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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ケーブル配索構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20230823BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
H02G11/00
B60R16/02 620A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021509656
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014153
(87)【国際公開番号】W WO2020196860
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2019063483
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】奥村 政宏
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220518(JP,A)
【文献】特開2012-257344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00-11/02
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項12】
前記外部収容部は、
前記車体において前記固定レールを固定したフロア部に埋設された
請求項1乃至11のうちいずれかに記載のケーブル配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して配索して給電するフレキシブルフラットケーブルのケーブル配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対して給電するための給電装置が多数提案されている。そのような給電装置のひとつである特許文献1に記載のスライドシート用給電装置は、一端側がスライドシート側に接続されたワイヤーハーネスをハーネス収容部に収容し、ハーネス収容部の内においてUターン状に収容されたワイヤーハーネスのUターン部がスライドシートのスライドに伴って移動することで、スライドシートのスライドにワイヤーハーネスが追従できるように構成されている。
【0003】
しかしながら、このようなUターン状に収容されたワイヤーハーネスのUターン部がスライドシートのスライドに伴って移動するため、Uターン部がスライドシートのスライドに伴って移動できるだけの空間をレール側方に確保する必要があり、レール側方のスペースを活用することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-22413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述した問題を鑑み、レール側方のスペースを活用することができるケーブル配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車体に固定した固定レールの長手方向に沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対してフレキシブルフラットケーブルを配索するケーブル配索構造であって、前記車体に固定した前記固定レールと、該固定レールの長手方向に沿って進退可能に前記スライドシートをスライド支持する移動体と、一端側が前記移動体に固定された前記フレキシブルフラットケーブルとが備えられ、前記固定レールは、底部と、前記底部の幅方向両側から立設する外側壁部、前記外側壁部の上部から幅方向内側に延設された上壁部、及び前記上壁部の幅方向内側から前記底部に向かって延設された内壁部とを備え、前記底部、前記外側壁部、前記上壁部、及び前記内壁部とで構成される囲み部が前記底部の幅方向両側に設けられ、前記フレキシブルフラットケーブルが、前記固定レールの幅方向両側に設けられた前記囲み部のうち第1囲み部の内部に配索されるとともに、外部に引き出され、外部に引き出された前記フレキシブルフラットケーブルを収容する外部収容部が前記固定レールの側方下側に設けられ、前記外部収容部は、前記フレキシブルフラットケーブルの他端側を固定する固定部が備えられ、外部に引き出された前記フレキシブルフラットケーブルは、下方に傾斜しながら弧状を形成して前記外部収容部に対して収容/引出される傾斜弧状部が形成されたことを特徴とする。
【0007】
上記フレキシブルフラットケーブルは、一枚のフレキシブルフラットケーブルであってもよいし、複数枚のフレキシブルフラットケーブルが積層されてもよい。さらには、ダミーケーブルと呼ばれる導体を備えていないフレキシブルフラットケーブルと積層されてもよいし、フレキシブルフラットケーブルとは異なる帯状の部材と積層されてもよい。
【0008】
なお、前記移動体に固定された前記フレキシブルフラットケーブルの一端側は、当該配索構造における固定レール内での一端であり、それより先に前記フレキシブルフラットケーブルが伸びていてもよい。また、前記外部収容部の固定部に固定されるフレキシブルフラットケーブルの他端側は、当該配索構造において固定レールから引き出されたフレキシブルフラットケーブルを収容する外部収容部における他端であり、それより先に前記フレキシブルフラットケーブルが伸びていてもよい。
【0009】
