(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】パターニングにおける酸化スズマンドレル
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230821BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20230821BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/90 K
H01L21/90 A
H01L21/302 101C
(21)【出願番号】P 2020540611
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(86)【国際出願番号】 US2019015559
(87)【国際公開番号】W WO2019152362
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユー・ジェンギー
(72)【発明者】
【氏名】タン・サマンサ・シアムフワ
(72)【発明者】
【氏名】ヒオ・セオンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ボロッスキー・ボリス
(72)【発明者】
【氏名】カナカサバパシー・シバナンダ・クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ワイズ・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】パン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウー・フーイ-ユング
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/134176(WO,A1)
【文献】特開2018-006742(JP,A)
【文献】特開2015-111668(JP,A)
【文献】特許第7190814(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を処理するための方法であって、
(a)エッチング停止層に存在する複数の酸化スズ突起フィーチャを有する半導体基板を提供することであって、前記複数の酸化スズ突起フィーチャは、水平面および側壁を有し、スペーサ材の層は、前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記水平面および前記側壁の両方に存在することと、
(b)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁における前記スペーサ材を完全に除去することなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記水平面から前記スペーサ材を除去して、下地の酸化スズを露出させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(c)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材を完全に除去することなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャを除去することで、前記エッチング停止層の上に存在する複数のスペーサを形成することを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、さらに、
(d)前記複数の酸化スズ突起フィーチャが除去された後に、前記複数のスペーサの存在下で前記エッチング停止層をエッチングすることを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記スペーサ材は、シリコン含有材料および二酸化チタンからなる群より選択される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記スペーサ材は、元素シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCNからなる群より選択されたシリコン含有材料である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記スペーサ材は酸化チタンであり、前記エッチング停止層はシリコン含有材料を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記スペーサ材は酸化シリコンであり、前記エッチング停止層はタングステンを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に方法であって、
前記スペーサ材はシリコン含有材料であり、(b)において水平面から前記スペーサ材を除去することは、フッ素系エッチング化学物質を用いて前記スペーサ材をエッチングすることを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記スペーサ材は酸化チタンであり、(b)において水平面から前記スペーサ材を除去することは、塩素系エッチング化学物質を用いて前記スペーサ材をエッチングすることを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(c)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材を完全に除去することなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャを除去することで、前記エッチング停止層の上に存在する複数のスペーサを形成することであって、前記複数の酸化スズ突起フィーチャは、水素化スズの形成をもたらす水素系エッチング化学物質を用いて除去されることを含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(c)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材を完全に除去することなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャを除去することで、前記エッチング停止層の上に存在する複数のスペーサを形成することであって、前記複数の酸化スズ突起フィーチャを除去することは、プラズマ励起水素含有反応剤と前記半導体基板とを接触させることを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(a)より前に、
平坦な酸化スズ層をパターニングすることによって前記半導体基板上に前記複数の酸化スズ突起フィーチャを形成することを含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(a)より前に、
(i)前記半導体基板上に複数の第1のマンドレルを形成することと、
(ii)前記複数の第1のマンドレルの上に酸化スズの層を共形に堆積することと、
(iii)前記堆積した酸化スズの層を水平面からエッチングし、前記複数の第1のマンドレルを除去して、(a)で提供された前記半導体基板上に前記複数の酸化スズ突起フィーチャを形成することであって、前記形成された複数の酸化スズ突起フィーチャは、続く動作(b)において第2のマンドレルとして機能することと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1のマンドレルは、フォトレジスト、非晶質炭素、およびダイヤモンド状炭素からなる群より選択された炭素含有材料を含む、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1のマンドレルは、炭素含有材料を含み、(iii)は、水素系エッチング化学物質または塩素系エッチング化学物質を用いて水平面から前記堆積した酸化スズの層をエッチングすることと、酸素系エッチング化学物質を用いて前記複数の第1のマンドレルを除去することとを含む、方法。
【請求項16】
半導体基板を処理するためのシステムであって、
(a)1つ以上の堆積チャンバと、
(b)1つ以上のエッチングチャンバと、
(c)システムコントローラであって、
(i)複数の酸化スズ突起フィーチャを備える前記半導体基板上で、
エッチング停止層上に存在する前記複数の酸化スズ突起フィーチャの水平面および側壁の両方にスペーサ材の堆積を行わせるためのプログラム命令と、
(ii)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁において前記スペーサ材の完全な除去を行わせることなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記水平面から前記スペーサ材の除去を行わせて、下地の酸化スズを露出させるためのプログラム命令と、を備えるシステムコントローラと、
を備える、システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、
前記システムコントローラは、さらに、
(iii)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材の完全な除去を行わせることなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせて、前記半導体基板上に複数のスペーサを形成するためのプログラム命令を備える、システム。
【請求項18】
請求項16に記載のシステムであって、
前記システムコントローラは、さらに、複数の第1のマンドレルを有する半導体基板の上に共形の酸化スズ層の堆積を行わせ、次に水平面か
ら酸化スズ材の除去、および前記複数の第1のマンドレルの除去を行わせることによって、前記複数の酸化スズ突起フィーチャを備える前記半導体基板
の形成を行わせるためのプログラム命令を備える、システム。
【請求項19】
エッチング装置であって、
(a)プロセスガスのための入口を有するエッチングプロセスチャンバと、
(b)前記エッチングプロセスチャンバにおいて半導体基板を保持するように構成された基板ホルダと、
(c)プロセスコントローラであって、
スペーサ材が複数の酸化スズ突起フィーチャの側壁において完全に除去されることなく前記半導体基板の水平面から完全に除去されるように、前記半導体基板上の
エッチング停止層上に存在する前記複数の酸化スズ突起フィーチャを被覆する前記スペーサ材の層のエッチングを行わせるためのプログラム命令を備える、プロセスコントローラと、
を備える、エッチング装置。
【請求項20】
請求項19に記載のエッチング装置であって、
(c)における前記プログラム命令は、フッ素系エッチング化学物質を用いて前記スペーサ材の前記層の前記エッチングを行わせるためのプログラム命令を含み、前記スペーサ材は、シリコン含有材料である、エッチング装置。
【請求項21】
請求項19に記載のエッチング装置であって、
(c)における前記プログラム命令は、前記半導体基板の前記水平面からシリコン含有スペーサ材をエッチングするために、フッ化炭素を含むガスにおけるプラズマの形成を行わせるためのプログラム命令を備える、エッチング装置。
【請求項22】
請求項19に記載のエッチング装置であって、
前記スペーサ材は、元素シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCNからなる群より選択される、エッチング装置。
【請求項23】
請求項19に記載のエッチング装置であって、
前記スペーサ材は、酸化チタンである、エッチング装置。
【請求項24】
請求項23に記載のエッチング装置であって、
(c)における前記プログラム命令は、塩素系エッチング化学物質を用いて前記半導体基板の前記水平面からの前記酸化チタンスペーサ材の除去を行わせるためのプログラム命令を備える、エッチング装置。
【請求項25】
請求項19に記載のエッチング装置であって、
前記プログラム命令は、さらに、前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に存在するスペーサ材の完全な除去を行わせることなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせるためのプログラム命令を備える、エッチング装置。
【請求項26】
請求項19に記載のエッチング装置であって、
前記プログラム命令は、さらに、水素化スズの形成をもたらす水素系エッチング化学物質に前記半導体
基板を曝露することによって、前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に存在するスペーサ材の完全な除去を行わせることなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせるためのプログラム命令を備える、エッチング装置。
【請求項27】
請求項19に記載のエッチング装置であって、
前記プログラム命令は、さらに、前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材の完全な除去を行わせることなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせることで、エッチング停止層の上に存在する複数のスペーサを形成するためのプログラム命令を備え、前記複数の酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせることは、プラズマ励起水素含有反応剤と前記半導体基板との接触を行わせることを含む、エッチング装置。
【請求項28】
請求項27に記載のエッチング装置であって、
前記スペーサ材は、シリコン含有材料である、エッチング装置。
【請求項29】
請求項27に記載のエッチング装置であって、
前記スペーサ材は、二酸化チタンである、エッチング装置。
【請求項30】
請求項27に記載のエッチング装置であって、
前記
プラズマ励起水素含有反応剤は、
プラズマ励起されたH
2、NH
3、H
2O、炭化水素、HBr、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、エッチング装置。
【請求項31】
請求項19に記載のエッチング装置であって、
プロセスガスにおいてプラズマを生成するように構成されている、エッチング装置。
【請求項32】
半導体基板を処理するためのシステムであって、
(a)1つ以上の堆積チャンバと、
(b)1つ以上のエッチングチャンバと、
(c)システムコントローラであって、
(i)複数の酸化スズ突起フィーチャを備える前記半導体基板上で、前記複数の酸化スズ突起フィーチャの水平面および側壁の両方にスペーサ材の堆積を行わせるためのプログラム命令と、
(ii)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁において前記スペーサ材の完全な除去を行わせることなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記水平面から前記スペーサ材の除去を行わせて、下地の酸化スズを露出させるためのプログラム命令と、
(iii)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材の完全な除去を行わせることなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせて、前記半導体基板上に複数のスペーサを形成するためのプログラム命令と、を備えるシステムコントローラと、
を備える、システム。
【請求項33】
エッチング装置であって、
(a)プロセスガスのための入口を有するエッチングプロセスチャンバと、
(b)前記エッチングプロセスチャンバにおいて半導体基板を保持するように構成された基板ホルダと、
(c)プロセスコントローラであって、
酸化チタンスペーサ材が複数の酸化スズ突起フィーチャの側壁において完全に除去されることなく前記半導体基板の水平面から完全に除去されるように、前記半導体基板上の前記複数の酸化スズ突起フィーチャを被覆する前記酸化チタンスペーサ材の層のエッチングを行わせるためのプログラム命令を備える、プロセスコントローラと、
を備え、
前記エッチングは、塩素系エッチング化学物質を用いることを含む、エッチング装置。
【請求項34】
エッチング装置であって、
(a)プロセスガスのための入口を有するエッチングプロセスチャンバと、
(b)前記エッチングプロセスチャンバにおいて半導体基板を保持するように構成された基板ホルダと、
(c)プロセスコントローラであって、
(i)スペーサ材が複数の酸化スズ突起フィーチャの側壁において完全に除去されることなく前記半導体基板の水平面から完全に除去されるように、前記半導体基板上の前記複数の酸化スズ突起フィーチャを被覆する前記スペーサ材の層のエッチングを行わせるためのプログラム命令と、
(ii)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に存在するスペーサ材の完全な除去を行わせることなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせるためのプログラム命令と、を備える、プロセスコントローラと、
