(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/04 20060101AFI20230825BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20230825BHJP
H01B 7/18 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H01B7/04
H01B7/00 306
H01B7/18 D
(21)【出願番号】P 2021179873
(22)【出願日】2021-11-03
(62)【分割の表示】P 2018219660の分割
【原出願日】2018-11-22
【審査請求日】2021-11-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】黄 得天
(72)【発明者】
【氏名】塚本 佳典
(72)【発明者】
【氏名】小林 正則
(72)【発明者】
【氏名】松岡 功
(72)【発明者】
【氏名】森山 真至
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】市川 武宜
【審判官】中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225081(JP,A)
【文献】特開昭56-149716(JP,A)
【文献】実開平6-41029(JP,U)
【文献】特開2005-259385(JP,A)
【文献】特開平8-96631(JP,A)
【文献】特開2004-355990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H01B 7/04
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル中心部に設けられた対撚線集合体を構成する複数本の内層用対撚線の端末部に第1基板が接続されており、
前記対撚線集合体の外周に編組シールド層を介して設けられた、前記複数本の内層用対撚線よりも少ない本数の外層用対撚線の端末部に、前記第1基板と異なる第2基板が接続されており、
電源線、及び前記外層用対撚線を含む外側電線層が、前記編組シールド層よりも外側に設けられており、
前記内層用対撚線の撚りピッチは、前記外層用対撚線の撚りピッチ以下である、
ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット等の可動部に使用される可動部用ケーブルとして、複数本の対撚線を撚り合わせた集合体の周囲にシールド層を設け、その周囲にモータ駆動用の動力線を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来の可動部用ケーブルでは、当該ケーブルの中心部分に多数本からなる対撚線のすべてが一括して配置されているため、ケーブル外径が小さくなりにくく、さらなる細径化への改善が必要である。このような課題に対して、例えば、上述の従来の可動部用ケーブルの中心部分に配置される対撚線の本数を多くしたまま、その周囲に配置される、動力線の本数を少なくした場合には、動力線の周方向配置間隔が広くなることによって無駄なスペースが多くなってしまうため、ケーブル外径を小さくできず、かえってケーブル外径が大きくなってしまう場合があった。近年のロボット等では、小型化に伴い電線やケーブルの配線スペースを小さくしたいという要求があり、可動部用ケーブルの外径をできるだけ小さくすることが求められている。また、従来の可動部用ケーブルでは、当該ケーブルの端末部における外部ノイズの影響や、低周波のノイズの動力線への影響を受けにくくするための改善も求められている。
【0005】
そこで、本発明は、ノイズの影響を抑制しつつも細径化が可能なケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、ケーブル中心部に設けられた対撚線集合体を構成する内層用対撚線の端末部に第1基板が接続されており、前記対撚線集合体の外周に編組シールド層を介して設けられた外層用対撚線の端末部に前記第1基板と異なる第2基板が接続されている、ケーブルを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノイズの影響を抑制しつつも細径化が可能なケーブルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る可動部用ケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
【
図2】
図1の可動部用ケーブルの端末部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る可動部用ケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図2は、可動部用ケーブルの端末部を示す側面図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、可動部用ケーブル1は、信号伝送用の複数の対撚線2と、信号伝送用の複数の電源線3と、を有している。可動部用ケーブル1は、例えば、ロボットアーム等の産業用ロボットの可動部用の配線として用いられるものである。
