(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】システムインパッケージアセンブリの電磁干渉からのシールド方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/00 20060101AFI20230821BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20230821BHJP
H05K 3/00 20060101ALN20230821BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H05K9/00 Q
H05K3/00 N
(21)【出願番号】P 2020541930
(86)(22)【出願日】2019-02-01
(86)【国際出願番号】 US2019016225
(87)【国際公開番号】W WO2019152762
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ホン、 スアン
(72)【発明者】
【氏名】メイスリク、 ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジュオ、 チージュオ
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス、 ジュリエット グレース
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518644(JP,A)
【文献】特開2010-245931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/00
H05K 9/00
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムインパッケージアセンブリを電磁干渉からシールドする方法であって、システムインパッケージアセンブリは、基板、各コンポーネントモジュールが1つ以上のコンポーネントを含む基板上に取り付けられた複数のコンポーネントモジュール、基板上にコンポーネントを覆う絶縁体および隣接するコンポーネントモジュール間の絶縁体に形成されたトレンチを含み、トレンチは、10~100μmの最大幅を有し、前記方法は、
20~250℃の間で1GPa未満の引張弾性率を有する自己支持型EMIシールドフィルムプリフォームを提供すること、
自己支持型EMIシールドフィルムプリフォームを絶縁体の外面に対しておよびトレンチ内に真空ラミネートし、トレンチ内にコーティングおよび絶縁体の外面の覆いを形成すること、および
コーティングを少なくとも50MPaの引張弾性率に硬化させることを含む方法。
【請求項2】
硬化前に、コーティングを絶縁体にプレスすることを含む、請求項1に記載のシステムインパッケージアセンブリをシールドする方法。
【請求項3】
硬化前に、少なくとも50psiの力でコーティングを絶縁体の外面にプレスすることを含む、請求項2に記載のシステムインパッケージアセンブリをシールドする方法。
【請求項4】
プリフォームが、ポリマー樹脂マトリックス中に分散された導電性粒子状フィラーを含む、請求項1に記載のシステムインパッケージアセンブリをシールドする方法。
【請求項5】
真空ラミネートする前に、プリフォームを少なくとも50℃に加熱することを含む、請求項1に記載のシステムインパッケージアセンブリをシールドする方法。
【請求項6】
加熱されたプリフォームを絶縁体の外面に対して、およびトレンチ内に真空ラミネートするために、トレンチを真空にすることを含む、請求項1に記載のシステムインパッケージアセンブリをシールドする方法。
【請求項7】
コーティングを硬化することが、少なくとも60℃で、少なくとも10分間コーティングを加熱することを含む、請求項1に記載のシステムインパッケージアセンブリをシールドする方法。
【請求項8】
硬化したコーティングが、20℃で少なくとも1GPaの引張弾性率を示す、請求項7に記載のシステムインパッケージアセンブリをシールドする方法。
【請求項9】
コーティングが実質的にトレンチを充填する、請求項1に記載のシステムインパッケージアセンブリをシールドする方法。
【請求項10】
システムインパッケージアセンブリを形成する方法であって、
基板のアクティブ面から間隔を置いて配置された導電性グラウンドプレーンと、グラウンドプレーンからアクティブ面に延びる導電性トレースとを有する基板を提供し、
基板のアクティブ面に複数のコンポーネントモジュールを取り付けて、基板の組み立てられた表面を形成し、ここで各コンポーネントモジュールは1つ以上のコンポーネントを含み、
基板の組み立てられた表面を誘電層に封入し、ここで誘電層は組み立てられた表面と外面との間に延び、
隣接するコンポーネントモジュールの間の誘電体層を通ってトレースまでのトレンチを形成し、トレンチは、10~100μmの間の最大幅を有し、
自己支持型EMIシールドフィルムプリフォームを誘電体層の外面に対しておよびトレンチ内に真空ラミネートし、トレースに接触するトレンチ内にコーティングおよび誘電体の外面に覆いを形成することを含み、自己支持型EMIシールドフィルムプリフォームが20~250℃で1GPa未満の引張弾性率を有する方法。
【請求項11】
コーティングを少なくとも50MPaの引張弾性率に硬化させることを含む、請求項10に記載のシステムインパッケージアセンブリを形成する方法。
