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  • 特許-スカンジウムの回収方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】スカンジウムの回収方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 59/00 20060101AFI20230829BHJP
   C22B 3/06 20060101ALI20230829BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C22B59/00
C22B3/06
C22B3/44 101A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019130404
(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2021014618
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】小原 剛
(72)【発明者】
【氏名】小林 宙
(72)【発明者】
【氏名】中井 修
【審査官】田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-137552(JP,A)
【文献】特開2008-208441(JP,A)
【文献】特表2008-527164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 59/00
C22B 3/00- 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スカンジウムを含有する酸性溶液から該スカンジウムを回収する方法であって、
前記酸性溶液は、ニッケル酸化鉱石を酸浸出して得られた溶液であり、不純物元素として少なくともマンガンを含有するものであり、
前記酸性溶液にアルカリを添加し中和処理を施すことによって水酸化スカンジウムを生成させスカンジウムを濃縮する濃縮工程を含み、
前記濃縮工程では、前記中和処理に際して、反応容器内に収容した前記酸性溶液の液面に不活性ガスを吹きつけることによって、該液面を該不活性ガスでシールし、前記反応容器内に収容した前記酸性溶液の液面が酸素と接触しないように維持しながら、前記酸性溶液のpHが5.1~5.7の範囲となるように、前記アルカリを添加し、
前記濃縮工程では、前記中和処理により得られる前記水酸化スカンジウムの沈澱物に酸を添加して溶解させる酸溶解処理を行う
スカンジウムの回収方法。
【請求項2】
前記中和処理に際して、さらに、前記酸性溶液の液内に不活性ガスを吹き込む
請求項1に記載のスカンジウムの回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スカンジウムの回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スカンジウムは、高強度合金の添加剤や燃料電池の電極材料として極めて有用な元素である。しかしながら、生産量が少なく、高価であるため、広く用いられるには至っていなかった。
【0003】
ところで、近年、例えば特許文献1に記載されるように、ラテライト鉱やリモナイト鉱等のニッケル酸化鉱石に含まれる微量のスカンジウムを回収できるHPALプロセスが提案されている。HPALプロセスでは、ニッケル酸化鉱石を硫酸と共に加圧容器に装入し、240℃~260℃程度の高温に加熱してニッケルを含有する浸出液と浸出残渣とに固液分離し、浸出液に対してアルカリ等の中和剤を添加して不純物を沈殿分離し、次いで硫化剤を添加することによりニッケルをニッケル硫化物の澱物として回収する。このHPALプロセスにおいて、スカンジウムは硫化剤を添加しても澱物とはならないため、硫化後の酸性溶液中に残留する。このように、HPALプロセスを使用することによって、ニッケルとスカンジウムとを効果的に分離できる。
【0004】
しかしながら、ニッケル酸化鉱石には、産出する地域によってその種類や量の大小にばらつきはあるものの、鉄、アルミニウム、マンガン、マグネシウム等の様々な不純物元素が含まれている。そのため、希薄に存在するスカンジウムを濃縮するとともに、これらの不純物を効果的に分離して精製することが必要となる。
【0005】
スカンジウムを不純物と分離しながら濃縮する方法として、例えば特許文献2には、キレート樹脂を用いた方法が開示されている。この特許文献2に開示の方法は、HPALプロセスを経てニッケルを分離した後のスカンジウムを含有する溶液(スカンジウム含有溶液)をキレート樹脂に接触させてスカンジウムを吸着させ、次いで、吸着後のキレート樹脂を希酸で洗浄し、さらに洗浄後のキレート樹脂に強酸を接触させてスカンジウムを溶離するというものである。
