IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立金属株式会社の特許一覧

特許7334661多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法
<>
  • 特許-多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法 図1
  • 特許-多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法 図2
  • 特許-多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法 図3
  • 特許-多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法 図4
  • 特許-多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法 図5
  • 特許-多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法 図6
  • 特許-多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法 図7
  • 特許-多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20230822BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20230822BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20230822BHJP
   H01R 12/53 20110101ALN20230822BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/10
H02G1/14
H01R12/53
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020057396
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157520
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】揚石 芳丈
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】大越 幹夫
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-091580(JP,A)
【文献】特開2020-087011(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0089898(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
H02G 1/14
H01R 12/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁電線、及び前記複数の絶縁電線を一括して覆うシースを有する多心ケーブルの両端部において、前記複数の絶縁電線をそれぞれ回路基板の対応する電極パターンへと接続する多心ケーブルのアセンブリ方法であって、
前記多心ケーブルの両端部において、前記複数の絶縁電線を平面上に整列配置し、
前記複数の絶縁電線の一端部を一方の前記回路基板の前記電極パターンに接続し、前記複数の絶縁電線の他端部を他方の前記回路基板の対応する前記電極パターンに接続した際における、前記多心ケーブルの一端側及び他端側での前記絶縁電線の交差係数をコンピュータにより求め、かつ、前記複数の絶縁電線の一端部における接続先を変更すると共に、当該変更に伴って前記複数の絶縁電線の他端部における接続先を変更した場合の、前記多心ケーブルの一端側及び他端側での前記交差係数を前記コンピュータにより求めることを繰り返し、
前記多心ケーブルの一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数を示す最大交差係数が小さくなるように、前記複数の絶縁電線の前記電極パターンへの接続先を前記コンピュータにより決定する、
多心ケーブルのアセンブリ方法。
【請求項2】
前記複数の絶縁電線を平面上に整列配置した際の配列順である電線番号Nと、前記電極パターンの配列順である電極番号Eとを基に、全ての前記絶縁電線について|E-N|を足し合わせることにより、前記多心ケーブルの一端側及び他端側での交差係数を求め、
前記多心ケーブルの一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数である最大交差係数が小さくなるように、前記複数の絶縁電線の前記電極パターンへの接続先を前記コンピュータにより決定する、
