IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の特許一覧

特許7336154血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法
<>
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図1
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図2
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図3
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図4
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図5
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図6
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図7
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図8
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図9
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図10
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図11
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図12
  • 特許-血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20230824BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C12N5/071
C12Q1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021552405
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(86)【国際出願番号】 JP2020038721
(87)【国際公開番号】W WO2021075451
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2019190832
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】宇津 美秋
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-115262(JP,A)
【文献】特表平05-503920(JP,A)
【文献】特開2001-238681(JP,A)
【文献】特開2007-166915(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179375(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0295547(US,A1)
【文献】国際公開第2018/225835(WO,A1)
【文献】組織培養研究,2012年,Vol.31, No.1,p.27 (OG-1-1)
【文献】次世代を担う創薬・医療薬理シンポジウム2019 プログラム・要旨集,2019年08月30日,p.45
【文献】第133回日本薬学会年会要旨集,2013年,p.99 (28pmC-109)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
C12Q 1/00-3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンビトリゲル膜と、
前記コラーゲンビトリゲル膜の上面に配置されたヒト血管内皮細胞と、
前記コラーゲンビトリゲル膜の下面に配置された臓器由来細胞と、培養液と、を含み、
前記ヒト血管内皮細胞は、前記臓器由来細胞に依存して、前記臓器由来細胞が由来する臓器の血管内皮細胞に分化し得る細胞であり、
前記臓器由来細胞は、脳由来細胞、又は肝臓由来細胞、或いはこれらのクローン化された細胞であり、前記臓器は、脳、又は肝臓である、血液組織関門インビトロモデル。
【請求項2】
前記培養液は、無血清培養液である、請求項1に記載の血液組織関門インビトロモデル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の血液組織関門インビトロモデルを用いて、前記コラーゲンビトリゲル膜の上方部に薬剤を添加し、一定時間後に、前記コラーゲンビトリゲル膜の下方部に漏れ出た、薬物の量を測定する、薬物の血液組織関門移行性評価方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の血液組織関門インビトロモデルにおいて、正常状態のインビトロモデルと病態のインビトロモデルを用意し、