上述の前記フレキシブルフラットケーブルは前記外側壁部に沿って並行に配置されるとは、前記フレキシブルフラットケーブルの主面と前記外側壁部とが対向する態様で略平行に配置されることをいう。
上述の車体に固定した固定レールの長手方向は、一般的に車体前後方向であるため、前記進退方向は一般的に車体前後方向となる。
【0010】
外部収容部は、内部でフレキシブルフラットケーブルを曲げ返して曲げ返し部を形成し、曲げ返し部を長手方向に移動させてフレキシブルフラットケーブルを収容してもよいし、巻取り/繰り出し可能にフレキシブルフラットケーブルを巻取って収容する巻取り装置で構成してもよい。
上記弧状は、円弧状、楕円弧状、曲率が変化する湾曲状など様々な弧状であってもよい。
【0011】
この発明により、固定レールの側方のスペースを活用することができる。
詳述すると、前記車体に固定された固定レールに、底部と、前記底部の幅方向両側から立設する外側壁部、前記外側壁部の上部から幅方向内側に延設された上壁部、及び前記上壁部の幅方向内側から前記底部に向かって延設された内壁部とで構成される囲み部が前記底部の幅方向両側に設けられ、幅方向両側に設けられた前記囲み部のうち一方の第1囲み部の内部に配索された前記フレキシブルフラットケーブルの他端側を、前記固定レールの側方下側の前記外部収容部に備えた固定部に固定するとともに、前記フレキシブルフラットケーブルに下方に傾斜しながら弧状を形成する傾斜弧状部が形成されているため、前記移動体の移動に伴って移動する前記フレキシブルフラットケーブルをスムーズに前記外部収容部に収容/引出することができる。
【0012】
なお、前記第1囲み部から外部に引き出された前記フレキシブルフラットケーブルを収容する外部収容部が前記固定レールの側方下側に設けられているため、前記固定レールの側方にスペースを確保でき、固定レール側方のスペースを活用することができる。
【0013】
なお、特開2010-172116号公報にも、本発明のフレキシブルフラットケーブルに相当するフラットワイヤーハーネスをレール内に配置するハーネス巻取り式給電装置が開示されている。しかしながら、このハーネス巻取り式給電装置では、単に、上部が開口したレールの底部にフラットワイヤーハーネスが配置されているに過ぎず、レール内部に配置されているもの開口を介してフラットワイヤーハーネスが露出しており、十分にフラットワイヤーハーネスを保護することができなかった。
【0014】
これに対し、本願発明によれば、前記フレキシブルフラットケーブルが、前記固定レールの幅方向両側に設けられた前記囲み部のうち第1囲み部の内部に配索されているため、フレキシブルフラットケーブルはレール外部に露出することがなく、フレキシブルフラットケーブルを保護することができる。
【0015】
この発明の態様として、前記フレキシブルフラットケーブルに対して、弾性力を有する帯状の薄片部材が重なるように設けられてもよい。
上述の弾性力を有する帯状の薄片部材は、さびにくいステンレス製バネ鋼などの所定の弾性を有する金属製の薄片部材や所定の弾性を有する樹脂製の薄片部材を含むものとする。なお、耐久性やバネ性の観点より、金属製の薄片部材がより好ましい。
【0016】
この発明により、前記移動体の移動に伴って、前記フレキシブルフラットケーブルと重ねた薄片部材は前記フレキシブルフラットケーブルとともに、前記外部収容部に対して収容/引出されることとなり、また、前記外部収容部において前記曲げ返し部を形成し、前記フレキシブルフラットケーブルと重ねた薄片部材の弾性力によって前記外部収容部に対して確実に収容/引出することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記第1囲み部の内部において、前記薄片部材と前記外側壁部との間に前記フレキシブルフラットケーブルが配置されてもよい。
この発明により、下方に傾斜しながら弧状を形成する傾斜弧状部において、前記薄片部材が前記フレキシブルフラットケーブルの内側に配置されるため、傾斜弧状部で弧状に湾曲した前記フレキシブルフラットケーブルを、前記薄片部材の弾性力によって復元することができる。なお、前記外部収容部を、巻取り/繰り出し可能にフレキシブルフラットケーブルを巻取って収容する巻取り装置で構成した場合、前記薄片部材の弾性力を前記フレキシブルフラットケーブルに作用させて巻取りしやすくすることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記固定レールの側方下側に設けられた前記外部収容部と前記固定レールとは、平行なフラットな面に沿って配置されてもよい。
この発明により、前記固定レールに配索されるフレキシブルフラットケーブル及び前記外部収容部に収容されるフレキシブルフラットケーブルに捩じれが生じず、また、高さ方向にコンパクトに構成することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記外部収容部は、前記固定レールの幅方向両側に設けられた前記囲み部のうち第1囲み部に対して、幅方向両側に設けられた前記囲み部の他方の第2囲み部の側方下側に配置されてもよい。
【0020】
この発明により、下方に傾斜しながら弧状を形成して前記外部収容部に対して収容/引出される傾斜弧状部は反転するような弧状を形成するが、前記外部収容部は、前記固定レールの幅方向両側に設けられた前記囲み部のうち前記第1囲み部に対して、前記幅方向両側に設けられた前記囲み部の他方の第2囲み部の側方下側に配置されているため、上記弧状の曲げ半径を大きくでき、前記フレキシブルフラットケーブルに作用する曲げ負荷を低減することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記第1囲み部の内部において、前記フレキシブルフラットケーブルは前記外側壁部に沿って並行に配置されてもよい。