請求項1に記載の多心ケーブルのアセンブリ方法。
【請求項3】
前記多心ケーブルの一端側での交差係数が最小となる初期状態における最大交差係数を前記コンピュータにより求めた後、
前記多心ケーブルの一端側において、電線番号Nがi番の前記絶縁電線と、電線番号Nが下式
j=i+h (i+h≦nのとき)
j=i+h-n(i+h>nのとき)
但し、h:変数
n:絶縁電線の本数
で示されるj番の前記絶縁電線の接続先を入れ替えた場合の最大交差係数を前記コンピュータにより求め、当該最大交差係数が接続先の入れ替え前と比べて小さい場合に接続先の入れ替えを前記コンピュータにより決定することを順次繰り返す工程を含み、
当該工程を変数hを1から順に大きくしつつ繰り返すことで、前記複数の絶縁電線の接続先を前記コンピュータにより決定する、
請求項2に記載の多心ケーブルのアセンブリ方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、前記工程の前後での最大交差係数の変化率が、予め設定した変化率閾値以下となったとき、そのときの接続先を前記複数の絶縁電線の接続先に決定する、
請求項3に記載の多心ケーブルのアセンブリ方法。
【請求項5】
複数の絶縁電線、及び前記複数の絶縁電線を一括して覆うシースを有する多心ケーブルと、前記多心ケーブルの両端部それぞれに設けられ、前記複数の絶縁電線が接続される電極パターンを有する回路基板と、を有する多心ケーブルアセンブリの製造方法であって、
前記多心ケーブルの両端部において、前記複数の絶縁電線を平面上に整列配置し、
前記複数の絶縁電線の一端部を一方の前記回路基板の前記電極パターンに接続し、前記複数の絶縁電線の他端部を他方の前記回路基板の対応する前記電極パターンに接続した際における、前記多心ケーブルの一端側及び他端側での前記絶縁電線の交差係数をコンピュータにより求め、かつ、前記複数の絶縁電線の一端部における接続先を変更すると共に、当該変更に伴って前記複数の絶縁電線の他端部における接続先を変更した場合の、前記多心ケーブルの一端側及び他端側での前記交差係数を前記コンピュータにより求めることを繰り返し、
前記多心ケーブルの一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数を示す最大交差係数が小さくなるように、前記複数の絶縁電線の前記電極パターンへの接続先を前記コンピュータにより決定する、
多心ケーブルアセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導体上に絶縁体を有する多数の絶縁電線を一括してシースで覆った多心ケーブルが知られている。例えば、医療用のプローブケーブルに用いられる多心ケーブルとして、数十本~数百本の多数の絶縁電線(同軸線等)を有するものも知られている。多心ケーブルの両端には、回路基板がそれぞれ接続され、両回路基板の対応する電極パターン同士が任意の絶縁電線を介して電気的に接続されている。多心ケーブルの両端に回路基板を設けたものを、多心ケーブルアセンブリと呼称している。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-091580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、多心ケーブルの両端部において、複数の絶縁電線を回路基板の電極パターンへと接続する際には、絶縁電線同士に交差が生じる。絶縁電線同士の交差が多くなりすぎると、当該交差部分において硬く屈曲しにくくなってしまい、無理に曲げが加えられた場合に断線が生じやすくなってしまう。保護カバーを設けること等により断線を抑制することは可能であるが、コストが増大してしまうため、また、多芯ケーブルの配線自由度が制限されるため、絶縁電線同士の交差をなるべく少なくし、断線のリスクを低減することが求められる。
【0006】
なお、多心ケーブルの一端部において、交差が少ないように絶縁電線を配列することは可能であるが、一端部において絶縁電線の接続先(電極パターン)が決まると、当該絶縁電線の他端部の接続先も決定されてしまうため、多心ケーブルの他端部において非常に交差が多い接続となってしまうおそれがある。上述の断線のリスクを低減するためには、多心ケーブルの両方の端部において絶縁電線の交差を少なくすることが求められる。
【0007】
