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特許7335736回転コネクタ装置および回転コネクタ装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】回転コネクタ装置および回転コネクタ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 35/04 20060101AFI20230823BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
H01R35/04 T
H01R43/00 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019125366
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021012783
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【弁理士】
【氏名又は名称】森 昌康
(72)【発明者】
【氏名】山上 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩介
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-129187(JP,A)
【文献】国際公開第2012/121313(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 35/04
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータに対して回転軸線回りに回転可能に設けられた回転体と、
前記回転体と一体回転するように前記回転体に取り付けられた保持構造と、
前記ステータに対する前記回転体の回転を所定の回転範囲に規制する回転規制構造と、を備え、
前記ステータおよび前記回転体は、前記回転軸線を取り囲むように設けられたケーブル収容空間を前記ステータおよび前記回転体の間に画定し、
前記保持構造は、前記回転体に取り付けられた第1保持部材と、前記第1保持部材に対して前記回転軸線に沿った軸方向に移動可能な第2保持部材と、前記第1保持部材および前記第2保持部材の間に圧縮状態で設けられた付勢部材と、前記第1保持部材が前記回転体に取り付けられていない状態で前記付勢部材の前記圧縮状態を保持するように前記第1保持部材に対する前記第2保持部材の移動を所定の移動範囲に規制する移動規制構造と、を含み、
前記移動規制構造は、前記第1保持部材が前記回転体に取り付けられていない状態で前記付勢部材の前記圧縮状態を保持するように前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記所定の移動範囲の端に対応する規制位置に保持し、
前記移動規制構造は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の一方に設けられた少なくとも1つの規制部材を含み、
前記少なくとも1つの規制部材のそれぞれは、前記第1保持部材および前記第2保持部材のうち他方と接触可能な規制爪を含み、
前記移動規制構造は、前記規制爪が前記第1保持部材および前記第2保持部材の前記他方と接触することで、前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記規制位置に保持し、
前記回転規制構造は、前記第1保持部材に対して前記移動規制構造が前記第2保持部材を前記規制位置に保持した状態で、前記ステータに対する前記回転体の回転を前記所定の回転範囲に規制し、
前記回転規制構造は、前記第2保持部材に設けられ前記回転軸線回りに定義される周方向において前記ステータと接触可能な回転規制部を含み、
前記軸方向において前記第2保持部材と前記回転規制部との間に定義される第1距離は、前記軸方向において前記第1保持部材および前記第2保持部材の前記一方と前記規制爪との間に定義される第2距離よりも短い、
回転コネクタ装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの規制部材は、前記第2保持部材に設けられ、
前記第1保持部材は、少なくとも1つの規制受け部を含み、
前記少なくとも1つの規制部材は、前記第1保持部材に対する前記第2保持部材の移動を前記所定の移動範囲に規制するように前記少なくとも1つの規制受け部と接触可能である、
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項3】
前記第2距離は、前記軸方向において前記第2保持部材と前記規制爪との間に定義される、
請求項2に記載の回転コネクタ装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの規制受け部のそれぞれは、接触面を含み、
前記少なくとも1つの規制部材のそれぞれの前記規制爪は、前記接触面と接触可能である、
請求項2または3に記載の回転コネクタ装置。
【請求項5】
前記規制爪が前記接触面と接触している状態で、前記接触面は、前記軸方向において前記規制爪および前記第2保持部材の間に配置される、
請求項4に記載の回転コネクタ装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの規制部材のそれぞれは、前記第2保持部材から前記軸方向に延びる延伸部を含み、
前記規制爪は、前記延伸部から径方向に突出する、
請求項4または5に記載の回転コネクタ装置。
【請求項7】
前記規制爪は、前記延伸部から径方向外側に突出する、
請求項6に記載の回転コネクタ装置。
【請求項8】
前記規制爪が前記接触面と接触している状態で、前記延伸部は、前記第2保持部材から前記軸方向に前記接触面の方に延びる、
請求項6または7に記載の回転コネクタ装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの規制部材は、第1規制部材と、前記回転軸線に対して前記周方向に前記第1規制部材と間隔を空けて配置された第2規制部材と、を含み、
前記第1規制部材および前記第2規制部材のそれぞれは、前記規制爪を含む、
請求項4から8のいずれか1項に記載の回転コネクタ装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの規制部材は、前記周方向に前記第1規制部材および前記第2規制部材と間隔を空けて配置された第3規制部材と、を含み、
前記第1規制部材、前記第2規制部材、および前記第3規制部材のそれぞれは、前記規制爪を含む、
請求項9に記載の回転コネクタ装置。
【請求項11】
