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特許7338552安全帯取付用単管パイプ吊具、安全帯取付アタッチメント
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  • 特許-安全帯取付用単管パイプ吊具、安全帯取付アタッチメント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】安全帯取付用単管パイプ吊具、安全帯取付アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
A62B35/00 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020087229
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021180733
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】北村 建一
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-151163(JP,U)
【文献】特開2009-279392(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0345057(US,A1)
【文献】実開昭52-100400(JP,U)
【文献】実開平2-149050(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0156944(US,A1)
【文献】米国特許第5297651(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の単管パイプに連結させ、安全帯を取付ける安全帯取付用単管パイプを吊下げるための吊具であって、
下面にスリットが形成された角筒により構成され、該角筒の内部に2本の前記安全帯取付用単管パイプを並列に保持する保持部と、
前記保持部の上面に接続され、前記既設の単管パイプに連結させる連結部と、
を備える、安全帯取付用単管パイプ吊具。
【請求項2】
複数の当該吊具を、
前記連結部を介して前記既設の単管パイプに所定の間隔をあけて連結させ、
前記安全帯取付用単管パイプを前記保持部の内部に挿入させて用いられる、
請求項1に記載の安全帯取付用単管パイプ吊具。
【請求項3】
前記連結部は、その先端部にクランプが設けられ、
前記クランプを介して前記既設の単管パイプに連結固定される、
請求項1又は2に記載の安全帯取付用単管パイプ吊具。
【請求項4】
前記保持部には、その内部の上面角部に、挿入される前記安全帯取付用単管パイプの浮き上がりを止めるための止め部材が設けられている、
請求項1乃至3のいずれかに記載の安全帯取付用単管パイプ吊具。
【請求項5】
前記保持部におけるスリットには、その端部から該保持部の内部に向かって立ち上がり、挿入される前記安全帯取付用単管パイプを支持する支持部材が形成されている、
請求項1乃至4のいずれかに記載の安全帯取付用単管パイプ吊具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の安全帯取付用単管パイプ吊具に吊下げられた前記安全帯取付用単管パイプに安全帯を取付けるための安全帯取付アタッチメントであって、
板状体と、
前記板状体の一方の面の略中央部分に端部が接続される棒状体と、
前記棒状体の他方の端部に接続されるリング状部材と、を備え、
前記リング状部材に安全帯のフックを係止させて用いられる、
安全帯取付アタッチメント。
【請求項7】
前記棒状体を、前記吊具に吊下げられる2本の前記安全帯取付用単管パイプにより形成される隙間に挿入し、該安全帯取付用単管パイプ上に前記板状体を載せて用いられる、
請求項6に記載の安全帯取付アタッチメント。
【請求項8】
前記板状体は、長方形状又は正方形状を有し、
前記板状体の一方の辺の長さは、前記吊具を構成する前記保持部内に挿入され保持された2本の前記安全帯取付用単管パイプの断面における中心間の長さ以上であり、かつ該保持部の幅の長さ未満である、
請求項6又は7に記載の安全帯取付アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクローリー等の車両の上部で作業を行う際に既設の単管パイプに安全帯を取付けるために使用される、安全帯取付用単管パイプ吊具、及びその安全帯取付用単管パイプ吊具に吊下げられる安全帯取付用単管パイプに取付けられる安全帯取付アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