そこで、本発明は、多心ケーブルの両方の端部において絶縁電線の交差を少なくすることが可能な多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、複数の絶縁電線、及び前記複数の絶縁電線を一括して覆うシースを有する多心ケーブルの両端部において、前記複数の絶縁電線をそれぞれ回路基板の対応する電極パターンへと接続する多心ケーブルのアセンブリ方法であって、前記多心ケーブルの両端部において、前記複数の絶縁電線を平面上に整列配置し、前記複数の絶縁電線の一端部を一方の前記回路基板の前記電極パターンに接続し、前記複数の絶縁電線の他端部を他方の前記回路基板の対応する前記電極パターンに接続した際における、前記多心ケーブルの一端側及び他端側での前記絶縁電線の交差係数をコンピュータにより求め、かつ、前記複数の絶縁電線の一端部における接続先を変更すると共に、当該変更に伴って前記複数の絶縁電線の他端部における接続先を変更した場合の、前記多心ケーブルの一端側及び他端側での前記交差係数を前記コンピュータにより求めることを繰り返し、前記多心ケーブルの一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数を示す最大交差係数が小さくなるように、前記複数の絶縁電線の前記電極パターンへの接続先を前記コンピュータにより決定する、多心ケーブルのアセンブリ方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、複数の絶縁電線、及び前記複数の絶縁電線を一括して覆うシースを有する多心ケーブルと、前記多心ケーブルの両端部それぞれに設けられ、前記複数の絶縁電線が接続される電極パターンを有する回路基板と、を有する多心ケーブルアセンブリの製造方法であって、前記多心ケーブルの両端部において、前記複数の絶縁電線を平面上に整列配置し、前記複数の絶縁電線の一端部を一方の前記回路基板の前記電極パターンに接続し、前記複数の絶縁電線の他端部を他方の前記回路基板の対応する前記電極パターンに接続した際における、前記多心ケーブルの一端側及び他端側での前記絶縁電線の交差係数をコンピュータにより求め、かつ、前記複数の絶縁電線の一端部における接続先を変更すると共に、当該変更に伴って前記複数の絶縁電線の他端部における接続先を変更した場合の、前記多心ケーブルの一端側及び他端側での前記交差係数を前記コンピュータにより求めることを繰り返し、前記多心ケーブルの一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数を示す最大交差係数が小さくなるように、前記複数の絶縁電線の前記電極パターンへの接続先を前記コンピュータにより決定する、多心ケーブルアセンブリの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多心ケーブルの両方の端部において絶縁電線の交差を少なくすることが可能な多心ケーブルのアセンブリ方法及び多心ケーブルアセンブリの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は、多心ケーブルの長手方向に垂直な断面を模式的に示す断面図、(b)は絶縁電線の長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図2】多心ケーブルアセンブリの概略構成図である。
図3】多心ケーブルアセンブリの製造方法の手順を示すフロー図である。
図4】整列工程を説明する図である。
図5】接続先決定工程のフロー図である。
図6】(a)~(d)は、接続先決定工程を説明する図である。
図7】(a)は交差長の測定を説明する図、(b)は交差係数と交差長との関係を示すグラフ図である。
図8】探索回数に対する最大交差係数kmの変化を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0013】
(多心ケーブル)
図1(a)は、多心ケーブルの長手方向に垂直な断面を模式的に示す断面図、図1(b)は絶縁電線の長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
【0014】
図1(a),(b)に示すように、多心ケーブル1は、複数の絶縁電線2と、複数の絶縁電線2を一括して覆うシース4と、を有している。本実施の形態では、複数の絶縁電線2を撚り合わせ、その周囲を覆うように編組シールドからなるシールド層3を設け、シールド層3の周囲を覆うようにシース4を被覆している。多心ケーブル1は、例えば、医療用のプローブケーブルに用いられるものである。
【0015】
この多心ケーブル1では、絶縁電線2として、内部導体21の外周に、絶縁体22、外部導体23、外皮24を順次設けた同軸線20を用いている。ただし、これに限らず、絶縁電線2は、外部導体23や外皮24を有していないものであってもよい。同軸線20の外径は、例えば0.2mm~0.5mmである。
【0016】
多心ケーブル1における絶縁電線2の数は特に限定するものではないが、本発明は、3本以上の絶縁電線2を有する多心ケーブル1に適用可能である。本実施の形態において、1本の多心ケーブル1に含まれる絶縁電線2の本数は、例えば10本~300本程度である。
【0017】
(多心ケーブルアセンブリ)
図2は、多心ケーブルアセンブリの概略構成図である。図2に示すように多心ケーブルアセンブリ10は、多心ケーブル1と、多心ケーブル1の両端部それぞれに設けられた回路基板11と、を備えている。
【0018】