前記回転規制部は、前記軸方向から見た場合に前記周方向において前記第2規制部材および前記第3規制部材の間に配置される、
請求項10に記載の回転コネクタ装置。
【請求項12】
前記回転規制構造は、前記第2保持部材から前記軸方向に延びる追加延伸部を含み、
前記回転規制部は、前記追加延伸部から径方向外側に突出する、
請求項1から11のいずれか1項に記載の回転コネクタ装置。
【請求項13】
前記所定の移動範囲は、前記規制位置と間隔を空けて配置された中間位置を含み、
前記回転規制構造は、前記第2保持部材が前記中間位置に配置されている状態で、前記ステータに対する前記回転体の回転を前記所定の回転範囲に規制しない、
請求項12に記載の回転コネクタ装置。
【請求項14】
前記ステータは、回転受け部を含み、
前記回転規制部は、前記周方向において前記回転受け部と接触可能である、
請求項13に記載の回転コネクタ装置。
【請求項15】
前記回転規制部は、前記第2保持部材から前記回転軸線に対して径方向に突出する、
請求項14に記載の回転コネクタ装置。
【請求項16】
前記移動規制構造は、少なくとも3点で前記第1保持部材に対する前記第2保持部材の姿勢を保持する、
請求項1から15のいずれか1項に記載の回転コネクタ装置。
【請求項17】
第1保持部材および第2保持部材の間に付勢部材を配置する工程と、
前記第1保持部材が回転体に取り付けられていない状態で、移動規制構造を介して前記第2保持部材を前記第1保持部材に取り付ける工程と、
前記第2保持部材を前記第1保持部材に取り付けた後に、ステータに対して前記回転体を回転軸線回りに回転可能に保持するように前記第1保持部材を前記回転体に取り付ける工程と、を備え、
前記移動規制構造は、前記第1保持部材が前記回転体に取り付けられていない状態で前記付勢部材の圧縮状態を保持するように前記第1保持部材に対する前記第2保持部材の移動を所定の移動範囲に規制し、
前記移動規制構造は、前記第1保持部材が前記回転体に取り付けられていない状態で前記付勢部材の前記圧縮状態を保持するように前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記所定の移動範囲の端に対応する規制位置に保持し、
前記移動規制構造は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の一方に設けられた少なくとも1つの規制部材を含み、
前記少なくとも1つの規制部材のそれぞれは、前記第1保持部材および前記第2保持部材のうち他方と接触可能な規制爪を含み、
前記移動規制構造は、前記規制爪が前記第1保持部材および前記第2保持部材の前記他方と接触することで、前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記規制位置に保持し、
前記第1保持部材および前記第2保持部材の前記一方には、前記ステータに対する前記回転体の回転を所定の回転範囲に規制する回転規制構造が設けられ、
前記回転規制構造は、前記第1保持部材に対して前記移動規制構造が前記第2保持部材を前記規制位置に保持した状態で、前記ステータに対する前記回転体の回転を前記所定の回転範囲に規制し、
前記回転規制構造は、前記第2保持部材に設けられ前記回転軸線回りに定義される周方向において前記ステータと接触可能な回転規制部を含み、
前記回転軸線に沿った軸方向において前記第2保持部材と前記回転規制部との間に定義される第1距離は、前記軸方向において前記第1保持部材および前記第2保持部材の前記一方と前記規制爪との間に定義される第2距離よりも短い、
回転コネクタ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される技術は、回転コネクタ装置および回転コネクタ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に用いられる回転コネクタ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2013/047714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転コネクタ装置の生産性を向上させるために、回転コネクタ装置の組み立てを容易にすることが好ましい。
【0005】
また、回転コネクタ装置の性能を向上させるために、回転コネクタ装置の組み立て精度を高めることが好ましい。
【0006】
本願に開示される技術の課題は、例えば、回転コネクタ装置の組み立てを容易にすることにある。
【0007】
本願に開示される技術の別の課題は、例えば、回転コネクタ装置の組み立て精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の特徴に係る回転コネクタ装置は、ステータ、回転体、および保持構造を備える。回転体はステータに対して回転軸線回りに回転可能に設けられる。保持構造は回転体と一体回転するように回転体に取り付けられる。ステータおよび回転体は、回転軸線を取り囲むように設けられたケーブル収容空間をステータおよび回転体の間に画定する。保持構造は、第1保持部材、第2保持部材、付勢部材、および移動規制構造を含む。第1保持部材は回転体に取り付けられる。第2保持部材は第1保持部材に対して回転軸線に沿った軸方向に移動可能である。付勢部材は第1保持部材および第2保持部材の間に圧縮状態で設けられる。移動規制構造は、第1保持部材が回転体に取り付けられていない状態で付勢部材の圧縮状態を保持するように第1保持部材に対する第2保持部材の移動を所定の移動範囲に規制する。
【0009】
第1の特徴に係る回転コネクタ装置では、移動規制構造が、第1保持部材が回転体に取り付けられていない状態で付勢部材の圧縮状態を保持するように第1保持部材に対する第2保持部材の移動を所定の移動範囲に規制するので、第1保持部材、第2保持部材、および付勢部材を1つのユニットとして取り扱うことができる。これにより、保持部材を回転体に取り付ける際の作業性が向上し、回転コネクタ装置の組み立てが容易になる。
【0010】
第2の特徴に係る回転コネクタ装置は、第1の特徴に係る回転コネクタ装置において、移動規制構造は、第1保持部材および第2保持部材のうち一方に設けられた少なくとも1つの規制部材を含む。
【0011】
第2の特徴に係る回転コネクタ装置では、移動規制構造を簡素な構造で実現できる。
【0012】
第3の特徴に係る回転コネクタ装置は、第2の特徴に係る回転コネクタ装置において、少なくとも1つの規制部材は、第2保持部材に設けられる。第1保持部材は、少なくとも1つの規制受け部を含む。少なくとも1つの規制部材は、第1保持部材に対する第2保持部材の移動を所定の移動範囲に規制するように少なくとも1つの規制受け部と接触可能である。
【0013】