を備える、エッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、Yuなどを発明者とする、2018年4月10日出願の「Tin Oxide Mandrels in Patterning」と題した米国特許仮出願第62/655,678号、および、Tanなどを発明者とする、2018年1月30日出願の「Spacer formation Using Tin Oxide Mandrels」と題した米国特許仮出願第62/624,066号の利益を主張する。それらは、その全てが参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、半導体デバイス製造の方法に関する。特に、本発明の実施形態は、半導体処理において酸化スズ膜を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路(IC)の成形において、堆積技術およびエッチング技術は、材料のパターンを形成するため(誘電層に埋め込まれた金属線を形成するためなど)に用いられる。いくつかのパターニング方法は、正確なパターニングおよび小規模フィーチャの形成を可能にするスペーサの使用を含む。スペーサは、規定の距離(通常、先のパターニングによって決定される)で隔てられるように基板上に形成され、下地層のパターニングのためのマスクとして用いられる。スペーサおよび包囲層の材料は、スペーサの形成および下地層のパターニングの両方を可能にする適切なエッチング選択性を有するように選択される。パターニングが完了した後は、スペーサは、エッチングによって除去され、最終成形された半導体デバイスの一部にはならない。
【0004】
スペーサは、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)の形成、フィン型電界効果トランジスタ(finFET)におけるフィンのパターニング、および配線工程(BEOL)処理を含む様々な適用においてパターニングのために用いられる。
【0005】
スペーサは、マンドレル(スペーサのための足場として機能し、その後スペーサを基板上に残すエッチング方法によって選択的に除去される大型の突起フィーチャ)を含むパターニングプロセスを用いて半導体基板上に形成されうる。
【0006】
本明細書に記載の背景技術の説明は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【発明の概要】
【0007】
酸化スズは、半導体基板のパターニングにおいてマンドレル材として用いられる。本明細書に記載のパターニング方法は、スペーサおよびマンドレル形状に対する高レベルの制御、ならびに高い効率性を実現しうる。
【0008】
一態様では、酸化スズマンドレルを用いて半導体基板を処理する方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、(a)エッチング停止層(ESL)の上に存在する複数の酸化スズ突起フィーチャ(マンドレル)を有する半導体基板を提供することと、(b)酸化スズ突起フィーチャの水平面および側壁の両方にスペーサ材の層を形成することと、(c)酸化スズ突起フィーチャの側壁のスペーサ材を完全に除去することなく酸化スズ突起フィーチャの水平面からスペーサ材を除去して、下地の酸化スズを露出させることと、を含む。いくつかの実施形態では、このプロセスは、さらに、酸化スズ突起フィーチャの側壁に先に存在していたスペーサ材を完全に除去することなく酸化スズ突起フィーチャを除去することで、エッチング停止層の上に存在する複数のスペーサを形成する動作を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、酸化スズ突起フィーチャが除去された後に、複数のスペーサの存在下でエッチング停止層をエッチングする工程が続く。
【0009】
いくつかの実施形態では、スペーサ材は、シリコン含有材料(例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、SiOC、SiNO、SiCNO、もしくはSiCN)または二酸化チタンである。一実施形態では、スペーサ材は二酸化チタンであり、エッチング停止層はシリコン含有材料を含む。他の実施形態では、スペーサ材は酸化シリコンであり、エッチング停止層はタングステンを含む。
【0010】
動作(c)で用いられるスペーサエッチング化学物質は、スペーサ材の化学物質に応じて異なりうる。いくつかの実施形態では、スペーサ材はシリコン含有材料であり、(c)において水平面からスペーサ材を除去する動作は、フッ素系エッチング化学物質を用いてスペーサ材をエッチングする動作を含む。他の実施形態では、スペーサ材は二酸化チタンであり、(c)において水平面からスペーサ材を除去する動作は、塩素系エッチング化学物質を用いてスペーサ材をエッチングする動作を含む。
【0011】
いくつの実施形態では、スペーサ材が水平面から除去された後であって、酸化スズが露出された後に、このプロセスは、(d)酸化スズ突起フィーチャ(マンドレル)の側壁に先に存在していたスペーサ材を完全に除去することなく酸化スズ突起フィーチャを除去することで、エッチング停止層の上に存在する複数のスペーサを形成する動作であって、酸化スズ突起フィーチャは、水素化スズの形成をもたらす水素系エッチング化学物質を用いて除去される動作が続く。いくつかの実施形態では、酸化スズ突起フィーチャを除去する動作は、H2、HBr、NH3、H2O、炭化水素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されたプラズマ励起水素含有反応剤と半導体基板とを接触させる動作を含む。
【0012】
動作(a)で提供された、複数の酸化スズ突起フィーチャを有する半導体基板は、いくつかの別のプロセスフローを用いて形成されうる。一実施形態では、半導体基板上に複数の酸化スズ突起フィーチャを形成する動作は、平坦な(ブランケット)酸化スズ層をパターニングすることによって実行される。別の実施形態では、複数の酸化スズ突起フィーチャを形成する動作は、(i)半導体基板上に複数の第1のマンドレル(例えば、フォトレジストまたは他の炭素含有マンドレル)を形成することと、(ii)複数の第1のマンドレルの上に酸化スズ層を共形に堆積させることと、(iii)堆積した酸化スズ層を水平面からエッチングし、複数の第1のマンドレルを除去して、(a)で提供された半導体基板上に複数の酸化スズ突起フィーチャを形成することとを含み、形成された酸化スズ突起フィーチャは、後続の動作(b)~(c)において第2のマンドレルとして機能する。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のマンドレルは、炭素含有材料(フォトレジスト、ダイヤモンド状炭素、または非晶質炭素など)を含み、動作(iii)は、水素系エッチング化学物質を用いて(例えば、H2もしくは炭化水素(CH4もしくはC2H2)を水素含有ガスとして用いて)、または塩素系エッチング化学物質を用いて(例えば、Cl2および/またはBCl3を用いて)堆積した酸化スズ層を水平面からエッチングし、次に酸素系エッチング化学物質を用いて複数の第1のマンドレルを除去することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、記載の方法は、フォトリソグラフィプロセスと併せて用いられる。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスは、半導体基板にフォトレジストを塗布することと、フォトレジストを露光することと、フォトレジストをパターニングしてパターンを基板に転写することと、フォトレジストを基板から選択的に除去することとを含む。別の態様では、半導体基板を処理するためのシステムが提供される。いくつかの実施形態では、このシステムは、1つ以上の堆積チャンバと、1つ以上のエッチングチャンバと、一連の動作を行わせるためのプログラム命令を含むシステムコントローラとを備える。いくつかの実施形態では、プログラム命令は、複数の酸化スズ突起フィーチャを有する半導体基板上で、酸化スズ突起フィーチャの水平面および側壁の両方にスペーサ材の堆積を行わせるため、および、酸化スズ突起フィーチャの側壁におけるスペーサ材の完全な除去を行わせることなく酸化スズ突起フィーチャの水平面からのスペーサ材の除去を行わせて、下地の酸化スズを露出させるためである。システムコントローラは、さらに、酸化スズ突起フィーチャの側壁に先に存在していたスペーサ材の完全な除去を行わせることなく酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせて、半導体基板上に複数のスペーサを形成するためのプログラム命令を備えてよい。システムコントローラは、さらに、複数の第1のマンドレルを有する半導体基板の上に共形の酸化スズ層の堆積を行わせることによる、複数の酸化スズ突起フィーチャを有する半導体基板の形成に続いて、酸化スズ材の水平面からの除去、および第1のマンドレルの除去を行わせるためのプログラム命令を備えてよい。
【0015】
別の態様では、エッチング装置が提供される。いくつかの実施形態では、エッチング装置は、プロセスガス用の入口を有するエッチングプロセスチャンバと、エッチングプロセスチャンバ内で半導体基板を保持するように構成された基板ホルダと、1つ以上の動作を行わせるためのプログラム命令を含むプロセスコントローラとを備える。いくつかの実施形態では、プロセスコントローラは、スペーサ材が複数の酸化スズ突起フィーチャの側壁では完全に除去されることなく半導体基板の水平面から完全に除去されるように、半導体基板上の複数の酸化スズ突起フィーチャを被覆するスペーサ材層のエッチングを行わせるためのプログラム命令を含む。いくつかの実施形態では、スペーサ材のエッチングを行わせるためのプログラム命令は、フッ素系エッチング化学物質を用いてシリコン含有材料であるスペーサ材層のエッチングを行わせるためのプログラム命令を含む。
【0016】
別の態様では、プロセスチャンバと、本明細書に記載の方法のいずれかを行わせるためのプログラム命令を有するコントローラとを備える装置が提供される。
【0017】
別の態様では、スペーサ材の共形層が被覆された複数の酸化スズ突起フィーチャを有する半製品の半導体デバイスが提供される。
【0018】
本明細書に記載の主題の実施形態のこれらおよび他の態様は、添付の図面および以下の発明を実施するための形態に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本明細書に記載の実施形態によるスペーサ形成を含む処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図1B】本明細書に記載の実施形態によるスペーサ形成を含む処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図1C】本明細書に記載の実施形態によるスペーサ形成を含む処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図1D】本明細書に記載の実施形態によるスペーサ形成を含む処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図1E】本明細書に記載の実施形態によるスペーサ形成を含む処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図1F】本明細書に記載の実施形態によるスペーサ形成を含む処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【0020】
【
図2】本明細書に記載の実施形態による方法のためのプロセスフロー図。
【0021】
【
図3】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成する方法のためのプロセスフロー図。
【0022】
【
図4A】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成するための処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図4B】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成するための処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図4C】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成するための処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図4D】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成するための処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図4E】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成するための処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【0023】
【
図5A】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成するための処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図5B】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成するための処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図5C】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成するための処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【0024】
【
図6】本明細書に記載の実施形態による酸化スズマンドレルを形成する方法のためのプロセスフロー図。
【0025】
【
図7A】自己整合型4倍パターニング(SAQP)プロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図7B】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図7C】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図7D】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図7E】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図7F】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【
図7G】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の断面概略図。
【0026】
【
図8A】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の等角概略図。
【
図8B】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の等角概略図。
【
図8C】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の等角概略図。
【
図8D】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の等角概略図。
【
図8E】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の等角概略図。
【
図8F】SAQPプロセスにおける第2のマンドレルとしての酸化スズスペーサの使用を表す、本明細書に記載の実施形態による処理を受けている半導体基板の等角概略図。
【0027】
【
図9】本明細書に記載のエッチング化学物質を用いて酸化スズをエッチングするのに適した装置の概略図。
【0028】
【
図10】本明細書に記載の実施形態によるマルチステーション処理システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
