアミド、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールおよびその誘導体、ならびにアセトニトリル、アミルアミン、イソプロピルアミン、イミダゾール、ジメチルアミンなどの窒素含有有機化合物が挙げられる。好ましくは、水性キャリアは水のみ、すなわち有機溶媒は存在しない。
【0051】
本発明の研磨組成物は、酸性pH(すなわち、7未満)を有する。例えば、研磨組成物は、約6.5以下、例えば約6以下、約5.5以下、約5以下、約4.5以下、または約4以下のpHを有することができる。あるいは、または加えて、研磨組成物は、約1.0以上、例えば、約1.5以上、約2.0以上、約2.5以上、約3.0以上、または約3.5以上のpHを有することができる。したがって、研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内のpHを有することができる。例えば、研磨組成物は、約1.0~約7、約1.5~約6.5、約2.0~約6.0、約2.5~約5.5、約3.0~約5.0、約3.5~約4.5、または約4のpHを有することができる。典型的には、研磨組成物は、約1~約5のpHを有する。
【0052】
好ましい実施形態では、研磨組成物は、約2~約4のpHを有する。
【0053】
研磨組成物は、特定の範囲内にpHを維持することができる1つ以上の化合物(例えば、pH調整剤または緩衝剤)を任意選択的にさらに含む。緩衝剤は、研磨組成物の酸性pHを維持することができる。研磨組成物は、緩衝剤が水溶性であり、組成物の他の成分と適合性がある限り、任意の適切な緩衝剤を含むことができる。例えば、研磨組成物に緩衝剤を含めることは、不安定な研磨組成物または不適切な研磨性能をもたらしてはならない。適切な緩衝剤は、当技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、研磨組成物は2つ以上の緩衝剤を含む。例示的な緩衝剤として、酢酸カリウム、炭酸カリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
研磨組成物は、存在する場合、任意の適切な量の緩衝剤を含むことができる。研磨組成物は、所望の研磨性能を維持しながら所望のpHを維持するための量の緩衝剤を含有することができる。研磨組成物中の緩衝剤(複数可)の濃度が低すぎる場合、pHは、許容範囲内(すなわち、酸性)に維持されない可能性がある。あるいは、緩衝剤(複数可)の濃度が高すぎる場合、研磨組成物は、望ましくない研磨性能を示す可能性があり、費用効果がなく、および/または安定性に欠ける可能性がある。
【0055】
本発明の研磨組成物は、1つ以上のpH調整剤を任意選択的にさらに含む。当業者によって理解されるように、pH調整剤は、研磨組成物のpHを調節(例えば、調整)するために添加される。研磨組成物は、pH調整剤が研磨組成物の他の成分と適合性がある限り、任意の適切なpH調整剤を含むことができる。一実施形態では、pH調整剤は水酸化カリウムである。別の実施形態では、pH調整剤は硝酸である。
【0056】
研磨組成物は、必要に応じて、追加の成分(すなわち、添加剤)を任意選択的にさらに含む。例えば、所望の研磨用途に応じて、本発明の研磨組成物は、研磨性能を改善または強化するための1つ以上の添加剤を含むことができる。添加剤は、望ましくは、研磨組成物の他の成分と適合性がある。一実施形態では、本発明の研磨組成物は、界面活性剤、触媒、酸化剤、安定剤、腐食防止剤、殺生物剤、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤をさらに含む。
【0057】
好ましい実施形態では、研磨組成物は、触媒または腐食防止剤をさらに含む。本発明の態様に沿って、研磨組成物は、望ましい研磨性能を得るために、必要に応じて触媒と腐食防止剤の両方を含むことができる。別の好ましい実施形態では、研磨組成物は腐食防止剤をさらに含む。
【0058】
一実施形態では、本発明の研磨組成物は、1つ以上の酸化剤を含むことができる。酸化剤は、金属層をその対応する酸化物または水酸化物、例えば、アルミニウムから酸化アルミニウム、チタンから酸化チタン、タングステンから酸化タングステン、および銅から酸化銅に酸化する。研磨組成物は、酸化剤が水溶性であり、組成物の他の成分と適合性である限り、任意の適切な酸化剤を含むことができる。例えば、研磨組成物に酸化剤を含めることは、不安定な研磨組成物または不適切な研磨性能をもたらしてはならない。さらに、当業者は、酸化剤の選択が特定の研磨用途に適合しなければならないことを理解するであろう。例えば、いくつかの研磨用途では、基板がアルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物によって汚染されることは望ましくない場合がある。酸化剤は、スラリー製造プロセス中に、またはCMP作業の直前に(例えば、半導体製造施設に位置するタンク内で)研磨組成物に添加されてもよい。
【0059】
適切な酸化剤は、当技術分野で知られており、例えば、過酸化物(例えば、過酸化水素および尿素過酸化水素などのその付加物;過炭酸塩;過酸化ベンゾイル、過酢酸、およびジ-t-ブチル過酸化物などの有機過酸化物;モノ過硫酸塩(SO -2)、二過硫酸塩(SO -2)、および過酸化ナトリウム)、硝酸カリウム、およびヨウ素酸カリウムが挙げられる。他の例示的な酸化剤として、最高の酸化状態の元素を有する化合物(例えば、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過ホウ酸、過ホウ酸塩、および過マンガン酸塩)が挙げられる。さらに他の例示的な酸化剤として、非過化合物(例えば、臭素酸塩、塩素酸塩、ヨウ素酸塩、ヨウ素酸、および硝酸セリウムアンモニウムなどのセリウム(IV)化合物)が挙げられる。いくつかの実施形態では、研磨組成物は2つ以上の酸化剤を含む。
【0060】
好ましい実施形態では、酸化剤は過酸化水素である。
【0061】
本発明の研磨組成物は、存在する場合、任意の適切な量の酸化剤を含むことができる。研磨組成物中の酸化剤の濃度が低すぎる場合、金属基板は、適切な速度で金属酸化物に酸化されず、それにより研磨性能が阻害される(除去速度の低下および/または欠陥性能の劣化)。対照的に、研磨組成物中の酸化剤の濃度が高すぎる場合、研磨組成物は望ましくない研磨性能を示し、費用効果がなく、および/または安定性に欠ける可能性がある。したがって、酸化剤は、約0.1重量%~10重量%、例えば約0.1重量%~約6重量%、約0.2重量%~約5重量%、約0.3重量%~約4重量%、約0.5重量%~約3重量%、または約0.25重量%~約2重量%の濃度で研磨組成物中に存在することができる。例えば、酸化剤は、研磨組成物中に約1重量%の濃度で存在することができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態では、研磨組成物は、触媒(例えば、促進剤)をさらに含む。例として、タングステン研磨用途の場合、研磨組成物は、適切な触媒として鉄含有促進剤を含むことができる。鉄含有促進剤は、タングステンCMP作業中にタングステンの除去速度を高める鉄含有化合物である。例えば、鉄含有促進剤は、米国特許第5,958,288号および第5,980,775号に開示されているような鉄含有触媒を含んでもよい。鉄含有触媒は、水性キャリアに可溶であってもよく、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、およびヨウ化物を含む、硝酸鉄、硫酸鉄、およびハロゲン化鉄などの第二鉄(鉄III)または第一鉄(鉄II)化合物、ならびに過塩素酸塩、過臭素酸塩、および過ヨウ素酸塩、ならびに酢酸鉄、アセチルアセトネート、シトレート、グルコネート、マロネート、オキサラート、フタラート、およびスクシネートなどの有機鉄化合物、ならびにそれらの組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、触媒は硝酸第二鉄である。