回路基板11は、例えば、センサ部やコネクタ部等の内部基板である。以下、多心ケーブル1の一端側(図示左側)に設けられる回路基板11を第1回路基板11aと呼称し、多心ケーブル1の他端側(図示右側)に設けられる回路基板11を第2回路基板11bと呼称する。
【0019】
第1及び第2回路基板11a,11bには、多心ケーブル1の絶縁電線2が接続される複数の電極パターン12が整列して設けられている。以下、第1回路基板11aに設けられた電極パターン12を第1電極パターン12aと呼称し、第2回路基板11bに設けられた電極パターン12を第2電極パターン12bと呼称する。第1電極パターン12aと第2電極パターン12とは1対1で対応しており、対応する電極パターン12a,12b同士が、任意の絶縁電線2を介して電気的に接続される。
【0020】
(多心ケーブルアセンブリの製造方法)
図3は、多心ケーブルアセンブリの製造方法の手順を示すフロー図である。図3に示すように、多心ケーブルアセンブリ10を製造する際には、まず、ステップS1にて、整列工程を行う。整列工程では、予め作製した多心ケーブル1の両端部において、端部から所定の長さシース4及びシールド層3を除去して絶縁電線2を露出させ、露出させた絶縁電線2を平面上に整列配置する。このとき、図4に示すように、櫛状の治具等を用いて絶縁電線2の縺れを解き、絶縁電線2同士の交差がなるべく少なくなるように(後述する交差係数が最小となるように)絶縁電線2を平面上(例えば検査台上)に整列配置する。なお、このとき、各絶縁電線2の端末から内部導体21を露出させる処理(端末ストリップ処理)等を行ってもよい。
【0021】
その後、ステップS2にて、対応検査工程を行う。対応検査工程では、絶縁電線2の端部同士の対応関係を検査する。これは、多数の絶縁電線2を有する多心ケーブル1では、外皮24の識別色を全ての絶縁電線2で異ならせることは困難であり、また、多心ケーブル1の内部で絶縁電線2が撚り合わせられているような場合、絶縁電線2の位置関係も一定とならないためである。本実施の形態では、対応検査工程で絶縁電線2の端部同士の対応関係を検査する方法は特に限定するものではなく、例えば、任意の絶縁電線2の一方の端部に検査信号を入力し、他方の端部において各絶縁電線2から出力される電圧を測定する方法等を用いることができる。
【0022】
その後、ステップS3にて、接続先決定工程を行う。接続先決定工程では、多心ケーブル1の両端部において、各絶縁電線2の接続先の電極パターン12を決定する。本実施の形態では、この際に、多心ケーブル1の両端において絶縁電線2同士の交差係数がなるべく小さくなるように、絶縁電線2の接続先の電極パターン12を決定する。接続先決定工程の詳細については、後述する。
【0023】
その後、ステップS4にて、接続工程を行う。接続工程では、ステップS3で決定した接続先の電極パターン12に、それぞれの絶縁電線2を半田等により接続する。以上により、図2の多心ケーブルアセンブリ10が得られる。
【0024】
(接続先決定工程)
図5は、コンピュータによる接続先決定工程のフロー図である。本実施の形態に係る多心ケーブルのアセンブリ方法では、複数の絶縁電線2の一端部を第1回路基板11aの第1電極パターン12aに接続し、複数の絶縁電線2の他端部を第2回路基板11bの対応する第2電極パターン12bに接続した際における、多心ケーブル1の一端側及び他端側での平面視での絶縁電線2の交差係数をコンピュータにより求め、かつ、複数の絶縁電線2の一端部における電極パターン12への接続先を変更して交差係数をコンピュータにより求めることを繰り返す。その上で、多心ケーブル1の一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数を示す最大交差係数が小さくなるように、複数の絶縁電線2の電極パターン12への接続先をコンピュータにより決定する。
【0025】
これにより、例えば多心ケーブルのいずれか一方の端部で交差が多くなるといったことを抑制しつつ、多心ケーブル1の両端部における交差係数を平均的に小さくすることが可能になる。その結果、絶縁電線2の交差部分が硬く屈曲しにくくなり断線が生じやすくなることを抑制することが可能となり、絶縁電線2の断線のリスクを低減することが可能になる。なお、例えば一端側と他端側の交差係数が小さくなるように接続先を決定することも考えられるが、この場合、どちらか一方の端部で交差係数が大きくなってしまうおそれがあり、断線のリスクを十分に低減することは困難である。
【0026】
本実施の形態では、絶縁電線2同士の交差を評価する指標として、交差係数kを用いている。すなわち、本実施の形態に係る多心ケーブルのアセンブリ方法では、コンピュータにより多心ケーブル1の一端側及び他端側の交差係数kのうち、いずれか大きい方の交差係数である最大交差係数kxが小さくなるように、複数の絶縁電線2の電極パターン12への接続先を決定している。以下、接続先決定工程の手順の詳細、及び交差係数の求め方について説明する。また、以下の説明では、第1回路基板11aの第1電極パターン12aに接続する側を一端部、第2回路基板11bの第2電極パターン12bに接続する側を他端部とする。
