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特許7334886新規な化合物およびこれを利用した有機発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】新規な化合物およびこれを利用した有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/61 20060101AFI20230822BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230822BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20230822BHJP
【FI】
C07C211/61 CSP
H05B33/14 A
H05B33/22 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021564601
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 KR2020009556
(87)【国際公開番号】W WO2021015522
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0089701
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェスン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ジェチョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥファン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】スンキョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョナ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンフイ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・スク・ジュン
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/159937(WO,A1)
【文献】特許第7004804(JP,B2)
【文献】特許第7106193(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0132562(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0093995(KR,A)
【文献】特表2015-511215(JP,A)
【文献】国際公開第2017/100967(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 211/61
H10K 50/10
H10K 50/15
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記[化学式1]で表される化合物:
【化1】
前記[化学式1]中、
Lは、置換または非置換の炭素数6~60のアリーレン;または置換または非置換のN、OおよびSで構成される群より選択されるいずれか一つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60のヘテロアリーレンであり、
およびLはそれぞれ独立して、単結合であり、
およびXはそれぞれ独立して、-L’’-R’’であり、
L’’は単結合であり、
R’’は、下記で構成される群より選択されるいずれか一つであり、
【化2】
R’~R’およびR’’~R’’はそれぞれ独立して、水素、重水素;置換または非置換の炭素数1~60のアルキル;置換または非置換の炭素数1~60のアルコキシ;置換または非置換の炭素数6~60のアリール;またはN、OおよびSで構成される群より選択されるいずれか一つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60のヘテロアリールであり、
n1~n3およびm1~m3はそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、下記化学式2で表される置換基であり、
【化3】
前記[化学式2]中、
はそれぞれ独立して、ハロゲンであり、
はそれぞれ独立して、水素;重水素;または炭素数1~10のアルキルであり、
nは1~5の整数であり、mは0または1であり、但し、n+mは5以下である。
【請求項2】
Lは、フェニレン、ビフェニルジイル、またはスピロビフルオレンジイルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Lは、下記で構成される群より選択されるいずれか一つである、請求項1に記載の化合物:
【化4】
【請求項4】
はフルオロである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
は水素;重水素;またはメチルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
ArおよびArはそれぞれ独立して、下記で構成される群より選択されるいずれか一つである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物:
【化5】
【請求項7】
R’およびR’’はそれぞれ独立して、水素またはメチルであり、
n1およびm1はそれぞれ独立して、0~2の整数である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R’、R’、R’’およびR’’は水素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記[化学式1]で表される化合物は、下記で構成される群より選択されるいずれか一つである、請求項1に記載の化合物:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【請求項10】
第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層と、を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物の硬化物を含む、有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年7月24日付の韓国特許出願第10-2019-0089701号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、新規な化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、有機発光現象とは、有機物質を利用して電気エネルギーを光エネルギーに転換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機発光素子は、広い視野角、優れたコントラスト、速い応答時間を有し、輝度、駆動電圧および応答速度特性に優れており、多くの研究が進められている。
【0004】
有機発光素子は、一般的に正極と負極および前記正極と負極との間に有機物層を含む構造を有する。前記有機物層は、有機発光素子の効率と安全性を高めるために、それぞれ異なる物質から構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなる。このような有機発光素子の構造において、2つの電極の間に電圧をかけると、正極からは正孔が、負極からは電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子が接した時、エキシトン(exciton)が形成され、このエキシトンが再び基底状態に落ちる時、光が出るようになる。