【0063】
化学機械研磨組成物は、任意の好適な量の触媒を含むことができる。組成物が含む触媒が少なすぎる場合、組成物は十分な除去速度を示さない可能性がある。対照的に、研磨組成物が含む触媒が多すぎる場合、組成物は、望ましくない研磨性能を示す可能性があり、費用効果がない可能性があり、かつ/または安定性に欠ける可能性がある。したがって、研磨組成物は、約5重量%以下、例えば、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下の触媒を含むことができる。あるいは、または加えて、研磨組成物は、約0.005重量%以上、例えば、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、または約1.5重量%以上の触媒を含むことができる。したがって、研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つによって境界付けられる量の触媒を含むことができる。例えば、研磨組成物は、約0.005重量%~5重量%、例えば約0.01重量%~約4重量%、約0.05重量%~約3重量%、約0.1重量%~約2重量%、または約0.5重量%~約1重量%の量の触媒を含むことができる。
【0064】
一実施形態では、研磨組成物は、約0.01重量%~約0.5重量%(例えば、約0.025重量%または約0.05重量%)の量の触媒を含む。別の実施形態では、研磨組成物は、約0.05重量%の量の触媒を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、鉄含有促進剤を含む研磨組成物は、安定剤をさらに含むことができる。特定の理論に束縛されることを望まないが、安定剤は、鉄含有促進剤が経時的に酸化剤を分解するのを防ぐと考えられている。安定剤の添加は、鉄含有促進剤の有効性を低下させ、研磨組成物に添加される安定剤の種類と量の選択がCMP性能に大きな影響を与える可能性がある。特定の理論に縛られることを望まないが、安定剤の添加は、促進剤が酸化剤と反応するのを阻害すると同時に急速なタングステン研磨速度を促進するために十分な活性で促進剤が残ることを可能にする安定剤/促進剤複合体の形成につながる可能性があると考えられている。
【0066】
有用な安定剤として、リン酸、有機酸、ホスホネート化合物、ニトリル、および金属に結合し、過酸化水素分解に対する反応性を低下させる他のリガンドが挙げられる。好ましい有機酸として、酢酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、およびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、有機酸はマロン酸である。酸を含む安定剤は、それらの共役形態で使用されてもよく、例えば、カルボン酸の代わりにカルボキシレートが使用されてもよい。用語「酸」は、適切な安定剤を説明するために使用される場合、酸安定剤の共役塩基も含む。例えば、「アジピン酸」という用語には、アジピン酸とその共役塩基が含まれる。安定剤は、単独または組み合わせて使用でき、過酸化水素などの酸化剤が分解する速度を大幅に低下させる。
【0067】
研磨組成物は、任意の好適な量の安定剤を含むことができる。組成物が含む安定剤が少なすぎる場合、組成物は十分な研磨性能を示さない可能性がある。対照的に、研磨組成物が含む安定剤が多すぎる場合、組成物は、望ましくない研磨性能を示す可能性があり、費用効果がない可能性があり、かつ/または安定性に欠ける可能性がある。したがって、研磨組成物は、約10重量%以下、例えば、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下の安定剤を含むことができる。あるいは、または加えて、研磨組成物は、約0.01重量%以上、例えば、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、または約1.5重量%以上の安定剤を含むことができる。したがって、研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つによって境界付けられる量の安定剤を含むことができる。例えば、研磨組成物は、約0.001重量%~約10重量%、例えば約0.005重量%~約9重量%、約0.01重量%~約8重量%、約0.05重量%~約7重量%、約0.1重量%~約6重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、または約1.5重量%~約3重量%の量の安定剤を含むことができる。
【0068】
一実施形態において、研磨組成物は、約0.01重量%~約1重量%(例えば、約0.05重量%)の量の安定剤を含む。別の実施形態では、研磨組成物は、約0.1重量%の量の安定剤を含む。
【0069】
研磨組成物は、金属(例えば、タングステン)エッチングを阻害する化合物、すなわち腐食防止剤を任意選択的にさらに含んでもよい。適切な腐食防止剤化合物は、可溶性金属化合物への固体金属の変換を阻害すると同時に、CMP作業による固体金属の効果的な除去を可能にする。例として、タングステンエッチングの有用な腐食防止剤である化合物のクラスには、本明細書に記載されるように、窒素含有複素環、アルキルアンモニウムイオン、アミノアルキル、およびアミノ酸(例えば、合成および天然に存在する)などの窒素含有官能基を有する化合物が含まれる。好ましい実施形態では、研磨組成物は、ヘキシルアミン、テトラメチル-p-フェニレンジアミン、オクチルアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルベンジルアミン、アミノプロピルシラノール、アミノプロピルシロキサン、ドデシルアミン、チロシン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、リジン、グリシン(アミノ酢酸)、およびそれらの組み合わせ、から選択される腐食防止剤を含む。
【0070】
研磨組成物は、任意の適切な量の腐食防止剤を含むことができる。組成物が含む腐食防止剤が少なすぎる場合、組成物は十分な研磨性能を示さない可能性がある。対照的に、研磨組成物が含む腐食防止剤が多すぎる場合、組成物は、望ましくない研磨性能を示す可能性があり、費用効果がない可能性があり、かつ/または安定性に欠ける可能性がある。したがって、研磨組成物は、約10重量%以下、例えば約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下の腐食防止剤を含むことができる。あるいは、または加えて、研磨組成物は、約0.01重量%以上、例えば、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、または約1.5重量%以上の腐食防止剤を含むことができる。したがって、研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つによって境界付けられる量の腐食防止剤を含むことができる。例えば、研磨組成物は、約0.01重量%~10重量%、例えば約0.05重量%~約9重量%、約0.1重量%~約8重量%、約0.5重量%~約7重量%、約1重量%~約6重量%、約1.5重量%~約5重量%、または約2重量%~約4重量%の量の腐食防止剤を含むことができる。
