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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】BTK阻害剤を含む製剤/組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20230824BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K9/16
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/32
A61P17/00
A61P17/04
A61P19/02
A61P19/08
A61P19/10
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/06
A61P43/00 105
A61P43/00 111
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2018556012
(86)(22)【出願日】2017-01-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2017050964
(87)【国際公開番号】W WO2017125424
(87)【国際公開日】2017-07-27
【審査請求日】2020-01-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】201621001987
(32)【優先日】2016-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,マニシュ,クマー
(72)【発明者】
【氏名】クルカーニ,パリークシット,ラメシュラオ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ ナイル,ビヌラジェ
【合議体】
【審判長】前田 佳与子
【審判官】田中 耕一郎
【審判官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/004707(WO,A1)
【文献】特表2015-518885(JP,A)
【文献】国際公開第2015/071432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-31/80
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/69
A61P1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イブルチニブを含む医薬組成物であって、イブルチニブが、化合物1
【化1】

の構造を有する化合物であり、かつ前記医薬組成物が、前記医薬組成物の全重量を基準にして、i)少なくとも60%w/wのイブルチニブと、ii)約4~7%w/wのマンニトールと約13~16%w/wのクロスポビドンとを含む賦形剤と、を含み、
前記医薬組成物は顆粒内および顆粒外の成分を含み、
イブルチニブおよびマンニトールは顆粒内成分であり、
クロスポビドンは顆粒内および顆粒外の成分である、医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物が、約60%w/w~約80%w/wのイブルチニブ、約65%w/w~約80%w/wのイブルチニブ、約65%w/w~約75%w/wのイブルチニブ、または約70%w/wのイブルチニブを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物が、約4%w/w~約6%w/wのマンニトールまたは約5%w/wのマンニトールを含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物が、約14%w/w~約16%w/wのクロスポビドンまたは約15%w/wのクロスポビドンを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物が、約70%w/wのイブルチニブ、約5%w/wのマンニトール、および約15%w/wのクロスポビドンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物が、湿式顆粒化法を用いて調製される、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の追加の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物と、1種以上の追加の薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む高配合固形錠剤製剤。
【請求項9】
(i)前記1種以上の追加の賦形剤が、約7%w/w~約13%w/wの量で存在する;
(ii)前記1種以上の追加の賦形剤が、結合剤、滑沢剤、流動化剤、および界面活性剤からなる群から選択される;
(iii)少なくとも1種の追加の賦形剤が、界面活性剤、例えば、ナトリウムラウリルスルフェートであり、例えば、約0~約10%w/w、約4%w/w~約8%w/w、または約6%w/w~約8%w/wの量で存在する;
(iv)少なくとも1種の追加の賦形剤が、流動化剤、例えば、シリカ(コロイド二酸化ケイ素)であり、例えば、前記シリカが、約0~約5%w/w、0.1%w/w~約1.5%w/w、約0.4%w/w~約0.8%w/w、または約0.5%w/w~約0.6%w/wの量で存在する;
(v)少なくとも1種の追加の賦形剤が、滑沢剤、例えば、マグネシウムステアレートであり、例えば、前記マグネシウムステアレートが、約0.01%w/w~約5%w/w、0.01%w/w~約2%w/w、0.1%w/w~約0.7%w/w、または約0.5%w/w~約0.6%w/wの量で存在する;
(vi)少なくとも1種の追加の賦形剤が、結合剤、例えば、ポリビニルピロリドンまたはPVPK 29/32である;および/または
(vii)少なくとも1種の追加の賦形剤が、約0.5%w/w~約5%w/w、1%w/w~約3%w/w、1%w/w~約2%w/w、または約2%w/wの量で存在する結合剤ポリビニルピロリドンである、
請求項に記載の高配合固形錠剤製剤。
【請求項10】
少なくとも60%w/wのイブルチニブと顆粒内および顆粒外の賦形剤とを含む高配合固形錠剤製剤であって、前記顆粒内の賦形剤が、マンニトール、ナトリウムラウリルスルフェート、およびクロスポビドンを含み、かつ前記顆粒外の賦形剤が、ポリビニルピロリドン、ナトリウムラウリルスルフェート、クロスポビドン、コロイド二酸化ケイ素、およびマグネシウムステアレートを含み、
前記高配合固形錠剤製剤は、顆粒内および顆粒外の成分を含み、
イブルチニブおよびマンニトールは顆粒内成分であり、
クロスポビドンは顆粒内および顆粒外の成分である、高配合固形錠剤製剤
【請求項11】
前記顆粒内の賦形剤が、
約4%w/w~約7%w/w、約4%w/w~約6%w/w、または約5%w/wの量のマンニトールと、
約6%w/w~約9%w/w、約7%w/w~約8%w/w、または約7.5%w/wの量のクロスポビドンと、
約0~約2%w/w、約0.5%w/w~約1.5%w/w、または約1%w/wの量のナトリウムラウリルスルフェートと、
を含み、かつ
前記顆粒外の賦形剤が、
約0~約4%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約5%w/wの量のポリビニルピロリドンと、
約4%w/w~約8%w/w、約5%w/w~約7%w/w、または約6%w/wの量のナトリウムラウリルスルフェートと、
約4%w/w~約10%w/w、約5%w/w~約9%w/w、または約7.5%w/wの量のクロスポビドンと、
約0.1%w/w~約1.0%w/w、または約0.3%w/w~約0.8%w/w、または約0.5%w/wの量のコロイド二酸化ケイ素と、
約0.1%w/w~約1.0%w/w、または約0.3%w/w~約0.8%w/w、または約0.5%w/wの量のマグネシウムステアレートと、
を含む、請求項10に記載の高配合固形錠剤製剤。
【請求項12】
a)約60%w/w~約80%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約7%w/wのマンニトールと、
c)約13%w/w~約16%w/wのクロスポビドンと、
d)約1%w/w~約3%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約5%w/w~約10%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.1%w/w~約1.0%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.1%w/w~約1.0%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む、高配合固形錠剤製剤であって、
前記高配合固形錠剤製剤は、顆粒内および顆粒外の成分を含み、
イブルチニブおよびマンニトールは顆粒内成分であり、
クロスポビドンは顆粒内および顆粒外の成分である、高配合固形錠剤製剤
【請求項13】
a)約65%w/w~約75%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約6%w/wのマンニトールと、
c)約14%w/w~約16%w/wのクロスポビドンと、
d)約1%w/w~約3%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約6%w/w~約8%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.4%w/w~約0.6%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.4%w/w~約0.6%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含むか;
a)約69%w/w~約71%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約6%w/wのマンニトールと、
c)約14%w/w~約16%w/wのクロスポビドンと、
d)約1.5%w/w~約2.5%のポリビニルピロリドンと、
e)約6%w/w~約8%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.4%w/w~約0.6%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.4%w/w~約0.6%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含むか;
a)約70%w/wのイブルチニブと、
b)約5%w/wのマンニトールと、
c)約15%w/wのクロスポビドンと、
d)約2%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約7%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.5%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.5%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含むか;
a)約69%w/w~約71%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約6%w/wのマンニトールと、
c)約7%w/w~約8%w/wのクロスポビドン(顆粒内)と、
d)約7%w/w~約8%w/wのクロスポビドン(顆粒外)と、
e)約0.5%w/w~約1.5%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒内
)と、
f)約5%w/w~約7%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒外)と、
g)約1%w/w~約3%w/wのポリビニルピロリドンと、
h)約0.4%w/w~約0.6%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
i)約0.4%w/w~約0.6%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含むか;または
a)約70%w/wのイブルチニブと、
b)約5%w/wのマンニトールと、
c)約7.5%w/wのクロスポビドン(顆粒内)と、
d)約7.5%w/wのクロスポビドン(顆粒外)と、
e)約1%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒内)と、
f)約6%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒外)と、
g)約2%w/wのポリビニルピロリドンと、
h)約0.5%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
i)約0.5%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む、請求項12に記載の高配合固形錠剤製剤。
【請求項14】
錠剤の全重量が約800mgである、請求項13のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
【請求項15】
イブルチニブが約560mgの量である、請求項8~13のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
【請求項16】
錠剤の全重量が約800mgであり、かつ、イブルチニブが約560mgの量である、請求項8~13のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
【請求項17】
イブルチニブがマイクロナイズ形態である、請求項16のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
【請求項18】
前記製剤が1日1回投与に使用される、請求項17のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
【請求項19】
前記製剤が経口製剤である、請求項18のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
【請求項20】
医薬として使用するための請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項19のいずれか一項に記載の錠剤製剤。
【請求項21】
自己免疫疾患;関節リウマチまたは狼瘡;異種免疫疾患;癌;B細胞増殖障害である癌;瀰漫性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または慢性リンパ球白血病;B細胞悪性疾患である癌;慢性リンパ球白血病(CLL)/小リンパ球リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、および多発性骨髄腫から選択されるB細胞悪性疾患;リンパ腫、白血病、または固形腫瘍である癌;瀰漫性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球リンパ腫、慢性リンパ球白血病、B細胞前リンパ球白血病、リンパ形質細胞リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾辺縁帯リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、またはリンパ腫様肉芽腫症;肥満細胞症;骨粗鬆症または骨吸収障害;炎症性疾患または病態;狼瘡;および/または異種免疫疾患または病態の治療において使用するための、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項19のいずれか一項に記載の錠剤製剤。
【請求項22】
請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項19のいずれか一項に記載の錠剤製剤の調製プロセスであって、イブルチニブと少なくとも1種の賦形剤とを含む湿潤顆粒を湿式顆粒化法によって調製することを含むプロセス。
【請求項23】
前記湿潤顆粒が、イブルチニブ、マンニトール、クロスポビドン、およびナトリウムラウリルスルフェートを含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
a)前記湿潤顆粒を乾燥させて乾燥顆粒を形成することと、
b)前記乾燥顆粒をミル処理してミル処理顆粒を形成することと、
c)前記ミル処理顆粒と顆粒外の賦形剤とをブレンドして混合物を形成することと、
d)前記混合物を圧縮して錠剤を形成することと、
をさらに含む、請求項22または23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記顆粒外の賦形剤が、ポリビニルピロリドン、ナトリウムラウリルスルフェート、クロスポビドン、コロイド二酸化ケイ素、およびマグネシウムステアレートを含む、請求項24に記載のプロセス。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤とくにイブルチニブの製剤に関する。本発明はまた、BTK阻害剤を含むかかる製剤/組成物の調製プロセス、およびBTK活性の阻害が奏効すると思われる疾患または病態の治療におけるかかる製剤/組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イブルチニブは、1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オンというIUPAC名を有する有機低分子である。それについては国際公開第2008/039218号パンフレット(実施例1b)をはじめとするいくつかの既刊文書に記載があり、Btkの不可逆的阻害剤として記載されている。
【0003】
Btkは、細胞表面のB細胞レセプター刺激を下流の細胞内反応に結び付けるB細胞シグナリング経路で本質的な役割を果たす。Btkは、B細胞の発生、活性化、シグナリング、および生存の主要なレギュレーターである(Kurosaki,Curr Op Imm,2000,276-281、Schaeffer and Schwartzberg,Curr Op Imm 2000,282-288)。そのほかに、Btkは、マクロファージにおけるToll様レセプター(TLR)媒介およびサイトカインレセプター媒介TNF-α産生、肥満細胞におけるIgEレセプター(FcεRI)シグナリング、B系列リンパ系細胞におけるFas/APO-1アポトーシスシグナリング阻害、コラーゲン刺激による血小板凝集など、いくつかの他の造血細胞シグナリング経路で役割を果たす。たとえば、C.A.Jeffries,et al.,(2003),Journal of Biological Chemistry 278:26258-26264、N.J.Horwood,et al.,(2003),The Journal of Experimental Medicine 197:1603-1611、Iwaki et al.(2005),Journal of Biological Chemistry 280(48):40261-40270、Vassilev et al.(1999),Journal of Biological Chemistry 274(3):1646-1656、およびQuek et al(1998),Current Biology 8(20):1137-1140を参照されたい。
【0004】
したがって、イブルチニブは、B細胞悪性疾患の標的化で役割を果たす。イブルチニブは、制御不能に成長および分裂するように悪性B細胞を刺激するシグナルをブロックする。したがって、慢性リンパ球白血病、マントル細胞リンパ腫、瀰漫性大B細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫などの各種血液悪性疾患に対して臨床試験の研究が進められている。また、いくつかのカウンティーではある特定の病態に対して規制当局の承認が得られている。たとえば、2013年11月にはマントル細胞リンパ腫の治療に対して、2014年2月には慢性リンパ球白血病の治療に対して、および2015年1月にはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療に対して、米国FDAにより承認された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イブルチニブの代替製剤が必要とされ、かつ/または望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、このたび、イブルチニブを含む医薬組成物が提供される。ただし、イブルチニブは、化合物1
【化1】

の構造を有する化合物であり、かつ医薬組成物は、医薬組成物の全重量を基準にして、i)少なくとも60%w/wのイブルチニブと、ii)約4~7%w/wのマンニトールと約13~16%w/wのクロスポビドンとを含む賦形剤と、を含む。
【0007】
他の態様では、医薬組成物が約60%w/w~約80%w/wのイブルチニブを含むものとして医薬組成物が提供される。他の実施形態では、医薬組成物が約65%w/w~約80%w/wのイブルチニブを含むものとして医薬組成物が提供される。他の実施形態では、医薬組成物が約65%w/w~約75%w/wのイブルチニブを含むものとして医薬組成物が提供される。他の実施形態では、医薬組成物が約70%w/wのイブルチニブを含むものとして医薬組成物が提供される。
【0008】
他の態様では、医薬組成物が顆粒内および顆粒外の成分を含むものとして医薬組成物が提供される。
【0009】
他の態様では、イブルチニブおよびマンニトールが顆粒内成分であるものとして医薬組成物が提供される。
【0010】
他の態様では、医薬組成物が約4%w/w~約6%w/wのマンニトールを含むものとして医薬組成物が提供される。他の実施形態では、医薬組成物が約5%のマンニトールを含むものとして医薬組成物が提供される。
【0011】
他の態様では、クロスポビドンが顆粒内および顆粒外の成分であるものとして医薬組成物が提供される。他の実施形態では、医薬組成物が約14%w/w~約16%w/wのクロスポビドンを含むものとして医薬組成物が提供される。他の実施形態では、医薬組成物が約15%w/wのクロスポビドンを含むものとして医薬組成物が提供される。
【0012】
他の態様では、医薬組成物が約70%w/wのイブルチニブと約5%のマンニトールと約15%w/wのクロスポビドンとを含むものとして医薬組成物が提供される。
【0013】
さらに他の態様では、医薬組成物が湿式顆粒化法を用いて調製されるものとして医薬組成物が提供される。
【0014】
他の態様では、少なくとも1種の追加の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0015】
さらに他の態様では、本明細書に記載の医薬組成物と1種以上の追加の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、1種以上の追加の賦形剤が約7%w/w~約13%w/wの量で存在する高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、1種以上の追加の賦形剤が結合剤、滑沢剤、流動化剤、および界面活性剤からなる群から選択される高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0016】
他の実施形態では、少なくとも1種の追加の賦形剤が界面活性剤である高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、界面活性剤のナトリウムラウリルスルフェートである少なくとも1種の追加の賦形剤が存在する高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、(界面活性剤のナトリウムラウリルスルフェートである少なくとも追加の賦形剤が存在する場合)ナトリウムラウリルスルフェートが約0~約10%w/w、約4%w/w~約8%w/w、または約6%w/w~約8%w/wの量で存在する高配合固形錠剤製剤が提供される(さらなる実施形態では、ナトリウムラウリルスルフェートが約7%w/wの量で存在し、またさらなる実施形態では、ナトリウムラウリルスルフェートが約0.5%w/w~約4%w/wの量で存在する)。
【0017】
他の実施形態では、少なくとも1種の追加の賦形剤が流動化剤である高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、流動化剤のシリカ(コロイド二酸化ケイ素)である少なくとも1種の追加の賦形剤が存在する高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、(流動化剤のシリカである少なくとも追加の賦形剤が存在する場合)シリカ(コロイド二酸化ケイ素)が約0~約5%w/w、0.1%w/w~約1.5%w/w、約0.4%w/w~約0.8%w/w、または約0.5%w/w~約0.6%w/wの量で存在する高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0018】
他の実施形態では、少なくとも1種の追加の賦形剤が滑沢剤である高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、滑沢剤のマグネシウムステアレートである少なくとも1種の追加の賦形剤が存在する高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、(滑沢剤のマグネシウムステアレートである少なくとも追加の賦形剤が存在する場合)マグネシウムステアレートが約0.01%w/w~約5%w/w、0.01%w/w~約2%w/w、0.1%w/w~約0.7%w/w、または約0.5%w/w~約0.6%w/wの量で存在する高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0019】
他の態様では、少なくとも1種の追加の賦形剤が結合剤である高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、結合剤のポリビニルピロリドン(たとえば、PVP K29/32)である少なくとも1種の追加の賦形剤が存在する高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、(結合剤のポリビニルピロリドン(たとえば、PVP K29/32)である少なくとも追加の賦形剤が存在する場合)ポリビニルピロリドンが約0.5%w/w~約5%w/w、1%w/w~約3%w/w、1%w/w~約2%w/w、または約2%w/wの量で存在する高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0020】
態様では、少なくとも60%w/wのイブルチニブと顆粒内および顆粒外の賦形剤とを含む高配合固形錠剤製剤が提供される。ただし、顆粒内の賦形剤は、マンニトール、ナトリウムラウリルスルフェート、およびクロスポビドンを含み、かつ顆粒外の賦形剤は、ポリビニルピロリドン、ナトリウムラウリルスルフェート、クロスポビドン、コロイド二酸化ケイ素、およびマグネシウムステアレートを含む。
【0021】
実施形態では、
顆粒内の賦形剤が、
約4%w/w~約7%w/w、約4%w/w~約6%w/w、または約5%w/wの量のマンニトールと、
約6%w/w~約9%w/w、約7%w/w~約8%w/w、または約7.5%w/wの量のクロスポビドンと、
約0~約2%w/w、約0.5%w/w~約1.5%w/w、または約1%w/wの量のナトリウムラウリルスルフェートと、
を含み、かつ
顆粒外の賦形剤が、