両インビトロモデルにおいて、前記コラーゲンビトリゲル膜の上方部に薬剤を添加し、一定時間後に、前記コラーゲンビトリゲル膜の下方部に漏れ出た、薬物の量をそれぞれ測定し、比較することにより、薬物の病態組織選択的移行性を評価する、薬物の血液組織関門移行性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液組織関門インビトロモデル、及び薬物の血液組織関門移行性評価方法に関する。
本願は、2019年10月18日に、日本に出願された特願2019-190832号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
創薬及び医療の分野では、血液脳関門、皮膚、肝類洞等のヒト正常組織の毛細血管や、癌や炎症等の病巣組織の毛細血管における化学物質の透過性を外挿できる血管内皮の培養モデルの開発が切望されてきた。
特に、血液脳関門については、多孔質膜上で血管内皮細胞を培養することで、様々な培養モデルが開発されてきた(例えば、特許文献1~4及び非特許文献1参照。)。
【0003】
バリア機能を有する血管内皮の培養モデルとして、特許文献1で脳微小血管の内皮細胞を多孔質の個体支持体上で、コンフルエント単層となるまで増殖させて構築した血液脳関門のインビトロモデルが提案されている。
特許文献2では、トランスジェニックラット由来の不死化脳毛細血管内皮細胞株と同ラット由来の不死化アストロサイト細胞株との共培養による血液脳関門再構築モデルが提案されている。
特許文献3では、脳毛細血管内皮細胞、アストロサイト、及びペリサイトの共培養系で構築した血液脳関門インビトロモデル、及び所定の病態条件に対応する培養液を利用して構築した病態血液脳関門インビトロモデルが提案されている。
特許文献4では、血管内皮細胞、ペリサイト、及びアストロサイトの3種類の細胞層が、直接的な相互作用が可能な状態で層構造を形成することで、解剖学的構造をより正確に再現した血液脳関門インビトロモデルが提案されている。
非特許文献1では、世界で初めて血液脳関門のin vitro再構築系モデルが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第1991/05038号
【文献】特開2001-238681号公報
【文献】特許第5113332号公報
【文献】国際公開第2017/179375号
【非特許文献】
【0005】
【文献】Cell Mol Neurobiol. 2007 Sep;27(6):687-94. Epub 2007 Sep 6. Pericytes from brain microvessels strengthen the barrier integrity in primary cultures of rat brain endothelial cells.Nakagawa S, Deli MA, Nakao S, Honda M, Hayashi K, Nakaoke R, Kataoka Y, Niwa M.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した先行技術文献においては、(1)操作性が容易な培養モデルであること、(2)ヒト型の培養モデルであること、(3)化学物質の透過性試験までを行うにあたり、簡便な操作性と優れた再現性を有すること等が満足されていない技術的な課題を有するのみならず、ヒト型の様々な組織の血管内皮の培養モデルが開発されていないことから、これまでの培養モデルはいずれも製薬会社等で動物実験を代替して普及する段階には達していない。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、容易に構築可能な、脳組織を含めヒト型の様々な組織の血液組織関門インビトロモデル、及び簡便かつ優れた再現性を有する当該血液組織関門インビトロモデルを利用した、薬物の血液組織関門移行性評価方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を含む。
[1]コラーゲンビトリゲル膜と、前記コラーゲンビトリゲル膜の上面に配置されたヒト血管内皮細胞と、前記コラーゲンビトリゲル膜の下面に配置された臓器由来細胞と、培養液と、を含み、前記ヒト血管内皮細胞は、前記臓器由来細胞に依存して、前記臓器の血管内皮細胞に分化し得る細胞である、血液組織関門インビトロモデル。
[2]前記培養液は、無血清培養液である、[1]に記載の血液組織関門インビトロモデル。