【0071】
一実施形態では、研磨組成物は、約0.01重量%~約0.2重量%(例えば、約0.05重量%)の量の腐食防止剤を含む。
【0072】
研磨組成物は、殺生物剤(例えば、KATHON(商標)LX)を任意選択的にさらに含んでもよい。殺生物剤は、存在する場合、任意の適切な殺生物剤であり得、任意の適切な量で研磨組成物中に存在することができる。適切な殺生物剤として、例えば、イソチアゾリノン殺生物剤が挙げられる。研磨組成物中に存在する殺生物剤の量は、典型的には約1~約50ppm、好ましくは約10~約20ppmである。
【0073】
研磨組成物の水性キャリアに溶解した場合、酸、塩基、または塩である研磨組成物の成分のいずれか(例えば、アニオン性ポリマー、除去速度抑制剤、緩衝剤など)が、カチオンおよびアニオンとして解離した形で存在し得ることが理解されよう。本明細書に記載の研磨組成物中に存在するこのような化合物の量は、研磨組成物の調製に使用される非解離化合物の重量を指すと理解されるであろう。
【0074】
研磨組成物は、その多くが当業者に知られている任意の好適な技術によって調製することができる。研磨組成物は、バッチプロセスまたは連続プロセスで調製することができる。一般に、研磨組成物は、研磨組成物の成分を組み合わせることにより調製される。本明細書で使用される「成分」という用語は、個々の成分(例えば、アニオン性ポリマーまたは除去速度抑制剤を含む表面を有するアルミナ粒子など)ならびに成分の任意の組み合わせ(例えば、アニオン性ポリマー、除去速度抑制剤、または1つ以上の添加剤を含む表面を有するアルミナ粒子など)を含む。
【0075】
例えば、研削粒子は、所望の濃度(複数可)で水性キャリア(例えば、水)に加えることができる。次いで、pHを(所望に応じて)調整することができ、除去速度抑制剤を所望の濃度で混合物に添加して、研磨組成物を形成することができる。研磨組成物は、使用の直前に(例えば、使用前の約1分以内に、または使用前の約1時間以内に、または使用前の約7日以内に)1種以上の成分を研磨組成物に添加して、使用に先立って調製することができる。研磨組成物はまた、研磨作業中に基板の表面で成分を混合することによっても調製することができる。
【0076】
研磨組成物はまた、使用前に適切な量の水性キャリアで、特に水で希釈されることを意図した濃縮物として提供することもできる。このような実施形態において、研磨組成物濃縮物は、アルミナ粒子、除去速度抑制剤、添加剤(複数可)(存在する場合)、および水性キャリアを、適切な量の水で濃縮物を希釈すると、研磨組成物の各成分が、上に列挙された各成分の適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在するようになる量で含むことができる。その上、当業者には理解されるように、濃縮物は、他の成分が少なくとも部分的にまたは完全に濃縮物中に溶解することを確実にするために、最終研磨組成物中に存在する水の好適な部分を含有することができる。
【0077】
研磨組成物は使用のかなり前に、または使用の少し前にさえ調製することができるが、研磨組成物はまた、使用地点またはその付近で研磨組成物の成分を混合することによって作製され得る。本明細書で使用される場合、用語「使用地点」は、研磨組成物が基板表面(例えば、研磨パッドまたは基板表面自体)に適用される点を指す。使用地点の混合を利用して研磨組成物を作製する場合、研磨組成物の成分は2つ以上の保管デバイスに別々に保管される。
【0078】
保管デバイスに収容される成分を混合して使用地点またはその付近で研磨組成物を作製するために、保管デバイスは通常、各保管デバイスから研磨組成物の使用地点(例えば、プラテン、研磨パッド、または基板表面)につながる1つ以上のフローラインとともに提供される。「フローライン」という用語は、個別の保管容器からそこに保管されている成分の使用地点までの、流れの経路を意味する。1つ以上のフローラインはそれぞれ使用地点に直接つながるか、または複数のフローラインが使用される状況では、2つ以上のフローラインを任意の地点で、使用地点に導く単一のフローラインに結合させることができる。さらに、1つ以上のフローライン(例えば、個別のフローラインまたは結合されたフローライン)のいずれかは、成分の使用地点に到達するに先立って、まず1つ以上の他のデバイス(例えば、ポンプデバイス、測定デバイス、混合デバイスなど)につながることができる。
【0079】
研磨組成物の成分は、独立して使用地点に送達されることができ(例えば、成分は基板表面に送達され、そこで研磨プロセス中に成分が混合される)、または成分は使用地点に送達される直前に混合することができる。成分は、それらの成分が使用地点に到達前の10秒未満で、好ましくは使用地点に到達前の5秒未満で、より好ましくは使用地点に到達前の1秒未満で、または使用地点に到達すると同時(例えば、成分が分注機で混合される)に混合される場合、「使用地点に送達される直前に」混合される。成分はまた、それらの成分が使用地点の5m以内、例えば、使用地点の1m以内で、さらには使用地点の10cm以内で(例えば、使用地点の1cm以内で)混合される場合、「使用地点に送達される直前に」混合される。
【0080】
研磨組成物の2種以上の成分が使用地点に到達する前に混合される場合、成分はフローラインで混合され、混合デバイスを使用せずに使用地点に送達されることができる。あるいは、1つ以上のフローラインは混合デバイスにつながり、2種以上の成分の混合を促進することができる。任意の好適な混合デバイスを使用することができる。例えば、混合デバイスは、2種以上の成分が流れるノズルまたはジェット(例えば、高圧ノズルまたは高圧ジェット)であり得る。あるいは、混合デバイスは、研磨組成物の2つ以上の成分がミキサーに導入される1つ以上の注入口と、混合された成分がミキサーから出て、直接または装置の他の要素(例えば、1つ以上のフローラインを介して)を介して、混合された成分がミキサーの出口まで送達される少なくとも1つの排出口と、を含む、容器型混合デバイスであり得る。さらに、混合デバイスは1つより多くのチャンバを備えることができ、各チャンバは少なくとも1つの注入口と少なくとも1つの排出口を有し、各チャンバで2つ以上の成分が混合される。容器型混合デバイスを使用する場合、混合デバイスは成分の混合をさらに促進するための、混合機構を備えることが好ましい。混合機構は当該技術分野で通常既知であり、スターラー、ブレンダー、撹拌機、パドル付きバッフル、ガススパージャーシステム、バイブレーターなどを含む。
【0081】
本発明はまた、TiN層およびSiN層を含む基板を化学機械的に研磨する方法を提供し、TiN層はSiN層よりも速く選択的に除去される。
【0082】