半導体デバイス製造において酸化スズ膜を用いる方法が提供される。これらの方法は、シリコン含有混合物(例えば、酸化シリコン(SiO2、炭化シリコン(SiC)、窒化シリコン(SiN)、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、酸窒化シリコン(SiNO)、酸炭化シリコン(SiCNO)、および炭窒化シリコン(SiCN))、元素シリコン(Si)、炭素(非晶質炭素およびダイヤモンド状炭素を含む)、フォトレジスト、炭素含有混合物(例えば、有機ポリマ、金属炭化物、タングステン含有炭素)、金属(例えば、タングステン)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル)、ならびに金属窒化物(例えば、窒化タンタル(TaN)、および窒化チタン(TiN))などの様々な材料を用いるプロセススキームへの酸化スズ膜の統合を可能にする、調節可能なエッチング速度および選択性を有するいくつかのエッチングプロセスを用いる。いくつかの実施形態では、酸化スズは、これらの材料のいずれかの存在下で、少なくとも10:1(少なくとも20:1など)のエッチング選択性でエッチングされる。いくつかの実施形態では、これらの材料のいずれかは、酸化スズの存在下で、少なくとも10:1(少なくとも20:1など)のエッチング選択性でエッチングされる。選択性は、材料のエッチング速度の比率を意味する。例えば、特定のエッチング化学物質について、酸化シリコンのエッチング速度の酸化スズのエッチング速度に対する比率が少なくとも10:1の場合、酸化シリコンは、このエッチング化学物質を用いて酸化スズに対して少なくとも10:1の選択性でエッチングされる。
【0030】
記載の実施形態では、酸化スズは、スペーサ形成のためのマンドレルとして酸化スズ膜が用いられるパターニングプロセスで用いられる。例えば、酸化スズは、自己整合型ダブルパターニング(SADP)または自己整合型4倍パターニング(SAQP)においてマンドレルとなりうる。選択的エッチングプロセスと併せて、酸化スズは、これらの用途に課せられた厳しい線幅寸法(CD)/プロファイルおよび選択性要件を満たす。エッチングプロセスは、プラズマエッチングを可能にする様々なツール(ラムリサーチコーポレーションによって提供されるKiyo(登録商標)およびFlexエッチングツールなど)で実施されうる。
【0031】
酸化スズは、酸化スズを揮発性水素化スズ精製物(例えば、四水素化スズ)に変換する水素系エッチングを用いて様々な材料に選択的にエッチングされうる。本明細書で使用される「水素化スズ」という用語は、複数の水素化スズ(スズ-水素結合を有する化合物)を含み、四水素化スズ(SnH4)だけに限定されない。「塩化スズ」および「フッ化シリコン」などの用語は、同様に複数の塩素およびフッ素を含んでよい。四水素化スズは、多くの他の金属の水素化物とは異なり低い沸点を有し、パージおよび/または排気によってプロセスチャンバから容易に除去されうることで、水素系エッチングを選択的酸化スズエッチングにとって特に魅力的なプロセスにしている。
【0032】
本明細書で用いられる酸化スズは、スズ(Sn)および酸素(O)を含む材料を意味し、必要に応じて水素を含んでよい。本明細書で用いられる酸化スズは、少量の他の元素(炭素および窒素(例えば、SnOxNy)など)をさらに含んでよく、他の元素の総量は、10原子%以下(水素は、含有量の計算に含まれない)である。例えば、ALD堆積された酸化スズは、約0.5~5原子%の炭素を含みうる。酸化スズは、例えば、ALD、PECVD、またはPVDによって堆積されうる。酸化スズの化学量論は、一般に異なりうる。いくつかの実施形態では、スズの酸素に対する原子比率は、約1:2(SnO2)である。1:2のスズ対酸素の化学量論からの狭偏差は、SnO2において可能であり、SnO2構造の範囲内であることが理解できる。例えば、SnO2のいくつかの例では、O対Snの原子比率は、約2.0~2.3である。O対Snの比率が約1.5~2.5の酸化スズは、本明細書で用いられるSnO2材料の範囲内である。本明細書に記載の酸化スズ材料は、インジウム酸化スズ材料および他の混合金属酸化物とは異なる。
【0033】
本明細書で用いられる他の化学混合物では、特定されない限り化学量論は異なってよいことが理解される。例えば、SiNおよびHfOなどの式は、存在するが化学量論ではない元素を特定する。さらに、本明細書に記載の材料は、水素(式で特定されない場合であっても)、および化学名に明示されない少量のドーパント(10原子%未満のドーパント)を含んでよいことが理解される。
【0034】
本明細書で用いられる「半導体基板」という用語は、その構造内のいずれかに半導体材料を含む半導体デバイス成形のあらゆる段階における基板を意味する。半導体基板の半導体材料は、露出される必要がないことが理解される。半導体材料を覆う複数層の他の材料(例えば、誘電材料)を有する半導体ウエハは、半導体基板の例である。以下の詳細な説明は、開示の実施形態がウエハ上で実施されることを前提とする。しかし、開示の実施形態は、そのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、大きさ、および材料を有してよい。半導体ウエハに加えて、開示の実施形態を利用しうる他のワークピースは、プリント回路基板などの様々な物品を含む。
【0035】
数値と併せて用いられるときの「約」という用語は、明記されない限り、規定数値の5%以内の範囲を意味する。
【0036】
いくつかの実施形態では、記載の選択的エッチング化学物質は、他の材料またはフィーチャを除去することなく基板上の特定の材料またはフィーチャを除去するために用いられる。ここでいうエッチング化学物質は、材料またはフィーチャの少なくとも90%(100%など)が除去されたとき(垂直方向の厚さを意味する)に材料またはフィーチャを「除去する」。本明細書で用いられる「除去することなく」という用語は、エッチング後に材料またはフィーチャの少なくとも50%(少なくとも80%など)が残ることを意味する(%は、垂直方向の厚さを意味する)。
【0037】
いくつかの実施形態では、記載の方法は、突起フィーチャの側壁に存在する材料を除去することなく水平面から材料を除去するために用いられる。ここでいう水平面は、水平な平面からの局所的偏りを有する表面(突起フィーチャ上部の凸面など)を含む。
【0038】
他の材料の存在下における酸化スズの選択的エッチングのために、また酸化スズの存在下における他の材料の選択的エッチングために、様々なエッチング化学物質が開発されてきた。別の材料の存在下における酸化スズの選択的エッチングは、酸化スズエッチングを意味し、酸化スズのエッチング速度の他の材料のエッチング速度に対する比率は1より大きく、他の材料は、エッチングプロセスのどの時点においても酸化スズと同じエッチング化学物質に曝露される。例えば、他の材料は、エッチングが開始したときに曝露されてよい、または、エッチングの過程で曝露されてよい。別の材料の存在下における酸化スズの選択的エッチングのエッチング選択性は、所定の化学物質について酸化スズのエッチング速度の他の材料のエッチング速度に対する比率を意味する。例えば、酸化スズは、シリコン含有化合物の存在下で、水素系エッチング化学物質を用いて、50より大きいエッチング選択性で選択的にエッチングされうる。
【0039】
同様に、酸化スズの存在下における材料の選択的エッチングは、その材料のかかるエッチングを意味し、その材料のエッチング速度の酸化スズのエッチング速度に対する比率は1より大きく、酸化スズは、エッチングプロセスのどの時点においてもエッチングされた材料と同じエッチング化学物質に曝露される。例えば、酸化スズは、エッチングが開始したときに曝露されてよい、または、エッチングの過程で曝露されてよい。酸化スズの存在下における材料の選択的エッチングのエッチング選択性は、所定の化学物質についてのその材料のエッチングの速度の酸化スズのエッチング速度に対する比率を意味する。例えば、炭素は、酸化スズの存在下で、酸素系エッチング化学物質を用いて、50より大きいエッチング選択性で選択的にエッチングされうる。
【0040】
いくつかの実施形態では、酸化スズマンドレルを除去するための方法が提供される。まず、複数の酸化スズ突起フィーチャ(マンドレル)、および、酸化スズ突起フィーチャの側壁に存在するスペーサ材の層を含む半導体基板が提供される。次に、酸化スズは、本明細書に記載の選択的酸化スズエッチング化学物質の1つを用いて、第2の材料の存在下で選択的にエッチングされる。酸化スズ突起フィーチャは、先に側壁に存在していたスペーサ材を完全に除去することなくこれらの選択的エッチングによって除去されうるため、複数のスペーサが形成される。
【0041】
いくつかの実施形態では、酸化スズマンドレルを被覆するスペーサ材を基板上の水平面から除去するための方法が提供される。まず、複数の酸化スズ突起フィーチャ(マンドレル)、および、酸化スズマンドレルの水平面および側壁の両方に存在するスペーサ材の共形層を含む半導体基板が提供される。次に、スペーサ材は、側壁のスペーサ材を完全に除去することなく水平面から除去され、酸化スズが露出される。この工程は、本明細書に記載の、酸化スズの存在下における選択的スペーサ材エッチングを可能にする選択的エッチング化学物質のいずれかによって実施されうる。
【0042】
いくつかの実施形態では、複数の酸化スズマンドレルの上にスペーサ材の共形層を堆積させるための方法が提供される。まず、複数の酸化スズマンドレルを含む半導体基板が提供される。次に、側壁および水平面の両方でマンドレルを被覆するようにスペーサ材(例えば、シリコン含有材料)が基板の上に堆積される。
【0043】
水素系エッチング
いくつかの実施形態では、選択的酸化スズエッチングは、水素系エッチングを用いて実施される。水素系エッチングは、酸化スズを揮発性水素化スズに変換するように(通常、反応剤のプラズマ励起によって)酸化スズを水素含有反応剤に曝露することを含む。SnH4は、-52℃の沸騰温度を有し、プロセスチャンバから容易に除去されうる。水素含有反応剤の例は、H2、HBr、NH3、H2O、および炭化水素(CH4、C2H2など)を含む。水素含有反応剤の混合物も用いられうる。水素系エッチングは、水素含有反応剤、および必要に応じて不活性ガスを含むプロセスガスにおいてプラズマを生成することと、生成したプラズマに基板を接触させることとを含む。不活性ガスの例は、窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、およびキセノン(Xe)を含む。いくつかの実施形態では、H2が好ましい水素含有反応剤であり、いくつかの実施形態では、少なくとも50体積%のH2(少なくとも80体積%のH2など)を含むガスにおいてプラズマを生成することが好ましい。他の実施形態では、HBrが水素含有反応剤として用いられる。例えば、酸化スズは、主にHBrおよび不活性ガス(HBr、H2、およびアルゴンの混合物など)からなるプロセスガスにおいて生成されたプラズマを用いて選択的にエッチングされうる。水素系エッチングは、通常、酸素含有種およびフッ素含有種を含まないプロセスガスを用いて行われる。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、主に1つ以上の水素含有反応剤、および必要に応じて不活性ガスからなる。
【0044】
水素系エッチングは、シリコン含有化合物(SiO2、SiN、SiC、SiOC、SiCN、SiON、SiCNO、スピンオングラスなど)、金属酸化物(酸化チタン、酸化タングステン、酸化ジルコニウムなど)、金属窒化物(窒化チタン、窒化タンタルなど)、金属(タングステンなど)、および炭素含有有機物(例えば、フォトレジストおよび有機ポリマ)の存在下で酸化スズを選択的に除去できる。さらに、水素系エッチングは、酸化シリコン被覆シリコンの存在下で酸化スズを選択的にエッチングするために用いられうる。シリコン酸化物は、シリコンが大気に曝露されたときにシリコン面上に形成することが多い。水素系エッチングは、元素シリコン(例えば、非晶質シリコン)および炭素の存在下で酸化スズを選択的にエッチングするためにも用いられうる。さらに、水素系エッチングは、金属炭化物ならびに金属および炭素を含む材料の存在下で酸化スズを選択的にエッチングするために用いられうる。例えば、酸化スズは、タングステン炭素材料(タングステンドープ炭素ともいう)の存在下で水素系エッチングによって選択的にエッチングされうる。いくつかの実施形態では、タングステン炭素材料は、約20~60原子%のタングステンを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、これらの材料のいずれかの存在下で酸化スズマンドレルを除去するための方法が提供される。まず、複数の露出した酸化スズマンドレル、および、これらの材料(例えば、酸化スズマンドレルの側壁に存在するスペーサ材、またはESL材であってよい)のいずれかの層を含む半導体基板が提供される。次に、酸化スズは、これらの材料の存在下で選択的にエッチングされる。例えば、酸化スズマンドレルは、酸化スズマンドレルの側壁に存在するスペーサ材を完全に除去することなく、またESL材を完全に除去することなく、水素系エッチングによって除去されうる。これらの材料は、このエッチングより前に露出されてよい、または酸化スズエッチングの過程で露出されてよい。
【0046】
いくつかの実施形態における水素系エッチングのエッチング選択性は、10より大きい(30より大きい、50より大きい、または80より大きいなど)。エッチング選択性は、選択されたプロセス条件について、酸化スズのエッチング速度の他の材料のエッチング速度に対する比率を意味する。いくつかの例では、100のエッチング選択性は、H2プラズマを用いて酸化スズをSiO2に対してエッチングするために実現された。
【0047】
水素プラズマ(水素含有反応剤において生成されたプラズマを意味する)を用いる酸化スズエッチング方法は、広範囲のプロセス条件下で様々な装置によって実施されうる。一実施形態では、この方法は、露出した酸化スズ層を有する半導体基板をエッチングチャンバに提供することと、H2(または、別の水素含有ガス)および必要に応じてキャリアガス(ヘリウムまたは他の不活性ガス)を含むプロセスガスにおいて生成されたプラズマと基板とを接触させることとを含む。「エッチングチャンバ」または「エッチング装置」という用語は、エッチング用に構成されているチャンバおよび装置を意味する。いくつかの実施形態では、「エッチングチャンバ」または「エッチング装置」は、エッチング動作専用に構成されている。他の実施形態では、「エッチングチャンバ」または「エッチング装置」は、エッチングに加えて、堆積などの他の動作を実施するように構成されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、エッチングチャンバは、ALD堆積のために用いられてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、水素プラズマエッチングで用いられるプラズマは、半導体基板を収容する同じプロセスチャンバで生成される。他の実施形態では、プラズマは、遠隔で生成され、プロセスチャンバの1つ以上の入口を通じて、基板を収容するプロセスチャンバに導入される。
【0049】
エッチングは、酸化スズを揮発性水素化スズに変換するように制御される。一実施形態では、プロセスガス中のH2含有量は、少なくとも50体積%(少なくとも80体積%など)である(100体積%を含む100体積%まで可能)。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、CH4などの炭化水素をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、Cl2をさらに含む。例えば、プロセスガスは、主に、H2および不活性ガス(例えば、He)からなってよい、または、主に、H2、不活性ガス、および炭化水素(例えば、CH4)からなってよい。エッチングは、基板付近で測定されて約100℃未満の温度で実施される。好都合なことに、エッチング反応は、排気および/またはパージによってエッチングプロセスチャンバから容易に除去されうるSnH4などの揮発性材料だけを生成する。高温は、形成されたSnH4の分解、ならびにプロセスチャンバおよび基板を汚染しうる粒子の形成をもたらす可能性があるため、エッチングプロセス温度は、約100℃未満になるように選択されることが好ましい。プロセスガスの組成およびプロセス条件は、エッチング中の粒子の形成を低減または排除するように選択される。意義深いことに、エッチング反応は、重要なスパッタリング部品を必要とせず、基板における外部バイアスなしで、また重イオン(例えば、アルゴンイオン)なしで実施されうる。スパッタリング部品の削減は、基板上の第2の材料に対するエッチング選択性を増加させるのに有益でありうる。よって、いくつかの実施形態では、エッチングは、スパッタリングを低減するために、基板に外部バイアスを提供することなく実施される、および/または、キャリアガスとしてヘリウム(軽質ガス)を用いることを含む。
【0050】
水素プラズマエッチング用のプラズマは、様々な周波数(低周波および高周波)を用いて生成されうる。適した周波数の例は、400KHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、または2.45GHzを含む。いくつかの実施形態では、プラズマ生成に用いられる電力は、約0.0018W/cm2~0.36W/cm2の電力密度に対応する約50W~1,000Wの範囲でありうる。基板におけるバイアスは任意であり、バイアス電力は、約0W~500Wの範囲でありうる。(1枚の300mmのウエハを処理するための)シャワーヘッドごとの適したガス流量は、以下の通り:
i. H2:25sccm~750sccm、
ii. Cl2:0sccm~500sccm(例えば、5sccm~200sccm)、