[3]コラーゲンビトリゲル膜と、前記コラーゲンビトリゲル膜の上面に配置されたヒト血管内皮細胞と、臓器由来細胞の馴化培養液と、を含み、前記ヒト血管内皮細胞は、前記臓器由来細胞に依存して、前記臓器の血管内皮細胞に分化し得る細胞である、血液組織関門インビトロモデル。
[4]前記馴化培養液は、無血清培養液である、[3]に記載の血液組織関門インビトロモデル。
[5][1]~[4]のいずれか一つに記載の血液組織関門インビトロモデルを用いて、前記コラーゲンビトリゲル膜の上方部に薬剤を添加し、一定時間後に、前記コラーゲンビトリゲル膜の下方部に漏れ出た、薬物の量を測定する、薬物の血液組織関門移行性評価方法。
[6][1]~[4]のいずれか一つに記載の血液組織関門インビトロモデルにおいて、正常状態のインビトロモデルと病態のインビトロモデルを用意し、両インビトロモデルにおいて、前記コラーゲンビトリゲル膜の上方部に薬剤を添加し、一定時間後に、前記コラーゲンビトリゲル膜の下方部に漏れ出た、薬物の量をそれぞれ測定し、比較することにより、薬物の病態組織選択的移行性を評価する、薬物の血液組織関門移行性評価方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に構築可能な、脳組織を含めヒト型の様々な組織の血液組織関門インビトロモデル、及び簡便かつ優れた再現性を有する当該血液組織関門インビトロモデルを利用した、薬物の血液組織関門移行性評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の血液組織関門インビトロモデル100の概略図である。
図2】実施形態の血液組織関門インビトロモデル101の概略図である。
図3】実施例1における血管内皮培養モデルの作製工程を示す図である。
図4】実施例1における血管内皮培養モデルにおける細胞の写真である。
図5】実施例2における皮膚血管内皮培養モデルの経内皮電気抵抗値の測定結果である。
図6】実施例3における皮膚血管の「器官様プレート型」モデル由来の馴化培養液の効果の検討結果である。
図7】実施例4における炎症皮膚血管内皮モデルの経内皮電気抵抗値の測定結果である。
図8】実施例5における炎症皮膚血管内皮培養モデルの蛍光物質の透過性評価結果である。
図9】実施例6における組織特異的血管内皮培養モデルの経内皮電気抵抗値の測定結果である。
図10】(A)実施例7におけるhCMEC/D3の親株(Parent)及びクローン細胞株(クローンA)の写真である。(B)hCMEC/D3(Parent)の経内皮電気抵抗値の測定結果である。(C)hCMEC/D3(クローンA)の経内皮電気抵抗値の測定結果である。
図11】実施例7におけるヒスタミン添加後のhCMEC/D3(クローンA)の経内皮電気抵抗値の測定結果である。
図12】実施例7におけるヒスタミン添加後のhCMEC/D3(クローンA)の蛍光物質の透過性評価結果である。
図13】(A)実施例8における馴化培養液回収の説明図である。(B)実施例8における馴化培養液回収の説明図である。(C)馴化培養液を加えたHMVECの「組織シート型」モデルにおけるday4の経内皮電気抵抗値の測定結果である。(D)馴化培養液を加えたHMVECの「組織シート型」モデルにおけるday7の経内皮電気抵抗値の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、各図における寸法比は、説明のため誇張している部分があり、必ずしも実際の寸法比とは一致しない。
【0012】
≪血液組織関門インビトロモデル≫
1実施形態において、本発明は、コラーゲンビトリゲル膜と、前記コラーゲンビトリゲル膜の上面に配置されたヒト血管内皮細胞と、前記コラーゲンビトリゲル膜の下面に配置された臓器由来細胞と、培養液と、を含み、前記ヒト血管内皮細胞は、前記臓器由来細胞に依存して、前記臓器の血管内皮細胞に分化し得る細胞である、血液組織関門インビトロモデルを提供する。
【0013】
図1は、第1実施形態の血液組織関門インビトロモデル100の概略図である。培養器1は、培養液2を収容しており、コラーゲンビトリゲル膜3を吊るすハンガー4によって、コラーゲンビトリゲル膜3を培養液2中に浸漬している。
コラーゲンビトリゲル膜3の上面には、ヒト血管内皮細胞5が配置されており、コラーゲンビトリゲル膜3の下面には、臓器由来細胞6が配置されており、コラーゲンビトリゲル膜3の多孔性により両細胞間のクロストークが可能となっている。
【0014】
ヒト血管内皮細胞5は、増殖状態にあって未だ終末分化していない細胞であり、臓器由来細胞6に依存して、前記臓器の血管内皮細胞に分化し得る細胞である。例えば、臓器由来細胞6として、脳のアストロサイトを用いる場合、ヒト血管内皮細胞5は、血液脳関門を構成する脳血管内皮細胞に分化する細胞である。
ヒト血管内皮細胞5としては、ヒト新生児包皮由来微小血管内皮細胞、各種ヒト幹細胞(iPS細胞、ES細胞、等)、hCMEC/D3細胞(SV-40 large T抗原が導入されたヒト脳微小血管内皮細胞株)等が挙げられる。
【0015】
