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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230823BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230823BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20230823BHJP
【FI】
H02G3/04 018
H02G3/04 087
F16L57/00 A
B60R16/02 623V
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021027420
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022128936
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】足立 貴博
(72)【発明者】
【氏名】奥林 良介
(72)【発明者】
【氏名】内堀 正紀
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 武志
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 務
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-324645(JP,A)
【文献】特開平07-075233(JP,A)
【文献】特開2018-133872(JP,A)
【文献】実開昭62-101330(JP,U)
【文献】特開2018-074837(JP,A)
【文献】特開2012-222947(JP,A)
【文献】特開2019-030064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/30
F16L 57/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテクタ内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、
被装着部材を取付けるアンカー部を挿入するアンカー孔が設けられるとともに、
プロテクタ内部におけるアンカー孔に対応する箇所は、アンカー孔を貫通し、プロテクタ内部に挿入されたアンカー部を囲繞する囲繞部が設けられ、
底面部及び一対の側面部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の開口を塞ぐカバーとが備えられ、
アンカー孔はカバーに設けられ、
囲繞部は、
カバーからプロテクタ内部に向かって延びる周壁部と、
該周壁部の先端部に設けられた底部とが備えられた
プロテクタ。
【請求項2】
底部は、周壁部において対向する箇所を掛け渡す略帯状に形成され、
略帯状の底部と周壁部との間に貫通部が設けられた
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
略帯状の底部の中央付近に、幅方向に拡大された拡大部が設けられた
請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
アンカー孔に対する装着を許容しないアンカー部に設けられた一対の係止部の拡幅を規制するように、周壁部における対向する箇所に、内側に突出する突出規制部が設けられ、
略帯状の底部が、一対の前記突出規制部を掛け渡す構成である
請求項3に記載のプロテクタ。
【請求項5】
アンカー孔は長円状であり、
囲繞部は、アンカー孔よりひとまわり大きな略長円状の断面形状である略筒状であり、
略帯状の底部は、長円状の短手方向に沿って配置された
請求項2乃至請求項4のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項6】
電線の一部が挿通される第1通路部と、電線の他の一部が第1通路部を挿通する電線の一部と異なる配索方向で挿通する第2通路部とが設けられ、
第2通路部は、第1通路部に対して、カバーに対するプロテクタ本体が配置された側に配置され、
第1通路と第2通路部とを傾斜方向に連結する傾斜連結通路が設けられ、
アンカー孔の少なくとも一部は、傾斜連結通路におけるカバーに配置された
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項7】
傾斜連結通路のカバーに、
傾斜面より突出し、第1通路部のカバーと平行なフラット面と、該フラット面と前記傾斜面とを連結する側面とが設けられ、
アンカー孔が前記フラット面に設けられた
請求項6に記載のプロテクタ。
【請求項8】
カバーのプロテクタ内部の側において、側面と周壁部とを連結し、補強する補強リブが設けられた
請求項7に記載のプロテクタ。
【請求項9】
第1通路部と第2通路部とは、
それぞれに挿通される電線の軸線方向が交差する向きで配置された
請求項6乃至請求項8のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項10】
プロテクタ内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、
被装着部材を取付けるアンカー部を挿入するアンカー孔が設けられるとともに、
プロテクタ内部におけるアンカー孔に対応する箇所は、アンカー孔を貫通し、プロテクタ内部に挿入されたアンカー部を囲繞する囲繞部が設けられ、