【0005】
このような有機発光素子に使用される有機物に対して新たな材料の開発が要求され続けている。
【0006】
一方、最近では工程費用の節減のために既存の蒸着工程の代わりに溶液工程、特にインクジェット工程を利用した有機発光素子が開発されている。草創期にはすべての有機発光素子層を溶液工程でコーティングして有機発光素子を開発しようとしたが、現在の技術では限界があり、順構造形態でHIL(正孔注入層)、HTL(正孔輸送層)、EML(発光層)のみを溶液工程で行い、その後の工程は、既存の蒸着工程を活用するハイブリッド(hybrid)工程が研究中である。
【0007】
そこで本発明では、有機発光素子に用いられ、かつ溶液工程に使用可能な新規な有機発光素子の素材を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国特許公開第10-2000-0051826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、新規な化合物およびこれを含む有機発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記化学式1で表される化合物を提供する:
【化1】
前記化学式1中、
Lは、置換または非置換の炭素数6~60のアリーレン;または置換または非置換のN、OおよびSで構成される群より選択されるいずれか一つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60のヘテロアリーレンであり、
およびLはそれぞれ独立して、単結合;またはメチレンであり、
およびXはそれぞれ独立して、光硬化性基;または熱硬化性基であり、
R’~R’およびR’’~R’’はそれぞれ独立して、水素、重水素;置換または非置換の炭素数1~60のアルキル;置換または非置換の炭素数1~60のアルコキシ;置換または非置換の炭素数6~60のアリール;またはN、OおよびSで構成される群より選択されるいずれか一つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60のヘテロアリールであり、
n1~n3およびm1~m3はそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、下記化学式2で表される置換基であり、
【化2】
前記化学式2中、
はそれぞれ独立して、ハロゲンであり、
はそれぞれ独立して、水素;重水素;または炭素数1~10のアルキルであり、
nは1~5の整数であり、mは0または1であり、但し、n+mは5以下である。
【0011】
また、本発明は、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層と、を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化合物の硬化物を含む、有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0012】
上述した化学式1で表される化合物は、有機発光素子の有機物層の材料として用いられ、また、溶液工程に使用可能であり、有機発光素子で効率の向上、低い駆動電圧および/または寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】基板1、正極2、発光層3、および負極4からなる有機発光素子の例を示す図である。
図2】基板1、正極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層7、電子注入および輸送層8および負極4からなる有機発光素子の例を示す図である。
図3】本発明の実施例で製造された化合物のNMRデータを示す図である。
図4】本発明の実施例で製造された化合物のNMRデータを示す図である。
図5】本発明の実施例で製造された化合物のNMRデータを示す図である。
図6】本発明の実施例で製造された化合物のNMRデータを示す図である。
図7】本発明の実施例で製造された化合物のNMRデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の理解を助けるためにより詳しく説明する。
【0015】
(用語の定義)
本明細書において、
【化3】
は、他の置換基に連結される結合を意味する。
【0016】
本明細書において、「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミノ基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルキルアミン基;アラルキルアミン基;ヘテロアリールアミン基;アリールアミン基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうちの1個以上を含むヘテロアリールからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されているかまたは非置換であり、前記例示された置換基のうちの2以上の置換基が連結された置換基で置換されているかまたは非置換であることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0017】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~40であることが好ましい。具体的には、下記のような構造の化合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【化4】
【0018】
本明細書において、エステル基は、エステル基の酸素が炭素数1~25の直鎖、分枝鎖もしくは環鎖アルキル基、または炭素数6~25のアリール基で置換されていてもよい。具体的には、下記構造式の化合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【化5】
【0019】
本明細書において、イミド基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~25であることが好ましい。具体的には、下記のような構造の化合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【化6】
【0020】
本明細書において、シリル基は、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、ホウ素基は、具体的には、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素がある。
【0023】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~40であることが好ましい。一実施形態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。さらに一つの実施形態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。さらに一つの実施形態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~6である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本明細書において、前記アルケニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~40であることが好ましい。一実施形態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~20である。さらに一つの実施形態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。さらに一つの実施形態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~6である。