従来のバリア機能を有する血液脳関門モデルは、血管内皮細胞とペリサイトとアストロサイト等の異種細胞との共培養系で構築されているため、容易に操作可能な培養モデルではなかった。
また、ヒト型の血液脳関門モデルを生産する方法としては、温度感受性SV-40 large T抗原を含有するベクターを、ヒトの血液脳関門から単離培養した脳微小血管内皮細胞、アストロサイト、及びペリサイトに導入して作製する方法が報告されているが、培養の温度管理が容易ではなかった。
本実施形態においては、上述したヒト血管内皮細胞を用いることで容易に血液組織関門インビトロモデルを構築することができる。
【0016】
本実施形態の血液組織関門インビトロモデル100は、脳組織を含めヒト型の様々な組織の血液組織関門インビトロモデルに適用可能である。適用可能な組織としては、血液脳関門、皮膚、肝類洞等が挙げられる。コラーゲンビトリゲル膜3に配置する臓器由来細胞6を変えることで、これらの血液組織関門インビトロモデルに対応可能である。対応する臓器由来細胞6としては、腎臓由来細胞、小腸等消化器官由来細胞、膀胱等泌尿器由来細胞、骨格筋由来細胞、心筋由来細胞、平滑筋由来細胞、脂肪由来細胞、肺由来細胞、膵臓由来細胞、副腎由来細胞、甲状腺由来細胞、皮膚由来細胞、脳由来細胞、又は肝臓由来細胞等が挙げられる。より具体的には、ヒト皮膚由来線維芽細胞、C6細胞(ラット神経グリア細胞腫瘍に由来する細胞株)、HepG2-NIAS細胞(ヒト肝がん細胞株)等が挙げられる。
【0017】
コラーゲンビトリゲル膜3において、「ビトリゲル」とは、従来のハイドロゲルを、ハイドロゲル内の自由水を完全に除去した後に結合水を部分除去することで、ガラス化(vitrification)を進行させた後に再水和して得られる安定した状態にあるゲルのことを指し、本発明者によって、「ビトリゲル(vitrigel)(登録商標)」と命名されている。
本明細書において、用語「ビトリゲル」を用いる際には、用語「(登録商標)」を省略して用いる場合がある。
また、コラーゲンの中でもより好ましい原料としては、ネイティブコラーゲン又はアテロコラーゲンを例示でき、ネイティブコラーゲンがさらに好ましい。
【0018】
培養器1が収容する培養液2としては、DMEM、Minimum Essential Medium(MEM)、RPMI-1640、Basal Medium Eagle(BME)、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F-12(DMEM/F-12)、Glasgow Minimum Essential Medium(Glasgow MEM)等が挙げられる。後述するように、本実施形態の血液組織関門インビトロモデル100を薬物の血液組織関門移行性評価方法に用いる場合には、評価対象の化合物のタンパク質への非特異的吸着回避の観点から無血清培養液が好ましい。
【0019】
図2は、第2実施形態の血液組織関門インビトロモデル101の概略図である。第1実施形態の血液組織関門インビトロモデル100と異なり、コラーゲンビトリゲル膜3の下面には、臓器由来細胞6は配置されず、培養液2の代わりに、馴化培養液20が用いられている。
【0020】
馴化培養液20としては、臓器由来細胞6を一定期間培養するのに用いられた培養液が挙げられる。また、第1実施形態の血液組織関門インビトロモデル100で用いられた培養液を本実施形態で用いてもよい。第1実施形態の血液組織関門インビトロモデル100で用いられた培養液を用いる場合、血液組織関門インビトロモデル100におけるハンガー内の培養液を血液組織関門インビトロモデル101におけるハンガー内にそのまま移し、血液組織関門インビトロモデル100におけるハンガー外の培養液を血液組織関門インビトロモデル101におけるハンガー外にそのまま移してもよく、血液組織関門インビトロモデル100におけるハンガー内の培養液を血液組織関門インビトロモデル101におけるハンガー外に移し、血液組織関門インビトロモデル100におけるハンガー外の培養液を血液組織関門インビトロモデル101におけるハンガー内に移してもよく、血液組織関門インビトロモデル100におけるハンガー内外の培養液を混ぜて血液組織関門インビトロモデル101に移してもよい。
馴化培養液20を用いることで、コラーゲンビトリゲル膜3の下面に、臓器由来細胞6を配置する手間が省ける。また、後述するように、本実施形態の血液組織関門インビトロモデル101を、薬物の血液組織関門移行性評価方法に用いる場合には、評価対象の化合物の臓器由来細胞6への非特異的吸着を回避することができる。更に、評価対象の化合物のタンパク質への非特異的吸着回避の観点から、馴化培養液20として、無血清培養液を用いることが好ましい。
【0021】
≪薬物の血液組織関門移行性評価方法≫
1実施形態において、本発明は、上記血液組織関門インビトロモデルを用いて、コラーゲンビトリゲル膜の上方部に薬剤を添加し、一定時間後に、前記コラーゲンビトリゲル膜の下方部に漏れ出た、薬物の量を測定する、薬物の血液組織関門移行性評価方法を提供する。