この発明により、前記固定レールの前記第1囲み部から引き出された前記フレキシブルフラットケーブルを捻ることなく前記外部収容部に対してよりスムーズに収容/引出することができる。
【0022】
さらには、前記第1囲み部の内部において、前記フレキシブルフラットケーブルは前記外側壁部に沿って並行に配置されているため、つまり、レール上部の開口から幅方向にもっとも離れた位置に配置されているため、フレキシブルフラットケーブルの保護性を向上することができる。
【0023】
また、上述のようにレール底部にフレキシブルフラットケーブルが配置されると、前記スライドシートをスライド支持する前記移動体の移動性が低下するおそれがあるが、前記第1囲み部の内部において前記フレキシブルフラットケーブルは前記外側壁部に沿って並行に配置されているため、移動体の移動性が低下することを防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記外部収容部に収容された前記フレキシブルフラットケーブルに、前記外部収容部の内部において前記固定部に向かって曲げ返す曲げ返し部が形成されてもよい。
この発明により、外部収容部の内部で、曲げ返し部を長手方向に移動させてフレキシブルフラットケーブルをコンパクトに収容することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記外部収容部に収容された前記フレキシブルフラットケーブルは、前記第1囲み部の内部において、前記外側壁部に沿って並行に配置された前記フレキシブルフラットケーブルと平面視平行な方向に配索されてもよい。
この発明により、例えば、前記外部収容部が前記フレキシブルフラットケーブルに対して平面視交差する方向に配索される場合に比べ、幅方向においてコンパクトに構成することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、平面視方向において前記第1囲み部、前記第2囲み部、前記曲げ返し部及び前記固定部の間のフレキシブルフラットケーブル、並びに前記傾斜弧状部及び前記曲げ返し部の間のフレキシブルフラットケーブルが、幅方向においてこの順で配置されてもよい。
【0027】
この発明により、前記囲み部から引き出された前記フレキシブルフラットケーブルは、前記傾斜弧状部で曲げられるとともに、前記外部収容部内部の曲げ返し部で曲げられるものの、前記傾斜弧状部での曲げ方向と、前記外部収容部内部の曲げ返し部での曲げ方向とが同方向であるため、前記傾斜弧状部での曲げ方向と、前記外部収容部内部の曲げ返し部での曲げ方向とが逆方向である場合に比べ、前記フレキシブルフラットケーブルに作用する曲げ負荷をさらに低減することができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記傾斜弧状部の曲げ半径が、前記曲げ返し部の曲げ半径より大きくてもよい。
この発明により、前記第1囲み部から引き出された前記フレキシブルフラットケーブルをスムーズに前記外部収容部に対して収容/引出することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記フレキシブルフラットケーブルが外部に引き出される側の前記固定レールの端部に、前記傾斜弧状部を傾斜方向にガイドする傾斜ガイド部が設けられてもよい。
この発明により、前記傾斜弧状部の曲げを前記傾斜ガイド部でガイドでき、所定の傾斜方向に傾斜する弧状で前記フレキシブルフラットケーブルを曲げることができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記外部収容部は、前記車体において前記固定レールを固定したフロア部に埋設されてもよい。
この発明により、前記外部収容部フロア部に露出する場合に比べ、例えば、埋設された前記外部収容部の上部のフロア部を有効活用することができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明により、レール側方のスペースを活用することができるケーブル配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】シートスライド構造の概略斜視図。
図2】フラットケーブル配索構造の平面図による説明図。
図3】フラットケーブル配索構造の概略斜視図による説明図。
図4】フラットケーブル配索構造の断面図による説明図。
図5】ケーブル支持部の概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1はシートスライド構造1の概略斜視図を示し、図2はフラットケーブル配索構造10の平面図による説明図を示し、図3はフラットケーブル配索構造10の概略斜視図による説明図を示し、図4はフラットケーブル配索構造10の断面図による説明図を示している。
【0034】
詳しくは、図2(a)はスライダ3が前方移動した状態のフラットケーブル配索構造10の平面図を示し、図2(b)はスライダ3が後方移動した状態のフラットケーブル配索構造10の平面図を示し、図3(a)はスライダ3が前方移動した状態のフラットケーブル配索構造10の斜視図を示し、図3(b)はスライダ3が後方移動した状態のフラットケーブル配索構造10の斜視図を示している。
【0035】
なお、図2及び図3において、固定レール2を透過状態で図示するとともに、スライダ3について、上部支持部31及び内部走行部の図示は省略し、スライダ3に設けられ、固定レール2内部に配置されるケーブル支持部33を図示している。