【0027】
図5に示すように、まず、ステップS301にて、変数hに初期値0(ゼロ)を設定する。その後、ステップS302にて、初期状態(多心ケーブル1の一端部での交差係数が最小となる状態)における多心ケーブル1の一端部での絶縁電線2と電極パターン12との接続状態を表す行列Uをコンピュータに入力する。図3に示すステップS2で求められた絶縁電線2の一方の端部と他方の端部との対応関係を表す行列Sをコンピュータに入力する。絶縁電線2の一端部が接続される第1電極パターン12aと他端部が接続される第2電極パターン12bの対応関係を表す行列Tをコンピュータに入力する。この行列U、行列S及び行列Tを基に、多心ケーブル1の他端部での絶縁電線2と電極パターン12との接続状態を表す行列V(=TUS-1)をコンピュータにより算出する。
【0028】
一例として、図6(a)に示すように、3本の絶縁電線2を有する多心ケーブル1を用い、多心ケーブル1の両端部にて3つの電極パターン12を有する回路基板11に接続する場合について説明する。図3のステップS1における整列工程で複数の絶縁電線2を平面上に整列配置した際の配列順を電線番号Nとし、電極パターン12の配列順を電極番号Eとする。電線番号N及び電極番号Eは、その配列方向の一方から他方にかけて(図示上側から下側にかけて)昇順に付される。ここでは、第1及び第2配線パターン12a,12bは、同じ電極番号同士のものが対応しており、多心ケーブル1の一端側における電線番号N=1,2,3の絶縁電線2の端部が、他端側における電線番号N=3,1,2の絶縁電線2の端部に対応しているとする。なお、絶縁電線2の両端部の対応関係は、図3のステップS2における対応検査工程で検査される。
【0029】
図6(a)の例では、一端部にて電線番号1~3の絶縁電線2を電極番号1~3の第1電極パターン12aにそれぞれ接続すると交差係数が最小となる。これに対応するように、同じ電極番号Eの電極パターン12同士が接続されるように、他端部における絶縁電線2の接続先を求める。
【0030】
図6(a)の例では、多心ケーブル1の一端側の行列U、及び他端部の行列Vは、[数1]で表すことができる。なお、図示の例では、行列Sの逆行列S-1、及び行列Tは、[数2]で表すことができる。
【数1】
【数2】
これら行列U,Vを用い、電線番号Nの行列及び電極番号Eの行列を[数3]
【数3】
とすると、下式
E=U×N
E=V×N
より、多心ケーブル1の一端部及び他端部での絶縁電線2と電極パターン12との接続状態(すなわち、接続されている電線番号Nと電極番号Eとの対応関係)を知ることが出来る。
【0031】
その後、ステップS303にて、初期状態での最大交差係数kxを求める。以下、多心ケーブル1の一端側での交差係数kをka、他端側での交差係数kをkbとする。ステップS303では、まず、多心ケーブル1の両端部における交差係数k(ka,kb)を求める。交差係数kは、全ての絶縁電線2について|E-N|を足し合わせることにより求めることができる。すなわち、交差係数kは、下式
k=Σ(|E-N|)
により求めることができる。図6(a)の例では、一端部における交差係数kaは、下式より0となる。
ka=|1-1|+|2-2|+|3-3|=0
また、他端部における交差係数kbは、下式より4となる。
kb=|1-3|+|2-1|+|3-2|=4
その後、求めた初期状態における交差係数ka,kbのうち、いずれか大きい方を最大交差係数kxとして記憶する。図6(a)の例では、kx=kb=4となる。
【0032】
その後、ステップS304にて、最大交差係数kxの最小値を表すkmに初期値としてkxを代入する。その後、ステップS305にて、hをインクリメントし、ステップS306にて、変数iに1を代入する。
【0033】
その後、ステップS307にて、i+hが絶縁電線2の本数n以下かを判定する。ステップS307にてYESと判定された場合、ステップS308にて、変数jにi+hを代入し、ステップS310に進む。ステップS307にてNOと判定された場合、ステップS309にて変数jにi+h-nを代入し、ステップS310に進む。
【0034】
ステップS310では、行列Uのi行とj行を交換した行列U’を求める。つまり、電線番号Nがi番の絶縁電線2と電線番号Nがj番の絶縁電線2の接続先を入れ替えた場合の行列U’を求める。その後、ステップS311にて、行列U’に対応する行列Vを算出する。具体的には、i=1、j=2(h=1)である場合、図6(b)に示すように、多心ケーブル1の一端部において、電線番号1の接続先を電極番号2に、電線番号2の接続先を電極番号1に入れ替えることとなり、これに対応して、多心ケーブル1の他端部において、電線番号3の接続先を電極番号2に、電線番号1の接続先を電極番号1に、電線番号2の接続先を電極番号3に入れ替えることになる。これにより、行列U’、Vは、[数4]のようになる。
【数4】
【0035】