【0022】
係る方法において、血管の内腔側を外挿するコラーゲンビトリゲル膜の上方部から、組織側を外挿するコラーゲンビトリゲル膜の下方部に漏れ出た、薬物の量を測定することにより、所望する組織での作用を期待する薬物が、血液組織関門移行性を有するかを容易に判断することができる。また、係る方法を用いることで、血液組織関門自体に作用する薬物をスクリーニングすることもできる。
【0023】
また、1実施形態において、本発明は、上記血液組織関門インビトロモデルを用いて、正常状態のインビトロモデルと病態のインビトロモデルを用意し、両インビトロモデルにおいて、コラーゲンビトリゲル膜の上方部に薬剤を添加し、一定時間後に、コラーゲンビトリゲル膜の下方部に漏れ出た、薬物の量をそれぞれ測定し、比較することにより、薬物の病態組織選択的移行性を評価する、薬物の血液組織関門移行性評価方法を提供する。
上述した血液組織関門インビトロモデルにおいて、病態条件に対応する培養液を用いる、又は、疾患を患っている患者由来の細胞を用いる等により、病態のインビトロモデルを作製することができる。
そして、正常状態のインビトロモデルと病態のインビトロモデル、それぞれにおける薬物の組織移行性を検討することにより、病態組織選択的に移行する薬物をスクリーニングすることができる。
【実施例
【0024】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
[実施例1]ヒト新生児包皮由来微小血管内皮細胞(human microvascular endothelial cells;HMVEC)、及び同由来線維芽細胞(human dermal fibroblast;HDF)を用いた血管内皮培養モデルの作製
(1)予め培養したHDF(クラボウより購入、KF-4009)を回収し、1.3×10細胞/mLとなるように培養液と混合し、HDFの懸濁液を調製した。培養液は、10%ウシ胎児血清(Fetal bovine serum;FBS)、20mM HEPES、100units/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン含有DMEM(ThermoFisher Scientificより購入、11885-084)を用いた。
(2)次いで、オプションリング(関東化学株式会社より購入、08369-96)を装着したad-MEDビトリゲル(登録商標)2(12ウエル)、08363-96)のチャンバー裏面に、(1)で調製したHDFの懸濁液を4.0×10細胞/cmとなるように0.3mL加え、培養した(図3のday-1参照。)。
(3)次いで、(2)の翌日(図3のday0参照。)に予め培養したHMVEC(クラボウより購入、KE-4209)を回収し、1.4×10細胞/mLとなるように培養液と混合し、HMVECの懸濁液を調製した。培養液は、5%FBS、5ng/mL組み換えヒトFGF-b、50μg/mLアスコルビン酸、1μg/mLヘミコハク酸ヒドロコルチゾン、10mM L-グルタミン、15ng/mL組み換えヒトIGF-1、5ng/mL組み換えヒトEGF、5ng/mL組み換えヒトVEGF、0.75units/mLヘパリン硫酸、30mg/mLゲンタマイシン、15μg/mLアムホテリシンB含有VascuLife(登録商標)Basal Medium(Lifeline Cell Technologyより購入、LM-0002)を用いた。
(4)次いで、(2)で用意したチャンバーを12ウェルプレートにセットし、チャンバーの内側に(3)で調製したHMVECの懸濁液を7.0×10細胞/cmとなるように0.5mL加えた。次いで、チャンバーの外側にHMVECの培養液を1.5mL加えた。
なお、図3に示すように、HMVECとHDFをインサート両面に培養したモデルを皮膚血管の「器官様プレート型」モデル、HMVEC又はHDFの1種類の細胞のみを培養したモデルを「組織シート型」モデルと定義する。
(5)次いで、位相差顕微鏡を用いて、day0、day2、day6に「器官様プレート型」モデル(図4の(A)~(C)参照。)、HMVECの「組織シート型」モデル(図4の(D)~(F)参照。)。HDFの「組織シート型」モデル(図4の(G)~(I)参照。)を観察した。
【0026】
[実施例2]皮膚血管内皮培養モデルの経内皮電気抵抗(transendothelial electrical resistance;TEER)値の経時的変化の測定
(1)実施例1で作製した3種類のモデルのTEER値をday0、day1、day2、day3、及びday6に測定した。測定前に、各モデルのチャンバー内及びチャンバー外に入っている培養液を除去し、予め室温に戻しておいたHMVECの培養液をチャンバー内に0.5mL、チャンバー外に1.5mL加えた。
