(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】しわ改善用組成物およびしわ改善用皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20230829BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20230829BHJP
A61K 36/232 20060101ALI20230829BHJP
A61K 36/355 20060101ALI20230829BHJP
A61K 36/484 20060101ALI20230829BHJP
A61K 36/8994 20060101ALI20230829BHJP
A61K 38/01 20060101ALI20230829BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230829BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230829BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9794
A61K36/232
A61K36/355
A61K36/484
A61K36/8994
A61K38/01
A61P17/00
A61P43/00 121
A61Q19/08
(21)【出願番号】P 2018197701
(22)【出願日】2018-10-19
【審査請求日】2021-09-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100201606
【氏名又は名称】田岡 洋
(72)【発明者】
【氏名】橋井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】屋敷 圭子
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-191498(JP,A)
【文献】特開平06-024937(JP,A)
【文献】特表2012-532098(JP,A)
【文献】特開2006-347907(JP,A)
【文献】特開2006-347903(JP,A)
【文献】特開2006-282654(JP,A)
【文献】特開平08-333275(JP,A)
【文献】Totall All in One Gel, MINTEL GNPD [ONLINE], 2016.05,[検索日 2022.06.29],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra> (Database accession no.3973261),全文(特に「訴求内容」「成分」、製品写真)
【文献】Supple Eye Gel, MINTEL GNPD [ONLINE], 2012.12,[検索日 2022.06.29],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra> (Database accession no.1937507),全文(特に「訴求内容」「成分」)
【文献】Vegetal Multi-Perfection Eye Cream, MINTEL GNPD [ONLINE], 2012.09,[検索日 2022.06.29],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra> (Database accession no.1889704),全文(特に「訴求内容」「成分」)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/9789
A61K 8/64
A61K 8/9794
A61K 36/232
A61K 36/355
A61K 36/484
A61K 36/8994
A61K 38/01
A61P 17/00
A61P 43/00
A61Q 19/08
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘草葉抽出物と、
トウキ抽出物、キンギンカ抽出物、ヨクイニン抽出物および真珠タンパク質加水分解物の4種の
組み合わせと
を組み合わせてな
り、
前記甘草葉抽出物100質量部に対する前記トウキ抽出物の質量割合が、30質量部以上、70質量部以下であり、
前記甘草葉抽出物100質量部に対する前記キンギンカ抽出物の質量割合が、5質量部以上、30質量部以下であり、
前記甘草葉抽出物100質量部に対する前記ヨクイニン抽出物の質量割合が、0.5質量部以上、10質量部以下であり、
前記甘草葉抽出物100質量部に対する前記真珠タンパク質加水分解物の質量割合が、3質量部以上、30質量部以下である
しわ改善用組成物を