したがって、本発明は、基板を化学機械的に研磨する方法であって、(i)その表面上に窒化チタン(TiN)層および窒化ケイ素(SiN)層を含む基板を準備することと、(ii)研磨パッドを準備することと、(iii)化学機械研磨組成物として、(a)研削粒子と、(b)(I)ポリオキシアルキレン官能基およびスルホネート官能基を含む界面活性剤、(II)ポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤、(III)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤、ならびに(IV)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびサルフェート官能基を含む第2の界面活性剤、から選択される除去速度抑制剤と、(c)水性キャリアと、を含む前記化学機械研磨組成物を準備することと、(iv)基板を研磨パッドおよび化学機械研磨組成物に接触させることと、(v)基板に対して研磨パッドおよび化学機械研磨組成物を相対的に動かして、前記基板の表面上の前記TiN層の少なくとも一部および同前記SiN層の少なくとも一部を研削して前記基板を研磨することであって、前記TiN層が前記SiN層よりも速く選択的に除去されることと、を含む方法を提供する。
【0083】
本発明の研磨組成物および方法は、基板の表面にTiNを、基板の表面にSiN(例えば、タングステンを含む少なくとも1つの金属層、少なくとも1つのストップ/バリア層、および少なくとも1つの誘電体層を含む基板)を含む任意の基板(例えば、フラットパネルディスプレイ、集積回路、金属、層間誘電体(ILD)デバイス、微小電気機械システム(MEMS)、強誘電体、磁気ヘッド、半導体、メモリまたは剛性ディスク、薄膜)を研磨するのに有用である。適切な基板には、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属複合体、金属合金、低誘電材料、またはそれらの組み合わせを典型的に含む、またはそれらからなる半導体産業で使用されるウェーハも含まれる。誘電体層は、金属酸化物、多孔質金属酸化物、ガラス、有機ポリマー、フッ素化有機ポリマー、または任意の他の好適な高または低κ絶縁層とすることができる。絶縁層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはこれらの組み合わせ、を含む、それから本質的になる、またはそれからなることができる。酸化ケイ素層は、その多くが当該技術分野で既知である任意の好適な酸化ケイ素、を含む、それから本質的になる、またはそれからなることができる。例えば、酸化ケイ素層は、テトラエトキシシラン(TEOS)、高密度プラズマ(HDP)酸化物、ポロフォスフォシリケートガラス(BPSG)、高アスペクト比プロセス(HARP)酸化物、スピンオン絶縁体(SOD)酸化物、化学蒸着(CVD)酸化物、プラズマ増強テトラエチルオルトシリケート(PETEOS)、熱酸化物、またはドープされていないシリケートガラスを含むことができる。基板は、金属層をさらに含むことができる。金属は、例えば、銅、タンタル、タングステン、チタン、白金、ルテニウム、イリジウム、アルミニウム、ニッケル、またはこれらの組み合わせなどのその多くが当該技術分野で既知である任意の好適な金属、を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなることができる。「層」という用語は、実質的に均質な表面を有する材料の連続したバルク層と、表面特徴(例えば、回路線またはビア)内に含有される材料を含む表面の両方を指す。有利には、本発明の研磨組成物は、金属層の適切な除去速度を提供しながら、SiNに対するTiNの選択的除去速度を可能にする。
【0084】
本発明の化学機械研磨組成物および方法は、望ましくは、1つ以上の金属層に対して適切な除去速度を示し、TiN除去速度をSiN除去速度と比較することにより決定される15:1より大きいTiN:SiN除去速度選択性を示す。金属層(複数可)、ストップ/バリア層(複数可)、および誘電体層(複数可)の除去速度は、研磨用途および所望のトポグラフィー要件に応じて異なる場合がある。しかしながら、存在する様々な膜/層の除去速度に関係なく、TiN:SiN除去速度の選択性は15:1より大きい。特定の理論に縛られることを望まないが、TiN:SiN除去速度選択性は、本発明の研磨組成物の様々な成分(例えば、本明細書に記載の1つ以上の除去速度抑制剤)の種類または濃度を変えることにより調整できる。
【0085】
本発明の化学機械研磨組成物および方法は、特定の薄層材料(例えば、W、TiN、SiN層/膜)に選択的な所望の研磨範囲で効果的な研磨を提供し、同時に表面不良、欠陥、腐食、侵食、ディッシング、およびストップ層の除去を最小化するように調整できる。選択性は、研磨組成物の成分の相対濃度を変えることにより、ある程度制御することができる。望ましい場合、本発明の化学機械研磨組成物および方法を使用して、約15:1以上(例えば、約20:1、約25:1、約30:1、約35:1、約40:1、約45:1、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約105:1、約110:1、約115:1、約120:1、または約125:1)の窒化ケイ素に対する窒化チタンの研磨除去速度選択性で基板を研磨することができる。
【0086】
本発明の研磨組成物および方法は、基板の表面上のSiN層および基板の表面上のTiN層を含む基板の研磨に特に適しており、金属層の適切な除去速度を提供するとともに適切なTiN:SiN除去速度選択性も示すことができる。本発明の研磨組成物および方法は、望ましくは、絶縁膜(例えば、酸化ケイ素または窒化ケイ素)と比較してTiNに対して適切な選択性を有し、それにより、金属層膜が隣接する絶縁層膜よりも激しく侵食される際に生じ得る金属層膜のディッシングまたは侵食を最小限に抑える。
【0087】
一実施形態では、研磨組成物および方法は、例えば、タングステンゲートバフ研磨用途において、タングステンをさらに含む基板を研磨するのに適している。
【0088】
本発明の化学機械研磨組成物および方法は、化学機械研磨装置とともに使用するのに特に適している。典型的には、その装置は、使用時に、運動中に、軌道運動、直線運動、または円運動から生じる速度を有するプラテンと、プラテンと接触して運転時にプラテンとともに運動する研磨パッドと、研磨パッドの表面に対して接触して動かすことにより基板が研磨されるように保持するキャリアとを含む。基板の研磨は、基板が研磨パッドおよび本発明の研磨組成物と接触して配置され、次いで研磨パッドが基板に対して運動して、基板の少なくとも一部を研削して基板を研磨することにより行われる。
【0089】
基板は、任意の好適な研磨パッド(例えば、研磨表面)を使用して化学機械研磨組成物で研磨することができる。好適な研磨パッドには、例えば、織布および不織布の研磨パッドが含まれる。さらに、好適な研磨パッドは、様々な密度、硬度、厚さ、圧縮率、圧縮時に反発する能力、および圧縮弾性率の任意の好適なポリマーを含むことができる。好適なポリマーには、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの成形製品、およびそれらの混合物が含まれる。軟質ポリウレタン研磨パッドは、本発明の研磨方法と併せて特に有用である。典型的なパッドには、SURFIN(商標)000、SURFIN(商標)SSW1、SPM3100 Eminess Technologies)、POLITEX(商標)(Dow Chemical Company)、およびPOLYPAS(商標)27(Fujibo)、およびCabot Microelectronicsから市販されているEPIC(商標)D100パッドが含まれる。特に好ましい研磨パッドは、Dow Chemicalから市販されている硬質の微孔性ポリウレタンパッド(IC1010(商標))である。