【請求項12】
少なくとも50psiの力でコーティングを誘電体層の外面にプレスすることを含む、請求項10に記載のシステムインパッケージアセンブリを形成する方法。
【請求項13】
基板および誘電体層を切断することによって、複数のシステムインパッケージデバイスを単一化することを含む、請求項12に記載のシステムインパッケージアセンブリを形成する方法。
【請求項14】
誘電体層に複数のトレンチを形成することを含み、各トレンチが1以上のモジュールの第2のセットから1以上のコンポーネントモジュールの第1のセットを描く、請求項13に記載のシステムインパッケージアセンブリを形成する方法。
【請求項15】
コーティングが実質的にトレンチを満たす、請求項10に記載のシステムインパッケージアセンブリを形成する方法。
【請求項16】
コーティングが導電性グラウンドプレーンに接触する、請求項10に記載のシステムインパッケージアセンブリを形成する方法。
【請求項17】
ハウジング、
無線データを受信する受信機、
無線データを送信する送信機、および
請求項10~16のいずれか1項に記載の方法によって得られたシステムインパッケージアセンブリを含むモバイルデバイスであって、システムインパッケージアセンブリは、
基板、
各コンポーネントモジュールが1つ以上のコンポーネントを含む基板上に取り付けられた複数のコンポーネントモジュール、
基板上にコンポーネントを覆う絶縁体、および
トレンチが、10~100μmの最大幅を有する隣接するコンポーネントモジュール間の絶縁体に形成されたトレンチ、および
絶縁体の外面を覆い、少なくとも50MPaの引張弾性率を有するトレンチ内のコーティングを含み、
システムインパッケージアセンブリは、ハウジングに取り付けられ、
システムインパッケージアセンブリの1以上のコンポーネントが少なくともプロセッサを含み、および
システムインパッケージアセンブリが少なくとも2つのコンポーネントモジュールを描く少なくとも1つのトレンチを含み、
トレンチを実質的に充填するコーティングが、電磁干渉を少なくとも10db減衰させるモバイルデバイス。
【請求項18】
ハウジング、
無線データを受信する受信機、
無線データを送信する送信機、および
システムインパッケージアセンブリを含むモバイルデバイスであって、システムインパッケージアセンブリは、
基板、
各コンポーネントモジュールが1つ以上のコンポーネントを含む基板上に取り付けられた複数のコンポーネントモジュール、
基板上にコンポーネントを覆う絶縁体、および
トレンチが、10~100μmの最大幅を有する隣接するコンポーネントモジュール間の絶縁体に形成されたトレンチ、および
20~250℃の間で1GPa未満の引張弾性率を有し、ポリマー樹脂マトリックス中に分散された導電性粒子状フィラーを含む自己支持型EMIシールドフィルムプリフォームから形成され、絶縁体の外面を覆い、少なくとも50MPaの引張弾性率を有するトレンチ内のコーティングを含み、
システムインパッケージアセンブリは、ハウジングに取り付けられ、
システムインパッケージアセンブリの1以上のコンポーネントが少なくともプロセッサを含み、および
システムインパッケージアセンブリが少なくとも2つのコンポーネントモジュールを描く少なくとも1つのトレンチを含み、
トレンチを実質的に充填するコーティングが、電磁干渉を少なくとも10db減衰させるモバイルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子パッケージの電磁干渉(EMI)シールドに関し、より詳細には、EMIシールドフィルム、およびEMIシールドフィルムをセグメント化システムインパッケージ(SIP)電子パッケージに適用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機能性が向上し、サイズが縮小された電子デバイスは、特にスマートフォンやタブレットなどのモバイルコンピューティングデバイスで、引き続き需要がある。しかしながら、そのようなデバイスは、通常、電磁シールドを必要とする回路を含む。たとえば、一部のデバイスには、無線周波数干渉の影響を受けやすい無線周波数トランシーバ回路が含まれる。クロック信号は、無線周波数干渉の原因のもう1つの例である。この目的のために、「電磁干渉」(EMI)という用語は、無線周波数(RF)信号および電子デバイス内のコンポーネントまたは他のソースから発せられる他の周波数信号を含む、広帯域波形信号を含むことが意図される。
【0003】
電磁シールドは、電子デバイス内のコンポーネントの動作に対するEMIを低減するためによく使用される。現在、EMIシールドは、金属シールド缶または回路間の導電性ペーストによって形成される。シールド缶または導電性ペーストの導電性の側面は、電子部品の動作との電磁干渉を最小限に抑えるために、電磁信号の伝送を軽減するように機能する。しかし、従来のEMIシールド解決方法ではパッケージサイズの縮小に制限があり、ユーザーの好みに応じてフォームファクターのサイズを縮小する電子デバイス設計者の能力が制限される。
【0004】
EMIシールドの特に有益なアプリケーションは、システムインパッケージ(SIP)のセグメント化されたコンポーネントまたはコンポーネントグループ間である。コンポーネントおよびコンポーネントのグループは、さまざまな理由でSIPでセグメント化され、SIPのセグメント化された部分がシステムの特定の機能を実行するため、予め定義された機能的な「モジュール」として基板に配置することができる。SIPのセグメント化された部分は、多くの場合、誘電体オーバーモールディングに形成されたギャップまたはトレンチによって物理的に分離されている。SIPのセグメント化された部分は、望ましくは、SIPの異なる部分によって生成されるEMIからシールドされ得る。