具体的な例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~60であることが好ましく、一実施形態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。さらに一つの実施形態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。さらに一つの実施形態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~6である。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、炭素数6~60であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。一実施形態によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施形態によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などであってもよいが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、フルオレニル基は置換されていてもよく、置換基2個が互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。前記フルオレニル基が置換される場合、
【化7】
などであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、ヘテロアリールは、異種元素としてO、N、SiおよびSのうちの1個以上を含むヘテロアリールであって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60であることが好ましい。ヘテロアリールの例としては、キサンテン(xanthene)、チオキサンテン(thioxanthen)、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、アクリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリル基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、アラルキル基、アラルケニル基、アルキルアリール基、アリールアミン基、アリールシリル基中のアリール基は、上述したアリール基に関する説明が適用可能である。本明細書において、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアミン基中のアルキル基は、上述したアルキル基に関する説明が適用可能である。本明細書において、ヘテロアリールアミン中のヘテロアリールは、上述したヘテロアリールに関する説明が適用可能である。本明細書において、アラルケニル基中のアルケニル基は、上述したアルケニル基に関する説明が適用可能である。本明細書において、アリーレンは、2価の基であることを除けば、上述したアリール基に関する説明が適用可能である。
【0030】
本明細書において、ヘテロアリーレンは、2価の基であることを除けば、上述したヘテロアリールに関する説明が適用可能である。
【0031】
本明細書において、炭化水素環は1価の基ではなく、2個の置換基が結合して形成したことを除けば、上述したアリール基またはシクロアルキル基に関する説明が適用可能である。
【0032】
本明細書において、ヘテロ環は1価の基ではなく、2個の置換基が結合して形成したことを除けば、上述したヘテロアリールに関する説明が適用可能である。
【0033】
(化合物)
本発明は、前記化学式1で表される化合物を提供する。
【0034】
好ましくは、Lはフェニレン、ビフェニルジイル、またはスピロビフルオレンジイルである。より好ましくは、Lは下記で構成される群より選択されるいずれか一つである:
【化8】
【0035】
好ましくは、LおよびLは単結合である。
【0036】
好ましくは、Rはフルオロである。
【0037】
好ましくは、Rは水素;重水素;またはメチルである。
【0038】
好ましくは、ArおよびArはそれぞれ独立して、下記で表される置換基である:
【化9】
前記中、
は炭素数1~10のアルキル;またはハロゲンであり、
は水素;重水素;炭素数1~10のアルキル;またはハロゲンであり、
但し、RおよびRのうちの少なくとも一つはハロゲンである。
好ましくは、ArおよびArはそれぞれ独立して、下記で構成される群より選択されるいずれか一つである:
【化10】
【0039】
好ましくは、ArおよびArは互いに同一である。
【0040】
好ましくは、XおよびXはそれぞれ独立して、-L’’-R’’であり、L’’は単結合、-O-、-S-、-CH-、-CHO-、-OCH-、または-CHOCH-であり、R’’は、下記で構成される群より選択されるいずれか一つである:
【化11】
【0041】
好ましくは、R’およびR’’はそれぞれ独立して、水素またはメチルであり、n1およびm1はそれぞれ独立して、0~2の整数である。また好ましくは、R’およびR’’は互いに同一である。
【0042】
好ましくは、R’、R’、R’’およびR’’は水素である。
【0043】
前記化学式1で表される化合物の代表的な例は下記の通りである:
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
【化16】
【0049】
【化17】
【0050】
【化18】
【0051】
一方、本発明は、一例として、下記反応式1のような前記化学式1で表される化合物の製造方法を提供する:
【化19】
【0052】
前記反応式1中、Xを除いた残りの置換基の定義は上記で定義した通りであり、Xはハロゲンであり、より好ましくは塩素、または臭素である。
【0053】
前記反応式1で最終化合物が左右対称構造を有する場合には段階2(Step 2)を省略することができる。前記段階1(Step 1)および段階2(Step 2)の反応はアミン置換反応であって、パラジウム触媒と塩基の存在下で行うことが好ましく、アミン置換反応のための反応基は当業界で公知のものによって変更可能である。前記製造方法は、後述する製造例でさらに具体化される。
【0054】
(コーティング組成物)
本発明に係る化合物は、溶液工程で有機発光素子の有機物層、特に正孔輸送層を形成することができる。そのため、本発明は上述した本発明に係る化合物および溶媒を含むコーティング組成物を提供する。
【0055】
前記溶媒は、本発明に係る化合物を溶解または分散させることができる溶媒であれば特に限定されず、一例として、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2-ヘキサンジオールなどの多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;およびN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;ブチルベンゾエート、メチル-2-メトキシベンゾエートなどのベンゾエート系溶媒;テトラリン;3-フェノキシ-トルエンなどの溶媒が挙げられる。また、上述した溶媒を1種単独でまたは2種以上の溶媒を混合して使用することができる。
【0056】
また、前記コーティング組成物の粘度は1cP~10cPが好ましく、上記の範囲でコーティングが容易である。また、前記コーティング組成物内の本発明に係る高分子の濃度は0.1wt/v%~20wt/v%であることが好ましい。
【0057】
また、前記コーティング組成物は、熱重合開始剤および光重合開始剤からなる群より選択される1種または2種以上の添加剤をさらに含み得る。
【0058】
前記熱重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、およびアゾビスシクロヘキシルニトリルなどのアゾ系があるが、これらに限定されない。
【0059】