【0090】
望ましくは、化学機械研磨装置は、現場研磨終点検出システムをさらに備え、その多くは当技術分野で知られている。研磨されている基板の表面から反射された光または他の放射を分析することにより研磨プロセスを検査および監視する技術は、当該技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、米国特許第5,196,353号、米国特許第5,433,651号、米国特許第5,609,511号、米国特許第5,643,046号、米国特許第5,658,183号、米国特許第5,730,642号、米国特許第5,838,447号、米国特許第5,872,633号、米国特許第5,893,796号、米国特許第5,949,927号、および米国特許第5,964,643号に記載されている。望ましくは、研磨されている基板に対する研磨プロセスの進行の検査または監視により、研磨終点の決定、すなわち特定の基板に対する研磨プロセスをいつ終了するかの決定を可能にする。
【0091】
実施形態
(1)実施形態(1)では、化学機械研磨組成物が提示され、化学機械研磨組成物は、(a)アルミナ粒子であって、アルミナ粒子はアニオン性ポリマーを含む表面を有する、アルミナ粒子と、(b)(I)ポリオキシアルキレン官能基およびスルホネート官能基を含む界面活性剤、(II)ポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤、(III)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤、ならびに(IV)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびサルフェート官能基を含む第2の界面活性剤、から選択される除去速度抑制剤と、(c)水性キャリアと、を含む。
【0092】
(2)実施形態(2)では、アルミナ粒子が、研磨組成物中に約0.001重量%~約10重量%の濃度で存在する、実施形態(1)の化学機械研磨組成物が提示される。
【0093】
(3)実施形態(3)では、アニオン性ポリマーがカルボン酸官能基、スルホン酸官能基、ホスホン酸官能基、およびその組み合わせから選択される繰り返し単位を含む、実施形態(1)または(2)の化学機械研磨組成物が提示される。
【0094】
(4)実施形態(4)では、アニオン性ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ビニルスルホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、2-(メタクロイルオキシ)エチルホスフェート、およびそれらの組み合わせ、から選択される繰り返し単位を含む、実施形態(1)~(3)のいずれか1つの化学機械研磨組成物が提示される。
【0095】
(5)実施形態(5)では、除去速度抑制剤が、約0.001重量%~約5重量%の濃度で研磨組成物中に存在する、実施形態(1)~(4)のいずれか1つの化学機械研磨組成物が提示される。
【0096】
(6)実施形態(6)では、除去速度抑制剤がポリオキシエチレン基を含む、実施形態(1)~(5)のいずれか1つの化学機械研磨組成物が提示される。
【0097】
(7)実施形態(7)では、除去速度抑制剤が、ラウリルポリオキシエチレンエーテルサルフェートを含む界面活性剤、エトキシル化C-C12アルコールを含む第1の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、アルファオレフィンスルホネートを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせ、から選択される、実施形態(1)~(6)のいずれか1つの化学機械研磨組成物が提示される。
【0098】
(8)実施形態(8)では、除去速度抑制剤が、エトキシル化C-C12アルコールを含む第1の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、を含む、実施形態(7)の化学機械研磨組成物が提示される。
【0099】
(9)実施形態(9)では、除去速度抑制剤が、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、を含む、実施形態(7)の化学機械研磨組成物が提示される。
【0100】
(10)実施形態(10)では、研磨組成物が約1~約5のpHを有する、実施形態(1)~(9)のいずれか1つの研磨組成物が提示される。
【0101】
(11)実施形態(11)では、触媒または腐食防止剤をさらに含む、実施形態(1)~(10)のいずれか1つの化学機械研磨組成物が提示される。
【0102】
(12)実施形態(12)では、研磨組成物が腐食防止剤を含み、腐食防止剤が、ヘキシルアミン、テトラメチル-p-フェニレンジアミン、オクチルアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルベンジルアミン、アミノプロピルシラノール、アミノプロピルシロキサン、ドデシルアミン、チロシン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、リジン、グリシン(アミノ酢酸)、およびそれらの組み合わせ、から選択される、実施形態(1)~(11)のいずれか1つの化学機械研磨組成物が提示される。
【0103】
(13)実施形態(13)では、基板を化学機械的に研磨する方法が提示され、方法は、(i)その表面上の窒化チタン(TiN)層および窒化ケイ素(SiN)層を含む基板を準備することと、(ii)研磨パッドを準備することと、(iii)化学機械研磨組成物として、(a)研削粒子と、(b)(I)ポリオキシアルキレン官能基およびスルホネート官能基を含む界面活性剤、(II)ポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤、(III)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤、ならびに(IV)ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびサルフェート官能基を含む第2の界面活性剤、から選択される除去速度抑制剤と、(c)水性キャリアと、を含む前記化学機械研磨組成物を準備することと、(iv)基板を研磨パッドおよび化学機械研磨組成物に接触させることと、(v)基板に対して研磨パッドおよび化学機械研磨組成物を相対的に動かして、前記基板の表面上の前記TiN層の少なくとも一部および同前記SiN層の少なくとも一部を研削して前記基板を研磨することであって、前記TiN層が前記SiN層よりも速く選択的に除去されることと、TiN:SiN除去速度選択性が15:1より大きいこと、を含む。
【0104】
(14)実施形態(14)では、TiN:SiN除去速度選択性が20:1より大きい、実施形態(13)の基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0105】