(2)次いで、TEER測定装置(関東化学株式会社より購入、40225-97)につないだ専用電極(関東化学株式会社より購入、14136-97)を各モデルのチャンバーにセットし、TEER値を記録した。ネガティブコントロールであるHDFの「組織シート型」モデルのTEER値は、day3が最大値(11.69±0.27Ω・cm)であった(図5参照。)。これに対し、HMVECの「組織シート型」モデルのday3のTEER値は、23.53±0.45Ω・cmであった。一方、「器官様プレート型」モデルは、day1より高いTEER値を示し、day1、day2、day3、及びday6のTEER値は、それぞれ、22.62±3.06Ω・cm、31.50±2.46Ω・cm、42.63±3.94Ω・cm、及び57.24±7.29Ω・cmであった。以上より、「器官様プレート型」モデルは、高い内皮バリア機能を有することが確認された。
【0027】
[実施例3]皮膚血管の「器官様プレート型」モデル由来の馴化培養液(conditioned medium;CM)の効果の検討
(1)実施例2で用いたday6のHMVECの「組織シート型」モデルのチャンバー内、及び外の培養液を除去し、同じく実施例2で用いたday6の「器官様プレート型」モデルのチャンバー内及び外のCMを加えて24時間培養した(図6(A)参照)。
(2)次いで、TEER値を測定したところ、培養液を加えたHMVECの「組織シート型」モデル (HMVEC+培養液) のTEER値は14.5±1.51Ω・cmであったのに対し、CMを加えた同モデル (HMVEC+CM) のTEER値は27.04±7.77 Ω・cmであり、統計学的に有意な差を認めた(**P<0.01、t検定により検定)(図6(B)参照) 。以上より、「器官様プレート型」モデルのCMには内皮バリア機能を強化する作用があることが確認された。
【0028】
[実施例4]炎症皮膚血管内皮モデルのTEER値の測定
(1)実施例2で用いたday6のHMVECの「組織シート型」モデル、及び「器官様プレート型」モデルのチャンバー内及び外の培養液を除去し、予め室温に戻しておいた添加剤を含まないVascuLife(登録商標)Basal Mediumをチャンバー内に0.5mL、チャンバー外に1.5mL加えた。
(2)次いで、チャンバーに電極をセットし、TEER値を測定した。この時の測定値を、測定開始時(0秒) の値とした。
(3)次いで、チャンバー内のVascuLife(登録商標)Basal Mediumを除去し、ヒスタミン二塩酸塩(東京化成工業株式会社より購入、H0146)を含有するVascuLife(登録商標)Basal Mediumを加えた。次いで、TEER測定を開始し、10秒ごとに180秒間TEER値を連続測定した。「器官様プレート型」モデルでは測定開始時の値が約50Ω・cmであったのに対し、1nMヒスタミンの添加により約32Ω・cmまで減少し、この変化はヒスタミンを加えていないコントロールと比較して統計学的に有意な変化であった(***P<0.001、二元配置分散分析の後Tukey-Kramer法により検定)。さらに、1μM ヒスタミンの添加では約23Ω・cmまで減少したが、この変化はコントロールおよび1nMヒスタミン添加の両方と比較して統計学的に有意な変化であった(***P<0.001、###P<0.001、二元配置分散分析の後Tukey-Kramer法により検定)(図7(A)参照)。一方、HMVECの「組織シート型」モデルでは測定開始時の値が約5.7Ω・cmであったのに対し、100 μMヒスタミンの添加で約3.2Ω・cmまで減少したが、この変化はコントロールと比較して統計学的に有意な差ではなかった(二元配置分散分析により検定)(図7(B)参照)。以上より、「器官様プレート型」モデルは「組織シート型」モデルよりも低濃度のヒスタミンに濃度依存的に応答し、TEER値の変化を統計学的な有意な差をもって検出できることが示された。
【0029】
[実施例5]炎症皮膚血管内皮培養モデルの蛍光物質の透過性評価
(1)実施例2で用いたday 6のHMVECの「組織シート型」モデルのチャンバー内及び外の培養液を除去し、予め室温に戻しておいたHank’s Balanced Salt Solution (HBSS、ThermoFisher Scientificより購入、14025-092) をチャンバー内に0.5mL、チャンバー外に1.5 mL加えて2回洗浄した。
(2)次いで、HBSSをチャンバー外に1.8mL、100μMヒスタミン含有HBSSをチャンバー内に0.5mL加え、室温で10分間インキュベートした。
(3)次いで、 チャンバー内の溶液を除去し、100μMヒスタミン及び10μg/mL Sodium fluorescein (Uranine)(東京化成工業株式会社より購入、F0096)又は500μg/mL Fluorescein isothiocyanate-dextran (FD)-4(Sigma-Aldrichより購入、FD4-100MG)又は500μg/mL FD-40(Sigma-Aldrichより購入、FD40S-100MG)を含有するHBSSをチャンバー内に0.5mL加え、室温で60分間インキュベートした。