、0.004~0.1質量%含有することを特徴とするしわ改善用皮膚化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然物由来成分を組み合わせてなるしわ改善用組成物、および当該組成物を含有するしわ改善用皮膚化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚の表皮および真皮は、表皮細胞、線維芽細胞ならびにこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン、エラスチン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては線維芽細胞の増殖は活発であり、線維芽細胞、細胞外マトリックス成分等の皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶がある状態に維持される。
【0003】
ところが、紫外線の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲン、エラスチン等の産生量が減少するとともに、分解や変質を引き起こす。その結果、皮膚の柔軟性や弾力性が低下し、肌は張りや艶を失い、しわ等の老化症状を呈するようになる。
【0004】
しわの形成を抑制する成分や、しわを改善する成分として、多種多様なものが提案されているが(例えば、特許文献1~2参照)、新たな有効成分に対する需要は依然として大きいのが現状である。このような中、しわ改善評価の基準化も進められている(非特許文献1~2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平09-255548号公報
【文献】特開2005-008571号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」,日本香粧品学会誌,2006年,vol.30, pp.316-332
【文献】“Guidelines for Evaluation of Anti-wrinkle products”,日本香粧品学会誌,2007年,vol.31, pp.411-431
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、しわ改善作用に優れた新規な組成物、および当該組成物を含有する抗老化用皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討した結果、甘草葉抽出物を、所定の天然物由来成分と組み合わせることで、しわ改善作用により一層優れたものとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
具体的には、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 甘草葉抽出物と、
トウキ抽出物、キンギンカ抽出物、ヨクイニン抽出物および真珠タンパク質加水分解物の4種のうち少なくとも1種と
を組み合わせてなることを特徴とするしわ改善用組成物。
〔2〕 前記トウキ抽出物、前記キンギンカ抽出物、前記ヨクイニン抽出物および前記真珠タンパク質加水分解物の4種を組み合わせることを特徴とする〔1〕に記載のしわ改善用組成物。
〔3〕 〔1〕または〔2〕に記載のしわ改善用組成物を含有することを特徴とするしわ改善用皮膚化粧料。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、甘草葉抽出物を所定の天然物由来成分と組み合わせることにより、しわ改善作用に優れた新規な組成物、および当該組成物を含有する抗老化用皮膚化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の一実施形態に係るしわ改善用組成物は、甘草葉抽出物と、トウキ抽出物、キンギンカ抽出物、ヨクイニン抽出物および真珠タンパク質加水分解物の4種のうち少なくとも1種とを組み合わせてなるものである。
また、本発明の他の一実施形態に係るしわ改善用皮膚化粧料は、上記しわ改善用組成物を含有するものである。
【0012】
ここで、本実施形態において「抽出物」には、上記植物を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、またはこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0013】
本実施形態に係るしわ改善用組成物は、必須成分である甘草葉抽出物の作用を利用して、しわ改善効果を発揮することができる。
本発明者らは、甘草葉抽出物の有効性をより高めるべく、甘草葉抽出物と組み合わせる有効成分を探索した結果、トウキ抽出物、キンギンカ抽出物、ヨクイニン抽出物および真珠タンパク質加水分解物の4種のうち少なくとも1種と組み合わせることにより、甘草葉抽出物によるしわ改善効果をより効果的に発揮させることができることを見出し、本実施形態の構成に至ったものである。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
【0014】
〔甘草葉抽出物,トウキ抽出物,キンギンカ抽出物,ヨクイニン抽出物の製造〕
本実施形態において、甘草葉抽出物、トウキ抽出物、キンギンカ抽出物およびヨクイニン抽出物を製造するために使用する抽出原料は、甘草、トウキ(学名:Angelica acutiloba Kitagawa)、キンギンカ(学名:Lonicera japonica Thunberg.)、およびヨクイニン(生薬名)である。