第3の特徴に係る回転コネクタ装置では、移動規制構造をより簡素な構造で実現できる。
【0014】
第4の特徴に係る回転コネクタ装置は、第3の特徴に係る回転コネクタ装置において、少なくとも1つの規制受け部のそれぞれは、接触面を含む。少なくとも1つの規制部材のそれぞれは、接触面と接触可能な規制爪を含む。
【0015】
第4の特徴に係る回転コネクタ装置では、移動規制構造をより簡素な構造で実現できる。
【0016】
第5の特徴に係る回転コネクタ装置は、第4の特徴に係る回転コネクタ装置において、規制爪が接触面と接触している状態で、接触面は、軸方向において規制爪および第2保持部材の間に配置される。
【0017】
第5の特徴に係る回転コネクタ装置では、移動規制構造をより簡素な構造で実現できる。
【0018】
第6の特徴に係る回転コネクタ装置は、第4または第5の特徴に係る回転コネクタ装置において、少なくとも1つの規制部材のそれぞれは、第2保持部材から軸方向に延びる延伸部を含む。規制爪は、延伸部から径方向に突出する。
【0019】
第6の特徴に係る回転コネクタ装置では、規制爪の配置の自由度が高まる。
【0020】
第7の特徴に係る回転コネクタ装置は、第6の特徴に係る回転コネクタ装置において、規制爪は、延伸部から径方向外側に突出する。
【0021】
第7の特徴に係る回転コネクタ装置では、第1保持部材に対する第2保持部材の姿勢が安定する。
【0022】
第8の特徴に係る回転コネクタ装置は、第6または第7の特徴に係る回転コネクタ装置において、規制爪が接触面と接触している状態で、延伸部は、接触面の方に延びる。
【0023】
第8の特徴に係る回転コネクタ装置では、規制爪の配置の自由度が高まる。
【0024】
第9の特徴に係る回転コネクタ装置は、第4から第8のいずれかの特徴に係る回転コネクタ装置において、少なくとも1つの規制部材は、第1規制部材と、回転軸線に対して周方向に第1規制部材と間隔を空けて配置された第2規制部材と、を含む。第1規制部材および第2規制部材のそれぞれは、規制爪を含む。
【0025】
第9の特徴に係る回転コネクタ装置では、第1規制部材および第2規制部材により、第1保持部材に対して第2保持部材を少なくとも2点で保持することができる。これにより、第1保持部材に対する第2保持部材の姿勢が安定する。
【0026】
第10の特徴に係る回転コネクタ装置は、第9の特徴に係る回転コネクタ装置において、少なくとも1つの規制部材は、周方向に第1規制部材および第2規制部材と間隔を空けて配置された第3規制部材と、を含む。第1規制部材、第2規制部材、および第3規制部材のそれぞれは、規制爪を含む。
【0027】
第10の特徴に係る回転コネクタ装置では、第1規制部材、第2規制部材、および第3規制部材により、第1保持部材に対して第2保持部材を少なくとも3点で保持することができる。これにより、第1保持部材に対する第2保持部材の姿勢がさらに安定する。
【0028】
第11の特徴に係る回転コネクタ装置は、第1から第10のいずれかの特徴に係る回転コネクタ装置において、ステータに対する回転体の回転を所定の回転範囲に規制する回転規制構造をさらに備える。
【0029】
第11の特徴に係る回転コネクタ装置では、回転規制構造により必要に応じてステータに対する回転体の回転を規制することができる。例えば、ステータに対して回転体を初期回転位置およびその周辺に保持することができ、回転コネクタ装置を車両に組み付ける際の作業性が向上する。
【0030】
第12の特徴に係る回転コネクタ装置は、第11の特徴に係る回転コネクタ装置において、規制構造は、第1保持部材が回転体に取り付けられていない状態で付勢部材の圧縮状態を保持するように第1保持部材に対して第2保持部材を所定の移動範囲の端に対応する規制位置に保持する。回転規制構造は、第1保持部材に対して第1規制構造が第2保持部材を規制位置に保持した状態で、ステータに対する回転体の回転を所定の回転範囲に規制する。
【0031】
第12の特徴に係る回転コネクタ装置では、回転規制構造により、第1保持部材に対して第2保持部材を規制位置に保持した状態で、ステータに対する回転体の回転を所定の回転範囲に規制することができ、簡素な構造により回転コネクタ装置を車両に組み付ける際の作業性が向上する。
【0032】
第13の特徴に係る回転コネクタ装置は、第12の特徴に係る回転コネクタ装置において、所定の移動範囲は、規制位置と間隔を空けて配置された中間位置を含む。回転規制構造は、第2保持部材が中間位置に配置されている状態で、ステータに対する回転体の回転を所定の回転範囲に規制しない。
【0033】
第13の特徴に係る回転コネクタ装置では、回転規制構造により、第2保持部材が中間位置に配置されている状態で、ステータに対する回転体の回転を所定の回転範囲に規制しない構成を実現でき、例えば、回転コネクタ装置を車両に組付けた状態で、ステータに対する回転体の回転を許容することができる。
【0034】
第14の特徴に係る回転コネクタ装置は、第13の特徴に係る回転コネクタ装置において、ステータは、回転受け部を含む。回転規制構造は、第2保持部材に設けられ回転軸線に対して周方向において回転受け部と接触可能な回転規制部を含む。
【0035】
第14の特徴に係る回転コネクタ装置では、回転受け部および回転規制部により、回転規制構造を簡素な構造により実現できる。
【0036】
第15の特徴に係る回転コネクタ装置は、第14の特徴に係る回転コネクタ装置において、回転規制部は、第2保持部材から回転軸線に対して径方向に突出する。
【0037】
第15の特徴に係る回転コネクタ装置では、回転規制構造を簡素な構造により実現できる。
【0038】
第16の特徴に係る回転コネクタ装置は、ステータ、回転体、および保持構造を備える。回転体はステータに対して回転軸線回りに回転可能に設けられる。保持構造は回転体と一体回転するように回転体に取り付けられる。ステータおよび回転体は、回転軸線を取り囲むように設けられたケーブル収容空間をステータおよび回転体の間に画定する。保持構造は、第1保持部材、第2保持部材、付勢部材、および第1規制構造を含む。第1保持部材は回転体に取り付けられる。第2保持部材は第1保持部材に対して回転軸線に沿った軸方向に移動可能である。付勢部材は第1保持部材および第2保持部材の間に圧縮状態で設けられる。第1規制構造は、付勢部材の圧縮状態を保持するように第1保持部材に対する第2保持部材の移動を所定の移動範囲に規制する。第1規制構造は、少なくとも3点で第1保持部材に対する第2保持部材の姿勢を保持する。
【0039】
第16の特徴に係る回転コネクタ装置では、第1規制構造が少なくとも3点で第1保持部材に対する第2保持部材の姿勢を保持するので、第1保持部材に対する第2保持部材の姿勢が安定する。したがって、第1保持部材に対する第2保持部材の傾きを低減することができ、回転コネクタ装置の組み立て精度が高まる。