その結果、EMIシールドは通常、各セグメント化された部分の周りと、セグメント化トレンチ内を含むSIP全体に提供される。
【0005】
システム全体のサイズを小さくするために、設計者はトレンチ幅を小さくすることを求めてきた。しかし、現在の一般的なトレンチ幅は10~100umの範囲であるため、トレンチの表面をEMIシールド材料で覆うことは困難な場合がある。EMIシールドへの従来のアプローチは、導電性ペーストの印刷とオーバーモールドされた誘電体材料の外面に金属のスパッタリング、電気メッキ、またはスプレーコーティングを組み合わせて、オーバーモールドされた誘電体のトレンチと外面の周りにEMI材料をコーティングすることであった。従来のプロセスの例としては、硬化性液体充填材料をトレンチにジェット印刷し、続いて材料を硬化させ、オーバーモールド誘電体の外面を洗浄して、オーバーモールド誘電体の外面の周りにコンフォーマルコーティングとして金属の堆積層を受ける。このようなアプローチは、EMIシールドを作成するための2段階の処理のために複雑で高価であり、遅いジェット充填プロセスと金属堆積プロセスの結果として時間がかかる。
【0006】
別の従来のアプローチは、液体ペースト材料をトレンチ内に、および誘電体層の外面の周りに印刷することを含む。しかしながら、出願人は、特に非常に高いアスペクト比(高深度、低幅)のトレンチ設計では、EMIシールドペーストがトレンチの表面に沿って均一に塗布することが難しいことを見出した。その結果、十分にシールドされていないトレンチ内の領域を回避することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、スループットを加速し、金属蒸着のための制御された環境に関連するコストを削減するために、従来のアプローチからステップを排除するEMIシールド適用プロセスを提供することである。
【0008】
本発明の目的はまた、SIPの部分をセグメント化する高アスペクト比のトレンチ内を含むSIPの表面上へのEMIシールド材料の高品質かつ完全なコーティングを容易にするEMIシールド適用プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、EMIシールドフィルムは、単一のラミネートプロセスでシステムインパッケージ(SIP)アセンブリに適用され得る。EMIシールドに適した導電性フィルムは、絶縁層に対して真空ラミネートされ、絶縁層に形成されたトレンチを実質的に充填して、パッケージ全体とパッケージのセグメント化された部分の間の両方で連続EMIシールドを作成する。SIPアセンブリは、基板、基板に取り付けられた複数のコンポーネントモジュール、ここで各コンポーネントモジュールは、1つ以上のコンポーネントを含み、基板上のコンポーネントを覆う絶縁体、および隣接するコンポーネントモジュール間の絶縁体に形成されたトレンチを含む。トレンチの最大幅は10~100umである。
【0010】
いくつかの実施形態では、20~250℃の動作温度で1GPa未満の引張弾性率を有する自立型シールドプリフォームが提供される。自立型プリフォームを流動性のある状態に加熱し、絶縁体の外面に対してトレンチ内に真空ラミネートして実質的にトレンチを充填するコーティングを形成し、絶縁体の外面を覆う。次に、コーティングを少なくとも50MPaの引張弾性率まで硬化させてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、SIPアセンブリを形成する方法は、基板のアクティブ面から間隔を置いて配置された導電性グラウンドプレーンと、前記グラウンドプレーンから前記アクティブ面に延びる導電性トレースとを有する基板を提供することを含む。複数のコンポーネントモジュールが基板のアクティブ表面に取り付けられて、基板の組み立てられた表面を形成し、各コンポーネントモジュールは1つ以上のコンポーネントを含む。次に、取り付けられたコンポーネントモジュールは、組み立てられた表面と外表面との間に延びる絶縁層に封入されてもよい。隣接するコンポーネントモジュール間および誘電体層を通してトレースまでトレンチが形成され、トレンチの最大幅は10~100umである。次に、自己支持型プリフォームシールドフィルムを誘電体層の外面に対しておよびトレンチ内に真空ラミネートし、実質的にトレンチを満たし、誘電体層の外面を覆うコーティングを形成する。自己支持型プリフォームシールドフィルムは、20~250℃の動作温度で1GPa未満の引張弾性率を示す。シールドフィルムはまた、0.1Ω*cm未満の体積抵抗率を示し得る。
【0012】
コーティングは、少なくとも50psiの力で、誘電体層の外面に対して、および/またはトレンチ内にプレスすることができる。プレスは、コーティングに必要な硬化工程の前、同時、または後に行うことができる。必要に応じて、コーティングを少なくとも50MPaの引張弾性率まで硬化させてもよい。
【0013】