約0~約4%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約5%w/wの量のポリビニルピロリドンと、
約4%~約8%w/w、約5%w/w~約7%w/w、または約6%w/wの量のナトリウムラウリルスルフェートと、
約4%w/w~約10%w/w、約5%w/w~約9%w/w、または約7.5%w/wの量のクロスポビドンと、
約0.1%w/w~約1.0%w/w、または約0.3%w/w~約0.8%w/w、または約0.5%w/wの量のコロイド二酸化ケイ素と、
約0.1%w/w~約1.0%w/w、または約0.3%w/w~約0.8%w/w、または約0.5%w/wの量のマグネシウムステアレートと、
を含む、高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0022】
実施形態では、
a)約60%w/w~約80%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約7%w/wのマンニトールと、
c)約13%w/w~約16%w/wのクロスポビドンと、
d)約1%w/w~約3%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約5%w/w~約10%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.1%w/w~約1.0%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.1%w/w~約1.0%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0023】
たとえば、実施形態では、
a)約65%w/w~約75%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約6%w/wのマンニトールと、
c)約14%w/w~約16%w/wのクロスポビドンと、
d)約1%w/w~約3%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約6%w/w~約8%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.4%w/w~約0.6%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.4%w/w~約0.6%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0024】
他の実施形態では、
a)約69%w/w~約71%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約6%w/wのマンニトールと、
c)約14%w/w~約16%w/wのクロスポビドンと、
d)約1.5%w/w~約2.5%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約6%w/w~約8%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.4%w/w~約0.6%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.4%w/w~約0.6%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0025】
他の実施形態では、
a)約70%w/wのイブルチニブと、
b)約5%w/wのマンニトールと、
c)約15%w/wのクロスポビドンと、
d)約2%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約7%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.5%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.5%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0026】
他の実施形態では、
a)約69%w/w~約71%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約6%w/wのマンニトールと、
c)約7%w/w~約8%w/wのクロスポビドン(顆粒内)と、
d)約7%w/w~約8%w/wのクロスポビドン(顆粒外)と、
e)約0.5%w/w~約1.5%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒内)と、
f)約5%w/w~約7%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒外)と、
g)約1%w/w~約3%w/wのポリビニルピロリドンと、
h)約0.4%w/w~約0.6%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
i)約0.4%w/w~約0.6%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0027】
他の実施形態では、
a)約70%w/wのイブルチニブと、
b)約5%w/wのマンニトールと、
c)約7.5%w/wのクロスポビドン(顆粒内)と、
d)約7.5%w/wのクロスポビドン(顆粒外)と、
e)約1%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒内)と、
f)約6%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒外)と、
g)約2%w/wのポリビニルピロリドンと、
h)約0.5%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
i)約0.5%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0028】
他の態様では、錠剤の全重量が約800mgである高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、イブルチニブが約560mgの量である高配合固形錠剤が提供される。他の実施形態では、イブルチニブがマイクロナイズ形態である高配合固形錠剤が提供される。
【0029】
他の態様では、製剤が1日1回投与に使用される高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、製剤が経口剤形である高配合固形錠剤が提供される。
【0030】
他の態様では、治療を必要とする患者において治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物または製剤を患者に投与することを含む疾患の治療方法が提供される。
【0031】
他の態様では、治療を必要とする患者において治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物または製剤を患者に投与することを含む自己免疫疾患または病態の治療方法が提供される。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は関節リウマチまたは狼瘡である。
【0032】
他の態様では、治療を必要とする患者において治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物または製剤を患者に投与することを含む異種免疫疾患または病態の治療方法が提供される。
【0033】
他の態様では、治療を必要とする患者において治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物または製剤を患者に投与することを含む癌の治療方法が提供される。いくつかの実施形態では、癌はB細胞増殖障害である。いくつかの実施形態では、B細胞増殖障害は、瀰漫性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または慢性リンパ球白血病である。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性疾患である。いくつかの実施形態では、癌は、慢性リンパ球白血病(CLL)/小リンパ球リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、および多発性骨髄腫から選択されるB細胞悪性疾患である。いくつかの実施形態では、癌は、リンパ腫、白血病、または固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、瀰漫性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球リンパ腫、慢性リンパ球白血病、B細胞前リンパ球白血病、リンパ形質細胞リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾辺縁帯リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、またはリンパ腫様肉芽腫症である。
【0034】
他の態様では、治療を必要とする患者において治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物または製剤を患者に投与することを含む肥満細胞症の治療方法が提供される。
【0035】
他の態様では、治療を必要とする患者において治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物または製剤を患者に投与することを含む骨粗鬆症または骨吸収障害の治療方法が提供される。
【0036】
他の態様では、治療を必要とする患者において治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物または製剤を患者に投与することを含む炎症性疾患または病態の治療方法が提供される。
【0037】
他の態様では、治療を必要とする患者において治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物または製剤を患者に投与することを含む狼瘡の治療方法が提供される。
【0038】
態様では、医薬組成物(たとえば、本明細書に記載のもの)または錠剤製剤(たとえば、本明細書に記載のもの)の調製プロセスであって、イブルチニブと少なくとも1種の賦形剤とを含む湿潤顆粒を湿式顆粒化法により調製することを含むプロセスが提供される。
【0039】
さらなる実施形態では、
・ 湿潤顆粒がイブルチニブ、マンニトール、クロスポビドン、およびナトリウムラウリルスルフェートを含む本明細書に記載のプロセス
・ 以下:
a)湿潤顆粒を乾燥させて乾燥顆粒を形成することと、
b)乾燥顆粒をミル処理してミル処理顆粒を形成することと、
c)ミル処理顆粒と顆粒外の賦形剤とをブレンドして混合物を形成することと、
d)混合物を圧縮して錠剤を形成することと、
をさらに含む本明細書に記載のプロセス
・ 顆粒外の賦形剤がポリビニルピロリドン、ナトリウムラウリルスルフェート、クロスポビドン、コロイド二酸化ケイ素、およびマグネシウムステアレートを含む本明細書に記載のプロセス
が提供される。
【0040】
実施形態では、プロセスは、次の工程:(i)適切なスクリーンを用いたミルを介してマイクロナイズされたイブルチニブ、ナトリウムラウリルスルフェート、クロスポビドン、およびマンニトールをスクリーン処理する工程と、(ii)マイクロナイズされたイブルチニブ、ナトリウムラウリルスルフェート、クロスポビドン、およびマンニトールを高剪断グラニュレーターミキサーで混合する工程と、(iii)精製水に溶解させたポビドン結合剤により顆粒化する工程と、(iv)流動床乾燥機で湿潤塊を乾燥させる工程と、(v)ミルを介して乾燥塊をミル処理する工程と、(vi)ミル処理された材料と、シーブ処理されたクロスポビドンとナトリウムラウリルスルフェートとの追加の顆粒部分と、をコロイド二酸化ケイ素と共にブレンドする工程と、(vii)ブレンドされた顆粒をシーブ処理されたマグネシウムステアレートの追加の顆粒部分によりブレンダー内で滑沢化する工程と、(viii)好適なツーリングを備えた回転圧縮機を用いて最終ブレンドを圧縮して錠剤にする工程と、(ix)コーティング機を用いて錠剤をフィルムコーティングする工程と、(x)従来の手順を用いて錠剤をパッケージングする工程と、を参照して記述しうる。
【0041】
他の態様では、イブルチニブを含む高配合固形錠剤製剤が提供される。ただし、イブルチニブは、化合物1
【化2】

の構造を有する化合物であり、かつ錠剤は、約560mgのイブルチニブを含む。
【0042】
他の実施形態では、イブルチニブがマイクロナイズ形態である高配合固形錠剤製剤が提供される。他の実施形態では、イブルチニブはスプレー乾燥形態である。他の実施形態では、粒子サイズは約30ミクロン以下である。一実施形態では、イブルチニブはマイクロナイズ形態であり、かつ粒子サイズは約1~30ミクロンである。他の実施形態では、粒子サイズは約10ミクロン以下である。他の実施形態では、粒子サイズは<1ミクロンである。他の実施形態では、錠剤が1日1回経口投与に使用される高配合固形錠剤製剤が提供される。
【0043】
他の態様では、化合物1の投与による患者の治療方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、治療有効量の化合物1または薬学的に許容可能な塩、医薬活性代謝物、薬学的に許容可能なプロドラッグ、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物におけるBtkなどのチロシンキナーゼの活性の阻害方法またはBtkなどのチロシンキナーゼの阻害が奏効すると思われる疾患、障害、もしくは病態の治療方法が本明細書に提供される。
【0044】
他の態様では、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)活性を阻害するための、またはブルトンチロシンキナーゼ(Btk)活性の阻害が奏効すると思われる疾患、障害、もしくは病態を治療するための、化合物1の使用が本明細書に提供される。
【0045】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1を含む医薬組成物がヒトに投与される。いくつかの実施形態では、非晶質化合物1を含む医薬組成物がヒトに投与される。
【0046】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1を含む医薬組成物が経口投与される。いくつかの実施形態では、非晶質化合物1を含む医薬組成物が経口投与される。
【0047】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1を含む医薬組成物が、チロシンキナーゼ活性を阻害するための医薬の製剤に使用される。いくつかの他の実施形態では、結晶性化合物1を含む医薬組成物が、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)活性を阻害するための医薬の製剤に使用される。いくつかの実施形態では、非晶質化合物1を含む医薬組成物が、チロシンキナーゼ活性を阻害するための医薬の製剤に使用される。いくつかの他の実施形態では、非晶質化合物1を含む医薬組成物が、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)活性を阻害するための医薬の製剤に使用される。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される実施形態(組成物、方法、使用、製剤、組合せ療法などを含む)のいずれかで、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は光学的に純粋である(すなわち、HPLCによるキラル純度が99%超である)。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される実施形態(組成物、方法、使用、製剤、組合せ療法などを含む)のいずれかで、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、a)より低いキラル純度の化合物1またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、b)任意の光学純度の1-((S)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、あるいはc)ラセミ体の1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H‐ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オンまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物により置き換えられる。
【0049】
本明細書に開示される実施形態(組成物、方法、使用、製剤、組合せ療法などを含む)のいずれかでは、非晶質化合物1が使用される。本明細書に開示される実施形態(組成物、方法、使用、製剤、組合せ療法などを含む)のいずれかでは、結晶性化合物1が使用される。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される実施形態(組成物、方法、使用、製剤、組合せ療法などを含む)のいずれかで、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、化合物1の活性代謝物により置き換えられる。いくつかの実施形態では、活性代謝物は結晶形である。いくつかの実施形態では、活性代謝物は非晶質相である。さらなる実施形態では、代謝物は単離されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される実施形態(組成物、方法、使用、製剤、組合せ療法などを含む)のいずれかで、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、化合物1のプロドラッグ、化合物1のジュウテリウム化アナログ、またはそれらの薬学的に許容可能な塩により置き換えられる。
【0051】
本明細書に記載の方法および組成物の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の趣旨および範囲に含まれる各種の変更形態および修正形態がこの詳細な説明から当業者に明らかになるであろうから、詳細な説明および具体例は、具体的な実施形態を示すが例示を目的として与えられたものにすぎないことを理解すべきである。本明細書で用いられる節の見出しは、単に構成上の目的であるにすぎず、記載の主題を限定するものと解釈すべきではない。限定されるものではないが特許、特許出願、論文、本、マニュアル、および専門書を含めて、本出願に引用されている文書または文書の一部はすべて、いずれの目的に対してもその全体が本出願をもって参照により明示的に組み込まれる。
【0052】
参照による組込み
本明細書に挙げられる出版物および特許出願はすべて、適用可能な関連する範囲内で参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
4つの図はすべて、「処置A」(以下に定義される)と「処置B」(同様に以下に定義される)との比較を示す。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、0~12時間にわたる線形平均-線形平均の血漿中イブルチニブ濃度対時間プロファイルを示す。
図2図2は、0~12時間にわたる対数平均-線形平均の血漿中イブルチニブ濃度対時間プロファイルを示す。
図3図3は、0~48時間にわたる線形平均-線形平均の血漿中イブルチニブ濃度対時間プロファイルを示す。
図4図4は、0~48時間にわたる対数平均-線形平均の血漿中イブルチニブ濃度対時間プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
化合物1などの低分子Btk阻害剤は、たとえば、自己免疫疾患、異種免疫病態または疾患、炎症性疾患、癌(たとえばB細胞増殖障害)、および血栓塞栓障害を含めて、造血系列の多くの細胞型が影響するまたはそれらに影響を及ぼすさまざまな疾患のリスクの低減または治療に有用であることが、各種造血細胞機能でBtkシグナリングが果たすさまざまな役割、たとえば、B細胞レセプター活性化から示唆される。さらに、化合物1などの不可逆的Btk阻害剤化合物は、不可逆的阻害剤と共有結合を形成可能なシステイン残基(Cys481残基を含む)を有することによりBtkとの相同性を共有する他のチロシンキナーゼの小さいサブセットを阻害するために使用可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、化合物1を含む組成物または錠剤製剤は、限定されるものではないが、関節リウマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、スティル病、若年性関節炎、狼瘡、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、オード甲状腺炎、グレーブス病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌスミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎(spondylitisis)、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経失調症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、強皮症、および外陰部痛を含めて、哺乳動物において自己免疫疾患の治療に使用可能である。
【0057】
いくつかの実施形態では、化合物1を含む組成物または錠剤製剤は、限定されるものではないが、移植片対宿主病、移植病、輸液病、アナフィラキシー、アレルギー(たとえば、植物花粉、ラテックス、薬剤、食品、昆虫毒、動物毛、動物鱗屑、チリダニ、またはゴキブリカリックスに対するアレルギー)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、およびアトピー性皮膚炎を含めて、哺乳動物において異種免疫疾患または病態の治療に使用可能である。
【0058】
いくつかの実施形態では、化合物1を含む組成物または錠剤製剤は、限定されるものではないが、喘息、炎症性腸疾患、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、結腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ブドウ膜炎、膣炎、血管炎、および外陰炎を含めて、哺乳動物において炎症性疾患の治療に使用可能である。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、喘息、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、結腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ブドウ膜炎、膣炎、血管炎、または外陰炎である。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、炎症性腸疾患、関節炎、狼瘡、関節リウマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、スティル病、若年性関節炎、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、オード甲状腺炎、グレーブス病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌスミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎(spondylitisis)、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経失調症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、強皮症、または外陰部痛である。
【0059】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載の方法は、限定されるものではないが、瀰漫性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球リンパ腫、慢性リンパ球白血病、B細胞前リンパ球白血病、リンパ形質細胞リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾辺縁帯リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、およびリンパ腫様肉芽腫症を含めて、B細胞増殖障害などの癌の治療に使用可能である。
【0060】
さらなる実施形態では、本明細書に記載の方法は、限定されるものではないが、心筋梗塞、狭心症(不安定狭心症を含む)、血管形成または大動脈冠動脈バイパスの後の再閉塞または再狭窄、脳卒中、一過性虚血、末梢動脈閉塞性障害、肺塞栓症、および深部静脈血栓症を含めて、血栓塞栓障害の治療に使用可能である。
【0061】
血液悪性疾患
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における血液悪性疾患の治療方法が本明細書に開示される。
【0062】
いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、慢性リンパ球白血病(CLL)、小リンパ球リンパ腫(SLL)、高リスクCLL、または非CLL/SLLリンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、濾胞性リンパ腫(FL)、瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫(MM)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、非バーキット高悪性度B細胞リンパ腫、または節外性辺縁帯B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、急性もしくは慢性骨髄(もしくはミエロイド)白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ芽球白血病または前駆B細胞急性リンパ芽球白血病である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は慢性リンパ球白血病(CLL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患はマントル細胞リンパ腫(MCL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)のABCサブタイプである。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)のGCBサブタイプである。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患はワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は多発性骨髄腫(MM)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患はバーキットリンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は濾胞性リンパ腫(FL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は形質転換濾胞性リンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は辺縁帯リンパ腫である。