【0040】
第17の特徴に係る回転コネクタ装置の製造方法は、第1保持部材および第2保持部材の間に付勢部材を配置する工程と、第1保持部材が回転体に取り付けられていない状態で、第1規制構造を介して第2保持部材を第1保持部材に取り付ける工程と、第2保持部材を第1保持部材に取り付けた後に、ステータに対して回転体およびを回転可能に保持するように第1保持部材を回転体に取り付ける工程と、を備える。第1規制構造は、第1保持部材が回転体に取り付けられていない状態で付勢部材の圧縮状態を保持するように第1保持部材に対する第2保持部材の移動を所定の移動範囲に規制する、
第17の特徴に係る回転コネクタ装置の製造方法では、第1規制構造が、第1保持部材が回転体に取り付けられていない状態で付勢部材の圧縮状態を保持するように第1保持部材に対する第2保持部材の移動を所定の移動範囲に規制するので、第1保持部材、第2保持部材、および付勢部材を1つのユニットとして取り扱うことができる。これにより、保持部材を回転体に取り付ける際の作業性が向上し、回転コネクタ装置の組み立てが容易になる。
【発明の効果】
【0041】
本願に開示される技術であれば、回転コネクタ装置の組み立てを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、実施形態に係る回転コネクタ装置の分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す回転コネクタ装置の回転体および保持部材の分解斜視図である。
図3図3は、図1のラインIII-IIIにおける回転コネクタ装置の断面図である。
図4図4は、図1に示す回転コネクタ装置の保持部材の斜視図である。
図5図5は、図8のラインVI-Vにおける回転コネクタ装置の断面図である。
図6図6は、図1に示す回転コネクタ装置の保持部材の分解斜視図である(付勢部材は省略)。
図7図7は、図1に示す回転コネクタ装置の保持部材の別の分解斜視図である(付勢部材は省略)。
図8図8は、図5のラインVIII-VIIIにおける回転コネクタ装置の断面図である。
図9図9は、図5のラインIX-IXにおける回転コネクタ装置の断面図である。
図10図10は、図1に示す回転コネクタ装置の分解斜視図である。
図11図11は、図1に示す回転コネクタ装置の保持部材の部分斜視図である。
図12図12は、図9のラインXII-XIIにおける回転コネクタ装置の断面図である。
図13図13は、図1に示す回転コネクタ装置の製造方法を示すフローチャートである。
図14図14は、図1に示す回転コネクタ装置の製造方法を示す、保持部材の分解斜視図である。
図15図15は、図1に示す回転コネクタ装置の製造方法を示す、保持部材の断面図である。
図16図16は、図1に示す回転コネクタ装置の製造方法を示す、保持部材の斜視図である。
図17図17は、図1に示す回転コネクタ装置の製造方法を示す、回転コネクタ装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図中において同じ符号は、対応するまたは同一の構成を示している。
【0044】
図1に示すように、回転コネクタ装置1は、ステータ10、回転体20、および保持構造30を備える。回転体20はステータ10に対して回転軸線A1回りに回転可能に設けられる。本実施形態では、例えば、ステータ10は車両本体に固定されるように構成されており、回転体20はステアリングホイールに固定されるように構成されている。保持構造30は回転体20と一体回転するように回転体20に取り付けられる。保持構造30はステータ10に対して回転体20を回転軸線A1回りに回転可能に支持するように回転体20に取り付けられる。保持構造30は第1保持部材32および第2保持部材34を含む。第1保持部材32は回転体20に取り付けられる。第2保持部材34は第1保持部材32に取り付けられる。
【0045】
回転コネクタ装置1は回転体側電気コネクタ収容部40をさらに備える。回転体側電気コネクタ収容部40は回転体20に設けられる。回転体側電気コネクタ収容部は回転体側電気コネクタを収容する。回転体側電気コネクタはステアリング側コネクタに電気的に接続されるように構成される。ステアリング側コネクタはステアリングホイールのスイッチ類やエアバッグ装置等の電気回路に電気的に接続される。
【0046】
回転コネクタ装置1はステータ側コネクタ収容部50を備えている。ステータ側コネクタ収容部50はステータ10に取り付けられる。ステータ側コネクタ収容部50はステータ側電気コネクタを収容する。ステータ側電気コネクタは車両本体に設けられた電気機器(例えば、制御装置およびバッテリー)に接続されるように構成される。
【0047】
図2に示すように、回転体20は回転プレート22および筒状部24を含む。回転プレート22は環状の形状を有する。筒状部24は、回転プレート22の内周部から回転軸線A1に沿って延びており、ステアリングシャフトが通る貫通孔24Aを含む。貫通孔24Aは回転軸線A1に沿って延びる。保持構造30の第1保持部材32は筒状部24に取り付けられる。
【0048】
図3に示すように、ステータ10および回転体20は、回転軸線A1を取り囲むように設けられたケーブル収容空間60をステータ10および回転体20の間に画定する。例えば、ケーブル収容空間60は、環状であり、回転軸線A1に対して周方向D2に延びる。回転コネクタ装置1は電気ケーブル70を備える。電気ケーブル70は、ケーブル収容空間60内に配置され、ステータ側コネクタ収容部50(図2)に収容されるステータ側コネクタに電気的に接続される。電気ケーブル70は、可撓性を有しており、平坦な形状を有する。電気ケーブル70はフレキシブルフラットケーブルとも呼ばれる。
【0049】
図4に示すように、第1保持部材32は第1保持部32Aおよび複数の連結部32Bを含む。第1保持部32Aは環状の形状を有する。複数の連結部32Bは第1保持部32Aから回転軸線A1に平行な軸方向D1に延びる。本実施形態では、複数の連結部32Bの総数は4つである。しかし、複数の連結部32Bの総数は本実施形態に限定されない。複数の連結部32Bは回転軸線A1に対して周方向D2に間隔を空けて配置される。第2保持部材34は環状の形状を有する。第2保持部材34は第1保持部32Aに装着される。
【0050】
図5に示すように、第2保持部材34は第1保持部材32に対して回転軸線A1に沿った軸方向D1に移動可能である。保持構造30は付勢部材36を含む。付勢部材36は第1保持部材32および第2保持部材34の間に圧縮状態で設けられる。本実施形態では、付勢部材36はコイルスプリングである。しかし、付勢部材36は本実施形態に限定されない。
【0051】