基板および誘電体層を切断することにより、複数のSIPデバイスをアセンブリから単一化することができる。そのような単一化されたSIPデバイスのうちの1つ以上は、モバイルデバイスなどの電子デバイスで使用するためにキャリアに取り付けてもよい。SIPデバイスの1つ以上のコンポーネントは、少なくとも1つのプロセッサを含むことができ、SIPデバイスは、少なくとも2つのコンポーネントモジュールに描かれる少なくとも1つのトレンチを含む。トレンチを実質的に充填するコーティングは、好ましくは、電磁干渉を少なくとも10デシベル減衰および/または反射する。SIPデバイスを組み込んだモバイルデバイスは、無線データを受信するための受信機と、無線データを送信するための送信機とを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、システムインパッケージアセンブリを含むポータブル電子デバイスの略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すシステムインパッケージアセンブリの概略端面図である。
【
図3】
図3は、システムインパッケージアセンブリの断面図である。
【
図4】
図4は、誘電体層に形成されたトレンチを備えたシステムインパッケージアセンブリの断面図である。
【
図5】
図5は、EMIシールドフィルムとシステムインパッケージアセンブリの図である。
【
図6】
図6は、システムインパッケージアセンブリでラミネートされたEMIシールドフィルムの断面図である。
【
図6A】
図6Aは、システムインパッケージアセンブリでラミネートされたEMIシールドフィルムの断面図である。
【
図7A】
図7Aは、システムインパッケージアセンブリに配置されたEMIシールドフィルムと収縮した圧力ブラダーの断面図である。
【
図7B】
図7Bは、システムインパッケージアセンブリで膨張した圧力ブラダーによってラミネートおよびプレスされたEMIシールドフィルムの断面図である。
【
図7C】
図7Cは、システムインパッケージアセンブリでラミネートおよびプレスされたEMIシールドフィルムの断面図である。
【
図8】
図8は、EMIシールドフィルムを有するシステムインパッケージアセンブリを形成するためのフロー図である。
【
図9】
図9は、基板上に取り付けられ、複数のコンポーネントモジュールに描かれたコンポーネントのアレイの断面図である。
【
図10】
図10は、EMシールドフィルムがラミネートされた、
図9に示されたアレイの断面図である。
【
図11】
図11は、
図10に示されるアレイから個別化された複数のシステムインパッケージデバイスの断面図である。
【
図12】
図12は、基板上に取り付けられ、複数のコンポーネントモジュールに描かれたコンポーネントの断面図である。
【
図14】
図14は、EMIシールドフィルムが積層された、
図13に示される複数のサブアレイデバイスの断面図である。
【
図15】
図15は、単一化されたシステムインパッケージデバイスの断面図である。
【
図16】
図16は、本発明のシステムインパッケージデバイスを組み込んだモバイルデバイスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<発明の詳細な説明>
本発明によって表される他の目的、特徴、および進歩と共に上記で列挙された目的および利点は、本発明の様々な可能な構成を表すことが意図される添付の図面を参照して説明される詳細な実施形態に関して、ここで提示される。本発明の他の実施形態および態様は、当業者の理解の範囲内であると認識される。
【0016】
特に明記しない限り、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「内側(interior)」、「外側(exterior)」、「上部(top)」、「下(bottom)」、「垂直」、「水平」、「上方(upward)」、「下方(downward)」、「上(above)」、「下(below)」などの方向の言及は、図に示されている本発明の特定の実施形態の向きに対するものであることが意図される。さらに、図面中の所与の参照番号は、それが異なる図に現れた場合、同じまたは同様の構造を示し、同様の参照番号は、本発明の同様の構造要素および/または特徴を識別する。
【0017】
本開示の実施形態は、電磁干渉(EMI)シールド方法および構成を説明する。本発明のシールド構造は、システムインパッケージ(SIP)アセンブリを組み込んだ電子デバイス内の電気的、機械的、および他のコンポーネントおよびサブシステムに対するEMIを軽減する。SIPによって表される単一のパッケージは、基板上に取り付けられた複数のコンポーネントを含み得る。配置例には、ガラス繊維充填エポキシなどの従来のPCB材料から形成された、プリント回路基板(PCB)に取り付けられた受動部品と能動部品の両方を含む。SIPアセンブリは、携帯電話、タブレット、コンピュータ、腕時計などを含むポータブル電子デバイスなどの電子デバイスで使用できることを理解されたい。
【0018】
図1は、オーバーモールドされた誘電体が存在しない、ハウジング12およびSIPアセンブリ14を有するモバイルデバイス10などの例示的なポータブル電子デバイスを示す。SIPアセンブリ14は、PCBなどの基板16と、基板16に取り付けられた複数のコンポーネント20~28とを含む。コンポーネント20~28は、プロセッサ、集積回路、無線トランシーバ、受信機、および送信機などの能動コンポーネント、ならびに抵抗器およびコンデンサなどの受動コンポーネントを含み得る。