【0006】
さらに、キレート樹脂にスカンジウムを吸着させる方法のほかに、例えば特許文献3、4には、溶媒抽出を用いてスカンジウムを回収する方法が開示されている。例えば特許文献3には、2-エチルヘキシルスルホン酸-モノ-2-エチルヘキシルをケロシンで希釈した有機溶媒を用いて、スカンジウムを有機溶媒中に抽出する方法が開示されている。また、特許文献4には、スカンジウム含有溶液をバッチ処理によって一定の割合で抽出剤に接触させることで、スカンジウム含有溶液からスカンジウムを選択的に分離回収する方法が開示されている。
【0007】
上述したような各方法を用いて回収されたスカンジウムは、いずれも酸化スカンジウム(Sc23)に換算した品位で95~98重量%程度の純度が得られ、アルミとの合金への添加等の用途に対しては十分な品位である。ところが、近年需要が高まっている燃料電池の電解質等の用途に対しては、燃料電池の特性を発揮するために、99.9%程度以上の高純度な品位が必要とされ、特定の元素によってはさらに厳しい規格が設定される場合もある。
【0008】
例えば、マンガンは、電解質の特性悪化を招く影響があること知られ、酸化スカンジウム中のマンガン濃度を50ppm以下に抑制することが好ましいとされている。
【0009】
このため、キレート樹脂や溶媒抽出を用いた精製に加えて、アルカリを添加して中和しスカンジウムの水酸化物を得ることも行われる。このようにしてスカンジウムの水酸化物を得ることで、不純物を分離するとともに、得られた水酸化物を再度酸等で溶解することによって任意のスカンジウム濃度の再溶解液を得ることができる。そして、この再溶解液を上述したキレート樹脂や溶媒抽出に再度付すことで、効率的に精製と濃縮とを行うことができる。
【0010】
また、特許文献5に開示されているような、シュウ酸化処理を行うことで不純物を分離する方法を併用することもできる。これらのような方法を用いることで、99.9%以上の高純度な酸化スカンジウムの回収が可能とされている。
【0011】
このように、高純度の酸化スカンジウムを回収する技術は様々提案されているが、スカンジウムが酸化鉱石に由来することから、その酸化鉱石を処理して得られた硫化後液等の溶液の成分や濃度にばらつきが生じることは避けられない。
【0012】
ここで、特に、スカンジウムを含有する溶液においてマンガン濃度が比較的高いような場合、上述したようなスカンジウムを水酸化スカンジウムとして濃縮する中和工程を有するプロセスでは、スカンジウム以外にマンガンまでもが沈澱し、沈澱発生量が増加してマンガン品位が増加し、スカンジウムの濃縮が阻害されるという問題がある。
【0013】
このように、特に、スカンジウムとマンガンとを含有する溶液から、スカンジウムの濃縮とマンガンの分離とを効率的に行うことは容易ではなく、高純度なスカンジウムを工業的に回収することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開平3-173725号公報
【文献】特開平9-194211号公報
【文献】特開平9-291320号公報
【文献】国際公開第2014/110216号
【文献】特開2016-108664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、不純物元素としてマンガンが含まれているスカンジウムを含有する酸性溶液からそのマンガンを効果的に分離除去してスカンジウムを濃縮することができるスカンジウムの回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、スカンジウムとマンガンとを含有する酸性溶液に対してアルカリを添加して中和処理を施すにあたり、酸性溶液の液面に酸素が接触しないように維持しながらアルカリを添加することで、マンガンの酸化による沈澱物形成を効果的に抑制してマンガンの分離性能を高め、有効にスカンジウムを濃縮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
(1)本発明の第1の発明は、スカンジウムを含有する酸性溶液から該スカンジウムを回収する方法であって、前記酸性溶液は、不純物元素として少なくともマンガンを含有するものであり、前記酸性溶液にアルカリを添加し中和処理を施すことによって水酸化スカンジウムを生成させスカンジウムを濃縮する濃縮工程を含み、前記濃縮工程では、前記中和処理に際して、反応容器内に収容した前記酸性溶液の液面が酸素と接触しないように維持しながら前記アルカリを添加する、スカンジウムの回収方法である。
【0018】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記濃縮工程では、前記中和処理により得られる前記水酸化スカンジウムの沈澱物に酸を添加して溶解させる酸溶解処理を行う、スカンジウムの回収方法である。