タンクローリー等の車両の上部や建設工事等での足場が組まれた高所での作業においては、作業者が転落する等の災害を防止するため、作業者は安全帯を付けて、上部から吊下げられた既設パイプ等の設備に安全帯のフックを取付けた状態で作業を行うようにしている(特許文献1参照)。このように、現場作業者は、車両や足場から転落等しないように安全帯を付け、不安定な場所や高所での安全な作業を可能にしている。
【0003】
さて、作業現場に設置される既設の単管パイプには、種々のものがあり、例えば上述したような上部から吊下げられた支柱が所定の間隔でパイプ上に接続されているものがある。このような既設の単管パイプの場合、作業者が安全帯フックを取付けて、移動を伴う作業を行うとき、支柱が接続されていない箇所では既設の単管パイプに沿って安全帯フックを取付けたままの状態で移動可能であるものの、支柱が接続されている箇所では、一旦安全帯フックを取外し、その支柱の接続箇所を超えた位置に再度取付け直して移動することが必要となる。
【0004】
このように、上部から支柱を介して吊下げられる既設の単管パイプに安全帯フックを取付けて作業を行う場合は、スムーズな移動ができなくなるだけでなく、安全帯フックを一旦取外す作業を伴うため、十分な安全性を担保することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-208626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えば所定の間隔で上方から複数の支柱が接続された既設の単管パイプが設けられている現場において、安全帯を有効に取付けたままで、作業場所での効率的な作業を可能にし、安全性を確保しさらに向上させることができるようにする新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造からなる安全帯取付用単管パイプ吊具を既設の単管パイプに連結させ、その安全帯取付用単管パイプを介して2本の安全帯取付用単管パイプを吊下げ、そして吊下げた2本の安全帯取付用単管パイプに、特定の構造からなる安全帯取付アタッチメントを取付けることで、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)本発明の第1の発明は、既設の単管パイプに連結させ、安全帯を取付ける安全帯取付用単管パイプを吊下げるための吊具であって、下面にスリットが形成された角筒により構成され、該角筒の内部に2本の前記安全帯取付用単管パイプを並列に保持する保持部と、前記保持部の上面に接続され、前記既設の単管パイプに連結させる連結部と、を備える、安全帯取付用単管パイプ吊具である。
【0009】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、複数の当該吊具を、前記連結部を介して前記既設の単管パイプに所定の間隔をあけて連結させ、前記安全帯取付用単管パイプを前記保持部の内部に挿入させて用いられる、安全帯取付用単管パイプ吊具である。
【0010】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記連結部は、その先端部にクランプが設けられ、前記クランプを介して前記既設の単管パイプに連結固定される、安全帯取付用単管パイプ吊具である。
【0011】
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記保持部には、その内部の上面角部に、挿入される前記安全帯取付用単管パイプの浮き上がりを止めるための止め部材が設けられている、安全帯取付用単管パイプ吊具である。
【0012】
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記保持部におけるスリットには、その端部から該保持部の内部に向かって立ち上がり、挿入される前記安全帯取付用単管パイプを支持する支持部材が形成されている、安全帯取付用単管パイプ吊具である。
【0013】
(6)本発明の第6の発明は、第1乃至第5のいずれかに記載の安全帯取付用単管パイプ吊具に吊下げられた前記安全帯取付用単管パイプに安全帯を取付けるための安全帯取付アタッチメントであって、板状体と、前記板状体の一方の面の略中央部分に端部が接続される棒状体と、前記棒状体の他方の端部に接続されるリング状部材と、を備え、前記リング状部材に安全帯のフックを係止させて用いられる、安全帯取付アタッチメントである。
【0014】
(7)本発明の第7の発明は、第6の発明において、前記棒状体を、前記吊具に吊下げられる2本の前記安全帯取付用単管パイプにより形成される隙間に挿入し、該安全帯取付用単管パイプ上に前記板状体を載せて用いられる、安全帯取付アタッチメントである。
【0015】