図1に示すように、複数のコンポーネント20~28は、少なくとも理論的にはコンポーネントモジュール30~32に分割することができ、輪郭は点線33、34で示されている。コンポーネント20~28は、それらの機能に基づいて異なるモジュールにグループ化することができ、コンポーネント20~22はコンポーネントモジュール30に含まれ、コンポーネント25~28はコンポーネントモジュール31に含まれ、コンポーネント23、24はコンポーネントモジュール32に含まれる。1つのモジュールのコンポーネントを別のモジュールのコンポーネントからシールドすることが望ましい場合があり、そのようなシールドがない場合、有害なEMIが各コンポーネントのパフォーマンスに影響を与える可能性がある。例えば、無線通信集積回路22は、例えば、コンポーネントモジュール31のコンポーネント25から発せられる信号からそれをシールドするためにコンポーネントモジュール30に配置されてもよい。
【0019】
図2は、SIPアセンブリ14の概略端面図である。図式のコンポーネント20a、20bは、基板16に取り付けられ、誘電体層18を形成するオーバーモールド誘電体材料に封入される。基板16上の複数のコンポーネントモジュール30~32は、基板16の組み立てられた表面35を形成する。組み立てられた表面35は、基板16の表面に沿って、コンポーネントモジュール30~32のコンポーネントの周りに延びる。絶縁層18は、組み立てられた表面35を封入することができ、絶縁層18は、組み立てられた表面35と外面19との間に延びる。
【0020】
絶縁層18は、エポキシなどの様々な材料、または一般に熱硬化性材料、熱可塑性材料、または組み立てられた表面35を電気的に絶縁するのに有用な他の材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、絶縁層18は、コンポーネント20~28からの熱伝達を容易にするために、電気的に絶縁性かつ熱伝導性の両方である材料から形成されてもよい。絶縁層18は、いくつかの実施形態では、誘電体または誘電体層と呼ばれる場合がある。
【0021】
基板16は、エポキシラミネートなどの電気的に絶縁性の材料のプリント回路基板(PCB)であり得る。例えば、基板16は、ポリテトラフルオロクチレンなどの材料、難燃剤4(FR-4)、FR-1などのフェノール綿紙材料、CEM-1またはCEM-3などのエポキシ材料またはエポキシ樹脂材料を使用して一緒に積層された織ガラス材料の電気絶縁層を含み得る。トレース、トレンチ、ビアなどの相互接続構造は、基板16を介してコンポーネント20~22の電気信号をルーティングするために、電気絶縁層を通して形成されてもよい。
【0022】
基板16は、グラウンドプレーン42に電気的に結合された金属トレース40を含み得る。以下でより詳細に説明するように、金属トレース40およびグラウンドプレーン42は、好ましくは、導電性の材料から形成され得、トレンチの形成を含む切断プロセスからの損傷から基板16を保護し得る。いくつかの実施形態では、金属トレース40は、絶縁層18の部分を切断/アブレーションしてトレンチを形成するのに使用される入射レーザーエネルギーを反射することができてもよい。
【0023】
レーザーなどの切断装置は、絶縁層18に1つ以上のトレンチ44を形成することができる。トレンチ44は、典型的には、EMIが1つのコンポーネントモジュールから隣接するコンポーネントモジュールへ伝搬するのをシールドするためにEMIシールド材料を堆積させる領域として、コンポーネントモジュール30~32を描く。
図4に示すように、トレンチ44は、隣接するコンポーネントモジュール30、31の間に、絶縁層18を貫通してトレース40まで形成されてもよい。レーザー切断ツールでトレンチ44を形成する実施形態では、トレース40は、レーザーエネルギーを反射して、SIP14へのレーザー切断/アブレーション貫通のストッパーとして効果的に機能することができる。トレース40はまた、トレンチ44に露出された組み立てられた表面35での導電性接点として機能する。したがって、トレンチ44でシールドされたEMIは、トレース40を介してグラウンドプレーン42に伝導され得る。トレンチ44は、10~100μmの間の最大幅寸法「w」を有し得る。
【0024】
上述のように、コンポーネントモジュール間のEMIをシールドするために、トレンチ内に薄い導電性シールド層を堆積することが知られている。このような従来のシールド層は、通常、化学蒸着、物理蒸着、または電気化学めっき技術により堆積し、銅やアルミニウムなどの導電性金属から形成される。次に、EMIシールドに対する従来のアプローチは、絶縁層の上面および側面を覆うために、絶縁層の外面に別個のEMIシールド層を適用する。この個別のシールド層は、上記のトレンチシールド層と連動して動作し、コンポーネントモジュール間のトレンチ内に延びる薄い「シールドカン」を実現する。
【0025】
図5~7に示される実施形態では、EMIシールド材料は、SIP14上の単一のラミネートプロセスで積層されてトレンチ44をコーティングし、絶縁層18の少なくとも外面19をカバーする自己支持型フィルムプリフォーム50に提供される。EMIシールドフィルムプリフォーム50はまた、基板16の側縁17を覆い、基板16の1つ以上の側縁17で導電性平面42に電気的に接触するようにラミネートされてもよい。EMIシールドフィルムプリフォーム50のラミネートは、トレンチ44内およびSIP14の外面の周りの両方でEMIシールドを提供するために、単一のラミネートプロセスで実行することができる。トレンチ44内と外面19の周りの両方に単一の自立フィルムでEMIシールド層を適用することにより、EMIシールドされたSIPユニットの処理スループットが大幅に加速され得る。
