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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/56 20100101AFI20230830BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20230830BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20230830BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20230830BHJP
【FI】
H01L33/56
H01L33/62
H01L33/50
H01L33/58
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022153340
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2019146488の分割
【原出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2022179544
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴行
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-265573(JP,A)
【文献】特開平07-097282(JP,A)
【文献】特開2017-076673(JP,A)
【文献】特開2013-038151(JP,A)
【文献】特開2006-319238(JP,A)
【文献】特開2019-009406(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0033924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に載置された複数の発光素子と、
前記基板上、かつ前記発光素子間において前記発光素子の上面の位置まで設けられた被覆部材と、
前記複数の発光素子の上方に設けられた光透過性部材と、を備え、
前記被覆部材は、無機材料の粉体と結着材とを含む成形体であり、
前記無機材料の含有量は、前記被覆部材の全体に対して90質量%以上99.99質量%以下であり、
前記結着材の含有量は、前記被覆部材の全体に対して0.01質量%以上10質量%以下であり、
前記結着材は、ポリシラザンである発光装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板上に載置された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の上方に前記発光素子毎に離間して設けられた光透過性部材と、
前記基板上、かつ前記発光素子間及び光透過性部材間において前記光透過性部材の上面の位置まで設けられた被覆部材と、を備え、
前記被覆部材は、無機材料の粉体と結着材とを含む成形体であり、
前記無機材料の含有量は、前記被覆部材の全体に対して90質量%以上99.99質量%以下であり、
前記結着材の含有量は、前記被覆部材の全体に対して0.01質量%以上10質量%以下であり、
前記結着材は、ポリシラザンである発光装置。
【請求項3】
前記無機材料は、TiO、BN、SiO、Alのうちの少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光透過性部材は、透明部材の下面に波長変換部材層を備える部材である請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光透過性部材は、波長変換部材を含有する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光素子間の距離が70μm以下である請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記基板上に、複数の前記発光素子の周囲に設けられた枠体を備え、前記枠体と前記発光素子との間に前記被覆部材が設けられた請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記枠体と前記発光素子との距離が200μm以下である請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
基板上に複数の発光素子を載置する工程と、
前記基板上、かつ前記発光素子間において前記発光素子の上面の位置まで被覆部材を形成する工程と、
前記複数の発光素子の上方に光透過性部材を形成する工程と、を含み、
前記被覆部材を形成する工程は、前記基板上、かつ前記発光素子間に無機材料の粉体を前記発光素子の上面の位置より上方まで充填して圧縮する工程と、前記無機材料の粉体に結着材溶液を含浸させる工程と、を含み、
前記結着材溶液は、ポリシラザン溶液である発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記被覆部材を形成する工程は、前記無機材料の粉体に前記結着材溶液を含浸させた後、前記無機材料の粉体を研磨して前記発光素子の上面を露出させる請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
光透過性部材を上方に有する発光素子が複数載置された基板を準備する工程と、
前記基板上、かつ前記発光素子間及び光透過性部材間において前記光透過性部材の上面の位置まで被覆部材を形成する工程と、を含み、
前記被覆部材を形成する工程は、前記基板上、かつ前記発光素子間及び光透過性部材間に無機材料の粉体を前記光透過性部材の上面の位置より上方まで充填して圧縮する工程と、前記無機材料の粉体に結着材溶液を含浸させる工程と、を含み、
前記結着材溶液は、ポリシラザン溶液である発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記被覆部材を形成する工程は、前記無機材料の粉体に前記結着材溶液を含浸させた後、前記無機材料の粉体を研磨して前記光透過性部材の上面を露出させる請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記光透過性部材は、透明部材の下面に波長変換部材層を備える部材であり、
前記光透過性部材を形成する工程は、前記波長変換部材層が前記発光素子側に位置するように前記光透過性部材を形成する請求項9又は請求項10に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記光透過性部材は、透明部材の下面に波長変換部材層を備える部材であり、前記基板を準備する工程は、前記波長変換部材層を前記発光素子側に有するように前記光透過性部材を設けた前記発光素子が複数載置された基板を準備する請求項11又は請求項12に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記光透過性部材は、波長変換部材を含有する請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記無機材料は、TiO、BN、SiO、Alのうちの少なくとも1種である請求項9乃至請求項15のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に発光素子を載置した発光装置が知られている。例えば、特許文献1には、配線基板の上面に発光素子が載置され、前記配線基板上に、前記発光素子の側面に接する光反射部材が設けられている発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-174334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、高輝度でありコントラストに優れた発光装置及び発光装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光装置は、基板と、前記基板上に載置された複数の発光素子と、前記基板上、かつ前記発光素子間において前記発光素子の上面の位置まで設けられた被覆部材と、前記複数の発光素子の上方に設けられた光透過性部材と、を備え、前記被覆部材は、無機材料の粉体と結着材とを含む成形体である。