底面部及び一対の側面部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の開口を塞ぐカバーとが備えられ、
アンカー孔はカバーに設けられ、
囲繞部は、
カバーからプロテクタ内部に向かって延びる周壁部と、
該周壁部の先端部に設けられた底部とが備えられ、
底部は、周壁部において対向する箇所を掛け渡す略帯状に形成され、
略帯状の底部と周壁部との間に貫通部が設けられ、
アンカー孔に対する装着を許容しないアンカー部に設けられた一対の係止部の拡幅を規制するように、周壁部における対向する箇所に、内側に突出する突出規制部が設けられ、
略帯状の底部が、一対の前記突出規制部を掛け渡す構成である
プロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部を挿通する電線を保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の電装系においては、多数の電線を、例えば特許文献1に開示するようなワイヤーハーネス用のプロテクタ内部に挿通することにより、電線を外部に搭載された他の部材との干渉から保護している。
【0003】
すなわち、特許文献1に開示されたプロテクタは、断面凹状のプロテクタ本体と、プロテクタ本体の上方開口部を覆う蓋体とを備えている。そして、多数の電線をプロテクタ本体に挿通した後に、プロテクタ本体の側壁外方に設けたロック機構を介して、蓋体をプロテクタ本体に固定することで、多数の電線を収容保持するように構成している。
【0004】
ところで、近年においては、自動車のコンパクト化に加えて、車載電装品の数量、種類が増加傾向にあり、これに伴って、ワイヤーハーネスを構成する電線が増加している。特に、電気自動車等の車両においては、電線の増加が顕著である。しかしながら、このように電線が増加している状況であっても、充分な車室内空間を確保することが要請される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平6-70415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題を鑑み、プロテクタ外部空間を有効活用することができるプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、プロテクタ内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、被装着部材を取付けるアンカー部を挿入するアンカー孔が設けられるとともに、プロテクタ内部におけるアンカー孔に対応する箇所は、アンカー孔を貫通し、プロテクタ内部に挿入されたアンカー部を囲繞する囲繞部が設けられ、底面部及び一対の側面部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の開口を塞ぐカバーとが備えられ、アンカー孔はカバーに設けられ、囲繞部は、カバーからプロテクタ内部に向かって延びる周壁部と、該周壁部の先端部に設けられた底部とが備えられたことを特徴とする。
上述の被装着部材は、ワイヤーハーネスであってもよいし、ワイヤーハーネスを挿通させて保護するコルゲートやシールド管などの外装部材であってもよい。
【0008】
この発明により、アンカー部に取付けられたプロテクタの外部の被装着部材と、プロテクタの内部を挿通する電線とを一箇所に集約することができるので、プロテクタの外部空間を有効活用することができる。また、囲繞部にてプロテクタ内部に挿通される電線と、アンカー孔に係止されるアンカー部とが干渉することを防止できるため、電線の保護を図ることができる。
【0009】
また、底面部及び一対の側面部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の開口を塞ぐカバーとが備えられ、アンカー孔はカバーに設けられていることにより、カバーに設けられたアンカー孔に対して容易にアンカー部を取付けることができ、アンカー部の取付け作業の作業効率向上を図ることができる。
【0010】
た、囲繞部は、カバーからプロテクタ内部に向かって延びる周壁部と、該周壁部の先端部に設けられた底部とが備えられていることにより、プロテクタの内部空間とアンカーとの間に周壁部及び底部が配置される。これにより、底部にてプロテクタ内部に挿通される電線をより確実に保護することができ、電線とアンカー部との意図しない干渉を防止でき、この干渉防止によりアンカー部の脱落を防止することができる。
【0011】
またこの発明の態様として、底部は、周壁部において対向する箇所を掛け渡す略帯状に形成され、略帯状の底部と周壁部との間に貫通部が設けられてもよい。
この発明により、貫通部を利用して、必要に応じてアンカー部を取外すことができる。
【0012】
またこの発明の態様として、略帯状の底部の中央付近に、幅方向に拡大された拡大部が設けられてもよい。
この発明により、底部の中央付近に拡大部を設けることで、当該底部の剛性向上を図ることができる。
【0013】
またこの発明の態様として、アンカー孔に対する装着を許容しないアンカー部に設けられた一対の係止部の拡幅を規制するように、周壁部における対向する箇所に、内側に突出する突出規制部が設けられ、略帯状の底部が、一対の前記突出規制部を掛け渡す構成としてもよい。
【0014】
上述のアンカー孔に対応しないアンカー部とは、例えば、アンカー孔の正規の挿入方向に対して異なる方向から挿入したアンカー部や、アンカー孔に対応する規格でないアンカーを含む。
【0015】