【0026】
<EMIシールド材料>
EMIシールドフィルムプリフォーム50は、電磁放射の少なくとも特定の周波数を効果的に減衰および/または反射することができる導電性の自己支持体であることが好ましい。EMIシールドは、入射エネルギーの反射および吸収のうちの1つ以上を含み得、本発明のシールドフィルムは、いずれかまたは両方の特性が可能であることが企図される。本発明において有用なEMIシールド材料は、0.1Ω*cm未満、好ましくは約2.0*10-6と0.1Ω*cmの間の体積抵抗率を示し、約5.0*10-6と1.0*10-2Ω*cmとの間であってもよい。「効果的なEMIシールド」とは、10MHz~10GHzで1~200dB/5umを意味する。
【0027】
EMIシールドフィルムプリフォーム50の特徴の1つは、単一のラミネートプロセスでSIP14の周りおよび狭いトレンチ44に形成されるのに十分な柔軟性/伸びを示すことである。SIPを使用するボードのコンパクトさを維持するために、トレンチ44は、望ましくは可能な限り狭く、最大幅寸法「w」は1~100μmである。出願人は、従来の導電性ペーストを、トレンチ44を実質的に充填し、絶縁層18の外面19をカバーすることの両方に首尾よく適用することは困難であることを見出した。したがって、EMIシールドフィルムプリフォーム50は、柔軟であるが自立するフィルムであり得る。この目的のために、「自己支持型フィルム」という用語は、0.5mm未満の厚さを有し、構成を維持する支持なしに20℃でその三次元構成を維持することができるフィルムを意味するものとする。用語「構成を維持する支持」は、加えられた力に対してフィルムと接触して、そのような加えられた力がない場合に規定されたフィルムの初期構成を維持する構造を意味することを意図している。
【0028】
上述のように、EMIシールドフィルムプリフォーム50は、好ましくは、1~500μm、好ましくは5~200μm、より好ましくは5~80μmの厚さ「t」を有する自立フィルムである。フィルム厚は実質的に均一であり得る。フィルムプリフォーム50はまた、好ましくは可撓性であり得、20℃で少なくとも2%、好ましくは少なくとも3%、そしてより好ましくは少なくとも5%の伸びを有する。フィルムの伸びは、25mm/minの負荷速度で50Nロードセルを使用して、Instron5566の応力ひずみ試験方法で決定できる。テストしたフィルムの寸法は、5mmx10mmx0.3mm厚であった。EMIシールドフィルムプリフォーム50は、20℃で実質的に非粘着性であり得る。
【0029】
EMIシールドフィルムプリフォーム50は、ポリマーマトリックスと、ポリマーマトリックス中に分散されたフィラーとから形成されてもよい。導電性フィラーの例には、銅、アルミニウム、銀、金などの粒子フォーマットの金属、ニッケル鉄合金などの金属合金、および他の導電性材料が含まれる。磁気干渉吸収フィラーの例には、鉄、ニッケル、およびニッケル-鉄合金が含まれる。一実施形態では、EMIシールドフィルムプリフォーム50のポリマーマトリックスは、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、およびポリアクリレート樹脂を含む熱可塑性または熱硬化性樹脂を含むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、EMIシールドフィルムプリフォーム50は、異なるEMIシールド特性を有する層を含む複数の層を含み得る。多層プリフォーム50の様々な層は、1つ以上の金属箔層を含む、ポリマーベースまたは非ポリマーベースであり得る。プリフォーム50として使用される多層フィルムの異なる層は、電磁放射の異なるまたは重複する周波数範囲を吸収および/または反射し得る。いくつかの実施形態では、多層フィルムまたはプリフォーム50の層は、伸び、引張弾性率、体積抵抗率、熱伝導率、ガラス転移温度などの異なるまたは重複する物理的特性を有し得る。いくつかの実施形態では、EMIシールドフィルムプリフォーム50は、少なくとも厚さ方向に沿って少なくとも0.5W/m*K、より好ましくは少なくとも約1.0W/m*Kの熱伝導率を有する熱伝導性であってよい。
【0031】
EMIシールドフィルムプリフォーム50は、いくつかの実施形態では、導電性接着剤と見なされてもよい。
【0032】
EMIシールド材料は硬化可能であり得、自己支持型EMIシールドフィルムプリフォーム50は、SIP14でのラミネートのために予備硬化状態であり得る。予備硬化フィルムプリフォーム50は、20~250℃の動作温度で1GPa未満の引張弾性率を示し得るが、20℃で自立するのに十分な構造特性を維持する。いくつかの実施形態では、ラミネートプリフォーム50は、例えば60℃を超える温度で少なくとも10分間、好ましくは少なくとも100℃の温度で少なくとも20分間、高温で硬化することができる。EMIシールドフィルムプリフォーム50は、さらにまたは代わりに、照射および触媒添加を含む他の硬化メカニズムによって硬化可能であってもよい。プリフォーム50からの硬化ラミネーションは、20℃で50MPaを超える、250MPaを超える、または1GPaを超える引張弾性率を示す場合がある。他の実施形態では、自己支持型EMIシールドフィルムプリフォーム50は、非硬化性、または硬化状態であってもよく、SIP14でのラミネーション中またはラミネーション後に必要または利用可能なさらなる架橋を実質的に有さない。いずれの場合でも、EMIシールドフィルムプリフォーム50は、好ましくは、SIP14に適用され、トレンチ44内および外面19の周りのコーティングに積層され得る自立体である。