iii. He:0sccm~500sccm(例えば、5sccm~100sccm)、
iv. CH4:0sccm~500sccm(例えば、5sccm~100sccm)
【0051】
いくつかの実施形態では、エッチングプロセスは、約1mTorr~175mTorrの圧力で実施されうる。
【0052】
いくつかの特定の実施形態では、プラズマは、高周波(例えば、13.56MHzまたは27MHz)の生成を用いて生成され、0.07W/cm2~0.18W/cm2の電力密度に対応する約200W~500Wのプラズマ電力を用いて提供される。基板におけるバイアスの電力は、約0W~200Wである。(1枚の300mmのウエハを処理するための)シャワーヘッドごとの適したガス流量は、以下の通り:
i. H2:100sccm~300sccm、
ii. Cl2:0sccm~200sccm(例えば、5sccm~100sccm)、
iii. He:0sccm~100sccm(例えば、5sccm~50sccm)、
iv. CH4:0sccm~100sccm(例えば、5sccm~50sccm)
【0053】
これらの実施形態では、エッチングプロセスは、約1mTorr~30mTorrの圧力で実施される。
【0054】
水素系エッチングの選択性は、エッチング中に基板の表面上に炭素含有ポリマ(例えば、CHxポリマ)を形成する炭素含有反応剤をプロセスガス中に用いることによって大幅に増加しうる。いくつかの実施形態では、この実施形態で用いられるプロセスガスは、H2および炭化水素(例えば、メタン(CH4))を含む。プロセスガスは、通常、不活性ガスも含む。いくつかの実施形態では、H2の炭化水素に対する比率は、少なくとも5(少なくとも10など)であることが好ましい。いくつかの実施形態では、H2の炭化水素に対する体積比は、約5~500(約10~300など)である。いくつかの実施形態では、別の材料の存在下での酸化スズの選択的エッチングは、H2および炭化水素(例えば、CH4)を含むプロセスガスにおいて生成されたプラズマに基板を曝露することを含む。一実施形態では、H2は、約100sccm~500sccmの流量で提供され、炭化水素は、約1sccm~20sccm(5~10sccmなど)の流量で提供される。このプロセスは、(1枚の300mmのウエハについて)約0.14W/cm2~1.3W/cm2(0.28W/cm2~0.71W/cm2など)の電力密度に対応する約100W~1,000W(約200W~500Wなど)のプラズマ電力を用いて実行されうる。いくつかの実施形態では、エッチングは、約50Vb~500Vb(約100Vb~200Vbなど)の基板バイアスを用いて実行される。このプロセスは、約100℃未満の温度で実施されることが好ましい。特定の一例では、100sccmのH2、5sccmのCH4、および100sccmのヘリウムが提供される。プラズマは、300Wの電力を用いてプロセスガスにおいて生成され、100Vbの基板バイアスが25%のデューティサイクルで用いられる。このプロセスは、30℃で、5mTorrの圧力で実施される。本明細書に記載の基板上における炭素含有ポリマの形成は、本明細書に記載の材料のいずれかに対する酸化スズのエッチング選択性を増加させうる。この効果は、フォトレジスト、炭素、炭素含有材料、およびシリコン(Si)の存在下で酸化スズがエッチングされるときに特に有効である。例えば、フォトレジストの存在下でエッチングが行われるときは、エッチング選択性は、100より大きく、場合によってはほぼ無限大となる。この高選択性エッチングの使用により、より薄膜のフォトレジストの使用でフォトリソグラフィ露光量を低減することができる、および/または、微細ピッチの高アスペクト比に起因するフォトレジストラインの崩壊を防ぐことができる。記載の方法では、CHxポリマは、フォトレジストをエッチングから守る。さらに、このエッチングは、フォトレジスト層の形状を改善するために用いられうる。いくつかの実施形態では、半導体基板上の酸化スズは、酸化スズ層の上に配置されたフォトレジストの存在下で、および酸化スズの下にある材料の存在下で、フォトレジストおよび酸化スズの下にある材料の両方に対して少なくとも10のエッチング選択性で、このエッチングを用いて選択的にエッチングされる。いくつかの実施形態では、酸化スズの下にある材料は、シリコン(例えば、非晶質シリコン)、シリコン含有化合物(例えば、SiO2、SiN、SiC、SiON、SiOC)、炭素(例えば、非晶質炭素)、および炭素含有化合物(例えば、炭素タングステン)のうちの1つ以上を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、HBrは、水素系エッチングにおいて水素含有反応剤として用いられる。一実施形態では、エッチング方法は、HBrを50sccm~100sccmの流量で、および不活性ガス(例えば、ヘリウム)を100sccm~500sccmの流量で流すことと、0.14W/cm2~1.42W/cm2の電力密度に対応する(1枚の300mmのウエハごとに)100W~1,000WのRF電力を用いて、このプロセスガスにおいてプラズマを生成することとを含む。このエッチングは、基板バイアスを用いてまたは用いずに行われうる。例えば、基板バイアスは、約0Vb~200Vb(50Vb~200Vbなど)であってよい。このプロセスは、100℃未満の温度で、5mTorr~50mTorrの圧力で実施されうる。
【0056】
塩素系エッチング
いくつかの実施形態では、選択的酸化スズエッチングは、塩素系エッチングを用いて実施される。塩素系エッチングは、酸化スズを塩化スズに変換するように(通常、反応剤のプラズマ励起によって)酸化スズを塩素含有反応剤に曝露することを含む。SnCl4は、114℃の沸点を有し、プロセスチャンバから除去されうる。適した塩素含有反応剤の例は、Cl2およびBCl3を含む。一実施形態では、Cl2およびBCl3の混合物が用いられる。一実施形態では、塩素系エッチングは、塩素含有反応剤、および必要に応じて不活性ガスを含むプロセスガスにおいてプラズマを生成することと、生成されたプラズマと基板とを接触させることとを含む。塩素系エッチングは、シリコン含有化合物(SiO2、SiN、SiC、SiOC、SiCN、SiON、SiCNO、スピンオングラスなど)、炭素、およびフォトレジストの存在下で酸化スズを選択的に除去しうるが、シリコン含有材料の選択性は、通常、水素系エッチングによるものより低い。いくつかの実施形態では、露出した酸化スズ層(例えば、酸化スズマンドレル)および(例えば、マンドレルの側壁のスペーサ材またはESL材として)これらの材料のいずれかの層を含む半導体基板が提供される。次に、酸化スズは、これらの材料の存在下で塩素系エッチングを用いて選択的にエッチングされる。これらの材料は、このエッチングより前に露出されてよい、または酸化スズエッチングの過程で露出されてよい。一実施形態では、酸化スズは、これらの材料のいずれかの存在下でBCl3/Cl2エッチングを用いて選択的にエッチングされる。一実施形態では、このエッチング方法は、BCl3を5sccm~100sccmの流量で、Cl2を50sccm~500sccmの流量で、および不活性ガス(例えば、ヘリウム)を100sccm~500sccmの流量で流すことと、0.14W/cm2~1.42W/cm2の電力密度に対応する(1枚の300mmのウエハごとに)100W~1,000WのRF電力を用いて、このプロセスガスにおいてプラズマを生成することとを含む。このエッチングは、基板バイアスを用いてまたは用いずに行われうる。例えば、基板バイアスは、0Vb~100Vb(10Vb~100Vbなど)であってよい。このプロセスは、100℃未満の温度で、5mTorr~50mTorrの圧力で実施されうる。
【0057】
いくつかの実施形態では、塩素系エッチングは、酸化スズの存在下で特定の金属酸化物を選択的にエッチングするために用いられる。例えば、酸化チタンは、酸化スズの存在下で塩素系エッチングを用いて選択的にエッチングされうる。いくつかの実施形態では、露出した酸化チタン層および酸化スズ層を含む半導体基板が提供される。次に、酸化チタンは、酸化スズの存在下で塩素系エッチング化学物質を用いて選択的にエッチングされる。酸化スズは、このエッチングより前に露出されてよい、または酸化スズエッチングの過程で露出されてよい。例えば、酸化チタンは、酸化スズマンドレルを被覆するスペーサ材であってよい。酸化チタンスペーサ材は、酸化スズマンドレルの側壁の酸化チタンを完全に除去することなく、塩素系エッチングを用いて水平面から除去されてよい。
【0058】
フッ化炭素系エッチング
いくつかの実施形態では、SiO2、SiN、SiC、SiOC、SiCN、SiON、SiCNO、スピンオングラスなどのシリコン含有化合物は、酸化スズの存在下でフッ化炭素系エッチングを用いて選択的にエッチングされる。フッ化炭素系エッチングは、シリコン含有化合物がSi-F結合を含む揮発性化合物に変換されるようにシリコン含有化合物をプラズマ励起フッ化炭素(CxFy)に曝露することを含む。適したフッ化炭素反応剤の例は、CF4、C2F6などを含む。一実施形態では、フッ化炭素系エッチングは、フッ化炭素、および必要に応じて不活性ガスを含むプロセスガスにおいてプラズマを生成することと、生成されたプラズマと基板とを接触させることとを含む。フッ化炭素エッチングは、酸化スズの存在下でシリコン含有化合物を選択的に除去しうる。いくつかの実施形態では、シリコン含有化合物(例えば、シリコン含有スペーサ材、またはESL材)の露出層、および酸化スズ(例えば、酸化スズマンドレル)の層を含む半導体基板が提供される。次に、基板はフッ化炭素プラズマと接触し、シリコン含有化合物が酸化スズの存在下で選択的にエッチングされる。一実施形態では、基板は、マンドレルの水平面およびマンドレルの側壁の両方においてシリコン含有スペーサ材(例えば、酸化シリコン)で被覆された酸化スズマンドレルを含む。シリコン含有スペーサ材は、シリコン系スペーサ材がマンドレルの側壁に残るように、選択的にエッチングされ、フッ化炭素系エッチング化学物質によって水平面から除去される。酸化スズは、このエッチングより前に露出されてよい、またはエッチングの過程で露出されてよい。フッ化炭素系エッチングは、フッ素系エッチングの一種である。
【0059】
フッ素系エッチング
いくつかの実施形態では、元素シリコンおよびシリコン含有化合物(SiO2、SiN、SiC、SiOC、SiCN、SiON、SiCNO、スピンオングラスなど)は、酸化スズの存在下でフッ素系エッチングを用いて選択的にエッチングされる。フッ素系エッチングは、いくつかの実施形態では、プラズマ励起されたフッ素含有試薬(例えば、NF3、SF6、またはフッ化炭素)にシリコン含有材料を曝露することと、シリコン含有材料を揮発性フッ化シリコンに変換することとを含む。しかし、酸化スズは、揮発性フッ素を生成しないため、この化学物質では実質的にエッチングされない。シリコン含有材料に加えて、酸化チタン、タングステン、およびタングステン炭素は、酸化スズの存在下でフッ素系エッチングを用いて選択的にエッチングされうる。一実施形態では、フッ素系エッチングは、フッ素含有反応剤(例えば、NF3)、および必要に応じて不活性ガスを含むプロセスガスにおいてプラズマを生成することと、生成されたプラズマに基板を接触させることとを含む。フッ素系エッチングは、酸化スズの存在下でシリコン含有化合物および元素シリコンを選択的に除去しうる。いくつかの実施形態では、シリコン含有化合物の露出層および/または元素シリコン(Si)の層(例えば、スペーサ材またはESL材)および(例えば、マンドレル材として)酸化スズ層を含む半導体基板が提供される。次に、基板は、プラズマ中のフッ素含有反応剤およびシリコン含有化合物と接触する、および/または、Siは、酸化スズの存在下で選択的にエッチングされる。酸化スズは、このエッチングより前に曝露されてよい、またはエッチングの過程で曝露されてよい。
【0060】
一実施形態では、シリコン(Si)は、酸化スズの存在下でフッ素系エッチングを用いて選択的にエッチングされる。一実施形態では、このエッチング方法は、NF3を5sccm~100sccmの流量で、Cl2を50sccm~500sccmの流量で、不活性ガス(例えば、窒素および/またはヘリウム)を100sccm~500sccmの流量で流すことと、0.14W/cm2~1.4W/cm2の電力密度に対応する(1枚の300mmのウエハごとに)100W~1000WのRF電力を用いて、このプロセスガスにおいてプラズマを生成することとを含む。このエッチングは、基板バイアスを用いてまたは用いずに行われうる。例えば、基板バイアスは、0Vb~100Vb(10Vb~100Vbなど)であってよい。このプロセスは、100℃未満の温度で、10mTorr~300mTorrの圧力で実施されうる。
【0061】
いくつかの実施形態では、酸化チタンの露出層、タングステン、および/または(例えば、スペーサ材の層として)タングステン炭素の露出層、および(例えば、マンドレル材として)酸化スズ層を含む半導体基板が提供される。次に、基板は、プラズマ中のフッ素含有反応剤と接触し、酸化チタン、タングステン、および/またはスングステン炭素は、酸化スズの存在下で選択的にエッチングされる。酸化スズは、このエッチングより前に曝露されてよい、またはエッチングの過程で曝露されてよい。
【0062】
一実施形態では、酸化チタンは、酸化スズの存在下でフッ素系エッチングを用いて選択的にエッチングされる。一実施形態では、このエッチング方法は、CF4を5sccm~500sccmの流量で、CHF3を0sccm~500sccm(例えば、10sccm~500sccm)の流量で、不活性ガス(例えば、アルゴン)を100sccm~500sccmの流量で流すことと、0.71W/cm2~1.4W/cm2の電力密度に対応する(1枚の300mmのウエハごとに)500W~1000WのRF電力を用いて、このプロセスガスにおいてプラズマを生成することとを含む。このエッチングは、基板バイアスを用いてまたは用いずに行われうる。例えば、基板バイアスは、0Vb~300Vb(10Vb~300Vbなど)であってよい。このプロセスは、100℃未満の温度で、5mTorr~50mTorrの圧力で実施されうる。
【0063】
一実施形態では、タングステン炭素は、酸化スズの存在下でフッ素系エッチングを用いて選択的にエッチングされる。一実施形態では、このエッチング方法は、NF3を5sccm~100sccmの流量で、Cl2を5sccm~500sccmの流量で、不活性ガス(例えば、アルゴンおよび/または窒素)を100sccm~500sccmの流量で流すことと、0.14W/cm2~1.4W/cm2の電力密度に対応する(1枚の300mmのウエハごとに)100W~1000WのRF電力を用いて、このプロセスガスにおいてプラズマを生成することとを含む。このエッチングは、基板バイアスを用いてまたは用いずに行われうる。例えば、基板バイアスは、0Vb~100Vb(10Vb~100Vbなど)であってよい。このプロセスは、100℃未満の温度で、10mTorr~100mTorrの圧力で実施されうる。
【0064】
酸素系エッチング
いくつかの実施形態では、元素炭素、炭素含有化合物、ポリマ、およびフォトレジストからなる群より選択された1つ以上の材料は、酸化スズの存在下で酸素系エッチングを用いて選択的にエッチングされる。酸素系エッチングは、いくつかの実施形態ではプラズマ励起される酸素含有試薬(例えば、O2、O3、SO2、またはCO2)に上記の材料のいずれかを曝露することと、その材料を炭素-酸素結合を含む揮発性生成物(例えば、COまたはCO2)に変換することとを含む。一実施形態では、酸素系エッチングは、酸素含有反応剤(例えば、O2)、および必要に応じて不活性ガスを含むプロセスガスにおいてプラズマを生成することと、生成されたプラズマと基板とを接触させることとを含む。他の実施形態では、エッチングは、プラズマの存在なしで生じてよい。酸素系エッチングは、酸化スズの存在下で、炭素(例えば、非晶質炭素またはダイヤモンド状炭素)、炭素含有化合物、およびフォトレジストを選択的に除去しうる。いくつかの実施形態では、炭素、炭素含有化合物、および(例えば、スペーサ材として)フォトレジストからなる群より選択された1つ以上の材料の露出層、ならびに(例えば、マンドレル材として)酸化スズ層を含む半導体基板が提供される。次に、基板は、(必要に応じてプラズマで励起された)酸素含有反応剤と接触して、炭素含有材料が揮発性COまたは揮発性CO2に変換されることで、酸化スズの存在下でそれらが選択的にエッチングされる。酸化スズは、このエッチングより前に露出されてよい、またはエッチングの過程で露出されてよい。例えば、酸素系エッチングは、酸化スズマンドレルの側壁に存在するスペーサ材(例えば、フォトレジストなどの炭素含有材料)が完全に除去されないように、また酸化スズがエッチングによって露出されるように、スペーサ材を水平面から除去するために用いられうる。
【0065】
材料堆積
本明細書に記載の材料は、CVD(PECVDを含む)、ALD(PEALDを含む)、PVD(例えば、金属および金属酸化物の堆積向け)、スピンオン法(例えば、炭素およびいくつかの誘電体向け)などの様々な堆積方法を用いて堆積されうる。共形堆積が必要なときは、通常、ALD法が好ましい。
【0066】