この発明により、例えば、アンカー部を正規の挿入方向に対して約90度水平方向に回転した異なる方向から挿入しようとしても、突出規制部により異なる方向からの挿入が抑制される。万一、異なる方向からアンカー部が挿入された場合であっても、アンカー部の一対の係止部が拡幅することを突出規制部にて防止でき、アンカー部の誤挿入防止を図ることができる。また、突出規制部によりアンカー部の一対の係止部が拡幅しないため、誤挿入されたアンカー部の取外しも容易となる。
【0016】
またこの発明の態様として、アンカー孔は長円状であり、囲繞部は、アンカー孔よりひとまわり大きな略長円状の断面形状である略筒状であり、略帯状の底部は、長円状の短手方向に沿って配置されてもよい。
この発明により、囲繞部の長円状の短手方向に沿って略帯状の底部を配置することで、囲繞部の剛性向上を図ることができる。
【0017】
またこの発明の態様として、電線の一部が挿通される第1通路部と、電線の他の一部が第1通路部を挿通する電線の一部と異なる配索方向で挿通する第2通路部とが設けられ、第2通路部は、第1通路部に対して、カバーに対するプロテクタ本体が配置された側に配置され、第1通路と第2通路部とを傾斜方向に連結する傾斜連結通路が設けられ、アンカー孔の少なくとも一部は、傾斜連結通路におけるカバーに配置されてもよい。
【0018】
この発明により、傾斜連絡通路に対応するカバーの位置に、アンカー孔の少なくとも一部を配置することで、アンカー孔が形成されたカバーの位置を低く抑えることができ、当該カバー位置の高さを規制し、このカバー位置より上方の空間を広く確保することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、傾斜連結通路のカバーに、傾斜面より突出し、第1通路部のカバーと平行なフラット面と、該フラット面と前記傾斜面とを連結する側面とが設けられ、アンカー孔が前記フラット面に設けられてもよい。
【0020】
この発明により、フラット面にアンカー孔を設けることで、アンカー孔に対するアンカー部の取付けを確実に行なうことができ、アンカー部の取付け安定性を確保することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、カバーのプロテクタ内部の側において、側面と周壁部とを連結し、補強する補強リブが設けられてもよい。
この発明により、補強リブが側面と周壁部との間に設けられているので、当該補強リブにより周壁部と側面との剛性の向上を図ることができる。また、補強リブをカバーの外方に設けることなく、カバー内における側面と周壁部との間のデッドスペースに設けることで、カバー外部空間にはリブ形成用の占有スペースが不要となり、これにより、カバー外部空間の確保ができる。
【0022】
またこの発明の態様として、第1通路部と第2通路部とは、それぞれに挿通される電線の軸線方向が交差する向きで配置されてもよい。
この発明により、第1通路部に挿通される電線と、第2通路部に挿通される電線とを、交差する向きに分岐させることができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明により、プロテクタ外部空間を有効活用することができるプロテクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】プロテクタの平面図。
図2】プロテクタ本体に挿入された電線の平面図。
図3】プロテクタの斜視図。
図4】プロテクタの斜視図。
図5】プロテクタの左側面図。
図6】プロテクタの断面図。
図7】プロテクタの断面図。
図8】プロテクタの断面図。
図9】カバーの平面図。
図10】カバーの底面図。
図11】囲繞部の拡大底面図。
図12】アンカー部を取付けたプロテクタの部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
図1はプロテクタ1の平面図を示し、図2はプロテクタ本体2に挿入された電線の配索構造の平面図を示し、図3はプロテクタの斜視図を示し、図4図3とは異なる方向から見たプロテクタの斜視図を示し、図5はプロテクタの左側面図を示す。
【0026】
図6図1におけるA-A線矢視断面図を示し、図7図1におけるB-B線矢視断面図を示し、図8図1におけるC-C線矢視断面図を示す。
なお、図中、矢印Fはプロテクタの前方を示し、矢印Rはプロテクタの後方を示し、矢印RIはプロテクタの右方を示し、矢印LEはプロテクタの左方を示し、矢印UPはプロテクタの上方を示す。
【0027】
プロテクタ1は、図1及び図2に示すように、プロテクタ本体2と、プロテクタ本体2の開口としての上方開口部を上方から着脱可能に塞ぐカバー30とを備えている。なお、プロテクタ本体2及びカバー30はいずれも合成樹脂製である。
【0028】
プロテクタ1は、図2に示すように、第1通路部11と、第2通路部12と、第3通路部13と、第1通路部11と第2通路部12とを傾斜方向に連結する傾斜連結通路14とを備えている。
【0029】
第1通路部11は、右側挿通口3と左側挿通口4との間に、電線の一部としての第1ワイヤーハーネスWH1を挿通する通路部である。
第2通路部12は、前側挿通口5と、前側挿通口5の内奥部が傾斜連結通路14を介して連結される第1通路部11との間に、電線の他の一部として第1ワイヤーハーネスWH1から分岐した第2ワイヤーハーネスWH2を、第1ワイヤーハーネスWH1と異なる配索方向で挿通する通路部である。
【0030】
第3通路部13は、プロテクタ1の左側前後方向中間に位置する中間挿通口6と第1通路部11の左部との間に、電線のさらに他の一部として第1ワイヤーハーネスWH1から分岐した第3ワイヤーハーネスWH3を、第1ワイヤーハーネスWH1と第2ワイヤーハーネスWH2と異なる配索方向で挿通する通路部である。
【0031】
第2通路部12は、図2及び図4に示すように、第1通路部11に対して、カバー30に対するプロテクタ本体2が配置された側に配置されている。