【0015】
甘草は、マメ科グリチルリーザ(Glycyrrhiza)属に属する多年生草本である。甘草には、グリチルリーザ・グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチルリーザ・インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチルリーザ・ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、グリチルリーザ・アスペラ(Glychyrrhiza aspera)、グリチルリーザ・ユーリカルパ(Glychyrrhiza eurycarpa)、グリチルリーザ・パリディフロラ(Glychyrrhiza pallidiflora)、グリチルリーザ・ユンナネンシス(Glychyrrhiza yunnanensis)、グリチルリーザ・レピドタ(Glychyrrhiza lepidota)、グリチルリーザ・エキナタ(Glychyrrhiza echinata)、グリチルリーザ・アカンソカルパ(Glychyrrhiza acanthocarpa)等、様々な種類のものがあり、これらのうち、いずれの種類の甘草を抽出原料として使用してもよいが、特にグリチルリーザ・グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチルリーザ・ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、およびグリチルリーザ・インフラータ(Glychyrrhiza inflata)を抽出原料として使用することが好ましい。
【0016】
本実施形態において、抽出原料として使用する甘草の構成部位は、葉部である。ここで、甘草は、その根部が古代より薬用または甘味料の原料として利用され、グリチルリチンその他の有用成分が含有されていることが知られており、一般に「甘草」といえばその根部を指す。しかし、本実施形態においては、根部を利用した後の残部に着目した結果、甘草の葉部からの抽出物を用いることとしたものである。なお、根部に含まれるグリチルリチンその他の有用成分は、甘草の葉部には含有されていない。
【0017】
トウキ(Angelica acutiloba Kitagawa)は、日本原産の植物であるセリ科シシウド属に属する多年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るトウキの構成部位としては、例えば、葉部、茎部、花部、果実部、根部、根茎部、地上部、またはこれらの混合物が挙げられるが、好ましくは根部である。
【0018】
キンギンカ(Lonicera japonica Thunberg.,別名:スイカズラ)は、スイカズラ科スイカズラ属に属する常緑つる性木本であり、日本全国、東アジア一帯等に自生しており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、花部、蕾部、果実部、果皮部、果核部、地上部、全草またはこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部、茎部、花部または蕾部である。
【0019】
ヨクイニン(生薬名)は、ハトムギ(学名:Coix lachrymal-jobi L.)の種子部である。ハトムギは、中国、インドシナ地方原産の植物であって、日本では西南部の暖地で栽培されているイネ科ジュズダマ属に属する一年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。ヨクイニンは、従来、利水滲湿、清熱、排膿、除痺、健脾止痛等の用途に用いられている。
【0020】
上記植物からの抽出物は、抽出原料を乾燥した後、そのまま、または粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0021】
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用することが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて、室温または溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
【0022】
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0023】
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール等が挙げられる。
【0024】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を抽出溶媒として使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比が9:1~1:9(容量比)であることが好ましく、7:3~2:8(容量比)であることがさらに好ましい。また、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族ケトンとの混合比が9:1~2:8(容量比)であることが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水と多価アルコールとの混合比が5:5~1:9(容量比)であることが好ましい。