(15)実施形態(15)では、研削粒子が、コロイドシリカ粒子およびアルミナ粒子から選択され、前記アルミナ粒子が、アニオン性ポリマーを含む表面を有する、実施形態(13)または(14)の基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0106】
(16)実施形態(16)では、研削粒子がアルミナ粒子であり、アルミナ粒子がアニオン性ポリマーを含む表面を有する、実施形態(13)~(15)のいずれか1つの基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0107】
(17)実施形態(17)では、アニオン性ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ビニルスルホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、2-(メタクロイルオキシ)エチルホスフェート、およびそれらの組み合わせ、から選択される繰り返し単位を含む、実施形態(15)または(16)の基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0108】
(18)実施形態(18)では、研削粒子が約0.001重量%~約10重量%の濃度で研磨組成物中に存在する、実施形態(13)~(17)のいずれか1つの基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0109】
(19)実施形態(19)では、除去速度抑制剤がポリオキシエチレン基を含む、実施形態(13)~(18)のいずれか1つの基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0110】
(20)実施形態(20)では、除去速度抑制剤が、ラウリルポリオキシエチレンエーテルサルフェートを含む界面活性剤、エトキシル化C-C12アルコールを含む第13の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、アルファオレフィンスルホネートを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせ、から選択される、実施形態(13)~(19)のいずれか1つの基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0111】
(21)実施形態(21)では、除去速度抑制剤が、エトキシル化C-C12アルコールを含む第1の界面活性剤およびC10-C14アルキルアリールスルホネートを含む第2の界面活性剤、を含む、実施形態(20)の基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0112】
(22)実施形態(22)では、除去速度抑制剤が、スルホン化アルキルジフェニルオキシドを含む第1の界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む第2の界面活性剤、を含む、実施形態(20)の基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0113】
(23)実施形態(23)では、除去速度抑制剤が約0.001重量%~約5重量%の濃度で研磨組成物中に存在する、実施形態(13)~(22)のいずれか1つの基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0114】
(24)実施形態(24)では、研磨組成物が約1~約5のpHを有する、実施形態(13)~(23)のいずれか1つの基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0115】
(25)実施形態(25)では、研磨組成物が触媒または腐食防止剤をさらに含む、実施形態(13)~(24)のいずれか1つの基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【0116】
(26)実施形態(26)では、研磨組成物が腐食防止剤を含み、腐食防止剤が、ヘキシルアミン、テトラメチル-p-フェニレンジアミン、オクチルアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルベンジルアミン、アミノプロピルシラノール、アミノプロピルシロキサン、ドデシルアミン、チロシン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、リジン、グリシン(アミノ酢酸)、およびそれらの組み合わせ、から選択される、実施形態(25)の基板を化学機械的に研磨する方法が提示される。
【実施例
【0117】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0118】
特に明記しない限り、TiNウェーハとSiNウェーハは、EPIC D100研磨パッド(Cabot Microelectronics Corporation,Aurora,IL)を取り付けたGnP POLI-500研磨デバイス(G&P Technology,Inc.,Bussan,South Korea)で次の条件で別々に研磨した:2.5psiのダウンフォース;93rpmのテーブル速度;87rpmのヘッド速度;流量100mL/min;20秒(TiN)または3分(SiN)の研磨時間。
【0119】
実施例では次の略語が使用される。RRは除去速度を指し、RRIは除去速度抑制剤を指し、PSSはポリスチレンスルホン酸を指し、AOSはアルファオレフィンスルホネートを指す。
【0120】
実施例1
この実施例は、本発明の研磨方法および組成物のTiN:SiN選択性に対する除去速度抑制剤の効果を実証する。
【0121】
TiNまたはSiNを含む基材を、9つの研磨組成物(すなわち、研磨組成物1A~1I)で研磨した。研磨組成物1A~1Iのそれぞれは、研削剤としてポリスルホン酸ポリマーで処理されたアルミナ粒子0.03重量%および酸化剤として過酸化水素0.5重量%を含有していた。さらに、各研磨組成物のpHは3であった。
【0122】
研磨組成物1Aは対照であり、除去速度抑制剤を含有しなかった。
【0123】
研磨組成物1B~1Iは本発明であり、表1に示すように、次の除去速度抑制剤の1つ以上を含んでいた。アルファオレフィンスルホネート(AOS);TWEEN(商標)20;ZETASPERSE(商標)2300(Z2300);DOWFAX(商標)C10L;シノネート(商標)1150SF;および/またはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EMAL(商標)20C)。
【0124】
研磨組成物1B~1Eは、除去速度抑制剤がポリオキシエチレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む1成分組成物であった。研磨組成物1F~1Iは、除去速度抑制剤がポリオキシエチレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤を含む多成分(例えば、2成分系)組成物であった。
【0125】
除去速度と研磨選択性のデータを表1に示す。
【表1】
【0126】