(8)本発明の第8の発明は、第6又は第7の発明において、前記板状体は、長方形状又は正方形状を有し、前記板状体の一方の辺の長さは、前記吊具を構成する前記保持部内に挿入され保持された2本の前記安全帯取付用単管パイプの断面における中心間の長さ以上であり、かつ該保持部の幅の長さ未満である、安全帯取付アタッチメントである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば所定の間隔で上方から複数の支柱が接続された既設の単管パイプが設けられている現場においても、安全帯を有効に取付けたままで、作業場所での効率的な作業を可能にし、安全性を確保しさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】安全帯取付用単管パイプ吊具の斜視図である。
図2】既設の単管パイプの一部に2つの吊具を用いて安全帯取付用単管パイプを吊下げるときの使用状態の一例を示す図である。
図3】安全帯取付用単管パイプ吊具の側面図である。
図4】安全帯取付アタッチントの斜視図である。
図5】既設の単管パイプに安全帯取付用単管パイプ吊具を介して吊下げられる安全帯取付用単管パイプに安全帯取付アタッチメントを取付けたときの使用状態を示す図である。
図6】安全帯取付アタッチメントの側面図である。
図7】安全帯取付アタッチメントの使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」ともいう)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0019】
≪1.安全帯取付用単管パイプ吊具≫
本実施の形態に係る安全帯取付用単管パイプ吊具(以下、単に「吊具」ともいう)は、既設の単管パイプに連結させ、安全帯を取付ける安全帯取付用単管パイプを吊下げるための吊具である。
【0020】
既設パイプとは、タンクローリー等の車両の上部や足場が組まれた高所で作業を行う際に墜落事故防止のために設置された既設のパイプであり、作業者は安全帯をその既設パイプに取付けた上で作業を行う。特に、その既設パイプは、例えば上方から吊下げられた支柱が所定の間隔で接続されているものである。なお、既設パイプの径等の大きさとしては、特に限定されないが、例えば直径27.2mm(20A)~89.1mm(80A)程度の一般的な大きさのパイプとすることができる。
【0021】
従来、上述のような高所での作業においては、既設パイプに直接、安全帯に設けられたフック(安全帯フック)を係止させていた。ところが、既設パイプには、所定の間隔で上方から吊下げられた支柱が接続されており、既設パイプに安全帯フックを係止させたままの状態で移動したときには、その支柱の箇所で都度安全帯フックを取外して、支柱を超えた箇所で新たに係止させて取付けるといった操作が必要となっていた。
【0022】
本実施の形態に係る安全帯取付用単管パイプ吊具は、そのような既設の単管パイプに連結させて、2本の単管パイプ(安全帯取付用単管パイプ)を吊下げるために用いられる。そして、この吊具に吊下げられる2本の安全帯取付用単管パイプに、後述する安全帯取付アタッチメントを介して安全帯が取付けられる。
【0023】
<1-1.安全帯取付用単管パイプ吊具の構成>
図1は、本実施の形態に係る安全帯取付用単管パイプ吊具の一例を示す斜視図である。また、図2は、2つの当該吊具を用いて安全帯取付用単管パイプを吊下げるときの使用状態の一例を示す図である。
【0024】
図1に示すように、安全帯取付用単管パイプ吊具(単に「吊具」)1は、角筒により構成される保持部11と、保持部11の上面11uに接続される連結部12と、を備える。この安全帯取付用単管パイプ吊具1は、図2に示すように、保持部11においてその角筒の内部に2本の安全帯取付用単管パイプ30(30a,30b)を並列に保持し、連結部12により既設の単管パイプ5に連結させる。
【0025】
このように、安全帯取付用単管パイプ吊具1においては、複数の当該吊具1を、連結部12を介して既設の単管パイプ5に所定の間隔をあけて連結させ、安全帯取付用単管パイプ30a,30bを保持部11の内部に挿入させて用いられる。これにより、安全帯取付用単管パイプ30a,30bを既設の単管パイプ5の設置位置に沿って吊下げる。
【0026】
[保持部]
保持部11は、吊下げる安全帯取付用単管パイプ30を保持するための部材である。保持部11は、角筒形状の構造体により構成され、その角筒の内部に2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bを並列に保持する。
【0027】
保持部11を構成する角筒の下面には、スリット11sが形成されている。スリット11sは、その角筒の内部に挿入される2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bの軸方向に平行に、角筒の一方の端部から他方の端部に亘って形成されている。また、スリット11sは、角筒の幅(幅方向)における略中央位置に形成されている。なお、保持部11を構成する角筒の「幅(幅方向)」とは、角筒の内部に挿入される安全帯取付用単管パイプ30の軸方向に対して垂直な方向の長さ(その方向)をいう。
【0028】