その後、ステップS312にて、行列U’、Vの状態での交差係数ka,kbを求め、最大交差係数kxを求める。図6(b)の場合、交差係数kaは下式より2となる。
ka=|1-2|+|2-1|+|3-3|=2
同様に、交差係数kbは下式より2となる。
kb=|1-1|+|2-3|+|3-2|=2
よって、最大交差係数kxは、kx=ka=kb=2となる。
【0036】
その後、ステップS313にて、変数iが1であるかを判定する。ステップS313にてYESと判定された場合、ステップS314にて、変数km1に現状のkm(最大交差係数kxの最小値)を代入し、ステップS315に進む。変数km1は、後述するステップS321にて、最大交差係数kxの変化率を求める際に用いられるステップS313にてNOと判定された場合、ステップS314をスキップしてステップS315に進む。
【0037】
ステップS315では、ステップS312で算出した最大交差係数kxが、現状のkm(最大交差係数kxの最小値)より小さいかを判定する。ステップS315でYESと判定された場合、ステップS316にてkmにkxを代入して最小値を更新すると共に、ステップS317にて行列U’を行列Uに代入して接続先を更新する。つまり、一端部での接続先の入れ替えを決定する。以降の処理においては、接続先を更新した状態から接続先の入れ替えを実行することになる。図6(b)の例では、km=4、kx=2であるから、kmが2に更新され、図6(b)の状態に接続先の入れ替えが決定される。その後、ステップS318に進む。ステップS315にてNOと判定された場合、kmの値や行列Uの更新は行わずに、ステップS318に進む。この場合、ステップS310での接続先の入れ替え(行列U’)は反映されず、ステップS310での接続先の入れ替え前の状態が維持された状態となる。
【0038】
ステップS318では、変数iが絶縁電線2の本数n以上であるかを判定する。ステップS318にてNOと判定された場合、ステップS319にてiをインクリメントした後、ステップS307に戻る。2回目のステップS307以降のループでは、i=2、j=3となり、ステップS310にて、現状の行列Uにおいて2行目と3行目を交換した行列U’を作成する。この際の接続状態は図6(c)のようになり、行列U’及びそれに対応した行列Vは、[数5]のようになる。
【数5】
この際にステップS312で求められる最大交差係数kxは4となり、現状のkm=2以上となるため、kmや行列Uの更新は行われないことなる。
【0039】
その後、3回目のステップS307以降のループではi=3、j=1となり、ステップS310にて、現状の行列Uにおいて3行目と1行目を交換した行列U’を作成する。この際の接続状態は図6(c)のようになり、行列U’及びそれに対応した行列Vは、[数6]のようになる。
【数6】
この際にステップS312で求められる最大交差係数kxは4となり、現状のkm=2以上となるため、kmや行列Uの更新は行われないことなる。
【0040】
ステップS318にてYESと判定された場合、ステップS320にて、変数km2に現状のkm(最大交差係数kxの最小値)を代入する。その後、ステップS321にて、下式
dk=(km1-km2)/n
により最大交差係数kxの変化率dkを求め、ステップS322にて、得られた変化率dkが予め設定した変化率閾値kt以下であるか判定する。ステップS322にてNOと判定された場合、ステップS305に戻り、変数hをインクリメントしてステップS306~S322を繰り返す。ステップS322にてYESと判定された場合、すなわち変化率dkが予め設定した変化率閾値kt以下となった場合、その時点の接続先を最終的な複数の絶縁電線2の接続先の電極パターン12に決定し、リターンする(図3のステップS4に進む)。なお、ステップS321及びS322は、つまりは最大交差係数kxの収束を判定するステップとなっている。上記の演算を繰り返すと、交差係数kmはある値に収束してそれ以上は低下しなくなる傾向を示すため、交差係数kmが収束したと判断されれば、その時点での接続先(両端部において絶縁電線2を接続する電極パターン12)を最終的な接続先として決定する。
【0041】
このように、本実施の形態では、多心ケーブル1の一端側において、電線番号Nがi番の絶縁電線2と、電線番号Nが下式
j=i+h (i+h≦nのとき)
j=i+h-n(i+h>nのとき)
但し、h:変数
n:絶縁電線2の本数
で示されるj番の絶縁電線2の接続先の電極パターン12を入れ替えた際の最大交差係数kxを求め、当該最大交差係数kxが接続先の入れ替え前と比べて小さい場合に接続先の入れ替えを決定することを順次繰り返す工程(ステップS307~S318のループ)を含んでおり、当該工程を変数hを1から順に大きくしつつ繰り返すことで、複数の絶縁電線2の接続先の電極パターン12を決定している。
【0042】
また、本実施の形態では、上述の工程(ステップS307~S318のループ)の前後での最大交差係数kxの変化率dkが、予め設定した変化率閾値kt以下となったとき、そのときの接続先を複数の絶縁電線2の接続先の電極パターン12に決定している。