【0006】
本開示の実施形態に係る発光装置は、基板と、前記基板上に載置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の上方に前記発光素子毎に離間して設けられた光透過性部材と、前記基板上、かつ前記発光素子間及び光透過性部材間において前記光透過性部材の上面の位置まで設けられた被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、無機材料の粉体と結着材とを含む成形体である。
【0007】
本開示の実施形態に係る発光装置は、基板と、前記基板上に載置された複数の発光素子と、前記基板上、かつ前記発光素子間において前記発光素子の上面の位置まで設けられた被覆部材と、前記複数の発光素子の上方に設けられた光透過性部材と、を備え、前記被覆部材は、TiOの粉体の成形体である。
【0008】
本開示の実施形態に係る発光装置は、基板と、前記基板上に載置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の上方に前記発光素子毎に離間して設けられた光透過性部材と、前記基板上、かつ前記発光素子間及び光透過性部材間において前記光透過性部材の上面の位置まで設けられた被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、TiOの粉体の成形体である。
【0009】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、基板上に複数の発光素子を載置する工程と、前記基板上、かつ前記発光素子間において前記発光素子の上面の位置まで被覆部材を形成する工程と、前記複数の発光素子の上方に光透過性部材を形成する工程と、を含み、前記被覆部材を形成する工程は、前記基板上、かつ前記発光素子間に無機材料の粉体を充填する工程と、前記無機材料の粉体に結着材溶液を含浸させる工程と、を含む。
【0010】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、光透過性部材を上面に有する発光素子が複数載置された基板を準備する工程と、前記基板上、かつ前記発光素子間及び光透過性部材間において前記光透過性部材の上面の位置まで被覆部材を形成する工程と、を含み、前記被覆部材を形成する工程は、前記基板上、かつ前記発光素子間及び光透過性部材間に無機材料の粉体を充填する工程と、前記無機材料の粉体に結着材溶液を含浸させる工程と、を含む。
【0011】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、基板上に複数の発光素子を載置する工程と、前記基板上、かつ前記発光素子間において前記発光素子の上面の位置まで被覆部材を形成する工程と、前記複数の発光素子の上方に光透過性部材を形成する工程と、を含み、前記被覆部材を形成する工程は、前記基板上、かつ前記発光素子間にTiOの粉体を充填する工程を含む。
【0012】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、光透過性部材を上方に有する発光素子が複数載置された基板を準備する工程と、前記基板上、かつ前記発光素子間及び光透過性部材間において前記光透過性部材の上面の位置まで被覆部材を形成する工程と、を含み、前記被覆部材を形成する工程は、前記基板上、かつ前記発光素子間及び光透過性部材間にTiOの粉体を充填する工程を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る実施形態の発光装置は、高輝度でありコントラストに優れている。
本開示に係る実施形態の発光装置の製造方法は、高輝度でありコントラストに優れた発光装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】第1実施形態に係る発光装置の構成を模式的に示す平面図である。
図1B】一部を透過させて模式的に示す、図1Aの部分拡大図である。
図1C図1AのIC-IC線における断面図である。
図1D図1Cの部分拡大図である。
図2】第1実施形態に係る発光装置を一例として自動車のヘッドライトに適用したときのヘッドライトの照射領域を模式的に示すと共に第1実施形態に係る発光装置の点灯状態を説明するための模式図である。
図3】第1実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。
図4A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子を載置する工程を示す断面図である。
図4B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、枠体を形成する工程を示す断面図である。
図4C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、無機材料の粉体を充填する工程を示す断面図である。
図4D】第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、結着材溶液を含浸させる工程を示す断面図である。
図4E】第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子の上面を露出させる工程を示す断面図である。
図4F】第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、光透過性部材を形成する工程を示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
図6】第2実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。
図7A】第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、基板を準備する工程を示す断面図である。
図7B】第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、枠体を形成する工程を示す断面図である。
図7C】第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、無機材料の粉体を充填する工程を示す断面図である。
図7D】第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、結着材溶液を含浸させる工程を示す断面図である。
図7E】第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、光透過性部材の上面を露出させる工程を示す断面図である。
図8A】第3実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
図8B】第4実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
図8C】第5実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
図9】第5実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。
図10】第6実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
図11】第6実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。
図12】第7実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
図13】第7実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための発光装置及び発光装置の製造方法を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる例示に過ぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