【0063】
いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は再発性もしくは難治性の非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、再発性もしくは難治性の瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性もしくは難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)、再発性もしくは難治性の濾胞性リンパ腫(FL)、再発性もしくは難治性のCLL、再発性もしくは難治性のSLL、再発性もしくは難治性の多発性骨髄腫、再発性もしくは難治性のワルデンシュトレームマクログロブリン血症、再発性もしくは難治性の多発性骨髄腫(MM)、再発性もしくは難治性の辺縁帯リンパ腫、再発性もしくは難治性のバーキットリンパ腫、再発性もしくは難治性の非バーキット高悪性度B細胞リンパ腫、再発性もしくは難治性の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、再発性もしくは難治性の急性もしくは慢性の骨髄(もしくはミエロイド)白血病、再発性もしくは難治性の骨髄異形成症候群、再発性もしくは難治性の急性リンパ芽球白血病、または再発性もしくは難治性の前駆B細胞急性リンパ芽球白血病である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は再発性もしくは難治性の慢性リンパ球白血病(CLL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は再発性もしくは難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は再発性もしくは難治性の瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、再発性もしくは難治性の瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)のABCサブタイプである。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、再発性もしくは難治性の瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)のGCBサブタイプである。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は再発性もしくは難治性のワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は再発性もしくは難治性の多発性骨髄腫(MM)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は再発性もしくは難治性のバーキットリンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は再発性もしくは難治性の濾胞性リンパ腫(FL)である。
【0064】
いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、高リスクに分類される血液悪性疾患である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は高リスクCLLまたは高リスクSLLである。
【0065】
B細胞リンパ増殖性障害(BCLD)は、血液の新生物であり、とくに、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、および白血病を包含する。BCLDは、リンパ組織(たとえばリンパ腫の場合)または骨髄(たとえば白血病および骨髄腫の場合)のいずれかに由来しうるとともに、それらはすべて、リンパ球または白血球の無制限増殖に関与する。BCLDには、慢性リンパ球白血病(CLL)や非ホジキンリンパ腫(NHL)などの多くのサブタイプが存在する。BCLDの疾患経過および治療は、BCLDサブタイプに依存する。しかしながら、臨床所見、形態的外観、および治療に対する反応は、各サブタイプ内でさえも不均一である。
【0066】
悪性リンパ腫は、リンパ組織内に主に存在する細胞の新生物性形質転換である。悪性リンパ腫の2つのグループは、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL)である。リンパ腫は両タイプとも、細網内皮組織に浸潤する。しかしながら、それらは、起源の新生物細胞、疾患の部位、全身症状の存在、および治療に対する反応が異なる(Freedman et al.,”Non-Hodgkin’s Lymphomas”Chapter 134,Cancer Medicine,(an approved publication of the American Cancer Society,B.C.Decker Inc.,Hamilton,Ontario,2003)。
【0067】
非ホジキンリンパ腫
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における非ホジキンリンパ腫の治療方法が本明細書に開示される。
【0068】
ある特定の実施形態では、治療上有効量の化合物1を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性の非ホジキンリンパ腫の治療方法が本明細書にさらに開示される。いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、再発性もしくは難治性の瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性もしくは難治性のマントル細胞リンパ腫、再発性もしくは難治性の濾胞性リンパ腫、または再発性もしくは難治性のCLLである。非ホジキンリンパ腫(NHL)は、主にB細胞起源であるさまざまな一群の悪性疾患である。NHLは、脾臓、リンパ節、扁桃などのリンパ系に関連するいずれの器官でも発生しうるとともに、いずれの年齢でも起こりうる。NHLは、多くの場合、リンパ節腫大、発熱、および体重減少が顕著である。NHLは、B細胞またはT細胞のいずれかのNHLに分類される。骨髄または幹細胞の移植後のリンパ球増殖性障害に関連するリンパ腫は、通常、B細胞NHLである。ワーキングフォーミュレーション分類スキームでは、NHLは、その自然歴に基づいて低悪性度、中悪性度、および高悪性度のカテゴリーに分類された(“The Non-Hodgkin’s Lymphoma Pathologic Classification Project,” Cancer 49(1982):2112-2135を見る)。低悪性度リンパ腫は、無痛性であり5~10年のメジアン生存期間を有する(Horning and Rosenberg(1984)N.Engl.J.Med.311:1471-1475)。化学療法は、無痛性リンパ腫の大多数で寛解を引き起こしうるが、治癒は稀であり、ほとんどの患者は、最終的には再発するのでさらなる治療を必要とする。中悪性度および高悪性度のリンパ腫はより侵攻性の腫瘍であるが、化学療法で治癒する可能性がより大きい。しかしながら、こうした患者はかなりの割合で再発し、さらなる治療を必要とするであろう。
【0069】
B細胞NHLのリストには、限定されるものではないが、バーキットリンパ腫(たとえば、地方病性バーキットリンパ腫および散発性バーキットリンパ腫)、皮膚B細胞リンパ腫、皮膚辺縁帯リンパ腫(MZL)、瀰漫性大細胞リンパ腫(DLBCL)、瀰漫性大・小細胞混合型リンパ腫、瀰漫性小分割細胞、瀰漫性小リンパ球リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小分割細胞(グレード1)リンパ腫、濾胞性小分割・大細胞混合(グレード2)リンパ腫、濾胞性大細胞(グレード3)リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、血管内リンパ腫症、大細胞免疫芽球リンパ腫、大細胞リンパ腫(LCL)、リンパ芽球リンパ腫、マルトリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、免疫芽球大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ球白血病(CLL)/小リンパ球リンパ腫(SLL)、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫-粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔大B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、および原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫が含まれる。そのほかの非ホジキンリンパ腫は、本発明の範囲内であることが企図され、当業者には明らかである。
【0070】
DLBCL
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体におけるDLCBLの治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性のDLCBLの治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0071】
本明細書で用いられる場合、「瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)」という用語は、瀰漫性成長パターンおよび高~中増殖指数を有する胚中心Bリンパ球の新生物を意味する。DLBCLは、全リンパ腫の約30%を占め、胚中心芽球サブタイプ、免疫芽球サブタイプ、T細胞/組織球リッチサブタイプ、未分化サブタイプ、および形質芽球サブタイプをはじめとするいくつかの形態学的変異体を呈しうる。DLBCLにはさまざまなサブタイプが存在することが遺伝子検査により示されている。これらのサブタイプは、さまざまな前途(予後)および治療に対する反応を有するように思われる。DLBCLはいずれの年齢群でも罹患しうるが、主に老齢者(平均年齢は60代半ばである)に起こる。
【0072】
ある特定の実施形態では、300mg/日以上1000mg/日以下の量で不可逆的Btk阻害剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における瀰漫性大B細胞リンパ腫の活性化B細胞様サブタイプ(ABC-DLBCL)の治療方法が本明細書に開示される。瀰漫性大B細胞リンパ腫のABCサブタイプ(ABC-DLBCL)は、細胞質分化時に停止される後胚中心B細胞から生じると考えられる。DLBCLのABCサブタイプ(ABC-DLBCL)は、全DLBCL診断の約30%を占める。それはDLBCL分子サブタイプの中で最も治癒し難いと考えられるので、ABC-DLBCLと診断された患者は、典型的には、DLCBLの他のタイプを有する個体と比較して生存率の有意な低下を示す。ABC-DLBCLは、胚中心マスターレギュレーターBCL6をデレギュレートする染色体転座と、形質細胞分化に必要とされる転写リプレッサーをコードするPRDM1遺伝子を不活性化する突然変異と、に最もよく関連付けられる。
【0073】
ABC-DLBCLの病理発生にとくに関連するシグナリング経路は、核因子(NF)-κB転写複合体により媒介されるシグナリング経路である。NF-κBファミリーは、5つのメンバー(p50、p52、p65、c-rel、およびRelB)を含み、これらは、ホモダイマーおよびヘテロダイマーを形成して転写因子として機能することによりさまざまな増殖、アポトーシス、炎症反応、および免疫反応を媒介し、正常B細胞の発生および生存にきわめて重要である。NF-κBは、細胞増殖および細胞生存を制御する遺伝子のレギュレーターとして真核細胞により広く使用される。このため、多種多様なタイプのヒト腫瘍は、誤調節NF-κBを有する。すなわち、NF-κBは構成的に活性である。活性NF-κBは、細胞増殖を維持するとともにそのままではアポトーシスにより死に至らせると思われる病態から細胞を保護する遺伝子の発現を開始させる。
【0074】
NF-κBへのABC DLBCLの依存は、CARD11とBCL10とMALT1とを含むIκBキナーゼ(CBM複合体)の上流のシグナリング経路に依存する。CBM経路が妨害されるとABC DLBCL細胞のNF-κBシグナリングが消失してアポトーシスが起こる。NF-κB経路の構成的活性の分子基盤は、現在の研究の対象であるが、ABC DLBCLのゲノムのいくつかの体細胞変異は、明らかにこの経路を引き起こす。たとえば、DLBCL中のCARD11のコイルドコイルドメインの体細胞突然変異が起こると、このシグナリング足場タンパク質は、自発的にMALT1およびBCL10とのタンパク質-タンパク質相互作用の核となることが可能になり、IKK活性およびNF-κB活性化を引き起こす。B細胞レセプターシグナリング経路の構成的活性は、野生型CARD11を有するABC DLBCLにおけるNF-κBの活性化に関与しているとされてきた。また、これは、B細胞レセプターサブユニットCD79AおよびCD79Bの細胞質内テール中の突然変異に関連付けられる。シグナリングアダプターMYD88中の発癌活性化突然変異はNF-κBを活性化し、B細胞レセプターシグナリングと相乗作用してABC DLBCL細胞の生存を維持する。そのほかに、NF-κB経路のネガティブレギュレーターA20中の不活性化突然変異は、ほぼ限定的にABC DLBCLで行われる。
【0075】
実際に、NF-κBシグナリング経路の複数の成分に影響を及ぼす遺伝子変異がABC-DLBCL患者の50%超で最近同定された。この場合、これらの病変は、構成的NF-κB活性化を促進することによりリンパ腫成長に寄与する。これらは、抗原レセプターから下流メディエーターにNF-κB活性化のシグナルをリレーするBCRシグナロソームを(MALT1およびBCL10と一緒になって)形成するリンパ球特異的細胞質足場タンパク質CARD11の突然変異を含む(その症例の約10%)。症例には、さらに大きな割合(約30%)でネガティブNF-κBレギュレーターA20を不活性化する両対立遺伝子性遺伝子病変が含まれる。さらに、NF-κB標的遺伝子の高い発現レベルがABC-DLBCL腫瘍サンプルで観測されている。たとえば、U.Klein et al.,(2008),Nature Reviews Immunology 8:22-23、R.E.Davis et al.,(2001),Journal of Experimental Medicine 194:1861-1874、G.Lentz et al.,(2008),Science 319:1676-1679、M.Compagno et al.,(2009),Nature 459:712-721、およびL. Srinivasan et al.,(2009),Cell 139:573-586)を参照されたい。
【0076】
OCI-Ly10などのABCサブタイプのDLBCL細胞は、慢性活性BCRシグナリングを有し、本明細書に記載のBtk阻害剤に対して非常に感受性がある。本明細書に記載の不可逆的Btk阻害剤は、OCI-Ly10の成長を強力かつ不可逆的に阻害する(連続暴露EC50=10nM、1時間パルスEC50=50nM)。そのほかに、カスパーゼ活性化やアネキシンVのフローサイトメトリーにより示されるアポトーシスの誘導およびサブG0画分の増加がOCILy10で観測される。感受性細胞および耐性細胞は両方とも、類似のレベルでBtkを発現し、Btkの活性部位は、両方とも蛍光標識アフィニティープローブを用いて示されるように阻害剤により完全に占有される。OCI-Ly10細胞は、本明細書に記載のBtk阻害剤により用量依存的に阻害されるNF-κBに対して慢性活性BCRシグナリングを有することが示される。本明細書で研究された細胞系におけるBtk阻害剤の活性また、いずれもBCR刺激を用いておよび用いずにシグナル伝達プロファイル(Btk、PLCγ、ERK、NF-κB、AKT)、サイトカイン分泌プロファイル、およびmRNA発現プロファイルを比較することにより特徴付けられ、Btk阻害剤治療に対して最も感受性の高い患者集団を同定する臨床バイオマーカーをもたらすこれらのプロファイルに有意差が観測される。米国特許第7,711,492号明細書およびStaudt et al.,Nature,Vol.463,Jan.7,2010,pp.88-92(それらの内容はその全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0077】
濾胞性リンパ腫
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における濾胞性リンパ腫の治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性の濾胞性リンパ腫の治療方法が本明細書にさらに開示される。本明細書で用いられる場合、「濾胞性リンパ腫」という用語は、リンパ腫細胞が結節または濾胞にクラスター化されるいくつかタイプの非ホジキンリンパ腫のいずれかを意味する。細胞がリンパ節で環状または節状のパターンで成長する傾向があることから、濾胞性という用語が用いられる。このリンパ腫を有する人々の平均年齢は約60歳である。
【0078】
CLL/SLL
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体におけるCLLまたはSLLの治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性のCLLまたはSLLの治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0079】
慢性リンパ球白血病および小リンパ球リンパ腫(CLL/SLL)は、通常、わずかに異なる症状を有する同一の疾患と考えられる。癌細胞がどこに集まるかによってCLLと呼ばれるかSLと呼ばれるかが決定される。癌細胞がリンパ系(体内に見いだされる主に小脈管の系)のライマメ形構造のリンパ節に主に見いだされ場合、SLLと呼ばれる。SLLは、全リンパ腫の約5%~10%を占める。癌細胞のほとんどが血流および骨髄に存在する場合、CLLと呼ばれる。
【0080】
CLLおよびSLLは両方とも成長の遅い疾患であるが、かなり一般的であるCLLはより遅く成長する傾向がある。CLLおよびSLLは同じように治療される。それらは、通常、標準的治療で治癒可能とは考えられず、疾患のステージおよび成長速度に依存するが、ほとんどの患者は10年よりも長く生きている。ときには、時間が経つと、これらの成長の遅いリンパ腫はより侵攻性の強いタイプのリンパ腫に形質転換しうる。
【0081】
慢性リンパ性白血病(CLL)は、白血病の中で最も一般的なタイプである。米国では100,760名の人々がCLLを有して生きているかまたはCLLから寛解した状態にあると推定される。CLLと新たに診断された人々のほとんど(>75%)は、50歳を超える年齢である。現在、CLL治療は、完全な治癒ではなく疾患およびその症状の抑制に重点が置かれている。CLLは、化学療法、放射線療法、生物学的療法、または骨髄移植により治療される。症状は、外科的(肥大脾臓の脾摘術除去)にまたは放射線療法(腫大リンパ節の「減量」)により治療されることもある。CLLは、ほとんどの場合、徐々に進行するが、治癒不能であると一般に考えられている。ある特定のCLLは、高リスクに分類される。本明細書で用いられる場合、「高リスクCLL」とは、次のもの、すなわち、1)17p13-、2)11q22-、3)ZAP-70+および/またはCD38+を伴う非突然変異IgVH、または4)トリソミー12の少なくとも1つにより特徴付けられるCLLを意味する。患者の生活の質に影響を及ぼしうる状態まで病気が進行したことが、患者の臨床症状または血球数から示唆される場合、典型的にはCLL治療が施される。
【0082】
小リンパ球白血病(SLL)は、以上に記載のCLLに非常に類似しており、B細胞の癌でもある。SLLでは、異常リンパ球は主にリンパ節を侵す。しかしながら、CLLでは、異常細胞は主に血液および骨髄を侵す。脾臓は両方の病態に侵されうる。SLLは、非ホジキンリンパ腫の全症例の約1/25を占める。それは青年期から老齢期までのいずれの時点でも起こりうるが、50歳未満の年齢では稀である。SLLは緩慢性リンパ腫と考えられる。つまり、疾患の進行は非常に遅く、患者は診断後何年も生きる傾向がある。しかしながら、ほとんどの患者は進行疾患と診断され、SLLはさまざまな化学療法薬剤に十分に反応するが、治癒不能であると一般に考えられている。いくつかの癌はどちらか一方の性別により多く起こる傾向があるが、SLLに起因する症例および死亡は、男性と女性との間で均等に分かれる。診断時の平均年齢は60歳である。
【0083】
SLLは緩慢性であるが、持続的に進行する。この疾患の通常のパターンは、疾患寛解期を有して放射線療法および/または化学療法に対して高い反応率を示すものである。この後、何ヵ月または何年か経つと再発が避けられなくなる。再治療により再び反応が現れるが、再び疾患は再発するであろう。つまり、SLLの短期予後はきわめて良好であるが、時間が経つと多くの患者は再発疾患の致命的合併症を発症する。CLLおよびSLLと典型的に診断される個体の年齢を考慮すると、患者の生活の質を妨げない最小限の副作用に抑えた疾患の簡単かつ効果的な治療の必要性が、当技術分野に存在する。本発明は、当技術分野におけるこの以前からの必要性を満たす。
【0084】
マントル細胞リンパ腫
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体におけるマントル細胞リンパ腫の治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性のマントル細胞リンパ腫の治療方法が本明細書にさらに開示される。本明細書で用いられる場合、「マントル細胞リンパ腫」という用語は、通常の胚中心濾胞を取り囲むマントル帯内のCD5陽性抗原ナイーブ前胚中心B細胞に起因するB細胞リンパ腫のサブタイプを意味する。MCL細胞は、一般に、DNAのt(11:14)染色体転座に起因してサイクリンD1を過剰発現する。より具体的には、転座はt(11;14)(q13;q32)に存在する。リンパ腫の約5%のみがこのタイプである。細胞は小サイズ~中サイズである。男性は、ほとんどの場合、罹患する。患者の平均年齢は60代前半である。リンパ腫は、診断された時、通常、リンパ節、骨髄、および非常に多くの場合脾臓を含めて、広範に広がっている。マントル細胞リンパ腫は、それほど速く成長するリンパ腫ではないが、治療が困難である。
【0085】
辺縁帯B細胞リンパ腫
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における辺縁帯B細胞リンパ腫の治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性の辺縁帯B細胞リンパ腫の治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0086】
本明細書で用いられる場合、「辺縁帯B細胞リンパ腫」という用語は、濾胞性マントル帯の外側の斑状領域である辺縁帯のリンパ組織を含む一群の関連B細胞新生物を意味する。辺縁帯リンパ腫は、リンパ腫の約5%~10%を占める。このリンパ腫の細胞は、顕微鏡下では小さく見える。辺縁帯リンパ腫には、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、および脾辺縁帯リンパ腫を含む3つの主要なタイプが存在する。
【0087】
MALT
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を個体に投与することを含む、必要とする個体におけるMALTの治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性のMALTの治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0088】
本明細書で用いられる「粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫」という用語は、辺縁帯リンパ腫の節外症状を意味する。ほとんどのMALTリンパ腫は低悪性度であるが、少数のものは、初期に中悪性度の非ホジキンリンパ腫(NHL)として発症するかまたは低悪性度の形態から進行するかのいずれかである。MALTリンパ腫のほとんどは胃に生じ、胃MALTリンパ腫の約70%は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染に関連付けられる。いくつかの細胞遺伝学的異常が同定されているが、最も一般的なのはトリソミー3またはt(11;18)である。これらの他のMALTリンパ腫の多くもまた、細菌またはウイルスによる感染に関連付けられる。MALTリンパ腫を有する患者の平均年齢は約60歳である。
【0089】
節性辺縁帯B細胞リンパ腫
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における節性辺縁帯B細胞リンパ腫の治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性の節性辺縁帯B細胞リンパ腫の治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0090】
「節性辺縁帯B細胞リンパ腫」という用語は、主にリンパ節に見いだされる緩慢性B細胞リンパ腫を意味する。この疾患は稀であり、全非ホジキンリンパ腫(NHL)の1%を占めるにすぎない。最も一般的には老齢患者で診断され、男性よりも女性の方が罹患しやすい。この疾患は、突然変異がB細胞の辺縁帯で起こるので辺縁帯リンパ腫に分類される。この疾患は、リンパ節に限定されることから節性にも分類される。
【0091】
脾辺縁帯B細胞リンパ腫
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における脾辺縁帯B細胞リンパ腫の治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性の脾辺縁帯B細胞リンパ腫の治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0092】
「脾辺縁帯B細胞リンパ腫」という用語は、世界保健機関(World Health Organization)の分類に組み込まれた特定の低悪性度小B細胞リンパ腫を意味する。特有の特徴は、巨脾症、絨毛形態を有する中等度リンパ球症、各種器官とくに骨髄の関与する類洞内パターン、および相対的に緩慢な経過である。腫瘍進行および侵攻性挙動の増加を伴う芽細胞形態が少数の患者で観測される。分子的および細胞遺伝学的研究が不均一な結果を示しているのは、おそらく標準化された診断基準が欠如しているためであろう。
【0093】
バーキットリンパ腫
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体におけるバーキットリンパ腫の治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性のバーキットリンパ腫の治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0094】
「バーキットリンパ腫」という用語は、通常は子供が罹患するタイプの非ホジキンリンパ腫(NHL)を意味する。それは、リンパ節以外の生体部分を含んで開始されることが多いきわめて侵攻性の強いタイプのB細胞リンパ腫である。成長が速いというその性質にもかかわらず、バーキットリンパ腫は、多くの場合、現代の集中療法で治癒可能である。バーキットリンパ腫には、大きく分けて2つのタイプ、すなわち、散発性のものと地方病性のものが存在する。