【0025】
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温または還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
【0026】
以上のようにして得られる甘草葉抽出物、トウキ抽出物、キンギンカ抽出物およびヨクイニン抽出物は、所定の組み合わせにより(さらに好ましくは、後述する真珠タンパク質加水分解物との組み合わせにより)、優れたしわ改善作用を有するため、しわ改善用組成物に用いることができる。
【0027】
〔真珠タンパク質加水分解物の製造〕
本実施形態において用いる真珠タンパク質加水分解物は、真珠層を有する貝の貝殻および/または真珠を脱灰処理に付し、これにより得られる真珠タンパク質(コンキオリン)を加水分解してなるものである。
【0028】
真珠層を有する貝としては、例えば、ウグイスガイ科に属するアコヤ貝(学名:Pinctada fucata);イガイ科に属するイガイ(学名:Mytilus coruscum)、ムラサキイガイ(学名:Mytilus edulis);イシガイ科に属するイケチョウガイ(学名:Hyriopsis schlegelii)、カラスガイ(学名:Cristaria plicata)等が挙げられ、これらのうちアコヤ貝を用いるのが好ましい。
【0029】
真珠層を有する貝の貝殻および/または真珠は、そのまま、または粉砕して脱灰処理に付せられる。貝殻および/または真珠の脱灰処理は、常法により行えばよく、例えば、貝殻および/または真珠に酸またはその水溶液を添加して攪拌する。
脱灰処理に使用し得る酸としては、貝殻および/または真珠に含まれる炭酸カルシウム等の無機成分を十分に溶出させ得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸;シュウ酸、炭酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、酢酸、ギ酸等の有機酸等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上の混酸を使用してもよい。
酸またはその水溶液の添加量は、貝殻および/または真珠に含まれる炭酸カルシウム等の無機成分を十分に溶出させ得る量であればよく、使用する酸の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0030】
脱灰処理により得られた処理液を遠心分離、濾過、デカンテーション等の固液分離手段に付して不溶物を回収し、必要に応じて回収した不溶物に精製水を添加して再度遠心分離、濾過等の洗浄操作を繰り返し、不溶物を回収する。そして、得られる不溶物を、所望により粉砕機等を用いて微粉砕し、常法により乾燥して真珠タンパク質(コンキオリン)を得ることができる。
【0031】
そして、得られた真珠タンパク質(コンキオリン)を酸またはアルカリの水溶液を用いて加水分解する。
真珠タンパク質(コンキオリン)の加水分解処理に使用し得る酸としては、例えば、塩酸、硫酸等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
また、真珠タンパク質(コンキオリン)の加水分解処理に使用し得るアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0032】
酸またはアルカリの水溶液を使用して加水分解する場合、酸またはアルカリの水溶液の添加量や当該水溶液における酸またはアルカリの濃度は、貝殻および/または真珠に含まれる真珠タンパク質(コンキオリン)を加水分解し得るが、完全にアミノ酸にまで分解し得ない量であればよく、使用する酸またはアルカリの種類等に応じて当該水溶液の添加量や当該水溶液における酸またはアルカリの濃度を適宜変更することができる。
また、加水分解処理は、0~130℃、好ましくは50~110℃の温度条件の下、30分~10日間程度、好ましくは5時間~5日間程度行うことができる。
【0033】
このようにして加水分解処理により得られた溶液から酸またはアルカリを除去し、必要に応じて限外濾過処理に付して高分子ペプタイドを除去し、さらに濃縮、乾燥等の処理に付することで、真珠タンパク質加水分解物を得ることができる。
酸またはアルカリは、加水分解処理により得られた溶液から常法により除去することができ、例えば、凍結乾燥、溶液中の酸またはアルカリを中和して脱塩する方法等が挙げられる。
【0034】
以上のようにして得られる真珠タンパク質加水分解物は、甘草葉抽出物との組み合わせにより(さらに好ましくは、トウキ抽出物、キンギンカ抽出物およびヨクイニン抽出物との組み合わせにより)、優れたしわ改善作用を有するため、しわ改善用組成物に用いることができる。
【0035】
〔しわ改善用組成物〕