【0036】
図4(a)は給電レール2aの正面図を示し、図4(b)は図1におけるA-A矢視図を示している。なお、図4(a)弧状傾斜ガイド8を透過状態で図示し、図4(b)では、弧状傾斜ガイド8に対応する箇所を破線で図示している。
【0037】
図5はケーブル支持部33の概略斜視図を示している。
なお、図5において、ケーブル支持部33で支持されたケーブル配索体5のうち、ケーブル支持部33から延出する部分については破線で示している。
【0038】
なお、固定レール2の長手方向、つまりスライダ3の進退方向を前後方向Lとし、前後方向Lのうち手前側(図1における左手前側)を本実施形態では前進方向Lf、奥側(図1における右奥側)を後退方向Lbとする。また、水平面内において前後方向Lに直交する方向を幅方向Wとする。
【0039】
さらに、幅方向Wに所定間隔を隔てて配置した2本の固定レール2(2a,2b)同士が対向する方向を対向方向内側Wiとし、その反対側を対向方向外側Woとする。また、図1における上下方向を高さ方向Hとし、高さ方向Hにおける上向きを上方向Hu、下向きを下方向Hdとする。
【0040】
図1に示すように、車両の車室内においてスライドシート(図示省略)を前後方向Lにスライド可能に構成するシートスライド構造1は、幅方向Wに所定の間隔を隔てて車室フロア4の下方のフロアパネル41(図4)に固定される、前後方向Lに長い2本の固定レール2と、各固定レール2に対して前後方向Lにスライド可能に装着されるスライダ3と、幅方向Wの両側のスライダ3によってスライド支持されるスライドシート(図示省略)とケーブル配索体5を収容/引出するUターン収容部6とが備えられている。なお、車室フロア4は図4において破線で図示される高さ方向Hの位置に配置され、固定レール2の上方を除いてカーペットが敷設される。
【0041】
なお、前後方向Lに長い2本の固定レール2のうち一本をケーブル配索体5が配索され、スライドシートに対して給電する給電レール2aとし、他方を単にスライダ3を前後方向Lに進退自在にスライド支持する一般固定レール2bとしている。
【0042】
このようにシートスライド構造1を構成する固定レール2は、図4に示すように、車室フロア4より下方に配置される断面溝状のレール本体20と、レール本体20のレール底面部201に取り付けられ、レール本体20を車室フロア4の下方のフロアパネル41に固定する固定クランプ22とで構成している。なお、レール本体20の断面形状を保持する形状保持部材を備えてもよい。
【0043】
レール本体20は、断面逆ハット状のレール底面部201と、レール底面部201の幅方向Wの両側に設けられた側壁部202と、各側壁部202の上端から対向する方向に伸びる上面部203と、上面部203の対向する内側端部から下方向Hdに伸びる内壁部204とで断面溝形状を形成している。
【0044】
なお、内壁部204同士は幅方向Wに所定間隔を隔てて設けられている。また、図示省略するが、幅方向Wの両側の上面部203を跨いで、断面溝形状のレール本体20の内部への異物の侵入を防止するレールモールを設けている。なお、レールモールは、変形可能なシート材であり、幅方向Wの中央に前後方向Lのスリットを設けている。
【0045】
さらに、逆ハット状のレール底面部201のうち幅方向Wの両側の部分を上部底面部201aとし、幅方向Wの中央において上部底面部201aより低い部分を中央底面部201bとしている。なお、中央底面部201bは、上方向Huにおいて幅方向Wに所定間隔を隔てて配置された内壁部204同士の間隔より広い幅で形成している。
【0046】
なお、レール底面部201における幅方向Wの両側において、レール底面部201の上部底面部201aと側壁部202と上面部203と内壁部204とで断面方向において略矩形状の囲み空間24,25を構成し、囲み空間24,25をレール底面部201の幅方向Wの両側において対向する向きで設けている。
【0047】
固定クランプ22は、断面溝形状のレール本体20におけるレール底面部201の中央底面部201bを貫通してフロアパネル41に固定し、下面側に挿入固定部222が突出するように装着している。なお、固定クランプ22は前後方向Lに所定間隔を隔てて配置している。
【0048】
このように構成された固定レール2に対して前後方向Lにスライド可能に装着されたスライダ3は、固定レール2のレール本体20の上面部203より上方向Huに突出し、スライドシート(図示省略)を支持する上部支持部31と、レール本体20の内部で配置された内部走行部(図示省略)と、ケーブル配索体5の一端側を固定支持するケーブル支持部33とで構成している。
【0049】
上部支持部31は、レール本体20のレール底面部201より上方向Huに突出し、図示省略する取付け金具を介してスライドシート(図示省略)を取付けることができる。
内部走行部は、レール本体20における囲み空間24,25に配置され、幅方向Wの両側に、上面部203と上部底面部201aとに高さ方向Hが規制された状態で前後方向Lに転動するローラ(図示省略)を備えている。
【0050】
このように構成されたシートスライド構造1では、前後方向Lに沿って配置された固定レール2のレール本体20の内部において、ローラが前後方向Lに転動することで、固定レール2に対してスライダ3が前後方向Lにスライドすることができる。そのため、スライダ3の上部支持部31に支持されたスライドシート(図示省略)は、固定レール2に対して前後方向Lにスライドすることができる。
【0051】