第1保持部材32はステータ10と軸方向D1に接触可能である。第1保持部材32はステータ10に対する回転体20の回転軸線A1に沿った移動を規制する。第1保持部材32は付勢部材36を受ける第1受け面32Rを含む。第2保持部材34は付勢部材36を受ける第2受け面34Rを含む。第1受け面32Rは環状の形状を有する。第2受け面34Rは環状の形状を有する。第2受け面34Rは、第1受け面32Rの方を向いており、軸方向D1において第1受け面32Rと間隔を空けて配置される。付勢部材36は、第1受け面32Rおよび第2受け面34Rの間に配置され、第1受け面32Rおよび第2受け面34Rと接触する。
【0052】
回転コネクタ装置1は移動規制構造80を備える。移動規制構造80は、付勢部材36の圧縮状態を保持するように第1保持部材32に対する第2保持部材34の移動を所定の移動範囲MRに規制する。より詳細には、移動規制構造80は、第1保持部材32が回転体20に取り付けられていない状態で付勢部材36の圧縮状態を保持するように第1保持部材32に対する第2保持部材34の移動を所定の移動範囲MRに規制する。したがって、図4に示すように、保持構造30が回転体20に取り付けられていない状態でも、保持構造30は1つのユニットとして取り扱える。
【0053】
図6に示すように、移動規制構造80は少なくとも1つの規制部材82を含む。少なくとも1つの規制部材82は第1保持部材32および第2保持部材34のうち一方に設けられる。本実施形態では、少なくとも1つの規制部材82は第2保持部材34に設けられる。しかし、少なくとも1つの規制部材82は第1保持部材32または第1保持部材32および第2保持部材34の両方に設けられてもよい。
【0054】
図7に示すように、第1保持部材32は少なくとも1つの規制受け部38を含む。本実施形態では、第1保持部32Aが少なくとも1つの規制部材82を含む。少なくとも1つの規制部材82は、第1保持部材32に対する第2保持部材34の移動を所定の移動範囲MRに規制するように少なくとも1つの規制受け部38と接触可能である。少なくとも1つの規制受け部38のそれぞれは接触面38Tを含む。少なくとも1つの規制部材82のそれぞれは、接触面38Tと接触可能な規制爪82Tを含む。
【0055】
本実施形態では、少なくとも1つの規制部材82は、第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cを含む。第2規制部材82Bは、回転軸線A1に対して周方向D2に第1規制部材82Aと間隔を空けて配置される。第3規制部材82Cは、周方向D2に第1規制部材82Aおよび第2規制部材82Bと間隔を空けて配置される。本実施形態では、少なくとも1つの規制部材82の総数は3つである。すなわち、移動規制構造80は、少なくとも3点で第1保持部材32に対する第2保持部材34の姿勢を保持する。しかし、少なくとも1つの規制部材82の総数は本実施形態に限定されない。例えば、少なくとも1つの規制部材82の総数は、好ましくは3つ以上であるが、3つよりも少なくてもよい。また、本実施形態では、第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cは、第2保持部材34と単一の部材として一体形成される。しかし、第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cのうち少なくとも1つが第2保持部材34と別部材であってもよい。
【0056】
図6および図7に示すように、少なくとも1つの規制受け部38は、第1規制受け部38A、第2規制受け部38B、および第3規制受け部38Cを含む。第1規制受け部38A、第2規制受け部38B、および第3規制受け部38Cは周方向D2に互いに間隔を空けて配置される。第1規制部材82Aは第1規制受け部38Aと接触可能である。第2規制部材82Bは第2規制受け部38Bと接触可能である。第3規制部材82Cは第3規制受け部38Cと接触可能である。
【0057】
本実施形態では、第1規制受け部38A、第2規制受け部38B、および第3規制受け部38Cのそれぞれは接触面38Tを含む。第1規制部材82Aおよび第2規制部材82Bのそれぞれは規制爪82Tを含む。第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cのそれぞれは、規制爪82Tを含む。
【0058】
少なくとも1つの規制部材82のそれぞれは、第2保持部材34から軸方向D1に延びる延伸部82Eを含む。本実施形態では、第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cのそれぞれは延伸部82Eを含む。しかし、第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cのうち少なくとも1つから延伸部82Eが省略されてもよい。
【0059】
規制爪82Tは延伸部82Eから径方向に突出する。本実施形態では、規制爪82Tは延伸部82Eから径方向外側に突出する。規制爪82Tは延伸部82Eから回転軸線A1と反対側に突出する。規制爪82Tは延伸部82Eの端部に設けられる。しかし、規制爪82Tの構造は本実施形態に限定されない。例えば、規制爪82Tが延伸部82Eから径方向内側に突出していてもよい。
【0060】
少なくとも1つの規制受け部38のそれぞれは開口38Dを含む。第2保持部材34が第1保持部材32に取り付けられる状態で、少なくとも1つの規制部材82は開口38D内に配置される。第1規制受け部38Aの開口38Dは第1規制部材82Aに対応する位置に設けられる。第2規制受け部38Bの開口38Dは第2規制部材82Bに対応する位置に設けられる。第3規制受け部38Cの開口38Dは第3規制部材82Cに対応する位置に設けられる。開口38Dは接触面38Tに対応する位置に配置される。
【0061】
図5に示すように、規制爪82Tは規制面82Fおよび傾斜面82Gを含む。規制面82Fは、接触面38Tと接触可能であり、軸方向D1を向く。規制面82Fは軸方向D1に概ね垂直である。傾斜面82Gは、規制面82Fの裏側に配置され、軸方向D1に対して傾斜する。第2保持部材34を第1保持部材32に取り付ける際に、傾斜面82Gは第1保持部材32と接触可能である。
【0062】
第1保持部材32および第2保持部材34が互いに遠ざかるように付勢部材36が第1保持部材32および第2保持部材34に付勢力を付与するが、移動規制構造80の少なくとも1つの規制部材82の規制爪82Tが少なくとも1つの規制受け部38の接触面38Tと接触する。この状態では、付勢部材36の付勢力により規制爪82Tが接触面38Tに押し付けられる。したがって、移動規制構造80は、第1保持部材32が回転体20に取り付けられていない状態で付勢部材36の圧縮状態を保持するように第1保持部材32に対して第2保持部材34を所定の移動範囲MRの端に対応する規制位置P1に保持する。規制位置P1は第1規制位置P1とも称し得る。