前記光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1,2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-2-モルホリノ(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ベンゾイルナフタレン、4-ベンゾイルビフェニル、4-ベンゾイルフェニルエーテルなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;およびエチルアントラキノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドなどのその他光重合開始剤があるが、これらに限定されない。
【0060】
また、光重合促進効果を有するものを単独または前記光重合開始剤と併用して使用することもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2-ジメチルアミノ)エチル、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノンなどがあるが、これらに限定されない。
【0061】
また、本発明は、上述したコーティング組成物を使用して正孔輸送層を形成する方法を提供する。具体的には、正極上に、または正極上に形成された正孔注入層上に、上述した本発明に係るコーティング組成物を溶液工程でコーティングする段階と、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理する段階と、を含む。
【0062】
前記溶液工程は、上述した本発明に係るコーティング組成物を使用するもので、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらにのみ限定されるものではない。
【0063】
前記熱処理段階で熱処理温度は150~230℃が好ましい。また、前記熱処理時間は1分~3時間であり、より好ましくは10分~1時間である。また、前記熱処理は、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。また、前記コーティング段階と前記熱処理または光処理段階の間に溶媒を蒸発させる段階をさらに含み得る。
【0064】
(有機発光素子)
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物の硬化物を含む有機発光素子を提供する。
【0065】
一例として、本発明は、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層と、を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、本発明に係る化合物の硬化物を含む、有機発光素子を提供する。
【0066】
また、本発明に係る有機発光素子は、基板上に、正極、1層以上の有機物層、および負極が順次積層された構造(normal type)の有機発光素子であり得る。また、本発明に係る有機発光素子は、基板上に、負極、1層以上の有機物層、および正極が順次積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であり得る。例えば、本発明の一実施形態による有機発光素子の構造は、図1および図2に示されている。
【0067】
図1は、基板1、正極2、発光層3、および負極4からなる有機発光素子の例を示す図である。この構造において、前記化学式1で表される化合物は、前記発光層に含まれ得る。
【0068】
図2は、基板1、正極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層7、電子注入および輸送層8、および負極4からなる有機発光素子の例を示す図である。この構造において、前記化学式1で表される化合物は、前記正孔注入層、正孔輸送層、または発光層に含まれ得る。
【0069】
本発明に係る有機発光素子は、本発明に係る化合物を使用することを除けば、当該技術分野で知られている材料および方法で製造することができる。
【0070】
例えば、本発明に係る有機発光素子は、基板上に、正極、有機物層、および負極を順次積層させて製造することができる。この時、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(e-beam evaporation)などのPVD(physical Vapor Deposition)方法を用いて、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させて正極を形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上に負極として用いられる物質を蒸着させて製造することができる。
【0071】
この方法以外にも、基板上に、負極物質から有機物層、正極物質を順に蒸着させて有機発光素子を製造することができる(国際公開第2003/012890号)。但し、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0072】
一例として、前記第1電極は正極であり、前記第2電極は負極であるか、または、前記第1電極は負極であり、前記第2電極は正極である。
【0073】
前記正極物質としては、通常有機物層への正孔注入が円滑となるように仕事関数の大きい物質が好ましい。前記正極物質の具体的な例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSNO:Sbなどの金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンなどの導電性化合物などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0074】
前記負極物質としては、通常有機物層への電子注入が容易となるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。前記負極物質の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛などの金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alなどの多層構造物質などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0075】
前記正孔注入層は電極から正孔を注入する層で、正孔注入物質としては、正孔を輸送する能力を有し、正極からの正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成された励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、また、薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)が正極物質の仕事関数と周辺有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体的な例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の導電性化合物などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0076】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層で、正孔輸送物質としては、正極や正孔注入層から正孔輸送を受けて発光層に移し得る物質で、正孔に対する移動性の大きい物質が好適である。具体的な例としては、アリールアミン系の有機物、導電性化合物、および共役部分と非共役部分が共にあるブロック共重合体などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0077】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含むことができる。ホスト材料は、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などがある。具体的には、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0078】
ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などがある。具体的には、芳香族アミン誘導体としては、置換または非置換のアリールアミノ基を有する縮合芳香族環誘導体であって、アリールアミノ基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどがあり、スチリルアミン化合物としては、置換または非置換のアリールアミンに少なくとも1個のアリールビニル基が置換されている化合物で、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基、およびアリールアミノ基からなる群より1または2以上選択される置換基が置換しているかまたは非置換である。具体的には、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどがあるが、これらに限定されない。また、金属錯体としては、イリジウム錯体、白金錯体などがあるが、これらに限定されない。
【0079】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取って発光層まで電子を輸送する層で、電子輸送物質としては、負極から電子注入をよく受けて発光層に移し得る物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好適である。具体的な例としては、8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alqを含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン-金属錯体などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。電子輸送層は、従来技術により使用されているような、任意の所望するカソード物質と共に使用可能である。特に、適切なカソード物質の例は、低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く通常の物質である。具体的には、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウム、およびサマリウムであり、各場合、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く。
【0080】
前記電子注入層は電極から電子を注入する層で、電子を輸送する能力を有し、負極からの電子注入効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成された励起子の正孔注入層への移動を防止し、また、薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フルオレニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体、金属錯体化合物、および含窒素5員環誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0081】
前記金属錯体化合物としては、8-ヒドロキシキノリナトリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナト)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(2-ナフトラート)ガリウムなどがあるが、これらに限定されない。
【0082】
本発明に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であり得る。
【0083】
また、本発明に係る化合物は、有機発光素子以外にも、有機太陽電池または有機トランジスターに含まれ得る。
【0084】
以下、前記化学式1で表される化合物およびこれを含む有機発光素子の製造を実施例により具体的に説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示したものに過ぎず、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【実施例
【0085】
[製造例]
製造例1:化合物Iの製造
段階1)化合物I’の製造
【化20】
【0086】
100mLの丸底フラスコに窒素雰囲気下でMg(193mg、7.92mmol)、I(4mg)およびTHF(10mL)を入れて、30分間攪拌した。4-ブロモスチレン(1.04mL、7.92mmol)を入れて、30℃の水槽水を丸底フラスコの下に置いて一日中攪拌した。反応溶液が黒色となり、Mgが溶け込んでいることを確認した。エーテル(5mL)を添加して反応溶液を薄めた。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(1g、3.96mmol)をエーテル(5mL)に溶かして30分間にわたり徐々に反応溶液に添加した。一日中溶液を攪拌した。NaCO(0.1M、80mL、8.0mmol)を徐々に反応溶液に添加した。酢酸エチル(20mL×3)を使用して有機溶媒を抽出し、MgSOで残余水を除去した。さらに残っている水と不純物を除去するためにディーンスターク(Dean stark)装置を用いてベンゼンとともに蒸留した。溶媒が10mL程度残った時、溶液を冷ましてろ過して、化合物I’(1.6g、収率64%)を製造した。
【0087】
段階2)化合物Iの製造
【化21】
【0088】
25mLの丸底フラスコに化合物I’(100mg、0.16mmol)、蒸留水(10mL)およびPhICl(60mg、0.19mmol)を入れて、1時間攪拌した。反応溶液にアセトン(15mL)を加えて沈澱が生じるようにし、前記沈殿物をろ過し乾燥して、化合物I(140mg、収率100%)を製造した。
MS:[M-H]=615(negative mode)
MS:[M+H]=281(positive mode)
【0089】
製造例2:化合物IIの製造
段階1)化合物II’の製造
【化22】
【0090】
250mLの丸底フラスコにメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(13.90g、38.91mmol)とTHF(100mL)を入れて、0℃で30分間攪拌した。反応溶液にn-BuLi(15.6mL、38.91mmol、Hexane中2.5M)を徐々に添加し、0℃で30分間攪拌した。0℃で反応溶液に4-ホルミル-2,3,5,6-テトラフルオロ-1-ブロモベンゼン(5.0g、19.47mmol、in 30mL THF)を徐々に添加した。反応溶液を徐々に常温に温度を上げながら攪拌した。3時間後、反応溶液にエーテル(100mL)とNHCl飽和溶液(400mL)を加えた。エーテル(200mL×2)を使用して有機溶媒を抽出し、MgSOで残余水を除去した。酢酸エチル:ヘキサン=1:9(v:v)でカラムクロマトグラフィーにかけて、化合物II’(1.29g、収率26%)を製造した。
【0091】
段階2)化合物II’’の製造
【化23】
【0092】
25mLの丸底フラスコにMg(95mg、3.92mmol)、THF(10mL)およびI(4mg)を入れて攪拌した。化合物I’(1.0g、3.92mmol)を反応溶液に入れて、常温で攪拌した。10時間後、溶液が黒色でMgが完全に溶け込んでいることを確認し、エーテル(10mL)とBCl(1.3mL、1.3mmol、ヘキサン溶液中の1M)を30分にわたって添加した。一日中反応溶液を攪拌した後、NaCO(30mL、3.0mmol、HO中に0.1M)を添加した。酢酸エチル(10mL×3)で合成物質を抽出した後、MgSOで残余水を除去した。溶媒を全て除去した後、ベンゼンを使用してディーンスターク(Dean stark)装置で水を完全に除去し固体をろ過して、化合物II’’(340mg、収率28%)を製造した。