シートスライド構造1において、固定レール2に対して前後方向Lにスライド可能なスライドシート(図示省略)に対して給電するためのフラットケーブル配索構造10として、シートスライド構造1における幅方向Wに所定間隔を隔てて配置した2本の固定レール2のうち給電レール2aに対して、前後方向Lに沿って配索されるケーブル配索体5と、レール本体20の側方下側に配置したUターン収容部6とを備えている。
【0052】
ケーブル配索体5は、複数の平角導体を絶縁性のラミネートシートで挟み込んだ薄板状の帯状導電体である複数枚のフレキシブルフラットケーブル51(以下においてFLFC51という)と、FLFC51より硬く、かつ上下方向に積層される薄片部材52とで構成している。
【0053】
薄片部材52は、さびにくいステンレス製バネ鋼材であり、ケーブル配索体5としてFLFC51とともに、Uターン収容部6に収容/引出可能に収容されるため、0.2mm以下の厚みで構成されている。
【0054】
また、薄片部材52は、複数積層したFLFC51の一方側に積層される。また、FLFC51と薄片部材52とで構成するケーブル配索体5は固定レール2の前後方向Lの長さより長く形成している。
【0055】
FLFC51と薄片部材52とを積層し、囲み空間24の内部に配索されるケーブル配索体5の前方端部53は、後述するようにUターン収容部6の内部に固定され、後方端部54はスライダ3に固定されている。
【0056】
ケーブル配索体5を収容/引出可能に収容するUターン収容部6は、ケーブル配索体5が配索されるレール本体20の対向方向内側Wiにおいて前後方向Lに沿うとともに、図4に示すように、フロアパネル41に固定され、車室フロア4に埋設されている。
【0057】
具体的には、図4に示すように、Uターン収容部6は車室フロア4より下方のフロアパネル41に固定されるが、レール本体20が固定された部分より下方に下がった部分のフロアパネル41に固定される。そのため、レール本体20の上面部203と車室フロア4の高さ方向Hの間隔より、Uターン収容部6の上面と車室フロア4との高さ方向Hの間隔が広くなる。
【0058】
Uターン収容部6は、レール本体20に対して2/3程度の前後方向Lの長さで形成され、前後方向Lに長い直方体状である。図4に図示するように、ケーブル配索体5が配索されるレール本体20の対向方向内側Wiにおいて、レール本体20の側方下側に配置されている。
【0059】
このようにレール本体20の対向方向内側Wiの側方下側に設けられた前後方向Lに長い直方体状であるUターン収容部6における前進方向Lfの対向方向内側Wiにケーブル配索体5が出入りするケーブル出入口61が設けられ、Uターン収容部6の内部には、収容されたケーブル配索体5をUターン収容するUターン機構7を設けている。
【0060】
Uターン機構7は、Uターン収容部6の内部でケーブル配索体5をUターンさせる可動ローラ71と、可動ローラ71を後退方向Lbに付勢する巻取り装置72とで構成している。
このように構成したUターン機構7によってUターン収容部6の内部でUターン収容されるケーブル配索体5の前方端部53は、Uターン収容部6の内部の前進方向Lfにおける対向方向外側Wo、つまりレール本体20側の固定部57に固定される。
【0061】
なお、Uターン収容部6には、車体側の給電コネクタと嵌合接続する車体側コネクタ(図示省略)が延出しており、Uターン収容部6の内部で、ケーブル配索体5を構成するFLFC51の前方端部53と車体側コネクタとが導電可能に接続している。
【0062】
図2及び図3に示すように、囲み空間24から引き出され、Uターン収容部6の内部に収容されたケーブル配索体5は、Uターン収容部6の対向方向内側Wiにおいて後退方向Lbに向かって延び、可動ローラ71でUターンして対向方向外側Woで前進方向Lfの固定部57に固定された前方端部53に向かって延びるように配索される。なお、Uターン収容部6に収容されたケーブル配索体5のうち可動ローラ71でUターンする部分をUターン部55という。
【0063】
なお、図2(b)及び図3(b)に示すように、Uターン収容部6の内部に収容されたケーブル配索体5がUターン収容部6から引き出される場合は、巻取り装置72の付勢力に抗して可動ローラ71が前進方向Lfに移動することでUターン収容部6の内部に収容されたケーブル配索体5の収容長さが短くなる。
【0064】
逆に、図2(a)及び図3(a)に示すように、Uターン収容部6にケーブル配索体5が収容される場合は、巻取り装置72の付勢力によって可動ローラ71が後退方向Lbに移動することでUターン収容部6の内部に収容されたケーブル配索体5の収容長さが長くなる。
【0065】
このようにケーブル配索体5をUターン収容するUターン収容部6は、上述するように、レール本体20の対向方向内側Wiの側方下側において後退方向Lbに延びるように配置されているため、レール本体20の囲み空間24から引き出されたケーブル配索体5を対向方向内側Wiの側方下側のUターン収容部6までガイドする弧状傾斜ガイド8を、レール本体20の前進方向Lfの端部と、Uターン収容部6の前進方向Lfの端部とを幅方向Wに跨いで設けている。
【0066】
弧状傾斜ガイド8は、図2及び図3に示すように前進方向Lfに平面視凸な半円状、且つ図4に示すように、レール本体20の上面部203からUターン収容部6の底部までの高さ、つまりケーブル配索体5の高さ(幅)より高い高さの半円柱状であり、外周縁に沿って、ケーブル配索体5を収容してガイドするガイド溝81を設けている。
【0067】
このように構成された弧状傾斜ガイド8のガイド溝81にレール本体20の囲み空間24から引き出されたケーブル配索体5を収容すると、ガイド溝81にガイドされ、レール本体20の対向方向内側Wiの側方下側に設けたUターン収容部6のケーブル出入口61まで導かれる。なお、囲み空間24から引き出されたケーブル配索体5において弧状傾斜ガイド8のガイド溝81でガイドされて湾曲する部分を傾斜弧状部56という。