SiO2、SiC、SiN、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCN材は、CVD、PECVD、およびALDなどの様々な方法を用いて堆積されうる。この堆積は、シリコン含有前駆体と反応剤(例えば、酸素含有反応剤、窒素含有反応剤、または炭素含有反応剤)との間の反応を含みうる。様々なシリコン含有前駆体は、シラン、テトラアルキルシラン、トリアルキルシラン、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)などを含むこれらの材料の堆積に用いられうる。例えば、SiO2は、シリコン含有前駆体としてTEOSまたはシランを用いて堆積されてよい。
【0067】
炭素は、CVD法またはPECVD法によって、例えば、炭化水素前駆体(例えば、CH4)を用いて堆積されうる。他の実施形態では、炭素は、スピンオン法またはPVDによって堆積されてよい。フォトレジストおよび有機ポリマは、例えば、スピンオン法によって堆積されうる。
【0068】
酸化スズ層は、CVD(PECVDを含む)、ALD(PEALDを含む)、スパッタリングなどの任意の適した方法によって堆積される。いくつかの実施形態では、基板上のあらゆる凹凸フィーチャ面を含む基板の表面に沿うようにSnO2膜を共形に堆積させることが好ましい。共形SnO2の適した堆積方法の1つは、ALDである。熱ALDまたはプラズマ強化ALDが用いられうる。通常の熱ALD法では、基板は、ALDプロセスチャンバに提供され、スズ含有前駆体および酸素含有反応剤に順次に曝露される。スズ含有前駆体および酸素含有反応剤は基板の表面上で反応して、SnO2を生成することができる。ALDプロセスチャンバは、通常、プロセスチャンバ容積内での反応を防ぐために、基板がスズ含有前駆体に曝露された後であって、酸素含有反応剤がプロセスチャンバに入れられる前に、不活性ガスによってパージされる。さらに、ALDプロセスチャンバは、通常、基板が酸素含有反応剤によって処理された後に、不活性ガスによってパージされる。連続的曝露が数サイクル繰り返され、所望の厚さを有する酸化スズ層が堆積されるまで、例えば、約10サイクル~100サイクルが実施されうる。適したスズ含有前駆体の例は、ハロゲン化スズ含有前駆体(SnCl4およびSnBr4など)、ならびにアルキル置換スズアミドなどを含む非ハロゲン化スズ含有前駆体(有機スズ化合物など)を含む。ALDに適したアルキル置換スズアミドの特定の例は、テトラキス(ジメチルアミノ)スズ、テトラキス(エチルメチルアミノ)スズ、N2,N3-ジ-tert-ブチル-ブタン-2,3-ジアミノ-スズ(II)、および(1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4,5-ジメチル-(4R,5R)-1,3,2-ジアザスタンノリジン-2-イリデンである。酸素含有反応剤は、酸素、オゾン、水、過酸化水素、およびNOを無制限に含む。水素含有反応剤の混合物も用いられうる。一般に、反応性前駆体が少ないより反応性前駆体が多い方が低温で反応するという堆積条件は、ALD反応剤の選択に応じて異なるだろう。このプロセスは、通常、約20℃~500℃の温度で、準大気圧で実行されるだろう。温度および圧力は、凝縮を避けるために反応剤がプロセスチャンバ内で気相に留まるように選択される。各反応剤は、単体で、またはキャリアガス(アルゴン、ヘリウム、または窒素など)と混合されて、気相でプロセスチャンバに提供される。これらの混合物の流量は、プロセスチャンバの大きさに依存し、いくつかの実施形態では、約10sccm~10,000sccmである。
【0069】
一例では、ALDプロセスは、ALD真空チャンバ内の基板を、200℃~400℃の温度でSnCl4(スズ含有前駆体)および脱イオン水(酸素含有反応剤)に順次および交互に曝露することを含む。ALDサイクルの特定の例では、SnCl4蒸気とN2キャリアガスとの混合物は、ALDプロセスチャンバに0.5秒間導入されてから、基板に3秒間曝露される。次に、ALDプロセスチャンバは、N2によって10秒間パージされて、プロセスチャンバの容積からSnCl4が除去され、H2O蒸気とN2キャリアガスとの混合物は、プロセスチャンバに1秒間流され、基板に3秒間曝露される。次に、ALDプロセスチャンバは、N2によってパージされ、このサイクルが繰り返される。ALDプロセスは、準大気圧(例えば、0.4Torr)で、200℃~400℃の温度で実施される。
【0070】
ALDにおけるハロゲン化スズ前駆体の使用が多くの実施形態で適切である一方で、いくつかの実施形態では、SnCl4などのハロゲン化前駆体の使用によって生じうる腐食問題を回避するために、非ハロゲン化有機前駆体を用いることがより好ましい。適した非ハロゲン化有機前駆体の例は、テトラキス(ジメチルアミノ)スズなどのアルキルアミノスズ(アルキル化スズアミド)前駆体を含む。ALDプロセスの一例では、基板は、ALDチャンバにおいて約50℃~300℃の温度でテトラキス(ジメチルアミノ)スズおよびH2O2に順次に曝露される。好都合なことに、この前駆体の使用は、100℃の低温におけるSnO2膜の堆積を可能にする。例えば、SnO2膜は、反応速度を高めるためにプラズマの使用なしに50℃で堆積されうる。
【0071】
いくつかの実施形態では、SnO2膜は、PEALDによって堆積される。熱ALDについて上述したのと同じ種類のスズ含有前駆体および酸素含有反応剤が用いられうる。PEALDでは、ALD装置は、プロセスチャンバ内でプラズマを生成し、基板をプラズマで処理するためのシステムを備える。一般的なPEALDプロセスシーケンスでは、基板は、PEALDプロセスチャンバに提供され、基板の表面に吸着するスズ含有前駆体に曝露される。プロセスチャンバは、前駆体をプロセスチャンバから除去するために不活性ガス(例えば、アルゴンまたはヘリウム)によってパージされ、基板は、プロセスチャンバに導入される酸素含有反応剤に曝露される。酸素含有反応剤の導入と同時に、または遅延後に、プロセスチャンバ内でプラズマが生成される。プラズマは、酸化スズの生成をもたらす基板表面上のスズ含有前駆体と酸素含有反応剤との反応を促進する。次に、プロセスチャンバは、不活性ガスによってパージされ、スズ前駆体投与、パージ、酸素含有反応剤投与、プラズマ処理、および第2のパージを含むサイクルが、所望の厚さの酸化スズ膜を形成するのに必要な回数だけ繰り返される。
【0072】
マンドレルとしての酸化スズ
記載の実施形態では、酸化スズ層は、マンドレルとして用いられる。酸化スズマンドレルの使用は、異なる処理段階における半導体基板の概略断面図を提供する
図1A~
図1Fを参照して表される。
図2は、これらの方法の実施形態のプロセスフロー図を提供する。
【0073】
図2を参照すると、プロセスは、201において、複数の酸化スズ突起フィーチャを有する基板を提供することによって開始する。例の基板は、エッチング停止層(ESL)103に存在する2つの酸化スズマンドレル101を示す
図1Aに示されている。隣接するマンドレル間の距離d1は、いくつかの実施形態では、約10nm~100nmである。いくつかの実施形態では、比較的長い約40nm~100nmの距離が用いられる。他の適用では、近接するマンドレル間の距離は、約10nm~30nmである。近接するマンドレルの中心間の距離d2(ピッチともいう)は、いくつかの実施形態では、約30nm~130nmである。いくつかの実施形態では、ピッチは、約80nm~130nmである。他の実施形態では、ピッチは、約30nm~40nmである。マンドレルの高さd3は、通常、約20nm~200nm(約50nm~100nmなど)である。
【0074】
マンドレルおよびESLの材料は、露出したスペーサ材の存在下における酸化スズマンドレル材の選択的エッチング、および露出したスペーサ材の存在下におけるESL材の選択的エッチングが連続して可能なように選択されることが好ましい。よって、ESL材のエッチング速度のスペーサ材のエッチング速度に対する比率は、ESLエッチング化学物質について、1より大きく、約1.5より大きいこと(約2より大きいなど)がより好ましい。同様に、酸化スズマンドレル材のエッチング速度のスペーサ材のエッチング速度に対する比率は、マンドレルプル化学物質について、1より大きく、約1.5より大きいこと(約2より大きいなど)がより好ましい。
【0075】
いくつかの実施形態では、ESL材は、シリコン含有化合物(例えば、SiO2)、または金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化タングステン)である。マンドレル材は、酸化スズであり、スペーサ材は、シリコン含有化合物(例えば、SiO2、SiN、またはSiC)、炭素含有化合物(例えば、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、またはフォトレジスト)、非晶質シリコン(ドープもしくは非ドープ)、または金属酸化物(TaO、TiO、WO、ZrO、HfO)を含んでよい。ESL材、マンドレル材、およびスペーサ材は、全て異なるように選択される。いくつかの実施形態では、マンドレルの外側材料は、マンドレルの芯と異なってよい。ESL層およびマンドレルは、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、ALD(プラズマなしで、もしくはPEALDによって)、またはプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)のうちの1つ以上によって形成されることができ、マンドレルのパターンは、フォトリソグラフィ技術を用いて、または本明細書に記載のSAQP向け方法を用いて画定されうる。スペーサ用の材料は、スペーサエッチング化学物質を用いて酸化スズに対して選択的にスペーサ材をエッチングできるように、およびマンドレルプル化学物質を用いてスペーサ材に対して選択的に酸化スズマンドレルをエッチングできるように選択されることが好ましい。ESL材は、いくつかの実施形態では、ESLエッチング化学物質を用いてスペーサ材に対して選択的にESLをエッチングできるように選択される。
【0076】
いくつかの実施形態では、酸化スズマンドレルと併せて用いられるスペーサ材は、酸化シリコン、窒化シリコン、または酸化チタンを無制限に含む。この実施形態で用いられうる他の適したスペーサ材は、SiC、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCNを含む。酸化スズマンドレルと併せて用いられうる、適したESL材およびスペーサ材ペアの例は、(i)酸化チタンスペーサおよび酸化シリコンESL、(ii)酸化シリコンスペーサおよびタングステンESL、(iii)酸化シリコンスペーサおよびシリコンカーバイドESLを含む。
【0077】
図1Aに示される基板を再び参照すると、ESL層103は、ターゲット層105の上に、ターゲット層と接触して存在する。ターゲット層105は、パターニングが必要な層である。ターゲット層105は、半導体、誘電体、または他の層であってよく、例えば、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO
2)、窒化シリコン(SiN)、または窒化チタン(TiN)からなってよい。いくつかの実施形態では、ターゲット層は、ハードマスク層と呼ばれ、窒化チタンなどの金属窒化物を含む。ターゲット層105は、ALD(プラズマなしで、もしくはPEALDによって)、CVD、または他の適した堆積技術によって堆積されてよい。ターゲット層105は、いくつかの実施形態ではBEOL層であって、誘電材料層に埋め込まれた複数の金属線を含む、層107の上に、層107と接触して存在する。
【0078】
図2を再び参照すると、プロセスは、203において、突起フィーチャの水平面および側壁の両方の上にスペーサ材の層を堆積させることが続く。
図1Bに示される構造を参照すると、スペーサ材層109は、ESL103の上に、および酸化スズマンドレル101の上(マンドレルの側壁を含む)に堆積される。スペーサ材層は、CVD(PECVDを含む)、ALD(PEALDを含む)、スパッタリングなどの任意の適した方法によって堆積される。いくつかの実施形態では、
図1Bに示されるように、ESL103の表面および酸化スズマンドレル101に沿うようにスペーサ材膜を共形に堆積させることが好ましい。ここでいう共形膜は、一般に、基板の外形に沿う。いくつかの実施形態における共形膜の厚さは、全ての(水平および垂直)面でほぼ同じ(50%未満の変動)である。いくつかの実施形態では、堆積した共形膜の厚さ変動は、15%未満である。他の実施形態では、共形膜の厚さは、側壁より水平面で大幅に大きくなりうる。いくつかの実施形態では、スペーサ材層は、約5nm~30nm(約10nm~20nmなど)の厚さまで共形に堆積される。一般に、スペーサ材層109は、CVD(PECVDを含む)、ALD(PEALDを含む)、スパッタリングなどの任意の適した方法によって堆積される。例えば、スペーサ材は、酸化シリコン、窒化シリコン、または酸化チタンのいずれかのPECVD堆積層またはALD堆積層であってよい。一実施形態では、スペーサ材は、ALD堆積酸化チタンであり、ESLは、酸化シリコンまたは別のシリコン含有材である。PECVDまたはALDによって堆積されうるスペーサ材の他の例は、SiC、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCNを含む。
【0079】
図2のプロセス図を参照すると、スペーサ材層が堆積された後に、プロセスは、205において、酸化スズ突起フィーチャの側壁のスペーサ材を完全に除去することなく水平面からスペーサ材を除去することが続く。この工程は、スペーサエッチング化学物質を用いて実施される。スペーサ材は、酸化スズマンドレル101材およびESL103が
図1Cに示されるように露出されるように水平面から除去されるが、マンドレル101の側壁のスペーサ材109は、完全には除去されない。スペーサエッチング化学物質は、酸化スズマンドレルおよびESL材の両方に対して選択的であることが好ましい。スペーサがシリコン系(SiO
2、SiN、または、SiC、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCNのいずれか)であるときは、フッ素系エッチングが用いられてよい。例えば、プラズマフッ化炭素エッチング化学物質は、シリコン含有スペーサを酸化スズマンドレルに対して選択的にエッチングするために用いられうる。この化学物質は、用いられるESLの種類に応じて調整されうる。スペーサが酸化チタンであるときは、スペーサは、塩素系化学物質を用いて酸化スズマンドレルおよび酸化シリコンESLの両方に対して選択的にエッチングされうる。塩素系エッチング化学物質は、プラズマ励起Cl
2、BCl
3などの(通常、プラズマ励起)Clを含む反応剤に基板を曝露することを含む。スペーサがシリコン系(例えば、SiO
2、SiN、または、SiC、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCNのいずれか)であり、ESLがタングステンであるときは、スペーサは、プラズマによって励起されたSF
6/O
2混合物などのフッ素系エッチング化学物質を用いて酸化スズおよびタングステンの両方に対して選択的にエッチングされうる。
【0080】
水平面からのスペーサ材の除去は、
図1Cに表されている。スペーサ材層109は、酸化スズマンドレル101の側壁に付着する位置から完全にエッチングされることなく、ESL103の上およびマンドレル101の上の水平面からエッチングされる。このエッチングは、酸化スズマンドレル101の側壁付近の位置を除いて、層103全体を露出させる。さらに、このエッチングは、酸化スズマンドレル101の上部を露出させる。結果として生じた構造は、
図1Cに示されている。このエッチング後に、側壁の酸化スズ層の初期高さの少なくとも50%(少なくとも80%または少なくとも90%など)が維持されることが好ましい。
【0081】
図2に示されたプロセスを参照すると、205においてスペーサ材が水平面から除去された後に、次の動作207では、酸化スズ突起フィーチャ(マンドレル)の側壁に先に存在していたスペーサ材を完全に除去することなく突起フィーチャが除去されることで、複数のスペーサが形成される。結果として生じた構造は、酸化スズマンドレル101が除去された後にESL103に存在する複数のスペーサ109を示す
図1Dに示されている。マンドレルの除去は、マンドレル材(マンドレルプル化学物質)を選択的にエッチングするエッチング化学物質に基板を曝露することによって実施される。よって、この工程における酸化スズマンドレル材のエッチング速度のスペーサ材のエッチング速度に対する比率は、1より大きく、1.5より大きいことがより好ましい。さらに、この工程で用いられるエッチング化学物質は、いくつかの実施形態では、ESL材に対して選択的に酸化スズマンドレル材をエッチングする。様々なエッチング方法が用いられてよく、特定の化学物質の選択は、スペーサ材およびESL層材に依存する。次に、酸化スズマンドレル101は、マンドレルプル化学物質を用いて除去される。いくつかの実施形態では、酸化スズマンドレルは、水素系エッチングを用いて除去される。例えば、いくつかの実施形態では、基板は、プラズマ励起水素含有ガス(H
2、HBr、NH
3、炭化水素、H