【0012】
対撚線2は、銅等の電気導体からなる素線(例えば、0.1mm以下の外径を有する素線)を撚り合わせた撚線導体2aの周囲にETFE(テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂からなる絶縁体2bを有する2本の絶縁電線2cを撚り合わせて構成されている。対撚線2は、例えばエアー注入器の制御など、種々の機器の制御に用いられる制御信号等を伝送するものである。ここでは、8本の対撚線2を用いる場合を示しているが、対撚線2の数はこれに限定されない。
【0013】
電源線3は、銅等の電気導体からなる素線(例えば、0.1mm以下の外径を有する素線)を撚り合わせた撚線導体3aの周囲にETFE(テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂からなる絶縁体3bを有する。電源線3は、例えば、モータ(例えば、アクチュエータ等)を駆動する駆動電流を供給するなど、電源信号を伝送するために用いられるものである。ここでは、9本の電源線3を用いる場合を示しているが、電源線3の本数はこれに限定されない。
【0014】
本実施の形態に係る可動部用ケーブル1は、信号伝送用の複数の内層用対撚線21を撚り合わせた対撚線集合体4と、対撚線集合体4の周囲に設けられた第1編組シールド層5と、電源供給用の複数の電源線3、及び信号伝送用の1本以上の外層用対撚線22を、第1編組シールド層5の外周に螺旋状に撚り合わせて構成された外側電線層6と、外側電線層6の周囲に設けられた第2編組シールド層7と、を備えている。
【0015】
可動部用ケーブル1では、対撚線2の一部(8本中の6本)を内層用対撚線21として第1編組シールド層5よりも内側に配置しており、かつ、対撚線2の他部(8本中の2本)を外層用対撚線22として電源線3と共に第1編組シールド層5よりも外側に配置している。
【0016】
すべての対撚線2を用いて対撚線集合体4を形成した場合、対撚線集合体4の外径が大きくなる。また、外側電線層6を構成する電源線3の本数が少ない場合には、電源線3間に無駄なスペースが生じて、ケーブル全体の大型化をまねいてしまう。本実施の形態では、対撚線2の一部を外側電線層6に含ませることで、対撚線集合体4の外径を小さくし、かつ、外側電線層6の電線本数を増やして、無駄なスペースを少なくすることで、可動部用ケーブル1の細径化を図っている。外側電線層6に用いられる外層用対撚線22としては、電源線3によるノイズの影響を受けない用途のものを用いるとよい。
【0017】
対撚線集合体4は、6本の内層用対撚線21を撚り合わせて構成される。対撚線集合体4を構成する内層用対撚線21のそれぞれは、撚りピッチが互いに異なるように構成されている。これは、内層用対撚線21間のクロストーク(ノイズ)を抑制するためである。なお、内層用対撚線21の撚りピッチとは、内層用対撚線21の周方向において絶縁電線2cが同じ位置となる地点の、内層用対撚線21の長手方向に沿った間隔である。
【0018】
また、可動部用ケーブル1におけるケーブルの中心部には、屈曲時に応力が集中するため、本実施の形態では、介在8の周囲に6本の内層用対撚線21を螺旋状に撚り合わせて対撚線集合体4を構成した。これにより、屈曲時の応力が内層用対撚線21に集中して内層用対撚線21の伝送特性が劣化することを抑制可能になる。
【0019】
介在8としては、例えば、スフ糸等の糸状体を用いることができる。スフ糸は、適度なクッション性を有しており、屈曲しても折れるといったこともないので、可動部に用いられる可動部用ケーブル1の介在8として好適である。なお、介在8に用いる糸状体はスフ糸に限らず、例えば、紐や紙、不織布等からなるものも用いることができる。また、介在8として糸状体に限らず、例えば帯状のものを用いることもできる。介在8は、クッション性を付与することで、屈曲時に内層用対撚線21にかかる応力を分散し、内層用対撚線21の伝送特性の劣化を抑制する役割も果たしている。
【0020】
内層用対撚線21の撚り方向は、内層用対撚線21の撚線導体2a及び対撚線集合体4の撚り方向と反対方向であるとよい。撚線導体2aの撚り方向は対撚線集合体4の撚り方向と同じ方向となる。これは、内層用対撚線21の撚り方向を、撚線導体2aや対撚線集合体4の撚り方向と同じ方向とした場合、撚線導体2aを構成する素線に繰り返し同方向の撚りが加わることとなり、屈曲時等に素線が絞り切れてしまうおそれがあるためである。内層用対撚線21の撚り方向を、撚線導体2aや対撚線集合体4の撚り方向と反対方向とすることで、素線の断線を抑制し、屈曲に対する耐性を向上することが可能になる。
【0021】
なお、撚線導体2aの撚り方向とは、絶縁電線2cの一端側から見たときに、他端側から一端側にかけて素線が回転している方向である。内層用対撚線21の撚り方向とは、内層用対撚線21の一端側から見たときに、他端側から一端側にかけて絶縁電線2cが回転している方向である。また、対撚線集合体4の撚り方向とは、対撚線集合体4の一端側から見たときに、他端側から一端側にかけて内層用対撚線21が回転している方向である。
【0022】