地方病性バーキットリンパ腫:この疾患には、成人よりも子供の方がかなり多く含まれ、症例の95%は、エプスタインバーウイルス(EBV)感染に関連付けられる。それは、全小児期癌の約半分がバーキットリンパ腫である赤道アフリカで主に起こる。それは、散発性バーキットでは稀であるやや示差的な特徴として特徴的に顎骨を含む可能性が高い。それはまた、通常、腹部も含む。
散発性バーキットリンパ腫:欧州および南北アメリカ大陸を含めて世界の残りの地域に影響を及ぼすバーキットリンパ腫のタイプは、散発性タイプである。この場合もまた、それは主に子供の疾患である。エプスタインバーウイルス(EBV)との関連は地方病性のものほど強くないが、EBV感染症の直接的証拠は5名中1名の患者に存在する。リンパ節よりも関与が大きいのは、子供の90%超がとくに罹患する腹部である。骨髄の関与は、散発性のものよりも多く見受けられる。
【0095】
ワルデンシュトレームマクログロブリン血症
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体におけるワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性のワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0096】
リンパ形質細胞リンパ腫としても知られる「ワルデンシュトレームマクログロブリン血症」という用語は、リンパ球と呼ばれる白血球のサブタイプを含む癌である。それは、最終分化Bリンパ球の無制御クローン増殖により特徴付けられる。それはまた、免疫グロブリンM(IgM)と呼ばれる抗体を生成するリンパ腫細胞により特徴付けられる。IgM抗体は、血中に大量に循環し、血液の液状部分をシロップのように増粘させる。このため多くの器官への血流が減少する可能性があるので、視覚障害(眼の後部の血管の循環不良による)および脳内の血流不良による神経障害(たとえば、頭痛、眩暈、および錯乱)を引き起こす可能性がある。他の症状としては、疲労感および脆弱感および易出血傾向が含まれうる。根底にある病因は十分に理解されていないが、染色体6上の位置6p21.3を含めていくつかのリスク因子が同定されている。自己抗体による自己免疫疾患の個人歴を有する人々ではWMの発症するリスクは2~3倍に増加し、肝炎、ヒト免疫不全ウイルス、およびリケッチア症を伴うリスクはとくに高くなる。
【0097】
多発性骨髄腫
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における骨髄腫の治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性の骨髄腫の治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0098】
MM、骨髄腫、形質細胞骨髄腫、またはカーラー病(Otto Kahlerに因む)としても知られる多発性骨髄腫は、形質細胞として知られる白血球の癌である。B細胞の一タイプである形質細胞は、ヒトおよび他の脊椎動物において抗体の産生の役割を担う免疫系のきわめて重要な部分である。それは骨髄で生成され、リンパ系を介して輸送される。
【0099】
白血病
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における白血病の治療方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、治療有効量の化合物1を含む本明細書に記載の組成物または錠剤製剤を個体に投与することを含む、必要とする個体における再発性もしくは難治性の白血病の治療方法が本明細書にさらに開示される。
【0100】
白血病は、血液細胞、通常は白血球(白色血液細胞)の異常増加により特徴付けられる血液または骨髄の癌である。白血病とは、一連の疾患をカバーする広義の用語である。最初の分類は、次のようにその急性型と慢性型との間で行われる。(i)急性白血病は、未成熟血液細胞の急速な増加により特徴付けられる。こうして密集状態になると骨髄は健常血液細胞を生成できなくなる。急性白血病では、悪性細胞が急速に成長して蓄積されてから血流中に溢れ出て生体の他の器官に広がるので、緊急治療が必要とされる。白血病の急性型は、子供の白血病の中で最も一般的な形態である。(ii)慢性白血病は、比較的成熟した(ただし依然として異常な)白血球の過剰蓄積により識別される。典型的には、何ヵ月または何年もかけて進行し、細胞は、正常細胞よりもかなり速い速度で生成されるので、血中に多くの異常白血球をもたらす。慢性白血病は主に老齢者で起こるが、理論的にはいずれの年齢群でも起こりうる。そのほかに、この疾患は、どの種類の血液細胞が侵されるに従って細分される。この分類により、白血病は、リンパ芽球白血病またはリンパ球白血病と、ミエロイド白血病または骨髄白血病と、に分けられる。すなわち、(i)感染と戦う免疫系細胞であるリンパ球を通常は形成し続けるタイプの骨髄細胞で癌性変化が起こる、リンパ芽球白血病またはリンパ球白血病、(ii)赤血球、いくつかの他のタイプの白血球、および血小板を通常は形成し続けるタイプの骨髄細胞で癌性変化が起こる、ミエロイド白血病または骨髄白血病。これらの主要なカテゴリー内には、限定されるものではないが、急性リンパ芽球白血病(ALL)、前駆B細胞急性リンパ芽球白血病(前駆Bリンパ芽球白血病とも呼ばれる前駆B-ALL)、急性骨髄白血病(AML)、慢性骨髄白血病(CML)および有毛細胞白血病(HCL)をはじめとするいくつかのサブカテゴリーが存在する。したがって、ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を個体に投与することを含む、必要とする個体における急性リンパ芽球白血病(ALL)、前駆B細胞急性リンパ芽球白血病(前駆Bリンパ芽球白血病とも呼ばれる前駆B-ALL)、急性骨髄白血病(AML)、慢性骨髄白血病(CML)、または有毛細胞白血病(HCL)の治療方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、白血病は再発性もしくは難治性の白血病である。いくつかの実施形態では、白血病は、再発性もしくは難治性の急性リンパ芽球白血病(ALL)、再発性もしくは難治性の前駆B細胞急性リンパ芽球白血病(前駆Bリンパ芽球白血病とも呼ばれる前駆B-ALL)、再発性もしくは難治性の急性骨髄白血病(AML)、再発性もしくは難治性の慢性骨髄白血病(CML)、または再発性もしくは難治性の有毛細胞白血病(HCL)である。
【0101】
上述した病態のそれぞれに対する症状、診断検査、および予後検査は公知である。たとえば、“Harrison’s Principles of Internal Medicine(著作権),”16th ed.,2004,The McGraw-Hill Companies,Inc.、Dey et al.(2006),Cytojournal 3(24)、および“Revised European American Lymphoma”(REAL)分類体系を参照されたい(たとえば、国立癌研究所(National Cancer Institute)により管理されているウェブサイトを参照されたい)。
【0102】
上記の疾患のいずれかを治療すべく化合物1などの不可逆的Btk阻害剤化合物の治療有効用量の範囲を確立するのに、いくつかの動物モデルが役立つ。
【0103】
上記の疾患のいずれか1つに対する化合物1の治療有効性は、治療コース期間中に最適化しうる。たとえば、所与の用量の化合物1を投与することにより達成される、疾患症状または病理の軽減と、in vivo Btk活性の阻害と、を相関付けるために、治療対象の被験者は診断評価を受けることが可能である。不可逆的Btk阻害剤の存在下または不在下でBtkのin vivo活性を決定するために、当技術分野で公知の細胞アッセイを使用可能である。たとえば、活性化Btkは、チロシン223(Y223)およびチロシン551(Y551)でリン酸化されるので、P-Y223またはP-Y551陽性細胞のリン酸特異的免疫細胞化学的染色を用いて、細胞集団でBtkの活性化を検出または定量することが可能である(たとえば、染色細胞対非染色細胞のFACS分析により)。たとえば、Nisitani et al.(1999),Proc.Natl.Acad.Sci,USA 96:2221-2226を参照されたい。したがって、被験者に投与されるBtk阻害剤化合物の量は、被験者の疾患状態を治療するのに最適なレベルのBtk阻害を維持するように必要に応じて増加または減少させることが可能である。化合物1は、Btkを不可逆的に阻害可能であるので、限定されるものではないが癌、自己免疫疾患、および他の炎症性疾患を含めて、ブルトンチロシンキナーゼに依存するまたはブルトンチロシンキナーゼにより媒介される病態または疾患に罹患している哺乳動物を治療するために使用しうる。化合物1は、本明細書に記載の多種多様な疾患および病態で効力を示した。
【0104】
いくつかの実施形態では、化合物1は、上記の病態(たとえば、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー障害、B細胞増殖障害、または血栓塞栓障害)のいずれかを治療するための医薬の製造に使用される。
【0105】
化合物1およびその薬学的に許容可能な塩
本明細書に記載のBtk阻害剤化合物(すなわち化合物1)は、Btkと、Btkのシステイン481のアミノ酸配列位置と相同なチロシンキナーゼのアミノ酸配列位置のシステイン残基を有するキナーゼと、に対して選択性がある。Btk阻害剤化合物は、BtkのCys481と共有結合を形成可能である(たとえば、マイケル反応を介して)。
【0106】
「化合物1」または「1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン」または「1-{(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル}プロプ-2-エン-1-オン」または「2-プロペン-1-オン,1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]-1-ピペリジニル-」またはイブルチニブまたは任意の他の好適な名称は、以下の構造:
【化3】

を有する化合物を意味する。
【0107】
多種多様な薬学的に許容される塩は、化合物1から形成され、以下:
・ 化合物1と、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシルアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族のスルホン酸、アミノ酸などを含む、たとえば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む有機酸と、の反応により形成される酸付加塩、
・ 化合物1と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などを含む無機酸と、の反応により形成される酸付加塩、
を含む。化合物1に対する「薬学的に許容される塩」という用語は、投与対象の哺乳動物に有意な刺激性を引き起こさない、かつ化合物の生物学的活性および性質を実質的に抑制しない、化合物1の塩を意味する。
【0108】
薬学的に許容可能な塩への参照は、溶媒付加形(溶媒和物)を含むことを理解すべきである。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水、エタノール、メタノール、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、ジイソプロピルエーテル(DIPE)、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ニトロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、ヘプタン、トルエン、アニソール、アセトニトリルなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いて生成物の形成または単離のプロセス時に形成される。一態様では、溶媒和物は、限定されるものではないがクラス3の溶媒(複数可)を用いて形成される。溶媒のカテゴリーは、たとえば、International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(ICH),“Impurities:Guidelines for Residual”Solvents,Q3C(R3),(November 2005)に定義されている。水和物は、溶媒が水のときに形成され、またはアルコラートは、溶媒がアルコールのときに形成される。いくつかの実施形態では、化合物1の溶媒和物またはその薬学的に許容可能な塩は、便宜上、本明細書に記載のプロセス時に調製または形成される。いくつかの実施形態では、化合物1の溶媒和物は無水である。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は非溶媒和形に存在する。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は非溶媒和形で存在しかつ無水である。
【0109】
さらに他の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は、限定されるものではないが非晶質相、結晶形、ミル処理形、およびナノ微粒子形を含めて、各種形態で調製される。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は非晶質である。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は非晶質かつ無水である。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は結晶性である。いくつかの実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩は結晶性かつ無水である。
【0110】
いくつかの実施形態では、化合物1は、米国特許第7,514,444号明細書に概説されるように調製される。
【0111】
ある特定の用語
とくに定義がない限り、本明細書で用いられる科学技術用語はすべて、特許請求された主題が属する技術分野の当業者により一般に理解されるのと同一の意味を有する。以上の一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示的かつ解説的なものにすぎず、特許請求されたいずれの主題も限定されるものではないことを理解すべきである。本出願では、単数形の使用は、とくに明記されていない限り、複数形を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、とくに文脈上明確な規定がない限り、複数形の参照を含むことに留意しなければならない。本出願では、「or(または)」の使用は、とくに明記されていない限り、「and/or(および/または)」を意味する。さらに、「including(~を含む)」という用語、さらには「include(~を含む)」、「includes(~を含む)」、「included(含まれる)」などの他の形の使用は、限定するものではない。
【0112】
本明細書で用いられる節の見出しは、単に構成上の目的であるにすぎず、記載の主題を限定するものと解釈すべきではない。限定されるものではないが特許、特許出願、論文、本、マニュアル、および専門書を含めて、本出願に引用されている文書または文書の一部はすべて、いずれの目的に対してもその全体が本出願をもって参照により明示的に組み込まれる。
【0113】
数値の前で用いられるときの「about(約)」という用語は、指定値の±10%、±5%、±1%の範囲内などの合理的なの範囲内で値が変化しうることを示唆する。
【0114】
本明細書で用いられる場合、「comprising(~を含む)」という用語は、組成物や方法などが、リサイトされた要素を含むが、他を除外しないことを意味することが意図されられる。組成物および方法を定義するのに用いられるときの「consisting essentially of(~から本質的になる)」とは、意図される使用の組合せに対してなんらかの本質的な有意性をもつ他の要素は除外するが、組成物または方法の特徴に実質的に影響を及ぼさない要素は除外しないことを意味するものとする。「consisting of(~からなる)」とは、とくにリサイトされていない要素は除外することを意味するものとする。これらの移行句のそれぞれにより規定される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0115】
製剤、組成物、または成分に対する「許容可能」または「薬学的に許容可能」という用語は、本明細書で用いられる場合、治療対象の被験者の健康状態に持続的有害作用を及ぼさすこともなく化合物の生物学的活性や性質を抑制することもないうえに比較的非毒性であることを意味する。
【0116】
本明細書で用いられる場合、「アゴニスト」という用語は、それが存在することにより、たとえばBtkなどのタンパク質に対する天然に存在するリガンドが存在することにより得られる生物学的活性と同一のタンパク質の生物学的活性をもたらす化合物を意味する。
【0117】
本明細書で用いられる場合、「部分アゴニスト」という用語は、それが存在することにより、タンパク質に対する天然に存在するリガンドが存在することにより得られるのと同一のタイプであるが程度が小さいタンパク質の生物学的活性をもたらす化合物を意味する。
【0118】
本明細書で用いられる場合、「アンタゴニスト」という用語は、それが存在することにより、タンパク質の生物学的活性の程度の減少をもたらす化合物を意味する。ある特定の実施形態では、アンタゴニストが存在することにより、たとえばBtkなどのタンパク質の生物学的活性の完全阻害がもたらされる。ある特定の実施形態では、アンタゴニストは阻害剤である。
【0119】
本明細書で用いられる場合、特定の化合物または医薬組成物を投与することによる特定の疾患、障害、または病態の症状の「改善」とは、永久的であるか持続的であるか一過的であるかを問わず、化合物または組成物の投与に起因しうるまたは関連しうる、任意の重症度の低下、発症の遅延、進行の低速化、または持続期間の短縮を意味する。
【0120】
「生物学的利用率」とは、研究対象の動物またはヒトの体循環に送達される投与化合物1のパーセントを意味する。静脈内投与時の薬剤の全暴露(AUC(0~∞))は、通常、100%生物学的に利用可能(F%)として定義される。「経口生物学的利用率」とは、静脈内注射と比較して医薬組成物を経口摂取したときに化合物1が体循環に吸収される程度を意味する。
【0121】
「血漿中濃度」とは、被験者の血液の血漿中成分の化合物1の濃度を意味する。化合物1の血漿中濃度は、代謝および/または他の治療剤との可能な相互作用に関連する変動により、被験者間で有意に変化しうるものと理解される。本明細書に開示される一実施形態によれば、化合物1の血漿中濃度は、被験者ごとに変化しうる。同様に、最大血漿中濃度(Cmax)または最大血漿中濃度到達時間(Tmax)または血漿中濃度時間曲線下全面積(AUC(0~∞))などの値も、被験者ごとに変化しうる。この変動が原因で、化合物1の「治療有効量」を構成するのに必要な量は、被験者ごとに変化しうる。
【0122】
「ブルトンチロシンキナーゼ」という用語は、本明細書で用いられる場合、たとえば、米国特許第6,326,469号明細書に開示されるように、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)由来のブルトンチロシンキナーゼを意味する(GenBank受託番号NP_000052)。
【0123】
「共投与」という用語などは、本明細書で用いられる場合、単一の患者への選択された治療剤の投与を包含することを意味するとともに、同一もしくは異なる投与経路によりまたは同一もしくは異なる時間で作用剤が投与される治療レジメンを含むことが意図される。
【0124】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、本明細書で用いられる場合、治療される疾患または病態の症状の1つ以上をある程度和らげるのに十分な、投与される作用剤または化合物の量を意味する。その結果は、疾患の徴候、症状、原因の低減および/もしくは軽減、または生体系の任意の他の所望の変化でありうる。たとえば、治療に使用される「有効量」は、過度の有害な副作用を伴うことなく疾患症状の臨床的に有意な減少を提供するのに必要な、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。任意のそれぞれの場合の適切な「有効量」は、用量漸増試験などの技術を用いて決定しうる。「治療有効量」という用語は、たとえば、予防有効量を含む。本明細書に開示された化合物の「有効量」は、過度の有害な副作用を伴うことなく所望の薬理学的効果または治療改善を達成するのに有効な量である。その「有効量」または「治療有効量」は、化合物1の代謝、被験者の年齢、体重、全身状態、治療される病態、治療される病態の重症度、および処方医師の判断の変動により、被験者ごとに変化しうるものと理解される。単なる例として、治療有効量は、たとえば、限定されるものではないが用量漸増臨床試験をはじめとするルーチンの実験により決定しうる。
【0125】
「増強する」または「増強」という用語は、効力または持続期間のいずれかで所望の効果を増加または延長することを意味する。例として、治療剤の効果の「増強」とは、効力または持続期間のいずれかで、疾患、障害、または病態の治療時に治療剤の効果を増加または延長する能力を意味する。「増強有効量」とは、本明細書で用いられる場合、疾患、障害、または病態の治療で治療剤の効果を増強するのに適正な量を意味する。患者で使用した場合、この使用の有効量は、疾患、障害、または病態の重症度および経過、前の治療、患者の健康状態および薬剤に対する反応、ならびに治療医の判断に依存するであろう。
【0126】
キナーゼを「阻害する」、その「阻害」、またはその「阻害剤」という用語は、本明細書で用いられる場合、酵素ホスホトランスフェラーゼ活性の阻害を意味する。
【0127】
「不可逆的阻害剤」という用語は、本明細書で用いられる場合、標的タンパク質(たとえばキナーゼ)に接触すると、タンパク質とのまたはタンパク質内の新しい共有結合の形成を引き起こし、それにより、不可逆的阻害剤の後続の存在または不在にもかかわらず標的タンパク質の生物学的活性の1つ以上(たとえば、ホスホトランスフェラーゼ活性)を減少または消失させる化合物を意味する。
【0128】
本明細書で用いられる「不可逆的Btk阻害剤」という用語は、Btkのアミノ酸残基と共有結合を形成可能なBtkの阻害剤を意味する。一実施形態では、Btkの不可逆的阻害剤は、BtkのCys残基と共有結合を形成可能であり、特定の実施形態では、不可逆的阻害剤は、BtkのCys481残基(もしくはそのホモログ)または他のチロシンキナーゼの対応する相同位置のシステイン残基と共有結合を形成可能である。
【0129】
「モジュレートする」という用語は、本明細書で用いられる場合、単なる例として挙げると、標的の活性を増強したり、標的の活性を阻害したり、標的の活性を制限したり、または標的の活性を延長したりするなど、標的の活性を変化させるように、直接的または間接的のいずれかで標的と相互作用することを意味する。
【0130】
本明細書で用いられる場合、「モジュレーター」という用語は、分子の活性を変化させる化合物を意味する。たとえば、モジュレーターは、モジュレーターの不在下での活性の程度と比較として分子のある特定活性の程度の増加または減少を引き起こしうる。ある特定の実施形態では、モジュレーターは、分子の活性の1つ以上の程度を減少させる阻害剤である。ある特定の実施形態では、阻害剤は、分子の活性の1つ以上を完全に妨害する。ある特定の実施形態では、モジュレーターは、分子の活性の少なくとも1つの程度を増加させるアクチベーターである。ある特定の実施形態では、モジュレーターの存在は、モジュレーターの不在下では生じない活性をもたらす。
【0131】
「予防有効量」という用語は、本明細書で用いられる場合、治療される疾患、病態、または障害の症状の1つ以上をある程度を和らげる、患者に適用される組成物の量を意味する。かかる予防用途では、かかる量は、患者の健康状態、体重などに依存しうる。限定されるものではないが用量漸増臨床試験をはじめとするルーチンの実験によりかかる予防有効量を決定することは、十分に当該技術の範囲内にあると考えられる。
【0132】
本明細書で用いられる、「個体」、「被験者」、または「患者」という用語は、治療、観察、または実験の対象である動物を意味する。単なる例として、限定されるものではないが、被験者は、限定されるものではないがヒトをはじめとする哺乳動物でありうる。
【0133】
本明細書で用いられる「湿式顆粒化」という用語は、顆粒化液体(水、有機溶媒、または溶液)を用いた顆粒の形成を意味する。
【0134】
「乾式顆粒化」という用語は、本明細書で用いられる場合、顆粒化液体(水、有機溶媒、または溶液)を用いない顆粒の形成を意味する。
【0135】
本明細書で用いられる「高配合固形錠剤製剤」という用語は、錠剤1個当たり少なくとも60%w/wのイブルチニブを含む固形錠剤製剤を意味する。
【0136】
本明細書で用いられる場合、IC50とは、反応を測定するアッセイでBtkの阻害などの最大反応の50%阻害を達成する、特定の試験化合物の量、濃度、または投与量を意味する。
【0137】
本明細書で用いられる場合、EC50とは、特定の試験化合物により誘発、惹起、または強化される特定の反応の最大発現の50%で用量依存反応を引き起こす、特定の試験化合物の投与量、濃度または、量を意味する。
【0138】
医薬組成物/製剤
医薬組成物または医薬製剤とは、本明細書で用いられる場合、化合物1と、担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分と、の混合物を意味する。医薬組成物は、哺乳動物への化合物の投与を容易にする。化合物は、単独で、または混合物の成分としての1種以上の治療剤との組合せで、使用可能である。
【0139】
本明細書で用いられる「医薬の組合せ」という用語は、1種以上の活性成分の混合または組合せから得られる、かつ活性成分の固定または非固定の組合せの両方を含む、製品を意味する。「固定の組合せ」という用語は、活性成分たとえば化合物1および共剤が両方とも単一のエンティティーまたは投与の形態で患者に同時に投与されることを意味する。「非固定の組合せ」という用語は、活性成分たとえば化合物1および共剤が特定の介在時間制限を設けることなく同時、併行的、または逐次的に個別のエンティティーとして患者に投与されることを意味する。ただし、かかる投与は、患者の体内で2種の化合物の有効レベルを提供するものとする。後者はまた、カクテル療法、たとえば、3種以上の活性成分の投与にも当てはまる。
【0140】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は、粉末剤、即時放出製剤、制御放出製剤、ファーストメルト製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、長期放出製剤、パルス放出製剤、多微粒子製剤、混合型即時・制御放出製剤などの固形経口製剤を提供するように医薬組成物に組み込まれる。
【0141】
いくつかの実施形態では、希釈剤は、ラクトース、スクロース(たとえばDipac(登録商標))、デキストロース、デキストレート、マルトデキストリン、マンニトール、キシリトール(たとえばXylitab(登録商標))、ソルビトール、シクロデキストリン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、変性デンプン、セルロース、マイクロ結晶セルロース(たとえばAvicel(登録商標))、マイクロセルロース、およびタルクからなる群から選択される。
【0142】