【0019】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記中和処理に際して、前記反応容器内に収容した前記酸性溶液の液面に不活性ガスを吹きつけることによって、該液面を該不活性ガスでシールする、スカンジウムの回収方法である。
【0020】
(4)本発明の第4の発明は、第3の発明において、前記中和処理に際して、さらに、前記酸性溶液の液内に不活性ガスを吹き込む、スカンジウムの回収方法である。
【0021】
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記酸性溶液のpHが5.1~5.7の範囲となるように前記アルカリを添加する、スカンジウムの回収方法である。
【0022】
(6)本発明の第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記スカンジウムを含有する酸性溶液は、ニッケル酸化鉱石を酸浸出して得られた溶液である、スカンジウムの回収方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るスカンジウムの回収方法によれば、不純物元素であるマンガンを効率的に分離除去して、効果的にスカンジウムを濃縮でき、高純度なスカンジウムを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】スカンジウムの回収方法の一例を示す工程図である。
図2】実施例1と比較例1における各pH条件(中和処理条件)にて得られた水酸化スカンジウム沈澱物のMn/Sc比の分析結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、本明細書にて、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
【0026】
≪1.マンガンの除去について≫
本発明に係るスカンジウムの回収方法は、スカンジウムを含有する酸性溶液からスカンジウムを回収する方法であり、特に、その酸性溶液に不純物元素として含まれるマンガンを効率的に除去し、スカンジウムを有効に濃縮して高純度のスカンジウムを回収する方法である。
【0027】
例えば、ニッケル酸化鉱石等のスカンジウムを含む鉱石材料に対して硫酸等の酸を用いて浸出処理を行って得られる溶液(スカンジウムを含有する酸性溶液)は、不純物元素としてマンガンが含まれていることがある。本発明に係るスカンジウムの回収方法は、例えばこのようなスカンジウムを含有する酸性溶液を原料から、不純物元素であるマンガンを分離除去して、純度の高いスカンジウムを効果的に回収するものである。
【0028】
具体的に、このスカンジウムの回収方法は、スカンジウムとマンガンとを含有する酸性溶液(単に「酸性溶液」ともいう)にアルカリを添加し中和処理を施すことによって水酸化スカンジウムを生成させスカンジウムを濃縮する濃縮工程を含む。そして、その濃縮工程における中和処理に際して、反応容器内に収容した酸性溶液の液面が酸素と接触しないように維持しながらアルカリを添加することを特徴としている。
【0029】
このような方法によれば、酸性溶液の酸化を抑制することによって、その酸性溶液に含まれるマンガンの沈澱物形成を抑制することができ、アルカリによって中和されて水酸化スカンジウムの沈澱物となったスカンジウムから効果的にマンガンを分離除去することができる。これにより、有効にスカンジウムを濃縮することができ、純度の高いスカンジウムを回収することができる。
【0030】
上述したように、このスカンジウムの回収方法における濃縮工程では、スカンジウムと不純物元素であるマンガンとを含有する酸性溶液に対してアルカリを添加し中和処理を施すことによって水酸化スカンジウムの沈澱物を得る中和処理を行う。この中和処理においては、酸性溶液を反応容器内に収容し、所定量のアルカリを添加する。このようにして酸性溶液に対して中和処理を施すことで、酸性溶液中のスカンジウムを水酸化物(水酸化スカンジウム)の沈殿物とすることができる。このとき、不純物元素のマンガンの沈澱物形成を抑えることで、生成する沈澱物中におけるスカンジウムを有効に濃縮することができ、スカンジウムとマンガンとを効果的に分離することができる。
【0031】
添加するアルカリは、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等を使用することができる。カルシウム分を含む中和剤であると石膏(硫酸カルシウム)が生成してスカンジウムに混在する可能性があるため、水酸化ナトリウム等の固形物を生成しないものが好ましい。
【0032】