表1に示す結果から明らかなように、1成分除去速度抑制剤(研磨組成物1B~1E)または2成分除去速度抑制剤(研磨組成物1F~1I)のいずれかを含む本発明の研磨組成物は、望ましくはTiN:SiN除去速度選択性が15:1より大きいことを示す。
【0127】
ポリオキシエチレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む除去速度抑制剤を含有する研磨組成物1Bは、101対1のTiN:SiN除去速度選択性を示した。ポリオキシエチレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む除去速度抑制剤も含有する研磨組成物1C~1Eは、それぞれ110対1、99対1、および121対1のTiN:SiN除去速度選択性を示した。
【0128】
ポリオキシエチレン官能基を含む第1の界面活性剤およびアリールスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤を含む除去速度抑制剤を含有する研磨組成物1Fは、47対1のTiN:SiN除去速度選択性を示した。ポリオキシエチレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤を含む除去速度抑制剤を含有する研磨組成物1Gは、74対1のTiN:SiN除去速度選択性を示した。ポリオキシエチレン官能基を含む第1の界面活性剤およびアリールスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤を含む除去速度抑制剤を含有する研磨組成物1Hおよび1Iは、それぞれ41対1および45対1のTiN:SiN除去速度選択性を示した。
【0129】
さらに、本発明の研磨組成物のそれぞれは、対照研磨組成物1Aよりも高いTiN:SiN選択性を示した。例えば、研磨組成物1Eは、研磨組成物1Aよりも13倍以上のTiN:SiN選択性を示し、研磨組成物1B~1Dのそれぞれは、研磨組成物1Aの11倍以上のTiN:SiN選択性を示した。
【0130】
このデータは、「1成分系」除去速度抑制剤を含有する本発明の研磨組成物(ポリオキシエチレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む界面活性剤を含有した研磨組成物1B~1E)、および「2成分系」除去速度抑制剤(ポリオキシエチレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基(例えば、アリールスルホネート官能基)を含む第2の界面活性剤を含有する本発明の研磨組成物1F~1Iは、望ましくは15対1より大きいTiN:SiN除去速度選択性を示す。実際、「1成分系」除去速度抑制剤を含有する研磨組成物1B~1Eは、95対1より大きい(研磨組成物1D)、100対1より大きい(研磨組成物1B)、105より大きい(研磨組成物1C)、および120対1より大きい(研磨組成物1E)、TiN:SiN除去速度選択性を示した。さらに、「2成分系」除去速度抑制剤を含有する研磨組成物1F~1Iは、40:1より大きい(研磨組成物1Hおよび1I)、45対1より大きい(研磨組成物1F)、および70対1より大きい(研磨組成物1G)、TiN:SiN除去速度選択性を示した。
【0131】
実施例2
この実施例は、本発明の研磨方法および組成物のTiN:SiN選択性に対する除去速度抑制剤および研削剤の効果を実証する。
【0132】
TiNまたはSiNを含む基板を、11個の研磨組成物(すなわち、研磨組成物2A~2K)で研磨した。研磨組成物2A~2Kのそれぞれは、研削剤としてポリスルホン酸ポリマーまたはコロイドシリカ粒子(PL-3DまたはPL-2、FUSO)で処理されたアルミナ粒子、および酸化剤として0.5重量%の過酸化水素を含有していた。さらに、各研磨組成物のpHは3であった。
【0133】
研磨組成物2A、2D、および2Fは対照であり、除去速度抑制剤を含有しなかった。研磨組成物2B、2C、2E、および2G~2Kは本発明であり、表2に示すように、次の除去速度抑制剤の1つ以上を含んでいた。アルファオレフィンスルホネート(AOS);TWEEN(商標)20;ZETASPERSE(商標)2300(Z2300);DOWFAX(商標)C10L;シノネート(商標)1150SF;および/またはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EMAL(商標)20C)。
【0134】
本発明の研磨組成物2B、2C、2H、および2Iは、除去速度抑制剤がポリオキシエチレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む1成分組成物であった。研磨組成物2E、2G、2J、および2Kは、除去速度抑制剤がポリオキシエチレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤を含む多成分(例えば、2成分系)組成物であった。
【0135】
除去速度と研磨選択性のデータを表2に示す。
【表2】
【0136】
表2に示す結果から明らかなように、本発明の研磨方法および1成分除去速度抑制剤(研磨組成物2B、2C、2H、および2I)または2成分除去速度抑制剤(研磨組成物2E、2G、2J、および2K)のいずれかを含む組成物は、望ましくは15:1より大きいTiN:SiN除去速度選択性を示す。
【0137】
研削剤としてポリスルホン酸ポリマーで処理されたアルミナ粒子と、ポリオキシエチレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む除去速度抑制剤とをそれぞれ含んだ研磨組成物2Bおよび2Cは、約100:1のTiN:SiN除去速度選択性を示した。研削剤としてのコロイダルシリカ粒子と、ポリオキシエチレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む除去速度抑制剤とをそれぞれ含んだ研磨組成物2Hおよび2Iは、25.6対1(2H)および41対1(2H)のTiN:SiN除去速度選択性を示した。研削剤としてコロイダルシリカ粒子と、ポリオキシエチレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤を含む除去速度抑制剤とをそれぞれ含んだ研磨組成物2E、2G、2J、および2Kは、26対1(2E)、23対1(2G)、19対1(2J)、および75.6対1(2K)のTiN:SiN除去速度選択性を示した。
【0138】
さらに、本発明の研磨組成物のそれぞれは、対照研磨組成物よりも高いTiN:SiN選択性を示した。例えば、本発明の研磨組成物2Bおよび2Cのそれぞれは、対照研磨組成物1Aの少なくとも11倍のTiN:SiN選択性を示し、本発明の研磨組成物2Eは、対照研磨組成物2Dの5倍以上のTiN:SiN選択性を示した。加えて、本発明の研磨組成物2Gは、対照研磨組成物2Fの9倍以上のTiN:SiN選択性を示した。さらに、本発明の研磨組成物2H~2Kのそれぞれは、対照組成物のいずれよりも大きいTiN:SiN選択性を示した。
【0139】