2O、またはそれらの組み合わせを含むガスなど)に接触して、プロセスチャンバから容易に除去されうる揮発性水素化スズが生成される。水素系エッチングは、様々なスペーサ材(SiO
2、SiN、または、SiC、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCNのうちのいずれか、TiO
2、金属(例えば、W)のESL層、またはWO
2、TiN、TaN、ZrO、HfOを含む金属含有誘電体など)に対して選択的である。別の実施形態では、本明細書に記載の他の種類の酸化スズエッチング化学物質が用いられてよい。
【0082】
図2を参照すると、スペーサが形成された後に、動作209において、ESL材は、パターニングされたESLの形成をもたらすスペーサの存在下でエッチングされる。この工程は、ESLエッチング化学物質を用いて実施される。結果として生じた構造は
図1Eに示され、スペーサ109によって保護されていない全ての位置で下地ターゲット層105を露出するために、露出したESL103がエッチングされたことが示されている。この工程で用いられるESLエッチング化学物質は、いくつかの実施形態では、スペーサ材の存在下でESL材を選択的にエッチングする。つまり、いくつかの実施形態では、ESL材のエッチング速度のスペーサ材のエッチング速度に対する比率は、ESLエッチング化学物質について1より大きく、1.5より大きいことがより好ましい。スペーサ材がTiO
2であり、ESL材がシリコン系材料(SiO
2、SiN、または、SiC、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCNのうちのいずれか)のときは、TiO
2の存在下でESL層を選択的にエッチングするためにフッ素系エッチング(例えば、フッ化炭素プラズマエッチング化学物質)が用いられうる。
【0083】
スペーサによって画定されたパターンがESLに転写された後に、ターゲット層105は、ESL膜103によって保護されていない全ての位置でエッチングされて、下地層107が露出される。スペーサ109は、
図1Fに示されたパターニングされた構造を提供するこのエッチング工程で除去されることもできる。いくつかの実施形態では、この工程で用いられるエッチング化学物質は、ターゲット材およびスペーサ材の両方を除去するように選択される。他の実施形態では、ターゲット層105をパターニングするため、およびスペーサ109を除去するために、異なる化学物質を用いる2つの異なるエッチング工程がそれぞれ用いられうる。ターゲット層の化学物質に応じて、いくつかのエッチング化学物質が用いられうる。一実施形態では、ターゲット層105は、金属窒化物(例えば、TiN)層である。例えば、窒化チタンターゲット層材は、塩素系エッチング化学物質を用いてエッチングされうる。スペーサ材がTiO
2の場合は、スペーサは、ターゲット層のエッチングと同時に塩素系エッチングによって除去されうる。
【0084】
酸化スズマンドレルの形成
酸化スズマンドレルを有する基板は、いくつかの異なる方法を用いて形成されうる。いくつかの実施形態では、酸化スズマンドレルは、酸化スズのブランケット層をパターニングすることによって形成される。このことは、
図3に示されたプロセスフロー図によって表されている。プロセスは、動作301において、酸化スズブランケット層を有する基板を提供することによって開始する。例えば、酸化スズは、露出した平坦なESLを有する基板の上に堆積されて、ESLの上に酸化スズの平坦層が形成されうる。次に、動作303において、酸化スズ層の上にパターニングされた層が形成される。例えば、フォトレジストのブランケット層は、酸化スズの上に堆積されてよい(が、必ずしも酸化スズと直接接触していなくてもよい)、および、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングされてよい。いくつかの実施形態では、酸化スズ層とフォトレジスト層との間に1つ以上の中間ブランケット層が堆積される。次に、動作305では、酸化スズがエッチングされ、複数の酸化スズ突起が基板上に形成されるようにパターンが酸化スズ層に転写される。酸化スズ層とフォトレジストとの間に中間層がある場合は、パターンは、まずこれらの中間層に転写される。いくつかの実施形態では、酸化スズは、マスキング材(フォトレジスト、炭素、別の炭素含有材料、および/またはシリコン含有材料など)のパターン層の存在下で水素系エッチング化学物質によってエッチングされる。
【0085】
パターニングされた酸化スズマンドレルを有する基板を形成する例示的方法は、処理中の半導体基板の概略断面図を表す
図4A~
図4Eに示されている。パターニングは、ブランケット層の積層上に形成されたフォトレジスト401のパターン層を含む構造を提供することによって開始する。ブランケット層の積層は、上部から底部まで、スピンオングラス層403(または、酸化シリコン系材料、もしくは低温CVDで堆積されたSiON層などの、別のシリコン含有材料)、スピンオン炭素層またはPECVD堆積された非晶質炭素405、(例えば、ALD、PECVD、またはスパッタリングで堆積された)酸化スズ層407、ESL(例えば、酸化シリコン)409、およびターゲット層411(例えば、窒化チタン)を含む。まず、スピンオングラス層(または、別のシリコン含有材料)が、例えば、フッ素系エッチング(例えば、フッ化炭素系エッチング化学物質)によってエッチングされる。このエッチングは、フォトレジストのパターンをスピンオングラス層403に転写する。結果として生じた構造は、
図4Bに示されている。次に、炭素層405が露出された後に、炭素は、例えば、酸素系化学物質(例えば、プラズマ励起されたO
2、O
3、NO、SO
2、COS、CO、CO
2)を用いてエッチングされ、パターンが炭素に転写される。この工程は、同時にフォトレジスト401を(部分的にまたは完全に)除去する。部分的に除去されたフォトレジスト401を含むパターン層401、パターン層403、およびパターン層405を有する形成構造は、
図4Cに示されている。次に、酸化スズブランケット層407は、本明細書に開示の任意の適した酸化スズエッチング化学物質を用いて(例えば、水素系化学物質を用いて)エッチングされ、
図4Dの構造に示されるようにパターンが酸化スズに転写される。最後に、炭素層405は、例えば、酸素系化学物質を用いてアッシングおよび除去されることで、
図4Eに示されるパターニングされた酸化スズマンドレルを有する構造が提供される。
【0086】
図5A~
図5Cには、
図4A~
図4Eで表されたプロセスに似ているが
図5Aに示された炭素ハードマスク405を含まない、別のプロセスフローが示されている。このプロセスフローでは、フォトレジスト401のパターンは、
図5Bに示されるようにスピンオングラス層403に転写される。次に、酸化スズ層407がエッチングされ、パターンが層403から酸化スズ層407に直接転写される。酸化スズは、水素系エッチング化学物質(例えば、H
2および/またはHBrを用い、酸化スズを水素化スズに変換する)または塩素系化学物質(例えば、Cl
2および/またはBCl
3)によってエッチングされうる。結果として生じた構造は、
図5Cに示されている。
【0087】
ブランケット層をパターニングするためのフォトレジストを用いるフォトリソグラフィ法は、基板(パターニングされるブランケット層の上)にフォトレジストを塗布することと、フォトレジストを露光することと、フォトレジストをパターニングしてパターンを基板に転写することと、フォトレジストを基板から選択的に除去することとを含む。
【0088】
別の実施形態では、酸化スズマンドレルは、酸化スズスペーサが最初に形成されてから次にマンドレルとして用いられる、SAQPプロセスによって形成される。このプロセスは、
図6に示されるプロセスフロー図によって表される。プロセスは、601において、半導体基板上に第1のマンドレルを形成することによって開始する。一実施形態では、処理は、エッチング停止層材の上に形成された複数の突起フィーチャを有する基板を提供することによって開始する。突起フィーチャは、パターニング中に用いられる第1のマンドレルであり、酸化スズ(例えば、フォトレジスト、炭素、炭素含有材料、シリコン含有材料(シリコンおよび/またはシリコン含有化合物など))に対して選択的にエッチングされうるあらゆるマンドレル材を含みうる。第1のマンドレルの材料は、エッチング停止層の材料と異なるように選択される。いくつかの実施形態では、第1のマンドレルは、フォトレジストマンドレルである。第1のマンドレルがフォトレジストマンドレルであるときは、この処理は、追加のリソグラフィ工程を用いてパターニングされる必要があることが多い他のマンドレル材より少ない工程で実施されうる。
【0089】
いくつかの実施形態では、第1のマンドレルはフォトレジストであり、ESLはシリコン含有化合物(酸化シリコン、炭化シリコン、窒化シリコンなど)である。次に、動作603において、酸化スズ層は、第1のマンドレルの上に共形に堆積される。共形に堆積された酸化スズ層は、露出したESLと同様に、第1のマンドレルの水平面および第1のマンドレルの側壁の両方を覆う。
【0090】
いくつかの実施形態では、酸化スズ層が共形に堆積された後であって、水平面からの酸化スズの除去より前に、マンドレルの側壁に存在する酸化スズは、パッシベーション法を用いて保護される。パッシベーションは、水平面から酸化スズを除去する次のエッチング工程の間に、マンドレルの側壁に存在する酸化スズのエッチングを妨げるために実施される。いくつかの実施形態では、まず、酸化スズ被覆された第1のマンドレルの水平面および側壁の両方の上にパッシベーション材を堆積させ、次に、水平面からパッシベーション材を除去することによって、パッシベーション層が第1のマンドレルの側壁の酸化スズ層の上に形成される。例えば、シリコン含有パッシベーション材は、酸化スズ被覆された第1のマンドレルの水平面および側壁の両方の上に堆積され、次に、フッ素系(例えば、フッ化炭素系)エッチング化学物質を用いて水平面からシリコン含有パッシベーション材が除去されうる。これにより、酸化スズエッチングより前に、側壁の酸化スズがシリコン含有パッシベーション材の層によって保護される構造がもたらされるだろう。別のパッシベーションの例では、突起フィーチャの側壁の酸化スズ層の上にパッシベーション層を形成することは、第1のマンドレルの水平面および側壁の両方における酸化スズの上に炭素含有パッシベーション材を堆積させ、続いて、水平面から炭素含有パッシベーション材を除去することを含む。パッシベーション法のさらに別の実施形態では、第1のマンドレルの側壁において酸化スズの上にパッシベーション層を形成することは、酸化スズ層の外側部分をスズ含有パッシベーション材(SnN、SnBr、SnFなど)に変換することを含む。一例では、酸化スズ層の外側部分は、露出した酸化スズ層を有する基板をプラズマ中の窒素含有反応剤と接触させることによって窒化スズに変換される。
【0091】
次に、605において、プロセスは、水平面から酸化スズ層をエッチングすることと、第1のマンドレルを除去することとが続き、複数の酸化スズ突起フィーチャ(第1のスペーサまたは第2のマンドレル)が形成される。水平面からの酸化スズの除去は、本明細書に記載の選択的な酸化スズエッチング化学物質のいずれかによって(例えば、水素系エッチングによって)実施されうる。酸化スズは、側壁の酸化スズが完全に除去されることなく水平面から除去される。
【0092】
次に、第1のマンドレルの側壁に存在する酸化スズを完全に除去することなく、ESL材層の上に存在する複数の酸化スズ突起フィーチャ(第1のスペーサ)を残して、第1のマンドレルが除去される。例えば、フォトレジストの第1のマンドレルは、酸素系エッチング化学物質によって除去され、シリコン含有マンドレルは、フッ素系化学物質によって除去されうる。記載の方法は、所望の形状(例えば、四角形、最小限のフッティングまたはフッティングなし、一定のピッチ)を有する酸化スズの第1のスペーサ(第2のマンドレルとして用いられる)を形成するために用いられうる。
【0093】
これらの酸化スズ突起フィーチャは、次に、
図1A~
図1Fによって表されるシーケンスにおいて続くパターニングのための第2のマンドレルとして用いられる。具体的には、プロセスは、第2のスペーサ材が側壁および水平面の両方において酸化スズの第2のマンドレルを覆うように、基板の上に第2のスペーサ材を共形に堆積させることが続く。第2のスペーサ材は、酸化スズマンドレルに対して選択的にエッチングされるように選択される。いくつかの実施形態では、第2のスペーサ材は、酸化シリコンなどのシリコン含有化合物である。第2のスペーサ材は、ESL材とは異なることが好ましい。第2のスペーサ材は、ALDなどの共形堆積法によって堆積されることが好ましい。第2のスペーサ材は、堆積された後に、酸化スズマンドレルの側壁付近の位置からは完全に除去されずに水平面から除去される。このエッチングは、酸化スズに対して選択的にエッチングできるあらゆるエッチング方法によって実施されうる。例えば、フッ素系(例えば、フッ化炭素系)プラズマエッチングは、第2のスペーサ材が酸化シリコンなどのシリコン含有化合物である場合に用いられうる。次に、酸化スズの第2のマンドレルは、その側壁に存在する第2のスペーサ材を完全に除去することなく除去される。このエッチングは、酸化スズを選択的に除去するあらゆるエッチング方法によって実施されうる。いくつかの実施形態では、第2のスペーサ材(例えば、酸化シリコン)の存在下で酸化スズの第2のマンドレルを選択的に除去するのに水素系エッチングが用いられる。酸化スズマンドレルが除去された後は、基板は、エッチング停止層上に複数のスペーサを備える。この段階におけるスペーサの数は、第1のマンドレルの数の4倍である(4倍パターニング)。次の処理は、選択的エッチング、および、スペーサの存在下での露出したエッチング停止層の除去を含み、ターゲット材の選択的エッチング、およびスペーサの除去が続く。
【0094】
酸化スズスペーサがSAQP(自己整合型4倍パターニング)型の実装において第2のマンドレルとして用いられるプロセスシーケンスの一実施形態は、
図7A~
図7Gに示される処理を受けている基板の概略断面図によって表される。
図8A~
図8Fには、等角図が示されている。
図7Aは、エッチング停止層703の上に存在する突起フィーチャ(第1のマンドレル)701を有する半導体基板を示す。複数の層705および層707がエッチング停止層の下にある。これらの下地層は、パターニングが必要なターゲット層、および/または1つ以上のハードマスクを含んでよい。図の実施形態では、第1のマンドレル701は、フォトレジストからなり、ESL703は、シリコン含有化合物(酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、酸窒化シリコンなど)の層である。酸化スズの共形層は、
図7Bに示される構造を提供する基板の上に堆積される。酸化スズ層709は、この実施形態では、基板の水平面およびフォトレジストマンドレル701の側壁表面の両方を覆うように、フォトレジストマンドレル701およびESL705の上に直接堆積される。対応する等角図は、
図8Aに示されている。次に、酸化スズは、マンドレルの側壁付近の領域から完全に除去されることなく水平面から除去され、
図7Cに示される構造が提供される。かかる構造の等角図は、
図8Bに示されている。酸化スズは、本明細書に記載の方法のいずれかを用いてフォトレジストに対して選択的に除去されうる。例えば、酸化スズは、少なくともエッチングの一部の間、水素系エッチングを含む方法を用いて水平面からエッチングされうる。パッシベーションは、酸化スズスペーサの最適な形状を提供するために用いられうる。この工程は、フォトレジスト材を露出させる。次に、フォトレジストは、フォトレジストマンドレルの側壁に存在する酸化スズを完全に除去することなく選択的に除去される。いくつかの実施形態では、このフォトレジストマンドレルプルは、例えば、酸素系化学物質を用いて、アッシングによって実施される。フォトレジストマンドレルの除去は、酸化スズおよびESL材に対して選択的な化学物質を用いて実施され、酸素系アッシングは、フォトレジスト除去に適した選択的方法である。結果として生じた構造は、
図7Dに示されており、酸化スズ突起フィーチャ709(第1のスペーサおよび第2のマンドレルの両方を意味しうる)は、ESL703の上に存在し、第1のフォトレジストマンドレルの大きさによって決定された所定距離だけ互いから離れている。これらの突起フィーチャの数は、第1のマンドレルの数の2倍である。対応する等角図は、
図8Cに示されている。
【0095】
酸化スズ突起フィーチャは、形成された後に、次のパターニングのための第2のマンドレルとして用いられる。このプロセスは、基板表面の上に第2のスペーサ材を共形に堆積させることを含む。図の実施形態では、第2のスペーサ材は、ESL材とは異なるシリコン含有化合物である。例えば、いくつかの実施形態では、第2のスペーサは酸化シリコンであり、ESL材は異なる材料(例えば、炭化シリコン)である。第2のスペーサ材の堆積後に得られる構造は、
図7Eに示されており、第2のスペーサ材層711(図の実施形態では、酸化シリコン)が酸化スズマンドレル709の水平面、酸化スズマンドレルの側壁、およびESL703を覆っている。いくつかの実施形態では、酸化シリコンの第2のスペーサ層は、ALDなどの共形堆積法によって堆積される。対応する等角構造は、