詳しくは後述するが、スリット11sは、2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bに取付けられる安全帯取付アタッチメント2の棒状体22が通過する部位となる。
【0029】
ここで、図3は、安全帯取付用単管パイプ吊具1の側面図である。なお、2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bを保持部11に挿入して保持しているときの状態を示している。図3に示すように、保持部11に形成されたスリット11sには、その端部から保持部11の内部に向かって斜めに立ち上がり、挿入される安全帯取付用単管パイプ30a,30bを支持する支持部材13が形成されていることが好ましい。
【0030】
支持部材13は、角筒からなる保持部11の一方の端部から他方の端部に亘って形成されているスリット11sに沿って形成されている。図3に示すように、支持部材13は、挿入される安全帯取付用単管パイプ30の形状に合わせてスリット11sから斜めに立ち上がっており、その安全帯取付用単管パイプ30を支持している。この支持部材13により、安全帯取付用単管パイプ30がズレを防ぐことができ、保持部11内においてより安定的に保持することができる。
【0031】
また、このように支持部材13が形成されて2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bを安定的に保持できることから、その並列配置される2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bの間に所定の幅の空間(隙間)を形成させることができる。詳しくは後述するが、この隙間が安全帯取付アタッチメント2を構成する棒状体22が挿入される隙間となる。
【0032】
また、図3に示すように、保持部11においては、その内部の上面角部に、挿入される安全帯取付用単管パイプ30の浮き上がりを止めるための止め部材14が設けられていることが好ましい。止め部材14は、保持部11の内部上面角部に接合して設けられ、その止め部材14の一部が挿入される安全帯取付用単管パイプ30に接する大きさとなっている。なお、図3中の「X」で示す箇所で止め部材14と安全帯取付用単管パイプ30とが接している。このように、止め部材14は、安全帯取付用単管パイプ30と接するように形成されていることで、その安全帯取付用単管パイプ30が保持部11内で浮き上がることを防いでいる。これにより、保持部11内において安全帯取付用単管パイプ30をより安定的に保持することができる。
【0033】
止め部材14の材質は、安全帯取付用単管パイプ30の浮き上がりを止めることができれば特に限定されず、ステンレス等の金属製あってもよく、あるいは樹脂やゴム等であってもよい。
【0034】
[連結部]
連結部12は、角筒により構成される保持部11の上面11uに接続され、既設の単管パイプ5に連結させる部材である。この連結部12により、当該安全帯取付用単管パイプ吊具1を介して安全帯取付用単管パイプ30を吊下げることができる。
【0035】
連結部12は、図1図3に示すように、例えば長方形状の板状体により構成することができる。なお、連結部12は、溶接やボルト締め等によって保持部11の上面11uに接続させることができる。
【0036】
また、連結部12には、その先端部にクランプ12Cを設けることができる。連結部12は、そのクランプ12Cを介して既設の単管パイプ5に連結固定される。クランプ12Cを介して既設の単管パイプ5に連結固定することで、より強固に連結させることができ、当該安全帯取付用単管パイプ吊具1が既設の単管パイプ5上でずれ動くことを防ぎ、安定性を向上させることができる。なお、クランプ12Cについては、特に限定されず、公知のものを連結部12の先端部に接続させて設けることができる。
【0037】
<1-2.安全帯取付用単管パイプ吊具の使用状態について>
上述したように、図2は、既設の単管パイプ5の一部を示し、その単管パイプ5の一部に2つの安全帯取付用単管パイプ吊具1を用いて安全帯取付用単管パイプ30を吊下げるときの使用状態の一例を示す図である。
【0038】
既設の単管パイプ5には、所定の間隔で上方から吊下げられた支柱51が接続されており、その単管パイプ5を上部から吊下げている。安全帯取付用単管パイプ吊具1を使用するに際しては、既設の単管パイプ5に接続された支柱51の箇所以外の箇所に、連結部12を連結させる。すると、連結部12を介して保持部11が吊下げられた状態となる。
【0039】
そして、このようにして既設の単管パイプ5に連結された安全帯取付用単管パイプ吊具1における保持部11内に、2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bを挿入して保持することで、安全帯取付用単管パイプ吊具1を介して2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bを安定的に吊下げることができる。