また、酸性溶液に対する中和処理において、そのpH条件としては、中和剤を添加することによって5.0~6.0の範囲に調整することが好ましく、5.1~5.7の範囲に調整することがより好ましく、5.1~5.6の範囲に調整することが特に好ましい。pHが5.0未満であると、中和が不十分となって水酸化スカンジウムの沈澱物を十分に生成させることができない可能性がある。一方で、pHが6.0を超えると、マンガンの沈澱物形成が進み、効果的にマンガンを分離することができない可能性がある。このことから、中和処理においてpHを5.0~6.0の範囲に調整することが好ましい。そして、特に好ましくpH5.6以下に調整することで、より効果的にマンガンの沈澱生成を抑えることができる。
【0033】
そしてこのとき、本発明に係るスカンジウムの回収方法では、反応容器内に収容した酸性溶液の液面に酸素が接触しないように維持しながらアルカリを添加することを特徴とする。ここで、液面との接触を防ぐ「酸素」は、例えば空気中に含まれる酸素が挙げられる。また、「接触」とは、その酸素と物理的に触れることであり、例えば空気が液面に触れる(空気が液面を流れる)ことも酸素が接触すること意味する。
【0034】
酸性溶液の液面と酸素との接触を防ぐ方法としては、例えば、不活性ガスを反応容器内の酸性溶液の液面(溶液表面)に向かって吹き付けることによって、その液面を不活性ガスでシールする方法が挙げられる。不活性ガスによって液面をシールすることで、その液面と、例えば空気中の酸素との接触が妨げられ、酸性溶液の酸化を有効に抑えることができ、これによりマンガンが酸化して沈澱物となることを防ぐことができる。その結果、中和処理により形成される水酸化スカンジウムの沈澱物にマンガンが混入することを抑制して、マンガンの分離性能を高めることができる。
【0035】
反応容器に収容した酸性溶液の液面をシールする方法は、上述した不活性ガスの吹き付けることに限られず、中和処理を阻害しないことを前提として、物理的に液面をシールするようにしてもよい。
【0036】
また、酸性溶液の液面に不活性ガスを吹き付けることに加えて、その酸性溶液の内部(液内)に不活性ガスを吹き込むようにしてもよい。このように液内に不活性ガスを吹き込むことによって、酸性溶液の液面におけるシール効果を向上させることができる。
【0037】
不活性ガスとしては、特に限定されず、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられ、中でも、安価で大量に生産可能であるという点から、窒素ガスを使用することが好ましい。
【0038】
また、本発明に係るスカンジウムの回収方法では、濃縮工程において、中和処理により得られた水酸化スカンジウムの沈澱物に酸を添加して溶解させる酸溶解処理を行うようにすることできる。上述したように、酸性溶液の液面に酸素が接触しないように維持しながら中和処理を施すことによって、マンガンの混入を防ぎながら水酸化スカンジウムの沈澱物を生成させることができ、スカンジウムからマンガンを有効に分離除去することができる。そしてこのようにして得られた水酸化スカンジウムの沈澱物に酸を添加して溶解して酸溶解液とすることで(酸溶解処理)、スカンジウムを含有し、不純物元素であるマンガンを除去した溶液、すなわちスカンジウムの濃縮溶液を得ることができる。
【0039】
以下では、スカンジウムの回収方法の流れの一例を示しながら、各工程についてより具体的に説明する。
【0040】
≪2.スカンジウムの回収方法≫
図1は、スカンジウムの回収方法の一例を示す工程図である。このスカンジウムの回収方法は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセス(湿式製錬処理)により得られた硫化後液(スカンジウムを含有する酸性溶液)から、スカンジウムとその他の不純物とを分離し、高純度のスカンジウムを効率的に回収するものである。
【0041】
具体的に、スカンジウムの回収方法は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬工程S1と、湿式製錬工程S1から得られたスカンジウム含有溶液である硫化後液に対してイオン交換処理を施すイオン交換処理工程S2と、スカンジウム溶離液に中和処理を施して水酸化スカンジウムの沈澱物を得て、その後、沈殿物に酸を添加して溶解させスカンジウム溶解液を得ることでスカンジウムを濃縮する濃縮工程S3と、スカンジウム溶解液に溶媒抽出処理を施す溶媒抽出工程S4と、得られた抽出残液からスカンジウムを酸化スカンジウムの形態として回収するスカンジウム回収工程S5と、を有する。
【0042】
このように、スカンジウムの回収方法は、スカンジウム回収の原料となる溶液を得るためのニッケル酸化鉱石の湿式製錬処理のプロセス(湿式製錬工程S1)と、その原料溶液から不純物を除去して高純度なスカンジウムを回収するスカンジウム回収処理のプロセス(イオン交換処理工程S2~スカンジウム回収工程S5)と、に大きく分けられる。