詳しくは、第1通路部11は、第1ワイヤーハーネスWH1を挿通するコルゲートパイプ21の外径に相当する通路容積を有する。一方、第2通路部12は第1ワイヤーハーネスWH1から分岐された第2ワイヤーハーネスWH2の外径に相当する通路容積を有する。
【0032】
また、コルゲートパイプ21の外径に相当する通路容積の上下方向高さに対し、第2ワイヤーハーネスWH2の外径に相当する通路容積の上下方向高さは低く形成されている。このため、第2通路部12は、第1通路部11に対して、カバー30に対するプロテクタ本体2が配置された側に配置されることになる。
【0033】
プロテクタ本体2は、図2に示すように、フルフラットな底面部7と、この底面部7に立設した以下に述べる側面部としての各壁8~10,15~18により断面凹状に形成されている。
【0034】
すなわち、底面部7には、右側挿通口3及び左側挿通口4を含む第1通路部11の後側面を形成する後壁8と、右側挿通口3の前側面を形成する前壁9と、左側挿通口4の前側面を形成する前壁10と、前側挿通口5の右側面を形成する右壁15と、前側挿通口5を含む第2通路部12の左側面を形成する左壁16と、中間挿通口6を含む第3通路部13の左側面を形成する左壁17と、前壁9の左端と右壁15の後端とを傾斜状に連結する傾斜壁18とが立設形成されている。
【0035】
第1通路部11のプロテクタ本体2側は、図2に示すように、底面部7と、後壁8と、前壁9,10とで左右方向に延びる断面凹状に形成されており、この第1通路部11には第1ワイヤーハーネスWH1が挿通されている。
【0036】
第2通路部12のプロテクタ本体2側は、底面部7と、右壁15と、左壁16とで前後方向に延びる断面凹状に形成されており、この第2通路部12には、傾斜連結通路14を介して、第1ワイヤーハーネスWH1から分岐された第2ワイヤーハーネスWH2が挿通されている。
【0037】
第3通路部13のプロテクタ本体2側は、底面部7と、左壁16,17とで前後斜め方向に延びる断面凹状に形成されており、この第3通路部13には、第1ワイヤーハーネスWH1から分岐された第3ワイヤーハーネスWH3が挿通されている。
【0038】
ここで、第1通路部11と第2通路部12とは、それぞれに挿通される電線としての第1ワイヤーハーネスWH1、第2ワイヤーハーネスWH2の軸線方向が交差する向きで配置されている。これにより、第1通路部11に挿通される第1ワイヤーハーネスWH1と、第2通路部12に挿通される第2ワイヤーハーネスWH2とを、交差する向きに分岐させ得るように構成している。
【0039】
後壁8、前壁9、左壁16,17、傾斜壁18の外側上部には、図2に示すように、カバー30側の係止舌片43を係止するため、係合孔19を有する係合部20が設けられている(図3及び図4参照)。
【0040】
一方、図2に示すように、第1ワイヤーハーネスWH1が右側挿通口3を挿通する部位は、コルゲートパイプ21で保護されている。このコルゲートパイプ21は複数のリング状の凹溝部21aを有している。
【0041】
コルゲートパイプ21が挿通配置される右側挿通口3の内部には、図2及び図4図5図7に示すように、コルゲートパイプ21の凹溝部21aに嵌入してコルゲートパイプ21の位置規制を行なうU字形状の複数の規制部22がプロテクタ本体2に一体形成されている。
【0042】
次に、図9及び図10に基づき、カバー30について簡単に説明する。
図9はカバー30の平面図を示し、図10はカバー30の底面図を示す。である。
【0043】
カバー30は、図2及び図10に示すように、プロテクタ内部の第1通路部11、第2通路部12、第3通路部13を挿通する第1ワイヤーハーネスWH1、第2ワイヤーハーネスWH2、第3ワイヤーハーネスWH3を、図2に示すプロテクタ本体2とともに、保護するものである。
【0044】
このカバー30は、図1及び図9に示すように、第1通路部11における右側過半部の上壁を形成する第1カバー部31と、第2通路部12の上壁を形成する第2カバー部32と、第3通路部13の上壁を形成する第3カバー部33と、傾斜連結通路14の上壁を形成する第4カバー部34とを備えている。
【0045】
第1カバー部31の左端部には、段下げ部36を介して第1通路部11の左側端部の上壁を形成する第5カバー部35が設けられている。
第5カバー部35と第3カバー部33とは、図3及び図4図5に示すように、第5カバー部35から下方に延びる連結壁37で連結されている。
【0046】
第2カバー部32の後部と第3カバー部33とは、図3及び図5に示すように、第2カバー部32の後部から下方に延びる連結壁38で連結されている。
カバー30には、図7及び図8図10に示すように、プロテクタ本体2側の後壁8側の上部外側を覆う第1サイドカバー部39が垂下形成されている。
【0047】
また、カバー30には、図4及び図7図8図10に示すように、プロテクタ本体2側の前壁9、右壁15、傾斜壁18の上部外側を一体的に覆う第2サイドカバー部40が垂下形成されている。
【0048】
さらに、カバー30には、図3及び図10に示すように、プロテクタ本体2側の左壁16の上部外側を覆う第3サイドカバー部41が垂下形成されている。
さらにまた、カバー30には、図3及び図6図10に示すように、プロテクタ本体2側の左壁17の上部外側を覆う第4サイドカバー部42が垂下形成されている。
【0049】
これらの各サイドカバー部39~42におけるプロテクタ本体2側の係合部20と対向する位置には、先端に係止爪43aを有する係止舌片43が下方に向けて突出形成されている。