【0016】
《第1実施形態》
[発光装置]
図1Aは、第1実施形態に係る発光装置の構成を模式的に示す平面図である。図1Bは、一部を透過させて模式的に示す、図1Aの部分拡大図である。図1Cは、図1AのIC-IC線における断面図である。図1Dは、図1Cの部分拡大図である。図2は、第1実施形態に係る発光装置を一例として自動車のヘッドライトに適用したときのヘッドライトの照射領域を模式的に示すと共に第1実施形態に係る発光装置の点灯状態を説明するための模式図である。
【0017】
発光装置100は、基板10と、基板10上に載置された複数の発光素子20と、基板10上、かつ発光素子20間において発光素子20の上面の位置まで設けられた被覆部材30と、複数の発光素子20の上方に設けられた光透過性部材40と、を備えている。そして、被覆部材30は、無機材料の粉体と結着材とを含む成形体である。
更に、発光装置100は、基板10上に、複数の発光素子20の周囲に設けられた枠体50を備えている。そして、枠体50と発光素子20との間に被覆部材30が設けられている。
【0018】
つまり、発光装置100は、主として、基板10と、発光素子20と、被覆部材30と、光透過性部材40と、枠体50と、を備えている。
以下、発光装置100の各構成について説明する。
【0019】
基板10は、発光素子20を複数載置する部材であり、発光装置100を電気的に外部電源と接続する。基板10は、例えば平面視で略長方形に形成されている。基板10上面には、配線部3が設けられている。
基板10としては、絶縁性材料を用いることが好ましく、かつ、発光素子20から出射される光や外光等を透過しにくい材料を用いることが好ましい。例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライト等のセラミックス、PA(ポリアミド)、PPA(ポリフタルアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、又は、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、又は、フェノール樹脂等の樹脂を用いることができる。なお、基板は凹状のキャビティを有し、キャビティ内に発光素子20を載置する構造としてもよい。
【0020】
配線部3は、基板10上面に設けられ、発光素子20と電気的に接続される。また、配線部3は、外部電源と電気的に接続される端子を有している。
配線部3としては、例えば、Fe、Cu、Ni、Al、Ag、Au、Al、Pt、Ti、W、Pd等の金属又は、これらの少なくとも1種を含む合金を用いて形成することができる。このような配線部3は、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等によって形成することができる。
【0021】
発光素子20は、電圧を印加すると自ら発光する半導体素子である。発光素子20の発光色としては、用途に応じて任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色(波長430~490nmの光)、緑色(波長495~565nmの光)の発光素子20としては、窒化物系半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaP等を用いたものを使用することができる。赤色(波長610~700nmの光)の発光素子20としては、窒化物系半導体素子の他にもGaAlAs、AlInGaP等を用いることができる。
発光素子20は、導電性接着材4を介して、基板10上で配線部3にフリップチップ実装されている。導電性接着材4としては、例えば共晶はんだ、導電ペースト、バンプ等が挙げられる。
【0022】
発光装置100は、発光素子20を複数備える。ここでは、例えば行列状に、行方向に24個、列方向に4個の計96個の発光素子20が基板10上に配置されている。発光装置100は、複数の発光素子20のうち、個別の発光素子20やグループ化された複数の発光素子20を点灯及び消灯させることができるように構成されている。
発光素子20間の距離は、70μm以下が好ましい。発光素子20間の距離が70μm以下であれば、発光装置100は、輝度がより高くなると共に、発光素子20間の非点灯部距離を短くできるため、発光素子20間の暗部を軽減することができる。発光素子20間の距離は、より好ましくは50μm以下である。発光素子20間の距離が50μm以下であれば、発光装置100は、輝度が更に高くなると共に、発光素子20間の非点灯部距離を更に短くでき、より発光素子20間の暗部を軽減することができる。発光素子20間の距離は、製造のし易さの観点から、好ましくは40μm以上である。
【0023】
被覆部材30は、基板10上、かつ発光素子20間において発光素子20の上面の高さと同じ位置まで隣接して設けられている。また、被覆部材30は、基板10上、かつ枠体50と発光素子20との間において発光素子20の上面の高さと同じ位置まで隣接して設けられている。すなわち、被覆部材30は、発光素子20間の全てに充填して設けられていると共に、枠体50と発光素子20との間の全てに充填して設けられている。また、発光装置100は、被覆部材30の上面と発光素子20の上面とが、同一平面上に形成されている。
なお、被覆部材30は、基板10の上面と発光素子20の下面との間には設けられていない。このような構成とすることで、配線部3上にAgめっき等の反射性部材を施すことで発光素子20下の反射性を向上させることができる。ただし、被覆部材30は、基板10の上面と発光素子20の下面との間に設けられていてもよい。
なお、基板10の上面と発光素子20の下面との間に無機材料を配置する場合は、低粘度溶媒を用いて無機材料を含むスラリーを調合し、それを発光素子20の下へ流し入れて乾燥させることにより行うことができる。
【0024】
被覆部材30は、無機材料の粉体と結着材とを含む成形体である。具体的には、被覆部材30は、無機材料の粉体が圧縮され、結着材により固化されたものである。このような被覆部材30を用いることで、発光装置100は、一部の発光素子20を発光させる場合、発光した発光素子20の光が、発光していない隣の発光素子20へ入射することが抑制される。これにより、発光装置100のコントラストが優れたものとなる。また、発光素子20間に被覆部材30が設けられているため、発光素子20の上面から取り出される光量が多くなり、発光装置100の輝度が高くなる。
【0025】
また、被覆部材に樹脂を用いた従来の発光装置では、熱による被覆部材の劣化が生じ易い。また、被覆部材の上面に樹脂によるひけが生じ、被覆部材上に設けられた光透過性部材の形状が変化して色ムラが発生する場合がある。本実施形態の発光装置100は、被覆部材30に無機材料を用いることで、樹脂を用いた場合の熱による被覆部材の劣化が生じず、発光装置100の寿命が長くなる。更に、被覆部材30の上面に樹脂によるひけが生じることがなく、色ムラの発生を抑制することができる。
無機材料の含有量は、例えば、被覆部材30全体に対して90質量%以上99.99質量%以下であるが、100質量%未満であればよい。
【0026】
無機材料としては、例えば、TiO、BN、SiO、Alのうちの少なくとも1種が挙げられる。これらの物質を用いることで、輝度がより高くなると共にコントラストがより優れたものとなる。無機材料は、屈折率が2以上のものが好ましい。屈折率が2以上であれば、発光した発光素子20の光が、発光していない隣の発光素子20へ入射することを抑制する効果がより高まり、コントラストがより優れたものとなる。また、被覆部材30の反射性能がより向上し、輝度がより高くなる。
結着材としては、例えば、ポリシラザンが挙げられる。被覆部材30は、結着材としてポリシラザンを用いることで、無機材料の粉体を結着させ易くなる。ポリシラザンは、後述するポリシラザン溶液を硬化することで生じたものである。
結着材の含有量は、例えば、被覆部材30全体に対して0.01質量%以上10質量%以下であるが、0質量%を超えるものであればよい。
【0027】