このデータは、「1成分系」除去速度抑制剤を含む本発明の研磨組成物(すなわち、研磨組成物2B、2C、2H、および2I)、およびコロイドシリカ粒子およびアルミナ粒子から選択される研削粒子を含有していることを示唆している。ここでアルミナ粒子は、アニオン性ポリマーとポリオキシアルキレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤とを含む表面を有し、「2成分系」除去速度抑制剤を含む本発明の研磨組成物(すなわち、研磨組成物2E、2G、2J、2K)は、研削剤としてのコロイダルシリカ粒子と、ポリオキシアルキレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤とを含有し、15対1より大きいTiN:SiN除去速度選択性を示すことが望ましい。実際、「1成分系」除去速度抑制剤を含有する研磨組成物2Cは、本発明の方法で95:1(すなわち100:1)より大きいTiN:SiN除去速度選択性を示し、研磨組成物2Kは、「2成分系」除去速度抑制剤を含み、本発明の方法で75:1より大きいTiN:SiN除去速度選択性を示した。
【0140】
実施例3
この実施例は、タングステンを含む基板を研磨するときの本発明の研磨方法および組成物のTiN:SiN選択性に対する除去速度抑制剤の効果を実証する。
【0141】
W、TiN、およびSiNを含む基板を、7個の研磨組成物(すなわち、研磨組成物3A~3G)で研磨した。研磨組成物3A~3Gのそれぞれは、研削剤としてポリスルホン酸ポリマーで処理されたアルミナ粒子0.03重量%および酸化剤として過酸化水素0.5重量%を含有していた。さらに、各研磨組成物のpHは3であった。
【0142】
研磨組成物3Aは対照であり、除去速度抑制剤も腐食防止剤も含有しなかった。
【0143】
研磨組成物3B-3Gは本発明であり、表3に示すように、次の除去速度抑制剤の1つ以上を含んでいた。アルファオレフィンスルホネート(AOS);TWEEN(商標)20;ZETASPERSE(商標)2300(Z2300);および/またはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EMAL(商標)20C)。
【0144】
研磨組成物3Bおよび3Cは、除去速度抑制剤がポリオキシエチレン官能基およびサルフェート官能基を含む界面活性剤を含む1成分組成物であった。研磨組成物3D~3Gは、除去速度抑制剤がポリオキシエチレン官能基を含む第1の界面活性剤およびスルホネート官能基を含む第2の界面活性剤を含む多成分(例えば、2成分系)組成物であった。
【0145】
研磨組成物3C、3E、および3Gは、腐食防止剤として0.05重量%のグリシン、0.025重量%の硝酸第二鉄、および0.054重量%のマロン酸をさらに含んだ。
【0146】
除去速度と研磨選択性を表3に示す。
【表3】
【0147】
表3に示す結果から明らかなように、研削剤としてポリスルホン酸ポリマーで処理されたアルミナ粒子と、ポリオキシエチレン官能基およびサルフェート官能基(例えば、1成分系)を含む界面活性剤を含む除去速度抑制剤またはポリオキシエチレン官能基を含む第1の界面活性剤およびアリールスルホネート官能基/スルホネート官能基(例えば、多成分系)を含む第2の界面活性剤と、を含む研磨組成物3B~3Gを使用する本発明の研磨方法は、望ましくは15:1より大きいTiN:SiN除去速度選択性を示した。
【0148】
実際、研磨組成物3Bおよび3Cは、それぞれ101:1および82:1のTiN:SiN除去速度選択性を示した。研磨組成物3D~3Gは、それぞれ47:1、42:1、74:1、および68:1のTiN:SiN除去速度選択性を示した。
【0149】
加えて、腐食防止剤をさらに含む研磨組成物3C、3E、および3Gは、腐食防止剤を含まない同一の研磨組成物と比較して、より高いタングステン除去速度を示した。例えば、研磨組成物3Cは、研磨組成物3B(20オングストローム分)と比較して、研磨組成物3Bの6倍以上の毎分134オングストロームのタングステン除去速度を示した(すなわち、毎分20オングストロームと比較して毎分134オングストローム)。同様に、研磨組成物3Eは、研磨組成物3Dのそれよりも3倍以上の毎分73オングストロームのタングステン除去速度を示した(すなわち、毎分21オングストロームと比較して毎分73オングストローム)。加えて、研磨組成物3Gは、毎分72オングストロームのタングステン除去速度を示し、これは研磨組成物3Hのそれよりも2倍以上である(すなわち、毎分35オングストロームと比較して毎分72オングストローム)。
【0150】
このデータは、「1成分系」除去速度抑制剤を含む本発明の研磨方法および組成物(すなわち、研磨組成物3Bおよび3C)、および「2成分系」除去速度抑制剤を含む本発明の研磨方法および組成物(すなわち、研磨組成物3D~3G)は、望ましくは、本発明の方法において、40対1より大きい、45対1より大きい、65対1より大きい、70対1より大きい、80対1より大きい、さらには100対1より大きいTiN:SiN除去速度選択性を示す。さらに、腐食防止剤をさらに含む研磨組成物(すなわち、研磨組成物3C、3E、および3G)は、本発明の方法において腐食防止剤を含まない組成物よりも高いタングステン除去速度を示した。
【0151】
本明細書に引用された刊行物、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個々にかつ具体的に参照により組み入れられることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈における「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つの(at least one)」という用語および同様の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「少なくとも1つの」という用語に続く1つ以上の項目の列挙(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択される1つの項目、または列挙された項目(AおよびB)の2つ以上の任意の組み合わせを意味すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に参照する簡略方法として有用であることを単に意図しており、それぞれの別個の値は本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書中に記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書において提供される任意のおよびすべての例、または例示的な用語(例えば、「~など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に必須であると主張されていない任意の要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0153】
本発明を行うために本発明者らに既知の最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切に使用することを期待しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての変形および同等物を含む。その上、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、それらのすべての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。