そして、カバー30側の各係止舌片43を、プロテクタ本体2側の各係合部20における係合孔19に上方から係入し、係止舌片43の係止爪43aを係合部20に係合させることで、プロテクタ本体2にカバー30を取付け、プロテクタ本体2の上方開口部をカバー30で塞ぐように構成している。
【0050】
第1カバー部31における右側挿通口3の内部には、図7及び図10に示すように、コルゲートパイプ21の凹溝部21aに上側から嵌入して、コルゲートパイプ21の位置規制を行なう下面が円弧形状の複数の規制部44がカバー30に一体形成されている。
【0051】
カバー30の第1カバー部31、第2カバー部32、第3カバー部33、第5カバー部35は、図3及び図4図7に示すように、フラットに形成されている。
また、図7に示すように、プロテクタ本体2に対してカバー30を取付けた状態において、プロテクタ本体2の底面部7からカバー30の第2カバー部32までの高さH1は、プロテクタ本体2の底面部7からカバー30の第1カバー部31までの高さH2に対して低く形成されている。すなわち、H1<H2の関係式が成立するように形成している。
【0052】
これにより、第2通路部12が、第1通路部11に対して、カバー30に対するプロテクタ本体2が配置された側、つまり下側に位置するように構成している。
詳しくは、第1通路部11の底面と第2通路部12の底面とは共通するフルフラット構造の底面部7により構成されており、第1通路部11の上方を覆う第1カバー部31の高さH2に対して、第2通路部12の上方を覆う第2カバー部32の高さH1が低く形成されているので、第2通路部12の上部は第1通路部11の上部に対して相対的に下側に位置するように構成されている。
【0053】
高さH2が高い第1カバー部31と、高さH1が低い第2カバー部32とは、図4に示すように、第1カバー部31から第2カバー部32にかけて斜め下方に傾斜する第4カバー部34で連結している。
【0054】
続いて、カバー30に設けられたアンカー用台座45及びアンカー用台座45に設けたアンカー孔46、囲繞部47、について説明する。
【0055】
図11図10の要部拡大図、図12(a)は図6にアンカー部を取付けた状態で示す部分拡大断面図、図12(b)は図8にアンカー部を取付けた状態で示す部分拡大断面図である。
【0056】
カバー30には、図3及び図4に示すように、アンカー部70(図12参照)を取付けるアンカー用台座45が設けられている。
アンカー部70は、図12に示すように、挿入軸部71と、該挿入軸部71の先端に設けられた一対の係止部72,72と、被装着部材としての第4ワイヤーハーネスWH4を締付け固定するクランプバンド73と、該クランプバンド73を保持する保持部74と、断面が球面形状に形成された弾性フランジ75とを備えている。
【0057】
アンカー用台座45は、図3及び図4図9に示すように、傾斜連結通路14を覆う傾斜状の第4カバー部34と、第2通路部12を覆う第2カバー部32の後部から上方に突出するように設けられている。
【0058】
このアンカー用台座45は、前側面部45aと、右側面部45bと、左側面部45cと、後側面部45dと、これら各側面部45a~45dの上端を閉塞するフラット面(つまり平坦面)としてのトップデッキ45eとを有する略角筒形状に構成されている。
トップデッキ45eは、第1通路部11を覆う第1カバー部31と平行なフラット面に形成されている。
【0059】
前側面部45aはトップデッキ45eと第2カバー部32とを上下方向に連結している。右側面部45b及び左側面部45cはトップデッキ45eと傾斜面としての第4カバー部34とを上下方向に連結している。また、後側面部45dはトップデッキ45eと第1カバー部31の前端部とを上下方向に連結している。
【0060】
このように、第4カバー部34(傾斜面)を介して、第1カバー部31と第2カバー部32との間に、アンカー用台座45を設けることで、アンカー用台座45により第1カバー部31と第2カバー部32の間(特に、第1カバー部31と第2カバー部32の間の段差部)の剛性向上を図ることができる。
【0061】
トップデッキ45eには、図3及び図4図9に示すように、アンカー部70を挿入する長円形状のアンカー孔46が設けられている。このアンカー孔46の少なくとも一部は、傾斜連結通路14を覆う第4カバー部34と上下方向に対向する位置に開口形成されている。
【0062】
プロテクタ本体2に対してカバー30を取付けた状態において、プロテクタ本体2の底面部7からアンカー用台座45のトップデッキ45eまでの高さH3は、プロテクタ本体2の底面部7からカバー30の第1カバー部31までの高さH2に対して若干高く形成されている。すなわち、H2<H3の関係式が成立するように形成している(図7参照)。
【0063】
プロテクタ1の内部、詳しくは、カバー30のアンカー用台座45の内部におけるアンカー孔46に対応する箇所は、図10及び図11に示すように、アンカー孔46を貫通し、プロテクタ1の内部に挿入されたアンカー部70(特に、挿入軸部71の先端と一対の係止部72)を囲繞する囲繞部47が設けられている。
【0064】
これにより、囲繞部47にてプロテクタ1内部に挿通される電線(この実施形態では第2ワイヤーハーネスWH2)と、アンカー孔46に係止されるアンカー部70との干渉を回避して、電線の保護できる。
【0065】
しかも、アンカー部70に取付けられたプロテクタ1外部の被装着部材としての第4ワイヤーハーネスWH4と、プロテクタ1内部を挿通する電線としての第1ワイヤーハーネスWH1、第2ワイヤーハーネスWH2,第3ワイヤーハーネスWH3とを一箇所に集約している。このため、プロテクタ1の外部空間を有効活用することができる。
【0066】