態様では、イブルチニブの高配合製剤は、1回1錠の投与を可能にするのに有利でありうる。現在、イブルチニブは、420mgまたは560mgの用量(カプセル剤1個当たり140mgのイブルチニブを含む3つまたは4つのカプセル剤で経口投与しうる)で診察に使用しうるので、高配合錠剤製剤は有益であろう。しかしながら、好適な圧縮性、コンパクト化性、流動性、顆粒密度、製造時、輸送時、および貯蔵時の健全性、適正硬度、安定性、嚥下性、投与時の崩壊性などの薬学的に許容可能な性質を満たす高配合錠剤製剤は、錠剤の性質を調整するために使用可能な賦形剤の数量/分量が限られるのでカプセル製剤よりも調製がかなり困難である。さらに、錠剤製剤は、水への溶解度が非常に低いイブルチニブの場合にはとくに、投与後のその崩壊・吸収プロセスが原因でカプセル製剤と比較してより低いCmaxを有する傾向がある。薬学的に許容可能な性質と、高いCmax、同等のCmax、十分なCmaxなどの所望のPK性質と、の両方を有するイブルチニブの高配合錠剤製剤を調製するのは、困難な取組みである。
【0143】
嚥下性に関して、実際の活性成分(イブルチニブ)がより多いという事実(たとえば、現在のFDA承認の対象になっている140mgカプセル製品と比較して420mgまたは560mg)にもかかわらず、医薬組成物(たとえば高配合医薬錠剤製剤)が良好な嚥下性を有することは、本発明の利点でありうる(たとえば高齢患者の場合)。この理由は、既知の140mgカプセル製品と比較して同等(または有利)でありうる医薬製剤(たとえば高配合錠剤)のサイズ/寸法に関連付けうる。たとえば、態様では、錠剤製剤はある特定の寸法でありうる。寸法を考慮すると、米国FDAで現在承認されているカプセル剤は、約21.7mmの長さおよび約7.6mmの厚さを有する。カプセル剤の厚さは、それが円柱形であるとみなすと均一である。しかしながら、錠剤では、非円柱形であることを考えて幅および厚さが与えられている。より正確には、錠剤形状は、扁球形または長尺長方形(さらには長円形または寸法が許す限り円形、たとえば、外周が15mm未満たとえば10mm未満の場合)を有するので、以下の寸法を有する。
長さ(扁球形/長尺長方形の表面の一方の端と他方の端との間の最長距離の測定値である最大寸法であり、ただし、この距離は、前記扁球形/長尺長方形の表面の最長直線縁と平行であり、また、長手方向軸に沿った最長距離としても参照しうる)、
幅(扁球形/長方形の表面の長さに垂直なかつ前記表面と同一平面内の最大距離の測定値である)、および
厚さ(錠剤の「深さ」に似ており、長さおよび幅に垂直なかつ扁球形/長尺長方形の表面の平面から伸びる錠剤の頂端から底端までの最大距離である)。
【0144】
したがって、本明細書の目的では(とくに明記されていない限り)、扁球形は、長尺長方形、長円形、および(長さ/幅が実質的に同一である場合)円形の形状を包含する。しかしながら、いくつかの実施形態では、たとえば、140mg超の用量のイブルチニブを含む製剤の場合、態様では、錠剤製剤の形状は円形ではない(このことは、たとえば、以下に記載の実施例の異なる寸法が長さ/幅に与えたときは明らかでありうる)。
【0145】
態様では、以下のような寸法を有する本明細書に記載の錠剤製剤が提供される。
(i)140mgのイブルチニブを含むもの。ただし、長さは10mm未満(たとえば5~10mm、たとえば8~10mm、たとえば約9mm)であり、幅は10mm未満(たとえば5~10mm、たとえば8~10mm、たとえば約9mm)であり、かつ厚さは5mm未満(たとえば3~5mm、たとえば約4または約4.5mm)であり、
態様では、かかる実施形態は、長さおよび幅が実質的に同一になるように、したがって円形を形成するように、ただし、同様に、かかる錠剤形状が長尺長方形または長円形になりうるように、寸法を有しうる。
(ii)280mgのイブルチニブを含むもの。ただし、長さは20mm未満(たとえば10~20mm、たとえば12~20mm、たとえば約15mm)であり、幅は10mm未満(たとえば5~10mm、たとえば8~10mm、たとえば約7mm)であり、かつ厚さは7mm未満(たとえば4~7mm、たとえば約5または約5.5mm)であり、態様では、かかる実施形態は、長尺長方形または長円形でありうる(ただし、態様では円形でない)。
(iii)420mgのイブルチニブを含むもの。ただし、長さは20mm未満(たとえば10~20mm、たとえば15~20mm、たとえば約17または17.5mm)であり、幅は10mm未満(たとえば5~10mm、たとえば8~10mm、たとえば約7または7.5mm)であり、かつ厚さは8mm未満(たとえば4~8mm、たとえば約6または約6.5mm)であり、態様では、かかる実施形態は、長尺長方形または長円形でありうる(ただし、態様では円形でない)。
(iv)長さは20または21mm未満(たとえば12~21mm、たとえば14~21mmまたは16~20mm、たとえば約19mm)であり、幅は10mm未満(たとえば6~10mm、たとえば7~9mm、たとえば約8mm)であり、かつ厚さは9mm未満(たとえば5~9mm、たとえば約7または約7.5mm)であり、態様では、かかる寸法を有する製剤は、560mgのイブルチニブを含み、態様では、かかる実施形態は、長尺長方形または長円形でありうる(ただし、態様では円形でない)。
(v)長さは25mm未満(たとえば12~25mm、たとえば14~25mmまたは16~24mmまたは18~23mm、たとえば約19mm、約21mmまたは約22日mm)であり、幅は12mm未満(たとえば7~12mm、たとえば8~11mm、たとえば約8mm、約10mm、または約10.5mm)であり、かつ厚さは9mm未満(たとえば5~9mm、たとえば約6または約6.5mm)であり、態様では、かかる寸法を有する製剤は、560mgのイブルチニブ、700mgのイブルチニブ、または840mgのイブルチニブのいずれかを含み、態様では、かかる実施形態は、長尺長方形または長円形でありうる(ただし、態様では円形でない)。
【0146】
寸法を有する特定の錠剤製剤は、本明細書に記載されうる(たとえば、これ以降の実施例で)。
【0147】
全錠剤重量を考慮して、とくに高配合用量では、錠剤が比較的小さいまたは有利な寸法/サイズを有することは、嚥下性に関して利点である。
【0148】
態様では、錠剤の全重量は、約800mgの量(たとえば、560mgのイブルチニブ用量)である。他の態様では、錠剤の全コア重量(コーティングを含まない)は、約350~450mg(たとえば、280mgのイブルチニブ用量の場合)、約550~650mg(たとえば、420mgのイブルチニブ用量の場合)、約700~900mg(たとえば、560mgのイブルチニブ用量の場合)、および/または約1100~1300mg(たとえば、840mgのイブルチニブ用量の場合)でありうる。
【0149】
本発明の目的は、適正な生物学的利用率(たとえば、FDAにより承認済みのカプセル剤と比較して有利な生物学的利用率)を有する製剤を提供することである。そのため、態様では、
・ CmaxのGMR(幾何平均比)が75%~92%(たとえば80~85%)の範囲内であり、
・ AUClastのGMRが85%~110%(たとえば85~100%もしくは85~95%)の範囲内であり、および/または
・ AUCinf(もしくはAUC)のGMRが80%~105%(たとえば95~105%)の範囲内である、
製剤が提供される。暴露に関連するかかる特徴は、本明細書に開示される実施形態のいずれかの一部でありうる。
【0150】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、天然デンプン、α化デンプン、ナトリウムデンプン、メチル結晶性セルロース、メチルセルロース(たとえば、Methocel(登録商標))、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロース、架橋クロスカルメロース、架橋デンプンたとえばナトリウムデンプングリコレート、架橋ポリマー、たとえば、クロスポビドン、架橋ポリビニルピロリドン、ナトリウムアルギネート、クレー、およびガムからなる群から選択される。
【0151】
いくつかの実施形態では、結合剤は、ポリビニルピロリドン(たとえば、PVP K15、PVP K19、PVP K25、PVP K30、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10、およびPovidone(登録商標)K-12)である。
【0152】
いくつかの実施形態では、界面活性剤はナトリウムラウリルスルフェートである。
【0153】
いくつかの実施形態では、滑沢剤はマグネシウムステアレートである。
【0154】
さらに、化合物1を含む本明細書に記載の医薬組成物は、限定されるものではないが、固形経口製剤、制御放出製剤、ファーストメルト製剤、発泡製剤(錠剤)、粉末剤、丸剤、カプセル剤、遅延放出製剤、長期放出製剤、パルス放出製剤、多微粒子製剤、および混合型即時放出・制御放出製剤を含めて、任意の好適な製剤として製剤化可能である。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される固形製剤は、懸濁錠、ファーストメルト錠、噛砕崩壊錠、迅速崩壊錠、発泡錠、またはカプレット剤を含めて、錠剤の形態でありうる。他の実施形態では、医薬製剤が粉末の形態である。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、限定されるものではないがファーストメルト錠を含めて、錠剤の形態である。そのほかに、本明細書に記載の医薬製剤は、単一のカプセル剤としてまたは複数のカプセル製剤で投与しうる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、2錠、3錠、または4錠で投与される。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、化合物1の粒子と1種以上の医薬賦形剤とを混合してバルクブレンド組成物を形成することにより調製される。こうしたバルクブレンド組成物を均一なものとして参照する場合、化合物1の粒子は、錠剤、丸剤、カプセル剤などの同じように有効なユニット製剤に組成物を容易に再分割しうるように、組成物全体にわたり一様に分散されることを意味する。個別のユニット投与剤はまた、経口摂取時または希釈剤との接触時に崩壊するフィルムコーティングを含みうる。
【0157】
本明細書に記載の医薬組成物または製剤は、風味剤、甘味剤、着色剤、抗酸化剤、保存剤、またはそれらの1種以上の組合せをさらに含みうる。さらに他の態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Edition(2000)などに記載の標準的コーティング手順を用いて、化合物1の製剤の周りにフィルムコーティングが施される。一実施形態では、化合物1の粒子の一部または全部がコーティングされる。他の実施形態では、化合物1の粒子の一部または全部がマイクロカプセル化される。さらに他の実施形態では、化合物1の粒子はマイクロカプセル化されず、かつコーティングされない。
【0158】
本明細書に記載の組成物または製剤に使用される好適な抗酸化剤としては、たとえば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、トコフェロールなどが挙げられる。
【0159】
本明細書に記載の固形製剤に使用される添加剤間には、かなりのオーバーラップがあることを認識すべきである。したがって、以上に列挙した添加剤は、本明細書に記載の組成物または製剤に含まれうる添加剤のタイプの単なる例示にすぎず、限定的なものではないとみなすべきである。かかる添加剤の量は、当業者であれば特定の所望の性質に従って容易に決定可能である。
【0160】
圧縮錠は、以上に記載の製剤のバルクブレンドのコンパクト化により調製される固形製剤である。種々の実施形態では、口内で溶解させるように設計される圧縮錠は、1種以上の風味剤を含むであろう。他の実施形態では、圧縮錠は、最終圧縮錠を取り囲むフィルムを含むであろう。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、製剤からの化合物1の遅延放出を提供可能である。他の実施形態では、フィルムコーティングは、患者コンプライアンスを支援する(たとえば、Opadry(登録商標)コーティングまたは糖コーティング)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、典型的には、錠剤重量の約1%~約3%の範囲内である。他の実施形態では、圧縮錠は1種以上の賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物または製剤は、腸溶コーティング遅延放出経口製剤として、すなわち、胃腸管の小腸内の放出に影響を及ぼすように腸溶性コーティングを利用する本明細書に記載の医薬組成物の経口製剤として、製剤化可能である。腸溶コーティング製剤は、活性成分および/または他の組成物成分の顆粒、粉末、ペレット、ビーズ、または粒子(それ自体はコーティング付きまたはコーティング無しである)を含有する、圧縮、成形、または押出しの錠剤/成形品(コーティング付きまたはコーティング無し)でありうる。腸溶コーティング経口製剤はまた、固形担体または組成物のペレット、ビーズ、または顆粒(それ自体はコーティング付きまたはコーティング無しである)を含有するカプセル剤(コーティング付きまたはコーティング無し)でありうる。
【0161】
本明細書で用いられる「遅延放出」という用語は、もし遅延放出変化がなかったら達成されたであろう位置よりも遠位の腸管内のいずれかの一般に予測可能な位置で放出を達成可能である送達を意味する。いくつかの実施形態では、放出の遅延方法はコーティングである。いずれのコーティングも、全コーティングがpH約5未満で胃腸液内に溶解しないように、ただしpH5約以上では溶解するように、十分な厚さを施すべきである。pH依存溶解プロファイルを呈するいずれのアニオン性ポリマーも、下部胃腸管への送達を達成するために、本明細書に記載の方法および組成物で腸溶性コーティングとして使用可能であると予想される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマーはアニオン性カルボン酸ポリマーである。他の実施形態では、ポリマーおよびその適合混合物ならびにそれらの性質のいくつかは、限定されるものではないが、以下のものを含む。
精製ラックとも呼ばれるシェラック(昆虫の樹脂状分泌物から得られる精製品)。このコーティングはpH>7の媒体に溶解させる。
アクリル系ポリマー。アクリル系ポリマーの性能(主に生物学的流体へのその溶解性)は、置換の程度およびタイプによって異なりうる。好適なアクリル系ポリマーの例としては、メタクリル酸コポリマーおよびアンモニウムメタクリレートコポリマーが挙げられる。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS、およびNE(Rohm Pharma)は、有機溶媒溶解物、水性分散液、または乾燥粉末として入手可能である。EudragitシリーズRL、NE、およびRSは、胃腸管内で不溶性であるが、浸透性であるため、主に結腸を標的として使用される。Eudragitシリーズ(E)は胃内で溶解される。EudragitシリーズL、L-30D、およびSは、胃内で不溶性であり、腸内で溶解される。
セルロース誘導体。好適なセルロース誘導体の例は、エチルセルロース、セルロースの部分アセテートエステルと無水フタル酸との反応混合物である。性能は、置換の程度およびタイプによって異なりうる。セルロースアセテートフタレート(CAP)はpH>6で溶解する。Aquateric(FMC)は水性系であり、<1μmの粒子を有するスプレー乾燥CAPプソイドラテックスである。Aquatericの他の成分は、プルロニック、Tween、およびアセチル化モノグリセリドを含みうる。他の好適なセルロース誘導体としては、セルロースアセテートトリメリテート(Eastman)、メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート(HPMCS)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(たとえば、AQOAT(信越化学工業株式会社))が挙げられる。性能は、置換の程度およびタイプによって異なりうる。たとえば、HP-50、HP-55、HP-55S、HP-55FグレードなどのHPMCPが好適である。性能は、置換の程度およびタイプによって異なりうる。たとえば、好適なグレードのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートとしては、限定されるものではないが、pH5で溶解するAS-LG(LF)、pH5.5で溶解するAS-MG(MF)、およびより高いpHで溶解するAS-HG(HF)が挙げられる。これらのポリマーは、顆粒としてまたは水性分散液用の微細粉末として提供される。ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)。PVAPはpH>5で溶解し、水蒸気および胃液の浸透性がかなり低い。
【0162】
いくつかの実施形態では、コーティングは、可塑剤およびおそらく他のコーティング賦形剤、たとえば、当技術分野で周知の着色剤、タルク、および/またはマグネシウムステアレートを含有しうるが、通常は、それらを含有する。好適な可塑剤としては、トリエチルシトレート(Citroflex 2)、トリアセチン(グリセリルトリアセテート)、アセチルトリエチルシトレート(Citroflec A2)、Carbowax 400(ポリエチレングリコール400)、ジエチルフタレート、トリブチルシトレート、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、およびジブチルフタレートが挙げられる。とくに、アニオン性カルボン酸アクリル系ポリマーは、通常、10~25重量%の可塑剤、とくに、ジブチルフタレート、ポリエチレングリコール、トリエチルシトレート、およびトリアセチンを含有するであろう。コーティングを施すためにスプレーコーティングやパンコーティングなどの従来のコーティング技術が利用される。コーティング厚さは、腸管内の所望の局所送達部位に到達するまで経口製剤がインタクトな状態を維持することを保証するのに十分でなければならない。
【0163】
コーティング材料を可溶化もしくは分散させるために、およびコーティング性能およびコーティング製品を改善するために、可塑剤以外に、着色剤、粘着除去剤、界面活性剤、消泡剤、滑沢剤(たとえば、カルナバワックスまたはPEG)をコーティングに添加しうる。他の実施形態では、化合物1を含む本明細書に記載の製剤は、パルス製剤を用いて送達される。パルス製剤は、制御遅延時間後の所定の時間点でまたは特定の部位で1つ以上の即時放出パルスを提供可能である。多くの他のタイプの制御放出系は、当業者に公知であり、本明細書に記載の製剤の使用に好適である。かかる送達系の例としては、たとえば、ポリマー系、たとえば、ポリ乳酸とポリグリコール酸、ポリアンヒドリド(plyanhydrides)とポリカプロラクトン、多孔性マトリックス、脂質の非ポリマー系、たとえば、コレステロールやコレステロールエステルなどのステロールならびに脂肪酸またはモノ、ジ、トリグリセリドなどの中性脂肪を含むもの、ヒドロゲル放出系、シラスティック系、ペプチド系、ワックスコーティング、生侵食性製剤、従来の結合剤を用いる圧縮錠などが挙げられる。たとえば、Liberman et al.,Pharmaceutical Dosage Forms,2 Ed.,Vol.1,pp.209-214(1990)、Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.751-753 (2002)、米国特許第4,327,725号明細書、同第4,624,848号明細書、同第4,968,509号明細書、同第5,461,140号明細書、同第5,456,923号明細書、同第5,516,527号明細書、同第5,622,721号明細書、同第5,686,105号明細書、同第5,700,410号明細書、同第5,977,175号明細書、同第6,465,014号明細書および同第6,932,983号明細書(それぞれ参照により具体的に組み込まれる)を参照されたい。
【0164】
いくつかの実施形態では、被験者に経口投与するために化合物1の粒子と少なくとも1種の分散剤または懸濁化剤を含む医薬製剤が提供される。製剤は、懸濁液用の粉末剤および/または顆粒剤でありうるとともに、水と混合すると実質的に均一な懸濁液が得られる。
【0165】
所与の添加剤は、多くの場合、現場では異なる実施者により異なる分類がされたり、通常、いくつかの異なる機能のいずれかに使用されたりするので、本明細書に記載の水性分散液または懸濁液に使用される以上に列挙した添加剤間にはオーバーラップがあることを認識すべきである。したがって、以上に列挙した添加剤は、本明細書に記載の製剤に含まれうる添加剤のタイプの単なる例示にすぎず、限定的なものではないとみなすべきである。かかる添加剤の量は、当業者であれば特定の所望の性質に従って容易に決定可能である。
【0166】
投与・治療レジメン
いくつかの実施形態では、哺乳動物に投与される化合物1の量は、300mg/日以上1000mg/日以下である。いくつかの実施形態では、哺乳動物に投与される化合物1の量は、420mg/日以上840mg/日以下である。いくつかの実施形態では、哺乳動物に投与される化合物1の量は、約420mg/日、約560mg/日、または約840mg/日である。いくつかの実施形態では、哺乳動物に投与される化合物1の量は、約420mg/日である。いくつかの実施形態では、哺乳動物に投与される化合物1の量は、約560mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物1のAUC0~24は、約150~約3500ng・h/mLである。いくつかの実施形態では、化合物1のAUC0~24は、約500~約1100ng・h/mLである。いくつかの実施形態では、化合物1は経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は、1日1回、1日2回、または1日3回投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は毎日投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は毎日1回投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は1日おきに投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は維持療法剤である。化合物1は、Btkもしくはそのホモログを阻害するための、または血液悪性疾患と診断された被験者を含めてBtkもしくはそのホモログの阻害が少なくとも部分的には奏効する疾患または病態を治療するための、医薬の調製に使用可能である。そのほかに、治療を必要とる被験者における本明細書に記載の疾患または病態のいずれかの治療方法は、化合物1またはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能なN-オキシド、医薬活性代謝物、薬学的に許容可能なプロドラッグ、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を含有する医薬組成物を治療有効量で前記被験者に投与することを含む。
【0167】
化合物1を含有する組成物は、予防処置、治療処置、または維持療法のために投与可能である。いくつかの実施形態では、化合物1を含有する組成物は、治療用途に合わせて投与される(たとえば、血液悪性疾患と診断された被験者に投与される)。いくつかの実施形態では、化合物1を含有する組成物は、治療用途に合わせて投与される(たとえば、血液悪性疾患に罹患しやすいさもなければそれを発症するリスクのある被験者に投与される)。いくつかの実施形態では、化合物1を含有する組成物は、維持療法剤として寛解状態の患者に投与される。
【0168】
化合物1の量は、使用(たとえば、治療、予防、または維持)に依存するであろう。化合物1の量は、疾患または病態の重症度および経過、前の療法、患者の健康状態、体重、および薬剤に対する反応、ならびに治療医の判断に依存するであろう。ルーチンの実験(限定されるものではないが用量漸増臨床試験を含む)によりかかる治療有効量を決定することは、十分に当該技術の範囲内にあると考えられる。いくつかの実施形態では、化合物1の量は、300mg/日以上1000mg/日以下である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は、420mg/日以上840mg/日以下である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は、400mg/日以上860mg/日以下である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は約360mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は約420mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は約560mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は約840mg/日である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は、2mg/kg/日以上13mg/kg/日以下である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は、2.5mg/kg/日以上8mg/kg/日以下である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は、2.5mg/kg/日以上6mg/kg/日以下である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は、2.5mg/kg/日以上4mg/kg/日以下である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は約2.5mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、化合物1の量は約8mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は約140mgの化合物1を含む。いくつかの実施形態では、約140mgの化合物1を含む錠剤製剤が調製される。いくつかの実施形態では、2、3、4、または5個の錠剤製剤が毎日投与される。いくつかの実施形態では、3または4個のカプセル剤が毎日投与される。いくつかの実施形態では、錠剤は毎日1回投与される。いくつかの実施形態では、カプセル剤は毎日1回投与される。他の実施形態では、錠剤、1日複数回投与される。
【0169】
いくつかの実施形態では、化合物1は毎日投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は1日おきに投与される。
【0170】
いくつかの実施形態では、化合物1は1日1回投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は1日2回投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は1日3回投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は1日4回投与される。
【0171】
いくつかの実施形態では、化合物1は、疾患進行、許容できない毒性、または個別の選択まで投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は、疾患進行、許容できない毒性、または個別の選択まで毎日投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は、疾患進行、許容できない毒性、または個別の選択まで1日おきに投与される。