【0043】
(交差係数kを小さくすることによる効果の検証)
図7(a)に示すように、絶縁電線2を通す複数の穴を有する治具31を用いて、治具31の穴に絶縁電線2を通し、治具31を通過した絶縁電線2を固定治具32により固定した状態とし、かつ、治具31にワイヤ33を介して接続されたテンションメータ34により治具30を基端側(シース4側)に荷重が1kgとなるように引っ張った状態において、シース4の端部から治具30までの距離である交差長の測定を行った。絶縁電線2の本数は128本とし、交差係数kを異ならせて交差長の測定を行った。測定結果を図7(b)に示す。
【0044】
図7(b)に示すように、交差係数kが小さくなるほど交差長は短くなっており、交差係数kを小さくすることにより絶縁電線2同士の交差を抑制できていることが確認された。なお、交差係数kと交差長の相関係数は0.9であった。
【0045】
(ランダム探索との比較)
本実施の形態では、上述のように、多心ケーブル1の一端側での交差係数kが最小となる初期状態における最大交差係数kxを求めた後、多心ケーブル1の一端側において、任意の絶縁電線2と当該絶縁電線2と電線番号が変数hだけ異なる絶縁電線2の接続先の電極パターン12を入れ替えた際の最大交差係数kxを求め、当該最大交差係数kxが接続先の入れ替え前と比べて小さい場合に接続先の入れ替えを決定することを順次繰り返す工程を含み、当該工程を変数hを1から順に大きくしつつ繰り返すことで、複数の絶縁電線2の接続先の電極パターン12を決定している。これにより、より少ない探索回数で、最大交差係数kxを小さくすることが可能になる。なお、探索回数は、最大交差係数kxを求めた回数とする。
【0046】
ただし、これに限らず、例えば、一端側での接続先をランダムに決定し、最大交差係数kxを求めることを繰り返し、より小さい最大交差係数kxとなるように絶縁電線2の接続先を決定することも可能である。以下、この探索方法をランダム探索と呼称する。
【0047】
図5のフロー図により接続先を決定する本実施の形態による実施例1と、ランダム探索によって接続先を決定する実施例2~4について、探索回数に対する最大交差係数kxの変化を調べた。絶縁電線2の本数nは128本とした。結果を図8に示す。
【0048】
図8に示すように、ランダム探索を用いた実施例2~4では、探索回数が増えても最大交差係数kxの低下が少なく、絶縁電線2の交差を少なくするためには非常に多くの探索回数を要することが分かる。これに対して、本実施の形態による実施例1では、探索回数が増えるにつれて最大交差係数kxが急激に低下しており、少ない探索回数で絶縁電線2の交差を少なくできることが分かる。
【0049】
また、図8より、実施例1では、探索回数が増えると徐々に最大交差係数kxの値が収束して変化率が少なくなっていることが分かる。よって、探索回数に対する最大交差係数kxの変化率dkが、予め設定した変化率閾値kt以下となったとき、そのときの接続先を複数の絶縁電線2の接続先の電極パターン12に決定することで、無駄な探索を省きより効率的に絶縁電線2の交差を少なくできることが分かる。
【0050】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る多心ケーブルのアセンブリ方法では、多心ケーブル1の両端部において、複数の絶縁電線2を平面上に整列配置し、複数の絶縁電線2の一端部を一方の回路基板11の電極パターン12に接続し、複数の絶縁電線2の他端部を他方の回路基板11の対応する電極パターン12に接続した際における、多心ケーブル1の一端側及び他端側での絶縁電線2の交差係数を求め、かつ、複数の絶縁電線2の一端部における接続先の電極パターン12を変更して交差係数を求めることを繰り返し、多心ケーブル1の一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数を示す最大交差係数が小さくなるように、複数の絶縁電線2の電極パターンへの接続先を決定している。
【0051】
これにより、多心ケーブル1のいずれか一方の端部で交差が多くなるといったことを抑制しつつ、多心ケーブル1の両端部における交差係数を平均的に小さくすることが可能になる。その結果、絶縁電線2の交差部分が硬く屈曲しにくくなり断線が生じやすくなることを抑制することが可能となり、絶縁電線2の断線のリスクを低減することが可能になる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、多心ケーブル1の両端部における交差係数を平均的に小さくすることが可能になるため、多心ケーブル1の両端部における交差が少ない多心ケーブルアセンブリ10を再現性よく製造することが可能になり、製品毎のばらつきを抑えて安定して多心ケーブルアセンブリ10を製造することが可能になる。