また、アンカー孔46をカバー30に設けることで、カバー30に設けられたアンカー孔46に対して容易にアンカー部70を取付けることができ、アンカー部70の取付け作業の作業効率向上を図ることができる。
【0067】
ここで、アンカー孔46に対してアンカー部70を取付けるには、図12に示すように、挿入軸部71先端の一対の係止部72,72を、アンカー孔46の長円形状の長軸方向に向ける。この状態でアンカー部70を下方に押し込むと、一対の係止部72,72が窄みながらアンカー孔46を通過し、通過完了時に一対の係止部72,72が弾性力により元位置に復帰することで、一対の係止部72,72と弾性フランジ75との間でアンカー孔46の孔縁が挟持される。これにより、アンカー孔46に対してアンカー部70を取付けることができる。
【0068】
囲繞部47は、図10及び図11に示すように、カバー30におけるアンカー用台座45のトップデッキ45eからプロテクタ1内部、すなわち、プロテクタ本体2側に向かって延びる周壁部48と、この周壁部48の先端部(つまり、下端部)に設けられた底部49とを備えている。
【0069】
これにより、底部49にてプロテクタ1内部に挿通される電線としての第2ワイヤーハーネスWH2をより一層確実に保護し、第2ワイヤーハーネスWH2とアンカー部70との意図しない干渉を防止できる。また、この干渉防止によりアンカー部70の一対の係止部72,72間が不用意に狭まることを抑制し、以て、アンカー部70の脱落を防止できる。
【0070】
底部49は、図10及び図11に示すように、周壁部48において対向する箇所を掛け渡す略帯状に形成されており、略帯状の底部49の外側と周壁部48の内側との間に、アンカー孔46と連通する貫通部50が設けられている。
【0071】
貫通部50は、図10に示すように、長円形状のアンカー孔46における円弧部分と対向するような半円状で構成されている。
このように、アンカー孔46と連通する貫通部50を利用して、必要に応じてアンカー部70をアンカー用台座45のアンカー孔46から取外すことができる。
【0072】
略帯状の底部49の長手方向中央付近には、図10及び図11に示すように、底部49の左右の側端面から幅方向に拡大された膨出形状の左右一対の拡大部49a,49aが一体形成されている。
【0073】
このように、底部49の中央付近に拡大部49aを設けることで、底部49の剛性を向上できる。また、半円状に構成された貫通部50の円頂に対応する位置に拡大部49aが配置されるため、アンカー部70の取外し時において、拡大部49aが邪魔になることがなく、より確実且つ容易にアンカー部70を取り外すことができる。
【0074】
また、アンカー孔46に対して装着を許容しないアンカー部に設けられた一対の係止部の拡幅を規制するように、周壁部48における対向する箇所に、周壁部48から内側に突出する突出規制部51,51が設けられている。より具体的には、突出規制部51は周壁部48の短手方向において対向する箇所に設けられている(図10及び図11参照)。
【0075】
ここで、アンカー孔46は長円形状に形成されているため、アンカー部70の一対の係止部72,72が長円形状のアンカー孔46の長軸方向に対応する方向が正規の挿入方向となる。すなわち、アンカー部70の一対の係止部72,72が長円形状のアンカー孔46の短手方向に対応する方向が非正規の挿入方向となる。
【0076】
また、突出規制部51はアンカー孔46の孔縁より内側へ突出しないように、突出規制部51の突出端面はアンカー孔46の孔縁と面一になるように形成されている(図7及び図8参照)。さらに、略帯状の底部49が、一対の突出規制部51,51の下端相互間を掛け渡すように構成している。
【0077】
このように、突出規制部51を設けることで、アンカー部70を正規の挿入方向に対して90度回転した異なる方向から挿入しようとしても、突出規制部51により異なる方向からの挿入を抑制できる。
また、万一、異なる方向からアンカー部70が挿入された場合であっても、該アンカー部70の一対の係止部72,72が拡幅することを突出規制部51にて防止し、アンカー部70の誤挿入防止できる。さらにまた、突出規制部51によりアンカー部70の一対の係止部72,72が拡幅しないことで、アンカー部70を容易に取外しできる。
【0078】
アンカー孔46は長円形状であり、囲繞部47はアンカー孔46よりも一回り大きな略長円状の断面形状である略筒状であって、略帯状の底部49は囲繞部47における長円形状の短手方向に沿って配置されている(図11参照)。
このように、囲繞部47の長円状の短手方向に沿って略帯状の底部49を配置することで、囲繞部47の剛性を向上できる。
【0079】
カバー30のプロテクタ1内部側において、図6及び図11に示すように、アンカー用台座45の右側面部45b及び左側面部45cと、囲繞部47の周壁部48とを左右方向に連結し、補強する補強リブ52,52が設けられている。
【0080】
これにより、補強リブ52により周壁部48及びアンカー用台座45の剛性の向上を図るように構成している。また、補強リブ52をカバー30の外方に設けることなく、カバー30内における左右の側面部45c,45bと周壁部48との間のデッドスペースに設けることで、カバー30の外部空間にはリブ形成用の占有スペースが不要となる。したがって、カバーの外部空間の確保できる。
【0081】
また、補強リブ52は、周壁部48と各側面部45b,45cとを単に左右方向に連結するのみならず、図6及び図11に示すように、アンカー用台座45のトップデッキ45e下面に対して一体形成されている。これにより、補強リブ52にてアンカー用台座45の剛性をさらに向上させるように構成している。
【0082】