【0093】
段階3)化合物IIの製造
【化24】
【0094】
25mLの丸底フラスコに化合物II’’(200mg、0.27mmol)、1-(4-ビニルベンジル)ピリジン-1-イウムクロリド(69mg、0.30mmol)、HO(10mL)、メチレンクロライド(10mL)を入れて、激しく30分間攪拌した。エーテル(10mL×3)を使用して有機溶媒を抽出し、MgSOで残余水を除去した。溶媒を除去し真空乾燥して、化合物II(247mg、収率100%)を製造した。
MS:[M-H]=711(negative mode)
MS:[M+H]=196(positive mode)
【0095】
製造例3:化合物IIIの製造
段階1)化合物III’の製造
【化25】
【0096】
50mLの丸底フラスコに1-ブロモ-2,3,5,6-テトラフルオロ-4ビニルベンゼン(2g、7.84mmol)をTHF(20mL)に入れて、-78℃で30分間攪拌した。溶液に徐々にヘキサン中のn-BuLi(3.45mL、8.63mmol、2.5M)を入れて、-78℃で30分間攪拌した。反応溶液にBCl(2.6mL、2.61mmol、ヘキサン溶液中の1M)を-78℃で15分にわたって添加した。常温に徐々に昇温し、一日中反応溶液を攪拌した後、水(30mL)を添加した。酢酸エチル(10mL×3)で合成物質を抽出した後、溶媒を全て除去した。ベンゼンを使用してディーンスターク(Dean stark)装置で水を完全に除去し固体をろ過して、化合物III’(800mg、収率43%)を製造した。
【0097】
段階2)化合物IIIの製造
【化26】
【0098】
25mLの丸底フラスコに化合物III’(400mg、0.56mmol)、ジフェニルヨードニウムクロリド(176mg、0.56mmol)、水(10mL)、アセトン(10mL)を入れて、激しく30分間攪拌した。ジクロロメタン(10mL×3)を使用して抽出して溶媒を除去し乾燥して、化合物III(552mg、収率100%)を製造した。
MS:[M-H]=711(negative mode)
MS:[M+H]=281(positive mode)
【0099】
製造例4:化合物IVの製造
段階1)化合物IV’の製造
【化27】
【0100】
500mLの丸底フラスコに炭酸カリウム(10.4g、75.3mmol)を入れて、DMF(200ml)を入れた。フラスコに2,3,5,6-テトラフルオロフェノール(10.0g、60.22mmol)を入れて、60℃で30分間攪拌した。反応溶液に4-ビニルベンジルクロリド(7.66g、50.18mmol)を徐々に添加し、60℃で16時間攪拌した。その後、水(300mL)、酢酸エチル(200ml)を加えた。酢酸エチル(200mL×2)を使用して有機層を抽出し、MgSOで残余水を除去した。酢酸エチル:ヘキサン=1:9(v:v)でカラムクロマトグラフィーにかけて、化合物IV’(11.2g、収率79%)を製造した。
【0101】
段階2)化合物IV’’の製造
【化28】
【0102】
250mLの丸底フラスコに化合物IV’(10g、35.43mmol)を入れて、エーテル(130ml)を入れて攪拌した。-78℃で反応溶液を冷却させ、30分間攪拌した。n-BuLi(17ml、42.52mmol、ヘキサン中2.5M)を30分にわたって徐々に注入した。その後、1時間攪拌した。BCl(8.15ml、8.15mmol、ヘキサン中1M)を30分にわたって徐々に投入した。反応溶液を徐々に常温に昇温させた。一日中反応溶液を攪拌した後、水(200ml)を添加した。エーテル(100mL×3)で合成物質を抽出した後、溶媒を全て除去した。その後、ベンゼンを使用してディーンスターク(Dean stark)装置で水を完全に除去し固体をろ過して、化合物IV’’(6.2g、収率66%)を製造した。
【0103】
段階3)化合物IVの製造
【化29】
【0104】
25mLの丸底フラスコに化合物IV’’(6.2g、5.42mmol)、ジフェニルヨードニウムクロリド(2.57g、8.13mmol)、水(50mL)、アセトン(10mL)を入れて、激しく30分間攪拌した。メチレンクロライド(20mL×3)を使用して有機溶媒を抽出し、溶媒を除去した。メチレンクロライド:アセトン=9:1(v:v)でカラムクロマトグラフィーにかけて、化合物IV(5.0g、収率65%)を製造した。
MS:[M-H]=1135(negative mode)
MS:[M+H]=281(positive mode)
【0105】
[実施例]
実施例1:化合物1の製造
(段階1)化合物1-1の製造
【化30】
【0106】
4,4’-ジブロモビフェニル(2g、6.4mmol)、Pd(tBuP)(163.5mg)、NaOtBu(2.46g、25.6mmol)を反応器に入れ、N置換した。トルエン(32mL)と3-フルオロ-4-メチルアニリン(1.6mL、14mmol)を投入し、90℃で一晩攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物1-1を製造し、NMRの結果(1H NMR(300Hz、CDCl))を図3に示す。
【0107】
(段階2)化合物1の製造
【化31】
【0108】
化合物1-1(0.6g、1.5mmol)、Pd(tBuP)(54mg)、NaOtBu(0.432g、4.5mmol)を反応器に入れ、N置換した。トルエン(7.5mL)と化合物1-2(1.386g、3.07mmol)を投入し、90℃で一晩攪拌した。酢酸エチルおよび水を添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して前記化合物1を製造し、NMRの結果(1H NMR(300Hz、CDCl))を図4に示す。
【0109】
実施例2:化合物2の製造
(段階1)化合物2-1の製造
【化32】
【0110】
4,4’-ジブロモビフェニル(2g、6.4mmol)、Pd(tBuP)(163.5mg)、NaOtBu(2.46g、25.6mmol)を反応器に入れ、N置換した。トルエン(32mL)と3,4-ジフルオロアニリン(1.4mL、14.1mmol)を投入し、90℃で一晩攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して前記化合物2-1を製造し、NMRの結果(1H NMR(300Hz、CDCl))を図5に示す。
【0111】
(段階2)化合物2の製造
【化33】
【0112】
化合物2-1(1g、2.45mmol)、Pd(tBuP)(87.6mg、0.17mmol)、NaOtBu(0.706g、7.35mmol)を反応器に入れ、N置換した。トルエン(12mL)と化合物1-2(2.27g、5mmol)を投入し、90℃で一晩攪拌した。酢酸エチルおよび水を添加して処理を行った後、MPLCで精製し、DCMで再結晶して前記化合物2を製造し、NMRの結果(1H NMR(300Hz、CDCl))を図6に示す。
【0113】
実施例3:化合物3の製造
(段階1)化合物3-1の製造
【化34】
【0114】
4,4’-ジブロモビフェニル(0.5g、1.6mmol)、Pd(tBuP)(40.9mg)、NaOtBu(615mg)を反応器に入れ、窒素置換した。トルエン(8mL)と4-フルオロアニリン(0.337mL、3.52mmol)を投入し、90℃で一晩攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物3-1を製造した。
【0115】
(段階2)化合物3の製造
【化35】
【0116】