また、被覆部材30は、銀、Al等が混合されたものであってもよい。被覆部材30がこれらの物質を含有することで、発光した発光素子20の光が、発光していない隣の発光素子20へ入射することを抑制する効果がより高まり、コントラストがより優れたものとなる。また、被覆部材30の反射性能がより向上し、輝度がより高くなる。
【0028】
光透過性部材40は、複数の発光素子20の光取出し面側に設けられている。ここでは、光透過性部材40は、複数の発光素子20の上面全体を覆うように連続して配置されて形成されている。また、光透過性部材40は、枠体50上にも設けられている。発光装置100は、枠体50上に光透過性部材40を設けることで、平面視における光透過性部材40のサイズを大きくすることができる。また、枠体50上に光透過性部材40を設けることで、平面視において枠体50の色を見えにくくすることができる。
光透過性部材40は、光を透過する樹脂により形成されている。光透過性部材40は、ポッティングやスプレー等により、複数の発光素子20上及び枠体50上に光透過性部材の樹脂を配置した後、樹脂を硬化させて形成する。そのため、枠体50の外側にも樹脂が流れ、枠体50の外側面にも光透過性部材40が形成される。
光透過性部材40の樹脂に用いる樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0029】
光透過性部材40は、波長変換部材を含有してもよい。波長変換部材としては、例えば、蛍光体が挙げられる。蛍光体を含有する光透過性部材40は、例えば、樹脂に蛍光体粉末を含有させたものが挙げられる。また、光透過性部材40は、目的に応じて、拡散材、フィラー等を含有してもよい。
蛍光体としては、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、YAG(Y3Al512:Ce)やシリケート等の黄色蛍光体、CASN(CaAlSiN3:Eu)やKSF(K2SiF6:Mn)等の赤色蛍光体、或いは、クロロシリケートやBaSiO4:Eu2+等の緑色蛍光体を用いることができる。
拡散材としては、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等を用いることができる。
蛍光体の粒径としては、例えば、1μm以上30μm以下が挙げられる。
【0030】
枠体50は、基板10上に、複数の発光素子20の周囲に設けられている。枠体50は、反射材を含有する樹脂により、基板10の上面を被覆して基板10の形状に沿って枠状に形成される。枠体50は、平面視で略長方形環状に形成されている。また、枠体50は、発光素子20と同じ高さで形成されている。
枠体50と発光素子20との距離は、200μm以下が好ましい。枠体50と発光素子20との距離が200μm以下であれば、枠体50と発光素子20との間の無機材料の粉体を圧縮させ易くなり、無機材料を充填し易くなる。なお、本実施形態での枠体50と発光素子20との距離とは、枠体50の高さ方向の1/2の部位から発光素子20の側面までの距離である。なお、枠体50と発光素子20との距離は、枠体50と発光素子20との間に無機材料の粉体をより配置し易くする観点から、50μm以上が好ましい。
【0031】
本実施形態では、被覆部材30に無機材料の粉体を用いるため、上方から粉体を塗布することで枠体50と発光素子20との間に無機材料を配置することができる。そのため、枠体50と発光素子20との間に樹脂を充填するためのノズル等を挿入する必要がなく、被覆部材に樹脂を用いる場合に比べて枠体50と発光素子20との間に被覆部材30を設け易い。また、被覆部材に樹脂を用いる場合に比べて枠体50と発光素子20との距離を短くすることができ、発光装置100のサイズを小さくすることができる。
【0032】
枠体50の樹脂に用いる樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。枠体50の反射材に用いる光反射材としては、例えば、酸化チタン、シリカ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、酸化亜鉛、窒化硼素等が挙げられる。なかでも、光反射の観点から、屈折率が比較的高い酸化チタンを用いることが好ましい。
【0033】
[発光装置の動作]
発光装置100を駆動すると、配線部3を介して外部電源から発光素子20に電流が供給され、発光素子20が発光する。発光素子20が発光した光は、上方へ進む光が、光透過性部材40を介して発光装置100の上方の外部に取り出される。また、下方へ進む光は、配線部3及び基板10で反射され、光透過性部材40を介して発光装置100の外部に取り出される。また、発光素子20と枠体50との間に進む光は、被覆部材30で反射され、光透過性部材40を介して発光装置100の外部に取り出される。また、発光素子20間に進む光は、被覆部材30で反射され、光透過性部材40を介して発光装置100の外部に取り出される。この際、発光素子20間に、無機材料の粉体と結着材とを含む成形体である被覆部材30が設けられているため、一部の発光素子20を発光させる場合、発光した発光素子20の光が、発光していない隣の発光素子20へ入射することが抑制される。これにより、発光装置100のコントラストが優れたものとなる。また、発光素子20間に被覆部材30が設けられているため、発光装置100の輝度が高くなる。
【0034】
発光装置100は、例えば、車の配光可変型ヘッドランプ(Adaptive Driving Beam: ADB)に用いることができる。図2は、車が左側通行である場合のヘッドライトの照射領域を示している。照射領域L1は、本実施形態の発光装置100が照射する領域であり、照射領域L2及び照射領域L3は、他の発光装置が照射する領域である。これら3つの照射領域が、ヘッドライトの照射領域となる。照射領域L1及び照射領域L2は、ハイビーム照射領域であり、コントラストが高いことが好ましい。照射領域L1のみならず、照射領域L2も本実施形態の発光装置100を用いて照射してもよい。そして、発光装置100は、一部の発光素子20を発光させ、その他の発光素子20を消灯させる。これにより、発光装置100は、照射領域L1及び照射領域L1の明るさに応じてヘッドランプからの光の強さを調整する。その際、発光させた発光素子が照射する領域20aと、これに隣り合う消灯させた発光素子が発光した場合に照射する領域20bとのコントラストが高くなる。
【0035】
[発光装置の製造方法]
次に、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の一例について説明する。
図3は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。図4Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子を載置する工程を示す断面図である。図4Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、枠体を形成する工程を示す断面図である。図4Cは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、無機材料の粉体を充填する工程を示す断面図である。図4Dは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、結着材溶液を含浸させる工程を示す断面図である。図4Eは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子の上面を露出させる工程を示す断面図である。図4Fは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、光透過性部材を形成する工程を示す断面図である。
【0036】
発光装置100の製造方法は、基板10上に複数の発光素子20を載置する工程である発光素子載置工程S101と、複数の発光素子20の周囲に枠体50を形成する工程である枠体形成工程S102と、基板10上、かつ発光素子20間において発光素子20の上面の位置まで被覆部材30を形成する工程である被覆部材形成工程S103と、複数の発光素子20の上方に光透過性部材40を形成する工程である光透過性部材形成工程S104と、を含む。