【0068】
なお、図2及び図3に示すように、ケーブル配索体5の後方端部54は、スライダ3における上部支持部31の後退方向Lbに設けたケーブル支持部33によって支持されている。
ケーブル配索体5の後方端部54を支持するケーブル支持部33は、図5に図示するように、ケーブル配索体5の後方端部54を固定し、後方端部54の配索位置を規制する規制部34、底部35、規制部34の側方においてケーブル配索体5を立ち上げる立設部36で正面視略L型に構成している。
【0069】
なお、後方端部54を固定する規制部34は、高さ方向Hに向く後方端部54の主面に沿う縦壁341と、縦壁341の上端から幅方向Wに延びる上面部342とで正面視逆L型状に構成している。
【0070】
このように構成した逆L字状の規制部34で、後方端部54の上方Huと側方とを規制するように後方端部54を固定する。このとき、規制部34と後方端部54は弾性及び絶縁性を有する弾性テープ37を巻き付けて固定している。
また、規制部34の奥側の底部35の上部には、規制部34に固定した後方端部54より幅方向Wの外側に突出するガード部38を設けている。
【0071】
このようにしてスライダ3の内部走行部に設けたケーブル支持部33に後方端部54が支持されたケーブル配索体5は、囲み空間24に配索された状態で、囲み空間24の内部における幅方向外側位置、つまり側壁部202に沿う位置に配索される。
【0072】
しかしながら、ガード部38が規制部34に固定された後方端部54より幅方向外側に突出するため、ケーブル配索体5が規制部34によって側壁部202に押付けられることを防止できる。
【0073】
このように構成されたケーブル支持部33において後方端部54は、規制部34に固定され、曲げられて底部35に沿い、さらに曲げられて立設部36に沿って上方向Huに延び、立設部36の上方向Huでシート側コネクタ39が接続され、スライドするスライドシート(図示省略)に設けられた電気機器とシート側コネクタ39を介してより確実に電気的に接続することができる。
【0074】
上述のように構成されたスライダ3に後方端部54が支持され、内壁部204の内部において側壁部202に主面が対向するように幅方向外側に配置されたケーブル配索体5は、弧状傾斜ガイド8におけるガイド溝81を通るとともに、ケーブル出入口61を通って内部に収容されたUターン収容部6における固定部57に固定されているため、図2(b)に示すように、スライダ3が後退方向Lbが配置されるように移動すると、ケーブル配索体5はガイド溝81及びケーブル出入口61を通ってUターン収容部6から引き出され、Uターン機構7の可動ローラ71が巻取り装置72の付勢力に抗して前進方向Lfに移動する。可動ローラ71が前進方向Lfに移動すると、上述したように、Uターン収容部6の内部のケーブル配索体5の長さが短くなる。
【0075】
なお、Uターン収容部6から引き出されたケーブル配索体5において弧状傾斜ガイド8のガイド溝81でガイドされる傾斜弧状部56は、ガイド溝811に沿って捻れながら湾曲し、囲み空間24に収容されることとなる。
【0076】
逆に、図2(a)において破線で示すように、スライダ3が前進方向Lfに移動すると、スライダ3の前進方向Lfへの移動に伴ってケーブル配索体5は、ガイド溝81及びケーブル出入口61を通り、Uターン収容部6に収容することができる。スライダ3の移動に伴ってUターン収容部6に収容されると、巻取り装置72の付勢力によって可動ローラ71が後退方向Lbに移動し、Uターン収容部6の内部のケーブル配索体5の長さが長くなる。
【0077】
なお、囲み空間24から引き出されたケーブル配索体5において弧状傾斜ガイド8のガイド溝81でガイドされる傾斜弧状部56は、ガイド溝811に沿って捻れながら湾曲し、Uターン収容部6に収容されることとなる。
【0078】
上述のように、車体に固定した固定レール2の前後方向Lに沿って進退可能にスライド支持されたスライドシートに対してケーブル配索体5を配索するフラットケーブル配索構造10は、車体に固定した固定レール2と、固定レール2の前後方向Lに沿って進退可能にスライドシートをスライド支持するスライダ3と、後方端部54がスライダ3に固定されたケーブル配索体5とが備えられ、固定レール2は、上部底面部201aと、上部底面部201aの幅方向Wの両側から立設する側壁部202、側壁部202の上部から幅方向Wの内側に延設された上面部203、及び上面部203の幅方向Wの内側から上部底面部201aに向かって延設された内壁部204とを備え、上部底面部201a、側壁部202、上面部203、及び内壁部204とで構成される囲み空間24,25が上部底面部201aの幅方向Wの両側に設けられ、ケーブル配索体5が、固定レール2の幅方向Wの両側に設けられた囲み空間24,25のうち囲み空間24の内部に配索されるとともに、外部に引き出され、外部に引き出されたケーブル配索体5を収容するUターン収容部6が固定レール2の側方下側に設けられ、Uターン収容部6は、ケーブル配索体5の前方端部53を固定する固定部57が備えられ、外部に引き出されたケーブル配索体5は、下方向Hdに傾斜しながら弧状を形成してUターン収容部6に対して収容/引出される傾斜弧状部56と、Uターン収容部6の内部において固定部57に向かって曲げ返すUターン部55とが形成されることにより、給電レール2aにおける側方である対向方向内側Wiのスペースを活用することができる。
【0079】