本実施形態に係るしわ改善用組成物は、甘草葉抽出物と、トウキ抽出物、キンギンカ抽出物、ヨクイニン抽出物および真珠タンパク質加水分解物の4種のうち少なくとも1種とを組み合わせてなるものである(以下、「天然物由来成分の混合物」ということがある)。
本実施形態のしわ改善用組成物は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の幅広い用途に使用することができる。
【0036】
しわは、皮膚の柔軟性や弾力性の低下が要因となって形成されるが、皮膚の柔軟性や弾力性の低下は、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンやエラスチン等の産生量の減少、これらの分解や変質が重要な要因となっている。なかでも、真皮の主要構成物質であるI型コラーゲンの減少は、皮膚の柔軟性や弾力性の低下、ひいてはしわの形成と密接に関わっている。
これに対し、本実施形態に係るしわ改善用組成物は、甘草葉抽出物を必須成分としている。甘草葉抽出物は、皮膚線維芽細胞に対し優れたI型コラーゲン産生促進作用を有しており、さらに皮膚線維芽細胞の増殖促進作用、保湿・バリア機能向上作用、抗酸化作用をも有している。本実施形態においては、かかる甘草葉抽出物のI型コラーゲン産生促進作用等が、しわ改善効果に寄与しているものと認められる。
そして、本実施形態においては、トウキ抽出物、キンギンカ抽出物、ヨクイニン抽出物および真珠タンパク質加水分解物の4種のうち少なくとも1種を、甘草葉抽出物と組み合わせることにより、甘草葉抽出物の有効性が顕著に向上し、しわ改善効果に特に優れた組成物とすることができる。
【0037】
トウキ抽出物は、クローディン-1やインボルクリン等の基底膜成分の産生を促進する作用を有しており、さらに皮膚線維芽細胞の増殖促進作用、保湿・バリア機能向上作用、タンパク質抗糖化作用をも有している。
ここで、基底膜は、表皮と真皮との境界部に存在し両者を繋ぎ止めるだけでなく、皮膚機能の維持に重要な役割を果たしている。基底膜成分の減少や基底膜の構造変化が起こると、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、しわ形成の一因となる。
本実施形態においては、甘草葉抽出物により産生促進されたI型コラーゲンにより真皮の機能が改善されるとともに、トウキ抽出物により産生促進された基底膜成分により基底膜の機能が改善され、皮膚の柔軟性や弾力性が向上することで、しわ改善効果が相乗的に発揮されるものと考えられる。
トウキ抽出物を甘草葉抽出物と組み合わせる場合、しわ改善効果を相乗的に発揮させやすくする観点から、甘草葉抽出物100質量部に対するトウキ抽出物の質量割合は、下限値が30質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることが特に好ましい。また、上記トウキ抽出物の質量割合は、上限値が70質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、天然物由来成分の質量割合はいずれも固形分換算である。
【0038】
キンギンカ抽出物は、抗酸化作用を有しており、さらにタンパク質抗糖化作用をも有している。このため、キンギンカ抽出物を甘草葉抽出物と組み合わせると、甘草葉抽出物により産生促進されたI型コラーゲンは、酸化や糖化による変性を受けにくくなり、しわ改善効果がより顕著に発揮されるものと認められる。
キンギンカ抽出物を甘草葉抽出物と組み合わせる場合、しわ改善効果をより顕著に発揮させる観点から、甘草葉抽出物100質量部に対するキンギンカ抽出物の質量割合は、下限値が5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることが特に好ましい。また、上記キンギンカ抽出物の質量割合は、上限値が30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることが特に好ましい。
【0039】
ヨクイニン抽出物は、皮膚に対する保湿作用やバリア機能向上作用を有しており、さらにエラスチン産生促進作用も有している。そのため、ヨクイニン抽出物は、皮膚の柔軟性を回復し、また皮膚の恒常性の維持に寄与すると認められる。そして、これらの作用を有するヨクイニン抽出物を甘草葉抽出物と組み合わせることで、甘草葉抽出物によるI型コラーゲン産生促進作用などと相乗的に寄与し、しわ改善作用がより顕著に発揮されるものと考えられる。
ヨクイニン抽出物を甘草葉抽出物と組み合わせる場合、しわ改善効果を相乗的に発揮させやすくする観点から、甘草葉抽出物100質量部に対するヨクイニン抽出物の質量割合は、下限値が0.5質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることが特に好ましい。また、上記ヨクイニン抽出物の質量割合は、上限値が10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることが特に好ましい。
【0040】