さらに、図11に示すように、補強リブ52に加えて、アンカー用台座45の前側面部45a及び後側面部45dと、囲繞部47の周壁部48とを前後方向に連結し、補強するそれぞれ2条の第2補強リブ53,53が設けられている。なお、第2補強リブ53,53は突出規制部51の突出基部から前後方向に延びている。
【0083】
第2補強リブ53を設けることで、アンカー用台座45及び突出規制部51のさらなる剛性向上を図るように構成している。また第2補強リブ53も補強リブ52と同様に、カバー30の外方に設けることなく、カバー30内における前後の側面部45a,45dと周壁部48との間のデッドスペースに設けられている。これにより、カバー30の外部空間にはリブ形成用の占有スペースが不要となり、カバー外部空間の確保できる。
【0084】
なお、第2補強リブ53は、周壁部48と各側面部45a,45dとを単に前後方向に連結するのみならず、図7及び図8図11に示すように、アンカー用台座45のトップデッキ45e下面に対して一体形成されている。これにより、第2補強リブ53にてアンカー用台座45の剛性をさらに向上できる。
【0085】
しかも、図1及び図2に示すように、傾斜連結通路14に対応する第4カバー部34と対向するアンカー用台座45のトップデッキ45eに、アンカー孔46の少なくとも一部を配置している。これにより、アンカー孔46が形成されたアンカー用台座45のトップデッキ45eの高さ位置を低く抑え、カバー30全体の高さを規制でき、このカバー30より上方の空間を広く確保できる。
【0086】
詳しくは、図7に示すように、アンカー用台座45におけるトップデッキ45eの第2カバー部32からの突出高さh2に対して、アンカー用台座45におけるトップデッキ45eの第1カバー部31からの突出高さh1が小さくなり、h1<h2の関係式が成立するように構成している。これにより、アンカー孔46が形成されたアンカー用台座45のトップデッキ45eの高さ位置を低く抑えるように成している。
【0087】
仮に、アンカー用台座45の全体を第1カバー部31から突出して設ける場合には、突出高さh2に相当するアンカー用台座45の高さが必要となり、トップデッキ45eの高さ位置を低く抑えることができない。
【0088】
さらにまた、アンカー用台座45のトップデッキ45eはフラット面であって、このフラット面(トップデッキ45e)にアンカー孔46を設けることで、アンカー孔46に対するアンカー部70の取付けを確実に行ない、アンカー部70の取付け安定性を確保できる。
【0089】
このように内部を挿通する第1ワイヤーハーネスWH1及び第2ワイヤーハーネスWH2を保護するプロテクタ1は、第4ワイヤーハーネスWH4を取付けるアンカー部70を挿入するアンカー孔46が設けられる。また、プロテクタ1の内部におけるアンカー孔46に対応する箇所は、アンカー孔46を貫通し、プロテクタ1内部に挿入されたアンカー部70を囲繞する囲繞部47が設けられている。
【0090】
これにより、アンカー部70に取付けられたプロテクタ1外部の第4ワイヤーハーネスWH4と、プロテクタ1内部を挿通する第1ワイヤーハーネスWH1及び第2ワイヤーハーネスWH2とを一箇所に集約することができるので、プロテクタ1の外部空間を有効活用することができる。
【0091】
また、囲繞部47にてプロテクタ1内部に挿通される第1ワイヤーハーネスWH1及び第2ワイヤーハーネスWH2と、アンカー孔46に係止されるアンカー部70とが干渉することを防止できるため、第1ワイヤーハーネスWH1及び第2ワイヤーハーネスWH2とを保護できる。
【0092】
また、各壁8~10,15~18及び底面部7を有する断面凹状のプロテクタ本体2と、プロテクタ本体2の開口を塞ぐカバー30とが備えられ、アンカー孔46はカバー30に設けられている。これにより、カバー30に設けられたアンカー孔46に対して容易にアンカー部70を取付けることができ、アンカー部70の取付け作業の作業効率向上を図ることができる。
【0093】
さらに、囲繞部47は、カバー30からプロテクタ1内部に向かって延びる周壁部48と、該周壁部48の先端部に設けられた底部49とが備えられているため、プロテクタ1の内部空間とアンカー部70との間に周壁部48及び底部49が配置される。これにより、底部49にてプロテクタ1の内部に挿通される第1ワイヤーハーネスWH1及び第2ワイヤーハーネスWH2をより確実に保護することができ、電線とアンカー部70との意図しない干渉を防止でき、この干渉防止によりアンカー部70の脱落を防止することができる。
【0094】
さらにまた、底部49は、周壁部48において対向する箇所を掛け渡す略帯状に形成され、略帯状の底部49と周壁部48との間に貫通部50が設けられている。これにより、貫通部50を利用して、必要に応じてアンカー部70を取外すことができる。
加えて、略帯状の底部49の中央付近に、幅方向に拡大された拡大部49aが設けられたことにより、底部49の剛性を向上できる。
【0095】
また、アンカー孔46に対して装着を許容しないアンカー部に設けられた一対の係止部の拡幅を規制するように、周壁部48における対向する箇所に、内側に突出する突出規制部51が設けられ、略帯状の底部49が、一対の突出規制部51を掛け渡す構成としている。
【0096】
これにより、アンカー部70を正規の挿入方向に対して約90度水平方向に回転した異なる方向から挿入しようとしても、突出規制部51により異なる方向からの挿入が抑制される。万一、異なる方向からアンカー部70が挿入された場合であっても、該アンカー部70の一対の係止部72が拡幅することを突出規制部51にて防止でき、アンカー部70の誤挿入防止を図ることができる。また、突出規制部51によりアンカー部70の一対の係止部72が拡幅しないため、誤挿入されたアンカー部70の取外しも容易となる。