【0063】
規制爪82Tが接触面38Tと接触している状態で、接触面38Tは軸方向D1において規制爪82Tおよび第2保持部材34の間に配置される。規制爪82Tが接触面38Tと接触している状態で、延伸部82Eは接触面38Tの方に延びる。
【0064】
所定の移動範囲MRは、規制位置P1と間隔を空けて配置された中間位置P2を含む。回転コネクタ装置1が車両に取り付けられた状態で、第2保持部材34は、ステアリングを支持するボスBと接触し、中間位置P2に保持される。
【0065】
図8に示すように、第1規制部材82Aおよび第2規制部材82Bの間には、回転軸線A1を中心に第1中心角AG11が定義される。第2規制部材82Bおよび第3規制部材82Cの間には、回転軸線A1を中心に第2中心角AG12が定義される。第3規制部材82Cおよび第1規制部材82Aの間には、回転軸線A1を中心に第3中心角AG13が定義される。本実施形態では、第1中心角AG11は第2中心角AG12および第3中心角AG13よりも小さい。第2中心角AG12は第3中心角AG13と等しい。しかし、第1中心角AG11、第2中心角AG12、および第3中心角AG13の大小関係は本実施形態に限定されない。第1中心角AG11、第2中心角AG12、および第3中心角AG13が互いに等しくてもよい。
【0066】
第1保持部材32に対して第2保持部材34が規制位置P1に配置されている状態で(図5に示す状態で)、第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cのうち少なくとも1つは、第1保持部材32と周方向D2に接触可能である。第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cのうち少なくとも1つにより、第1保持部材32に対する第2保持部材34の回転が規制される。
【0067】
図9に示すように、移動規制構造80は、第1規制面84および第2規制面86を含む。本実施形態では、第1規制面84は第1保持部材32に設けられる。第2規制面86は第2保持部材34に設けられる。第2規制面86は第1規制面84と接触可能である。所定の移動範囲MRは第2規制位置P3を含む。所定の移動範囲MRは第1規制位置P1および第2規制位置P3の間に画定される。第2規制面86が第1規制面84と接触している状態で、第2保持部材34は第1保持部材32に対して第2規制位置P3に配置される。第1規制面84および第2規制面86は移動規制構造80から省略されてもよい。
【0068】
図10に示すように、ステータ10に対する回転体20の回転を所定の回転範囲RRに規制する回転規制構造90をさらに備える。回転規制構造90は、第1保持部材32に対して移動規制構造80が第2保持部材34を規制位置P1(図5および図9参照)に保持した状態で、ステータ10に対する回転体20の回転を所定の回転範囲RRに規制する。回転規制部92は第2保持部材34から回転軸線A1に対して径方向に突出する。回転規制部92は第2保持部材34から回転軸線A1に対して径方向外側に突出する。本実施形態では、回転規制構造90は延伸部94を含む。延伸部94は第2保持部材34から軸方向D1に延びる。回転規制部92は延伸部94から径方向外側に突出する。
【0069】
ステータ10は回転受け部12を含む。回転規制構造90は回転規制部92を含む。回転規制部92は、第2保持部材34に設けられ、回転軸線A1に対して周方向D2において回転受け部12と接触可能である。
【0070】
ステータ10はステータ本体14を含む。回転受け部12はステータ本体14の内周部14Aから径方向内側に突出する。回転受け部12は、第1回転受け部12Aおよび第2回転受け部12Bを含む。第1回転受け部12Aおよび第2回転受け部12Bは、円弧形状を有し、回転軸線A1に対して周方向D2に延びる。第1回転受け部12Aおよび第2回転受け部12Bは互いに間隔を空けて配置される。回転規制部92は周方向D2において第1回転受け部12Aおよび第2回転受け部12Bの間に配置される。
【0071】
図11に示すように、第1保持部材32は開口32Cを含む。開口32Cは第1保持部32Aに設けられる。第2保持部材34が第1保持部材32に対して規制位置P1(図9)に配置されている状態で、回転規制部92は開口32Cから少なくとも部分的に突出する。一方、第2保持部材34が第1保持部材32に対して中間位置P2(図9)に配置されている状態で、回転規制部92は開口32C内に収容される。
【0072】
図11および図12に示すように、第1保持部材32に対して第2保持部材34が規制位置P1に配置されている状態で(図9に示す状態で)、回転規制部92は第1保持部材32と周方向D2に接触可能である。これにより、第1保持部材32に対する第2保持部材34の回転が規制される。
【0073】
回転規制部92は周方向D2において第2規制部材82Bおよび第3規制部材82Cの間に配置される。回転規制部92は回転軸線A1に対して第1規制部材82Aと反対側に配置される。しかし、回転規制部92の配置は本実施形態に限定されない。
【0074】
図9に示すように、第2保持部材34が規制位置P1に配置されている状態で、回転規制構造90の回転規制部92は軸方向D1において回転受け部12と概ね同じ位置に配置される。規制受け部38の接触面38Tおよび規制部材82の規制爪82Tにより第1保持部材32に対して第2保持部材34が規制位置P1に保持されるので、回転受け部12に対して軸方向D1における回転規制部92の所定の位置からのずれを抑えることができる。これにより、回転規制部92と回転受け部12との接触面積を確保することができ、回転コネクタ装置1が落下した際、あるいは、第2保持部材34が規制位置P1に保持された状態でステアリングを回した際に、回転体20に強い回転トルクがかかることにより生じる回転規制部92および回転受け部12の少なくとも一方の破損を抑制することができる。また、回転規制部92および回転受け部12の少なくとも一方の破損を抑制したり、あるいは、規制爪82の位置を調整することで破損箇所の位置を制御したりすることができるので、部材の破損に起因する異音の発生を抑制することができる。
【0075】
一方、第2保持部材34が例えば中間位置P2に配置されている状態では、回転規制部92は軸方向D1において回転受け部12からずれている。すなわち、第2保持部材34が例えば中間位置P2に配置されている状態では、回転規制部92は回転受け部12と接触しない。したがって、回転規制構造90は、第2保持部材34が中間位置P2に配置されている状態で、ステータ10に対する回転体20の回転を所定の回転範囲RRに規制しない。
【0076】