【0043】
<2-1.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬処理のプロセス(湿式製錬工程S1)>
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬工程S1は、図1に示すように、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で硫酸浸出して浸出スラリーを得る浸出工程S11と、浸出スラリーを固液分離して浸出液と浸出残渣とを得る固液分離工程S12と、浸出液に中和剤を添加して不純物を含む中和澱物と中和後液とを得る中和工程S13と、中和後液に硫化水素ガスを添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得るニッケル回収工程S14と、を有する。
【0044】
[浸出工程]
浸出工程S11は、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)等を用いて、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加して240℃~260℃の温度下で撹拌処理を施し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを形成する工程である。なお、浸出工程S11における処理は、従来知られているHPALプロセスに従って行えばよい。
【0045】
ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8重量%~2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、これらのニッケル酸化鉱石には、スカンジウムが含まれている。
【0046】
[固液分離工程]
固液分離工程S12は、浸出工程S11にて得られた浸出スラリーを洗浄しながら、ニッケルやコバルト、スカンジウム等を含む浸出液と、ヘマタイトである浸出残渣とに固液分離する工程である。
【0047】
固液分離処理では、例えば、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、凝集剤供給設備等から供給される凝集剤を用い、シックナー等の固液分離設備を利用して行うことができる。
【0048】
[中和工程]
中和工程S13は、分離して得られた浸出液に中和剤を添加してpH調整し、不純物元素を含む中和澱物と中和後液とを得る工程である。中和工程S13における中和処理により、ニッケルやコバルト、スカンジウム等の有価金属は中和後液に含まれるようになり、鉄、アルミニウムをはじめとした不純物の大部分が中和澱物となる。
【0049】
中和剤としては、従来公知のもの使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0050】
[ニッケル回収工程]
ニッケル回収工程S15は、中和工程S13を経て得られた中和後液(ニッケル回収用母液)を硫化反応始液として、その硫化反応始液に対して硫化剤である硫化水素ガスを吹き込むことにより硫化反応を生じさせ、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトの硫化物(便宜的に単に「ニッケル硫化物」ともいう)と、ニッケルの濃度を低い水準で安定させた貧液(硫化後液)とを生成させる工程である。なお、ニッケル回収用母液は、ニッケル及びコバルトを含む硫酸溶液である。
【0051】
ニッケル回収工程S15における硫化処理は、硫化反応槽等を用いて行うことができ、硫化反応槽に導入した硫化反応始液に対して、その反応槽内の気相部分に硫化水素ガスを吹き込み、溶液中に硫化水素ガスを溶解させることで硫化反応を生じさせる。この硫化処理により、硫化反応始液中に含まれるニッケルを硫化物として固定化して回収する。
【0052】
硫化処理後においては、得られたニッケル硫化物を含むスラリーをシックナー等の沈降分離装置に装入して沈降分離処理を施し、その硫化物のみをシックナーの底部より分離回収する。一方で、水溶液成分は、シックナーの上部からオーバーフローさせて硫化後液として回収する。
【0053】
ここで、硫化処理においては、上述したように硫化反応始液に含まれるニッケルは硫化物となる一方で、始液中に含まれていたスカンジウムは硫化物とはならず硫化後液に残存することになる。このように、湿式製錬工程S1におけるプロセスによれば、ニッケルとスカンジウムとを効果的に分離することができる。
【0054】
<2-2.スカンジウム回収処理のプロセス(イオン交換処理工程S2~スカンジウム回収工程S5)>