被覆部材形成工程S103は、基板10上、かつ発光素子20間に無機材料の粉体を充填する工程である粉体充填工程S103aと、無機材料の粉体に結着材溶液を含浸させる工程である結着材溶液含浸工程S103bと、無機材料の粉体を研磨して発光素子20の上面を露出させる工程である発光素子上面露出工程S103cと、を含む。
なお、各部材の材質や配置等については、前記した発光装置100の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。
【0037】
(発光素子載置工程)
発光素子載置工程S101は、基板10上に複数の発光素子20を載置する工程である。
発光素子20は、電極形成面を実装面として、導電性接着材4により基板10の上面の配線部3の上にフリップチップ実装されている。
【0038】
(枠体形成工程)
枠体形成工程S102は、複数の発光素子20の周囲に枠体50を形成する工程である。
枠体50は、例えば、空気圧で液体樹脂を連続的に吐出可能な吐出装置(樹脂吐出装置)を用いて基板10上の所望の位置に発光素子20と略同じ高さとなるように形成することができる(特開2009-182307号公報参照)。枠体50に用いられる樹脂は、予め粘度が調整されており、1回、或いは複数回重ねて設けることで所定の高さまで形成することができ、発光素子20よりも高い高さまで形成することもできる。なお、この場合、枠体50を研磨、研削、又は切削等をすることで発光素子20と同じ高さとすることもできる。
【0039】
(被覆部材形成工程)
被覆部材形成工程S103は、基板10上、かつ発光素子20間において発光素子20の上面の位置まで被覆部材30を形成する工程である。また、この工程S103は、枠体50と発光素子20との間に被覆部材30を形成する工程である。
この工程S103は、粉体充填工程S103aと、結着材溶液含浸工程S10bと、発光素子上面露出工程S10cと、を含む。
【0040】
〈粉体充填工程〉
粉体充填工程S103aは、基板10上、かつ発光素子20間に無機材料の粉体30aを充填する工程である。また、この工程S103aは、基板10上、かつ枠体50と発光素子20との間に無機材料の粉体30aを充填する工程である。
この工程S103aでは、まず、基板10上に、無機材料の粉体30aを発光素子20の上面を覆うように上面の位置より上方まで設ける。次に、粉体30aの上面に板状部材5を載置し、板状部材5を介してローラー6で粉体を圧縮する。板状部材5としては、例えば、ガラス板、金属板、セラミック板等が挙げられる。またローラー6以外でも上面から均一に圧力がかかる装置、例えばプレス機で圧縮してもよい。
【0041】
〈結着材溶液含浸工程〉
結着材溶液含浸工程S103bは、無機材料の粉体に結着材溶液30bを含浸させる工程である。
この工程S103bでは、まず、例えば、無機材料の粉体30aの上方からピペット7で結着材溶液30bを全体に行きわたるように滴下する。次に、例えば、150℃以上200℃以下、4時間以上48時間以下の条件で結着材を硬化させ、無機材料の粉体を固化する。これにより、被覆部材30が形成される。結着材溶液の量は特に限定されるものではなく、無機材料の粉体を固化できる量であればよい。
結着材溶液としては、例えば、ガラス溶液であるポリシラザン溶液が挙げられる。ポリシラザン溶液としてはどのようなものでもよく、例えば市販のガラス溶液を用いることができる。
【0042】
〈発光素子上面露出工程〉
発光素子上面露出工程S103cは、無機材料の粉体を研磨して発光素子20の上面を露出させる工程である。
この工程S103cでは、結着材溶液を含浸させ固化させた後の無機材料の粉体の上面を研磨することで被覆部材30の一部を除去し、発光素子20の上面を覆う被覆部材30を取り除き、発光素子20の上面を露出させる。これにより、被覆部材30の上面と発光素子20の上面とが、同一平面上に形成される。なお、被覆部材30の一部を除去して発光素子20の上面を露出させる場合は、研削、切削等により被覆部材30の一部を除去してもよい。なお、被覆部材30の一部を除去する場合、発光素子20の基板も若干、研磨等がされてもよい。枠体形成工程S102において、発光素子20の高さよりも高く枠体50を形成する場合には、枠体50の一部の除去を被覆部材30の除去と同時に行ってもよい。
【0043】
(光透過性部材形成工程)
光透過性部材形成工程S104は、複数の発光素子20の上方に光透過性部材40を形成する工程である。
この工程S104では、まず、ポッティングやスプレー等により、複数の発光素子20上及び枠体50上に光透過性部材の樹脂を配置する。次に、例えば、120℃以上200℃以下の温度で、樹脂を硬化させ、光透過性部材40を形成する。
【0044】
《第2実施形態》
[発光装置]
図5は、第2実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
【0045】
発光装置100Aは、基板10と、基板10上に載置された複数の発光素子20と、複数の発光素子20の上方に発光素子20毎に離間して設けられた光透過性部材40Aと、基板10上、かつ発光素子20間及び光透過性部材40A間において光透過性部材40Aの上面の位置まで設けられた被覆部材30と、を備えている。そして、被覆部材30は、無機材料の粉体と結着材とを含む成形体である。更に、発光装置100Aは、基板10上に、複数の発光素子20の周囲に設けられた枠体50Aを備えている。そして、枠体50Aと発光素子20との間に被覆部材30が設けられている。
【0046】
以下、発光装置100Aについて、発光装置100と主に異なる部分について説明する。発光装置100Aでは、光透過性部材40Aの形状、枠体50Aの形状及び高さ、及び、被覆部材30の形成される高さが発光装置100とは異なっている。
発光装置100Aは、光透過性部材40Aが発光素子20毎に離間して設けられている。
光透過性部材40Aは、例えば、樹脂、ガラス、無機物等により形成される部材である。光透過性部材40Aは、発光素子20毎に配置されて形成されている。
光透過性部材40Aは、波長変換部材を含有してもよい。波長変換部材としては、例えば、蛍光体が挙げられる。蛍光体を含有する光透過性部材40Aは、例えば、蛍光体の焼結体や、樹脂、ガラス、セラミック又は他の無機物等に蛍光体粉末を含有させたものが挙げられる。また、光透過性部材40Aは、目的に応じて、拡散材、フィラー等を含有してもよい。
【0047】
光透過性部材40Aは、発光素子20の上面よりも広い下面を有している。光透過性部材40A間の距離は、30μm以下が好ましい。光透過性部材40A間の距離が30μm以下であれば、発光装置100Aは、例えば、第1実施形態の発光素子20間の距離50μmの場合よりも、発光素子20間(この場合、光透過性部材40A間)の暗部を軽減することができる。光透過性部材40A間の距離は、より好ましくは20μm以下である。光透過性部材40A間の距離が20μm以下であれば、発光装置100Aは、より発光素子20間(この場合、光透過性部材40A間)の暗部を軽減することができる。光透過性部材40A間の距離は、製造のし易さの観点から、好ましくは10μm以上である。
【0048】
発光装置100Aは、被覆部材30が、基板10上、かつ発光素子20及び光透過性部材40A間において光透過性部材40Aの上面の高さと同じ位置まで隣接して設けられている。また、枠体50Aは、断面視で略長方形であり、光透過性部材40Aと同じ高さで形成されている。また、被覆部材30は、基板10上、かつ枠体50Aと発光素子20及び光透過性部材40Aとの間において光透過性部材40Aの上面の高さと同じ位置まで設けられている。すなわち、被覆部材30は、発光素子20間及び光透過性部材40A間の全てに充填して設けられていると共に、枠体50Aと発光素子20及び光透過性部材40Aとの間の全てに充填して設けられている。また、発光装置100Aは、被覆部材30の上面と光透過性部材40Aの上面とが、同一平面上に形成されている。
【0049】
[発光装置の製造方法]