真珠タンパク質加水分解物は、抗酸化作用、保湿作用、タンパク質抗糖化作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用等を有しているほか、特に優れたエラスチン産生促進作用を有している。このため、甘草葉抽出物により産生促進されたI型コラーゲンと、真珠タンパク質加水分解物により産生促進されたエラスチンとにより、皮膚(特に真皮)における細胞外マトリックスの構成が回復し、皮膚の柔軟性や弾力性が向上することで、しわ改善効果がより顕著に発揮されるものと考えられる。
真珠タンパク質加水分解物を甘草葉抽出物と組み合わせる場合、しわ改善効果をより顕著に発揮させる観点から、甘草葉抽出物100質量部に対する真珠タンパク質加水分解物の質量割合は、下限値が3質量部以上であることが好ましく、8質量部以上であることが特に好ましい。また、上記真珠タンパク質加水分解物の質量割合は、上限値が30質量部以下であることが好ましく、18質量部以下であることが特に好ましい。
【0041】
甘草葉抽出物と組み合わせる、トウキ抽出物、キンギンカ抽出物、ヨクイニン抽出物および真珠タンパク質加水分解物の4種は、少なくとも1種を甘草葉抽出物と組み合わせればよいが、しわ改善効果をより顕著に発揮させる観点から、2種以上を甘草葉抽出物と組み合わせることが好ましく、4種全てを組み合わせることが特に好ましい。
【0042】
本実施形態のしわ改善用組成物は、上記天然物由来成分の組み合わせのみからなるものでもよいし、当該組み合わせを製剤化したものでもよい。製剤化する場合は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。しわ改善用組成物は、他の組成物(例えば、後述する皮膚化粧料等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
【0043】
本実施形態のしわ改善用組成物を製剤化した場合、当該しわ改善用組成物における、上記天然物由来成分の混合物の合計含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
【0044】
なお、本実施形態のしわ改善用組成物は、必要に応じて、しわ改善作用を有する他の天然抽出物等を、上記天然物由来成分の混合物とともに配合して有効成分として用いることができる。
【0045】
本実施形態のしわ改善用組成物の患者に対する投与方法としては、経皮投与、経口投与等が挙げられ、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択することができるが、経皮投与であることが好ましい。
また、本実施形態のしわ改善用組成物の投与量は、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
【0046】
本実施形態のしわ改善用組成物は、上記天然物由来成分の混合物により相乗的に発揮されるしわ改善作用を通じて、皮膚のしわを改善するとともに、しわの形成を抑制することができ、これにより、しわの形成に基づく皮膚の老化症状を改善することができ、また、しわの形成に基づく皮膚の老化症状を予防または治療することができる。
【0047】
本実施形態のしわ改善用組成物によるしわ改善効果は、例えば、「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」(前述した非特許文献1)や“Guidelines for Evaluation of Anti-wrinkle products”(前述した非特許文献2)(以下、これらを総称して単に「ガイドライン」と称することがある)に準拠した方法により、評価することができる。
より具体的には、本実施形態に係るしわ改善用組成物は、そのしわ改善作用により、しわを小さく、目立たなくすることができ、かかる効果は、例えば、上記ガイドラインに準拠したしわの三次元解析法において、しわ平均深さ、最大しわ平均深さ、最大しわ最大深さ、総しわ体積といったパラメータを減少させる効果として確認することができる。
また、本実施形態に係るしわ改善組成物は、そのしわ改善作用により、肌の表面をなめらかにすることができ、かかる効果は、例えば、上記ガイドラインに準拠したしわの三次元解析法において、Ra値(粗さ曲線の算術平均粗さ)、Ry値(粗さ曲線の最大高さ)といったパラメータを減少させる効果として確認することができる。
本実施形態においては、上記パラメータの中でも、最大しわ平均深さ、総しわ体積、およびRy値(粗さ曲線の最大高さ)の少なくとも1種以上の減少効果を確認できることが特に好ましい。
【0048】
本実施形態のしわ改善用組成物は、優れたしわ改善作用を有するため、例えば、皮膚外用剤に配合するのに好適である。この場合に、配合するしわ改善用組成物は、上記天然物由来成分の混合物をそのまま配合してもよいし、上記天然物由来成分の混合物から製剤化したものを配合してもよい。
【0049】
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、後述する皮膚化粧料のほか、経皮的に使用される医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
【0050】
本実施形態のしわ改善用組成物は、優れたしわ改善作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
【0051】