化合物3-1(0.32g、0.86mmol)、Pd(tBuP)(31mg)、NaOtBu(0.248g、2.58mmol)を反応器に入れ、窒素置換した。トルエン(6mL)と化合物1-2(900mg、1.76mmol)を投入し、90℃で一晩攪拌した。酢酸エチルおよび水を添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して前記化合物3を製造し、NMRの結果(1H NMR(300Hz、CDCl))を図7に示す。
【0117】
実施例4:化合物4の製造
【化36】
【0118】
丸底フラスコにジヨードビフェニル(5.00g、1.0eq.)、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)、および3-フルオロアニリン(2.39mL、2.02eq.)を投入した後、N置換した後、90℃に昇温した。Pd(tBuP)(0.250g、4mol%)を投入した後、90℃で1.5時間攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物4-1を製造した。
【0119】
丸底フラスコに前記化合物4-1(1.0eq.)と化合物1-2(11.4g、2.05eq.)を入れて、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)およびPd(tBuP)(0.25g、4mol%)を投入した後、90℃で1.5時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物4を製造した。
MS:[M+H]=1113
【0120】
実施例5:化合物5の製造
【化37】
【0121】
丸底フラスコにジヨードビフェニル(5.00g、1.0eq.)、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)、および2-フルオロアニリン(2.40mL、2.02eq.)を投入した後、N置換した後で、90℃に昇温した。Pd(tBuP)(0.250g、4mol%)を投入した後、90℃で1時間攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5-1を製造した。
【0122】
丸底フラスコに前記化合物5-1(1.0eq.)と化合物1-2(11.4g、2.05eq.)を入れて、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)およびPd(tBuP)(0.25g、4mol%)を投入した後、90℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物5を製造した。
MS:[M+H]=1113
【0123】
実施例6:化合物6の製造
(段階1)化合物6-1の製造
【化38】
【0124】
丸底フラスコにジヨードビフェニル(6.00g、1.0eq.)、2,6-ジフルオロアニリン(4.20g、2.2eq.)、NaOtBu(4.26g、3.0eq)およびトルエン(85mL)を入れ、N置換した後、90℃に昇温した。Pd(tBuP)を投入した後、90℃で一晩攪拌した。
【0125】
(段階2)化合物6の製造
【化39】
【0126】
丸底フラスコに化合物6-1(1.30g、1.0eq.)、化合物1-2(3.02g、2.1eq.)、NaOtBu(0.918g、3.0eq.)およびトルエン(30mL)を投入した後、N置換した後、90℃に昇温した。Pd(tBuP)(0.114g、7mol%)を投入した後、90℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物6を製造した。
MS:[M+H]=1149
【0127】
実施例7:化合物7の製造
【化40】
【0128】
丸底フラスコに化合物7-1(1.0eq.)、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)、および4-フルオロアニリン(2.40mL、2.02eq.)を投入した後、N置換した後で、60℃に昇温した。Pd(tBuP)(0.250g、4mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物7-2を製造した。
【0129】
丸底フラスコに前記化合物7-2(1.0eq.)と化合物1-2(11.4g、2.05eq.)を入れて、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)およびPd(tBuP)(0.25g、4mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物7を製造した。
MS:[M+H]=1276
【0130】
実施例8:化合物8の製造
【化41】
【0131】
丸底フラスコに化合物7-1(1.0eq.)、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)、3-フルオロ-4-メチルアニリン(2.02eq.)を投入した後、N gassing後、60℃に昇温した。Pd(tBuP)(0.250g、4mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物8-1を製造した。
【0132】
丸底フラスコに前記化合物8-1(1.0eq.)と化合物1-2(11.4g、2.05eq.)を入れて、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)およびPd(tBuP)(0.25g、4mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物8を製造した。
MS:[M+H]=1304
【0133】
実施例9:化合物9の製造
【化42】
【0134】
丸底フラスコに化合物7-1(1.0eq.)、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200ml)、および3,4-ジフルオロアニリン(2.02eq.)を投入した後、N置換した後で、60℃に昇温した。Pd(tBuP)(0.250g、4mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9-1を製造した。
【0135】
丸底フラスコに前記化合物9-1(1.0eq.)と化合物1-2(11.4g、2.05eq.)を入れて、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)およびPd(tBuP)(0.25g、4mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物9を製造した。
MS:[M+H]=1312
【0136】
実施例10:化合物10の製造
【化43】
【0137】
丸底フラスコにジヨードビフェニル(4.00g、1.0eq.)、2,4,6-トリフルオロアニリン(2.2eq.)、NaOtBu(3.79g、4.0eq)およびトルエン(100mL)を入れ、N置換した後、90℃に昇温した。Pd(tBuP)(0.25g、5mol%)を投入した後、90℃で一晩攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物10-1を製造した。
【0138】
丸底フラスコに前記化合物10-1(1.0eq.)と化合物1-2(2.05eq.)を入れて、NaOtBu(6.0eq.)、トルエン(100mL)およびPd(tBuP)(0.25g、5mol%)を投入した後、90℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物10を製造した。
MS:[M+H]=1185
【0139】
実施例11:化合物11の製造
【化44】
【0140】
丸底フラスコにジヨードビフェニル(4.00g、1.0eq.)、3,4,5-トリフルオロアニリン(2.2eq.)、NaOtBu(3.79g、4.0eq)およびトルエン(100mL)を入れ、N置換した後、90℃に昇温した。Pd(tBuP)(0.25g、5mol%)を投入した後、90℃で一晩攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物11-1を製造した。