(4)次いで、チャンバー外の溶液100μLを96ウェルプレートに移し、マイクロプレートリーダーSpectraMax Gemini XS Microplate Reader(Molecular Devicesより購入)を用いて蛍光強度を測定した(λexcitation/λemission=490nm/520nm) 。あわせて、各蛍光物質の希釈系列を用いて検量線を作製し、チャンバー外へ移行した蛍光物質の量を求めた。
(5)次いで、次式に基づいて各蛍光物質の見かけの透過係数Papp(cm/sec) を求めた。
app=dQ/dt×1/A×1/C
dQ/dt; 単位時間あたりの移行量(μg/sec)、A; 表面積 (cm)、C; 各蛍光物質の初濃度
100μMヒスタミンの添加により、Sodium fluorescein(分子量376)、FD-4(分子量4,000)、及びFD-40(分子量40,000)のいずれの分子のPappも上昇した(図8(A)-(C)参照)。特に、FD-4についてはControlのPappが3.15×10-6±9.83×10-7cm/secであったのに対し、100μMヒスタミンの添加により約2倍の5.88×10-6±5.52×10-7cm/secまで上昇し、この変化は統計学的に有意な変化であった(*P<0.05、t検定により検定)。以上より、皮膚血管の「器官様プレート型」モデルではヒスタミン誘発の炎症によって分子量4,000程度の中分子の透過性が上昇することが確認された。
係る結果から、評価に用いた分子量の異なる上記3種の化合物は、病態組織選択的透過性がそれぞれ異なる化合物ということができる。即ち、本発明によれば、正常状態のインビトロモデルと病態のインビトロモデルを用意し、両インビトロモデルにおいて、薬物の移行性を比較評価することにより、病態組織選択的に透過性を有する薬物をスクリーニングすることができる。
【0030】
[実施例6]組織特異的血管内皮培養モデルの作製及びTEER値の測定
(1)実施例1で作製したHMVECとHDFを用いた「器官様プレート型」モデルと同様の方法で、HMVECとラットグリオーマ細胞株C6(理化学研究所バイオリソースセンターより提供、RCB2854)又はHMVECと肝がん細胞株HepG2-NIAS(理化学研究所バイオリソースセンターより提供されたHepG2を馴化培養し再寄託した細胞株、RCB4679)を用いた「器官様プレート型」モデルを作製した。C6とHepG2-NIASの培養液は、10% FBS、20mM HEPES、100 units/mL ペニシリン、100 μg/mL ストレプトマイシン含有DMEMを用いた。
(2)次いで、実施例2と同様の方法で経時的なTEER値の変化を測定した。結果を図9に示す。皮膚由来のHDF(図9(A)参照。)のみならず、脳由来のC6(図9(B)参照。)、肝臓由来のHepG2-NIAS(図9(C)参照。)を用いても血管内皮培養モデルが作製できることが確認された。
【0031】
[実施例7]hCMEC/D3クローン細胞株の作製及びTEER値の測定
hCMEC/D3は、増殖能が高く汎用されているヒト血管内皮細胞株であるが、内皮バリア機能が低いため血液組織関門モデルの構築には不適である。そこで、本細胞から内皮バリア機能を有するクローン細胞株を選別し、その炎症応答性を確認した。
【0032】
Merck Millipore社より購入し、培養を開始したhCMEC/D3(Parent)をコラーゲンビトリゲル膜チャンバー内で培養し、経時的にTEER値を測定すると、7日間培養しても5Ω・cm未満であったことから、本細胞は、内皮バリア機能がほとんどないことが示唆された(図10(A)及び(B)参照。)。そこで、本細胞を限界希釈法によりクローニングしたところ、内皮バリア機能を有するクローンAを得ることができた(図10(A)及び(C)参照。)。
【0033】
クローンAをコラーゲンビトリゲル膜チャンバー内で10日間培養し、チャンバー内にヒスタミン(His)100μMを加えて1分おきにTEER値を測定したところ、測定開始時の値に対し、ヒスタミン添加15分後には約70%減少した(図11参照。)。この変化はControlと比較して統計学的に有意な変化であった(***P<0.001二元配置分散分析の後Tukey-Kramer法により検定)。一方、ヒスタミン受容体の下流因子であるROCKの阻害薬であるY-27632で前処理すると、ヒスタミンによるTEER値の減少が有意に抑制されたことから(###P<0.001、二元配置分散分析の後Tukey-Kramer法により検定)、クローンAはヒスタミン応答性に優れた細胞株であることが示唆された(図11参照。)。
【0034】