【0172】
患者の状態が改善される場合、医師の裁量で化合物の投与を連続して行いうる。代替的に、投与されている薬剤の用量を一時的に減少させうるか、またはある特定の期間にわたり一時的に中止しうる(すなわち、「休薬日」)。休薬日の長さは、単なる例として、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、15日間、20日間、28日間、35日間、50日間、70日間、100日間、120日間、150日間、180日間、200日間、250日間、280日間、300日間、320日間、350日間、または365日間を含めて、2日間~1年間の間で変化させうる。休薬日の用量の低減は、単なる例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含めて、10%~100%でありうる。
【0173】
患者の病態の改善が見られたら、必要であれば維持用量が投与される。続いて、症状に応じて、投与量または投与頻度またはその両方を、改善された疾患、障害、または病態が維持されるレベルに低減することが可能である。しかしながら、症状が再発した場合、患者は、長期間にわたり間欠的治療が必要になることもある。かかる量に対応するであろう所与の作用剤の量は、特定の化合物、疾患の重症度、治療を必要とする被験者または宿主の同一性(たとえば体重)などの要因に依存して変化するであろうが、それにもかかわらず、たとえば、投与される特定の作用剤、投与経路、および治療対象の被験者または宿主を含めて、その患者を取り巻く特定の状況に応じて当技術分野で公知の方法によりルーチンで決定可能である。しかしながら、一般的には、成人治療に用いられる用量は、典型的には0.02~5000mg/日または1日間当たりの約1~1500mg/日の範囲内であろう。所望の用量は、便宜上、単回用量で提供しうるか、または分割用量として同時に(もしくは短期間に)または適切なインターバルで、たとえば、1日当たり2、3、4回、またはそれ以上のサブ用量として投与しうる。
【0174】
本明細書に記載の医薬組成物または製剤は、正確な投与量の単回投与に好適なユニット製剤でありうる。ユニット製剤では、製剤は、適正量の1種以上の化合物を含有するユニット用量に分割される。ユニット投与量は、製剤の個別量を含有するパッケージの形態をとりうる。限定されるものではないが例としては、パッケージ化された錠剤またはカプセル剤およびバイアルまたはアンプル中の粉末剤が挙げられる。水性懸濁液組成物は、単回用量の再密閉不能な容器にパッケージ化可能である。代替的に、複数回用量の再密閉可能な容器を使用可能であり、その場合、組成物中に典型的には保存剤を含む。いくつかの実施形態では、各ユニット製剤は140mgの化合物1を含む。いくつかの実施形態では、1日当たり1個のユニット製剤が個体に投与される。いくつかの実施形態では、1日当たり2個のユニット製剤が個体に投与される。いくつかの実施形態では、1日当たり3個のユニット製剤が個体に投与される。いくつかの実施形態では、1日当たり4個のユニット製剤が個体に投与される。個別の治療レジームに関連する変数の数は多いので、また、これらの推奨値からかなり変動することも稀ではないので、上記の範囲は単なる提案にすぎない。かかる投与量は、いくつかの変数、限定されるものではないが、使用される化合物の活性、治療される疾患または病態、投与モード、個々の被験者の要件、治療される疾患または病態の重症度、および実施者の判断に応じて変更しうる。
【0175】
かかる治療レジメンの毒性および治療効果は、限定されるものではないが、LD50(集団の50%で致死的な用量)およびED50(集団の50%で治療上有効な用量)を決定するための手順を含めて、標準的な薬学的手順により、細胞培養物または実験動物で決定可能である。毒性作用と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、LD50とED50との比として表現可能である。高い治療指数を呈する化合物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトで使用するための投与量範囲の策定に使用可能である。かかる化合物の投与量は、好ましくは、毒性を最小限に抑えたED50を含む循環血中濃度の範囲内にある。投与量は、利用される剤形および利用される投与経路に依存して、この範囲内でさまざまでありうる。
【0176】
組合せ療法
ある特定の場合には、他の治療剤と組み合わせて化合物1を投与することが適切である。
【0177】
一実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法はまた、治療される病態に対する特定の有用性に関して選択される他の治療剤と併用される。一般的には、本明細書に記載の組成物は、組合せ療法が利用される実施形態では、他の作用剤は、同一の医薬組成物で投与してはならず、物理的および化学的な特性が異なるので異なる経路により投与される。一実施形態では、既定のプロトコルに従って初期投与を行い、次いで、観測された効果に基づいて、投与量、投与モード、および投与時期をさらに変更する。
【0178】
種々の実施形態では、化合物は、疾患の性質、患者の病態、および使用化合物の実際の選択に依存して、併行的に(たとえば、同時に、本質的に同時に、または同一の治療プロトコル内で)または逐次的に投与される。ある特定の実施形態では、投与順序および治療プロトコル期間の各治療剤の投与の繰返し数の決定は、治療される疾患および患者の病態の評価に基づく。
【0179】
本明細書に記載の組合せ療法では、共投与される化合物の投与量は、利用される共薬剤のタイプ、利用される特定の薬剤、治療される疾患または病態などに依存して変化する。
【0180】
かかる組合せの個別化合物は、個別のまたは組み合わされた医薬製剤で逐次的または同時のいずれかで投与される。一実施形態では、個別化合物は、組合せ医薬製剤で同時に投与されるであろう。既知の治療剤の適切な用量は、当業者であれば分かるであろう。
【0181】
本明細書で参照される組合せは、便宜上、薬学的に許容可能な希釈剤または担体と一緒に医薬組成物の形態で使用すべく提供される。
【0182】
ある特定の実施形態では、ある量の化合物1を個体に投与することを含む、必要とする個体における癌の治療方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、第2の癌治療レジメンを施す工程をさらに含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメン前のBtk阻害剤の投与は、第2の癌治療レジメンに対して免疫媒介反応を誘発する。いくつかの実施形態では、オファツムマブ前の化合物1の投与は、オファツムマブに対して免疫媒介反応を誘発する。
【0184】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、化学療法剤、ステロイド、免疫療法剤、標的療法剤、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、B細胞レセプター経路阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、B細胞レセプター経路阻害剤は、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、またはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、抗体、B細胞レセプターシグナリング阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、免疫化学療法剤、放射免疫療法剤、DNA損傷剤、プロテオソーム阻害剤、Cyp3A4阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、クロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドマイド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、フォスタマチニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL-101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、EPOCH-R、DA-EPOCH-R、リファンピン、セリネキソール、ゲムシタビン、オビヌツズマブ、カルムスチン、シタラビン、メルファラン、ウブリツキシマブ、パルボシクリブ、ACP-196(Acerta Pharma BV)、TGR-1202(TG Therapeutics, Inc.)、TEDDI、TEDD、MEDI4736(AstraZeneca)、ABT-0199(AbbVie)、CC-122(Celgene Corporation)、LDAraC、ケトコナゾール、エトポシド、カルボプラチン、モキシフロキサシン、シトロボラム、メトトレキセート、フィルグラスチム、メスナ、ビンクリスチン、シクロホスファミド、エリスロマイシン、ボリコナゾール、ニボルマブまたはそれらの組合せを含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン、ならびに任意選択的にリツキシマブを含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、ベンダムスチンおよびリツキシマブを含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、フルダラビン、シクロホスファミドおよびリツキシマブを含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、シクロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾン、ならびに任意選択的にリツキシマブを含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン(vinristine)、シクロホスファミド、プレドニゾロン、および任意選択的にリツキシマブを含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療レジメンは、デキサメタゾンおよびレナリドマイドを含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、プロテアソーム阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、第2の治療は、ボルテゾミブを含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、エポキシケトンを含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、エポキソミシンを含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、テトラペプチドエポキシケトンを含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、カルフィルゾミブを含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、ジスルフィラム(disulfram)、エピガロカテキン-3-ガレート、サリノスポラミドA、ONX 0912m CEP-18770、MLN9708、またはMG132を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、Cyp3A4阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ネファゾドンを含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、ケトコナゾールを含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、第2の治療は、レスタウルチニブ、トファシチニブ、ルキソリチニブ、CYT387、バリシチニブ、またはパクリチニブを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC阻害剤、HDI)を含む。いくつかの実施形態では、第2の癌治療は、ヒドロキサム酸(またはヒドロキサメート)、たとえば、トリコスタチンA、ボリノスタット(SAHA)、ベリノスタット(PXD101)、LAQ824、およびパノビノスタット(LBH589)、環状テトラペプチド、たとえば、トラポキシンB、デプシペプチド、ベンズアミド、たとえば、エンチノスタット(MS-275)、CI994、およびモセチノスタット(MGCD0103)、求電子ケトン、または脂肪族酸化合物、たとえば、フェニルブチレートおよびバルプロ酸を含む。
【0195】
追加の癌治療レジメンは、窒素マスタード、たとえば、ベンダムスチン、クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、プレドニムスチン、トロホスファミドなど、アルキルスルホネート、たとえば、ブスルファン、マンノスルファン、トレオスルファン、エチレンイミン、たとえば、カルボコン、チオテパ、トリアジコン、ニトロソウレア、たとえば、カルムスチン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、エポキシド、たとえば、エトグルシドなど、他のアルキル化剤、たとえば、ダカルバジン、ミトブロニトール、ピポブロマン、テモゾロミドなど、葉酸アナログ、たとえば、メトトレキセート、ペメトレキセド(permetrexed)、プララトレキサート、ラルチトレキセドなど、プリンアナログ、たとえば、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ネララビン、チオグアニンなど、ピリミジンアナログ、たとえば、アザシチジン、カペシタビン、カルモフール、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフールなど、ビンカアルカロイド、たとえば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビンなど、ポドフィロトキシン誘導体、たとえば、エトポシド、テニポシドなど、コルヒチン誘導体、たとえば、デメコルシンなど、タキサン、たとえば、ドセタキセル、パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメクスなど、他の植物アルカロイドおよび天然産物、たとえば、トラベクテジンなど、アクチノマイシン、たとえば、ダクチノマイシンなど、アントラサイクリン、たとえば、アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトキサントロン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン(zorubincin)など、他の細胞傷害性抗生物質、たとえば、ブレオマイシン、イクサベピロン、マイトマイシン、プリカマイシンなど、白金化合物、たとえば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチンなど、メチルヒドラジン、たとえば、プロカルバジンなど、増感剤、たとえば、アミノレブリン酸、エファプロキシラル、メチルアミノレブリネート、ポルフィマーナトリウム、テモポルフィンなど、プロテインキナーゼ阻害剤、たとえば、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ(pazonanib)、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムスなど、他の抗新生物剤、たとえば、アリトレチノイン、アルトレタミン、アムサクリン(amzacrine)、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ベキサロテン、ボルテゾミブ、セレコキシブ、デニロイキンジフチトクス、エストラムスチン、ヒドロキシカルバミド、イリノテカン、ロニダミン、マソプロコール、ミルテホシン(miltefosein)、マイトグアゾン、マイトタン、オブリマーセン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ロミデプシン、シチマジーンセラデノベック、チアゾフリン、トポテカン、トレチノイン、ボリノスタットなど、エストロゲン、たとえば、ジエチルスチルベストロール(diethylstilbenol)、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、リン酸ポリエストラジオールなど、プロゲストゲン、たとえば、ゲストノロン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロールなど、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体、たとえば、ブセレリン、ゴセレリン、ロイプロレリン、トリプトレリンなど、抗エストロゲン剤、たとえば、フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェンなど、抗アンドロゲン剤、たとえば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドなど、酵素阻害剤、アミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、フォルメスタン、レトロゾール、ボロゾール、他のホルモンアンタゴニスト、たとえば、アバレリクス、デガレリクスなど、免疫刺激剤、たとえば、ヒスタミンジヒドロクロリド、ミファムルチド、ピドチモド、プレリキサホル、ロキニメックス、チモペンチンなど、免疫抑制剤、たとえば、エベロリムス、グスペリムス、レフルノミド、ミコフェノール酸、シロリムスなど、カルシニューリン阻害剤、たとえば、シクロスポリン、タクロリムスなど、他の免疫抑制剤、たとえば、アザチオプリン、レナリドマイド、メトトレキセート、サリドマイドなど、および放射性医薬品、たとえば、イオベングアンを含む。追加の癌治療レジメンは、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、成長因子などを含む。
【0196】
追加の癌治療レジメンは、免疫刺激剤、たとえば、アンセスチム、フィルグラスチム、レノグラスチム、モルグラモスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチムなど、インターフェロン、たとえば、天然インターフェロンα、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ-n1、インターフェロンβ、天然、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、インターフェロンγ、ペグインターフェロンα-2a、ペグインターフェロンα-2bなど、インターロイキン、たとえば、アルデスロイキン、オプレルベキンなど、他の免疫刺激剤、たとえば、BCGワクチン、酢酸グラチラマー、ヒスタミンジヒドロクロリド、イムノシアニン、レンチナン、黒色腫ワクチン、ミファムルチド、ペガデマーゼ、ピドチモド、プレリキサホル、ポリI:C、ポリICLC、ロキニメックス、タソネルミン、チモペンチンなど、免疫抑制剤、たとえば、アバタセプト、アベチムス、アレファセプト、抗リンパ球免疫グロブリン(ウマ)、抗胸腺細胞免疫グロブリン(ウサギ)、エクリズマブ、エファリズマブ、エベロリムス、グスペリムス、レフルノミド、ムロモナブ-CD3(muromab-CD3)、ミコフェノール酸、ナタリズマブ、シロリムスなど、TNFα阻害剤、たとえば、アダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴール、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブなど、インターロイキン阻害剤、たとえば、アナキンラ、バシリキシマブ、カナキヌマブ、ダクリズマブ、メポリズマブ、リロナセプト、トシリズマブ、ウステキヌマブなど、カルシニューリン阻害剤、たとえば、シクロスポリン、タクロリムスなど、他の免疫抑制剤、たとえば、アザチオプリン、レナリドマイド、メトトレキセート、サリドマイドなどを含む。追加の癌治療レジメンは、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴール、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ-CD3、ナタリズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブなど、またはそれらの組合せを含む。
【0197】
追加の癌治療レジメンは、モノクローナル抗体、たとえば、アレムツズマブ、ベバシズマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブ、オファツムマブ、パニツムマブおよびリツキシマブ(トラスツズマブ)、免疫抑制剤、エクリズマブ、エファリズマブ、ムロモナブ-CD3(muromab-CD3)、ナタリズマブなど、TNFα阻害剤、たとえば、アダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、インフリキシマブ、インターロイキン阻害剤、バシリキシマブ、カナキヌマブ、ダクリズマブ、メポリズマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、放射性医薬品、イブリツモマブチウキセタン、トシツモマブなど、他のモノクローナル抗体、たとえば、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アレムツズマブ、抗CD30モノクローナル抗体Xmab2513、抗METモノクローナル抗体MetMab、アポリズマブ、アポマブ、アルシツモマブ、バシリキシマブ、二重特異的抗体2B1、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、カプロマブペンデチド、シクスツムマブ、クラウディキシマブ、コナツムマブ、ダセツズマブ、デノスマブ、エクリズマブ、エプラツズマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、フィギツムマブ、フレソリムマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、グレンバツムマブ、イブリツモマブ、イノツズマブオゾガマイシンなど、イピリムマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、マパツズマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、モノクローナル抗体CC49、ネシツムマブ、ニモツズマブ、オファツムマブ、オレゴボマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ(ramacurimab)、ラニビズマブ、シプリズマブ、ソネプシズマブ、タネズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ベルツズマブ、ビジリズマブ、ボロシキシマブ、ザルツムマブを含む。
【0198】
追加の癌治療レジメンは、細胞シグナリングネットワーク(たとえば、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)シグナリング経路、B細胞レセプターおよびIgEレセプターからのシグナリング)などの腫瘍微小環境に影響を及ぼす作用剤を含む。いくつかの実施形態では、第2の作用剤は、PI3Kシグナリング阻害剤またはsycキナーゼ阻害剤である。一実施形態では、syk阻害剤はR788である。他の実施形態では、単なる例としてエンザスタウリンなどのPKCγ阻害剤が提供される。腫瘍微小環境に影響を及ぼす作用剤の例としては、PI3Kシグナリング阻害剤、sycキナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、たとえば、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ(pazonanib)、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、他の血管形成阻害剤、たとえば、GT-111およびJI-101 R1530など、他のキナーゼ阻害剤、たとえば、AC220、AC480、ACE-041、AMG900、AP24534、Arry-614、AT7519、AT9283、AV-951、アキシチニブ、AZD1152、AZD7762、AZD8055、AZD8931、バフェチニブ、BAY73-4506、BGJ398、BGT226、BI811283、BI6727、BIBF1120、BIBW2992、BMS-690154、BMS-777607、BMS-863233、BSK-461364、CAL-101、CEP-11981、CYC116、DCC-2036、ディナシクリブ、ドビチニブラクテートなど、E7050、EMD 1214063、ENMD-2076、フォスタマチニブジナトリウム、GSK2256098、GSK690693、INCB18424、INNO-406、JNJ-26483327、JX-594、KX2-391、リニファニブ、LY2603618、MGCD265、MK-0457、MK1496、MLN8054、MLN8237、MP470、NMS-1116354、NMS-1286937、ON01919.Na、OSI-027、OSI-930、Btk阻害剤、PF-00562271、PF-02341066、PF-03814735、PF-04217903、PF-04554878、PF-04691502、PF-3758309、PHA-739358、PLC3397、プロゲニポイエチン、R547、R763、ラムシルマブ、レゴラフェニブ、RO5185426、SAR103168、SCH、SGI-1176、SGX523、SNS-314、TAK-593、TAK-901、TKI258、TLN-232、TTP607、XL147、XL228、XL281RO5126766、XL418、XL765 727965が挙げられる。Btk阻害剤化合物との組合せに使用される抗癌剤のさらなる例としては、マイトジェン活性化プロテインキナーゼシグナリングの阻害剤、たとえば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY-142886、SB239063、SP600125、BAY 43-9006、ウォルトマンニン、またはLY294002、Syk阻害剤、mTOR阻害剤、および抗体(たとえばリツキサン)が挙げられる。
【0199】