スカンジウムの回収方法では、上述した湿式製錬工程S1を経て得られた硫化後液を、スカンジウム回収処理の対象溶液として用いることができる。上述したように、硫化後液は、ニッケル等を分離させたスカンジウムを含有する酸性溶液である。以下では、スカンジウム回収処理の対象溶液として、スカンジウムを含有する酸性溶液である硫化後液を用いてスカンジウムを回収する工程について、順に説明する。
【0055】
[イオン交換処理工程]
イオン交換処理工程S2は、硫化後液に対してイオン交換樹脂を用いたイオン交換処理を施すことによってスカンジウム溶離液を得る工程である。
【0056】
スカンジウムを含有する酸性溶液である硫化後液には、スカンジウムのほかに、例えば上述したニッケル回収工程S15での硫化処理で硫化されずに溶液中に残留したアルミニウムやクロム、その他の不純物が含まれている。このことから、硫化後液からスカンジウムを回収するにあたり、予め、その硫化後液中に含まれる不純物を除去してスカンジウム(Sc)を濃縮し、スカンジウム溶離液を生成させることが好ましい。
【0057】
イオン交換処理工程S2では、例えばキレート樹脂をイオン交換樹脂として使用したイオン交換処理による方法であり、硫化後液中に含まれるアルミニウム等の不純物を分離して除去し、スカンジウムを濃縮させたスカンジウム含有溶液(スカンジウム溶離液)を得ることができる。具体的に、イオン交換処理工程S2としては、例えば、硫化後液をキレート樹脂に接触させてスカンジウムを吸着させる吸着工程と、スカンジウムを吸着したキレート樹脂に所定の規定度の硫酸を接触させてアルミニウムを除去するアルミニウム除去工程と、キレート樹脂に所定の規定度の硫酸を接触させてスカンジウム溶離液を得るスカンジウム溶離工程と、キレート樹脂に所定の規定度の硫酸を接触させてキレート樹脂に吸着したクロムを除去するクロム除去工程と、を有するものを例示できる。
【0058】
イオン交換処理に用いるキレート樹脂の種類としては、特に限定されない。例えばイミノジ酢酸を官能基とする樹脂を用いることができ、このキレート樹脂によれば、スカンジウムの吸着選択性を高めることができる。
【0059】
このように、硫化後液に対してイオン交換処理を施すことによって、硫化後液に含まれるアルミニウムやクロム等の不純物を除去することができ、スカンジウムを濃縮させたスカンジウム溶離液を得ることができる。
【0060】
[濃縮工程]
濃縮工程S3は、イオン交換処理工程S2でのイオン交換処理を経て得られたスカンジウム溶離液に対して中和処理を施すことで水酸化スカンジウムを含む沈澱物を得て、その後、その沈殿物を硫酸等の鉱酸に溶解させてスカンジウム溶解液を得る工程である。
【0061】
具体的に、濃縮工程S3においては、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等の中和剤を使用し、スカンジウム溶離液に添加して中和処理を施す。
【0062】
ここで、スカンジウム溶離液は、アルミニウム等の不純物をイオン交換処理により除去した溶液であるが、イオン交換処理によっては十分に除去できない不純物元素であるマンガンを含む。つまり、スカンジウム溶離液は、スカンジウムと、不純物元素として少なくともマンガンを含む酸性溶液である。
【0063】
そこで、このスカンジウムの回収方法では、この濃縮工程S3における中和処理に、上述したマンガンの除去処理を適用することを特徴としている。すなわち、濃縮工程S3においては、酸性溶液であるスカンジウム溶離液に対してアルカリ(中和剤)を添加して中和処理を施すことによって水酸化スカンジウムの沈澱物を得るようにし、その中和処理に際し、反応容器内に収容したスカンジウム溶離液の液面に酸素が接触しないように維持しながらアルカリを添加する。
【0064】
これにより、中和処理においてマンガンの酸化による沈澱物形成を防ぐことができ、中和処理により形成される水酸化スカンジウムの沈澱物中にマンガンが混入することを抑制することができる。その結果、不純物であるマンガンを含まないスカンジウム溶解液を得ることができ、効果的にスカンジウムを濃縮することができる。すなわち、濃縮効果を向上させることができ、スカンジウムの回収方法として高純度なスカンジウムをより効果的に回収することができる。
【0065】
上述したように、中和剤であるアルカリは、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等を使用でき、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0066】
また、pH条件としては、中和剤を添加することによって5.0~6.0の範囲に調整することが好ましく、5.1~5.7の範囲に調整することがより好ましく、5.1~5.6の範囲に調整することが特に好ましい。そして、特に好ましくpH5.6以下に調整することで、より効果的にマンガンの沈澱生成を抑えることができる。