図13図17を参照しながら回転コネクタ装置1の製造方法について説明する。図13および図14に示すように、第1保持部材32および第2保持部材34の間に付勢部材36を配置する(ステップS1)。第1保持部材32が回転体20に取り付けられていない状態で、移動規制構造80を介して第2保持部材34を第1保持部材32に取り付ける(ステップS2)。本実施形態では、第1保持部材32および第2保持部材34の間に付勢部材36を挟み込んだ状態で、付勢部材36を圧縮しながら、第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cを第1規制受け部38A、第2規制受け部38B、および第3規制受け部38Cの開口38Dにそれぞれ挿入し、規制爪82Tを規制受け部38に引っ掛ける(ステップS2A)。このとき、図15に示すように、規制爪82Tの傾斜面82Gが第1保持部材32と接触することで、第1保持部材32により規制爪82Tが径方向内側に押され、延伸部82Eがたわむ。こうして、規制爪82Tを開口38D内に挿入することができる。図16に示すように、第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cにより3点で第2保持部材34が第1保持部材32に連結されるので、第1保持部材32に対する第2保持部材34の姿勢が安定する。
【0077】
図13に示すように、回転体20を裏返しで配置する(ステップS3)。回転体20上にステータ10を配置する(ステップS4)。図17に示すように、第2保持部材34を第1保持部材32に取り付けた後に、ステータ10に対して回転体20およびを回転可能に保持するように第1保持部材32を回転体20に取り付ける(ステップS5)。本実施形態では、複数の連結部32Bを介して保持構造30の第1保持部材32を回転体20の筒状部24に取り付ける。これにより、ステータ10に対して回転体20を回転可能なように取り付けることができる。
【0078】
回転コネクタ装置1の特徴は以下の通りである。
(1)回転コネクタ装置1は、ステータ10、回転体20、および保持構造30を備える。回転体20はステータ10に対して回転軸線A1回りに回転可能に設けられる。保持構造30は、回転体20に取り付けられ、ステータ10に対して回転体20を回転軸線A1回りに回転可能に保持する。ステータ10および回転体20は、回転軸線A1を取り囲むように設けられたケーブル収容空間60をステータ10および回転体20の間に画定する。保持構造30は、第1保持部材32、第2保持部材34、付勢部材36、および移動規制構造80を含む。第1保持部材32は回転体20に取り付けられる。第2保持部材34は第1保持部材32に対して回転軸線A1に沿った軸方向D1に移動可能である。付勢部材36は第1保持部材32および第2保持部材34の間に圧縮状態で設けられる。移動規制構造80は、第1保持部材32が回転体20に取り付けられていない状態で付勢部材36の圧縮状態を保持するように第1保持部材32に対する第2保持部材34の移動を所定の移動範囲MRに規制する。
【0079】
回転コネクタ装置1では、移動規制構造80が、第1保持部材32が回転体20に取り付けられていない状態で付勢部材36の圧縮状態を保持するように第1保持部材32に対する第2保持部材34の移動を所定の移動範囲MRに規制するので、第1保持部材32、第2保持部材34、および付勢部材36を1つのユニットとして取り扱うことができる。これにより、保持構造30を回転体20に取り付ける際の作業性が向上し、回転コネクタ装置1の組み立てが容易になる。
(2)移動規制構造80は、第1保持部材32および第2保持部材34のうち一方に設けられた少なくとも1つの規制部材82を含む。これにより、移動規制構造80を簡素な構造で実現できる。
(3)少なくとも1つの規制部材82は、第2保持部材34に設けられる。第1保持部材32は、少なくとも1つの規制受け部38を含む。少なくとも1つの規制部材82は、第1保持部材32に対する第2保持部材34の移動を所定の移動範囲MRに規制するように少なくとも1つの規制受け部38と接触可能である。これにより、移動規制構造80をより簡素な構造で実現できる。
(4)少なくとも1つの規制受け部38のそれぞれは、接触面38Tを含む。少なくとも1つの規制部材82のそれぞれは、接触面38Tと接触可能な規制爪82Tを含む。これにより、移動規制構造80をより簡素な構造で実現できる。
【0080】
なお、本実施形態では、少なくとも1つの規制受け部38が第1保持部材32に設けられ、少なくとも1つの規制部材82が第2保持部材34に設けられる。また、接触面38Tが第1保持部材32に設けられ、規制爪82Tが第2保持部材に設けられる。しかし、少なくとも1つの規制受け部38が第2保持部材34に設けられ、少なくとも1つの規制部材82が第1保持部材32に設けられもよい。また、接触面38Tが第2保持部材34に設けられてもよく、規制爪82Tが第1保持部材32に設けられてもよい。例えば、第1保持部材32の規制受け部38に突起のような規制爪を設け、第2保持部材34の規制部材82に突起により移動を規制する凹部を設ける構造にしてもよい。
(5)規制爪82Tが接触面38Tと接触している状態で、接触面38Tは、軸方向D1において規制爪82Tおよび第2保持部材34の間に配置される。これにより、移動規制構造80をより簡素な構造で実現できる。
(6)少なくとも1つの規制部材82のそれぞれは、第2保持部材34から軸方向D1に延びる延伸部82Eを含む。規制爪82Tは、延伸部82Eから径方向に突出する。これにより、規制爪82Tの配置の自由度が高まる。
【0081】
なお、延伸部82Eは第1保持部材32に設けられてもよい。また、少なくとも1つの規制受け部38のそれぞれが延伸部82Eを含んでいてもよく、延伸部82Eに接触面38Tが設けられてもよい。
(7)規制爪82Tは、延伸部82Eから径方向外側に突出する。これにより、第1保持部材32に対する第2保持部材34の姿勢が安定する。
(8)規制爪82Tが接触面38Tと接触している状態で、延伸部82Eは、接触面38Tの方に延びる。これにより、規制爪82Tの配置の自由度が高まる。
(9)少なくとも1つの規制部材82は、第1規制部材82Aと、回転軸線A1に対して周方向D2に第1規制部材82Aと間隔を空けて配置された第2規制部材82Bと、を含む。第1規制部材82Aおよび第2規制部材82Bのそれぞれは、規制爪82Tを含む。
【0082】
第1規制部材82Aおよび第2規制部材82Bにより、第1保持部材32に対して第2保持部材34を少なくとも2点で保持することができる。これにより、第1保持部材32に対する第2保持部材34の姿勢が安定する。
(10)少なくとも1つの規制部材82は、周方向D2に第1規制部材82Aおよび第2規制部材82Bと間隔を空けて配置された第3規制部材82Cと、を含む。第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cのそれぞれは、規制爪82Tを含む。