次に、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一例について説明する。
図6は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。図7Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、基板を準備する工程を示す断面図である。図7Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、枠体を形成する工程を示す断面図である。図7Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、無機材料の粉体を充填する工程を示す断面図である。図7Dは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、結着材溶液を含浸させる工程を示す断面図である。図7Eは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法において、光透過性部材の上面を露出させる工程を示す断面図である。
【0050】
発光装置100Aの製造方法は、光透過性部材40Aを上面に有する発光素子20が複数載置された基板10を準備する工程である基板準備工程S201と、複数の発光素子20の周囲に枠体50Aを形成する工程である枠体形成工程S202と、基板10上、かつ発光素子20間及び光透過性部材40A間において光透過性部材40Aの上面の位置まで被覆部材30を形成する工程である被覆部材形成工程S203と、を含む。
被覆部材形成工程S203は、基板10上、かつ発光素子20間及び光透過性部材40A間に無機材料の粉体を充填する工程である粉体充填工程S203aと、無機材料の粉体に結着材溶液を含浸させる工程である結着材溶液含浸工程S203bと、無機材料の粉体を研磨して光透過性部材40Aの上面を露出させる工程である光透過性部材上面露出工程S203cと、を含む。
なお、各部材の材質や配置等については、前記した発光装置100Aの説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。
【0051】
(基板準備工程)
基板準備工程S201は、光透過性部材40Aを上方に有する発光素子20が複数載置された基板10を準備する工程である。
この工程S201では、まず、例えば、発光素子20の上面(光取り出し面側)に、所定形状の光透過性部材40Aを接合する。発光素子20に光透過性部材40Aを接合する場合、直接接合で接合させてもよく、導光部材を介して接合するようにしてもよい。次に、光透過性部材40Aが上になるように発光素子20を基板10上に複数載置する。発光素子20は、電極形成面を実装面として、導電性接着材4により基板10上の配線部3の上面にフリップチップ実装されている。
ただし、この工程S201では、例えば、基板10上に発光素子20を載置した後で、発光素子20と光透過性部材40Aとを接合してもよい。
【0052】
(枠体形成工程)
枠体形成工程S202は、複数の発光素子20の周囲に枠体50Aを形成する工程である。枠体50Aは、光透過性部材40Aよりも高い高さになるように形成すること以外は、前記した枠体形成工程S102と同様である。なお、枠体50Aは、枠体50Aに用いられる樹脂を2回重ねて設けることで所定の高さまで形成する(図7B参照)。
【0053】
(被覆部材形成工程)
被覆部材形成工程S203は、基板10上、かつ発光素子20間及び光透過性部材40A間において光透過性部材40Aの上面の位置まで被覆部材30を形成する工程である。また、この工程S203は、枠体50Aと発光素子20及び光透過性部材40Aとの間に被覆部材30を形成する工程である。
この工程S203は、粉体充填工程S203aと、結着材溶液含浸工程S203bと、光透過性部材上面露出工程S203cと、を含む。
【0054】
〈粉体充填工程〉
粉体充填工程S203aは、基板10上、かつ発光素子20間及び光透過性部材40A間に無機材料の粉体30aを充填する工程である。また、この工程S203aは、基板10上、かつ枠体50Aと発光素子20及び光透過性部材40Aとの間に無機材料の粉体30aを充填する工程である。
この工程S203aでは、まず、基板10上に、無機材料の粉体30aを光透過性部材40Aの上面を覆うように上面の位置より上方まで設ける。次に、粉体30aの上面に板状部材5を載置し、板状部材5を介してローラー6で粉体を圧縮する。またローラー6以外でも上面から均一に圧力がかかる装置、例えばプレス機で圧縮してもよい。
【0055】
〈結着材溶液含浸工程〉
結着材溶液含浸工程S203bは、前記した結着材溶液含浸工程S103bと同様である。
【0056】
〈光透過性部材上面露出工程〉
光透過性部材上面露出工程S203cは、無機材料の粉体を研磨して光透過性部材40A及び枠体50Aの上面を露出させる工程である。
この工程S203cでは、結着材溶液を含浸させ固化させた後の無機材料の粉体の上面を研磨することで被覆部材30の一部を除去し、光透過性部材40Aの上面を覆う被覆部材30を取り除き、光透過性部材40Aの上面を露出させる。また、この工程S203cでは、被覆部材30の一部を除去する際、枠体50Aの上面を覆う被覆部材30を取り除くと共に枠体50Aの一部を除去し、枠体50Aの上面を露出させる。これにより、被覆部材30の上面と光透過性部材40Aの上面と枠体50Aの上面とが、同一平面上に形成される。なお、被覆部材30の一部を除去して光透過性部材40Aの上面及び枠体50Aの上面を露出させる場合は、研削、切削等により被覆部材30の一部を除去してもよい。
【0057】
《第3実施形態》
[発光装置]
図8Aは、第3実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
【0058】
以下、発光装置100Bについて、発光装置100と主に異なる部分について説明する。発光装置100Bでは、発光素子20の光取出し面に、透明部材41及び波長変換部材層42を備える光透過性部材40Bを設けたことが発光装置100と異なっている。
光透過性部材40Bは、透明部材41の下面に波長変換部材層42を備える部材である。透明部材41としては、例えば、樹脂、ガラス、セラミック等の成形体が挙げられる。波長変換部材層42としては、例えば、蛍光体を含有する樹脂層が挙げられる。
発光装置100Bは、光透過性部材40Bが発光素子20の光取出し面に接合して発光素子20毎に離間して設けられている。
【0059】
[発光装置の製造方法]
次に、第3実施形態に係る発光装置の製造方法の一例について説明する。
発光装置100Bは、発光装置100の製造方法における光透過性部材形成工程S104において、波長変換部材層42が発光素子20側に位置するように光透過性部材40Bを形成することにより製造することできる。この際、光透過性部材40Bは、所定形状の光透過性部材40Bを発光素子20毎に配置して形成することができる。また、光透過性部材40Bは、1つの光透過性部材40Bを複数の発光素子20の上面全体を覆うように連続して配置した後、発光素子20毎に離間するように切断することで、発光素子20毎に配置して形成することができる。
なお、光透過性部材40B間には、反射材を含有する樹脂を設けてもよい。
【0060】
《第4実施形態》
[発光装置]
図8Bは、第4実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
【0061】
以下、発光装置100Cについて、発光装置100Aと主に異なる部分について説明する。発光装置100Cでは、発光素子20の光取出し面に、透明部材41及び波長変換部材層42を備える光透過性部材40Bを設けたことが発光装置100Aと異なっている。
【0062】
[発光装置の製造方法]
次に、第4実施形態に係る発光装置の製造方法の一例について説明する。
発光装置100Cは、発光装置100Aの製造方法における基板準備工程S201において、波長変換部材層42を発光素子20側に有するように光透過性部材40Bを設けた発光素子20が複数載置された基板10を準備することにより製造することができる。
【0063】
《第5実施形態》
[発光装置]