【0067】
反応容器内のスカンジウム溶離液の液面に酸素が接触しないようにする方法は、例えば、窒素ガス等の不活性ガスを液面に向かって吹き付けることによって、その液面を不活性ガスでシールする方法を用いることができる。このように、不活性ガスによって液面をシールすることで、その液面と、例えば空気中の酸素との接触が妨げられ、酸性溶液の酸化を有効に抑えることができ、これによりマンガンの酸化による沈澱形成を防ぐことができる。また、液面に不活性ガスを吹き付けることに加えて、その液内に不活性ガスを吹き込むようにしてもよく、これにより、液面におけるシール効果を向上させることができる。
【0068】
濃縮工程S3では、このようにして水酸化スカンジウムを含む沈澱物を得た後、その沈澱物に酸を添加して溶解させ、スカンジウム溶解液を得る。なお、沈殿物は、中和後スラリーに対して固液分離処理を施すことによって回収することができる。
【0069】
沈澱物の溶解に用いる酸としては、塩酸や硫酸等の鉱酸が挙げられる。このような鉱酸を用いることで沈殿物を効率的に溶解させることができ、スカンジウムを濃縮させたスカンジウム溶解液(酸溶解液)を得ることができる。
【0070】
[溶媒抽出工程]
溶媒抽出工程S4は、濃縮工程S3を経て得られた、スカンジウムを濃縮させた溶液であるスカンジウム溶解液を溶媒抽出処理に付し、抽出剤に接触させて、スカンジウムを含有する抽出残液を得る工程である。
【0071】
溶媒抽出工程S4における態様としては、特に限定されないが、スカンジウム溶解液と有機溶媒である抽出剤とを混合して、不純物と僅かなスカンジウムを抽出した抽出後有機溶媒とスカンジウムを残した抽出残液とに分離する抽出工程と、抽出後有機溶媒に対して洗浄処理を施すスクラビング工程と、洗浄後有機溶媒に逆抽出剤を添加して洗浄後有機溶媒から不純物を逆抽出する逆抽出工程と、を有する溶媒抽出処理を行うことが好ましい。
【0072】
抽出工程においては、抽出剤を含む有機溶媒中に不純物を選択的に抽出し、不純物を含有する有機溶媒と抽出残液とを得る。抽出剤としては、特に限定されないが、アミン系の抽出剤を用いることが好ましい。例えば、スカンジウムとの選択性が低く、また抽出時に中和剤が不要である等の特徴を有する、例えば、1級アミンであるPrimeneJM-T、2級アミンであるLA-1、3級アミンであるTNOA(Tri-n-octylamine)、TIOA(Tri-i-octylamine)等の商品名で知られるアミン系抽出剤を用いることが好ましい。このようなアミン系抽出剤を用いて抽出処理を行うことで、効率的に且つ効果的に不純物を抽出してスカンジウムと分離することができる。
【0073】
また、スクラビング工程においては、抽出後有機溶媒に対して、例えば硫酸溶液等の洗浄始液を混合することによって洗浄処理を施し、抽出後有機溶媒に抽出された僅かなスカンジウムを水相に分離させて洗浄後液を得る。得られた洗浄後液は、抽出工程から抽出残液と共に、次工程のスカンジウム回収工程S5へと供される。このように、スクラビング工程を設けることによって、スカンジウムの回収ロスを低減することができる。
【0074】
なお、逆抽出工程においては、抽出処理を経て不純物を抽出した有機溶媒から、不純物を逆抽出する。具体的には、抽出剤を含む有機溶媒に逆抽出溶液(逆抽出始液)を添加して混合することによって、抽出処理とは逆の反応を生じさせて不純物を逆抽出し、不純物を含む逆抽出後液を得る。なお、逆抽出溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩を含有する溶液を用いることが好ましい。このように逆抽出処理を施すことで、溶媒抽出に用いた抽出剤を再利用することができる。
【0075】
[スカンジウム回収工程]
スカンジウム回収工程S5は、溶媒抽出工程S4における抽出処理にて得られた抽出残液、及び、スクラビング処理を行った場合にはそのスクラビング後の洗浄後液から、スカンジウムを回収する工程である。
【0076】
スカンジウム回収方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、スカンジウムを含有する抽出残液にアルカリを添加して中和して水酸化スカンジウムの沈殿物として回収する方法や、抽出残液にシュウ酸を添加してシュウ酸塩の沈殿物として回収する方法(シュウ酸塩化処理)を用いることができる。その中でも、シュウ酸塩化処理を用いた方法によれば、より一層効果的に不純物を分離することができ好ましい。
【0077】
シュウ酸塩化処理を用いた回収方法では、抽出残液にシュウ酸を加えることによりシュウ酸スカンジウムの沈殿物を生成させ、その後、シュウ酸スカンジウムを乾燥し、焙焼することにより酸化スカンジウムとして回収する。なお、シュウ酸塩化処理では、シュウ酸溶液を収容した反応槽に抽出残液を添加することでシュウ酸スカンジウムの沈殿物を生成させてもよい。