対撚線集合体4に周囲には、第1押さえ巻きテープ9が螺旋状に巻付けられている。第1押さえ巻きテープ9としては、紙テープや不織布からなるテープ等を用いることができる。第1押さえ巻きテープ9は、断面視でほぼ円形状となるように巻き付けられている。対撚線集合体4を構成する6本の内層用対撚線21のそれぞれは、第1押さえ巻きテープ9の内周面に接触している。第1押さえ巻きテープ9の周囲には、金属素線を編み込んだ編組シールドからなる第1編組シールド層5が設けられている。
【0023】
第1編組シールド層5の外周には、樹脂テープ10が螺旋状に巻付けられている。樹脂テープ10は、外側電線層6を構成する電源線3や外層用対撚線22と第1編組シールド層5との間で滑りを良くし、繰り返し屈曲することによる摩耗を抑制する役割を果たす。樹脂テープ10としては、摩耗に強く、かつ滑りの良い材質を用いるとよく、例えば、ナイロン、あるいは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)等のフッ素樹脂からなるものを用いることができる。
【0024】
樹脂テープ10の外周には、9本の電源線3と2本の外層用対撚線22とが螺旋状に撚り合わされて外側電線層6が形成されている。電源線3と外層用対撚線22とは外径が異なり、外層用対撚線22の方が電源線3よりも外径が大きい。よって、撚り合わせの際に偏りを生じにくくするために、外層用対撚線22は、電源線3が複数の外層用対撚線22の間に配置されるように、周方向に離間して配置されていることが望ましく、周方向に略等間隔に配置されていることがより望ましい。なお、同軸線3の配置は厳密に等間隔に配置されている必要はなく、±10°程度の誤差は許容される。本実施の形態では、電源線3を9本用いているため、周方向における2本の外層用対撚線22の間の一方に4本、他方に5本の電源線3を配置し、電源線3及び外層用対撚線22を周方向に略等間隔に配置した。
【0025】
クロストークを抑制するため、2本の外層用対撚線22は、互いに撚りピッチが異なることが望ましい。また、内層用対撚線21の撚りピッチは、2本の外層用対撚線22の撚りピッチ以下であることが望ましい。これは、ケーブルの中心部により近い位置に配置される内層用対撚線21は、外層用対撚線22よりも屈曲時に応力がかかりやすいため、撚りを細かくして屈曲に対する耐性を向上させることが望まれるためである。
【0026】
また、本実施の形態では、電源線3と外層用対撚線22と共に介在11を撚り合わせて外側電線層6を構成した。介在11は、可動部用ケーブル1の外形が円形状となるように整形する役割と、外側電線層6を構成する電線間に介在して電線同士が屈曲時等に摩耗することを抑制する役割を果たす。本実施の形態では、外側電線層6において、隣り合う電源線3同士、及び隣り合う電源線3と外層用対撚線22は、接触していない。外側電線層6に用いられる介在11としては、対撚線集合体4に用いられる介在8と同様に、スフ糸等を用いることができる。
【0027】
外側電線層6の周囲には、紙テープや不織布からなる第2押さえ巻きテープ12が螺旋状に巻付けられている。第2押さえ巻きテープ12は、介在11の量や配置を適宜調整することにより、断面視でほぼ円形状となるように巻き付けられている。外側電線層6を構成する全ての電線、すなわち9本の電源線3と2本の外層用対撚線22のそれぞれは、第2押さえ巻きテープ12の内周面に接触している。また、外層用対撚線22は、樹脂テープ10の外周面に接触している。電源線3は、外層用対撚線22よりも外径が小さいため、樹脂テープ10の外周面には接触していない。
【0028】
第2押さえ巻きテープ12の周囲には、金属素線を編み込んだ編組シールドからなる第2編組シールド層7が設けられている。第2編組シールド層7の周囲には、絶縁体からなるジャケット13が被覆されている。ジャケット13としては、可動部用ケーブル1を外力から保護できるように、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリウレタン(PU)樹脂等からなるもの用いることができる。
【0029】
図2に示すように、可動部用ケーブル1の端末部では、ジャケット13が除去されて第2編組シールド層7が露出されると共に、第2編組シールド層7の金属素線間の隙間を拡げて(編み目を拡げて)、その拡げた隙間から、第1編組シールド層5で覆われた対撚線集合体4を外部へと引き出す。
【0030】
図示の例では、対撚線集合体4を構成する内層用対撚線21が第1基板14に接続され、一方の外層用対撚線22が第2基板15に、他方の外層用対撚線22が第3基板16に、電源線3が第4基板17に接続されている。ただし、例えば、内層用対撚線21と外層用対撚線22が共通の基板に搭載されてもよく、接続先の基板の具体的な構成については図示のものに限定されない。
【0031】
可動部用ケーブル1の端末部を
図2のように構成することで、内層用対撚線21が第1基板14の直近まで第1編組シールド層5で覆われることになり、内層用対撚線21が端末部において外部ノイズの影響を受けてしまうことを抑制可能となる。同様に、外側電線層6を構成する電源線3及び外層用対撚線22についても、第2~4基板15~17の直近まで第2編組シールド層7で覆われることになり、端末部での外部ノイズの影響を抑制可能になる。
【0032】