図8Cは、第5実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
【0064】
以下、発光装置100Dについて、発光装置100と主に異なる部分について説明する。発光装置100Dでは、光透過性部材40が発光素子20毎に離間し、光透過性部材40間、及び、枠体50と発光素子20との間における被覆部材30上に樹脂70を設けたことが発光装置100と異なっている。また、発光装置100Dでは、発光素子20の光取出し面に、光透過性部材40及び透明部材41を備える光透過性部材40Cを設けたことが発光装置100と異なっている。
【0065】
光透過性部材40Cは、光透過性部材40上に透明部材41を備える部材である。発光装置100Dは、光透過性部材40が発光素子20毎に離間して設けられおり、光透過性部材40間には、反射材を含有する樹脂70が設けられている。また、枠体50は、光透過性部材40と同じ高さで形成されており、枠体50と発光素子20との間における被覆部材30上には、反射材を含有する樹脂70が設けられている。そして、発光装置100Dは、透明部材41が複数の光透過性部材40の上面全体を覆うように連続して配置されて形成されている。なお、発光装置は、樹脂70を設けないものであってもよい。
【0066】
[発光装置の製造方法]
次に、第5実施形態に係る発光装置の製造方法の一例について説明する。
図9は、第5実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。
発光装置100Dの製造方法は、まず、光透過性部材形成工程S104において、複数の発光素子20上に光透過性部材40を形成する。次に、光透過性部材切断工程S105において、光透過性部材を発光素子20毎に離間するように切断する。次に、樹脂配置工程S106において、光透過性部材40間、及び、枠体50と発光素子20との間における被覆部材30上に、反射材を含有する樹脂70を光透過性部材40の上面の位置より上方まで設け、光透過性部材40の表面及び樹脂70の表面を研磨や研削等により平坦化する。その後、透明部材形成工程S107において、光透過性部材40の上面に透明部材41を配置する。樹脂70は被覆部材30であってもよく、その場合、樹脂70の代わりに配置した被覆部材30の形成方法は、前述した被覆部材形成工程S103に準じた形成方法を用いることができる。
【0067】
《第6実施形態》
[発光装置]
図10は、第6実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
【0068】
発光装置100Eは、基板10と、基板10上に載置された複数の発光素子20と、基板10上、かつ発光素子20間において発光素子20の上面の位置まで設けられた被覆部材30Aと、複数の発光素子20の上方に設けられた光透過性部材40と、を備えている。そして、被覆部材30Aは、TiOの粉体の成形体である。
更に、発光装置100は、基板10上に、複数の発光素子20の周囲に設けられた枠体50を備えている。そして、枠体50と発光素子20との間に被覆部材30Aが設けられている。
【0069】
以下、発光装置100Eについて、発光装置100と主に異なる部分について説明する。発光装置100Eでは、被覆部材30Aが、TiOの粉体の成形体であることが発光装置100と異なっている。すなわち、発光装置100Eは、被覆部材30AがTiOの粉体が圧縮されたものであり、TiOのみからなるものである。ただし、光透過性部材40をポッティングにより設ける場合には、光透過性部材の樹脂が被覆部材30Aに含浸する場合がある。すなわち、被覆部材30AがTiOの粉体の成形体であるとは、被覆部材30AがTiOのみからなるものの他、光透過性部材の樹脂が含浸したものも含むものである。
このような被覆部材30Aを用いることでも、発光装置100と同様の効果が得られ、発光装置100Eのコントラストが優れたものとなる。また、発光装置100Eの輝度が高くなる。
【0070】
[発光装置の製造方法]
次に、第6実施形態に係る発光装置の製造方法の一例について説明する。
図11は、第6実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。
【0071】
発光装置100Eの製造方法は、基板10上に複数の発光素子20を載置する工程である発光素子載置工程S101と、複数の発光素子20の周囲に枠体50を形成する工程である枠体形成工程S102と、基板10上、かつ発光素子20間において発光素子20の上面の位置まで被覆部材30を形成する工程である被覆部材形成工程S103Aと、複数の発光素子20の上方に光透過性部材40を形成する工程である光透過性部材形成工程S104と、を含む。
被覆部材形成工程S103Aは、基板10上、かつ発光素子20間にTiOの粉体を充填する工程である粉体充填工程S103aと、TiOの粉体の一部を除去して発光素子20の上面を露出させる工程である発光素子上面露出工程S103cと、を含む。
【0072】
発光装置100Eは、被覆部材形成工程S103Aの粉体充填工程S103aにおいて、無機材料の粉体としてTiOの粉体を用いる。また、結着材溶液含浸工程S103bを行わず、TiOの粉体に結着材溶液30bを含浸させない。そして、発光素子上面露出工程S103cにおいて、粉体を圧縮したTiOの粉体を、例えば、綿棒や布等で拭き取り、TiOの粉体の一部、すなわち被覆部材30Aの一部を除去して発光素子20の上面を露出させる。なお、被覆部材30Aの一部を除去して発光素子20の上面を露出させる場合は、研磨、研削、切削等により被覆部材30Aの一部を除去してもよい。
それ以外の事項については、発光装置100の製造方法と同様である。
【0073】
《第7実施形態》
[発光装置]
図12は、第7実施形態に係る発光装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。
【0074】
発光装置100Fは、基板10と、基板10上に載置された複数の発光素子20と、複数の発光素子20の上方に発光素子20毎に離間して設けられた光透過性部材40Aと、基板10上、かつ発光素子20間及び光透過性部材40A間において光透過性部材40Aの上面の位置まで設けられた被覆部材30Aと、を備えている。そして、被覆部材30Aは、TiOの粉体を含む成形体である。更に、発光装置100Fは、基板10上に、複数の発光素子20の周囲に設けられた枠体50Aを備えている。そして、枠体50Aと発光素子20との間に被覆部材30Aが設けられている。更に、発光装置100Fは、枠体50A、被覆部材30A及び光透過性部材40Aの上面にコート層80が設けられている。
【0075】
以下、発光装置100Fについて、発光装置100Aと主に異なる部分について説明する。発光装置100Fでは、被覆部材30Aが、TiOの粉体の成形体であることが発光装置100Aと異なっている。すなわち、発光装置100Fは、被覆部材30AがTiOの粉体が圧縮されたものであり、TiOのみからなるものである。
このような被覆部材30Aを用いることでも、発光装置100Aと同様の効果が得られ、発光装置100Fのコントラストが優れたものとなる。また、発光装置100Fの輝度が高くなる。
また、発光装置100Fでは、コート層80が設けられていることが発光装置100Aと異なっている。発光装置100Fは、コート層80を備えることで、被覆部材30Aを形成するTiOの粉体が、発光装置の上面から落ちることを防止することができる。コート層80の厚さは、例えば、3μm以上10μm以下である。
コート層80は、例えば、光を透過する樹脂により形成することができる。コート層80に用いる樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0076】
[発光装置の製造方法]
次に、第7実施形態に係る発光装置の製造方法の一例について説明する。
図13は、第7実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。
【0077】