クローンAをコラーゲンビトリゲル膜チャンバー内で16日間培養し、チャンバー内にヒスタミン(His)100μM、及び4種類の蛍光物質(Sodium fluorescein、FD-4、FD-10、及びFD-40)を加えて1時間インキュベートし、チャンバー外へ移行した蛍光物質量を測定した。この結果、ヒスタミンによってFD-4(分子量4,000)及びFD-10(分子量10,000)の透過性のみが亢進した(図12参照。)。特にFD-10の透過性の亢進は統計学的に有意な変化であった(*P<0.05、t検定により検定)。よって、クローンAにおいてヒスタミンが誘発する血管透過性の亢進には分子サイズ選択性があることが示唆された。
これらの結果、生理的な濃度のヒスタミンによる内皮バリア機能変化を定量的に評価することができたことから、本クローン細胞株は、薬物の組織移行性評価モデルの構築に適していると考えられる。
【0035】
[実施例8]HDFの「組織シート型」モデル由来のCMの効果の検討
(1)予め培養したHDFを回収し、8.0×10細胞/mLとなるように培養液と混合し、HDFの懸濁液を調製した。培養液は、5% FBS、5ng/mL 組み換えヒトFGF-b、50μg/mL アスコルビン酸、1μg/mL ヘミコハク酸ヒドロコルチゾン、10 mM L-グルタミン、15 ng/mL 組み換えヒトIGF-1、5ng/mL組み換えヒトEGF、5ng/mL 組み換えヒトVEGF、0.75units/mL ヘパリン硫酸、30mg/mL ゲンタマイシン、15μg/mL アムホテリシンB含有VascuLife(登録商標)Basal Mediumを用いた。
【0036】
(2)次いで、12穴プレートに設置したコラーゲンビトリゲル膜チャンバーの外側に1.5mLの培養液を注入し、コラーゲンビトリゲル膜チャンバー内に(1)で調製したHDFの懸濁液を4.0×10細胞/cmとなるように0.5mL加えて6日間培養した。この間、毎日培養液を交換した。培養4日目、5日目、及び6日目のチャンバー内及び外のCMを回収して混合した(図13(A)参照。)。
【0037】
(3)次いで、予め培養したHDFを回収し、1.3×10細胞/mLとなるように培養液と混合し、HDFの懸濁液を調製した。
(4)また、オプションリングを装着したコラーゲンビトリゲル膜チャンバーのチャンバー裏面に、(3)で調製したHDFの懸濁液を4.0×10細胞/cmとなるように0.3mL加えて培養した。細胞が接着した2時間後にオプションリングを外して12穴プレートに設置し、コラーゲンビトリゲル膜チャンバーの外側に1.5mL、内側に0.5mLの培養液を注入して6日間培養した。この間、毎日培養液を交換した。培養4日目、5日目、及び6日目のチャンバー内及び外のCMを回収して混合した(図13(B)参照。)。
【0038】
(5)次いで、実施例1で作製したHMVECの「組織シート型」モデルのチャンバー内及び外に、回収したCM(HDF-CM in及びHDF-CM out)又は培養液をday0からday7まで添加し、day4及びday7においてTEER値を測定した。培養液を加えたHMVECの「組織シート型」モデル(HMVEC+培養液) のTEER値はday4(図13(C)参照。)及びday7(図13(D)参照。)においてそれぞれ18.0±1.41Ω・cm及び17.6±3.17Ω・cmであった。これに対し、HDF-CM inを加えた同モデル(HMVEC+(HDF-CM in))のTEER値は、day4及びday7において、それぞれ33.5±1.01Ω・cm及び33.0±2.67Ω・cmあった。またHDF-CM outを加えた同モデル(HMVEC+(HDF-CM out))のTEER値は、day4及びday7においてそれぞれ33.9±3.68Ω・cm及び32.7±2.19Ω・cmであった。HDF-CM in及びHDF-CM outを加えた時のTEER値は、day4及びday7のいずれにおいても培養液を加えた時と比較して統計学的に有意に高い値であった(**P<0.01、***P<0.001、Tukey-Kramer法により検定)。以上の結果を実施例3と比較すると、「器官様プレート型」モデルのCMよりもHDFの「組織シート型」モデルのCMの方が内皮バリア機能を強化する作用が強いことが示された。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、容易に構築可能な、脳組織を含めヒト型の様々な組織の血液組織関門インビトロモデル、及び簡便かつ優れた再現性を有する当該血液組織関門インビトロモデルを利用した、組織特異的な血管透過性化学物質の評価方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
100,101…血液組織関門インビトロモデル、1…培養器、2…培養液、3…コラーゲンビトリゲル膜、4…ハンガー、5…ヒト血管内皮細胞、6…臓器由来細胞。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13