Btk阻害剤化合物との組合せで利用可能な他の抗癌剤としては、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、塩酸ビサントレン、ジメシル酸ビスナフィド、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナールナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロラムブシル、シロレマイシン、クラドリビン、メシル酸クリスナトール、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、メシル酸デザグアニン、ジアジクオン、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキセート、塩酸エフロルニチン、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロメート、エピプロピジン、塩酸エピルビシン、エルブロゾール、塩酸エソルビシン、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン、フォスキドン、フォストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、塩酸ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモホシン(iimofosine)、インターロイキンII(組換えインターロイキンIIまたはrlL2を含む)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ1a、インターフェロンγ1b、イプロプラチン、塩酸イリノテカン、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール、ロメトレキソールナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン、マソプロコール、マイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、マイトカルシン、マイトクロミン、マイトギリン、マイトマルシン、マイトマイシン、マイトスパー、マイトタン、塩酸マイトキサントロン、ミコフェノール酸、ノコダゾール(nocodazoie)、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、ペガスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルフォスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、塩酸ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸プロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、セムスチン、シムトラゼン、スパルフォセートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、テガフール、塩酸テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキセート、グルクロン酸トリメトレキセート、トリプトレリン、塩酸ツブロゾール、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシネート、硫酸ビンロイロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、塩酸ゾルビシンが挙げられる。Btk阻害剤化合物との組合せで利用可能な他の抗癌剤としては、20-エピ-1、25ジヒドロキシビタミンD3、5-エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管形成阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アンタレリックス、抗背方化形態形成タンパク質-1、抗アンドロゲン抗前立腺癌剤、抗エストロゲン剤、抗新生物剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、グリシン酸アフィディコリン、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシスレギュレーター、アプリン酸、ara-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン、βラクタム誘導体、ベータ-アレチン、ベタクラマイシンB、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド、ビサントレン、ビスアジリジニルスペルミン、ビスナフィド、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフレート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体、カナリアポックスIL-2、カペシタビン、カルボキサミドアミノトリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN700、軟骨由来阻害剤、カルゼレシン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリックス、クロリン(chlorln)、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、cis-ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェンアナログ、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチンアナログ、コナゲニン、クラムベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロペンタアントラキノン、シクロプラタム、シペマイシン、シタラビンオクホスフェート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスファミド、デクスラゾキサン、デクスベラパミル、ジアジクオン、ジデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ-5-アザシチジン、9つのジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン、エミテフール、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチンアナログ、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エキセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルビシン(fluorodaunorunicin)、フォルフェニメックス、フォルメスタン、フォストリエシン、フォテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリックス、ゼラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモフォシン、イロマスタット、イミダゾアクリドン、イミキモド、免疫刺激ペプチド、インスリン、たとえば、成長因子-1レセプター阻害剤など、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン、インターロイキン、イオベングアン、ヨードドキソルビシン、4-イポメアノール、イロプラクト、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、ラメラリンNトリアセテート、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、レンチナンスルフェート、レプトルスタチン、レトロゾール、白血病阻害因子、白血球αインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、ロイプロレリン、レバミソール、リアロゾール、線状ポリアミンアナログ、親油二糖ペプチド、親油白金化合物、リッソクリナミド7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメトレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロバスタチン、ロキソリビン、ルルトテカン、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン、細胞溶解性ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、
マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリリシン阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、マイトグアゾン、マイトラクトール、マイトマイシンアナログ、マイトナフィド、マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン、マイトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、ヒト絨毛性ゴナドトロピンモノクローナル抗体、モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk、モピダモール、多剤耐性遺伝子阻害剤、多発性腫瘍サプレッサーベース療法剤、カラシナ抗癌剤、ミカペルオキシドB、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン、N-アセチルジナリン、N-置換ベンズアミド系化合物、ナファレリン、ナグレスチップ、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン、一酸化窒素モジュレーター、ニトロキシド抗酸化剤、ニトルリン、O6-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンセトロン、オンダンセトロン、オラシン、経口サイトカインインデューサー、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキサウノマイシン、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペガスパルガーゼ、ペルデシン、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルフォスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、フェニルアセテート、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金-トリアミン錯体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビスアクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、プロテインAベース免疫モジュレーター、プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻プロテインキナーゼC阻害剤、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン(polyoxyethylerie)コンジュゲート、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras-GAP阻害剤、脱メチル化レテリプチン、エチドロン酸レニウムRe186、リゾキシン、リボザイム、RIIレチンアミド、ログレチミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロキニメックス、ルビギノンB1、ルボキシル、サフィンゴール、サイントピン、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi1ミメティック、セムスチン、老化由来阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シグナル伝達モジュレーター、一本鎖抗原結合タンパク質、シゾフィラン、ソブゾキサン、ナトリウムボロカプテート、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルフォシン酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンギスタチン1、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド、ストロメリシン阻害剤、スルフィノシン、超活性血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト、スラジスタ、スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タルリムスチン、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフール、テルラピリリウム、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、タリブラスチン、チオコラリン、トロンボポイエチン、トロンボポイエチンミメティック、チマルファシン、チモポイエチンレセプターアゴニスト、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、二塩化チタノセン、トプセンチン、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、チロホスチン、UBC阻害剤、ウベニメックス、尿生殖洞由来増殖阻害因子、ウロキナーゼレセプターアンタゴニスト、バプレオチド、バリオリンB、赤血球遺伝子療法ベクター系、ベラレソール、ベラミン、ベルジン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、ビタキシン、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、およびジノスタチンスチマラマーが挙げられる。
【0200】
Btk阻害剤化合物との組合せで利用可能なさらに他の抗癌剤としては、アルキル化剤、抗代謝物、天然産物、またはホルモン、たとえば、窒素マスタード(たとえば、メクロレタミン(mechloroethamine)、シクロホスファミド、クロラムブシルなど)、アルキルスルホネート(たとえばブスルファン)、ニトロソウレア(たとえば、カルムスチン、ロムスチン(lomusitne)など)、またはトリアゼン(デカルバジンなど)が挙げられる。抗代謝物の例としては、限定されるものではないが、葉酸類似体(たとえばメトトレキセート)、またはピリミジンアナログ(たとえば、シタラビン)、プリンアナログ(たとえば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が挙げられる。
【0201】
Btk阻害剤化合物との組合せで利用可能なアルキル化剤の例としては、限定されるものではないが、窒素マスタード(たとえば、メクロレタミン(mechloroethamine)、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン(meiphalan)など)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(たとえば、ヘキサメチルメラミン(hexamethlymelamine)、チオテパ)、アルキルスルホネート(たとえばブスルファン)、ニトロソウレア(たとえば、カルムスチン、ロムスチン(lomusitne)、セムスチン、ストレプトゾシン、など)、またはトリアゼン(デカルバジンなど)が挙げられる。抗代謝物の例としては、限定されるものではないが、葉酸類似体(たとえばメトトレキセート)、またはピリミジンアナログ(たとえば、フルオロウラシル、フロクスウリジン(floxouridine)、シタラビン)、プリンアナログ(たとえば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が挙げられる。
【0202】
安定化微小管に基づいてG2-M期に細胞を停止することにより作用する、かつBtk阻害剤化合物との組合せで使用可能である、抗癌剤の例としては、限定されるものではないが、次の市販薬および開発段階の薬剤、すなわち、エルブロゾール(R-55104としても知られる)、ドラスタチン10(DLS-10およびNSC-376128としても知られる)、イセチオン酸ミボブリン(CI-980としても知られる)、ビンクリスチン、NSC-639829、ジスコデルモリド(NVP-XX-A-296としても知られる)、ABT-751(Abbott、E-7010としても知られる)、アルトリルチン(たとえば、アルトリルチンAおよびアルトリルチンC)、スポンギスタチン(たとえば、スポンギスタチン1、スポンギスタチン2、スポンギスタチン3、スポンギスタチン4、スポンギスタチン5、スポンギスタチン6、スポンギスタチン7、スポンギスタチン8、およびスポンギスタチン9)、塩酸セマドチン(LU-103793およびNSC-D-669356としても知られる)、エポチロン(たとえば、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(デスオキシエポチロンAまたはdEpoAとしても知られる)、エポチロンD(KOS-862、dEpoB、およびデスオキシエポチロンBともいう)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N-オキシド、エポチロンA N-オキシド、16-アザエポチロンB、21-アミノエポチロンB(BMS-310705としても知られる)、21-ヒドロキシエポチロンD(デスオキシエポチロンFおよびdEpoFとしても知られる)、26-フルオロエポチロン、アウリスタチンPE(NSC-654663としても知られる)、ソブリドチン(TZT-1027としても知られる)、LS-4559-P(Pharmacia、LS-4577としても知られる)、LS-4578(Pharmacia、LS-477-Pとしても知られる)、LS-4477(Pharmacia)、LS-4559(Pharmacia)、RPR-112378(Aventis)、硫酸ビンクリスチン、DZ-3358(Daiichi)、FR182877(Fujisawa、WS-9885Bとしても知られる)、GS-164(Takeda)、GS-198(Takeda)、KAR-2(Hungarian Academy of Sciences)、BSF-223651(BASF、ILX-651およびLU-223651としても知られる)、SAH-49960(Lilly/Novartis)、SDZ-268970(Lilly/Novartis)、AM-97(Armad/Kyowa Hakko)、AM-132(Armad)、AM-138(Armad/Kyowa Hakko)、IDN-5005(Indena)、クリプトフィシン52(LY-355703としても知られる)、AC-7739(Ajinomoto、AVE-8063AおよびCS-39.HCIとしても知られる)、AC-7700(Ajinomoto、AVE-8062、AVE-8062A、CS-39L-Ser.HCI、およびRPR-258062Aとしても知られる)、ビチレブアミド、ツブリシンA、カナデンソール、センタウレイジン(NSC-106969としても知られる)、T-138067(Tularik、T-67、TL-138067およびTI-138067としても知られる)、COBRA 1(Parker Hughes Institute、DDE-261およびWHI-261としても知られる)、H10(Kansas State University)、H16(Kansas State University)、Oncocidin A1(BTO-956およびDIMEとしても知られる)、DDE-313(Parker Hughes Institute)、フィジアノリドB、ラウリマライド、SPA-2(Parker Hughes Institute)、SPA-1(Parker Hughes Institute、SPIKET-Pとしても知られる)、3-IAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF-569としても知られる)、ナルコシン(NSC-5366としても知られる)、ノスカピン(Nascapine)、D-24851(Asta Medica)、A-105972(Abbott)、ヘミアステルリン、3-BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF-191としても知られる)、TMPN(Arizona State University)、バナドセンアセチルアセトネート、T-138026(Tularik)、モナストロール(Monsatrol)、インダノシン(Inanocine)(NSC-698666としても知られる)、3-lAABE(Cytoskeleton/Mt. Sinai School of Medicine)、A-204197(Abbott)、T-607(Tularik、T-900607としても知られる)、RPR-115781(Aventis)、エレウテロビン(たとえば、デスメチルエレウテロビン、デスアセチルエレウテロビン(Desaetyleleutherobin)、イソエレウテロビンA、およびZ-エレウテロビン)、カリベオシド、カリベオリン、ハリコンドリンB、D-64131(Asta Medica)、D-68144(Asta Medica)、ジアゾナミドA、A-293620(Abbott)、NPI-2350(Nereus)、タッカロノリドA、TUB-245(Aventis)、A-259754(Abbott)、ジオゾスタチン、(-)-フェニルアヒスチン(NSCL-96F037としても知られる)、D-68838(Asta Medica)、D-68836(Asta Medica)、ミオセベリンB、D-43411(Zentaris、D-81862としても知られる)、A-289099(Abbott)、A-318315(Abbott)、HTI-286(SPA-110、トリフルオロアセテート塩としても知られる)(Wyeth)、D-82317(Zentaris)、D-82318(Zentaris)、SC-12983(NCI)、レスベラスタチンホスフェートナトリウム、BPR-OY-007(国家衛生研究院(National Health Research Institutes))、およびSSR-250411(Sanofi)が挙げられる。
【0203】
個体が自己免疫疾患、炎症性疾患、またはアレルギー疾患に罹患しているかまたは罹患するリスクがある場合、次の治療剤、すなわち、免疫抑制剤(たとえば、タクロリムス、シクロスポリン、ラパマイシン、メトトレキセート、シクロホスファミド、アザチオプリン、メルカプトプリン、ミコフェノレート、またはFTY720)、グルココルチコイド(たとえば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド系抗炎症薬剤(たとえば、サリチレート、アリールアルカン酸、2‐アリールプロピオン酸、N-アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、またはスルホンアニリド)、Cox-2特異的阻害剤(たとえば、バルデコキシブ、セレコキシブ、またはロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、オーラノフィン(aurofin)、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキニン、ミノサイクリン、TNF-α結合タンパク質(たとえば、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン剤、βアゴニスト、テオフィリン、または抗コリン作動剤の1種以上と共に任意の組合せで化合物1を使用可能である。
【0204】
キット/製造品
本明細書に記載の有用な治療方法に使用するために、キットおよび製造品もまた本明細書に記載する。かかるキットは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器を収容するように区画化されたキャリヤー、パッケージ、または容器を含み、容器のそれぞれは、本明細書に記載の方法に使用される個別要素の1つを含む。好適な容器としては、たとえば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が挙げられる。一実施形態では、容器は、ガラスやプラスチックなどのさまざまな材料から形成される。本明細書に提供される製造品はパッケージング材料を含有する。医薬品のパッケージングに使用されるパッケージング材料としては、たとえば、米国特許第5,323,907号明細書のものが挙げられる。医薬パッケージング材料の例としては、限定されるものではないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、および選択される製剤ならびに意図される投与モードおよび治療に好適な任意のパッケージング材料が挙げられる。
【0205】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物または組成物は、活性成分を含有する1つ以上のユニット製剤を収容しうるパッケージまたはディスペンサーデバイスに入れて提示される。本明細書に記載の化合物または組成物は、単独でパッケージングされるか、あるいは他の化合物または他の成分もしくは添加剤と共にパッケージングされる。いくつかの実施形態では、パッケージは、医薬組成物の1つ以上の成分が充填された1つ以上の容器を含有する。いくつかの実施形態では、パッケージは、金属フォイルまたはプラスチックフォイル、たとえば、ブリスターパックを含む。いくつかの実施形態では、パッケージまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書、たとえば、新生物疾患を治療するための化合物または組成物を投与するための説明書が添付される。いくつかの実施形態では、パッケージまたはディスペンサーには、医薬の製造、使用、または販売を規制する政府機関により指定された形態で容器に関連付けられた注意書きが添付される。この注意書きは、ヒトまたは動物に投与することが薬剤形態の監督官庁により承認されたことを反映したものである。いくつかの実施形態では、かかる注意書きは、たとえば、処方薬剤に関して米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)により承認されたラベル表示であるか、または承認された製品挿入物である。いくつかの実施形態では、適合医薬担体中に製剤化される本明細書に記載の化合物を含む組成物は、調製され、適切な容器に配置され、指定の病態の治療に関してラベル表示される。たとえば、容器は、任意選択的に組成物としてまたは本明細書に開示される他の作用剤と組み合わせて化合物1を含む。かかるキットは、本明細書に記載の方法によるその使用に関する識別説明またはラベル表示または説明書を任意選択的に含む。
【0206】
キットは、典型的には、内容物リストのラベル表示および/または使用説明書ならびに使用説明書を添付したパッケージ挿入物を含む。典型的には説明書一式もまた含まれるであろう。
【0207】
一実施形態では、ラベル表示は、容器上に存在するかまたは容器に関連付けられる。一実施形態では、ラベル表示を形成する文字、数字、または他の符号が容器自体に装着、成形、またはエッチングされる場合、ラベル表示は容器上に存在し、容器も保持するレセプタクルまたはキャリヤー内に存在する場合、ラベル表示は容器に添付される(たとえば、パッケージ挿入物として)。一実施形態では、ラベル表示は、内容物が特定の治療用途に使用されることを示すために使用される。ラベル表示はまた、内容物の用法、たとえば、本明細書に記載の方法の用法を示す。
【0208】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に提供される化合物を含有する1つ以上のユニット製剤を収容するパックまたはディスペンサーデバイスに入れて提示される。パックは、たとえば、金属フォイルまたはプラスチックフォイル、たとえば、ブリスターパックを含む。一実施形態では、パックまたはディスペンサーデバイスには投与説明書が添付される。一実施形態では、パックまたはディスペンサーにも、医薬の製造、使用、または販売を規制する政府機関により指定された形態で容器に関連付けられた注意書きが添付される。この注意書きは、ヒトまたは動物に投与することが薬剤形態の監督官庁により承認されたことを反映したものである。かかる注意書きは、たとえば、処方薬剤に関して米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)により承認されたラベル表示であるか、または承認された製品挿入物である。一実施形態では、適合医薬担体中に製剤化される本明細書に提供される化合物を含む組成物もまた、調製され、適切な容器に配置され、指定の病態の治療に関してラベル表示される。