【0040】
≪2.安全帯取付アタッチメント≫
本実施の形態に係る安全帯取付アタッチメント2(図4参照)は、上述した構成を有する安全帯取付用単管パイプ吊具1に吊下げられた安全帯取付用単管パイプ30に安全帯を取付けるためのアタッチメントである。
【0041】
上述したように、高所での作業においては、既設の単管パイプ5に直接、安全帯に設けられたフック(安全帯フック)を係止させていたが、既設の単管パイプ5には、所定の間隔で支柱51が接続されており、安全帯フックを係止させたままの状態で単管パイプ5に沿って移動したときには、その支柱51の箇所で都度安全帯フックを取外して、支柱51を超えた箇所で新たに係止させて取付けるといった操作が必要となっていた。
【0042】
本実施の形態に係る安全帯取付アタッチメント2は、このような従来の作業の不都合を解消するためのものであり、既設の単管パイプ5に安全帯取付用単管パイプ吊具1を介して吊下げられる安全帯取付用単管パイプ30に安全帯フックを安定的に取付けることができる。しかも、既設の単管パイプ5の支柱51の箇所での都度の取外しが不要で、安全性高く効率的に高所作業を行うことを可能にするものである。
【0043】
<2-1.安全帯取付アタッチメントの構成>
図4は、本実施の形態に係る安全帯取付アタッチント2の一例を示す斜視図である。また、図5は、既設の単管パイプ5に安全帯取付用単管パイプ吊具1を介して吊下げられる安全帯取付用単管パイプ30に安全帯取付アタッチメント2を取付けたときの使用状態を示す図である。
【0044】
図4に示すように、安全帯取付アタッチメント2は、板状体21と、板状体21の一方の面の略中央部分に端部が接続される棒状体22と、棒状体22の他方の端部に接続されるリング状部材23と、を備える。
【0045】
この安全帯取付アタッチメント2は、図5に示すように、既設の単管パイプ5に安全帯取付用単管パイプ吊具1を介して吊下げられた、2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bにより形成される隙間に、その棒状体22を挿入して、安全帯取付用単管パイプ30a,30b上に板状体21を載せて用いられる。また、安全帯取付アタッチメント2においては、そのリング状部材23に安全帯のフックが係止される(図7も参照)。
【0046】
[板状体]
板状体21は、長方形状又は正方形状を有する板状の部材であり、2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bの上に載せて用いられる部材である。
【0047】
このように、板状の構造体である板状体21を備えることで、2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bの隙間に、後述する棒状体22を挿入させて安全帯取付アタッチメント2を取付けたときに、その板状体21が物理的な障害となって、安全帯取付用単管パイプ30から脱落することを防ぐことができる(図6も参照)。これにより、安全帯取付アタッチメント2を介して安全帯を安定的に取付けることができる。
【0048】
ここで、図6は、安全帯取付アタッチメント2の側面図である。なお、安全帯取付アタッチメント2を安全帯取付用単管パイプ吊具1により吊下げられた2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bに取付けたときの状態を示している。
【0049】
図6に示すように、板状体21の一方の辺の長さ(L1)は、安全帯取付用単管パイプ吊具1を構成する保持部11内に挿入され保持された2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bの断面における中心間の長さ(L2)以上であり、かつ保持部11の幅の長さ(W)未満である。すなわち、板状体21の一方の辺の長さ(L1)は、L2≦L1<Wの関係を満たす。なお、板状体21の一方の辺とは、図5、6に示すように、例えば、安全帯取付用単管パイプ30の軸方向に対して垂直な方向の辺をいう。
【0050】
このように、板状体21の一方の辺の長さ(L1)が、上述した関係を満たす長さであることにより、2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bの隙間に安定的に安全帯取付アタッチメント2を取付けることができる。また、2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bの隙間に沿って安全帯取付アタッチメント2を移動させたとき、安全帯取付用単管パイプ吊具1の保持部11の部分においてもスムーズに通過することができ、作業者の効率的な移動を可能にする。
【0051】