図8Dに示されている。
【0096】
次に、第2のスペーサ材は、酸化スズマンドレルの側壁の領域から完全に除去されることなく水平面から除去される。このエッチングは、酸化スズに対して選択的であることが好ましい。図の実施形態では、酸化シリコンは、酸化スズに選択的なフッ素系(例えば、フッ化炭素系)エッチング化学物質を用いてエッチングされうる。エッチング後に得られる構造は、
図7Fに示されており、第2のマンドレル709の酸化スズ材が露出されている。対応する等角図は、
図8Eに示されている。次に、第2のマンドレル709は、第2のマンドレルの側壁に存在する第2のスペーサ材を完全に除去することなく除去される。この第2のマンドレルプルは、本明細書に記載のあらゆる選択的な酸化スズエッチング化学物質を用いて実施されうる。一実施形態では、酸化スズの第2のマンドレルは、水素系エッチング化学物質を用いて第2のスペーサ(例えば、酸化シリコン)材に対して選択的に除去される。酸化スズの第2のマンドレルの除去後、基板は、ESL層上に複数の第2のスペーサを備える。第2のスペーサの数は、酸化スズの第2のマンドレルの数の2倍であり、フォトレジストの第1のマンドレルの数の4倍である。
図7Gは、ESL703上のスペーサ711を示す。対応する等角図は、
図8Fに示されている。本明細書に記載の(例えば、
図1D~
図1Fを参照に説明されたような)あらゆるスペーサプロセスシーケンスまたはハードマスクプロセスシーケンスと同様に、このプロセスは、さらに、スペーサによって保護されていない位置において下地層703および下地層705をエッチングすることが続く。次に、第2のスペーサは、下地層のパターニング後、またはパターニング中に除去される。
【0097】
図のシーケンスは、次のような処理の利点を提供しうる。まず、SiO2を用いるin-situの側壁パッシベーションが用いられた場合、酸化スズは、最小限のフッティングを有し、スペーサの線幅寸法(CD)損失がない四角形のスペーサ(第2のマンドレルの2倍)を得るようにエッチングされうる。最小限のフッティングを有する四角形の酸化スズスペーサは、第2のスペーサ堆積のための第2のマンドレルとしての要件を満たす。第2のスペーサは、シリコン含有材料(例えば、SiO2)であるときは、酸化スズに対して高選択性を有するフッ素系化学物質を用いてエッチングされうる。酸化スズスペーサ/マンドレルは、酸化シリコンまたは(第2のスペーサ材として用いられうる)シリコン含有化合物に対して高いエッチング選択性を有するH2化学物質を用いて除去されうる。
【0098】
マンドレルとしての他の酸化物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の処理シーケンスのいずれかにおいて、酸化スズの代わりに他の酸化物材が用いられる。具体的には、高蒸気圧を有する水素化物を形成する元素の酸化物が用いられうる。水素化物が処理温度において安定状態であり気相である場合に、揮発性水素化物(例えば、約20℃未満(約0℃未満など)の沸点を有する水素化物)を形成する元素の酸化物が用いられる。例えば、いくつかの実施形態では、アンチモン酸化物またはテルル酸化物は、本明細書に記載のプロセスシーケンスのいずれかにおいて酸化スズの代わりに用いられることができ、処理の間に類似の水素系化学物質を用いてエッチングされる。
【0099】
装置
本明細書に記載の方法は、エッチングおよび堆積向けに構成された様々な装置で実行されうる。エッチング向けに構成された適する装置は、エッチングプロセスチャンバと、エッチング中に基板を所定の位置に保持するように構成された、エッチングプロセスチャンバ内の基板ホルダと、プロセスガスにおいてプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成機構とを備える。
【0100】
適した装置の例は、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタであり、いくつかの実施形態では、それは、原子層エッチング(ALE)動作および原子層堆積(ALD)動作を含む周期的な堆積活性化プロセスにも適してよい。本明細書ではICPリアクタが詳細に説明されているが、容量結合プラズマリアクタが用いられてもよいことを理解されたい。
【0101】
図9は、本明細書に記載のプラズマエッチングを実施するのに適した誘導結合プラズマエッチング堆積統合装置900の断面図を示し、その例は、カリフォルニア州フレモントのラムリサーチ株式会社によって製造されたKiyo(登録商標)リアクタである。誘導結合プラズマ装置900は、チャンバ壁901および窓911によって構造的に規定された総合プロセスチャンバ924を含む。チャンバ壁901は、ステンレス鋼またはアルミニウムで作られてよい。窓911は、石英または他の誘電材料で作られてよい。任意の内部プラズマグリッド950は、総合プロセスチャンバを上部サブチャンバ902と下部サブチャンバ903とに分割する。ほとんどの実施形態では、サブチャンバ902およびサブチャンバ903からなるチャンバ空間を利用することができるように、プラズマグリッド950は除去されてよい。チャック
917は、底部内面付近の下部サブチャンバ903内に設置される。チャック917は、エッチングプロセスおよび堆積プロセスが実施される半導体ウエハ919を受け取り保持するように構成されている。チャック917は、ウエハ919が存在するときは、ウエハ919を支持するための静電チャックでありうる。いくつかの実施形態では、エッジリング(図示せず)は、チャック917を取り囲み、ウエハ919がチャック917の上に存在するときは、ウエハ919の上面と略平面である上面を有する。チャック917は、ウエハ919をチャックおよびデチャックするための静電電極も備える。このために、フィルタおよびDCクランプ電源(図示せず)が設けられてよい。ウエハ919をチャック917から持ち上げるための他の制御システムが設けられてもよい。チャック917は、RF電源923を用いて充電されうる。RF電源923は、接続部927を介して整合回路921に接続される。整合回路921は、接続部925を介してチャック917に接続される。このようにして、RF電源923は、チャック917に接続される。様々な実施形態では、静電チャックのバイアス電力は、約50Vbに設定されてよい、または、開示の実施形態に従って実施されるプロセスに応じて異なるバイアス電力に設定されてよい。例えば、バイアス電力は、約20Vb~約100Vb、または約30Vb~約150Vbであってよい。
【0102】
プラズマ生成のための要素は、窓911の上方に設置されるコイル933を含む。いくつかの実施形態では、コイルは、開示の実施形態において用いられない。コイル933は、導電性材料で作られ、少なくとも1つの完全なターンを含む。
図9に示されたコイル933の例は、3ターンを含む。コイル933の断面は記号で示されており、「X」を有するコイルは、ページに回転して延びるが、「●」を有するコイルは、ページから回転して延びる。プラズマ生成のための要素は、RF電力をコイル933に供給するように構成されたRF電源941も含む。一般に、RF電源941は、接続部945を介して整合回路939に接続される。整合回路939は、接続部943を介してコイル933に接続される。このようにして、RF電源941は、コイル933に接続される。任意のファラデーシールド949aがコイル933と窓911との間に設置される。ファラデーシールド949aは、コイル933に対して間隔をおいて維持されてよい。いくつかの実施形態では、ファラデーシールド949aは、窓911のすぐ上方に配置される。いくつかの実施形態では、ファラデーシールド949bは、窓911とチャック917との間にある。いくつかの実施形態では、ファラデーシールド949bは、コイル933に対して間隔をおいて維持されない。例えば、ファラデーシールド949bは、間隔なしで窓911のすぐ下方にあってよい。コイル933、ファラデーシールド949a、および窓911は、各々、互いに実質的に平行になるように構成されている。ファラデーシールド949aは、金属または他の種がプロセスチャンバ924の窓911上に堆積することを防いでよい。
【0103】
プロセスガス(例えば、H2およびHeなど)は、上部サブチャンバ902に設置された1つ以上の主ガス流入口960を通って、および/または、1つ以上の側ガス流入口970を通ってプロセスチャンバに流されてよい。同様に、図示されていないが、プロセスガスを容量結合プラズマ処理チャンバに供給するために類似のガス流入口が用いられてよい。真空ポンプ(例えば、1段または2段機械式ドライポンプおよび/またはターボ分子ポンプ940)は、プロセスガスをプロセスチャンバ924から抜いて、プロセスチャンバ924内の圧力を維持するために用いられてよい。例えば、真空ポンプは、パージ動作中に下部サブチャンバ903を排気するために用いられてよい。弁制御導管は、真空ポンプによって提供された真空環境の適用を選択的に制御するために、真空ポンプをプロセスチャンバ924に流体的に接続するのに用いられてよい。これは、プラズマ処理動作中に、スロットル弁(図示せず)または振り子弁(図示せず)などの閉ループ制御流量制限装置を用いて実行されてよい。同様に、容量結合プラズマ処理チャンバへの真空ポンプおよび弁制御流体接続部も用いられてよい。
【0104】
装置900の動作中に、水素系エッチングのためのH2含有ガスなどの1つ以上のプロセスガスは、ガス流入口960および/またはガス流入口970を通って供給されてよい。特定の実施形態では、プロセスガスは、主ガス流入口960のみを通って、または側ガス流入口970のみを通って供給されてよい。場合によっては、図に示されたガス流入口は、より複雑なガス流入口(例えば、1つ以上のシャワーヘッド)に置き換えられてよい。ファラデーシールド949aおよび/または任意のグリッド950は、プロセスチャンバ924へのプロセスガスの配送を可能にする内部経路および孔を含んでよい。ファラデーシールド949aおよび任意のグリッド950のいずれかまたは両方は、プロセスガスの配送のためのシャワーヘッドとして機能してよい。いくつかの実施形態では、液体反応剤または前駆体が気化されると、気化した反応剤または前駆体がガス流入口960および/またはガス流入口970を介してプロセスチャンバ924に導入されるように、液体気化配送システムは、プロセスチャンバ924の上流に設置されてよい。
【0105】
無線周波数電力は、RF電流がコイル933を通って流されるようにRF電源941からコイル933に供給される。コイル933を通って流れるRF電流は、コイル933を中心とする電磁場を形成する。電磁場は、上部サブチャンバ902内で誘導電流を生成する。様々な生成イオンおよびラジカルのウエハ919との物理的相互作用および化学的相互作用により、ウエハ919上のフィーチャがエッチングされ、ウエハ919上に選択的に層が堆積される。
【0106】
上部サブチャンバ902および下部サブチャンバ903の両方が存在するようにプラズマグリッド950が用いられる場合は、誘導電流は、上部サブチャンバ902に存在するガスに反応して、上部サブチャンバ902において電子-イオンプラズマを生成する。任意の内部プラズマグリッド950は、下部サブチャンバ903内の熱電子の量を限定する。いくつかの実施形態では、装置900は、下部サブチャンバ903に存在するプラズマがイオン-イオンプラズマになるように設計および操作される。
【0107】
上部の電子-イオンプラズマおよび下部のイオン-イオンプラズマの両方は、陽イオンおよび陰イオンを含むが、イオン-イオンプラズマは、陽イオンに対してより大きい比率の陰イオンを有するだろう。揮発性エッチングおよび/または堆積の副生成物は、ポート922を通って下部サブチャンバ903から除去されてよい。例えば、H2プラズマを用いる酸化スズエッチングの間に生成された水素化スズは、パージおよび/または排気の間にポート922を通って除去されうる。本明細書に開示のチャック917は、約10℃~約250℃の高温で動作してよい。温度は、プロセス動作および特定のレシピに依存するだろう。いくつかの実施形態では、装置は、約100℃未満の温度でエッチングを実行するように制御される。
【0108】
装置900は、クリーンルームまたは製造施設において取り付けられるときは、設備(図示せず)に結合されてよい。設備は、処理ガス、真空、温度制御、および環境粒子制御を提供する配管を含む。これらの設備は、目的の製造施設で設置されたときは、装置900に結合される。また、装置900は、一般的な自動操作を用いてロボットが半導体ウエハを装置900に対して搬入出できるようにする搬送チャンバに結合されてよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ930(1つ以上の物理的または論理的コントローラを含んでよい)は、プロセスチャンバ924の一部または全ての動作を制御する。システムコントローラ930は、1つ以上の記憶装置および1つ以上のプロセッサを含んでよい。いくつかの実施形態では、装置900は、プロセスガスの流量を制御するための切り替えシステムを備える。いくつかの実施形態では、コントローラは、本明細書に記載のいずれかの方法の工程を行わせるためのプログラム命令を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ930は、上述の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合されてよい。電子機器は、システムの様々な部品または副部品を制御しうるシステムコントローラ930に統合されてよい。システムコントローラは、処理パラメータおよび/またはシステムの種類に応じて、プロセスガスの配送、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)生成器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体配送設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツール、および/または、特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示のプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0111】
概して、システムコントローラ930は、命令を受け取り、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、記憶装置、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサ、もしくは、マイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形式でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であって、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハダイの製造中もしくは除去中における1つ以上の処理工程を実現してよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ930は、システムと統合または結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、もしくはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよく、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えば、コントローラは、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする、「クラウド」内にあってよい、または、ファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または実施の基準を調査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理工程を設定し、または、新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、システムコントローラ930は、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のためのパラメータを特定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが接続するまたは制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって、上述のように、システムコントローラ930は、例えば、互いにネットワーク接続される1つ以上の個別のコントローラを含むことや、本明細書に記載のプロセスおよび制御などの共通の目的に向かって協働することによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として)位置し、協働してチャンバにおけるプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバ上の1つ以上の集積回路だろう。