〔しわ改善用皮膚化粧料〕
上記実施形態に係るしわ改善用組成物は、上記天然物由来成分の混合物の作用に基づく優れたしわ改善作用を発揮するため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。この場合、配合するしわ改善用組成物は、上記天然物由来成分の混合物をそのまま配合してもよいし、上記天然物由来成分の混合物から製剤化したものを配合してもよい。上記しわ改善用組成物を配合することにより、皮膚化粧料をしわ改善用途に好適に用いることができる。
【0052】
上記実施形態のしわ改善用組成物を配合し得る皮膚化粧料の種類は特に限定されるものではなく、例えば、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、ローション、ジェル、美容オイル、パック、ファンデーション等が挙げられる。
【0053】
上記しわ改善用組成物を皮膚化粧料に配合する場合、その配合量は、皮膚化粧料の種類に応じて適宜調整することができる。より好適には、上記天然物由来成分の混合物の固形分に換算した上記しわ改善用組成物の配合量は、下限値が約0.0001質量%以上であることが好ましく、約0.001質量%以上であることがさらに好ましく、約0.004質量%以上であることが特に好ましい。また、上記天然物由来成分の混合物に換算した上記しわ改善用組成物の配合量は、上限値が約10質量%以下であることが好ましく、約1質量%以下であることがさらに好ましく、約0.1質量%以下であることが特に好ましい。
【0054】
上記皮膚化粧料は、上記天然物由来成分の混合物が有するしわ改善作用を妨げない限り、通常の皮膚化粧料の製造に用いられる主剤、助剤またはその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された他の有効成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
【0055】
本実施形態のしわ改善用皮膚化粧料は、上記天然物由来成分の混合物により相乗的に発揮されるしわ改善作用を通じて、皮膚のしわを改善するとともに、しわの形成を抑制することができ、これにより、しわの形成に基づく皮膚の老化症状を改善することができ、また、しわの形成に基づく皮膚の老化症状を予防または治療することができる。
【0056】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0057】
以下、配合例、試験例等を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
【0058】
〔製造例1〕しわ改善用組成物の製造
下記に示す成分を常法により混合し、しわ改善用組成物を調製した。
なお、用いた5種の天然物由来成分は、いずれも丸善製薬社製である。また、これらの配合量は固形分換算値であり、固形分換算値は、医薬部外品原料規格2006の一般試験法に収載された蒸発残分試験法に準じて測定した。
【0059】
【0060】
〔配合例1〕
下記組成に従い、化粧水を常法により製造した。
しわ改善用組成物(製造例1) 2.00質量%
(天然物由来成分5種の合計量 0.0120質量%)
クエン酸 0.04質量%
クエン酸ナトリウム 0.16質量%
エデト酸二ナトリウム 0.03質量%
メチルパラベン 0.15質量%
PPG-13デシルテトラデセス-24 0.10質量%
フェノキシエタノール 0.30質量%
キサンタンガム 0.50質量%
精製水 残部(全量を100質量%とする)
【0061】
〔比較配合例1〕
製造例1のしわ改善用組成物に代えて、50質量% 1,3-ブチレングリコールを配合した以外は、配合例1と同様にして化粧水を製造した。
【0062】
〔試験例〕しわ改善作用試験
上記のようにして得られた配合例1および比較配合例1の化粧水を用い、上記ガイドライン(非特許文献1および2)に準拠して、以下のようにしわ改善作用を試験した。
【0063】
左右の目尻に同程度のしわを有する女性23名(平均:50.00歳,標準偏差:1.86歳)を被験者として選抜した。なお、評価部位の皮膚に、試験の結果に影響を及ぼす可能性のある因子(皮膚炎症,湿疹,外傷等)がある者;評価部位に影響を与えるような美容医療(ボトックス注射,ヒアルロン酸やコラーゲンの注入,フォトフェイシャルなど)を受けた経験のある者;などは、被験者から除外した。
【0064】
各被験者には、左右の目尻の片側に配合例1の化粧水を、もう片側に比較配合例1の化粧水を、それぞれ朝晩の1日2回、洗顔後に、1回あたり約2滴ずつ、4週間にわたって塗布させた。各被験者において両化粧水を左右のどちらに塗布させるかは、無作為に割り付けた。
試験開始日、および試験開始4週後に、目尻に存在するシワを評価した。評価にあたっては、洗顔後、環境試験室(室温20~24℃,湿度45~55%)で15分間以上馴化させた後、両側の目尻の対象部位について、専門家の目視評価を行うとともに、目尻に存在するシワを直接三次元測定した。
【0065】
目視評価においては、2名の専門家がそれぞれ目尻のしわを目視観察し、上記ガイドラインのしわグレード標準写真(グレード0~7)に基づき、しわの状態をスコア付けした。なお、しわの状態が各グレードの標準写真に当て嵌まらない場合には、中間値および1/4値のスコアにて評価した。