【0083】
第1規制部材82A、第2規制部材82B、および第3規制部材82Cにより、第1保持部材32に対して第2保持部材34を少なくとも3点で保持することができる。これにより、第1保持部材32に対する第2保持部材34の姿勢がさらに安定する。
(11)ステータ10に対する回転体20の回転を所定の回転範囲RRに規制する回転規制構造90をさらに備える。回転規制構造90により必要に応じてステータ10に対する回転体20の回転を規制することができる。例えば、ステータ10に対して回転体20を初期回転位置およびその周辺に保持することができ、回転コネクタ装置1を車両に組み付ける際の作業性が向上する。
(12)移動規制構造80は、第1保持部材32が回転体20に取り付けられていない状態で付勢部材36の圧縮状態を保持するように第1保持部材32に対して第2保持部材34を所定の移動範囲MRの端に対応する規制位置P1に保持する。回転規制構造90は、第1保持部材32に対して移動規制構造80が第2保持部材34を規制位置P1に保持した状態で、ステータ10に対する回転体20の回転を所定の回転範囲RRに規制する。
【0084】
回転規制構造90により、第1保持部材32に対して第2保持部材34を規制位置P1に保持した状態で、ステータ10に対する回転体20の回転を所定の回転範囲RRに規制することができ、簡素な構造により回転コネクタ装置1を車両に組み付ける際の作業性が向上する。
(13)所定の移動範囲MRは、規制位置P1と間隔を空けて配置された中間位置P2を含む。回転規制構造90は、第2保持部材34が中間位置P2に配置されている状態で、ステータ10に対する回転体20の回転を所定の回転範囲RRに規制しない。
【0085】
回転規制構造90により、第2保持部材34が中間位置P2に配置されている状態で、ステータ10に対する回転体20の回転を所定の回転範囲RRに規制しない構成を実現でき、例えば、回転コネクタ装置1を車両に組付けた状態で、ステータ10に対する回転体20の回転を許容することができる。
(14)ステータ10は、回転受け部12を含む。回転規制構造90は、第2保持部材34に設けられ回転軸線A1に対して周方向D2において回転受け部12と接触可能な回転規制部92を含む。回転受け部12および回転規制部92により、回転規制構造90を簡素な構造により実現できる。
(15)回転規制部92は、第2保持部材34から回転軸線A1に対して径方向に突出する。これにより、回転規制構造90を簡素な構造により実現できる。
(16)移動規制構造80は、少なくとも3点で第1保持部材32に対する第2保持部材34の姿勢を保持する。これにより、第1保持部材32に対する第2保持部材34の姿勢が安定する。したがって、第1保持部材32に対する第2保持部材34の傾きを低減することができ、回転コネクタ装置1の組み立て精度が高まる。
(17)回転コネクタ装置1の製造方法は、第1保持部材32および第2保持部材34の間に付勢部材36を配置する工程と、第1保持部材32が回転体20に取り付けられていない状態で、移動規制構造80を介して第2保持部材34を第1保持部材32に取り付ける工程と、第2保持部材34を第1保持部材32に取り付けた後に、ステータ10に対して回転体20およびを回転可能に保持するように第1保持部材32を回転体20に取り付ける工程と、を備える。移動規制構造80は、第1保持部材32が回転体20に取り付けられていない状態で付勢部材36の圧縮状態を保持するように第1保持部材32に対する第2保持部材34の移動を所定の移動範囲MRに規制する、
回転コネクタ装置1の製造方法では、移動規制構造80が、第1保持部材32が回転体20に取り付けられていない状態で付勢部材36の圧縮状態を保持するように第1保持部材32に対する第2保持部材34の移動を所定の移動範囲MRに規制するので、第1保持部材32、第2保持部材34、および付勢部材36を1つのユニットとして取り扱うことができる。これにより、保持構造30を回転体20に取り付ける際の作業性が向上し、回転コネクタ装置1の組み立てが容易になる。
【0086】
なお、本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非規制用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0087】
本願において、「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在していることを暗に意味しているわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在していることを暗に意味しているわけではない。
【0088】
また、本開示における「平行」「直交」および「一致」の表現は、厳密に解釈されるべきではなく、「実質的な平行」「実質的な直交」および「実質的な一致」の意味をそれぞれ含む。また、その他の配置に関する表現も、厳密に解釈されるものではない。
【0089】
また、本開示における「AおよびBのうち少なくとも1つ」という表現は、例えば、(1)Aのみ、(2)Bのみ、および(3)AおよびBの両方、のいずれも包含している。「A、BおよびCのうち少なくとも1つ」という表現は、例えば、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)AおよびB、(5)BおよびC、(6)AおよびC、(7)A、BおよびCの全て、のいずれも包含している。本開示では、「AおよびBのうち少なくとも1つ」という表現は、「Aのうち少なくとも1つおよびBのうち少なくとも1つ」とは解釈されない。
【0090】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 :回転コネクタ装置
10 :ステータ
11 :回転コネクタ装置
12 :回転受け部
30 :保持構造
32 :第1保持部材
34 :第2保持部材
36 :付勢部材
38 :規制受け部
38A :第1規制受け部
38B :第2規制受け部
38C :第3規制受け部
38D :開口
38T :接触面
80 :移動規制構造
82 :規制部材
82A :第1規制部材
82B :第2規制部材
82C :第3規制部材
82E :延伸部
82F :規制面
82G :傾斜面
82T :規制爪
84 :第1規制面
86 :第2規制面
90 :回転規制構造
92 :回転規制部
94 :延伸部
A1 :回転軸線
D1 :軸方向
D2 :周方向
MR :所定の移動範囲
P1 :規制位置
P2 :中間位置
RR :所定の回転範囲
図1
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