詳述すると、車体に固定された固定レール2に、上部底面部201aと、上部底面部201aの幅方向Wの両側から立設する側壁部202、側壁部202の上部から幅方向Wの内側に延設された上面部203、及び上面部203の幅方向Wの内側から上部底面部201aに向かって延設された内壁部204とで構成される囲み空間24,25が上部底面部201aの幅方向Wの両側に設けられ、幅方向Wの両側に設けられた囲み空間24,25のうち一方の囲み空間24の内部に配索されたケーブル配索体5の前方端部53を、固定レール2の側方下側のUターン収容部6に備えた固定部57に固定するとともに、ケーブル配索体5に下方向Hdに傾斜しながら弧状を形成する傾斜弧状部56と、Uターン収容部6において固定部57に向かって曲げ返すUターン部55とが形成されているため、スライダ3の移動に伴って移動するケーブル配索体5をスムーズにUターン収容部6に収容/引出することができる。
【0080】
なお、囲み空間24から外部に引き出されたケーブル配索体5を収容するUターン収容部6が給電レール2aの側方下側に設けられているため、固定レール2の側方にスペースを確保でき、給電レール2aの側方である対向方向内側Wiのスペースを活用することができる。
また、FLFC51が囲み空間24の内部に配索されているため、FLFC51はレール本体20の外部に露出することがなく、FLFC51を保護することができる。
【0081】
また、囲み空間24の内部において、ケーブル配索体5は側壁部202に沿って並行に配置されることにより、固定レール2の囲み空間24から引き出されたケーブル配索体5を捻ることなくUターン収容部6に対してよりスムーズに収容/引出することができる。
【0082】
また、ケーブル配索体5を構成するFLFC51に対して、弾性力を有する帯状の薄片部材52が重なるように設けられることにより、スライダ3の移動に伴って、FLFC51と重ねた薄片部材52はFLFC51とともに、Uターン収容部6に対して収容/引出されることとなり、また、Uターン収容部6においてUターン部55を形成し、FLFC51と重ねた薄片部材52の弾性力によってUターン収容部6に対して確実に収容/引出することができる。
【0083】
また、囲み空間24の内部において、薄片部材52と側壁部202との間にFLFC51が配置されることにより、下方に傾斜しながら弧状を形成する傾斜弧状部56において、薄片部材52がフレキシブルフラットケーブル51の内側に配置されるため、傾斜弧状部56で弧状に湾曲したフレキシブルフラットケーブル51を、薄片部材52の弾性力によって復元することができる。
【0084】
また、レール本体20の側方下側に設けられたUターン収容部6とレール本体20とは、高さの異なるフロアパネル41に配置されているため、レール本体20に配索されるケーブル配索体5及びUターン収容部6に収容されるケーブル配索体5に捩じれが生じず、また、高さ方向Hにおいてコンパクトなフラットケーブル配索構造10を構成することができる。
【0085】
また、Uターン収容部6に収容されたケーブル配索体5は、囲み空間24の内部において、側壁部202に沿って並行に配置されたケーブル配索体5と平面視平行な方向に配索されることにより、例えば、Uターン収容部6がケーブル配索体5に対して平面視交差する方向に配索される場合に比べ、幅方向Wにおいてコンパクトに構成することができる。
【0086】
さらには、囲み空間24の内部において、FLFC51は側壁部202に沿って並行に配置されているため、つまり、レール本体20における上部の開口から幅方向Wにもっとも離れた位置にFLFC51が配置されているため、FLFC51の保護性を向上することができる。
【0087】
また、上述のようにレール底面部201にFLFC51が配置されると、スライドシートをスライド支持するスライダ3の移動性が低下するおそれがあるが、囲み空間24の内部においてFLFC51は側壁部202に沿って並行に配置されているため、スライダ3の移動性が低下することを防止できる。
【0088】
また、Uターン収容部6は、囲み空間24に対して囲み空間25が配置された側、すなわち対向方向内側Wiの側方下側に配置されることにより、下方向Hdに傾斜しながら弧状を形成してUターン収容部6に対して収容/引出される傾斜弧状部56は反転するような弧状を形成するが、Uターン収容部6は、囲み空間24の対向方向内側Wiの側方下側に配置されているため、傾斜弧状部56の曲げ半径を大きくでき、ケーブル配索体5に作用する曲げ負荷を低減することができる。
【0089】
また、平面視方向において囲み空間24、囲み空間25、Uターン部55において可動ローラ71と固定部57との間のケーブル配索体5、並びにUターン部55における傾斜弧状部56の対向方向内側Wiと可動ローラ71との間のケーブル配索体5が、幅方向Wにおいてこの順で配置されることで、囲み空間24から引き出されたケーブル配索体5は、傾斜弧状部56で曲げられるとともに、Uターン収容部6の内部のUターン部55において可動ローラ71よって曲げられるものの、傾斜弧状部56での曲げ方向と、Uターン収容部6の内部のUターン部55において可動ローラ71によってUターンする曲げ方向とが同方向となるため、傾斜弧状部56での曲げ方向と、Uターン収容部6の内部のUターン部55において可動ローラ71によってUターンする曲げ方向とが逆方向である場合に比べ、ケーブル配索体5に作用する曲げ負荷をさらに低減することができる。
【0090】
また、Uターン部55において可動ローラ71によってUターンする曲げ方向と傾斜弧状部56との曲げ方向が同方向であるため、どちらの曲げにおいても、径外側のFLFC51に対して弾性力を作用させることができるように薄片部材52を径内側に配置することができる。