【0113】
制限するのではなく、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、クリーンチャンバまたはクリーンモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはCVDモジュール、ALDチャンバまたはALDモジュール、ALEチャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる他のあらゆる半導体処理システムを含んでよい。
【0114】
上述のように、ツールによって実施されるプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路もしくはツールモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通しうる。
【0115】
図10は、真空搬送モジュール(VTM)1038と結合する様々なモジュールを備える半導体プロセスクラスタ構造を表す。複数の格納設備と処理モジュールとの間でウエハを「搬送する」ための様々なモジュールの配置は、「クラスタツール構造」システムと呼ばれてよい。ロードロックまたは搬送モジュールとしても知られるエアロック1030は、VTM1038と結合する。VTM1038は、次に、様々な製造プロセスを実施するように個別に最適化されうる4つの処理モジュール1020a~処理モジュール1020dと結合する。例えば、処理モジュール1020a~処理モジュール1020dは、基板エッチング、堆積、イオン注入、ウエハ洗浄、スパッタリング、および/または、他の半導体プロセスを実施するために実装されてよい。いくつかの実施形態では、酸化スズ堆積および酸化スズエッチングは、同じモジュールで実施される。いくつかの実施形態では、酸化スズ堆積および酸化スズエッチングは、同じツールの異なるモジュールで実施される。1つ以上の基板エッチング処理モジュール(処理モジュール1020a~処理モジュール1020dのいずれか)は、例えば、共形膜を堆積させるため、酸化スズを選択的にエッチングするため、エアギャップを形成するため、および、開示の実施形態による他の適した機能のために、本明細書に開示のように実装されてよい。エアロック1030および処理モジュール1020a~処理モジュール1020dは、「ステーション」と呼ばれてよい。各ステーションは、ステーションをVTM1038に結合するファセット1036を有する。各ファセット内では、ウエハ1026がそれぞれのステーション間を移動したときにウエハ1026の通過を検出するためにセンサ1~センサ18が用いられる。
【0116】
ロボット1022は、ウエハ1026をステーション間で搬送する。一実施形態では、ロボット1022は1つのアームを有し、別の実施形態では、ロボット1022は2つのアームを有する。各アームは、搬送のためにウエハ1026などのウエハを取り上げるためのエンドエフェクタ1024を有する。大気移送モジュール(ATM)1040において、フロントエンドロボット1032は、ロードポートモジュール(LPM)1042内のカセットまたは前開き一体型ポッド(FOUP)1034からウエハ1026をエアロック1030に搬送するために用いられる。処理モジュール1020a~処理モジュール1020d内のモジュール中心部1028は、ウエハ1026を配置するための1つの位置である。ATM1040内のアライナ1044は、ウエハを並べるために用いられる。
【0117】
例示の処理方法では、ウエハは、LPM1042のFOUP1034の1つに配置される。フロントエンドロボット1032は、FOUP1034から、ウエハ1026がエッチングまたは処理される前に適切に中心に置かれることを可能にするアライナ1044にウエハを搬送する。ウエハ1026は、並べられると、フロントエンドロボット1032によってエアロック1030に移動される。エアロック1030は、ATM1040とVTM1038との間の環境を一致させることができるため、ウエハ1026は、2つの気圧環境間を損傷なく移動することができる。ウエハ1026は、ロボット1022によってエアロック1030からVTM1038を通って処理モジュール1020a~処理モジュール1020dの1つに移動される。このウエハの移動を実現するために、ロボット1022は、その各アームにおいてエンドエフェクタ1024を用いる。ウエハ1026は、処理されると、ロボット1022によって処理モジュール1020a~処理モジュール1020dからエアロック1030に移動される。ウエハ1026は、ここからフロントエンドロボット1032によって複数のFOUP1034のうちの1つまたはアライナ1044に移動されてよい。
【0118】
ウエハの移動を制御するコンピュータは、クラスタ構造に固有でありうる、または、製造現場のクラスタ構造の外部に位置しうる、または遠隔位置でネットワークを通じてクラスタ構造に接続されうる。
図9に関して上述されたコントローラは、
図10のツールと共に実装されてよい。本発明によるプロセス動作を制御するための命令を含む機械可読媒体は、システムコントローラに結合されてよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、半導体基板を処理するためのシステムは、1つ以上の堆積チャンバ、1つ以上のエッチングチャンバ、および本明細書に記載のあらゆるプロセスまたはサブプロセスを実行するためのプログラム命令を有するシステムコントローラを含む。いくつかの実施形態では、複数の酸化スズ突起フィーチャを有する半導体基板上で、酸化スズ突起フィーチャの水平面および側壁の両方におけるスペーサ材の堆積を行わせる動作と、下地酸化スズを露出するために、酸化スズ突起フィーチャの側壁のスペーサ材の完全な除去を行わせることなく酸化スズ突起フィーチャの水平面からのスペーサ材の除去を行わせる動作と、を行わせるためのプログラム命令が含まれる。コントローラは、さらに、酸化スズ突起フィーチャの側壁に先に存在していたスペーサ材の完全な除去を行わせることなく酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせることで、半導体基板上に複数のスペーサを形成するためのプログラム命令を含んでよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、複数の第1のマンドレルを有する半導体基板の上に共形の酸化スズ層の堆積を行わせることによって、複数の酸化スズ突起フィーチャを有する半導体基板の形成を行わせ、次に、水平面からの酸化スズ材の除去、および第1のマンドレルの除去が続くためのプログラム命令を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、プロセスガス用の入口を有するエッチングプロセスチャンバと、エッチングプロセスチャンバ内で半導体基板を保持するように構成された基板ホルダと、本明細書に記載のあらゆるプロセスおよびサブプロセスのためのプログラム命令を含むプロセスコントローラとを備えるエッチング装置が提供される。いくつかの実施形態では、コントローラは、スペーサ材が複数の酸化スズ突起フィーチャの側壁で完全に除去されることなく半導体基板の水平面から完全に除去されるように、半導体基板上の酸化スズ突起フィーチャを被覆するスペーサ材層のエッチングを行わせるためのプログラム命令を備える。
【0121】
別の態様では、本明細書に記載のあらゆる方法の実施を行わせるためのコードを含む非一時的コンピュータ機械可読媒体が提供される。
【0122】
さらなる実施形態
本明細書に記載の装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽電池パネルなどの製作または製造のためのリソグラフィパターニングツールまたはリソグラフィパターニングプロセスと併せて用いられてよい。通常、必ずというわけではないが、かかる装置およびプロセスは、共通の製造施設で共に用いられるまたは実行されるだろう。膜のリソグラフィパターニングは、通常、(1)スピンオンツールまたはスプレイオンツールを用いるワークピース(すなわち、基板)へのフォトレジストの塗布、(2)熱板、炉、またはUV硬化ツールを用いるフォトレジストの硬化、(3)ウエハステッパなどのツールによる可視線、UV、またはX線へのフォトレジストの露光、(4)レジストを選択的に除去し、ウェットベンチなどのツールを用いてパターニングするためのレジストの現像、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いるレジストパターンの下地膜またはワークピースへの転写、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジスト剥離剤などのツールを用いるレジストの除去、の工程の一部または全てを含み、各工程は、いくつかの可能なツールが有効である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のあらゆる装置およびステッパを含むシステムが提供される。
また、本開示の装置およびプロセスは、以下の形態により実現されてもよい。
[形態1]
半導体基板を処理するための方法であって、
(a)エッチング停止層に存在する複数の酸化スズ突起フィーチャを有する半導体基板を提供することと、
(b)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの水平面および側壁の両方にスペーサ材の層を形成することと、
(c)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁における前記スペーサ材を完全に除去することなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記水平面から前記スペーサ材を除去して、下地の酸化スズを露出させることと、
を含む、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、さらに、
(d)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材を完全に除去することなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャを除去することで、前記エッチング停止層の上に存在する複数のスペーサを形成することを含む、方法。
[形態3]
形態2に記載の方法であって、さらに、
(e)前記複数の酸化スズ突起フィーチャが除去された後に、前記複数のスペーサの存在下で前記エッチング停止層をエッチングすることを含む、方法。
[形態4]
形態1に記載の方法であって、
前記スペーサ材は、シリコン含有材料および二酸化チタンからなる群より選択される、方法。
[形態5]
形態4に記載の方法であって、
前記スペーサ材は、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、SiOC、SiNO、SiCNO、およびSiCNからなる群より選択されたシリコン含有材料である、方法。
[形態6]
形態1に記載の方法であって、
前記スペーサ材は酸化チタンであり、前記エッチング停止層はシリコン含有材料を含む、方法。
[形態7]
形態1に記載の方法であって、
前記スペーサ材は酸化シリコンであり、前記エッチング停止層はタングステンを含む、方法。
[形態8]
形態1に方法であって、
前記スペーサ材はシリコン含有材料であり、(c)において水平面から前記スペーサ材を除去することは、フッ素系エッチング化学物質を用いて前記スペーサ材をエッチングすることを含む、方法。
[形態9]
形態1に記載の方法であって、
前記スペーサ材は酸化チタンであり、(c)において水平面から前記スペーサ材を除去することは、塩素系エッチング化学物質を用いて前記スペーサ材をエッチングすることを含む、方法。
[形態10]
形態1に記載の方法であって、さらに、
(d)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材を完全に除去することなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャを除去することで、前記エッチング停止層の上に存在する複数のスペーサを形成することであって、前記複数の酸化スズ突起フィーチャは、水素化スズの形成をもたらす水素系エッチング化学物質を用いて除去されることを含む、方法。
[形態11]
形態1に記載の方法であって、さらに、
(d)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材を完全に除去することなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャを除去することで、前記エッチング停止層の上に存在する複数のスペーサを形成することであって、前記複数の酸化スズ突起フィーチャを除去することは、H
2
、HBr、NH
3
、H
2
O、炭化水素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されたプラズマ励起水素含有反応剤と前記半導体基板とを接触させることを含む、方法。
[形態12]
形態1に記載の方法であって、さらに、
(a)より前に、
平坦な酸化スズ層をパターニングすることによって前記半導体基板上に前記複数の酸化スズ突起フィーチャを形成することを含む、方法。
[形態13]
形態1に記載の方法であって、さらに、
(a)より前に、
(i)前記半導体基板上に複数の第1のマンドレルを形成することと、
(ii)前記複数の第1のマンドレルの上に酸化スズの層を共形に堆積することと、
(iii)前記堆積した酸化スズの層を水平面からエッチングし、前記複数の第1のマンドレルを除去して、(a)で提供された前記半導体基板上に前記複数の酸化スズ突起フィーチャを形成することであって、前記形成された複数の酸化スズ突起フィーチャは、続く動作(b)~動作(c)において第2のマンドレルとして機能することと、
を含む、方法。
[形態14]
形態13に記載の方法であって、
前記第1のマンドレルは、フォトレジスト、非晶質炭素、およびダイヤモンド状炭素からなる群より選択された炭素含有材料を含む、方法。
[形態15]
形態13に記載の方法であって、
前記第1のマンドレルは、炭素含有材料を含み、(iii)は、水素系エッチング化学物質または塩素系エッチング化学物質を用いて水平面から前記堆積した酸化スズの層をエッチングすることと、酸素系エッチング化学物質を用いて前記複数の第1のマンドレルを除去することとを含む、方法。
[形態16]
半導体基板を処理するためのシステムであって、
(a)1つ以上の堆積チャンバと、
(b)1つ以上のエッチングチャンバと、
(c)システムコントローラであって、
(i)複数の酸化スズ突起フィーチャを備える前記半導体基板上で、前記複数の酸化スズ突起フィーチャの水平面および側壁の両方にスペーサ材の堆積を行わせるためのプログラム命令と、
(ii)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁において前記スペーサ材の完全な除去を行わせることなく、前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記水平面から前記スペーサ材の除去を行わせて下地の酸化スズを露出させるためのプログラム命令と、を備えるシステムコントローラと、
を備える、システム。
[形態17]
形態16に記載のシステムであって、
前記システムコントローラは、さらに、
(iii)前記複数の酸化スズ突起フィーチャの前記側壁に先に存在していた前記スペーサ材の完全な除去を行わせることなく前記複数の酸化スズ突起フィーチャの除去を行わせて、前記半導体基板上に複数のスペーサを形成するためのプログラム命令を備える、システム。
[形態18]
形態16に記載のシステムであって、
前記システムコントローラは、さらに、複数の第1のマンドレルを有する半導体基板の上に共形の酸化スズ層の堆積を行わせ、次に水平面から前記酸化スズ材の除去、および前記複数の第1のマンドレルの除去を行わせることによって、前記複数の酸化スズ突起フィーチャを備える前記半導体基板の前記形成を行わせるためのプログラム命令を備える、システム。
[形態19]
エッチング装置であって、
(a)プロセスガスのための入口を有するエッチングプロセスチャンバと、
(b)前記エッチングプロセスチャンバにおいて半導体基板を保持するように構成された基板ホルダと、
(c)プロセスコントローラであって、
スペーサ材が複数の酸化スズ突起フィーチャの側壁において完全に除去されることなく前記半導体基板の水平面から完全に除去されるように、前記半導体基板上の前記複数の酸化スズ突起フィーチャを被覆する前記スペーサ材の層のエッチングを行わせるためのプログラム命令を備える、プロセスコントローラと、
を備える、エッチング装置。
[形態20]
形態19に記載のエッチング装置であって、
(c)における前記プログラム命令は、フッ素系エッチング化学物質を用いて前記スペーサ材の前記層の前記エッチングを行わせるためのプログラム命令を含み、前記スペーサ材は、シリコン含有材料である、エッチング装置。