【0078】
焙焼処理は、シュウ酸塩化処理により得られたシュウ酸スカンジウムの沈殿物を水で洗浄し、乾燥させた後に、焙焼する処理である。この焙焼処理を経ることで、スカンジウムを極めて高純度な酸化スカンジウムとして回収することができる。焙焼処理条件は、特に限定されないが、例えば管状炉に入れて約900℃で2時間程度加熱すればよい。
【実施例
【0079】
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明をこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0080】
[実施例1]
ニッケル酸化鉱石を高圧酸処理に付す湿式製錬工程S1におけるニッケル回収工程(硫化工程)S14で得られた硫化後液を、イミノジ酢酸が官能基であるキレート樹脂のイオン交換樹脂に2500リットル通液し、硫化後液中のスカンジウムや他の不純物をイオン交換樹脂に吸着させ、その後、オン交換樹脂から0.5規定の硫酸溶液を用いてスカンジウムを溶離させてスカンジウム溶離液を得た(イオン交換処理工程S2)。
【0081】
次に、スカンジウム溶離液を反応容器内に収容し、そのスカンジウム溶離液に対して5%に希釈した水酸化ナトリウム溶液を添加し、溶液のpHが5.0~5.6となるように中和処理を施した(濃縮工程S3)。このとき、中和処理に際しては、反応容器内に収容したスカンジウム溶離液の液面に向かって窒素ガスを吹き付けた。また加えて、スカンジウム溶離液の内部(液内)に吹込み管を通じて窒素ガスを吹き込んだ。これにより、液面を窒素ガスによってシールし、空気中に含まれる酸素が接触しないようにした。
【0082】
下記表1に示すそれぞれのpH条件となるまで中和が進行したら、サンプルを採取して濾過し、その中和処理により得られた水酸化スカンジウムの沈殿物をICPで分析して、マンガン(Mn)/スカンジウム(Sc)比率(重量%比)を調査した。表1に、中和処理におけるpH条件と、各条件で得られた水酸化スカンジウムのMn/Sc比の分析結果を示す。
【0083】
【表1】
【0084】
その結果、表1に示されるように、マンガン/スカンジウム比が極めて低い水酸化スカンジウムの沈澱物を得ることができた。このことは、中和処理において、窒素ガスを液面に吹き付ける等の処理を行ったことにより、スカンジウム溶離液の液面をその窒素ガスでシールすることができ、空気との接触を妨げることができたため、溶離液中のマンガンの酸化を防ぐことができたことによると考えられる。また、少なくともpH5.6以下の条件で中和処理を行うことで、マンガン/スカンジウム比はほとんど一定で低い値となる、すなわち、マンガンが増加しないことが確認された。
【0085】
ここで、各pHで中和した水酸化スカンジウム沈殿物を酸で溶解し(濃縮工程S3)、得られたスカンジウム溶解液を、公知の溶媒抽出処理に付し(溶媒抽出工程S4)、その後回収された抽出残液に基づいて最終製品の酸化スカンジウムを製造した(スカンジウム回収工程S5)。そして、製造した酸化スカンジウムに基づいてICPによりマンガン品位を分析した。
【0086】
その結果、最もマンガン/スカンジウム比が高いpH5.60の条件で中和処理を行って得られたものから製造した酸化スカンジウムであっても、そのマンガン品位は規格上限値の50ppmを十分に下回ることが確認された。すなわち、不純物元素であるマンガンが十分に除去された、高純度の酸化スカンジウムであった。
【0087】
[比較例1]
比較例1では、濃縮工程S3における中和処理にて、スカンジウム溶離液の液面に窒素ガスを吹きつける処理や液内に窒素ガスを吹き込む処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
【0088】
そして、下記表2に示すそれぞれのpH条件となるまで中和が進行したら、サンプルを採取して濾過し、その中和処理により得られた水酸化スカンジウムの沈澱物をICPで分析して、マンガン(Mn)/スカンジウム(Sc)比率(重量%比)を調査した。
【0089】
【表2】
【0090】
その結果、表2に示されるように、pHが上昇するに伴ってマンガンの酸化による沈澱物が生じ、水酸化スカンジウムの沈殿物のMn/Sc比は高くなった。また、この各pH条件で得られた水酸化スカンジウムを用い、実施例1と同様にして酸化スカンジウムを製造すると、いずれの酸化スカンジウムにおいてもそのマンガン品位は規格上限値の50ppmを超えるものであった。
【0091】
なお、図2は、実施例1と比較例1における各pH条件(中和処理条件)にて得られた水酸化スカンジウム沈澱物のMn/Sc比の分析結果を示すグラフ図である。
図1
図2