【0033】
<ラミネート工程>
EMIシールドフィルムプリフォーム50は、単一のラミネートプロセスでSIP14に固定されてもよい。一実施形態では、EMIシールドフィルムプリフォーム50は、絶縁層18の外面19に対して、および任意選択でさらに基板16の側面17に対して真空ラミネートすることができる。真空ラミネーションは、好ましくは、トレンチ44内にコーティングを形成し、絶縁層18の外面19を覆い、任意に基板16の側面17を覆う。SIP14上への真空ラミネートEMIシールドフィルムプリフォーム50の好ましい配置を
図6に示す。
【0034】
プリフォーム50のSIP14へのラミネートは、いくつかの実施形態では、トレンチ44を実質的に満たし、絶縁層18の外面19を覆うことができる。トレンチ44を「実質的に満たす」ために、EMIシールド材料は、絶縁層18内のトレンチ44によって定義されるすべてのボイドスペースを排除するか、またはほぼ排除する。しかしながら、他の実施形態では、
図6Aに示されるように、SIP14上へのプリフォーム50のラミネートは、トレンチ44内にコーティングを形成する。このようなコーティングは、好ましくは、それぞれのコンポーネントモジュール30~32の周りで、金属トレース40とグラウンドプレーン42の導電点の間に連続的なEMIシールド層を形成することによって、それぞれのコンポーネント20a、20bを封入する。ラミネートコーティングは、約1~500μmの間、好ましくは約5~200μmの間、より好ましくは約5~80μmの間の厚さを有することができる。
【0035】
EMIシールドフィルムプリフォーム50を適用する例示的なプロセスは、プリフォーム50を流動可能な状態に加熱することを含む。この目的のために、用語「流動可能な状態」は、1GPa未満の引張弾性率を意味する。いくつかの実施形態では、EMIシールドフィルムプリフォーム50は、流動可能な状態を達成するために少なくとも50℃、好ましくは50から175℃に加熱されてもよい。他の実施形態では、EMIシールドフィルムプリフォーム50は、ラミネーションの前または同時に、周囲の室温または20℃を超えて加熱する必要はなく、その結果、自立プリフォーム50が室温または20℃での真空ラミネートのために十分に流動可能な状態になる。
【0036】
加熱または非加熱EMIシールドフィルムプリフォーム50は、絶縁層18の外面19を含むSIP14に対しておよびトレンチ44内に真空ラミネートされ、トレンチ44内にコーティングおよび絶縁層18の外面19の覆いを形成する。EMIシールドフィルムプリフォーム50はまた、絶縁層18の外面に対して、基板16の側面17、およびトレンチ44にラミネートされて、実質的にトレンチ44を充填するコーティングおよび絶縁層18の外面19および基板16の側面17の覆いを形成する。EMIシールドフィルムプリフォーム50は、グラウンドプレーン42および金属トレース40の一方または両方との電気的接触を確立するようにラミネートされてもよい。EMIシールドフィルムプリフォーム50はまた、SIP14の1つ以上の導電性領域との電気的接触を確立するためにラミネートされてもよい。
【0037】
EMIシールドフィルムプリフォーム50は、プリフォーム50を絶縁層18の外面19に配置し、真空ラミネーターのラミネートチャンバーにアセンブリを配置することを含む真空ラミネートプロセスを通じてSIP14に適用できる。温度は、0~200℃、好ましくは20~175℃、より好ましくは25~75℃に設定され、圧力は、500mmHg未満、好ましくは250mmHg未満、より好ましくは100~200mmHgである。いくつかの実施形態では、そのような温度および圧力条件は、1~10分間維持される。減圧がSIP14のボイド領域内のフィルムプリフォームの下に加えられると、力をフィルムの上面に加えて、フィルムを絶縁層18の外面19およびトレンチ44にプレスする。少なくとも50psi、好ましくは0.1~1.0MPaの押圧力を、SIP14のダイボイド領域に減圧をかけながら、プリフォーム50に対して膨らませる膨張式ブラダーで加えることができる。
図7A~7Bは、ラミネートプロセスにおいてフィルムプリフォーム50に対して膨張し、力を加える膨張式ブラダー92を示す。プレス力および減圧は、絶縁層18の外面19に対しておよびトレンチ44内にプリフォーム50をラミネートするように作用する。
【0038】
プリフォーム50をSIP14上にラミネートすることによって形成されたコーティングは、少なくとも50psiの力で絶縁層18の外面19にプレスされてもよい。そのようなプレス力の適用は、
図7Cに示され、力の矢印「F」によって表される。プレス力「F」は、プレス機構で加えられてもよく、絶縁層18の外面19に対しておよびトレンチ44内にEMIシールドフィルムプリフォーム50をさらにプレスすることができる。プレス力「F」は、真空ラミネータの膨張式ブラダー92、またはプレスアンビル(図示せず)によって供給されてもよい。
【0039】
ラミネートされたEMIシールドフィルムプリフォーム50によって形成されたコーティングは、
図7A~7Cに示されるように、プレス操作の前、同時、その後、または不在下で、適所で硬化され得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、20℃で少なくとも1GPaの引張弾性率まで硬化させることができる。