可動部用ケーブル1の端末部において、第1編組シールド層5で覆われた対撚線集合体4を外部へと引き出すために、第2編組シールド層7は編み目を拡げやすくなっていることが望ましい。そのため、第2編組シールド層7の編組角度は、なるべく小さいことが望ましい。他方、第1編組シールド層5では、屈曲時等に応力がかかるために、編組角度を小さくし過ぎると破断してしまうおそれが生じる。よって、端末部でのノイズの影響を抑制しつつも端末加工の加工性を向上させ、かつ、屈曲に対する耐性を十分に維持するために、第1編組シールド層5の編組角度は、第2編組シールド層7の編組角度よりも大きくすることが望ましい。なお、編組角度とは、ケーブル長手方向と、編組シールドを構成する金属素線の長手方向とのなす角度である。
【0033】
また、電源線3の接続先のモータ等では低周波のノイズが発生し易いため、電源線3を覆う第2編組シールド層7においては、金属素線の外径を大きくしてノイズ耐性を高めることが望まれる。他方、第1編組シールド層5では、金属素線の外径を大きくすると曲げにくくなってしまうため、金属素線の外径をなるべく(屈曲時等の応力に耐えられる範囲で)小さくすることが望まれる。よって、モータ等で発生するノイズの電源線3への影響を低減し、かつ、曲げやすい可動部用ケーブル1とするために、第1編組シールド層5を構成する金属素線は、第2編組シールド層7を構成する金属素線よりも外径が小さくすることが望ましい。より具体的には、第2編組シールド層7を構成する金属素線の外径は、第1編組シールド層5を構成する金属素線の外径の1.2倍以上1.5倍以下とするとよい。ここでは、第1編組シールド層5を構成する金属素線の外径を0.08mmとし、第2編組シールド層7を構成する金属素線の外径を0.10mmとした。
【0034】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る可動部用ケーブル1では、信号伝送用の複数の内層用対撚線21を撚り合わせた対撚線集合体4と、対撚線集合体4の周囲に設けられた第1編組シールド層5と、電源供給用の複数の電源線3、及び信号伝送用の1本以上の外層用対撚線22を、第1編組シールド層5の外周に螺旋状に撚り合わせて構成された外側電線層6と、外側電線層6の周囲に設けられた第2編組シールド層7と、を備えている。
【0035】
対撚線2の一部(ノイズの影響を受けにくい用途のもの)を外側電線層6に含ませることで、対撚線集合体4に含まれる対撚線2の本数を減らして対撚線集合体4の外径を小さくすると共に、外側電線層6で電線間に形成される無駄な隙間を小さくすることが可能になり、ノイズの影響を抑制しつつも細径化が可能な可動部用ケーブル1を実現できる。
【0036】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0037】
[1]信号伝送用の複数の内層用対撚線(21)を撚り合わせた対撚線集合体(4)と、前記対撚線集合体(4)の周囲に設けられた第1編組シールド層(5)と、電源供給用の複数の電源線(3)、及び信号伝送用の1本以上の外層用対撚線(22)を、前記第1シールド層(5)の外周に螺旋状に撚り合わせて構成された外側電線層(6)と、外側電線層(6)の周囲に設けられた第2編組シールド層(7)と、を備えた、可動部用ケーブル(1)。
【0038】
[2]前記第1編組シールド層(5)の編組角度は、前記第2編組シールド層(7)の編組角度よりも大きい、[1]に記載の可動部用ケーブル(1)。
【0039】
[3]前記第1編組シールド層(5)を構成する素線は、前記第2編組シールド層(7)を構成する素線よりも外径が小さい、[1]または[2]に記載の可動部用ケーブル(1)。
【0040】
[4]前記外側電線層(6)は、複数の前記外層用対撚線(22)を有し、前記複数の外層用対撚線(22)は、周方向に離間して配置されている、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の可動部用ケーブル(1)。
【0041】
[5]前記対撚線集合体(4)は、介在(8)の周囲に前記複数の内層用対撚線(21)を螺旋状に撚り合わせて構成されている、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の可動部用ケーブル(1)。
【0042】
[6]前記対撚線集合体(4)を構成する前記複数の内層用対撚線(21)は、撚りピッチが互いに異なるように構成されている、[1]乃至[5]の何れか1項に記載の可動部用ケーブル(1)。
【0043】
[7]前記対撚線集合体(4)を構成する前記複数の内層用対撚線(21)のそれぞれは、撚線導体(2a)の周囲を絶縁体(2b)で被覆した絶縁電線(2c)を2本撚り合わせて構成されており、前記内層用対撚線(21)の撚り方向は、前記撚線導体(2a)及び前記対撚線集合体(4)の撚り方向と反対方向である、[1]乃至[6]の何れか1項に記載の可動部用ケーブル(1)。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…可動部用ケーブル
2…対撚線
2a…撚線導体
2b…絶縁体
2c…絶縁電線
21…内層用対撚線
22…外層用対撚線
3…電源線
4…対撚線集合体
5…第1編組シールド層
6…外側電線層
7…第2編組シールド層
8…介在
10…樹脂テープ