【0066】
三次元解析においては、両側の目尻の対象部位について、皮膚用光学三次元測定システム(PRIMOS,GFメステクニク社製)を用いて測定し、三次元データを取得した。得られた三次元データを用い、PRIMOS付属の解析ソフトウェアにより、試験開始日および試験開始4週後の三次元データで解析範囲の位置を合わせて解析した。
しわの解析は、しわ平均深さ、最大しわ平均深さ、最大しわ最大深さ、総しわ体積、Ra値(粗さ曲線の算術平均粗さ)、およびRy値(粗さ曲線の最大高さ)の6項目のパラメータにて評価した。
【0067】
得られた結果について、シャピロ-ウィルク検定および尖度・歪度により正規性を検定し、パラメトリック検定には対応のあるt検定を行い、ノンパラメトリック検定にはウィルコクソン符号順位検定およびボンフェローニ補正を行った。配合例1と比較配合例1との比較は、開始日から開始4週後の変化量を用いてRM ANOVAを行った。なお、目視評価においては、2名の専門家による評価の間で級内相関係数が0.8を超えているものについて解析した。
それぞれの検定においては、p<0.05を有意差とした。また、開始日からの変化率は、下記式により算出した。
開始日からの変化率(%)=(4週後の値-開始日の値)/開始日の値×100
結果を表2および表3に示す。
【0068】
【0069】
【0070】
表2に示すように、専門家の目視判定によるしわグレード評価においては、配合例1の化粧水を4週間塗布することにより、しわグレードが有意に改善していた。また、配合例1の塗布部位と比較配合例1の塗布部位とを比較すると、試験開始日から試験開始4週後の変化量において、配合例1の塗布部位と比較配合例1の塗布部位との間に有意差が認められた。
【0071】
さらに、表3に示すように、三次元解析においても、配合例1の化粧水を4週間塗布することにより、しわ平均深さ、最大しわ平均深さ、最大しわ最大深さ、総しわ体積、Ra値(粗さ曲線の算術平均粗さ)、およびRy値(粗さ曲線の最大高さ)の6項目に関し、有意に減少していた。そして、上記6項目について、配合例1と比較配合例1とを比較すると、4週間での変化量において、配合例1の塗布部位と比較配合例1の塗布部位との間に有意差が認められた。
【0072】
以上の結果より、配合例1(天然物由来成分5種を配合)塗布群では、試験期間前後の比較において、さらには比較配合例1塗布群との比較において、目尻のしわが改善されているものと認められた。
【0073】
〔配合例2〕
下記組成に従い、乳液を常法により製造した。
しわ改善用組成物(製造例1) 1.00g
(天然物由来成分5種の合計量 0.0060g)
ホホバオイル 4.00g
1,3-ブチレングリコール 3.00g
アルブチン 3.00g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
オリーブオイル 2.00g
スクワラン 2.00g
セタノール 2.00g
モノステアリン酸グリセリル 2.00g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
黄杞エキス 0.10g
イチョウ葉エキス 0.10g
オウバクエキス 0.10g
カミツレエキス 0.10g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0074】
〔配合例3〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
しわ改善用組成物(製造例1) 4.00g
(天然物由来成分5種の合計量 0.0240g)
クジンエキス 0.1g
オウゴンエキス 0.1g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
スクワラン 10.0g
セタノール 3.0g
ラノリン 2.0g
ステアリン酸 1.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
1,3-ブチレングリコール 6.0g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0075】
〔配合例4〕
下記組成の美容液を常法により製造した。
しわ改善用組成物(製造例1) 1.00g
(天然物由来成分5種の合計量 0.0060g)
カミツレエキス 0.1g
ニンジンエキス 0.1g
キサンタンガム 0.3g
ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
1,3-ブチレングリコール 4.0g
グリセリン 2.0g
水酸化カリウム 0.25g
香料 0.01g
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
エタノール 2.0g
精製水 残部(全量を100gとする)
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のしわ改善用組成物は、しわの形成に基づく皮膚の老化症状の改善などに大きく貢献できる。