【0141】
丸底フラスコに前記化合物11-1(1.0eq.)と化合物1-2(2.05eq.)を入れて、NaOtBu(6.0eq.)、トルエン(100mL)およびPd(tBuP)(0.25g、5mol%)を投入した後、90℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物11を製造した。
MS:[M+H]=1185
【0142】
実施例12:化合物12の製造
【化45】
【0143】
丸底フラスコに化合物7-1(1.0eq.)、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)、2,4,6-トリフルオロアニリン(2.02eq.)を投入し、N置換した後、60℃に昇温した。Pd(tBuP)(5mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物12-1を製造した。
【0144】
丸底フラスコに前記化合物12-1(1.0eq.)と化合物1-2(2.05eq.)を入れて、NaOtBu(6.0eq.)、トルエン(100mL)およびPd(tBuP)(5mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物12を製造した。
MS:[M+H]=1348
【0145】
実施例13:化合物13の製造
【化46】
【0146】
丸底フラスコに化合物7-1(1.0eq.)、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)、および3,4,5-トリフルオロアニリン(2.02eq.)を投入し、N置換した後、60℃に昇温した。Pd(tBuP)(4mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物13-1を製造した。
【0147】
丸底フラスコに前記化合物13-1(1.0eq.)と化合物1-2(2.05eq.)を入れて、NaOtBu(6.0eq.)、トルエン(100mL)およびPd(tBuP)(5mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物13を製造した。
MS:[M+H]=1348
【0148】
実施例14:化合物14の製造
【化47】
【0149】
丸底フラスコにジヨードビフェニル(6.00g、1.0eq.)、2,3,4,5,6-ペンタフルオロアニリン(2.2eq.)、NaOtBu(4.26g、3.0eq)およびトルエン(120mL)を入れ、N置換した後、90℃に昇温した。Pd(tBuP)(4mol%)を投入した後、90℃で1時間攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物14-1を製造した。
【0150】
丸底フラスコに前記化合物14-1(1.0eq.)と化合物1-2(2.05eq.)を入れて、NaOtBu(6.0eq.)、トルエン(100mL)およびPd(tBuP)(5mol%)を投入した後、90℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物14を製造した。
MS:[M+H]=1257
【0151】
実施例15:化合物15の製造
【化48】
【0152】
丸底フラスコに化合物7-1(1.0eq.)、NaOtBu(7.10g、6.0eq.)、トルエン(200mL)、および2,3,4,5,6-ペンタフルオロアニリン(2.02eq.)を投入し、N置換した後、60℃に昇温した。Pd(tBuP)(4mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。酢酸エチルおよびブラインを添加して処理を行った後、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物15-1を製造した。
【0153】
丸底フラスコに前記化合物15-1(1.0eq.)と化合物1-2(2.05eq.)を入れて、NaOtBu(6.0eq.)、トルエン(100mL)およびPd(tBuP)(5mol%)を投入した後、60℃で1時間攪拌した。次いで、カラムクロマトグラフィーで精製して、前記化合物15を製造した。
MS:[M+H]=1419
【0154】
[実験例]
実験例1
ITO(indium tin oxide)が1,500Åの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を、洗剤を溶かした蒸留水に入れて超音波洗浄した。この時、洗剤としてはフィッシャー社(Fischer Co.)製品を使用し、蒸留水としてはミリポア社(Millipore Co.)製品のフィルタ(Filter)で2次ろ過した蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返し超音波洗浄を10分間進行した。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピルアルコール、アセトンの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、前記基板を5分間洗浄した後、グローブボックスに基板を輸送した。
【0155】
こうして用意されたITO透明電極上に、前記実施例1で製造した化合物1をホストに、前記製造例3で製造した化合物IIIをドーパントに、ホストとドーパントを8:2の重量比で含む2wt%シクロヘキサノン溶液をスピンコーティングし、230℃で30分間熱処理して400Åの厚さの正孔注入層を形成した。前記正孔注入層上に、下記a-NPD化合物の2wt%トルエン(toluene)溶液をスピンコーティングして120℃で10分間熱処理して200Åの厚さの正孔輸送層を形成した。
【0156】
その後、真空蒸着装置に移送した後、前記正孔輸送層上に、下記化合物Aと下記化合物Bを9:1の重量比で真空蒸着して300Åの厚さの発光層を形成した。前記発光層上に、下記化合物Cを真空蒸着して400Åの厚さの電子注入および輸送層を形成した。前記電子注入および輸送層上に順次、厚さ5ÅのLiFと厚さ1,000Åのアルミニウムを蒸着してカソードを形成した。
【0157】
【化49】
【0158】
上記の過程で、有機物の蒸着速度は0.4~1.0Å/secを維持し、カソードのLiFは0.3Å/sec、アルミニウムは2Å/secの蒸着速度を維持し、蒸着時の真空度は2×10-8~5×10-6torrを維持した。
【0159】
実験例2~実験例15
正孔注入層の形成時に下記表1に記載された化合物を使用したことを除いて、前記実験例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0160】
比較実験例1~比較実験例3
正孔注入層の形成時に下記表1に記載された化合物を使用したことを除いて、前記実験例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。下記表1の化合物CE1、CE2およびCE3は以下の通りである。
【0161】
【化50】
【0162】
前記実験例および比較実験例で製造した有機発光素子で10mA/cmの電流密度において駆動電圧、発光効率、電力効率、外部量子効率(QE)、輝度および色度座標を測定し、その結果を下記表1に示す。前記外部量子効率は、(放出された光子数)/(注入された電荷運搬体数)から求め、前記色度座標は、C.I.E色度図(Commission Internationale de L’Eclairage、1931)によるxおよびy座標である。
【0163】
【表1】
【符号の説明】
【0164】
1:基板
2:正極
3:発光層
4:負極
5:正孔注入層
6:正孔輸送層
7:発光層
8:電子注入および輸送層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7