【実施例
【0209】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図したものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0210】
実験の部
実施例1
かかる組成物は、以下の表1に示されるように記述しうる。これにより本発明のある特定の組成物を調製した。
【0211】
【表1】
【0212】
実施例2
本明細書に記載の手順に従って以下の製剤も調製した(錠剤をフィルムコーティングした場合、本明細書では「処置B)参照される)。
【0213】
【表2】
【0214】
さらに、実施例1で利用したように、フィルムコーティングを利用しうる。たとえば、opadryと媒体としての精製水などのフィルムコーティングを利用しうる。この場合、それに応じてw/wパーセントを変更しうる。実施例1の製剤「A」に記載したように以上の実施例2をフィルムコーティングし、「処置B」として本明細書で参照する。
【0215】
製剤寸法
本明細書に示されるように、以下の表に示される以下の寸法を有する本発明の錠剤製剤を調製した(ただし、最後のカラムは、すでにFDA承認の対象であるカプセル剤の寸法を示しており、カプセル剤の「厚さ」が均一であるため、幅は特定されていない)。
【0216】
【表3】
【0217】
以上に記載の140mg用量の錠剤製剤では、長さは、幅に実質的に類似しているので特定されない。したがって、錠剤形状は実質的に円形である。残りの製剤では、長さ、幅、および厚さが特定される場合、錠剤形状は実質的に扁球形(または長尺長方形)である。
【0218】
実施例-医薬製剤/調製プロセス
かかる医薬製剤の製造プロセスの実施例は、以下のように記述しうる。
1. 適切なスクリーンを用いたミルを介してマイクロナイズされたイブルチニブとナトリウムラウリルスルフェートとクロスポビドンとマンニトールとをスクリーン処理する。
2. マイクロナイズされたイブルチニブとナトリウムラウリルスルフェートとクロスポビドンとマンニトールとを高剪断グラニュレーターミキサーで混合する。
3. 精製水に溶解させたポビドン結合剤により顆粒化する。
4. 流動床乾燥機で湿潤塊を乾燥させる。
5. ミルを介して乾燥塊をミル処理する。
6. ミル処理された材料と、シーブ処理されたクロスポビドンとナトリウムラウリルスルフェートとの追加の顆粒部分と、をコロイド二酸化ケイ素と共にブレンドする。
7. ブレンドされた顆粒をシーブ処理されたマグネシウムステアレートの追加の顆粒部分によりブレンダー内で滑沢化する。
8. 好適なツーリングを備えた回転圧縮機を用いて最終ブレンドを圧縮して錠剤にする。
9. コーティング機を用いて錠剤をフィルムコーティングする。
10. 従来の手順を用いて錠剤をパッケージングする。
【0219】
以上のプロセスはまた、医薬組成物に含まれる成分に依存して適合化/補正しうる。
【0220】
生物学的実施例
イブルチニブカプセル剤(「処置A」)と比較して健常成人被験者でイブルチニブ錠剤製剤の薬動学を評価するための単回用量・オープンラベル・ランダム化・交差試験
これは健常成人における単一施設・オープンラベル・ランダム化・交差・単回用量研究である。書面によるインフォームドコンセントの提供後、21日以内(-21~-2日目)に被験者をスクリーニングした。
【0221】
主な選択基準:18~55歳(両端の値を含む)の健常な男性および女性、18~30kg/m(両端の値を含む)の体重指数の(BMI)、および50kg以上の体重。女性は、閉経後でなければならないかまたは外科的に無菌でなければならない。
【0222】
適格被験者は、各投与前に少なくとも10時間の絶食を行った後で各治療期間の1日目に240mLの非炭酸水を用いて、
・ カプセル剤1個当たり140mgのイブルチニブを含む4個のカプセル剤(カプセル製剤については以下を参照されたい)、これ以降/図中では「処置A」として参照される、または
・ 錠剤1個当たり560mgのイブルチニブを含む錠剤製剤として(本発明の製剤、とくに以上に記載の実施例2でさらにフィルムコーティングされたもの、これ以降および図中では「処置B」として参照される)
のいずれかで、イブルチニブ560mgの単回経口用量を摂取した。各投与の2時間後から始めて自由に水を許容し、各投与の4時間後から始めて昼食を提供した。
【0223】
イブルチニブカプセル剤140mg(4個のカプセル剤=「処置A」)
このカプセル剤製造プロセスは、次の工程、すなわち、指示量の成分を秤量する工程と、混合一体化する工程と、適切なサイズのカプセル剤に添加する工程と、カプセル剤を密閉する工程と、を含む。
【0224】
【表4】
【0225】
カプセル剤は、使用時まで室温で貯蔵する。かかるカプセル剤は、米国FDAにより承認されているものである。
【0226】
図の目的では、「処置C」は、この場合、考察/開示されていない別の製剤であるので、無視しうる。「処置B」は、以上に記載の本発明の特定の製剤である。
【0227】
イブルチニブの薬動学的(PK)解析用の血液サンプルは、各治療期間で投与前および投与後48時間にわたり捕集した。
【0228】
全研究継続期間は約70日間であった(21日間のスクリーニング期間、4×3日間の治療期間(各期間の間で7日間のウォッシュアウト、および7日間の追跡相)。
【0229】
以下を含むPKパラメーターを計算した。また、以下の略号を使用した。
max:最大観測濃度
max:最大観測濃度到達時間
AUClast:時間0から最終時間点までの濃度-時間曲線下面積
AUC:時間0から無限時間までの濃度-時間曲線下面積
1/2:片対数薬剤濃度-時間曲線のターミナルスロープに関連付けられる見掛けの排出半減期
【0230】
いくつかの実施形態では、高配合錠剤製剤は、カプセル製剤に類似して、薬学的に許容可能な性質と、高いCmaxなどの所望のPK性質と、の両方を有する。これは、「処置A」(n=32、nは成人被験者の数である)と「処置B」(n=23)との比較が可能な図1、2、3、および4で例証される。
【0231】
上述した結果に基づいて、本発明の錠剤製剤の相対的生物学的利用能を計算しうる。参照カプセル製剤と比較して暴露量を測定しうる。たとえば以下の表の通りである。
【0232】
【表5】
【0233】
以上の表では、提供された「平均」の行に例外が存在し、「Tmax(h)」はメジアン値である。処置BおよびCでは、被験者間変動は、Cmaxで比較的高く、AUClastおよびAUCinf(またはAUC)では中程度であった。
【0234】
以上の結果に基づいて、以下のことが分かる。
・ 処置Bの半減期は処置Aに類似していた。
・ 処置Bの相対的生物学的利用能は、処置Aと比較して有利でありえた。
・ 処置Bは処置Aと類似の暴露量を提供可能であった。
【0235】
以上の結果に基づいて、態様では、
・ CmaxのGMR(幾何平均比)が75%~92%(たとえば80~85%)の範囲内であり、
・ AUClastのGMRが85%~110%(たとえば85~100%もしくは85~95%)の範囲内であり、および/または
・ AUCinf(もしくはAUC)のGMRが80%~105%(たとえば95~105%)の範囲内である、
製剤が提供される。
【0236】
暴露に関連するかかる特徴は、本明細書に開示される実施形態のいずれかの一部でありうる。
【0237】
イブルチニブは、健常被験者において単回用量投与後(上述した本発明の特定の製剤を使用「処置B」)耐容性が良好であった。新しいか予想外の安全シグナルは同定されなかった。
【0238】
さらなる生物学的実施例
本明細書に定義される疾患(たとえば、慢性リンパ球白血病、再発性/難治性マントル細胞リンパ腫など)を有する被験者において本発明の製剤(とくに高配合560mg製剤)の安全性、耐容性、および/または効力を試験するための研究を行う。組合せでかかる製剤を試験するための類似の研究も行いうる(本明細書に記載の通り)。

本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
イブルチニブを含む医薬組成物であって、イブルチニブが、化合物1
【化4】
の構造を有する化合物であり、かつ前記医薬組成物が、前記医薬組成物の全重量を基準にして、i)少なくとも60%w/wのイブルチニブと、ii)約4~7%w/wのマンニトールと約13~16%w/wのクロスポビドンとを含む賦形剤と、を含む、医薬組成物。
[2]
前記医薬組成物が約60%w/w~約80%w/wのイブルチニブを含む、上記[1]に記載の医薬組成物。
[3]
前記医薬組成物が約65%w/w~約80%w/wのイブルチニブを含む、上記[1]に記載の医薬組成物。
[4]
前記医薬組成物が約65%w/w~約75%w/wのイブルチニブを含む、上記[1]に記載の医薬組成物。
[5]
前記医薬組成物が約70%w/wのイブルチニブを含む、上記[1]に記載の医薬組成物。
[6]
前記医薬組成物が顆粒内および顆粒外の成分を含む、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[7]
イブルチニブ(ibtrutinib)およびマンニトールが顆粒内成分である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[8]
前記医薬組成物が約4%w/w~約6%w/wのマンニトールを含む、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[9]
前記医薬組成物が約5%w/wのマンニトールを含む、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[10]
クロスポビドンが顆粒内および顆粒外の成分である、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[11]
前記医薬組成物が約14%w/w~約16%w/wのクロスポビドンを含む、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[12]
前記医薬組成物が約15%w/wのクロスポビドンを含む、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[13]
前記医薬組成物が、約70%w/wのイブルチニブ、約5%w/wのマンニトール、および約15%w/wのクロスポビドンを含む、上記[1]に記載の医薬組成物。
[14]
前記医薬組成物が、湿式顆粒化法を用いて調製される、上記[1]~[13]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[15]
少なくとも1種の追加の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、上記[1]~[14]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[16]
上記[1]~[14]のいずれか一項に記載の医薬組成物と、1種以上の追加の薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む高配合固形錠剤製剤。
[17]
前記1種以上の追加の賦形剤が約7%w/w~約13%w/wの量で存在する、上記[16]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[18]
前記1種以上の追加の賦形剤が、結合剤、滑沢剤、流動化剤、および界面活性剤からなる群から選択される、上記[16]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[19]
少なくとも1種の追加の賦形剤が界面活性剤である、上記[16]~[18]のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
[20]
前記界面活性剤がナトリウムラウリルスルフェートである、上記[19]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[21]
前記ナトリウムラウリルスルフェートが、約0~約10%w/w、約4%w/w~約8%w/w、または約6%w/w~約8%w/wの量で存在する、上記[20]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[22]
前記ナトリウムラウリルスルフェートが約7%w/wの量で存在する、上記[20]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[23]
少なくとも1種の追加の賦形剤が流動化剤である、上記[16]~[22]のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
[24]
前記流動化剤がシリカ(コロイド二酸化ケイ素)である、上記[23]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[25]
前記シリカ(コロイド二酸化ケイ素)が、約0~約5%w/w、0.1%w/w~約1.5%w/w、約0.4%w/w~約0.8%w/w、または約0.5%w/w~約0.6%w/wの量で存在する、上記[24]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[26]
少なくとも1種の追加の賦形剤が滑沢剤である、上記[16]~[25]のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
[27]
前記滑沢剤がマグネシウムステアレートである、上記[26]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[28]
前記マグネシウムステアレートが、約0.01%w/w~約5%w/w、0.01%w/w~約2%w/w、0.1%w/w~約0.7%w/w、または約0.5%w/w~約0.6%w/wの量で存在する、上記[27]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[29]
少なくとも1種の追加の賦形剤が結合剤である、上記[16]~[28]のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
[30]
前記結合剤がポリビニルピロリドンである、上記[29]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[31]
前記結合剤がPVP K29/32である、上記[29]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[32]
前記ポリビニルピロリドンが、約0.5%w/w~約5%w/w、1%w/w~約3%w/w、1%w/w~約2%w/w、または約2%w/wの量で存在する、上記[29]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[33]
少なくとも60%w/wのイブルチニブと顆粒内および顆粒外の賦形剤とを含む高配合固形錠剤製剤であって、前記顆粒内の賦形剤が、マンニトール、ナトリウムラウリルスルフェート、およびクロスポビドンを含み、かつ前記顆粒外の賦形剤が、ポリビニルピロリドン、ナトリウムラウリルスルフェート、クロスポビドン、コロイド二酸化ケイ素、およびマグネシウムステアレートを含む、高配合固形錠剤製剤。
[34]
前記顆粒内の賦形剤が、
約4%w/w~約7%w/w、約4%w/w~約6%w/w、または約5%w/wの量のマンニトールと、
約6%w/w~約9%w/w、約7%w/w~約8%w/w、または約7.5%w/wの量のクロスポビドンと、
約0~約2%w/w、約0.5%w/w~約1.5%w/w、または約1%w/wの量のナトリウムラウリルスルフェートと、
を含み、かつ
前記顆粒外の賦形剤が、
約0~約4%w/w、約1%w/w~約3%w/w、または約5%w/wの量のポリビニルピロリドンと、
約4%w/w~約8%w/w、約5%w/w~約7%w/w、または約6%w/wの量のナトリウムラウリルスルフェートと、
約4%w/w~約10%w/w、約5%w/w~約9%w/w、または約7.5%w/wの量のクロスポビドンと、
約0.1%w/w~約1.0%w/w、または約0.3%w/w~約0.8%w/w、または約0.5%w/wの量のコロイド二酸化ケイ素と、
約0.1%w/w~約1.0%w/w、または約0.3%w/w~約0.8%w/w、または約0.5%w/wの量のマグネシウムステアレートと、
を含む、上記[33]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[35]
a)約60%w/w~約80%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約7%w/wのマンニトールと、
c)約13%w/w~約16%w/wのクロスポビドンと、
d)約1%w/w~約3%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約5%w/w~約10%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.1%w/w~約1.0%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.1%w/w~約1.0%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む、高配合固形錠剤製剤。
[36]
a)約65%w/w~約75%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約6%w/wのマンニトールと、
c)約14%w/w~約16%w/wのクロスポビドンと、
d)約1%w/w~約3%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約6%w/w~約8%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.4%w/w~約0.6%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.4%w/w~約0.6%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む、上記[35]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[37]
a)約69%w/w~約71%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約6%w/wのマンニトールと、
c)約14%w/w~約16%w/wのクロスポビドンと、
d)約1.5%w/w~約2.5%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約6%w/w~約8%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.4%w/w~約0.6%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.4%w/w~約0.6%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む、上記[35]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[38]
a)約70%w/wのイブルチニブと、
b)約5%w/wのマンニトールと、
c)約15%w/wのクロスポビドンと、
d)約2%w/wのポリビニルピロリドンと、
e)約7%w/wのナトリウムラウリルスルフェートと、
f)約0.5%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
g)約0.5%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む、上記[35]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[39]
a)約69%w/w~約71%w/wのイブルチニブと、
b)約4%w/w~約6%w/wのマンニトールと、
c)約7%w/w~約8%w/wのクロスポビドン(顆粒内)と、
d)約7%w/w~約8%w/wのクロスポビドン(顆粒外)と、
e)約0.5%w/w~約1.5%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒内)と、
f)約5%w/w~約7%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒外)と、
g)約1%w/w~約3%w/wのポリビニルピロリドンと、
h)約0.4%w/w~約0.6%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
i)約0.4%w/w~約0.6%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む、上記[35]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[40]
a)約70%w/wのイブルチニブと、
b)約5%w/wのマンニトールと、
c)約7.5%w/wのクロスポビドン(顆粒内)と、
d)約7.5%w/wのクロスポビドン(顆粒外)と、
e)約1%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒内)と、
f)約6%w/wのナトリウムラウリルスルフェート(顆粒外)と、
g)約2%w/wのポリビニルピロリドンと、
h)約0.5%w/wのコロイド二酸化ケイ素と、
i)約0.5%w/wのマグネシウムステアレートと、
を含む、上記[35]に記載の高配合固形錠剤製剤。
[41]
錠剤の全重量が約800mgである、上記[33]~[40]のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
[42]
イブルチニブが約560mgの量である、上記[33]~[41]のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
[43]
イブルチニブがマイクロナイズ形態である、上記[16]~[42]のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
[44]
前記製剤が1日1回投与に使用される、上記[16]~[43]のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
[45]
前記製剤が経口製剤である、上記[16]~[44]のいずれか一項に記載の高配合固形錠剤製剤。
[46]
治療有効量の上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤を患者に投与することを含む、治療を必要とする患者における前記疾患の治療方法。
[47]
必要とする患者に治療有効量の上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤を投与することを含む、自己免疫疾患または病態の治療方法。
[48]
前記自己免疫疾患が関節リウマチまたは狼瘡である、上記[47]に記載の方法。
[49]
必要とする患者に治療有効量の上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤を投与することを含む、異種免疫疾患または病態の治療方法。
[50]
必要とする患者に治療有効量の上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤を投与することを含む、癌の治療方法。
[51]
前記癌がB細胞増殖障害である、上記[50]に記載の方法。
[52]
前記B細胞増殖障害が、瀰漫性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、または慢性リンパ球白血病である、上記[51]に記載の方法。
[53]
前記癌がB細胞悪性疾患である、上記[52]に記載の方法。
[54]
前記癌が、慢性リンパ球白血病(CLL)/小リンパ球リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、瀰漫性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、および多発性骨髄腫から選択されるB細胞悪性疾患である、上記[53]に記載の方法。
[55]
前記癌が、リンパ腫、白血病、または固形腫瘍である、上記[50]に記載の方法。
[56]
前記癌が、瀰漫性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球リンパ腫、慢性リンパ球白血病、B細胞前リンパ球白血病、リンパ形質細胞リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾辺縁帯リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、またはリンパ腫様肉芽腫症である、上記[50]に記載の方法。
[57]
必要とする患者に治療有効量の上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤を投与することを含む、肥満細胞症の治療方法。
[58]
必要とする患者に治療有効量の上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤を投与することを含む、骨粗鬆症または骨吸収障害の治療方法。
[59]
必要とする患者に治療有効量の上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤を投与することを含む、炎症性疾患または病態の治療方法。
[60]
治療を必要とする被験者に治療有効量の上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物を含有する組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤を投与することを含む、狼瘡の治療方法。
[61]
治療を必要とする被験者に治療有効量の上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物を含有する組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤を投与することを含む、異種免疫疾患または病態の治療方法。
[62]
上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物または上記[16]~[45]のいずれか一項に記載の錠剤製剤の調製プロセスであって、イブルチニブと少なくとも1種の賦形剤とを含む湿潤顆粒を湿式顆粒化法によって調製することを含むプロセス。
[63]
前記湿潤顆粒が、イブルチニブ、マンニトール、クロスポビドン、およびナトリウムラウリルスルフェートを含む、上記[62]に記載のプロセス。
[64]
a)前記湿潤顆粒を乾燥させて乾燥顆粒を形成することと、
b)前記乾燥顆粒をミル処理してミル処理顆粒を形成することと、
c)前記ミル処理顆粒と顆粒外の賦形剤とをブレンドして混合物を形成することと、
d)前記混合物を圧縮して錠剤を形成することと、
をさらに含む、上記[62]または[63]に記載のプロセス。
[65]
前記顆粒外の賦形剤が、ポリビニルピロリドン、ナトリウムラウリルスルフェート、クロスポビドン、コロイド二酸化ケイ素、およびマグネシウムステアレートを含む、上記[64]に記載のプロセス。

図1
図2
図3
図4