【0091】
また、ケーブル配索体5が外部に引き出される側の固定レール2の端部に、傾斜弧状部56を傾斜方向にガイドする弧状傾斜ガイド8が設けられることにより、傾斜弧状部56の曲げを弧状傾斜ガイド8でガイドでき、所定の傾斜方向に傾斜する弧状でケーブル配索体5を曲げることができる。
【0092】
また、Uターン収容部6は、車体において固定レール2を固定した車室フロア4に埋設されることにより、Uターン収容部6が車室フロア4に露出する場合に比べ、例えば、埋設されたUターン収容部6の上部の車室フロア4との間に、車室フロア4に敷設するカーペットを配置するなど有効活用することができる。
【0093】
また、傾斜弧状部56の曲げ半径が、Uターン部55において可動ローラ71によるUターンの曲げ半径より大きいため、囲み空間24から引き出されたケーブル配索体5をスムーズにUターン収容部6に対して収容/引出することができる。
【0094】
また、スライダ3に、囲み空間24の内部におけるケーブル配索体5の向きに向くようにケーブル配索体5を支持するケーブル支持部33が設けられることにより、スライダ3に固定されたケーブル配索体5を、囲み空間24の内部において配索される向きに、容易、且つ安定して向けることができる。
【0095】
また、ケーブル支持部33において、ケーブル配索体5が側壁部202に沿うようにケーブル配索体5を幅方向Wの外側位置に規制する規制部34が設けられることにより、スライダ3に固定されたケーブル配索体5を、囲み空間24の内部における幅方向Wの外側位置に、容易、且つ安定して配索することができる。
【0096】
また、規制部34は、ケーブル配索体5に対して、縦壁341及び上面部342により幅方向Wの内側及び下側を規制する断面L型で構成されることにより、簡易且つコンパクトな構造で、スライダ3に固定されたケーブル配索体5を、囲み空間24の内部における幅方向Wの外側位置に、容易、且つ安定して配索することができる。
【0097】
また、規制部34は、ケーブル配索体5より幅方向Wの外側に延出するガード部38が設けられることにより、ケーブル配索体5が囲み空間24において幅方向Wの外側に配置されるものの、側壁部202に押付けられることなく、側壁部202に対する摩擦を低減し、スムーズに摺動させることができる。
【0098】
また、ケーブル配索体5が規制部34に対して弾性を有する弾性テープ37で固定されることにより、規制部34にケーブル配索体5を固定する弾性テープ37が弾性変形できるため、ケーブル配索体5に外力が作用した場合に弾性テープ37が変形してケーブル配索体5に負荷が作用することを防止できる。
【0099】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の固定レールは固定レール2に対応し、
以下同様に、
長手方向は前後方向Lに対応し、
フレキシブルフラットケーブルはFLFC51に対応し、
ケーブル配索構造はフラットケーブル配索構造10に対応し、
移動体はスライダ3に対応し、
底部は上部底面部201aに対応し、
幅方向は幅方向Wに対応し、
外側壁部は側壁部202に対応し、
上壁部は上面部203に対応し、
内壁部は内壁部204に対応し、
一端側は前方端部53に対応し、
他端側は後方端部54に対応し、
囲み部は囲み空間24,25に対応し、
第1囲み部は囲み空間24に対応し、
薄片部材は薄片部材52に対応し、
外部収容部はUターン収容部6に対応し、
固定部は固定部57に対応し、
傾斜ガイド部は弧状傾斜ガイド8に対応し、
傾斜弧状部は傾斜弧状部56に対応し、
曲げ返し部はUターン部55に対応し、
第2囲み部は囲み空間25に対応し、
フラットな面はフロアパネル41に対応し、
フロア部は車室フロア4に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述の説明では、薄片部材52は、さびにくいステンレス製バネ鋼などの所定の弾性を有する金属製であったが、所定の弾性を有する樹脂製であってもよい。
【0100】
また、FLFC51と薄片部材52とを積層してケーブル配索体5を構成したが、FLFC51の両側に薄片部材52を配置してケーブル配索体5を構成してもよいし、FLFC51のみでケーブル配索体5を構成してもよい。さらには、薄片部材52の代わりに、導体を備えていないダミーケーブルをFLFC51と積層してもよい。
【0101】
上述の説明では、レール本体20から引き出されたケーブル配索体5を、レール本体20の側方下側に配置したUターン収容部6に収容させたが、レール本体20の側方下側に巻取り/繰り出し可能にケーブル配索体5を巻取って収容する巻取り装置を備え、レール本体20から引き出されたケーブル配索体5を巻取り装置でケーブル配索体5を巻取って収容してもよい。
【0102】
上述の説明では、半円状のガイド溝81にガイドされる傾斜弧状部56は捻れながら半円状になるが、半円状なくても、楕円弧状、曲率が変化する湾曲状など様々な弧状なるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0103】
2…固定レール
3…スライダ
4…車室フロア
5…ケーブル配索体
6…Uターン収容部
8…弧状傾斜ガイド
10…フラットケーブル配索構造
24…囲み空間
25…囲み空間
51…FLFC
52…薄片部材
53…前方端部
54…後方端部
55…Uターン部
56…傾斜弧状部
201a…上部底面部
202…側壁部
203…上面部
204…内壁部
L…前後方向
W…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5