発光装置100Fの製造方法は、光透過性部材40Aを上面に有する発光素子20が複数載置された基板10を準備する工程である基板準備工程S201と、複数の発光素子20の周囲に枠体50Aを形成する工程である枠体形成工程S202と、基板10上、かつ発光素子20間及び光透過性部材40A間において光透過性部材40Aの上面の位置まで被覆部材30Aを形成する工程である被覆部材形成工程S203Aと、枠体50A、被覆部材30A及び光透過性部材40Aの上面にコート層80を形成する工程であるコート層形成工程S204と、を含む。
被覆部材形成工程S203Aは、基板10上、かつ発光素子20間及び光透過性部材40A間にTiOの粉体を充填する工程である粉体充填工程S203aと、TiOの粉体の一部を除去して光透過性部材40Aの上面を露出させる工程である光透過性部材上面露出工程S203cと、を含む。
【0078】
発光装置100Fは、被覆部材形成工程S203Aの粉体充填工程S203aにおいて、無機材料の粉体としてTiOの粉体を用いる。また、結着材溶液含浸工程S203bを行わず、TiOの粉体に結着材溶液30bを含浸させない。そして、光透過性部材上面露出工程S203cにおいて、粉体を圧縮したTiOの粉体を、例えば、綿棒や布等で拭き取り、TiOの粉体の一部、すなわち被覆部材30Aの一部を除去して光透過性部材40Aの上面を露出させる。この際、枠体50Aの上面を覆う被覆部材30Aを、綿棒や布等での拭き取り、研磨、研削、切削等により取り除くと共に、研磨、研削、切削等により枠体50Aの一部を除去し、枠体50Aの上面を露出させる。なお、被覆部材30Aの一部を除去して光透過性部材40Aの上面を露出させる場合は、研磨、研削、切削等により被覆部材30Aの一部を除去してもよい。
【0079】
コート層形成工程S204は、枠体50A、被覆部材30A及び光透過性部材40Aの上面にコート層80を形成する工程である。
この工程S204では、例えば、スプレーでの塗布や、樹脂シートの貼り付け等により、コート層80を形成する。
それ以外の事項については、発光装置100Aの製造方法と同様である。
【0080】
なお、発光装置100B、100C、100Dの形態においても同様に、TiOの粉体の成形体である被覆部材30Aとしてものであってもよい。この場合、発光装置100B、100Cの形態においても同様に、コート層80を備えるものであってもよい。これらの場合、発光装置100E、100Fで説明した製造方法に準じて発光装置を製造することができる。
【0081】
《その他の実施形態》
以上説明した発光装置は、枠体を有するものとしたが、枠体を有さないものであってもよい。
また、発光装置100Fは、コート層80を有するものとしたが、コート層80を有さないものであってもよい。ただし、コート層80は、少なくとも被覆部材30Aの上面に設けられていることが好ましい。
また、発光装置100、100Eは、光透過性部材40を用いるものとしたが、被覆部材30、30Aを形成した後、1つの光透過性部材40Aを複数の発光素子20の上面全体を覆うように連続して配置したものであってもよい。
また、発光装置100Bは、透明部材41の下面に波長変換部材層42を備える光透過性部材40Bを用いるものとしたが、光透過性部材40Bの代わりに、光透過性部材40や光透過性部材40Aを用いたものであってもよい。光透過性部材40を用いる場合は、発光装置100の製造方法において光透過性部材40を形成した後、光透過性部材40の表面を、研磨や研削等により平坦化すると共に、発光素子20毎に離間するように切断すればよい。光透過性部材40Aを用いる場合は、発光装置100の製造方法において被覆部材30を形成した後、所定形状の光透過性部材40Aを発光素子20毎に配置すればよい。或いは、光透過性部材40Aを用いる場合は、1つの光透過性部材40Aを複数の発光素子20の上面全体を覆うように連続して配置した後、発光素子20毎に離間するように切断することで、発光素子20毎に配置すればよい。
また、発光装置100Bにおいて、光透過性部材40Bは複数の発光素子20の上面全体を覆うように連続して配置されたものであってもよい。また、発光装置100Dにおいて、光透過性部材40は複数の発光素子20の上面全体を覆うように連続して配置されたものであってもよい。
【0082】
また、発光装置の製造方法は、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間、あるいは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、製造途中に混入した異物を除去する異物除去工程等を含めてもよい。
また、発光装置の製造方法において、一部の工程は、順序が限定されるものではなく、順序が前後してもよい。例えば、前記した発光装置の製造方法は、発光素子を基板上に載置した後に枠体を形成するものとしたが、枠体を形成する工程は、発光素子を載置する前に行ってもよい。
【0083】
以上、発光装置及び発光装置の製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれる。
【実施例
【0084】
以下、実施例について説明する。
[実施例]
以下のようにして、図1A図1Dの形態の発光装置を、第1実施形態の製造方法に準じて作製した。
基板は窒化アルミニウムを用い、配線部はCuを用いた。基板のサイズは40mm×10mmである。被覆部材の無機材料はTiOを用い、結着材溶液はガラス溶液(ポリシラザン溶液)を用いた。結着材溶液の量は、無機材料4.5gに対して10μlとした。光透過性部材は、シリコーン樹脂に、粒径が16μmのYAG蛍光体を含有させたものを用いた。枠体は、シリコーン樹脂に、光反射材としてTiOを含有させたものを用いた。発光素子のサイズは600μm×600μmであり、発光素子間は50μmとした。
【0085】
[比較例]
被覆部材をシリコーン樹脂にTiOを含有させたものを用いた以外は前記の実施例の発光装置と同様とした発光装置を作製した。
被覆部材は、樹脂に対する質量比でTiOの含有量が60%である。
【0086】
これらの発光装置について、1発光素子あたり350mAのパルス電流を流し、コントラスト(青色)及びコントラスト(白色)を評価すると共に、平均輝度(cd/mm)を測定した。
コントラストは、正面光の発光輝度を測定することにより評価した。また、コントラスト(青色)は、光透過性部材を設ける前のコントラストであり、コントラスト(白色)は、光透過性部材を設けた後のコントラストである。
平均輝度は、発光領域の70%の範囲における正面光の発光輝度を測定した。
【0087】
この結果、実施例の発光装置は、コントラスト(青色)が333:1、コントラスト(白色)が134:1、平均輝度が95.6(cd/mm)であった。一方、比較例の発光装置は、コントラスト(青色)が174:1、コントラスト(白色)が64:1、平均輝度が93.8(cd/mm)であった。
この結果から、本願の実施形態に係る発光装置は、高輝度でありコントラストに優れていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示の実施形態に係る発光装置は、配光可変型ヘッドランプ光源に利用することができる。その他、本開示の実施形態に係る発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、更には、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置、プロジェクタ装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
3 配線部
4 導電性接着材
5 板状部材
6 ローラー
7 ピペット
10 基板
20 発光素子
20a 発光させた発光素子の照射領域
20b 消灯させた発光素子が発光した場合の照射領域
30、30A 被覆部材
30a 粉体
30b 結着材溶液
40、40A、40B、40C 光透過性部材
41 透明部材
42 波長変換部材層
50、50A 枠体
70 樹脂
80 コート層
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F 発光装置
L1、L2、L3 照射領域
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13