【0097】
さらにまた、アンカー孔46は長円状であり、囲繞部47は、アンカー孔46よりひとまわり大きな略長円状の断面形状である略筒状であり、略帯状の底部49は、長円状の短手方向に沿って配置されたことにより、囲繞部47の長円状の短手方向に沿って略帯状の底部49を配置することで、囲繞部47の剛性向上を図ることができる。
【0098】
加えて、第1ワイヤーハーネスWH1が挿通される第1通路部11と、第2ワイヤーハーネスWH2が第1通路部11を挿通する第1ワイヤーハーネスWH1と異なる配索方向で挿通する第2通路部12とが設けられている。また、第2通路部12は、第1通路部11に対して、カバー30に対するプロテクタ本体2が配置された側に配置され、第1通路部11と第2通路部12とを傾斜方向に連結する傾斜連結通路14が設けられている。そして、アンカー孔46の少なくとも一部は、傾斜連結通路14におけるカバー30に配置されている。これにより、傾斜連結通路14に対応するカバー30の位置に、アンカー孔46の少なくとも一部が配置され、アンカー孔46が形成されたカバー30の位置を低く抑えることができる。したがって、カバー30位置の高さを規制し、このカバー30位置より上方の空間を広く確保することができる。
【0099】
また、傾斜連結通路14のカバー30に、第4カバー部34より突出し、第1通路部11のカバー30と平行なトップデッキ45eと、トップデッキ45eと第4カバー部34とを連結する右側面部45b及び左側面部45cとが設けられ、アンカー孔46がトップデッキ45eに設けられている。これにより、アンカー孔46に対するアンカー部70の取付けを確実に行なうことができ、アンカー部70の取付け安定性を確保することができる。
【0100】
さらに、カバー30のプロテクタ1内部の側において、右側面部45b及び左側面部45cと周壁部48とを連結し、補強する補強リブ52が設けられたことにより、補強リブ52により周壁部48と右側面部45b及び左側面部45cとの剛性の向上を図ることができる。
【0101】
また、補強リブ52をカバー30の外方に設けることなく、カバー30内における右側面部45b及び左側面部45cと周壁部48との間のデッドスペースに設けることで、カバー30外部空間にはリブ形成用の占有スペースが不要となり、これにより、カバー外部空間の確保ができる。
【0102】
さらにまた、第1通路部11と第2通路部12とは、それぞれに挿通される第1ワイヤーハーネスWH1及び第2ワイヤーハーネスWH2の軸線方向が交差する向きで配置されている。これにより、第1通路部11に挿通される第1ワイヤーハーネスWH1と、第2通路部12に挿通される第2ワイヤーハーネスWH2とを、交差する向きに分岐させることができる。
【0103】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明のプロテクタは、プロテクタ1に対応し、以下同様に、
プロテクタ本体は、プロテクタ本体2に対応し、
側面部は、後壁8、前壁9,10、右壁15、左壁16,17、傾斜壁18に対応し、
第1通路部は、第1通路部11に対応し、
第2通路部は、第2通路部12に対応し、
傾斜連結通路は、傾斜連結通路14に対応し、
カバーは、カバー30に対応し、
傾斜面は、第4カバー部34に対応し、
側面は、右側面部45b、左側面部45cに対応し、
フラット面は、トップデッキ45eに対応し、
アンカー孔は、アンカー孔46に対応し、
囲繞部は、囲繞部47に対応し、
周壁部は、周壁部48に対応し、
底部は、底部49に対応し、
拡大部は、拡大部49aに対応し、
貫通部は、貫通部50に対応し、
突出規制部は、突出規制部51に対応し、
補強リブは、補強リブ52に対応し、
アンカー部は、アンカー部70に対応し、
係止部は、係止部72に対応し、
電線は、第1ワイヤーハーネスWH1、第2ワイヤーハーネスWH2に対応し、
被装着部材は、第4ワイヤーハーネスWH4に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0104】
例えば、本実施形態において、アンカー用台座45は角筒形状としたが、これは円筒状、長円筒状、楕円筒状、あるいは多角筒状と成してもよい。
また、補強リブ52、第2補強リブ53の数量は本実施形態のものに限定されるものではない。さらに、囲繞部47と角筒形状のアンカー用台座45の4つのコーナ部とを放射状に連結する補強リブを設ける構造を採用してもよい。
【0105】
さらに、底部49の中央付近に設ける拡大部49aは、実施形態の膨出状のものに代えて、ドグ(dog)形状の拡大部を採用してもよい。
また、本実施形態において、アンカー孔46に対応しないアンカー部70として、アンカー孔46の正規の挿入方向に対して異なる方向から挿入したアンカー部70としているが、例えば、アンカー孔46に対応する規格でないアンカーとしてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…プロテクタ
2…プロテクタ本体
8…後壁
9,10…前壁
11…第1通路部
12…第2通路部
14…傾斜連結通路
15…右壁
16,17…左壁
18…傾斜壁
30…カバー
34…第4カバー部
45b…右側面部
45c…左側面部
45e…トップデッキ
46…アンカー孔
47…囲繞部
48…周壁部
49…底部
50…貫通部
51…突出規制部
52…補強リブ
70…アンカー部
72…係止部
WH1…第1ワイヤーハーネス
WH2…第2ワイヤーハーネス
WH4…第4ワイヤーハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12