【0040】
図8は、EMIシールドフィルムでSIPアセンブリを形成するためのフロー図を示す。このプロセスは、ステップ72で基板またはPCBを提供することを含む。ステップ74に示されるように、コンポーネントは基板の表面に取り付けられる。絶縁層は、所望のプロセスを使用してステップ76で形成される。例えば、絶縁層は、成形され、その後、基板の組み立てられた表面に転写されてもよく、または基板の組み立てられた表面の適所に成形されてもよい。当技術分野で知られているように、絶縁層は、射出成形、焼結、マトリックス成形、圧縮成形、押出成形などで形成できる。絶縁層を適所に形成するために、誘電材料は、適所に成形されるか、または堆積プロセスを通じて堆積されてもよい。
【0041】
ステップ78において、コンポーネントモジュールは、輪郭を描く境界に沿って絶縁層内のチャネル/トレンチを切断または切除することによって輪郭を描くことができる。輪郭を描くトレンチ/チャネルの作成に適した切削工具には、レーザー切削工具、鋸引き工具、または機械加工工具が含まれる。
【0042】
次に、ステップ80において、EMIシールドフィルムが、絶縁層の上およびトレンチ/チャネル内にラミネートされる。ラミネートされたEMIシールド層がトレンチ/チャネルをコーティングし、金属トレースとグランドプレーンとの電気的接触を確立して、各コンポーネントモジュールの周囲にEMIシールドを形成する。EMIシールド層は、EMIシールドフィルムプリフォームから形成され、これは、絶縁層の上およびトレンチ/チャネル内の望ましいラミネートを容易にする物理的特性を有する自立フィルムであり得る。
【0043】
<バッチ処理>
いくつかの実施形態では、複数のSIPデバイスは、単一化の前のバッチプロセスで同時にEMIシールドされてもよい。基板に取り付けられ、複数のコンポーネントモジュールに描かれたコンポーネントのアレイ110が
図9に示されている。EMIシールドフィルム150は、真空ラミネーションなどによってアレイ110上に積層されて、トレンチ144をコーティングし、誘電体アレイ118の外面119を覆う。アレイ110上へのEMIシールドフィルム150のラミネートは、SIP14に関して上述したように、単一のラミネーションプロセスで行ってもよい。EMIシールドフィルム150の任意のプレスおよび/または硬化を含むラミネートプロセスに続いて、複数のSIPデバイス114は、カットライン111でアレイ110およびEMIシールドフィルム150を切断することによってアレイ110から個別化され得る。このようにして、複数のSIPデバイス114は、単一のEMIシールドフィルムラミネーションプロセスを含む単一のバッチプロセスで作成され得る。
【0044】
別のバッチプロセスが
図12-15に示され、アレイ210は、PCBなどの基板216に複数のコンポーネントを取り付けることによって形成され、グラウンドプレーン242と、グラウンドプレーン242に導電的に結合された複数の導電性トレース240を有し、組み立てられた表面235の一部を形成する基板216の上面まで延びる。コンポーネントは、誘電体アレイ218に封入されてもよい。
図13に示されるように、アレイ210は、切断線211に沿って様々な切断ツールで切断され、最初にアレイを接着剤286でキャリア284に取り付けられ得るサブアレイデバイス282に分離し得る。サブアレイデバイス282は、キャリア284に配置されている間、隣接するサブアレイデバイス282のそれぞれの向かい合う表面にEMIシールドフィルムを形成できるように十分な間隔「S」でキャリア284に配置され得る。EMIシールドフィルム250は、真空ラミネーションプロセスなどのラミネーションプロセスを通じて
図13に示される配置に適用され、サブアレイデバイス282の露出表面を封入し、いくつかの実施形態では、トレンチ244を実質的に埋める。ラミネート配置を
図14に示す。次に、サブアレイデバイス282は、切断線292でEMIシールドフィルム250を切断し、サブアレイデバイス282をキャリア284との係合から取り除くことによって形成される、複数のEMIシールドSIPに単一化され得る。複数の単一化されたSIP295デバイスを
図15に示す。本発明のSIPデバイスを組み込んだモバイルデバイス300が、
図16に概略的に示される。SIPデバイス302は、ハウジング301に取り付けられ、少なくともプロセッサ304を含む。モバイルデバイス300の他の関連するコンポーネントは、無線データを受信するための受信機306と、無線データを送信するための送信機308とを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、SIPデバイス302はまた、要素312として概略的に示される、メモリデバイス310および複数の受動コンポーネントを含み得る。モバイルデバイス300は、モバイルデバイス300を完全に動作可能にするためにいくつかの他のコンポーネントおよび要素を含み得るが、そのようなコンポーネントおよび要素は、簡単にするために示されていないことを理解されたい。
【0046】
特許法に従い、当業者に新規の原理を適用し、必要に応じて本発明の実施形態を構築および使用するのに必要な情報を提供するために、本発明を本明細書でかなり詳細に説明した。しかし、本発明は、具体的に異なるデバイスによって実行することができ、本発明自体の範囲から逸脱することなく、様々な修正を達成できることを理解されたい。