【0053】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0054】
[1]複数の絶縁電線(2)、及び前記複数の絶縁電線(2)を一括して覆うシース(4)を有する多心ケーブル(1)の両端部において、前記複数の絶縁電線(2)をそれぞれ回路基板(11)の対応する電極パターン(12)へと接続する多心ケーブルのアセンブリ方法であって、前記多心ケーブル(1)の両端部において、前記複数の絶縁電線(2)を平面上に整列配置し、前記複数の絶縁電線(2)の一端部を一方の前記回路基板(11)の前記電極パターン(12)に接続し、前記複数の絶縁電線(2)の他端部を他方の前記回路基板(11)の対応する前記電極パターン(12)に接続した際における、前記多心ケーブル(1)の一端側及び他端側での前記絶縁電線の交差係数をコンピュータにより求め、かつ、前記複数の絶縁電線(2)の一端部における接続先を変更すると共に、当該変更に伴って前記複数の絶縁電線(2)の他端部における接続先を変更して、前記多心ケーブル(1)の一端側及び他端側での前記交差係数を前記コンピュータにより求めることを繰り返し、前記多心ケーブル(1)の一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数を示す最大交差係数が小さくなるように、前記複数の絶縁電線(2)の前記電極パターン(12)への接続先を前記コンピュータにより決定する、多心ケーブルのアセンブリ方法。
【0055】
[2]前記複数の絶縁電線(2)を平面上に整列配置した際の配列順である電線番号Nと、前記電極パターン(12)の配列順である電極番号Eとを基に、全ての前記絶縁電線(2)について|E-N|を足し合わせることにより、前記多心ケーブル(1)の一端側及び他端側での交差係数を求め、前記多心ケーブル(1)の一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数である最大交差係数が小さくなるように、前記複数の絶縁電線(2)の前記電極パターン(12)への接続先を前記コンピュータにより決定する、[1]に記載の多心ケーブルのアセンブリ方法。
【0056】
[3]前記多心ケーブル(1)の一端側での交差係数が最小となる初期状態における最大交差係数を前記コンピュータにより求めた後、前記多心ケーブル(1)の一端側において、電線番号Nがi番の前記絶縁電線(2)と、電線番号Nが下式
j=i+h (i+h≦nのとき)
j=i+h-n(i+h>nのとき)
但し、h:変数
n:絶縁電線の本数
で示されるj番の前記絶縁電線(2)の接続先を入れ替えた場合の最大交差係数を前記コンピュータにより求め、当該最大交差係数が接続先の入れ替え前と比べて小さい場合に接続先の入れ替えを前記コンピュータにより決定することを順次繰り返す工程を含み、当該工程を変数hを1から順に大きくしつつ繰り返すことで、前記複数の絶縁電線(2)の接続先を前記コンピュータにより決定する、[2]に記載の多心ケーブルのアセンブリ方法。
【0057】
[4]前記コンピュータは、前記工程の前後での最大交差係数の変化率が、予め設定した変化率閾値以下となったとき、そのときの接続先を前記複数の絶縁電線(2)の接続先に決定する、[3]に記載の多心ケーブルのアセンブリ方法。
【0058】
[5]複数の絶縁電線(2)、及び前記複数の絶縁電線(2)を一括して覆うシース(4)を有する多心ケーブル(1)と、前記多心ケーブル(1)の両端部それぞれに設けられ、前記複数の絶縁電線(2)が接続される電極パターン(12)を有する回路基板(11)と、を有する多心ケーブルアセンブリ(10)の製造方法であって、前記多心ケーブル(1)の両端部において、前記複数の絶縁電線(2)を平面上に整列配置し、前記複数の絶縁電線(2)の一端部を一方の前記回路基板(11)の前記電極パターン(12)に接続し、前記複数の絶縁電線(2)の他端部を他方の前記回路基板(11)の対応する前記電極パターン(12)に接続した際における、前記多心ケーブル(1)の一端側及び他端側での前記絶縁電線(2)の交差係数を前記コンピュータにより求め、かつ、前記複数の絶縁電線(2)の一端部における接続先を変更すると共に、当該変更に伴って前記複数の絶縁電線(2)の他端部における接続先を変更して、前記多心ケーブル(1)の一端側及び他端側での前記交差係数を前記コンピュータにより求めることを繰り返し、前記多心ケーブル(1)の一端側及び他端側の交差係数のうち、いずれか大きい方の交差係数を示す最大交差係数が小さくなるように、前記複数の絶縁電線(2)の前記電極パターン(12)への接続先を前記コンピュータにより決定する、多心ケーブルアセンブリの製造方法。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…多心ケーブル
2…絶縁電線
3…シールド層
4…シース
10…多心ケーブルアセンブリ
11…回路基板
12…電極パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8