なお、安全帯取付用単管パイプ吊具1の保持部11において、その内部の上面角部に止め部材14が設けられている場合には、板状体21の一方の辺の長さ(L1)は、2つの角部に設けられたそれぞれの止め部材14a,14bの間隔の長さ(S)未満となる。すなわち、板状体21の一方の辺の長さ(L1)は、L2≦L1<Sの関係を満たす。
【0052】
[棒状体]
棒状体22は、例えば円柱状等の棒状の構造体であり、板状体21の一方の面の略中央部分に端部が接続されて備えられる。なお、棒状体22は、溶接等によって板状体21の面に接合される。
【0053】
図5図6に示すように、棒状体22は、安全帯取付用単管パイプ吊具1により吊下げられた2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bによって形成される隙間にその上方から挿入され、これにより安全帯取付アタッチメント2が取付けられる。なお、このように安全帯取付アタッチメント2が取付けられた状態では、棒状体22の先端部が接続した板状体21の面が、安全帯取付用単管パイプ30a,30bの上に載るようになる。
【0054】
ここで、上述したように、安全帯取付用単管パイプ吊具1の保持部11を構成する角筒の下面にはスリット11sが形成されている。このスリット11sは、保持部11に挿入され保持される2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bの軸方向に平行に形成されている。したがって、安全帯取付アタッチメント2の棒状体22を2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bの隙間に挿入して取付け、隙間に沿って安全帯取付アタッチメント2を移動させたとき、保持部11の部分ではスリット11sに沿って棒状体22の部分が通過するようになる。
【0055】
[リング状部材]
リング状部材23は、棒状体22の他方の端部に接続されるリング状の部材である。リング状部材23には、安全帯のフックが係止される。なお、リング状部材23が接続される棒状体22の他方の端部とは、板状体21が接続される棒状体22の端部とは反対側の端部をいう。
【0056】
<2-2.安全帯取付アタッチメントの使用状態について>
上述したように、安全帯取付アタッチメント2は、板状体21と、板状体21の一方の面の略中央部分に端部が接続される棒状体22と、棒状体22の他方の端部に接続されるリング状部材23と、を備えており、リング状部材23に安全帯のフックを係止させて用いられる。
【0057】
図7は、このような構成を有する安全帯取付アタッチメント2の使用状態を示す図である。図7に示すように、まず、既設の単管パイプ5に安全帯取付用単管パイプ吊具1を連結させ、その安全帯取付用単管パイプ吊具1を介して2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bを吊下げる。次に、吊下げた2本の安全帯取付用単管パイプ30a,30bにより形成される隙間に、安全帯取付アタッチメント2の棒状体22を挿入させることにより安全帯取付アタッチメント2を取付ける。そして、安全帯取付アタッチメント2のリング状部材23に安全帯のフックHを係止させる。
【0058】
ここで、例えば、タンクローリー等の車両の上部や足場が組まれた高所で作業を行う際には、連続的に設けられた既設の単管パイプ5に沿って、作業者が移動して作業するようになる。そのため、作業者は、図7に示すような状態を維持して、安全帯取付アタッチメント2を安全帯取付用単管パイプ30a,30bに沿ってスライドさせながら移動することになる。
【0059】
既設の単管パイプ5には所定の間隔で支柱51が設けられているが、作業者に装着される安全帯はその既設の単管パイプ5に直接的に取付けられるのではなく、安全帯取付用単管パイプ30a,30bに安全帯取付アタッチメント2を介して取付けられる。したがって、従来のように、既設の単管パイプ5の支柱51の箇所で都度安全帯を取外すといった操作が不要となる。
【0060】
また、その安全帯取付用単管パイプ30a,30bは、既設の単管パイプ5に連結された複数の安全帯取付用単管パイプ吊具1によって吊下げられていることから、既設の単管パイプ5に沿って位置することになる。そのため、作業者は、安全帯取付アタッチメント2を介して、既設の単管パイプ5に沿った所定の作業通路を通って作業することが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 安全帯取付用単管パイプ吊具
11 保持部
11s スリット
11u 上面
12 連結部
12C クランプ
13 支持部材
14,14a,14b 止め部材
2 安全帯取付アタッチメント
21 板状体
22 棒状体
23 リング状部材
5 既設の単管パイプ
51 支柱
30,30a,30b 安全帯取付用単管パイプ
H 安全帯フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7